説明

無線端末の居場所の予測方法

【課題】地理的領域における未知の場所で、無線端末の位置を予測する技術を提供すること。
【解決手段】本発明によると、この技術は、電磁(無線)信号の特徴は、地形、受信器、送信器の位置、その他のファクタに依存するという認識に基づいている。例えば、特定の無線(基地)局からの信号が、第1位置では強く受信され、第2位置では弱く受信されることがわかっていることを前提にすると、未知の場所にいる無線端末が、その無線(基地)局の信号を弱く受信した場合には、無線端末は、第1位置ではなく第2位置にいる可能性が高い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信に関し、特に、無線端末の居場所を予測する技術とロケーション・ベースのアプリケーションで居場所の予測を用いる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の無線通信システム100の主要な構成要素を表すブロック図である。無線通信システム100は、無線端末101と、基地局102−1、102−2、102−3と、無線交換センタ111と、補助サーバ112と、ロケーション・クライアント113と、GPS通信衛星群121とを有する。無線通信システム100は、無線通信サービスを全ての領域120に公知の方法で提供する。
【0003】
無線通信が有線通信に対し有する大きな利点は、ユーザが移動できることである。他方で、無線通信の不利な点は、ユーザが移動するために、そのユーザの関与者は、ユーザの居場所を直ちに特定できない点である。
【0004】
このような関与者は、無線端末のユーザとユーザから離れた遠隔地にいる者の両方を含む。無線端末のユーザが自分の居場所を知ることにはさまざまな理由で利点がある。例えば、ユーザが、離れた所にいる相手に、自分がどこにいるかを教えるか、あるいは、移動することに関しアドバイスを求めていることを告げることである。
【0005】
離れた場所にいる者は、様々な理由で、ユーザ(相手)の居場所を知る必要がある。例えば、無線端末からの緊急呼び出し(E9−1−1)の受信者は、救急車を配置するため、無線端末の居場所を知る必要がある。
【0006】
無線端末の居場所を予測するには、さまざまな従来技術がある。
【0007】
その第1の技術によれば、無線端末の居場所は、無線端末がある(居る)場所のセルあるいはセクタの中心であると予測される(みなされる)。この技術の利点は、ハードウェアを無線端末あるいは無線通信システムに追加する必要がない点であり、この第1の技術は、従来システムに費用をかけずに実施できる。この第1の技術は、現在のセルラ方式においては、数km内に絞り込む程度の精度であるが、より高い精度を必要とするようなアプリケーション(例、救急車の配備)等には受け入れがたい。
【0008】
第2の技術によれば、無線端末の居場所は、無線端末により送信される信号の到着角度を三角法により、あるいは到着時間を多角法的に解析することにより、予測する。この技術は、数百mの範囲の精度を達成でき、従来の無線端末でも使用できる利点がある。しかしこの第2の技術の不都合な点は、その為のハードウェアを通信システムの基地局に追加しなければならず、極めて高価である。
【0009】
第3の技術によれば、無線端末の居場所は、無線端末に組み込んだ無線ナビゲーション装置(例えばGPS受信器)で予測する。この技術は、数十mの精度を有するが、室内、森林、ビルの谷間では、有効に機能しない欠点がある。さらに、この第3の技術の精度は、マルチパス反射で、大きく劣化する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それ故に、本発明の目的は、第1の技術よりも高い解像度を有し、第2、第3の技術のコストあるいは不利益点を有さない、無線端末の居場所を高精度で予測する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明により、従来技術の限界を超え、追加のコストを要さずに、無線端末の居場所を予測するシステムの構築方法と使用方法が提供できる。
【0012】
本発明は、電磁(無線)信号の特徴は、地形、受信器、送信器の位置、その他のファクタに依存するという認識に基づいている。例えば、特定の無線(基地)局からの信号が、第1位置では強く受信され、第2位置では弱く受信されることがわかっていることを前提にすると、未知の場所にいる無線端末が、その無線(基地)局の信号を弱く受信した場合には、無線端末は、第1位置ではなく第2位置にいる可能性が高い。
【0013】
「強く受信する」と「弱く受信する」を定量化し、この原理を、複数の特徴、複数の信号に拡張することにより、本発明はより高い精度で無線端末の居場所を予測する。
【0014】
本発明の一実施例は、第1信号の特徴の第1測定値に基づいて、無線端末の居場所の第1の非GPS抽出予測値を生成するステップと、前記無線端末が受信した衛星信号用の補助データを生成するステップとを有し、前記補助データは、前記無線端末の居場所の第1の非GPS抽出予測値に基づいて生成される。
【実施例】
【0015】
本明細書において、以下の用語とその関連用語を、次のように定義する。
・用語「場所(居場所)」とは、1次元、2次元、3次元で定義する。以下単に、場所、位置、居場所とも称する。それらは同義である。
・用語「滞在確率」とは、時間Tに場所bにいる無線端末Wが、環境条件Nで、時間T+Δtで、同一場所bにいる確率P(b、T、N、W,C)の予測値と定義する。
・用語「移動確率」とは、時間Tに場所bにいる無線端末Wが、環境条件Nで、時間T+Δtで、近くの場所Cにいる確率P(b、T、N、W、C)の予測値と定義する。
・用語「環境条件N」とは、1つあるいは複数の環境の物理的態様を含むものとして定義される。例えば、これに限定されるわけではないが、天候、時間、大気状態(環境)、無線トラフィックの量と密度、交通量と密度、道と側道の工事状態等である。
・用語「時間T」とは、1つあるいは複数の測定値で命名された時間を意味する。例えば、秒、分、時、1日のうちの時間、日、曜日、月、年のうちの月等を意味する。
【0016】
外観
図2は、本発明の一実施例による無線通信システム200の構成要素のブロック図である。無線通信システム200は、無線端末201と、基地局202−1、202−2、202−3と、無線交換センタ211と、補助サーバ212と、ロケーション・クライアント213と、ロケーション・サーバ214と、GPS通信衛星群221とを有する。これらは、相互に関係付けられている(通信可能である)。ここに示した実施例は、無線通信サービスを、全ての領域220に公知の方法で提供し、領域220内の無線端末201の居場所を予測し、この予測値をロケーション・ベースのアプリケーションで使用する。
【0017】
この実施例によれば、無線通信サービスは、ユニバーサル・モバイル・テレコミュニケーションズ・システム(Universal Mobile Telecommunications System(UMTS))に従って、無線端末201に提供される。本明細書を参照することにより、当業者は、エア・インターフェース標準(例、Global System Mobile “GSM,” CDMA-2000, IS-136 TDMA, IS-95 CDMA, 3G Wideband CDMA, IEEE 802.11 WiFi, 802.16 WiMax, Bluetooth等)で、1つあるいは複数の周波数帯域で動作する本発明の他の実施例を、容易に想到できる。
以下の説明において、単数と複数とを区別せずに使用する。即ち、特に断りのない限り、装置、ステップの数は、1個あるいは複数個に限定されない。
【0018】
無線端末201は、UMTS適合するのに必要なハードウェアとソフトウェアを有し、添付した図面に記載したプロセスを実行する。例えば、一例として、無線端末201は、以下のプロセスを実行する。
i. 電磁信号の特徴を測定し、この測定値を、ロケーション・サーバ214に報告すること。
ii. 信号を送信し、この信号の送信パラメータをロケーション・サーバ214に報告すること。
iii.GPSレンジング信号を捕獲し処理する際にそれを補助するために、補助サーバ212からのGPS補助データを受信すること。
無線端末201は、移動可能で、領域220内の如何なる位置にも移動し得る。図では、無線通信システム200は1個の無線端末を有するが、当業者は、本明細書を参照することにより、複数の無線端末を有する他の実施例も、容易に想到できる。
【0019】
基地局202−1、202−2、202−3は、無線交換センタ211と無線端末201と無線で通信する。基地局は、アクセス・ポイント、ノード、ネットワーク・インターフェースのようなさまざまな名前でも呼ばれる。この実施例は、3個の基地局を有するが、当業者は、本明細書を参照することにより、如何なる数の基地局を含む他の実施例も、容易に想到できる。
【0020】
本発明の一実施例によれば、基地局202−1、202−2、202−3は、地上にあり、移動せず、領域220内にある。当業者は、本明細書を参照することにより、基地局の一部あるいは全てが、空中、海上、宇宙空間、移動するか否か、それらが領域220内にあるか否かを問わない他の実施例も、容易に想到できる。
【0021】
無線交換センタ211は、交換機を有する。この交換機は、通信サービスを無線端末201に提供し、ロケーション・サーバ214との間の情報の交換を制御する。これに関しては、添付した図面および以下で詳細に説明する。当業者に明らかなように、無線交換センタ211は、例えば移動交換機センタ、移動電話交換所、ルータとも称する。
【0022】
ここに示した実施例は、1個の無線交換センタ211を有するが、当業者は、本明細書を参照することにより、如何なる数の無線交換センタ211を有する他の実施例も、容易に想到できる。例えば、無線端末が複数の無線交換センタ211と無線通信する時は、無線交換センタ211は、無線端末の居場所を予測するのに有効な情報を交換し共有する。例えば、無線交換センタ211が、IS−41プロトコル・メッセージ(Handoff Measurement Request and Handoff Measurement Request2)を使用して、互いからの信号強度測定値を取り出すこともできる。複数の無線交換センタ211を使用することは、無線交換センタ211のサービス領域が小さい場合(例、LAN)、あるいは複数の無線交換センタ211が共通の領域をサービスしている時に、特に一般的である。
【0023】
この実施例によれば、無線端末201にサービスする基地局203−1、203−2、203−3の全てが、無線交換センタ211と関連(通信)している。当業者は、本明細書を参照することにより、あらゆる数の基地局とあらゆる数の無線交換センタ211とを関連付ける本発明の他の実施例も、容易に想到できる。
【0024】
補助サーバ212は、以下に説明するプロセスを実行できるハードウェアとソフトウェアを有する。一般的に、補助サーバ212は、無線端末201用のGPS補助データを生成し、無線端末201がGPS通信衛星群221からのGPSレンジング信号を捕獲し処理するのを、補助する。この実施例によれば、補助サーバ212は、ロケーション・サーバ214から物理的に切り離されている。しかし、当業者は、本明細書を参照することにより、補助サーバ212とロケーション・サーバ214が、ハードウェア、ソフトウェアの一方あるいは両方を共有するような本発明の他の実施例も、容易に想到できる。
【0025】
ロケーション・クライアント213は、ロケーション・サーバ214により提供される無線端末201の居場所の予測をロケーション・ベースのアプリケーションで使用するハードウェアとソフトウェアとを含む。これに関しては、以下説明する。
【0026】
