説明

炭化物製造装置及び炭化物製造方法並びに炭化物

【課題】可燃性物質を熱処理して炭化物を得る際に排気される有害物質量を削減する炭化物製造装置及び炭化物製造方法、可燃性物質の炭化を補助し、熱処理して炭化物を得る際に排気される有害物質の量を削減する炭化剤、及び有効資源として利用でき、有害物質の溶質が抑制された炭化物を提供する。
【解決手段】第1の燃焼室3と、第1の燃焼室3外部から加熱する第1の加熱装置4と、第1の燃焼室3で加熱された被加熱物が自動的に供給される第2の燃焼室5と、第2の燃焼室5を加熱する第2の加熱装置6と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、多孔質で吸湿性に優れ、有害物質の溶質が抑制された炭化物を製造する炭化物製造装置、及び炭化物製造方法、及び可燃性物質を炭化することを補助する炭化剤、並びに前記炭化物製造装置及び炭化物製造方法により得られる炭化物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、一般家庭、レストラン、弁当屋及びコンビニエンスストア等から廃棄される一般廃棄物は、例えば、生ゴミとして廃棄処理されて地中に埋設されたり、適当に焼却されて廃棄処理されている。また、製紙汚泥、建築廃材、タイヤ等の産業廃棄物やプラスチック容器類等の産業廃棄物も、地中に埋設されたり、焼却されて埋設処理されている。
【0003】
しかしながら、このように廃棄物を単に焼却したり、地中に埋め立てたのでは地球資源の損失である。また、近年では、埋立て場所の確保が困難となってきている。
【0004】
そこで、例えば、飲食物の生ごみを処理し、肥料を製造することも種々提案されている。特に、近年、大量に発生する合成樹脂等から造られた容器と共に、内容物である米飯等の水分を多く含んだ生ゴミを、摂氏400度前後に加熱処理して炭状処理して肥料等の資源に再生させることがなされている。
【0005】
また、例えば、特開昭64−49816号公報には、廃棄物を熱分解して直接灰を溶融する廃棄物熱分解処理装置が開示されている。この公報に記載された廃棄物の処理手順は、まず、都市ゴミ等の廃棄物を、300〜600℃の温度で空気(酸素)遮断下において低温乾留(熱分解)し、熱分解によって発生したガス(熱分解ガス)がバーナを介して燃焼室に導入される。前記熱分解でガス化せずに残った熱分解残留物から、篩いにて不燃性分(石,カレット,陶磁器及び金属成分等)が分離され、残った可燃性分は細かく破砕された後に粉塵バーナを介して上記燃焼室に供給される。熱分解ガス及び可燃性分は、燃焼室内で過剰な酸素雰囲気のもとに燃焼され、これによって発生する灰は、溶融されてスラグ化される。得られた溶融スラグは、燃焼室から水槽内に供給されてガラス状の粒状物になり、この粒状物は、道路の舗装材料、及び建材として再利用される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記廃棄物を前述したように熱処理(焼却処理)すると、ダイオキシンや二酸化炭素等の有害物質が発生し、大気汚染を助長させる虞れがある。このため、十分な排気対策を講じる必要があり、焼却装置がコスト高になりやすい。
【0007】
また、前記熱処理によって生成された肥料や粒状物自身に、有害物質が存在しているか否か、存在している場合、この有害物質が溶出するか否か等について何ら検討されていないのが実状である。
【0008】
本発明は、このような従来の問題点を解決することを課題とするものであり、廃棄物等の可燃性物質を熱処理して炭化物を得る際に排気される有害物質の量を大幅に削減することが可能である炭化物製造装置及び炭化物製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
また、廃棄物等の可燃性物質を炭化することを補助すると共に、熱処理して炭化物を得る際に排気される有害物質の量を大幅に削減することが可能な炭化剤を提供することを目的とする。
【0010】
さらにまた、建材や環境改善用資源等の有効資源として利用でき、かつ有害物質の溶質が抑制された炭化物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため、本発明は、第1の燃焼室と、前記第1の燃焼室を外部から加熱する第1の加熱装置と、前記第1の燃焼室で加熱された被加熱物が自動的に供給される第2の燃焼室と、前記第2の燃焼室を加熱する第2の加熱装置と、を備えた炭化物製造装置を提供するものである。
