説明

無段変速装置

【課題】ディスクの変形剛性が高いところでローディング力を付与でき、伝達効率の低下の防止し、また、フレッチングの発生の防止や曲げ応力を低減した無段変速装置を提供する。
【解決手段】キャリア102の第一連結部103の内径側側面に、トロイダル型無段変速機111の外側ディスクである入力側ディスク112に向けて、凸部113を形成し、その凸部113に係合するように、前記入力側ディスク112の外側面に、凸部113に対応する位置に凹部114を形成する。第一連結部103の内径より、太陽歯車109の外径を大きくしている。又、本実施の形態の場合、入力軸115の一端部に設けたフランジ部116の外径部117とキャリア102の第二連結部104の内径部118を互いに嵌合するようにインロウ形状に形成し、また、スプライン結合され、共に回転するようになっており、さらに溶接(ビーム溶接等)により一体としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車用自動変速装置、あるいは、各種産業機械の運転速度を調節するための変速装置として利用するトロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせた無段変速装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用自動変速装置としてトロイダル型無段変速機を使用する事が研究され、一部で実施されている。又、トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合わせて無段変速装置を構成する事が、特許文献に記載されている様に、従来から提案されている。図2は、このうちの特許文献1に記載された無段変速装置を示している。この無段変速装置は、トロイダル型無段変速機1と遊星歯車式変速機2とを組み合わせて成る。このうちのトロイダル型無段変速機1は、入力軸3と、1対の入力側ディスク4、4と出力側ディスク5と、複数のパワーローラ6、6とを備える。
【0003】
又、上記遊星歯車式変速機2は、上記入力軸3及び一方(図2の右方)の入力側ディスク4に結合固定されたキャリア7を備える。このキャリア7の径方向中間部に、その両端部にそれぞれ遊星歯車8、9を固設した第一伝達軸10を、回転自在に支持している。又、上記キャリア7を挟んで上記入力軸3と反対側に、その両端部に太陽歯車11、12を固設した第二伝達軸13を、上記入力軸3と同心に、回転自在に支持している。そして、上記各遊星歯車8、9と、上記出力側ディスク5にその基端部(図2の左端部)を結合した中空回転軸14の先端部(図2の右端部)に固設した太陽歯車15又は上記第二伝達軸13の一端部(図2の左端部)に固設した太陽歯車11とを、それぞれ噛合させている。又、一方(図2の左方)の遊星歯車8を、別の遊星歯車16を介して、上記キャリア7の周囲に回転自在に設けたリング歯車17に噛合させている。
【0004】
一方、上記第二伝達軸13の他端部(図2の右端部)に固設した太陽歯車12の周囲に設けた第二キャリア18に遊星歯車19、20を、回転自在に支持している。尚、この第二キャリア18は、上記入力軸3及び第二伝達軸13と同心に配置された、出力軸21の基端部(図2の左端部)に固設されている。又、上記各遊星歯車19、20は、互いに噛合すると共に、一方の遊星歯車19が上記太陽歯車12に、他方の遊星歯車20が、上記第二キャリア18の周囲に回転自在に設けた第二リング歯車22に、それぞれ噛合している。又、上記リング歯車17と上記第二キャリア18とを低速用クラッチ23により係脱自在とすると共に、上記第二リング歯車22とハウジング等の固定の部分とを、高速用クラッチ24により係脱自在としている。
【0005】
