説明

炎症及び免疫関連用途のための置換芳香族化合物

本発明は、構造式(I)の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグに関し、ここで、Y、L、A、W、W、及びR’は、本明細書で定義される。この化合物は、免疫抑制剤として、並びに、炎症状態、アレルギー性疾患、及び免疫疾患の治療と予防に有用である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、2006年1月25日出願の米国特許仮出願第60/762,169号、及び2006年1月25日出願の米国特許仮出願第60/762,168号の利益を主張し、これらの各出願の全教示内容は、参照することで本明細書に組み入れられる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、生物活性化学化合物、すなわち、免疫抑制のため、又は、炎症状態及び免疫疾患の治療若しくは予防のための、ビフェニル及びピリジルフェニル誘導体に関する。
【背景技術】
【0003】
炎症は、侵入する病原体から哺乳類を守るメカニズムである。しかし、一過性の炎症が哺乳類を感染から守るのに必要であるのに対し、制御されない炎症は組織に損傷を与え、多くの疾患の潜在的原因となる。炎症は、通常、抗原がT細胞抗原受容体と結合することによって引き起こされる。抗原がT細胞と結合することにより、Ca2+遊離活性化Ca2+チャネル(CRAC)などのカルシウムイオンチャネルを通しての細胞へのカルシウム流入が引き起こされる。カルシウム流入は、次に、これらの細胞の活性化、及びサイトカイン産生を特徴とする炎症反応を誘発するシグナルカスケードを引き起こす。
【0004】
インターロイキン2(IL‐2)は、細胞へのカルシウムイオン流入に反応してT細胞によって分泌されるサイトカインである。IL‐2は、免疫システムの多くの細胞に対する免疫学的影響を調節する。例えば、T細胞の増殖に必要であり、細胞サイクルのG1からSフェーズへの進行を促進するのは、効力の強いT細胞マイトジェンであり、これはNK細胞の成長を刺激し、B細胞の増殖因子として作用すると共に抗体の合成を刺激する。
【0005】
IL‐2は免疫反応には有用であるが、種々の問題の原因となり得る。IL‐2は、血液脳関門及び脳血管の内皮に損傷を与える。このような影響は、例えば、疲労、見当識障害、及びうつ病などの、IL‐2治療に伴う神経精神性の副作用の潜在的な原因となる場合がある。また、ニューロンの電気生理学的挙動の変化ももたらす。
【0006】
そのT細胞及びB細胞の両方への作用により、IL‐2は免疫反応の主たる中心的制御因子である。炎症反応、腫瘍監視、及び造血において役割を有する。さらに、IL‐1、TNF‐α、及びTNF‐β分泌の誘発、並びに末梢白血球中におけるIFN‐γ合成の刺激など、その他のサイトカインの産生にも影響を与える。
【0007】
IL‐2を産生できないT細胞は不活性(アネルギー性)となる。これにより、これらの細胞は、今後起こり得る抗原性のいかなる刺激に対しても潜在的に不活性となる。その結果、IL‐2産生を阻害する薬剤を用いて、免疫抑制、又は、炎症及び免疫疾患の治療若しくは予防を行なうことができる。この手法は、シクロスポリン、FK506、及びRS61443などの免疫抑制薬によって臨床的に確認されている。この概念実証にも関わらず、IL‐2の産生を阻害する薬剤は理想からは程遠い状態である。その使用を妨げるその他の問題として、限定的な効力、及び不所望の副作用(用量依存性の腎毒性及び高血圧を含む)がある。
【0008】
IL‐2以外の炎症誘発性サイトカインの過剰産生も、多くの自己免疫疾患と関連付けられている。例えば、好酸球の産生を増加させるサイトカインであるインターロイキン5(IL‐5)は、喘息において増加する。IL‐5の過剰産生は、喘息状態の気管支粘膜中での好酸球の蓄積を伴い、これはアレルギー性の炎症の特徴である。従って、好酸球の蓄積を伴う喘息及びその他の炎症性疾患の患者は、IL‐5の産生を阻害する新規な薬物の開発によって恩恵を受けるであろう。
【0009】
インターロイキン4(IL‐4)及びインターロイキン13(IL‐13)は、炎症性腸疾患及び喘息で見られる平滑筋の過剰収縮のメディエーターとして認識されている。従って、喘息及び炎症性腸疾患の患者は、IL‐4及びIL‐13の産生を阻害する新規な薬物の開発によって恩恵を受けるであろう。
【0010】
顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM‐CSF)は、顆粒球及びマクロファージ系列集団の成熟化の制御因子であり、炎症性及び自己免疫疾患における重要な因子であることが指摘されている。自己免疫疾患が、抗GM‐CSF抗体ブロックによって寛解することが示されている。従って、炎症性又は自己免疫疾患の患者は、GM‐CSFの産生を阻害する新規な薬物の開発によって恩恵を受けるであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、免疫抑制、又は炎症性疾患、アレルギー性疾患、及び自己免疫疾患の治療若しくは予防に現在用いられている薬物の1つ以上の欠点を克服する新規な薬物が、継続的に求められている。新規な薬物に所望される性質としては、現在治療が不可能、若しくはうまく治療ができない疾患や障害に対する効力、新しい作用メカニズム、経口バイオアベイラビリティ、及び/又は副作用の低減、が挙げられる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の概要)
本発明は、CRACイオンチャネルの活性、並びにIL‐2、IL‐4、IL‐5、IL‐13、GM‐CSF、TNF‐α、及びIFNγの産生を阻害する特定のビフェニル及びフェニルピリジル誘導体を提供することによって、上述の要求を満たすものである。これらの化合物は、免疫抑制、並びに/又は、炎症状態及び免疫疾患の治療若しくは予防に対して特に有用である。
【0013】
本発明は、式(I)の化合物:
【化6】

又は、その薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグに関し、ここで:
Aは、‐O‐、‐S‐、‐NR’11‐、‐CR=CR‐、‐N=CR‐、‐CR=N‐、又は‐N=N‐であり;
及びWは、各々独立して、CR又はNであり;
Yは、任意に置換されていてもよいアリール、又は任意に置換されていてもよいヘテロアリールであり;
Lは、リンカーであるが、ただし、共有結合、‐NRCH‐、‐CHNR‐、‐C(O)‐、‐NR‐C(O)‐、‐C(O)‐NR‐、‐OC(O)‐、‐C(O)O‐、‐C(S)‐、‐NR‐C(S)‐、‐C(S)‐NR‐、‐NRC(NR)‐、又は‐C(NR)NR‐ではなく;
Rは、存在する各々の場合は、独立して、‐H、アルキル、‐C(O)‐R、又は‐C(O)ORであり;
R’は、任意に置換されていてもよいアリール、又は任意に置換されていてもよいヘテロアリールであるが、ただし、R’は、任意に置換されていてもよいトリアゾリル、ピリジニル、ピラゾリル、インドリジニル、ベンズアミダゾリル、イミダゾ[4,5‐c]ピリジン‐1‐イル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、又はイミダゾ[4,5‐b]ピリジン‐3‐イル‐フェニルではなく;
及びRは、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル、シアノ、ニトロ、ハロ、‐OR’、‐SR’、‐NR’R’、‐C(O)NR’R’、‐NR’C(O)R’、‐C(O)R’、‐C(O)OR’、‐OC(O)R’、‐C(O)SR’、‐SC(O)R’、‐C(S)NR’R’、‐NR’C(S)R’、‐C(S)R’、‐C(S)OR’、‐OC(S)R’、‐C(S)SR’、‐SC(S)R’、‐C(NR’)NR’R’、‐NR’C(NR’)R’、‐C(NR’)R’、‐C(NR’)OR’、‐OC(NR’)R’、‐C(NR’)SR’、‐SC(NR’)R’、‐OC(O)OR’、‐OC(O)NR’R’、‐NR’C(O)OR’、‐NR’C(O)NR’R’、‐SC(O)OR’、‐SC(O)NR’R’、‐SC(O)SR’、‐NR’C(O)SR’、‐OC(O)SR’、‐OC(S)OR’、‐OC(S)NR’R’、‐NR’C(S)OR’、‐NR’C(S)NR’R’、‐SC(S)OR’、‐SC(S)NR’R’、‐SC(S)SR’、‐NR’C(S)SR’、‐OC(S)SR’、‐OC(NR’)OR’、‐OC(NR’)NR’R’、‐NR’C(NR’)OR’、‐NR’C(NR’)NR’R’、‐SC(NR’)OR’、‐SC(NR’)NR’R’、‐SC(NR’)SR’、‐NR’C(NR’)SR’、又は‐OC(NR’)SR’であり;
R’は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであり;
R’及びR’は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであるか;又は、
R’及びR’は、これらに結合する窒素と共に、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアリールであり;
は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであり;
R’は、存在する各々の場合は、独立して、‐H、ハロ、アルキル、‐OR’、-NR’R’、‐C(O)R’、‐C(O)OR’、又は‐C(O)NR’R’であり;
R’及びR’10は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、若しくは任意に置換されていてもよいアルキニルであるか;又は、
R’及びR’10は、これらに結合する炭素原子と共に、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロシクリルを形成し;
は、存在する各々の場合は、独立して、‐H、ハロ、アルキル、‐OR、-NR1112、‐C(O)R、‐C(O)OR、又は‐C(O)R1112であり;
R’11は、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル、‐OR’、‐SR’、‐NR’R’、‐C(O)NR’R’、‐C(O)R’、‐C(O)OR’、‐C(O)SR’、‐C(S)NR’R’、‐C(S)R’、‐C(S)OR’、‐C(S)SR’、‐C(NR’)NR’R’、‐C(NR’)R’、‐C(NR’)OR’、又は‐C(NR’)SR’であり;
11及びR12は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであるか;又は、
11及びR12は、これらに結合する窒素と共に、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアリールであり;
ただし、環Aはチアゾールでもチアジアゾールでもない。
【0014】
本発明の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグは、免疫細胞(例:T細胞及び/又はB細胞)の活性化(例:抗原に反応しての活性化)を阻害するのに特に有用である。特に、本発明の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグは、免疫細胞の活性化を制御する特定のサイトカインの産生を阻害することができる。例えば、本発明の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグは、IL‐2、IL‐4、IL‐5、IL‐13、GM‐CSF、TNF‐α、INF‐γ、又はこれらの組み合わせの産生を阻害することができる。さらに、本発明の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグは、CRACイオンチャネルなどの、免疫細胞の活性化に関与する1種類以上のイオンチャネルの活性を調節することができる。
【0015】
本発明の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグは、免疫抑制、又は炎症状態、アレルギー性疾患、及び免疫疾患の治療若しくは予防に特に有用である。
【0016】
本発明はさらに、本発明の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグと、薬理学的に許容される担体又は媒体とを含む医薬組成物も包含する。このような組成物は、さらに追加的な薬剤を含んでもよい。このような組成物は、免疫抑制、並びに炎症状態、アレルギー性疾患、及び免疫疾患の治療若しくは予防に有用である。
【0017】
本発明はさらに、炎症状態、アレルギー性疾患、及び免疫疾患を治療若しくは予防するための方法も包含し、この方法には、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグ、又は、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを含む医薬組成物の有効量を、必要とする対象に投与する工程を含む。これらの方法は、さらに、追加的な薬剤を、別々に、又は、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグとの混合組成物の形で、投与する工程を含んでもよい。
【0018】
本発明はさらに、対象の免疫システムを抑制するための方法も包含し、この方法には、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグ、又は、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを含む医薬組成物の有効量を、必要とする対象に投与する工程を含む。これらの方法は、さらに、追加的な薬剤を、別々に、又は、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグとの混合組成物の形で、投与する工程を含んでもよい。
【0019】
本発明はさらに、T細胞及び/又はB細胞の増殖の阻害を含む、in vivo又はin vitroで免疫細胞の活性化を阻害するための方法も包含し、この方法には、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグ、又は、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを含む医薬組成物の有効量を、細胞へ投与する工程を含む。
【0020】
本発明はさらに、in vivo又はin vitroで、細胞中でのサイトカインの産生(例:IL‐2、IL‐4、IL‐5、IL‐13、GM‐CSF、TNF‐α、及び/又はINF‐γの産生)を阻害するための方法も包含し、この方法には、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグ、又は、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを含む医薬組成物の有効量を、細胞へ投与する工程を含む。
【0021】
本発明はさらに、in vivo又はin vitroで、イオンチャネル活性(例:CRAC)を調節するための方法も包含し、この方法には、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグ、又は、本発明の化合物又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを含む医薬組成物の有効量を投与する工程を含む。
【0022】
本発明の方法はすべて、本発明の化合物単独で実施してもよく、又は、その他の免疫抑制剤、抗炎症剤、アレルギー性疾患の治療のための薬剤、若しくは免疫疾患の治療のための薬剤などの、その他の薬剤と組み合わせて実施してもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(発明の詳細な説明)
(定義)
特にことわりのない限り、本明細書で用いる以下の用語は、次のように定義する。
【0024】
本明細書で用いる、「芳香環」又は「アリール」という用語は、炭素及び水素原子を含む、単環若しくは多環の芳香環又は芳香環ラジカルを意味する。適切なアリール基の例としては、フェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、ナフチル、並びに、5,6,7,8‐テトラヒドロナフチルなどのベンゼン環が融合した炭素環部分が挙げられるが、これらに限定されない。アリール基は無置換であってよく、又は、アルキル(好ましくは、低級アルキル、又は1個以上のハロで置換されたアルキル)、ヒドロキシ、アルコキシ(好ましくは、低級アルコキシ)、アルキルチオ、シアノ、ハロ、アミノ、及びニトロを含むがこれらに限定されない1個以上の置換基で置換されていてもよい。特定の実施形態では、アリール基は単環であり、その環は6個の炭素原子を含む。
【0025】
本明細書で用いる、「アルキル」という用語は、直鎖又は分岐鎖の、飽和非環式炭化水素基であり、通常1ないし10個の炭素原子を有する。飽和直鎖アルキルの代表的な例としては、メチル、エチル、n‐プロピル、n‐ブチル、n‐ペンチル、n‐ヘキシル、n‐ヘプチル、n‐オクチル、n‐ノニル、及びn‐デシルであり、一方、飽和分岐鎖アルキルとしては、イソプロピル、sec‐ブチル、イソブチル、tert‐ブチル、イソペンチル、2‐メチルブチル、3‐メチルブチル、2‐メチルペンチル、3‐メチルペンチル、4‐メチルペンチル、2‐メチルヘキシル、3‐メチルヘキシル、4‐メチルヘキシル、5‐メチルヘキシル、2,3‐ジメチルブチル、2,3‐ジメチルペンチル、2,4‐ジメチルペンチル、2,3‐ジメチルヘキシル、2,4‐ジメチルヘキシル、2,5‐ジメチルヘキシル、2,2‐ジメチルペンチル、2,2‐ジメチルヘキシル、3,3‐ジメチルペンチル、3,3‐ジメチルヘキシル、4,4‐ジメチルヘキシル、2‐エチルペンチル、3‐エチルペンチル、2‐エチルヘキシル、3‐エチルヘキシル、4‐エチルヘキシル、2‐メチル‐2‐エチルペンチル、2‐メチル‐3‐エチルペンチル、2‐メチル‐4‐エチルペンチル、2‐メチル‐2‐エチルヘキシル、2‐メチル‐3‐エチルヘキシル、2‐メチル‐4‐エチルヘキシル、2,2‐ジエチルペンチル、3,3‐ジエチルヘキシル、2,2‐ジエチルヘキシル、3,3‐ジエチルヘキシル、などが挙げられる。本発明の化合物に含まれるアルキル基は、任意に、アミノ、アルキルアミノ、アルコキシ、アルキルチオ、オキソ、ハロ、アシル、ニトロ、ヒドロキシル、シアノ、アリール、アルキルアリール、アリールオキシ、アリールチオ、アリールアミノ、カルボシクリル(carbocyclyl)、カルボシクリルオキシ(carbocyclyloxy)、カルボシクリルチオ(carbocyclylthio)、カルボシクリルアミノ(carbocyclylamino)、ヘテロシクリル、ヘテロシクリルオキシ、ヘテロシクリルアミノ、ヘテロシクリルチオ、などの1個以上の置換基で置換されていてもよい。さらに、アルキル部分のいずれの炭素も、酸素(=O)、硫黄(=S)、又は窒素(=NR23、ここでR23は‐H、アルキル、アセチル、又はアラルキル)で置換されていてもよい。本発明の化合物には、通常、低級アルキルが好ましい。
【0026】
アルキレンという用語は、2つの部分と結合する2箇所の結合点を有するアルキル基(例えば、{‐CH‐}、‐{CHCH‐}、
【化7】

