説明

炊飯器

【課題】表示部を有する表示基板を設置する基板室に設置した乾燥剤が飽和状態にならないようにして表示部に結露が生じることがないようにした炊飯器を得ること。
【解決手段】炊飯器本体1と、該炊飯器本体に回動自在に設けられた蓋体12と、該蓋体に設けられた操作パネル16と、該操作パネルの下方に設けられ、密閉された基板室26と、該基板室内に配設され、操作パネルの操作状態を表示する液晶表示部29を有する表示基板28とを備え、基板室内に乾燥剤30を配設し、基板室に該基板室と外部とを連通させるシリコンチューブの連通路部材31を設け、基板室の直下に加熱手段である蓋ヒータ15を有する加熱室33を設けたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は炊飯器に係り、特に炊飯器本体に回動自在に設けられた蓋体内に設置した表示部に結露が生じないようにした炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子制御式の炊飯器にあっては、操作部や表示部を有する基板の装備は必須であり、その設置位置は次の2通りに大別される。
1.炊飯器本体に設置されるもの。
2.炊飯器本体に回動自在に設けられた蓋体内に設置されるもの。
このうち、上記2の蓋体内に設置するものにあっては、製品の外径寸法を小さく設計できる長所がある反面、調理物を収容する内鍋の上方に表示部が設置されるため、熱的影響を受けやすく、該基板室内の温度変化が大きく、外気との温度差により表示部に結露が生じやすかった。
これを解決するために、表示部を有する基板を設置する基板室を外気と遮断し、該基板室内に乾燥剤を設置したもの(例えば、特許文献1参照)や、さらに、該基板室からなるべく遠ざかる位置に熱源を配置するようにしたものがあった(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2000−237043号公報(第1頁、図1)
【特許文献2】特開2000−70129号公報(第1頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1に記載の従来の炊飯器で、表示部を有する基板を設置する基板室内を略密閉し乾燥剤を設置したものがあるが、表示部に結露が生じるのを防止するのに決定的なものではなかった。
これは、基板室を完全密閉状態に出来ていないことに起因し、つまり基板室内の温度上昇による内圧上昇を防ぐために外気に連通する連通孔を設けざるを得なかったためで、経時により乾燥剤が飽和状態になり、そうすると乾燥剤が機能を発揮できず表示部に結露が生じることは避けられない現象であった。
また、上記特許文献2に記載の従来の炊飯器で、基板室からなるべく遠ざかる位置に熱源を配置したものも、熱源による影響を完全に受けず、表示部に結露を生じないようにすることは難しいという問題があった。
本発明はかかる課題を解決するためになされたもので、表示部を有する表示基板を設置する基板室に設置した乾燥剤が飽和状態にならないようにして表示部に結露が生じることがないようにした炊飯器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明に係る炊飯器は、炊飯器本体と、該炊飯器本体に回動自在に設けられた蓋体と、該蓋体に設けられた操作パネルと、該操作パネルの下方に設けられ、密閉された基板室と、該基板室内に配設され、操作パネルの操作状態を表示する表示部を有する表示基板とを備えた炊飯器であって、前記基板室内に乾燥剤を配設し、前記基板室に該基板室と外部とを連通させる連通路部材を設け、前記基板室の直下に加熱手段を有する加熱室を設けたものである。
【発明の効果】
【0005】
本発明に係る炊飯器においては、炊飯器本体に回動自在に設けられた蓋体と、該蓋体に設けられている操作パネルの下方に密閉された基板室を設け、基板室内に操作パネルの操作状態を表示する表示部を有する表示基板を配設し、基板室内に乾燥剤を配設し、基板室に該基板室と外部とを連通させる連通路部材を設け、基板室の直下に加熱手段を有する加熱室を設けたので、炊飯時に加熱室の加熱手段が加熱され、その熱が加熱室に伝導され、加熱室の上方にある基板室内に配設された乾燥剤を加熱し、乾燥剤内の水蒸気が乾燥剤外に排出され、その水蒸気は連通路部材を通って外部に排出されるため、経時による乾燥剤の機能低下が生じることもなく、基板室内に残っている水蒸気を基板室内の乾燥剤によって吸収するため、基板室内に配設された表示部に結露を生じさせることはないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1の炊飯器の構成を示す断面図、図2は同炊飯器の要部の構成を示す断面図である。