【0012】
記第1の燃焼室は、回転可能に設置することができる。また、前記第1の燃焼室の内壁には、当該第1の燃焼室の入側から出側に向けて、仕切壁を螺旋状に配設し、前記被加熱物が、当該第1の燃焼室の回転によって当該仕切壁に案内されて前記第2の燃焼室に供給される構造とすることができる。
【0013】
また、本発明に係る炭化物製造装置は、可燃性物質と炭化剤を混合する混合装置をさらに備え、当該混合装置で混合された可燃性物質と炭化剤を前記第1の燃焼室に投入することができる。
【0014】
さらにまた、本発明は、第1の燃焼室内に、可燃性物質及び炭化剤を投入する工程と、前記可燃性物質及び炭化剤が投入された第1の燃焼室を外部から加熱する第1の加熱工程と、前記第1の加熱工程で加熱された被加熱物を第2の燃焼室に自動的に供給する供給工程と、前記第2の燃焼室に供給された被加熱物を加熱する第2の加熱工程と、を備えた炭化物製造方法を提供するものである。
【0015】
前記第1の加熱工程は、前記第1の燃焼室を回転させながら行うことができる。また、前記第1の加熱工程は、前記第1の燃焼室の内壁に形成された螺旋状の仕切壁で前記被加熱物を前記第2の燃焼室に案内する工程を含むことができる。
【0016】
前記炭化剤としては、炭酸カルシウム60〜90重量部、普通ポルトランドセメント10〜30重量部、二酸化ケイ素1〜10重量部、酸化アルミニウム1〜10重量部、酸化カルシウム1〜10重量部、硫酸ナトリウム1〜10重量部、酸化マグネシウム1〜5重量部を混合してなる混合物を使用することができる。この炭化剤は、前記混合物を希釈剤で希釈して使用することができる。より好ましくは、前記炭化剤は、前記可燃性物質の種類にもよるが、前記混合物を希釈剤で5%〜10%程度の濃度に希釈して使用することができる。
【0017】
また、前記第1の加熱装置は、前記第1の燃焼室内の温度が600〜1200℃となるよう加熱することができる。第1の燃焼室内の温度が600℃未満であると、炭化物に炭化ムラが生じる虞れがある。また、第1の燃焼室内の温度が1200℃を超えると、炭化物の形状が崩れ易くなり、所望の形状を保つことが困難になる虞れがある。
【0018】
そしてまた、前記第2の加熱装置は、前記第2の燃焼室内の温度が600〜1200℃となるよう加熱することができる。第2の燃焼室内の温度が600℃未満であると、炭化物に炭化ムラが生じる虞れがある。また、第2の燃焼室内の温度が1200℃を超えると、炭化物の形状が崩れ易くなり、所望の形状を保つことが困難になる虞れがある。
【0019】
前記可燃性物質と炭化剤は、前記第1の燃焼室に投入する前に、両者を均一に混合されることができる。
【0020】
また、本発明は、可燃性物質に混合され、燃焼により当該可燃性物質が炭化することを補助する炭化剤であって、炭酸カルシウム60〜90重量部、普通ポルトランドセメント10〜30重量部、二酸化ケイ素1〜10重量部、酸化アルミニウム1〜10重量部、酸化カルシウム1〜10重量部、硫酸ナトリウム1〜10重量部、酸化マグネシウム1〜5重量部を含有してなる炭化剤を提供するものである。
【0021】
さらにまた、本発明は、前述した炭化物製造装置から得られる炭化物を提供するものである。
【0022】
そしてまた、本発明は、前述した炭化物製造方法から得られる炭化物を提供するものである。
【0023】
この炭化物は、表面がセラミックコートされてなることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、本発明の好適な実施形態に係る炭化物製造装置の側面図、図2は、図1に示す炭化物製造装置の断面図、図3は、図2に示すIII−III線に沿った第1の燃焼室の断面図である。
【0026】
なお、本願では、可燃性物質や炭化剤が供給される(投入される)側を「入側」、排出される側を「出側」として説明する。
【0027】