などであり、ここで、括弧は結合点を表す)のことである。アルキレン基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。
【0027】
アラルキル基とは、アルキレンリンカーによって別の部分と結合しているアリール基のことである。アラルキル基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。
【0028】
本明細書で用いる「アルコキシ」という用語は、酸素原子によって別の部分と結合しているアルキル基のことである。アルコキシ基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。
【0029】
本明細書で用いる「アルキルスルファニル」という用語は、二価の硫黄原子によって別の部分と結合しているアルキル基のことである。アルキルスルファニル基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。
【0030】
本明細書で用いる「アルキルアミノ」という用語は、窒素と結合している1個の水素原子がアルキル基で置換されているアミノ基のことである。本明細書で用いる「ジアルキルアミノ」という用語は、窒素と結合している2個の水素原子がアルキル基で置換されているアミノ基のことであり、ここでアルキル基は同じでも異なっていてもよい。アルキルアミノ基及びジアルキルアミノ基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。
【0031】
本明細書で用いる「アルケニル」という用語は、通常2乃至10個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素‐炭素二重結合を有する、直鎖若しくは分岐鎖の炭化水素ラジカルを意味する。直鎖及び分岐鎖のアルケニルの代表的な例としては、ビニル、アリル、1‐ブテニル、2‐ブテニル、イソブチレニル、1‐ペンテニル、2‐ペンテニル、3‐メチル‐1‐ブテニル、1‐メチル‐2‐ブテニル、2,3‐ジメチル‐2‐ブテニル、1‐ヘキセニル、2‐ヘキセニル、3‐ヘキセニル、1‐ヘプテニル、2‐ヘプテニル、3‐ヘプテニル、1‐オクテニル、2‐オクテニル、3‐オクテニル、1‐ノネニル、2‐ノネニル、3‐ノネニル、1‐デセニル、2‐デセニル、3‐デセニル、などが挙げられる。アルケニル基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。
【0032】
本明細書で用いる「アルキニル」という用語は、通常2乃至10個の炭素原子及び少なくとも1個の炭素‐炭素三重結合を有する、直鎖若しくは分岐鎖の炭化水素ラジカルを意味する。直鎖及び分岐鎖のアルキニルの代表的な例としては、アセチレニル、プロピニル、1‐ブチニル、1‐ブチニル、1‐ペンチニル、2‐ペンチニル、3‐メチル‐1‐ブチニル、4‐ペンチニル、1‐ヘキシニル、2‐ヘキシニル、5‐ヘキシニル、1‐ペプチニル、2‐ペプチニル、6‐ペプチニル、1‐オクチニル、2‐オクチニル、7‐オクチニル、1‐ノニニル、2‐ノニニル、8‐ノニニル、1‐デシニル、2‐デシニル、9‐デシニル、などが挙げられる。アルキニル基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。
【0033】
本明細書で用いる「シクロアルキル」という用語は、3乃至10個の炭素原子を通常有する、単環若しくは多環の飽和アルキルラジカルを意味する。シクロアルキルの代表的な例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、アダマンチル、デカヒドロナフチル、オクタヒドロペンタレン、ビシクロ[1.1.1]ペンタニル、などが挙げられる。シクロアルキル基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。
【0034】
本明細書で用いる「シクロアルケニル」という用語は、環系に少なくとも1個の炭素‐炭素二重結合を有し、5乃至10個の炭素原子を通常有する、環状非芳香族アルケニルラジカルを意味する。シクロアルケニルの代表的な例としては、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキセニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプテニル、シクロヘプタジエニル、シクロヘプタトリエニル、シクロオクテニル、シクロオクタジエニル、シクロオクタトリエニル、シクロオクタテトラエニル、シクロノネニル、シクロノナジエニル、シクロデセニル、シクロデカジエニル、などが挙げられる。シクロアルケニル基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。
【0035】
本明細書で用いる「ヘテロ環」、又は「ヘテロシクリル」という用語は、単環若しくは多環のヘテロ環(通常、3乃至14員環)を意味し、飽和環若しくは不飽和非芳香環である。3員環のヘテロ環は3個までのヘテロ原子を含むことができ、4乃至14員環のヘテロ環は、1乃至約8個のヘテロ原子を含むことができる。各へテロ原子は、独立して、四級化されていてもよい窒素、酸素、並びに、スルホキシド及びスルホンを含む硫黄から選択される。ヘテロ環は、いずれのヘテロ原子又は炭素原子でも結合することができる。代表的なヘテロ環の例としては、モルホリニル、チオモルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、テトラヒドロチオピラニル、などが挙げられる。ヘテロ原子は、当業者に公知の保護基で置換されてもよく、例えば、窒素上の水素がtert‐ブトキシカルボニル基に置換されていてもよい。さらに、ヘテロシクリルは任意に1個以上の置換基(ハロゲン原子、アルキルラジカル、又はアリールラジカルを含むが、これらに限定されない)で置換されていてもよい。本定義で意図するのは、そのような置換ヘテロシクリル基のうち安定な異性体のみである。ヘテロシクリル基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。
【0036】
本明細書で用いる「ヘテロ芳香族」、又は「ヘテロアリール」という用語は、炭素原子の環員及び1個以上のヘテロ原子の環員(例えば、酸素、硫黄、若しくは窒素など)を含む、単環若しくは多環のヘテロ芳香環(又は、そのラジカル)を意味する。通常、ヘテロ芳香環は、5乃至約14の環員を有し、そのうちの少なくとも1個の環員は、酸素、硫黄、及び窒素から選択されるヘテロ原子である。別の実施形態では、ヘテロ芳香環は、5又は6員環であり、1乃至約4個のヘテロ原子を含むことができる。別の実施形態では、ヘテロ芳香環系は、7乃至14個の環員を有し、1乃至約7個のヘテロ原子を含むことができる。代表的なヘテロアリールの例としては、ピリジル、フリル、チエニル、ピロリル、オキサゾリル、イミダゾリル、インドリジニル、チアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、トリアゾリル、ピリジニル、チアジアゾリル、ピラジニル、キノリル、イソキノリル、インダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾフリル、ベンゾチアゾリル、インドリジニル、イミダゾピリジニル、イソチアゾリル、テトラゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、ベンゾキサジアゾリル、インドリル、テトラヒドロインドリル、アザインドリル、イミダゾピリジル、キニザオリニル(qunizaolinyl)、プリニル、ピロロ[2,3]ピリミジル、ピラゾロ[3,4]ピリミジル、又はベンゾ(b)チエニル、などが挙げられる。これらのヘテロアリール基は、任意に、1個以上の置換基で置換されていてもよい。
【0037】
ヘテロアラルキル基とは、アルキレンリンカーで別の部分と結合しているヘテロアリール基のことである。ヘテロアラルキル基は、置換されていても、置換されていなくてもよい。
【0038】
本明細書で用いる、「ハロゲン」又は「ハロ(halo)」という用語は、‐F、‐Cl、‐Br、又は‐Iを意味する。
【0039】
本明細書で用いる、「ハロアルキル」という用語は、1個以上の‐Hがハロ基で置き換えられたアルキル基を意味する。ハロアルキル基の例としては、‐CF、‐CHF、‐CCl、‐CHCHBr、‐CHCH(CHCHBr)CH、‐CHICH、などが挙げられる。
【0040】
本明細書で用いる、「ハロアルコキシ」という用語は、1個以上の‐Hがハロ基で置き換えられたアルコキシ基を意味する。ハロアルコキシ基の例としては、‐OCF、及び‐OCHFが挙げられる。
【0041】
本明細書で用いる、「連続して直鎖状に連結した状態」という用語は、互いに連結して、原子の途切れのない直鎖状のアレイ又は列を形成することを意味する。例えば、所定の数の連続して直鎖状に連結した状態の原子を有する、本明細書で述べる化合物のリンカーは、互いに連結した少なくともその数の原子を有し、途切れのない鎖を形成するが、そのように連結していないさらなる原子(例:分岐鎖、又は環系に含まれる原子)を含んでもよい。
【0042】
本明細書で用いる、「リンカー」とは、1乃至6個の原子が連続して直鎖状に連結した状態のジラジカルを意味し(すなわち、上述の定義のように、そして、側鎖及び分岐鎖に存在する原子は除く)、式(I)に示すように、本発明の化合物のフェニル部分とその化合物のY基とを共有結合で連結するものである。連続して直鎖状に連結した状態のリンカーの原子は、飽和若しくは不飽和の共有結合によって結合することができる。リンカーとしては、これらに限定されないが、アルキリデン、アルケニリデン、アルキニリデン、及びシクロアルキリデン(低級アルキリデン、シクロアルキリデン、アルキルシクロアルキリデン、及びアルキル‐置換アルキリデンなど)のリンカーが挙げられ、ここで、1個以上(例:1乃至4個(例:1又は2個))の炭素原子を、任意に、O、S、又はNと置き換えてもよく、及び、2個以上(例:2〜4個(例:2又は3個))の隣接する原子が、任意に、互いに結合して、炭素環部分、又はヘテロ環部分(単環、多環、及び/若しくは融合した環であってよく、並びに飽和、不飽和、若しくは芳香族であってよい)をリンカー内に形成してもよい。本発明の化合物に有用な具体的なリンカーの例としては(限定されないが)、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アルコキシアルキル、アルキルアミノアルキル、シクロアルキル、アルキルシクロアルキル、及びアルキル‐置換アルキルシクロアルキルのジラジカルが挙げられる(ここで、これらのいずれのリンカーの1個以上の炭素原子も、任意に、O、S、又はNで置換されていてよい)。
【0043】
「生物学的等価体」及び「生物学的等価体性置換」という用語は、本技術分野で一般的に認識される意味と同じである。生物学的等価体は、外殻電子層(peripheral layer of electrons)が実質的に同一であるとみなされる、原子、イオン、又は分子である。生物学的等価体という用語は、通常、分子全体に対するものとして、分子全体の一部の意味で用いられる。生物学的等価体性置換は、最初の生物学的等価体の生物活性を維持するか、若しくはわずかに変化させることを期待して、1個の生物学的等価体を用いて別の生物学的等価体と置き換えることを含む。この場合の生物学的等価体は、従って、類似の大きさ、形状、及び電子密度を有する原子、又は原子団である。エステル、アミド、又はカルボン酸の好ましい生物学的等価体は、水素結合受容部位を2個有する化合物である。一つの実施形態では、エステル、アミド、又はカルボン酸の生物学的等価体は、任意に置換されていてもよい1H‐イミダゾリル、任意に置換されていてもよいオキサゾリル、1H‐テトラゾリル、[1,2,4]トリアゾリル、又は任意に置換されていてもよい[1,2,4]オキサジアゾリルなどの、5員環の単環式へテロアリール環である。
【0044】
本明細書で用いる、「対象」、「患者」、及び「動物」という用語は、交換可能に用いられ、ウシ、サル、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギ、モルモット、及びヒトを含むが、これらに限定されない。好ましい対象、患者、又は動物は、ヒトである。
【0045】
本明細書で用いる、「低級」という用語は、炭素原子を4個まで有する基のことである。例えば、「低級アルキル」とは、1乃至4個の炭素原子を有するアルキルラジカルのことであり、「低級アルケニル」、又は「低級アルキニル」とは、それぞれ、2乃至4個の炭素原子を有するアルケニルラジカル、又はアルキニルラジカルである。低級アルコキシ、又は低級アルキルスルファニルとは、1乃至4個の炭素原子を有するアルコキシ、又はアルキルスルファニルである。通常は、低級の置換基が好ましい。
【0046】
アルキル置換基など、特定の置換基が、任意の構造又は部分に複数存在する場合、置換基の種類(identity)は各場合で独立しており、その構造又は部分におけるその置換基の他の存在と同じであっても、異なっていてもよい。さらに、特定の実施形態及び本発明の典型的な化合物での個々の置換基は、そのような個々の置換基が他の置換基との組み合わせが好ましいと明確に述べられていなくても、又はそのように明確に示されていなくても、本発明の化合物において他のそのような置換基と組み合わせることが好ましい。
【0047】
本発明の化合物は、本明細書において、その化学構造及び/又は化学名によって定義される。化合物が化学構造と化学名の両方で示され、化学構造と化学名が矛盾する場合、化合物の種類に対して、化学構造が優先する。
【0048】
アルキル、アルコキシ、アルキルスルファニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキレン、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアラルキル基の適切な置換基としては、安定な本発明の化合物を形成するものであればいかなる置換基も含まれる。アルキル、アルコキシ、アルキルスルファニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキレン、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール、及びヘテロアラルキルの置換基の例としては、アルキル、アルコキシ、アルキルスルファニル、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクリル、アリール、ヘテロアリール、アラルキル、ヘテロアラルキル、ハロアルキル、‐C(O)NR1314、‐NR15C(O)R16、ハロ、‐OR15、シアノ、ニトロ、ハロアルコキシ、‐C(O)R15、‐NR1314、‐SR15、‐C(O)OR15、‐OC(O)R15、‐NR15C(O)NR1314、‐OC(O)NR1314、‐NR15C(O)OR16、‐S(O)15、又は‐S(O)NR1314が挙げられ、ここで、R13及びR14は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであり;又は、R13及びR14は、これらと結合する窒素と共に任意に置換されていてもよいヘテロシクリル若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアリールであり;及び、R15及びR16は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルである。
【0049】
さらに、アルキル、シクロアルキル、アルキレン、ヘテロシクリル、並びに、アルケニル、シクロアルケニル、アルキニル、アラルキル、及びヘテロアラルキル基の飽和部分も、=O、=S、=N‐R15で置換されていてもよい。
【0050】
ヘテロシクリル、ヘテロアリール、又はヘテロアラルキル基は、窒素原子を含む場合は、置換されていても、置換されていなくてもよい。ヘテロアリール基の芳香環中の窒素原子が置換基を有する場合、窒素は四級窒素であってよい。
【0051】
本発明では、置換基及び変数の選択と組み合わせは、安定な化合物を形成する結果となるもののみを想定する。本明細書で用いる、「安定」という用語は、製造するのに十分な安定性を有し、本明細書で詳細に述べる目的(例:対象への治療的、又は予防的投与)に対して有用とするのに十分な時間化合物の完全性を維持する化合物のことである。通常、そのような化合物は、過剰の水分が存在しない場合、40℃以下の温度で少なくとも1週間安定である。そのような選択と組み合わせは、当業者には明らかであり、過度の実験を行なわずに決定することができる。
【0052】
特に断りのない限り、反応性官能基(カルボキシ、ヒドロキシ、及びアミノ部分などであるが、これらに限定されない)を有する本発明の化合物は、それらの保護された誘導体も含む。「保護された誘導体」とは、一ヶ所又は複数ヶ所の反応性部位が1個以上の保護基によってブロックされた化合物である。カルボキシ部分に対する適切な保護基としては、ベンジル、tert‐ブチル、などが挙げられる。アミノ及びアミド基に対する適切な保護基としては、アセチル、tert‐ブトキシカルボニル、ベンジロキシカルボニル、などが挙げられる。ヒドロキシに対する適切な保護基としては、ベンジルなどが挙げられる。その他の適切な保護基は当業者に公知であり、その全教示内容が参照することで本明細書に組み入れられる、T.W.Greene,Protecting
Groups in Organic Synthesis,John Wiley & Sons,Inc.1981、に記載のものが挙げられる。
【0053】
本明細書で用いる、「本発明の化合物」という用語、及びこれに類似の用語は、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグのことであり、その保護された誘導体も含む。
【0054】
特に断りのない限り、本明細書で用いる「プロドラッグ」という用語は、加水分解、酸化、又はその他の反応を生物的条件下(in vitro若しくはin vivo)で起こして本発明の化合物を提供することができる化合物の誘導体を意味する。プロドラッグは、生物的条件下でのそのような反応時にのみ活性となってもよいが、反応していない形態で活性を有していてもよい。本発明で意図するプロドラッグの例としては、生加水分解性アミド、生加水分解性エステル、生加水分解性カルバメート、生加水分解性カーボネート、生加水分解性ウレイド、及び生加水分解性ホスフェート類似体などの生加水分解性部分を有する、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物の類似体又は誘導体が挙げられるが、これらに限定されない。プロドラッグのその他の例としては、‐NO、‐NO、‐ONO、 若しくは‐ONO部分を有する、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物の誘導体が挙げられる。プロドラッグは、通常、その全教示内容が参照することで本明細書に組み入れられる、1
BURGER’S MEDICINAL CHEMISTRY AND DRUG DISCOVERY (1995) 172‐178,949‐982(Manfred E.Wolff
ed.,5th ed)、に記載の方法など、公知の方法を用いて調製することができる。
【0055】
特に断りのない限り、本明細書で用いる「生加水分解性アミド」、「生加水分解性エステル」、「生加水分解性カルバメート」、「生加水分解性カーボネート」、「生加水分解性ウレイド」、及び「生加水分解性ホスフェート類似体」、という用語は:1)その化合物の生物活性を破壊することなく、取り込み、作用の持続時間、若しくは作用の開始など、in vivoでの有利な性質をその化合物に付与するものであるか;又は、2)それ自体は生物的に不活性であるが、in vivoで生物活性化合物に転換されるものである、アミド、エステル、カルバメート、カーボネート、ウレイド、又はホスフェート類似体を各々意味する。生加水分解性アミドの例としては、低級アルキルアミド、α‐アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミド、及びアルキルアミノアルキルカルボニルアミドが挙げられるが、これらに限定されない。生加水分解性エステルの例としては、低級アルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキルアシルアミノアルキルエステル、及びコリンエステルが挙げられるが、これらに限定されない。生加水分解性カルバメートの例としては、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、ヘテロ環式及びヘテロ芳香族アミン、並びにポリエーテルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0056】
本明細書で用いる、「薬理学的に許容される塩」という用語は、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物の一つの酸性及び塩基性基から形成される塩のことである。塩の実例としては、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、酒石酸水素塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩(gentisinate)、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルカロン酸塩(glucaronate)、サッカリン酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p‐トルエンスルホン酸塩、及びパモエート(すなわち、1,1’‐メチレン‐ビス‐(2‐ヒドロキシ‐3‐ナフトエート))といった塩が挙げられるが、これらに限定されない。「薬理学的に許容される塩」という用語は、さらに、官能性カルボン酸基などの酸性官能基を有する式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物と、薬理学的に許容される無機塩基若しくは有機塩基とから調製される塩のことでもある。適切な塩基としては、ナトリウム、カリウム、及びリチウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウム及びマグネシウムなどのアルカリ土類金属の水酸化物;アルミニウム及び亜鉛などのその他の金属の水酸化物;アンモニア、及び無置換若しくはヒドロキシ置換のモノ‐、ジ‐、又はトリアルキルアミンなどの有機アミン;ジシクロヘキシルアミン;トリブチルアミン;ピリジン;N‐メチル‐N‐エチルアミン;ジエチルアミン;トリエチルアミン;モノ‐、ビス‐、若しくはトリス‐(2‐ヒドロキシエチル)‐アミン、2‐ヒドロキシ‐tert‐ブチルアミン、又はトリス‐(ヒドロキシメチル)メチルアミンなどのモノ‐、ビス‐、若しくはトリス‐(2‐ヒドロキシ‐低級アルキル)アミン;N,N‐ジメチル‐N‐(2‐ヒドロキシエチル)‐アミン、又はトリ‐(2‐ヒドロキシエチル)アミンなどのN,N‐ジ低級アルキル‐N‐(ヒドロキシ低級アルキル)‐アミン;N‐メチル‐D‐グルカミン;並びに、アルギニン、リシン、などのアミノ酸、が挙げられるが、これらに限定されない。「薬理学的に許容される塩」という用語は、さらに、官能性アミノ基などの塩基性官能基を有する式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物と、薬理学的に許容される無機酸若しくは有機酸とから調製される塩のことでもある。適切な酸としては、硫酸水素塩、クエン酸、酢酸、シュウ酸、塩酸、臭化水素、ヨウ化水素、硝酸、リン酸、イソニコチン酸、乳酸、サリチル酸、酒石酸、アスコルビン酸、コハク酸、マレイン酸、ベシル酸、フマル酸、グルコン酸、グルカロン酸(glucaronic acid)、サッカリン酸、ギ酸、安息香酸、グルタミン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及びp‐トルエンスルホン酸が挙げられるが、これらに限定されない。
【0057】
本明細書で用いる、「薬理学的に許容される溶媒和物」という用語は、1個以上の溶媒分子と、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の1個以上の化合物との会合によって形成される溶媒和物のことである。溶媒和物という用語には水和物(例:半水和物、一水和物、二水和物、三水和物、四水和物、など)が含まれる。
【0058】
本明細書で用いる、「包接化合物」という用語は、ゲスト分子(例:溶媒、若しくは水)がその内部に取り込まれている空間(例:チャネル)を有する結晶格子形態である本発明の化合物若しくはその塩を意味する。
【0059】
本明細書で用いる、「喘息」という用語は、可逆性気道閉塞、気道炎症、及び種々の刺激に対する気道の反応性の上昇を特徴とする肺の疾患、障害、又は状態を意味する。
【0060】
「免疫抑制」とは、免疫機能の低下をもたらす免疫システムのいずれかの構成要素の機能障害のことである。この機能障害は、リンパ球機能の全血アッセイ、リンパ球増殖の検出、及びT細胞表面抗原の発現の評価を含む従来の手段によって測定することができる。一つの具体的な方法としては、抗ヒツジ赤血球(SRBC)一次(IgM)抗体反応アッセイ(通常、プラークアッセイと称する)がある。この方法、及びその他の方法は、Luster,M.I.,Portier,C.,Pait,D.G.,White,K.L.,Jr.,Gennings,C.,Munson,A.E.,and
Rosenthal,G.J.(1992).”Risk Assessment
in Immunotoxicology I:Sensitivity and Predictability of Immune Tests.”Fundam.Appl.Toxicol.,18,200‐210、に記載されている。別の特に有用なアッセイは、T細胞依存性免疫原に対する免疫反応の測定である(Dean,J.H.,House,R.V.,and
Luster,M.I.(2001).”Immunotoxicology:Effects
of,and Responses to,Drugs and Chemicals.”In Principles and Methods of Toxicology:
Fourth Edition(A.W.Hayes,Ed.),pp.1415‐1450,Taylor & Francis,Philadelphia,Pennsylvania)。
【0061】
本発明の化合物は、免疫疾患を有する対象の治療に使用することができる。本明細書で用いる、「免疫疾患」及びこれに類似の用語は、自己免疫疾患を含む、動物の免疫システムによって引き起こされる疾患、障害、又は状態を意味する。免疫疾患は、免疫要素を有する疾患、障害、又は状態、及び、実質的に若しくは完全に免疫システムの媒介による疾患、障害、又は状態を含む。自己免疫疾患は、動物の免疫システムが誤って自己を攻撃し、それによって動物自身の体内の細胞、組織、及び/又は器官が標的となるものである。例えば、自己免疫反応は、多発性硬化症では神経系に対して向けられ、クローン病では腸に向けられる。全身性エリテマトーデス(ループス)などのその他の自己免疫疾患では、同じ疾患でも影響を受ける組織及び器官は個体によって異なる場合がある。ループスを有する人で、皮膚及び関節が影響を受ける人もいれば、皮膚、腎臓、及び肺が影響を受ける人もいる。最終的には、免疫システムによる特定の組織への損傷は、膵臓のインスリン産生細胞の破壊を伴う1型糖尿病のように、恒久的なものとなり得る。本発明の化合物及び方法を用いて寛解することができる具体的な自己免疫疾患としては、神経系の自己免疫疾患(例:多発性硬化症、重症筋無力症、ギラン‐バレー症などの自己免疫性神経病、及び自己免疫性ぶどう膜炎)、血液の自己免疫疾患(例:自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、及び自己免疫性血小板減少症)、血管の自己免疫疾患(例:側頭動脈炎、抗リン脂質抗体症候群、ウェゲナー肉芽腫症などの血管炎、及びベーチェット病)、皮膚の自己免疫疾患(例:乾癬、疱疹状皮膚炎、尋常性天疱瘡、及び白斑)、胃腸管系の自己免疫疾患(例:クローン病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、及び自己免疫性肝炎)、内分泌腺の自己免疫疾患(例:1型又は免疫媒介性糖尿病、グレーブス病、橋本甲状腺炎、自己免疫性卵巣炎及び精巣炎、並びに副腎の自己免疫疾患)、並びに複数の器官の自己免疫疾患(結合組織、及び筋骨格系疾患を含む)(例:関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、強直性脊椎炎などの脊椎関節症、及びシェーグレン症候群)が挙げられるが、これらに限定されない。さらに、移植片対宿主病及びアレルギー性疾患など、免疫システムの媒介によるその他の疾患も、本明細書における免疫疾患の定義に含まれる。数多くの免疫疾患が炎症によって引き起こされるため、免疫疾患とみなされる疾患と炎症性疾患とみなされる疾患のいくつかは重複している。本発明の目的のために、このような重複のある場合は、免疫疾患又は炎症性疾患のいずれかとみなす場合がある。本明細書における「免疫疾患の治療」とは、免疫疾患を有するか、そのような疾患の症状があるか、若しくはそのような疾患の素因を有する対象へ、自己免疫疾患、その症状、若しくはその疾患素因の治癒、軽減、変化、影響、又は予防を目的として、本発明の化合物又は組成物を投与することである。
【0062】
本明細書で用いる、「アレルギー性疾患」という用語は、通常は無害である物質に対してのアレルギー性反応を伴う疾患、状態、又は障害を意味する。このような物質は、環境中に存在する場合もあり(室内空気汚染物質、及び空気アレルゲンなど)、又は、非環境物質でもあり得る(皮膚アレルギー又は食物アレルギーなどを引き起こす物質)。アレルゲンが体内へ侵入する経路は数多くあり、吸入、経口摂取、皮膚との接触、又は注入(虫刺されを含む)が含まれる。多くのアレルギー性疾患が、アレルギー性抗体IgEを産生しやすい体質であるアトピーと関連している。IgEは体内のどこにあるマスト細胞も感作することができるため、アトピー体質の個体は2種類以上の器官で疾患を発症することが多い。本発明の目的のために、アレルギー性疾患は、感作アレルゲンへの再曝露によって発生するいかなる過敏症も含み、これは引き続いて炎症メディエーターの放出の原因となる。アレルギー性疾患としては、アレルギー性鼻炎(例:枯草熱)、静脈洞炎、副鼻腔炎、慢性若しくは反復性中耳炎、薬物反応、虫刺され反応、ラテックス反応、結膜炎、じん麻疹、アナフィラキシー及びアナフィラキシー様反応、アトピー性皮膚炎、喘息、並びに食物アレルギーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0063】
本発明の化合物を用いて、炎症性疾患を有する対象の予防又は治療を行うことができる。本明細書で用いる、「炎症性疾患」とは、体内組織の炎症若しくは炎症要素を有することを特徴とする疾患、障害、又は状態を意味する。これらには、局所的な炎症反応、及び全身性炎症が含まれる。そのような炎症性疾患の例としては、皮膚移植片拒絶反応を含む移植片拒絶;関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、骨吸収の増加を伴う骨疾患を含む関節の慢性炎症性疾患;回腸炎、潰瘍性大腸炎、バレット症候群(Barrett’s
syndrome)、及びクローン病などの炎症性腸疾患;喘息、成人呼吸促迫症候群、及び慢性閉塞性気道疾患などの炎症性肺疾患;角膜ジストロフィー、トラコーマ、オンコセルカ症、ぶどう膜炎、交感神経性眼炎、及び眼内炎を含む目の炎症性疾患;歯肉炎、及び歯周炎を含む歯肉の慢性炎症性疾患;結核;ハンセン病;尿毒症の合併症、糸球体腎炎、及びネフローゼを含む腎臓の炎症性疾患;硬化性皮膚炎、乾癬、及び湿疹を含む皮膚の炎症性疾患;神経系の慢性脱髄疾患、多発性硬化症、エイズ関連神経変性及びアルツハイマー病、感染性髄膜炎、脳脊髄炎、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、並びにウイルス性若しくは自己免疫性脳炎を含む中枢神経系の炎症性疾患;自己免疫疾患、免疫複合体血管炎、全身性ループス、及びエリテマトーデス;全身性エリテマトーデス(SLE);並びに心筋症、虚血性心疾患、高コレステロール血症、粥状動脈硬化などの心臓の炎症性疾患、さらには、子癇前症、慢性肝不全、脳及び脊髄外傷、並びに癌を含む、著しい炎症要素を伴う種々のその他の疾患、が挙げられる。グラム陽性若しくはグラム陰性ショック、出血性若しくはアナフィラキシー性ショック、又は、例えば炎症誘発性サイトカインに付随するショックなど、癌の化学療法によって引き起こされた炎症誘発性サイトカインへの反応であるショック、などに例示される身体の全身性炎症もあり得る。このようなショックは、例えば、癌の化学療法に用いられる化学療法薬によって誘発され得る。本明細書における「炎症性疾患の治療」とは、炎症性疾患を有するか、そのような疾患の症状があるか、若しくはそのような疾患の素因を有する対象へ、炎症性疾患、その症状、若しくはその疾患素因の治癒、軽減、変化、影響、又は予防を目的として、本発明の化合物又は組成物を投与することである。
【0064】
「有効量」とは、対象へ投与した際に有益な結果が達成される化合物の量のことであり、又は、in vivo若しくはin vitroで所望の活性を有するだけの化合物の量のことである。炎症性疾患及び自己免疫疾患の場合、有益な臨床的結果とは、その疾患若しくは障害に付随する症状の程度又は重症度の低減、並びに/又は、治療を行なわない場合と比較して、対象の生存期間の延長及び生活の質の向上が含まれる。対象へ投与する化合物の正確な量は、疾患若しくは状態の種類又は重症度、及び、全般的な健康状態、性別、年齢、体重、及び薬物への許容度などの対象の特性に依存することになる。また、炎症性疾患、若しくは自己免疫疾患の程度、重症度、及び種類、又は、求める免疫抑制の程度にも依存することになる。当業者であれば、これらの及びその他の要因に応じて、適切な投与量を決定することができるであろう。開示化合物の有効量としては、通常、1日あたり約1mg/mm乃至約10グラム/mmの範囲であり、好ましくは、10mg/mm乃至約1グラム/mmの範囲である。
【0065】
本発明の化合物は、1箇所以上のキラル中心、及び/又は二重結合を有することができ、従って、二重結合異性体(すなわち、幾何異性体)、エナンチオマー、又はジアステレオマーなどの立体異性体として存在することができる。本発明によると、本発明の化合物を含む、本明細書で示される化学構造は、対応する化合物のエナンチオマー及び立体異性体のすべてを包含し、すなわち、純粋な立体異性体(例:純粋な幾何異性体、純粋なエナンチオマー、又は純粋なジアステレオマー)、並びにエナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何異性体の異性体混合物の両方の形態を包含する。場合によっては、一つのエナンチオマー、ジアステレオマー、若しくは幾何異性体が、他に比べて優れた活性又は改善された毒性若しくは動力学的特性を有することがある。その場合は、本発明の化合物のそのようなエナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何異性体が好ましい。
【0066】
「IL‐2の産生を阻害する」及びこれに類似の用語は、IL‐2の合成の阻害(例:転写(mRNA発現)、若しくは翻訳(タンパク質発現)の阻害によって)、並びに/又は、IL‐2を産生及び/若しくは分泌する能力を有する細胞内(例:Tリンパ球)でのIL‐2の分泌の阻害を意味する。同様に、「IL‐4、IL‐5、IL‐13、GM‐CSF、TNF‐α、又はINF‐γの産生を阻害する」という用語は、合成の阻害(例:転写若しくは翻訳の阻害により)、並びに/又は、これらのサイトカインを産生及び/若しくは分泌する能力を有する細胞内での分泌の阻害を意味する
【0067】
本明細書で用いる、化合物を「実質的に」含む組成物とは、その組成物が、約80重量%超、より好ましくは約90重量%超、さらにより好ましくは約95重量%超、そして最も好ましくは約97重量%超の化合物を含有することを意味する。
【0068】
本明細書で用いる、化合物を「実質的に含まない」組成物とは、その組成物が約20重量%未満、より好ましくは約10重量%未満、さらにより好ましくは約5重量%未満、そして最も好ましくは約3重量%未満の化合物を含有することを意味する。
【0069】
本明細書で用いる、「実質的に完了した」反応とは、反応物が、所望の生成物を約80重量%超含有することを意味し、より好ましくは所望の生成物を約90重量%超含有することを、さらにより好ましくは所望の生成物を約95重量%超含有することを、そして最も好ましくは所望の生成物を約97重量%超含有することを意味する。
【0070】
本明細書で用いる、ラセミ混合物とは、分子内のすべてのキラル中心に対して、一つのエナンチオマーが約50%であり、それに対応するエナンチオマーも約50%であることを意味する。本発明は、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物の、純粋エナンチオマー、エナンチオマー濃縮混合物、純粋ジアステレオマー、ジアステレオマー濃縮混合物、及びラセミ混合物のすべてを包含する。
【0071】
エナンチオマー及びジアステレオマー混合物は、キラル相ガスクロマトグラフィー、キラル相高速液体クロマトグラフィー、キラル塩複合体としての化合物の結晶化、又はキラル溶媒中での化合物の結晶化など、公知の方法によってその構成成分であるエナンチオマー又は立体異性体に分割することができる。エナンチオマー及びジアステレオマーは、公知の不斉合成法により、純粋なジアステレオマー又はエナンチオマーである中間体、試薬、及び触媒から得ることもできる。
【0072】
例えば、獣医学的用途若しくは家畜の改善のために非ヒト動物へ、又は、臨床的用途のためにヒトなどの患者へ投与される場合、本発明の化合物は、通常、単離された形態で、又は薬理学的に許容される組成物中の単離された形態として投与される。本明細書で用いる、「単離された」とは、本発明の化合物が、(a)植物、若しくは細胞などの自然源、好ましくはバクテリア培養物、又は(b)合成有機化学反応混合物における他の成分から分離されていることを意味する。従来の技術によって、本発明の化合物が精製されることが好ましい。本明細書で用いる、「精製された」とは、単離された際に、その単離物が、単離物の重量に対して、少なくとも95%、好ましくは少なくとも98%の本発明の単一の化合物を含有することを意味する。
【0073】
置換基の選択及び組み合わせは、安定な構造をもたらすもののみを意図している。そのような選択及び組み合わせは、当業者にとっては明らかであり、過度の実験を行なわずに決定することができる。
【0074】
以下に示す詳細な説明及び実例を参照することで、本発明をさらに十分に理解することができ、これらは本発明の限定されない実施形態を例示することを意図したものである。
【0075】
(具体的な実施形態)
本発明は、免疫抑制、又は、炎症状態、免疫疾患、及びアレルギー性疾患の治療若しくは予防に対して特に有用な化合物、並びに医薬組成物に関する。
【0076】
本発明の一つの実施形態は、式(I)の化合物:
【化8】


