説明

炎症の治療に有用なピラゾール化合物

からXが記載した意味を有する式(I)の化合物、及びその薬学的に許容可能な塩を提供するものであり、該化合物は、リポキシゲナーゼ(例えば15-リポキシゲナーゼ)の活性阻害が所望される及び/又は必要とされる疾患の治療、特に炎症を治療するのに有用である。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
(発明の分野)
本発明は新規な薬学的に有用な化合物に関する。本発明は更に、15-リポキシゲナーゼの活性の抑制に、したがって炎症性疾患及び広く炎症の治療に有用である化合物に関する。本発明はまた、該化合物の医薬としての使用に、それらを含んでなる医薬品組成物に、及びそれらの製造のための合成ルートに関する。
【0002】
(発明の背景)
その性質が炎症性である多くの疾患/障害がある。炎症症状の現存する治療に伴う主要な問題の一つは効能の欠落及び/又は副作用(実際の又はそのように感じられるもの)の発生である。
喘息は、先進工業国の成人人口の6%〜8%で発症している慢性炎症性疾患である。子供において、発生率はさらに高く、ほとんどの国では10%に近い。喘息は、15才未満の子供の入院原因の最も一般的なものである。
喘息の治療法は症状の重篤度に基づく。軽度の症例では治療しないか、又はβ-アゴニストの吸入によって治療されるだけである。さらに重症の喘息を患っている患者は、通常は定期的に抗炎症性化合物で治療される。
【0003】
現在の維持療法(主としてコルチコステロイド類の吸入)には、少なくともある程度のリスクがあると思われるため、治療不十分な喘息がかなりある。これらには、子供の成長遅延及び骨塩量の損失という危険性が含まれ、結果として不要な罹患及び死亡に帰する。ステロイド類の代替として、ロイコトリエンレセプターアンタゴニスト(LTRas)が開発されている。これらの薬剤は経口的に投与され得るが、吸入されるステロイド類に比べてかなり効果が少なく、通常、気道炎症を満足に抑制できない。
この要因の組合せにより、全ての喘息患者の少なくとも50%が不十分な治療しか受けられない事態に至っている。
【0004】
同様のパターンの治療不十分がアレルギー疾患に関して存在し、多くの一般的症状を治療する薬剤は利用できるが、明らかな副作用のために十分には使用されていない。鼻炎、結膜炎及び皮膚炎はアレルギー要素を有し得るが、根本のアレルギーがない場合でも生じるおそれがある。実際、このクラスの非アレルギー症状は、多くの場合、治療がより困難である。
【0005】
慢性閉塞性肺疾患(COPD)は、世界の人口の6%〜8%が罹患しているありふれた疾患である。該疾患は致死的となり得るおそれがあり、この病気の罹患率及び死亡率はかなりのものである。現在、COPDの経過を変えることができる薬物治療法は知られていない。
【0006】
挙げることのできる他の炎症性疾患には:
(a)肺線維症(これはCOPDほど一般的ではないが、非常に悪い予後を伴う重篤な疾患である。治療法は存在しない)、
(b)炎症性大腸炎(高罹患率を有する疾患の群。今日、このような疾患には、対症療法だけが利用できる)、及び
(c)関節リウマチ及び骨関節炎(関節のありふれた無能化炎症性疾患。現在、このような症状の管理に利用できる治癒的治療法はなく、中程度に効果的な対症療法だけが利用できる)、
が含まれる。
【0007】
また、炎症は痛みの一般的な原因である。炎症性疼痛は多くの理由、例えば感染、手術又は他の外傷により生じるおそれがある。さらに、いくつかの悪性腫瘍は、患者の総体的症状に加えて炎症要素を有することが知られている。
よって、新規及び/又は代替となる抗炎症治療法が、上述した患者群の全てにおいて有益となる。特に、実際の又は知覚される副作用を有さない、喘息等の炎症性疾患を治療できる有効な抗炎症剤に対して、真のかつ実質的に満たされていない臨床的必要性がある。
【0008】
哺乳類のリポキシゲナーゼは、アラキドン酸の酸素化を触媒する構造的に関連した酵素のファミリーである。3種類のヒトリポキシゲナーゼが知られており、これらは炭素位置5、12及び15での、アラキドン酸への分子酸素の挿入を触媒する。よって、その酵素は、それぞれ5-、12-及び15-リポキシゲナーゼと命名されている。
リポキシゲナーゼの作用後に形成されるアラキドン酸代謝産物は、炎症誘発効果を含む顕著な病態生理学的活性を有することが知られている。
例えば、アラキドン酸に対する5-リポキシゲナーゼ作用の主要産物は、多様な生理学的及び病態生理学的に重要な代謝産物に多数の酵素によりさらに転換される。これらの最も重要なものであるロイコトリエン類は強力な気管支収縮剤である。これらの代謝産物の作用、並びにそれらを形成する生物学的プロセスを阻害する薬剤を開発するために、多大な努力がなされている。このために開発された薬剤には、5-リポキシゲナーゼインヒビター、FLAP(5つのリポキシゲナーゼ活性化タンパク質)のインヒビター、及び上述したようなロイコトリエンレセプターアンタゴニスト(LTRas)が含まれる。
【0009】
アラキドン酸を代謝する他のクラスの酵素はシクロオキシゲナーゼ類である。このプロセスにより生成されるアラキドン酸代謝産物には、プロスタグランジン類、トロンボキサン類、及びプロスタサイクリンが含まれ、それらの全ては生理学的又は病態生理学的活性を有する。特に、プロスタグランジンPGEは、熱及び痛みを誘発する強力な炎症誘発媒介物である。従って、「NSAIDs」(非ステロイド性抗炎症剤)及び「コキシブ(coxibs)」(選択的シクロオキシゲナーゼ-2インヒビター)を含む、PGEの形成を阻害する多くの薬剤が開発されている。これらのクラスの化合物は、主として一又は複数のシクロオキシゲナーゼの阻害を介して作用する。
よって、一般的に、アラキドン酸代謝産物の形成をブロック可能な薬剤は、炎症の治療に有用であると思われる。
【0010】
(従来技術)
国際公開第 2004/080999号は、炎症の治療に使用するさまざまな1(N)-置換-アミドピラゾールを開示し、そのうちのいくつかは1(N)-未置換-アミドピラゾール中間体を介して合成される。従って、この公報には1(N)-未置換-アミドピラゾール類が炎症の治療に関する如何なる使用の開示又は示唆がない。
国際公開第2006/032852号は、炎症の治療に使用するための、少なくとも1つの置換基又はピラゾール環を有するさまざまな1(N)-置換-アミドピラゾール類を開示する。しかしながら、ピラゾール環の4-及び5-位において置換されない、対応する1(N)-未置換-アミドピラゾール類の開示又は示唆がない。
国際公開第2006/032851号は、アミド基が二環式の複素環基によって置換される炎症の治療に使用するための、さまざまな3-アミドピラゾールを開示する。しかしながら、アミド基が単環式の芳香族基によって置換される、対応する3-アミドピラゾールの開示又は示唆がない。
特願2002-241273はFXR転写活性を抑制することによって、高脂血症の治療に使用するための化合物を開示する。該化合物の炎症の治療における使用は示唆されていない。
【0011】
ピラゾールを主成分とする化合物はいくつかの刊行物において開示されている。例えば、国際公開第2003/016304号は無脊椎動物のペストの抑制に使用するためのピラゾール類を含むさまざまな複素環を開示する;国際公開第01/57024号は、電位依存的なナトリウムチャネルの封鎖に有用なさまざまなピラゾール類を開示する;国際公開第03/020217号及び国際公開第01/58869号及び米国特許第2004/0192667号は、ピラゾール類を含むさまざまな窒素を含有するヘテロ環を開示し、それらはカンナビノイド受容体モジュレータとして有用である;国際公開第99/20294号は、嚢胞性線維症の治療に有用なピラゾール類を開示する;国際公開第 2005/007625号は、ピラゾール類を含む抗結核化合物を開示する;米国特許第2003/0091116号及び国際公開第01/19798号、国際公開第99/32454号及び国際公開第2004/055815号は、なかでも、Xa因子阻害剤として有用であり得るピラゾール類を開示する;及び国際公開第01/21160号は、ピラゾール類を含む抗ウイルス性化合物を開示する。1(N)未置換-3-アミドピラゾールの炎症治療のため及び/又はリポキシゲナーゼの阻害剤としての使用はこれらの書類の何れにも開示されていない。
