説明

無線通信システムおよび無線通信システムにおけるサイレント障害の検出方法

【課題】サイレント障害発生の予備判定の精度を向上する。
【解決手段】無線通信システム1はネットワーク1を介して互いに接続されている複数の基地局10を有する。基地局10はデータ生成部14、判定部15、及び制御部16を有する。データ生成部14は基地局で取得される情報に基づいて判定用データを生成する。制御部は判定用データを所定の他の基地局と送受信させる。判定部15はデータ生成部により生成された判定用データと所定の他の基地局から受信した判定用データとを比較する。判定部15は比較に基づいて自身の基地局10にサイレント障害が発生している可能性があることを判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サイレント障害の発生を検出する無線通信システムおよび無線通信システムにおけるサイレント障害の検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
無線通信システムにおいて、機器の故障やアプリケーションの問題等によりシステムの正常動作を妨げる事象(障害)が発生することがある。安定した無線通信システムを実現するためには、障害の発生を迅速に検出し、システムを復旧する必要がある。
【0003】
基地局は、障害を原因とするデータ転送時のパケット損失や転送遅延などを検出すると、通信が異常であると判断する。そして、基地局は、監視センター(例えば、EMS(エレメント管理システム))にエラー情報であるアラームを通知する。当該アラームにより、障害の発生が検出されることになる。
【0004】
しかし、通信が異常であると判断する機器そのものが劣化したり故障していたりすると、障害が発生しているにも係わらずアラームが監視センターに通知されないことがある。アラームが通知されないと、障害の発生は検出されないことになる。このように、障害が発生しているにも係わらず検出されない障害があることが知られており(特許文献1参照)、このような障害はサイレント障害と呼ばれている。
【0005】
サイレント障害はアラームではなくパフォーマンスの低下やネットワークの遅延および通信不能といった状況で発見されるものであるため、通常の障害に比べ、復旧に手間と費用がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−097466号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
サイレント障害を検出するために、従来では、各基地局において無線通信端末からの発呼数等を統計データとして収集し、過去の統計データと比較をすることによりサイレント障害発生の可能性があるか否かが予備的に判定される。
【0008】
このような予備判定においてサイレント障害発生の可能性がある場合には、監視装置に通知され、統計データも基地局から監視装置に送られる。監視装置では、サイレント障害発生の可能性のある基地局に対して、オペレータにより正常性診断試験等の解析処理による二次判定が施されることにより、サイレント障害が検出される。
【0009】
しかし、このようなサイレント障害の検出においては、収集される統計データには多種多様なパターンが存在するため、比較結果の信頼性が低く予備判定の精度が低かった。また、予備判定の精度が低い中でオペレータが二次判定を実行するために、必要以上に多くの基地局に対して二次判定を実行する必要があり、オペレータにかかる負担が大きかった。
【0010】
また、二次判定のために多数の統計データを受信する必要があり、基地局と監視装置との間に高い通信能力が必要であった。また、受信した統計データを監視装置はサンプリングするので、容量の大きな記憶装置が必要であった。
【0011】
したがって、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、予備判定における精度向上、オペレータの負担の軽減化、基地局及び監視装置間の通信負荷の軽減、及び監視装置の記憶装置の容量の低減化を図る無線通信システムおよびサイレント障害の検出方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した諸課題を解決すべく、本発明による無線通信システムは、
ネットワークを介して互いに接続されている複数の基地局によって構成される無線通信システムであって、
基地局は、
基地局で取得される情報に基づいて、サイレント障害発生の判定用データを生成するデータ生成部と、
判定用データを、所定の他の基地局と送受信させる制御部と、
データ生成部により生成された判定用データと所定の他の基地局から受信した判定用データとの比較に基づいて、自身の基地局にサイレント障害が発生している可能性があることを判定する判定部とを有する
ことを特徴とするものである。
【0013】