図1〜図3に示すように、本実施の形態に係る炭化物製造装置1は、大別して可燃性物質及び炭化剤を混合する混合装置2と、混合装置2内で混合された被加熱物を収容する第1の燃焼室3と、第1の燃焼室3を外部から加熱する複数の第1の加熱装置4と、第1の燃焼室3で加熱された被加熱物が自動的に供給(投入)される第2の燃焼室5と、第2の燃焼室5を加熱する第2の加熱装置6と、を備えて構成されている。また、混合装置2と第1の燃焼室3との間には、混合装置2内で混合された被加熱物を第1の燃焼室3に搬送する搬送装置7が設けられている。
【0028】
混合装置2は、上部が可燃性物質及び炭化剤が投入される投入口11となっている。混合装置2の内部には、投入された可燃性物質及び炭化剤を混合する混合羽12が設けられている。混合装置2の底部は、開放可能となっており、混合装置2内で混合された可燃性物質及び炭化剤(以下、「被加熱物」という)は、開放された混合装置2の底部から搬送装置7に供給される。
【0029】
搬送装置7は、混合装置2の底部から供給される被加熱物を受け入れ可能な位置(入側)から、受け入れた被加熱物を第1の燃焼室3まで搬送可能な位置(出側)まで延びた搬送通路13と、搬送通路13内に沿って配置された搬送スクリュー14と、を備えて構成されている。搬送スクリュー14は回転することによって、その螺旋状のねじ山15で、混合装置2から供給された(受け入れた)被加熱物を第1の燃焼室3に搬送する。
【0030】
第1の燃焼室3は、いわゆる「横型」の炉から構成されている。具体的には、この第1の燃焼室3は、略水平に配置された略円筒形の回転炉16と、回転炉16の内壁に沿って入側から出側に向けて螺旋状に配設された仕切壁17と、を備えて構成されている。
【0031】
回転炉16は、混合装置2側(入側)が、搬送装置7から供給される被加熱物を受け取る受取口21となっており、第2の燃焼室5側(出側)が、被加熱物を際2の燃焼室に排出する(供給する)ための排出口22となっている。仕切壁17は、回転炉16の内壁から軸心に向けて突出した形状を備えており、回転炉16が回転することによって、被加熱物を入側から出側に向けて搬送し、排出口22から被加熱物を第2の燃焼室5に供給する。なお、この回転炉16は、モータ19に接続されており、このモータ19の駆動動力によって回転する。また、回転炉16は、耐熱炉カバー18によって覆われている。
【0032】
第1の加熱装置4は、第1の燃焼室3の外側下方に、第1の燃焼室3と所望の間隔をおいて、第1の燃焼室3の長手方向に複数配置されている。この第1の加熱装置4は、例えば、燃焼バーナー等から構成され、第1の燃焼室3内が600℃〜1200℃程度となるように加熱することが可能である。この第1の加熱装置4は、耐熱炉カバー23によって覆われている。
【0033】
第2の燃焼室5は、いわゆる「縦型」の炉から構成されている。具体的には、第2の燃焼室5は、略垂直に配置された略円筒形の加熱炉25と、加熱炉25の上部に連通して配置された煙突28を備えて構成されている。
【0034】
加熱炉25は、第1の燃焼室3の排出口22に連通し、排出口22から供給(投入)される被加熱物を受け取る受取口26が設けられている。また、加熱炉25の下端部には、第1の燃焼室3及び第2の燃焼室5で加熱処理された被加熱物である炭化物を取り出す炭化物取出口27が設けられている。
【0035】
第2の加熱装置6は、例えば、燃焼バーナー等から構成され、第2の燃焼室5内が600℃〜1200℃程度となるように加熱することが可能である。
【0036】
次に、本実施の形態に係る炭化物製造装置1の具体的動作について説明する。(可燃性物質の準備)
主構成要素として、生ゴミ、ビニール、ペットボトル、木チップ(杉)を含む可燃性物質を50Kg用意する。この可燃性物質は、3cm〜5cm程度の大きさに予め破砕しておくことが好ましい。ここで、可燃性物質は、通常のゴミ処理で行われているような種類による分別(例えば、生ゴミとペットボトルは分別して捨てる)を行うことなく、炭化物製造装置で一緒に処理することができる。
(炭化剤の準備)
以下の組成を有する炭化剤を調合する。
組成: 炭酸カルシウム 60〜90重量部
普通ポルトランドセメント 10〜30重量部
二酸化ケイ素 1〜10重量部
酸化アルミニウム 1〜10重量部
酸化カルシウム 1〜10重量部
硫酸ナトリウム 1〜10重量部
酸化マグネシウム 1〜5重量部
(炭化物の製造)