【0012】
国際公開第2005/016877号は、11β-水酸化ステロイド脱水素酵素-1の抑制に有用であり得る(したがって、なかでも糖尿病の治療に有用である)5-置換ピラゾール類を開示する。この公報には、芳香族アミド基で3-位を置換されたピラゾール類の具体的な開示がない。
Vertuaniら, Journal of Pharmaceutical Sciences, Vol.74, No.9 (1985)には、抗炎症及びアレルギー活性を有する種々の3メチル-N-フェニル-1H-ピラゾール-5-イルカルボキシアミド類が開示されている。しかしながら、ピラゾール環に更なる置換基を含まない1(N)-未置換-3-アミドピラゾール類については何ら記載も示唆もない。
国際公開第03/037274号と米国特許出願公開第2005/0049237には、ナトリウムチャンネルをブロックすることによりその機序が機能する、炎症性疼痛を治療するのに有用であり得る種々のピラゾール類が開示されている。この公報は第一に1(N)-置換ピラゾール類に、また4-位でアミノ基によって置換されたピラゾール類に関係する。
国際公開第03/068767号も、とりわけカリウムイオンチャネルを開くことによって炎症性疼痛を治療することに有用であり得るピラゾール含有化合物に関する。しかしながら、この公報は特にピリミジニルアミド化合物に関する。
【0013】
国際公開第97/19062号は、皮膚関連疾患の治療のためのさまざまなピラゾール類を開示し、更にさまざまな炎症性疾患の治療における該化合物の使用に言及する。しかしながら、この公報は、ハロ又はトリフルオロメチル基を有するピラゾール環の4-及び/又は5-位が置換された3-アミドピラゾールについて言及又は示唆していない。
国際公開第2004/096795号は、タンパク質チロシンキナーゼの阻害剤として、ピラゾールを含むさまざまなヘテロ環を開示し、国際公開第01/55115号はカスパーゼのアクティベーター及びアポトーシスのインデューサーとして有用であり得るさまざまな芳香族アミドを開示する。したがって、これらの公報において開示される化合物は、なかでも、癌の治療に有効であり得る。これらの公報のどちらにもリポキシゲナーゼの阻害剤として該化合物の使用の開示又は示唆がない。
【0014】
最後に、国際出願第99/25695号は、シクロオキシゲナーゼ抑制によって炎症性疼痛の治療に有用であり得る1(N)-置換-5-アリールピラゾール化合物に関する。この公報の1(N)-未置換-3-アミドピラゾール類は炎症を治療すること及び/又はリポキシゲナーゼのインヒビターとして有用であることの開示がない。
【0015】
(発明の開示)
本発明は、式I:

[上式中、
はハロ、-CN、-NO、-R又は-ORを表す、
からXは独立にH、ハロ、-CN、-NO、-R又は-ORを表し、ここでX又はX4の少なくとも1つがH以外である、
は上に記載したどの場合においても、H又はRを表す、及び
は上に記載したどの場合においても、任意にF,Cl、-OCH、-OCHCH、-OCHF又は-OCFから選択される1以上の置換基で置換されるC1-6アルキルを表す
化合物又はその薬学的に許容可能な塩であって、但しXはHを表す時、
(a) Xは-CNを表しX及びXは共にHを表す場合、XはClを表さない、
(b) XはClを表しX及びXは共にHを表す場合, XはFを表さない、
(c) XはFを表しX及びXは共にHを表す場合、Xは-CFを表さない、
(d) XはBrを表しX及びXは共にHを表す場合、Xは-OCFを表さない、
(e) Xは-OHを表しXはHを表し及びXはt-Buを表す場合、Xは-OHを表さない、及び
(f) Xは-CHを表しX及びXは共にHを表す場合、Xは-CHを表さない化合物を提供し、この化合物及びその塩を以下で「本発明の化合物」と称する。
【0016】
薬学的に許容可能な塩には、酸付加塩及び塩基付加塩が含まれる。そのような塩は従来からの手段、例えば、場合によっては溶媒、又は塩が不溶性である媒体中において、本発明の化合物の遊離酸又は遊離塩基形態のものを、適切な酸又は塩基の一又は複数の等価物と反応させ、続いて標準的な技術(例えば真空中、凍結乾燥又は濾過)を使用して、前記溶媒又は前記媒体を除去することによって生成され得る。また塩は、塩の形態の本発明の化合物の対イオンを、例えば適切なイオン交換樹脂を使用して、他の対イオンと交換することによって調製することができる。
【0017】
本発明の化合物は二重結合を含んでいてもよく、よって各個々の二重結合についてE(entgegen 反対側)及びZ(zusammen 同じ側)幾何異性体として存在しうる。全てのそのような異性体とその混合物が本発明の範囲に含まれる。
また本発明の化合物はまた互変異性を示しうる。全ての互変異性形態とその混合物が本発明の範囲に含まれる。
【0018】
本発明の化合物はまた一又は複数の不斉炭素原子を含んでいてもよく、従って光学的及び/又はジアステレオ異性を示しうる。ジアステレオ異性体は、従来からの技術、例えばクロマトグラフィー又は分別晶出を使用して分離することができる。様々な立体異性体は、例えば分別晶出又はHPLCのような従来からの技術を使用して化合物のラセミ又は他の混合物の分離によって単離することができる。あるいは、所望の光学異性体は、ラセミ化又はエピマー化を引き起こさない条件で適切な光学的に活性な出発材料を反応させ(すなわち「キラルプール」法)、続いて適切な段階で除去可能な「キラル補助基」と適切な出発材料とを反応させ、例えばホモキラル酸で誘導体化させ(すなわち、動力学的分割を含む分割)、その後に従来からの手段、例えばクロマトグラフィーにより、もしくは当業者に知られている全ての条件下で、適切なキラル試薬又はキラル触媒と反応させることによりジアステレオ異性誘導体を分離させることにより作製され得る。全ての立体異性体とその混合物が本発明の範囲に含まれる。
【0019】
他に特定されない限り、ここで定義されるC1-qアルキル(ここで、qは範囲の上限である)は直鎖状鎖であり得、あるいは炭素原子の数が十分な場合(すなわち、最小3)は分枝状鎖、及び/又は環状(そのようにして、アルキルの場合、C3-qシクロアルキル基を形成)であり得る。さらに、十分な数(すなわち、最小4)の炭素原子が存在する場合、このような基は部分的に環状であってよい。さらに、他の状態に特定しない限り、このようなアルキル基は飽和であるか、又は十分な数の炭素原子(すなわち、最小2)の炭素原子が存在する場合は他の状態に特定しない限り、不飽和(例えば、C2-qアルケニル、又はC2-qアルキニル基を形成)であってよい。
【0020】
「ハロ」という用語は、ここで使用される場合は、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードを含む。
疑念を避けるために、式Iの化合物における2以上の置換基の同一性が同じでありうる場合には、各置換基の実際の同一性は、何らの方法においても互いに依存しない。例えば、XとXが共にRであって、RがC1-6アルキル基である状況で、それぞれのアルキル基は、同じでも異なってもよい。
【0021】
挙げることのできる本発明の化合物は:
及び/又Xは-ORを表す場合、RはRを表し、及び
はRを表す場合、特にX又は/及びXはOHを表し及び/又はXはHを表す時、Rは任意に1つ以上のF、Cl、-OCH、-OCHCH、-OCHF及び-OCFから選択される置換基によって置換されるC1-3アルキル又はC5-6アルキルを表すものを含む。
挙げることのできる更なる本発明の化合物は、
及び/又はRは独立に任意に1つ以上のF、-OCH、-OCHCH、-OCHF及び-OCFから選択される置換基で置換されるC1-6アルキル(例えば、C1-4アルキル)を表すものを含む。
【0022】
好ましい本発明の化合物は、
からXは独立にI又は、好ましくは-R、-OR 又は、より好ましくはH、F、Cl又はBrを表すものを含む。
好ましい本発明の化合物は、
は-CN、-OR又は、より好ましくはBr、Cl、F又はRを表し、