又、特許文献2には、図3に示す様な無段変速装置が開示されている。この図3に示した無段変速装置は、前述の図2に示した従来から知られている無段変速装置と同様の機能を有するものであるが、遊星歯車式変速機2a部分の構造を工夫する事により、この遊星歯車式変速機2a部分の組立性を向上させている。入力軸3及び1対の入力側ディスク4a、4bと共に回転するキャリア7aの両側面に、それぞれ1対ずつの遊星歯車25a、25b、26a、26bを、回転自在に支持している。そして、上記キャリア7aの各側面に支持した各遊星歯車25a、25b同士、各遊星歯車26a、26b同士を、互いに噛合させると共に、内径側の遊星歯車25a、26aを、出力側ディスク5にその基端部(図3の左端部)を結合した中空回転軸14aの先端部(図3の右端部)及び伝達軸27の一端部(図3の左端部)にそれぞれ固設した第一、第二太陽歯車28、29に、外径側の遊星歯車25b、26bをリング歯車30に、それぞれ噛合させている。
【0006】
一方、上記伝達軸27の他端部(図3の右端部)に固設した第三太陽歯車31の周囲に設けた第二キャリア18aに遊星歯車32a、32bを、回転自在に支持している。尚、この第二キャリア18aは、上記入力軸3と同心に配置された出力軸21aの基端部(図3の左端部)に固設されている。又、上記各遊星歯車32a、32bは、互いに噛合すると共に、内径側の遊星歯車32aを上記第三太陽歯車31に、外径側の遊星歯車32bを、上記第二キャリア18aの周囲に回転自在に設けた第二リング歯車22aに、それぞれ噛合させている。又、上記リング歯車30と上記第二キャリア18aとを低速用クラッチ23aにより係脱自在とすると共に、上記第二リング歯車22aとハウジング等の固定の部分とを、高速用クラッチ24aにより係脱自在としている。
【0007】
この様に構成する改良された無段変速装置の場合、上記低速用クラッチ23aを接続し、上記高速用クラッチ24aの接続を断った状態では、上記入力軸3の動力が、上記リング歯車30を介して上記出力軸21aに伝えられる。そして、トロイダル型無段変速機1の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての変速比、即ち、上記入力軸3と上記出力軸21aとの間の変速比が変化する。これに対して、上記低速用クラッチ23aの接続を断ち、上記高速用クラッチ24aを接続した状態では、上記入力軸3の動力が、前記各遊星歯車25a、25b、上記リング歯車30、前記各遊星歯車26a、26b、前記伝達軸27、前記各遊星歯車32a、32b、上記第二キャリア18aを介して、上記出力軸21aに伝えられる。そして、上記トロイダル型無段変速機1の変速比を変える事により、無段変速装置全体としての変速比が変化する。
【0008】
尚、次述する図4〜5に示す様に、外径側の遊星歯車25として、軸方向寸法が長いものを使用すると共に、この長い遊星歯車25を内径側の遊星歯車25a、26a及びリング歯車30aに噛合させる構造を採用しても、同様の機能を発揮できる。この場合には、直径の大きなリング歯車30aの軸方向寸法を短縮して、遊星歯車式変速機2bの軽量化を図れる。
【0009】
前述した図2及び上述した図3の構造は、原理的なもので、具体的な構造を示したものではない。これに対して図4〜6は、先に考えた無段変速装置の具体的構造の1例を示している。尚、この構造では、上述した様に、外径側の遊星歯車25として軸方向寸法が長いものを使用すると共に、この長い遊星歯車25を、内径側の遊星歯車25a、26a及びリング歯車30aに噛合させている。
【0010】
ハウジング33内の所定位置に1対の支柱34、34を、連結板35とバルブボディー36とを介して支持固定している。このバルブボディー36は、トロイダル型無段変速機1の変速比を制御する為の制御弁装置を内蔵している。又、上記各支柱34、34の両端部には、パワーローラ6、6(図2参照)を支持するトラニオンの両端部を揺動及び軸方向の変位自在に支持する為の支持板37、37を支持している。又、環状に形成した上記各支柱34、34の中間部同士の間に出力側ディスク5を、1対の転がり軸受38、38により、回転自在に支持している。そして、上記出力側ディスク5の内径側に中空回転軸14aの基半部(図4の左半部)を、スプライン係合に基づき、回転伝達自在に結合している。
【0011】
