説明

無線通信システム

【課題】 通信チャネルの信号を無線通信する無線通信システムで、受信側で受信した通信チャネルの信号に高速付随制御チャネル(FACCH)の信号が含まれるか否かを効果的に判定する。
【解決手段】 送信側の通信装置では、通信チャネル信号無線送信手段が通信チャネルの信号にトラフィックチャネルの信号或いは誤り検出符号化された高速付随制御チャネルの信号を含めて無線送信する。受信側の通信装置では、誤り検出処理実行手段が無線受信手段により受信した通信チャネルの信号に対して誤り検出処理を実行し、通信チャネル信号処理実行手段が誤り度が所定の閾値以上であるか否かに応じてトラフィックチャネル或いは高速付随制御チャネルに対応した処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高速付随制御チャネル(FACCH:Fast Associated Control Channel)の信号が含まれ得る通信チャネル(通信用物理チャネル)の信号を無線により通信する無線通信システムに関し、特に、受信側で受信した通信チャネルの信号に高速付随制御チャネル(FACCH)の信号が含まれるか否かを効果的に判定する無線通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、空港エリア内に存在する航空機の安全性やユーザの快適性を確保するという重要な使命を担っている空港向けMCA(Multi Channel Access)無線システムは、電波産業会(ARIB)により、空港内デジタル移動通信システム(ARIB STD−T87)として規格化されている。
空港向けMCA無線システムには、制御用チャネルと通信用チャネルとがある。通信リンクの設定などのような通信制御のためにシステム内のユーザが共通に使用(アクセス)することができるチャネルが制御チャネルであり、通信リンクの設定に伴ってシステム内のユーザに割り当てられてそのユーザのみが使用することができるチャネルが通信チャネルである。
通信チャネルはユーザ間での音声や非音声データの送受信に使用されるチャネルである。通信チャネル内で呼出し、応答、切断などの制御情報を送受信する際には、高速付随制御チャネル(FACCH)が使用される。高速付随制御チャネルは、一時的に通信チャネルを使用(スチール)して高速のデータ転送を行うチャネルとして定義されている。
【0003】
以下で、更に具体的に説明する。
図6には、デジタル無線通信システムの構成例を示してある。
現在、実用化されているデジタル無線通信システムは、制御局装置61とその通信エリア(通信ゾーン)64内に存する複数の移動局装置71、72との間の通信接続サービスや、中継局装置63の通信エリア65内に存する複数の移動局装置73、74と制御局装置61或いは他の複数の移動局装置71、72との間の通信接続サービスが行われるように、構成されている。
【0004】
また、制御局装置61の近傍に基地局装置62が設置される場合や、制御局装置61から離れた場所に基地局装置62が設置される場合があり、一般に、制御局装置61と基地局装置62とは有線回線又はマイクロ回線などにより接続される。
図6の例では、制御局装置61と基地局装置62とが、同じ場所(或いは、近い場所)に設置される場合を示してある。制御局装置61は、デジタル無線通信システムにおける基地局装置62や中継局装置63や複数の移動局装置71〜74の間の通信接続や、サービスエリアの維持や管理を行う。制御局装置61には回線制御装置(図示せず)が設置され、回線制御装置では移動局装置71〜74からの発呼(call)制御や通信ルートの設定を実行する制御などが行われる。
【0005】
このようなデジタル無線通信システムでは、基地局装置62と移動局装置71、72との間或いは中継局装置63と移動局装置73、74との間において無線チャネルで通信が行われる。この無線チャネルは、当該無線チャネルを構成するスロットの種類によって、制御用物理チャネル(制御チャネルとも言う)と通信用物理チャネル(通信チャネルとも言う)の2種類で構成される。
制御用物理チャネルは、共通使用スロットで構成される無線チャネルであり、例えば、複数の移動局装置からの接続要求に対していずれの通信用物理チャネルのスロットを割り当てるかなどの制御情報の伝送に使用される。
通信用物理チャネルは、個別割当てスロットで構成される無線チャネルである。
