説明

炎症及び免疫に関連する用途に用いられるアクリロニトリル誘導体

【課題】免疫抑制、又は炎症性疾患及び自己免疫疾患の治療若しくは予防に一般的に用いられる薬剤の1つ以上の欠点を克服する新薬を提供すること。
【解決手段】以下の構造式で表される化合物:又はそれを含む医薬的に許容される塩、溶媒和物若しくは包接化合物。構造式(I)の変数は本願明細書中で記載するとおりである。本発明は、IL−2の産生を阻害するいくらかのアクリロニトリルを供給することによって前記の必要性に合致する。これらの化合物は特に免疫抑制及び/又は炎症性疾患及び免疫疾患を治療若しくは予防するために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、米国特許仮出願第60/556,107号(2004年3月25日出願)の優先権を主張するものであり、その全内容は本発明に援用される。
(発明の分野)
本発明は、生物学的活性を有する化学的化合物、すなわちシアン化ビニル誘導体に関するものであり、それは免疫抑制、又は炎症性疾患及び免疫疾患を治療若しくは予防する用途に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
インターロイキン2(IL−2)は、細胞毒性のT細胞、ナチュラルキラー細胞、活性化されたB細胞及びリンホカイン活性化細胞を含む、免疫系に関与する多くの細胞に作用し、免疫学的作用を調節するT細胞由来のリンホカインである。T細胞増殖に必要な強力なT細胞マイトジェンであり、細胞周期のG1からSへの進行を促進する。これは全てのTリンパ球の小集団に対する成長因子であり、またナチュラルキラー細胞(NK細胞)を刺激する。更にB細胞に対する成長因子としても作用し、抗体産生を刺激する。
【0003】
T細胞とB細胞との両方に対して作用するため、IL−2は免疫反応において中心的な調節物質としての役割を果たす。すなわち、抗炎症反応、腫瘍監視、及び造血において一定の役割を果たす。更にはIL−2、腫瘍壊死因子α(TNF−α)及びTNF−β分泌を含めた、他のサイトカインの産生にも影響を与え、また末梢におけるインターフェロンγ(INF−γ)の合成も刺激する。IL−2は以上のように免疫反応の調節に有用ではあるが、一方で様々な問題を引き起こすことも知られている。すなわちIL−2は脳血液関門及び脳血管内皮に損傷を与えることが知られている。これらの作用は、IL−2療法の実施中に観察される神経精神学的な副作用、例えば疲労感、見当識障害及びうつ症状の原因となる可能性がある。更に神経細胞の電気生理学的反応を変化させる。
【0004】
IL−2を産生することができないT細胞は不活性となる(アネルギー:馴化による)。それによりT細胞は、将来受けるかもしれない何らかの抗原性刺激に対して不活性になる可能性がある。言い換えると、IL−2産生を阻害する薬剤が、免疫抑制に、又は炎症及び免疫疾患を治療若しくは予防するために用いることができる。このアプローチは、シクロスポリン、FK506、及びRS61443のような免疫抑制剤を用いて臨床的に実証されている。しかしながら、この概念が立証されたにもかかわらず、IL−2産生を阻害する薬剤は依然として理想的なものとはかけ離れている。数ある問題点のうち、特に有効性が限られること、及び望ましくない副作用(用量依存性腎毒性及び高血圧)の存在により、それらの投与が妨げられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、免疫抑制に、又は炎症性疾患及び自己免疫疾患の治療若しくは予防に一般的に用いられる薬剤に内在する1つ以上の欠点を克服する新薬が常に求められている。新薬の望ましい特には、現在治療できない又はほとんど治療できない疾患又は障害に対して有効であること、新しい作用機序であること、経口的に使用可能で、及び/若しくは副作用が減少すること、が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、IL−2の産生を阻害する一定のアクリロニトリル誘導体を供給することによって、前記の課題を解決する。これらの化合物は特に免疫抑制、及び/若しくは炎症性疾患及び免疫疾患を治療又は予防に有用である。
【0007】
本発明は、以下の構造式(I)を有する化合物又はそれを含む医薬的に許容される塩、溶媒和物若しくは包接化合物に関する。
【化1】