ロケーション・サーバ214は、無線端末201の居場所の1つあるいは複数個の予測値を生成するハードウェアとソフトウェアを有する。当業者には、本明細書を参照することにより、ロケーション・サーバ214を構成し使用する方法は、明らかである。さらに、図2では、ロケーション・サーバ214は、無線交換センタ211とは物理的に切り離されて記載されているが、当業者は、本明細書を参照することにより、ロケーション・サーバ214が無線交換センタ211とが、完全にあるいは部分的に一体となっている本発明の他の実施例も、容易に想到できる。
【0027】
本発明の他の実施例によれば、ロケーション・サーバ214は、無線交換センタ211と、補助サーバ212と、ロケーション・クライアント213と、LANを介して通信する。しかし、当業者には、本明細書を参照することにより、ロケーション・サーバ214が、これらの装置の1つあるいは複数と、別のネットワーク、例えばインターネット、公衆交換電話ネットワークを介して通信する他の実施例も、、容易に想到できる。
【0028】
本発明の一実施例によれば、無線交換センタ211、補助サーバ212、ロケーション・クライアント213、ロケーション・サーバ214は、領域220の外にある。当業者は、本明細書を参照することにより、無線交換センタ211、補助サーバ212、ロケーション・クライアント213、ロケーション・サーバ214の全てあるいは一部が、領域220内にある本発明の他の実施例も、容易に想到できる。
【0029】
ロケーション・サーバ214
図3は、本発明の一実施例によるロケーション・サーバ214の構成要素を表すブロック図である。ロケーション・サーバ214は、プロセッサ301と、メモリ302と、トランシーバ303とを有し、それらは相互に接続されている。
【0030】
プロセッサ301は、汎用プロセッサである。この汎用プロセッサは、オペレーティング・システム311とアプリケーション・ソフトウェア312を実行し、位置−特徴データベース313と特徴−修正データベース314にデータを入力し、修正し、使用し、管理する。当業者には、プロセッサ301の製造方法および使用方法は、本明細書を参照することにより明らかである。
【0031】
メモリ302は、以下のものを含む非揮発性メモリである。
i. オペレーティング・システム311、
ii. アプリケーション・ソフトウェア312、
iii.位置−特徴データベース313、
iv. 特徴−修正データベース314、
当業者には、メモリ302の製造方法および使用方法は、本明細書を参照することにより明らかである。
【0032】
トランシーバ303により、ロケーション・サーバ214は、無線交換センタ211と、補助サーバ212と、ロケーション・クライアント213との間で、情報を送受信する。さらに、トランシーバ303により、ロケーション・サーバ214は、無線端末201と基地局202−1、202−2、202−3との間で、無線交換センタ211を介して、情報を送受信する。当業者には、トランシーバ303の製造方法および使用方法は、本明細書を参照することにより、明らかである。
【0033】
本発明の実施例の動作方法
図4は、本発明により実行されるプロセスを表すフローチャート図である。
【0034】
プロセス401によれば、位置−特徴データベース313が構築される。本明細書において、「位置−特徴データベース」とは、複数の位置の内各位置を、その位置にある無線端末に関連付けられた1つあるいは複数の予測特徴に、マッピングするデータベースとして定義される。位置−特徴データベース313の詳細は、以下に説明する。
【0035】
プロセス402によれば、特徴−修正データベース314が構築される。本明細書において、「特徴−修正データベース」とは、特徴の測定値が組織的な測定値誤差を補償する(修正/相殺する)ために如何に調整されるかを示すデータベースである。特徴−修正データベース314の詳細は、以下に説明する。
【0036】
プロセス403によれば、無線端末201の場所は、位置−特徴データベース313を構築するプロセス401と、特徴−修正データベース314を構築するプロセス402と、無線端末201の居場所に基づいて変化するさまざまな特徴とに基づいて、予測される。プロセス403の詳細は、以下に説明する。
【0037】
プロセス404によれば、無線端末201の居場所の予測は、ロケーション・ベースのアプリケーション、例えば、緊急(E9−1−1)サービスで使用される。プロセス404の詳細は、以下に説明する。
【0038】
プロセス405によれば、位置−特徴データベース313と特徴−修正データベース314は、その内容が正確、最新、完全なものであるよう、維持される。プロセス405の利点は、実施例の効果が位置−特徴データベース313と特徴−修正データベース314の内容の正確さ、新しさ、完全さに基づいているからである。プロセス405の詳細は、以下に説明する。
【0039】
位置−特徴データベース313の構築
図5は、プロセス401に従って実行される主要プロセスである位置−特徴データベース313の構築ステップを表すフローチャート図を示す。
【0040】
プロセス501によれば、領域220は、B(T、N)個の位置に分割される。ここで、B(T、N)は、2以上の正整数であり、B(T、N)は、時間Tと環境状態Nに応じて変わる。領域220が分割される場所の数が一定である本発明の他の実施例も、当業者には本明細書を参照することにより明らかである。さらに、領域220が分割される場所の数が、時間Tまたは環境状態Nに依存しない本発明の他の実施例も、当業者には本明細書を参照することにより、明らかである。
【0041】
無線周波数スペクトラムのある特徴と個々の信号のある特徴は、領域220内の場所毎に異なる。同様に、無線端末201から送信される無線周波数スペクトラムと個々の信号のある特徴は、無線端末201が別の場所にある時には、基地局202−1、202−2、202−3で変化する。さらに、無線通信システム200のある特徴(例、ハンドオフ状態等)は、無線端末201が別の場所にある時には、変わる。
【0042】
無線端末201が特定の位置にある時に、無線端末201の場所に応じて変化する特徴値は、ロケーション・サーバ214が無線端末201の居場所を予測できるようになる、その場所の指紋(fingerprint)と署名(signature)を表す。例えば、通常の状態において、無線端末201が第1位置にある時に、特徴が第1の値の組を持ち、無線端末201が第2位置にある時に、第2の値の組を持つものとすると、無線端末201が未知の場所にある時に、そしてその未知の場所における特徴が第2値の組にマッチした場合には、無線端末201は第2位置にいる可能性が高い。
【0043】
人間の指紋と手書きの署名は、一般的に完全に唯一無二(独自)のものであると考えられるが、各位置に関連する特徴の組み合わせは、領域220内で完全に唯一無二のものではない。しかし、この実施例の有効性は、複数の位置の間の特徴値の変化(差)が増えるつれて、上がる。当業者には、ある位置に関連する特徴値を他の位置に関連する特徴値と区別できる「尤度(liklihood)」を増加するために、位置と特徴を如何に選択するかは、当業者には本明細書を参照することにより、明らかである。
【0044】
各位置は、次のものにより記述される。
i. 独自の識別子b
ii. その次元性(例、1次元、2次元、3次元、4次元等)
iii.その範囲(例、場所、領域、空間等)を規定する座標軸(例、緯度、経度、高度等)。この座標軸は、一定であるか、あるいは時間Tと環境状態Nの一方又は両方に応じて、変わる。
iv. ある環境条件Nで時間Tの時に無線端末Wが場所bにいる時に、各特徴Qに対する予測値E(b、T、N、W、Q)。
v. 近くの場所の識別子
vi. 滞在確率P(b、T、N、W)と移動確率P(b、T、N、W、c)
【0045】
本発明の一実施例によれば、各位置の識別子は、任意に選択された正整数である。一部の位置あるいは全ての位置の識別子が任意に選択されたものではない他の実施例も、一部の位置あるいは全ての位置の識別子が正整数ではない他の実施例も、本明細書を参照することにより、当業者には明らかである。
【0046】
本発明の一実施例によれば、各場所の範囲は、3次元であり、次のものにより記述される。
(i) 境界を規定する3次元座標軸と地理的識別子、
(ii) 場所の中心にある3次元座標軸と、
(iii) 時間Tと環境状態Nに応じて、場所の範囲が如何に変わるかを表す記述。
本明細書を参照することにより、一部あるいは全ての場所の範囲が1次元あるいは2次元であるような本発明の他の実施例も、一部あるいは全ての場所が時間Tまたは環境状態Nの関数ではない本発明の他の実施例も、当業者のは明らかである。
【0047】
本発明の一実施例によれば、複数の場所の範囲は、0、1、2、3以上でオーバーラップすることがあり、あるいは緯度と経度の全ての点で、オーバーラップすることがある(例えば、高架道、地下道、高層ビルの異なる階)。
【0048】
本発明の一実施例によれば、各場所の境界は、少なくとも一部は以下に基づく。
i. 領域220の自然物または人工物の物理的属性(例、ビル、側道、道、トンネル、橋、丘、壁、水、断崖、川等)。
ii. 領域220を支配する地域法(例、人と自動車の位置と動きに関連する法律等)。
iii. 領域220内の個人、集団、自動車の場所と動きに関する理論的予測値と経験データ。
iv. ロケーション・サーバ214により行われた予測値の所望の精度。
v. 領域220内にいる人と車の位置と動きのパターン。
vi. 時間T。
vii. 環境状態N。
これらは以下を考慮している。
【0049】
最初に、無線端末201の位置を特定する精度は、場所のサイズが小さくなると、増加する。全ての場所は同一サイズである必要はなく、高い精度が必要な領域は、小さなサイズに分割することができ、一方、精度があまり必要でない領域は、大きなサイズに分割できる。
【0050】
第2に、領域220内の場所の数が増加すると、ロケーション・サーバ214の計算負荷も増加する(図10)。
【0051】
第3に、隣接する場所のサイズが減少すると、これらの場所における特徴の予測値が同一あるいは類似となる尤度が増加し、ロケーション・サーバ214は、無線端末201が一方の位置にいる時又は他方の位置にいる時を正確に決定するのが難しくなる。
【0052】
これらのことを考慮すると、当業者は、領域220をあらゆるサイズ/形状のあらゆる数の場所に分割し、配列する本発明の他の実施例も、容易に想到できる。さらに、これら位置が、サイズと形状が同一であるような本発明の他の実施例も本明細書を参照すると容易に想到できる。
【0053】
図6aは、領域220の斜視図であり、図6bは、領域220のマップを示す。領域220は、噴水601と、公園602と、4階建てのビル603と、2階建てのビル604と、さまざまな道、側道、その他の特徴を28の場所に分割する。これについては、図6c−6eで説明する。領域220は、この実施例では、4個の四角のブロックを含むが、当業者は、如何なるサイズ、形状、複雑さの地理的領域を有する本発明の他の実施例も、本明細書を参照することにより容易に想到できる。
【0054】
本発明の一実施例によれば、8ヶ所の交差点が場所1−8に分割される(図6c)。この実施例によれば、4階建てのビル603と2階建てのビル604の端までの道の区画とその隣接する側道は、場所9−19に分割される(図6d)。本発明の一実施例によれば、噴水601は場所20に、公園602は場所25に、4階建てのビル603の各フロアは場所21、22、23、24の1つに、2階建てのビル604の各フロアは場所27、28の1つに分類される。当業者は、本明細書を参考にすることにより、領域220を如何なるサイズ、形状を持った如何なる数の場所にも分割できる。
【0055】
本発明の他の実施例によれば、2つまたは4つのレーンの高速道路のクローバの葉をした交差点を含む地理的領域は、51ヶ所の場所に分割される。図6fは、交差点の斜視図であり、図6gは、交差点のマップを示す。本発明の一実施例においては、植え込みと中央分離帯は、15個の場所に分割され(図6h)、4個のランプは、4カ所の場所に分割される(図6i)。内側レーン即ち「追い越し」車線は、8個の場所に分割される(図6j)。外側レーン即ち走行車線は、8個の場所に分割される(図6k)。
【0056】
図6Lは、領域220を64個の四角の場所に分割する別の例を示す。