又は、その薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグに関し、ここで:
Aは、‐O‐、‐S‐、‐NR’11‐、‐CR=CR‐、‐N=CR‐、‐CR=N‐、又は‐N=N‐であり;
及びWは、各々独立して、CR又はNであり;
Yは、任意に置換されていてもよいアリール、又は任意に置換されていてもよいヘテロアリールであり;
Lは、リンカーであるが、ただし、共有結合、‐NRCH‐、‐CHNR‐、‐C(O)‐、‐NR‐C(O)‐、‐C(O)‐NR‐、‐OC(O)‐、‐C(O)O‐、‐C(S)‐、‐NR‐C(S)‐、‐C(S)‐NR‐、‐NRC(NR)‐、又は‐C(NR)NR‐ではなく;
Rは、存在する各々の場合は、独立して、‐H、アルキル、‐C(O)‐R、又は‐C(O)ORであり;
R’は、任意に置換されていてもよいアリール、又は任意に置換されていてもよいヘテロアリールであるが、ただし、R’は、任意に置換されていてもよいトリアゾリル、ピリジニル、ピラゾリル、インドリジニル、ベンズアミダゾリル、イミダゾ[4,5‐c]ピリジン‐1‐イル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、又はイミダゾ[4,5‐b]ピリジン‐3‐イル‐フェニルではなく;
及びRは、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル、シアノ、ニトロ、ハロ、‐OR’、‐SR’、‐NR’R’、‐C(O)NR’R’、‐NR’C(O)R’、‐C(O)R’、‐C(O)OR’、‐OC(O)R’、‐C(O)SR’、‐SC(O)R’、‐C(S)NR’R’、‐NR’C(S)R’、‐C(S)R’、‐C(S)OR’、‐OC(S)R’、‐C(S)SR’、‐SC(S)R’、‐C(NR’)NR’R’、‐NR’C(NR’)R’、‐C(NR’)R’、‐C(NR’)OR’、‐OC(NR’)R’、‐C(NR’)SR’、‐SC(NR’)R’、‐OC(O)OR’、‐OC(O)NR’R’、‐NR’C(O)OR’、‐NR’C(O)NR’R’、‐SC(O)OR’、‐SC(O)NR’R’、‐SC(O)SR’、‐NR’C(O)SR’、‐OC(O)SR’、‐OC(S)OR’、‐OC(S)NR’R’、‐NR’C(S)OR’、‐NR’C(S)NR’R’、‐SC(S)OR’、‐SC(S)NR’R’、‐SC(S)SR’、‐NR’C(S)SR’、‐OC(S)SR’、‐OC(NR’)OR’、‐OC(NR’)NR’R’、‐NR’C(NR’)OR’、‐NR’C(NR’)NR’R’、‐SC(NR’)OR’、‐SC(NR’)NR’R’、‐SC(NR’)SR’、‐NR’C(NR’)SR’、又は‐OC(NR’)SR’であり;
R’は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであり;
R’及びR’は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであるか;又は、
R’及びR’は、これらに結合する窒素と共に、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアリールであり;
は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであり;
R’は、存在する各々の場合は、独立して、‐H、ハロ、アルキル、‐OR’、-NR’R’、‐C(O)R’、‐C(O)OR’、又は‐C(O)NR’R’であり;
R’及びR’10は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、若しくは任意に置換されていてもよいアルキニルであるか;又は、
R’及びR’10は、これらに結合する炭素原子と共に、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロシクリルを形成し;
は、存在する各々の場合は、独立して、‐H、ハロ、アルキル、‐OR、-NR11712、‐C(O)R、‐C(O)OR、又は‐C(O)R1112であり;
R’11は、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル、‐OR’、‐SR’、‐NR’R’、‐C(O)NR’R’、‐C(O)R’、‐C(O)OR’、‐C(O)SR’、‐C(S)NR’R’、‐C(S)R’、‐C(S)OR’、‐C(S)SR’、‐C(NR’)NR’R’、‐C(NR’)R’、‐C(NR’)OR’、又は‐C(NR’)SR’であり;
11及びR12は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであるか;又は、
11及びR12は、これらに結合する窒素と共に、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアリールであり;
ただし、環Aはチアゾールでもチアジアゾールでもない。
【0077】
本発明の別の実施形態は、式(II)の化合物:
【化9】

又は、その薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグに関し、ここで:
Y’は、任意に置換されていてもよい単環式アリール、又は任意に置換されていてもよい単環式ヘテロアリールであり;
及びXは、各々独立して、CH、CZ、又はNであるが、ただし、X及びXは、同時にNではなく;
L’は、‐NRS(O)‐、‐S(O)NR‐、‐NRS(O)NR‐、‐NRC(O)NR‐、‐NRC(NR)NR‐、‐NRC(S)NR‐、‐NRCHNR‐、‐NRN=CR‐、‐C(NR)‐、‐N=CH‐、‐CH=N‐、‐NR‐NR‐C(O)‐、又は‐CR=NNR‐であり;
及びZは、各々独立して、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル、ハロアルキル、‐C(O)NR、‐NRC(O)R、ハロ、‐OR、シアノ、ニトロ、ハロアルコキシ、‐C(O)R、‐NR、‐SR、‐C(O)OR、‐OC(O)R、‐NRC(O)NR、‐OC(O)NR、‐NRC(O)OR、‐S(O)、又は‐S(O)NRであり;
は、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル、‐C(O)NR、‐NRC(O)R、‐OR、ハロアルコキシ、‐C(O)R、‐NR、‐SR、‐C(O)OR、‐OC(O)R、‐NRC(O)NR、‐OC(O)NR、‐NRC(O)OR、‐S(O)、又は‐S(O)NRであり;
Rは、存在する各々の場合は、独立して、‐H、アルキル、‐C(O)‐R、又は‐C(O)ORであり;
及びRは、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル;又は、
及びRは、これらに結合する窒素と共に、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアリールであり;
及びRは、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであり;
は、存在する各々の場合は、‐H又はアルキルであり;
は、存在する各々の場合は、独立して、‐H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであり;及び、
pは0、1、又は2である。
【0078】
本発明の別の実施形態は、式(III)の化合物:
【化10】

又は、その薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグに関し、ここで:
X’及びX’は、各々独立して、CH、又はNであるが、ただし、X’及びX’は、同時にNではなく;
L’’は、‐NRS(O)‐、‐S(O)NR‐、‐NRS(O)NR‐、‐NRC(O)NR‐、‐NRC(NR)NR‐、‐NRC(S)NR‐、‐NRCHNR‐、‐NRN=CR‐、‐C(NR)‐、‐CR=NNR‐、‐N=CH‐、‐CH=N‐、‐NR‐NR‐C(O)‐、‐CH=CH‐、又は‐C≡C‐であり;
Z’は、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル、‐C(O)NR、‐NRC(O)R、‐C(O)R、‐NR、‐SR、‐C(O)OR、‐NRC(O)NR、‐OC(O)NR、‐NRC(O)OR、‐S(O)、又は‐S(O)NRであり;及び、
【0079】
一つの実施形態では、式(I)で表される化合物において、Yは、任意に置換されていてもよいフェニル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピリダジニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいチオフェニルである。一つの局面では、Yは置換されていない。一つの局面では、Yは、任意に置換されていてもよいフェニル、又は任意に置換されていてもよいピリジニルである。一つの局面では、Yは、1乃至2個の置換基によって置換されている。一つの局面では、この1乃至2個の置換基は、各々独立して、低級アルキル又はハロである。一つの局面では、Yはジフルオロフェニルである。一つの局面では、Yは、任意に置換されていてもよいチアジアゾリルである。一つの局面では、Yは、任意に置換されていてもよいチオフェニルである。一つの局面では、Yは、任意に置換されていてもよいピリダジニルである。一つの局面では、Yは、一つのメチル基で置換されたチアジアゾリルである。一つの局面では、Yは、一つのメチル基で置換されたチオフェニルである。一つの局面では、Yは、一つのメチル基で置換されたピリダジニルである。一つの局面では、Yは、任意に置換されていてもよいピリミジニルである。一つの局面では、Yは、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピリダジニル、又は任意に置換されていてもよいピリミジニルである。一つの局面では、Yは2,6‐ジフルオロフェニルである。
【0080】
一つの実施形態では、式(I)で表される化合物において、R’は、任意に置換されていてもよいトリアゾリル、ピリジニル、ピラゾリル、インドリジニル、ベンズアミダゾリル、イミダゾ[4,5‐c]ピリジン‐1‐イル、又はイミダゾ[4,5‐b]ピリジン‐3‐イル‐フェニルではない。
【0081】
一つの実施形態では、式(I)で表される化合物において、R’は、任意に置換されていてもよいフェニルである。一つの局面では、R’は、1乃至2個の置換基で置換されている。一つの局面では、その1乃至2個の置換基は、各々独立して、‐C(O)OR、低級アルキル、ハロ、低級アルコキシ、任意に置換されていてもよいフェニル、任意に置換されていてもよいオキサゾリル、任意に置換されていてもよいチアゾリル、任意に置換されていてもよいイミダゾリル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピラゾリル、任意に置換されていてもよいピロリル、任意に置換されていてもよいチエニル、任意に置換されていてもよいフラニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、任意に置換されていてもよいオキサジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいテトラゾリルであり;
は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルである。
【0082】
一つの実施形態では、式(I)で表される化合物において、R’は、以下の式で表され:
【化11】

ここで、
及びZは、各々独立して、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル、ハロアルキル、‐C(O)NR、‐NRC(O)R、ハロ、‐OR、シアノ、ニトロ、ハロアルコキシ、‐C(O)R、‐NR、‐SR、‐C(O)OR、‐OC(O)R、‐NRC(O)NR、‐OC(O)NR、‐NRC(O)OR、‐S(O)、又は‐S(O)NRであり;
及びRは、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル;又は、
及びRは、これらに結合する窒素と共に、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアリールであり;
及びRは、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであり;及び、
pは、0、1、又は2である。
【0083】
一つの局面では、Zは、任意に置換されていてもよいフェニル、‐C(O)OR、任意に置換されていてもよいオキサゾリル、任意に置換されていてもよいチアゾリル、任意に置換されていてもよいイミダゾリル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピラゾリル、任意に置換されていてもよいピロリル、任意に置換されていてもよいチオフェニル、任意に置換されていてもよいフラニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、任意に置換されていてもよいオキサジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいテトラゾリルである。一つの局面では、Zは、オキサゾール‐2‐イル、オキサゾール‐5‐イル、チアゾール‐2‐イル、チアゾール‐5‐イル、[1,3,4]オキサジアゾール‐2‐イル、‐C(O)OCHCHCH、‐C(O)OCHCH、又は‐C(O)OCHである。一つの局面では、Zは、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルキルスルファニル、ハロ、又はアミノから成る群より選択される1個の置換基で置換されている。一つの局面では、Zは、オキサゾール‐2‐イルである。一つの局面では、Zは、ハロ、低級アルキル、又は低級アルコキシである。一つの局面では、Zは、メチル、クロロ、フルオロ、ブロモ、又はメトキシである。一つの局面では、Zは、メチルである。
【0084】
一つの実施形態では、式(I)で表される化合物において、環Aは、
【化12】

