説明

無煙潤滑剤と共に用いるための圧縮器システム

【解決手段】 モーターで駆動される圧縮器と、随意のアキュムレータと、液体/気体分離器と、コンデンサーとエバポレータの形態をした熱交換器と、膨張弁と、これらの構成要素を1つに接続する配管の形態をした導管と、を含む圧縮システムである。液体/気体分離手段は、潤滑剤分離器であり、一般的には円筒形の水平又は垂直容器で、ガス圧縮器と連結して用いられる。潤滑剤分離器は、流体流を形成する粒子サイズの範囲内にある「無煙」潤滑剤と冷媒ガスの混合物を含む圧縮器からの放出流を受け入れ、冷媒ガスを潤滑剤から分離し、圧縮器内で再利用するために潤滑剤を回収する。潤滑システム内で用いられる潤滑剤は、迅速に大きなサイズの液滴に凝集し、エーロゾルを作らないので、分離器は、エーロゾルを合体させる集滴器要素を必要とせず、集滴器要素を保守するための要員通路も必要としない。更に大きなサイズの液滴に凝集させるため、集滴器要素は、より信頼性があり耐久性のあるメッシュパッドに置き換えられている。分離器に関わる全体のサイズと空間の要件は、少なくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無煙潤滑剤と共に使用する圧縮器システムに、具体的には、無煙潤滑剤で作動する容積式圧縮器を利用する圧縮器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
容積式圧縮器は、或る体積の空気又はガスを、連続的に閉鎖空間内に閉じ込めて昇圧させる機械である。閉鎖空間の体積が減少する間に、ガスの圧力が上がる。容積式圧縮器には、例えば、反復圧縮器、回転圧縮器、スクロール圧縮器及びスクリュー圧縮器がある。スクリュー圧縮器は、螺旋ローブ回転圧縮器とも呼ばれ、単一スクリュー圧縮器、雄雌型(二重)スクリュー圧縮器及び他の変更例を含め、空気圧縮器、冷凍、冷水器及び天然ガス処理工業において広く知られている。これらの圧縮器は、回転及び接触表面を潤滑し、効率的な作動を可能にし、ユニットへの損傷を防ぎ、圧縮する体積を含んでいるローブをシールするのを、潤滑オイルに依存している。
【0003】
往復式圧縮器は、シリンダ内で可動ピストンを使用している。ピストンは、クランクに取り付けられているコネクチングロッドに取り付けられている。電気モーターでクランクを駆動し、それによってピストンをシリンダ内で往復させて、シリンダ内の体積を増減させる。ピストンが行程の底点にあるときに、弁を通して流体をシリンダ内に導入する。流体は、ピストンがその行程の頂点に向かって動くにつれて圧縮され、ピストンがその行程の上死点(TDC)にあるときに、弁を通してシリンダから取り出される。潤滑剤は、ベアリング、シリンダ壁、ピストン壁、使用している場合はピストンリング、及びピストンピンを潤滑するのに用いられる。小型の往復式圧縮器は、通常は密閉されたユニットであり、圧縮された冷媒内の潤滑剤の同伴は、一般的に問題ではない。しかしながら、大型の往復式圧縮器では、潤滑剤の損失が問題となる。
【0004】
スクロール圧縮器は、2つのスクロールの間に一連の三日月形ポケットを形成し、その三日月形ポケットに圧縮する流体を受け入れる。通常、一方のスクロールが固定され、他方のスクロールが固定されたスクロールの回りを、軌道を描いて回る。その運動が起きると、2つの形状の間のポケットは、2つのスクロールの中心に向かってゆっくりと押される。これによって流体の体積が減る。潤滑剤は、主ベアリングを潤滑し、スクロールの面に沿ってスクロールのエッジをシールする。
【0005】
回転圧縮器には、固定ブレード式圧縮器と回転ブレード式圧縮器の2つの一般的型式がある。回転ブレード式回転圧縮器のブレード又はベーンは、円筒形ハウジング内で軸と共に回転する。固定ブレード式圧縮器では、固定ブレードは、静止したままで且つハウジングアッセンブリ一部であるブレードを有しており、一方、シリンダは、シリンダ内の偏心軸上のローラーを介してハウジングアッセンブリ内で回転する。どちらの型式でも、ブレードは、流体に連続するシールを提供する。吸気配管からの低圧流体は、開口に引き込まれる。流体は、ブレードが回転する際に、ブレードの後ろの空間を満たす。ブレード前方の蒸気空間内に捕捉された流体は、圧縮器の排気口に押し込むことができるようになるまで圧縮される。ベアリングだけでなくシリンダ、ハウジング、ローラー及びブレード表面にも潤滑剤の薄膜が必要である。潤滑剤は、冷媒中に容易に同伴されることになる。
【0006】
スクリュー圧縮器は、一般的に、中空の二重バレル型ケーシングの内側で別々の軸に取り付けられている2つの円筒形のローターを含んでいる。圧縮器ケーシングの側壁は、通常、地面に平行な軸を有するローターを並べて収容する2つの平行な重なり合う円筒を形成している。スクリュー圧縮器のローターは、通常、その外周上に、大きなねじを形成する螺旋形に伸張するローブと溝を有している。作動の間に、ローターのねじは互いに噛み合い、一方のロータ上のローブが他方のローター上の対応する溝と噛み合って、両ローターの間に一連の空隙を形成する。これらの空隙は、ケーシングの一端にある圧縮器入口開口又は「ポート」と連通し、ローターが回転してガスをケーシングの反対側の端部にある放出口に向けて圧縮するにつれ連続的に容積が減少する連続圧縮室を形成している。潤滑剤は、圧縮器に導入されると、ベアリング、軸シール及びローターを潤滑し、圧縮器の作動の間にはスクリューの間の隙間をシールする働きをし、圧縮熱を取り除いて潤滑剤の過熱を防ぐ働きをし、圧縮器の作動に伴う騒音を低減する働きをする。
【0007】
入口と出口は各型式の圧縮器に共通している。圧縮器の入口は、「吸気」又は「低圧側」と呼ばれることもあり、放出口は「出口」又は「高圧側」とも呼ばれる。
スクリュー圧縮器の両ローターは、互いに噛み合い、ハウジング内で同期的に反対方向に回転する。ローターは、ハウジングの一端の吸入マニホルドからハウジングの他端の排出マニホルドまで、ハウジングを通してガスを掃き出すように作動する。市販のスクリュー圧縮器は、4つのローブを有するねじ付き軸又は螺旋形ローターを含んでいるのが最も一般的であるが、5つ以上のローブを有するように設計されているものもあるし、ローターは、例えば3−9個のローブの何れの数のローブを有していてもよい。雄型ローターと雌型ローターは、一般的に異なる数のローブを有している。ローターの軸は、通常、潤滑剤循環システムから一定の潤滑剤の供給を受ける潤滑されたベアリング及び/又はシールによって、ケーシングの端壁に支持されている。
【0008】
潤滑剤は、一般的に、何らかの型式のオイルベースの液体化合物であり、圧縮器システムのこの部分は、しばしば単に「潤滑油」システムと呼ばれる。圧縮器の潤滑油システムは、一般的に、回収リザーバと、フィルターと、圧力及び/又は温度センサーを含んでいる。潤滑油は、冷水器スクリュー駆動圧縮器システムでの様に、エバポレータとコンデンサーに亘るシステム内の圧力差の結果として循環させるか、或いは、大型往復式圧縮器での様に、モーター駆動ポンプによって循環させる。多くの潤滑剤は、高温で「粘性」を失うことによって劣化するので、スクリュー圧縮器の様な高温で作動する圧縮器は、一般的に、特別に配合された潤滑油のシステムを含んでおり、更に、潤滑剤をシールとベアリングに再循環させる前に潤滑剤の温度を下げるための冷却器を含んでいる。いわゆる「オイル漬け」スクリュー圧縮器は、更に、潤滑剤を、圧縮器ケーシングの内側を通して再循環させるための手段を含んでいる。このようなガス流内への直接的「潤滑油注入」は、ローターを冷却して潤滑し、ローター間又はローター回りのガス漏れ経路を遮断し、腐食を抑制し、スクリュー圧縮器が発生するノイズのレベルを最小化する働きのあることが分かっている。
【0009】
これらの容積式圧縮器で明らかなように、共に圧縮されて気体状態にある潤滑剤と流体は、圧縮器の作動の結果、混ぜ合わされる。この高圧高温の下で、潤滑剤は液滴になる。これら液滴は、通常はガス流内に同伴されているので、圧縮ガス、即ち通常は冷媒が圧縮器から出て行く前に取り除かなければならない。これらの液滴が非常に細かく、代表的には約1ミクロンより小さいときには、エーロゾルを形成して冷媒ガス内に同伴される。これらのエーロゾルは、圧縮器システムの分離器部分の一部である集滴器の様な特殊なエーロゾル除去装置を備えていなければ、容易に合体せず、流体流から容易に除去することはできない。閉じたシステムの1つの代替案では、エーロゾルは、最終的には圧縮器を潤滑するために戻されることになるので、圧縮ガスと共に下流に流してもよい。勿論、このためには、常に圧縮器から無くなる潤滑剤の量を供給するために、システム内に潤滑剤を追加しなければならず、潤滑剤は高価なので、運転経費が掛かることになる。更に、閉じたシステムの他の部品に潤滑剤が在ると、下流の装置が効率的に作動しなくなる。開いたシステムでは、潤滑剤は、下流でエーロゾルとして失われ、これは決して戻されることはなく、補充しなければならない。
【0010】
典型的なスクリュー圧縮器は、潤滑剤と冷媒を一体に混ぜ合わせ、圧縮ガスとオイルの混合物で構成された高温高圧の流体流を放出する。高温高圧のオイルは、1ミクロン以下のエーロゾル範囲を含む上記サイズ範囲に亘る液滴を形成する。何か手を加えなければ、同伴エーロゾルは、合体して、圧縮ガスから容易に取り除くことができる液滴を形成しようとはしない。結果として、分離器に集滴器が備えられ、潤滑剤が圧縮器の下流に運ばれるのを防ぐため、エーロゾルを取り除く。集滴器を備えていても、非常に少量の極めて細かい液滴は、下流に抜け出る。圧縮器から相当量のオイルが取り除かれると、圧縮器は、不都合にもオイルが枯渇することになりかねない。
【0011】
過剰なオイルを使用しない設計では、オイルを圧縮器内に保持しなければならない。冷媒ガスが冷却器又は冷凍システムに放出される前に、高圧の冷媒ガスからオイルを分離しなければならず、そのためには細かく分けられたエーロゾルを凝集する必要がある。
【0012】
先に述べたように、下流に移動している流体内に潤滑剤が同伴されるのを防ぐために、先行技術は、分離器区画を有する圧縮器を使用している。圧縮ガスには、蛇行経路を辿らせるか、又は或る表面と接触させてそこで大きい液滴を凝集させ、それを再利用するため溜め型式の装置に戻して圧縮器の可動部品を潤滑する。分離できるだけのサイズの液滴までは凝集していないもっと小さなエーロゾルを捕捉するため、分離器区画には、圧縮ガスが分離器の下流に放出される前に、エーロゾルが通過しなければならない集滴器又はフィルターユニットが設けられている。この設計は、オイルを凝集させて、冷却器システムへのオイルの損失を最小化するのに効果的であるが、煙と似ているエーロゾル混合物が集滴装置を通過する際に、圧縮流体は圧力損失を被ることになる。この圧力損失は、システムの性能に直接関係し、ユニットの効率を低下させる。典型的な集滴器要素は、メッシュのマイクロ繊維材料で作られている広い表面積を提供する一連のフィルター又はシステムフィルターを備えており、これはシステムのサイズを増すことになる。占有空間について考えなくてもよい場合は、システムのサイズは重要な因子ではないが、同じ容積の空間内に大きな容器を配置できるとはいえ、圧力降下は懸念事項として残る。しかしながら、殆どの場合、空間は考慮すべき問題であり、分離器は、他に利用できる空間を占領することになる。集滴器要素を省くことができれば、同じ空間内に大きな分離器を設置して大きな圧縮器システムを配置できるようになるか、或いは、同じ容量で省スペースのシステムを設計することができるようになる。更に、集滴器に伴う圧力降下をシステムから排除できるので、効率を改善することができる。この状態の複合的結果として、集滴器要素を含むユニットは、通常、内部のフィルター及び通路を保守するため、内部へアクセスできるようになっている。この様なアクセスは、通常は要員通路を通して行われ、アクセスのために更なる空間が必要になる。更に、アクセスには、システム内への追加の貫通部が必要となるので、適したガスケットで適切にシールしなければならない。しかしながら、このガスケットの接合は、漏れる可能性のある経路を提供するので望ましくない。集滴器要素を収容する構造を作るのに関連して追加経費が掛かるので更に不都合である。