これらの種々のチャネルは、機能チャネルとも呼ばれている。なお、このような無線チャネル構成は、標準規格(例えば、ARIB STD−T79やARIB STD−T87)で定められている。
【0006】
図7には、デジタル無線通信システムを用いた列車無線システムの構成例を示してある。
本例の列車無線システムでは、列車83の沿線に沿って、数km〜数10kmおきに、移動する列車83との通信を行う基地局装置A1〜An(nは複数)が、基地局装置A1、基地局装置A2、・・・、基地局装置An、のように配置されている。これらの基地局装置A1〜Anは、列車無線中央装置81と有線回線B1〜Bnで結合されており、例えば、列車83の移動と共に基地局装置A1〜Anを順次切り替えて、列車83へ種々の音声信号や制御データを伝送するように構成されている。
また、各基地局装置A1〜Anの間は漏洩同軸ケーブル(LCX)82で結合されており、このLCXから漏洩する無線チャネルで列車83と通信が行われる。
【0007】
列車83には、車上局装置84として移動無線機が搭載され、基地局装置A1〜Anとの通信が行われる。基地局装置A1〜Anと車上局装置(移動無線機)84との間の通信では、例えば、140MHz近傍の2つの周波数f1、f2が使用され、下り方向の通信波として周波数f1の通信波が使用されて、上り方向の通信波として周波数f2の通信波が使用されて、それぞれ1周波の無線チャネルが使用される。
本例の列車無線システムでは、通信用物理チャネルを指令通話チャネルなどの用途別チャネルに分け、用途的にチャネル固定で使用している。例えば、スロット0は指令通話チャネル、スロット1は保守用通話チャネルというように、最初からスロットを用途別に固定して使用している。このように、本例の列車無線システムでは、通信用物理チャネルが使用され、制御用物理チャネルは使用されない。なお、通信用物理チャネルの構成は、図6に示されるデジタル無線通信システムにおいても、図7に示される列車無線システムにおいても、同様である。
【0008】
図8には、例えば標準規格ARIB STD−T79やARIB STD−T87における通信用物理チャネル(下り方向無線チャネルf1)の信号フォーマットの一例を示してある。なお、下り方向無線チャネルf1と比べて、上り方向無線チャネルf2は、周波数が異なり、多少の構成の違いはあるが、概略的には同様であるため、ここでは下り方向無線チャネルf1の通信用物理チャネルについて説明する。
図8に示した通信用物理チャネルは、6ビットのバースト過渡応答用ガード時間(R)、2ビットのプリアンブル(P)、148ビットのトラフィックチャネル(TCH)又は高速付随制御チャネル(FACCH)、20ビットの同期ワード(SW)、2ビットのアイドルビット(I)、6ビットの干渉対策コードであるカラーコード(CC)、20ビットの低速付随制御チャネル(SACCH:Slow Associated Control Channel)、108ビットのトラフィックチャネル(TCH)又は高速付随制御チャネル(FACCH)、8ビットのガード時間(G)から構成されている。
【0009】
図9(a)には、トラフィックチャネル(TCH)が使用される通常の通信時における通信用物理チャネルの信号フォーマットの一例を示してある。
図9(b)には、高速付随制御チャネル(FACCH)が使用される制御信号の通信時における通信用物理チャネルの信号フォーマットの一例を示してある。
なお、図8及び図9(a)、(b)において、各ブロックの中に表示されている数字はビット数を表しており、通信用物理チャネルは320ビットで構成されている。
【0010】
例えば、図7に示される列車無線システムにおいて、基地局装置A1と列車83の車上局装置84との間で下り方向無線チャネルf1を用いて通常の通信を行う場合には、図9(a)に示されるような通信用物理チャネルの信号フォーマットで音声や制御データが送られる。
トラフィックチャネル(TCH)では、データを含む音声が148ビットの部分と108ビットの部分のチャネルで送信される。
このトラフィックチャネル(TCH)の信号は、例えば、π/4シフトQPSKでデジタル変調された信号であるが、符号化は行われず、誤り訂正も行われない。この結果、基地局装置A1から無線チャネルとして伝送されたものを車上局装置84で受信した時に、万一、送信データが誤ったとしても、元の送信データには戻らないという問題がある。
