説明

無線周波数識別タグとセンサとを一体化した食品パッケージ

【課題】導電層を有する積層体(ラミネート)容器壁が設けられ傷みやすい物質を収容するための容器又は食品パッケージに設けられた、RFIDタグのRF信号が遮蔽されることを防ぐ。
【解決手段】容器100は、内側面106と外側面108とを有する容器壁104を具え、この容器壁104は、内側面106と外側面108との間で延在する導電層110を有する。容器100は、物質の物理的特性又は状態を検出するセンサ118と、この容器の外部にある受信機122にRF信号を送信するアンテナ120とを有する電子回路116を具え、RF信号は、検出された前記物理的特性又は状態を表す。センサ118は、容器100の使用中に物質を収容しているスペース102にさらされるように配置される。アンテナ120は、外側面108に、又は外側面108と導電層110との間に配置されるとともに、導電層110から電気的に分離される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物質を収容するとともに、この物質の物理的特性を検出し且つこの検出した物理的特性を表す無線信号を生じる電子回路を具えるように構成した容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線周波数識別(RFID)タグは、物質を識別するとともに追跡するのに広く用いられている。RFIDは、物理的な物質に取り付けられているか又はその中に収容されており、RF(無線周波数の電磁波)を介して遠隔受信機と通信するためのアンテナを有している。RFIDタグは、このRFIDタグを表す、従って個々の物理的な物質を表す唯一の識別子と通信しうる。RFIDタグは、外部電源により発生させられ、アンテナの感度に対応する適切な周波数である入射電磁波を受けた際に動作用の電力を発生する受動RFIDタグとすることができる。或いはまた、RFIDタグは、自律動作のための独自の電源、例えば、バッテリ又はエネルギースカベンジャを収容している能動RFIDタグとすることができる。
【0003】
RFIDタグはセンサと組み合わせて、テレメトリ(遠隔測定)分野に用いるための廉価なリモートセンサを構成するようにしうる。例えば、無線識別及び検出プラットフォーム(Wireless Identification and Sensing Platform:WISP)は、例えばセンサ信号をローカル処理するとともに、この処理した信号を、RFを介して外部の受信機と通信するために温度又は加速度の検出を支援するように構成した、一種の受動RFIDタグである。
【0004】
RFID技術は、サプライチェーンの全体に亘って個々の製品を追跡する手段を設けることにより物流を変換する援助をする。現在、製品の品質を監視するセンサとRFIDタグとの一体化において益々研究及び開発が進んでいる。近年では、食品の品質特性を監視及び管理するために、食品加工に無線センサが採用されている。例えば、時間に対する温度を記録し、この温度データを無線で中央制御装置に伝送するために、食品に温度センサを挿入しうる。
【0005】
RFIDタグのタグ付けは、データ収集や、人、動物及び製品の追跡に関する、良好に構成されたトレーサビリティシステムに対する新規な技術として受け入れられている。RFIDの適用分野は今後10年間に32.2%の年平均成長率(2003〜2010)で急速に成長するであろうことが予想されている(例えば、N. Wang 氏等著の“Computers and Electronics in Agriculture 50 (2006)”の1〜14頁参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0176773号
【0007】
【非特許文献1】“Computers and Electronics in Agriculture 50 (2006)”1〜14頁(N. Wang 氏等著)
【非特許文献2】“The truly integrated circuit is printed and flexible”, Dr. Peter Harrop, Printed Electronics WORLD, March 24, 2010
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