はF、Cl又は、好ましくはHを表し、
はBr、I又は、好ましくはH、Cl、F、R1、又は−ORを表し、
はCl,F,R又はより好ましくはHを表し、
及びRは独立にH又は、好ましくは、任意に1つ以上のF置換基で置換される(それによって、例えば、トリフルオロメチル基が形成される)C1-2アルキル(例えば、メチル))を表し、
及びRは独立にH又は、好ましくは、メチル、エチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル又は1,1,1-トリフルオロエチルを表し、
はHを表すものを含む。
特に好ましい本発明の化合物は、後の実施例に記載されるものを含む。
本発明の化合物は、例えば後に記載した当業者が知っている技術に従って作られてもよい。
【0023】
本発明の更なる態様によれば、以下のものを含む式Iの化合物を調製する方法が提供される。
(i) ピラゾール-3-カルボン酸、又はそのN-保護及び/又はO-保護された誘導体を、式II:

[上式中、XからXは先に記載した通りである]
の化合物と、カップリング状況下で、例えば室温周辺かそれより上で(例えば、最高40〜180℃)、任意に適切な塩基(例えば、水素化ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ピロリジノピリジン、ピリジン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリメチルアミン、ジメチルアミノピリジン、ジイソプロピルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ-7-エン、水酸化ナトリウム、N-エチルジイソプロピルアミン、N-(メチルポリスチレン)-4-(メチルアミノ)ピリジン、ブチルリチウム(例えば、n-、s-又はt-ブチルリチウム)又は、それらの混合物)、適当な溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ピリジン、トルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、水又はトリエチルアミン)、及び適切なカップリング剤(例えば、1,1'-カルボニルジイミダゾール、N,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(又はその塩酸塩)、炭酸N,N'-ジスクシニミジル、ヘキサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム、ヘクサフルオロリン酸2-(1H-ベンゾトリアゾ-ル-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム、ヘクサフルオロリン酸ベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリスピロリジノフォスフォニウム(yloxytrispyrrolidinophosphonium)、ヘキサフルオロリン酸ブロモトリスピロリジノフォスフォニウム、テトラフルオロ炭酸2-(1H-ベンゾトリアゾ-ル-1-イル)-1,1,3,3-テトラメチルウロニウム、1-シクロヘキシルカるボジイミド-3-プロピルオキシメチルポリスチレン、ヘキサフルオロリン酸O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウム又はテトラフルオロホウ酸O-ベンゾトリアゾール-1-イル-N,N,N',N'-テトラメチルウロニウムの存在下で反応させる。あるいは、ピラゾール-3-カルボン酸の化合物は、任意に適切な溶媒(例えば、ジクロロメタン、THF、トルエン又はベンゼン)及び適切な触媒(例えばDMF)の存在下で、はじめに適切な試薬(例えば塩化オキサリル、塩化チオニル等)で処理することによって活性化しても良い。この活性化中間体は、その後上に記載したような標準的条件下で、式IIの化合物で再反応させてもよい。当業者であれば、式IIの化合物の性質が液体である場合、この反応の反応体及び溶媒の双方として提供され得ることは理解しているであろう。この工程を実行する代替方式は、例えば不活性雰囲気で及び適切な溶媒(例えばジクロロメタン)の存在下で、ピラゾール-3-カルボン酸の化合物O-保護誘導体(例えばエチルエステル)を式IIの化合物と反応させることを含み、後者の化合物はまず適切な試薬(例えば、トリメチルアルミニウム)で処理されてもよい。
【0024】
(ii) ピラゾール又はそのN-保護された誘導体を、例えばカリウムビス(トリメチルシリル)アミド、ナトリウムビス(トリメチルシリル)アミド、水素化ナトリウム、カリウム-tert-ブトキシド、又は有機リチウム塩基、例えばn-BuLi、s-BuLi、t-BuLi、リチウムジイソプロピルアミド、又はリチウム-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(有機リチウム塩基は、添加剤(例えばリチウム配位剤(co-ordinating agent)、例えばエーテル(特にジメトキシエタン)又はアミン(例えばテトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)、(-)スパルテイン又は1,3-ジメチル-3,4,5,6-テトラヒドロ-2(1H)-ピリミジノン(DMPU)等)の存在下であってもよい)とを反応させ、続いて式III:

[上式中、XからXは先に記載された通りである]
と反応させ、続いて適切なプロトン供給源(例えば、水又飽和NHCl水溶液)で反応停止させる。当業者はピラゾールは、ピラゾール環系の窒素原子が、好ましくは配向性メタル化基(directing metallation group)(例えばベンゼンスルホニル基)である保護基を用いて保護される必要があり得ることは理解する。反応は、適切な溶媒、例えば極性非プロトン性溶媒(特にテトラヒドロフラン又はジエチルエーテル)の存在下、周囲温度以下(sub-ambient temperatures)(例えば0℃〜−78℃)で、不活性雰囲気下にて実施し、続いて(適切であるならば)、標準的な条件(例えば、ベンゼンスルホニル基が使用される場合、加水分解により)、N-保護基の脱保護がなされてよい。さらには、当業者はアミノ基がピラゾール窒素原子の一つに導入され、従って2つの代替の位置があることを理解する。
【0025】
(iii)ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオンを、例えば上の製造工程(i)に関して先に記載したようなカップリング条件下で先に記載した式IIの化合物と反応させる。好ましい条件には、カップリング試薬なしで、塩基、溶媒の存在下での反応が含まれる。この場合、式IIの化合物は過度に使用してもよい、又は
(iv)ピラゾール-3-カルボキシアミド又はそのN-保護(例えば、ピラゾール窒素において)された誘導体を、式IV:

[上式中、Lはハロ(例えば、クロロ、ブロモ及びヨード)、-OSOCF、 -B(OH)、-Sn(R) (ここで、何れのRも独立にC1-6アルキル(例えば、メチル又はブチル)を表す)、-Pb(OC(O)CH)、-Bi(W)、-Bi(W)(OC(O)CH)、-Bi(W)(OC(O)CF)又は-I(W)(BF)(Wは任意に置換されるアリール又はヘテロアリール基を表し、及び、好ましくは、Wは先に記載した通りの式Iの化合物のフェニル環を表し、XからXは先に記載した通りである]
の化合物と、好ましくはPd又はCuを含む触媒の存在下で、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸カリウム、カリウムtert-ブトキシド及びリチウムN,N-ジイソプロピルアミドのような塩基の存在下で反応させる。挙げることのできる触媒は Pd(dba)トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)を含み、挙げることのできる塩基は炭酸セシウムを含み、挙げることの出来るリガンドは2,2'-ビス (ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチルを含み、及び挙げることのできる溶媒はトルエンを含む。このような反応は不活性(例えばアルゴン)雰囲気下、高い温度(例えば、約90℃で)実施してもよい。]