【0011】
なお、低速付随制御チャネル(SACCH)は、データを伝送するためのチャネルであり、データは、符号化され、誤り訂正符号も付加される。
また、このような通常の通信を行う場合における同期ワード(SW)としては、例えばARIB STD−T79やARIB STD−T87では、20ビットの同期ワードパターンとしてスロット毎に異なるパターンを使用することが定められている。
【0012】
一方、図7に示される列車無線システムでは、制御用物理チャネルが存在しないことから、高速データ転送時には、列車83などの制御信号を通信用物理チャネルで送る必要がある。この場合における通信用物理チャネルの信号フォーマットの構成は図9(b)に示されるようになる。
図9(b)に示される制御信号の通信時における通信用物理チャネルの信号フォーマットでは、図9(a)に示される通常の通信時における通信用物理チャネルの信号フォーマットに対して、トラフィックチャネル(TCH)を一時的に高速付随制御チャネル(FACCH)として使用している。
ここで、トラフィックチャネル(TCH)は符号化を行わないチャネルであり、高速付随制御チャネル(FACCH)は誤り検出及び誤り訂正の符号化を行うチャネルである。
【0013】
なお、図6に示されるようなデジタル無線通信システムでは、制御用物理チャネルと通信用物理チャネルが使用される場合には、通信用物理チャネルとしては、常時、図9(a)に示されるような信号フォーマットが使用される。
しかしながら、例えば、このようなデジタル無線通信システムをデジタル地域防災無線システムや空港内デジタル移動通信システムなどとして使用する場合には、緊急の端末の呼び出しや、応答或いは回線接続制御などの呼制御メッセージを転送する時などに、図9(b)に示されるような信号フォーマットが使用されることがある。
【0014】
図10(a)には、高速付随制御チャネル(FACCH)の符号化手順の一例を示してある。
送信側における高速付随制御チャネル(FACCH)の符号化手順では、送信対象となる信号に対して誤り検出のための符号化であるCRC符号化(処理C1)を行い、ビット合わせのための固定ビット挿入付加(処理C2)を行い、これにより得られた信号に対して誤り訂正のための符号化である畳み込み符号化(処理C3)を行い、その後、インタリーブ(処理C4)を行って、送信する。
図10(b)には、高速付随制御チャネル(FACCH)の復号手順の一例を示してある。
受信側における高速付随制御チャネル(FACCH)の復号手順では、受信信号に対してインタリーブを解除するデインタリーブ(処理D1)を行って、誤り訂正を行うビタビ復号(処理D2)を行い、これにより得られた信号に対して送信時に挿入された固定ビットの除去(処理D3)を行い、その後、CRC誤り検出(処理D4)を行って、元の信号を復号する。
【0015】
図11には、図2に示されるような信号フォーマットの信号を受信した場合における復号(デコード)のための信号処理の手順の一例を示してある。
受信側では、まず、受信した信号に対してデスクランブル処理を行って(ステップS21)、送信時にスクランブルがかけられた範囲のスクランブルを外す。次に、信号分離処理を行って(ステップS22)、受信した信号を、図2に示されるような信号フォーマットに従って、各機能チャネルや各ビットに分離する。次に、トラフィックチャネル(TCH)又は高速付随制御チャネル(FACCH)に対応した処理を行って(ステップS23)、トラフィックチャネル(TCH)のデータの書き出し、又は、高速付随制御チャネル(FACCH)を復号してデータの書き出し、を行う。そして、低速付随制御チャネル(SACCH)に対応した処理を行って(ステップS24)、低速付随制御チャネル(SACCH)を復号してデータの書き出しを終了する。
【0016】
【非特許文献1】ARIB STD−T87、「空港内デジタル移動通信システム」、財団法人 電波産業会
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
しかしながら、空港内デジタル移動通信システムなどの無線通信システムでは、受信側において、通信チャネル(通信用物理チャネル)の受信信号に高速付随制御チャネル(FACCH)の信号が含まれているか否かを効果的に判定するための技術の開発が要求されていた。
