説明

無線中継方法、基地局および無線通信システム

【課題】RSとeNBの通信で必要とされる周波数リソースを削減する。
【解決手段】移動局と基地局との間で送受信される無線信号を中継する無線中継方法であって、複数の移動局から送信された送信信号のうち、少なくとも一つの送信信号を中継する際に使用する周波数を、中継しない他の送信信号が割り当てられている周波数の少なくとも一部に重複して割り当てて中継を行なう。上記中継する送信信号の送信に使用する周波数は、周波数軸上で離散的に配置されていてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リレー局が存在する無線通信システムの伝送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
第4世代の携帯電話の無線通信システムとして、LTE(Long Term Evolution)システムをより発展させたLTE−A(LTE−Advanced、IMT−Aなどとも称する)の標準化が行なわれている。
【0003】
LTE−Aシステムでは、カバレッジを改善する技術として、移動局と基地局間の通信を中継する中継局の導入が検討されている(非特許文献1参照)。中継局には、AF(amplify−and−forward)方式とDF(decode−and−forward)方式などの中継方式がある。AF方式の中継局は、受信した信号に対して増幅処理のみを行ない送信するのに対し、DF方式の中継局は復号処理を行ない、誤りがなければ、再度変調して送信する。特に、DF方式では一度復調することから、中継局と基地局間の通信品質に基づいて送信方法を移動局と中継局間のものと変えることが可能である。
【0004】
図16は、上り回線におけるリレーシステムの概念図である。同図では、セル内に基地局(以下、eNBと表す)1に対して同時にアクセス可能な移動局(以下、UEと表す)3−1〜3−4(UE3−1~3−4を合わせてUE3と表す)が存在し、セルエッジに存在するUE3−1の送信信号を中継する中継局(以下、RSと表す)5が存在する。RS5がDF方式による中継を行なう場合に、RS5はUE3−1の信号の復号をした後、eNB1へ送信する信号の生成をするため、中継にオーバヘッド(処理遅延)を要する。そのため、UE3−1の送信タイミングとRS5の送信タイミングが異なるため、互いに干渉にならないよう、次のフレーム(サブフレーム)の送信タイミングで、eNB1から指定された上り回線の周波数リソースを用いて信号を送信する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】3GPP TS 36.216 (V10.1.0) “Evolved Universal Terrestrial Radio Access (E−UTRA) Physical layer for relaying operation”
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、DF方式のRS5のような異なる送信タイミングでの中継では、他の時刻の周波数リソースをRS5が伝送に用いるため、新たな周波数割当(周波数リソース)が必要となり、中継を行なわない場合に比べてより多くのリソース(時間・周波数リソース)が要求される問題があった。
【0007】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、RS5とeNB1の通信で必要とされる周波数リソースを削減する無線中継方法、基地局および無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記の目的を達成するために、本発明は、以下のような手段を講じた。すなわち、本発明の無線中継方法は、移動局と基地局との間で送受信される無線信号を中継する無線中継方法であって、複数の移動局から送信された送信信号のうち、少なくとも一つの送信信号を中継する際に使用する周波数を、中継しない他の送信信号が割り当てられている周波数の少なくとも一部に重複して割り当てて中継を行なうことを特徴としている。
【0009】
このように、中継局が、複数の移動局から送信された送信信号のうち、少なくとも一つの送信信号を中継する際に使用する周波数を、中継しない他の送信信号が割り当てられている周波数の少なくとも一部に重複して割り当てて中継を行なうので、UEとRSが伝送に用いる周波数の直交性を保持する周波数割り当てが必要なくなり、RSを含む無線通信システムの効率的な周波数の使用が可能になるため周波数利用効率を向上させることができる。
【0010】
(2)また、本発明の無線中継方法において、前記中継する送信信号の送信に使用する周波数は、周波数軸上で離散的に配置されていることを特徴としている。
【0011】
このように、中継局は、中継する送信信号の送信に使用する周波数が、周波数軸上で離散的に配置されているので、各々のUEの重複するスペクトルの割合を少なくすることが可能となる。
【0012】
(3)また、本発明の無線中継方法において、前記中継する送信信号の前記基地局における受信電力を、前記中継しない他の送信信号の前記基地局における受信電力よりも高くすることを特徴としている。
【0013】
このように、中継局は、中継する送信信号の前記基地局における受信電力を、中継しない他の送信信号の基地局における受信電力よりも高くするので、受信処理における信号分離がしやすく、伝送特性に対してスペクトルを重複させることによる影響が少なくなり、スループットを改善できる。
【0014】
(4)また、本発明の無線中継方法において、前記中継する送信信号の変調多値数または符号化率のいずれか一方を、前記中継しない他の送信信号の変調多値数または符号化率よりも低くすることを特徴としている。
【0015】