【0057】
プロセス502によれば、以下の特徴に対する予測値E(b、T、N、W、Q)は、各場所に関連づけられる。
i. 無線端末201がその場所にいる時に、全ての送信器(例、基地局202−1、202−2、202−3、テレビ、ラジオ、ナビゲーション、地上ベースの航空装置等)が送信し無線端末201が受信可能な全ての信号の、時間Tと環境条件Nの関数としての予測したパスロス(パス喪失)
ii. 無線端末201がその場所にいる時に、無線端末201が送信し、基地局202−1、202−2、202−3が受信可能な全ての信号の、時間Tと環境条件Nの関数としての予測したパスパス(パス喪失)
iii. 無線端末201がその場所にいる時に、全ての送信器が送信し無線端末201が受信可能な全ての信号の、時間Tと環境条件Nの関数としての予測した受信信号強度
iv. 無線端末201がその場所にいる時に、無線端末201が送信し、基地局202−1、202−2、202−3が受信可能な全ての信号の、時間Tと環境条件Nの関数としての予測した受信信号強度
v. 無線端末201がその場所にいる時に、全ての送信器が送信し無線端末201が受信可能な全ての信号の、時間Tと環境条件Nの関数としての予測した受信信号対損傷信号比率(例、Eb/No等)
vi. 無線端末201がその場所にいる時に、無線端末201が送信し、基地局202−1、202−2、202−3が受信可能な全ての信号の、時間Tと環境条件Nの関数としての予測した受信信号対損傷信号比率(例、Eb/No等)
vii.無線端末201がその場所にいる時に、全ての送信器が送信し無線端末201が受信可能な全ての信号の、時間Tと環境条件Nの関数としてのマルチパス成分の各対の予測した受信時間差(例、1対のマルチパス成分間の時間差、3つのマルチパス成分間の一対の時間差)
viii.無線端末201がその場所にいる時に、無線端末201が送信し、基地局202−1、202−2、202−3が受信可能な全ての信号の、時間Tと環境条件Nの関数としてのマルチパス成分の各対の予測した受信時間差(例、1対のマルチパス成分間の時間差、3つのマルチパス成分間の一対の時間差)
ix. 無線端末201がその場所にいる時に、全ての送信器が送信し無線端末201が受信可能な全ての信号の、時間Tと環境条件Nの関数としての予測した受信遅延拡散(例、RMS遅延拡散、過遅延拡散(excess delay spread)、平均過遅延拡散(mean excess delay spread))
x. 無線端末201がその場所にいる時に、無線端末201が送信し、基地局202−1、202−2、202−3が受信可能な全ての信号の、時間Tと環境条件Nの関数として予測した受信遅延拡散(例、RMS遅延拡散、過遅延拡散、平均過遅延拡散)
xi. 無線端末201がその場所にいる時に、全ての送信器(レーク受信機で公知の方法で決定した)が送信し無線端末201が受信可能な全ての信号の、時間Tと環境条件Nの関数としての複数のマルチパス成分の予測した受信相対的到着時間
xii. 無線端末201がその場所にいる時に、無線端末201が送信し、基地局202−1、202−2、202−3が受信可能な全ての信号の、時間Tと環境条件Nの関数としての複数のマルチパス成分の予測した受信相対的到着時間
xiii.無線端末201がその場所にいる時に、基地局202−1、202−2、202−3に無線端末201が送信し、そこから受信した全ての信号の、時間Tと環境条件Nの関数としての予測した往復時間
xiv. 無線端末201がその場所にいる時に、基地局202−1、202−2、202−3が無線端末201に送信し、そこから受信した全ての信号の、時間Tと環境条件Nの関数としての予測した往復時間
xv. 通信サービスをある場所に提供する基地局の時間Tと環境条件Nの関数としての識別子
xvi. 通信サービスをある場所に提供する近隣基地局の時間Tと環境条件Nの関数としての識別子
xvii.無線端末201がある場所にいる時の、時間Tと環境条件Nの関数としての、無線端末201と無線通信システム200のハンド・オーバー状態(例、ソフト、よりソフトな、1x、2x等)
【0058】
本発明の一実施例によれば、無線端末201が送信した全ての信号は、基地局202−1から202−3との通信用である。無線端末201が受信した全ての信号は、次の信号である。
・ 無線端末201と通信するために、基地局202−1から202−3により送信された信号
・ テレビ信号
・ 無線信号
・ 航行信号
・ ナビゲーション信号
本明細書を参照することにより、さまざまな信号を用いる本発明の他の実施例も、当業者には容易に想到できる。
【0059】
本発明の一実施例によれば、これらの特徴の予測される値は、次の組み合わせにより決定される。
i. 複数の理論的無線周波数伝搬モデルと経験的無線周波数伝搬モデル
ii.領域220内における特徴の複数の経験的測定値
特徴の経験的測定値は、位置−特徴データベース313内に記録され、更新される。これについては以下説明する。
【0060】
本発明の一実施例によれば、各場所bは、隣接する場所(場所bから、タイムステップΔtの間、無線端末201が合理的に動ける場所)の識別子により記述される。本発明によれば、2つの場所が、少なくとも2つの点を共通している場合、「隣接している」と見なされる。ゼロ(0)ポイントあるいは1つのポイントを共有する時、2つの場所が隣接すると見なされる本発明の他の実施例を、当業者は、本明細書を参照にすることにより、容易に想到できる。
【0061】
隣接グラフ
本発明の一実施例によれば、どの場所が隣接するかを示すデータ構造が形成される。このデータ構造は、「隣接グラフ」と呼ばれ、位置−特徴データベース313内に、sparse-matrix formatで記憶される。図6mは、領域220を構成する28個の場所の隣接グラフを表す。図6nは、図6f−6kの高速道路交差点を構成する51個の場所の隣接グラフを表す。
【0062】
以下に説明するように、隣接グラフは、無線端末201の動きの時間的解析の際に使用される。当業者は、領域220を適宜分割する隣接グラフを形成する方法を、本明細書を参考することにより、容易に想到できる。
【0063】
本発明の一実施例によれば、全ての場所bに対し、滞在確率P(b、T、N、W)と移動確率P(b、T、N、W、c)は、無線端末Wの動きのモデルに基づいて、以下を考慮しながら形成される。
i. 隣接グラフのトポロジ(形態)
ii. 時間T
iii.環境条件N
iv. 無線端末の移動と場所、あるいは無線端末の置かれる設備(例、ビル、側道、道、トンネル、橋、山、壁、水、崖、川等)に影響を及ぼす天然物あるいは人工物の物理的属性
v. 無線端末の移動と場所とそれらが置かれる設備(例、一方通行)を規制する法律
vi. 全ての無線端末の動きの過去のデータ
vii.無線端末Wの動きの過去のデータ
上記の項目i、ii、iii、iv、v、vi、viiの部分的組み合わせを用いて、各場所bの滞在確率と移動確率を生成する本発明の他の実施例は、本明細書を参考にすることにより、当業者には容易に想到できる。
【0064】
場所bに関する移動確率P(b、T、N、W、c)は、等方向性あるいは異方向性のいずれかと見なされる。このため、「等方向性移動確率」は、移動の方向の均一の尤度を表すものとして定義される。「異方向性移動確率」は、移動の方向の非均一な尤度を表すものとして定義される。例えば、2次元の正6角形の格子内に配置された場所に対しては、場所bのP(b、T、N、W、c)の値は、格子が全て等しい場合(例えば、各隣接する場所cに対し、P(b、T、N、W、c)=1/6)のみ、等方向性である。逆に、P(b、T、N、W、c)の値は、少なくとも2個の異なる値の確率が存在する場合には、異方向性である。別の例として、2次元の「チェッカーボード」格子に配置された場所に対しては、P(b、T、N、W、c)の値は、次の場合のみ等方向性である。
(i) 場所bから北、南、東、西に行く移動確率が全てpに等しい場合
(ii) 場所bから北東、北西、南東、南西に行く移動確率がp/21/2に等しい場合
(iii)4p(1+1/21/2)+P(b、T、N、W)=1の場合
【0065】
等方向性移動確率は、生成するのが簡単であるが、上記の基準を考慮に入れて生成された異方向性移動確率よりもかなり精度が落ちる。それ故に、本発明の一実施例によれば、移動確率は非等方向性である。しかし、当業者は、本明細書を参照することにより異方向性移動確率を用いる本発明の他の実施例を、容易に想到できる。
【0066】
位置−特徴データベース313の構築
図7は、プロセス402のを一部として実行させる主要プロセスのフローチャートで、すなわち位置−特徴データベース313を構築するスローチャートである。
【0067】
一般的に、無線端末201の場所を予測するロケーション・サーバ214の能力は、特徴が無線端末201と基地局202−1、202−2、202−3により測定される精度により制限される。測定エラーの性質と大きさが、予測不可能な程度に不正確の時には、これらを克服することはできない。
【0068】
これに対し、測定エラーの性質と大きさが予測可能な場合には、それらは修正可能である。ある種の測定エラーの性質と大きさは、実際に予測できる。例えば、ある製造業者の無線端末のモデルは、信号の信号強度を−2dBだけ間違って測定し報告することが知られている。このモデルの無線端末からの測定値が未修正のままの場合には、この−2dBエラーにより、ロケーション・サーバ214は、無線端末の居場所を誤って予測する。これに対し、ロケーション・サーバ214が2dBをその製造業者の無線端末のモデルからの測定値に加えた時には、ロケーション・サーバ214が、誤って無線端末の居場所を予測する尤度は、減少する。
【0069】
位置−特徴データベース313は、システマティックな測定エラーを知りそれを修正するために、ロケーション・サーバ214が必要とする情報を有する。測定値のある種の状態エラーを削除する技術を、以下説明する。
【0070】
プロセス701において、歪み関数が、ロケーション・サーバ214に測定値を提供する各無線装置に対し、およびその測定値が誤差をとなりうる全ての特徴に対し、生成される。
【0071】
一般に、歪み関数D(A、K、Q)は、特徴Qに関し報告された測定値Rを、その特徴Qに対する実際の値Aに関連づけ、測定を行った無線装置の特色Kを規定する。
R=D(A、K、Q) (式1)
【0072】
本発明の一実施例によれば、歪み関数D(A、K、Q)は、無線装置の製造業者からロケーション・サーバ214の所有者あるいは操作者に提供される。無線装置の製造業者の助けなしに、あらゆる無線装置に対する歪み関数D(A、K、Q)を生成する方法を、本明細書を参照することにより、当業者は容易に想到できる。
【0073】
理想的な無線装置は、受信した特徴の値と、ある特徴に対する歪み関数D(A、K、Q)を完全に測定し報告できる。これを図8aに示す。図8aのグラフから明らかなように、理想の無線装置の特徴は、測定値の報告された値Rが、無線装置の特徴の実際の値Aに完全に等しいことである(すなわち測定あるいは報告エラーが存在しない)。
【0074】
これに対して、多くの実際の無線装置は、それが受信した信号の特徴を完全には測定できない。これは、エラーが大きい信号強度の測定値に、特に当てはまる。例えば、図8bは、実際の無線装置の歪み関数のグラフを示す。この場合、報告された測定値は、ある値に対しては高過ぎ、他の値に対しては低すぎ、1点の値に対してのみ正しい。
【0075】
報告された測定値のエラーの性質と大きさは、歪み関数D(A、K、Q)に固有のものであり、歪み関数を知ることにより、測定エラーを補償(相殺)できる。言い換えると、ロケーション・サーバ214が如何に無線装置が測定値を歪ませるかを正確に知ると、ロケーション・サーバ214は、特徴の実際の値を引き出すために、報告された測定値を較正関数で、もって修正すなわち較正する。較正関数C(R、K、W)は、プロセス1102で生成される。
【0076】