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、高速付随制御チャネル(FACCH)の信号が含まれ得る通信チャネル(通信用物理チャネル)の信号を無線により通信するに際して、受信側で受信した通信チャネルの信号に高速付随制御チャネルの信号が含まれるか否かを効果的に判定することができる無線通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するため、本発明に係る無線通信システムでは、次のようにして、通信チャネル(通信用物理チャネル)の信号を無線により通信する。
すなわち、送信側の通信装置では、通信チャネル信号無線送信手段が、通信チャネルの信号にトラフィックチャネル(TCH)の信号を含める場合には、当該通信チャネルの信号に所定のパターンの信号を同期ワードの信号として含める一方、通信チャネルの信号に高速付随制御チャネル(FACCH)の信号を含める場合には、当該通信チャネルの信号に前記所定のパターンに対して反転したパターンの信号を同期ワードの信号として含めて、通信チャネルの信号を無線により送信する。
受信側の通信装置では、無線受信手段が、通信チャネルの信号を無線により受信する。同期ワードパターン判定手段が、前記無線受信手段により受信された通信チャネルの信号に含まれる同期ワードの信号が前記所定のパターンの信号であるか或いは前記反転したパターンの信号であるかを判定する。通信チャネル信号処理実行手段が、前記同期ワードパターン判定手段により前記受信された通信チャネルの信号に含まれる同期ワードの信号が前記所定のパターンの信号であることが判定された場合には、当該通信チャネルの信号に対して、トラフィックチャネルに対応した処理を実行する一方、前記同期ワードパターン判定手段により前記受信された通信チャネルの信号に含まれる同期ワードの信号が前記反転したパターンの信号であることが判定された場合には、当該通信チャネルの信号に対して、高速付随制御チャネルに対応した処理を実行する。
従って、高速付随制御チャネル(FACCH)の信号が含まれ得る通信チャネル(通信用物理チャネル)の信号を無線により通信するに際して、受信側で受信した通信チャネルの信号に高速付随制御チャネルの信号が含まれるか否かを効果的に判定することができる。
【0019】
ここで、無線通信システムとしては、種々なものが用いられてもよく、例えば、空港内デジタル移動通信システムなどを用いることができる。
また、送信側の通信装置や、受信側の通信装置としては、それぞれ、種々なものが用いられてもよく、例えば、基地局装置や、携帯型の無線端末装置や、車載型の無線端末装置などを用いることができる。
また、送信側の通信装置としては、必ずしも送信機能のみを有した送信装置ばかりでなく、例えば、送信機能と受信機能を有した送受信装置が用いられてもよい。
また、受信側の通信装置としては、必ずしも受信機能のみを有した受信装置ばかりでなく、例えば、送信機能と受信機能を有した送受信装置が用いられてもよい。
【0020】
また、通信チャネルの信号としては、例えば、トラフィックチャネルの信号と高速付随制御チャネルの信号とを切り替えて含ませることができるような種々な信号が用いられてもよい。
また、トラフィックチャネルの信号では、例えば、ユーザ(端末)間での音声或いは非音声のデータなどが通信される。
また、高速付随制御チャネルの信号では、例えば、呼出し、応答、切断などに関する制御データなどが通信される。
また、トラフィックチャネルに対応した処理としては、例えば、トラフィックチャネルの信号の受信に関する種々な処理が用いられてもよい。
また、高速付随制御チャネルに対応した処理としては、例えば、高速付随制御チャネルの信号の受信に関する種々な処理が用いられてもよい。
また、同期ワードに関して、所定のパターンや、当該所定のパターンに対して反転したパターンとしては、それぞれ、種々なものが用いられてもよい。所定のパターンに対して反転したパターンとしては、例えば、各ビットの“1”値と“0”値とを反転させたものが用いられる。
【0021】
本発明に係る無線通信システムでは、次のようにして、通信チャネル(通信用物理チャネル)の信号を無線により通信する。
すなわち、送信側の通信装置では、通信チャネル信号無線送信手段が、通信チャネルの信号にトラフィックチャネル(TCH)の信号を含めて或いは所定の誤り検出符号化方式により誤り検出符号化された高速付随制御チャネル(FACCH)の信号を含めて、通信チャネルの信号を無線により送信する。
