説明

無線受信装置

【課題】インパルス式のUWB受信器において、任意の帯域の干渉信号に対応可能とする。
【解決手段】前記UWBの広い帯域の受信信号を固定周波数のBPFで濾波し、ローノイズアンプを通して信号復調器へ入力するようにした受信器において、前記信号復調器の前に可変周波数のノッチフィルタを挿入するとともに、そのフィルタ出力を検波および積分する検波器および積分器を設ける。そして制御マイコンが、そのノッチフィルタの中心周波数をBPFの全帯域に亘って掃引させてみて、前記検波および積分して得られた受信信号レベルが低くなる周波数で干渉信号(妨害波)が多く発生しているものと判断し、前記受信信号レベルが最も小さくなる周波数に阻止帯域を設定する。したがって、干渉信号が任意の帯域で発生しても、広帯域で送信されるインパルス信号において、それに重ならない周波数帯域の成分を抽出し、前記信号復調器に入力することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定周期のパルス状の無線信号を当該周期と同期したタイミングで受信し、そのパルス列からベースバンド信号を復調する無線受信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高速、低消費電力、低コストな近距離無線通信技術として、ウルトラワイドバンド(UWB:Ultra Wide Band)無線技術が注目されている。UWB無線技術は、500MHz以上の帯域幅または20%以上の比帯域幅に幅広く周波数スペクトルを拡散させて通信を行うもので、単位帯域幅当りの送信電力を下げて、従来からある他の無線通信と周波数帯を共用するものである。
【0003】
そして、米国では、2002年に、3.1〜10.6(GHz)の周波数帯において−41.3(dBmeirp/MHz)までの出力が法制化され、我が国においては、3.4〜4.8(GHz)および7.25〜10.25(GHz)の周波数帯で−41.3(dBmeirp/MHz)、欧州においては3.1〜4.8(GHz)および6〜9(GHz)の周波数帯で−41.3(dBmeirp/MHz)の出力が法制化される見込みである。これらの周波数帯には、固定マイクロ波無線、固定系・移動系放送中継装置、航空機用電波高度計、気象レーダー等の無線局が既に存在している。さらに、第4世代携帯電話も上記周波数帯を利用する予定である。前述のUWB通信での出力レベルは、これら既存の無線システムに干渉を与えない程度に抑制された値となっている。
【0004】
図20〜25を用いて、前記UWB無線技術の一態様について説明する。このUWB無線技術は、たとえば特許文献1に示されるもので、搬送波を用いず、パルス幅がたとえば1nsec以下等の極めて短いパルス信号から成るパルス列を用いて通信を行うものである。図20は、送信器1の概略構成を示すブロック図である。このUWB無線技術は、正弦波を搬送波に用いる従来の無線技術とは異なり、図21(a)および図22(a)で示すような送信すべきベースバンド信号に基づいて、変調部2が、インパルス列を、図21(b)や図22(b)で示すように変調をして、BPF3でUWB無線に割当てられた上述の周波数帯域内に収まるように帯域制限をした後、アンプ4で増幅し、アンテナ5から放射する。
【0005】
実際に送信されるインパルス信号は、前記BPF3による帯域制限によって、図21(c)や図22(c)で示されるような時間軸方向にある程度の長さを持った信号となる。図21は、変調方式として振幅変調(ASK)の例を示しており、図22は位相変調(BPSK)の例を示している。
【0006】
図23は、上述のようなインパルス式のUWB無線方式における典型的な従来技術の受信器11の概略的構成を示すブロック図である。アンテナ12で受信された信号は、周波数帯域が固定のバンドパスフィルタ(以下、BPF)13で受信帯域以外の周波数成分が除去され、ローノイズアンプ14で増幅された後に、信号復調器15において復調され、さらに判定器16においてビット判定され、その復調ビット列がマイコン17に取り込まれて前記ベースバンド信号に復元され、電文解析等の処理が行われる。
【0007】
前記復調器15の構成としては、前記ASK変調に対応する場合には、図24に示すように、ダイオードの非線形性を用いた検波器21と、1ビット区間に亘って積分することで復調信号を生成する積分放電器22と、前記復調信号のビットレートを再生して積分放電器22にタイミングを供給するビット同期回路23とを備えて構成され、前記BPSK変調に対応する場合には、図25に示すように、インパルス列からBPF24で作成した送信信号と同等の波形となる比較信号と、受信信号との相関を相関器25で演算し、その後、前記積分放電器22において1ビット区間に亘って積分して復調信号を生成し、ビット同期回路23において復調信号のビットレートを再生して積分放電器22にタイミングを供給する。
【0008】
前述のように、UWB無線は既存の無線システムと周波数帯域を共用するものであり、既存の無線システムに対してUWB無線が干渉しないことは、UWB無線の出力を前述のように微小な−41.3(dBmeirp/MHz)に抑制することで担保されている。これに対して、既存の無線システムの出力は数(W)〜数十(W)あり、アンテナ利得も数十(dBi)もあるので、UWB無線が受ける干渉の影響は大きい。
【0009】
そこで、特許文献2には、周波数帯域が既知である通常の狭帯域の通信に使用される信号成分を固定周波数のフィルタで抽出し、その抽出した電力が所定の閾値以上であるときには、干渉が大きいと判断して、その抽出した信号成分をUWBの受信信号から減算することで除去するようにしたUWB受信装置が提案されている。
【特許文献1】特表平10−508725号公報
