説明

無線基地局及び通信方法

【課題】無線基地局と無線端末との間で無線通信が行われている場合に電波干渉を抑制する。
【解決手段】無線基地局(200b)は、当該無線基地局(200b)と他の無線基地局(200a)との間における電波干渉を検出する検出手段(202、205)と、電波干渉が検出された場合に、当該無線基地局と無線通信を行っている無線端末(300a)の状態を、当該無線基地局と無線端末との間の通信コネクションを確立したままで当該無線基地局と無線端末との間で使用される周波数を切り替える切替状態に遷移させる遷移手段(207)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば無線端末との間で無線通信を行う無線基地局、並びにこのような無線基地局における通信方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話システム等の無線通信システムで使用される無線基地局として、カバーエリア(つまり、セル半径)が数十メートル程度となる極めて小規模な無線基地局が提案されている。このような小規模な無線基地局はHome NodeB(或いは、HNB)と呼ばれ、このような小規模な無線基地局によって形成されるセルは、例えば「フェムトセル」と呼ばれている。フェムトセルのセル半径は、一般に「マクロセル」と呼ばれているセル半径が数km〜10km程度のセルや、「マイクロセル」と呼ばれているセル半径が数百m〜1km程度のセルと比べて極めて小さい。
【0003】
小規模な無線基地局(以降、“HNB”と称する)は、各ユーザの自宅内に配置されることが想定されている。ここで、マンション等の集合住宅においては、HNBが配置された住居に隣接する又は近接する住居に、他のHNBが更に配置されることも十分に想定される。この場合、ある住宅に配置されたHNBが使用する周波数と隣接する住宅に配置されたHNBが使用する周波数とが干渉してしまうことがあり得る。このような干渉(つまり、電波干渉)は、好適な無線通信にとっては好ましくないため、電波干渉を抑制することが望ましい。
【0004】
電波干渉を抑制するための対策として、移動端末と相手側無線基地局との間で無線通信を行う前に周辺無線基地局の無線リソースの使用状況を移動端末自身が相手側無線基地局に対して逐次通知すると共に、周辺無線基地局が使用している無線リソース以外の無線リソースを相手側無線基地局が使用する技術が一例としてあげられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−278265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した技術は、移動端末と無線基地局とが実際に無線通信を行うに先立って行われる初期動作によって電波干渉を抑制する対策である。つまり、上述した技術は、移動端末と無線基地局との間のコネクションがまだ確立していない初期状態の段階で電波干渉を予め抑制する対策である。従って、移動端末と無線基地局とが実際に無線通信を行っている時点での電波干渉の抑制を行うことができない。
【0007】
また、HNB(つまり、フェムトセルをカバーする無線基地局)に限らず、マクロセルやマイクロセル等をカバーする各種無線基地局についても同様に電波干渉が生ずる。このため、マクロセルやマイクロセル等をカバーする各種無線基地局についても同様に、移動端末と無線基地局とが実際に無線通信を行っている時点での電波干渉の抑制を行うことができない。
【0008】
本発明が解決しようとする課題には上記のようなものが一例として挙げられる。本発明は、例えば無線基地局と無線端末との間で無線通信が行われている場合に、電波干渉を抑制することが可能な無線基地局及び通信方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題は、検出手段と遷移手段とを備える無線基地局によって解決され得る。
【0010】
検出手段は、当該無線基地局と他の無線基地局との間における電波干渉を検出する。このとき、検出手段は、他の無線基地局から受ける電波干渉の程度を直接検出することで、当該無線基地局と他の無線基地局との間における電波干渉を検出してもよい。或いは、検出手段は、無線基地局との間で無線通信を行う移動端末から送信される電波干渉に関連するメッセージを受信することで、当該無線基地局と他の無線基地局との間における電波干渉を検出してもよい。つまり、検出手段は、何らかの方法により電波干渉を検出することができれば足りる。
【0011】
遷移手段は、検出手段によって電波干渉が検出された場合(つまり、当該無線基地局と他の無線基地局との間に電波干渉が発生していると検出された場合)に、当該無線基地局と無線通信を行っている無線端末の状態を、当該無線基地局と前記無線端末との間の通信コネクションを確立したままで当該無線基地局と前記無線端末との間で使用される周波数を切り替える切替状態に遷移させる。
【0012】
上記課題はまた、検出工程と遷移工程とを備える通信方法によって解決され得る。検出工程は、当該無線基地局と他の無線基地局との間における電波干渉を検出する。遷移工程は、検出工程によって電波干渉が検出された場合(つまり、当該無線基地局と他の無線基地局との間に電波干渉が発生していると検出された場合)に、当該無線基地局と無線通信を行っている無線端末の状態を、当該無線基地局と前記無線端末との間の通信コネクションを確立したままで当該無線基地局と前記無線端末との間で使用される周波数を切り替える切替状態に遷移させる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明した無線基地局及び通信方法によれば、電波干渉が検出された場合には、無線基地局と無線通信を行っている無線端末の状態(言い換えれば、無線基地局と無線端末との間の無線通信の状態)を切替状態に遷移させることができる。このため、電波干渉が検出された場合には、無線基地局と無線端末との間の通信コネクションを確立したまま、無線基地局と無線端末との間における周波数を切り替えることができる。従って、無線基地局と無線端末とが無線通信を行っている場合であっても、電波干渉を好適に抑制することができる。