(ここで、Cyは単環式若しくは二環式の、芳香族若しくは非芳香族の、カルボシクリル若しくはヘテロシクリル化合物であり、
Yは単環式若しくは二環式の、芳香族若しくは非芳香族の、カルボシクリル若しくはヘテロシクリル基であり、
は=O、=S、=NOR又は=C(R)(R)であり、
は単環式若しくは多環式の、非芳香族若しくは芳香族の、カルボシクリル若しくはヘテロシクリル基であり、Rが=OのときにはRが1つ以上のハロゲン、低級パーフルオロアルキル若しくは低級パーフルオロアルコキシで置換されたフェニル基であるか、又はRとRが統合して単環式若しくは多環式の、非芳香族若しくは芳香族の、カルボシクリル若しくはヘテロシクリル基を形成することが可能で、
個々のRはCyに結合した置換基であり、独立してハロゲン、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、CN、NO、OR、N(R)(R)、SR、CO、CON(R)(R)、SOR、SO、COR、NRCOR、NRCON(R)(R)、SON(R)(R)、NRSOR及びArの中から選択され、
nは0,1,2又は3から選択される整数であり、
個々のArは独立してハロゲン、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、CN,NO,R,OR,N(R)(R),SR,CO,CON(R)(R),SOR,SO,COR,NRCOR,NRCON(R)(R),SON(R)(R)又はNRSORで任意に置換されたアリール又はヘテロアリール基であり、
個々のRは独立して水素、又は1つ以上のアミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルチオ、オキソ(=O)、チオ(=S)、イミノ(=NH)、アルキルイミノ(=N−アルキル)、ハロゲン、アシル、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、アリール、アルキルアリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアミノ、カルボシクリル、カルボシクリルオキシ、カルボシクリルチオ、カルボシクリルアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ若しくはヘテロシクリルチオ基で任意に置換されたアルキル基であり、
個々のRは独立してCN又はCOであり、及び
個々のRは独立して1つ以上のアミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルチオ、オキソ(=O)、チオ(=S)、イミノ(=NH)、アルキルイミノ(=N−アルキル)、ハロゲン、アシル、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、アリール、アルキルアリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアミノ、カルボシクリル、カルボシクリルオキシ、カルボシクリルチオ、カルボシクリルアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ又はヘテロシクリルチオ基で任意に置換されたアルキル基である。)
【0008】
本発明は更に、有効量の開示された化合物又はそれを含む医薬的に許容される塩、溶媒和物若しくは包接化合物、又は本願明細書の中で開示された有効量の化合物からなる医薬組成物を用いて、in vivo又はin vitroにおいてIL−2産生を阻害する方法を包含する。本発明の全ての方法は、本願明細書の中で開示された化合物単独で、又は免疫抑制剤、抗炎症剤又は免疫疾患用薬など他の薬剤と併用して実施することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(定義)
特に明記のない限り、本願明細書の中で用いられる用語は以下のように定義する。
本願明細書において、「芳香環」、「アリール」という用語(単独で、又は例えばアルキルアリール、アリールオキシ、アリールアミノ基等、他の用語の一部として)は炭素原子及び水素原子からなる単環式又は多環式芳香環又は環基を表す。適切なアリール基の例としては、フェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、ナフチル基、及び5,6,7,8,−テトラヒドロナフチル基のようなベンゼン環の融合した炭素環部分が挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は置換されないか若しくは1つ以上の通常のアリール置換基(好ましくは、低級アルキル又は1つ以上のハロゲンで置換されたアルキル)、ヒドロキシ、アルコキシ(好ましくは、低級アルコキシ)、アルキルチオ、シアノ、ハロゲン、アミノ、及びニトロ基で置換しても良い。好ましくは、前記アリール基は6個の炭素原子からなる単環式の環である。
【0010】
本願明細書において、「カルボシクリル」という用語(単独で、又は例えばカルボシクリルオキシ、カルボシクリルチオ、カルボシクリルアミノ基等、他の用語の一部として)は炭素原子及び水素原子からなる単環式又は多環式の、芳香環又は非芳香環、若しくはそれらの環基を表す。適切なカルボシクリル基の例としては、フェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、ナフチル、5,6,7,8,−テトラヒドロナフチルのようなベンゼン環の融合した炭素環部分、シクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルキル及びビシクロアルケニル基が挙げられるが、これらに限定されない。カルボシクリル基は置換されないか若しくは1つ以上の通常のアリール置換基(これらに限定されないが、アルキル(好ましくは、低級アルキル又は1つ以上のハロゲンで置換されたアルキル)、ヒドロキシ、アルコキシ(好ましくは低級アルコキシル)、アルキルチオ、シアノ、ハロゲン、アミノ、及びニトロ基を含む)で置換しても良い。好ましくはカルボシクリル基は6個の炭素原子からなる単環式の環である。
【0011】
本願明細書において、「アルキル」という用語(単独で、又は例えばアルキルアリール、アルキルアミノ、アルキルチオ、アルキルオキシ等、他の用語の一部として)は、1個から10個の炭素原子を有する、飽和した直鎖状又は分枝状の非環式炭化水素を表す。代表的な飽和直鎖アルキルとしては、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル及びn−デシルが挙げられ、一方、飽和分枝アルキルとしては、イソプロピル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、イソペンチル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2−メチルペンチル、3−メチルペンチル、4−メチルペンチル、2−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、5−メチルヘキシル、2,3−ジメチルブチル、2,3−ジメチルペンチル、2,4−ジメチルペンチル、2,3−ジメチルヘキシル、2,4−ジメチルヘキシル、2,5−ジメチルヘキシル、2,2−ジメチルペンチル、2,2−ジメチルヘキシル、3,3−ジメチルペンチル、3,3−ジメチルヘキシル、4,4−ジメチルヘキシル、2−エチルペンチル、3−エチルペンチル、2−エチルヘキシル、3−エチルヘキシル、4−エチルヘキシル、2−メチル−2−エチルペンチル、2−メチル−3−エチルペンチル、2−メチル−4−エチルペンチル、2−メチル−2−エチルヘキシル、2−メチル−3−エチルヘキシル、2−メチル−4−エチルヘキシル、2,2−ジエチルペンチル、3,3−ジエチルヘキシル、2,2−ジエチルヘキシル、3,3−ジエチルヘキシル基等が挙げられる。本発明の化合物に含まれるアルキル基は、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルチオ、オキソ、ハロゲン、アシル、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、アリール、アルキルアリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアミノ、カルボシクリル、カルボシクリルオキシ、カルボシクリルチオ、カルボシクリルアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルチオ基等のような、1つ以上の通常用いられるアルキル置換基で任意に置換しても良い。更に、アルキル部分の炭素原子、特にアルキル部分の内部の炭素原子は、カルボニル(C=O)、チオカルボニル(C=S)、酸素(O)、イオウ(S)、若しくは窒素(N)で置換しても良い。本発明の前記化合物としては、特に低級アルキル基の使用が好ましい。
【0012】
本願明細書において、「アルケニル」という用語(単独で又は他の用語の一部として)は、特に2個から10個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素間二重結合を有するアルキル基を表す。代表的な直鎖及び分枝アルケニルとしては、ビニル、アリール、1−ブチル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、3−ヘキシニル、1−ヘプチニル、2−ヘプチニル、3−ヘプチニル、1−オクチニル、2−オクチニル、3−オクチニル、1−ノニニル、2−ノニニル、3−ノニニル、1−デシニル、2−デシニル3−デシニル基等が挙げられる。
【0013】
本願明細書において、「アルキニル」という用語(単独で又は他の用語の一部として)は、特に2個から10個の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素間三重結合を有するアルキル基を表す。代表的な直鎖及び分枝アルキニルとしては、アセチニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−ヘプチニル、1−ノニニル、2−ノニニル、8−ノニニル、1−デシニル、2−デシニル基等が挙げられる。
【0014】
本願明細書において、「シクロアルキル」という用語(単独で又は他の用語の一部として)は、特に、3個から10個の炭素原子を有する飽和環式アルキル基を表す。代表的なシクロアルキルとしては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル及びシクロデシル基が挙げられる。
【0015】
本願明細書において、「ビシクロアルキル」という用語(単独で又は他の用語の一部として)は、特に8個から14個の炭素原子及び少なくとも1個の飽和環式アルキル環を有する二環式アルキルを表す。代表的なビシクロシクロアルキルとしては、インダニル、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル、5,6,7,8−テトラヒドロナフチル、パーヒドロナフチル基等が挙げられる。
【0016】
本願明細書において、「シクロアルケニル」という用語(単独で又は他の用語の一部として)は、環式系の中に少なくとも1つの炭素間二重結合を有し、特に5個から10個の炭素原子を有する環式非芳香アルキル基を表す。代表的なシクロアルケニルとしては、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、シクロオクタテトラエニル、シクロノネニル、シクロノナジエニル、シクロデセニル、シクロデカジエニル基等が挙げられる。
【0017】
本願明細書において、「ヘテロサイクル」又は「ヘテロシクリル」という用語(単独で又は他の用語の一部として)は、飽和非芳香族、非飽和非芳香族、飽和芳香族又は非飽和芳香族のいずれかである単環式若しくは二環式複素環式化合物の環(特に3員環から10員環を有する)を表す。3員環ヘテロサイクルには3個までの異種原子が含まれることもあり、また4員環から10員環までのヘテロサイクルには4個までの異種原子が含まれることもある。個々の異種原子は独立に、4級化可能な窒素;酸素;及びスルホキシド及びスルホンを含めたイオウから選択される。ヘテロサイクルは異種原子又は炭素原子が結合しても良い。代表的なヘテロサイクルとしては、ピリジン、フリル、チオフェニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリジニル、チアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、トリアゾリル、モルフォリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ベンゾ[1,3]ジオキソリル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル基等が挙げられる。1,2,3,4−テトラヒドロキノリンのようなベンゼン環の融合した飽和ヘテロサイクル基も当然にこの定義に含まれる。異種原子は、当業者に公知の保護基、例えば窒素に結合した水素はtert−ブトキシカルボニル基で置換しても良い。更に、複素環式化合物の環は任意に1つ以上の通常の複素環式化合物の環置換基(これらに限定されないが、ハロゲン原子、アルキル基、若しくはアリール基)で置換しても良い。このような置換された複素環基のうち、安定な異性体のみがこの定義の中に含まれる。
【0018】
本願明細書において、「ヘテロ芳香族」又は「ヘテロアリール」という用語(単独で又は他の用語の一部として)は、炭素原子環の員環及び1つ以上の異種原子環の員環(例えば、酸素、イオウ又は窒素のような)からなる単環式又は多環式ヘテロ芳香環(又はその環基)を表す。1つの具体例として、ヘテロ芳香環は5〜8員環のヘテロアリール環から選択される。他の具体例として、ヘテロ芳香環は5又は6員環のヘテロアリール環である。代表的なヘテロアリールとしては、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリジニル、チアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチエニル、インドリル、イソインドリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、イソキサゾリル、インダゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾピラジニル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、キノリル、イソキノリル、キナゾリル、フタラゾリル、シンノリル等が挙げられる。これらのヘテロアリール基(単独の場合インドリジニル)は、任意に(これらに限定しないが)アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルチオ、オキソ、ハロゲン、アシル、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ、アリール、アルキルアリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアミノ、カルボシクリル、カルボシクリルオキシ、カルボシクリルチオ、カルボシクリルアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルチオ基等を含む、1つ以上の公知のヘテロアリール置換基で置換しても良い。個々のヘテロアリール置換基には、ハロゲン及び任意に1つ以上のハロゲンで置換された低級アルキル基が含まれる。
【0019】
本願明細書において、「ハロゲン」又は「halo」という用語(単独で又は他の用語の一部として)は、−F、−Cl、−Br、又はIを表す。
【0020】
本願明細書において、「被験者」、「患者」、及び「動物」という用語はほぼ同じ意味で用いられ、例えばウシ、サル、ウマ、ヒツジ、ブタ、トリ(ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ等のような)、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット及びヒトが含まれるが、これらに限定されない。これらの用語には哺乳動物及び非哺乳動物が含まれる。好ましい被験者、患者又は動物は、哺乳動物、好ましくはヒトである。
【0021】
本願明細書において、「低級」という用語は、4個までの原子を有する基を表す。例えば、「低級アルキル」は1個から4個の炭素原子を有するアルキル基を表し、「低級アルケニル」若しくは「低級アルキニル」はそれぞれ2個から4個の炭素原子を有するアルケニル又はアルキニル基を表す。特に低級の置換基が好ましい。
【0022】
個々の置換基が一定の構造又は部分において複数個存在する場合、それらの置換基の同一性は、個々の場合独立したものであり、前記一定の構造又は部分内のそれらの置換基が、他の置換基と同一の場合もあり、また相違する場合もある。特に本発明の個々の具体例及び代表的な化合物に記載された、個々の置換基とその他の置換基との組み合わせが好ましく、たとえそのような置換基同士の組み合わせが好ましいとの明記又は開示がなされない場合であっても、その解釈には変わりはない。
【0023】
本発明の化合物は、化学構造及び/若しくは化学名によって本願明細書の中で定義される。化合物が化学構造及び化学名の両方で表される場合、また化学構造と化学名が矛盾する場合には、その化合物の同定に際しては化学構造が優先する。本発明によって予見される置換基及び変数記号は、結果として安定な化合物を生成するもののみが選択され、組み合わせられる。本願明細書において、「安定した」という用語は、その化合物を製造することが可能で、かつ本願明細書の中で詳述する目的(例えば、被験者に対する治療的又は予防的投与)のために一定期間前記化合物を一定の状態に維持される状態を表す。特に、これらの化合物は過度の湿気を避けた場所で、40℃以下の温度で少なくとも1週間安定である。前記のような選択及び組み合わせを行うことは、当業者には容易であり、過度な実験を要さずに決定されうる。
【0024】
本願明細書において、「医薬的に許容可能な塩」という用語は、本発明で開示されたある化合物に含まれる塩基性基と酸から生成される塩である。そのような塩としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、重硫酸塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチジン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタネスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、及びパモ酸塩(すなわち、1,1−メチレン−ビス−(2−ヒドロキシ−3−ナフトエート))が挙げられるがそれに限定されない。あるいは、前記「医薬的に許容可能な塩」という用語は、開示された化合物中に含まれるカルボン酸官能基のような酸性官能基と、医薬的に許容可能な無機又は有機態の塩基から調製された塩を表す。適切な塩基としては、ナトリウム、カリウム、及びリチウムのようなアルカリ金属の水酸化物;カルシウム及びマグネシウムのようなアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウム及び亜鉛のような他の金属の水酸化物;アンモニア、及び置換されていない、又は水酸基で置換されたモノ、ジ、又はトリアルキルアミン類のような有機アミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N−メチル,N−エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ−ビス−、又はトリス−(2−ヒドロキシエチル)アミン、2−ヒドロキシ−tert−ブチルアミン、又はトリス−(ヒドロキシメチル)メチルアミンのような、モノ−ビス−、又はトリス−(2−ヒドロキシ−低級アルキルアミン類)、N,N−ジメチル−N−(2−ヒドトキシエチル)アミン、又はトリ−(2−ヒドロキシエチル)アミンのようなN,N−ジ−低級アルキル−N−(ヒドロキシ低級アルキル)−アミン類;N−メチル−D−グルカミン;及びアルギニン、リジンのようなアミノ酸等が含まれるが、これらに限定されない。
【0025】
本願明細書において、「医薬的に許容可能な溶媒和物」という用語は、1つ以上の溶媒分子が、開示された化合物の1つに会合することにより生成された溶媒和物のことを表す。なお、溶媒和物という用語には水和物(例えば、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物等)が含まれる。
【0026】
本願明細書において、「喘息」という用語は、肺疾患、可逆性気道閉塞を特徴とする障害又は疾患、気道の炎症、及び様々な刺激に対する気道反応性の亢進を表す。
【0027】
「免疫抑制」とは、免疫機能の低下という結果に至る免疫系のコンポーネント(構成部分)の障害を表す。この障害はリンパ球の機能の全血検査、リンパ球増殖の確認及びT細胞表面抗原発現の評価を含めた、従来の方法によって測定することができる。抗ヒツジ赤血球(SRBC)一次(IgM)抗体反応検定法(通常プラーク検定法と呼ぶ)は1つの特異的方法である。この方法及び他の方法については、Luster,M.I.,Portier,C,Pait,D.G.,White,K.L.,Jr.,Gennings,C,Munson,A.E.,及びRosenthal,G.J.(1992)「Risk Assessment in Immunotoxicology 1:Sensitivity ande Predictability of Immune Tests」Fundam.Appl.Toxicol.,18,200−210に報告されている。その他、T細胞依存性免疫原も特に有用な検定法である(Dean,J.H.,House,R.V., 及びLuster,M.I.(2001)「Immunotoxicology:Effects of,and Responses to, Drugs and Chemicals」Principles and Methods of Toxicology:4版(A.W.Hayes編集),pp.1415−1450,Taylor&Francis,フィラデルフィア、ペンシルベニア州、を参照)。
【0028】
本発明の化合物は免疫疾患を患う被験者の治療に用いることができる。本願明細書の中で用いられたように、「免疫疾患」という用語は、自己免疫疾患を含めた動物の免疫系によって引き起こされる疾患等(疾患、変調、又は症状)を表す。免疫疾患には、免疫コンポーネントの異常が関与する疾患等(疾患、変調、又は症状)と、実質的又は完全に免疫系の関与する疾患が含まれる。自己免疫疾患は動物自身の免疫系が誤って動物自身を攻撃し、それによって動物自身の体の細胞、組織、及び/若しくは臓器を標的とする疾患である。例えば、自己免疫反応は多発性硬化症における脳及びクローン病における腸には有害に作用する。全身性エリテマトーデス(SLE)のような他の自己免疫疾患では罹患した組織及び臓器は同じ疾患の個々の患者間で異なっている。SLEを有する患者は皮膚及び関節がおかされるが、他の患者は皮膚、腎及び肺がおかされることがある。最終的に、免疫系によるいくつかの組織に対する損傷は、1型糖尿病における膵臓のインスリン産生細胞の破壊による場合と同様に永久的なこともある。本発明の化合物及び方法を用いて改善される可能性を有する個々の自己免疫疾患としては、これらに限定されないが、神経系の自己免疫疾患(例えば、多発性硬化症、重症筋無力症、ギラン・バレー症候群のような自己免疫性ニューロパシー、及び自己免疫性ブドウ膜炎)、血液の自己免疫疾患(例えば、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、及び自己免疫性血小板減少症)、血管の自己免疫疾患(例えば、側頭動脈炎、抗リン脂質抗体症候群、ヴェゲナー肉芽腫症のような脈管炎、及びベーチェット病)、皮膚の自己免疫疾患(例えば、乾癬、疱疹状皮膚炎、尋常性天疱瘡、及び白斑)、消化管の自己免疫疾患(例えば、クローン病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、及び自己免疫性肝炎)、内分泌腺の自己免疫疾患(例えば、1型又は免疫が関与する糖尿病、グレーヴス病、橋本甲状腺炎、自己免疫性卵巣炎と精巣炎、及び副腎の自己免疫疾患);多臓器の自己免疫疾患(結合組織及び筋骨格系疾患を含む)(例えば、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、強直性脊椎炎のような脊椎関節症、及びシェーグレン症候群)が挙げられる。更に、移植片対宿主病及びアレルギー性疾患のような他の免疫系の関与する疾患も本願明細書における免疫疾患の定義に含まれる。多数の免疫疾患が炎症によって引き起こされることから、免疫疾患と考えられる疾患と炎症性疾患の間のいくらかの重複する疾患が認められる。本発明の目的を考慮した場合、このような重複する疾患の症例においては、免疫疾患と炎症性疾患かのどちらでもあると考えるのが望ましい。本願明細書における「免疫疾患の治療」とは、自己免疫疾患、その症状又はその素因を治療し、改善させ、変化させ、影響を与え又は予防する目的で、免疫疾患、その疾患の症状又はそのような疾患の素因を有する被験者に対して本発明の化合物を投与することを表す。
【0029】
本願明細書の中で用いられたように、「アレルギー性疾患」という用語は、通常は無害の物質に対するアレルギー反応に関連した疾患等(疾患、変調、又は症状)を表す。これらの物質は環境中で確認されることもあり(屋内空気汚染物質及び空気中アレルゲンのような)、また環境以外の箇所で確認されるものもある(皮膚科学的アレルギー又は食物アレルギーを引き起こす物質のような)。アレルゲンは吸入、食物摂取、皮膚への接触又は注射(昆虫刺傷による場合も含めて)等の多様な経路を経て生体内に入るおそれがある。多くのアレルギー性疾患は、アレルギー抗体IgEを産生する素因であるアトピーに関連がある。IgEは体内のあらゆる部位の肥満細胞の感受性を高めるため、アトピーの患者では多くの場合2つ以上の臓器で疾病が現れる。本発明においては、アレルギー性疾患には、感受性を高めるアレルゲンに対する再曝露によって起こる過敏症であり、炎症性メディエーターの遊離を引き起こす、いかなる過敏症も含まれる。アレルギー疾患には、これらに限定しないが、アレルギー性鼻炎(例えば花粉症)、副鼻腔炎、鼻副鼻腔炎、慢性又は再発性中耳炎、薬物反応、昆虫刺傷反応、ラテックス反応、結膜炎、蕁麻疹、アナフィラキシーとアナフィラキシー様反応、アトピー性皮膚炎、喘息及び食物アレルギーが含まれる。
【0030】
本発明の化合物は、炎症性疾患を有する被験者の予防又は治療のために用いることができる。本願明細書の中で用いられたように、「炎症性疾患」という用語は、生体組織の炎症を特徴とする疾患等(疾患、変調、又は症状)を表す。これらには、局所的炎症反応及び全身的炎症が含まれる。このような炎症性疾患の例としては、以下のものが挙げられる:植皮拒絶反応又は糖尿病の被験者における移植されたランゲルハンス島の拒絶反応のような、移植拒絶反応;関節炎、関節リウマチ、骨関節症及び骨吸収の増大を伴う骨疾患を含めた、関節の慢性炎症性疾患;回腸炎、潰瘍性大腸炎、バレット症候群、及びクローン病のような炎症性腸疾患;喘息、成人呼吸困難、及び慢性閉塞性気道疾患のような炎症性肺疾患;角膜ジストロフィー、トラコーマ、回旋糸状虫症、ブドウ膜炎、交感神経性眼炎及び眼内炎を含めた眼の炎症性疾患;歯肉炎と歯周炎を含めた歯肉の慢性炎症性疾患;結核;らい;尿毒症の合併症、糸球体腎炎及びネフローゼを含めた腎臓の炎症性疾患;硬化性皮膚炎、乾癬及び湿疹を含めた皮膚の炎症性疾患;神経系の慢性脱髄性疾患、多発性硬化症、AIDS起因性神経変性症及びアルツハイマー病、感染性髄膜炎、脳脊髄炎、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、筋萎縮性側索硬化症及びウイルス性又は自己免疫性脳炎を含めた中枢神経系の炎症性疾患;自己免疫疾患、免疫複合体脈管炎、全身性狼瘡と紅斑性狼瘡;全身性エリテマトーデス(SLE);及び心筋症のような心臓の炎症性疾患、虚血性心疾患、高コレステロール血症、アテローム性動脈硬化症;また子癇前症を含めた重要な炎症性コンポーネントによる他の様々な疾患;慢性肝不全、脳と脊髄外傷、癌。あるいは、グラム陽性又はグラム陰性細菌性ショック、出血性又はアナフィラキシーショック、若しくは前炎症性サイトカインに反応して癌化学療法によって誘発されたショック(例えば前炎症性サイトカインに関連したショック)のような、全身性の炎症も挙げられる。このようなショックは、例えば癌化学療法に用いられる化学療法剤によって誘発されることもある。本願明細書の中で、「炎症性疾患の治療」とは、炎症性疾患、そのような疾患の症状又はその素因をもつ被験者に対して、炎症性疾患、その症状、又はその素因を治療し、軽減させ、変化させ、影響を与え、又は予防する目的で、本発明の化合物を投与することを表す。
【0031】
また、本発明の化合物を、植皮又は臓器移植を受けた被験者(ランゲルハンス島の移植を受けた糖尿病の被験者)のような、免疫抑制の必要な被験者を治療するために用いることもできる。
【0032】
「有効量」とは、この化合物を被験者に投与する場合、転帰が有効に得られる化合物の量、又はin vivo及び in vitroにおいて望ましい薬理活性が得られる化合物の量のいずれかを指す。炎症性疾患及び自己免疫疾患の症例において、臨床症状の有効な転帰には、治療を行わない場合と比較して、疾患又は変調に関連した症状の程度又は重症度の低下、及び/若しくは寿命の延長、及び/若しくは被験者の生活の質の向上が含まれる。被験者に投与される化合物の正確な量は、疾患(disease,disorder or condition)の種類と重症度、及び健康状態、年齢、性別、体重及び薬物耐性のような被験者の特徴によって決定される。また、炎症性疾患又は自己免疫疾患の重症度及び種類、又は要求される免疫抑制の程度にも左右される。当業者であれば、これらの因子と他の因子によって決定される適切な用量を決定することが可能である。開示された化合物の有効量は、特に1日あたり約1mg/mmから1日あたり約10g/mm、好ましくは1日あたり10mg/mmから約1g/mmの範囲である。
【0033】
本発明の化合物には、1つ以上のキラルの中心及び/若しくは二重結合が含まれるため、二重結合による異性体(すなわち、幾何学的異性体)、エナンチオマー、又はジアステレオマーのような立体異性体として存在することもある。本願明細書の中に構造又は名称により記載された化合物に関して、個々の原子の立体化学的特徴が特に明記されない場合、相当する化合物全てのエナンチオマーと立体異性体が含まれ、すなわち立体異性体として純粋(幾何学的に純粋な、エナンチオマーとして純粋な、又はジアステレオマーとして純粋な)異性体のみを含む場合、並びにエナンチオマーと立体異性体の混合物の場合が含まれる。
【0034】
「IL−2の産生を阻害する」等の用語は、IL−2合成を(例えば、転写(mRNA発現)、若しくは翻訳(タンパク発現)を阻害することによって)阻害すること、及び/又はIL−2を産生及び/若しくは分泌する能力を有する細胞(例えば、Tリンパ球)のIL−2分泌を阻害することを表す。
【0035】
本願明細書において、化合物を「顕著に」含む組成物とは、組成物が化合物全体の約80重量%以上、より好ましくは約90重量%以上、更に好ましくは約95重量%以上、また最も好ましくは約97重量%以上含有することを表す。
【0036】
本願明細書において、化合物を「実質的に含まない」組成物とは、組成物が化合物全体の約20重量%以下、より好ましくは約10重量%以下、更に好ましくは約5%重量以下、また最も好ましくは約3重量%以下含有することを表す。
【0037】
本願明細書において、反応が「顕著に完了する」とは、目的の生成物を約80重量%以上、より好ましくは目的の生成物を約90重量%以上、更に好ましくは目的の生成物を約95重量%以上、また最も好ましくは目的の生成物を約97重量%以上含有することを表す。
【0038】
本願明細書において、「ラセミ混合物」とは、分子内の全てのキラルの中心に関連して、あるエナンチオマー約50%に対してそれに対応するエナンチオマーが約50%である状態を表す。本発明は、開示された合成物のいかなる純粋なエナンチオマー、高純度のエナンチオマー、純粋なジアステレオマー、高純度のジアステレオマー、並びにラセミ混合物も含まれる。
【0039】
エナンチオマーとジアステレオマーの混合物は、キラル相ガスクロマトグラフィー、キラル相高性能液体クロマトグラフィー、キラル塩複合体としての化合物の晶出、又はキラル溶媒中の化合物の晶出のような公知の方法によって、コンポーネントのエナンチオマー又は立体異性体に分離することができる。また、エナンチオマーとジアステレオマーは、公知の非対称合成法によって、ジアステレオマーとして純粋な、又はエナンチオマーとして純粋な中間物、試薬、及び触媒を用いて調製することができる。
【0040】
本発明の化合物は、本願明細書の中で化学構造及び/若しくは化学名で定義される。化合物が化学構造及び/若しくは化学名で記述されている場合、そして化学構造と化学名が矛盾する場合、その化合物の同定に際しては化学構造が優先する。
【0041】
本発明の化合物を患者に対して、例えばヒトでない動物に獣医学的に、若しくは家畜類の疾病の改善のために、又は、ヒトに対して診療的に投与する場合、例えば単離された形で又は医薬組成物学的組成における単離型として投与する。本願明細書において、「単離された」とは、本発明の化合物が、植物又は細胞、好ましくは細菌培養細胞のような(a)天然の供給源、又は(b)合成有機化学反応混合物のいずれかの他のコンポーネントから分離されたという意味を表す。好ましくは、従来の方法によって、本発明の化合物が精製される。本願明細書において、「精製される」とは、単離した場合に、前記単離物中に含まれる本発明の化合物が少なくとも95重量%、好ましくは少なくとも98重量%を含有されることを表す。
【0042】
結果として安定な構造に至る置換基の選択及び組み合わせのみが問題となる。このような選択及び組み合わせは当業者であれば自明であり、過度な実験を要すことなく決定することができる。
【0043】
本発明は、以下の詳細な説明及び実施例を参照することによって更に十分に理解することが可能となり、またそれらは本発明の実施態様の例証に過ぎず、本発明をいささかも限定するものではない。
【0044】
(具体的な実施態様)
本発明は、特に免疫抑制、又は炎症性疾患及び免疫疾患を治療又は予防するために有用な化合物及び医薬組成物に関する。
【0045】
本発明の具体的な方法及び医薬組成物には、有効成分として開示された化合物が含まれる。
【0046】
本発明の1つの実施例は、本願明細書の中で開示された化合物の有効量を投与することを含む、患者の免疫抑制方法、又は炎症性疾患若しくは免疫疾患を治療若しくは予防する方法に関する。
【0047】
本発明の1つの実施例は下記の構造式(I)で表された化合物、又はそれを含む医薬的に許容される塩、溶媒和物若しくは包接化合物である。ここで:
【化2】