上述したように本発明の解決手段を装置として説明してきたが、本発明はこれらに実質
的に相当する方法、プログラム、プログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るもの
であり、本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0014】
例えば、本発明を方法として実現させたサイレント障害検出方法は、
ネットワークを介して互いに接続されている複数の基地局によって構成される無線通信システムにおけるサイレント障害検出方法であって、
基地局で取得される情報に基づいて、基地局にサイレント障害発生の判定用データを基地局毎に生成させるデータ生成ステップと、
複数の基地局が生成した前記判定用データを、ネットワークを介して接続されている所定の他の基地局間で相互に送受信させる通信ステップと、
データ生成部により生成された判定用データと所定の他の基地局から受信した判定用データとの比較に基づいて、自身の基地局にサイレント障害が発生している可能性があることを基地局に判定させる判定ステップとを備える
ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
上記のように構成された本発明に係る無線通信システムによれば、所定の複数の基地局において作成される第1のデータを相互に送受信し、各基地局において比較するので、サイレント障害発生の可能性予測の精度を向上することが可能である。また、可能性予測の精度が向上するので、サイレント障害発生の検出を行う基地局の数が減じられるので、オペレータ負担を軽減することが可能である。また、各基地局で予測を行うので、監視装置の負担を大幅に軽減化可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る無線通信システムのネットワーク構成を示す図である。
【図2】図1の無線通信システムの要部の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図1の基地局のサイレント障害が検出されるまでのシーケンス図である。
【図4】図1の基地局において実行される予備判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を適用した無線通信システムの実施形態について、図面を参照して説明する。
【0018】
図1は、本発明の第1実施の形態に係る無線通信システムのネットワーク構成を示す図である。図1に示す無線通信システム1は、ATM(Asynchronous Transfer Mode)網やインターネット網等の通信ネットワーク2に接続された複数の基地局10a、10b、10c及び監視装置20によって構成される。図1には、図面を簡略化するため第1、第2、第3の基地局10a、10b、10cが図示してある。第1、第2、第3の基地局10a、10b、10cを含む複数の基地局は、監視装置20に有線または無線を介して接続されている。
【0019】
無線通信端末3a、3bは、同一または異なる基地局と無線接続される。これにより、無線通信端末3a、3b間で通話(通信)が可能となる。図1は、無線通信端末3aが第1の基地局10aまたは第2の基地局10bと無線接続され、無線通信端末3bが第2の基地局10bまたは第3の基地局10cと無線接続されて、通信ネットワーク2を介して通話を行う場合を示している。
【0020】
図2は、図1の無線通信システムを構成する基地局10および監視装置20の要部の構成を示す機能ブロック図である。なお、第1、第2、第3の基地局10a、10b、10cは、基地局10と同じ構成を有している。
【0021】
基地局10は、無線通信部11、基地局通信部12、監視装置通信部13、データ生成部14、判定部15、及び基地局10の各部位を制御する制御部16などを備える。
【0022】
無線通信部11は、基地局アンテナ17を介して無線通信端末3a、(3b)と音声データなどの様々なデータや発呼要求などの制御指令を無線信号として送受信する。基地局通信部12は通信ネットワーク1を介して他の基地局10の基地局通信部12と接続され、音声データなどのデータを送受信する。監視装置通信部13は監視装置20と接続され、後述するアラームや確認要求などの制御命令を送受信する。
【0023】
データ生成部14は、自身の基地局10と無線通信端末3a、(3b)との通信に関する実質的な現在状態に基づいて、判定用データを生成する。なお自身の基地局10と無線通信端末との通信に関する現在状態とは、例えば無線通信端末からの発呼数やトラフィック量である。
【0024】
判定用データは、所定の時間間隔で所定の他の基地局10と送受信される。即ち、任意の基地局10は自身で生成した判定用データを所定の他の基地局10に送信し、他の基地局10で生成した判定用データを受信する。
【0025】