このように、中継局が、中継する送信信号の変調多値数または符号化率のいずれか一方を、中継しない他の送信信号の変調多値数または符号化率よりも低くするので、基地局は、RSとUEのスペクトルを重複して割り当てた信号の分離がしやすくなり、伝送特性へのスペクトルを重複した影響が少なくなり、スループットを改善できる。
【0016】
(5)また、本発明の無線中継方法において、前記中継する送信信号に対する誤り訂正符号化は、前記中継しない他の送信信号に対する誤り訂正符号化とは異なることを特徴としている。
【0017】
このように、中継する送信信号に対する誤り訂正符号化が、中継しない他の送信信号に対する誤り訂正符号化とは異なるので、基地局は、RSとUEのスペクトルを重複して割り当てた信号の分離がしやすくなり、伝送特性へのスペクトルを重複した影響が少なくなり、スループットを改善できる。
【0018】
(6)また、本発明の無線中継方法において、前記中継する送信信号の送信に使用する周波数は、前記移動局から送信された他の送信信号が割り当てられている周波数と同一であることを特徴としている。
【0019】
このように、中継する送信信号の送信に使用する周波数が、前記移動局から送信された他の送信信号が割り当てられている周波数と同一であるので、RSが伝送に用いる周波数位置や帯域幅を変更する必要がなく、簡単な中継処理を実現できる。
【0020】
(7)また、本発明の基地局は、移動局および中継局から無線信号を受信する基地局であって、前記中継局において、複数の移動局から送信された送信信号のうち、少なくとも一つの送信信号を中継する際に使用する周波数を、中継しない他の送信信号が割り当てられている周波数の少なくとも一部に重複して割り当てられて中継された送信信号と、前記各移動局から送信された送信信号とに基づいて、それぞれのレプリカを生成し、生成した各レプリカを干渉除去に用いることによって、前記中継局から送信された送信信号および前記各移動局から送信された送信信号の受信処理を行なうことを特徴としている。
【0021】
このように、少なくとも一つの送信信号を中継する際に使用する周波数を、中継しない他の送信信号が割り当てられている周波数の少なくとも一部に重複して割り当てられて中継された送信信号と、各移動局から送信された送信信号とに基づいて、それぞれのレプリカを生成し、生成した各レプリカを干渉除去に用いることによって、中継局から送信された送信信号および各移動局から送信された送信信号の受信処理を行なうので、基地局は、UEとRSが伝送に用いる周波数の直交性を保持する周波数割り当てが必要なくなり、RSを含む無線通信システムの効率的な周波数の使用が可能になるため周波数利用効率を向上させることができる。
【0022】
(8)また、本発明の基地局において、前記中継局に対し、中継する送信信号の変調多値数または符号化率のいずれか一方を、前記中継しない他の送信信号の変調多値数または符号化率よりも低くする通知を行なうことを特徴としている。
【0023】
このように、基地局は、中継局に対し、中継する送信信号の変調多値数または符号化率のいずれか一方を、中継しない他の送信信号の変調多値数または符号化率よりも低くする通知を行なうので、RSとUEのスペクトルを重複して割り当てた信号の分離がしやすくなり、伝送特性へのスペクトルを重複した影響が少なくなり、スループットを改善できる。
【0024】
(9)また、本発明の基地局において、前記各移動局から送信された送信信号および前記中継局で中継された送信信号のそれぞれを合成する受信処理を行なうことを特徴としている。
【0025】
このように、基地局は、各移動局から送信された送信信号および中継局で中継された送信信号のそれぞれを合成する受信処理を行なうので、RSとUEのスペクトルを重複して割り当てた信号の分離がしやすくなり、伝送特性へのスペクトルを重複した影響が少なくなり、スループットを改善できる。
【0026】
(10)また、本発明の無線通信システムは、移動局、基地局および中継局で構成され、前記中継局が前記移動局と基地局との間で送受信される無線信号を中継する無線通信システムであって、前記中継局は、複数の移動局から送信された送信信号のうち、少なくとも一つの送信信号を中継する際に使用する周波数を、中継しない他の送信信号が割り当てられている周波数の少なくとも一部に重複して割り当てて中継を行なうことを特徴としている。
【0027】
このように、複数の移動局から送信された送信信号のうち、少なくとも一つの送信信号を中継する際に使用する周波数を、中継しない他の送信信号が割り当てられている周波数の少なくとも一部に重複して割り当てて中継を行なうので、基地局は、UEとRSが伝送に用いる周波数の直交性を保持する必要がなくなり、RSを含む無線通信システムの効率的な周波数の使用が可能になるため周波数利用効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明を適用することにより、RS5とeNB1の通信で使用する周波数リソースがRS5を経由しないUE3とeNB1間の通信のリソースを逼迫しないため、周波数利用効率やスループットの向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明のUE3の一例を示すブロック図である。
【図2A】シングルキャリアスペクトルの割り当てを示す図である。
【図2B】離散的な周波数割当を示す図である。
【図3】本発明における1本の送受信アンテナを有するRS5の構成例について説明するブロック図である。
【図4】本発明の受信部203の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明の送信部205の構成の一例を示すブロック図である。
【図6】本発明の第1の実施形態において、RS5、およびRS5を経由せずにデータ伝送された複数のUE3のデータを同時に受信するeNB1の構成例を示すブロック図である。
【図7A】RS5を用いる従来の無線通信システムの周波数割当方法として示す、eNB1での受信スペクトルの図である。