【0013】
集滴器を省くために提案されている方法は、無煙潤滑剤を使用することである。無煙潤滑剤は、エーロゾルを形成しない潤滑剤か、或いは、サブミクロンサイズ及びミクロンサイズの粒子が短時間存在するが、集滴器を使用すること無く分離器の作業容積内で、圧縮ガスから容易に分離させることのできるサイズの液滴に合体するよう容易に操作することができるエーロゾルを形成する潤滑剤を意味する。これらの無煙潤滑剤は、機械作業員をその様なオイルの吸入環境に曝露するのを最小化するため、切削/切断オイルとして使用されていることが分かっている。これらの潤滑剤を圧縮器システムで使用することが提案されてはいるが、一般的に圧縮器システムで用いられている冷媒と共に使用できる潤滑剤は市販されていない。これらの潤滑剤は、高価になりがちで、スクリュー圧縮器システムの様な既存の容積式圧縮器システムで使用しても、増大する経費を正当化するだけの特筆すべき利点は無い。
【0014】
使用が提案されている1つの潤滑剤が米国特許第3,805,018号に述べられており、これは、粘度平均分子量が5000を超えるオイル溶解性ポリオレフィンを含んでいる漂遊ミスト抑制剤について記載している。別の潤滑剤が米国特許第5,756,430号に述べられており、これは、漂遊ミスト抑制剤として1−5%のポリイソブチレンマンガン400−2500が添加されているポリカルボン酸エステルをベースとしたミストオイル潤滑剤について教示している。これらは、共に、潜在的な無煙オイルの配合について教示しているが、どちらも、既存のシステムにおける既存の潤滑剤に対する直接置換以外に、その様な無煙オイルを使用したことから生じるシステム性能の向上と装置の改良に対する可能性を完全に理解してはいない。
【0015】
同様に、Shortに発行され、CPIエンジニアリングサービス社に譲渡された米国特許第4,916,914号と第5,027,606号は、高温高圧では冷媒に容易に溶けないが、低温低圧では冷媒に容易に溶ける潤滑剤の使用について開示している。これは、凝縮温度及び圧力では実質的に2つの相があり、蒸発温度及び圧力では実質的に1つの相がある冷媒と潤滑剤の組み合わせを提供することによって実現される。この組み合わせでは、オイルを冷媒から、放出領域で、流体が圧縮器の下流で冷却器システムに放出される前に、より効率的に分離することができる。しかしながら、両特許は、その様な潤滑剤を使用した結果作り出されるシステムの改良点を理解していない。これらの潤滑剤は、塩素化炭化水素冷媒と組み合わされたポリエーテル多価又は一価アルコールである。
【0016】
本圧縮システムは、圧縮器と組み合わせて用いられる分離器を含んでいる。分離器は、潤滑剤を冷媒から分離するように機能し、装置に用いられている潤滑剤の種類に関係なく同じ機能を実行する要素を有している。これらの分離器は、冷媒ガスと混ぜ合わされ、圧縮器から放出されるときに細かいエーロゾル又は「煙」を含む流体を形成する潤滑剤と共に使用するよう設計されている。現在の圧縮システムでは、圧縮器の圧縮器部分からの流体は、小さなパイプを通して大きなパイプへと送られるが、これは通常は分離器内への放出である。流体が小さなパイプから大きなパイプへ放出される際に、速度が変化する。流体は、分離器の壁に衝突して方向転換し、再び或る程度の速度を失う。流体が接触する各表面では、幾らかのエネルギー損失が生じ、潤滑剤の液滴が、液滴のサイズスペクトルに亘って幾らか合体する。合体した潤滑剤は、臨界サイズに達すると、重力又は運動量によって冷媒ガスから分離して分離器の底部に滴下するが、この底部は、圧縮器の主オイルリザーバサプライを形成しており、潤滑剤を分離器から循環させて戻し圧縮器を潤滑する。残っている流体は、集滴器要素と呼ばれている分離器内の構造を通過し、そこで、残っているエーロゾルの相当部分が、大きな表面積を有する微細な材料繊維上で合体して液滴になり、その後、重力によって、主オイルリザーバより低い圧力に維持されている集滴器要素に付帯する集滴器リザーバに滴下する。オイルは、別の配管によって集滴器リザーバから圧縮器の低圧側へ戻される。集滴器要素を通過した流体は、その後、分離器を出て圧縮器の下流へ進むが、閉じたシステムでは、圧縮システムの残り部分への流入が伴う。この流体は、冷媒を含んでおり、更に、集滴器の微細なフィルター要素さえ通過することのできた非常に細かいエーロゾルとして少量の潤滑剤を含んでいる。分離器の内部機構へのアクセスは、行うとすれば、通常は集滴器に隣接する分離器の一端のヘッドに配置されている要員通路を通して行われる。このアクセスは、集滴器要素の定期的な保守及び交換を要するときに必要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、何れの先行技術も、無煙型オイルを冷却器システムへ組み込むことによって冷却器システムで実現できる利点を開示していない。ミシガン州ミッドランドのCPI社が開発している潤滑剤の様な無煙潤滑剤は、本出願と同日に出願の、オハイオ州クリーブランドのLubrizol社に譲渡された係属中の特許出願「蒸気圧縮システムのオイル分離性能を改良するのに有用な潤滑剤と圧縮器作動流体の組成」に記載されている。必要なのは、無煙型オイルを使用した結果としてサイズが小さくなり修正された構造が組み込まれている圧縮器システムである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、分離手段を出る圧縮ガス内に同伴するエーロゾルとして分類される微細分割された潤滑剤の粒子数が実質的に減少するように、圧縮ガス内に同伴している潤滑剤が、分離手段の作業容積内で、圧縮器の出口温度と圧力で、集滴器を使用すること無く凝集する優れた合体特性を有する無煙潤滑剤に基づいて設計されている液体/気体分離手段を含む容積式圧縮器と共に使用する圧縮システムを提供している。粒子数は実質的に700ppm以下に減り、粒子は小さくなるので、出て行く潤滑剤の体積と重量は、必然的に減少する。
【0019】
分離手段即ち分離器は、幾つかの段に分けられる。ここでは、分離手段又は分離器は、圧縮器の部品又はその一部であると考え、論じている。しかしながら、これは限定を意味するものではなく、圧縮器と分離器は、限定するわけではないが、パイプ、管及び結合フランジを含む何らかの適切な接続手段で連結されている2つの別々の構成要素と考えてもよい。通常、分離器の第1段は、実質的に全ての同伴潤滑剤の大きな液滴を、典型的には約70ミクロンより大きい液滴を、圧縮流体から、衝突又は運動量によって取り除く衝突又は運動量ベースの部分である。第2段は、約5から700ミクロンのサイズ範囲にある同伴液滴の組み合わせを含む残りの潤滑剤を取り除くように設計されている。第2段を出る流れは、主にサイズ範囲が5ミクロン以下のサブミクロンサイズ範囲の液滴を含んでいる。通常、第2段の下流の集滴器部分は、エーロゾル、即ち1ミクロン以下のサブミクロン範囲の液滴を取り除くため、非常に細かいフィルター、普通は繊維フィルターを使用している。勿論、細かいフィルターは、1から5ミクロンのサイズ範囲の粒子も取り除く。
【0020】
本発明で用いる「無煙」潤滑剤は、通常、実質的に全ての液滴を、約0.6ミクロンより大きな、通常は約5ミクロン以上のサイズに凝集するのを促進する添加剤を含む添加剤を含んでいる。約1ミクロン以下のサイズを有する流体流に同伴している液滴は、大量に在るときは、一般的にそして互換可能に、フォッグ、エーロゾル、ミスト又は「スモーク:煙」と呼ばれている。しかしながら、ここでは、「エーロゾル」は、約1ミクロン以下の直径を有する粒子(サブミクロン粒子)を指し、「ミスト」は、約70ミクロンから約1ミクロンまでの範囲のサイズ分布を有する液滴を指す。「スモーク:煙」は、ミスト又はエーロゾルの、単独又は組み合わせによる多数の粒子を指し、見た目は煙である。潤滑剤の添加剤には、所望の特性を備えた潤滑剤を提供するための、酸化防止剤、流動点降下剤、腐食抑制剤、発泡抑制剤、VI改良剤などが含まれる。
【0021】
潤滑剤と添加剤は、以後簡単に「潤滑剤」と呼ぶことにするが、潤滑剤の性質は、液滴のサイズ分布が、分離器の第1段と分離器の出口の間で変化し、液滴が少なく且つ大きくなるようにすることである。ここでは、分離器の段は、通常は事前選択されたサイズ範囲の潤滑剤の液滴に作用することによって、流体流に作用して流れの特性を修正するものとする。「無煙」潤滑剤は、流体流内の粒子の数とサイズ分布を修正して、非常に細かい粒子を実質的に全て無くし、従って、これらの細かい粒子を凝集させる細かい集滴器要素を有する必要を無くすので、本発明の潤滑剤によって流体流内の粒子のサイズ分布と数を変えることで、当該技術で現在利用されているフィルターとしてメッシュ(共編みパッド)に編まれている、繊維ガラス、Kevlar繊維などの様な多繊維ヤーン布の細かいストランドを含む集滴器部分を無くし、例えば、一連の固定プレート、粗いメッシュスのクリーン、又は一連の粗いメッシュスクリーンと取り換えることができる。サブミクロンの液滴より僅か1ミル以下から数ミル大きい繊維空間を有する共編みパッドは、繊維を備えておらず、少なくとも10倍大きい空間を有するメッシュスクリーン又はプレートと取り替えることができる。粒子の数及びサイズ分布は、固定プレート又は粗いメッシュスクリーンが大きなサイズ分布を有する粒子を十分に凝集し、「煙」の外観を排除できるほどである。「無煙」潤滑剤は、分離器の第1段を通過後は、「無煙」である(即ち、煙の外観を呈しない)のが理想的だが、分離器の最終段に流れ込む前に、言うなれば、液滴が集まって、分離器の最終段で流体流から容易に取り除けるほど大きいサイズになり、約5ミクロン以上の範囲のサイズ分布を有する合計粒子数は僅かで、小さい直径(5ミクロン以下)を有する粒子の数も少ないので、分離は、実質的に、固定プレート又は荒いメッシュスクリーンで実現することができる。
【0022】
圧縮システムは、通常、モーターで駆動する圧縮器、随意のアキュムレータ、液体/気体分離器、コンデンサーとエバポレータの形態をした熱交換器、膨張弁、及び、これらの構成要素を1つに接続する配管の形態をした導管を含んでいる。液体/気体分離手段は、潤滑剤分離器で、通常は円筒形の水平又は垂直の容器である。複数の段を有する潤滑剤分離器は、ガス圧縮器と連結して用いられる。潤滑剤分離器は、圧縮器からの放出流を受け入れる。この放出流は、流体流を形成する粒子サイズの範囲にある潤滑剤と冷媒ガスの混合物を含んでいる。分離器は、冷媒ガスを潤滑剤から分離する。分離された潤滑剤は、分離器内で回収され、圧縮器の可動部品、代表的には圧縮器ベアリングを潤滑するのに再利用するため保管される。
【0023】
本発明の分離器は、圧縮器から放出された流体を受け入れる。しかしながら、潤滑剤システムで用いられる潤滑剤は、「無煙」、即ち、少数だが大きいサイズの液滴又は粒子へと迅速に合体するように設計されているため、本発明の分離器は、エーロゾルを取り除くための集滴器要素を含んでおらず、集滴器要素へのアクセスも必要無いので、要員通路も必要なくなる。これによって、分離器に必要なサイズと、サービスに必要な空間が小さくなる。製作と作動に付帯する経費も少なくなる。
【0024】