であり;
Zは置換基であり;及び
nは、0、1、又は2である。
【0085】
一つの実施形態では、式(I)で表される化合物において、環Aは、チオフェン環である。
【0086】
一つの実施形態では、式(I)で表される化合物において、環Aは、ピラジン環、又はピリダジン環である。
【0087】
一つの実施形態では、式(I)で表される化合物において、Lは、‐NRS(O)‐、‐S(O)NR‐、‐NRS(O)NR‐、‐NRC(O)NR‐、‐NRC(S)NR‐、‐NRCHNR‐、‐NRN=CR‐、‐C(NR)‐、‐CR=NNR‐、‐N(R)‐、‐NR‐NR‐C(O)‐、‐N=CR‐、‐CR=N‐、‐CH=CH‐、又は‐C≡C‐であり;
Rは、存在する各々の場合は、独立して、‐H、アルキル、‐C(O)R、又は‐C(O)ORであり;
は、存在する各々の場合は、‐H、又はアルキルであり;及び、
は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルである。一つの局面では、Rは‐Hである。一つの局面では、Lは‐N=CH‐である。一つの局面では、Lは‐NH‐NH‐C(O)‐である。
【0088】
一つの実施形態では、式(I)で表される化合物において、Lは、‐NRS(O)‐、‐S(O)NR‐、‐NRS(O)NR‐、‐NRC(O)NR‐、‐NRC(S)NR‐、‐NRCHNR‐、‐NRN=CR‐、‐C(NR)‐、‐CR=NNR‐、‐N(R)‐、‐CH=CH‐、又は‐C≡C‐であり;
Rは、存在する各々の場合は、独立して、‐H、アルキル、‐C(O)R、又は‐C(O)ORであり;
は、存在する各々の場合は、‐H、又はアルキルであり;及び、
は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルである。一つの局面では、Rは‐Hである。
【0089】
一つの実施形態では、式(I)で表される化合物において、Lは‐N(R)‐であり;
Rは、存在する各々の場合は、独立して、‐H、アルキル、‐C(O)R、又は‐C(O)ORであり;及び、
は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルである。一つの局面では、Rは‐Hである。
【0090】
一つの実施形態では、式(I)で表される化合物において、
Lは‐N(H)‐であり;
Yは、1乃至2個の置換基で置換されたフェニルであって、ここで、この1乃至2個の置換基は、各々独立して、低級アルキル又はハロであり;
環Aはフェニルであり;
はハロ、低級アルキル、又は低級アルコキシであり;及び、
は、オキサゾール‐2‐イル、オキサゾール‐5‐イル、チアゾール‐2‐イル、チアゾール‐5‐イル、[1,3,4]オキサジアゾール‐2‐イル、‐C(O)OCHCHCH、‐C(O)OCHCH、又は‐C(O)OCHである。
【0091】
一つの実施形態では、式(II)又は(III)で表される化合物において、Y’は、任意に置換されていてもよいフェニル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピリダジニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいチオフェニルである。一つの局面では、Y’は置換されていない。一つの局面では、Y’は、任意に置換されていてもよいフェニル、又は任意に置換されていてもよいピリジニルである。一つの局面では、Y’は、1乃至2個の置換基で置換されている。一つの局面では、この1乃至2個の置換基は、各々独立して、低級アルキル又はハロである。一つの局面では、Y’はジフルオロフェニルである。一つの局面では、Y’は、2,6‐ジフルオロフェニルである。一つの局面では、Y’は、任意に置換されていてもよいチアジアゾリルである。一つの局面では、Y’は、任意に置換されていてもよいチオフェニルである。一つの局面では、Y’は、任意に置換されていてもよいピリダジニルである。一つの局面では、Y’は、1個のメチル基で置換されたチアジアゾリルである。一つの局面では、Y’は、1個のメチル基で置換されたチオフェニルである。一つの局面では、Y’は、1個のメチル基で置換されたピリダジニルである。一つの局面では、Y’は、任意に置換されていてもよいピリミジニルである。一つの局面では、Y’は、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピリダジニル、又は任意に置換されていてもよいピリミジニルである。
【0092】
一つの実施形態では、式(II)又は(III)で表される化合物において、Zは、ハロ、低級アルキル、又は低級アルコキシである。一つの局面では、Zはメチル、クロロ、フルオロ、ブロモ、又はメトキシである。
【0093】
一つの実施形態では、式(II)で表される化合物において、L’は、‐NRS(O)‐、‐S(O)NR‐、‐NRS(O)NR‐、‐NRC(O)NR‐、‐NRC(NR)NR‐、‐NRC(S)NR‐、‐NRCHNR‐、‐NRN=CR‐、‐C(NR)‐、又は‐CR=NNR‐である。
【0094】
一つの実施形態では、式(II)で表される化合物において、L’は、‐NHS(O)‐、‐S(O)NH‐、‐NHS(O)NH‐、‐NHC(O)NH‐、‐NHC(NH)NH‐、‐NHC(S)NH‐、‐NHCHNH‐、‐NHN=CR‐、‐C(NH)‐、又は‐CR=NNH‐である。一つの局面では、L’は、‐NHS(O)‐、‐NHC(O)NH‐、‐NHC(S)NH‐、又は‐NHN=CH‐である。
【0095】
一つの実施形態では、式(II)で表される化合物において、Zは低級アルキルである。
【0096】
一つの実施形態では、式(II)で表される化合物において、XはNである。
【0097】
一つの実施形態では、式(II)で表される化合物において、XはNである。
【0098】
一つの実施形態では、式(II)で表される化合物において、X及びXは、各々独立して、CH又はCZである。一つの局面では、X及びXは、各々CHである。
【0099】
一つの実施形態では、式(II)で表される化合物において、Zは、任意に置換されていてもよいフェニル、‐C(O)OR、任意に置換されていてもよいオキサゾリル、任意に置換されていてもよいチアゾリル、任意に置換されていてもよいイミダゾリル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピラゾリル、任意に置換されていてもよいピロリル、任意に置換されていてもよいチオフェニル、任意に置換されていてもよいフラニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、任意に置換されていてもよいオキサジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいテトラゾリルである。一つの局面では、Zは、オキサゾール‐2‐イル、オキサゾール‐5‐イル、チアゾール‐2‐イル、チアゾール‐5‐イル、[1,3,4]オキサジアゾール‐2‐イル、‐C(O)OCHCHCH、‐C(O)OCHCH、又は‐C(O)OCHである。一つの局面では、Zは、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルキルスルファニル、ハロ、又はアミノから成る群より選択される1個の置換基で置換されている。
【0100】
一つの実施形態では、式(II)で表される化合物において、Zは、エステル、アミド、又はカルボン酸のバイオスター(biostere)である。
【0101】
一つの実施形態では、式(II)で表される化合物において、Y’は、任意に置換されていてもよいフェニル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピリダジニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいチオフェニルであり;L’は、‐NHS(O)‐、‐NHC(O)NH‐、‐NHC(S)NH‐、又は‐NHN=CH‐であり;X及びXは、各々、CHであり;Zは、ハロ、低級アルキル、又は低級アルコキシであり;Zは、任意に置換されていてもよいフェニル、任意に置換されていてもよいオキサゾリル、任意に置換されていてもよいチアゾリル、任意に置換されていてもよいイミダゾリル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピラゾリル、任意に置換されていてもよいピロリル、任意に置換されていてもよいチエニル、任意に置換されていてもよいフラニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、任意に置換されていてもよいオキサジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいテトラゾリルである。一つの局面では、Zは、オキサゾール‐2‐イル、オキサゾール‐5‐イル、チアゾール‐2‐イル、チアゾール‐5‐イル、[1,3,4]オキサジアゾール‐2‐イル、‐C(O)OCHCHCH、‐C(O)OCHCH、又は‐C(O)OCHである。一つの局面では、L’は、‐NHS(O)‐、又は‐NHC(O)NH‐である。一つの局面では、Y’は、任意に置換されていてもよいフェニル、又は任意に置換されていてもよいピリジニルである。一つの局面では、Y’は、ジフルオロフェニルである。
【0102】
一つの実施形態では、式(III)で表される化合物において、L’’は、‐NRS(O)‐、‐S(O)NR‐、‐NRS(O)NR‐、‐NRC(O)NR‐、‐NRC(NR)NR‐、‐NRC(S)NR‐、‐NRCHNR‐、‐NRN=CR‐、‐C(NR)‐、‐CR=NNR‐、‐CH=CH‐、又は‐C≡C‐である。
【0103】
一つの実施形態では、式(III)で表される化合物において、L’’は、‐NHS(O)‐、‐S(O)NH‐、‐NHS(O)NH‐、‐NHC(O)NH‐、‐NHC(NH)NH‐、‐NHC(S)NH‐、‐NHCHNH‐、‐NHN=CR‐、‐C(NH)‐、‐CR=NNH‐、‐CH=CH‐、又は‐C≡C‐である。一つの局面では、L’’は、‐NHS(O)‐、‐NHC(O)NH‐、‐CH=CH‐、‐NHC(S)NH‐、又は‐NHN=CH‐である。
【0104】
一つの実施形態では、式(III)で表される化合物において、XはNである。
【0105】
一つの実施形態では、式(III)で表される化合物において、XはNである。
【0106】
一つの実施形態では、式(III)で表される化合物において、X及びXは、各々、CHである。
【0107】
一つの実施形態では、式(III)で表される化合物において、Z’は、任意に置換されていてもよいフェニル、‐C(O)OR、任意に置換されていてもよいオキサゾリル、任意に置換されていてもよいチアゾリル、任意に置換されていてもよいイミダゾリル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピラゾリル、任意に置換されていてもよいピロリル、任意に置換されていてもよいチオフェニル、任意に置換されていてもよいフラニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、任意に置換されていてもよいオキサジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいテトラゾリルである。一つの局面では、Z’は、オキサゾール‐2‐イル、オキサゾール‐5‐イル、チアゾール‐2‐イル、チアゾール‐5‐イル、[1,3,4]オキサジアゾール‐2‐イル、‐C(O)OCHCHCH、‐C(O)OCHCH、又は‐C(O)OCHである。一つの局面では、Z’は、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルキルスルファニル、ハロ、又はアミノから成る群より選択される1個の置換基で置換されている。
【0108】
一つの実施形態では、式(III)で表される化合物において、Z’は、エステル、アミド、又はカルボン酸のバイオスター(biostere)である。
【0109】
一つの実施形態では、式(III)で表される化合物において、Y’は、任意に置換されていてもよいフェニル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピリダジニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいチオフェニルであり;L’’は、‐NHS(O)‐、‐NHC(O)NH‐、‐CH=CH‐、‐NHC(S)NH‐、又は‐NHN=CH‐であり;X及びXは、各々、CHであり;Zは、ハロ、低級アルキル、又は低級アルコキシであり;Z’は、任意に置換されていてもよいフェニル、任意に置換されていてもよいオキサゾリル、任意に置換されていてもよいチアゾリル、任意に置換されていてもよいイミダゾリル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピラゾリル、任意に置換されていてもよいピロリル、任意に置換されていてもよいチエニル、任意に置換されていてもよいフラニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、任意に置換されていてもよいオキサジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいテトラゾリルである。一つの局面では、Z’は、オキサゾール‐2‐イル、オキサゾール‐5‐イル、チアゾール‐2‐イル、チアゾール‐5‐イル、[1,3,4]オキサジアゾール‐2‐イル、‐C(O)OCHCHCH、‐C(O)OCHCH、又は‐C(O)OCHである。一つの局面では、L’’は、‐NHS(O)‐、又は‐NHC(O)NH‐である。一つの局面では、Y’は、任意に置換されていてもよいフェニル、又は任意に置換されていてもよいピリジニルである。一つの局面では、Y’は、ジフルオロフェニルである。
【0110】
別の実施形態では、本発明は:
2,6‐ジフルオロ‐N‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ベンゼンスルホンアミド;
2‐{4’‐[2‐(2,6‐ジフルオロ‐フェニル)‐ビニル]‐6‐メチル‐ビフェニル‐3‐イル}‐オキサゾール;
(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐フェニル‐アミン;
1‐(2,6‐ジフルオロ‐フェニル)‐3‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐尿素;
N‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ベンゼンスルホンアミド;
3‐フルオロ‐ピリジン‐4‐スルホン酸(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐アミド;
3,5‐ジフルオロ‐ピリジン‐4‐スルホン酸(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐アミド;
2,3‐ジフルオロ‐N‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)ベンゼンスルホンアミド;
2,4‐ジフルオロ‐N‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)ベンゼンスルホンアミド;
2,5‐ジフルオロ‐N‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ベンゼンスルホンアミド;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ベンゼンスルホンアミド;
3‐フルオロ‐ピリジン‐4‐スルホン酸(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐アミド;
3,5‐ジフルオロ‐ピリジン‐4‐スルホン酸(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐アミド;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐2,3‐ジフルオロ‐ベンゼンスルホンアミド;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐2,4‐ジフルオロ‐ベンゼンスルホンアミド;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐2,5‐ジフルオロ‐ベンゼンスルホンアミド;
N‐(2’‐メチル‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ベンゼンスルホンアミド;
3‐フルオロ‐ピリジン‐4‐スルホン酸(2’‐メチル‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐アミド;
3,5‐ジフルオロ‐ピリジン‐4‐スルホン酸(2’‐メチル‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐アミド;
2,3‐ジフルオロ‐N‐(2’‐メチル‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ベンゼンスルホンアミド;
2,4‐ジフルオロ‐N‐(2’‐メチル‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ベンゼンスルホンアミド;
2,5‐ジフルオロ‐N‐(2’‐メチル‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ベンゼンスルホンアミド;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ベンゼンスルホンアミド;
3‐フルオロ‐ピリジン‐4‐スルホン酸(2’‐クロロ‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐アミド;
3,5‐ジフルオロ‐ピリジン‐4‐スルホン酸(2’‐クロロ‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐アミド;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐2,3‐ジフルオロ‐ベンゼンスルホンアミド;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐2,4‐ジフルオロ‐ベンゼンスルホンアミド;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐2,5‐ジフルオロ‐ベンゼンスルホンアミド;
1‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐フェニル‐尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(3‐メチル‐ピリジン‐4‐イル)‐尿素;
1‐(2‐フルオロ‐フェニル)‐3‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(4‐メチル‐ピリジン‐3‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(3‐メチル‐ピリジン‐2‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(2‐メチル‐ピリジン‐3‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(5‐メチル‐ピリダジン‐4‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(5‐メチル‐ピリミジン‐4‐イル)‐尿素;
1‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐3‐(2’‐メチル‐5’‐チアゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐尿素;
1‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐3‐(2’‐メチル‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐尿素;
1‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐3‐(2’‐メチル‐5’‐[1,3,4]チアジアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ 尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐[1,3,4]オキサジアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐クロロ‐5’‐[1,3,4]オキサジアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐尿素;
6‐メチル‐4’‐(3‐フェニル‐ウレイド)‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐(3‐o‐トリル‐ウレイド)‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(3‐メチル‐ピリジン‐4‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
4’‐[3‐(2‐フルオロ‐フェニル)‐ウレイド]‐6‐メチル‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(4‐メチル‐ピリジン‐3‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(3‐メチル‐ピリジン‐2‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(2‐メチル‐ピリジン‐3‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(5‐メチル‐ピリダジン‐4‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(5‐メチル‐ピリミジン‐4‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(4メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐チオウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(4メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐チオウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸エチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(4メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐チオウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸プロピルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸エチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸プロピルエステル;
6‐クロロ‐4’‐[3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐クロロ‐4’‐[3‐(4‐メチル‐[1 ,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐クロロ‐4’‐[3‐(4‐メチル‐[1 ,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
N‐(2,6‐ジフルオロ‐ベンジリデン)‐N’‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ヒドラジン;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐N’‐(2,6‐ジフルオロ‐ベンジリデン)‐ヒドラジン;
N‐(2,6‐ジフルオロ‐ベンジリデン)‐N’‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ヒドラジン;
N‐(2,6‐ジフルオロ‐ベンジリデン)‐N’‐(2’‐メチル‐5’‐[1,3,4]オキサジアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ヒドラジン;
N‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐N’‐(3‐メチル‐チオフェン‐2‐イルメチレン)‐ヒドラジン;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐N’‐(3‐メチル‐チオフェン‐2‐イルメチレン)‐ヒドラジン;
N‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐N’‐(3‐メチル‐チオフェン‐2‐イルメチレン)‐ヒドラジン;
N‐(2’‐メチル‐5’‐[1,3,4]オキサジアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐N’‐(3‐メチル‐チオフェン‐2‐イルメチレン)‐ヒドラジン;
5‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐チオフェン‐2‐スルホン酸(2,6‐ジフルオロ‐フェニル)‐アミド;
1‐(2,4‐ジフルオロ‐フェニル)‐3‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐尿素;
1‐(2,6‐ジフルオロフェニル)‐3‐(4‐(5‐(イソオキサゾール‐5‐イル)‐3‐メチルチオフェン‐2‐イル)フェニル)尿素;
1‐(2,6‐ジフルオロフェニル)‐3‐(4‐(3‐メチル‐5‐(オキサゾール‐5‐イル)チオフェン‐2‐イル)フェニル)尿素;
1‐(3‐フルオロピリジン‐4‐イル)‐3‐(4‐(3‐メチル‐5‐(オキサゾール‐5‐イル)チオフェン‐2‐イル)フェニル)尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐(オキサゾール‐2‐イル)ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(5‐メチルピリミジン‐4‐イル)尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐(オキサゾール‐2‐イル)ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(4‐メチルピリミジン‐5‐イル)尿素;
(E)‐N‐(2,6‐ジフルオロベンジリデン)‐2’‐メチル‐5’‐(オキサゾール‐2‐イル)ビフェニル‐4‐アミン;若しくは、
4’‐(2‐(2,6‐ジフルオロベンゾイル)ヒドラジニル)‐6‐メチルビフェニル‐3‐カルボン酸メチル;
又は、これらの薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグから成る群より選択される化合物に関する。
【0111】
本明細書で開示される特徴、具体的な実施形態、及び特定の置換基はすべて、いかなる組み合わせも可能である。本明細書で開示する特徴、実施形態、又は置換基は各々、同じ、同等の、若しくは類似の目的を達成する別の選択肢としての特徴、実施形態、又は置換基に置き換えることができる。化学化合物の場合、本明細書で開示する化学式の変数に対する具体的な数値(例:本明細書で開示する典型化合物中で示される値)は、安定な構造をもたらすいかなる組み合わせも可能である。さらに、一つの種類の化学構造の置換基に対する具体的な値は(好ましいものであってもそうでなくても)、同一の又は異なる種類の化学構造の他の置換基に対する値と(好ましいものであってもそうでなくても)、組み合わせることができる。従って、明確に断りのない限り、開示される特徴、実施形態、又は置換基は各々、同等の若しくは類似の一般的な一連の特徴、実施形態、又は置換基の一例に過ぎない。
【0112】
別の実施形態では、本発明は、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを有効成分として含み、並びに、薬理学的に許容される担体又は媒体を含む医薬組成物に関する。この組成物は、免疫抑制、又は、炎症状態、アレルギー状態、及び免疫疾患の治療若しくは予防に有用である。
【0113】
別の実施形態では、本発明は、免疫抑制、又は、炎症状態、免疫疾患、若しくはアレルギー性疾患の治療若しくは予防を、必要とする患者に施すための方法に関し、この方法には、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグの有効量を投与することを含む。
【0114】
別の実施形態では、本発明は、免疫抑制、又は、炎症状態、免疫疾患、若しくはアレルギー性疾患の治療若しくは予防を、必要とする患者に施すための方法に関し、この方法には、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを含む医薬組成物の有効量を投与することを含む。
【0115】
別の実施形態では、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグは、免疫細胞(例:T細胞及び/若しくはB細胞)の活性化(例:抗原に反応しての活性化)の阻害、並びに/又は、T細胞及び/若しくはB細胞の増殖の阻害に特に有用である。免疫細胞の活性化の指標としては、T細胞によるIL‐2の分泌、T細胞及び/又はB細胞の増殖、などが挙げられる。一つの実施形態では、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物は、哺乳類(例:ヒト)における免疫細胞の活性化、並びに/又は、T細胞及び/若しくはB細胞の増殖を阻害する。
【0116】
別の実施形態では、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグにより、免疫細胞の活性化を制御する特定のサイトカインの産生を阻害することができる。例えば、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグにより、IL‐2、IL‐4、IL‐5、IL‐13、GM‐CSF、INF‐γ、TNF‐α、及びこれらの組み合わせの産生を阻害することができる。一つの実施形態では、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物は、哺乳類(例:ヒト)におけるサイトカイン産生を阻害する。
【0117】
別の実施形態では、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグにより、CRACイオンチャネルなど、免疫細胞の活性化に関与する1種類以上のイオンチャネルの活性を調節することができる。一つの実施形態では、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物は、CRACイオンチャネルの作用を阻害することにより、カルシウムイオンの免疫細胞(例:T細胞及び/又はB細胞)への流入を阻害することができる。一般的に、細胞が化合物と接触した際のICRAC電流の低下が、その化合物がCRACイオンチャネルを阻害したという一つの指標となる。ICRAC電流の測定は、例えば、以下に示す例でさらに詳細に説明するパッチクランプ技術によって測定することができる。一つの実施形態では、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物は、哺乳類(例:ヒト)におけるイオンチャネルの調節を行なう。
【0118】
(本発明の典型的な化合物)
本発明の典型的な化合物を以下の表1に示す。
【表1−1】