なお、任意の基地局10に対して判定用データの送受信を行う他の基地局10は、任意の基地局10に隣接または近隣であって類似する環境下に配置され、任意の基地局10と同等の性能を有する複数の基地局10が選択される。
【0026】
他の基地局10から受信した判定用データは、判定部15に送信される。判定部15は、自身の基地局10がサイレント障害を発生しているか否かの予備判定を、以下に説明するように実行する。
【0027】
判定部15では、他の基地局10から受信した判定用データの平均値が算出される。判定部15は、データ生成部14から自身の基地局10で生成した判定用データも受信する。判定部15は、平均値と自身の判定用データとを比較し、その差分が第1の閾値を超えるか否かを判別する。判定部15はカウンタ(図示せず)を有しており、カウンタは差分が閾値を超える回数を計測する。閾値を超える回数が第2の閾値を超えるときに、判定部15は自身の基地局10にサイレント障害発生の可能性があると予備判定する。
【0028】
サイレント障害発生の可能性がある場合には、監視装置通信部13から監視装置20にアラームが送信される。なお、アラームには基地局10のID情報が含まれており、サイレント障害発生の可能性がある基地局10が何れであるかがアラームから認識可能である。
【0029】
後述するように、監視装置20から基地局10に確認要求が送信されることがある。確認要求を受信すると、制御部16は自身の基地局10と無線通信可能で且つアイドル状態である無線通信端末3a、(3b)を検索する。なお、検索する無線通信端末3a、(3b)は単一でも複数でもよい。検索された無線通信端末3a、(3b)に確認要求を送信する。
【0030】
後述するように、確認要求に基づいて、無線通信端末3a、(3b)は特定の基地局10に発呼要求を発信し、特定の基地局10との無線通信の実行結果を確認する。無線通信の実行結果が、確認要求を発信した基地局10を介して、監視装置20に送信される。
【0031】
次に、監視装置20の構成について説明する。監視装置20は、通信部21、制御部22、及びモニタ23などを備える。
【0032】
通信部21は複数の基地局10と接続されており、基地局10からのアラームを受信し、基地局10に確認要求を送信する。
【0033】
制御部22は、アラームを受信すると確認要求を作成する。まず、アラームによりサイレント障害発生の可能性がある基地局10が注目基地局に定められる。注目基地局と電波の届く範囲が一部重なる単一または複数の基地局10が周囲基地局に定められる。
【0034】
確認要求は、周囲基地局と無線通信可能な無線通信端末3a、(3b)に、特定の動作を実行させる要求である。特定の動作は、無線通信端末3a、(3b)による注目基地局への発呼要求の発信と、注目基地局と無線通信端末3a、(3b)との実際の無線通信の実行結果、すなわち実際に無線通信が実行できた否かの結果の監視装置20への発信である。
【0035】
作成された確認要求は、周囲基地局に送信される。前述のように、確認要求を受信した基地局10は、特定の無線通信端末3a、(3b)を選択し、選択された無線通信端末3a、(3b)に確認要求を送信する。また、前述のように、周囲基地局は無線通信端末3a、(3b)から無線通信の実行結果を受信して、監視装置20に送信する。
【0036】
無線通信の実行結果に基づいて、制御部22では注目基地局にサイレント障害が発生しているか否かを判定する。なお、確認要求は複数の無線通信端末3a、3bに送信されることがあり、複数の無線通信端末3a、3bにおける無線通信の実行結果を受信することがある。それゆえ、制御部22では、無線通信の成功率や成功数などに基づいて、サイレント障害の発生の有無を判定する。
【0037】
サイレント障害が発生していると判定すると、モニタ23にサイレント障害が発生している基地局10が表示され、オペレータに通知可能となる。
【0038】
次に、図1に示した本実施形態に係る無線通信システムの動作について、図3のシーケンス図を参照して説明する。
【0039】
図3において、第1、第2の基地局10a、10bは互いに隣接または近接して類似する環境下に配置されており、互いに同等の性能を有する。また、第1、第2の基地局10a、10bの電波の届く範囲は、一部重なっている。
【0040】
第1、第2の基地局10a、10bはそれぞれ判定データを作成し、定期的に互いにデータ通信する(符号“s1”参照)。また、第1、第2の基地局10a、10bは、自身が作成した判定データと受信した判定データとを比較することにより、自身にサイレント障害発生の可能性があるか否かを判定する。
【0041】
第1の基地局10aにおいてサイレント障害発生の可能性があると判定されると(符号“s2”参照)、第1の基地局10aから監視装置20にアラームが通知される(符号“s3”参照)。アラームを受信すると監視装置20は、任意の無線通信端末3aから第1の基地局10aへの発呼要求の発信及び無線通信端末3aから監視装置20への通信実行結果の送信を実行させる確認要求を作成する。作成された確認要求が、第2の基地局10bに送信される(符号“s4”参照)