【0014】
更に、無線基地局と無線端末との間の通信コネクションを確立したまま周波数を切り替える(言い換えれば、電波干渉を抑制する)ことができる。このため、周波数を切り替えるたびに通信コネクションの確立に必要な初期動作を逐次行わなくともよい。このため、無線基地局と無線端末との間の通信コネクションを一旦切断した後に周波数を切り替える(或いは、電波干渉を抑制する)無線基地局又は通信方法と比較して、電波干渉を抑制する動作に要する処理負荷ないしは処理時間を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態に係る無線通信システムの基本構成の一例を示すブロック図である。
【図2】HNBの基本構成の一例を示すブロック図である。
【図3】UEの基本構成の一例を示すブロック図である。
【図4】本実施形態に係る無線通信システムの動作の流れを示すフローチャートである。
【図5】電波干渉測定部により測定された他のHNBとの間の電波干渉の程度を示す測定データのデータ構造の一例を示す表である。
【図6】無線通信システムの動作が行われる構成例を示すブロック図である。
【図7】無線通信システムの動作の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面に基づいて説明する。
【0017】
(1)システム構成図
初めに、図1を参照して、本実施形態に係る無線通信システム1の基本構成について説明する。ここに、図1は、本実施形態に係る無線通信システム1の基本構成の一例を示すブロック図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る無線通信システム1は、NB(NodeB)100aと、NB100bと、HNB(Home NodeB)200aと、HNB200bと、HNB200cと、UE(User Equipment)300aと、UE300bとを備えている。尚、図1に示すNBの数、HNBの数およびUEの数は一例であって、NBの数、HNBの数およびUEの数が図1に示す個数に限定されることはない。また、以下では、説明の便宜上、NB100a及びNB100bを区別することなく説明する場合には、“NB100”と称して説明を進める。同様に、HNB200a、HNB200b及びHNB200cを区別することなく説明する場合には、“HNB200”と称して説明を進める。同様に、UE300a及びUE300bを区別することなく説明する場合には、“UE300”と称して説明を進める。
【0019】
NB100は、セル半径が概ね数kmから十数kmないしは数十kmとなるマクロセル110をカバーする無線基地局(いわゆる、マクロ無線基地局)である。例えば、図1に示す例では、NB100aは、マクロセル110aをカバーする無線基地局であり、NB100bは、マクロセル110bをカバーする無線基地局である。NB100は、自身がカバーするマクロセル110中に位置するUE300との間で無線通信を行う。つまり、NB100は、自身がカバーするマクロセル110中に位置するUE300との間で通信コネクションを確立すると共に、UE300に対してデータの送受信を行う。また、各NB100がカバーするマクロセル110は、その一部が他のマクロセル110の一部又は全部と重なるように構成されていてもよいし、その全部が他のマクロセル110と重ならないように構成されていてもよい。図1に示す例では、マクロセル110aの一部が、当該マクロセル110aに隣接するマクロセル110bの一部と重なる例が示されている。
【0020】
HNB200は、セル半径が概ね数mから十数mないしは数十mとなるフェムトセル210をカバーする無線基地局(いわゆる、ホーム無線基地局)である。例えば、図1に示す例では、HNB200aは、フェムトセル210aをカバーする無線基地局であり、HNB200bは、フェムトセル210bをカバーする無線基地局であり、HNB200cは、フェムトセル210cをカバーする無線基地局である。HNB200は、自身がカバーするフェムトセル210中に位置するUE300との間で無線通信を行う。つまり、HNB200は、自身がカバーするフェムトセル210中に位置するUE300との間で通信コネクションを確立すると共に、実際に無線通信を行う。また、各HNB200がカバーするフェムトセル210は、その一部が他のフェムトセル210の一部又は全部と重なるように構成されていてもよいし、その全部が他のフェムトセル210と重ならないように構成されていてもよい。また、各HNB200がカバーするフェムトセル210は、その一部がマクロセル110の一部又は全部と重なるように構成されていてもよいし、その全部がマクロセル110と重ならないように構成されていてもよい。図1に示す例では、フェムトセル210a及びフェムトセル210bの夫々の全部がマクロセル110aと重なり、フェムトセル210cの全部がマクロセル110bと重なり、フェムトセル210aの一部が、当該フェムトセル210aに隣接するフェムトセル210bの一部と重なる例が示されている。
【0021】
UE300は、自身が位置するマクロセル110に対応するNB100との間でコネクションを確立すると共に、データの送受信を行う移動端末である。また、UE300は、自身が位置するフェムトセル210に対応するHNB200との間でコネクションを確立すると共に、データの送受信を行う移動端末である。UE300は、NB100やHNB200(更には、NB100やHNB200の上位に接続される不図示の上位局等)を介して、各種サービスないしはアプリケーション(例えば、メールサービスや、音声通話サービスや、WEB閲覧サービスや、パケット通信サービス等)を利用することができる。このようなUE300として、例えば携帯電話や、PDA(Personal Digital Assistant)や、その他無線通信機能を有する各種情報機器等が一例としてあげられる。つまり、本実施形態に係る無線通信システム1は、例えば携帯電話システムや移動体通信システム等が一例としてあげられる。