【表1−2】

【表1−3】

【表1−4】

【表1−5】

【表1−6】

【表1−7】

【表1−8】

【表1−9】

【表1−10】

【表1−11】

【表1−12】

【表1−13】

【表1−14】

【0119】
(作用のメカニズム)
抗原に反応することによるTリンパ球の活性化は、カルシウムイオン振動に依存する。Tリンパ球内でのカルシウムイオン振動は、T細胞抗原受容体の刺激によって引き起こされ、ストア‐作動性Ca2+遊離活性化Ca2+(CRAC)チャネルを通してのカルシウムイオン流入が関与している。CRACイオンチャネルの分子構造は明らかではないが、チャネルの詳細な電気生理学的特徴は分かっている。従って、CRACイオンチャネルの阻害の測定は、ICRAC電流を測定することによって行なうことができる。T細胞中でのカルシウムイオン振動は、T細胞の活性化にとって重要であるいくつかの転写因子(例:NFAT、Oct/Oap、及びNFκB)の活性化と結び付けられている(全教示内容が参照することで本明細書に組み入れられる、Lewis,Biochemical
Society Transactions(2003),31:925‐929)。理論に束縛されるものではないが、本発明の化合物は、CRACイオンチャネルの作用を阻害するため、免疫細胞の活性化を阻害するものと考えられる。
【0120】
(治療及び予防の方法)
本発明によると、有効量の、式(I)乃至(III)のいずれか一つ若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグ、又は、式(I)乃至(III)のいずれか一つ若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを含む医薬組成物が、免疫抑制が必要な患者、又は炎症状態、免疫疾患、若しくはアレルギー性疾患の治療又は予防が必要な患者に投与される。そのような患者は、治療未経験であってもよく、又は従来の治療に対して部分的に反応したか若しくはまったく反応しないという経験をしていてもよい。
【0121】
対象中の、特定の炎症状態、免疫疾患、又はアレルギー性疾患の反応性は、直接測定することができ(例:本発明の化合物の投与後の炎症性サイトカイン(IL‐2、IL‐4、IL‐5、IL‐13、GM‐CSF、TNF‐α、INF‐γ、など)の血中レベルの測定)、又は疾患の原因及び進行に対する認識に基づいて推定することもできる。式(I)乃至(III)のいずれか一つ若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグは、ヒトへの使用の前に、所望の治療的若しくは予防的作用に関して、in vitro又はin vivoでのアッセイを行なうことができる。例えば、炎症状態、免疫疾患、若しくはアレルギー性疾患の既知の動物モデルを使用して、本発明の化合物の安全性及び効力を実証することができる。
【0122】
(医薬組成物及び剤形)
本発明の医薬組成物及び剤形は、1種類以上の有効成分を相対量含有し、任意の医薬組成物又は剤形を用いて、免疫抑制、又は炎症状態、免疫疾患、及びアレルギー性疾患の治療若しくは予防が可能なように製剤される。好ましい医薬組成物及び剤形は、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容されるプロドラッグ、塩、溶媒和物、若しくは包接化合物を含み、1種類以上の追加的な活性薬剤を任意に組み合わせてもよい。
【0123】
本発明の単位剤形は、経口投与、粘膜投与(例:経鼻、舌下、腟内、頬側、若しくは直腸内)、非経口投与(例:皮下、静脈内、ボーラス注入、筋肉内、若しくは動脈内)、又は経皮投与によって患者に投与するのに適している。剤形の例としては、錠剤;カプレット;軟質弾性ゼラチンカプセルなどのカプセル;カシェ剤;トローチ;ロゼンジ;分散液;坐薬;軟膏;パップ剤(湿布薬);ペースト;粉末;包帯材(dressing);クリーム;硬膏剤;溶液;パッチ;エアロゾル(例:点鼻薬、若しくは吸入器);ゲル;懸濁液(例:水性若しくは非水性懸濁液、水中油型エマルジョン、又は油中水型液体エマルジョン)、溶液、及びエリキシル剤を含む、患者への経口投与若しくは粘膜投与に適した液状の剤形;患者への非経口投与に適した液状の剤形;並びに、患者への非経口投与に適した液状の剤形へ戻すことができる滅菌固体(例:結晶若しくはアモルファス固体)、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0124】
本発明の剤形の組成、形状、及び種類は、通常、その用途に応じて様々である。例えば、粘膜投与に適した剤形は、同じ適応症の治療に用いられる経口投与の剤形に比べて、有効成分の含有量を少なくすることができる。本発明のこの側面は、当業者であれば容易に明らかとなるであろう。例えば、Remington’s
Pharmaceutical Sciences(1990)18th ed.,Mack Publishing,Easton PA、を参照のこと。
【0125】
典型的な医薬組成物及び剤形は、1種類以上の賦形剤を含む。適切な賦形剤は、薬学分野の当業者には公知であり、適切な賦形剤の限定されない例を本明細書で示す。特定の賦形剤が、医薬組成物又は剤形に含有させるのに適しているかどうかは、本技術分野で公知の種々の要因に依存しており、その要因には、剤形を患者へ投与する方法などが含まれるが、これらに限定されない。例えば、錠剤などの経口剤形は、非経口剤形への使用には適さない賦形剤を含有することができる。
【0126】
特定の賦形剤が適するかどうかは、剤形中の特定の有効成分に依存する場合もある。例えば、ある有効成分の分解は、ラクトースなどのある賦形剤、又は水との接触によって促進される場合がある。1級又は2級アミン(例:N‐デスメチルベンラファキシン及びN,N‐ジデスメチルベンラファキシン)を含む有効成分は、特にそのような促進された分解の影響を受けやすい。従って、本発明は、ラクトースを、存在していたとしても、ほとんど含有していない医薬組成物及び剤形を包含する。本明細書で用いる「ラクトースを含有しない」という用語は、ラクトースの存在量が、存在していたとしても、有効成分の分解速度を著しく高めるのに十分な量ではないことを意味する。本発明の、ラクトースを含有しない組成物は、本技術分野で公知であり、例えば、U.S.Pharmocopia(USP)SP(XXI)/NF(XVI)、に挙げられている賦形剤を含むことができる。一般に、ラクトースを含有しない組成物は、有効成分、バインダー/充填剤、及び滑沢剤を、薬理学的に適合性があり薬理学的に許容される量含む。好ましいラクトースを含有しない剤形は、有効成分、微結晶セルロース、アルファ化デンプン、及びステアリン酸マグネシウムを含む。
【0127】
さらに、本発明は、水が、ある化合物の分解を促進する場合があることから、有効成分を含有する無水の医薬組成物及び剤形を包含する。例えば、水の添加(例:5%)は、有効期間又は長期間にわたる製剤の安定性などの特性を調べるための長期保存のシミュレーション法として、医薬分野では広く受け入れられている。例えば、Jens
T.Carstensen(1995)Drug Stability:Principles & Practice,2d.Ed.,Marcel Dekker,NY,NY,379‐80、を参照のこと。実際には、水と熱がある化合物の分解を加速させる。従って、製剤の製造、取り扱い、包装、保存、輸送、及び使用の最中には、水分及び/又は湿気に遭遇することがよくあることから、製剤に対する水の影響は非常に重要であり得る。
【0128】
本発明の無水の医薬組成物及び剤形は、無水又は低水分量の成分、及び低水分又は低湿度の条件を用いて作製することができる。ラクトース、及び1級若しくは2級アミンを含む少なくとも1種類の有効成分を含有する医薬組成物及び剤形は、製造、包装、及び/又は保存の最中に、水分及び/又は湿気への著しい接触が予見される場合は、無水であることが好ましい。
【0129】
無水の医薬組成物は、その無水性が維持される方法で作製し保存するべきである。従って、無水組成物は、水への接触を防ぐことが知られている材料により、適切な製剤キット中に含めることができるように包装することが好ましい。適切な包装材の例としては、密封されたホイル、プラスチック、単位剤形容器(例:バイアル)、ブリスターパック、及びストリップパックが挙げられるが、これらに限定されない。
【0130】
本発明はさらに、有効成分が分解する速度を低下させる1種類以上の化合物を含む医薬組成物及び剤形を包含する。本明細書において「安定剤」と称するそのような化合物としては、アスコルビン酸などの抗酸化剤、pH緩衝液、又は塩緩衝液が挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
賦形剤の量及び種類と同様に、剤形中の有効成分の量及び具体的な種類は、患者への投与経路などだがこれに限定されない要因に応じて異なる場合がある。しかし、本発明の典型的な剤形は、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを、約1mg乃至約1000mgの量、好ましくは約50mg乃至約500mgの量、最も好ましくは、約75mg乃至約350mgの量含有する。式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグの典型的な一日の全投与量は、一日あたり約1mg乃至約5000mgの範囲とすることができ、好ましくは一日あたり約50mg乃至約1500mg、より好ましくは一日あたり約75mg乃至約1000mgである。任意の患者に対する適切な投与量及び剤形を決定することは、本技術分野の範囲内である。
【0132】
(経口剤形)
経口投与に適した本発明の医薬組成物は、錠剤(例:咀嚼錠)、カプレット、カプセル、及び液体(例:矯味剤入りシロップ)などだがこれらに限定されない、個々の剤形として提供することができる。そのような剤形は、所定量の有効成分を含有し、当業者に公知の薬学的方法によって作製することができる。一般的には、Remington’s
Pharmaceutical Sciences(1990)18th ed.,Mack Publishing,Easton PA、を参照のこと。
【0133】
本発明の典型的な経口剤形は、従来の医薬品配合技術に従い、有効成分を少なくとも1種類の賦形剤との混合物として組み合わせることによって作製される。賦形剤は、投与に所望される製剤の形状に応じて、広範囲にわたる種々の形状を取ることができる。例えば、経口液体剤形又はエアロゾル剤形に用いるのに適した賦形剤としては、水、グリコール、オイル、アルコール、矯味料、保存料、及び着色剤が挙げられるが、これらに限定されない。固形の経口剤形(例:粉末、錠剤、カプセル、及びカプレット)に用いるのに適した賦形剤の例としては、デンプン、糖類、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤(granulating agent)、滑沢剤、バインダー、及び崩壊剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
投与が容易であることから、錠剤及びカプセルが最も有利な経口単位剤形の代表であり、この場合固体賦形剤が用いられる。所望する場合、標準的な水性又は非水性技術によって錠剤をコーティングすることができる。そのような剤形は、薬学的ないずれの方法を用いても作製することができる。一般的に、医薬組成物及び剤形は、有効成分を、液体担体、微細に分割された固体担体、又はその両方と均一かつ均質に混合し、それから、必要であれば、生成物を所望の形状へ成形することによって作製される。
【0135】
例えば、錠剤は、圧縮又は成型によって作製することができる。圧縮錠剤は、任意に賦形剤が混合されていてもよい、粉末状若しくは顆粒状などの自由流動形状の有効成分を、適切な機械で圧縮することによって作製することができる。成型錠剤は、不活性液体希釈剤で湿潤した粉末状配合物の混合物を、適切な機械で成型することによって作製することができる。
【0136】
本発明の経口剤形に用いることができる賦形剤の例としては、バインダー、充填剤、崩壊剤、及び滑沢剤が挙げられるが、これらに限定されない。医薬組成物及び剤形に用いるのに適したバインダーとしては、コーンスターチ、じゃがいもデンプン、若しくはその他のデンプン、ゼラチン、アラビアゴムなどの天然及び合成ガム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、その他のアルギン酸塩、粉末トラガント、グアーガム、セルロース及びその誘導体(例:エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例:番号2208、2906、2910)、微結晶セルロース、並びにこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0137】
微結晶セルロースの適切な形としては、AVICEL‐PH‐101、AVICEL‐PH‐103、AVICEL
RC‐581、AVICEL‐PH‐105(FMC Corporation、American Viscose Division、Avicel Sales、Marcus
Hook、PA、より入手可能)として市販されている材料、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。一つの具体的なバインダーとしては、AVICEL
RC‐581として市販されている、微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの混合物である。適切な無水又は低水分量の賦形剤としては、AVICEL‐PH‐103J及びStarch
1500LMが挙げられる。
【0138】
本明細書で開示する医薬組成物及び剤形に使用するのに適した充填剤の例としては、タルク、炭酸カルシウム(例:顆粒状、又は粉末状)、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート(dextrate)、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明の医薬組成物中のバインダー又は充填剤は、通常、医薬組成物若しくは剤形の約50乃至約99重量パーセントで存在する。
【0139】
崩壊剤は、水性環境に曝露された場合に崩壊する錠剤を提供するために本発明の組成物に用いられる。過剰の崩壊剤を含有する錠剤は保存中に崩壊する場合もあるが、一方、崩壊剤の量が少なすぎる錠剤は、所望の速度で、又は所望の条件下で崩壊しない可能性がある。従って、有効成分の放出に悪影響を及ぼすような過剰量でも過少量でもない十分な量の崩壊剤を用いて本発明の固形経口剤形を形成するべきである。使用する崩壊剤の量は製剤の種類によって異なり、当業者であれば容易に認識される。典型的な医薬組成物は、約0.5乃至約15重量パーセント、好ましくは約1乃至約5重量パーセントの崩壊剤を含む。
【0140】
本発明の医薬組成物及び剤形に使用可能な崩壊剤は、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム(polacrilin
potassium)、ナトリウムスターチグリコレート、じゃがいもデンプン若しくはタピオカデンプン、その他のデンプン、アルファ化デンプン、その他のデンプン、粘土、その他のアルギン、その他のセルロース、ガム、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0141】
本発明の医薬組成物及び剤形で使用可能な滑沢剤としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、その他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、水素化植物油(例:落花生油、綿実油、ひまわり油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及び大豆油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、ラウリン酸エチル(ethyl laureate)、寒天、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。さらなる滑沢剤としては、例えば、サイロイド(syloid)シリカゲル(AEROSIL200、W.R.Grace
Co.of Baltimore,MD、の製造による)、合成シリカの凝集エアロゾル(coagulated aerosol)(Degussa Co.of Plano,TX、より市販)、CAB‐O‐SIL(Cabot Co.of Boston,MA、より市販の熱分解法による二酸化ケイ素製品)、及びこれらの混合物が挙げられる。滑沢剤は、用いる場合は、通常、それを混合する医薬組成物又は剤形の約1重量パーセント未満の量で使用する。
【0142】
(放出制御剤形)
本発明の有効成分は、当業者に公知の制御放出手段又は送達装置によって投与することができる。例としては、これらに限定されるものではないが、米国特許第3,845,770号、第3,916,899号、第3,536,809号、第3,598,123号、及び第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号、及び第5,733,566号に記載のものが挙げられ、これらの各々は参照することで本明細書に組み入れられる。このような剤形を用いて、1種類以上の有効成分を徐放又は制御放出させることができ、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、その他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透系、多層コーティング剤、微粒子、リポソーム、マイクロスフェア、又はこれらの組み合わせを様々な割合で使用して所望の放出特性を得ることができる。本明細書に記載のものを含む当業者に公知の適切な放出制御製剤は、本発明の有効成分と共に使用するにあたって容易に選択することができる。従って、本発明は、制御放出に適合する錠剤、カプセル、ジェルキャップ、およびカプレットなどだがこれらに限定されない経口投与に適する単位剤形を包含する。
【0143】
すべての放出制御医薬物は、薬物治療を、放出制御ではない対応物によって達成されるものと比べて優れたものに改善するという共通の目的を有している。理想的には、医学治療において最適に設計された放出制御製剤を使用するということは、最小限の薬物を使用して、最短時間で状態を治療又は制御することを特徴とする。放出制御製剤の長所としては、薬物活性の延長、投与頻度の減少、及び患者の服薬遵守の向上が挙げられる。さらに、放出制御製剤を用いることによって、作用の発現時間、又は、例えば薬物の血中濃度などのその他の特性に影響を与え、従って、副作用(例:悪影響)の発生に影響を及ぼすことができる。
【0144】
ほとんどの放出制御製剤は、所望の治療効果を速やかに発生させる量の薬物(有効成分)をまず放出し、そして、徐々に、かつ継続的に、長期間にわたってこのレベルの治療効果又は予防効果を維持する別の量の薬物を放出するように設計されている。体内の薬物をこの一定レベルに維持するためには、代謝され、身体から排泄される薬物の量を補充する割合でその薬物が剤形から放出されなければならない。有効成分の放出制御は、これらに限定されるものではないが、pH、温度、酵素、水、又はその他の生理学的条件若しくは化合物を含む種々の条件によって刺激され得る。
【0145】
本発明の特定の長期放出製剤は、治療若しくは予防有効量の、式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、又はその薬理学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、包接化合物、若しくはプロドラッグを含有し、微結晶セルロース、及び、任意に、エチルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースとの混合物でコーティングされたヒドロキシプロピルメチルセルロースをさらに含む球状体である。そのような長期放出製剤は、その全教示内容が参照することで本明細書に組み入れられる、米国特許第6,274,171号、に従って作製することができる。
【0146】
本発明の特定の放出制御製剤は、約6重量%乃至約40重量%の式(I)乃至(III)のいずれか一つ、若しくは表1の化合物、約50重量%乃至約94重量%の微結晶セルロース、NF、及び、任意に約0.25重量%乃至約1重量%のヒドロキシプロピルメチルセルロース、USP、を含有し、この場合、球状体はエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースから成るフィルムコーティング組成物によってコーティングされる。
【0147】
(非経口剤形)
非経口剤形は、これらに限定されるものではないが、皮下、静脈内(ボーラス注入を含む)、筋肉内、及び動脈内を含む種々の経路で患者に投与することができる。これらの投与形態では、不純物に対しておきる患者の自己免疫能を回避するため、非経口剤形は、滅菌されているか、又は患者に投与する前に滅菌することが可能であることが好ましい。非経口剤形の例としては、注射用にすぐに使用できる溶液、薬理学的に許容される媒体中に溶解又は懸濁してすぐに注射用にできる乾燥製剤、注射用にすぐに使用できる懸濁液、及びエマルジョンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0148】
本発明の非経口剤形を提供するのに使用可能である適切な媒体は、当業者に公知である。例としては、注射用水 USP;これらに限定されるものではないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル注射液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、並びに乳酸リンゲル注射液などの水性媒体;これらに限定されるものではないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールなどの水混和性媒体;並びに、これらに限定されるものではないが、トウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルなどの非水性賦形剤、が挙げられるが、これらに限定されない。
【0149】
本明細書に開示される1種類以上の有効成分の溶解性を高める化合物も、本発明の非経口剤形へ加えることができる。
【0150】
(経皮、局所、及び粘膜剤形)
本発明の経皮、局所、及び粘膜剤形としては、点眼液、スプレー、エアロゾル、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、溶液、エマルジョン、懸濁液、又は当業者に公知のその他の剤形が挙げられるが、これらに限定されない。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences(1980 & 1990)16th and 18th eds.,Mack Publishing,Easton PA、及び、Introduction
to Pharmaceutical Dosage Forms(1985)4th ed.,Lea & Febiger,Philadelphia、を参照のこと。口腔内の粘膜組織の治療に好適な剤形は、口腔洗浄薬として、又は経口ゲルとして製剤することができる。さらに、経皮剤形としては、皮膚に適用して特定の期間着用し、所望の量の有効成分を浸透させることができる、「貯蔵型(reservoir type)」又は「マトリックス型(matrix type)」のパッチが挙げられる。
【0151】
本発明に包含されている経皮、局所、及び粘膜剤形を提供するために使用可能である適切な賦形剤(例:担体及び希釈剤)、並びにその他の材料は、医薬分野の当業者には公知であり、任意の医薬組成物又は剤形が投与される特定の組織に応じたものとなる。この事実を念頭に置いた場合、典型的な賦形剤としては、ローション、チンキ、クリーム、エマルジョン、ゲル、又は軟膏を形成するための水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン‐1,3‐ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されず、これらは無毒性であって、薬理学的に許容されるものである。所望の場合、保湿剤又は湿潤剤を医薬組成物及び剤形に添加することもできる。このような追加成分の例は、本技術分野で公知である。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences(1980 & 1990)16th and 18th eds.,Mack Publishing,Easton PA、を参照のこと。
【0152】
治療を受ける具体的な組織に応じて、本発明の有効成分による治療の前に、これと組み合わせて、又はこれに引き続いて、追加的な成分を使用することができる。例えば、浸透促進剤を用いて、有効成分の組織への送達を促進することができる。適切な浸透促進剤としては、アセトン;エタノール、オレイルアルコール、テトラヒドロフリルアルコールなどの種々のアルコール;ジメチルスルホキシドなどのアルキルスルホキシド;ジメチルアセタミド;ジメチルホルムアミド;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドンなどのピロリドン;コリドングレード(Kollidon
grade)(ポビドン(Povidone)、ポリビドン(Polyvidone));尿素;並びに、Tween80(ポリソルベート80)及びSpan60(ソルビタンモノステアレート)などの種々の水溶性又は不溶性の糖エステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0153】
医薬組成物若しくは剤形のpH、又は、医薬組成物若しくは剤形が投与される組織のpHを調整して、1種類以上の有効成分の送達を改善することもできる。同様に、溶媒担体の極性、イオン強度、又は浸透圧を調整することによって送達を改善することができる。ステアリン酸塩などの化合物を医薬組成物又は剤形に添加することによって、1種類以上の有効成分の親水性又は親油性を有利に変化させ、送達を改善することもできる。ここで、ステアリン酸塩は、製剤に対する脂質性の媒体として、乳化剤若しくは界面活性剤として、並びに送達促進剤若しくは浸透促進剤として作用することができる。有効成分の種々の塩、水和物、又は溶媒和物を用いて、得られる組成物の特性をさらに調整することができる。
【0154】
(併用療法)
免疫抑制、又は炎症状態及び免疫疾患の治療若しくは予防を、これらを必要とする患者に対して行なう方法は、本発明の化合物が投与されたその患者に対して、さらに有効量の1種類以上のその他の活性薬剤を投与することを含むことができる。このような活性薬剤としては、免疫抑制、又は炎症状態若しくは免疫疾患に従来から使用されているものを挙げることができる。これらのその他の活性薬剤は、本発明の化合物と併用して投与された場合に、他の有効性を提供するものであってもよい。例えば、その他の治療薬としては、ステロイド、非ステロイド性抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、免疫抑制剤、及びこれらの適切な混合物を挙げることができるが、これらに限定されない。このような併用療法において、本発明の化合物及びその他の薬剤は共に、従来の方法によって対象(例:ヒト、男性又は女性)に投与される。これらの薬剤は単一の剤形で又は別々の剤形で投与することができる。その他の治療薬及び剤形の有効量は、当業者に公知である。また、その他の治療薬の最適な有効量の範囲を決定することは、十分に当業者が行なう範囲内である
【0155】
別の治療薬を対象に投与する本発明の一つの実施形態では、本発明の化合物の有効量は、その他の治療薬が投与されない場合の有効量よりも少ない。別の実施形態では、その従来の薬剤の有効量は、本発明の化合物が投与されない場合のその有効量よりも少ない。この方法により、いずれかの薬剤の多量投与による好ましくない副作用を最小限に抑えることができる。その他の考え得る利点(投与計画の改善及び/若しくは薬物費用の削減を含むが、これらに限定されない)は当業者にとって明らかであろう。
【0156】
自己免疫疾患及び炎症状態に関連した1つの実施形態において、その他の治療薬は、ステロイド又は非ステロイド性抗炎症剤とすることができる。特に有用な非ステロイド性抗炎症剤としては、アスピリン、イブプロフェン、ジクロフェナク、ナプロキセン、ベノキサプロフェン、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フルブフェン、ケトプロフェン、インドプロフェン、ピロプロフェン、カルプロフェン 、オキサプロジン、プラモプロフェン、ムロプロフェン、トリオキサプロフェン、スプロフェン、アミノプロフェン、チアプロフェン酸、フルプロフェン、ブクロクス酸、インドメタシン、スリンダク、トルメチン、ゾメピラク、チオピナク、ジドメタシン、アセメタシン、フェンチアザク、クリダナク、オキシピナク、メフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸、ニフルミック酸、トルフェナム酸、ジフルニサル、フルフェニサル、ピロキシカム、スドキシカム、イソキシカム;アスピリン、サリチル酸ナトリウム、コリントリサリチル酸マグネシウム、サルサレート、ジフルニサル、サリチルサリチル酸、スルファサラジン、及びオルサラジンを含むサリチル酸誘導体;アセトアミノフェン及びフェナセチンを含むパラアミノフェノール誘導体;インドメタシン、スリンダク、及びエトドラクを含むインドール及びインデン酢酸;トルメチン、ジクロフェナク、及びケトロラクを含むヘテロアリール酢酸;メフェナム酸及びメクロフェナム酸を含むアントラニル酸(フェナム酸類);オキシカム(ピロキシカム、テノキシカム)及びピラゾリジンジオン(フェニルブタゾン、オキシフェンタルタゾン(oxyphenthartazone))を含むエノール酸、ナブメトンを含むアルカノン、並びに薬理学的に許容されるこれらの塩及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。NSAIDに関するより詳細な説明は、全内容が参照することで本明細書に組み入れられる、Paul
A.Insel,Analgesic‐Antipyretic and Antiinflammatory Agents and Drugs Employed in
the Treatment of Gout,in Goodman & Gilman’s The Pharmacological
Basis of Therapeutics 617‐57(Perry B.Molinhoff and Raymond W.Ruddon eds.,9th ed.1996)、及び、Glen
R.Hanson,Analgesic,Antipyretic and Anti‐Inflammatory Drugs in Remington:The Science
and Practice of Pharmacy Vol II 1196‐1221(A.R.Gennaro eds.,19th ed.1995)、を参照のこと。
【0157】
特にアレルギー性疾患に関しては、その他の治療薬は、抗ヒスタミン剤であってよい。有用な抗ヒスタミン剤としては、ロラタジン、セチリジン、フェキソフェナジン、デスロラタジン、ジフェンヒドラミン、クロルフェニラミン、クロルシクリジン、ピリラミン、プロメタジン、テルフェナジン、ドキセピン、カルビノキサミン、クレマスチン、トリペレナミン、ブロムフェニラミン、ヒドロキシジン、シクリジン、メクリジン、シプロヘプタジン、フェニンダミン、アクリバスチン、アゼラスチン、レボカバスチン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。抗ヒスタミン剤に関するより詳細な説明は、Goodman
& Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics(2001)651‐57,10th ed.、を参照のこと。
【0158】
免疫抑制剤としては、グルココルチコイド、コルチコステロイド(プレドニゾン又はソルメドロールなど)、T細胞遮断薬(シクロスポリンA及びFK506など)、プリン類似体(アザチオプリン(イムラン)など)、ピリミジン類似体(シトシンアラビノシドなど)、アルキル化剤(ナイトロジェンマスタード、フェニルアラニンマスタード、ブスルファン、及びシクロホスファミドなど)、葉酸拮抗薬(アミノプテリン及びメトトレキセート)、抗生物質(ラパマイシン、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、ピューロマイシン、及びクロラムフェニコールなど)、ヒトIgG、抗リンパ球グロブリン(ALG)、並びに抗体(抗CD3(OKT3)、抗CD4(OKT4)、抗CD5、抗CD7、抗IL‐2受容体、抗アルファ/ベータTCR、抗ICAM‐1、抗CD20(リツキサン)、抗IL‐12、及び免疫毒素に対する抗体)が挙げられる。
【0159】
当業者であれば、前記及びその他の有用な併用療法を理解し、正しく認識するであろう。このような併用療法の利点として考えられるものとして、異なる効力特性、有害な副作用を最小限にするために個々の有効成分の各々の使用量を削減できること、相乗的な効力の向上、投与若しくは使用における利便性の向上、及び/又は化合物の調製若しくは製剤化の全体的な費用の削減、が挙げられる。
【0160】
(その他の実施形態)
本発明の化合物は、研究ツールとして(例えば、その他のCRAC阻害剤として考えられるもの、又はIL‐2、IL‐4、IL‐5、IL‐13、GM‐CSF、TNF‐α及び/若しくはINF‐γの阻害剤の評価のためのポジティブコントロールとして)使用することができる。本発明の化合物及び組成物に関するこれらの、及びその他の用途及び実施形態は、当業者にとって明らかであろう。
【0161】
本発明は、本発明の化合物の調製について詳細に説明する以下の実施例を参照することで、さらに明確となる。材料及び方法の両方に関して、本発明の目的及び対象から逸脱することなく様々に変更できることは、当業者にとって明らかであろう。以下の実施例は、本発明の理解を助けるために記載するものであって、ここに記載し請求する本特許を特に限定するものとして解釈されるべきではない。当業者が実施する範囲内である、現在公知の又は今後開発されるいかなる同等物との置換も含む本発明の変形、及び製剤の変更又は実験計画の細部の変更は、本明細書に記載の本発明の範囲内に入るものと考えられる。
【0162】
(実施例)
(実験の理論的根拠)
理論に束縛されるものではないが、本発明の化合物がCRACイオンチャネルを阻害し、それによりIL‐2の産生、並びに炎症反応及び免疫反応に関与するその他の重要なサイトカインの産生を阻害すると考えられる。以下の実施例はこのような特性を実証するものである。
【0163】
(材料及び一般的方法)
以下で使用する試薬及び溶媒は、Aldrich Chemical Co.(Milwaukee、Wisconsin、USA)などの市販業者から入手可能である。H−NMR及び13C−NMRスペクトルは、Varian
300MHz NMR spectrometerを用いて記録した。重要なピークを、以下の順で列挙する:δ(ppm):化学シフト、多重性(s:一重項;d:二重項;t:三重項;q:四重項;m:多重線;br
s:ブロード一重項)、ヘルツ(Hz)を単位とするカップリング定数、及び陽子数。
【0164】
パッチクランプ試験は、密にシール形成されたホールセルコンフィグレーション(tight‐seal whole‐cell configuration)において、21〜25℃で行った。コンピュータを用いたパッチクランプアンプシステム(EPC‐9、HEKA、Lambrecht、ドイツ)により、高分解能での電流記録が得られた。パッチピペットは、標準細胞内液の充填の後、2〜4MΩの抵抗値であった。ホールセルコンフィグレーションの確立後すぐに、50〜200msの長さで−100乃至+100mVの範囲にわたるランプ電圧を、300〜400秒間、0.5Hzの周期で供給した。細胞内の陰イオンとしてグルタミン酸塩を使用する場合、全ての電圧を、外部溶液と内部溶液との間の液間電位差が10mVになるように較正した。電流を2.9kHzでフィルタリングし、10μs間隔でデジタル化した。容量性電流及び直列抵抗を測定し、EPC‐9の自動キャパシタンス補正機能を使用して各電圧ランピングの前に較正した。膜電流の低分解能における一時的な生成を、個々のランプ電流記録から−80mV又は+80mVでの電流振幅を抽出することにより評価した。
【0165】
本発明の化合物は、その全教示内容が参照することで本明細書に組み入れられる、2004年7月22日出願の米国特許出願第10/897,681号、及び2006年1月6日出願の米国特許出願第11/326,872号、に従って調製することもできる。
【0166】
(第1の実施形態)
本発明の代表的な典型化合物の合成
化合物1:2,6‐ジフルオロ‐N‐(2’‐メチル‐5’‐(オキサゾール‐2‐イル)ビフェニル‐4‐イル)ベンゼンスルホンアミド
【化13】