【図7B】RS5を用いる従来の無線通信システムの周波数割当方法として示す、eNB1での受信スペクトルの図である。
【図8】本発明の第1の実施形態に係るRS5の周波数割当の一例を示す図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係るRS5の周波数割当を離散的とした場合の一例を示す図である。
【図10】本発明の第1の実施形態において、UE3から伝送された信号と中継された信号を合成する場合のeNB1の一部の構成例を示すブロック図である。
【図11】本発明の通信システムの動作を示すシーケンスチャートである。
【図12】本発明の第2の実施形態に係るUE3とRS5の周波数割当の一例を示す図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係るeNB1の一部の構成例を示すブロック図である。
【図14】本発明の第3の実施形態に係るUE3とRS5の周波数割当の一例を示す図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係るUE3とRS5の周波数割当の別の例を示す図である。
【図16】上り回線におけるリレーシステムの概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下の実施形態では、データ伝送を行なう送信装置をUE3とし、データを受信する受信装置をeNB1とする伝送(アップリンク)について説明する。
【0031】
[第1の実施形態]
図1は、本発明のUE3の一例を示すブロック図である。ただし、本発明を説明するのに必要な最小限のブロック図としている。図1のUE3では、UE3の数をmとしており、このUE3−1〜UE3−mは図16のUE3−1〜UE3−4と同様にeNB1へのデータ伝送を行なう。また、本図ではUE3のアンテナ数を1本としているが、複数のアンテナを送受信に用い、送信ダイバーシチやMIMO(Multiple Input Multiple Output)伝送を行なっても良いものとする。各々UE3は、データ伝送処理は同一であることから、本実施形態ではUE3−1のみの説明をする。UE3−1では、eNB1より通知された制御情報を制御情報受信部101で受信する。制御情報には、データ伝送に用いる周波数割当情報や変調多値数、符号化率、符号化方法に関する情報などが含まれる。制御情報受信部101は、受信した制御情報に含まれる符号化率や符号化方法の情報を符号化部103に入力し、変調多値数の情報を変調部105に入力し、周波数割当情報を周波数マッピング部109に入力する。
【0032】
符号化部103は、入力されたデータビットに対し、誤り訂正符号化のターボ符号やLDPC(Low Density Parity Check)符号などを施す。符号化部103で施す誤り訂正符号化は、送受信で予め決められていても良いし、制御情報として通知されても良い。符号化部103は、さらに制御情報として通知された符号化率の情報を基にパンクチャを行ない、符号ビットを変調部105へ出力する。変調部105は、符号ビットに対してQPSK(Quaternary Phase Shift Keying;四相位相偏移変調)、16QAM(16−ary Quadrature Amplitude Modulation;16直交振幅変調)や64QAMなどの変調のうち、制御情報受信部101より入力された変調多値数の変調を施す。変調部105から出力された変調シンボルは、FFT部107で時間領域から周波数領域のデータ信号に変換された後に、該信号を周波数マッピング部109へ出力する。
【0033】
周波数マッピング部109は、入力された周波数領域のデータ信号に対し、制御情報受信部101より通知された周波数割当情報に基づいて、信号の割り当てを行なう。
【0034】
図2Aは、シングルキャリアスペクトルの割り当てを示す図である。連続的な周波数割当のDFT−S−OFDM(Discrete Fourier Transform Spread Orthogonal Frequency Division Multiplexing、SC−FDMAとも称される)では、図2Aのようにシングルキャリアスペクトルを割り当てる。
【0035】
一方、図2Bは、離散的な周波数割当を示す図である。離散的な周波数割当のClustered DFT−S−OFDMでは、図2Bの割り当てとなる。周波数マッピング部109より出力された信号は、IFFT部111で時間領域の信号に変換される。参照信号多重部113では、時間領域において送信信号に対して送受信機で既知である参照信号を多重する処理を行なう。本例では、時間領域で参照信号を多重する構成としたが、周波数領域で参照信号を多重する構成としても良い。
【0036】
参照信号が多重された信号は、送信処理部115でCP(Cyclic Prefix;サイクリックプレフィックス)が挿入され、D/A(Digital/Analog;ディジタル/アナログ)変換でアナログの信号に変換された後に無線周波数にアップコンバートされる。アップコンバートした後に、PA(Power Amplifier)で送信電力に増幅された後に送信アンテナ117から送信される。UE3−2〜UE3−mも同様の処理でデータ送信を行なう。
【0037】
図3は、本発明における1本の送受信アンテナを有するRS5の構成例について説明するブロック図である。ただし、送受信アンテナは複数有していても良い。RS5では、UE3からの信号をアンテナ201で受信し、受信部203で送信されたデータビットを得る。
【0038】