【0022】
尚、図1に示す例では、セル半径が概ね数kmから十数kmないしは数十kmとなるマクロセル110をカバーするNB100及びセル半径が概ね数mから十数mないしは数十mとなるフェムトセル210をカバーするHNB200が例示されているが、NB100及びHNB200に加えて、セル半径が概ね数百mから1kmとなるマイクロセルをカバーする無線基地局を配置してもよい。また、セル半径が上述したサイズ以外のセルをカバーする各種無線基地局を配置してもよい。
【0023】
(2)ブロック図
続いて、図2及び図3を参照して、本実施形態に係る無線通信システム1が備えるHNB200及びUE300の夫々の基本構成について説明する。
【0024】
(2−1)HNB200のブロック図
初めに、図2を参照して、HNB200の基本構成について説明する。ここに、図2は、HNB200の基本構成の一例を示すブロック図である。
【0025】
図2に示すように、HNB200は、その要部に着目すれば、無線送受信処理部201と、電波干渉測定部202と、制御部203と、メモリ204とを備えている。
【0026】
無線送受信処理部201は、制御部203等において生成されたデータをUE300に対して送信する。また、無線送受信処理部201は、UE300から送信されるデータを受信する。このため、無線送受信処理部201は、例えば、データの符号化(例えば、畳込み符号やターボ符号等の誤り訂正符号化)処理又は復号化処理等を含むベースバンド処理を行うベースバンド処理回路や、QPSK変調や16QAM変調等の偏重処理を行う変調回路や、復調処理を行う復調回路や、送信電力又は受信電力を調整するRF回路や、電波を送信又は受信するアンテナ等を含む。
【0027】
電波干渉測定部202は、「検出手段」の一実施例を構成しており、他のHNB200から受ける電波干渉の程度を測定する。より具体的には、電波干渉測定部202は、他のHNB200から発せられている電波強度(言い換えれば、干渉電力値)を定期的に又は非定期的に測定する。このため、無線送受信処理部201は、他のHNB200から発せられている無線電波を受信可能に構成されていることが好ましい。
【0028】
制御部203は、HNB200全体の動作を制御する。制御部203としては、例えば所定のファームウェアに基づいて動作するCPU(Central Processor Unit)等が一例としてあげられる。
【0029】
制御部203は、電波干渉制御部205と、周波数切替制御部206と、呼処理制御部207とを備えている。このような処理ブロックは、例えば制御部203の動作を規定するファームウェアの一部のプログラムの動作として実現されてもよいし、或いはファームウェアから独立したプログラムの動作として実現されてもよい。或いは、電波干渉制御部205、周波数切替制御部206及び呼処理制御部207は、制御部203とは独立した1つの回路として実現されてもよい。
【0030】
電波干渉制御部205は、「検出手段」の一実施例を構成しており、電波干渉測定部202において測定された測定結果に基づいて、HNB200と他のHNB200との間に電波干渉が発生しているか否かを判定する。また、電波干渉制御部205は、HNB200と他のHNB200との間に電波干渉が発生していると判定した場合には、電波干渉が発生している旨のメッセージを、周波数切替制御部206及び呼処理制御部207の夫々に対して送信する。尚、電波干渉が発生しているか否かを判定する動作の詳細については、後に詳述する(図4及び5等参照)。
【0031】
尚、電波干渉制御部205は、HNB200と他のHNB200との間に電波干渉が発生しているか否かを判定することに加えて又は代えて、HNB200とNB100との間に電波干渉が発生しているか否かを判定してもよい。電波干渉制御部205がHNB200とNB100との間に電波干渉が発生しているか否かを判定する場合には、電波干渉測定部202は、他のHNB200から受ける電波干渉の程度を測定することに加えて又は代えて、NB100から受ける電波干渉の程度を測定することが好ましい。
【0032】
周波数切替制御部206は、HNB200が使用する周波数を決定する。周波数切替制御部206は、電波干渉制御部205により電波干渉が発生していると判定された場合には、HNB200が使用する周波数を切り替えるために、切替後の周波数及び周波数の切替タイミングを決定する。また、周波数切替制御部206は、切替後の周波数及び周波数の切替タイミングの夫々を、呼処理制御部207に通知する。
【0033】
呼処理制御部207は、「遷移手段」の一実施例を構成しており、HNB200とUE300との間の呼処理全般を制御する。呼処理制御部207は、電波干渉制御部205により電波干渉が発生していると判定された場合には、UE300の状態を後述するCELL_PCH状態又はCELL_FACH状態に遷移させるためのメッセージを、無線送受信処理部201を介してUE300に対して送信する。このとき、呼処理制御部207は、UE300に送信されるメッセージ中に、周波数切替制御部206において決定された切替後の周波数及び周波数の切替タイミングの夫々を含める。
【0034】
メモリ204は、HNB200内部で使用するデータを一時的に格納する記憶領域を含んでいる。また、メモリ204は、HNB200としての動作を行うためのプログラム(即ち、ファームウェア)が格納される記憶領域等を含んでいてもよい。このようなメモリ204としては、例えばRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリや、その他の各種記録媒体が一例としてあげられる。
【0035】
(2−2)UE300のブロック図
続いて、図3を参照して、UE300の基本構成について説明する。ここに、図3は、UE300の基本構成の一例を示すブロック図である。
【0036】
図3に示すように、UE300は、その要部に着目すれば、無線送受信処理部301と、通信品質測定部302と、制御部303と、メモリ304とを備えている。
【0037】