【特許文献2】特開2004−135234号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の従来技術では、無線LANやGPSなど、予め干渉信号となり得る帯域成分が分っている信号については効果を奏するものの、想定していない帯域成分の干渉信号については、フィルタが対応できず、前記干渉信号を除去できないという問題がある。たとえば、LANや移動体通信などで新しい周波数帯や変調方式が定義されると、適応できない。
【0011】
本発明の目的は、所定周期のパルス状の無線信号を当該周期と同期したタイミングで受信し、そのパルス列からベースバンド信号を復調する無線受信装置において、任意の帯域の干渉信号に対応することができる無線受信装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の無線受信装置は、所定周期のパルス状の無線信号を当該周期と同期したタイミングで受信し、そのパルス列からベースバンド信号を復調する無線受信装置において、受信信号が入力され、前記無線信号で使用される周波数帯域内の信号に対して、通過または阻止帯域が変化可能であり、その出力から前記ベースバンド信号の復調を行わせるフィルタと、前記フィルタからの出力の包絡線あるいはピークを検出する検波器と、前記検波器の出力を所定の積分期間に亘って積算する積分器と、前記フィルタの通過または阻止帯域を変化させ、それによる積分器からの出力に応答して、前記通過または阻止を設定する帯域設定手段とを含むことを特徴とする。
【0013】
上記の構成によれば、UWB信号などの所定周期のパルス状の無線信号を当該周期と同期したタイミングで受信し、そのパルス列からベースバンド信号を復調する無線受信装置において、広帯域アンテナで受信された信号成分は、フィルタにおいて前記無線信号で使用される周波数帯域の成分が抽出され、信号復調器に入力されて前記ベースバンド信号の復調に使用される。ここで本発明では、前記フィルタの出力を使用して、検波器において包絡線あるいはピーク検波を行い、その出力を積分器において所定の積分期間に亘って積算することで、受信信号レベルを検出できるようにするとともに、前記フィルタの通過または阻止帯域を可変とする。そして、帯域設定手段が前記フィルタの通過または阻止帯域を変化させつつ、積分器から出力される受信信号レベルをモニタし、前記受信信号レベルが高くなる場合にはフィルタから干渉信号(妨害波)が多く通過しているものと判断し、低くなる場合にはフィルタで前記干渉信号が阻止されているものと判断し、前記干渉信号のレベルが最も小さくなるように前記フィルタの通過または阻止帯域を設定する。
【0014】
したがって、任意の帯域の干渉信号が存在しても、広帯域で送信されるインパルス信号において前記干渉信号と重ならない周波数帯域の成分を抽出し、前記信号復調器に入力することができるので、前記干渉信号に対する耐性を高めることができる。
【0015】
また、本発明の無線受信装置では、前記フィルタは、阻止帯域が変化可能な帯域阻止フィルタから成り、前記帯域設定手段は、積分器からの出力レベルをモニタしつつ、前記帯域阻止フィルタの阻止帯域を掃引させ、前記積分器からの出力レベルが最も低下した周波数に前記帯域阻止フィルタの阻止帯域を設定することを特徴とする。
【0016】
上記の構成によれば、干渉信号を阻止するにあたって、前記フィルタを、阻止帯域が変化可能な帯域阻止フィルタ(バンドエリミネーションフィルタ、ノッチフィルタ)で構成し、これに対応して、前記帯域設定手段の動作としては、積分器からの出力レベルをモニタしつつ、前記帯域阻止フィルタの阻止帯域を掃引させると、積分器からの出力レベルが低下した周波数に前記干渉信号が存在すると推定されるので、前記無線信号で使用される周波数帯域の全域を掃引させた後に、前記出力レベルが最も低下した周波数に前記帯域阻止フィルタの阻止帯域を設定する。
【0017】
これによって、最もレベルの高い干渉信号を阻止することができる。
【0018】
さらにまた、本発明の無線受信装置では、前記フィルタは、阻止帯域が変化可能な帯域阻止フィルタが複数個相互に並列に接続されて成り、前記帯域設定手段は、前記各帯域阻止フィルタの阻止帯域を、初期状態として前記無線信号で使用される周波数帯域内で相互に異なるように設定し、前記積分器からの出力レベルをモニタしつつ、前記各帯域阻止フィルタの阻止帯域を順次前記無線信号で使用される周波数帯域外に移動させ、前記積分器からの出力レベルが所定のレベルより高くなった場合には、その帯域阻止フィルタの阻止帯域を初期状態に復帰させることを特徴とする。
【0019】
上記の構成によれば、干渉信号を阻止するにあたって、前記フィルタを、阻止帯域が変化可能であり、かつ阻止帯域が初期状態において前記無線信号で使用される周波数帯域内で相互に異なる複数の帯域阻止フィルタで構成し、これに対応して、前記帯域設定手段の動作としては、積分器からの出力レベルをモニタしつつ、前記各帯域阻止フィルタの阻止帯域を前記相互に異なる周波数である初期状態の周波数から前記無線信号で使用される周波数帯域外へ一旦移動させ、前記積分器からの出力レベルが所定のレベルより高くなった場合には、移動させる前の阻止帯域に前記干渉信号が存在すると推定されるので、その帯域阻止フィルタの阻止帯域を初期状態に復帰させる。
【0020】
したがって、干渉信号が存在している帯域に設定された帯域阻止フィルタによって、干渉信号の存在する帯域だけを阻止させ、干渉信号が存在していない帯域はそのまま通過させることができる。
【0021】
また、本発明の無線受信装置では、前記フィルタは、帯域阻止フィルタとそれに対を成すスイッチ素子との直列回路が相互に並列に複数組接続され、かつ前記各帯域阻止フィルタの阻止帯域が前記無線信号で使用される周波数帯域内で相互に異なるように設定されて成り、前記帯域設定手段は、前記積分器からの出力レベルをモニタしつつ、前記各スイッチ素子を導通状態から開放状態へ切換え、前記積分器からの出力レベルが所定のレベルより高くなった場合には、そのスイッチ素子を導通状態に復帰させることを特徴とする。
【0022】