受信側の通信装置では、無線受信手段が、通信チャネルの信号を無線により受信する。誤り検出処理実行手段が、前記無線受信手段により受信された通信チャネルの信号に対して、前記誤り検出符号化方式に対応した誤り検出処理を実行する。通信チャネル信号処理実行手段が、前記誤り検出処理実行手段により検出された誤り度が所定の閾値以上である(或いは所定の閾値を超えた)場合には、前記受信された通信チャネルの信号に対して、トラフィックチャネルに対応した処理を実行する一方、前記誤り検出処理実行手段により検出された誤り度が所定の閾値未満である(或いは所定の閾値以下である)場合には、前記受信された通信チャネルの信号に対して、高速付随制御チャネルに対応した処理を実行する。
従って、高速付随制御チャネル(FACCH)の信号が含まれ得る通信チャネル(通信用物理チャネル)の信号を無線により通信するに際して、受信側で受信した通信チャネルの信号に高速付随制御チャネルの信号が含まれるか否かを効果的に判定することができる。
【0022】
ここで、所定の誤り検出符号化方式としては、種々な方式が用いられてもよく、例えば、巡回冗長検査(CRC:Cyclic Redundancy Check)を用いた方式などを用いることができる。
また、通信チャネルの信号の誤り度としては、種々なものが用いられてもよく、例えば、誤り率や、誤りビットの数などを用いることができる。
また、通信チャネルの信号の誤り度に関する所定の閾値としては、種々な値が用いられてもよく、例えば、通信チャネルの信号に高速付随制御チャネルの信号が含まれるか否かを判定するために適当な値が用いられる。
通常、高速付随制御チャネルの信号についての誤り検出処理により検出された誤り度が小さいほど、高速付随制御チャネルが含まれている可能性が高いと言え、一方、高速付随制御チャネルの信号についての誤り検出処理により検出された誤り度が大きいほど、高速付随制御チャネルが含まれている可能性が低いと言える。
【0023】
本発明に係る無線通信システムでは、一構成例として、次のような構成とした。
すなわち、前記送信側の通信装置では、誤り検出符号化処理実行手段が、送信対象となる高速付随制御チャネルの信号に対して、所定の誤り検出符号化方式により誤り検出符号化処理を実行する。誤り訂正符号化処理実行手段が、前記誤り検出符号化処理実行手段により誤り検出符号化処理が実行された高速付随制御チャネルの信号に対して、所定の誤り訂正符号化方式により誤り訂正符号化処理を実行する。前記通信チャネル信号無線送信手段は、通信チャネルの信号にトラフィックチャネルの信号を含めて或いは前記誤り訂正符号化処理実行手段により誤り訂正符号化処理が実行された高速付随制御チャネルの信号を含めて、通信チャネルの信号を無線により送信する。
前記受信側の通信装置では、誤り訂正復号処理実行手段が、前記無線受信手段により受信された通信チャネルの信号に対して、前記誤り訂正符号化方式に対応した誤り訂正復号処理を実行する。前記誤り検出処理実行手段は、前記誤り訂正復号処理実行手段により誤り訂正復号処理が実行された通信チャネルの信号に対して、前記誤り検出符号化方式に対応した誤り検出処理を実行する。
従って、高速付随制御チャネルの信号について誤り検出及び誤り訂正が行われることで、高速付随制御チャネルの信号の誤り耐性が向上し、誤り耐性が高い高速付随制御チャネルの信号に関する誤り度に基づいて高速付随制御チャネルの信号が含まれているか否かが判定されることにより、受信側で受信した通信チャネルの信号に高速付随制御チャネルの信号が含まれるか否かを精度よく判定することができる。
【0024】
ここで、送信側の通信装置では、例えば、通信チャネルの信号に高速付随制御チャネルの信号を含ませる場合に、当該高速付随制御チャネルの信号に対して誤り検出符号化処理や誤り訂正符号化処理を実行する。
また、受信側の通信装置では、例えば、受信した通信チャネルの信号について、高速付随制御チャネルの信号が送信側で含められたとしたならばそれが含まれている信号位置に対して、誤り訂正復号処理や誤り検出符号化処理を実行する。この場合、実際に高速付随制御チャネルの信号が含まれている場合には、理想的には検出される誤りがゼロとなり、また、多少の伝送誤りなどがあっても誤りは少なくなると予想される。