そして上記中空回転軸14aの内側に、入力軸3aを挿通している。この入力軸3aの中間部基端寄り部分に一方(図4の左方)の入力側ディスク4aを、ボールスプライン39を介して支持すると共に、油圧式の押圧装置40により上記入力側ディスク4aを、上記出力側ディスク5に向け、押圧自在としている。これに対して他方(図4の右方)の入力側ディスク4bは上記中空回転軸14aの中間部先端寄り(図4の右寄り)部分の周囲に、ラジアルニードル軸受41により、回転及び軸方向の変位自在に支持している。そして、上記他方の入力側ディスク4bと上記入力軸3aとを、キャリア7aを介して結合している。従って、上記出力側ディスク5を軸方向両側から挟む位置に設けた1対の入力側ディスク4a、4bは、上記入力軸3aと上記キャリア7aとを介して、同期して回転する。
【0012】
上記キャリア7aは、図5〜6に詳示する様に、断面L字形で全体を円環状とした中間支持板42と、それぞれが円輪状に形成された第一、第二両連結板43、44との間に、それぞれ複数本ずつ(例えば3本ずつ)の第一、第二各遊星軸45、46を、上記第一、第二両連結板43、44同士の間に複数本(例えば3本)の第三遊星軸47を、それぞれ掛け渡して成る。又、これら各遊星軸45〜47の周囲に前記各遊星歯車25a、26a、25を、それぞれラジアルニードル軸受48a、48b、48cを介して、回転自在に支持している。そして、外径側の遊星歯車25と内径側の各遊星歯車25a、26aとを互いに噛合させると共に、内径側の遊星歯車25a、26aを、上記中空回転軸14aの先端部(図4〜5の右端部)に固設した第一太陽歯車28又は伝達軸27の基端部に固設した第二太陽歯車29に、外径側の遊星歯車25を前記リング歯車30aに、それぞれ噛合させている。
【0013】
又、上記中間支持板42の中心に設けた円筒部49は、上記入力軸3aの中間部先端寄り部分にスプライン係合させ、ローディングナット50により抑え付けている。尚、図6に示す様に、上記中間支持板42の円輪部51と上記第一、第二各連結板43、44とは、前記各遊星歯車25a、26a、25から円周方向に外れた位置に設けた連結部57、57により、互いに連結している。図示の例の場合、上記キャリア7aを構成する上記中間支持板42と第一、第二各連結板43、44とを、一体に形成している。そしてこの構成により、上記キャリア7aの、回転伝達方向の力に対する強度及び剛性を確保している。又、前記他方の入力側ディスク4bと上記キャリア7aとの間での回転伝達を行なわせるべく、この他方の入力側ディスク4bの外側面複数個所に形成した凸部52と、上記第一連結板43の外周縁部に形成した切り欠き53とを係合させている。又、運転時には、駆動軸54により上記入力軸3aを回転駆動する。同時に、前記押圧装置40に油圧を導入して、各入力側ディスク4a、4b及び出力側ディスク5の側面と各パワーローラ6、6の周面との転がり接触部(トラクション部)の面圧を確保する。
【0014】
上述の様な図4〜6に示す無段変速装置の場合、他方の入力側ディスク4bとキャリア7aとの間の回転伝達を、凸部52と切り欠き53との凹凸係合により行なっている。又、トラクション部の面圧を確保する為に押圧装置40の発生する推力は、入力軸3a及びこの入力軸3aに固定したキャリア7aを構成する中間支持板42、第一連結板43を介して、上記他方の入力側ディスク4bに加わる。言い換えれば、この他方の入力側ディスク4bの外側面(図4〜6の右側面)と第一連結板43の片側面(図4〜6の左側面)との当接部である、これら入力側ディスク4b及び第一連結板43の径方向中間部(図5にwで表わす部分を入力側ディスク4b及び第一連結板43の中心軸αを中心に回転させてできる円輪状部分)に、上記押圧装置40の発生する推力に基づく力が加わる。
【0015】
一方、上記他方の入力側ディスク4bは、上記押圧装置40の発生する推力に基づく上記パワーローラ6、6から受ける力に基づいて、図7に誇張して示す様に、この入力側ディスク4bの外径寄り部分が上記第一連結板43の片側面に近付く方向(軸方向)に弾性変形する。即ち、運転時に上記推力に基づき上記他方の入力側ディスク4bに加わる力は、トロイダル型無段変速機の運転時に最大で5t(トン)程度となり、この様な力に基づく入力側ディスク4bの軸方向に関する弾性変形量は、コンマ数mm(10分の数mm)程度と無視できない量となる。そして、この様に他方の入力側ディスク4bが軸方向に弾性変形すると、この他方の入力側ディスク4bの外側面外径寄り部分と上記第一連結板43の片側面とが断続的に繰り返し当接する事で互いに擦れ合い、当該部分でフレッチング摩耗が生じる可能性がある。特に、上記入力ディスク4bが弾性変形する円周方向位置は、上記各パワーローラ6、6により押し付けられる部分が変化するのに伴って常に変化する。この為、上記擦れ合いの周波数は相当に高く(例えば百数十Hzに)なり、フレッチング摩耗発生の面からはかなり厳しい条件となる。