Cyは単環式若しくは二環式の、芳香族若しくは非芳香族の、カルボシクリル若しくはヘテロシクリル化合物であり、
Yは単環式若しくは二環式の、芳香族若しくは非芳香族の、カルボシクリル若しくはヘテロシクリル基であり、
は=O、=S、=NOR又は=C(R)(R)であり、
は単環式若しくは多環式の、非芳香族若しくは芳香族の、カルボシクリル若しくはヘテロシクリル基であり、Rが=OのときにはRが1つ以上のハロゲン、低級パーフルオロアルキル若しくは低級パーフルオロアルコキシで置換されたフェニル基であるか、又はRとRが統合して単環式若しくは多環式の、非芳香族若しくは芳香族の、カルボシクリル若しくはヘテロシクリル基を形成することが可能で、
個々のRはCyに結合した置換基であり、独立してハロゲン、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、CN、NO、OR、N(R)(R)、SR、CO、CON(R)(R)、SOR、SO、COR、NRCOR、NRCON(R)(R)、SON(R)(R)、NRSOR及びArの中から選択され、
nは0,1,2又は3から選択される整数であり、
個々のArは独立してハロゲン、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、CN,NO,R,OR,N(R)(R),SR,CO,CON(R)(R),SOR,SO,COR,NRCOR,NRCON(R)(R),SON(R)(R)又はNRSORで任意に置換されたアリール又はヘテロアリール基であり、
個々のRは独立して水素、又は1つ以上のアミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルチオ、オキソ(=O)、チオ(=S)、イミノ(=NH)、アルキルイミノ(=N−アルキル)、ハロゲン、アシル、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、アリール、アルキルアリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアミノ、カルボシクリル、カルボシクリルオキシ、カルボシクリルチオ、カルボシクリルアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ若しくはヘテロシクリルチオ基で任意に置換されたアルキル基であり、
個々のRは独立してCN又はCOであり、及び
個々のRは独立して1つ以上のアミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルチオ、オキソ(=O)、チオ(=S)、イミノ(=NH)、アルキルイミノ(=N−アルキル)、ハロゲン、アシル、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、アリール、アルキルアリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアミノ、カルボシクリル、カルボシクリルオキシ、カルボシクリルチオ、カルボシクリルアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ又はヘテロシクリルチオ基で任意に置換されたアルキル基である。
【0048】
本発明の他の実施例は構造式(I)で表される。ここで:
Cyはがベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、テトラジン、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イミダゾール、チアゾール、イソキサゾール、ピラゾール又はイソチアゾールで任意に融合されたフェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル又はチアジアゾリル基である、
化合物である。
、また、構造式(I)における残りの変数は前記と同様である。
【0049】
本発明の他の実施例は構造式(I)で表された化合物である。ここで:
Cyは、以下の構造式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(X)、(XI)、又は(XII)の基であり、
【化3】

個々の構造式(I)から(XII)は、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、テトラジン、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イミダゾール、チアゾール、イソキサゾール、ピラゾール又はイソチアゾールで任意に融合され、
ZはO、S又はNRであり、及び
個々のXは独立してCH、CR又はNである。
残りの変数は前記と同様である。
【0050】
本発明の他の実施例は、以下の構造式(XIII)で表された化合物、又はそれを含む医薬的に許容される塩、溶媒和物若しくは包接化合物である。ここで:
【化4】

は=O、=S、=NOR又は=C(Rであり、Rはアリール、シクロアルキル、ビシクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルケニル又はヘテロシクリル基であり、Rが=Oである場合にはRが1つ以上のハロゲン、低級パーフルオロアルキル若しくは低級パーフルオロアルコキシ基で置換されたフェニル基であるか、又はRとRが統合されアリール、シクロアルキル、ビシクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルケニル又はヘテロシクリル基を形成する。
好ましくは、RとRが統合されアリール、シクロアルキル、ビシクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルケニル又はヘテロシクリル基を形成する。
更に好ましくは、RとRが統合され、任意に1つ以上のハロゲン、低級パーフルオロアルキル若しくは低級パーフルオロアルコキシ基で置換されたフェニル基、更に好ましくは同様に置換された1,4−フェニル基を形成する。
構造式(XIII)の残りの変数は、前記の構造式(I)について記載したものと同様である。
【0051】
他の実施例は、RがC=Oである、構造式(XIII)で表される化合物であり、残りの変数は前記と同様である。
【0052】
本発明の他の実施例は、以下の構造式(XIV)で表される化合物、又はこの化合物の医薬的に許容可能な塩、溶媒化合物又は包接化合物である。ここで:
【化5】

QはCH又はN、好ましくはCHである。
環Aは任意にいずれかの置換可能な炭素原子の位置で置換され、任意に置換されたフェニル環に任意に融合される。
は=O、=S、=NOR又は=C(R)(R)である。
は単環式若しくは多環式の、非芳香族若しくは芳香族の、カルボシクリル若しくはヘテロシクリル化合物である;若しくは統合されたRとRが単環式若しくは多環式の、非芳香族若しくは芳香族の、カルボシクリル若しくはヘテロシクリル化合物基を生成する可能性がある;好ましくは、Rが=Oである場合、Rが1つ以上のハロゲン、低級パーフルオロアルキル若しくは低級パーフルオロアルコキシ基で置換されたフェニル基である。
構造式(XIV)の残りの変数は、構造式(I)について記載したものと同様である。
【0053】
本発明の他の実施例は、構造式(XIV)で表される化合物である。ここで:
Cyは、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、テトラジン、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イミダゾール、チアゾール、イソキサゾール、ピラゾール又はイソチアゾール基で任意に融合されたフェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、又はチアジアゾリル基である。
構造式(XIV)の残りの変数は、前記と同様である。
【0054】
本発明の他の実施例は、構造式(XIV)で表される化合物である。ここで:
Cyは、構造式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(X)、(XI)、又は(XII)の基である。構造式(XIV)の残りの変数は、前記と同様である。
【0055】
本発明の他の実施例は、以下の構造式(XV)又は(XVI)で表される化合物である。ここで:
【化6】

【化7】

構造式(XV)及び(XVI)の残りの変数は構造式(XIV)について先に記載したものと同様である。好ましくは、構造式(XV)において、RとRが統合され任意に置換されたアリール(好ましくはフェニル)であり;構造式(XVI)において、Rは任意に置換されたフェニルである。更に好ましくは、RとR(構造式(XV)において)及びR(構造式(XVI)において)で表されたアリール基(好ましくはフェニル環)から生成されたA環及びアリール基(好ましくはフェニル環)は、任意にそして独立してハロゲン、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル(好ましくは低級パーフルオロアルキル)、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ基(好ましくは低級パーフルオロアルコキシ)、CN,NO,R,OR,N(R)(R),SR,CO,CON(R)(R),SOR,SO,COR,NRCOR,NRCON(R)(R),SON(R)(R),及びNRSORから独立して選択された1つ以上の基で置換される。
【0056】
更に好ましくは、本発明の化合物は構造式(XVII)又は(XVIII)で表される。ここで:
【化8】