無線送受信処理部301は、上述した無線送受信処理部201と同様の構成を有しており、制御部303等において生成されたデータをNB100又はHNB200に対して送信すると共に、NB100又はHNB200から送信されるデータを受信する。このため、無線送受信処理部301は、上述した無線送受信処理部201と同様に、例えば、ベースバンド処理回路や、変調回路や、復調回路や、RF回路や、アンテナ等を含む。
【0038】
通信品質測定部302は、UE300自身とHNB200との間の無線通信品質を測定する。
【0039】
制御部303は、UE300全体の動作を制御する。制御部303としては、例えば所定のファームウェアに基づいて動作するCPU等が一例としてあげられる。
【0040】
制御部303は、周波数切替制御部306と、呼処理制御部307とを備えている。このような処理ブロックは、例えば制御部303の動作を規定するファームウェアの一部のプログラムの動作として実現されてもよいし、或いはファームウェアから独立したプログラムの動作として実現されてもよい。或いは、周波数切替制御部306及び呼処理制御部307は、制御部303とは独立した1つの回路として実現されてもよい。
【0041】
周波数切替制御部306は、UE300が使用する周波数を決定する。周波数切替制御部307は、周波数を切り替える旨のメッセージ(例えば、上述した切替後の周波数及び周波数の切替タイミングを含むメッセージ)がHNB200から送信された場合には、当該指示中に含まれる切替後の周波数を、UE300が使用する周波数として決定する。
【0042】
呼処理制御部307は、HNB200とUE300との間の呼処理全般及びNB100とUE300との間の呼処理全般を制御する。呼処理制御部307は、CELL_PCH状態又はCELL_FACH状態に遷移させるためのメッセージをHNB200から受信した場合には、CELL_PCH状態又はCELL_FACH状態に遷移するようにUE300を制御する。加えて、当該メッセージに含まれる切替後の周波数及び周波数の切替タイミングを、周波数切替制御部306に対して通知する。
【0043】
メモリ304は、UE300内部で使用するデータを一時的に格納する記憶領域を含んでいる。また、メモリ304は、UE300としての動作を行うためのプログラム(即ち、ファームウェア)が格納される記憶領域等を含んでいてもよい。このようなメモリ304としては、例えばRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリや、その他の各種記録媒体が一例としてあげられる。
【0044】
(3)動作説明
続いて、図4を参照して、本実施形態に係る無線通信システム1の動作の流れについて説明する。ここに、図4は、本実施形態に係る無線通信システム1の動作の流れを示すフローチャートである。
【0045】
ここでは、他のHNB200(例えば、HNB200a)との間に電波干渉が発生しているか否かを一のHNB200(例えば、HNB200b)が判定すると共に、電波干渉が発生していると判定された場合の一のHNB200が行う動作の流れについて説明する。また、以下の説明では、無線通信システム1が3G(3rd Generation:第3世代移動通信システムであり、言い換えればUMTS(Universal Mobile Telecommunication System))規格に準拠しており且つHNB200とUE300との間でパケット通信が行われる場合の例について説明する。
【0046】
図4に示すように、まずHNB200が備える電波干渉測定部202は、他のHNB200との間の電波干渉の程度(例えば、他のHNB200の電波強度)を定期的に又は非定期的に測定する(ステップS11)。測定された他のHNB200との間の電波干渉の程度を示す測定データ(つまり、測定結果)は、電波干渉測定部202の動作により、メモリ204に格納される(ステップS12)。但し、測定された他のHNB200との間の電波干渉の程度を示す測定データは、電波干渉測定部202の動作により、電波干渉制御部205に直接通知されてもよい。尚、他のHNB200との間の電波干渉の程度が逐次測定されるため、メモリ204に格納される測定データは、電波干渉の程度の測定の都度更新される(ステップS12)。
【0047】
ここで、図5を参照して、電波干渉測定部202により測定された他のHNB200との間の電波干渉の程度を示す測定データの一例について説明する。ここに、図5は、電波干渉測定部202により測定された他のHNB200との間の電波干渉の程度を示す測定データのデータ構造の一例を示す表である。
【0048】
図5に示すように、測定データは、周波数fとその周波数fの電波強度(干渉電力値)Pとが対応付けられたデータベース構造を有している。より具体的には、測定データは、電波干渉測定部202において電波強度が測定された周波数f(f1、f2、・・・、fn)と測定された電波強度P(P1、P2、・・・、Pn)とが周波数f毎に対応付けられたデータベース構造を有している。
【0049】
再び図4において、続いて、HNB200が備える電波干渉制御部205は、電波干渉測定部202により測定された他のHNB200との間の電波干渉の程度を示す測定データに基づいて、他のHNB200との間に電波干渉が発生しているか否かを判定する(ステップS13)。具体的には、例えば、電波干渉制御部205は、HNB200自身が使用している周波数に対応する電波強度(つまり、測定データ中の電波強度)が所定の閾値を超えた場合に、他のHNB200との間に電波干渉が発生していると判定してもよい。より具体的には、HNB200自身が周波数f1を使用しているとすると、電波干渉制御部205は、測定データ中に含まれる周波数f1の電波強度P1が所定の閾値を超えた場合に、他のHNB200との間に電波干渉が発生していると判定してもよい。
【0050】