作動時、本発明の分離器は、圧縮器から放出された圧縮流体を受け入れる円筒形の容器である。この流体は、圧縮流体が小さなパイプから、大きなパイプと考えることもできる大きな円筒形の容器へ流入するとき、速度が変化する。容器に入ると、流体は、第1段の壁に接触して方向が変わる。この壁は、容器の円筒形の壁の1つである。潤滑剤の一部は、速度変化によって合体し、又別の潤滑剤の一部は、接触によって壁上に凝集する。流体は、粗いミスト除去器、例えば、随意のベーン式ミスト除去器を通過して第2段に流れ込むが、ミスト除去器では、実質的にサイズ分布内の大きなサイズの潤滑剤が、ガス流路内に配置されている粗いミスト除去器の広い表面又はベーン式ミスト除去器のベーン上で合体する。プレート又は粗いメッシュを使用してもよい。流体は、円筒形分離器を横断し続け、ミスト除去器を通り抜け、そこで、実質的に、主にサイズ分布内の細かいサイズ残りの潤滑剤が、細かいメッシュ表面上で凝集する。サブミクロンのエーロゾルは、ミスト除去器を通過し、分離器を出て、下流のコンデンサーへ流れるが、これらサブミクロンのエーロゾル粒子の数は、潤滑剤の合体特性の結果として実質的に少なくなっており、粒子サイズ分布は、大きなサイズへとずれている。合体した全ての潤滑剤は、分離器に付帯する溜めに集まる。メッシュ表面は、ステンレス鋼又はプラスチックモノフィラメントの様な、或る程度の剛性を有する耐腐食性材料で構成されている。集滴器要素を通過せず、従ってそれに伴い圧力が低下した圧縮流体は、その後、分離器を出て、導管を通り、圧縮サイクルの次の構成要素に運ばれる。冷却器システムでは、次の構成要素は、凝縮段である。
【0025】
本発明の利点は、圧縮器内のオイルエーロゾルの形成を最小化するか又は無くする無煙オイルを使用することである。これは、エーロゾルが流体流によって、熱交換器の様な圧縮システムの残りの部分へ運ばれ、そのために熱交換器の効率が低下する可能性を最小化するか又は無くする。従って、エーロゾルを捕捉するか取り除くように設計されている構造を圧縮器から省き、熱交換器の作動をより効率的にすることができる。
【0026】
本発明の利点は、分離器の集滴器要素を省けるので、分離器を小さくできることである。輸送時に損傷を受け、塵の多い環境内の破片で汚れ、高速放出ガスによって腐食し劣化する恐れのある集滴器要素とは異なり、メッシュ式ミスト除去器は、細かくて繊細ではないので、そのような問題は起こらない。メッシュスクリーンは、そのような日常的な保守が要らないので、要員通路を通る様な分離器の内部への接近手段を、集滴器要素と共に省くことができ、分離器のサイズを更に小さくすることができる。
【0027】
本発明の別の利点は、分離器を通過する流体が、先行技術の分離器ほど大きい圧力降下を被らないことである。集滴器要素に入って通過することに伴う圧力降下は、無くなる。分離器を出る流体の全体圧力が高いので、システムの全体的な効率が改善される。
【0028】
本発明の更に別の利点は、分離器からシステムの下流の残り部分へ逃げる潤滑剤が少ないことである。開いたシステムでは、これにより、圧縮器が損傷を受けること無くシステムの作動を維持するのに必要な潤滑剤の交換が少なくて済み、直接的に経費が下がる。閉じたシステムでは、或る程度の潤滑剤がシステムの下流に逃げて下流の構成要素に流れても、この潤滑剤は、最終的にシステムを循環することになる。しかしながら、圧縮器で使用する以上の潤滑剤が分離器内に残る。これも、システムに加えなければならない潤滑剤が少なくて済むので、経費の削減につながる。
【0029】
分離器からシステム下流の残り部分へ逃げ出る細かい液滴の形態(エーロゾル)をした潤滑剤が少ないことに関係する本発明の更に別の利点は、エバポレータの性能が改良されることである。エバポレータ内で潤滑剤をの回収することは、エバポレータの熱伝達表面の性能に悪影響を与えるので、その効率が下がる。本発明では、より多くの潤滑剤が分離器内で「捕捉され」、細かく分割された液滴の形態(エーロゾル)で下流に「逃げ出す」潤滑剤が少ないので、エバポレータ内にはエバポレータを汚すオイルが少なくなり、熱伝達が良くなり、効率も向上する。
【0030】
本発明のこの他の特徴及び利点は、以下の好適な実施形態に関する詳細な説明を、例を挙げて本発明の原理を示している添付図面と結び付けて読めば明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
本発明は、無煙又はエーロゾル非形成潤滑剤と共に使用される圧縮システムの改良設計について述べる。これらの潤滑剤は、極めて細かい液滴を迅速に合体させて大きな液滴にして、潤滑剤のエーロゾルが圧縮器システムの下流に運ばれないようにする添加剤を特徴としている。この圧縮器システムは、圧縮器又は圧縮器部分によって圧縮されたガスから潤滑剤を取り除く働きをする分離器又は分離器部分を含むものと定義される。分離器は、圧縮器の一体的部分であるか、圧縮器に取り付けられている別のユニットである。本明細書では、エーロゾルという用語は、平均直径が約1ミクロン以下、典型的には約1ミクロンから約0.1ミクロンの、圧縮ガス内に同伴している潤滑剤の微細液滴を指し、このエーロゾルは、約1500ピー・ピー・エム(ppm)のそのような潤滑剤の液滴を有する圧縮ガスを含んでいる。閉ループシステムでは、圧縮ガスは通常は冷媒である。これら無煙潤滑剤の特定の配合が重要なのではなく、これら潤滑剤の、エーロゾルを形成しない能力が重要なのである。
【0032】
既存の圧縮システムの設計とは異なり、本発明の圧縮システムは、迅速な合体特性を利用して、圧縮システムの分離器又は分離部分の構成要素の構造を変えて、経費を削減し、性能を改良し、占有空間を節減する。ここに述べる圧縮システムは、新しい圧縮システムと、既存の圧縮器システムの構成要素に対する改装品の両方を含んでいる。これらの新しい圧縮システムと、既存の圧縮器システムに対する改装品は、エーロゾル非形成潤滑剤と組み合わせて使用しなければならず、新しい又は改装されたシステムでエーロゾルを生成する潤滑剤を使用すると、過剰なエーロゾルの同伴が生じ、下流で潤滑剤が失われ、熱伝達に用いられる閉ループシステムの性能が容認できないほどに、場合によってはシステムの構成要素を損傷させるまでに劣化し、システムの運転経費が増えることになる。また、これらの高価な無煙潤滑剤は、既存のシステムで使うこともできるが、既存のシステムは、ここに述べる新しい設計によって得ることのできる設計と性能の改良を利用することができないので、既存のシステムで使用する利点は無い。従って、既存のシステムで無煙潤滑剤を使用すると、不必要に経費が高くなる。
【0033】
本発明のシステムは、市販されている冷媒を含む冷媒流体と適合性のある無煙潤滑剤で作動するように設計されているが、他の圧縮性ガスと共に使用してもよい。潤滑剤と冷媒流体の具体的な組み合わせが重要である。そのような無煙潤滑剤は、冷媒ガスの様な圧縮性ガスで圧縮されると大きなサイズの粒子の形成を促して、0.3−10ミクロンのサイズ範囲の霧化特性が低下し、そのために圧縮性ガス内に同伴している潤滑剤の粒子の数と全体的な粒子サイズ分布が変化する。潤滑剤は、通常、ベースとなる潤滑剤に加えられる他の添加剤だけでなく合体剤も含んでいる。添加剤には、酸化防止剤、流動点降下剤、腐食防止剤、発泡防止剤又は特定の用途に適した他の防止剤が含まれる。無煙潤滑剤は、圧縮器の吸気側で見られる様な、代表的には約10−50°Fで約10−60psiaの範囲にある低温低圧では、冷媒流体と混和するが、圧縮器の排気側で見られる様な、代表的には約50−275°Fで約60−400psiaの範囲にある高温び高圧では、冷媒流体から容易に分離する。圧縮器の温度と圧力の範囲に亘る圧縮サイクルの間に、約0.3−1ミクロンから約10ミクロンまでのサブミクロンサイズ範囲のエーロゾルの形成を初期には予測通りに回避し、大きな液滴に迅速に合体させる潤滑剤であれば、既存の構造は必要無くなり、削除することができる。本発明の装置は、潤滑剤の霧化特性の低下と、初期の潤滑剤粒子サイズ分布の全体的な上方移行と、多数の小さな粒子の小数の大きい粒子への迅速な凝集とを十分に活用して、この様な潤滑剤の使用によって本質的なものではなくなるこれら既存の構造無しに、潤滑剤の圧縮されたガスからの分離を促すことによって、エーロゾルを無くする。このような無煙潤滑剤の具体的組成は、本発明の重要な態様ではないが、このような潤滑剤の機能的性能により、本発明の装置の設計と性能を修正することができる。
【0034】
圧縮システムは、冷却又はHVACの様な様々な用途や、天然ガスの圧縮に用いられる。熱が第1位置から第2位置へ伝達される冷却又はHVACの様な熱交換装置では、システムは、一般的には閉じたシステムである。このシステムは、通常、圧縮器と、潤滑剤を冷媒から分離するための手段と、随意的に、冷媒を保管するための手段と、圧縮器で使用する潤滑剤を保管するための手段と、圧縮器からの放出物を受け取るコンデンサーと、膨張手段と、システムの様々な要素が適切な導管によって接続されている閉ループ内で冷媒を圧縮器又は冷媒保管手段へ供給する蒸発器手段と、を含んでいる。システムの様々な構成要素は、非常に小さい領域に互いに数フィート以内に配置してもよいし、1/4マイル以上の距離に離してもよい。
【0035】
例えば天然ガスの貯蔵のために天然ガスを圧縮するのに用いられる圧縮器システムは、熱交換装置に必要な全ての構成要素を含んでなくてもよい。更に、そのようなシステムは、圧縮ガスが貯蔵設備内に保管され、再循環されず、圧縮器に戻されるないので、開いたシステムである。システム全体の作動と設計では、閉じているか開いているかは、システムの作動には重要であるが、本発明は、圧縮性流体の圧縮と、その関係する構成要素とそれらの作動、つまり、システムの圧縮器部分、圧縮器の潤滑、潤滑剤の圧縮ガスからの分離、及び圧縮器の可動部分を潤滑するための潤滑剤の再利用、に重点を置いている。
【0036】
図1は、既存のスクリュー圧縮器の先行技術システム2の一部の概略図であり、圧縮器10と、圧縮器10と一体になっているモーター20と、分離器30だけを示している。冷媒と同伴潤滑剤を含む圧縮流体は、圧縮され、圧縮器放出口12を出て、導管22によって分離器30へ運ばれる。分離器30は、圧縮流体が分離器を通過して実質的に軸方向(即ち、水平方向に)に移動する水平分離器であり、第1ヘッド32、第2ヘッド34及び放出口36を含んでいるが、この他に、垂直分離器も使用されている。分離器の設計は様々であるが、この先行技術の分離器は、3つの段、即ち流体の方向が変わる第1段23と、液滴が流体流から取り除かれる随意の第2段25と、少なくとも1つの集滴器フィルターと、典型的には、エーロゾルを除去するための、それぞれのフィルターが前のフィルターより小さい直径の粒子を捕捉するため細かくなっている一連のフィルターを含んでいる第3段27で構成されている。集滴器要素フィルターの大きな表面積は、低い流体速度を集滴器が最終的により効果的に作用できるように下げるが、同時に、システムの効率を下げ、分離器の全体寸法を大きくすることになる。第2ヘッド34は、集滴器要素へ容易に接近できるようにする要員通路36又は頭部通路を含んでいる。
【0037】