図1において、炊飯器本体1は内鍋2を備えている。その内鍋2は、外面が磁性体金属で構成された有底筒状の容器で、開口部周縁に形成されたフランジ部が保護枠3の上部に懸架されている。
その保護枠3は、内鍋2を収納するための開口部を有し、上部枠3aと、胴ヒータ4が貼付された側面放熱板5と、コイル台7とにより構成されている。
【0007】
その保護枠3のコイル台7に支持された加熱手段である誘導コイル6は、内鍋2の底部コーナー部に対向するように配設された側部誘導コイル6aと、内鍋2の底部に対向するように配設された底部誘導コイル6bとからなっている。
フェライト8は、誘導コイル6の側部誘導コイル6a及び底部誘導コイル6bを覆うように形成され、コイル台7に取り付けられたフェライト台9によって支持されている。
このフェライト8は、側部誘導コイル6a及び底部誘導コイル6bから発生する磁束が外部に漏れないように設けられたものである。
鍋温度検知手段であるサーミスタからなる底センサ10は、コイル台7の中央部を貫通して取り付けられ、内鍋2の底部に接触し、内鍋2に収容された炊飯物の温度を間接的に検知する。
【0008】
炊飯器本体1の上部を覆う蓋体12は、保護枠3の上部枠3aに一体に成形されたヒンジ部3bに軸13を介して開閉自在に支持されている。その蓋体12の内面下部には蓋放熱板14が取り付けられ、蓋放熱板14の内面には蓋ヒータ15が貼付されている。
また、蓋体12の上部手前側には、各種の操作スイッチを設けた操作パネル16が設けられている。さらに、蓋体12の下面に内蓋17が内蓋係止片18によって着脱自在に取り付けられている。その内蓋係止片18は蓋体12の下部手前側に設けられた係止片保持部材19によって保持されている。
【0009】
また、内蓋17の外周部には、蓋体12が閉じられたときに内鍋2に接して閉塞するパッキン20が配設されている。さらに、内蓋17には、サーミスタからなる蓋温度センサ21が内蓋17を貫通して蓋放熱板14から内鍋2側に突出するように取り付けられ、内鍋2の内部の雰囲気温度を検知するものである。
また、蓋体12の上部後側に、蒸気口カートリッジ22が配設されており、その蒸気口カートリッジ22の内部は蒸気通路23が形成されており、蒸気口カートリッジ22の下部には、炊飯中にカートリッジ内部に溜まったおねばを釜内が常温に戻った際に戻すためのおねば戻し弁24が取り付けられている。
【0010】
操作パネル16の下方には、蓋体12の上部外側と一体の凹状の基板室26が設けられている。基板室26内には表示部取付枠27が配設され、その表示部取付枠27の下部に表示基板28が取り付けられ、表示部取付枠27の上部に予約時刻等の設定情報、お米の種類、炊き上がり状態等の操作状態を表示する表示手段である液晶表示部29が取り付けられている。
さらに、基板室26の底部中央に凹状の乾燥剤収納部26aが設けられ、その乾燥剤収納部26aに乾燥剤30が配設されている。
また、基板室26の側部に、例えばシリコンチューブで形成された連通路部材31が該底部を貫通するように取り付けられている。この連通路部材31によって基板室26内と外部とは連通している。
さらに、基板室26の底部と蓋放熱板14との間に、蓋ヒータ15の外周位置を仕切板32で仕切った加熱室33が設けられている。
【0011】
炊飯器本体1の後部には、制御基板35が配設され、その制御基板35に制御手段(図示省略)を有する制御回路36が設けられている。
その制御手段は、マイコンからなり、予め格納されたプログラムに従って炊飯から保温の各工程を実施する。
【0012】
次に、本発明の実施の形態1の炊飯器の動作について説明する。
炊飯時には、内鍋2を誘導加熱コイル6により電磁誘導加熱して、底センサ10及び蓋温度センサ21の検出温度と、時間管理とに基づいて、内鍋2への加熱量を調節する。
具体的には、炊飯時には内鍋2に入れた被炊飯物たる米と水を加熱し、内鍋2の温度を検出する底センサ10が所定の炊きあげ温度(120℃)に達したら、炊飯加熱を停止して蒸らしに移行し、この蒸らしを15分継続して、内鍋2内のご飯を炊く構成となっている。
また、炊飯加熱に引き続き保温加熱が行われる。この保温加熱は、内鍋2を誘導加熱コイル6により電磁誘導加熱して、底センサ10及び蓋温度センサ21の検出温度と、時間管理とに基づいて、内鍋2への加熱量を調節し、鍋温度検知手段10で検出される内鍋2の温度を60℃から80℃に保持するものである。