【化9】

10とR11は独立してH、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル、フラニル、チエニル、フェニル、低級アルコキシ又は低級ハロゲンアルコキシであり、またRは個々に−H、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ又は低級ハロゲンアルコキシであり;構造式(XVII)及び(XVIII)の残りの変数は構造式(XV)と(XVI)について先に記載したものと同様である。更に好ましくは、Rは独立して、−H、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ又は低級ハロゲンアルコキシであり、RとR(構造式(XVII)において)及びR(構造式(XVIII)において)で表されたアリール基(好ましくはフェニル環)から生成されたアリール基(好ましくはフェニル環)は、1つ以上のハロゲン、低級パーフルオロアルキル、低級パーフルオロアルコキシ基で置換される;そして、R10とR11は独立してH、低級アルキル、低級パーフルオロアルキルである。
【0057】
本発明の他の実施例には、本願明細書の中で開示された有効量の化合物、又は医薬的に許容可能なその化合物の塩、溶媒化合物若しくは包接化合物を含む医薬組成物が含まれる。この医薬組成物は免疫抑制、又は炎症性疾患及び免疫疾患の治療又は予防に有用である。
【0058】
本発明のさらなる実施例には、本願明細書の中で開示された有効量の化合物、又は医薬的に許容可能なその化合物の塩、溶媒化合物若しくは包接化合物、又は、本願明細書の中で開示された化合物、又は医薬的に許容可能なその化合物の塩、溶媒化合物若しくは包接化合物含む医薬組成物を被験者に投与することを含む、免疫抑制の必要な被験者における免疫系の抑制法が含まれる。一般に、医師又は獣医師は被験者が免疫抑制を必要としているかどうかを判断することができる。特に、臓器移植を受けた被験者には免疫抑制が必要である。他の実施例において、自己免疫疾患又は炎症性疾患の被験者に対する免疫抑制が必要となることもあり得る。
【0059】
本発明のさらなる実施例には、本願明細書の中で開示された有効量の化合物、又は医薬的に許容可能なその化合物の塩、溶媒化合物若しくは包接化合物、又は、本願明細書の中で開示された化合物、又は医薬的に許容可能なその化合物の塩、溶媒化合物若しくは包接化合物含む医薬組成物を、それを必要とする患者に投与することを含む、免疫抑制の方法又は炎症性疾患及び免疫疾患を治療又は予防するための方法が含まれる。
【0060】
更に他の実施例には、本願明細書の中で開示された有効量の化合物、又は医薬的に許容可能なその化合物の塩、溶媒化合物若しくは包接化合物、又は、本願明細書の中で開示された化合物、又は医薬的に許容可能なその化合物の塩、溶媒化合物若しくは包接化合物含む医薬組成物を用いて、IL−2産生を阻害する方法が含まれる。
【0061】
構造式(I)の化合物又は以下に示した個々の化合物のいずれかに対して用いられる置換基は、結果として安定な化合物の生成に至るいずれかの組み合わせで用いることができる。このようないかなる組み合わせも本発明に含まれる。
【0062】
本発明の代表的な化合物は、実施例2で示した表に記載している。
【0063】
本発明は更に、本発明の化合物の医薬組成物について詳細に説明した以下の例を参考にすることによって定義される。材料及び方法についての多様な変更を、本発明の目的と意義から逸脱することなしに行うことができることは、当業者には明白であろう。以下の例は、本発明の理解を補助するための記載であり、本願明細書の中で説明され、請求された本発明を限定するものと解釈すべきではない。本発明を、現在公知であり、また後に公知となる、当業者の権限の範囲内のあらゆる均等物へ置き換えること、並びに医薬組成物の変更又は実験デザインのわずかな変更は、本願明細書に記載の本発明の範囲の中に含まれると考えるべきである。
【0064】
(治療及び予防の方法)
本発明に従って、本願明細書の中に開示された有効量の化合物、又は医薬的に許容可能なその化合物の塩、溶媒化合物若しくは包接化合物、又は、本願明細書の中で開示された化合物、又は医薬的に許容可能なその化合物の塩、溶媒化合物若しくは包接化合物含む医薬組成物は、免疫抑制を必要とする患者、又は炎症性疾患及び免疫疾患を治療若しくは予防することが必要な患者に投与される。
【0065】
被験者の個々の炎症性疾患又は免疫疾患の反応性は、直接測定することもでき(本発明の化合物又は医薬組成物の投与後、炎症性サイトカイン(IL−2、IFN−γ等のような)の血中レベルを測定することにより)、又は疾患の原因及び進行状態について解明できたことに基づいて推測することもできる。開示された化合物、又は医薬的に許容可能なその化合物の塩、溶媒化合物若しくは包接化合物は、ヒトに投与する前に、in vitro 又はin vivoにおいて望ましい治療的又は予防的薬理活性を検定できる。例えば、本発明の化合物の安全性と有効性を実証するために、炎症性疾患又は免疫疾患の公知のモデル動物を用いることができる。
【0066】
(医薬組成物及び剤形)
本発明の医薬組成物及び剤形は、対応する量の1つ以上の有効成分を含み、所定の医薬組成物又は剤形を免疫抑制、又は炎症性疾患及び免疫疾患を治療若しくは予防するために投与可能な方法で、製剤化される。好ましい医薬組成物及び剤形は、任意に1つ以上の他の有効成分と組み合わせて、開示された化合物、又は医薬的に許容可能なその化合物の塩、溶媒化合物若しくは包接化合物を含む。
【0067】
本発明の一体型の剤形は、患者に対して経口、経粘膜(例えば、経鼻、舌下、経膣、経頬、経直腸)、非経口的(例えば、皮下、静脈内、ボーラス投与の注射、粘膜内、又は動脈内)、又は経皮投与に適している。剤形の例には、これらに限定しないが、錠剤、カプレット、弾性を有するソフトカプセルのようなカプセル、カシェ、トローチ、ロゼンジ、分散剤、坐剤、軟膏、パップ剤(湿布)、パスタ剤、散剤、被覆剤、クリーム、硬剤、溶液、貼剤、エアゾル(例えば鼻スプレー又は吸入)、ゲル、懸濁液(例えば、水溶性又は非水溶性液体懸濁液、O/W型乳剤、若しくはW/O型液体乳剤)、溶液、及びエリキシルを含めた患者への経口又は経粘膜投与に適した液体の剤形、患者への非経口的投与に適した液体の剤形、及び患者への非経口的投与に適した液体の剤形を供給するために溶解できる無菌固体医薬組成物(例えば、結晶又は無定形固体)が含まれる。
【0068】
本発明の組成、形状、及び剤形の種類は、特にそれらの投与法によって異なる。例えば経粘膜投与に適した剤形は、同じ適応症を治療するために用いられる経口の剤形に比較してより少量の有効成分を含むと考えられる。本発明のこの特徴は、当業者には容易に理解できるであろう。
【0069】
代表的な医薬組成物及び剤形は、1つ以上の添加物を含む。適した添加物は製薬会社の当業者には十分知られており、これらに限定されないが、適した添加物の例が本願明細書の中に記載されている。個々の添加物が医薬組成物又は剤形に含まれるのに適しているかどうかは、これらに限定されないが、患者に投与されると思われる方法を含めて、当業者には良く知られた多様な因子によって決まる。例えば、錠剤のような経口用剤形は、非経口的剤形における投与には適さない添加物を含む可能性がある。
【0070】
個々の添加物の適合性は、その剤形の個々の有効成分によって左右される可能性がある。例えば、乳糖のような一部の添加物によって、又は水に曝露された場合、一部の有効成分の分解が促進されるおそれがある。第一又は第二アミン(例えば、N−デスメチルベンラファキシン及びN,N−ジデスメチルベンラファキシン)を含む有効成分は、個々にこのような促進された分解の影響を受けやすい。したがって、本発明には、乳糖をたとえ含有したとしても、ほとんど含有しない医薬組成物及び剤形が含まれる。本願明細書の中で用いられたように、「乳糖を含まない」という用語は、含有される乳糖の量が、たとえ含有されたとしても、有効成分の分解速度を顕著に増大させるのには不十分であることを表す。本発明の乳糖を含まない医薬組成物には当業者には良く知られた、また例えば米国薬局方(USP)SP(XXI)/NF(XVI)に列挙された添加物が含まれることもある。一般に乳糖を含まない医薬組成物には、医薬組成物学的に適合する、また医薬的に許容可能な量の有効成分、結合剤/賦形剤、及び潤滑剤が含まれる。好ましい乳糖を含まない剤形には、有効成分、微晶性セルロース、非ゼラチン化デンプン、及びステアリン酸マグネシウムが含まれる。
【0071】
本発明には更に、水が一部の化合物の分解を促進するため、有効成分を含む乾燥医薬組成物及び剤形が含まれる。例えば、水(例えば、5%)の追加は、経時的な医薬組成物の有効期間又は安定性のような特徴を確認するために、長期保存に対する模擬実験の方法として製薬会社の当業者には広く受け入れられている。例えば、Jens T.Carstensen(1995)Drug Stability:Principles & Practice,2d.Ed.,Marcel Dekker,NY,NY,379−80を参照のこと。実際には、水と熱は一部の化合物の分解を促進する。すなわち、医薬組成物の製造、操作、包装、保存、出荷、及び投与中に水分及び/若しくは湿気に遭遇することが頻繁に生じるため、医薬組成物に対する水の作用は非常に重要な問題である。
【0072】
本発明の乾燥医薬組成物及び剤形は、乾燥した又は水分含有量の少ない有効成分を用いて、また湿気の少ない、湿度の低い状態において調製することができる。製造、包装、及び/若しくは保存中に湿気及び/若しくは湿度の高い状態に顕著に接触することが予想される場合、乳糖及び第一級又は第二級アミンを含む少なくとも1つの有効成分を含む医薬組成物と剤形は、乾燥しているのが好ましい。
【0073】
乾燥医薬組成物は、乾燥した状態が維持されるように調製及び保存する必要がある。したがって、乾燥医薬組成物は、医薬組成物をキット化して水に対する曝露を防ぐことが知られている材料を用いて包装するのが好ましい。適した包装の例としては、密封されたホイル、プラスチック、投薬単位ごとの封入容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、及びストリップパックが含まれるが、これらに限定されない。
【0074】
本発明には更に、有効成分が分解する速度を低下させる1つ以上の化合物を含む医薬組成物及び剤形が含まれる。本願明細書の中で「安定剤」と呼んでいるこのような化合物には、これらに限定されないが、アスコルビン酸、pH緩衝液、又は塩の緩衝液が含まれる。
【0075】
添加物の量と種類、剤形中の有効成分の量と個々の種類は、患者に投与される経路のような因子によって異なる可能性があるが、これらに限定されない。ただし、本発明の代表的な剤形としては、開示された化合物、又は医薬的に許容可能なその化合物の塩、溶媒化合物若しくは包接化合物が、約1mgから約1000mg、好ましくは約50mgから約500mg、最も好ましくは約75mgから約350mg含まれる。代表的には、開示された化合物、又は医薬的に許容可能なその化合物の塩、溶媒化合物若しくは包接化合物を、1日あたり約1mgから5000mg、好ましくは1日あたり約50mgから1500mg、更に好ましくは約75mgから約1000mgの範囲で投与するのが望ましい。個々の患者に対して適切な投与量及び剤形を決定することは、当業者には容易である。
【0076】
(経口用剤形)
本発明の医薬組成物は、これらに限定されないが、錠剤(例えば、チュアブル錠)、カプレット、カプセル、及び液剤(矯味剤入りシロップ)のような個々別々の剤形として提供することができる。このような剤形には予め決定された量の有効成分が含まれ、当業者に公知の調剤の方法によって調製できる。全般的には、Remington‘s Pharmaceutical Sciences(1990)18版、Mack Publishing、イーストン、ペンシルベニア州を参照のこと。
【0077】
本発明の代表的な経口用剤形は、従来の製薬学的配合法に従って、有効成分を、少なくとも1つの添加物を含む混合液中で混合することによって調製する。添加物は、目的とする投与方法に従い、様々な形をとることができる。例えば、経口用の液体の剤形又はエアゾルの剤形による投与に適する添加物としては、これらに限定されないが、水、グリコール、オイル、アルコール、矯味料、保存料、及び着色料が含まれる。また、固体の経口用剤形(例えば、散剤、錠剤、カプセル、及びカプレット)には、これらに限定されないが、デンプン、糖、微晶質のセルロース、希釈剤、顆粒化剤、潤滑剤、結合剤、及び崩壊剤が含まれる。
【0078】
錠剤及びカプセルは、投与が容易であるため、固体の添加物の使用の際に用いられる最適な経口用投薬単位の一例である。望ましくは、錠剤は標準的な水溶性又は非水溶性の方法によってコーティングされる。このような剤形は、いかなる製薬法によっても調製することができる。一般に、医薬組成物及び剤形は、有効成分を液体の基剤、細かく分割された固体の基剤、又はその両方と均一に良く混合し、その後必要であれば医薬品を適切な体裁に成型することによって調製する。
【0079】
例えば、錠剤は圧縮又は成型によって調製できる。圧縮による場合、任意に添加物と混合した散剤又は顆粒のような流動性を保っている剤形の有効成分を、適当な機器にて圧縮することによって錠剤を調製することができる。また成型による場合、不活性の液体賦形剤により湿らせた粉末混合物を、適切な機器にて成型することによって、錠剤を調製することができる。
【0080】
本発明の経口用剤形で用いることができる添加物の例としては、結合剤、賦形剤、崩壊剤、及び潤滑剤が含まれるが、これらに限定されない。医薬組成物及び剤形に用いるために適合する結合剤には、コーンスターチ、バレイショデンプン、又は他のデンプン、ゼラチン、アカシアのような天然及び合成ゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルギン酸塩、粉末トラガカント、グアルゴム、セルロースとその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、α化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えばNos.2208、2906、2910)、微晶質セルロース、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0081】
微晶質セルロースの望ましい形態としては、AVICEL−PH−103 AVICEL RC−581、AVICEL−PH−105(FMC Corporation、American Viscose Division、Avisel Sales、Marcus Hook、ペンシルベニア州)及びその混合物が含まれるが、これらに限定されない。具体的な結合剤の一例は、AVICEL RC−581として販売されている微晶質セルロースとカルボキシメチルセルロースの混合物である。乾燥した又は水分含有量の少ない添加物(又は添加剤)(excipients or additives)にはAVICEL−PH−103J及びStarch 1500LMが含まれる。
【0082】
本願明細書の中で開示された医薬組成物及び剤形における使用に適する充填剤の例には、タルク、炭酸カルシウム(顆粒又は粉末状)、微晶質セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、α化デンプン、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物の結合剤又は充填剤は、特に医薬組成物又は剤形の約50から約99重量%含まれる。
【0083】
崩壊剤は、水溶性の環境に曝露された場合崩壊する錠剤を調製する場合に、本発明の組成物に用いられる。崩壊剤を過多に含有する錠剤は保存中に崩壊するおそれがあり、一方過少に含有する錠剤は適切な速度、又は適切な条件下で崩壊しないおそれがある。それ故、本発明の固体の経口用剤形を調製するためには、多すぎたり少なすぎたりして有効成分の放出に影響を与えることのない程度に、十分な量の崩壊剤を用いる必要がある。用いられた崩壊剤の量は剤形の種類によって様々であり、当業者には容易に区別できる。代表的な医薬組成物には、約0.5から約15重量パーセントの崩壊剤、好ましくは約1から5重量パーセントの崩壊剤が含まれる。
【0084】
本発明の医薬組成物及び剤形に使用可能な崩壊剤としては、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微晶質セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、馬鈴薯若しくはタピオカ澱粉、他の澱粉、非ゼラチン化澱粉、他の澱粉、クレイ、他のアルギン、他のセルロース、ガム及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。
【0085】
本発明の医薬組成物及び剤形に用いることができる潤滑剤には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽質鉱油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素添加した植物油(例えば、ピーナッツオイル、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、コーン油、及びダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル、寒天、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。その他の潤滑剤には、例えば、Syloid(登録商標)シリカゲル(AEROSIL200、製造元:W.R.Grace社、ボルチモア、メリーランド州)、合成シリカの凝固エアゾル(販売元:Degussa社.プラノ、テキサス州)、CAB−O−SIL(発熱性二酸化ケイ素、販売元:Cabot社、ボストン、マサチューセッツ州)及びそれらの混合物が含まれる。それらを用いる場合、潤滑剤は、それが含有される医薬組成物又は剤形の約1重量パーセント以下の量で用いるのが望ましい。