高速で移動する同伴潤滑剤を含む圧縮ガスは、導管22を通って分離器の第1段23に入り、導管22を出る。分離器のこの第1段23では、圧縮ガスは、導管を出ると、膨張して速度が落ちる。圧縮ガスは、ランダムなサイズ分布の同伴潤滑剤を含んでおり、潤滑剤の液滴のサイズは、1000ミクロン以上からサブミクロンまで様々である。この高圧の流体は、この場合は第1ヘッド32である障壁に当たり、図示のように方向を変え、毎秒約2−3フィート(fps)の速度で移動する。同伴潤滑剤の一部分、即ち、大きな液滴、又は第1ヘッド32と接触した結果、凝集して大きな液滴になる小さな液滴は、重力が流体流から液滴を引き出す臨界サイズに達すると、液体として分離器の底部38に分離されるが、残っている潤滑剤の相当な部分は、臨界サイズより小さい。第1段では、約70ミクロン以上の粒子が凝集し、重力によって実質的に取り除かれる。残りの流体は、もっと小さくて、微細エーロゾルと微細ミストの組み合わせとして圧縮ガス内に同伴している液滴を含んでおり、ミストは、直径が約1.0ミクロン以上から約70ミクロンの範囲にあるサイズ分布を有する液滴を含んでおり、非常に多数の粒子が、サブミクロン即ちエーロゾルの範囲にある。凝集した潤滑剤は、少量の溶解冷媒を含んでいる。主オイルリザーバとして働いている分離器の底部分38又は溜めに滴下する液体は、圧縮器10に戻され、そこでベアリングや他の可動部分を潤滑する。この潤滑剤は、主圧縮器に戻される前にろ過されて冷却され、戻すのは、或るシステムではポンプ(図1に示していない)である追加構成要素によって行われる。
【0038】
次いで流体は、分離器の第2段25に移る。この段は、追加の潤滑剤液滴を圧縮流体から取り除く。この段25は、ミストから追加の液滴を取り除く。この段では、数多くの選択肢を使用することができ、各選択肢は、異なるサイズの液滴を取り除く。1つの選択肢は、液滴が分離器の長さに沿って移動するときに、分離器ユニットの長さを利用して液滴を取り除く。勿論、この選択肢は、比較的短い長さの分離器において限定された価値を持っている。第2の選択肢は、圧縮流体が一連の静止したプレート上を通過するプレートパック(図示せず)を使用する。約15ミクロンから約700ミクロンの範囲のサイズを有する潤滑剤の液滴が流れから取り除かれ、プレート上を通過するときにプレート上に凝集する。小数のもっと小さい粒子と小数の残っているもっと大きい粒子も、プレート上に凝集する。別の選択肢は、一般的には大型の金属メッシュ構造で、圧縮流体が通過する、メッシュパッド29を使用する。流体がメッシュ構造に接触すると、液体の液滴が、構造上に凝集する。メッシュパッドは、一般的に、約5ミクロン以上の範囲の液滴を取り除く。第2段用に選択された構造に関係なく、凝集した潤滑剤は、第1段で取り除かれた潤滑剤と共に溜めに滴下する。
【0039】
同伴するミストとエーロゾルを有する圧縮ガスの形態をした流体は、集滴器部分40を含む分離器の第3段に移る。分離器30の集滴器部分40は、少なくとも1つのフィルター42と、典型的には、繊維形態の進むにつれて細かくなるメッシュの一連のフィルターを含んでいる。集滴器部分40は、更に、集滴器リザーバ44と、集滴器リザーバ44から圧縮器10への戻り配管46と、集滴器部分40へアクセスできるようにする要員通路48とを含んでいる。分離器30の放出口36は、集滴器部分40内の、フィルター又は一連のフィルター42の下流に配置されている。
【0040】
集滴器部分40の目的は、圧縮ガスからできるだけ多くの残っている潤滑剤を取り除いて、潤滑剤を圧縮器に戻してその潤滑機能を発揮できるようにし、同伴潤滑剤をできるだけ少なくした上で、圧縮ガスを分離器の下流に、HVACシステムの場合にはコンデンサーへ、天然ガスシステムの場合には貯蔵庫へと送ることである。従って、集滴器は、圧縮流体が分離器を離れる前に、圧縮流体から、残っているミスト及びできるだけ多くのエーロゾルを取り除かなければならない。ガスが、同伴するミスト及びエーロゾルと共に、少なくとも1つのフィルターを有する集滴器部分を通過すると、ミスト状の粒子は、フィルター42上に液滴を形成し、集滴器リザーバ44に滴下する。フィルター又は一連のフィルター42は、ガラスマイクロ繊維の様な細かいメッシュ繊維で作られている。これらのマイクロ繊維は、通過するガスとミストの速度を大幅に降下させるだけの表面空間を有しているので、フィルターは、ミストを合体させて液滴にし、集滴器リザーバ44に液体として落下させるのに効果的である。水平分離器の集滴器部分を出るガスの速度は、入り口での秒速約2−3フィート(fps)から、放出口36に達する前には、0.5fps未満に、通常は約0.3fpsまで低下する。繊維ベッドの厚さで、液滴が合体して液体になるための十分な滞留時間と、冷媒ガスの大幅な圧力降下の回避の間の釣り合いを取る。フィルターのガラス繊維の密度が高すぎると、冷媒圧力が低下するのでシステムの効率が下がることにより、システムの作動に悪影響を与える。更に、排水の問題が発生することもある。ガラスマイクロ繊維のフィルターは、0.3ミクロンの小さなエーロゾル内の液滴を合体させて大きな粒子にすることによって、ガス流から潤滑剤を取り除くように設計されている。しかし、それに対応して圧力降下が生じる。典型的には約0.3ミクロン未満の平均サイズを有する少量のエーロゾルは、ガスと共に分離器からHVACシステムに流れるときに、圧縮ガス内に同伴されて残ることも知られている。閉じたシステムでは、この潤滑剤は、最終的に圧縮器10に戻される。しかしながら、開いたシステムでは、この潤滑剤は失われるので、圧縮器への損傷を回避するために、周期的な間隔で取り替える必要がある。或る装置では、分離器の集滴器部分へアクセスできるように、要員通路48が設けられている。或る種の装置では、フィルターを定期的に保守し取替えるのに、このアクセスが必要である。
【0041】
圧縮ガスは、少なくとも1つのフィルター42を通過すると、放出口36を通って分離器を出て、その後の処理のために下流に向かう導管に入る。凝集して集滴器リザーバ44に入る液体は、実質的に少量の溶解した冷媒を含む潤滑剤であるが、この液体は、ろ過された後、戻り配管46を通って圧縮器へ戻される。集滴器リザーバは、分離器30の低圧点であるが、それでもシステムの高圧側にあるので、集滴器リザーバ44内の潤滑剤は、圧縮器の低圧側(吸気側)の圧力よりも高く、この圧力差によって圧縮器10に戻され、そこで、圧縮器の可動部分を潤滑し、シールするのに用いられる。
【0042】
本発明は、「無煙オイル」と共に使用するように設計されており、分離器の第3段27即ち集滴器部分を削除した分離器を使用することができる。無煙潤滑剤は、流体が圧縮器を出て分離器を通過するときに、圧縮ガス内に同伴される「煙」又はエーロゾルを減らし又は無くする。分離器の第3段27を使用すること無く、多くの小さな粒子を小数の大きな粒子に合体させることによるこのエーロゾルの削減は、そのような潤滑剤流体の特性である。潤滑剤流体が圧縮性ガスで圧縮され、同伴潤滑剤を含む圧縮されたガスが分離器を通過すると、同伴ガス内の同伴潤滑剤粒子のサイズ分布が変わり、粒子は、容易に、小数の大きい液滴になる。サイズ分布は、エーロゾルが、存在するとしても短時間存在するようなものである。液滴のサイズ分布は、図2のように変化する。図2の下方左側の曲線は、圧縮流体内の同伴潤滑剤粒子の典型的なサイズ分布を示している。図示のように、「無煙」潤滑剤は、右にずれている曲線である。平均的な粒子サイズは大きくなり、サブミクロン粒子の数は実質的に減っている。分布曲線の上に描かれているのは、分離器の段1、段2及び段3のそれぞれで取り除かれる粒子のサイズを示す線である。図で分かるように、圧縮ガス内に同伴されるサブミクロン粒子が殆ど無く、約5ミクロン未満の粒子が非常に少なく、700ppm未満であり、更に望ましくは100ppm未満であり、最も望ましくは1から15ppmの間で圧縮ガス内に同伴される「無煙」型の潤滑剤を使用すると、段3の集滴器を無くすことができる。同伴潤滑剤の液体を冷媒ガスからなお分離しなければならない場合、分離は、分離器の段1と段2を使用し、段3を削除して容易に行うことができるので、相当な圧力降下が無くなり、システムの作動がより効率的になる。多くの用途において、大きなサイズ分布を有する粒子を凝集させるのに必要な装置は、多様に設計することができ、一般的に用いられている集滴器部分と繊維フィルターを省くことができる。粒子の凝集に用いられる装置は、信頼性があり、定期的な保守も必要ないので、集滴器部分に隣接して配置されている要員通路を取り除くことができる。従って、分離器を小さくできるだけでなく、要員通路に接近するのに必要な追加空間を削減し、この空間を他の用途に利用できるので、分離器の設置空間を更に減らすことができる。以下の幾つかの例では、分離器を水平分離器として説明し図示しているが、水平分離器は、垂直分離器30と入れ替えて使用することもでき、基本的に同じ作動要素を含んでいる。水平分離器か垂直分離器かの選択は、通常は、空間条件に基づいて行われる。
【0043】
例1
「無煙」潤滑剤を使って作動するように設計されている本発明の実施形態を、図3に示す。この一部概略図に示すように、本発明の既存のスクリュー圧縮器202は、圧縮器210と、前記圧縮器210と一体になっているモーター220と、第3段27、従って先行技術の実例に用いられていた集滴器部分40を省いた分離器230とを備えている。図3は、説明用のものであって、本発明をスクリュー圧縮器又は特定の型式のスクリュー圧縮器に限定する意図はなく、雄型/雌型スクリュー圧縮器、単一スクリュー圧縮器又はあらゆるスクリュー圧縮器技術の変更例を含むものとする。圧縮ガスと同伴潤滑剤は、圧縮器放出口212を出て、導管222で分離器230に運ばれる。分離器230は、水平分離器であり、第1ヘッド232、第2ヘッド234及び放出口236を含んでいる。分離器230内には、随意のベーン式ミスト除去器260とメッシュ式ミスト除去器270が備えられている。ベーン式ミスト除去器は、第1段の液滴凝集器であり、流体流から液滴を分離する点でメッシュ式ミスト除去器ほど効果的では無い。図2に戻るが、プレートパックであるのが効果的なベーン式ミスト除去器は、実質的に約15ミクロンまでのサイズの全ての液滴を取り除くのに有用であり、一方、メッシュパッド又はメッシュ式ミスト除去器は、約5ミクロンまでの液滴を効果的に取り除くことができる。高速で移動して導管222を通り分離器に入る圧縮流体は、先行技術の設計の場合と同様に導管を出る。導管を出ると流体は膨張するので、流体の速度は落ちる。この高圧流体は、次に、ここでは第1ヘッド232である障壁に当たり、ここでも先行技術の設計の場合と同様に、図示の通り方向が変わる。同伴潤滑剤の一部は、第1ヘッド232との接触の結果として凝集し、70ミクロン程度の小サイズの液滴は、分離器の底部238に分離される。しかしながら、エーロゾルは、通常「無煙潤滑剤」で形成されてはおらず、形成されたとしても、この第1段で、残っている粒子が凝集して大きなサイズの液滴になるので直ぐに排除される。
【0044】