トルエン(150ml)、水(50ml)、エタノール(10ml)の混合溶媒中の2‐(3‐ヨード‐4‐メチル‐フェニル)‐オキサゾール(a、50mmol)、4‐(4,4,5,5‐テトラメチル‐[1、3,2]ジオキサボロラン‐2‐イル)‐フェニルアミン(b、50mmol)、パラジウム触媒(2.0mmol)、炭酸水素ナトリウム(50mmol)の混合物を、100℃で16時間加熱した。混合物をEtOAc(200ml)で抽出し、水で洗浄し(2×100ml)、乾燥した(NaSO)。濃縮によって得られた茶系色の固体を、シリカゲル層を通してDCMで溶出させ、黄系色の固体cを得た(11.0g)。
H‐NMR(CDCl)δ7.9(m、2H)、7.68(s、1H)、7.3(d、1H、J=8)、7.2(m、3H)、6.8(d、2H、J=8)、3.7(br、2H)、2.34(s、3H)ppm;C1614Oに対するESMS計算値:250.1;実測値:251.1(M+H)。
【0167】
【化14】

MeOH(2ml)中の2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イルアミン(c)(30mg、0.12mmol)の溶液に、2,6‐ジフルオロベンゼンスルフォニルクロライド(30μL、0.22mmol)を添加した。反応液を80℃で2時間加熱し、その後溶媒を除去した。カラムクロマトグラフィにより、化合物1を得た(28mg、55%)。
H NMR(300MHz、CDCl)δ7.92‐7.82(m、2H)、7.68(s、1H)、7.55‐7.48(m、1H)、7.37‐6.98(m、9H)、2.22(s、3H);ESMS計算値(C2216S):426.1;実測値:427.3(M+H)。
【0168】
化合物2:(E)‐2‐(4’‐(2,6‐ジフルオロスチリル)‐6‐メチルビフェニル‐3‐イル)オキサゾール
【化15】

トルエン(10ml)中の4‐ブロモベンジルブロマイド(1g、4.0mmol)とトリエチルホスファイト(3.5ml)との混合溶液を密封チューブ内で3時間、130℃まで加熱した。溶媒を除去し、次の工程に供する粗生成物2を得た。
【0169】
THF(5ml)中の粗生成物2(300mg、0.97mmol)の溶液に、NaHMDS(1N、1ml)を−78℃で添加した。5分後、2,6‐ジフルオロベンジルアルデヒド(100μL、0.93mmol)を添加した。20分後、この溶液をゆっくり室温まで加温し、そして、NHCl水溶液(10ml)で反応を停止した。有機相を回収し、乾燥後、濃縮した。カラムクロマトグラフィにより、オレフィン3を得た。一般的な鈴木カップリング条件に従い、化合物2を得た。
H NMR(300MHz、CDCl)δ7.95(s、1H)、7.92(d、J=2.1Hz、1H)、7.70‐7.36(m、5H)、7.28‐7.17(m、5H)、6.96‐6.90(m、2H)、2.35(s、3H);ESMS計算値(C2417NO):373.1;実測値:374.2(M+H)。
【0170】
化合物3:2’‐メチル‐5’‐(オキサゾール‐5‐イル)‐N‐フェニルビフェニル‐4‐アミン
【化16】

ジクロロメタン(3ml)中のアミン4(33mg、0.13mmol)、トリフェニルビスムチン(III)(70mg、0.16mmol)、及びCu(OAc)(30mg、0.16mmol)の混合溶液を、室温で6時間攪拌した。溶媒を除去し、カラムクロマトグラフィにより化合物3を得た。
H NMR(300MHz、CDCl)δ7.90(s、1H)、7.55(s、1H)、7.52(d、J=2.1Hz、1H)、7.34‐7.23(m、5H)、7.17‐7.12(m、4H)、7.00‐6.95(m、2H)、5.86(s、1H)、2.34(s、1H);ESMS計算値(C2218O):326.1;実測値:327.1(M+H)。
【0171】
化合物4:1‐(2,6‐ジフルオロフェニル)‐3‐(2’‐メチル‐5’‐(オキサゾール‐5‐イル)ビフェニル‐4‐イル)尿素
【化17】


11の溶液(25mg、0.01mmol)に、2,6‐ジフルオロフェニル‐イソシアネート(16mg、0.1mmol)を添加した。室温で10分間攪拌すると、白色の析出物が出現した。2時間後、この溶液をろ過し、得られた白色固体をDCMで洗浄して、化合物6の精製物を得た。
H NMR(300MHz、(CDSO)δ9.04(s、1H)、8.41(s、1H)、8.17(s、1H)、7.68(s、1H)、7.60‐7.11(m、10H)、2.23(s、3H);ESMS計算値(C2317):405.1;実測値:406.2(M+H)。
【0172】
化合物64:(E)‐2‐(4’‐(2‐(2,6‐ジフルオロベンジリデン)ヒドラジニル)‐6‐メチルビフェニル‐3‐イル)オキサゾール
【化18】

濃塩酸(2ml)中の2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イルアミン(500mg、2mmol)の溶液に、水(1ml)中のNaNO溶液(140mg、2mmol)をゆっくり0℃で添加した。この反応液を0℃でさらに30分間攪拌し、続いて、濃塩酸(1ml)中のSnCl溶液(1.1g、5.8mmol)を添加した。この反応液を0℃でさらに60分間攪拌した。この溶液をろ過し、黄色固体である、N’‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ヒドラジニウムクロライドの粗生成物を得た。
【0173】
AcOH(1ml)及びMeOH(1ml)中の上述の粗N’‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ヒドラジニウムクロライド(45mg、0.15mmol)の溶液に、2,6‐ジフルオロベンジルアルデヒド(32μL、0.3mmol)を添加した。この溶液を室温で60分間攪拌した後、溶媒を除去し、続くSGCにより、薄茶色シロップ状の表題の化合物、N‐(2,6‐ジフルオロ‐ベンジリデン)‐N’‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ヒドラジンを得た(46mg、80%)。
H NMR(300MHz、CDCl)δ7.94‐7.87(m、3H)、7.69(d、J=0.3Hz、1H)、7.36‐7.17(m、8H)、6.96‐6.91(m、2H)、2.34(s、3H);ESMS計算値(C2317O):389.1;実測値:390.3(M+H)。
【0174】
化合物73:1‐(2,4‐ジフルオロ‐フェニル)‐3‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐尿素
H NMR(300MHz、(CDSO)δ2.27(s、3H)、7.02(t、1H、J=8)、7.27‐7.32(m、4H)、7.42(d、1H、J=8)、7.51(d、2H、J=8)、7.73(s、1H)、7.81(d、1H、J=8)、8.05(d、1H、J=7)、8.14(s、1H)、8.50(s、1H)、9.09(s、1H)ppm;ESMS計算値(C2317):405.1;実測値:406.2(M+H)。
【0175】
化合物74:1‐(2’‐メチル‐5’‐(オキサゾール‐2‐イル)ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(5‐メチルピリミジン‐4‐イル)尿素
H NMR(300MHz、(CDSO)δ11.88(s、1H)、9.27(s、1H)、8.78(s、1H)、8.42(s、1H)、8.20(s、1H)、7.87‐7.69(m、4H)、7.47‐7.36(m、4H)、2.30(s、3H)、2.23(s、3H);ESMS計算値(C2219):385.2;実測値:386.3(M+H)。
【0176】
化合物75:1‐(2’‐メチル‐5’‐(オキサゾール‐2‐イル)ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(4‐メチルピリミジン‐5‐イル)尿素
H NMR(300MHz、CDCl)δ9.11(s、1H)、8.71(s、1H)、8.64(s、1H)、7.88‐7.82(m、3H)、7.68(s、1H)、7.32‐7.13(m、6H)、2.31(s、3H)、2.20(s、3H);ESMS計算値(C2219):385.2;実測値:386.3(M+H)。
【0177】
化合物76:(E)‐N‐(2,6‐ジフルオロベンジリデン)‐2’‐メチル‐5’‐(オキサゾール‐2‐イル)ビフェニル‐4‐アミン
H‐NMR(CDOD)δ(ppm)、7.3(s、1H)、7.97‐6.81(m、11H)、4.42(s、2H)、2.32(s、3H);C2316Oに対するESMS計算値:374.1;実測値:375.2(M+H)
【0178】
化合物77:4’‐(2‐(2,6‐ジフルオロベンゾイル)ヒドラジニル)‐6‐メチルビフェニル‐3‐カルボン酸メチル
HNMR(CDCl)δ(ppm)、7.82‐6.61(m、10H)、3.83(s、3H)、2.18(s、3H);C2218に対するESMS計算値:396.1;実測値:397.2(M+H)
【0179】
(第2の実施形態)
(IL‐2産生の阻害)
ジャーカット細胞を96ウェルプレート(1% FBS培地中、1ウェルあたり50万個の細胞)に播種し、次に、本発明の試験化合物を種々の濃度で添加した。10分後、細胞をPHA(最終濃度2.5μg/ml)によって活性化し、CO条件下で37℃にて20時間インキュベートした。最終体積は200μLであった。インキュベートの後、細胞を遠心分離し、その上清を回収して、IL‐2産生のアッセイの前に−70℃で保存した。市販のELISAキット(IL‐2 Eli‐pair、Diaclone
Research、Besancon、フランス)を用いてIL‐2の産生を検出し、そこから用量反応曲線を作成した。非刺激のコントロールに対して、刺激後の最大IL‐2産生の50%が阻害される濃度をIC50値とし、算出した。
【表2】