前記組成の可燃性物質50Kgと、前記組成の炭化剤5Kgを、混合装置2に投入する。この時、混合装置2の底部は閉じられている。混合装置2では、前記可燃性物質と炭化剤が十分に混合される。この混合によって、炭化剤によるゼオライト添着法により、可燃性物質がセラミックコーテイングされる。このため、後の工程で燃焼(加熱)される際に、ダイオキシンや二酸化炭素等の有害物質が発生することを防止することができる。なお、この混合物が、第1の燃焼室3及び第2の燃焼室5で加熱される被加熱物となる。混合装置2で可燃性物質と炭化剤を十分に混合した後、混合装置2の底部を開放し、被加熱物を搬送装置7に供給する。
【0037】
被加熱物が供給(投入)された搬送装置7では、回転する搬送スクリュー14のねじ山15によって、この被加熱物を出側(第1の燃焼室3)に搬送し、排出口22から被加熱物を自動的に第1の燃焼室3に供給する。
【0038】
次いで、被加熱物が供給された第1の燃焼室3では、モータ19を駆動させて回転炉16を所望の回転数で回転させる。この回転によって、被加熱物は、仕切壁17に案内されて入側から出側に搬送される。この時、第1の燃焼室3内は、第1の加熱装置4によって600℃〜1200℃程度、より好ましくは、800℃〜1000℃程度に加熱されている。この時、可燃性物質は、前述したように炭化剤によるゼオライト添着法で、セラミックコーティングされており、かつ炭化剤の有効成分とが結合するため、燃焼時にダイオキシンや二酸化炭素等の有害物質が発生することを防止することができる。なお、搬送された被加熱物は、自動的に排出口22から第2の燃焼室5に供給される。
【0039】
次に、第2の燃焼室5では、第1の燃焼室3の排出口22から供給された被加熱物をさらに燃焼させる。この時、第2の燃焼室5内は、第2の加熱装置6によって600℃〜1200℃程度、より好ましくは、800℃〜1000℃程度に加熱されている。この燃焼(加熱)においても、可燃性物質は、前述したように炭化剤によるゼオライト添着法で、セラミックコーティングされており、かつ炭化剤の有効成分とが結合するため、燃焼時にダイオキシンや二酸化炭素等の有害物質が発生することを防止することができる。この燃焼によって発生した排気ガスは、煙突28から排出される。
【0040】
なお、本実施の形態では、第1の燃焼室3及び第2の燃焼室5で、合計15分〜30分間の加熱を行った。
【0041】
その後、前述した熱処理によって得られた炭化物を取出口27から取り出し、資源として有効利用する。
【0042】
この炭化物は、表面がセラミックコーテイングされていると共に、有害物質が前記炭化剤の成分(天然成分)と結合しているため、有害物質が溶出することを防止することができる。また、この炭化剤は、多孔質であり、吸着機能(消臭機能)、保湿機能(除湿機能、加湿機能)、浄化機能(浄水機能、脱色機能)、抗菌機能(防カビ機能)に優れている。その利用例としては、例えば、土木関連では、U字溝や各種ブロック用材料に混合する、建材関連では、断熱材や調湿材として各種材料に混合する、農業関連では、消臭ブロック、多機能プランタ、土壌改良資材用材料に混合する、住宅関連では、防音、抗菌、防火材として各種材料に混合する等、種々な用途が挙げられる。また、本来、硬化が不可能とされている有機系土壌(例えば、赤土、海砂、砂利、火山灰、おがくず等)に混合すれば、これを硬化させることができ、工事、建築資材として活用することもできる。また、処理が困難な焼却灰や有害汚染泥に混合すれば、これを硬化させることができ、さらにこの硬化物から有害物質が溶出することを防止することもでき、資源として再利用することができる。
【0043】
次に、本実施の形態で得られた炭化物の比表面積の測定を行った。また、比較として、備長炭、伐根、牛糞の比表面積の測定を行った。なお、測定は、BET1点法で行い、吸着ガスとして窒素(N)を使用した。比表面積測定装置としては、「カルロエルバ社製、ソープティ1750」を使用した。これらの結果を表1に示す。
【0044】
【表1】

表1から、本実施の形態で得られた炭化物は、備長炭の約3倍の比表面積を有することが立証された。
【0045】
次に、本実施の形態で得られた炭化物に含有される有害物質の測定を行った。この結果を表2に示す。
【0046】
【表2】

表2から、本実施の形態で得られた炭化物が含有している有害物質は、いずれも、環境基準値以下であることが判る。