同伴潤滑剤は、約70ミクロン未満の液滴と、少量の約0.3ミクロン程度の小さい液滴を含んでおり、ガス流れで運ばれる。しかしながら、図2に示しているように、潤滑剤の液滴の実質的な部分のサイズ分布は十分に大きいので、この少数のサブミクロン液滴が、除去しなければ分離器から圧縮ガス流れで運び出されてしまうことになる標準的な潤滑剤ほどに特徴的なエーロゾルを形成することはない。しかしながら、ガスが分離器ユニットを離れる前に、高速度の圧縮ガスの流れから、残っている同伴液滴のできるだけ多くを除去するのが望ましい。粒子サイズ分布における平均的な粒子サイズは、より大きな粒子サイズに移行しており、従来の非「無煙」潤滑剤の場合よりも粒子の数が少ないので、これらの粒子を除去するには、図2に示している先行技術の場合とは異なる構造を効果的に利用している。この実施形態では、圧縮ガスと同伴潤滑剤は、段2に移行する。この実施形態では、段2は、ベーン式ミスト除去器とメッシュ式ミスト除去器の両方を含んでいる。大きな液滴は、複数の半径方向に向いたプレートを有しプレートの間に通路が設けられている流体の流れ経路内の円周構造体であるベーン式ミスト除去器を最初に通過することによって除去される。プレートは、先細翼形で、翼に沿って流れる流体の圧力降下を最小にし、翼に沿って流れる流体の流れが、必要であれば渦を巻いた流体となるように向けるよう設計されている。ベーンは、固定式でも可変式でもよい。可変式の場合、ベーンのピッチを流体の速度によって変えることができる。潤滑剤の液滴は、このベーン式ミスト除去器のプレート上で凝集する。ベーン式ミスト除去器は、耐久性のある材料であればどの様な材料で作ってもよいが、金属製のベーン式ミスト除去器は、特に寿命が長く、保守が殆ど必要無いことが分かっている。凝集した潤滑剤の液滴は、合体してリザーバ238へ落ちる。ベーン式ミスト除去器は、約40ミクロンより大きい液滴の99.9%と、約15ミクロンより大きい液滴の約90%を有効に取り除くことができる。これらの説明において、液滴分布には様々なサイズの粒子が多数含まれているものと理解頂きたい。特定の構造を含む段が、論じているサイズ範囲より小さい少しの粒子と、論じているサイズ範囲内の実質的に全ての粒子を取り除いたとしても、一般低にサイズ分布の低い方の端部の統計的に非常に少量の粒子は、構造を通り抜けることになる。
【0045】
ベーン式ミスト除去器260を通過する流体は、取り除かねばならない小数の約15ミクロンより大きい液滴と約15ミクロンより小さい液滴を含んでいる。次に流体は、メッシュ式ミスト除去器270を通過する。メッシュ式ミスト除去器は、1つ又は2つのスクリーン又はパッドで構成されている。ワイヤーメッシュ式パッドは、通常、約5ミクロン以上のサイズの液滴と、約5ミクロンより小さい少量の粒子を取り除く。メッシュ式パッドは、5ミクロンより小さく約1−2ミクロンまでの粒子を取り除くように設計されているが、圧力降下が伴う。しかしながら、図2に示すように、「無煙」潤滑剤の粒子のサイズ分布は、約5ミクロン未満の粒子の数(及び粒子の重量百分率)が少なくなるように変わっているので、細かい潤滑剤粒子を合体させる能力は必要無い。つまり、この「無煙」潤滑剤内で凝集した粒子は、非無煙潤滑剤内でのものより小数で大きく、エーロゾルとしてガス内に同伴されないので、流体に、大きな表面領域を有する細かいストランドを備えた材料を通過させることなく、構造上に凝集させることによって、粒子をガス流から容易に分離させることができる。潤滑剤は凝集する傾向があるため、5ミクロンより小さい粒子の数は相当に減るので、これらの粒子の幾つかが段2で分離されず下流に逃れても、これらの逃れた粒子は、潤滑剤の非常に僅かな体積分率を占めるに過ぎない。
【0046】
凝集した潤滑剤は、冷却用に用いられる閉じたシステムでは少量の溶解した冷媒を含んでいる。主オイルリザーバとして働いている分離器の底部38の液体は、圧縮器10に戻され、ベアリング及び他の可動部分を潤滑する。潤滑剤は、ろ過され、冷却され、主圧縮器へ戻される。ポンプ(図1に図示せず)は、戻りループ内に含まれている。メッシュパッドは、5ミクロン以上のサイズを有する液滴の99.9%までを取り除くのに有効であり、もっと小さい液滴を捕捉することもできる。メッシュパッドは、耐久性のある材料であればどの様な材料で作ってもよいが、金属製のワイヤーパッドは、特に寿命が長く、保守も殆ど必要ない。このため、先行技術の第2ヘッド34の要員通路48の様な要員通路/ハンドホールを省くことができる。メッシュの開口部は様々であってよいが、5ミクロン以上の粒子を流体から間違いなく分離できるほどのメッシュサイズを有していなければならない。この分離を実現するには、メッシュサイズを、0.011”程度に小さくすればよい。同伴液滴を取り除くのにプレートを用いる場合、通常の機械的な分離装置におけるプレート間隔は、0.1”から0.5”まで様々である。メッシュもプレートも、潤滑剤液滴の凝集に必要な追加表面領域を提供する。凝集する潤滑剤の液滴は、合体してリザーバ238に滴下する。5ミクロンの液滴を取り除くように設計されているメッシュ式ミスト除去器270を通ると幾らか圧力が降下するが、その圧力降下は、第3段集滴器を使用している先行技術装置の場合に必要な、メッシュ式ミスト除去器から凝集した流体の独立したリザーバを必要とするほど深刻ではない。凝集した流体は、全て、先行技術でもそうであるように、ろ過及び冷却の後で、重力によってリザーバ238に流れ、潤滑剤圧縮器210へ戻される。従って、第3段の集滴器からの冷却液を、ろ過して、圧縮器の低圧部分へ送り返すのに必要な、先行技術の設計で必要な追加構造も、「無煙」潤滑剤と結び付けて用いられる本発明の設計では省くことができる。
【0047】
液滴のサイズと、ガス速度と、液滴をガス流から分離するための構造の間の相互関係を更に良く理解するため、ガス速度対液滴サイズの関係を示している図4について述べる。図4を見ると分かるように、同伴液滴が大きくなり、ゆっくり移動するほど、液滴は、ガス流から容易に取り出せるようになる。これは、図4の左上側曲線が示している。逆に、動きが速い小さい粒子は、図4の右下の曲線が示しているように、ガス流内に再び同伴される。段2と段3の構造に関する典型的な液滴の除去が、このグラフに重ねられている。ベーン式ミスト除去器260の様なプレートパックは、大きな液滴の除去に有効である。第3段の集滴器40は、エーロゾルを取り出すのに有効であり、メッシュ式ミスト除去器270は、液滴の除去に関して、これらの2つの中間である。潤滑剤がエーロゾル、つまりサブミクロンの液滴を生成するシステムでは、集滴器40の様な、これらのサブミクロンの液滴を除去する第3段の構造を含む必要がある。しかしながら、潤滑剤が、エーロゾルの形成を回避して大きな液滴を形成する場合は、同伴潤滑剤を取り除くのにメッシュ式ミスト除去器270及びベーン式ミスト除去器260の様な構造を使用して、経費が掛かり保守も必要な第3段の集滴器部分40を省くことができる。
【0048】
図1のスクリュー圧縮器システムは、現在市販されている冷媒システムを使って運転することができる。第3段の集滴器フィルターを取り外して、ベーン式ミスト除去器及びメッシュ式ミスト除去器に取り替えると、分離器は、図3に示すような構成になる。しかしながら、冷媒システムの潤滑剤は、この構成では「無煙」潤滑剤に置き換えられる。「無煙」潤滑剤の代替品は、ミシガン州ミッドランドのCPIから入手することができる。この「無煙」潤滑剤は、市販されているFRICK#9の様なアンモニアベースのシステムで使用するように設計されている、不詳の添加剤を含むミネラルベースのオイルであることが知られている。市販されている冷媒システムのリストを図9に示すが、一般的な呼称だけでなく、冷媒の種類と潤滑剤の種類も示している。比較のため、各試験では、圧縮器システムを同一の条件の下で運転している。システムの性能は、分離器の放出口における冷媒内の潤滑剤含有量に基づいており、選択された潤滑剤によって変わる。試験は、分離器で、エーロゾルを形成する潤滑剤を使って、集滴器フィルターを装着して、そして集滴器フィルターを取り外して、実行した。集滴器フィルターを装着した状態では、放出口の冷媒ガスで約6ppmの潤滑剤が測定された。集滴器フィルターを取り外すと、第3段の集滴器フィルターを通過することで流体圧が低下することはないので、放出圧は相当に高いが、放出口の冷媒ガスで約1000−1500ppmの潤滑剤が測定された。本発明の無煙潤滑剤を使用し、分離器を図3に示しているように構成すると、即ち第3段無しで構成すると、第3段付の従来の潤滑剤の性能を再現するには、放出口における冷媒で10ppmの最大値が許容される。この数値は、第3段の集滴器を装着して測定された6ppmと統計的な有意差はない。上記の天然ガスの圧縮で用いられる様な開回路システムでは、放出口における10ppmの最大値は、許容量の潤滑剤と考えられるが、一般的には6ppmの方が優れている。開回路におけるこの許容可能な量は、放出口における潤滑剤の許容量が500ppm、望ましくは300ppmである冷却器の様な閉ループシステムの場合とは異なっている。先に論じたように、蒸発器の効率にも関わるので、放出口における潤滑剤の量は最小化するのが望ましい。しかしながら、この開ループシステムでは、圧力降下は、集滴器フィルターが装着されている場合よりも相当に少ない。この構成におけるガスの放出圧は、第3段を取り外してエーロゾルを同伴しているガスの放出圧と同様である。無煙潤滑剤を使用し、ベーン式ミスト除去器とメッシュ式ミスト除去器を備えているが集滴器フィルターを備えていない圧縮器システムの分離器は、集滴器フィルターを備え、従来形の潤滑剤を使用する分離器と、潤滑剤分離に関しては同等の性能を示し、(圧力降下が無いために)圧力に関してはそれより優れた性能を示す。従って、無煙潤滑剤を使用し、集滴器フィルターを備えていない圧縮器システムは、潤滑剤の同伴がほぼ同じの優れた効率を提示することになる。
【0049】
例2
「無煙」潤滑剤で作動するように設計されている本発明の第2実施形態を、図5に記載している。この設計は、凝集した流体用のリザーバが分離器の外にあること以外は、図3に記載した設計と同様である。この一部概略図に示すように、本発明の既存のスクリュー圧縮器402は、圧縮器410と、圧縮器410と一体になっているモーター420と、先行技術の実例で利用されている第3段の集滴器部分40を省いた分離器430とを備えている。同伴潤滑剤を含む圧縮ガスは、圧縮器放出口412を出て、導管422によって分離器430へ運ばれる。分離器430は、水平分離器であり、第1ヘッド432、第2ヘッド434及び放出口436を有している。分離器内には、ベーン式ミスト除去器460とメッシュ式ミスト除去器470がある。高速で移動し、導管422を通って分離器に入る圧縮流体は、先行技術の設計の場合と同様に導管を出る。流体は、導管を出ると膨張するので、速度が低下する。この高圧流体は、次に、ここでは第1ヘッド432である障壁に当たり、ここでも先行技術の設計の場合と同様に、図示のように方向が変わる。
【0050】
第1ヘッド432と接触した結果として凝集した同伴潤滑剤の一部は、分離して、分離器438の底部に流れ、次いで外部リザーバ439に流れ込む。図4に示すように、リザーバ439は、分離器430の下方に配置されている。この設計では、分離器430の底は、必ずしもではないが、導管441に向かって僅かな斜面になっている。導管441は、外部リザーバ439を分離器430に接続しており、斜面は、凝集した流体が、分離器430から外部リザーバ439へ重力で動き易いようにしている。潤滑剤が外部リザーバ439から分離器430へ逆流するのを防ぐため、導管441には逆止弁が設けられている。替わりに、外部リザーバを、分離器に隣接するか、分離器より上に配置して、潤滑剤のレベルが分離器439内の所定のレベルに達したときには、浮動弁を作動させる等してポンピング又は重力排水によって、凝集した潤滑剤をリザーバに循環させてもよい。
【0051】
潤滑剤は、リザーバ439から圧縮器410へ戻され、そこでベアリングと他の可動部分を潤滑する。潤滑剤は、ろ過され、冷却され、主圧縮器に戻される。外部リザーバの利点は、分離器を小さくできることである。これは、分離器の設置空間は限られているが、遠隔配置の外部リザーバを設置するための空間はある場合に有用である。勿論、第2の独立した構造体の製作には、追加の製造及び原材料費が必要になる。設置空間が、海洋装置のような特別の価値がある場合は、これらの費用は、通常、問題にならない。
【0052】
例3