図4は、本発明のRS5の受信部203の構成例を示すブロック図である。本図を用いてデータビットを得る処理について説明する。アンテナ201で受信された信号は、受信処理部301においてベースバンド周波数にダウンコンバートし、A/D変換を行なうことでディジタル信号に変換し、ディジタル信号からサイクリックプレフィックスを除去する。受信処理部301から出力された信号は、参照信号分離部303で参照信号とデータ信号に分離され、参照信号は伝搬路推定部305へ、データ信号はFFT部307へ出力される。伝搬路推定部305は、送受信装置で既知の参照信号により、伝搬路の周波数応答を推定し、推定した伝搬路特性を等化部309に出力する。
【0039】
一方、参照信号分離部303によって分離されたデータ信号は、FFT部307において時間領域の信号から周波数領域の信号に変換された後、周波数デマッピング部311に出力される。周波数デマッピング部311は、eNB1からUE3に制御情報として通知された周波数割当情報に基づき、連続的もしくは離散的に割り当てられた周波数領域の信号を抽出する。抽出された信号は、ソフトキャンセラ部313に入力され、復号部315により得られた復号ビットから生成された周波数領域のレプリカをキャンセルする。ただし、1回目のソフトキャンセラの処理では、復号部315より得られる情報がないため、何もしない。等化部309では、伝搬路推定部305から入力された伝搬路特性より無線伝搬路の歪みを補償する等化処理を行ない、IFFT部317に出力する。ここで、等化処理は、MMSE(Minimum Mean Square Error)重みやZF(Zero Forcing)重み等を乗算するなどのことである。
【0040】
等化部309から入力された信号は、IFFT部317により周波数領域の信号から時間領域の信号に変換される。UE3へ制御情報として通知された変調多値数の情報がRS5にも通知されており、変調多値数の情報を基にシンボルの復調が施される。復調されたビットは、UE3へ制御情報として通知された符号化率の情報を基に、復号部315により誤り訂正復号が施され、データビットを得る。復号結果は、ターボ等化処理を行なう場合、レプリカ生成部319に出力される。レプリカ生成部319は、復号ビットに対して再度変調を施すことでレプリカの生成をする。FFT部321では、生成された時間領域のレプリカを周波数領域に変換し、ソフトキャンセラ部313に入力する。以上の繰り返し処理により、UE3より送信されたデータの受信処理を行なう。この繰り返し処理は、巡回冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)で誤りが検出されなくなるか、予め決められている繰り返し回数の上限まで行なうものとする。
【0041】
復号部315において、巡回冗長検査により復号結果が正しくない場合には中継を行なわないため、何もしない。巡回冗長検査により正しいデータビットが得られた場合は、送信部205にデータビットが入力される。
【0042】
図5は、本発明のRS5の送信部205の構成の一例を示すブロック図である。符号化部103から参照信号多重部113までの処理は、UE3と同様であるため説明を省略する。また、制御情報受信部401はRS5とeNB1間の通信で用いる制御情報を受信するものとする。そのため、符号化方法、符号化率、変調多値数、周波数割当がRS5から送信される信号と、UE3から送信される信号で異なっても良い。
【0043】
送信部205は、参照信号が多重された時間領域の信号に対し、図示していないが、CPの挿入と、D/A変換すなわちアナログの信号への変換と、無線周波数アップコンバートを施し、増幅部207に入力する。増幅部207は、入力された信号をRS5とeNB1間での通信に用いる送信電力に増幅する。ここで、RS5の送信電力は予め決められても良いし、制御情報によりeNB1から指定されても良い。また、RS5の送信電力はUE3より余裕があるため、eNB1での受信電力がUE3よりも高くなるようにRS5の送信電力を設定しても良い。増幅された信号は、送信アンテナ209から送信される。
【0044】
図6は、本発明の第1の実施形態において、RS5、およびRS5を経由せずにデータ伝送された複数のUE3のデータを同時に受信するeNB1の構成例を示すブロック図である。同図では、同時に受信するUE3とRS5の合計数をnとする。また、送受信アンテナは1本としているが、複数有していても良い。eNB1では、UE3やRS5からの信号をアンテナ501で受信する。受信処理部301からFFT部307までは図4と同様の処理が施され、FFT部307より出力される周波数領域の信号は周波数デマッピング部503に入力される。
【0045】
伝搬路推定部505は、送受信装置で既知の参照信号により、データを受信したRS5およびUE3と、eNB1間の伝搬路の周波数応答を推定し、推定した伝搬路特性を等化部507−1〜507−nに出力する。また、推定した伝搬路特性よりUE3もしくはRS5がデータ伝送時に用いる周波数割当、符号化率、変調方式などを決定し、制御情報として送信する。これらの制御情報は、データの受信処理にも必要なため、通知した制御情報に基づいて伝送されたデータの受信まで記憶されているものとする。
【0046】
一方、周波数デマッピング部503は、伝搬路推定部505により記憶されているすべての送信装置(UE3もしくはRS5)の周波数割当情報が入力され、割当情報に基づいて各送信装置の信号に分離する。分離された各送信装置の信号は、送信装置毎に受信処理が施されるため、ソフトキャンセラ部509−1〜509−nにそれぞれ入力される。ソフトキャンセラ部509−1〜509−nから復号部511−1〜511−nは、送信装置から送信された信号毎に同様に処理を行なうため、1番目の送信装置の受信処理であるソフトキャンセラ部509−1について説明する。ソフトキャンセラ部509−1では、すべての送信装置の復号結果から得られる周波数領域のレプリカが入力され、受信信号からこのレプリカを減算する。ソフトキャンセラの詳細については、後述する。また、1回目のソフトキャンセラの処理では、復号部511−1〜511−nより得られる情報がないため、何もしない。ソフトキャンセルが施された信号は、等化部507−1とIFFT部513−1において、図4の等化部309、IFFT部317と同様の処理により時間領域の信号に変換される。復調部515−1では、伝搬路推定部505で決定され、送信装置へ通知した変調多値数が入力され、入力された変調多値数の情報を基にシンボルの復調を施す。復調されたビットは、伝搬路推定部505で決定され、送信装置へ通知した符号化率や符号化方法の情報を基に復号部511−1により誤り訂正復号が施され、データビットを得る。