以上の説明は、他のHNB200が使用している周波数の電波強度をHNB200自身が直接測定することにより、他のHNB200との間に電波干渉が発生しているか否かをHNB200が判定する場合の動作の説明である。しかしながら、UE300からHNB200に対して通知されるメッセージに基づいて、他のHNB200との間に電波干渉が発生しているか否かをHNB200が判定してもよい。この場合の動作について以下に説明する。
【0051】
まず、UE300からHNB200に対して、電波干渉に関連したメッセージが送信される(ステップS21)。例えば、UE300が備える通信品質測定部302の動作によって無線通信品質の劣化が検出された場合には、UE300が備える呼処理制御部307の動作により、当該無線通信品質の劣化が発生している旨のメッセージ(通信品質メッセージ)がHNB200に対して送信される。
【0052】
電波干渉に関連したメッセージがHNB200によって受信された場合には、HNB200側は、ステップS11及びステップS12の動作を行う。これにより、HNB200のメモリ204に格納されている測定データが最新の状態に更新される。その後、HNB200が備える電波干渉制御部205は、最新の状態に更新された測定データに基づいて、他のHNB200との間に電波干渉が発生しているか否かを判定する(ステップS13)。この場合、HNB200は、他のHNB200の電波干渉の程度(例えば、他のHNB200の電波強度)を定期的に測定しなくともよい。従って、HNB200の処理負荷の低減につながるという利点がある。
【0053】
尚、他のHNB200が使用している周波数の電波強度をHNB200自身が直接測定することにより電波干渉が発生しているか否かを判定する動作と、UE300からHNB200に対して通知されるメッセージに基づいて電波干渉が発生しているか否かを判定する動作の双方が共に行われなくてもよい。例えば、他のHNB200が使用している周波数の電波強度をHNB200が使用している周波数の電波強度をHNB200自身が直接測定することにより電波干渉が発生しているか否かを判定する動作を行う一方で、UE300からHNB200に対して通知されるメッセージに基づいて電波干渉が発生しているか否かを判定する動作を行わなくともよい。この場合には、UE300は、通信品質測定部302を備えていなくともよい。同様に、例えば、他のHNB200が使用している周波数の電波強度をHNB200が使用している周波数の電波強度をHNB200自身が直接測定することにより電波干渉が発生しているか否かを判定する動作を行わない一方で、UE300からHNB200に対して通知されるメッセージに基づいて電波干渉が発生しているか否かを判定する動作を行ってもよい。
【0054】
また、1つのHNB200がカバーするフェムトセル210中に複数のUE300が存在することもあり得る。従って、HNB200は、複数のUE300から電波干渉に関連するメッセージを同時に又は相前後して受信することもあり得る。この場合には、HNB200は、電波干渉に関連するメッセージを複数のUE300から同時に又は相前後して受信した後に、他のHNB200との間の電波干渉の程度の測定(ステップS11)及び測定データの更新(ステップS12)を行わなくともよい。つまり、HNB200は、電波干渉に関連するメッセージを複数のUE300から同時に又は相前後して受信した後に、前回測定された測定データに基づいて、他のHNB200との間に電波干渉が発生しているか否かを判定してもよい。このように構成すれば、電波干渉が発生しているか否かを好適に判定しつつも、測定動作の省略に伴うHNB200における処理負荷の低減を図ることができる。
【0055】
更に、他のHNB200との間の電波干渉の程度の測定(ステップS11)及び測定データの更新(ステップS12)に相対的に多くの時間を要する場合にも、HNB200は、他のHNB200との間の電波干渉の程度の測定(ステップS11)及び測定データの更新(ステップS12)を行わなくともよい。つまり、他のHNB200との間の電波干渉の程度の測定(ステップS11)及び測定データの更新(ステップS12)に相対的に多くの時間を要することが予想される場合には、HNB200は、前回測定された測定データに基づいて、他のHNB200との間に電波干渉が発生しているか否かを判定してもよい。このように構成すれば、測定動作の省略に伴うHNB200における処理負荷の低減を図ることができる。
【0056】
ステップS13における判定の結果、他のHNB200との間に電波干渉が発生していないと判定された場合には(ステップS13:No)、再度ステップS11へと戻り、電波干渉が発生しているか否かの判定動作が継続される。
【0057】
一方、ステップS13における判定の結果、他のHNB200との間に電波干渉が発生していると判定された場合には(ステップS13:Yes)、HNB200が備える周波数切替制御部206は、HNB200自身が使用する周波数を切り替えることを決定する(ステップS14)。このとき、周波数切替制御部206は、メモリ204に格納された測定データに基づいて、切替後の周波数を決定する。例えば、周波数切替制御部206は、電波強度が小さい(つまり、電波干渉が最も小さい)周波数を、切替後の周波数として決定する。同時に、周波数切替制御部206は、周波数を切り替えるタイミングを決定する。
【0058】
その後、HNB200が備える呼処理制御部207は、当該HNB200とパケット通信を行っているUE300の状態(言い換えれば、当該HNB200とUE300との間で行われているパケット通信の状態)を、CELL_PCH状態又はCELL_FACH状態に遷移させるための制御を行なう(ステップS15)。より具体的には、呼処理制御部207は、UE300に対して、CELL_PCH状態又はCELL_FACH状態に遷移する旨の指示を含むRRC(Radio Resource Control):PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATIONメッセージを送信する。このとき、呼処理制御部207は、RRC:PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATIONメッセージ中に、ステップS14において決定された切替後の周波数及び周波数を切り替えるタイミングの夫々を示す情報を付加する。