上記の構成によれば、干渉信号を阻止するにあたって、前記フィルタを、帯域阻止フィルタとそれに対を成すスイッチ素子との直列回路を相互に並列に複数組接続することで構成し、かつ前記各帯域阻止フィルタの阻止帯域が前記無線信号で使用される周波数帯域内で相互に異なるように設定しておき、これに対応して、前記帯域設定手段の動作としては、積分器からの出力レベルをモニタしつつ、前記各スイッチ素子を初期状態の導通状態から一旦開放状態へ切換え、前記積分器からの出力レベルが所定のレベルより高くなった場合には、その開放したスイッチ素子に対応した帯域阻止フィルタの阻止帯域に前記干渉信号が存在すると推定されるので、その帯域阻止フィルタに対応するスイッチ素子を導通状態に復帰させる。
【0023】
したがって、干渉信号が存在している帯域に設定された帯域阻止フィルタによって、干渉信号の存在する帯域だけを阻止させ、干渉信号が存在していない帯域はそのまま通過させることができる。
【0024】
さらにまた、本発明の無線受信装置では、前記フィルタは、通過帯域が変化可能な帯域通過フィルタから成り、前記帯域設定手段は、積分器からの出力レベルをモニタしつつ、前記帯域通過フィルタの通過帯域を掃引させ、前記積分器からの出力レベルが最も低下した周波数に前記帯域通過フィルタの通過帯域を設定することを特徴とする。
【0025】
上記の構成によれば、干渉信号を阻止するにあたって、前記フィルタを、通過帯域が変化可能な帯域通過フィルタ(バンドパスフィルタ)で構成し、これに対応して、前記帯域設定手段の動作としては、積分器からの出力レベルをモニタしつつ、前記帯域通過フィルタの通過帯域を掃引させると、積分器からの出力レベルが高い周波数程、前記干渉信号が存在すると推定されるので、前記無線信号で使用される周波数帯域の全域を掃引させた後に、前記出力レベルが最も低下した周波数に前記帯域通過フィルタの通過帯域を設定する。
【0026】
これによって、最も干渉信号レベルの低い帯域を通過させることができる。
【0027】
また、本発明の無線受信装置では、前記フィルタは、通過帯域が変化可能な帯域通過フィルタが複数個相互に並列に接続されて成り、前記帯域設定手段は、前記積分器からの出力レベルをモニタしつつ、任意の帯域通過フィルタの通過帯域を、前記無線信号で使用される周波数帯域内で掃引させ、前記積分器からの出力レベルが所定のレベルより高くなった帯域を含まないように、各帯域通過フィルタの通過帯域を前記無線信号で使用される周波数帯域内で相互に異なるように設定することを特徴とする。
【0028】
上記の構成によれば、干渉信号を阻止するにあたって、前記フィルタを、通過帯域が変化可能な複数の帯域通過フィルタで構成し、これに対応して、前記帯域設定手段の動作としては、積分器からの出力レベルをモニタしつつ、任意の帯域通過フィルタの通過帯域を、前記無線信号で使用される周波数帯域内で掃引させ、前記積分器からの出力レベルが所定のレベルより高くなるか否かから干渉信号の帯域を探索する。そして、積分器からの出力レベルが前記所定のレベルより高くなった帯域は干渉信号が存在すると推定されるので、その帯域を含まないように、各帯域通過フィルタの通過帯域を前記無線信号で使用される周波数帯域内で相互に異なるように設定する。
【0029】
したがって、複数の帯域通過フィルタで干渉信号が存在しない帯域だけを通過させることができる。
【0030】
さらにまた、本発明の無線受信装置では、前記フィルタは、帯域通過フィルタとそれに対を成すスイッチ素子との直列回路が相互に並列に複数組接続され、かつ前記各帯域通過フィルタの通過帯域が前記無線信号で使用される周波数帯域内で相互に異なるように設定されて成り、前記帯域設定手段は、前記積分器からの出力レベルをモニタしつつ、前記各スイッチ素子を開放状態から導通状態へ切換え、前記積分器からの出力レベルが所定のレベルより高くなった場合には、そのスイッチ素子を開放状態に復帰させることを特徴とする。
【0031】
上記の構成によれば、干渉信号を阻止するにあたって、前記フィルタを、帯域通過フィルタとそれに対を成すスイッチ素子との直列回路を相互に並列に複数組接続することで構成し、かつ前記各帯域通過フィルタの通過帯域が前記無線信号で使用される周波数帯域内で相互に異なるように設定しておき、これに対応して、前記帯域設定手段の動作としては、積分器からの出力レベルをモニタしつつ、前記各スイッチ素子を初期状態の開放状態から一旦導通状態へ切換え、前記積分器からの出力レベルが所定のレベルより高くなった場合には、その導通したスイッチ素子に対応した帯域通過フィルタの通過帯域に前記干渉信号が存在すると推定されるので、その帯域通過フィルタに対応するスイッチ素子を開放状態に復帰させる。
【0032】
したがって、複数の帯域通過フィルタで干渉信号が存在しない帯域だけを通過させることができる。
【0033】
また、本発明の無線受信装置は、信号復調器の前段に阻止帯域が変化可能な帯域阻止フィルタをさらに備えることを特徴とする。
【0034】
上記の構成によれば、前記帯域通過フィルタの通過帯域の設定によっても避けきれない干渉信号に対しても、前記帯域通過フィルタにさらに帯域阻止フィルタを組合わせることで極力阻止することができる。
【0035】
さらにまた、本発明の無線受信装置は、信号復調器が相関受信器である場合に、比較信号源と相関器との間に、前記信号復調器の前段に配置したフィルタと同等のフィルタを設けることを特徴とする。
【0036】
上記の構成によれば、信号復調器が相関受信器である場合に受信信号と同様のフィルタ処理を比較信号に対しても行う。
【0037】
したがって、本発明を相関受信器に対しても適用することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明の無線受信装置は、以上のように、任意の帯域の干渉信号が存在しても、広帯域で送信されるインパルス信号において前記干渉信号と重ならない周波数帯域の成分を抽出し、前記信号復調器に入力することができるので、前記干渉信号に対する耐性を高めることができる。
【0039】