このとき、蓋温度センサ21の検出温度に基づき、蓋体12の内面の温度を内鍋2内のご飯の温度に対してやや高めに保持するようになっている。
【0013】
この実施の形態1では、蓋ヒータ15を有する蓋放熱板14と基板室26の底部との間に、蓋ヒータ15の外周位置を仕切板32で仕切った加熱室33が設けられているので、炊飯時には誘導加熱コイル6だけでなく、蓋ヒータ15も加熱され、蓋ヒータ15の熱が加熱室33にも伝導され、加熱室33の上方にある基板室26の凹部26a内の乾燥剤30を加熱し、乾燥剤30の内部で吸湿している水蒸気が乾燥剤30の外に排出され、さらに外に排出された蒸気は連通路部材31を通って外部に排出されるため、経時による乾燥剤30の機能低下が生じることもなく、基板室内26に残っている水蒸気量を基板室26の乾燥剤収納部26aに配置した乾燥剤30によって吸収するため、基板室26内に配設された液晶表示部29に結露を生じさせることはない。
【0014】
また、蓋ヒータ15の上方にある基板室26も加熱室33を介して加熱されるため、基板室26内の温度が上昇し、それに伴い密閉状態の基板室26の内圧も上昇するが、基板室26と外部とを連通する連通路部材31によって内圧が上昇した空気は外部に排出されるため、基板室26の内圧の上昇は抑制される。
なお、以上の説明は、炊飯時には誘導加熱コイル6だけでなく、蓋ヒータ15も加熱される場合についてであるが、炊飯時以外に蓋ヒータ15のオン・オフする専用のスイッチを設けておき、必要に応じてスイッチをオンして蓋ヒータ15を加熱して乾燥剤30の内部に吸湿している水蒸気を乾燥剤30の外に排出させ、経時による乾燥剤30の機能低下を防止するようにしてもよい。
【0015】
実施の形態2.
図3は本発明の実施の形態2の炊飯器の要部の構成を示す断面図である。
この実施の形態2において、実施の形態1と同一の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略する。
この実施の形態2では、基板室26の底部に板で仕切った乾燥剤収納部26bを設け、加熱室33内で基板室26の底面に実施の形態1の蓋ヒータ15とは別に、加熱室加熱用ヒータ34を設けたものである。
炊飯時には、蓋ヒータ15だけでなく、加熱室加熱用ヒータ34も加熱され、加熱室加熱用ヒータ34の直上にある乾燥剤収納部26b内の乾燥剤30を加熱するので、実施の形態1に比べてより強く、効率よく加熱することができる。
また、この実施の形態2の場合、蓋ヒータ15と加熱室加熱用ヒータ34をオン・オフする専用のスイッチを設けておき、必要に応じてスイッチをオンして蓋ヒータ15と加熱室加熱用ヒータ34を加熱して乾燥剤30の内部に吸湿している水蒸気を乾燥剤30の外に排出させ、経時による乾燥剤30の機能低下を防止するようにしてもよい。
【0016】
実施の形態3.
図4は本発明の実施の形態3の炊飯器の要部の構成を示す断面図である。
この実施の形態3において、実施の形態1と同一の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略する。
この実施の形態3は、実施の形態1の変型例ともいうべきもので、加熱室33内に蓋ヒータ15の熱を加熱室33内で基板室26の底面に効率よく伝導させる断面コ字状で、銅又はアルミで形成された伝熱金属板35を設けたものである。
その断面コ字状の伝熱金属板35の一端側は蓋ヒータ15に接触し、他端側は加熱室33内で基板室26の底面に接触させられている。
上記実施の形態1が蓋ヒータ15の熱が加熱室33内の空気を介して基板室26の底面に設けられている乾燥剤収納部26b内の乾燥剤30を加熱するのに対し、この実施の形態3は、蓋ヒータ15の熱が加熱室33内に設けられ、一端側は蓋ヒータ15に接触し、他端側は加熱室33内で基板室26の底面に接触させられている伝熱金属板35を介して基板室26の底面に設けられている乾燥剤収納部26b内の乾燥剤30を加熱するので、実施の形態1に比べてより強く、効率よく加熱することができる。
この実施の形態3も、実施の形態1と同様に、炊飯時以外に蓋ヒータ15のオン・オフする専用のスイッチを設けておき、必要に応じてスイッチをオンして蓋ヒータ15を加熱して乾燥剤30の内部に吸湿している水蒸気を乾燥剤30の外に排出させ、経時による乾燥剤30の機能低下を防止するようにしてもよい。
【0017】
実施の形態4.