つまり、呼処理制御部207は、切替後の周波数及び周波数を切り替えるタイミングが指定されたRRC:PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATIONメッセージをUE300に対して送信することで、UE300の状態をCELL_PCH状態又はCELL_FACH状態に遷移させる。尚、切替後の周波数を示す情報は、RRC:PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATIONメッセージ中の“IE:Frequency info”フィールド中に付加される。また、周波数を切り替えるタイミングは、RRC:PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATIONメッセージ中の“IE:Activation time”フィールド中に付加される。
【0059】
その後、HNB200が備える周波数切替制御部206は、ステップS14において決定されたタイミングで、HNB200自身が使用する周波数を切替後の周波数に切り替える(ステップS16)。その後、HNB200は、切替後の周波数を用いてUE300とのパケット通信を継続する(ステップS17)。
【0060】
一方で、RRC:PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATIONメッセージを受信したUE300が備える呼処理制御部307は、当該メッセージの受信を確認するためのRRC:PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATION COMPLETEメッセージをHNB200に対して送信する。その後、UE300が備える周波数切替制御部306は、ステップS14において決定されたタイミングで、自身が使用する周波数を切替後の周波数に切り替える(ステップS22)。つまり、周波数切替制御部306は、RRC:PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATIONメッセージに含まれるタイミングで、自身が使用する周波数を、RRC:PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATIONメッセージに含まれる周波数に切り替える。同時に、UE300が備える呼処理制御部307は、切替後の周波数を用いて、RRC:CELL UPDATEメッセージをHNB200に対して送信する。その後、UE300が備える呼処理制御部307は、RRC:CELL UPDATEメッセージに対する応答メッセージであるRRC:CELL UPDATE CONFIRMメッセージをHNB200より受信する。その結果、UE300は、UE300自身の状態をCELL_PCH状態又はCELL_FACH状態に切り替え(ステップS23)、HNB200とのパケット通信を継続する(ステップS24)。
【0061】
このような無線通信システム1の動作について、図6及び図7を参照しながらより具体的に説明する。ここに、図6は、無線通信システム1の動作が行われる構成例を示すブロック図であり、図7は、無線通信システム1の動作の流れを示すシーケンス図である。
【0062】
図6に示すように、以下の説明は、(i)HNB200aがカバーするフェムトセル210aの一部とHNB200bがカバーするフェムトセル210bの一部とが重なり、(ii)HNB200aがカバーするフェムトセル210aの一部とHNB200bがカバーするフェムトセル210bの一部とが重なる位置にUE300aが配置されており、(iii)HNB200a及びHNB200bの双方が周波数f1を使用しており、且つ(iv)UE300aがHNB200bと周波数f1を用いてパケット通信を行っている場合の例について説明する。
【0063】
図7に示すように、HNB200bは、HNB200aとの間に電波干渉が発生していると判定する。ここで、HNB200bは、自身が使用する周波数を、電波干渉が発生している周波数f1から、電波干渉が少ない又は発生していない周波数fに切り替えることを決定するものとする。この場合、HNB200bは、当該HNB200bとパケット通信を行っているUE300aに対して、切替後の周波数f3及び周波数f3に切り替えるタイミングTを含むRRC:PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATIONメッセージを送信する。
【0064】
RRC:PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATIONメッセージを受信したUE300aは、応答メッセージとして、RRC:PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATION COMPLETEメッセージをHNB200bに対して送信する。その後、UE300aは、RRC:PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATIONメッセージによって指定されたタイミングTで、自身が使用する周波数を、切替前の周波数f1から切替後の周波数f3に切り替える。周波数の切替と同時に又は周波数の切替の後に、UE300aは、HNB200bに対して、RRC:CELL UPDATEメッセージを送信する。RRC:CELL UPDATEメッセージを受信したHNB200bは、応答メッセージとして、RRC:CELL UPDATE CONFIRMメッセージをUE300aに対して送信する。その後、RRC:CELL UPDATE CONFIRMメッセージを受信したUE300は、UE300自身の状態を、CELL_PCH状態又はCELL_FACH状態へと遷移させる。
【0065】
その後、HNB200bとUE300aとは、切替後の周波数f3を用いてパケット通信を継続する。従って、周波数f1を使用することで発生していた電波干渉の影響を受けることなく、好適なパケット通信を行うことができる。