また、本発明の無線受信装置は、以上のように、帯域阻止フィルタの阻止帯域を、無線信号で使用される周波数帯域の全域を掃引させた後に、出力レベルが最も低下した周波数に設定するので、最もレベルの高い干渉信号を阻止することができる。
【0040】
さらにまた、本発明の無線受信装置は、以上のように、干渉信号が存在している帯域に設定された帯域阻止フィルタによって、干渉信号の存在する帯域だけを阻止させ、干渉信号が存在していない帯域はそのまま通過させることができる。
【0041】
さらにまた、本発明の無線受信装置は、以上のように、無線信号で使用される周波数帯域の全域を掃引させた後に、出力レベルが最も低下した周波数に帯域通過フィルタの通過帯域を設定するので、最も干渉信号レベルの低い帯域を通過させることができる。
【0042】
また、本発明の無線受信装置は、以上のように、複数の帯域通過フィルタで干渉信号が存在しない帯域だけを通過させることができる。
【0043】
また、本発明の無線受信装置は、以上のように、帯域通過フィルタの通過帯域の設定によっても避けきれない干渉信号に対しても、前記帯域通過フィルタにさらに帯域阻止フィルタを組合わせることで極力阻止することができる。
【0044】
さらにまた、本発明の無線受信装置は、以上のように、信号復調器が相関受信器である場合に受信信号と同様のフィルタ処理を比較信号に対しても行うので、本発明を相関受信器に対しても適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0045】
[実施の形態1]
図1は、インパルス式のUWB無線方式における本発明の実施の第1の形態に係る受信器31の電気的構成を示すブロック図である。この受信器31では、広帯域のアンテナ32で受信された信号は、周波数帯域が固定のBPF33で受信帯域以外の周波数成分が除去され、さらに後述の電圧制御可変周波数BEF34を介してローノイズアンプ35に入力され、増幅された後に、信号復調器36において復調され、さらに判定器37においてビット判定され、その復調ビット列がマイコン38に取り込まれて前記ベースバンド信号に復元され、電文解析等の処理が行われる。前記アンテナ32、BPF33、ローノイズアンプ35、信号復調器36および判定器37は、前述の図23で示す受信器11におけるアンテナ12、BPF13、ローノイズアンプ14、信号復調器15および判定器16とそれぞれ同様の構成である。
【0046】
注目すべきは、本発明では、周波数帯域が固定の前記BPF33から信号復調器36までの間に、通過特性を変化することができるフィルタが介在されることであり、この図1の受信器31では、電圧制御可変周波数BEF34が介在されている。また、これに対応して、前記信号復調器36と並列に、検波器39と積分器40が挿入されている。前記BPF33からの受信信号は、前記検波器39において、包絡線あるいはピーク検波され、その出力が積分器40において所定の積分期間に亘って積算されることで、所定期間の平均受信信号電力レベルを検出できるようになる。こうして求められた受信信号電力レベルはマイコン38のAD変換入力端子から入力され、このマイコン38は、後述するようにその受信信号電力レベルをモニタしながら、DA変換出力端子から出力する制御電圧を変化し、電圧制御可変周波数BEF34の通過特性(阻止帯域)を調整する。
【0047】
なお、固定周波数のBPF33、可変周波数のBEF34およびローノイズアンプ35は、それらの順序を任意に入れ替えても同様の効果が得られることは自明である。前記信号復調器36の構成としては、ASK変調に対応する場合には、たとえば前述の図24の構成を用いることができ、BPSK変調に対応する場合には、たとえば前述の図25の構成を用いることができる。この信号復調器36内には、検波器が設けられており、その検波器からの出力を分岐して取出すことで、前記検波器39を省略することもできる。
【0048】
図2は、電圧制御可変周波数BEF34の一構成例を示す電気回路図である。この電圧制御可変周波数BEF34は、信号ラインK1が結合コンデンサC1,C2によって直流的に分断され、その結合コンデンサC1,C2の接続点が、バラクタダイオードD1およびインダクタL1を介して接地されて構成されている。前記バラクタダイオードD1は、逆バイアス電圧に比例して容量が変化し、そのカソード側には、前記マイコン38から直流の制御電圧VTが印加される。したがって、前記バラクタダイオードD1およびインダクタL1は直列共振器を構成し、その共振周波数は前記制御電圧VTによって変化可能であり、共振周波数ではインピーダンスがゼロとなって前記信号ラインK1がグランドに短絡され、入力信号のうちその共振周波数前後の周波数成分のみを選択的に阻止することができる。
【0049】
図3は、マイコン38の動作を説明するための波形図である。先ず、固定周波数のBPF33の通過帯域は、前記インパルス式のUWB無線方式の全ての周波数の成分を通過させられるように予め定められており、たとえば3〜5(GHz)である。これに対して、干渉信号は任意の周波数で発生する。そこで、マイコン38は、予めプログラミングされたソフトウェアによって、前記積分器40からAD変換入力端子に入力される受信信号電力レベルが予め定める閾値レベル以上となると、前記干渉信号の発生によって該受信信号電力レベルが上昇したものと判定し、その受信信号電力レベルをモニタしつつ、前記DA変換出力端子の電圧、すなわち前記制御電圧VTを、出力範囲の下限から、上限へ向けて、1ステップずつ上昇してゆく。
【0050】
これによって、前記バラクタダイオードD1は、逆バイアス電圧が上がると容量が減るので、BEF34の中心周波数は、図3で示すように上がってゆくことになる。こうして、マイコン38のソフトウェアは、DA変換出力の電圧を徐々に変化させてBEF34の中心周波数を全域で掃引させた後に、受信信号電力レベルが最小となった周波数でAD変換出力の電圧を固定することで、電圧制御可変周波数BEF34の中心周波数を最もレベルの高い干渉信号の周波数と一致させることができる。
【0051】