「無煙」潤滑剤で作動するように設計されている本発明の第3実施形態を、図6に記載している。この設計は、分離器530に入る際には高速で移動している圧縮流体が、導管522を出た後、分離器530内の導管出口に直ぐ隣接して配置されている遠心分離器533を通過することを除き、図3に記載されている設計と同様である。この一部概略図に示すように、本発明の既存のスクリュー圧縮器502は、圧縮器510と、圧縮器510と一体になっているモーター520と、先行技術の実例で利用されている第3段の集滴器部分40を省いている分離器530とを備えている。冷媒と同伴潤滑剤から成る圧縮流体は、圧縮器放出口512を出て、導管522で分離器530へ運ばれる。分離器530は、水平分離器であり、第1ヘッド532、第2ヘッド534及び放出口536を有している。高速で移動し、導管522を通って分離器に入った圧縮流体は、先行技術の設計の場合と同様に導管を出る。流体は、導管を出ると膨張するので、速度が低下する。この高圧流体は、次に、ここでは第1ヘッド432である障壁に当たり、方向が変わり、図示の様に、直ぐに遠心分離器533に向かう。遠心分離器533は、第1ヘッド532から第2ヘッド534へ伸張する分離器530の中心線に対して半径方向に取り付けられている一連の固定された弓状のベーンを備えている。遠心分離器に入る流体の一部は、ベーン上で凝集し、重力によってリザーバ538へ滴下する。この図6は、内部リザーバを描いているが、当業者には理解頂けるように、この実施形態では、例2で述べた様な外部リザーバを使うことも考えられる。
【0053】
遠心分離器の弓状のベーンは、流体が通過する際に、流体に回転を与える。遠心分離器533は、中を通過する流体に慣性効果を与える。流体流の速度は、実質的に一定であり、遠心力は、より高い運動量を有する液滴、即ち大きなサイズの液滴を、流れから取り除き、従って分離させる。遠心分離器は、流体の流れの中の液滴の方向を変更するが、その様な分離器を出る流体流は、速度の実質的な損失を被らない。更に、渦又は回転は、遠心分離器533を出る流体が、分離器530の壁に衝突するように設計されている。これによって、更なる液滴が凝集し、重力によってリザーバ538に滴下することになる。流れから潤滑剤の液滴を取り除く際の遠心分離器533の効力次第では、分離器530からベーン式ミスト除去器560を取り除くこともできる。メッシュ式ミスト除去器570は、約5ミクロンまでのサイズの液滴を分離するため、分離器560の構成要素として残る。しかしながら、ベーン式ミスト除去器を省くと、分離器530のサイズを更に小さくすることができる。圧縮器510への潤滑剤の戻りと、放出口を通って圧縮システムの他の部分へ到る冷媒ガスの流れは、この実施形態では変更していない。
【0054】
例4
「無煙」潤滑剤で作動するように設計されている本発明の別の変更例を、図7に記載している。この設計は、高速で移動する圧縮流体を運ぶ導管622が、分離器630に入る際に、下向きに、事前選択された深さの潤滑剤のプール内へ、導管622の出口が潤滑剤のプールの液面下所定の距離に達するまで伸張していることを除き、図2に記載されている設計と同様である。流体は、導管622を出ると、分離器630内の潤滑剤プールに流れ込む。流体は、導管622からの出口で速度が低下するが、なお相当な速度を有している。流体は、潤滑剤プールに流れ込んで通過するときに、更なる液滴を形成するが、これらの液滴は、潤滑剤の凝集する特性の故に、分離器の後の段で流体流から容易に取り除けるほど大きい。この実施形態の利点は、流体が分離器630内の導管を出るときに、流体流内の全てのエーロゾルが潤滑剤プール内の潤滑剤流体と接触し、エーロゾルが大きな液滴に凝集するか、潤滑剤プール内へと凝集する際に実現される。また、この一部概略図に示すように、既存のスクリュー圧縮器のシステム602は、圧縮器610と、圧縮器610と一体になっているモーター620と、分離器630とを備えている。分離器630は、流体流が分離器630を通過して放出口636へ流れるときに、流体流内の同伴液滴を取り除くようにベーン式ミスト除去器660とメッシュ式ミスト除去器670とを有している。凝集した潤滑剤は、他の実施形態の場合と同様に、重力によって、リサーバとして働いている分離器の底638へ流れ、そこから循環して戻されて、圧縮器の可動部分を潤滑する。
【0055】
例5
「無煙」潤滑剤で作動するように設計されている本発明の第5実施形態を、図8に記載している。分離器730は、実質的には、図3に記載されている分離器230と、構造及び作動において機械的に同じである。この一部概略図に示すように、本スクリュー圧縮器システム702の実施形態は、圧縮器710と、圧縮器710と一体になっているモーター720と、分離器730とを備えている。先行技術の実例で利用されている分離器の第3段の集滴器部分40は、省かれている。圧縮ガスと同伴潤滑剤は、この実施形態ではイオン化可能であり、圧縮器放出口712を出て、導管722によって分離器730へ運ばれる。一般的に、潤滑剤とその添加物は容易にイオン化可能である。分離器730は、水平分離器であり、第1ヘッド732、第2ヘッド734及び放出口736を有している。分離器内には、随意のベーン式ミスト除去器760とメッシュ式ミスト除去器770が備えられている。高速で移動し導管722を通って分離器に入る、同伴潤滑剤を含む圧縮流体は、先行技術の設計の場合と同様に導管を出る。流体は、導管を出ると膨張するので、速度が低下する。この高圧流体は、次に、ここでは第1ヘッド732である障壁に当たり、ここでも先行技術の設計の場合と同様に、図示の様に方向が変わる。同伴潤滑剤の一部は、第1ヘッド732との接触の結果として凝集して分離し、分離器の底部738に滴下する。液滴は、残っている潤滑剤流内に同伴されているが、「無煙潤滑剤」ではエーロゾルは形成されない。分離器730は、第2段に随意のベーン式ミスト除去器760とメッシュ式ミスト除去器770とを含んでいる。この実施形態では、第2段で、電圧電位差が、ここでは随意のベーン式ミスト除去器760とメッシュ式ミスト除去器770の間に適用される。圧縮ガスは電界の影響を受けないが、ベーン式ミスト除去器760を通過する潤滑剤の液滴は正又は負に帯電される。メッシュ式ミスト除去器が液滴を凝縮するのにその機能を実行する間に、帯電した潤滑剤の液滴は、逆に帯電しているメッシュ式ミスト除去器に引き寄せられ、ガス流からの同伴液滴の除去性能を更に改良する。
【0056】
ベーン式ミスト除去器760とメッシュ式ミスト除去器770は、電位を掛けるのに便利な既存構造であるが、この実施形態は、これらの2つの構造の間に電位を掛けることに限定されるものではない。説明している概念は、分離器内のイオン化可能な潤滑剤の液滴を帯電させることであり、流体流が放出口736を通って分離器を出る前に、逆に帯電している構造を利用して、流体流から液滴を取り除くことである。従って、液滴を効果的にイオン化できるのであれば、どの様な構造を使用してもよい。それは、別に付加される構造であってもよいし、既存の構造であってもよい。例えば、導管722からの流体流の出口点とメッシュ式ミスト除去器770の下流、即ちメッシュ式ミスト除去器770と放出口736との間の付加された(図示せず)構造との間の電位を使って、段1又は2で分離されていない液滴を帯電させ分離してもよい。電位は、流体流内に残っている小さな液滴を帯電させて取り除けるように、ベーン式ミスト除去器とメッシュ式ミスト除去器770の間か、又はメッシュ式ミスト除去器と放出口との間に掛けるのが望ましい。掛けられる電位は、多数の迅速に移動している液滴を帯電させられるほどでなければならない。標準的なスクリュー圧縮器では、少なくとも500ボルトの電位が必要で、約1000ボルトであれば望ましい。作業員の負傷を回避し事故の可能性を排除するために、注意を払わねばならない。従って、電位を掛ける構造は、分離器の他の部分から、細心の注意を払って電気的に絶縁しなければならない。更に、アーク放電を避けなければならないので、アーク放電を起こさない電子機器を使用することが望ましい。
【0057】
例6
図10は、無煙潤滑剤と共に使用するように設計されている1つの垂直分離器装置を示している。分離器1030は、実質的に垂直な軸を有する円筒形の容器である。圧縮器(図示せず)からの同伴潤滑剤を含む圧縮ガスは、導管1032を通ってシリンダに入る。導管1032は、シリンダの軸に対して実質的に垂直に配置され、同伴潤滑剤を含む圧縮ガスがシリンダの壁に接線方向に入る際に渦ができるようになっている。ガス放出口1040は、シリンダ内に、図示の様なメッシュ式ミスト除去器でもベーン式ミスト除去器でもよい回収構造1050の上方へと下向きに伸張している。好適な実施形態ではメッシュ式ミスト除去器である回収構造の直ぐ下に、潤滑剤を回収するための溜め1054がある。溜め1054の底の放出パイプ1060は、回収された潤滑剤を圧縮器へ送り返すために圧縮器の入り口に接続されている。圧縮ガスと同伴潤滑剤が円筒形の容器に接線方向に入るときに、流体は壁に接触する。流体の速度は、壁との接触によって遅くなり、円筒形の壁上で凝集した潤滑剤の液滴は、溜め1060に滴下する。円筒形の壁によって作られた渦は、追加の液滴を、遠心力によって凝集して臨界サイズに達するとガス流から取り除く。圧縮ガスと同伴流体が下向きに動くときに、大きな粒子が、臨界サイズに達すると重力によって分離される。圧縮ガスと同伴潤滑剤が、ガス放出口1040に向かって下向きに引かれると、ガスと潤滑剤は回収構造1050と接触するが、この回収構造1050は、ガスと潤滑剤がこれと接触はするが、放出口1040へのガスの流れを妨げないだけの距離を保ってガス放出口1040に隣接して配置されており、潤滑剤が、更に回収構造1050の表面で凝集し、溜め1054に滴下するようになっている。先行技術の実例で用いられている分離器の第3段の集滴器部分は、省かれている。この装置は、圧縮ガスと同伴潤滑剤を分離する垂直分離器の一例に過ぎない。回収構造1050は、シリンダ内の何処に配置してもよく、入口1040にあってもよい。回収構造は、渦状のガス流内に半径方向に向けられたベーン式ミスト除去器でもよいし、ベーン式ミスト除去器とメッシュ式ミスト除去器のどの様な組み合わせでもよい。
【0058】
以上、本発明の有用な態様について、スクリュー冷水器に用いられている様なスクリュー圧縮器、又は天然ガスの圧縮などのためのスクリュー圧縮器に関して説明した。これらのスクリュー圧縮器では、無煙潤滑剤が潤滑剤のエーロゾル化を防ぐので、オイルの液滴が、表面張力効果と分子間引力の結果である潤滑剤の固有の凝集特性によって大きなサイズの粒子に凝集し、分離器の第3段としてここで説明している集滴器部分を使用すること無しに、これをガス流から取り除くことができ、それによって分離器の経費とサイズを低減し、集滴器部分の保守の必要性と、これに伴う集滴器部分へのアクセスの要件、及び先に論じたようなそのようなアクセスに伴う問題を無くしている。
【0059】
先に説明した用件を満たすものであれば、どの様な潤滑剤でも使用できるが、適切で好適な「無煙」潤滑剤は、ミシガン州ミッドランドのCPIから入手することができる。この「無煙」潤滑剤は、FRICK#9として市販されているアンモニアベースの冷媒と共に使用するように設計されている、不詳の添加剤を含むミネラルベースのオイルとして知られている。しかしながら、これらの不詳の添加剤は、「無煙」潤滑剤を作るために、他のミネラルオイルや、ヨーク「C」、ヨーク「H」、ヨーク「K」等として当該技術分野で識別されているオイルの様なPOEオイルと共に用いることができる。ミシガン州ミッドランドのCPIから入手できるもう一つの適切な「無煙潤滑剤」は、Frick#13として市販されている冷媒134aと共に使用するように設計されている、不詳の添加剤を含むポリオールエステルベース(POE)のオイルである。
【0060】