【0047】
次に、本実施の形態で得られた炭化物から溶出する有害物質の測定を行った。この結果を表3に示す。
【0048】
【表3】

表3から、本実施の形態で得られた炭化物から溶質する有害物質は、いずれも、環境基準値以下であることが判る。
【0049】
次に、本実施の形態で得られた炭化物に含有されているダイオキシン類の測定を行った。この結果を表4に示す。また、比較として、炭化剤を混合せずに加熱処理して得られた炭化物に含有されているダイオキシン類の測定を行った。この結果を表5に示す。
【0050】
なお、測定の対象は、ポリ塩化ジベンゾ−パラ−ジオキシン、ポリ塩化ジベンゾフラン、コプラナ−ポリ塩化ビフェニルとした。また、測定方法は、平成4年厚生省告示第192号(改正平成12年厚生省告示第6号)ガスクロマトグラフ質量分析法を適用した。
【0051】
【表4】

【0052】
【表5】

表4及び表5から、本実施の形態で得られた炭化物(炭化剤を混入して得た炭化物)は、ダイオキシン類の含有量が低下していることが判る。
【0053】
次に、本実施の形態で説明した製造方法で、被加熱物を加熱して炭化物を得る際に発生する排気ガスの測定を行った。この結果を表6に示す。また、比較として、炭化剤を混合せずに加熱処理して炭化物を得る際に発生する排気ガスの測定を行った。この結果を表7に示す。
【0054】
【表6】

【0055】
【表7】

表6及び表7から、本実施の形態で説明した製造方法で、被加熱物を加熱して炭化物を得る際に発生する排気ガスには、有害物質の含有量が低下していることが判る。
【0056】
また、各可燃性物質(廃棄物)から炭化物を製造する際の各種物性(表8参照)を調査した。この結果を表8に示す。
【0057】
【表8】

表8から、炭化温度が高温になるに伴い、揮発分が減少し、固定炭素が増大したことが判る。
【0058】
なお、本実施の形態では、第1の燃焼室を回転可能に設置した場合について説明したが、これに限らず、第1の燃焼室は固定させておき、第1の燃焼室内に回転可能なスクリュー等を設けてもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、廃棄物等の可燃性物質を熱処理して、多孔質で吸湿性に優れ、有害物質の溶質が抑制された炭化物を得る際に排気される有害物質の量を大幅に削減することが可能である炭化物製造装置及び炭化物製造方法を提供することができる。また、廃棄物等の可燃性物質を炭化することを補助すると共に、熱処理して炭化物を得る際に排気される有害物質の量を大幅に削減することが可能な炭化剤を提供することができる。さらにまた、建材や環境改善用資源等の有効資源として利用でき、かつ有害物質の溶質が抑制された炭化物を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施形態に係る炭化物製造装置の側面図である。
【図2】図1に示す炭化物製造装置の断面図である。
【図3】図2に示すIII−III線に沿った第1の燃焼室の断面図である。
【符号の説明】
1 炭化物製造装置
2 混合装置
3 第1の燃焼室
4 第1の加熱装置
5 第2の燃焼室
6 第2の加熱装置
7 搬送装置
17 仕切壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の燃焼室と、
前記第1の燃焼室を外部から加熱する第1の加熱装置と、
前記第1の燃焼室で加熱された被加熱物が自動的に供給される第2の燃焼室と、
前記第2の燃焼室を加熱する第2の加熱装置と、
を備えた炭化物製造装置。
【請求項2】
前記第1の燃焼室は、回転可能に設置されてなる請求項1記載の炭化物製造装置。
【請求項3】
前記第1の燃焼室の内壁には、当該第1の燃焼室の入側から出側に向けて、仕切壁が螺旋状に配設されてなり、前記被加熱物は、当該第1の燃焼室の回転によって当該仕切壁に案内されて前記第2の燃焼室に供給される請求項2記載の炭化物製造装置。
【請求項4】
可燃性物質と炭化剤を混合する混合装置をさらに備え、当該混合装置で混合された可燃性物質と炭化剤を前記第1の燃焼室に投入する請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の炭化物製造装置。
【請求項5】