【0016】
この様なフレッチング摩耗は、上記キャリア7aを所定位置から軸方向にずらせたり、剥離等の損傷の起点となる可能性がある。又、上記キャリア7aを構成する上記第一連結板43は、上記入力側ディスク4bに比べて比較的軟らかい金属で造られている。この為、上記入力側ディスク4bの弾性変形に伴って、この第一連結板43も同様に弾性変形する可能性がある。この様な第一連結板43の弾性変形は、この第一連結板43に支持した各遊星軸45〜47を傾かせ、これら各遊星軸45〜47に回転自在に支持した遊星歯車25a、26a、25とリング歯車30a及び太陽歯車28、29との噛合状態を悪化させる原因となる。そして、この様に噛合状態が悪化すると、これら各歯車25a、26a、25、30a、28、29の耐久性が低下すると共に、遊星歯車式変速機2bの伝達効率が低下する可能性がある。特に、本発明の対象となる無段変速装置の場合、上記遊星歯車式変速機2bの伝達効率がこの無段変速装置全体の伝達効率に大きな影響を及ぼす為、この遊星歯車式変速機2bの伝達効率が低下する事は好ましくない。又、生じた摩耗粉により、潤滑油(トラクションオイル)が汚染され、各部の潤滑状態を不良にする可能性も生じる。
【0017】
上記問題を改良するものとして、特許文献3に記載された無段変速装置がある。この無段変速装置は、図8に示すように、上記第一連結版43aの片側面と上記入力側ディスク4bの外側面とを、これら第一連結版43a及び入力側ディスク4bの径方向に関して内径側で当接させると共に、同じく外径側では隙間を介して対向させる。この結果、上記入力側ディスク4bの弾性変形が上記第一連結板43aに伝わりにくくなり、上記課題を解決できる。或いは、上記両側面同士を、キャリア7aのうちで軸方向の剛性が低い部分でのみ当接させたり、これら両側面に摩耗を防止する為の被膜を形成したり、潤滑油を溜める為の凹部を形成したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】特開2000−220719号公報
【特許文献2】特開2004−225888号公報
【特許文献3】特開2005−249181号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、この先行技術には、キャリアを中間支持板の円輪部と連結板とを連結して構成しているため、キャリアの剛性が低く、その為、ディスクの変形により、キャリアが追従して変形してしまい、各遊星軸を傾かせてしまい、伝達効率が低下するという問題が有った。
【0020】
本発明は、上記問題を解決するために、互いに同心に配置された、入力軸と、トロイダル型無段変速機と、遊星歯車式変速機とを備え、このうちトロイダル型無段変速機は、内側ディスクと、内側ディスクの両側に、内側ディスクと同心に、且つ、内側ディスクとは独立した回転を自在として支持された1対の外側ディスクと、この内側ディスクの両側面と前記外側ディスクの側面との間にそれぞれ複数個ずつ挟持されたパワーローラとを備え、前記遊星歯車機構は、前記入力軸の周囲に、太陽歯車と、太陽歯車の周囲に配置されるリング歯車と、太陽歯車とリング歯車との間に配置される遊星歯車と、前記遊星歯車を支持するキャリアとを備え、これらトロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とは、トロイダル型無段変速機を構成する外側ディスクと遊星歯車式変速機を構成するキャリアとを隣接させると共に、これら一方の外側ディスクとキャリアとが同期して回転する状態に組み合わされた無段変速装置において、前記入力軸に