ここで、UWB無線の帯域幅が500(MHz)以上と広いのに対し、既存の無線システムの使用する周波数帯幅は数(MHz)〜数十(MHz)と相対的に狭く、このように非常に広帯域に周波数スペクトルを拡散させるUWB無線の特性として、その周波数成分の一部が欠損しても、受信感度は低下するが、受信データを復調することは可能である。そこで、本発明は、このようなUWB無線の特性を利用して、任意の帯域の干渉信号が存在しても、広帯域で送信されるインパルス信号において前記干渉信号と重ならない周波数帯域の成分を抽出し、前記信号復調器36に入力することができるので、前記干渉信号に対する耐性を高めることができる。なお、前記BEF34の中心周波数の掃引は、前記受信信号電力レベルの上昇時だけでなく、受信開始時や定期的に行われてもよい。
【0052】
[実施の形態2]
図4は、インパルス式のUWB無線方式における本発明の実施の第2の形態に係る受信器41の電気的構成を示すブロック図である。この受信器41は前述の受信器31に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。注目すべきは、この受信器41では、前記フィルタとして、可変周波数BEF群44が用いられることである。この可変周波数BEF群44は、図5で示すように、前記信号ラインK1が多段の結合コンデンサC1〜C6によって直流的に分断され、それらの結合コンデンサC1〜C6の接続点が、バラクタダイオードD11〜D15およびインダクタL11〜L15から成る直列回路をそれぞれ介して接地されて構成されている。したがって、各直列回路が、特定の周波数の成分を阻止する帯域阻止フィルタF1〜F5を構成する。前記各バラクタダイオードD11〜D15には、マイコン48から、個別に制御可能な制御電圧VT1〜VT5が印加される。
【0053】
図6は、マイコン48の動作を説明するための波形図である。固定周波数のBPF33の通過帯域は、前述の図3と同様である。この図6では、干渉信号は2つのスペクトルが存在する例を示している。本実施の形態では、マイコン48のソフトウェアは、上記のような可変周波数BEF群44を用いることに適応して、調整動作を開始すると、各帯域阻止フィルタF1〜F5の阻止帯域(すなわち前記制御電圧VT1〜VT5)を、初期状態として前記インパルス式のUWB無線信号で使用される周波数帯域内で相互に異なるように設定する。続いて、前記積分器40からの受信信号電力レベルをモニタしつつ、前記各帯域阻止フィルタF1〜F5の阻止帯域を、順次、図5で示すように前記UWB無線信号で使用される周波数帯域外に一旦移動させ、前記受信信号電力レベルが所定のレベルより高くなった場合には、移動させる前の阻止帯域に前記干渉信号が存在すると推定されるので、その帯域阻止フィルタの阻止帯域を初期状態に復帰させ、高くならない場合にはそのままの帯域で維持する。
【0054】
したがって、干渉信号が存在している帯域に設定された帯域阻止フィルタによって、干渉信号の存在する帯域だけを阻止させ、干渉信号が存在していない帯域はそのまま通過させることができる。
【0055】
[実施の形態3]
図7は、インパルス式のUWB無線方式における本発明の実施の第3の形態に係る受信器51の電気的構成を示すブロック図である。この受信器51は前述の受信器41に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。注目すべきは、この受信器51では、前記フィルタとして、固定周波数BEF群54が用いられることである。この固定周波数BEF群54は、図8で示すように、前記信号ラインK1が多段の結合コンデンサC1〜C6によって直流的に分断され、それらの結合コンデンサC1〜C6の接続点が、コンデンサC11〜C15、インダクタL11〜L15およびスイッチ素子として機能するPINダイオードS11〜S15から成る直列回路をそれぞれ介して接地されて構成されている。前記PINダイオードS11〜S15のアノードには、マイコン58から、個別にON/OFF制御可能な制御電圧VT11〜VT15が印加される。
【0056】
したがって、前記コンデンサC11〜C15およびインダクタL11〜L15から構成される直列共振器が、特定の周波数の成分を阻止する帯域阻止フィルタF11〜F15を構成し、マイコン58の前記DA変換出力端子やI/Oポートなどのデジタル出力端子からの前記制御電圧VT11〜VT15が、ハイレベルになると、前記PINダイオードS11〜S15が導通状態になって、対応する帯域阻止フィルタF11〜F15が信号ラインK1に接続されることになり、ローレベルになると、PINダイオードS11〜S15が開放状態となって、帯域阻止フィルタF11〜F15が信号ラインK1から切離されることになる。
【0057】
図9は、マイコン58の動作を説明するための波形図である。先ず、各帯域阻止フィルタF11〜F15の中心周波数は、前記UWB無線信号で使用される周波数帯域内で均等に配置され、全帯域が阻止可能なように、前記コンデンサC11〜C15およびインダクタL11〜L15の定数が調整されている。調整動作を開始すると、マイコン58は、初期状態として、前記制御電圧VT11〜VT15を全てハイレベルとし、全ての帯域阻止フィルタF11〜F15を挿入させた状態とする。その後、各制御電圧VT11〜VT15を順次ローレベルとして、対応する帯域阻止フィルタF11〜F15を切離してみて、受信信号電力レベルが変化するか観測する。受信信号電力レベルが所定のレベルより高くなった場合には、その開放した帯域阻止フィルタF11〜F15の帯域内に干渉信号が存在すると推定されるので、その帯域阻止フィルタF11〜F15に対応するPINダイオードS11〜S15を導通状態に復帰させる。
【0058】