本発明の一実施例によれば、あらゆる測定値に対する歪み関数D(A、K、Q)は、表の形式で表される。例えば、さまざまなメーカーの無線装置に対するあるタイプの信号−強度測定値に対する歪み関数を、表1に示す。当業者は、本明細書を参照にすることにより、あらゆる測定値あるいは一部の測定値に対する歪み関数が表形式で表示されない本発明の他の実施例を、容易に想到できる。さらに、あらゆる種類の特徴およびあらゆる種類の無線装置に対するあらゆる種類の測定値に対する歪み関数を含む本発明の他の実施例も、当業者は、本明細書を参照することにより、容易に想到できる。
R=D(A、K、Q)
K=モトローラ社の ・・・ K=サムスン社の
A モデルA008; モデルA800;
Q=信号強度 Q=信号強度
−110 −115 ・・・ −107
−109 −114 ・・・ −106
・・・ ・・・ ・・・ ・・・
−48 −38 ・・・ −50
−47 −37 ・・・ −49
表1− 表形式で表した歪み関数D(A、K、Q)
【0077】
特色Kの目的は、無線端末201からの報告された測定値を較正するのに、どの較正関数を用いるべきかを特定することである。それ故に、特色Kは、無線端末201の実際の歪み関数を示すものでなければならず、これは経済的に理にかなったことである。
【0078】
例えば、特色Kは、次のようなものであるが、これに限定されるものではない。
i. 無線端末201の独自の識別子(例、電気信号番号(electronic serial number (ESN))、その国際移動局識別子(international mobile station identifier (IMSI))、その一時的国際移動局識別子(temporary international mobile station identifier (TIMSI))、その移動局識別子(mobile station identification (MSID))、その電話番号(directory number (DN))等)、 ii. 無線端末201のモデル(例、タイムポート210c等)、
iii.無線端末201のメーカ(すなわち製造業者、モトローラ、サムスン、ノキア等)、
iv. 無線端末201の無線周波数回路の識別子(特徴)(例、モトローラRF回路デザイン465B等)、
v. 無線端末201の構成要素の識別子(例、アンテナのパート番号、測定部品のパート番号等)、
vi. 上記のi、ii、iii、iv、v、の組み合わせ
【0079】
最も正確な特色は、無線端末201の独自の識別子(アイデンティティ)である。その理由は、これによりロケーション・サーバ214は、そのさまざまな無線端末に対し生成される較正関数を使用できるようになるからである。しかし、これは経済的に必ずしも可能なわけではない。その理由は、あらゆる無線端末は、その独自の歪み関数を決定する為に、テストする必要があるからである。
【0080】
他方で、無線端末201のメーカだけを特色Kとして使用することは、経済的に理にかなったことであるが、あらゆる製造業者の無線端末用の1個の較正関数で、正確に較正された信号強度測定値を提供できることは、あり得ない。
【0081】
妥協点として、実施例は無線端末201のメーカとモデルの組み合わせを特色Kとして使用する。その理由は、同一のメーカとモデルの端末間の変動量は十分小さく、そのモデルの1個の較正関数は、そのメーカとモデルのあらゆる無線端末の許容可能な程度に正確な較正測定値を提供できるからである。
【0082】
当業者は、本明細書を参照することにより、特色Kが別のものに基づく他の実施例も、容易に想到できる。
【0083】
プロセス502によれば、較正関数C(R、K、Q)は、ロケーション・サーバ214に測定値を与えるあらゆる無線装置に対し、およびその測定値が歪むあらゆる特徴に対し生成される。
【0084】
一般的に、較正関数C(R、K、Q)は、特徴Qの較正された測定値Sを、特性Qの報告された測定値Rに関連づけ、測定を行う無線装置の特色Kを決める。
S=D(R、K、Q) (式2)
【0085】
較正関数C(R、K、Q)は、歪み関数D(A、K、Q)の逆数である。言い換えると、較正関数C(R、K、Q)の特性は、式3を満たす。
S=A=C(D(A、K、Q),K、Q) (式3)
その結果、較正された測定値Sは、報告された測定値Rが 無線装置が理想的に測定し報告するようにしたものである。本明細書を参照することにより、当業者は、D(A、K、Q)からC(R、K、Q)を引き出す方法を容易に想到できる。図8cは、図8bに示した歪み関数D(A、K、Q)に対する較正関数C(R、K、Q)のグラフである。
【0086】
本発明の一実施例によれば、較正関数C(R、K、Q)は、表の形式で与えられる。例えば表2である。
S=C(R、C、N)
C=モトローラ社の ・・・ C=サムスン社の
R モデルA008; モデルA800;
Q=信号強度 Q=信号強度
−110 −115 ・・・ −107
−109 −114 ・・・ −106
・・・ ・・・ ・・・ ・・・
−48 −38 ・・・ −50
−47 −37 ・・・ −49
表2− 表形式で示された較正関数C(R、C、N)
【0087】
プロセス402によれば、較正関数C(R、K、Q)は、特徴−修正データベース314に記憶される。
【0088】
場所−特徴データベース313を維持する
図9は、プロセス405で行われる主要プロセスのフローチャートを示す。すなわち、位置−特徴データベース313と特徴−修正データベース314を維持する。ここに示した実施例の機能は、位置−特徴データベース313と特徴−修正データベース314に含まれる情報の正確さ、新しさ、完全さに依存する。
【0089】
プロセス901によれば、極めて精度の高い装置で、領域220に渡って、経験的な測定値を周期的に集めるためドライブテストの実行管理が行われ、位置−特徴データベース313と特徴−修正データベース314内に含まれる情報の精度、新しさ、完全さを確保する。
【0090】
プロセス902により、ドライブテストの実行管理が実行される。
【0091】
プロセス903により、位置−特徴データベース313と特徴−修正データベース314が、必要により更新される。
【0092】
無線端末201の居場所の予測
図10は、プロセス401で行われる主要プロセスのフローチャートを示し、すなわち、無線端末201の居場所を予測するステップを示す。この実施例によれば、プロセス403は、ロケーション・クライアント213からの無線端末201の居場所に対するリクエストにより、開始される。本明細書を参照することにより、当業者は、プロセス403が、周期的に、散発的に、あるいは他の事象に応答して、開始される実施例を、容易に想到できる。
【0093】
プロセス1001により、無線端末201の場所のY(正整数)個の確率分布が、時間間隔ΔT内の瞬時値HからHのそれぞれに対し生成される。これは、瞬時HからHのそれぞれ瞬間における、無線端末201に関連する特徴の測定値を、これらの時間のそれぞれの特徴の予測値と比較することにより行われる。Y個の確率分布のそれぞれは、無線端末201が、瞬時HからHのそれぞれの間、各場所にいた確率の第1予測値を提供する。プロセス1001の詳細は、以下説明する。
【0094】
プロセス1002により、無線端末201の場所のZ(正整数)個の確率分布は、時間間隔ΔT内の瞬時値AからAのそれぞれに対し生成される。これは、瞬時AからAのそれぞれの瞬間における、無線端末201におけるアシスト(補助)されたGPS測定値に基づいて行われる。Z個の確率分布のそれぞれは、無線端末201が瞬時AからAのそれぞれの間、各場所にいた確率の第1予測値を提供する。プロセス1002の詳細は、以下説明する。
【0095】
プロセス1003によれば、プロセス1001で生成されたY個の確率分布とプロセス1002で生成されたZ個の確率分布が、その時間的順序を考慮に入れて、組み合わされ、無線端末201の居場所の第2予測値を生成する。プロセス1003の詳細は、以下説明する。
【0096】
無線端末201の居場所の確率分布を、特徴のパターン・マッチングに基づいて、生成する。
図11aは、プロセス1001の主要プロセスを表すフローチャート図で、無線端末201の居場所のY個の確率分布を生成する。これは、瞬時HからHの各瞬時に、無線端末201に関連する特徴の測定値とこれらの時間帯におけるこれらの特徴の予測値とを比較することにより、行う。ここに示した実施例によれば、ロケーション・サーバ214は、プロセスを実行するのに必要なデータが利用可能になった時に、プロセス1101−1105のそれぞれを実行する。
【0097】
プロセス1101によれば、ロケーション・サーバ214は、無線端末201に関連する特徴の測定値のY個の空でない組M−Mを受信する。各測定値の組は、瞬時値H−Hの1つで生成される。
【0098】
ここに示した実施例によれば、各測定値の組は、次のようなものである。
i. 無線端末201が、全ての送信器(例、基地局202−1、202−2、202−3、テレビ、ラジオ、ナビゲーション、地上ベースの航空装置等)から受信した全ての信号のパルロス
ii. 無線端末201から送信され、基地局202−1、202−2、202−3が受信した全ての信号のパスロス
iii. 無線端末201が、全ての送信器から受信した全ての信号の受信信号強度
iv. 無線端末201から送信され、基地局202−1、202−2、202−3が受信した全ての信号の受信信号強度
v. 無線端末201が、全ての送信器から受信した全ての信号の受信した信号対損傷比率
vi. 無線端末201から送信され、基地局202−1、202−2、202−3が受信した全ての信号の受信した信号対損傷比率
vii. 無線端末201が、全ての送信器から受信した全ての信号のマルチパス成分の各対の時間差
viii.無線端末201から送信され、基地局202−1、202−2、202−3が受信した全ての信号のマルチパス成分の各対の時間差
ix. 無線端末201が、全ての送信器から受信した全ての信号の遅延拡散
x. 無線端末201から送信され、基地局202−1、202−2、202−3が受信した全ての信号の遅延拡散
xi. 無線端末201が、全ての送信器から受信した全ての信号の複数のマルチパス成分の相対的到着時間
xii. 無線端末201から送信され、基地局202−1、202−2、202−3が受信した全ての信号の複数のマルチパス成分の相対的到着時間
xiii.無線端末201が、基地局202−1、202−2、202−3を介して送信し受信した全ての信号の往復時間
xiv. 無線端末201を介して、基地局202−1、202−2、202−3が送信し、受信した全ての信号の往復時間
xv. 無線端末201に通信サービスを提供する基地局の識別子
xvi. 無線端末201に通信サービスを提供できる近隣基地局の識別子
xvii.無線端末201と無線通信システム200のハンドオーバー状態(例、ソフト、よりソフトな、1x、2x等)
xviii.時間Tの指示子
xix. 環境状態Nの指示子
【0099】
本発明の一実施例によれば、無線端末201は、その測定値をロケーション・サーバ214にユーザ・プレーンを介して、及びロケーション・サーバ214からのその旨のリクエストに応じて、直接提供する。この利点は、無線端末201の居場所の予測値の品質は、測定がエア・インターフェース標準に従って要求された時に、行われた測定の性質、番号、ダイナミック・レンジに制限が課されない時に、向上するからである。当業者は、本明細書を参照することにより、無線端末201が測定値を周期的、散発的、あるいは他の事象に応答して提供する他の実施例を、容易に想到できる。さらに、当業者は、本明細書を参照することにより、無線端末201が測定値をロケーション・サーバ214にUMTSプロトコルを介して提供する他の実施例も、容易に想到できる。
【0100】
本発明の一実施例によれば、基地局202−1、202−2、202−3は、それらの測定値をロケーション・サーバ214に、無線交換センタ211を介して、ロケーション・サーバ214からのその旨のリクエストに応答して、提供する。当業者は、本明細書を参照することにより、基地局202−1、202−2、202−3がその測定値をロケーション・サーバ214に周期的、散発的、あるいは他の事象に応答して提供する他の実施例を、容易に想到できる。