【0026】
ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオンは、ピラゾール-3-カルボン酸から、二量化条件下、例えば塩化チオニルの存在下(任意に、製造工程(i)に関して先に記載したような、適切な溶媒及び触媒の存在下)で調製されてよい。他の二量化試薬には、任意に適切な塩基(例えば、任意に4-ジメチルアミノピリジン)の存在下で、塩化オキサリル、カルボジイミド類、例えば1,3-ジシクロヘキシルカルボジイミド又は1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド(EDCI、又はその塩酸塩)が含まれる。
【0027】
ピラゾール-3-カルボン酸、ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン、ピラゾール-3-カルボキシアミド及び式II、IIIおよびIVの化合物は商業的に入手可能であり、文献においても公知で、又は適切な試薬と反応条件を使用し、入手可能な出発物質から標準的な技術に従い、従来からの合成手順により、もしくはここに記載した方法に類似したようにして得てもよい。この点において、当業者は、とりわけ「Comprehensive Organic Synthesis」, B. M.Trost及びI. Fleming, Pergamon Press, 1991を参照してよい。
【0028】
先に記載した置換基XからXは、当業者によく知られている方法により、式Iの化合物の調製のために上述した方法後又はその間に、一回以上修飾されてもよい。このような方法の具体例には、置換、還元、酸化、アルキル化、アシル化、加水分解、エステル化、及びエーテル化が含まれる。前駆体基は、異なるこのような基に、又は式Iに記載した基に、反応列の間の任意の時間で変化させることができる。XからXはハロゲン基を表す場合において、このようなハコゲン基は、式Iの化合物の調製のために先に記載した方法後又はその間に、一回以上相互転換されてもよい。適切な試薬には、NiCl(クロロ基への転換用)が含まれる。当業者は、「Comprehensive Organic Functional Group Transformations」, A. R. Katritzky, O. Meth-Cohn及びC. W. Rees, Pergamon Press, 1995を参照してもよい。
【0029】
挙げてもよい他の変換反応は、ハロ基(好ましくは、ヨード又はブロモ)をシアノ又は1-アルキニル基(例えば、シアノアニオン類(例えばナトリウム、カリウム、銅(I)又は亜鉛のシアン化物)の供給源である化合物と、又は適切であるならば1-アルキンと反応させることによって)へ転換することを含む。後者の反応は、適切なカップリング触媒(例えばパラジウム及び/又は銅をベースにした触媒)及び適切な塩基(例えばトリ-(C1-6アルキル)アミン、例えばトリエチルアミン、トリブチルアミン又はエチルジイソプロピルアミン)の存在下で実施してもよい。さらに、アミノ基及び水酸基を当業者が知っている試薬を使用して標準条件に従って導入されてよい。
本発明の化合物は従来からの技術を使用して、それらの反応混合物から単離されてよい。
【0030】
当業者であれば、上述及び以下に記載する製造工程において、中間化合物の官能基が、保護基により保護される必要があり得ると理解しているであろう。例えばピラゾール窒素は、保護される必要があり得る。適切な窒素保護基には:
(i)カルバマート基(例えば、アルコキシ-又はアリールオキシ-カルボニル基)、
(ii)アミド基(例えばアセチル基)、
(iii)N-アルキル基(例えば、ベンジル又はSEM(例えば、-CHOCSi(CH)基)基)、
(iv)N-スルホニル基(例えば、N-アリールスルホニル基)、
(v)N-ホスフィニル及びN-ホスホリル基(例えば、ジアリールホスフィニル及びジアリールホスホリル基)、又は
(vi)N-シリル基(例えばN-トリメチルシリル基)、
を形成するものが含まれる。
【0031】
ピラゾール窒素のためのさらなる保護基にはメチル基が含まれ、メチル基は、例えば高温でピリジン塩酸塩を使用する、例えば200℃の密封容器にマイクロ波照射を使用する等の、標準的な条件下で脱保護されてよい。
官能基の保護及び脱保護は、上述したスキームにおいて、反応の前後に実施してよい。
保護基は当業者によく知られた以下に記載するような技術に従って取り除くことができる。例えば、ここで記載した保護化合物/中間体は標準的な脱保護技術を使用して非保護化合物に化学的に転換されてよい。
関連する化学のタイプにより、保護基の必要性、種類並びに合成を達成するためのシーケンスが決定されるであろう。
保護基の使用は、「Protective Groups in Organic Chemistry」, J W F McOmie編, Plenum Press(1973)、及び「Protective Groups in Organic Synthesis」, 3版, T.W. Greene及びP.G.M. Wutz, Wiley-Interscience(1999)に十分に記載されている。
【0032】
医療及び薬学的用途
本発明の化合物とその塩は、薬理活性を有するので有用である。そのため、当該化合物/塩は医薬として有効である。本発明のさらなる態様は、薬剤として及び/又は単離された(すなわちエクスビボ)形態で使用するための、本発明の更なる態様によれば、薬学的及び/又は但し書き(a)から(d)及び(f)を含まず先に記載した式Iの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩を提供する。
【0033】
本発明の化合物は薬学的活性を有しているけれども、このような活性を有していないが、非経口的に又は経口的に投与された後、体内で代謝されて本発明の化合物を形成し得る、本発明の化合物のある種の薬学的に許容可能な(例えば「保護された」)誘導体も存在し得、又は調製され得る。(このような活性が、代謝された「活性」化合物の活性よりもかなり低いという条件で、ある薬学的活性を持ちうる)そのような化合物は、従って本発明の化合物の「プロドラッグ」として記述されうる。本発明の化合物の全てのプロドラッグは、本発明の範疇に含まれる。
「本発明の化合物のプロドラッグ」に、我々は、経口又は非経口投与後に、予め定めた時間(例えば、約1時間)内に実験的に検出可能な量で本発明の化合物を形成する化合物を含める。
【0034】
本発明の化合物は、それらが、例えば以下に記載の試験に示されるように、リポキシゲナーゼ(特に15-リポキシゲナーゼ)の活性を阻害し得る、すなわち、それらが、15-リポキシゲナーゼ、又は15-リポキシゲナーゼ酵素が一部を形成する複合体の作用を防止するか、及び/又は15-リポキシゲナーゼ調節効果を引き出すために有用である。よって、本発明の化合物は、リポキシゲナーゼ、特に15-リポキシゲナーゼの阻害が必要とされる症状の治療に有用である。
しかして、本発明の化合物とその塩は、薬理活性を有するので有用である。そのため、当該化合物/塩は医薬として有効である。
本発明の化合物は、炎症の治療に有用であることが期待される。
【0035】
「炎症」という用語は、先に記載したような身体外傷、感染、慢性疾患によって誘発されうる局所的又は全身性保護反応、及び/又は外部刺激に対する化学的及び/又は生理学的反応(例えばアレルギー反応の一部として)によって特徴付けられる任意の症状を含むと当業者に理解される。有害な薬剤と傷ついた組織の双方を破壊、希釈又は隔離する作用をするあらゆるそのような応答は、例えば発熱、腫れ、痛み、発赤、血管拡張及び/又は血流増加、白血球の罹患領域への侵入、機能喪失及び/又は炎症症状に伴うことが知られている任意の他の徴候に顕れうる。
【0036】