このような操作を固定周波数の各帯域阻止フィルタF11〜F15について実行すれば、図9で示すように、干渉信号が存在している帯域に設定された帯域阻止フィルタによって、干渉信号の存在する帯域だけを阻止させ、干渉信号が存在していない帯域はそのまま通過させることができる。また、各帯域阻止フィルタF11〜F15の中心周波数が固定であるので、コンデンサC11〜C15やインダクタL11〜L15に高精度部品を用いたり、LC共振器に代えて基板パターンでスタブを構成するなどの方法で該帯域阻止フィルタF11〜F15を高精度に作成することができ、無調整化を図り易くなる。
【0059】
[実施の形態4]
図10は、インパルス式のUWB無線方式における本発明の実施の第4の形態に係る受信器61の電気的構成を示すブロック図である。この受信器61は前述の受信器31に類似し、対応する部分には同一の参照符号を付して示し、その説明を省略する。注目すべきは、この受信器41では、前記フィルタとして、電圧制御可変周波数BPF64が用いられることである。このBPF64は、図11で示すように、前記信号ラインK1が結合コンデンサC1〜C3によって直流的に2段に分断され、それらの結合コンデンサC1〜C3の接続点に、可変周波数の定K型ローパスフィルタFLおよびハイパスフィルタFHがそれぞれ接続されて構成されている。
【0060】
前記ローパスフィルタFLは、前記信号ラインK1にインダクタL21,L22が介在され、それらの接続点が、逆バイアス電圧に比例して容量が変化するバラクタダイオードD21を介して接地されて構成されている。前記ハイパスフィルタFHは、前記信号ラインK1に介在されるバラクタダイオードD22およびコンデンサC21と、その入力側および出力側をそれぞれ接地するインダクタL23,L24とを備えて構成される。マイコン68が、前記バラクタダイオードD21,D22に与える制御電圧VT21,VT22を変化することで、該バラクタダイオードD21,D22の容量が変化し、前記ローパスフィルタFLおよびハイパスフィルタFHのカットオフ周波数が変化する。
【0061】
図12は、この受信器61におけるマイコン68の動作を説明するための波形図である。調整動作を開始すると、マイコン68は、初期状態として、前記制御電圧VT21,VT22を予め定められている値に適宜調整して、前記固定周波数のBPF33の通過帯域と同等以上の通過帯域に該可変周波数のBPF64の通過帯域を設定する。続いて、マイコン68のソフトウェアは、ローパスフィルタFLに与える制御電圧VT21を掃引しながら、受信信号電力レベルを観測して、受信信号電力レベルが低減する点を調べる。次に、前記ローパスフィルタFLの制御電圧VT21を初期状態の電圧に戻してから、ハイパスフィルタFHの制御電圧VT22を掃引しながら、受信信号電力レベルを観測して、受信信号電力レベルが低減する点を調べる。そして、ローパスフィルタFLを制御した場合と、ハイパスフィルタFHを制御した場合とのいずれが通過帯域幅を広くできるかを判断して、ローパスフィルタFLとハイパスフィルタFHとのいずれかの一方のカットオフ周波数を制御する。
【0062】
このようにして、干渉信号が存在する場合に、図12で示すように、それを避けて帯域の上側または下側の広い方の周波数帯のUWB信号を受信できるようになる。また、現状でUWB無線と周波数を共用する無線通信システムの占有周波数帯幅は数(MHz)〜数十(MHz)であるが、今後割当てられる第4世代携帯電話システムなど次世代移動体通信システムの占有周波数帯幅は数百(MHz)程度が想定されている。この場合、前記BEF34,44,54ではそのように広い阻止帯域を実現することが困難であるが、BPF64を用いることで、広い阻止帯域を実現することができる。
【0063】
[実施の形態5]
図13は、インパルス式のUWB無線方式における本発明の実施の第5の形態に係る受信器71の電気的構成を示すブロック図である。この受信器71は前述の受信器61に類似している。注目すべきは、この受信器71では、前記フィルタとして、可変周波数のBPF群74が用いられることである。前記BPF群74は、相互に並列の複数(図13では2つ)のBPF74a,74bから構成されており、各BPF74a,74bは、たとえば前述の図11で示すように構成されている。
【0064】
図14は、この受信器71におけるマイコン78の動作を説明するための波形図である。調整動作を開始すると、マイコン68は、初期状態として、前記各BPF74a,74bの通過帯域を固定周波数BPF33の通過帯域外にしており、その後BPF74a,74bの内の一方の中心周波数を掃引しながら、受信信号電力レベルを観測して、干渉信号の周波数を調べる。次に、前記受信信号電力レベルが所定のレベルより高くなった干渉信号の周波数を避けて、図14で示すように、各BPF74a,74bの通過帯域を割当てるように制御する。このようにして、複数のBPF74a,74bで干渉信号が存在しない帯域だけを通過させることができる。
【0065】
[実施の形態6]
図15は、インパルス式のUWB無線方式における本発明の実施の第6の形態に係る受信器81の電気的構成を示すブロック図である。この受信器81は、前述の受信器51,71に類似している。注目すべきは、この受信器81では、前記フィルタとして、固定周波数のBPF群84が用いられることである。前記BPF群84は、固定周波数のBPF8411〜8414と、個別に対応するスイッチ素子8421〜8424との直列回路が相互に並列に複数(図15では4つ)接続されて構成されている。各BPF8411〜8414は、コンデンサとインダクタンスとを用いた前述の図11で示すような定K型フィルタ以外に、誘電体セラミックフィルタや、基板上に形成された共振器などで実現することができる。前記スイッチ素子8421〜8424は、図8と同様にPINダイオードなどで構成することができる。
【0066】
図16は、この受信器81におけるマイコン88の動作を説明するための波形図である。前記各BPF8411〜8414の通過帯域は、前段の固定BPF33の通過帯域に亘って、均等に配置されている。調整動作を開始すると、マイコン88は、初期状態として全てのスイッチ素子8421〜8424を開放状態とする。続いて、各スイッチ素子8421〜8424を順に導通状態にしながら、受信信号電力レベルを観測して、受信信号電力レベルが所定のレベルより高くなった場合には、その導通したスイッチ素子に対応したBPFの通過帯域に前記干渉信号が存在すると推定されるので、その帯域通過フィルタに対応するスイッチ素子を開放状態に復帰させる。