RFIDタグとセンサとの組み合わせを動作させるには、RFIDタグのアンテナであって、RF信号を外部の受信機に送信しうるようにするとともに、受動RFIDタグの場合にはRF信号を外部の送信機から受信しうるようにもするアンテナを配置する必要がある。すなわち、導電性の物質の付近でのRFIDタグの使用により、RFIDタグの動作を妨害するおそれがある。その理由は、RF信号はこのRF信号の周波数及び導電性の物質の特性に応じてこの導電性の物質により遮蔽されるおそれがある為である。
【0009】
傷みやすい物質、例えば、乳製品、果汁のような食品や、医薬等のような他の傷みやすい製品を収容するように構成した容器又は食品パッケージを考慮する。このような容器の周知例は、テトラパック社により製造されている。このような容器は代表的に、物質を無菌包装するように設計されており、且つこのような容器には導電層、例えば、アルミニウムを有する積層体(ラミネート)容器壁が設けられている。アルミニウ層は、物質が光や酸素にさらされるのを阻止するのに用いられている。
【0010】
従って、容器壁内に導電層が存在することにより、RFIDタグとセンサとを一体化したこの従来の組み合わせを用いるのに問題が生じる。又従来では、RFIDタグが、平面アンテナを有する基板上に直接接着されていることを銘記すべきである。すなわち、RFIDタグとアンテナとは、これらが同じ基板上に設けられている点で同一平面にあり、従って、単一ユニットを形成している。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明者は、物質を収容するスペースと、このスペースを決定する容器壁とを有する容器を提案する。容器壁には、内側面と外側面とが存在する。この容器壁は、内側面と外側面との間で延在する導電層を有する。すなわち、この導電層は、内側面及び外側面とほぼ平行に配置されている。内側面は、容器の使用中で物質を収容しているスペースと対面している。容器は、この容器の使用中で物質の物理的特性又は物理的状態を検出するセンサを有する電子回路を具えている。この電子回路は、無線周波数信号を容器の外部の受信機に送信するアンテナをも有している。この無線周波数信号は、容器の使用中に検出された物理的特性又は物理的状態を表す。センサは、容器の使用中に物質を収容するスペースにさらされるように配置されている。アンテナは導電層から電気的に分離されている。アンテナは、外側面に又は外側面と導電層との間に配置されている。
【0012】
本発明では、容器壁に対し平行に延在する互いに異なる平面内にセンサとアンテナとを収容する。従って、センサは、物質にさらされるように、又は物質が古くなった際にこの物質から放出される一種以上の化学生成物にさらされるように、又は物質が容器内で受ける温度或いは圧力にさらされるように配置する。一方、アンテナは、導電層から離してこの導電層から電気的に分離させて容器の外側面上に又はその付近に配置し、RF信号を容器から遠く離れた外部受信機に送信しうるようにする。
【0013】
電子回路は、センサから受信したセンサ信号を処理する信号処理回路を有するようにしうる。例えば、センサは、周期的に又は如何なる所望の瞬時にも動作させるようにし、センサ信号はオンボードの固体メモリ内に記録させて、例えば、物質のエージングを表す履歴ファイルを蓄積するようにする。或いはまた、センサを、周期的に又は如何なる所望の瞬時にも動作させ、センサ信号を、物質の品質保持期間の終了を決定するための予め決定したしきい値と比較するようにする。例えば、電子回路はオンボードの電源、例えば、バッテリにより電力供給する。この場合、電子回路には、センサを動作させるとともにセンサ信号を記録する瞬時を制御するタイマを有するようにしうる。或いはまた、電子回路は、容器の外部の信号源からアンテナを介して第1の制御信号を受けて、センサを動作させるようにする。この電子回路は、アンテナを介して第2の制御信号を受け、この第2の制御信号により、記録された履歴に関する情報を有するRF信号を、アンテナを介して送信するのを電子回路が開始するようにする。或いはまた、しきい値に達したことを信号処理回路が決定した際に、しきい値に達したことを表すRF信号を、電子回路がアンテナを介して外部の受信機に周期的に送信するようにする。
【0014】
上述した本発明は、本発明を容器の例で商業的に開発することに関するものである。又、本発明は、容器を形成するのに適した積層体として商業的に開発することもできる。例えば、本発明は、傷みやすい物質を収容するように設計した容器の容器壁に用いるための積層体にも関するものである。積層体は、第1の面及び第2の面を有する。積層体は、これらの第1の面及び第2の面間に延在する導電層を有する。第1の面は、容器の使用中に物質を収容しているスペースに対面するように構成されている。積層体は、容器の使用中の物質の物理的特性又は物理的状態を検出するセンサを有するとともに無線周波数信号を容器の外部の受信機に供給するアンテナをも有する電子回路を具えている。無線周波数信号は、容器の使用中に検出された物理的特性又は物理的状態を表す。センサは第1の面に又はその近辺に配置され、容器の使用中に物質を収容しているスペースにさらされるようになっている。アンテナは第2の面に、又はこの第2の面と導電層との間に配置されている。アンテナは、導電層から電気的に分離されている。