径方向外側に延びるフランジ部を設け、そのフランジ部と前記キャリアとを回転不動に係合し、前記外側ディスクに隣接する側の前記キャリアの内径より、前記太陽歯車の外径が大きく、また、軸方向に関して前記フランジ部の先端の前記外側ディスク側に段部を設け、その段部に係合する係合部をキャリアに設け、周方向に関して前記フランジ部と前記キャリアを凹凸係合し、さらに、前記フランジ部と前記キャリアを溶接した事を特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、ディスクの変形剛性が高いところでローディング力を付与でき、伝達効率の低下を防止し、また、フレッチングの発生の防止や曲げ応力を低減するという効果が有る。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態の断面形状を示す図である。
【図2】従来から知られている無段変速装置を示す略断面図である。
【図3】従来から知られている無段変速装置を示す略断面図である。
【図4】従来から知られている無段変速装置の具体的構造を示す略断面図である。
【図5】図4のB部に相当する拡大断面図である。
【図6】キャリアを取り出して示す斜視図である。
【図7】入力側ディスクの弾性変形を誇張して示す断面図である。
【図8】従来の改良された無段変速装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1は、本発明の実施の形態の1例を示している。
本実施の形態は、遊星歯車式変速機101のキャリア102が、それぞれが円輪状に形成された第一、第二両連結部103,104の間に、複数本の遊星軸105を掛け渡して成る。そして、これら遊星軸の周囲に遊星歯車106を、ラジアルニードル軸受107を介して、回転自在に支持している。そして、遊星歯車106を、中空軸108の先端部に固設した太陽歯車109とリング歯車110に、それぞれ噛合させている。
【0024】
又、前記キャリア102の第一連結部103の内径側側面に、トロイダル型無段変速機111の外側ディスクである入力側ディスク112に向けて、凸部113を形成し、その凸部113に係合するように、前記入力側ディスク112の外側面に、凸部113に対応する位置に凹部114を形成する。第一連結部103の内径より、太陽歯車109の外径を大きくしている。
【0025】
又、本実施の形態の場合、入力軸115の一端部に設けたフランジ部116の外径部117とキャリア102の第二連結部104の内径部118を互いに嵌合するように軸方向にインロウ形状に形成し、また、周方向にスプライン結合され、共に回転するようになっており、さらに溶接(ビーム溶接等)により一体としている。
【0026】
上述の様に構成する本実施の形態の場合には、第一連結部103の内径より、太陽歯車109の外径を大きくしているので、運転時により変形の少ない前記入力側ディスク112の外側面の内径寄り部分と前記キャリア102の第一連結部3の内径側側面を当接させることができるので、この入力側ディスク112と第一連結部103とが互いに擦れ合う事によるフレッチング摩耗を防止すると共に、第一連結部103と第二連結部104とから成るキャリア102を一体に形成しているので、連結部を互いに連結し一体とした場合に比べ、剛性を高めることができ、遊星軸105を支持する支持孔119,119も第一連結部103と第二連結部104とを同時に加工することで、支持孔119,119の同心度を良くでき、遊星軸105の傾きやずれを防止でき、遊星歯車式変速機101の伝達効率の低下を防止でき、入力軸115に設けたフランジ部116とキャリア102をインロウ形状でスプライン結合しているので、ローディングナットが必要なくなり、部品点数の減少となり、コスト削減をすることができる。
【0027】
尚、本実施の形態の場合、入力軸115とキャリア102の係合位置を太陽歯車の外径より外側とする。この様な位置関係とすることで、太陽歯車109をキャリア102内に挿入することができる。
【産業上の利用可能性】
【0028】
トロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とを組み合せた無段変速装置として利用できる。