【0042】
確認要求を受信すると、第2の基地局10bは、上述のように無線通信端末3aを検索し、検索した無線通信端末3aに確認要求を送信する(符号“s5”参照)。確認要求を受信した無線通信端末3aは、第1の基地局10aに発呼要求を発信する(符号“s6”参照)。
【0043】
第1の基地局10aにサイレント障害が発生している場合には無線通信端末3aと無線通信が出来ない可能性が高く、サイレント障害が発生していない場合には無線通信端末3aと無線通信が可能となる。無線通信端末3aは、第1の基地局10aが発呼要求に対して通信を接続するか否かを実行結果として第2の基地局10bを介して監視装置に送信する(符号“s7”参照)。
【0044】
監視装置20は、実行結果に基づいて、第1の基地局10aにサイレント障害が発生しているか否かを判定する。サイレント障害が発生しているときに、第1の基地局10aにサイレント障害が発生していることをモニタ23に表示する(符号“s8”参照)。
【0045】
続いて、各基地局10の制御部16によって実行される予備判定処理について、図4のフローチャートを用いて説明する。
【0046】
ステップS101において、制御部16は、データ生成部14に判定用データを生成させる。判定用データの生成後、ステップS102に進む。
【0047】
ステップS102では、制御部16は、所定の他の基地局10に判定用データを送信し、他の基地局10において生成された判定用データを受信させる。判定用データの送受信後、ステップS103に進む。
【0048】
ステップS103では、制御部16は、ステップS102において受信した判定用データの平均値を判定部14に算出させる。平均値を算出すると、ステップS104に進む。
【0049】
ステップS104では、制御部16は、ステップS101において生成した判定用データとステップS103において算出した平均値との差分を第1の閾値と比較する。差分が第1の閾値以下である場合には、ステップS101に戻る。差分が閾値を超える場合には、ステップS105に進む。
【0050】
ステップS105では、制御部16は、カウンタに1を加算させる。カウンタの加算後、ステップS106に進む。
【0051】
ステップS106では、制御部16は、カウンタにより計測された回数が第2の閾値を超えているか否かを判定する。第2の閾値以下である場合には、ステップS101に戻る。第2の閾値を超える場合には、ステップS107に進む。
【0052】
ステップS107では、制御部16は、監視装置通信部13からアラームを監視装置20に発信させる。アラームの送信後、ステップS108に進む。
【0053】
ステップS108では、制御部16は、カウンタにおけるカウンタ値をゼロにリセットさせる。カウンタ値のリセット後、ステップS101に戻る。以後、同じ処理が繰返され、自身の基地局10におけるサイレント障害発生の可能性の判定を行う。
【0054】
以上のような構成の本実施形態の無線通信システムによれば、予備判定の精度を向上させることが可能である。この効果について、以下に簡単に説明する。
【0055】
上述のように、現在状態に基づいて生成する判定用データが、基地局10毎に生成される。この判定用データは、類似する環境に配置される基地局同士、特に互いに同等の性能を有する基地局同士においては統計的には同一とみなせることが多い。
【0056】
それゆえ、判定用データが、このような周囲の基地局の判定用データから統計的に有意な差を有する場合には、自身の基地局10において通信障害が生じている可能性が高い。そこで、自身の基地局10における判定用データを他の複数の基地局10から受信した判定用データの平均値との差分に有意な差がある場合をサイレント障害発生の可能性があると判定することにより、従来に比べて高い精度で判定可能である。
【0057】
なお、サイレント障害が自身の基地局10で発生せずに他の基地局10で発生した場合も当然に生じ得る。それゆえ、判定用データの比較において他の単一の基地局10から判定用データを受信する場合には、上述のような場合であっても自身の基地局10にサイレント障害発生の可能性があると判定する可能性がある。しかし、本実施形態によれば、複数の基地局10から受信する判定用データを母集団として自身の基地局10の判定用データと比較するので、このような誤判定の可能性をさらに低減化可能である。
【0058】
さらに、予備判定の精度が向上するので、従来の無線通信システムに比べて、サイレント傷害発生の可能性が低い基地局10からのアラーム発信回数が、従来の無線通信システムに比べて減じられる。したがって、データの通信量が減るので、基地局10と監視装置20との通信負荷を低減化可能である。
【0059】