また、所定の誤り訂正符号化方式としては、種々な方式が用いられてもよく、例えば、畳込み符号化を用いた方式などを用いることができる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明に係る無線通信システムによると、送信側の通信装置では、通信チャネルの信号にトラフィックチャネルの信号を含める場合には当該通信チャネルの信号に所定のパターンの信号を同期ワードの信号として含める一方、通信チャネルの信号に高速付随制御チャネルの信号を含める場合には当該通信チャネルの信号に前記所定のパターンに対して反転したパターンの信号を同期ワードの信号として含めて、通信チャネルの信号を無線により送信し、受信側の通信装置では、無線により受信した通信チャネルの信号に含まれる同期ワードの信号が前記所定のパターンの信号であるか或いは前記反転したパターンの信号であるかを判定し、前記受信した通信チャネルの信号に含まれる同期ワードの信号が前記所定のパターンの信号であることが判定された場合には当該通信チャネルの信号に対してトラフィックチャネルに対応した処理を実行する一方、前記受信した通信チャネルの信号に含まれる同期ワードの信号が前記反転したパターンの信号であることが判定された場合には当該通信チャネルの信号に対して高速付随制御チャネルに対応した処理を実行するようにしたため、受信側で受信した通信チャネルの信号に高速付随制御チャネルの信号が含まれるか否かを効果的に判定することができる。
【0026】
本発明に係る無線通信システムによると、送信側の通信装置では、通信チャネルの信号にトラフィックチャネルの信号を含めて或いは所定の誤り検出符号化方式により誤り検出符号化された高速付随制御チャネルの信号を含めて、通信チャネルの信号を無線により送信し、受信側の通信装置では、無線により受信した通信チャネルの信号に対して前記誤り検出符号化方式に対応した誤り検出処理を実行し、これにより検出した誤り度が所定の閾値以上である(或いは所定の閾値を超えた)場合には前記受信した通信チャネルの信号に対してトラフィックチャネルに対応した処理を実行する一方、検出した誤り度が所定の閾値未満である(或いは所定の閾値以下である)場合には前記受信した通信チャネルの信号に対して高速付随制御チャネルに対応した処理を実行するようにしたため、受信側で受信した通信チャネルの信号に高速付随制御チャネルの信号が含まれるか否かを効果的に判定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
図1には、本発明を適用した本実施例に係る空港内デジタル移動通信システムの構成例を示してある。
本実施例に係る空港内デジタル移動通信システムには、携帯型の無線端末装置1と、車載型の無線端末装置2と、複数の基地局装置(無線機)11、12と、インタフェース装置13と、回線制御装置14と、有線端末接続装置15と、複数の有線端末装置21、22と、ダイナミックリグルーピング端末装置23と、運用管理装置24と、監視カメラ装置31が備えられている。
ここで、基地局装置11、12は、インタフェース装置13と接続されている。また、インタフェース装置13と回線制御装置14と有線端末接続装置15は、互いに接続されている。複数の有線端末装置21、22は有線端末接続装置15と接続されており、ダイナミックリグルーピング端末装置23と運用管理装置24と監視カメラ装置31は回線制御装置14と接続されている。
なお、システムの構成としては、本例に限られず、種々なものが用いられてもよく、例えば、無線端末装置1、2の数や、基地局装置11、12の数としては、種々な数が用いられてもよい。
【0028】
本実施例に係る空港内デジタル移動通信システムにおいて行われる概略的な動作の一例を示す。
各基地局装置11、12は、自己の通信可能領域(サービスエリア)に存在する無線端末装置1、2を管理し、当該無線端末装置1、2との間で無線により通信する。
各基地局装置11、12は、インタフェース装置13を介して、回線制御装置14や有線端末接続装置15との間で通信する。
各有線端末装置21、22は、有線端末接続装置15を介して、回線制御装置14などとの間で通信する。
ダイナミックリグルーピング端末装置23は、ダイナミックなリグルーピングの処理を行う。
運用管理装置24は、システムの運用における種々な管理を行う。