【0047】
復号部511−1〜511−nの復号結果は、ターボ等化による復号器出力を用いたソフトキャンセル処理を行なう場合、レプリカ生成部517−1〜517−nにそれぞれ出力される。レプリカ生成部517−1とFFT部519−1は、復号ビットに対して図4のレプリカ生成部319とFFT部321と同様の処理を施すことで周波数領域のレプリカの生成をする。レプリカ抽出部521−1の詳細は後述するが、ソフトキャンセルに必要なレプリカのみをソフトキャンセラ部509−1〜509−n毎にそれぞれ抽出し、ソフトキャンセラ部509−1〜509−nに入力する。以上の繰り返し処理により、送信装置より送信されたデータの受信処理を行なう。
【0048】
図7A、図7Bは、RS5を用いる従来の無線通信システムの周波数割当方法として示す、eNB1での受信スペクトルの図である。同図により説明する。図7Aは、RS5で中継するデータがない場合であり、UE3−1、UE3−2、UE3−3に周波数分割多元接続による通信を行なう。図7Bは、セルエッジなどにいるUE3からの受信信号の電力が小さいなどの理由により、RS5がデータを中継した場合の周波数割当を示す。UE3−1の送信信号がeNB1で十分な受信電力を得られない場合に、RS5では図7Aの送信タイミングで送信されたUE3−1の送信信号を受信処理した後に、eNB1へ送信する。図7A、図7Bでは、UE3−1とRS5の周波数割当は一致しているが、割当や帯域幅は変わっても良い。図7Bのように、本実施形態であるDF方式のRS5はUE3−1と異なるタイミングでデータの中継を行ない、周波数分割多元接続を行なうため、RS5のみが使用可能な周波数割当が必要となる。その結果、同図の例ではeNB1がUE3−1の正しいデータを得るには中継を行なわない場合に比べ、2倍の周波数割当が必要なる。
【0049】
図8は、本発明の第1の実施形態に係るRS5の周波数割当の一例を示す図である。本実施形態では、RS5とUE3で周波数分割多元接続を行なわず、RS5とUE3で周波数を共有して伝送に用いる。そのため、中継を行なっていないUE3−2、3−3、3−4が周波数分割多元接続として周波数領域での直交性を保っているのに対し、RS5はUE3と周波数領域の信号(スペクトル)が重複する割当を行なう。このようにUE3とRS5の送信信号が多重された場合、図6に一例として示したeNB1で信号の分離を行なう。図6のi番目のレプリカ抽出部521−iでは、ソフトキャンセラ部509−iへ入力する場合にはシンボル間干渉の除去に用いるために何もしない。一方、ソフトキャンセラ部509−j(i≠j)への入力は周波数領域で図8のように重複したスペクトルのレプリカのみを抽出したものとなる。ただし、図7Bの伝送では、スペクトルの重複がないため、レプリカ抽出部521−iからソフトキャンセラ部509−j(i≠j)への入力はすべてゼロ、つまり何も入力されない。
【0050】
i番目のソフトキャンセラ部509−iでは、受信信号Rが入力され、他のUE3もしくはRS5の送信信号の復号結果より生成されたレプリカS’(1≦j≦n, j≠i)と、復号部511−iで得られた復号結果より生成されたレプリカS’が入力され、次式の処理を行なう。
【数1】

ただし、R’は等化部507−iに入力する信号であり、S’はFFT部519−iから出力されたレプリカと同じものであり、S’はFFT部519−jの出力からソフトキャンセラ部509−iに入力される受信信号Rと重複した周波数に割当られたスペクトルの成分のみを抽出したレプリカとする。
【0051】
このように、受信処理によって重複したスペクトルを分離することができる。本実施形態で示した例では、UE3とRS5の周波数割当が共に連続的な周波数の割り当てとしていたが、それぞれ離散的な割り当てを用いても良い。
【0052】
図9は、本発明の第1の実施形態に係るRS5の周波数割当を離散的とした場合の一例を示す図である。本実施形態では、RS5の周波数割当を同図のように離散的に割当を行なっても良く、離散的な割当であれば、UE3は重複するスペクトルの割合が少なくなる。
【0053】
また、本実施形態の例のeNB1では、セルエッジなどのUE3の送信信号を中継された信号のみを受信処理に用いるとしたが、UE3から伝送された信号と中継された信号を合成しても良い。
【0054】
図10は、本発明の第1の実施形態において、UE3から伝送された信号と中継された信号を合成する場合のeNB1の一部の構成例を示すブロック図である。復調部515−1〜515−n(復調部515−1〜515−nを合わせて復調部515と表す)までは図6のeNB1と同様の処理であり、これらの復調部515の出力でRS5を経由した伝送を行なうUE3の信号を信号記憶部601−1〜601−nに出力する。合成部603−1〜603−nでは、復調された信号が入力され、中継された信号の受信処理を行なう場合には信号記憶部601−1〜601−nのいずれかで記憶されているUE3より送信された信号の復調結果が入力される。UE3より伝送された信号の受信処理を行なう場合には、信号記憶部601−1〜601−nから何も出力されない、つまりゼロが入力される。合成部603−1〜603−nでは、復調部515−1〜515−nからの入力と信号記憶部601−1〜601−nからの入力を加算し、UE3より伝送された信号とRS5より伝送を合成する。合成された信号は、復号部511−1〜511−nに入力され、復号処理が施される。以下、図6と同様の処理で受信処理が行なわれる。