また、基地局10同士で実質的な現在状態の判定用データを比較するので、過去のデータを記憶する必要が無い。それゆえ、監視装置20を含めた無線通信システム全体の記憶装置(図示せず)の容量を低減化可能である。
【0060】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。
【0061】
例えば、上記実施の形態では、基地局10における予備判定によるアラーム通知に基づいて、監視装置20が確認要求を発信することにより二次判定が行われる構成であるが、予備判定後は、いかなる処理が行われてもよい。例えば、アラームを発信した基地局10に対して、監視装置20を用いてオペレータが正常性診断等の解析処理を実行する構成であってもよい。このような構成であっても上述のような効果を得ることが可能であり、また、予備判定によりサイレント障害発生の可能性が実際に高い基地局10のみがアラームを発信するので、オペレータによる解析処理の負担を減じることが可能である。さらには、予備判定そのものを、サイレント障害発生の判定としてもよい。
【0062】
また、本実施形態では、複数の基地局10と判定用データを送受信する構成であるが、単一の基地局10であってもよい。単一の基地局10から受信する判定用データと比較することによっても、従来の無線通信システムに比べて、予備判定の精度を向上させることが可能である。
【0063】
また、本実施形態では、複数の基地局10から受信した複数の判定用データを平均化して、自身の基地局10で生成した判定用データと比較する構成であるが、他の方法により比較してもよい。複数の判定用データを母集団として、自身の基地局10で生成した判定用データが母集団に対して統計的に有意な差異があるか否かを判定する方法であれば、本実施形態と同様の効果を得ることが可能である。
【符号の説明】
【0064】
1 無線通信システム
2 通信ネットワーク
3 無線通信端末
10 基地局
14 データ生成部
15 判定部
16 制御部
20 監視装置
22 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して互いに接続されている複数の基地局によって構成される無線通信システムであって、
前記基地局は、
前記基地局で取得される情報に基づいて、サイレント障害発生の判定用データを生成するデータ生成部と、
前記判定用データを、所定の他の前記基地局と送受信させる制御部と、
前記データ生成部により生成された前記判定用データと前記所定の他の基地局から受信した前記判定用データとの比較に基づいて、自身の基地局にサイレント障害が発生している可能性があることを判定する判定部とを有する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線通信システムであって、前記基地局の通信状況を監視する監視装置を備え、前記判定部は、前記サイレント障害が発生している可能性があると判定した場合にアラームを前記監視装置に通知することを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項2に記載の無線通信システムであって、
前記監視装置は、
前記アラームが通知されたときに、前記アラームを発した前記基地局である注目基地局の周囲に配置された前記基地局である周囲基地局に対して、前記周囲基地局と無線通信可能な無線通信端末に前記注目基地局への無線通信と無線通信の実行結果を前記周囲基地局への通知とを実行させる確認要求を、前記無線通信端末に送信させ、
前記周囲基地局に通知された前記無線通信の実行結果に基づいて、前記注目基地局に前記サイレント障害が発生しているか否かを判定する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
ネットワークを介して互いに接続されている複数の基地局によって構成される無線通信システムにおけるサイレント障害検出方法であって、
前記基地局で取得される情報に基づいて、前記基地局にサイレント障害発生の判定用データを前記基地局毎に生成させるデータ生成ステップと、
前記複数の基地局が生成した前記判定用データを、前記ネットワークを介して接続されている所定の他の前記基地局間で相互に送受信させる通信ステップと、
前記データ生成部により生成された前記判定用データと前記所定の他の基地局から受信した前記判定用データとの比較に基づいて、自身の基地局にサイレント障害が発生している可能性があることを前記基地局に判定させる判定ステップとを備える
ことを特徴とするサイレント障害検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−26794(P2013−26794A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−159257(P2011−159257)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】