【0101】
プロセス1101の一部として、ロケーション・サーバ214は、無線端末201から以下のものを受信する。
i. 瞬時H−Hのそれぞれの時点で、無線端末201にサービスを提供する基地局の識別子(アイデンティティ)
ii.瞬時H−Hのそれぞれの時点で、無線端末201にサービスを提供する近隣基地局の識別子(アイデンティティ)
これらの情報をロケーション・サーバ214が用いて、サーチ領域の絞り込みを実行する。
【0102】
プロセス1102によれば、ロケーション・サーバ214は、特徴−修正データベース314内で較正関数C(R、K、Q)を用いて、プロセス1001で受信した測定値の組織的エラーを修正する。
【0103】
プロセス1103によれば、ロケーション・サーバ214は、適切な場合、測定値の差を計算して、プロセス1001で受信した測定値の状況エラーを修正する。多くのファクタ(例、無線端末201のアンテナの状態、バッテリの状態、無線端末が車中にいるかどうかを含む)が、状況的測定エラーを導入する。これは、特にパスロス(パス喪失)と信号強度の測定値の場合に、当てはまる。
【0104】
ここに示した実施例は、これらのファクタの影響を改善する。これは、測定値そのもの(それがプロセス1102で修正されたか否かを問わず)を、これらの特徴の期待値にパターン・マッチングさせるのではなく、これらの測定値のペアベースの差分(pair-wise differentials)を、これらの特徴の予測値のペアベースの差分にパターン・マッチングすることにより行う。当業者は、本明細書を参照することにより、異なる測定値をペアベースの差分を用いて、状況エラー用に修正する本発明の他の実施例を、容易に想到できる。
【0105】
信号強度に関連する実施例はこのアプローチを示す。第1無線局である無線局Aは、場所1で−56dBmで、場所2で−42dBmで、場所3で−63dBmで、場所4で−61dBmで、信号を受信できる。第2無線局である無線局Bは、場所1で−63dBmで、場所2で−56dBmで、場所3で−65dBmで、場所4で−52dBmで信号を受信できる。この情報は、次に示す表にまとめられ、場所と信号強度を関連づけるマップあるいはデータベースの基礎を形成する。
無線局A 無線局B 差
場所1 −56dBm −63dBm −7dB
場所2 −42dBm −56dBm −14dB
場所3 −63dBm −65dBm −2dB
場所4 −61dBm −52dBm 9dB
表3− 場所−特徴データベース(差分受信)を表す
【0106】
未知の場所にいる壊れたアンテナを有するある無線端末が、無線局Aからの信号を−47dBmで、無線局Bからの信号を−61dBmで受信した場合には、その無線端末は、無線局Aからの信号は14dBmだけ無線局Bからの信号よりも強いと、登録する。このことは、無線端末は、場所1、3、4よりも場所2にいる可能性が大きいことを示唆する。測定された信号強度そのものが、位置−特徴データベース313にパターン・マッチングされる場合には、無線端末201の場所に対し得られた確率分布は、正確なものではなくなる。
【0107】
このアプローチの不利な点は、状況的バイアスの除去は、(a)ランダムな測定値ノイズの変動を二倍にしてしまうこと(b)パターン・マッチングさせるデータ・ポイントの数が1つ減少することを代償と(犠牲に)している点である。さらに、ペアベースの減算は、相関を相対的信号強度測定値誤差に導入してしまう(すなわち、マッチングされるべき全てのデータ・ポイントは、統計的に相関づけられてしまう)。当業者には、本明細書を参照することにより、測定値レポートの尤度を計算する際に、この相関を如何に考慮に入れるかを、容易に想到できる。
【0108】
プロセス1104によれば、ロケーション・サーバ214は、プロセス1105の準備に際し、「サーチ領域の絞り込み」と称する技術を実行する。このサーチ領域の絞り込みとその利点を理解するために、プロセス1105を簡単に議論する。プロセス1105において、ロケーション・サーバ214は、無線端末201が瞬時値H−Hに各場所にいる確率を、予測する。これには、瞬時値H−Hのそれぞれに対応する、Y個の多次元の確率分布を生成することが必要である。
【0109】
多次元の確率分布のそれぞれを生成するプロセスは、計算集約的であり、その集約度は、無線端末201に対し可能性のある場所として考慮しなければならない場所の数に依存する。考慮しなければならない場所の数が少ない場合には、多くの「リアルタイム」のアプリケーションでも十分高速に実行できる。これに対し、考慮すべき場所の数が大きい場合には、プロセスの実行には、しばしば長時間を要する。
【0110】
建前上、領域220内の全ての場所を考慮しなければならないが、それは、プロセス1104の実行前は、無線端末201は、あらゆる場所にいることがあるからである。この実施例によれば、領域220は、わずか28個の場所を有するに過ぎない。本発明の他の実施例によれば、領域220は、数千、数百万、数十億の場所を含む。数千、数百万、数十億の場所をロケーション・サーバ214が各瞬間に対し考慮することは、多くのリアルタイムのアプリケーション用には、長すぎる。
【0111】
それ故に、プロセス1105の実行を促進するために、ロケーション・サーバ214は計算上効率的なテストを実行して、早急且つ全体的に無線端末201の多くの可能性のある場所を考慮の対象からはずし、無線端末201がその場所にいる確率をゼロに設定する。これにより、プロセス1105で考慮すべき場所の数を減らし、プロセス1001を実行する速度を上げる。
【0112】
サーチ領域の絞り込みによって、瞬時値H−Hのそれぞれに対し、ロケーション・サーバ214は、1つあるいは複数の場所を無線端末201の「あり得ない場所」として指定するために、6つの計算上効率のよいテストを用いる。瞬時値Hにおいて、6個のテストのうち1つあるいは複数のテストによりあり得ないとされた場所は、瞬時値Hにおいて、プロセス1104によりあり得ない場所として指定される。場所が瞬時値Hにおいてあり得ないとされる程度に応じて、その瞬時における確率分布を生成するロケーション・サーバ214にかかる計算負荷は減る。
【0113】
プロセス1104は2種類のエラーを犯すことがある。第1のエラー(タイプIエラー)は、プロセス1104が、無線端末201がその場所にいることがあり得なくはない時に、その場所をあり得ない場所と指定することである。第2タイプのエラー(タイプIIエラー)は、無線端末201がその場所にいることがあり得ない時に、その場所をあり得ない場所として指定しないことである。
【0114】
一般的に、タイプIエラーは、実施例では無線端末201の場所を予測することができる精度に影響を及ぼし、タイプIIエラーは、プロセス1104が確率分布を生成する速度に影響を及ぼす。一実施例によれば、テストとそのパラメータは、タイプIエラーとタイプIIエラーの数が、プロセス1104の計算の複雑さと価値で、バランスをとるよう選択される。例えば、タイプIIのエラーが多すぎる時には、プロセス1104は、プロセス1104の計算負荷で、その価値が損なわれる。本明細書を参照することにより、当業者は、あらゆるタイプIエラー、タイプIIエラーの数を有する本発明の他の実施例を、容易に想到できる。
【0115】
図11bは、プロセス1104に従って行われるプロセスのフローチャートで、サーチ領域の絞り込みを示す。
【0116】
プロセス1111によれば、ロケーション・サーバ214は、ある場所における特徴の測定値と予測値との差がしきい値を超えた時には、その場所はあり得ない場所として指定する。このテストの基礎をなす理論によれば、ある場所における特徴の測定値と予測値との間の食い違いは、測定は、無線端末201がその場所にいる時に実行されなかったことを意味する。一実施例によれば、ロケーション・サーバ214は、瞬時値H−Hのそれぞれに対する各信号の各特徴の測定値に対し、プロセス1111を実行する。本明細書を参照することにより、当業者は、所望数のタイプIエラーとタイプIIエラーを達成するために特徴と信号としきい値を如何に選択するかを、プロセス1111そのものあるいはプロセス1111で1つあるいは複数の特徴と/信号のテストを省く本発明の他の実施例も、容易に想到できる。
【0117】
プロセス1112によれば、1つの瞬時値における特徴の2回の測定値の大きさが第1しきい値を超えて、ある場所におけるその特徴の予測値の大きさが第2しきい値を超える場合には、ロケーション・サーバ214は、その場所は2つの測定値のランキングが予測値のランキングと異なる時には、あり得ない場所として指定する。このテストの基礎となす理論によれば、ある場所における特徴の測定値のランキングと予測値のランキングとの間の主要な食い違いは、測定が、無線端末201がその場所にいた時に実行されなかったことを意味する。本発明の一実施例によれば、ロケーション・エンジンでもあるロケーション・サーバ214は、瞬時値H−Hのそれぞれに対する各特徴の各対の測定値に対し、プロセス1112を実行する。本明細書を参照することにより、当業者は、所望数のタイプIエラーとタイプIIエラーを達成するために、特徴と信号としきい値を如何に選択するか、プロセス1112そのものを省く、あるいはプロセス1112での特徴と/または信号のテストを省く本発明の他の実施例も、容易に想到できる。
【0118】
プロセス1113によれば、ロケーション・サーバ214は、無線端末201が実際にその場所にいたことが期待できる時、信号の特徴の測定値を受信しなかった場合、その場所をあり得ない場所としてを指定する。一実施例によれば、ロケーション・サーバ214は、瞬時値H−Hのそれぞれに対する各予測信号の各特徴に対し、プロセス1113を実行する。このテストは、タイプIのエラーの傾向が大きく、注意して使用しなければならない。本明細書を参照することにより、当業者は、プロセス1113そのものを省く、あるいはプロセス1113での特徴と/または信号のテストを省く本発明の他の実施例も、容易に想到できる。
【0119】
プロセス1114によれば、ロケーション・サーバ214は、無線端末201が実際にその場所にいたことが期待できない時に、信号の特徴の測定値を受信した場合に、その場所をあり得ない場所として指定する。一実施例によれば、ロケーション・サーバ214は、瞬時値H−Hのそれぞれに対する各予測信号の各特徴に対し、プロセス1114を実行する。このテストは、プロセス1113のテストよりもタイプIのエラーの傾向が少ない。本明細書を参照することにより、当業者は、プロセス1114そのものを省く、あるいはプロセス1114で特徴と/または信号のテストを省く本発明の他の実施例も、容易に想到できる。
【0120】
プロセス1115によれば、ロケーション・サーバ214は、ある場所が、ある瞬間に無線端末201にサービスを提供していると知られている基地局により、無線通信サービスが提供されていない時には、その場所をあり得ない場所として指定する。このテストの基礎をなす理論によれば、通信サービスをある時点で無線端末201に提供する基地局がその場所にサービスを提供していない時には、無線端末201は、その場所にはその瞬間にはいなかったことを意味する。一般的に、このテストは極めて正確で、タイプIエラーとタイプIIエラーの両方の数が小さい。本明細書を参照することにより、当業者は、プロセス1115を省く本発明の他の実施例も、容易に想到できる。
【0121】
プロセス1116によれば、ロケーション・サーバ214は、無線端末201の場所が、無線端末201の近隣基地局であると知られている基地局の近隣カバー領域内にない時には、その場所をあり得ない場所として指定する。このテストの基礎をなす理論によれば、ある場所が、ある時点で無線端末201の近傍にある基地局の近隣カバー領域内にない時には、無線端末201はその瞬間その場所にはいなかったことを意味する。一般的に、このテストは極めて正確で、タイプIエラーとタイプIIエラーの両方の数が小さい。本明細書を参照することにより、当業者は、プロセス1116を省く本発明の他の実施例も、容易に想到できる。