【0055】
図11は、本発明の通信システムの動作を示すシーケンスチャートである。図11において、UE3は参照信号のみもしくは、データと参照信号を多重した信号をeNB1に送信する(ステップS101)。eNB1は、受信した参照信号により周波数応答を推定し、これらの推定結果よりUE3の周波数割り当てや伝送に用いる符号化率、変調多値数などを決定し、制御情報としてUE3に通知する(ステップS102)。また、RS5にも同様に中継伝送時に用いる周波数割当やUE3がデータ伝送に用いる周波数割当情報などを含む制御情報を通知する(ステップS103)。本実施形態では、周波数割当を除く符号化率、変調多値数などの伝送に用いる送信パラメータはUE3へ通知したものと同じとする。また、RS5への制御情報の通知タイミングは、図11に限定されず、UE3へ制御情報を通知するタイミングと同じもしくはそれよりも前のタイミングとしても良く、RS5による中継データ伝送よりも前のタイミングであればよい。UE3は、制御情報を受信後、CRCにより受信データに誤りがない場合には制御情報に含まれる送信パラメータに基づいてデータ伝送を行なう(ステップS104、S105)。ただし、誤りを検出した場合には、データの中継伝送を行なわず、NACK(Negative ACKnowledgement)など制御情報を送信する。RS5とeNB1はそれぞれUE3より伝送されたデータを受信する。RS5は、UE3より受信したデータを正しく受信できた場合には、eNB1へ中継伝送を行なう(ステップS106)。eNB1は、RS5より伝送された信号の受信処理もしくは、RS5とUE3より伝送された信号を図10のように合成による受信処理を行ない、送信されたデータを得る。
【0056】
以上の様に、本実施形態を適用することでUE3とRS5が伝送に用いる周波数の直交性を保持する必要がなくなり、RS5を含む無線通信システムの効率的な周波数の使用が可能になるため周波数利用効率を向上させることができる。また、本実施形態では、送信電力に制限のあるUE3に対してRS5は送信電力に余裕があるため、eNB1は、電力差のあるスペクトルを周波数領域で重複させる。このような電力差のあるRS5とUE3のスペクトルを重複させて割り当てることで受信処理における信号分離がしやすく、伝送特性に対してスペクトルを重複させることによる影響が少なくなり、スループットを改善できる。
【0057】
[第2の実施形態]
本実施形態では、RS5が伝送時に用いる符号化率や変調多値数を低くし、RS5とeNB1間の通信の信頼性を向上する一例について図12を用いて説明する。
【0058】
図12は、本発明の第2の実施形態に係るUE3とRS5の周波数割当の一例を示す図である。図12において、RS5による伝送のない送信タイミングでは、図7Aの周波数分割多元接続による周波数割当が行なわれ、次の送信タイミングでは、eNB1での受信電力の小さいUE3−1の信号をRS5が中継する場合の周波数割当が行なわれている。本実施形態におけるUE3とeNB1は前実施形態と同様である。RS5の構成例は、前実施形態の図3と同じであるが、送信部205における送信信号生成処理が異なる。送信部205では、UE3−1から受信した信号から得られたデータビットが符号化部103に入力される。符号化部103は、eNB1より通知された制御情報に含まれる符号化に関連する情報に基づいてデータビットに対して符号化を施す。ここで、本実施形態ではRS5で行なう符号化の符号化率rRSは、次式を満たすように設定される。
【0059】
RS≦rUE …(2)
ただし、rUEはUE3で施す符号化の符号化率を示す。
【0060】
また、UE3−1が用いる誤り訂正符号化がターボ符号であれば、符号化率を変えるだけではなく、重複したスペクトルを分離しやすくなる符号化方法の畳み込み符号などに変更しても良い。変更する符号は、畳み込み符号に限定されず、重複したスペクトルを分離しやすくなるように設計されている符号であれば、LDPC符号でも良い。
【0061】
符号化ビットが入力される変調部105では、RS5で変調する際の変調多値数MRSについて、次式を満たすように設定する。
【0062】
RS≦MUE …(3)
ただし、MUEはUE3で変調する際の変調多値数を示す。
【0063】
本実施形態に係るRS5では、符号化部103と変調部105が通信パラメータについて式(2)、式(3)を同時に満たす必要はなく、どちらか一方のみ適用しても良い。また、符号化方法のみを変更するとしても良い。
【0064】
FFT部107により変調が施された信号が時間領域から周波数領域に変換される。このFFT部107から出力される周波数信号は、式(2)もしくは式(3)の少なくとも一方を満たすように符号化と変調が施されているため、伝送時により広い帯域幅が必要とされる。周波数マッピング部109は、RS5を経由しないUE3の伝送周波数と重複した割当を行なう。その結果、eNB1では図12のように周波数領域で重複した信号を同時に受信し、前実施形態と同様の受信処理で信号分離をする。
【0065】
本実施形態では、符号化率、変調多値数の少なくとも1つ変更をする際に、eNB1から通知される制御情報を基に変更する例について述べたが、予めいずれかのパラメータを変更することが決まっており、制御情報による通知がなくても良い。また、符号化率を下げるのではなく、符号化部103がターボ符号化を行なう場合には、入力ビットそのものであるシステマティックビットと、誤り訂正符号化を施されたパリティビットが得られるため、パリティビットのみをRS5が中継伝送しても良い。
【0066】