【0086】
(徐放性の剤形)
本発明の有効成分は、徐放性の手段又は当業者には良く知られた輸送手段を用いて投与することができる。その例としては、以下の米国特許番号:3,845,770、3,916,899、3,536,809、3,598,123、及び4,008,719、5,674,533、5,059,595、5,591,767、5,120,548、5,073,543、5,639,476、5,354,556及び5,733,566に記載されたものが含まれるが、これらに限定されない。これらは本願明細書の参考文献に含まれる。このような剤形は、種々の比率で適切な放出プロファイルを得るために、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、浸透膜、浸透システム、多層コーティング、微小粒子、リポゾーム、中心体を用いて、又はそれらを併用して1つ以上の有効成分を徐放性にするために用いることができる。本願明細書の中に記載したものを含めた、当業者に公知の適合した徐放性剤形は、本発明の有効成分と共に用いるために容易に選択できる。したがって、本発明には、徐放性に優れた、錠剤、カプセル、ゲルキャップ、及びカプレットのような経口投与用の投与単位が含まれるが、これらに限定されない。
【0087】
全ての徐放性医薬組成物は、それらと同じ力価の非徐放性の医薬組成物の場合よりも薬物療法の効果を高めるという共通の目的を有する。理論的に言えば、内科的治療における最適にデザインされた徐放性医薬組成物の投与法は、最小の時間内に疾患を治療又はコントロールするために最小の薬剤が用いられることが特徴である。徐放性の医薬組成物の利点としては、薬剤の持続的な活性、投与回数の減少、及び患者のコンプライアンスの向上が挙げられる。更に、徐放性医薬組成物は、作用の開始時期、又は薬剤の血中濃度のような他の特徴に影響を与えるために用いることができ、またそれにより、副作用(有害作用)の発現率に影響を与えることもできる。
【0088】
大部分の徐放性医薬組成物は、適切な治療効果を生み出す一定量の薬剤(有効成分)を初期に放出し、その後長期間にわたってこのレベルの治療又は予防効果を維持するために他の量の薬剤を漸次に持続的に放出するよう設計されている。体内の一定の薬剤濃度を維持するために、代謝され体内から排出される量を補う程度の速度で、薬剤が剤形から放出される必要がある。有効成分の徐放性は、これらに限定されないが、pH、温度、酵素、水又は他の生理学的条件又は化合物を含めた様々な条件によって刺激されることもある。
【0089】
本発明における望ましい持続性放出医薬組成物としては、更に微晶質セルロース及び、任意に、エチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースの混合物でコーティングされたヒドロキシプロピルメチル−セルロースを含む回転楕円面体の中に、開示された化合物又は医薬的に許容可能なその化合物の塩、溶媒化合物若しくは包接化合物が挙げられる。このような持続性徐放性医薬組成物は、米国特許第6,274,171に従って調製することができ、その全ての内容は本発明に援用される。
【0090】
本発明の個々の徐放性医薬組成物には、約6重量%から約40重量%の開示された化合物、約50重量%から約94重量%の微晶性セルロース(米国医薬規格(NF))、及び任意に、回転楕円面体がエチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースからなるフィルムコーティング組成物によって被覆された、約0.25重量%から約1重量%のヒドロキシプロピル−メチルセルロース(米国薬局方(USP))を含む。
【0091】
(非経口的剤形)
非経口的剤形は、これらに限定されないが、皮下、静脈内(ボーラス投与の注射を含めて)、筋肉内、及び動脈内を含めた様々な経路によって患者に投与できる。それらの投与法は、特に汚染に対する患者の自然防御機能が働かない回り道をするため、非経口的剤形は、好ましくは滅菌されているか又は患者に投与する前に滅菌可能な状態にする。非経口的剤形の例には、これらに限定されないが、注射用溶液、医薬的に許容可能な注射用賦形剤中に溶解又は懸濁可能な乾燥品、注射用懸濁液、及びエマルジョンが含まれる。
【0092】
本発明の非経口的剤形を供給するために用いることができる適合した賦形剤は当業者には良く知られている。その例には、これらに限定されないが:注射用蒸留水USP; これらに限定されないが、塩化ナトリウム注、リンゲル液、デキストロース注、デキストロースと塩化ナトリウム注、及び乳酸リンゲル液のような、水溶性賦形剤;またこれらに限定されないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールのような水混和性賦形剤;及びこれらに限定されないが、コーン油、綿実油、ピーナッツオイル、ゴマ油、オレイン酸エチル、イソプロピルミリステート、及びベンジル安息香酸のような非水溶性賦形剤が含まれる。
【0093】
本願明細書の中に開示された1つ以上の有効成分の溶解度を高めるための化合物を、本発明の非経口的剤形に含めることもできる。
【0094】
(経皮的、局所的、及び経粘膜的剤形)
本発明の経皮的、局所的、及び経粘膜的剤形には、これらに限定されないが、眼科用溶液、スプレー、エアゾル、ローション、軟膏、ゲル、溶液、乳剤、懸濁液又は当業者に公知の他の剤形が含まれる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1980&1990)16版と18版、Mack Publishing,Easton PA及びIntroduction to Pharmaceutical Dosage Forms(1985)4版、Lea&Febiger、フィラデルフィアを参照のこと。口腔内の粘膜組織の治療に適合する剤形は、含漱剤又は経口用ゲルとして製剤化できる。更に経皮的剤形には、皮膚に適用でき、適切な量の有効成分を浸透させるのに必要となる一定の時間、皮膚に付着させることができる「リザーバー型」又は「マトリックス型」のパッチが含まれる。
【0095】
本発明に含まれる経皮的、局所的、及び経粘膜的剤形を調製するために使用可能な、最適な添加物(例えば、基剤及び賦形剤)及び他の物質は医薬組成物の当業者に公知であり、所定の医薬組成物又は剤形を処方することになる個々の組織に依存する。この点を考慮すると、無毒性で医薬的に許容可能なローション、チンキ、クリーム、乳剤、ゲル又は軟膏の形状を作り上げるための望ましい添加物としては、これらに限定されないが、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン、1,3−ジオール、イソプロピルミリステート、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、及びそれらの混合物が挙げられる。必要な場合、湿潤剤(moisturizer or humectants)も医薬組成物及び剤形に添加することができる。このような成分は当業者に公知である。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(1980&1990)16版と18版、Mack Publishing,Easton PAを参照のこと。
【0096】
治療を行う個々の組織によって、他の医薬組成物は本発明の有効成分による治療の前又は後に、有効成分と併用して用いることができる。例えば、組織に有効成分を輸送するのを助けるために透過促進剤を用いることができる。使用可能な透過促進剤には、アセトン;エタノール、オレイルアルコール、及びテトラヒドロフリルアルコールのような様々なアルコール;ジメチルスルホキシドのようなアルキルスルホキシド類;ジメチルアセタミド;ジメチルホルムアミド;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドンのようなピロリドン類;コリドン(登録商標) グレード(ポビドン、ポリビドン);尿素;及びTween80(ポリソルベート80)及びSpan60(モノステアリン酸ソルビタン)のような様々な水溶性あるいは不溶性の糖エステルが含まれるが、これらに限定されない。
【0097】
医薬組成物又は剤形のpH、又は医薬組成物又は剤形が処方される組織のpHを、1つ以上の有効成分の輸送が改善されるように調整しても良い。同様に、溶媒担体の極性、イオン強度、あるいは浸透圧の調整により輸送を改善しても良い。ステアリン酸塩のような化合物を医薬組成物あるいは剤形に添加し、1つ以上の有効成分の親水性又は親油性を好条件に変化させ、輸送を改善させることも可能である。この点では、ステアリン酸塩は医薬組成物に対する脂質の賦形剤として、乳化剤若しくは界面活性剤として、又は輸送促進剤若しくは浸透促進剤としての機能を発揮することができる。有効成分を含むその他の塩、水和物又は溶媒化合物を、得られた組成物の特性を更に調整するために用いることができる。
【0098】
(併用療法)
患者の免疫抑制の方法、又は炎症性疾患及び免疫疾患を治療若しくは予防する方法には、更に本発明の化合物を投与した患者に、有効量の1つ以上のその他の有効成分を投与することが含まれる。このような有効成分には、免疫抑制又は炎症性疾患又は免疫疾患に慣習的に用いられるものを含めることができる。本発明の化合物と併用してそれらが投与された場合、それらの他の有効成分は、他の有効性を発揮すると考えられる。例えば、他の治療薬には、これらに限定されないが、ステロイド、非ステロイド性抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、免疫抑制剤及び適合したそれらの混合物が含まれる。このような併用療法において、本発明の化合物及び他の薬剤は、共に従来の方法で被験者(例えば、ヒト、男性又は女性)に投与することもできる。この薬剤は単一の剤形で又は別々の剤形で投与されることもある。他の治療薬及び剤形の有効量は、当業者に公知である。また、他の治療薬の至適有効量の範囲を決定することは、当業者が通常なしうる範囲内である。
【0099】
本発明の1つの実施例において、他の治療薬を被験者に投与する場合は、本発明の薬剤の有効量は、他の治療薬が投与されない場合の有効量以下である。他の実施例では、前記従来の薬剤の有効量は、本発明の化合物が投与されない場合の従来の薬剤の有効量以下である。この方法により、いずれかの薬剤の多量の使用による副作用を最小限に抑えることができる。また、他に考えられる有用性(これらに限定されないが、薬物療法の改良及び/若しくは薬剤費の減少等)は当業者には自明であろう。
【0100】
自己免疫疾患及び炎症性疾患に関連した1つの実施例において、他の治療薬として、ステロイド又は非ステロイド性抗炎症剤が使用可能である。特に有用な非ステロイド性抗炎症剤としては、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラモプロフェン、ムロプロフェン、トリオキサプロフェン、スプロフェン、アミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロクス酸、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラク、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オキシピナク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルミック酸、トルフェナム酸、ジフルニサル、フルフェニサル、ピロキシカム、スドキシカム、イソキシカム;アスピリン、サリチル酸ナトリウム、コリントリサリチル酸マグネシウム、サルサレート、ジフルニサル、サリチルサリチル酸、スルファサラジン、及びオルサラジン;を含むサリチル酸誘導体;アセトアミノフェン及びフェナセチンを含むパラアミノフェノール誘導体;インドメタシン、スリンダク、及びエトドラクを含むインドール及びインデン酢酸類;トルメチン、ジクロフェナク及びケトロラクを含むヘテロアリール酢酸;メフェナム酸及びメクロフェナム酸を含むアントラニル酸(フェナム酸類);オキシカム(ピロキシカム、テノキシカム)を含むエノール酸;及びピラゾリジンジオン類(フェニルブタゾン、オキシフェンタルタゾン);及びナブメトンを含むアルカノン類及び医薬的に許容可能なそれらの塩及びそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)の更に詳細な説明として、Paul A.Insel,Analgesic−Antipyretic and Antiinflammatory Agents and Drugs Employed in the Treatment of Gout, in Goodman & Gilman‘s The Pharmacological Basis of Therapeutics 617−57(Perry B.Molinhoff and Raymond W. Ruddon 編集,9版 1996)及びGlen R.Hanson,Analgesic,Antipyretic and Anti−Inflammatory drugs in Remington:The Science and Practice of Pharmacy II巻 1196−1221(A.R.Gennaro編集19版1995)を参照のこと。これら全ての内容は、本発明を構成するものとして本願明細書において援用される。アレルギー性疾患に対する個々の適切なもののうち、他の治療薬は抗ヒスタミン剤であると考えられる。有用な抗ヒスタミン剤には、ロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン、デスロラタジン、ジフェンヒドラジン、クロルフェニラミン、クロルシクリジン、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、ドキセピン、カルビノキサミン、クレマスチン、トリペレナミン、ブロムフェニラミン、ヒドロキシジン、シクリジン、メクリジン、シプロヘプタジン、フェニンダミン、アクリバスチン、アゼラスチン、レボカバスチン、及びそれらの混合物が含まれるが、これらに限定されない。抗ヒスタミン剤のさらなる詳細な説明のために、Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(2001)651−57、10版を参照のこと。
【0101】
免疫抑制剤には、グルココルチコイド、コルチコステロイド(例:プレドニゾン又はソルメドロール)、T細胞遮断薬(例:シクロスポリンA及びFK506)、プリンアナログ(例:アザチオプリン(イムラン))、ピリミジンアナログ(例:シトシンアラビノシド)、アルキル化薬(例:ナイトロジェンマスタード、フェニルアラニンマスタード、ブスルファン、及びシクロホスファミド)、葉酸拮抗薬(例:アミノプテリン及びメトトレキセート)、抗生物質(例:ラパマイシン、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、ピューロマイシン、及びクロラムフェニコール)、ヒトIgG、抗リンパ球グロブリン(ALG)、及び抗体類(抗CD3(OKT3)、抗CD4(OKT4)、抗CD5、抗CD7、抗IL−2受容体、抗アルファ/ベータTCR、抗ICAM−1、抗CD20(リツキサン)、抗IL−12及び免疫毒素類に対する抗体)が含まれる。
【0102】
前記及びその他の有用な併用療法は、当業者であれば容易に理解し、評価できるであろう。このような併用療法において考えられる利点としては、異なる有効性プロファイル、個々の有効成分の投与量を減少させることにより有毒な副作用を最小限にとどめることが可能となること、有効性における相乗効果、投与又は使用の簡便性の改善及び/若しくは化合物の調製又は製剤化の全費用の減少が挙げられる。
【0103】
(他の実施例)
本発明の化合物は、研究の手段として(例えば、他のIL−2阻害剤を評価するための正の対照として)用いることもできる。本発明の化合物及び医薬組成物に関する上記又は他の実施態様は、当業者であれば明らかであると考えられる。
【0104】
本発明は更に、本発明の化合物の調製について詳細に説明した以下の実施例を参考にして規定される。当業者であれば、材料及び方法の両方に対する多くの変更を、本発明の目的及び重要性から逸脱することなく容易に実施することができると考えられる。以下の実施例は、本発明の理解を補助するものであり、本願明細書の中に説明され請求された態様に本発明が限定されるものと解釈すべきではない。本発明を、現在公知であり、また後に公知となる、当業者の権限の範囲内のあらゆる均等物へ置き換えること、並びに医薬組成物の変更又は実験デザインのわずかな変更は、本願明細書に記載の本発明の範囲の中に含まれると考えるべきである。
【0105】
この明細書全体を通して引用された、特許及び特許出願を含む全ての参考文献の内容は、その全ての内容が本発明を構成するものとして本願明細書にて援用される。
【実施例】
【0106】
(材料及び一般的な方法)
以下で用いられる試薬及び溶媒は、Aldrich Chemical社(ミルウォーキー、ウィスコンシン州、米国)のような販売元から入手できる。H−NMR及び13C−NMRスペクトルはVarian 300MH NMRスペクトロメータに記録した。有意なピークは順に以下のように要約される:δ(ppm):化学シフト、多重度(s、一重線;d、二重線;t、三重線;q、四重線;m、多重線;brs、幅広い一重線)ヘルツ(Hz)とプロトン数におけるカップリング定数。
【0107】
(一般的な合成方法)
本発明の化合物の調製法を、以下の反応式1〜5に示す。個々の化合物についての詳細な実験手順は、以下の(代表的な例)の項目に記載する。具体的な例として挙げられていない本発明の化合物は、原材料の適切な選択及び実験条件の通常の変化によって調製することが可能である。
【化10】