【0122】
ある瞬時値Hにおいて、プロセス1111−1116の1つあるいは複数のプロセスによりあり得ないとして指定された場所は、その時点Hにおいて、プロセス1104であり得ないとされる。
【0123】
プロセス1105によれば、ロケーション・サーバ214は、瞬時値H−Hのそれぞれにおいて、無線端末201に対するY個の確率分布をそれぞれ生成する。これを行うために、ロケーション・サーバ214は、図11cに示すプロセスを実行する。
【0124】
図11cは、プロセス1105に従って実行される主要プロセスのフローチャートで、各瞬時値H−Hにおいて、無線端末201に対するY個の確率分布を生成する図を示す。
【0125】
プロセス1121によれば、ロケーション・サーバ214は、ある場所がプロセス1104である瞬時Hであり得ない場所と指定された場合には、瞬時Hにおいて、無線端末201がその場所にいる確率をゼロ(0)に設定する。
【0126】
プロセス1122によれば、ロケーション・サーバ214は、プロセス1104であり得ない場所と指摘されなかった全ての場所と全ての瞬間に対し、特徴の測定値と期待値との間のユークリッド・ノルムを生成する。これを行うために、ユークリッド・ノルムは、場所−特徴データベース313のこれらの特徴の予測値の測定値(必要により、プロセス1102で修正した測定値、又は場合によっては測定値の差)の間で生成される。これを行うためにユークリッド・ノルムは式4で記述される。
【数1】

ここで、V(b、H)は、ある時点における場所bに対する各特徴の、測定値M(b、H、N、W、Q)と予測値E(b、H、N、W、Q)との差の自乗の和をルートで開いた値に基づいている。ここで、w(Q)は、重み付けファクタで、ある特徴内の「ずれ」対他の特徴内の「ずれ」に与えられる相対重みを表す。
【0127】
プロセス1123によれば、ある場所にある無線端末201の場所の正規化されていない確率は、プロセス1122で生成された(式5に示す)ユークリッド・ノルムに基づいて生成される。
【数2】

ここで、UP(b、H)は、無線端末201がある瞬時Hに場所bにいる正規化されていない確率を表し、δの2乗は、式6で示す。
【数3】

ここで、δは、場所−特徴データベース内のエラーの不確定性の2乗であり、δは、較正された測定値の不確定性の2乗である。本明細書を参照することにより、当業者は、δを生成することができる。
【0128】
プロセス1124において、プロセス1123で生成される確率は、式7に記述するよう正規化される。
【数4】

ここで、NP(b、H)は、無線端末201が場所bにいる正規化された確率を表す。
【0129】
プロセス1124の一部として、ロケーション・サーバ214は、瞬時Hにおいて無線端末201の場所の仮の予測を、瞬時Hの正規化された確率分布の最尤度関数に基づいて、生成する。
【0130】
無線端末201の場所の確率分布をアシストされたGPSに基づいて生成する
図12は、プロセス1002で行われる主要プロセスを表すフローチャートを生成する。すなわち、無線端末201の場所のZ個の確率分布を、GPSから得られた情報(すなわちGPS通信衛星群221から得られた情報)に基づいて、生成する。
【0131】
プロセス1124、1201によれば、プロセス1105に生成された瞬時Hにおける無線端末201の場所の確率分布を、ロケーション・サーバ214が送信し、補助サーバ212が受信する。
【0132】
プロセス1202によれば、補助サーバ212は、無線端末201用の補助データを、瞬時Hにおける無線端末201の場所の仮予測に基づいて、生成する。図に示した実施例によれば、補助サーバ212は、「フル・カスタム」の補助データを、瞬時Hの無線端末201の場所の予測値に基づいて、生成する。この補助データは、「フル・カスタム」であるが、その理由は、それは瞬時Hにおける無線端末201の予測された場所に合うよう特別に作られたものだからである。無線端末201用のフル・カスタムの補助データを、瞬時Hの無線端末201の予測居場所に基づいて、生成する方法は、本明細書を参照することにより、当業者が容易に想到できる。プロセス1202の一部として、補助サーバ212は、補助データを無線端末201に無線交換センタ211を介して、公知の方法で送信する。
【0133】
プロセス1202の他の実施例によれば、補助サーバ212は、領域220内にある複数の分散した場所に対する補助データを予め計算し、無線端末201用のこの予め計算された補助データを、瞬時Hの無線端末201の予測場所に基づいて、選択する。無線端末201用に選択された補助データは、瞬時Hの無線端末201の予測場所に対し特別に作られたものではないため、また領域220の全て、あるいは無線端末201にサービスする基地局のセルあるいはセクタに対し一般的ではないために、これは、「セミ・カスタム」の補助データと見なされる。一般的に、セミ・カスタムの補助データは、フル・カスタムの補助データよりも精度は落ちるが、平均して一般的な補助データよりは精度が良い。一般的な補助データは、セルIDのみに基づいて選択され、領域220内にある1つの場所に基づいて選択される。当業者は、本明細書を参照することにより、無線端末201用のフル・カスタムとセミ・カスタムの補助データを生成する方法を、容易に想到できる。
【0134】
プロセス1203によれば、無線端末201は、(a)補助サーバ212からの補助データを公知の方法で受信し、(b)それを使用して、公知の方法で、GPS衛星信号の獲得と処理を容易にし、(c)GPS抽出情報のZ(正整数)個の空でない組を、瞬時G−Gで読み出せるように補助サーバ212に、送信する。本発明の実施例によれば、GPS抽出信号のそれぞれの各組は、以下のものを含む。
i. 無線端末201の場所のGPS抽出予測(例、緯度、経度、高度の座標軸等)、
ii. GPS衛星信号からのレンジング・データ(例、PRNコード位相等)、
iii.GPS衛星信号からの一部処理されたレンジング信号(例、レンジング・データがまだ抽出されていない信号等)、
iv. i、ii、iiiのいずれかの組み合わせ。
【0135】
プロセス1204によれば、ロケーション・サーバ214は、GPS抽出情報のZ個の空でない組を補助サーバ212から受信し、これを瞬時G−Gで読み出し、無線端末201が瞬時G−Gのそれぞれにおける各場所にいる尤度を示す確率分布を生成する。本明細書を参照することにより、プロセス1204を如何に実行するかは、当業者に明らかである。
【0136】
図13は、プロセス1003で実行されるプロセスの主要フローチャートを表し、Y個の非GPSベースの確率分布とZ個のGPSベースの確率分布とを組み合わせて、瞬時J−Jにおける無線端末201の場所を特定する為に、F個の精巧な多次元の確率分布を生成する。ここで、各Jは次のものの1つに対応する。
i. 特定の瞬時H、ここで、1<y<Y、
ii. 特定の瞬時G、ここで、1<z<Z、
iii.特定の瞬時Hと特定の瞬時Gの両者の同時発生、
ここで1<y<Yおよび1<z<Z。
言い換えると、「合成された」瞬時Jは、非GPSベースの確率分布に関連する瞬時、GPSベースの確率分布に関連する瞬時、非GPSベースの確率分布とGPSベースの確率分布の両方に関連する瞬時の内のいずれかに対応する。
【0137】
プロセス1003によれば、Y個の非GPSベースの確率分布とZ個のGPSベースの確率分布とは、相対的な時間的同時発生を考慮に入れながら、インテリジェントリに組み合わされ、瞬時J−Jにおける無線端末201の場所の精巧な多次元確率分布を取り出す。
【0138】
瞬時Jにおける無線端末201の場所の精巧な確率分布を生成するために、瞬時Jの前に発生する確率分布は、瞬時Jに前進的に時間外挿され、瞬時Jの後に発生する確率分布は、瞬時Jに後退的に時間外挿される。それらは全て、瞬時Jにおける無線端末201の場所に対する時間的に外挿されない確率分布と組み合わされる。かくして、各瞬時Jに対し精巧な確率分布の全ての精度は、他の瞬時における経験的データにより、向上する。
【0139】
図14は、瞬時J−Jのそれぞれを、非GPSベースの瞬時H−HとGPSベースの瞬時G−Gに基づいて決定する第1実施例を示す。ここで、Y=4、Z=6である。図14に示すように、合成瞬時Fの数は、最大Y+Zで、少なくともYとZの最小値である。前者が起こるのは、GPSベースの確率分布と非GPSベースの確率分布が同時に起きない場合であり、後者が起こるのは、GPSベースの確率分布と非GPSベースの確率分布が同時に起こる時である。
【0140】
図15は、瞬時J−Jのそれぞれを非GPSベースとGPSベースの瞬時に基づいて決定する第2実施例を示す。この第2実施例は、非GPSベースの瞬時が時間的に均一の場合でも、GPSベースの瞬時が時間的に非均一に分散している場合を示し、この合成瞬時は、必ずしも時間的に均一に分離していない。
【0141】
本発明によれば、時間ステップΔtは、2個の瞬時間の最小時間間隔として定義される。この時間ステップは、2つの瞬時の間の時間差が、時間ステップの整数倍であるある点で、極小(atomic)である。(2つの連続する瞬時は、それらが非GPSベースの瞬時、GPSベースの瞬時、あるいはそれらの合成瞬時であろうとも、離れた複数個の時間ステップである)。本発明の時間ステップは、それ故に、クロック駆動される個々の事象シミュレーションで採用される時間ステップに類似する。
【0142】
当業者に明らかなように、時間ステップΔtに対する適切な値を選択することは、通常特定のアプリケーションに依存し、(1)時間的正確さと(2)利用可能なメモリと処理パワーとの間の妥協の産物である。本明細書を参照することにより、当業者は、選択された時間ステップが、場所の定義と移動確率と滞在確率に影響を及ぼし、その結果、それらから得られたグラフにも影響を及ぼす(例えば隣接するグラフ)ことを、容易に想到できる。
【0143】
プロセス1301によれば、ロケーション・サーバ214は、瞬時J−Jを上記のように決定する。
【0144】
プロセス1302によれば、ロケーション・サーバ214は、瞬時J−J用に精巧でない確率分布V−Vを次のようにして、構成する。
i. Jが特定のHのみに対応している場合には、Vは、瞬時Hにおける非GPSの確率分布に等しい
ii. Jが特定のGのみに対応している場合には、Vは、瞬時GにおけるGPSの確率分布に等しい
iii.それ以外(Cは、特定のHと特定のGの両方に対応する)の場合、Vは、瞬時Jにおける非GPS確率分布とGPS確率分布の正規化した積に等しい確率分布に等しい。
【0145】
プロセス1303によれば、ロケーション・サーバ214は、各瞬時Jに対し、時間的に外挿された確率分布Dijを決定する(全てのjは、j≠i、1<j<Fである)が、これは、(i)瞬時Jにおける精巧でない確率分布Vと(ii)P(b、T、N、W)と(iii)P(b、T、N、W、c)に、基づく。それ故に、外挿された確率分布Dijは、瞬時Jにおける予測的確率分布であり、これは、瞬時Jにおける経験データに基づき、瞬時J含む他のの瞬時の経験データには基づかない。以下を含む。
i. 全ての無線端末の動きの過去のデータ、
ii. 無線端末Wの動きの過去のデータ、
iii.時間Tにおける無線端末Wの場所、速度、加速度、
iv. 場所bにある無線端末の動きに影響を及ぼす交通信号の状態
である。
【0146】
時間的に外挿された確率分布は、前進的である(すなわち、過去の確率分布に基づいて未来に投影する)。例えば、瞬時Jが、瞬時Jのワンステップ後の場合には、外挿された確率分布D3,2は、P(b、T、N、W)と、P(b、T、N、W、c)を、精巧でない確率分布Vに1回適用することにより得られる。言い換えると、あらゆる場所bに対しても、次式となる。
【数5】

ここで、in(b)は、隣接するグラフ内の他の場所から場所bに入るアーク(arc)の組である。同様に、時間的に外挿された確率分布は、後進的(すなわち、未来の精巧でない確率分布に基づいて過去に投影する)である。これは次式に基づく。
【数6】