【0067】
このようにして、図16で示すように、複数のBPF8411〜8414で干渉信号が存在しない帯域だけを通過させることができる。また、固定周波数のBPF8411〜8414には、誘電体セラミックフィルタや基板上で形成した高次フィルタを利用できるので、干渉信号に対する阻止量を大きくすることができる。
【0068】
[実施の形態7]
図17は、インパルス式のUWB無線方式における本発明の実施の第7の形態に係る受信器91の電気的構成を示すブロック図である。この受信器91は、前述の受信器31,81に類似している。注目すべきは、この受信器91では、前記フィルタとして、固定周波数のBPF群84と、可変周波数のBEF34とが併用されていることである。
【0069】
図18は、この受信器91におけるマイコン98の動作を説明するための波形図である。前記BPF群84内の各BPF8411,8412の通過帯域は、前段の固定BPF33の通過帯域に亘って、均等に配置されている。調整動作を開始すると、マイコン98は、初期状態として全てのスイッチ素子8421,8424を導通状態とする。また、DA変換出力の電圧を下限にして、BEF34の中心周波数を固定BPF33の通過帯域外とする。続いて、各スイッチ素子8421,8424を順に開放状態にしながら、受信信号電力レベルを観測して、受信信号電力レベルが減少すれば、当該の高周波スイッチを開放状態のままにし、受信信号電力レベルが変わらなければ、当該の高周波スイッチを導通状態に戻す。いずれのスイッチ素子8421,8424を開放状態しても、受信信号電力レベルが減少するならば、全てのBPF8411,8412の通過帯域内に干渉信号が存在することになる。その場合には、1つのスイッチ素子のみを導通状態にして、DA変換の出力電圧を掃引しながら、受信信号電力レベルを観測し、受信信号電力レベルが減少する電圧でDA変換の出力電圧を固定する。
【0070】
このようにして、干渉信号が通過帯域に存在しないBPFのみを導通状態にすることができない場合にも、電圧制御可変周波数BEF34の中心周波数を干渉信号の周波数にあわせて選択的に阻止し、UWB信号のみを受信できるようになる。図18では、2つのBPF8411,8412の通過帯域内にそれぞれ干渉信号が存在し、干渉信号のスペクトルが狭い方(高域側)の帯域を通過させるようにし、その帯域内の干渉信号をBEF34で阻止する例を示している。
【0071】
[実施の形態8]
図19は、インパルス式のUWB無線方式における本発明の実施の第8の形態に係る受信器101の電気的構成を示すブロック図である。この受信器101は、前述の受信器31に類似している。注目すべきは、この受信器101では、前記信号復調器36として相関受信をする相関器36aが用いられ、これに対応して、比較信号源102と前記相関器36aとの間に、前記BEF34と同等のBEF104を設けることである。これらのBEF34,104は、前記マイコン38からの制御電圧VTで共通に制御される。
【0072】
このようにすることで、干渉信号がある場合には、可変周波数BEF34を通過したUWB無線の受信信号はスペクトルの一部が欠損し、比較信号との相関値が下がり、受信感度が劣化してしまうところ、受信信号と同じ波形の比較信号を相関器36aに与えることができ、相関演算の確度が向上して受信感度を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】インパルス式のUWB無線方式における本発明の実施の第1の形態に係る受信器の電気的構成を示すブロック図である。
【図2】図1で示す受信器における電圧制御可変周波数BEFの一構成例を示す電気回路図である。
【図3】前記電圧制御可変周波数BEFの調整動作を説明するための波形図である。
【図4】インパルス式のUWB無線方式における本発明の実施の第2の形態に係る受信器の電気的構成を示すブロック図である。
【図5】図4で示す受信器における電圧制御可変周波数BEF群の一構成例を示す電気回路図である。
【図6】前記電圧制御可変周波数BEF群の調整動作を説明するための波形図である。
【図7】本発明の実施の第3の形態に係る受信器の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】図7で示す受信器における固定周波数BEF群の一構成例を示す電気回路図である。
【図9】図7で示す受信器における固定周波数BEF群の調整動作を説明するための波形図である。
【図10】本発明の実施の第4の形態に係る受信器の電気的構成を示すブロック図である。
【図11】図10で示す受信器における電圧制御可変周波数BPFの一構成例を示す電気回路図である。
【図12】図11で示す電圧制御可変周波数BPFの調整動作を説明するための波形図である。
【図13】本発明の実施の第5の形態に係る受信器の電気的構成を示すブロック図である。
【図14】図13で示す受信器における可変周波数BPF群の調整動作を説明するための波形図である。
【図15】本発明の実施の第6の形態に係る受信器の電気的構成を示すブロック図である。
【図16】図15で示す受信器における固定周波数BPF群の調整動作を説明するための波形図である。
【図17】本発明の実施の第7の形態に係る受信器の電気的構成を示すブロック図である。
【図18】図17で示す受信器における固定周波数BPF群および可変周波数BEFの調整動作を説明するための波形図である。
【図19】本発明の実施の第7の形態に係る受信器の電気的構成を示すブロック図である。
【図20】インパルス式のUWB無線方式において、送信機の一例を示すブロック図である。
【図21】インパルス式のUWB無線方式において、ASK変調での信号波形の例を示す図である。