【化11】

【化12】

【化13】

【化14】

【0108】
(代表的な例)
(実施例1:本発明の代表的な例となる化合物の合成)
(化合物1:5−ジフルオロメトキシ−1−{4−[2−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−2−イソシアノビニル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−H−ピラゾール)
【化15】

【0109】
ステップ1:トリフルオロアセト酢酸エチルエステル(3.68g、20mmol)と4−塩酸ヒドラジノ安息香酸(3.77g、20mmol)のエタノール溶液(15mL)を、密封した試験管内で8時間、100℃で撹拌した。その混合物を室温まで冷却し、減圧下で溶媒を除去した。残留物をエーテル/ヘキサン(5:1V/V)と共に粉砕し、4−(5−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−安息香酸エチルエステル(2.67g、収率45%)の、黄色がかった白色の固体を得た。
【0110】
ステップ2:4−(5−ヒドロキシ−3−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)安息香酸エチルエステル(1g、3.3mmol)、ジフルオロクロロメタン(3g、34mmol)及び炭酸カリウム(0.5g、3.6mmol)DMF溶液(9mL)を、密封した試験管内で、−78℃で3分間、その後100℃で12時間撹拌した。混合液を−78℃で冷却し、沈殿物をろ過によって除去し、DMF(3×1mL)で洗浄した。ろ過液と洗浄液を冷水(200mL)に注いだ。得られた懸濁液を遠心分離用試験管に移し、内容物を室温で10分間遠心分離し、更にろ過して4−(5−ジフルオロメトキシ−3−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)安息香酸エチルエステル(1.1g、収率94%)の黄色の固体を得た。
【0111】
ステップ3:4−(5−ジフルオロメトキシ−3−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−安息香酸エチルエステル(0.4g、1.1mmol)無水トルエン溶液(8.0mL)を撹拌し、1MのDIBAL−Hトルエン溶液(1.33mL、1.33mmol)を加えた。得られた溶液を10分間室温で撹拌した。混合液をNHCl飽和水溶液(40mL)で急冷し、EtOAc(3×40mL)で抽出した。有機化合物を水と塩水で洗浄した。減圧下で溶媒を除去し、得られた残留物のクロマトグラフィー(SiO、10:1ヘキサン/EtOAc)精製により、シロップ状の[4−(5−ジフルオロメトキシ−3−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−メタノール(380mg、収率99%)を得た。
【0112】
ステップ4:4−(5−ジフルオロメトキシ−3−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−メタノール(380mg、1.2mmol)のDCM溶液(20mL)を過量のMnOで処理し、室温で24時間撹拌した。混合液をろ過し、ろ液を減圧下で濃縮した。クロマトグラフィー(SiO、10:1ヘキサン/EtOAc)精製により、シロップ状の4−(5−ジフルオロメトキシ−3−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−ベンズアルデヒド(380mg、収率93%)を得た。
【0113】
ステップ5:4−(5−ジフルオロメトキシ−3−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−ベンズアルデヒド(40.5mg、0.13mmol)及び2,3−ジフルオロベンジルアセトニトリル(20.3mg,0.13mmol)を撹拌したエタノール溶液(1mL)を、室温で40%KOH水溶液(0.1mL)を用い処理した。混合液を1時間撹拌した。得られた白色の沈殿物をろ過によって収集し、水で洗浄し、5−ジフルオロメトキシ−1−{4−[2−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−2−イソシアノ−ビニル]−フェニル}−3−トリフルオロメチル−1H−ピラゾールの白色固体:H−NMR(CDCl)δ6.39(s,1H),6.62(t,1H,J=70.8Hz),7.14−7.28(m,2H),7.36−7.42(m,1H),7.65(s,1H),7.80(d,2H,J=8.7),8.02(d,2H,J=8.7)ppm、ESMSはC2010O:441.1と算出;検出:442.0(M+H)、を得た。
【0114】
以下の実施例においても同様に合成した。
【0115】
(化合物2:3−[4−(5−ジフルオロメトキシ−3−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(2−フルオロ−フェニル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ6.32(s,1H),6.54(t,1H,J=70.8Hz),7.14−7.28(m,2H),7.30−7.40(m,1H),7.55−7.60(m,2H),7.70(d,2H,J=8.7),7.95(d,2H,J=8.7)ppm。ESMSはC2011O:423.1と算出した;検出:424.0(M+H)
【0116】
(化合物3:3−[4−(5−ジフルオロメトキシ−3−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ6.39(s,1H),6.62(t,1H,J=70.8Hz),7.04−7.21(m,2H),7.30−7.37(m,1H),7.65(s,1H),7.80(d,2H,J=8.7),8.02(d,2H,J=8.7)ppm。ESMSはC2010O:441.1と算出した;検出:442.0(M+H)
【0117】
(化合物4:3−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−アクリロニトリル)
【化16】

【0118】
ステップ1:1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−ペンタン−2,4−ジオン(3.16g,15.2mmol)及び4−塩酸ヒドラジノ安息香酸(2.86g,15.2mmol)のエタノール溶液(5mL)を、封印した試験管内で4時間、100℃で撹拌した。混合物を室温まで冷却し、減圧下で溶媒を除去した。残留物をクロマトグラフィー(SiO、4:1から3:1ヘキサン/EtOAc)精製し、シロップ状の4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−安息香酸エチルエステル(3.1g,収率58%):H−NMR(CDCl)δ1.40(t,3H,J=7),4.35−4.50(m,2H),7.10(s,1H),7.60(d,2H,J=7),8.21(d,2H,J=7)ppm、を得た。。
【0119】
ステップ2:4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−安息香酸エチルエステルの撹拌した乾燥トルエン溶液(20mL)を、室温で1MのDIBAL−Hのトルエン溶液(10.2mL、10.2mmol)で処理した。混合液をNHCl飽和水溶液(30mL)で急冷した。有機化合物の層を分離し、水溶液の層をEtOAc(2×30mL)で抽出した。有機化合物を水で洗浄し、無水NaSO水溶液(30mL)により乾燥、及び減圧下で溶媒を除去した。クロマトグラフィー(SiO、4:1ヘキサン/EtOAc)精製により、無色の油として[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−メタノール(2g,収率94.8%)を得た。
【0120】
ステップ3:[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−メタノール(2g)及びMnO(過量)のDCM溶液(30mL)を室温で24時間撹拌した。ろ過によって固体の物質を除去し、ろ液を減圧下で濃縮した。得られた残留物をフラッシュクロマトグラフィー(SiO、4:1ヘキサン/EtOAc)によって精製し、無色のシロップとして[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−ベンズアルデヒド(1.5g,収率76%)を得た。
【0121】
ステップ4:[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−ベンズアルデヒド(0.31mL、1mmol)及び2,3−ジフルオロベンジルアセトニトリル(0.15g,1mmol)を撹拌したエタノール溶液(0.85mL)を40%KOH(0.23mL)エタノール溶液(0.46mL)で処理し、1時間撹拌した。沈殿物をろ過によって収集し、水で洗浄し、白色固体として、3−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−アクリロニトリル(0.24g,収率52%):H−NMR(CDCl)δ7.13(s,1H),7.18−7.25(m,2H),7.38−7.44(m,1H),7.66(d,2H,J=8.7),7.68(s,1H),8.05(d,2H,J=8.7)ppm。ESMSはC20:443.0と算出;検出:444.0(M+H)、を得た。
【0122】
以下の実施例においても同様に合成した。
【0123】
(化合物5:3−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ7.03−7.22(m,3H),7.26−7.39(m,1H),7.65(d,2H,J=8.7),7.68(s,1H),8.05(d,2H,J=8.7)ppm。ESMSはC20:443.0と算出した;検出:444.0(M+H)
【0124】
(化合物6:3−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(2−フルオロ−フェニル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ7.12(s,1H),7.16−7.31(m,2H),7.37−7.46(m,1H),7.60−7.68(m,4H),8.04(d,2H,J=8.7)ppm。ESMSはC2010:425.1と算出した;検出:426.0(M+H)
【0125】
(化合物7:3−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ7.13(s,1H),7.2(m,3H),7.4(m,1H),7.7(d,2H,J=8)、8.0(d,2H,J=8)ppm。ESMSはC20:443.1と算出した;検出:444.0(M+H)
【0126】
(化合物8:3−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(2,3,4−トリフルオロ−フェニル)−アクリロニトリル)
H−NMR(DMSO−d)δ7.6(m,2H),7.8(d,2H,J=9),7.92(s,1H),8.02(s,1H),8.1(d,2H,J=9)ppm。ESMSはC20:461.1と算出した;検出:462.0(M+H)
【0127】
(化合物9:3−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(2,3,6−トリフルオロ−フェニル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ7.0(m,1H),7.14(s,1H)7.3(m,1H),7.42(s,1H),7.7(d,2H,J=9),8.1(d,2H,J=9)ppm。ESMSはC20:461.1算出した;検出:462.0(M+H)
【0128】
(化合物10:3−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(3,4,5−トリフルオロ−フェニル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ7.14(s,1H),7.4(m,2H),7.53(s,1H),7.7(d,2H,J=9),8.1(d,2H,J=9)ppm。ESMSはC20:461.1と算出した;検出:462.1(M+H)
【0129】
(化合物11:3−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(2,3,5−トリフルオロ−フェニル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ7.0(m,1H),7.13(s,1H),7.2(m,1H),7.7(d,2H,J=9),7.70(s,1H),8.1(d,2H,J=9)ppm、ESMSはC20:461.1と算出した;検出:462.0(M+H)
【0130】
(化合物12:3−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(3,4,6−トリフルオロ−フェニル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ7.1(m,1H),7.13(s,1H),7.5(m,1H),7.62(s,1H),7.7(d,2H,J=9),8.0(d,2H,J=9)ppm。ESMSはC20:461.1と算出した;検出:462.0(M+H)
【0131】
(化合物13:3−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−2−クロロ−フェニル]−2−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ7.14(s,1H),7.2(m,2H),7.4(m,1H),7.6(m,1H),7.7(d,1H,J=3),7.99(s,1H),8.3(d,1H,J=9)ppm。ESMSはC20ClF:477.0と算出した;検出:478.3(M+H)
【0132】
(化合物14:3−[2−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ7.0−7.3(m,4H),7.5−7.8(m,4H),8.34(d,1H,J=8)ppm。ESMSはC2089:443.0と算出した;検出:444.0(M+H)
【0133】
(化合物15:2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−3−[4−(3−メチル−5−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
【化17】