よって、「炎症」という用語は、任意の炎症性疾患、障害又は症状自体、それを伴う炎症要素を持つ任意の症状、及び/又はとりわけ急性、慢性、潰瘍、特異性、アレルギー性及び壊死性炎症、及び当業者に知られている炎症の他の形態を含む、徴候として炎症を特徴とする任意の症状を含むものとまた理解される。よって、その用語はまた本発明の目的に対して炎症性疼痛及び/又は発熱を含む。
従って、本発明の化合物は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺線維症、アレルギー性疾患、鼻炎、炎症性腸疾患、潰瘍、炎症性疼痛、発熱、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、血管炎、膵炎、関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、結膜炎、虹彩炎、強膜炎、ブドウ膜炎、創傷、皮膚炎、湿疹、乾癬、脳卒中、糖尿病、自己免疫疾患、アルツハイマー病、多発性硬化症、サルコイドーシス、ホジキン病、及び他の悪性腫瘍、及び炎症要素を伴う任意の他の疾患の治療に有用であり得る。
【0037】
また本発明の化合物は、患者における骨減少の低減等、炎症メカニズムに関連していない効果も有している。この関連において挙げることができる症状には、骨粗鬆症、骨関節炎、パジェット病及び/又は歯周病が含まれる。よって、式1の化合物及びその薬学的に許容可能な塩は、主題における骨塩量の増加、並びに発症率の減少、及び/又は骨折の治癒にも有用であり得る。
本発明の化合物は、上述した症状の治癒的及び/又は予防的治療の双方の効果を有する。
【0038】
本発明のさらなる態様においては、リポキシゲナーゼ(例えば15-リポキシゲナーゼ)の阻害に関連した及び/又は調節可能な疾患の治療方法、及び/又はリポキシゲナーゼ、特に15-リポキシゲナーゼの活性阻害が所望される及び/又は必要とされる疾患(例えば炎症)の治療方法を提供するものであり、該方法は、但し書きを含まない先に記載した式I及びその塩の化合物、又はその薬学的に許容可能な塩をの治療的有効量をこのような症状を患っている又は影響を受けやすい患者に投与することを含む。
【0039】
「患者」は哺乳動物(ヒトを含む)の患者を含む。
「有効量」という用語は、治療された患者に治療効果を付与する化合物の量を意味する。効果は客観的(すなわち、ある試験又はマーカーで測定可能)であり得るか、又は主観的(すなわち、主体が効果の顕れを示すか又は効果を感じる)であり得る。
本発明の化合物は通常、経口的、静脈内、皮下的、口腔的、経直腸的、経皮的、経鼻的、経気管的、経気管支的、舌下的に、任意の他の非経口経路によって又は吸入によって、薬学的に許容可能な投薬形態で投与される。
【0040】
本発明の化合物は単独で投与してもよいが、好ましくは、経口投与のための錠剤、カプセル剤又はエリキシル剤、直腸投与のための坐薬、非経口又は筋肉内投与のための滅菌液又は懸濁液等々を含む既知の薬学的製剤によって投与される。
そのような製剤は標準的な、及び/又は認められている薬学的実務に従って調製することができる。
【0041】
よって、本発明のさらなる態様においては、但し書き(a)から(d)及び(F)を含まない先に記載した通りの式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合して含む薬学的製剤が提供される。
この発明はさらに、上述したような薬学的製剤の製造方法を提供するものであり、該方法は、ここで記載した但し書き(a)から(d)及び(F)を含まない式Iの化合物、又はその薬学的に許容可能な塩と、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈液又は担体とを組合せることを含む。.
また本発明の化合物は、ここで定められる炎症の治療に有用な他の治療剤(例えば、NSAIDs、コキシブ、コルチコステロイド類、鎮痛剤、5-リポキシゲナーゼのインヒビター、FLAP(5-リポキシゲナーゼ活性化タンパク質)のインヒビター、及びロイコトリエンレセプターアンタゴニスト(LTRas)、及び/又は炎症の治療に有用な他の治療剤)と組合せてもよい。
【0042】
本発明のさらなる態様では、
(A)先に記載した式Iの化合物(但し書きを含まないで先に記載したもの)、及び
(B)炎症の治療に有用な他の治療剤、
を含む組合せ品であって、成分(A)及び(B)の各々が薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合されて製剤化されている組合せ品が提供される。
そのような組合せ品は他の治療剤との併用での本発明の化合物の投与をもたらし、よって、その製剤の少なくとも一つが本発明の化合物を含み、少なくとも一つが他の治療剤を含む別個の製剤として提供でき、あるいは組合せ調製品(すなわち、本発明の化合物と他の治療剤を含む単一製剤)として提供(製剤化)され得る。
【0043】
よって、さらに次のものが提供される:
(1)式Iの化合物(但し書きを含まないで先に記載したもの)、炎症の治療に有用な他の治療剤、及び薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体を含む薬学的製剤、及び
(2)(a)本発明の化合物(但し書きを含まないで先に記載したもの)を、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合して含む薬学的製剤、及び
(b)炎症の治療に有用な他の治療剤を、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合して含む薬学的製剤、
の成分を含むパーツのキットであって、成分(a)及び(b)がそれぞれ他方と併用して投与するのに適した形態で提供されるキット。
【0044】
本発明は、上述したような組合せ品の製造方法を提供するものであり、該方法は、先に記載した式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩と、炎症の治療に有用な他の治療剤、及び少なくとも一つの薬学的に許容可能なアジュバント、希釈液又は担体とを組合せることを含む。
「組合せる」とは、2つの成分が、互いに併用投与に適していることを意味する。
例えば、2つの成分を互いに「組合せ」ることにより、上述したキットのパーツを調製する方法に関して、キットのパーツの2つの成分は:
(i)併用療法において、互いに併用して使用されるために、ついで一緒にされる、別個の製剤(すならち互いに独立している)として提供されてもよく、又は
(ii)併用療法において、互いに併用して使用されるために、「組合せ包装品」の別個の成分として包装され、共に提供されてもよい、
ことを含む。
【0045】
本発明の化合物は様々な用量で投与されてよい。経口用量は、約0.01mg/kg体重/日(mg/kg/日)から約100mg/kg/日、好ましくは約0.01から約10mg/kg/日、より好ましくは約0.1から約5.0mg/kg/日の範囲であり得る。例えば経口投与では、組成物は典型的には約0.01mgから約500mg、好ましくは約1mgから約100mgの活性成分を含む。経静脈的には、最も好ましい用量は一定速度の注入の間、約0.1から約10mg/kg/時間の範囲である。有利には、化合物は単一の毎日の用量で投与することができ、又は毎日の全用量を、毎日2回、3回又は4回の分割量で投与してもよい。
とにかく、医師又は当業者であれば、個々の患者に最も適し、投与経路、治療される症状のタイプと重症度、並びに治療される特定の患者の種、年齢、体重、性別、腎機能、肝機能及び応答によって変わり得る実際の用量を決定することができるであろう。上記の用量は平均的な場合の例であり、より高い又は低い用量範囲が有利となる個々の場合ももちろん有り得、それも本発明の範囲内である。
【0046】
本発明の化合物は、リポキシゲナーゼ、特に15-リポキシゲナーゼの効果的及び/又は選択的なインヒビターであるという利点を有する。
また本発明の化合物は、それらが、述べた兆候に用いられるかどうかにかかわらず、従来技術で知られている化合物よりも、より効能があり、毒性が少なく、より長く作用し、より強力で、副作用が少なく、より吸収されやすく、及び/又はより良好な薬物動態学的特性を有し(例えばより高い経口バイオアベイラビリティ及び/又はより低いクリアランス)を持ち、及び/又は他の有用な薬理学的、物理的、又は化学的性質を有しうるという利点を持っている。