【図22】インパルス式のUWB無線方式において、BPSK変調での信号波形の例を示す図である。
【図23】前記インパルス式のUWB無線方式における典型的な従来技術の受信器の概略的構成を示すブロック図である。
【図24】前記インパルス式のUWB無線方式において、ASK変調に対応する信号復調器の一構成例を示すブロック図である。
【図25】前記インパルス式のUWB無線方式において、BPSK変調に対応する信号復調器の一構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0074】
31,41,51,61,71,81,91,101 受信器
32 アンテナ
33 BPF
34 BEF
35 ローノイズアンプ
36 信号復調器
37 判定器
38,48,58,68,78,88,98 マイコン
39 検波器
40 積分器
44 BEF群
54 BEF群
64 BPF
74 BPF群
84 BPF群
8411〜8414 BPF
8421〜8424 スイッチ素子
C11〜C15,C21 コンデンサ
D1;D11〜D15;D21,D22 バラクタダイオード
F1〜F5 帯域阻止フィルタ
FL ローパスフィルタ
FH ハイパスフィルタ
L1;L11〜L15;L21〜L24 インダクタ
S11〜S15 PINダイオード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定周期のパルス状の無線信号を当該周期と同期したタイミングで受信し、そのパルス列からベースバンド信号を復調する無線受信装置において、
受信信号が入力され、前記無線信号で使用される周波数帯域内の信号に対して、通過または阻止帯域が変化可能であり、その出力から前記ベースバンド信号の復調を行わせるフィルタと、
前記フィルタからの出力の包絡線あるいはピークを検出する検波器と、
前記検波器の出力を所定の積分期間に亘って積算する積分器と、
前記フィルタの通過または阻止帯域を変化させ、それによる積分器からの出力に応答して、前記通過または阻止を設定する帯域設定手段とを含むことを特徴とする無線受信装置。
【請求項2】
前記フィルタは、阻止帯域が変化可能な帯域阻止フィルタから成り、
前記帯域設定手段は、積分器からの出力レベルをモニタしつつ、前記帯域阻止フィルタの阻止帯域を掃引させ、前記積分器からの出力レベルが最も低下した周波数に前記帯域阻止フィルタの阻止帯域を設定することを特徴とする請求項1記載の無線受信装置。
【請求項3】
前記フィルタは、阻止帯域が変化可能な帯域阻止フィルタが複数個相互に並列に接続されて成り、
前記帯域設定手段は、前記各帯域阻止フィルタの阻止帯域を、初期状態として前記無線信号で使用される周波数帯域内で相互に異なるように設定し、前記積分器からの出力レベルをモニタしつつ、前記各帯域阻止フィルタの阻止帯域を順次前記無線信号で使用される周波数帯域外に移動させ、前記積分器からの出力レベルが所定のレベルより高くなった場合には、その帯域阻止フィルタの阻止帯域を初期状態に復帰させることを特徴とする請求項1記載の無線受信装置。
【請求項4】
前記フィルタは、帯域阻止フィルタとそれに対を成すスイッチ素子との直列回路が相互に並列に複数組接続され、かつ前記各帯域阻止フィルタの阻止帯域が前記無線信号で使用される周波数帯域内で相互に異なるように設定されて成り、
前記帯域設定手段は、前記積分器からの出力レベルをモニタしつつ、前記各スイッチ素子を導通状態から開放状態へ切換え、前記積分器からの出力レベルが所定のレベルより高くなった場合には、そのスイッチ素子を導通状態に復帰させることを特徴とする請求項1記載の無線受信装置。
【請求項5】
前記フィルタは、通過帯域が変化可能な帯域通過フィルタから成り、
前記帯域設定手段は、積分器からの出力レベルをモニタしつつ、前記帯域通過フィルタの通過帯域を掃引させ、前記積分器からの出力レベルが最も低下した周波数に前記帯域通過フィルタの通過帯域を設定することを特徴とする請求項1記載の無線受信装置。
【請求項6】
前記フィルタは、通過帯域が変化可能な帯域通過フィルタが複数個相互に並列に接続されて成り、
前記帯域設定手段は、前記積分器からの出力レベルをモニタしつつ、任意の帯域通過フィルタの通過帯域を、前記無線信号で使用される周波数帯域内で掃引させ、前記積分器からの出力レベルが所定のレベルより高くなった帯域を含まないように、各帯域通過フィルタの通過帯域を前記無線信号で使用される周波数帯域内で相互に異なるように設定することを特徴とする請求項1記載の無線受信装置。
【請求項7】
前記フィルタは、帯域通過フィルタとそれに対を成すスイッチ素子との直列回路が相互に並列に複数組接続され、かつ前記各帯域通過フィルタの通過帯域が前記無線信号で使用される周波数帯域内で相互に異なるように設定されて成り、
前記帯域設定手段は、前記積分器からの出力レベルをモニタしつつ、前記各スイッチ素子を開放状態から導通状態へ切換え、前記積分器からの出力レベルが所定のレベルより高くなった場合には、そのスイッチ素子を開放状態に復帰させることを特徴とする請求項1記載の無線受信装置。
【請求項8】
信号復調器の前段に阻止帯域が変化可能な帯域阻止フィルタをさらに備えることを特徴とする請求項5〜7のいずれか1項に記載の無線受信装置。
【請求項9】
信号復調器が相関受信器である場合に、比較信号源と相関器との間に、前記信号復調器の前段に配置したフィルタと同等のフィルタを設けることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の無線受信装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2008−54012(P2008−54012A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−227685(P2006−227685)
【出願日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】