図13は、本発明の第2の実施形態に係るeNB1の一部の構成例を示すブロック図である。上記の場合は、UE3はシステマティックビットと符号化率に合わせて間引かれたパリティビットを伝送するのに対し、RS5ではパリティビットのみを伝送する。復調部515−1〜515−nまでは図6や図10のeNB1と同様の処理であり、これらの復調部515の出力でRS5を経由した伝送を行なうUE3のシステマティックビットとパリティビットを含む信号を信号記憶部701−1〜701−nに出力する。ビット合成部703−1〜703−nでは、復調された信号が入力され、中継された信号の受信処理を行なう場合には信号記憶部701−1〜701−nのいずれかで記憶されているUE3より伝送されたシステマティックビットとパリティビットを含む信号の復調結果が入力される。UE3より伝送された信号の受信処理を行なう場合には、信号記憶部701−1〜701−nから何も出力されない。ビット合成部703−1〜703−nでは、復調部515−1〜515−nからの入力されたパリティビットと信号記憶部701−1〜701−nからの入力の間引かれているパリティビットの合成を行なう。この合成処理では、UE3とRS5からそれぞれ伝送されたパリティビットは、加算処理により合成を行ない、RS5からのみ伝送されたパリティビットやシステマティックビットは何もしない。ビット合成部703−1〜703−nでは、合成した信号をパリティビットが間引かれていない信号として復号部511−1〜511−nに入力し、復号処理が施される。以下、図6と同様の処理で受信処理が行なわれる。
【0067】
本実施形態における通信システムの動作を示すシーケンスチャートは、前実施形態と同様の図11となる。ただし、RS5に通知する制御情報が前実施形態と異なり、この制御情報に含まれる符号化率や変調多値数の情報がUE3へ通知した情報と違うものとなる。例えば、式(2)や式(3)を満たす制御情報をRS5に通知するなどである。
【0068】
以上の様に、本実施形態を適用することでUE3とRS5が伝送に用いる周波数の直交性を保持する必要がなくなり、RS5を含む無線通信システムの効率的な周波数の使用が可能になるため周波数利用効率を向上させることができる。また、本実施形態では、RS5が符号化率、変調多値数、符号化方法の中の少なくとも1つを変更し、その結果、RS5とUE3のスペクトルを重複して割り当てた信号の分離がしやすくなり、伝送特性へのスペクトルを重複した影響が少なくなり、スループットを改善できる。さらに、電力差のあるRS5とUE3のスペクトルを重複して割り当てることで受信処理における信号分離がしやすく、伝送特性へのスペクトルを重複した影響が少なくなり、スループットを改善できる。
【0069】
[第3の実施形態]
本実施形態では、RS5が伝送時に用いる周波数を、中継伝送されるUE3が伝送時に用いる周波数と同じ周波数割当とする一例について説明する。
【0070】
本実施形態におけるUE3、RS5、eNB1の構成は、前実施形態と同じであるが、RS5の送信部205内の制御情報受信部401が異なる。前実施形態では、eNB1よりRS5の周波数割当情報を含む制御情報を制御情報受信部401が受信し、周波数マッピング部109に入力していた。本実施形態では、制御情報受信部401がデータ伝送の中継を行なうUE3へ通知された周波数割当情報を含む制御情報を受信しておき、周波数マッピング部109に入力する。つまり、UE3が伝送に用いる周波数位置や帯域幅と、RS5が伝送に用いる周波数位置や帯域幅を全く同じにする。
【0071】
図14は、本発明の第3の実施形態に係るUE3とRS5の周波数割当の一例を示す図である。本実施形態において、RS5による伝送のない送信タイミングでは図7Aの周波数割当である周波数分割多元接続が行なわれ、次の送信タイミングでeNB1での受信電力の小さいUE3−1の信号をRS5が中継している。図14の例では、UE3の送信タイミングとRS5の送信タイミングのいずれにおいても、UE3−1の周波数割り当てとRS5によって中継伝送されるUE3−1の周波数割り当てが同一の場合であるため、UE3−1とRS5の伝送に用いる周波数が同一になっている。
【0072】
図15は、本発明の第3の実施形態に係るUE3とRS5の周波数割当の別の例を示す図である。UE3の送信タイミングとRS5の送信タイミングですべてもしくは一部のUE3の周波数割り当てが異なる場合には、図15のような周波数割り当てとなる。
【0073】
本実施形態における通信システムの動作を示すシーケンスチャートは、前実施形態と同様の図11となる。ただし、RS5に通知する制御情報が第1の実施形態と異なり、この制御情報に含まれるRS5が伝送に用いる周波数割当情報がUE3へ通知した情報と同じとなる。
【0074】
以上の様に、本実施形態を適用することでUE3とRS5が伝送に用いる周波数の直交性を保持する必要がなくなり、RS5を含む無線通信システムの効率的な周波数の使用が可能になるため周波数利用効率を向上させることができる。また、本実施形態では、RS5が伝送に用いる周波数位置や帯域幅を変更する必要がなく、簡単な中継処理を実現できる。さらに、電力差のあるRS5とUE3のスペクトルを重複して割り当てることで受信処理における信号分離がしやすく、伝送特性へのスペクトルを重複した影響が少なくなり、スループットを改善できる。
【0075】
本発明に関わるUE3およびeNB1で動作するプログラムは、本発明に関わる上記実施形態の機能を実現するように、CPU等を制御するプログラム(コンピュータを機能させるプログラム)である。そして、これら装置で取り扱われる情報は、その処理時に一時的にRAMに蓄積され、その後、各種ROMやHDDに格納され、必要に応じてCPUによって読み出し、修正・書き込みが行なわれる。プログラムを格納する記録媒体としては、半導体媒体(例えば、ROM、不揮発性メモリカード等)、光記録媒体(例えば、DVD、MO、MD、CD、BD等)、磁気記録媒体(例えば、磁気テープ、フレキシブルディスク等)等のいずれであってもよい。
【0076】