図5は本発明の実施の形態4の炊飯器の要部の構成を示す断面図である。
この実施の形態4において、実施の形態1と同一の構成は同一符号を付して重複した構成の説明を省略する。
この実施の形態4は、基板室26の底部に板で仕切った乾燥剤収納部26bを設け、加熱室33内で基板室26の底面に実施の形態1の蓋ヒータ15の代わりに、加熱室用誘導加熱コイル36を設けたものである。
さらに、基板室26の底部と仕切板32の上端との間に磁性金属板37を設けている。
【0018】
炊飯時には、加熱室用誘導加熱コイル36に高周波電流が流されると、加熱室用誘導加熱コイル36の誘導加熱により、基板室26の底部と仕切板32の上端との間に設けられている磁性金属板37に渦電流が流れ、磁性金属板37が加熱され、磁性金属板37の直上にある乾燥剤収納部26b内の乾燥剤30を加熱するので、実施の形態1の蓋ヒータ15に比べてより強く、効率よく加熱することができる。
また、この実施の形態4の場合、加熱室用誘導加熱コイル36だけをオン・オフする専用のスイッチを設けておき、必要に応じてスイッチをオンして誘導加熱コイル36に高周波電流を流し、磁性金属板37を加熱して乾燥剤30の内部に吸湿している水蒸気を乾燥剤30の外に排出させ、経時による乾燥剤30の機能低下を防止するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1の炊飯器の構成を示す断面図。
【図2】同炊飯器の要部の構成を示す断面図。
【図3】本発明の実施の形態2の炊飯器の要部の構成を示す断面図。
【図4】本発明の実施の形態3の炊飯器の要部の構成を示す断面図。
【図5】本発明の実施の形態4の炊飯器の要部の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 炊飯器本体、2 内鍋、6 誘導コイル(加熱手段)、10 底センサ、12 蓋体、15 蓋ヒータ、16 操作パネル、17 内蓋、21 蓋温度センサ、26 基板室、27 表示部取付枠、28 表示基板、29 液晶表示部、29a 凹部、30 乾燥剤、31 連通路部材、32仕切板、33 加熱室、35 制御基板、36 制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体と、該炊飯器本体に回動自在に設けられた蓋体と、該蓋体に設けられた操作パネルと、該操作パネルの下方に設けられ、密閉された基板室と、該基板室内に配設され、操作パネルの操作状態を表示する表示部を有する表示基板とを備えた炊飯器であって、
前記基板室内に乾燥剤を配設し、
前記基板室に該基板室と外部とを連通させる連通路部材を設け、
前記基板室の直下に加熱手段を有する加熱室を設けたことを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
前記加熱室の加熱手段は、蓋ヒータであることを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
前記加熱室の加熱手段は、蓋ヒータと前記基板室の直下位置に設けられた加熱室加熱用ヒータであることを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項4】
前記加熱室の加熱手段は、蓋ヒータと、該蓋ヒータの熱を前記基板室の直下に伝熱する伝熱金属板であることを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項5】
前記加熱室の加熱手段は、前記加熱室の下部に設けられた誘導加熱コイルと、前記基板室の底部で前記加熱室に臨むように設けられ、該加熱室用誘導加熱コイルの誘導加熱により加熱される磁性金属板であることを特徴とする請求項1記載の炊飯器。
【請求項6】
前記炊飯器本体に前記加熱室の加熱手段に流す電流をオン・オフするスイッチを設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の炊飯器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2010−75484(P2010−75484A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247804(P2008−247804)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(000176866)三菱電機ホーム機器株式会社 (1,201)
【Fターム(参考)】