【0047】
生物学的試験
使用するアッセイでは、1,4-シス-ペンタジエン立体配置を有する多価不飽和脂肪酸を、対応するヒドロペルオキシ又はヒドロキシル誘導体に酸化させる、リポキシゲナーゼの能力を利用する。この特定のアッセイにおいて、リポキシゲナーゼは精製されたヒト15-リポキシゲナーゼであり、脂肪酸はアラキドン酸である。アッセイは室温(20-22℃)で実施され、続いて、次のものが96-ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに添加される:
a)35μLのリン酸緩衝食塩水(PBS)(pH7.4);
b)インヒビター(すなわち化合物)又はビヒクル(0.5μlのDMSO);
c)10μLの、PBSに15-リポキシゲナーゼが入った10倍濃縮液;プレートを室温で5分間インキュベート;
d)5μlの、PBSに0.125mMのアラキドン酸が入ったもの;ついで、プレートを室温で10分間インキュベート;
e)100μlのメタノールを添加することにより、酵素反応を停止;及び
f)15-ヒドロペルオキシ-エイコサテトラエン酸又は15-ヒドロキシ-エイコサテトラエン酸の量を逆相HPLCにより測定。
【0048】
本発明を次の実施例によって例証するが、そこでは次の省略を用いてよい:
DMAP 4-ジメチルアミノピリジン
DMF ジメチルホルムアミド
DIPEA ジイソプロピルエチルアミン
EtOAc 酢酸エチル
Et ジエチルエステル
MeOH メタノール
MS 質量スペクトル
NMR 核磁気共鳴
rt 室温
TBTU テトラフルオロホウ酸O-ベンゾトリアゾール-1-N,N,N',N'−テトラメチルウロニウム ン
LC 液体クロマトグラフィー
以下に記載する合成において特定される出発材料と化学試薬は、例えばシグマ-アルドリッチファインケミカルズ社から商業的に入手可能である。
特に明記しない限り、以下に記載されている実施例の化合物の一つ以上の互変異性形態は、インサイツ及び/又は単離して調製されてよい。以下に記載されている実施例の化合物の全ての互変異性形態は、開示されたと考えられなければならない。
【0049】
(中間体の合成)
ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン (I)
中間体は国際特許出願第2004/080999号の実施例6の工程 (a)に記載の方法に従って調整した。
【実施例】
【0050】
実施例1
N-(2-クロロ-4-フルオロフェニル)ピラゾール-3-カルボキシアミド
標記化合物は国際特許出願第2004/080999号の実施例48に記載の方法に従って調整した。
【0051】
実施例2
N-(2-ブロモ-4-トリフルオロメトキシフェニル)ピラゾール-3-カルボキシアミド
標記化合物は国際特許出願第2004/080999号の実施例68に記載の方法に従って調整した。
【0052】
実施例3
N-(2-メトキシ-5-トリフルオロメチルフェニル)ピラゾール-3-カルボキシアミド
標記化合物は上記実施例1と類似の方法で調節した。
1H NMR (DMSO-d6) d 13.55 (br s, 1H), 9.49 (s, 1H), 8.67 (s, 1H), 7.94 (d, 1H), 7.47 (dd, 1H), 7.29 (d, 1H), 6.81 (d, 1H), 3.99 (s, 3H).
【0053】
実施例4
N-(2-フルオロ-5-トリフルオロメチルフェニル)ピラゾール-3-カルボキシアミド
標記化合物は国際特許出願第2004/080999号の実施例60に記載の方法に従って調節した。
1H NMR (DMSO-d6) d 13.58 (br s, 1H), 10.02 (br s, 1H), 8.26 (dd, 1H), 7.91 (d, 1H), 7.65-7.50 (m, 2H), 6.83 (d, 1H).
【0054】
実施例5
N-(4-フルオロ-2-トリフルオロメチルフェニル)ピラゾール-3-カルボキシアミド
ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン (1.00g, 5.32mmol; 上の中間体 (I)), 4-フルオロ-2-トリフルオロメチルアニリン(2.382g, 13.3mmol) 及びDMAP (0.650g, 5.32mmol) はクロロホルム(3mL)に溶解し、次にその混合物は封をした容器中で80℃で18時間加熱した。次にその反応物は常温に冷まし、エタノール(20mL)をその反応混合物に加えた。その反応混合物は次に濾過し、固体を除去し、濾過液は減圧下で濃縮し、MeOHから残留物を結晶化し、標記化合物を得た。290 mg (10%)。
MS (M++H) m/z = 274
【0055】
実施例6
N-(2,4-ジフルオロフェニル)ピラゾール-3-カルボキシアミド
ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン (100mg, 0.531mmol; 上の中間体(I))と2,4-ジフルオロアニリン(343mg, 2.66mmol)とDMAP (65 mg, 0.53 mmol)とDMF (5 mL)の混合物を140℃で一晩加熱した。その混合物は次に冷却し、減圧下で濃縮し、固体の残留物はフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc)で精製した。分別LCで更に精製した後、標記生成物を白色固体として得た。55 mg (46%)。
MS (M++H) m/z = 224
1H-NMR (CD3OD), δ 8.12-7.90 (m, 1H), 7.85-7.70 (m, 1H), 7.20-6.95 (m, 2H), 6.92-6.80 (m, 1H).
【0056】
実施例7
N-(2,3,4-トリフルオロフェニル)ピラゾール-3-カルボキシアミド
ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン (511mg, 2.72mmol; 上の中間体(I))と2,3,4-トリフルオロアニリン(211mg, 1.43mmol)とDMAP (166mg, 1.36mmol)とDMF (5 mL)の混合物は140℃で2時間加熱した。その混合物は冷却し、減圧下で濃縮、固体の残留物は次にフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtO)で精製した。MeOH/水から再結晶化し、白色結晶として標記化合物を与えた。153 mg (44%)。
MS (M++H) m/z = 242
1H-NMR (DMSO-d6), δ 9.93 (s, 1H), 7.86 (s, 1H), 7.50-7.20 (m, 2H), 6.73 (s, 1H).
【0057】
実施例8
N-(2,4-ジクロロフェニル)ピラゾール-3-カルボキシアミド
TBTU(515mg, 1.6mmol)は、DMF(10mL)中のピラゾール-3-カルボン酸(150mg, 1.3 mmol)と2,4-ジクロロアニリン (1.0 g, 7.3 mmol)とDIPEA (340mg, 2.6mmol)の混合物に加えた。その混合物は室温で一晩攪拌し、続いて水(50mL)を加えて、EtO (3×30mL)で抽出した。1つにまとめた有機相は水(50mL)で洗浄し、乾燥(NaSO)し減圧下で濃縮して黄褐色固体を得て、続いてフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン, 勾配1:10から1:1)で精製し、続いてEtOAc/ヘプタンから再結晶化して無色結晶として 標記化合物を得た。20 mg (6%)。
1H-NMR (DMSO-d6), δ 9.37 (s, 1H), 8.47 (d, 1H), 7.54 (d, 1H), 7.38 (s, 1H), 7.35 (d, 1H), 7.21 (dd, 1H), 6.81 (d, 1H).