【0066】
尚、その後は、UE300の状態を、パケット通信のデータ量に応じて再度通信内容に応じた状態に復帰させてもよい。例えば、UE300からHNM200に向けて送信するパケットのデータ量が相対的に多い場合には、UE300からRRC:CELL UPDATEメッセージ(CELL_PCH状態)又はRRC:MEASUREMENT REPORTメッセージ(CELL_FACH)を送信することで、所望の通信レートを実現可能な状態に遷移させてもよい。或いは、HNB300からUE300に向けて送信するパケットのデータ量が相対的に多い場合には、RRC:PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATIONメッセージを送信することで、所望の通信レートを実現可能な状態に遷移させてもよい。
【0067】
以上説明したように、本実施形態に係る無線通信システム1によれば、電波干渉が検出された場合には、HNH200とパケット通信を行っているUE300の状態(言い換えれば、HNB200とUE300との間のパケット通信の状態)を、CELL_PCH状態又はCELL_FACH状態に遷移させることができる。このため、電波干渉が検出された場合には、HNB200とUE300との間の通信コネクションを確立したまま、HNB200とUE300との間における周波数を切り替えることができる。このため、HNB200とUE300とがパケット通信を行っている場合であっても、通信コネクションを確立したまま電波干渉による悪影響を好適に抑制することができる。
【0068】
更に、本実施形態に係る無線通信システム1によれば、HNB200とUE300との間の通信コネクションを確立したまま電波干渉による悪影響を抑制するための対策を行うことができる。言い換えれば、本実施形態に係る無線通信システム1によれば、HNB200とUE300との間の通信コネクションを切断することなく電波干渉による悪影響を抑制するための対策を行うことができる。このため、電波干渉による悪影響を抑制するための対策を行うたびに通信コネクションの確立に必要な初期動作を逐次行わなくともよい。従って、HNB200とUE300との間の通信コネクションを一旦切断した後に電波干渉による悪影響を抑制するための対策を行うHNBと比較して、電波干渉を抑制する動作に要する処理負荷ないしは処理時間を軽減することができる。
【0069】
また、本実施形態に係る無線通信システム1によれば、電波干渉による悪影響を抑制するための対策として、使用する周波数を切り替えている。このため、確実に電波干渉による悪影響を抑制するための対策を行うことができる。尚、使用する周波数を切り替える対策以外の対策によって、電波干渉による悪影響を抑制してもよいことは言うまでもない。
【0070】
また、本実施形態に係る無線通信システム1によれば、3G規格において規格化されたメッセージ(つまり、RRC:PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATIONメッセージ)及び規格化された状態(つまり、CELL_PCH状態又はCELL_FACH状態)を用いて上述した構成を実現することができる。このため、HNB200やUE300の物理的な構成を殆ど又は全く変えることなく、上述した構成を実現することができる。従って、既存の無線通信システム1に対して、比較的容易に上述した無線通信システム1を適用することができる。
【0071】
また、本実施形態に係る無線通信システム1によれば、RRC:PHYSICAL CHANNEL RECONFIGURATIONメッセージ中に、切替後の周波数及び周波数を切り替えるタイミングを含めている。このため、HNB200とUE300との双方において、同期を取りながら(言い換えれば、同時に)使用する周波数を切り替えることができる。言い換えれば、HNB200とUE300との間での周波数の切替の時間的なズレ及び周波数そのもののズレの発生を抑制することができる。従って、周波数の切替の時間的なズレ及び周波数そのもののズレによって生じ得るHNB200とUE300との間のパケット通信の切断ないしは断絶を好適に防ぐことができる。
【0072】
尚、上述した説明では、3G規格に準拠した無線通信システム1について説明している。しかしながら、3G規格以外の規格に準拠した無線通信システムにおいても、UE300の状態を3G規格におけるCELL_PCH状態やCELL_FACH状態と同等の状態に遷移させることで、上述した各種効果を享受することができる。或いは、UE300の状態を3G規格におけるCELL_PCH状態やCELL_FACH状態と同等の状態に遷移させる動作と同様の結果が得られる動作を行うことで、上述した各種効果を享受することができる。つまり、任意の無線通信システムにおいても、電波干渉が検出された場合に、UE300の状態を、HNB200との間の通信コネクションを確立したままで周波数を切り替える状態に遷移させる(或いは、電波干渉が検出された場合に、使用する周波数を切り替える)ことで、上述した各種効果を享受することができる。
【0073】
また、上述した説明では、HNB200の構成及び動作を主に説明している。しかしながら、NB100やその他の各種無線基地局に対して、HNB200の構成及び動作を適用してもよい。つまり、NB100やその他の各種無線基地局がHNB200と同様の構成を有すると共にHNB200と同様の動作を行うように構成してもよい。このように構成すれば、HNB200に限らず、NB100やその他の各種無線基地局がUE300とパケット通信している場合においても、電波干渉の発生による悪影響を好適に抑制することができる。
【0074】
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
【0075】
(付記1)