【符号の説明】
【0029】
1 トロイダル型無段変速機
2、2a、2b 遊星歯車式変速機
3、3a 入力軸
4、4a、4b 入力側ディスク
5 出力側ディスク
6 パワーローラ
7、7a キャリア
8 遊星歯車
9 遊星歯車
10 第一伝達軸
11 太陽歯車
12 太陽歯車
13 第二伝達軸
14、14a 中空回転軸
15 太陽歯車
16 遊星歯車
17 リング歯車
18、18a 第二キャリア
19 遊星歯車
20 遊星歯車
21、21a 出力軸
22、22a 第二リング歯車
23、23a 低速用クラッチ
24、24a 高速用クラッチ
25、25a、25b 遊星歯車
26a、26b 遊星歯車
27 伝達軸
28 第一太陽歯車
29 第二太陽歯車
30、30a リング歯車
31 第三太陽歯車
32a、32b 遊星歯車
33 ハウジング
34 支柱
35 連結板
36 バルブボディー
37 支持板
38 転がり軸受
39 ボールスプライン
40 押圧装置
41 ラジアルニードル軸受
42 中間支持板
43、43a、43b、43c 第一連結板
44 第二連結板
45 第一遊星軸
46 第二遊星軸
47 第三遊星軸
48a、48b、48c ラジアルニードル軸受
49 円筒部
50 ローディングナット
51 円輪部
52 凸部
53 切り欠き
54 駆動軸
55、55a 凹部
56、56a 凸部
57 連結部
58 凸部
59 凸部
60 凹部
61 間部分
62a、62b 皮膜
63 微小凹部
64 凹溝
65a、65b 環状凹溝
66 放射状凹溝
101 遊星歯車式変速機
102 キャリア
103 第一連結部
104 第二連結部
105 遊星軸
106 遊星歯車
107 ラジアルニードル軸受
108 中空軸
109 太陽歯車
100 リング歯車
111 トロイダル型無段変速機
112 入力側ディスク
113 凸部
114 凹部
115 入力軸
116 フランジ部
117 フランジ部外径部
118 第二連結部内径部
119 支持孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに同心に配置された、入力軸と、トロイダル型無段変速機と、遊星歯車式変速機とを備え、このうちトロイダル型無段変速機は、内側ディスクと、内側ディスクの両側に、内側ディスクと同心に、且つ、内側ディスクとは独立した回転を自在として支持された1対の外側ディスクと、この内側ディスクの両側面と前記外側ディスクの側面との間にそれぞれ複数個ずつ挟持されたパワーローラとを備え、前記遊星歯車機構は、前記入力軸の周囲に、太陽歯車と、太陽歯車の周囲に配置されるリング歯車と、太陽歯車とリング歯車との間に配置される遊星歯車と、前記遊星歯車を支持するキャリアとを備え、これらトロイダル型無段変速機と遊星歯車式変速機とは、トロイダル型無段変速機を構成する外側ディスクと遊星歯車式変速機を構成するキャリアとを隣接させると共に、これら一方の外側ディスクとキャリアとが同期して回転する状態に組み合わされた無段変速装置において、前記入力軸に径方向外側に延びるフランジ部を設け、そのフランジ部と前記キャリアとを回転不動に係合し、前記外側ディスクに隣接する側の前記キャリアの内径より、前記太陽歯車の外径が大きい事を特徴とする無段変速装置。
【請求項2】
軸方向に関して前記フランジ部の先端の前記外側ディスク側に段部を設け、その段部に係合する係合部をキャリアに設け、周方向に関して前記フランジ部と前記キャリアを凹凸係合する事を特徴とする請求項1に記載の無段変速装置。
【請求項3】
前記フランジ部と前記キャリアを溶接した事を特徴とする請求項1乃至2に記載の無段変速装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−133059(P2011−133059A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293844(P2009−293844)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】