【0058】
実施例9
N-(4-クロロ-2-メチルフェニル)ピラゾール-3-カルボキシアミド
ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン(192 mg, 1.02 mmol; 上の中間体(I))と4-クロロ-o-トルイジン(113mg, 0.80mmol)とDMF (0.7mL)とピリジン (7mL)の混合物は80℃で24時間加熱した。その混合物は冷まし、その次に減圧下で濃縮した。その残留物はフラッシュカラムクロマトグラフィー(ヘプタン/EtOAc 60:40)で精製し、白色固体として標記化合物を得た。31 mg (16 %)。
1H-NMR (DMSO-d6), δ 13.39 (s, 1H), 9.52 (s, 1H), 7.89 (s, 1H), 7.59 (d, 1H), 7.33 (s, 1H), 7.24 (d, 1H), 6.75 (s, 1H), 2.25 (s, 3H).
【0059】
実施例10
N-(2-クロロ-4-メチルフェニル)ピラゾール-3-カルボキシアミド
標記化合物は上述の実施例9の方法に従って、2-クロロ-p-トルイジン (113mg, 0.80 mmol)を使用して、白色固体として標記化合物を得た。27 mg (14 %)。
1H-NMR (DMSO-d6), δ 13.45 (s, 1H), 9.48 (s, 1H), 8.00 (d, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.35 (s, 1H), 7.16 (d, 1H), 6.77 (s, 1H), 2.28 (s, 3H).
【0060】
実施例11
N-(5-クロロ-2-シアノフェニル)ピラゾール-3-カルボキシアミド
標記化合物は国際特許出願第2004/080999号の実施例26に記載の方法に従って調整した。
【0061】
実施例12
N-(2,4,5-トリクロロフェニル)ピラゾール-3-カルボキシアミド
ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン(188 mg, 1.00 mmol;上の中間体(I))と2,4,5-トリクロロアニリン(158 mg, 0.80 mmol)の混合物はピリジン(2mL)及びDMF(0.5 mL)中に懸濁した。その混合物は80℃で2時間加熱し、第2の割り当ての中間体(I)(94mg, 0.50 mmol)を加え、続いて80℃16時間延長して熱した。冷却後、その混合物は減圧中で濃縮し、残留物はフラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン, 勾配 1:5 から 1:0)で精製し、13.6mg(6%)の標記化合物を得た。
1H-NMR (DMSO-d6), δ 13.86 (br s, 1H), 9.66 (s, 1H), 8.43 (s, 1H), 7.96 (m, 1H), 6.82 (s, 1H).
【0062】
実施例13
N-(2,5-ジクロロフェニル)ピラゾール-3-カルボキシアミド
標記化合物は上記実施例12の方法に従って、ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン (188mg, 1.00mmol; 上の中間体 (I)) 及び2,5-ジクロロアニリン (130mg, 0.80 mmol)から調製され、19mg(9%)の所望の化合物を得た。
1H-NMR (DMSO-d6), δ 13.73 (br s, 1H), 9.63 (br s, 1H), 8.29 (br s, 1H), 7.52 (s, 1H), 7.59 (d, 1H), 7.26 (dd, 1H), 6.83 (s, 1H).
【0063】
実施例14
N-(2,4-ジメチルフェニル)ピラゾール-3-カルボキシアミド
標記化合物は、実施例12に記載の方法に従ってジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン (188 mg, 1.00 mmol; 上の中間体 (I)) 及び2,4-キシリジン (96.9mg, 0.8mmol)から調製した。.
1H-NMR (DMSO-d6), δ 13.37 (s, 1H); 9.37 (s 1H); 7.87 (s, 1H); 7.22 (d, 1H); 7.00 (m, 2H); 6.73 (s, 1H); 2.27(s, 3H), 2.98 (s, 3H).
【0064】
実施例15
N-(4-ブロモ-2-トリフルオロメトキシフェニル)ピラゾール-3-カルボキシアミド
標記化合物は上記実施例9の方法に従って、4-ブロモ-2-トリフルオロメトキシアニリン (151 μL, 256mg, 1.00mmol)を使用して、白色固体として標記化合物を得た。116 mg (33 %)。
M.p. 185-187 ℃。
1H-NMR (DMSO-d6) d 13.54 (s, 1H), 9.61 (s, 1H), 8.07 (d, 1H), 7.94 (d, 1H), 7.72 (s, 1H), 7.68 (dd, 1H), 6.81 (d, 1H).
【0065】
実施例16
N-(4-ヨード-2-トリフルオロメトキシフェニル)ピラゾール-3-カルボキシアミド
4-ヨード-2-トリフルオロメトキシアニリントリフルオロメトキシアニリン(152mg, 0.50 mmol)とジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン (94mg, 0.50mmol; 上の中間体(I))とDMAP(6.0mg, 0.05mmol)とピリジン(1.5mL)とDMF(0.5mL)の混合物は80℃で45時間攪拌した。反応混合物は減圧中で濃縮し、残留物はクロマトグラフィー(EtOAc/ヘプタン)で精製し、白色固体として標記化合物を得た。73mg (37%)。
M.p. 194.1-194.6℃。
1H-NMR (DMSO-d6) d 13.66-13.44 (br s, 1H), 9.65-9.53 (br s, 1H), 8.02-7.84 (m, 2H), 7.84-7.77 (m, 2H), 6.82 (s, 1H).
【0066】
実施例17
N-(4-クロロ-2-シアノフェニル)ピラゾール-3-カルボキシアミド
4-クロロ-2-シアノフェニルアニリン(150mg, 0.98mmol)とジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオン (185mg, 0.98mmol; 上の中間体(I))とDMAP(120mg, 0.98mmol)のDMF(2mL)中の混合物は、封をしたバイアル中で、バイオテージ(登録商標)イニシエーターTM マイクロウェイブリアクター(2.45 GHz, 300 W 最大力)で160℃で1時間加熱した。その混合物を水(50mL)に注ぎ、形成された白色沈殿物を濾別した。粗生成物はエタノールから再結晶化し、139mg(57 %)の標記化合物を得た。
MS (M++H) m/z 247。
1H-NMR (DMSO-d6) d 13.57 (s, 1H), 10.24 (s, 1H), 8.04 (d, 1H), 7.95 (d, 1H), 7.88 (d, 1H), 7.79 (dd, 1H), 6.82 (d, 1H).
【0067】
実施例18
N-(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)ピラゾール-3-カルボキシアミド
標記化合物は上記実施例17の方法に従って、5-クロロ-2-水酸化アニリン (72 mg, 0.50 mmol)を使用して調整し、白色固体として標記化合物を得た。86 mg (72 %)。
MS (M++H) m/z 238.
1H-NMR (DMSO-d6) d 13.46 (s, 1H), 10.75 (s, 1H), 9.39 (s, 1H), 8.32 (s, 1H), 7.93 (s, 1H), 6.96-6.98 (m, 2H), 6.78 (dd, 1H).