【0134】
4−フルオロベンズアルデヒド(0.43mL、4.03mmol)及び3−メチル−5−トリフルオロ−ピラゾール(727mg、4.84mmol)DMF溶液(5mL)に炭酸カリウム(0.67g、4.84mmol)を加え、混合液を14時間120℃にて加熱した。混合液を水(50mL)で希釈し、EtOAcで抽出した。有機化合物の層を水と食塩水で洗浄し、乾燥し(無水MgSO)、脱水し、クロマトグラフィー(SiO、4:1ヘキサン/EtOAc)によって精製し、黄色の油として、4−(3−メチル−5−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−ベンズアルデヒド(0.87g、収率85%)を得た。H−NMR(CDCl)δ2.44(s,3H),6.51(s,1H),7.7(d,2H,J=9)、8.1(d,2H,J=9)10.10(s,1H)ppm。ESMSはC12O:254.1と算出した;検出:255.0(M+H)
【0135】
4−(3−メチル−5−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−ベンズアルデヒド(127mg、0.50mmol)及び2,5−ジフルオロ−フェニルアセトニトリル(77mg、0.50mmol)エタノール溶液(4mL)を撹拌した混合液に、室温で0.5mLの水溶性6N KOHを加えた。混合液は2時間撹拌し、結果として生じた沈殿物をろ過によって収集し、白色の固体として、2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−3−[4−(3−メチル−5−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル(170mg、収率87%)を得た:。H−NMR(CDCl)δ2.45(s,3H),6.51(s,1H),7.1(m,2H),7.3(m,1H),7.6(d,2H,J=9),7.67(s,1H),8.0(d,2H,J=9)ppm。ESMSはC2012:389.1;と算出した;検出:390.0(M+H)
【0136】
(化合物16:2−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−3−[4−(3−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(DMSO−d)δ7.12(d,1H,J=2),7.3(m,1H),7.5(m,1H),7.8(m,1H),7.87(s,1H),8.0(m,4H),8.87(d,1H,J=2)ppm。ESMSはC1910:375.1;と算出した;検出:376.0(M+H)
【0137】
(化合物17:2−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−3−[4−(3−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(DMSO−d)δ7.12(d,1H,J=3),7.4(m,1H),7.5(m,1H),7.97(s,1H),8.1(m,5H),8.87(d,1H,J=3)ppm。ESMSはC1910:375.1;と算出した;検出:376.0(M+H)
【0138】
(化合物18:2−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−3−[4−(3−メチル−5−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ2.45(s,3H),6.51(s,1H),7.2(m,2H),7.4(m,1H),7.6(d,2H,J=8),7.67(s,1H),8.0(d,2H,J=8)ppm。ESMSはC2012:389.1;と算出した;検出:390.0(M+H)
【0139】
(化合物19:2−(2,4−ジフルオロ−フェニル)−3−[4−(3−メチル−5−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ2.44(s,3H),6.51(s,1H),6.9(m,2H),7.6(m,4H),8.0(d,2H,J=9)ppm。ESMSはC2012:389.1;と算出した;検出:390.0(M+H)
【0140】
(化合物20:2−(2,6−ジフルオロ−フェニル)−3−[4−(3−メチル−5−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ2.44(s,3H),6.51(s,1H),7.0(t,2H,J=8),7.4(m,2H),7.6(d,2H,J=9),8.0(d,2H,J=9)ppm。ESMSはC2012:389.1;と算出した;検出:390.1(M+H)
【0141】
(化合物21:2−(3,4−ジフルオロ−フェニル)−3−[4−(3−メチル−5−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ2.45(s,3H),6.51(s,1H),7.3(m,1H),7.5(m,3H),7.6(d,2H,J=8),8.0(d,2H,J=8)ppm。ESMSはC2012:389.1;と算出した;検出:390.0(M+H)
【0142】
(化合物22:2−(3,5−ジフルオロ−フェニル)−3−[4−(3−メチル−5−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ2.45(s,3H),6.52(s,1H),6.9(m,1H),7.3(m,2H),7.60(s,1H),7.6(d,2H,J=8),8.0(d,2H,J=8)ppm。ESMSはC2012:389.1;と算出した;検出:390.1(M+H)
【0143】
(化合物23:2−フェニル−3−(4−ピラゾ−1−リル−フェニル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ6.51−6.54(m,1H),7.40−7.51(m,3H),7.54(s,1H),7.66−7.73(m,2H),7.77(d,1H,J=1.2),7.80−7.86(m,2H),7.98−8.05(m,3H)ppm。ESMSはC1813:271.1;と算出した;検出:272.0(M+H)
【0144】
(化合物24:2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−3−(4−ピラゾ−1−リル−フェニル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ6.51−6.54(m,1H),7.04−7.22(m,2H),7.28−7.38(m,1H),7.62(s,1H),7.77(s,1H),7.85(d,2H,J=8),8.00(s,1H),8.04(d,2H,J=8)ppm。ESMSはC1811:307.1;と算出した;検出:308.0(M+H)
【0145】
(化合物25:3−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(2,3−ジフルオロ−ベンゾイル)−アクリロニトリル)
【化18】

【0146】
撹拌した2,3−ジフルオロアセトフェノン(5.40g,34.6mmol)EtOAc溶液(100mL)に室温でブロミン(1.77mL、34.6mmol)を滴下して処理し、混合液を30分間撹拌した。減圧下で溶媒を除去し、黄色の油として中間物であるブロミドを得た。この油を0℃に冷却し、NaCN(2.94g,60mmol)で処理し2時間撹拌した。混合液を5%クエン酸水溶液(100mL)で酸性化し、EtOAcで抽出した。有機化合物の層を乾燥し(無水MgSO)、水分を蒸発させ、クロマトグラフィー(SiO、4:1ヘキサン/EtOAc)精製し、黄色の固体として、3−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−3−オキソ−プロピオニトリル(1.19g,収率19%):H−NMR(CDCl)δ4.08(s,2H),7.2(m,1H),7.5(m,1H),7.7(m,1H)ppm。ESMSはCNO:181.0と算出した;検出:182.0(M+H)、を得た。
【0147】
4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−ベンズアルデヒド(0.18g,0.58mmol)、3−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−3−オキソ−プロピオニトリル(0.1g,0.55mmol)及び酢酸ピペリジン(8mg,0.06mmol)の無水ベンゼン溶液を、12時間還流しながら加熱した。揮発性成分を減圧下で除去し、シロップを得た。エーテルを用いてトリチャレーションし、固体として3−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(2,3−ジフルオロ−ベンゾイル)−アクリロニトリル(0.18g,収率65%):H−NMR(CDCl)δ7.15(s,1H),7.24−7.32(m,1H),7.38−7.50(m,2H),7.72(d,2H,J=8.4),8.11(s,1H),8.20(d,2H,J=8.4)ppm。ESMSはC21O:471.1と算出した;検出:472.0(M+H)、を得た。
【0148】
以下の実施例においても同様に合成した。
【0149】
(化合物26:2−ベンゾイル−3−[4−(5−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ6.80(d,1H,J=2.4),7.20(d,1H,J=9),7.50−7.58(m,2H),7.62−7.73(m,1H),7.89−7.94(m,1H),7.92(d,2H,J=9),8.03−8.14(m,2H),8.18(d,2H,J=8.7)ppm。ESMSはC2012O:367.1と算出した;検出:368.1(M+H)
【0150】
(化合物27:2−(フラン−2−カルボニル)−3−[4−(5−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ6.65−6.70(m,1H),6.80(d,1H,J=2.1),7.21(d,1H,J=9),7.78(d,2H,J=4.2),7.92(d,2H,J=8.7),8.05−8.18(m,1H),8.20(d,2H,J=8.7),8.37(bs,1H)ppm。ESMSはC1810:357.1と算出した;検出:358.0(M+H)
【0151】
(化合物28:2−ベンゾイル−3−[4−(3−チオフェン−2−ニル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ6.78(s,1H),7.11(s,1H),7.30−7.38(m,1H),7.42−7.70(m,4H),7.85−7.98(m,4H),8.06(d,2H,J=9),8.16(d,2H,J=7)ppm。ESMSはC2315OS:381.1と算出した;検出:382.0(M+H)
【0152】
(化合物29:2−(フラン−2−カルボニル)−3−[4−(3−メチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ2.40(s,3H),6.33(d,1H,J=2.1),6.65(dd,1H,J=1.8;3.0),7.76(m,1H),7.78(d,1H,J=3.9),7.84(d,2H,J=9),7.94(d,1H,J=2.4),8.18(d,2H,J=9),8.37(s,1H)ppm。ESMSはC1813:303.1と算出した;検出:304.0(M+H)
【0153】
(化合物30:2−ベンゾイル−3−(4−ピラゾ−1−リル−フェニル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ6.54(dd,1H,J=1.8;2.0),7.54(t,2H,J=7.5),7.65(t,1H,J=7.2),7.79(d,1H,J=1.2),7.86−7.94(m,4H),8.04(d,2H,J=2.4),8.16(d,2H,J=8.7)ppm。ESMSはC1913O:299.1と算出した;検出:300.0(M+H)
【0154】
(化合物31:2−(フラン−2−カルボニル)−3−[4−(3−フェニル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ6.66(dd,1H,J=1.8;3.8),6.86(d,1H,J=2.4),7.38(t,2H,J=7),7.46(t,2H,J=7),7.77(s,1H),7.79(d,1H,J=3.6),7.94(d,1H,J=7),7.97(d,2H,J=9),8.08(d,1H,J=2.7),8.21(d,2H,J=8),8.39(s,1H)ppm。ESMSはC2315:365.1と算出した;検出:366.0(M+H)
【0155】
(化合物32:3−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(2,3−ジフルオロ−ベンゾイル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ7.15(s,1H),7.24−7.32(m,1H),7.38−7.50(m,2H),7.72(d,2H,J=8.4),8.11(s,1H),8.20(d,2H,J=8.4),ppm。ESMSはC21O:471.1と算出した;検出:472.0(M+H)
【0156】
(化合物33:3−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(フラン−2−カルボニル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ6.68(dd,1H,J=2.1;3.6),7.15(s,1H),7.72(d,2H,J=8.7),7.79(s,1H),7.80(d,1H,J=5),8.21(d,2H,J=8.7),8.04(bs,1H)ppm。ESMSはC19:425.1と算出した;検出:426.0(M+H)
【0157】
(化合物34:3−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(2,4−ジフルオロ−ベンゾイル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ6.82−7.12(m,2H),7.15(s,1H),7.67−7.76(m,3H),8.10(s,1H),8.15−8.23(m,2H)ppm。ESMSはC21O:471.1と算出した;検出:472.0(M+H)
【0158】
(化合物35:2−(2,3−ジフルオロ−ベンゾイル)−3−[4−(3−フェニル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ6.87(d,1H,J=2.7),7.22−7.31(m,1H),7.34−7.50(m,5H),7.91−7.97(m,2H),7.98(d,2H,J=8.7),8.09(d,2H,J=2.4),8.20(d,2H,J=8.7)ppm。ESMSはC2515O:411.1と算出した;検出:412.1(M+H)
【0159】
(化合物36:2−(2,3−ジフルオロ−ベンゾイル)−3−[4−(3−メチル−5−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ2.46(s,3H),6.56(s,1H),7.3(m,1H),7.4(m,2H),7.7(d,2H,J=9),8.10(s,1H),8.2(d,2H,J=9)ppm。ESMSはC2112O:417.1と算出した;検出:418.1(M+H)
【0160】
(化合物37:2−(2,4−ジフルオロ−ベンゾイル)−3−[4−(3−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ6.81(s,1H),7.0(m,2H),7.7(m,1H),7.9(d,1H,J=9),8.1(d,2H,J=7),8.2(d,2H,J=9)ppm。ESMSはC2010O:403.1と算出した;検出:404.0(M+H)
【0161】
(化合物38:2−(2,3−ジフルオロ−ベンゾイル)−3−[4−(3−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ6.80(s,1H),7.2−7.5(m,3H),7.9(d,1H,J=9),8.1(d,2H,J=7),8.2(d,2H,J=9)ppm。ESMSはC2010O:403.1と算出した;検出:404.0(M+H)
【0162】
(化合物39:2−(2,4−ジフルオロ−ベンゾイル)−3−[4−(3−メチル−5−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ2.48(s,3H),6.56(s,1H),7.0(m,2H),7.77(m,3H),8.10(s,1H),8.2(d,2H,J=9)ppm。ESMSはC2112O:417.1と算出した;検出:418.0(M+H)
【0163】
(化合物40:2−(2,5−ジフルオロ−ベンゾイル)−3−[4−(3−メチル−5−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ2.44(s,3H),6.58(s,1H),7.2−7.4(m,3H),7.77(d,2H,J=9),8.10(s,1H),8.2(d,2H,J=9)ppm。ESMSはC2112O:417.1と算出した;検出:418.0(M+H)
【0164】
(化合物41:2−(2,5−ジフルオロ−ベンゾイル)−3−[4−(3−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ6.80(s,1H),7.2−7.4(m,3H),7.9(d,2H,J=9),8.08(s,1H),8.2(d,2H,J=9)ppm。ESMSはC2010O:403.1と算出した;検出:404.0(M+H)
【0165】
(化合物42:2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−3−[4−(3−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ6.8(d,1H,J=6),7.1(m,2H),7.4(m,1H),7.65(s,1H),7.9(d,2H,J=8),8.0(m,3H)ppm。ESMSはC1910:375.1と算出した;検出:376.0(M+H)
【0166】
(化合物43:3−[3−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ7.13(s,1H),7.2(m,2H),7.4(m,1H),7.7(m,3H),7.9(m,1H),8.2(m,1H)ppm。ESMSはC20:443.1と算出した;検出:444.0(M+H)
【0167】
(化合物44:3−[3−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ7.13(s,1H),7.1(m,2H),7.4(m,1H),7.7(m,3H),8.0(m,1H),8.2(m,1H)ppm。ESMSはC20:443.1と算出した;検出:444.0(M+H)
【0168】
(化合物45:2−(2,3−ジフルオロ−フェニル)−3−[4−(2−トリフルオロメチル−ベンゾイミダゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ7.2(m,3H),7.4(m,3H),7.6(m,2H),7.72(s,1H),8.0(m,1H),8.1(m,2H)ppm。ESMSはC2312:425.1と算出した;検出:426.1(M+H)
【0169】
(化合物46:2−(2,5−ジフルオロ−フェニル)−3−[4−(2−トリフルオロメチル−ベンゾイミダゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ7.2(m,3H),7.4(m,1H),7.5(m,2H),7.6(m,2H),7.76(s,1H),8.0(m,1H),8.2(m,2H)ppm。ESMSはC2312:425.1と算出した;検出:426.1(M+H)
【0170】
(化合物47:3−[4−(3,5−ビス−トリフルオロメチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−2−(3,4−ジフルオロ−ベンゾイル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ7.13(s,1H),7.40(m,1H),7.44−7.58(m,3H),7.65(d,2H,J=9),8.2(d,2H,J=9)ppm。ESMSはC21O:471.1と算出した;検出:472.1(M+H)
【0171】
(化合物48:2−(2−フルオロ−フェニル)−3−(4−ピラゾ−1−リル−フェニル)−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ6.53−6.55(m,1H),7.39−7.52(m,3H),7.54(s,1H),7.64−7.74(m,2H),7.78(d,1H,J=2),7.80−7.86(m,1H),7.99−8.10(m,3H)ppm。ESMSはC1812FN:289.1と算出した;検出:290.1(M+H)
【0172】
(化合物49:2−(2,5−ジフルオロ−シクロヘキサ−2,4−ジエニル)−3−[4−(3−メチル−ピラゾ−1−リル)−フェニル]−アクリロニトリル)
H−NMR(CDCl)δ2.40(s,3H),6.30(d,1H,J=2),7.01−7.20(m,2H),7.25−7.35(m,1H),7.60(s,1H),7.81(d,2H,J=9),7.90(d,1H,J=2),8.00(d,2H,J=9)ppm。ESMSはC1913:321.1と算出した;検出:322.0(M+H)
【0173】
(実施例2:本発明の化合物を用いた、ヒトJurkat細胞系におけるIL−2産生の阻害)
Jurkat細胞(ATCC、Cat#TIB−152)を、10%のFBSを含むRPMI1640培地(Cat#30−2001)中で増殖させた。化合物のスクリーニングとして、Jurkat細胞を1%のFBSを含むRPMI1640培地中でウェルあたり50万個の細胞の密度で、96ウェルのプレートに散布した。その後、様々な濃度の各試験用の化合物を細胞プレートに加え、IL−2産生を刺激するために2.5μg/mlの最終濃度でPHA(Sigma、Cat#L−9017)を添加した。20時間のインキュベーションの後、細胞プレートを5分間500−800gで遠心分離し、上清を収集し、Cell Sciences社より購入したヒトIL−2酵素標識免疫吸着検定法(ELISA)キット(Cat#851,500,020)を用いたIL−2検出に供した。Cell Sciences社から提供されたプロトコルに従い、96ウェルのプレート中で、IL−2産生のELISA検定を実施した。
【0174】
IC50(すなわちIL−2放出が50%阻害される濃度)を決定し、その結果を表に示す。これらの結果から明らかなように、本発明の化合物は、IL−2放出の阻害に有効である。表中の「A」という記号は0.010μM以下のIC50を意味し、「B」という記号は0.010から1.0μMの間のIC50を意味し、「C」という記号は1μMを超えるIC50を意味する。
【0175】
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