無線端末と無線通信を行う無線基地局であって、当該無線基地局と他の無線基地局との間における電波干渉を検出する検出手段と、前記電波干渉が検出された場合に、当該無線基地局と無線通信を行っている前記無線端末の状態を、当該無線基地局と前記無線端末との間の通信コネクションを確立したままで当該無線基地局と前記無線端末との間で使用される周波数を切り替える切替状態に遷移させる遷移手段とを備えることを特徴とする無線基地局。
【0076】
(付記2)
前記遷移手段は、RRC(Radio Resource Control):Physical Channel Reconfigurationメッセージを前記無線端末に対して送信することで、当該無線基地局と無線通信を行っている前記無線端末の状態を前記切替状態に遷移させることを特徴とする付記1に記載の無線基地局。
【0077】
(付記3)
前記遷移手段は、切り替え後の周波数及び当該周波数の切替タイミングの少なくとも一方を示す切替情報を含む前記RRCメッセージを前記無線端末に対して送信することを特徴とする付記2に記載の無線基地局。
【0078】
(付記4)
前記遷移状態は、CELL_PCH(Cell Paging Channel)状態又はCELL_FACH(Cell Forward Access Channel)状態であることを特徴とする付記1から3のいずれか一項に記載の無線基地局。
【0079】
(付記5)
前記他の無線基地局が使用する周波数の電波強度を測定すると共に、測定の都度測定結果を更新する測定手段を更に備え、前記検出手段は、(i)前記電波強度の測定に要する時間が所定時間未満である場合には、前記測定手段が新たに測定した測定結果に基づいて、当該無線基地局と他の無線基地局との間における電波干渉を検出し、(ii)前記電波強度の測定に要する時間が所定時間以上である場合には、前回更新された前記測定手段の測定結果に基づいて、当該無線基地局と他の無線基地局との間における電波干渉を検出することを特徴とする付記1から4のいずれか一項に記載の無線基地局。
【0080】
(付記6)
前記他の無線基地局が使用する周波数の電波強度を測定すると共に、測定の都度測定結果を更新する測定手段を更に備え、前記無線端末は、自身が行っている無線通信の品質の劣化を通知する劣化メッセージを当該無線基地局に送信し、前記検出手段は、(i)所定数未満の前記無線端末から前記劣化メッセージを受信した場合には、前記測定手段が新たに測定した測定結果に基づいて、当該無線基地局と他の無線基地局との間における電波干渉を検出し、(ii)前記所定数以上の前記無線端末から前記劣化メッセージを受信した場合には、前回更新された前記測定手段の測定結果に基づいて、当該無線基地局と他の無線基地局との間における電波干渉を検出することを特徴とする付記1から5のいずれか一項に記載の無線基地局。
【0081】
(付記7)
無線端末と無線通信を行う無線基地局における通信方法であって、当該無線基地局と他の無線基地局との間における電波干渉を検出する検出工程と、前記電波干渉が検出された場合に、当該無線基地局と無線通信を行っている前記無線端末の状態を、当該無線基地局と前記無線端末との間の通信コネクションを確立したままで当該無線基地局と前記無線端末との間で使用される周波数を切り替える切替状態に遷移させる遷移工程とを備えることを特徴とする通信方法。
【符号の説明】
【0082】
1 無線通信システム
100 NB
200 HNB
201 無線送受信処理部
202 電波干渉測定部
203 制御部
204 メモリ
205 電波干渉制御部
206 周波数切替制御部
207 呼処理制御部
210 マクロセル
300 HNB
301 無線送受信処理部
302 電波干渉測定部
303 制御部
304 メモリ
306 周波数切替処理部
307 呼処理制御部
310 フェムトセル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末と無線通信を行う無線基地局であって、
当該無線基地局と他の無線基地局との間における電波干渉を検出する検出手段と、
前記電波干渉が検出された場合に、当該無線基地局と無線通信を行っている前記無線端末の状態を、当該無線基地局と前記無線端末との間の通信コネクションを確立したままで当該無線基地局と前記無線端末との間で使用される周波数を切り替える切替状態に遷移させる遷移手段と
を備えることを特徴とする無線基地局。
【請求項2】
前記遷移手段は、RRC:Physical Channel Reconfigurationメッセージを前記無線端末に対して送信することで、当該無線基地局と無線通信を行っている前記無線端末の状態を前記切替状態に遷移させることを特徴とする請求項1に記載の無線基地局。
【請求項3】
前記遷移手段は、切り替え後の周波数及び当該周波数の切替タイミングの少なくとも一方を示す切替情報を含む前記RRCメッセージを前記無線端末に対して送信することを特徴とする請求項2に記載の無線基地局。
【請求項4】
前記切替状態は、CELL_PCH(Cell Paging Channel)状態又はCELL_FACH(Cell Forward Access Channel)状態であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の無線基地局。
【請求項5】
無線端末と無線通信を行う無線基地局における通信方法であって、
当該無線基地局と他の無線基地局との間における電波干渉を検出する検出工程と、
前記電波干渉が検出された場合に、当該無線基地局と無線通信を行っている前記無線端末の状態を、当該無線基地局と前記無線端末との間の通信コネクションを確立したままで当該無線基地局と前記無線端末との間で使用される周波数を切り替える切替状態に遷移させる遷移工程と
を備えることを特徴とする通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−130096(P2011−130096A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−285414(P2009−285414)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】