監視カメラ装置31は、所定の場所の画像を撮像し、撮像した画像を運用管理装置24などに対して送信する。
【0029】
また、本実施例に係る空港内デジタル移動通信システムでは、例えば、航空機のパイロットや、他の乗務員や、航空機の整備員や、事務員などの全ての空港勤務者が無線端末装置(例えば、無線端末装置1)を所持しており、空港の業務で使用される自動車などの全ての乗り物が無線端末装置(例えば、無線端末装置2)を搭載している。そして、例えば、管理センタに存在する管理者と外部の勤務者との間などのように、任意の勤務者の間で、無線端末装置により通話することが可能である。
また、本実施例に係る空港内デジタル移動通信システムでは、例えば、航空機のパイロットや、他の乗務員や、航空機の整備員や、事務員などの任意のグループ分けが為される。そして、任意のグループを指定して、上位の装置から所定のグループに属する全ての無線端末装置に対して一斉配信することや、通常の端末装置から所定のグループに属する全ての無線端末装置に対して一斉配信することなどが可能である。
また、本実施例に係る空港内デジタル移動通信システムでは、例えば、グローバルポジショニングシステム(GPS:Global Positioning System)や基地局装置のセクタ構成などを用いて、それぞれの無線端末装置1、2が存在する場所(位置)を特定することが可能である。
【0030】
図2には、本実施例に係る送受信機の構成例を示してある。本実施例に係る送受信機は、例えば、図1に示される無線端末装置1、2や基地局装置11、12に搭載されて設けられる。
本実施例に係る送受信機は、入出力のための端子41と、高周波部42と、復調部43と、データ処理部44と、音声処理部45と、スピーカ部46と、マイク部47と、変調部48と、制御部49と、入力部50と、表示部51を備えている。
【0031】
本実施例に係る送受信機が有する受信系の動作について説明する。
アンテナ(図示せず)により無線受信された入力信号(受信信号)が端子41を介して高周波部42へ供給される。
高周波部42は、所定の周波数の受信信号を中間周波信号へ変換して、復調部43へ供給する。
復調部43は、それぞれのシステムに適応される変調方式に対応した復調処理を行って、当該復調処理結果をデータ処理部44へ供給する。
データ処理部44は、復調された受信信号のスロットタイミングを、受信信号に含まれた同期ワード(SW)などから判断するとともに、判断した各スロット内のデータを例えば図11に示されるような処理手順に従って処理する。また、高速付随制御チャネル(FACCH)の復号については、例えば図10(b)に示されるようなFACCH復号手順に従って復号処理などを行う。
復号された音声データについては、音声処理部45へ供給され、所定の音声データへ変換されて、スピーカ部46から出力される。
また、データ処理部44で復号処理された制御データなどは、制御部49へ供給され、これに基づいて、送受信の状態設定や司令などの情報が例えば表示部51に表示される。
【0032】
本実施例に係る送受信機が有する送信系の動作について説明する。
音声は、マイク部47から音声データとして音声処理部45へ供給され、所定のデジタル音声データへ変換されて、データ処理部44へ送られる。
また、送信データは、入力部50から制御部49を介してデータ処理部44へ送られる。
データ処理部44は、送信対象となる音声やその他のデータについて、例えばARIB STD−T87で定められている無線チャネルの信号フォーマットに従って変換を行う。
変調部48は、データ処理部44により変換された信号フォーマットについて、所定の変調方式により変調処理を行う。
高周波部42は、変調部48により得られた変調処理結果を端子41を介してアンテナ(図示せず)へ出力し、これにより、アンテナから送信対象となる信号が無線送信される。
【実施例1】
【0033】
本発明に係る第1実施例を説明する。
本例では、図1に示されるような空港内デジタル移動通信システムにおいて、基地局装置11、12と無線端末装置1、2との間で通信チャネル(通信用物理チャネル)の信号を無線通信する。
この場合に、本例では、図8や図9(a)、(b)に示されるような通信チャネル(通信用物理チャネル)の信号フォーマットを用いて、基地局装置11、12と無線端末装置1、2との間で無線通信を行う。