【0015】
すなわち、このような積層体の片を第一者により製造しこれを第二者に提供し、第二者の社屋でこの積層体を切断し且つ折り曲げて本発明による容器を製造し、この容器に物質を充填するようにすることができる。電子回路は、第一者が印刷エレクトロニクス技術を用いることにより製造しうる。印刷エレクトロニクスに対しては、例えば、“The truly integrated circuit is printed and flexible”, Dr. Peter Harrop, Printed Electronics WORLD, March 24, 2010又はウィキペディアにおける関連の登録事項を参照されたい。
【0016】
一例では、積層体が、電子回路に電力供給するバッテリを有するようにする。このバッテリは、物質を収容するスペースから物理的に分離されるように設け、容器の使用中に物質がバッテリにより汚染されるのを回避するようにする。
【0017】
完全を期すためには、米国特許出願公開第2007/0176773号明細書を参照しうるが、これは参考のために導入したものである。この米国特許出願公開第2007/0176773号明細書には、食料や医薬のような傷みやすい製品の有用性状態を表すための遠隔的に解読可能なセンサが開示されている。このセンサには、抵抗値が傷みやすい製品の状態を表す抵抗素子が設けられている。本発明によれば、センサを食品パッケージの内部に配置する。センサの素子は、第1のコイルとで電流ループを構成しており、この第1のコイルは遠隔読取装置の第2のコイルに誘導的に結合されている。このセンサの素子の抵抗値が、この素子とコイルとより成る共振回路のQ値(クオリティファクタ)を決定する。従って、このQ値を測定することにより、素子の抵抗値、従って、傷みやすい製品の状態を決定できる。米国特許出願公開第2007/0176773号明細書は、食品の包装材料内に導電層が存在することを開示していないばかりか、示唆さえしていない。与えられた食品の包装の唯一の例は、絶縁体であるHDPE(高密度ポリエチレン)の層である。
【0018】
以下に添付図面を参照して本発明の例を詳細に説明する。図面全体に亘り同様な又は対応する特徴事項を同じ符号で示してある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明における容器を示すブロック線図である。
【図2】図2は、本発明における容器の一構造例を詳細に示す線図である。
【図3】図3は、本発明における容器の他の構造例を詳細に示す線図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1は、本発明の容器100を示すブロック線図である。この容器100は、傷みやすい物質(図示せず)、例えば、果汁を入れるスペース102と、このスペース102を決定する積層の容器壁104とを有する。この容器壁104は、内側面106及び外側面108を有する。又、この容器壁104は、内側面106及び外側面108間で延在する導電層110を有する。内側面106は、容器の使用中に物質を収容しているスペース102に対面している。又、容器100は、キャップ114で封じられる注ぎ口112を有している。キャップ114を注ぎ口112から除去することにより、ユーザが果汁を容器100から、例えばタンブラ(図示せず)又はカップ(図示せず)に注ぎうるようにする。着脱自在のキャップ114は、例えば容器を輸送したり多くの酸素が容器100に入り込まないようにしたりするために、注ぎ口112を封じる。容器100は、容器の使用中に物質の物理的特性を検出するためのセンサ118と、無線周波数信号を容器100の外部の受信機122に送信するアンテナ120とを有する電子回路116を具えている。この無線周波数信号は、検出された物理的特性を表す。この物理的特性には、例えば、物質の温度又はその温度の変化や、スペース102内の圧力又はその圧力の変化や、物質の酸性度や、物質の塩基度や、物質から放出される特定の化合物、等々が含まれる。