冷媒と適合性があることに加えて、潤滑剤の表面張力は、冷媒を含む流体として圧縮されたときに、潤滑剤がエーロゾルを形成しないようにし、或いは、エーロゾルを形成する場合には、迅速に合体して0.6ミクロンを超える液滴、望ましくはサブミクロンを上回る(1ミクロン以上)液滴を形成するようなものでなければならない。これらの液滴は、通常、圧縮ガスが細かい繊維フィルターを通過するときに必ず起きる圧縮ガスの速度低下を引き起こすことなく、適切な表面上で凝集することができる。更に、潤滑剤を冷媒と共に、図7の例5に示している様な実施形態で用いようとする場合、潤滑剤はイオン化可能でなければならないが、冷媒はイオン化不可能でなければならない。冷媒とガスは、非爆発性且つ非燃焼性でなければならない。
【0061】
以上、本発明を、好適な実施形態を参照しながら説明してきたが、当業者には理解頂けるように、本発明の範囲から逸脱すること無く、様々な変更を加え、その要素を等価物と置き換えることができる。更に、本発明の基本的範囲から逸脱すること無く、多くの修正を加え、特定の状況又は材料を本発明の教示に適合させることができる。従って、本発明は、本発明を実施するために考案された最良の形態として開示されている特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に含まれる全ての実施形態を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】従来型の潤滑剤を使用する先行技術による圧縮器システムの一部分の概略図である。
【図2】同伴「無煙」潤滑剤を有する圧縮ガスと同伴既存潤滑剤を有する圧縮ガスの圧縮後の、粒子サイズの分布を示すグラフである。
【図3】ガス流から無煙オイルを分離するための集滴器部分を備えていない潤滑剤分離器を使用している本発明の圧縮器システムの一部分の概略図である。
【図4】様々な潤滑剤液滴分離機構の有効性を、流体速度と粒子寸法の関数として示しているグラフである。
【図5】無煙オイルをガス流から分離するための、独立した潤滑剤リザーバを有し、且つ集滴器部分を備えていない潤滑剤分離器を使用している本発明の圧縮器システムの概略図である。
【図6】無煙オイルをガス流から分離するための、第1段遠心分離器を有し、且つ集滴器部分を備えていない潤滑剤分離器を使用している本発明の圧縮器システムの概略図である。
【図7】冷媒ガスに潤滑剤プールを通過させ、且つ無煙オイルをガス流から分離するための集滴器部分を備えていない、潤滑剤分離器を使用している本発明の圧縮器システムの概略図である。
【図8】潤滑剤の粒子を帯電させるための電界を有し、且つ無煙オイルをガス流から分離するための集滴器部分を備えていない潤滑剤分離器を使用している本発明の圧縮器システムの概略図である。
【図9】冷媒の分類区分とオイルの種類を識別する、市販の冷媒システムの表である。
【図10】メッシュ式ミスト除去器を有する垂直分離器を使用している本発明の圧縮器システムの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容積式圧縮器と共に使用するための液体/気体分離器において、
実質的に円筒形の容器であって、第1端部及び反対側の第2端部と、前記両端部の間に伸張している円筒形のシェルと、第1位置で前記容器に開口している入口と、第2位置の放出口と、を有する容器と、
同伴潤滑剤と圧縮ガスの混合物から成る流体の放出流を前記圧縮器から受け入れ、前記流体を前記容器の前記入口へ送るための導管と、
前記流体の流れが前記入口を出るときに前記流体の流れの方向を変えるために、前記容器内に前記入口に隣接して表面を有している第1構造体であって、前記表面上で潤滑剤の液滴を凝集し、前記凝集した液滴は、重力によって、溜めとして作用する前記容器の底に集積する、第1構造体と、
前記流体が前記出口に達する前に前記流体の流路内に配置されている少なくとも1つの合体構造体であって、前記圧縮ガスと前記潤滑剤に対して不活性な材料で構成されており、前記流体は、前記合体構造体の表面上を通過する際に、約5ミクロン以上のサイズの潤滑剤の残りの液滴を合体させ、残っている流体は、実質的に潤滑剤の液滴を含まない圧縮ガスであり、前記圧縮ガスは前記容器の前記放出口へ流れ、前記容器は、前記少なくとも1つの合体構造体と前記放出口の間に繊維の合体フィルターを備えておらず、それでも、前記圧縮ガスは、約700ppm未満の同伴潤滑剤しか含んでいないことを特徴としている、合体構造体と、を備えている分離器。
【請求項2】
前記流体の流れが前記入口を出るときに前記流体の流れの方向を変える前記容器内の前記第1構造体は、前記容器の壁である、請求項1に記載の液体/気体分離器。
【請求項3】
前記少なくとも1つの合体構造体は、ベーン式ミスト除去器を構成する複数のプレートであり、前記ベーン式ミスト除去器は、前記流体の流れの方向が変わった後の前記流体の流路内に設けられた、半径方向に向いた翼の円周方向構造体である、請求項1に記載の液体/気体分離器。
【請求項4】
前記翼は、それらの翼を通って流れる前記流体の圧力降下を最小化するため先細になっている、請求項3に記載の液体/気体分離器。
【請求項5】
前記複数のプレートの隣接するプレート同士は、0.011−0.250”の距離だけ離れている、請求項3に記載の液体/気体分離器。
【請求項6】
前記ベーン式ミスト除去器は、前記流体から、約30ミクロンを上回る直径を有する同伴液滴の約99.9%を取り除く、請求項1に記載の液体/気体分離器。
【請求項7】
前記ベーン式ミスト除去器は、更に、前記流体から、約15ミクロンを上回る直径を有する同伴液滴の約90%を取り除く、請求項6に記載の液体/気体分離器。
【請求項8】
前記少なくとも1つの合体構造体は、前記圧縮ガスと前記潤滑剤に対して不活性な材料のメッシュで構成されているメッシュ式ミスト除去器である、請求項1に記載の液体/気体分離器。
【請求項9】
前記メッシュ式ミスト除去器は、前記流体から、約5ミクロンを上回る直径を有する同伴液滴の約99.9%を取り除く、請求項8に記載の液体/気体分離器。
【請求項10】
前記少なくとも1つのメッシュ式ミスト除去器は、更に、ステンレス鋼、プラスチックモノフィラメント、ニッケルベースの合金及びそれらの組み合わせから成るグループから選択された材料を備えている、請求項8に記載の液体/気体分離器。
【請求項11】
前記凝集した流体の液滴を保管するための一体型流体リザーバを更に含んでいる、請求項1に記載の液体/気体分離器。
【請求項12】
前記凝集した流体の液滴を保管するための外部流体リザーバを更に含んでいる、請求項1に記載の液体/気体分離器。
【請求項13】
前記第1構造体と前記少なくとも1つの合体構造体の間に遠心分離器を更に含んでいて、前記流体の流は、流れの方向を変えられた後、前記遠心分離器に向けられるようになっており、前記遠心分離器は、前記遠心分離器の中心線に対して半径方向に取り付けられている複数の固定された弓状のベーンを備えており、前記弓状のベーンは、ベーンの表面上で流体の液滴を凝集し、前記流体の流れに回転を与えて、大きな液滴が、前記回転によって与えられた遠心力で前記流体の流れから取り除かれるようになっている、請求項1に記載の液体/気体分離器。
【請求項14】
前記少なくとも1つの合体構造体は、遠心分離器とメッシュ式ミスト除去器とを含んでいて、前記流体の流れは、流れの方向を変えられた後、前記遠心分離器に向けられ、その後、前記メッシュ式ミスト除去器に向けられるようになっており、前記遠心分離器は、前記遠心分離器の中心線に対して半径方向に取り付けられている複数の固定された弓状のベーンを備えており、前記弓状のベーンは、ベーンの表面上で流体の液滴の一部を凝集し、前記流体の流れに回転を与えて、大きな液滴が、前記回転によって与えられた遠心力で前記流体の流れから取り除かれるようになっている、請求項1に記載の液体/気体分離器。
【請求項15】
少なくとも前記同伴潤滑剤はイオン化可能であり、前記ガスはイオン化不可能であり、前記分離器は前記容器に接続されている電圧源を更に含んでいて、前記入口と前記出口の間に電位差を作り出して、前記流体の流れの中の潤滑剤の液滴をイオン化させ、前記流れが前記分離器を出る前に、逆に帯電した構造体に付着させるようになっている、請求項1に記載の液体/気体分離器。
【請求項16】
前記電位は、0.6−40ミクロンのサイズ範囲にある大量の迅速に移動する粒子を帯電させるに十分である、請求項15に記載の液体/気体分離器。
【請求項17】
電位は、少なくとも約500ボルトである、請求項16に記載の液体/気体分離器。
【請求項18】
電位は、約1000ボルトである、請求項17に記載の液体/気体分離器。
【請求項19】
前記電圧源は、アーク放電を起こさない電子機器を更に備えている、請求項15に記載の液体/気体分離器。
【請求項20】
スクリュー圧縮器と共に使用するための液体/気体分離器において、
実質的に円筒形の容器であって、第1端部及び反対側の第2端部と、前記両端部の間に伸張している円筒形のシェルと、第1位置で前記容器に開口している入口と、第2位置の放出口と、を有する容器と、
前記容器内の潤滑剤のプールと、
無煙潤滑剤と圧縮ガスの混合物から成る流体の放出流を前記圧縮器から受け入れ、前記流体の流れを前記潤滑剤のプールへ送り、更に、前記流体流の中の潤滑剤の細かい液滴がエーロゾルを形成すること無く大きな液滴を形成するように、前記流体を前記容器の前記入口へ送るための導管と、
前記潤滑剤のプールと前記出口の間に配置されている少なくとも1つのメッシュ式ミスト除去器であって、前記圧縮流体に対して不活性な材料のメッシュを有しており、前記メッシュの表面を通過する前記流体は、約5ミクロン以上のサイズの無煙潤滑剤の残りの液滴を合体させ、残っている流体は、エーロゾルを実質的に含んでいない圧縮ガスであり、前記容器の前記第2端部の前記放出口へ流れて、そこで前記圧縮ガスは熱交換器へ送られ、前記容器は、前記少なくとも1つのメッシュ式ミスト除去器と前記放出口の間に繊維の合体フィルターを備えていないことを特徴とする、メッシュ式ミスト除去器と、を備えている液体/気体分離器。
【請求項21】
蒸気流体圧縮システムにおいて、
圧縮性ガスと無煙潤滑剤の混合物を含んでいる圧縮性流体であって、前記無煙潤滑剤は、エーロゾルを形成すること無く、潤滑剤の液滴を迅速に凝集させて約1ミクロン以上のサイズにする固有の霧化特性を特徴とする、圧縮性流体と、
容積式圧縮器であって、前記流体を受け入れるための入口と、前記流体を圧縮するための圧縮器部分と、前記圧縮ガスを同伴する無煙潤滑剤の液滴から分離するための分離器と、前記圧縮器部分を前記分離器に接続するための手段と、前記分離器から圧縮流体を放出するための出口と、を含んでおり、前記分離器は、第1段と第2段を有しており、前記第1段は、約70ミクロン以上の直径を有する前記無煙潤滑剤の液滴の実質的に全てを前記圧縮性ガスから取り除き易くし、前記第2段は、約10ミクロン以上の直径を有する前記無煙潤滑剤の実質的に全てを取り除き易くして、前記第2段の下流の、前記出口から放出される前記圧縮ガスが、約5ミクロン未満の直径を有する約700ppm未満の潤滑剤の液滴しか同伴しないようになっており、前記分離器は、集滴器を備えていないことを更に特徴としている、容積式圧縮器と、を備えている蒸気流体圧縮システム。
【請求項22】
前記第2段の下流の、前記出口から放出される前記圧縮冷媒流体は、約5ミクロン以下の直径を有する約50ppm未満の潤滑剤の液滴しか同伴したいない、請求項21に記載の蒸気流体圧縮システム。
【請求項23】
前記分離器の前記第1段は壁を更に備えており、前記圧縮器部分を前記分離器に接続するための手段は導管であり、前記導管は、前記流体の流れの方向を変えるために前記流体を前記壁に向ける、請求項22に記載の蒸気流体圧縮システム。
【請求項24】