これは、複数の場所{b、b、・・・、b}に対し、式9のシステムを設定し、マトリックスにより、{D2、3[b]、D2、3[b]、・・・、D2、3[b]}を解くことによって行われる。
【0147】
本明細書を参照することにより、当業者は、連続する瞬時は、離間した複数の時間ステップの時には、式8を公知の方法で繰り返し適用できることが分かる(この時間ステップは極小なので、繰り返しの数は常に整数である)。当業者は、本明細書を参照することにより、非連続的時間瞬時(例、D2、4、D5、1等)に対する外挿された確率分布は、連続する時間瞬時に対する外挿された確率分布からボトムアップの方法で、ダイナミック・プログラムにより効率的に計算することができることが分かる。
【0148】
プロセス1304によれば、ロケーション・サーバ214は、各瞬時Jに対応する精巧な確率分布Lを計算する。ここで、1<i<Fで、以下の重み付き平均として、計算できる。
i. 対応する精巧でない確率分布Vと、
ii. 全ての得られる時間外挿された確率分布Dij、j≠i、
【数7】

ここで、αは一定で、0<α<1であり、これは、「エイジング・ファクタ(aging factor)」として機能する。このエイジング・ファクタとは、少なく時間的に外挿された確率分布を、より多く時間的に外挿された確率分布よりも、より重きをおく係数である。その理由は、多く時間的に外挿された確率分布は、少なく時間的に外挿された確率分布よりも正確度が少ないことがあるからである。例えば、i=4、F=5の場合、式10を拡張すると次のようになる。
【数8】

【0149】
ii=Vと定義すると、式10は、コンピュータ処理に都合の良いように、次のような単純な形態で表すことができる。
【数9】

【0150】
プロセス1305によれば、ロケーション・サーバ214は、1つあるいは複数のJにおいて無線端末201の場所の予測を、Lの最尤度関数に基づいて生成する。本明細書を参照することにより、当業者は、別の関数、方法を用いて確率分布Lから予測を生成する本発明の他の実施例を、容易に想到できる。
【0151】
プロセス1306によれば、ロケーション・サーバ214は、プロセス1305で生成された無線端末201の場所の予測値を、ロケーション・クライアント213に公知の方法で送る。
【0152】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号(もしあれば)は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。
【図面の簡単な説明】
【0153】
【図1】従来技術に係る無線通信システムの一部を表す図。
【図2】本発明の一実施例による無線通信システム200の主要構成部品を表すブロック図。
【図3】本発明の一実施例による図2に示されたロケーション・サーバ214の主要構成部品を表すブロック図。
【図4】本発明の一実施例により行われる主要プロセスを表すフローチャート図。
【図5】図4のプロセス401により行われる主要プロセスのフローチャートを表す図で、場所−特徴データベース313を構築するステップを表す図。
【図6a】地理的領域を表す斜視図。
【図6b】領域を複数の場所に分割した図。
【図6c】領域を複数の場所に分割した図。
【図6d】領域を複数の場所に分割した図。
【図6e】領域を複数の場所に分割した図。
【図6f】領域を複数の場所に分割した図。
【図6g】領域を複数の場所に分割した図。
【図6h】領域を複数の場所に分割した図。
【図6i】領域を複数の場所に分割した図。
【図6j】領域を複数の場所に分割した図。
【図6k】領域を複数の場所に分割した図。
【図6L】領域220を64個の四角の場所に分割した図。
【図6m】図6c−6eで分割された領域220の隣接グラフのグラフ表示。
【図6n】図6h−6kで分割された高速道路のインターセクションの隣接グラフのグラフ表示。
【図7】図4のプロセス402の一部として行われる主要プロセスのフローチャート図で、場所−特徴データベース313を形成する(埋める)ステップを表す図。
【図8a】歪カーブと修正カーブを表す図。
【図8b】歪カーブと修正カーブを表す図。
【図8c】歪カーブと修正カーブを表す図。
【図9】図4のプロセス403で行われる主要プロセスを表すフローチャート図で、場所−特徴データベース313を保持(維持)するステップを表す図。
【図10】図7のプロセス701で実行される主要プロセスのフローチャートを表す図で、無線端末201の場所を予測するステップを表す図。
【図11a】図9のプロセス901で行われる主要プロセスのフローチャート図で、無線端末201の場所を、瞬間時(時間)HからHで、無線端末201が送受信する1つあるいは複数の信号の特徴に基づいて、無線端末201の場所の確率分布を生成するステップを表す図。
【図11b】図11aのプロセス1104で行われるプロセスのフローチャート図で、サーチ領域の縮小を表す図。
【図11c】プロセス1105で行われる主要プロセスのフローチャート図で、各瞬間時HからHで、各場所における無線端末201の確率分布を生成するステップを表す図。
【図12】図9のプロセス902で行われる主要プロセスのフローチャート図で、GPS抽出情報(即ち、GPS通信衛星群221からの情報)に基づいて、無線端末201の場所の確率分布を生成するステップを表す図。
【図13】図9のプロセス903で行われる主要プロセスのフローチャートを表す図で、無線端末201の場所に対する非GPSベースの確率分布とGPSベースの確率分布とを組み合わせるステップを表す図。
【図14】非GPSベースの瞬間時H−HとGPSベースの瞬間時G−Gを合成瞬間時J−Jに結合する第1実施例を表す図。
【図15】非GPSベースの瞬間時H−HとGPSベースの瞬間時G−Gを合成瞬間時J−Jに結合する第2実施例を表す図。
【符号の説明】
【0154】
100,200 無線通信システム
101,201 無線端末
102,202 基地局
111,211 無線交換センタ
112,212 補助サーバ
113,213 ロケーション・クライアント
214 ロケーション・サーバ
121,221 GPS通信衛星群
120,220 領域
301 プロセッサ
302 メモリ
303 トランシーバ
311 オペレーティング・システム
312 アプリケーション・ソフトウェア
313 場所−特徴データベース
314 特徴−修正データベース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線端末により処理される信号の測定されたエラーレートに基づいて無線端末の居場所を予測するステップを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記無線端末は、前記信号を受信する
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記無線端末は、前記信号を送信する
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記無線端末の居場所を予測するステップは、
測定されたエラーレートを
(i) 前記無線端末が第1場所に居る時に、前記信号の第1の予測エラーレートと、
(ii) 前記無線端末が第2場所に居る時に、前記信号の第2の予測エラーレートと
を比較するステップ
を含む
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
(A) (i)無線端末により処理される第1信号の第1の測定されたエラーレートと、(ii)前記無線端末により処理される第2信号の第2の測定されたエラーレートとを受信するステップと、
(B) 前記第1の測定されたエラーレートと前記第2の測定されたエラーレートとに基づいて、前記無線端末の居場所を予測するステップ
を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項6】
前記無線端末は、第1信号と第2信号とを受信する
ことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記無線端末は、第1信号と第2信号とを送信する
ことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記無線端末は、第1信号を受信し、第2信号を送信する
ことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項9】
前記(B)ステップは、
(B1) 前記第1の測定されたエラーレートを
(i) 前記無線端末が第1場所に居る時に、前記第1信号の第1の予測エラーレートと、
(ii) 前記無線端末が第2場所に居る時に、前記第1信号の第2の予測エラーレートと
を比較するステップと、
(B2) 前記第2の測定されたエラーレートを
(i) 前記無線端末が第1場所に居る時に、前記第2信号の第1の予測エラーレートと、
(ii) 前記無線端末が第2場所に居る時に、前記第2信号の第2の予測エラーレートと
を比較するステップと
を有する
ことを特徴とする請求項5記載の方法。
【請求項10】
(A) (i)第1時間T1で前記無線端末により処理される第1信号の第1の測定エラーレートと、(ii)第2時間T2で前記第1信号の第2の測定エラーレートとを受信するステップと、
第1時間と第2時間は等しくなく、
(B) 前記第2時間に、前記無線端末の居場所を予測するステップと、
前記(B)ステップは、(i)第1の測定されたエラーレートと、(ii)第2の測定されたエラーレートと、(iii)時間Tのときに前記場所内に居る前記無線端末が、時間T+Δtのときに、依然として前記場所内に居る確率の予測値とに基づいて実行され、
を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記無線端末は、第1信号と第2信号とを受信する
ことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項12】
前記無線端末は、第1信号と第2信号とを送信する
ことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項13】
前記無線端末は、第1信号を受信し、第2信号を送信する
ことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項14】
前記(B)ステップは、
(B1) 前記第1の測定されたエラーレートを
(i) 第1の時間T1で前記無線端末が第1場所に居る時に、前記第1信号の第1の予測エラーレートと、
(ii) 前記第1の時間T1で前記無線端末が第2場所に居る時に、前記第1信号の第2の予測エラーレートと
を比較するステップと、
(B2) 前記第2の測定されたエラーレートを
(i) 第2の時間T2で前記無線端末が第1場所に居る時に、前記第2信号の第1の予測エラーレートと、
(ii) 前記第2の時間T2で前記無線端末が第2場所に居る時に、前記第2信号の第2の予測エラーレートと
を比較するステップと
を有する
ことを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項15】
無線端末により処理される信号の測定されたエラーレートに基づいて、無線端末の居場所を予測するステップを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項16】
前記無線端末は、前記信号を受信し、
前記エラーレートは、前記無線端末で測定される
ことを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項17】
前記無線端末は、前記信号を送信し、
前記エラーレートは、基地局で測定される
ことを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項18】
前記無線端末の居場所を予測するステップは、
前記測定されたエラーレートを
(i) 前記無線端末が第1場所に居る時に、前記信号の第1の予測エラーレートと、
(ii) 前記無線端末が第2場所に居る時に、前記信号の第2の予測エラーレートと