また、ロードしたプログラムを実行することにより、上述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムの指示に基づき、オペレーティングシステムあるいは他のアプリケーションプログラム等と共同して処理することにより、本発明の機能が実現される場合もある。また市場に流通させる場合には、可搬型の記録媒体にプログラムを格納して流通させたり、インターネット等のネットワークを介して接続されたサーバコンピュータに転送したりすることができる。この場合、サーバコンピュータの記憶装置も本発明に含まれる。
【0077】
また、上述した実施形態におけるUE3およびeNB1の一部、または全部を典型的には集積回路であるLSIとして実現してもよい。UE3およびeNB1の各機能ブロックは個別にチップ化してもよいし、一部、または全部を集積してチップ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現しても良い。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いることも可能である。
【0078】
以上、この発明の実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も特許請求の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0079】
1 eNB
3−1、3−2、3−3、3−4、3 UE
5 RS
101 制御情報受信部
103 符号化部
105 変調部
107 FFT部
109 周波数マッピング部
111 IFFT部
113 参照信号多重部
115 送信処理部
117 送信アンテナ
201 アンテナ
203 受信部
205 送信部
207 増幅部
209 送信アンテナ
301 受信処理部
303 参照信号分離部
305 伝搬路推定部
307 FFT部
309 等化部
311 周波数デマッピング部
313 ソフトキャンセラ部
315 復号部
317 IFFT部
319 レプリカ生成部
321 FFT部
401 制御情報受信部
501 アンテナ
503 周波数デマッピング部
505 伝搬路推定部
507−1〜507−n 等化部
509−1〜509−n ソフトキャンセラ部
511−1〜511−n 復号部
513−1〜513−n IFFT部
515−1〜515−n 復調部
517−1〜517−n レプリカ生成部
519−1〜519−n FFT部
521−1〜521−n レプリカ抽出部
601−1〜601−n 信号記憶部
603−1〜603−n 合成部
701−1〜701−n 信号記憶部
703−1〜703−n ビット合成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動局と基地局との間で送受信される無線信号を中継する無線中継方法であって、
複数の移動局から送信された送信信号のうち、少なくとも一つの送信信号を中継する際に使用する周波数を、中継しない他の送信信号が割り当てられている周波数の少なくとも一部に重複して割り当てて中継を行なうことを特徴とする無線中継方法。
【請求項2】
前記中継する送信信号の送信に使用する周波数は、周波数軸上で離散的に配置されていることを特徴とする請求項1記載の無線中継方法。
【請求項3】
前記中継する送信信号の前記基地局における受信電力を、前記中継しない他の送信信号の前記基地局における受信電力よりも高くすることを特徴とする請求項1記載の無線中継方法。
【請求項4】
前記中継する送信信号の変調多値数または符号化率のいずれか一方を、前記中継しない他の送信信号の変調多値数または符号化率よりも低くすることを特徴とする請求項1記載の無線中継方法。
【請求項5】
前記中継する送信信号に対する誤り訂正符号化は、前記中継しない他の送信信号に対する誤り訂正符号化とは異なることを特徴とする請求項1記載の無線中継方法。
【請求項6】
前記中継する送信信号の送信に使用する周波数は、前記移動局から送信された他の送信信号が割り当てられている周波数と同一であることを特徴とする請求項1記載の無線中継方法。
【請求項7】
移動局および中継局から無線信号を受信する基地局であって、
前記中継局において、複数の移動局から送信された送信信号のうち、少なくとも一つの送信信号を中継する際に使用する周波数を、中継しない他の送信信号が割り当てられている周波数の少なくとも一部に重複して割り当てられて中継された送信信号と、
前記各移動局から送信された送信信号とに基づいて、それぞれのレプリカを生成し、生成した各レプリカを干渉除去に用いることによって、前記中継局から送信された送信信号および前記各移動局から送信された送信信号の受信処理を行なうことを特徴とする基地局。
【請求項8】
前記中継局に対し、中継する送信信号の変調多値数または符号化率のいずれか一方を、前記中継しない他の送信信号の変調多値数または符号化率よりも低くする通知を行なうことを特徴とする請求項7記載の基地局。
【請求項9】
前記各移動局から送信された送信信号および前記中継局で中継された送信信号のそれぞれを合成する受信処理を行なうことを特徴とする請求項7記載の基地局。
【請求項10】
移動局、基地局および中継局で構成され、前記中継局が前記移動局と基地局との間で送受信される無線信号を中継する無線通信システムであって、
前記中継局は、複数の移動局から送信された送信信号のうち、少なくとも一つの送信信号を中継する際に使用する周波数を、中継しない他の送信信号が割り当てられている周波数の少なくとも一部に重複して割り当てて中継を行なうことを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−239000(P2012−239000A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106067(P2011−106067)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】