【0068】
実施例19
実施例の標記化合物を上に記載した生物学的テストで試験し、10μM以下のIC50を示すことが見出された。例えば、以下に示す実施例の代表的化合物は以下に示すIC50値を示した。
実施例2: 160nM
実施例7: 1800nM
実施例9: 750nM
実施例13: 1100nM
実施例14: 840nM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:

[上式中、
はハロ、-CN、-NO、-R又は-ORを表す、
からXは独立にH、ハロ、-CN、-NO、-R又は-ORを表し、ここでX又はXの少なくとも1つがH以外である、
はH又はRを表す、及び
は任意にF,Cl、-OCH、-OCHCH、-OCHF又は-OCFから選択される1以上の置換基で置換されるC1-6アルキルを表す
化合物又はその薬学的に許容可能な塩であって、但しXはHを表す時、
(a) Xは-CNを表しX及びXは共にHを表す場合、XはClを表さない、
(b) XはClを表しX及びXは共にHを表す場合, XはFを表さない、
(c) XはFを表しX及びXは共にHを表す場合、Xは-CFを表さない、
(d) XはBrを表しX及びXは共にHを表す場合、Xは-OCFを表さない、
(e) Xは-OHを表しXはHを表し及びXはt-Buを表す場合、Xは-OHを表さない、及び
(f) Xは-CHを表しX及びXは共にHを表す場合、Xは-CHを表さない化合物。
【請求項2】
式I:

[上式中、
はハロ、-CN、-NO、-R又は-ORを表す、
からXは独立にH、ハロ、-CN、-NO、-R又は-ORを表し、ここでX又はXの少なくとも1つがH以外である、
はH又はRを表す、及び
は任意にF、Cl、-OCH、-OCHCH、-OCHF又は-OCFから選択される1以上の置換基で置換されるC1-6アルキルを表す
化合物又はその薬学的に許容可能な塩であって、但しX及びXは共にHを表す時、
はt-Buを表す場合、Xは-OHを表さない化合物。
【請求項3】
はHを表す請求項1又は請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
及び/又はRは独立にF、-OCH、-OCHCH、-OCHF又は-OCFから選択される1以上の置換基で置換されるC1-6アルキルを表す、請求項1から3の何れか一項に記載の化合物。
【請求項5】
及び/又はRは独立に請求項4に記載された通りに任意に置換されるC1-4アルキルを表す請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
はBr、Cl、F、-CN、R又は-ORを表す、請求項1から5の何れか一項に記載の化合物。
【請求項7】
からXはI、H、F、Cl、Br、R又は-ORを表す、請求項1から6の何れか一項に記載の化合物。
【請求項8】
からXはH、F、Cl、Br、R又は-ORを表す、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
はBr、I、H、Cl、F、R又は-ORを表す、請求項1から8の何れか一項に記載の化合物。
【請求項10】
はH、Cl、F、R又は-ORを表す、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
はH、Cl、F又はRを表す、請求項1から10の何れか一項に記載の化合物。
【請求項12】
はH、Cl又はFを表す、請求項1から11の何れか一項に記載の化合物。
【請求項13】
及び/又はRは独立にH又は任意に1以上のF置換基で置換されるC1-2アルキルを表す、請求項1から3又は6から10の何れか一項に記載の化合物。
【請求項14】
及び/又はRは独立に、任意に1以上のF置換基で置換されるC1-2アルキルを表す、請求項1から13の何れか一項に記載の化合物。
【請求項15】
及び/又はRは独立に、H、メチル、エチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル又は1,1,1-トリフルオロエチルを表す、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
及び/又はRは独立に、メチル、エチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル又は1,1,1-トリフルオロエチルを表す、請求項14に記載の化合物。
【請求項17】
請求項2又は(請求項2に従属する)3から16の何れか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合して含む薬学的製剤。
【請求項18】
リポキシゲナーゼの活性の阻害が所望及び/又は必要とされる疾患の治療のための医薬を製造するための、但し書きを含まない請求項1から16の何れか一項に記載の式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩の使用。
【請求項19】
リポキシゲナーゼが15-リポキシゲナーゼである請求項18に記載の使用。
【請求項20】
疾患が炎症であり及び/又は炎症要素を有する請求項19に記載の使用。
【請求項21】
炎症性疾患が喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺線維症、アレルギー性疾患、鼻炎、炎症性腸疾患、潰瘍、炎症性疼痛、発熱、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、血管炎、膵炎、関節炎、骨関節炎、関節リウマチ、結膜炎、虹彩炎、強膜炎、ブドウ膜炎、創傷、皮膚炎、湿疹、乾癬、脳卒中、糖尿病、自己免疫疾患、アルツハイマー病、多発性硬化症、サルコイドーシス、ホジキン病、及び他の悪性腫瘍である、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
但し書きを含まない請求項1から16の何れか一項に記載の化合物又はその薬学的に許容可能な塩の治療的有効量をリポキシゲナーゼの活性阻害が所望及び/又は必要とされる疾患を患っている又は影響を受けやすい患者に投与することを含む、リポキシゲナーゼの活性阻害が所望及び/又は必要とされる疾患の治療方法。
【請求項23】
(A)但し書きを含まない請求項1から16の何れか一項に記載の式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩、及び
(B)炎症の治療に有用な他の治療剤、
を含む組合せ品であって、成分(A)及び(B)の各々が薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合されて製剤化されている組合せ品。
【請求項24】
但し書きを含まない請求項1から16の何れか一項に記載の式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩、炎症の治療に有用な他の治療剤、及び薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体を含む薬学的製剤を含有する請求項23に記載の組み合せ品。
【請求項25】
(a)但し書きを含まない請求項1から16の何れか一項に記載の式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合して含む薬学的製剤、及び
(b)炎症の治療に有用な他の治療剤を、薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と混合して含む薬学的製剤、
の成分を含むパーツのキットであって、成分(a)及び(b)がそれぞれ他方と併用して投与するのに適した形態で提供されるキットを含む請求項23に記載の組み合せ品。
【請求項26】
(i)ピラゾール-3-カルボン酸、又はそのN-保護又は/及びO-保護された誘導体を、式II:

[上式中、XからXは請求項1に記載の通りである]
の化合物と反応させ、
(ii) ピラゾール、又はそのN-保護された誘導体を、適切な塩基と反応させ、続いて式III:

[上式中、XからXは請求項1に記載の通りである]
の化合物と反応させ、
(iii) ジピラゾロ[1,5-a;1',5'-d]ピラジン-4,9-ジオンを、前記式IIの化合物と反応させるか、又は
(iv) ピラゾール-3-カルボキシアミド、又はそのN-保護された誘導体を、式IV:

[上式中、Lは適切な脱離基を表し、XからXは請求項1に記載の通りである]
の化合物と反応させることを含む、請求項1に記載の式Iの化合物の製造方法。
【請求項27】
請求項2又は(請求項2に従属する)3から16の何れか一項に記載の式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と組み合せることを含む請求項17に記載の薬学的製剤の製造方法。
【請求項28】
但し書きを含まず請求項1から16の何れか一項に記載の式Iの化合物又はその薬学的に許容可能な塩を、炎症の治療に有用な他の薬学的製剤、少なくとも一つの薬学的に許容可能なアジュバント、希釈剤又は担体と組み合せることを含む請求項23から25のいずれか一項に記載の組合せ品の製造方法。

【公表番号】特表2009−513692(P2009−513692A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−538400(P2008−538400)
【出願日】平成18年10月30日(2006.10.30)
【国際出願番号】PCT/GB2006/004042
【国際公開番号】WO2007/052000
【国際公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【出願人】(505347558)バイオリポックス エービー (26)
【Fターム(参考)】