を比較するステップ
を含む
ことを特徴とする請求項15記載の方法。
【請求項19】
(A) (i)無線端末により処理される第1信号の第1の測定されたエラーレートと、(ii)前記無線端末により処理される第2信号の第2の対のマルチパス成分の第2の測定されたエラーレートとを受信するステップと、
(B) 前記第1の測定されたエラーレートと前記第2の測定されたエラーレートとに基づいて前記無線端末の居場所を予測するステップ
を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記無線端末は、第1信号と第2信号とを受信し、
前記第1のエラーレートと第2のエラーレートとは、前記無線端末で測定される
ことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記無線端末は、第1信号と第2信号とを送信し、
前記第1のエラーレートは、第1基地局で測定され、
前記第2のエラーレートは、第2基地局で測定される
ことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項22】
前記無線端末は、第1信号を受信し、第2信号を送信し、
前記第1のエラーレートは、前記無線端末で測定され、
前記第2のエラーレートは、基地局で測定される
ことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項23】
前記(B)ステップは、
(B1) 前記第1の測定されたエラーレートを
(i) 前記無線端末が第1場所に居る時に、前記第1信号の第1の対のマルチパス成分の第1の予測エラーレートと、
(ii) 前記無線端末が第2場所に居る時に、前記第1信号の第1の対のマルチパス成分の第2の予測エラーレートと
を比較するステップと、
(B2) 前記第2の測定されたエラーレートを
(i) 前記無線端末が第1場所に居る時に、前記第2信号の第2の対のマルチパス成分の第1の予測エラーレートと、
(ii) 前記無線端末が第2場所に居る時に、前記第2信号の第2の対のマルチパス成分の第2の予測エラーレートと
を比較するステップと
を有する
ことを特徴とする請求項19記載の方法。
【請求項24】
(A) (i)第1時間T1で、前記無線端末により処理される第1信号の第1の対のマルチパス成分の第1の測定エラーレートと、(ii)第2時間T2で、前記第1信号の第1の対のマルチパス成分の第2の測定エラーレートとを受信するステップと、
第1時間と第2時間は等しくなく、
(B) 前記第2時間に、前記無線端末の居場所を予測するステップと、
前記(B)ステップは、(i)第1の測定されたエラーレートと、(ii)第2の測定されたエラーレートと、(iii)時間Tのときに前記場所内に居る前記無線端末が、時間T+Δtで、依然として前記場所内に居る確率の予測値とに基づいて実行され、
を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項25】
前記無線端末は、第1信号と第2信号とを受信し、
前記第1のエラーレートと第2のエラーレートとは、前記無線端末で測定される
ことを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項26】
前記無線端末は、第1信号と第2信号とを送信し、
前記第1のエラーレートは、第1基地局で測定され、
前記第2のエラーレートは、第2基地局で測定される
ことを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項27】
前記無線端末は、第1信号を受信し、第2信号を送信し、
前記第1のエラーレートは、無線端末で測定され、
前記第2のエラーレートは、基地局で測定される
ことを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項28】
前記(B)ステップは、
(B1) 前記第1の測定されたエラーレートを
(i) 第1の時間T1で前記無線端末が第1場所に居る時に、前記第1信号の第1の対のマルチパス成分の第1の予測エラーレートと、
(ii) 前記第1の時間T1で前記無線端末が第2場所に居る時に、前記第1信号の第1の対のマルチパス成分の第2の予測エラーレートと
を比較するステップと、
(B2) 前記第2の測定されたエラーレートを
(i) 第2の時間T2で前記無線端末が第1場所に居る時に、前記第2信号の第2の対のマルチパス成分の第1の予測エラーレートと、
(ii) 前記第2の時間T2で前記無線端末が第2場所に居る時に、前記第2信号の第2の対のマルチパス成分の第2の予測エラーレートと
を比較するステップと
を有する
ことを特徴とする請求項24記載の方法。
【請求項29】
無線端末により処理される信号の測定された信号対損傷比率に基づいて無線端末の居場所を予測するステップを含む
ことを特徴とする方法。
【請求項30】
前記無線端末は、前記信号を受信し、
前記信号対損傷比率は、前記無線端末で測定される
ことを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記無線端末は、信号を送信し、
前記信号対損傷比率は、基地局で測定される
ことを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項32】
前記無線端末の居場所を予測するステップは、
前記測定された信号対損傷比率を
(i) 前記無線端末が第1場所に居る時に、前記信号の第1の予測信号対損傷比率と、
(ii) 前記無線端末が第2場所に居る時に、前記信号の第2の予測信号対損傷比率と
を比較するステップを含む
ことを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項33】
(A) (i)無線端末により処理される第1信号の第1の測定された信号対損傷比率と、(ii)前記無線端末により処理される第2信号の第2の測定された信号対損傷比率とを受信するステップと、
(B) 前記第1の測定された信号対損傷比率と前記第2の測定された信号対損傷比率とに基づいて前記無線端末の居場所を予測するステップ
を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項34】
前記無線端末は、第1信号と第2信号とを受信し、
前記第1の信号対損傷比率と第2信号対損傷比率とは、前記無線端末で測定される
ことを特徴とする請求項33記載の方法。
【請求項35】
前記無線端末は、第1信号と第2信号とを送信し、
前記第1信号対損傷比率は、第1基地局で測定され、
前記第2信号対損傷比率は、第2基地局で測定される
ことを特徴とする請求項33記載の方法。
【請求項36】
前記無線端末は、第1信号を受信し、第2信号を送信し、
前記第1信号対損傷比率は、前記無線端末で測定され、
前記第2信号対損傷比率は、基地局で測定される
ことを特徴とする請求項33記載の方法。
【請求項37】
前記(B)ステップは、
(B1) 前記第1の測定された信号対損傷比率を
(i) 前記無線端末が第1場所に居る時に、前記第1信号の第1の対のマルチパス成分の第1の予測信号対損傷比率と、
(ii) 前記無線端末が第2場所に居る時に、前記第1信号の第1の対のマルチパス成分の第2の予測信号対損傷比率と
を比較するステップと、
(B2) 前記第2の測定された信号対損傷比率を
(i) 前記無線端末が第1場所に居る時に、前記第2信号の第2の対のマルチパス成分の第1の予測信号対損傷比率と、
(ii) 前記無線端末が第2場所に居る時に、前記第2信号の第2の対のマルチパス成分の第2の予測信号対損傷比率と
を比較するステップと
を有する
ことを特徴とする請求項33記載の方法。
【請求項38】
(A) (i)第1時間T1で、無線端末により処理される第1信号の第1の対のマルチパス成分の第1の測定信号対損傷比率と、(ii)第2時間T2で、前記第1信号の第1の対のマルチパス成分の第2の測定信号対損傷比率とを受信するステップと、
第1時間と第2時間は等しくなく、
(B) 前記第2時間に、前記無線端末の居場所を予測するステップと、
前記(B)ステップは、(i)第1の測定された信号対損傷比率と、(ii)第2の測定された信号対損傷比率と、(iii)時間Tのときに前記場所内に居る前記無線端末が、時間T+Δtで、依然として前記場所内に居る確率の予測値とに基づいて実行され、
を有する
ことを特徴とする方法。
【請求項39】
前記無線端末は、第1信号と第2信号とを受信し、
前記第1信号対損傷比率と第2信号対損傷比率とは、前記無線端末で測定される
ことを特徴とする請求項38記載の方法。
【請求項40】
前記無線端末は、第1信号と第2信号とを送信し、
前記第1信号対損傷比率は、第1基地局で測定され、
前記第2信号対損傷比率は、第2基地局で測定される
ことを特徴とする請求項38記載の方法。
【請求項41】
前記無線端末は、第1信号を受信し、第2信号を送信し、
前記第1信号対損傷比率は、前記無線端末で測定され、
前記第2信号対損傷比率は、基地局で測定される
ことを特徴とする請求項38記載の方法。
【請求項42】
前記(B)ステップは、
(B1) 前記第1の測定された信号対損傷比率を
(i) 第1の時間T1で前記無線端末が第1場所に居る時に、前記第1信号の第1の対のマルチパス成分の第1の予測信号対損傷比率と、
(ii) 前記第1の時間T1で前記無線端末が第2場所に居る時に、前記第1信号の第1の対のマルチパス成分の第2の予測信号対損傷比率と
を比較するステップと、
(B2) 前記第2測定された信号対損傷比率を
(i) 第2の時間T2で前記無線端末が第1場所に居る時に、前記第2信号の第2の対のマルチパス成分の第1の予測信号対損傷比率と、
(ii) 前記第2の時間T2で前記無線端末が第2場所に居る時に、前記第2信号の第2の対のマルチパス成分の第2の予測信号対損傷比率と
を比較するステップと
を有する
ことを特徴とする請求項38記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6c】
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【図6d】
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【図6e】
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【図6h】
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【図6i】
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【図6j】
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【図6k】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図9】
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【図10】
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【図11a】
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【図11b】
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【図11c】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2007−316070(P2007−316070A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−132799(P2007−132799)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(506016646)ポラリス ワイアレス,インク. (16)
【Fターム(参考)】