前記第1の加熱装置は、前記第1の燃焼室内の温度が600〜1200℃となるよう加熱する請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の炭化物製造装置。
【請求項6】
前記第2の加熱装置は、前記第2の燃焼室内の温度が600〜1200℃となるよう加熱する請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の炭化物製造装置。
【請求項7】
前記炭化剤は、炭酸カルシウム60〜90重量部、普通ポルトランドセメント10〜30重量部、二酸化ケイ素1〜10重量部、酸化アルミニウム1〜10重量部、酸化カルシウム1〜10重量部、硫酸ナトリウム1〜10重量部、酸化マグネシウム1〜5重量部を混合してなる混合物である請求項4ないし請求項6のいずれか一項に記載の炭化物製造装置。
【請求項8】
前記炭化剤は、前記混合物を希釈剤で希釈してなる請求項7記載の炭化物製造装置。
【請求項9】
前記炭化剤は、前記混合物を希釈剤で5%〜10%の濃度に希釈してなる請求項7記載の炭化物製造装置。
【請求項10】
第1の燃焼室内に、可燃性物質及び炭化剤を投入する工程と、
前記可燃性物質及び炭化剤が投入された第1の燃焼室を外部から加熱する第1の加熱工程と、
前記第1の加熱工程で加熱された被加熱物を第2の燃焼室に自動的に供給する供給工程と、
前記第2の燃焼室に供給された被加熱物を加熱する第2の加熱工程と、
を備えた炭化物製造方法。
【請求項11】
前記第1の加熱工程は、前記第1の燃焼室を回転させながら行う請求項10記載の炭化物製造方法。
【請求項12】
前記第1の加熱工程は、前記第1の燃焼室の内壁に形成された螺旋状の仕切壁で前記被加熱物を前記第2の燃焼室に案内する工程を含む請求項11記載の炭化物製造方法。
【請求項13】
前記炭化剤は、炭酸カルシウム60〜90重量部、普通ポルトランドセメント10〜30重量部、二酸化ケイ素1〜10重量部、酸化アルミニウム1〜10重量部、酸化カルシウム1〜10重量部、硫酸ナトリウム1〜10重量部、酸化マグネシウム1〜5重量部を混合した混合物である請求項10ないし請求項12のいずれか一項に記載の炭化物製造方法。
【請求項14】
前記炭化剤は、前記混合物を希釈剤で希釈してなる請求項13記載の炭化物製造方法。
【請求項15】
前記炭化剤は、前記混合物を希釈剤で5%〜10%の濃度に希釈してなる請求項13記載の炭化物製造方法。
【請求項16】
前記可燃性物質と炭化剤を第1の燃焼室に投入する前に、両者を均一に混合する請求項10ないし請求項15のいずれか一項に記載の炭化物製造方法。
【請求項17】
前記第1の加熱工程は、前記第1の燃焼室内の温度が600〜1200℃となるよう加熱する請求項10ないし請求項16のいずれか一項に記載の炭化物製造方法。
【請求項18】
前記第2の加熱工程は、前記第2の燃焼室内の温度が600〜1200℃となるよう加熱する請求項10ないし請求項17のいずれか一項に記載の炭化物製造方法。
【請求項19】
可燃性物質に混合され、燃焼により当該可燃性物質が炭化することを補助する炭化剤であって、
炭酸カルシウム60〜90重量部、普通ポルトランドセメント10〜30重量部、二酸化ケイ素1〜10重量部、酸化アルミニウム1〜10重量部、酸化カルシウム1〜10重量部、硫酸ナトリウム1〜10重量部、酸化マグネシウム1〜5重量部を含有してなる炭化剤。
【請求項20】
請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載の炭化物製造装置から得られる炭化物。
【請求項21】
請求項10ないし請求項18のいずれか一項に記載の炭化物製造方法から得られる炭化物。
【請求項22】
表面がセラミックコートされてなる請求項20または請求項21記載の炭化物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−31458(P2007−31458A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−198509(P2001−198509)
【出願日】平成13年6月29日(2001.6.29)
【出願人】(502080472)株式会社 エコ・ジャパン (1)
【Fターム(参考)】