【0180】
IL‐4、IL‐5、IL‐13、GM‐CSF、TNF‐α及びINF‐γなどのその他のサイトカインの阻害は、サイトカインごとに市販のELISAキットを使用して、同様の方法で試験することができる。
【0181】
(第3の実施形態)
RBL細胞、ジャーカット細胞、及び一次T細胞におけるICRAC電流の阻害に関するパッチクランプ試験
一般に、ホールセルパッチクランプ方法を用いて、ICRACを伝達するチャネルに対する本発明の化合物の効果を調べる。このような実験においては、パッチした細胞に対するベースライン測定を行う。次に、試験化合物を外液中の細胞に注ぎかけ(又は吹き付け)、ICRACに対する化合物の効果を測定する。ICRACを調節(例:阻害)する化合物は、本発明において、CRACイオンチャネル活性の調節に有用な化合物である。
【0182】
1)RBL細胞
(細胞)
ラットの好塩基球性白血病細胞(RBL‐2H3)を、95%空気/5%COの雰囲気下、10%ウシ胎仔血清を添加したDMEM培地で増殖させる。細胞は、使用する1〜3日前にカバーガラス上に播種する。
【0183】
(記録条件)
個々の細胞の膜電流を、パッチクランプ技術のホールセルコンフィグレーションを使用して、EPC10(HEKA
Electronik、Lambrecht、ドイツ)により記録する。電極(抵抗2〜5MΩ)は、ホウケイ酸ガラス製の毛細管(Sutter
Instruments、Novato、Ca)から作製する。記録は室温にて行う。
【0184】
(細胞内ピペット液)
細胞内ピペット液は、Cs‐グルタミン酸塩
120mM;CsCl 20mM、CsBAPTA 10mM;CsHEPES 10mM、NaCl 8mM;MgCl 1mM;IP3 0.02mMを含有し、pHはCsOHにより7.4に調整する。実験を行なうまでは、溶液を氷上で保存し、遮光しておく。
【0185】
(細胞外液)
細胞外液は、NaCl 138mM;NaHEPES 10mM;CsCl
10mM;CaCl 10mM;グルコース 5.5mM;KCl 5.4mM;KHPO 0.4mM;NaHPO・H
0.3mMを含有し、NaOHによりpH=7.4に調整する。
【0186】
(化合物の処理)
各試験化合物は、10mMのストック溶液からDMSOを用いて希釈列を調製する。最終DMSO濃度は常に0.1%に維持する。
【0187】
(実験手順)
CRAC電流を、−100mVから+100mVまでの電圧のランピングの下、50ミリ秒のプロトコルを使用して2秒毎にモニターする。試験ランピング間の膜電位は0mVに保持する。通常の実験においては、内向き電流のピークは、50〜100秒以内に出現するであろう。ICRAC電流が安定したところで、細胞外液中の試験化合物を細胞に注ぎかける。試験の最後に、保持されているICRAC電流をコントロール化合物(SKF96365、10μM)で試験し、電流の阻害が依然として可能であることを確認する。
【0188】
(データ解析)
MATLABを用いたオフライン解析において、−80mVのランプ電圧での内向き電流の振幅を測定することにより、ICRAC電流レベルを求める。各濃度におけるICRAC電流の阻害は、同一の細胞からの実験当初のピーク振幅を用いて算出する。各化合物のIC50値及びヒル係数は、個々のデータポイント全てを単一のヒル方程式に当てはめることによって推定する。
【0189】
2)ジャーカット細胞
(細胞)
ジャーカットT細胞をカバーガラス上で増殖させ、記録用チャンバーに移し、以下の組成の標準修飾リンゲル液中に保持する:NaCl
145mM、KCl 2.8mM、CsCl 10mM、CaCl 10mM、MgCl 2mM、グルコース 10mM、HEPES‐NaOH
10mM、pH7.2。
【0190】
(細胞外液)
細胞外液は、10mMのCaNaR、11.5mMのグルコース、及び種々の濃度の試験化合物を含有する。
【0191】
(細胞内ピペット液)
標準の細胞内ピペット液は、Cs‐グルタミン酸塩
145mM、NaCl 8mM、MgCl 1mM、ATP 0.5mM、GTP 0.3mMを含有し、pHはCsOHにより7.2に調整する。この溶液に、10mM
Cs‐BAPTAと4.3〜5.3mM CaClとの混合物を添加し、[Ca2+]iが100〜150nMの安定レベルとなるように緩衝させる。
【0192】
(パッチクランプ記録)
パッチクランプ試験は、密にシール形成されたホールセルコンフィグレーション内において、21〜25℃で行う。コンピュータを用いたパッチクランプアンプシステム(EPC‐9、HEKA、Lambrecht、ドイツ)により、高分解能での電流記録を得る。Sylgard(登録商標)でコーティングしたパッチピペットの標準細胞内液の充填後の抵抗値は、2〜4MΩである。ホールセルコンフィグレーションの確立後すぐに、50msの長さで−100乃至+100mVの範囲にわたるランプ電圧を、300乃至400秒間、0.5Hzの周期で、保持電位である0mVから供給する。全ての電圧を、外部溶液と内部溶液との間の液間電位差が10mVになるように較正する。電流を2.3kHzでフィルタリングし、100μs間隔でデジタル化する。容量性電流及び直列抵抗を測定し、EPC‐9の自動キャパシタンス補正機能を使用して各電圧ランピングの前に較正する。
【0193】
(データ解析)
CRACの活性化の前の最初のランピング(通常1乃至3)を2kHzでフィルタリングしてデジタル化し、プールし、続く全ての電流記録のリーク減算(leak‐subtraction)に使用する。低分解能での内向き電流の一時的な発生を、−80mV又は任意の電圧での電流振幅を測定することにより、リーク補正した個々のランプ電流記録から抽出する。
【0194】
3)一次T細胞
(一次T細胞の調製)
一次T細胞は、ヒト全血サンプルから調製し、2mlの全血に100μLのRosetteSep(登録商標)ヒトT細胞濃縮混合物を添加することによって得られる。この混合物を室温で20分間インキュベートし、次に2%FBSを含む同体積のPBSで希釈する。この混合物をRosetteSep(登録商標)DM‐L濃縮培地(density medium)上に積層し、続いて室温にて1200gで20分間遠心分離する。濃縮されたT細胞を、血漿/濃縮培地界面からに回収し、次に2%FBSを含むPBSで2回洗浄し、RBL細胞について記載の手順に従ってパッチクランプ試験に使用する。
【0195】
(第4の実施形態)
一次ヒトPBMC内での複数のサイトカインの阻害
末梢血単核細胞(PBMCs)を、本発明の化合物、又は公知のサイトカイン産生阻害剤であるサイクロスポリンA(CsA)の種々の濃度での存在下、フィトヘマグルチニン(PHA)によって刺激する。市販のヒトELISAアッセイキット(Cell
Science,Inc.)を使用し、製造元の説明書に従って、サイトカイン産生の測定を行う。
【0196】
本発明の化合物は、一次ヒトPBM細胞内におけるIL‐2、IL‐4、IL‐5、IL‐13、GM‐CSF、INF‐γ、及びTNF‐αの強力な阻害剤であると考えられる。さらに、本発明の化合物は、抗炎症性サイトカインであるIL‐10は阻害しないと考えられる。
【0197】
(第5の実施形態)
(RBL細胞における脱顆粒の阻害)
(手順):
アッセイを実施する前日に、96ウェルプレート中でコンフルーエントな状態まで増殖させたRBL細胞を37℃で少なくとも2時間インキュベートする。各ウェルの培地を、2μLg/mlの抗DNP IgEを含む100μLの新鮮な培地に交換する。
【0198】
翌日、細胞をPRS(2.6mM グルコース及び0.1% BSA)で一回洗浄し、160μLのPRSを各ウェルに添加する。試験化合物を所望の濃度の10倍の溶液として20μLずつウェルに添加し、20乃至40分間37℃でインキュベートする。20μLの10×マウス抗IgE(10μL/ml)を添加する。最大の脱顆粒は、抗IgEの添加後15乃至40分で発生する。
【0199】
本発明の化合物は、脱顆粒を阻害すると考えられる。
【0200】
(第6の実施形態)
(T細胞における走化性の阻害)
(T細胞の単離):
ヘパリン処置した全血(ブタ2、ヒト1)のアリコット20mlを、Ficoll
Hypaqueによる密度勾配遠心にかける。末梢血単核細胞(PBMCs)がリンパ球及び単球を含むことを示すバフィーコート層を一回洗浄し、12mlの不完全RPMI1640培地中に再懸濁した後、ゼラチンコートしたT75培養フラスコ中に37℃で1時間静置する。単球が除去された末梢血リンパ球(PBLs)であることを示す付着しない細胞を完全RPMI培地中に再懸濁し、活性ナイロンウールを疎に充填して加温培地で平衡化したカラム中に静置する。37℃で1時間静置した後、追加培地でカラムを洗浄することで付着しないT細胞集団を溶出する。このT細胞調製物を遠心分離し、5mlの不完全RPMI培地中で再懸濁し、血球計数器を用いて細胞計数を行う。
【0201】
(細胞遊走アッセイ)
各T細胞調製物のアリコットをCalcien
AM(TefLabs)で標識し、1.83mMのCaCl及び0.8mMのMgClを含むpH7.4のHEPES緩衝ハンクス平衡塩類溶液(HHBSS)中、2.4×10/mlの濃度で懸濁させる。次に、0、20nM、200nM、若しくは2000nMの化合物1を含む、又は20nMのEDTAを含むHHBSSを等容量添加し、細胞を37℃で30分間インキュベートする。この細胞懸濁液(60,000細胞)の50μlのアリコットを、HHBSS中の10ng/mlのMIP‐1αを含むウェル上に付着させたNeuroprobe
ChemoTx 96ウェルケモタキシスユニット(chemotaxis unit)の膜上(細孔サイズ5μm)に配置する。T細胞を37℃で2時間移動させ、その後、膜の頂端部の細胞をふき取る。次に、ケモタキシスユニットをCytoFlour
4000(PerSeptive BioSystems)に設置し、各ウェルの蛍光を測定する(励起及び発光波長は、それぞれ450及び530nm)。各ウェルの移動細胞数の測定は、膜を付着させる前にケモタキシスユニットの下部ウェルに配置した、標識細胞の二倍段階希釈系の蛍光を測定することで検量線を作成し、これに基づいて行う。
【0202】
本発明の化合物は、T細胞の遊走反応を阻害すると考えられる。
【0203】
本明細書において引用される全ての刊行物、特許出願、特許、及びその他の文書は、その全内容が参照することで本明細書に組み入れられる。矛盾が存在する場合は、定義を含む本明細書が優先する。さらに、材料、方法、及び実施例は例示するだけのものであり、いかなる形であれ本発明を限定することを意図したものではない。
【0204】
上述の記載により、本明細書で述べる本発明に対して、変形及び変更が可能であることは明らかであろう。そのような実施形態も、添付の請求項の範囲内である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】


で表される化合物であって、ここで:
Aは、‐O‐、‐S‐、‐NR’11‐、‐CR=CR‐、‐N=CR‐、‐CR=N‐、又は‐N=N‐であり;
及びWは、各々独立して、CR又はNであり;
Yは、任意に置換されていてもよいアリール、又は任意に置換されていてもよいヘテロアリールであり;
Lは、リンカーであるが、ただし、共有結合、‐NRCH‐、‐CHNR‐、‐C(O)‐、‐NR‐C(O)‐、‐C(O)‐NR‐、‐OC(O)‐、‐C(O)O‐、‐C(S)‐、‐NR‐C(S)‐、‐C(S)‐NR‐、‐NRC(NR)‐、又は‐C(NR)NR‐ではなく;
Rは、存在する各々の場合は、独立して、‐H、アルキル、‐C(O)‐R、又は‐C(O)ORであり;
R’は、任意に置換されていてもよいアリール、又は任意に置換されていてもよいヘテロアリールであるが、ただし、R’は、任意に置換されていてもよいトリアゾリル、ピリジニル、ピラゾリル、インドリジニル、ベンズアミダゾリル、イミダゾ[4,5‐c]ピリド‐1‐イル、フラニル、チエニル、オキサゾリル、チアゾリル、又はイミダゾ[4,5‐b]ピリド‐3‐イル‐フェニルではなく;
及びRは、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル、シアノ、ニトロ、ハロ、‐OR’、‐SR’、‐NR’R’、‐C(O)NR’R’、‐NR’C(O)R’、‐C(O)R’、‐C(O)OR’、‐OC(O)R’、‐C(O)SR’、‐SC(O)R’、‐C(S)NR’R’、‐NR’C(S)R’、‐C(S)R’、‐C(S)OR’、‐OC(S)R’、‐C(S)SR’、‐SC(S)R’、‐C(NR’)NR’R’、‐NR’C(NR’)R’、‐C(NR’)R’、‐C(NR’)OR’、‐OC(NR’)R’、‐C(NR’)SR’、‐SC(NR’)R’、‐OC(O)OR’、‐OC(O)NR’R’、‐NR’C(O)OR’、‐NR’C(O)NR’R’、‐SC(O)OR’、‐SC(O)NR’R’、‐SC(O)SR’、‐NR’C(O)SR’、‐OC(O)SR’、‐OC(S)OR’、‐OC(S)NR’R’、‐NR’C(S)OR’、‐NR’C(S)NR’R’、‐SC(S)OR’、‐SC(S)NR’R’、‐SC(S)SR’、‐NR’C(S)SR’、‐OC(S)SR’、‐OC(NR’)OR’、‐OC(NR’)NR’R’、‐NR’C(NR’)OR’、‐NR’C(NR’)NR’R’、‐SC(NR’)OR’、‐SC(NR’)NR’R’、‐SC(NR’)SR’、‐NR’C(NR’)SR’、又は‐OC(NR’)SR’であり;
R’は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであり;
R’及びR’は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであるか;又は、
R’及びR’は、これらに結合する窒素と共に、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアリールであり;
は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであり;
R’は、存在する各々の場合は、独立して、‐H、ハロ、アルキル、‐OR’、-NR’R’、‐C(O)R’、‐C(O)OR’、又は‐C(O)NR’R’であり;
R’及びR’10は、各々独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、若しくは任意に置換されていてもよいアルキニルであるか;又は、
R’及びR’10は、これらに結合する炭素原子と共に、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロシクリルを形成し;
は、存在する各々の場合は、独立して、‐H、ハロ、アルキル、‐OR、-NR1112、‐C(O)R、‐C(O)OR、又は‐C(O)R1112であり;
R’11は、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル、‐OR’、‐SR’、‐NR’R’、‐C(O)NR’R’、‐C(O)R’、‐C(O)OR’、‐C(O)SR’、‐C(S)NR’R’、‐C(S)R’、‐C(S)OR’、‐C(S)SR’、‐C(NR’)NR’R’、‐C(NR’)R’、‐C(NR’)OR’、又は‐C(NR’)SR’であり;
11及びR12は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであるか;又は、
11及びR12は、これらに結合する窒素と共に、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアリールであり;
ただし、環Aはチアゾールでもチアジアゾールでもない、化合物、
又は、その薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグ。
【請求項2】
Yが、任意に置換されていてもよいフェニル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピリダジニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいチオフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Yが置換されていない、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
Yが、任意に置換されていてもよいフェニル、又は任意に置換されていてもよいピリジニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項5】
Yが、1乃至2個の置換基で置換されている、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
前記1乃至2個の置換基が、各々独立して、低級アルキル、又はハロである、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
Yがジフルオロフェニルである、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Yが、任意に置換されていてもよいチアジアゾリルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項9】
Yが、任意に置換されていてもよいチオフェニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項10】
Yが、任意に置換されていてもよいピリダジニルである、請求項2に記載の化合物。
【請求項11】
Yが、1個のメチル基で置換されている、請求項8、9、又は10のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
R’が、任意に置換されていてもよいフェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
R’が、1乃至2個の置換基で置換されている、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
前記1乃至2個の置換基が、各々独立して、‐C(O)OR、低級アルキル、ハロ、低級アルコキシ、任意に置換されていてもよいフェニル、任意に置換されていてもよいオキサゾリル、任意に置換されていてもよいチアゾリル、任意に置換されていてもよいイミダゾリル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピラゾリル、任意に置換されていてもよいピロリル、任意に置換されていてもよいチエニル、任意に置換されていてもよいフラニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、任意に置換されていてもよいオキサジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいテトラゾリルであり;
は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルである、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
R’が、以下の式で表され:
【化2】


ここで:
及びZは、各々独立して、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル、ハロアルキル、‐C(O)NR、‐NRC(O)R、ハロ、‐OR、シアノ、ニトロ、ハロアルコキシ、‐C(O)R、‐NR、‐SR、‐C(O)OR、‐OC(O)R、‐NRC(O)NR、‐OC(O)NR、‐NRC(O)OR、‐S(O)、又は‐S(O)NRであり;
及びRは、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル;又は、
及びRは、これらに結合する窒素と共に、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアリールであり;
及びRは、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであり;及び、
pは、0、1、又は2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項16】
環Aが、
【化3】

であって;
Zは、置換基であり;及び、
nは、0、1、又は2である、請求項1に記載の化合物。
【請求項17】
Lが、‐NRS(O)‐、‐S(O)NR‐、‐NRS(O)NR‐、‐NRC(O)NR‐、‐NRC(S)NR‐、‐NRCHNR‐、‐NRN=CR‐、‐C(NR)‐、‐CR=NNR‐、‐N(R)‐、‐NR‐NR‐C(O)‐、‐N=CR‐、‐CR=N‐、‐CH=CH‐、又は‐C≡C‐であり;
Rは、存在する各々の場合は、独立して、‐H、アルキル、‐C(O)R、又は‐C(O)ORであり;
は、存在する各々の場合は、‐H又はアルキルであり;及び、
は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項18】
Rが‐Hである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
Lが‐N(R)‐であり;
Rは、存在する各々の場合は、独立して、‐H、アルキル、‐C(O)R、又は‐C(O)ORであり;及び、
は、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルである、請求項15に記載の化合物。
【請求項20】
Rが‐Hである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
Yが、1乃至2個の置換基で置換されたフェニルであり、ここで、該1乃至2個の置換基が、各々独立して、低級アルキル又はハロであり;
環Aが、フェニルであり;
が、ハロ、低級アルキル、又は低級アルコキシであり;
が、オキサゾール‐2‐イル、オキサゾール‐5‐イル、チアゾール‐2‐イル、チアゾール‐5‐イル、[1,3,4]オキサジアゾール‐2‐イル、‐C(O)OCHCHCH、‐C(O)OCHCH、又は‐C(O)OCHである、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
式(II):
【化4】

で表される化合物であって、ここで:
Y’は、任意に置換されていてもよい単環式アリール、又は任意に置換されていてもよい単環式ヘテロアリールであり;
及びXは、各々独立して、CH、CZ、又はNであるが、ただし、X及びXは、同時にNではなく;
L’は、‐NRS(O)‐、‐S(O)NR‐、‐NRS(O)NR‐、‐NRC(O)NR‐、‐NRC(NR)NR‐、‐NRC(S)NR‐、‐NRCHNR‐、‐NRN=CR‐、‐C(NR)‐、‐N=CH‐、‐CH=N‐、‐NR‐NR‐C(O)‐、又は‐CR=NNR‐であり;
及びZは、各々独立して、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル、ハロアルキル、‐C(O)NR、‐NRC(O)R、ハロ、‐OR、シアノ、ニトロ、ハロアルコキシ、‐C(O)R、‐NR、‐SR、‐C(O)OR、‐OC(O)R、‐NRC(O)NR、‐OC(O)NR、‐NRC(O)OR、‐S(O)、又は‐S(O)NRであり;
は、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル、‐C(O)NR、‐NRC(O)R、‐OR、ハロアルコキシ、‐C(O)R、‐NR、‐SR、‐C(O)OR、‐OC(O)R、‐NRC(O)NR、‐OC(O)NR、‐NRC(O)OR、‐S(O)、又は‐S(O)NRであり;
Rは、存在する各々の場合は、独立して、‐H、アルキル、‐C(O)‐R、又は‐C(O)ORであり;
及びRは、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル;又は、
及びRは、これらに結合する窒素と共に、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアリールであり;
及びRは、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであり;
は、存在する各々の場合は、‐H又はアルキルであり;
は、存在する各々の場合は、独立して、‐H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであり;及び、
pは0、1、又は2である、化合物、
又は、その薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグ。
【請求項23】
Y’が、任意に置換されていてもよいフェニル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピリダジニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいチオフェニルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項24】
Y’が置換されていない、請求項23に記載の化合物。
【請求項25】
Y’が、任意に置換されていてもよいフェニル、又は任意に置換されていてもよいピリジニルである、請求項23に記載の化合物。
【請求項26】
Y’が、1乃至2個の置換基で置換されている、請求項25に記載の化合物。
【請求項27】
前記1乃至2個の置換基が、各々独立して、低級アルキル、又はハロである、請求項26に記載の化合物。
【請求項28】
Y’がジフルオロフェニルである、請求項27に記載の化合物。
【請求項29】
Y’が、任意に置換されていてもよいチアジアゾリルである、請求項23に記載の化合物。
【請求項30】
Y’が、任意に置換されていてもよいチオフェニルである、請求項23に記載の化合物。
【請求項31】
Y’が、任意に置換されていてもよいピリダジニルである、請求項23に記載の化合物。
【請求項32】
Y’が、1個のメチル基で置換されている、請求項29、30、又は31のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項33】
L’が、‐NHS(O)‐、‐S(O)NH‐、‐NHS(O)NH‐、‐NHC(O)NH‐、‐NHC(NH)NH‐、‐NHC(S)NH‐、‐NHCHNH‐、‐NHN=CR‐、‐C(NH)‐、又は‐CR=NNH‐である、請求項22に記載の化合物。
【請求項34】
L’が、‐NHS(O)‐、‐NHC(O)NH‐、‐NHC(S)NH‐、又は‐NHN=CH‐である、請求項33に記載の化合物。
【請求項35】
が、任意に置換されていてもよいフェニル、‐C(O)OR、任意に置換されていてもよいオキサゾリル、任意に置換されていてもよいチアゾリル、任意に置換されていてもよいイミダゾリル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピラゾリル、任意に置換されていてもよいピロリル、任意に置換されていてもよいチオフェニル、任意に置換されていてもよいフラニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、任意に置換されていてもよいオキサジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいテトラゾリルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項36】
が、オキサゾール‐2‐イル、オキサゾール‐5‐イル、チアゾール‐2‐イル、チアゾール‐5‐イル、[1,3,4]オキサジアゾール‐2‐イル、‐C(O)OCHCHCH、‐C(O)OCHCH、又は‐C(O)OCHである、請求項35に記載の化合物。
【請求項37】
が、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルキルスルファニル、ハロ、又はアミノから成る群より選択される1個の置換基で置換されている、請求項35に記載の化合物。
【請求項38】
が、ハロ、低級アルキル、又は低級アルコキシである、請求項22に記載の化合物。
【請求項39】
が低級アルキルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項40】
がNである、請求項22に記載の化合物。
【請求項41】
がNである、請求項22に記載の化合物。
【請求項42】
及びXが、各々独立して、CH又はCZである、請求項22に記載の化合物。
【請求項43】
及びXが、各々CHである、請求項42に記載の化合物。
【請求項44】
Y’が、任意に置換されていてもよいフェニル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピリダジニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいチオフェニルであり;
L’が、‐NHS(O)‐、‐NHC(O)NH‐、‐NHC(S)NH‐、又は‐NHN=CH‐であり;
及びXが、各々CHであり;
が、ハロ、低級アルキル、又は低級アルコキシであり;及び、
が、任意に置換されていてもよいフェニル、‐C(O)OR、任意に置換されていてもよいオキサゾリル、任意に置換されていてもよいチアゾリル、任意に置換されていてもよいイミダゾリル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピラゾリル、任意に置換されていてもよいピロリル、任意に置換されていてもよいチエニル、任意に置換されていてもよいフラニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、任意に置換されていてもよいオキサジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいテトラゾリルである、請求項22に記載の化合物。
【請求項45】
が、オキサゾール‐2‐イル、オキサゾール‐5‐イル、チアゾール‐2‐イル、チアゾール‐5‐イル、[1,3,4]オキサジアゾール‐2‐イル、‐C(O)OCHCHCH、‐C(O)OCHCH、又は‐C(O)OCHである、請求項44に記載の化合物。
【請求項46】
L’が、‐NHS(O)‐、又は‐NHC(O)NH‐である、請求項45に記載の化合物。
【請求項47】
Y’が、任意に置換されていてもよいフェニル、又は任意に置換されていてもよいピリジニルである、請求項46に記載の化合物。
【請求項48】
Y’がジフルオロフェニルである、請求項47に記載の化合物。
【請求項49】
式(III):
【化5】