センサ118は、容器壁104の内側面106に配置され、容器100の使用中に物質を収容しているスペース102にさらされるようになっている。例えば、このセンサ118を容器壁104の内側面106上に装着する。或いはまた、センサ118を容器壁104内に埋め込むとともに、このセンサ118が容器壁104の内側面106における開口(図示せず)を介してスペース102にさらされるようにするか、又はセンサ118を容器壁104内に埋め込むとともに、このセンサ118が容器壁104の内側面106及び導電層110の双方における開口(図示せず)を介してスペース102にさらされるようにするか、又はその他の手段を講じる。アンテナ120は容器壁104の外側面108に又はその近辺に配置されている。すなわち、アンテナ120は外側面108上に配置するか、外側面108と導電層110との間で容器壁104内に配置する。このアンテナ120は導電層110から電気的に分離されている。
【0021】
アンテナ120はセンサ118と機能的に結合されている。例えば、電気的に相互接続されているアンテナ及びセンサがそれぞれ導電層110の異なる側に配置され且つこの導電層110から電気的に分離されている場合には、米国特許出願公開第2007/0176773号明細書に開示されたRFIDセンサの構造を用いることができる。他の実施例では、センサ118を、信号処理回路(図示せず)を介してアンテナ120に機能的に結合させる。この信号処理回路は、センサ118からセンサ信号を受信する。この場合、信号処理回路は、オンボードメモリ(図示せず)内に、受信したセンサ信号を表すデータを記憶しておき、このデータを後に受信機122がアンテナ120を介して回復させるようにする。例えば、オンボードメモリは、個々の1つのデータが個々の瞬時に捕捉された個々のセンサ信号を表す一組のデータを記憶する。或いはまた、信号処理回路はセンサ118からセンサ信号を受信し、このセンサ信号を、アンテナ120を駆動する駆動信号に変換し、RF信号を受信機122に送信するようにする。
【0022】
センサ118と信号処理回路との双方又は何れか一方は、これらの双方又は何れか一方に電力供給するためのオンボード電源、例えば、バッテリを有するようにしうる。この場合、センサ118と信号処理回路との双方又は何れか一方は、センサ118を動作させてセンサ信号を生ぜしめる時を決定するか、又はRF信号を受信機122に送信する時を決定するか、これらの双方を決定するオンボードタイマを有するようにもできる。後者の場合、センサ118とアンテナ120との組み合わせを能動RFIDタグとして構成及び機能するようにする。或いはまた、センサ118と信号処理回路との双方又は何れか一方に、外部の信号源により送信されアンテナ120に入力される適切な周波数のRF信号を介して電力供給する。この場合、センサ118とアンテナ120との組み合わせを受動RFIDタグとして構成及び機能するようにする。
【0023】
センサ118か又は少なくともスペース102にさらされるこのセンサ118の部分は、このさらされたセンサ118の部分がスペース102内の物質を化学的に又は物理的に汚染させないように構成する。センサ118の材料及びこのセンサ118の構造は、どんな物理量が検出されるかに応じて、且つ場合に応じ、物質の化学的又は物理的或いはその双方の特性に応じて選択する。例えば、センサ118が温度検出装置を有する場合には、センサ118又はこのセンサの、スペースにさらされた部分を、物質に対し化学的に不活性であるとともに適切な熱伝導性を有する適切な材料の保護膜により被覆することができる。同様に、センサ118が圧力を検出するように構成されている場合には、センサ118の、スペースにさらされた部分を、物質に対し化学的に不活性であるとともにスペース102内の圧力の検出を殆ど妨害しない適切な材料の保護膜により被覆することができる。従って、温度検出装置又は圧力検出装置と物質とは保護膜を介してのみ相互作用する。他の例として、他の装置を有するセンサ118であって、この他の装置は、スペース102内の化合物の存在又は濃度を、この化合物とこの他の装置の材料との間の化学反応により検出するようにした当該センサを考慮する。この場合、この他の装置の材料も化学反応生成物も物質を著しく汚染させないようにする必要がある。
【0024】
センサ118が基板(図示せず)上に装着されている場合には、基板の一部がスペース102にさらされる結果として物質が汚染されることに関して上述したのと同様なことが当てはまる。センサ118と信号処理回路との双方又は何れか一方がそれ自体の電源、例えば、バッテリを有する場合には、バッテリの一部がスペース102にさらされる結果として物質が汚染されることに関して上述したのと同様なことが当てはまる。