前記分離器の前記第2段は、ベーン式ミスト除去器を更に備えている、請求項22に記載の蒸気流体圧縮システム。
【請求項25】
前記分離器の前記第2段は、メッシュ式ミスト除去器を更に備えている、請求項22に記載の蒸気流体圧縮システム。
【請求項26】
前記容積式圧縮器の圧縮器部分は、スクリュー圧縮器である、請求項23に記載の蒸気流体圧縮システム。
【請求項27】
前記容積式圧縮器の圧縮器部分は、スクロール圧縮器である、請求項23に記載の蒸気流体圧縮システム。
【請求項28】
前記容積式圧縮器の圧縮器部分は、往復式圧縮器である、請求項23に記載の蒸気流体圧縮システム。
【請求項29】
スクリュー圧縮器において、
低圧の無煙潤滑剤と圧縮ガスを含んでいる流体を受け入れるための入り口と、
端壁を有するケーシングの内側で回転可能な軸に取り付けられている少なくとも1つの円筒形のローターであって、前記ローターの外周上には複数のねじと溝とが設けられており、前記少なくとも1つのローターの前記溝は、少なくとも1つの第2ローターと噛み合って、前記溝の中の流体を高圧に圧縮する、ローターと、
前記圧縮された高圧流体を放出するための出口と、
前記少なくとも1つの円筒形のローターの軸を、前記ケーシングの前記端壁で支持するためのベアリングと、前記少なくとも1つの第2ローターの回転を支持するためのベアリングと、
液体/気体分離器であって、
実質的に円筒形の容器であって、第1端部及び反対側の第2端部と、前記両端部の間で伸張している円筒形のシェルと、第1端で前記容器に開口している入口と、第2端の放出口と、を有する容器、
前記高圧流体の流れが前記入口を出るときに前記高圧流体の流れの方向を変えるために、前記容器内に前記入口に近接して表面を有している第1構造体であって、前記表面上で無煙潤滑剤の液滴を凝集し、前記凝集した液滴は、重力によって、前記凝集した液滴を保管するための溜めとして作用する前記容器の底に集積する、第1構造体、
前記第1構造体と前記放出口の間に配置されているベーン式ミスト除去器であって、複数のプレートを備えており、前記流体は、プレート表面を通過して、前記プレート表面上で無煙潤滑剤の液滴を更に凝集する、ベーン式ミスト除去器、
前記ベーン式ミスト除去器と前記放出口の間に配置されている少なくとも1つのメッシュ式ミスト除去器であって、前記圧縮器流体に対して不活性な材料のメッシュで構成されており、前記流体は、前記メッシュの表面を通過して、直径5ミクロン以上の無煙潤滑剤の残りの液滴を合体させ、残っている流体は、潤滑剤の液滴を実質的に含んでいない圧縮性ガスであり、構造の下流に向けて流れるため前記容器の前記第2端の前記放出口へ流れ、前記容器は、更に、前記少なくとも1つのメッシュ式ミスト除去器と前記放出口の間に繊維の合体フィルターを備えていないことを特徴とする、メッシュ式ミスト除去器、
前記圧縮高温流体を前記液体/オイル分離器へ運ぶために前記出口を前記入口へ接続している導管、及び
前記潤滑剤を前記溜めから前記ベアリングへ運ぶ手段、を有する液体/気体分離器と、
を備えているスクリュー圧縮器。
【請求項30】
前記ガスは冷媒ガスである、請求項29に記載のスクリュー圧縮器。
【請求項31】
前記ガスは天然ガスである、請求項29に記載のスクリュー圧縮器。
【請求項32】
前記、端壁を有するケーシングの内側で回転可能な軸に取り付けられている少なくとも1つの円筒形のローターであって、前記ローターの少なくとも一つは外周上に複数のねじと溝とが設けられており、前記少なくとも1つの円筒形のローターは、一対の噛み合う螺旋形ローターを含んでおり、一方のローターは雄型ローターで、他方のローターは雌型ローターであり、各ローターは、端壁を有するケーシングの中で別々の軸に取り付けられており、前記雄型ローターは複数のローブを有しており、前記雌型ローターは複数のインターローブ空間を有しており、前記両ローターが回転する間に、前記ローブと前記インターローブ空間の間に捕捉された流体が圧縮される、請求項29に記載のスクリュー圧縮器。
【請求項33】
前記、端壁を有するケーシングの内側で回転可能な軸に取り付けられている少なくとも1つの円筒形のローターであって、前記ローターの外周上には複数のねじと溝が設けられており、前記少なくとも1つのローターの前記溝は、少なくとも1つの第2ローターと噛み合って、前記溝の中の流体を圧縮し、前記少なくとも1つの円筒形のローターは、軸に取り付けられた複数のねじと溝を備えた螺旋形ローターと、前記螺旋形ローターの前記溝と係合するアームを有する少なくとも1つのゲートローターと、を含んでいて、前記溝の中に捕捉された流体が圧縮されるようになっている、請求項29に記載のスクリュー圧縮器。
【請求項34】
前記容器の前記第2端の前記放出口の下流の構造体は熱交換器である、請求項29に記載のスクリュー圧縮器。
【請求項35】
前記容器の前記第2端の前記放出口の下流の構造体は保管容器である、請求項29に記載のスクリュー圧縮器。
【請求項36】
圧縮システムにおいて、
流体を低圧から高圧高温に圧縮するためのスクリュー圧縮器であって、低圧の無煙潤滑剤と圧縮性ガスを含む前記流体を受け入れるための入り口と、端壁を有するケーシングの内側で別々の軸に取り付けられている2つの円筒形ローターであって、それぞれ、前記ローターの外周に大きなねじを形成する螺旋形に伸張するローブと溝を有しており、一方のローターの前記ローブは、他方のローターのローブと噛み合って、前記流体を圧縮するための圧縮ポケットを形成する、2つの円筒形ローターと、前記圧縮された高圧流体を放出するための出口と、前記ローターの軸を、前記ケーシングの前記端壁に支持するためのベアリングと、液体/気体分離器であって、
実質的に円筒形の容器であって、第1端部及び反対側の第2端部と、前記両端部の間に伸張している円筒形のシェルと、第1位置で前記容器に開口している入口と、第2位置の放出口と、を有する容器、
前記高圧流体の流れが前記入口を出るときに前記高圧流体の流れの方向を変えるために、前記容器内に前記入口に近接して表面を有している第1構造体であって、前記表面上で無煙潤滑剤の液滴を凝集し、前記凝集した液滴は、重力によって、前記凝集した液滴を保管するための溜めとして作用する前記容器の底に集積する、第1構造体、及び
ベーン式ミスト除去器と前記放出口の間に配置されている少なくとも1つのメッシュ式ミスト除去器であって、前記圧縮器流体に対して不活性な材料のメッシュで構成されており、前記流体は、前記メッシュの表面を通過して、5ミクロン以上のサイズの無煙潤滑剤の残りの液滴を合体させ、残りの流体は、潤滑剤の液滴を実質的に含んでいない圧縮性ガスであり、前記容器の前記第2端の前記放出口へ流れ、そこで前記ガスは熱交換器へ送られ、前記容器は、更に、前記少なくとも1つのメッシュ式ミスト除去器と前記放出口の間に繊維の合体フィルターを備えていないことを特徴とし、導管が出口を前記入口と接続して圧縮高温流体を液体/気体分離器に送り、更に潤滑剤を溜めから軸受けに送る手段を有するメッシュ式ミスト除去器を有する液体/気体分離器を有するスクリュー圧縮機と、
熱を前記高温高圧の流体から第1空間へ伝達し、前記流体を低温高圧の液体に凝縮する手段を含んでいるコンデンサーと、
前記流体を前記圧縮器から前記コンデンサーに運ぶ導管と、
前記高圧の液体を受け入れ、前記高圧の液体を低圧の液体に変換するための膨張弁と、
前記液体を前記コンデンサーから前記膨張弁に運ぶ導管と、
熱を第2空間から前記液体へ伝達し、前記液体を低温低圧の圧縮性流体に蒸発させる手段を含んでいるエバポレータと、
前記液体を前記膨張弁から前記エバポレータへ運ぶ導管と、
前記流体を前記エバポレータから前記圧縮器へ運ぶ導管と、を備え、
前記圧縮器システムは、潤滑剤の液滴を実質的に含んでいない圧縮ガス、即ち約500ppm以下の同伴潤滑剤しか有していない圧縮ガスが、前記実質的に円筒形の容器の前記第2端の前記放出口へ流れ、その後、前記ガスが下流に送られるので、前記エバポレータ内には潤滑剤が実質的に存在しないことを特徴としている、圧縮システム。
【請求項37】
圧縮システムにおいて、
流体を低圧から高圧高温に圧縮するためのスクリュー圧縮器であって、低圧の無煙潤滑剤と圧縮性ガスを含む前記流体を受け入れるための入り口と、端壁を有するケーシングの内側で別々の軸に取り付けられている2つの円筒形ローターであって、それぞれ、前記ローターの外周に大きなねじを形成する螺旋形に伸張するローブと溝を有しており、一方のローターの前記ローブは、他方のローターのローブと噛み合って、前記流体を圧縮するための圧縮ポケットを形成する、2つの円筒形ローターと、前記圧縮された高圧流体を放出するための出口と、前記ローターの軸を、前記ケーシングの前記端壁に支持するためのベアリングと、液体/気体分離器とを備え、前記液体/気体分離器が、
実質的に円筒形の容器であって、第1端部及び反対側の第2端部と、前記両端部の間に伸張している円筒形のシェルと、第1位置で前記容器に開口している入口と、第2位置の放出口と、を有する容器、
前記高圧流体の流れが前記入口を出るときに前記高圧流体の流れの方向を変えるために、前記容器内に前記入口に近接して表面を有している第1構造体であって、前記表面上で無煙潤滑剤の液滴を凝集し、前記凝集した液滴は、重力によって、前記凝集した液滴を保管するための溜めとして作用する前記容器の底に集積する、第1構造体、
ベーン式ミスト除去器と前記放出口の間に配置されている少なくとも1つのメッシュ式ミスト除去器であって、前記圧縮器流体に対して不活性な材料のメッシュで構成されており、前記流体は、前記メッシュの表面を通過して、5ミクロン以上のサイズの無煙潤滑剤の残りの液滴を合体させ、残りの流体は、潤滑剤の液滴を実質的に含んでいない圧縮性ガスであり、前記容器の前記第2端の前記放出口へ流れ、そこで前記ガスは熱交換器へ送られ、前記容器は、更に、前記少なくとも1つのメッシュ式ミスト除去器と前記放出口の間に繊維の合体フィルターを備えていないことを特徴とし、導管が出口を前記入口と接続して圧縮高温流体を液体/気体分離器に送り、更に潤滑剤を溜めから軸受けに送る手段を有するメッシュ式ミスト除去器、及び
前記流体を前記圧縮器から保管装置へ運ぶ導管と、を備えて、
前記圧縮器システムは、潤滑剤の液滴を実質的に含んでいない圧縮ガス、即ち約10ppm以下の同伴潤滑剤しか有していない圧縮ガスが、前記実質的に円筒形の容器の前記第2端の前記放出口を通って流れ、その後、前記ガスが下流に送られるので、前記圧縮ガス内には潤滑剤が実質的に存在しないことを特徴としている、圧縮システム。
【請求項38】
前記第1構造体と前記少なくとも1つのメッシュ式ミスト除去器の間に配置されたベーン式ミスト除去器を更に含んでおり、前記ベーン式ミスト除去器は、複数のプレートを備えており、前記流体は、プレート表面を通過して、前記プレート表面上で無煙潤滑剤の液滴を凝集する、請求項32に記載の圧縮システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2006−501985(P2006−501985A)
【公表日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−541937(P2004−541937)
【出願日】平成15年10月1日(2003.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2003/030934
【国際公開番号】WO2004/030792
【国際公開日】平成16年4月15日(2004.4.15)
【出願人】(592035730)ヨーク・インターナショナル・コーポレーション (34)
【氏名又は名称原語表記】YORK INTERNATIONAL CORPORATION
【Fターム(参考)】