で表される化合物であって、ここで:
Y’は、任意に置換されていてもよい単環式アリール、又は任意に置換されていてもよい単環式ヘテロアリールであり;
X’及びX’は、各々独立して、CH、又はNであるが、ただし、X’及びX’は、同時にNではなく;
L’’は、‐NRS(O)‐、‐S(O)NR‐、‐NRS(O)NR‐、‐NRC(O)NR‐、‐NRC(NR)NR‐、‐NRC(S)NR‐、‐NRCHNR‐、‐NRN=CR‐、‐C(NR)‐、‐CR=NNR‐、‐N=CH‐、‐CH=N‐、‐NR‐NR‐C(O)‐、‐CH=CH‐、又は‐C≡C‐であり;
は、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル、ハロアルキル、‐C(O)NR、‐NRC(O)R、ハロ、‐OR、シアノ、ニトロ、ハロアルコキシ、‐C(O)R、‐NR、‐SR、‐C(O)OR、‐OC(O)R、‐NRC(O)NR、‐OC(O)NR、‐NRC(O)OR、‐S(O)、又は‐S(O)NRであり;
Z’は、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル、‐C(O)NR、‐NRC(O)R、‐C(O)R、‐NR、‐SR、‐C(O)OR、‐NRC(O)NR、‐OC(O)NR、‐NRC(O)OR、‐S(O)、又は‐S(O)NRであり;
Rは、存在する各々の場合は、独立して、‐H、アルキル、‐C(O)‐R、又は‐C(O)ORであり;
及びRは、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアラルキル;又は、
及びRは、これらに結合する窒素と共に、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、若しくは任意に置換されていてもよいヘテロアリールであり;
及びRは、存在する各々の場合は、独立して、H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであり;
は、存在する各々の場合は、‐H又はアルキルであり;
は、存在する各々の場合は、独立して、‐H、任意に置換されていてもよいアルキル、任意に置換されていてもよいアルケニル、任意に置換されていてもよいアルキニル、任意に置換されていてもよいシクロアルキル、任意に置換されていてもよいシクロアルケニル、任意に置換されていてもよいヘテロシクリル、任意に置換されていてもよいアリール、任意に置換されていてもよいヘテロアリール、任意に置換されていてもよいアラルキル、又は任意に置換されていてもよいヘテロアラルキルであり;及び、
pは0、1、又は2である、化合物、
又は、その薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグ。
【請求項50】
Y’が、任意に置換されていてもよいフェニル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピリダジニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいチオフェニルである、請求項49に記載の化合物。
【請求項51】
Y’が置換されていない、請求項50に記載の化合物。
【請求項52】
Y’が、任意に置換されていてもよいフェニル、又は任意に置換されていてもよいピリジニルである、請求項50に記載の化合物。
【請求項53】
Y’が、1乃至2個の置換基で置換されている、請求項52に記載の化合物。
【請求項54】
前記1乃至2個の置換基が、各々独立して、低級アルキル、又はハロである、請求項53に記載の化合物。
【請求項55】
Y’がジフルオロフェニルである、請求項54に記載の化合物。
【請求項56】
Y’が、任意に置換されていてもよいチアジアゾリルである、請求項50に記載の化合物。
【請求項57】
Y’が、任意に置換されていてもよいチオフェニルである、請求項50に記載の化合物。
【請求項58】
Y’が、任意に置換されていてもよいピリダジニルである、請求項50に記載の化合物。
【請求項59】
Y’が、1個のメチル基で置換されている、請求項56、57、又は58のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項60】
L’’が、‐NHS(O)‐、‐S(O)NH‐、‐NHS(O)NH‐、‐NHC(O)NH‐、‐NHC(NH)NH‐、‐NHC(S)NH‐、‐NHCHNH‐、‐NHN=CR‐、‐C(NH)‐、‐CR=NNH‐、‐CH=CH‐、又は‐C≡C‐である、請求項49に記載の化合物。
【請求項61】
L’’が、‐NHS(O)‐、‐NHC(O)NH‐、‐CH=CH‐、‐NHC(S)NH‐、又は‐NHN=CH‐である、請求項60に記載の化合物。
【請求項62】
Z’が、任意に置換されていてもよいフェニル、‐C(O)OR、任意に置換されていてもよいオキサゾリル、任意に置換されていてもよいチアゾリル、任意に置換されていてもよいイミダゾリル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピラゾリル、任意に置換されていてもよいピロリル、任意に置換されていてもよいチオフェニル、任意に置換されていてもよいフラニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、任意に置換されていてもよいオキサジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいテトラゾリルである、請求項49に記載の化合物。
【請求項63】
Z’が、オキサゾール‐2‐イル、オキサゾール‐5‐イル、チアゾール‐2‐イル、チアゾール‐5‐イル、[1,3,4]オキサジアゾール‐2‐イル、‐C(O)OCHCHCH、‐C(O)OCHCH、又は‐C(O)OCHである、請求項62に記載の化合物。
【請求項64】
Z’が、低級アルキル、低級ハロアルキル、低級アルキルスルファニル、ハロ、又はアミノから成る群より選択される1個の置換基で置換されている、請求項62に記載の化合物。
【請求項65】
が、ハロ、低級アルキル、又は低級アルコキシである、請求項49に記載の化合物。
【請求項66】
がNである、請求項49に記載の化合物。
【請求項67】
がNである、請求項49に記載の化合物。
【請求項68】
及びXが、各々CHである、請求項49に記載の化合物。
【請求項69】
Y’が、任意に置換されていてもよいフェニル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピリダジニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいチオフェニルであり;
L’’が、‐NHS(O)‐、‐NHC(O)NH‐、‐CH=CH‐、‐NHC(S)NH‐、又は‐NHN=CH‐であり;
及びXが、各々CHであり;
が、ハロ、低級アルキル、又は低級アルコキシであり;及び、
Z’が、任意に置換されていてもよいフェニル、‐C(O)OR、任意に置換されていてもよいオキサゾリル、任意に置換されていてもよいチアゾリル、任意に置換されていてもよいイミダゾリル、任意に置換されていてもよいピリジニル、任意に置換されていてもよいピラゾリル、任意に置換されていてもよいピロリル、任意に置換されていてもよいチエニル、任意に置換されていてもよいフラニル、任意に置換されていてもよいチアジアゾリル、任意に置換されていてもよいオキサジアゾリル、又は任意に置換されていてもよいテトラゾリルである、請求項49に記載の化合物。
【請求項70】
Z’が、オキサゾール‐2‐イル、オキサゾール‐5‐イル、チアゾール‐2‐イル、チアゾール‐5‐イル、[1,3,4]オキサジアゾール‐2‐イル、‐C(O)OCHCHCH、‐C(O)OCHCH、又は‐C(O)OCHである、請求項69に記載の化合物。
【請求項71】
L’’が、‐NHS(O)‐、又は‐NHC(O)NH‐である、請求項70に記載の化合物。
【請求項72】
Y’が、任意に置換されていてもよいフェニル、又は任意に置換されていてもよいピリジニルである、請求項71に記載の化合物。
【請求項73】
Y’がジフルオロフェニルである、請求項72に記載の化合物。
【請求項74】
前記化合物が、
2,6‐ジフルオロ‐N‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ベンゼンスルホンアミド;
2‐{4’‐[2‐(2,6‐ジフルオロ‐フェニル)‐ビニル]‐6‐メチル‐ビフェニル‐3‐イル}‐オキサゾール;
(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐フェニル‐アミン;
1‐(2,6‐ジフルオロ‐フェニル)‐3‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐尿素;
N‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ベンゼンスルホンアミド;
3‐フルオロ‐ピリジン‐4‐スルホン酸(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐アミド;
3,5‐ジフルオロ‐ピリジン‐4‐スルホン酸(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐アミド;
2,3‐ジフルオロ‐N‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)ベンゼンスルホンアミド;
2,4‐ジフルオロ‐N‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)ベンゼンスルホンアミド;
2,5‐ジフルオロ‐N‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ベンゼンスルホンアミド;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ベンゼンスルホンアミド;
3‐フルオロ‐ピリジン‐4‐スルホン酸(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐アミド;
3,5‐ジフルオロ‐ピリジン‐4‐スルホン酸(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐アミド;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐2,3‐ジフルオロ‐ベンゼンスルホンアミド;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐2,4‐ジフルオロ‐ベンゼンスルホンアミド;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐2,5‐ジフルオロ‐ベンゼンスルホンアミド;
N‐(2’‐メチル‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ベンゼンスルホンアミド;
3‐フルオロ‐ピリジン‐4‐スルホン酸(2’‐メチル‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐アミド;
3,5‐ジフルオロ‐ピリジン‐4‐スルホン酸(2’‐メチル‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐アミド;
2,3‐ジフルオロ‐N‐(2’‐メチル‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ベンゼンスルホンアミド;
2,4‐ジフルオロ‐N‐(2’‐メチル‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ベンゼンスルホンアミド;
2,5‐ジフルオロ‐N‐(2’‐メチル‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ベンゼンスルホンアミド;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ベンゼンスルホンアミド;
3‐フルオロ‐ピリジン‐4‐スルホン酸(2’‐クロロ‐5’‐チアz−ル‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐アミド;
3,5‐ジフルオロ‐ピリジン‐4‐スルホン酸(2’‐クロロ‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐アミド;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐2,3‐ジフルオロ‐ベンゼンスルホンアミド;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐2,4‐ジフルオロ‐ベンゼンスルホンアミド;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐2,5‐ジフルオロ‐ベンゼンスルホンアミド;
1‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐フェニル‐尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(3‐メチル‐ピリジン‐4‐イル)‐尿素;
1‐(2‐フルオロ‐フェニル)‐3‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(4‐メチル‐ピリジン‐3‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(3‐メチル‐ピリジン‐2‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(2‐メチル‐ピリジン‐3‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(5‐メチル‐ピリダジン‐4‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(5‐メチル‐ピリミジン‐4‐イル)‐尿素;
1‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐3‐(2’‐メチル‐5’‐チアゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐尿素;
1‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐3‐(2’‐メチル‐5’‐チアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐尿素;
1‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐3‐(2’‐メチル‐5’‐[1,3,4]チアジアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ 尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐[1,3,4]オキサジアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐尿素;
1‐(2’‐クロロ‐5’‐[1,3,4]オキサジアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐尿素;
6‐メチル‐4’‐(3‐フェニル‐ウレイド)‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐(3‐o‐トリル‐ウレイド)‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(3‐メチル‐ピリジン‐4‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
4’‐[3‐(2‐フルオロ‐フェニル)‐ウレイド]‐6‐メチル‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(4‐メチル‐ピリジン‐3‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(3‐メチル‐ピリジン‐2‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(2‐メチル‐ピリジン‐3‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(5‐メチル‐ピリダジン‐4‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(5‐メチル‐ピリミジン‐4‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(4メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐チオウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(4メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐チオウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸エチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(4メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐チオウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸プロピルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸エチルエステル;
6‐メチル‐4’‐[3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸プロピルエステル;
6‐クロロ‐4’‐[3‐(4‐メチル‐[1,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐クロロ‐4’‐[3‐(4‐メチル‐[1 ,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
6‐クロロ‐4’‐[3‐(4‐メチル‐[1 ,2,3]チアジアゾール‐5‐イル)‐ウレイド]‐ビフェニル‐3‐カルボン酸メチルエステル;
N‐(2,6‐ジフルオロ‐ベンジリデン)‐N’‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ヒドラジン;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐N’‐(2,6‐ジフルオロ‐ベンジリデン)‐ヒドラジン;
N‐(2,6‐ジフルオロ‐ベンジリデン)‐N’‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ヒドラジン;
N‐(2,6‐ジフルオロ‐ベンジリデン)‐N’‐(2’‐メチル‐5’‐[1,3,4]オキサジアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐ヒドラジン;
N‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐N’‐(3‐メチル‐チオフェン‐2‐イルメチレン)‐ヒドラジン;
N‐(2’‐クロロ‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐N’‐(3‐メチル‐チオフェン‐2‐イルメチレン)‐ヒドラジン;
N‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐5‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐N’‐(3‐メチル‐チオフェン‐2‐イルメチレン)‐ヒドラジン;
N’‐(2’‐メチル‐5’‐[1,3,4]オキサジアゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐N’‐(3‐メチル‐チオフェン‐2‐イルメチレン)‐ヒドラジン;
5‐(2‐クロロ‐5‐トリフルオロメチル‐フェニル)‐チオフェン‐2‐スルホン酸(2,6‐ジフルオロ‐フェニル)‐アミド;
1‐(2,4‐ジフルオロ‐フェニル)‐3‐(2’‐メチル‐5’‐オキサゾール‐2‐イル‐ビフェニル‐4‐イル)‐尿素;
1‐(2,6‐ジフルオロフェニル)‐3‐(4‐(5‐(イソオキサゾール‐5‐イル)‐3‐メチルチオフェン‐2‐イル)フェニル)尿素;
1‐(2,6‐ジフルオロフェニル)‐3‐(4‐(3‐メチル‐5‐(オキサゾール‐5‐イル)チオフェン‐2‐イル)フェニル)尿素;
1‐(3‐フルオロピリジン‐4‐イル)‐3‐(4‐(3‐メチル‐5‐(オキサゾール‐5‐イル)チオフェン‐2‐イル)フェニル)尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐(オキサゾール‐2‐イル)ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(5‐メチルピリミジン‐4‐イル)尿素;
1‐(2’‐メチル‐5’‐(オキサゾール‐2‐イル)ビフェニル‐4‐イル)‐3‐(4‐メチルピリミジン‐5‐イル)尿素;
(E)‐N‐(2,6‐ジフルオロベンジリデン)‐2’‐メチル‐5’‐(オキサゾール‐2‐イル)ビフェニル‐4‐アミン;若しくは、
4’‐(2‐(2,6‐ジフルオロベンゾイル)ヒドラジニル)‐6‐メチルビフェニル‐3‐カルボン酸メチル;
又は、これらの薬理学的に許容される塩、溶媒和物、包接化合物、若しくはプロドラッグから成る群より選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項75】
薬理学的に許容される担体、及び請求項1乃至74のいずれか1項に記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項76】
さらに1種類以上の治療薬を含む、請求項75に記載の医薬組成物。
【請求項77】
前記のさらなる治療薬が、免疫抑制剤、抗炎症剤、及びこれらの適切な混合物から成る群より選択される、請求項76に記載の医薬組成物。
【請求項78】
前記のさらなる治療薬が、ステロイド、非ステロイド性抗炎症剤、抗ヒスタミン剤、鎮痛剤、及びこれらの適切な混合物から成る群より選択される、請求項77に記載の医薬組成物。
【請求項79】
免疫細胞の活性化を阻害する方法であって、該細胞へ請求項1乃至74のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項80】
対象内での免疫細胞の活性化を、該対象へ前記化合物を投与することによって阻害する、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記対象がヒトである、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
細胞内でのサイトカイン産生を阻害する方法であって、該細胞へ請求項1乃至74のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項83】
対象内でのサイトカイン産生を、該対象へ前記化合物を投与することによって阻害する、請求項82に記載の方法。
【請求項84】
前記対象がヒトである、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記サイトカインが、IL‐2、IL‐4、IL‐5、IL‐13、GM‐CSF、INF‐γ、TNF‐α、及びこれらの組み合わせから成る群より選択される、請求項83に記載の方法。
【請求項86】
前記サイトカインがIL‐2である、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
細胞内のイオンチャネルを調節する方法であって、該イオンチャネルが免疫細胞の活性化に関与しており、前記細胞へ請求項1乃至74のいずれか1項に記載の化合物を投与することを含む、方法。
【請求項88】
前記イオンチャネルが対象内にあり、該対象へ前記化合物を投与することによってこれを調節する、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記対象がヒトである、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記イオンチャネルがCa2+遊離活性化Ca2+チャネル(CRAC)である、請求項88に記載の方法。
【請求項91】
抗原に反応することによるT細胞及び/又はB細胞の増殖を阻害する方法であって、前記細胞へ請求項1乃至74のいずれか1項に記載の化合物を投与す
【請求項92】
対象内におけるT細胞及び/又はB細胞の増殖を、該対象へ前記化合物を投与することによって阻害する、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記対象がヒトである、請求項92に記載の方法。
【請求項94】
免疫疾患の治療又は予防を、それを必要とする対象に対して行うための方法であって、前記対象へ請求項1乃至74のいずれか1項に記載の化合物の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項95】
前記対象がヒトである、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
前記疾患が、多発性硬化症、重症筋無力症、ギラン‐バレー症、自己免疫性ぶどう膜炎、自己免疫性溶血性貧血、悪性貧血、自己免疫性血小板減少症、側頭動脈炎、抗リン脂質抗体症候群、ウェゲナー肉芽腫症などの血管炎、ベーチェット病、乾癬、疱疹状皮膚炎、尋常性天疱瘡、白斑、クローン病、潰瘍性大腸炎、原発性胆汁性肝硬変、自己免疫性肝炎、1型又は免疫媒介性糖尿病、グレーブス病、橋本甲状腺炎、自己免疫性卵巣炎及び精巣炎、副腎の自己免疫疾患、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、強皮症、多発性筋炎、皮膚筋炎、強直性脊椎炎、及びシェーグレン症候群、から成る群より選択される、請求項94に記載の方法。
【請求項97】
炎症性疾患の治療又は予防を、それを必要とする対象に対して行うための方法であって、前記対象へ請求項1乃至74のいずれか1項に記載の化合物の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項98】
前記対象がヒトである、請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記疾患が、移植片拒絶反応、皮膚移植片拒絶反応、関節炎、関節リウマチ、変形性関節症、骨吸収の増加を伴う骨疾患;炎症性腸疾患、回腸炎、潰瘍性大腸炎、バレット症候群(Barrett’s
syndrome)、クローン病;喘息、成人呼吸促迫症候群、慢性閉塞性気道疾患;角膜ジストロフィー、トラコーマ、オンコセルカ症、ぶどう膜炎、交感神経性眼炎、眼内炎;歯肉炎、歯周炎;結核;ハンセン病;尿毒症の合併症、糸球体腎炎、ネフローゼ;硬化性皮膚炎、乾癬、湿疹;神経系の慢性脱髄疾患、多発性硬化症、エイズ関連神経変性、アルツハイマー病、感染性髄膜炎、脳脊髄炎、パーキンソン病、ハンチントン病、筋萎縮性側索硬化症、ウイルス性若しくは自己免疫性脳炎;自己免疫疾患、免疫複合体血管炎、全身性ループス及びエリテマトーデス;全身性ループスエリテマトーデス(SLE);心筋症、虚血性心疾患、高コレステロール血症、粥状動脈硬化、子癇前症;慢性肝不全、脳及び脊髄外傷、並びに癌、より選択される、請求項97に記載の方法。
【請求項100】
免疫システムの抑制を、それを必要とする対象に対して行うための方法であって、前記対象へ請求項1乃至74のいずれか1項に記載の化合物の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項101】
前記対象がヒトである、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
アレルギー性疾患の治療又は予防を、それを必要とする対象に対して行うための方法であって、前記対象へ請求項1乃至74のいずれか1項に記載の化合物の有効量を投与することを含む、方法。
【請求項103】
前記対象がヒトである、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記疾患が、アレルギー性鼻炎、静脈洞炎、副鼻腔炎、慢性中耳炎、反復性中耳炎、薬物反応、虫刺され反応、ラテックス反応、結膜炎、じん麻疹、アナフィラキシー反応、アナフィラキシー様反応、アトピー性皮膚炎、喘息、又は食物アレルギーである、請求項102に記載の方法。

【公表番号】特表2009−528983(P2009−528983A)
【公表日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−552472(P2008−552472)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際出願番号】PCT/US2007/002305
【国際公開番号】WO2007/087441
【国際公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【出願人】(504151848)シンタ ファーマシューティカルズ コーポレーション (72)
【Fターム(参考)】