【0025】
図1の容器の線図は、センサ118及びアンテナ120を容器100に配置する複数のオプションの最初の1つを表している。この最初のオプションでは、センサ118又はこのセンサ118を設けている基板と、任意ではあるが信号処理回路とが容器壁104の内側面106上に装着されている。センサ118と信号処理回路との双方又は何れか一方は、導電性接続ライン124を介してアンテナ120に接続されている。導電性接続ライン124は、通路126を介して導電層110を貫通している。この導電性接続ライン124は、導電層110から電気的に絶縁されている。例えば、導電性接続ライン124を電気絶縁性の外側層で囲む。或いはまた、容器壁104を、導電層110を除いて電気絶縁材料とした積層体を以て構成する。この場合、導電性接続ライン124を囲む通路126内のスペースを電気絶縁材料で充填し、導電性接続ライン124と導電層110との間のガルバニック接触を回避するようにする。
【0026】
図2及び3はそれぞれ、センサ118及びアンテナ120を配置するための第2のオプション200及び第3のオプション300である。
【0027】
第2のオプション200及び第3のオプション300の双方では、容器壁104が前述したように積層体として表されている。容器壁104の内側面106は代表的に、スペース102内に果汁を封入するためのメタロセンポリエチレン(mPE)より成る第1の層202を有する。この第1の層202と導電層110との間には変性された低密度ポリエチレン(LDPE)より成る第2の層204が配置されている。この第2の層204は接着層として作用する。外側面108は、容器100の外部からの湿気から保護するためのLDPEより成る第3の層206を有する。この第3の層206に隣接して、機械的な安定性及び強度を得るための紙より成る第4の層208がある。この第4の層208と導電層110との間にはLDPEより成る第5の層が位置している。
【0028】
センサ118と、任意ではあるが信号処理回路とは第5の層210内に又はその上に設けられており、例えば、印刷エレクトロニクス技術を用いて第5の層210(LDPE)上に印刷されている。任意ではあるが、信号処理回路とバッテリとの双方又は何れか一方を同様に、例えば、印刷エレクトロニクス技術を用いて第5の層210内に又はその上に或いはその双方に設ける。センサ118は、導電層210と、第2の層204と、第1の層202とのそれぞれの孔を介してスペース102にさらされる。これらの孔は互いに整列させるのが好ましい。
【0029】
第2のオプション200では、アンテナ120が平坦構造をしており、外側面108上で第3の層206内に設けられている。このアンテナ120は、印刷エレクトロニクス技術を用いて構成しうる。このアンテナ120は、第4の層208及び第3の層206を貫通する導電性接続ライン124によりセンサ118又は信号処理回路に接続されている。例えば、対応する孔を第4の層208及び第3の層206内に形成し、これらの孔に導電性ペーストを充填する。
【0030】
或いはまた、センサ118と、任意ではあるが信号処理回路及びバッテリの双方又は何れか一方とを第4の層208内に又はその上に設ける。例えば、これらを、印刷エレクトロニクス技術を用いて第4の層208(紙)上に印刷する。この場合、第5の層210にも孔を設け、この孔が、スペース102にさらされるセンサ118を有するようにする。
【0031】
第3のオプション300では、アンテナ120が平坦構造をしており、このアンテナは、センサ118が設けられている基板上に設けられている。アンテナ120は印刷エレクトロニクス技術を用いて形成しうる。任意ではあるが、信号処理回路とバッテリとの双方又は何れか一方を、印刷エレクトロニクス技術を用いて同じ基板上に設ける。図3に示す例では、センサ118と、任意ではあるが信号処理回路及びバッテリの双方又は何れか一方とを第5の層210内に又はその上に設ける。
【0032】
或いはまた、センサ118と、任意ではあるが信号処理回路及びバッテリの双方又は何れか一方とを第4の層208内に又はその上に設け、例えば、これらを、印刷エレクトロニクス技術を用いて第4の層208(紙)上に印刷する。この場合、第5の層210にも孔を設け、この孔が、スペース102にさらされるセンサ118を有するようにする。
【0033】