なお、上表中の記号“{”又は“}”は、基の結合部位を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式(I)で表される化合物、又はそれを含む医薬的に許容可能な塩、溶媒和物若しくは包接化合物。
【化1】

(ここで、Cyは単環式若しくは二環式の、芳香族若しくは非芳香族の、カルボシクリル若しくはヘテロシクリル化合物であり、
Yは単環式若しくは二環式の、芳香族若しくは非芳香族の、カルボシクリル若しくはヘテロシクリル基であり、
は=O、=S、=NOR又は=C(R)(R)であり、
は単環式若しくは多環式の、非芳香族若しくは芳香族の、カルボシクリル若しくはヘテロシクリル基であり、Rが=OのときにはRが1つ以上のハロゲン、低級パーフルオロアルキル若しくは低級パーフルオロアルコキシで置換されたフェニル基であるか、又はRとRが統合して単環式若しくは多環式の、非芳香族若しくは芳香族の、カルボシクリル若しくはヘテロシクリル基を形成することが可能で、
個々のRはCyに結合した置換基であり、独立してハロゲン、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、CN、NO、OR、N(R)(R)、SR、CO、CON(R)(R)、SOR、SO、COR、NRCOR、NRCON(R)(R)、SON(R)(R)、NRSOR及びArの中から選択され、
nは0,1,2又は3から選択される整数であり、
個々のArは独立してハロゲン、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、CN,NO,R,OR,N(R)(R),SR,CO,CON(R)(R),SOR,SO,COR,NRCOR,NRCON(R)(R),SON(R)(R)又はNRSORで任意に置換されたアリール又はヘテロアリール基であり、
個々のRは独立して水素、又は1つ以上のアミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルチオ、オキソ(=O)、チオ(=S)、イミノ(=NH)、アルキルイミノ(=N−アルキル)、ハロゲン、アシル、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、アリール、アルキルアリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアミノ、カルボシクリル、カルボシクリルオキシ、カルボシクリルチオ、カルボシクリルアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ若しくはヘテロシクリルチオ基で任意に置換されたアルキル基であり、
個々のRは独立してCN又はCOであり、及び
個々のRは独立して1つ以上のアミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルチオ、オキソ(=O)、チオ(=S)、イミノ(=NH)、アルキルイミノ(=N−アルキル)、ハロゲン、アシル、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、アリール、アルキルアリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアミノ、カルボシクリル、カルボシクリルオキシ、カルボシクリルチオ、カルボシクリルアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ又はヘテロシクリルチオ基で任意に置換されたアルキル基である。)
【請求項2】
Cyがベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、テトラジン、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イミダゾール、チアゾール、イソキサゾール、ピラゾール又はイソチアゾールで任意に融合されたフェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル又はチアジアゾリル基である、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Cyが以下の構造式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(X)(XI)又は(XII)で表される基である、請求項1に記載の化合物。
【化2】

(ここで、個々の構造式(I)から(XII)は、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、テトラジン、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イミダゾール、チアゾール、イソキサゾール、ピラゾール又はイソチアゾールで任意に融合され、
ZはO、S又はNRであり、及び
個々のXは独立してCH、CR又はNである。)
【請求項4】
以下の構造式で表される、請求項1に記載の化合物。
【化3】

(ここで、Rは=O、=S、=NOR又は=C(Rであり、Rはアリール、シクロアルキル、ビシクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルケニル又はヘテロシクリル基であり、Rが=Oである場合にはRが1つ以上のハロゲン、低級パーフルオロアルキル若しくは低級パーフルオロアルコキシ基で置換されたフェニル基であるか、又はRとRが統合されアリール、シクロアルキル、ビシクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルケニル又はヘテロシクリル基を形成する。)
【請求項5】
とRが統合されアリール、シクロアルキル、ビシクロアルキル、シクロアルケニル、ビシクロアルケニル又はヘテロシクリル基を形成する、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
とRが統合されて形成した基が、任意に置換されたフェニル基である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
とRが統合されて形成した基が、1つ以上のハロゲン、低級パーフルオロアルコキシ又は低級パーフルオロアルキル基によって置換されたフェニル基である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
がC=Oである、請求項4に記載の化合物。
【請求項9】
以下の構造式で表される化合物、又はそれを含む医薬的に許容される塩、溶媒和物若しくは包接化合物。
【化4】

(ここで、Cyは単環式若しくは二環式の、芳香族若しくは非芳香族の、カルボシクリル若しくはヘテロシクリル基であり、
QはCH又はNであり、
環Aは任意にいずれかの置換可能な炭素原子の位置で置換され、任意に置換されたフェニル環と任意に融合され、
は=O,=S,=NOR又は=C(R)(R)であり、
は単環式若しくは多環式の、非芳香族若しくは芳香族の、カルボシクリル若しくはヘテロシクリル基であり、Rが=OのときはRが1つ以上のハロゲン、低級パーフルオロアルキル若しくは低級パーフルオロアルコキシ基で置換されたフェニル基であるか、又はRとRが統合され単環式若しくは多環式の、非芳香族若しくは芳香族の、カルボシクリル若しくはヘテロシクリル基を形成することが可能で、
個々のRはCyに結合した置換基であり、独立してハロゲン、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、CN、NO、OR、N(R)(R)、SR、CO、CON(R)(R)、SOR、SO、COR、NRCOR、NRCON(R)(R)、SON(R)(R)、NRSOR及びArの中から選択され、
nは0,1,2又は3から選択される整数であり、
個々のArは独立してハロゲン、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ基、CN、NO、R、OR、N(R)(R)、SR、CO、CON(R)(R)、SOR、SO、COR、NRCOR、NRCON(R)(R)、SON(R)(R)又はNRSORで任意に置換されたアリール又はヘテロアリール基であり、
個々のRは独立して水素、又は1つ以上のアミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルチオ、オキソ(=O)、チオ(=S)、イミノ(=NH)、アルキルイミノ(=N−アルキル)、ハロゲン、アシル、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、アリール、アルキルアリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアミノ、カルボシクリル、カルボシクリルオキシ、カルボシクリルチオ、カルボシクリルアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ若しくはヘテロシクリルチオ基で任意に置換されたアルキル基であり、
個々のRは独立してCN又はCOであり、及び
個々のRは独立して1つ以上のアミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルチオ、オキソ(=O)、チオ(=S)、イミノ(=NH)、アルキルイミノ(=N−アルキル)、ハロゲン、アシル、ニトロ、ヒドロキシ、シアノ、アリール、アルキルアリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアミノ、カルボシクリル、カルボシクリルオキシ、カルボシクリルチオ、カルボシクリルアミノ、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ又はヘテロシクリルチオ基で任意に置換されたアルキル基である。)
【請求項10】
Cyが、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、テトラジン、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イミダゾール、チアゾール、イソキサゾール、ピラゾール若しくはイソチアゾールで任意に融合された、フェニル、ピリジニル、ピリダジニル、ピラジニル、ピリミジニル、テトラゾリル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル又はチアジアゾリル基である、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
Cyが、以下の構造式(II)、(III)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)、(VIII)、(X)、(XI)又は(XII):
【化5】

で表される基であり、
個々の構造式(I)から(XII)は、ベンゼン、ピリジン、ピリミジン、トリアジン、テトラジン、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イミダゾール、チアゾール、イソキサゾール、ピラゾール又はイソチアゾールと任意に融合され、
ZはO、S又はNRであり、及び
個々のXは独立してCH、CR又はNである、請求項9に記載の化合物。
【請求項12】
QがCHであり、環Aが任意にいずれかの置換可能な炭素原子の位置で置換された、請求項9に記載の化合物。
【請求項13】
以下の構造式で表される、請求項12に記載の化合物。
【化6】

【請求項14】
とRが統合されて形成した基が、任意に置換されたフェニル基である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
環A及びRとRが統合されて形成したフェニル環が、任意にかつ独立して、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、CN、NO、R、OR、N(R)(R)、SR、CO、CON(R)(R)、SOR、SO、COR、NRCOR、NRCON(R)(R)、SON(R)(R)及びNRSORの中から独立して選択される1つ以上の基で置換された、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
以下の構造式で表される、請求項15の化合物。
【化7】

(ここで、R10とR11は独立して水素、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル、フラニル、チエニル、フェニル、低級アルコキシ又は低級ハロゲンアルコキシ基であり、Rは個々に独立して水素、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ又は低級ハロゲンアルコキシ基である。)
【請求項17】
とRから形成されたフェニル環が、1つ以上のハロゲン、低級パーフルオロアルキル又は低級パーフルオロアルコキシ基で置換され、R10とR11が独立して水素、低級アルキル又は低級パーフルオロアルキル基である、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
がOであり、Rが任意に置換されたフェニル基である、請求項13に記載の化合物。
【請求項19】
環A及びRで表されたフェニル環が、任意にかつ独立して、ハロゲン、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ、低級ハロゲンアルコキシ、CN、NO、R、OR、N(R)(R)、SR、CO、CON(R)(R)、SOR、SO、COR、NRCOR、NRCON(R)(R)、SON(R)(R)及びNRSORの中から独立して選択される一つ以上の基で置換された、請求項18に記載の化合物。
【請求項20】
以下の構造式で表される、請求項19に記載の化合物。
【化8】

(ここで、R10とR11は独立して水素、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル、フラニル、チエニル、フェニル、低級アルコキシ又は低級ハロゲンアルコキシ基であり、またRは個々に独立して水素、低級アルキル、低級ハロゲンアルキル、低級アルコキシ又は低級ハロゲンアルコキシ基である。)
【請求項21】
で表されたフェニル環が1つ以上のハロゲン、低級パーフルオロアルキル又は低級パーフルオロアルコキシ基で置換され、R10とR11が独立してH、低級アルキル又は低級パーフルオロアルキル基である、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
有効量の請求項1から21のいずれか一項に記載の化合物、又はそれを含む医薬的に許容される塩、溶媒和物若しくは包接化合物、並びに
医薬的に許容される担体又は賦形剤
を含む、医薬組成物。
【請求項23】
有効量の請求項1から21のいずれか一項に記載の化合物、又はそれを含む医薬的に許容される塩、溶媒和物若しくは包接化合物を患者に投与することを含む、患者の炎症性疾患又は免疫疾患を治療又は予防する方法。
【請求項24】
有効量の請求項1から21のいずれか一項に記載の化合物を患者に投与することを含む、患者におけるIL−2産生を阻害する方法。
【請求項25】
有効量の請求項1から21のいずれかの一項に記載の化合物又はそれを含む医薬的に許容される塩、溶媒和物若しくは包接化合物を患者に投与することを含む、患者の免疫反応を抑制する方法。

【公表番号】特表2007−530594(P2007−530594A)
【公表日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−505240(P2007−505240)
【出願日】平成17年3月24日(2005.3.24)
【国際出願番号】PCT/US2005/010183
【国際公開番号】WO2005/091752
【国際公開日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【出願人】(504151848)シンタ ファーマシューティカルズ コーポレーション (72)
【Fターム(参考)】