図1、2及び3の線図は、本発明を例えば、ミルクカートン又は果汁を入れるためのカートンに適用するものとして示している。本発明は同様に、完全に導電性材料より成る他の種類の容器、例えば、ステンレス鋼のビール樽(ケスク又はケグとも称する)又は傷みやすい物質、例えば、食品又は飲料を入れるアルミニウム缶にも適用しうる。すなわち、本発明は、導電性材料より成る容器内に入れられた物質を状態監視するセンサと組み合わせたRFIDタグにも適用しうる。又、本発明は、アルミニウム箔の皿又はトレイのような金属製の食品容器にも適用しうる。RFIDタグの回路、例えば、センサ118と、信号処理回路と、バッテリとの何れか1つ又はこれらの任意の組み合わせはアンテナ120から空間的に分離させる。この場合、アンテナは容器の外側面上に設けられるとともに容器から電気的に絶縁され、RFIDタグの回路は容器の内側面上に設けられる。RFIDタグのアンテナ及び回路は容器の壁部内の孔を介して互いにガルバニック(直流電流)的に接続されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
傷みやすい物質を収容するためのスペースと、このスペースを決定する容器壁とを有する容器であって、
前記容器壁は、内側面及び外側面を有しており、
前記容器壁は、これら内側面及び外側面間で延在する導電層を有しており、
前記内側面は、前記容器の使用中に物質を収容している前記スペースに対面するようになっており、
前記容器は、この容器の使用中に物質の物理的特性又は状態を検出するセンサと、この容器の使用中にこの容器の外部にある受信機に無線周波数信号を送信するアンテナとを有する電子回路を具えており、
前記無線周波数信号は、検出された前記物理的特性又は状態を表すようになっており、
前記センサは、前記容器の使用中に前記物質を収容している前記スペースにさらされるように配置されており、
前記アンテナは、前記外側面に、又はこの外側面と前記導電層との間に配置されており、
このアンテナは、前記導電層から電気的に分離されている、
容器。
【請求項2】
請求項1に記載の容器において、
この容器が、前記電子回路に電力供給するバッテリを具えており、
このバッテリは、前記物質を入れるための前記スペースから物理的に分離されて、前記容器の使用中にこのバッテリにより前記物質を汚染するのを回避するようになっている、
容器。
【請求項3】
傷みやすい物質を収容するように設計した容器の容器壁に用いる積層体であって、
前記積層体は、第1の面及び第2の面を有しており、
前記積層体は、これら第1の面及び第2の面間で延在する導電層を有しており、
前記第1の面は、前記容器の使用中に物質を収容しているスペースに対面するように構成されており、
前記積層体は、前記容器の使用中に物質の物理的特性又は状態を検出するセンサと、前記容器の外部にある受信機に無線周波数信号を送信するアンテナとを有する電子回路を具えており、
前記無線周波数信号は、検出された前記物理的特性又は状態を表すようになっており、
前記センサは、前記容器の使用中に前記物質を収容している前記スペースにさらされるように、前記第1の面に又はその付近に配置されており、
前記アンテナは、前記第2の面に、又はこの第2の面と前記導電層との間に配置されており、
このアンテナは、前記導電層から電気的に分離されている、
積層体。
【請求項4】
請求項3に記載の積層体において、
この積層体が、前記電子回路に電力供給するバッテリを具えており、
このバッテリは、前記物質を入れるための前記スペースから物理的に分離されて、前記容器の使用中にこのバッテリにより前記物質を汚染するのを回避するようになっている、
積層体。

【図2】
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【図3】
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【図1】
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【公開番号】特開2011−255964(P2011−255964A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−120970(P2011−120970)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(507219491)エヌエックスピー ビー ヴィ (657)
【氏名又は名称原語表記】NXP B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 60, NL−5656 AG Eindhoven, Netherlands
【Fターム(参考)】