通信チャネルでは、通常の通信時には図9(a)に示されるようにトラフィックチャネル(TCH)が使用され、制御信号の通信時には図9(b)に示されるように高速付随制御チャネル(FACCH)が使用される。
【0034】
また、本例では、送信側の装置で、図9(a)に示されるように通信チャネルにトラフィックチャネル(TCH)のデータが含められる場合には、予め設定された所定の同期ワード(SW)のビットパターンを同期ワード(SW)として含めて送信し、一方、図9(b)に示されるように通信チャネルに高速付随制御チャネル(FACCH)のデータが含められる場合には、前記所定の同期ワード(SW)のビットパターンに対して反転したビットパターン(反転ビットパターン)を同期ワード(SW)として含めて送信する。
【0035】
ここで、同期ワードのビットパターンを反転する態様としては、例えば、“1”値と“0”値から構成されるビットパターンの“1”値と“0”値とを入れ替える態様が用いられる。
また、本例では、複数のスロットを通信するに際して、スロット毎に異なる同期ワード(SW)のパターンが用いられる。
また、同期ワード(SW)のビットパターンや反転ビットパターンは、例えば、予め、送信側の装置と受信側の装置とに同一のパターンがメモリなどに設定されて記憶されている。
【0036】
図3には、通信チャネルを用いて必要に応じて高速付随制御チャネル(FACCH)のデータを含めて送信する場合におけるスロット毎の同期ワード(SW)の一例を示してある。
本例では、通信チャネルによりトラフィックチャネル(TCH)のデータが送信される場合にはそのスロットに対応した所定のビットパターンが同期ワード“SW”として使用され、通信チャネルにより高速付随制御チャネル(FACCH)のデータが送信される場合にはそのスロットに対応した所定の反転ビットパターンが同期ワード“反転SW”として使用される。
ここで、同期ワードとしては例えば16進数表示で“87A4B”(2進数表示で“1000 0111 1010 0100 1011”)などが用いられ、反転した同期ワードとしては例えば16進数表示で“785B4”(2進数表示で“0111 1000 0101 1011 0100”)などが用いられる。
【0037】
受信側の装置では、送信側の装置から無線送信された通信チャネルの信号を無線受信し、受信した信号に含まれる同期ワードのパターン(非反転或いは反転)に基づいて当該受信信号に含まれるチャネル(トラフィックチャネル(TCH)或いは高速付随制御チャネル(FACCH))を判定する。
図4には、受信側の装置により行われる高速付随制御チャネル(FACCH)の判定処理の手順の一例を示してある。
受信側の装置では、通信チャネルの信号を受信すると、受信した信号に含まれる同期ワードが通常の(反転していない)同期ワード“SW”であるか或いは反転した同期ワード“反転SW”であるかを判定し(ステップS1)、受信した信号に含まれる同期ワードが通常の同期ワード“SW”である場合(同期ワードが非反転である場合)には当該受信信号にトラフィックチャネル(TCH)のデータが含まれていると判定して音声又は非音声のデータの受信処理を行い(ステップS2)、一方、受信した信号に含まれる同期ワードが反転した同期ワード“反転SW”である場合には当該受信信号に高速付随制御チャネル(FACCH)のデータが含まれていると判定して高速付随制御チャネル(FACCH)のデータの受信処理を行う(ステップS3)。
【0038】
以上のように、本例の空港内デジタル移動通信システムでは、基地局装置11、12と無線端末装置1、2とが通信チャネル(通信用物理チャネル)の信号を無線により通信するに際して、送信側ではトラフィックチャネル(TCH)を使用するか或いは高速付随制御チャネル(FACCH)を使用するかに応じて非反転の同期ワードのパターンを使用するか或いは反転した同期ワードのパターンを使用するかを切り替え、受信側では受信した通信チャネルの信号に含まれる同期ワードが非反転のパターンであるか或いは反転したパターンであるかに応じてトラフィックチャネル(TCH)に対応した受信処理を実行するか或いは高速付随制御チャネル(FACCH)に対応した受信処理を実行するかを切り替える。
【0039】
従って、本例の空港内デジタル移動通信システムでは、受信側の装置において、受信した通信チャネルの信号に高速付随制御チャネル(FACCH)の信号が含まれるか否かを効果的に判定することができる。
ここで、基地局装置11、12と無線端末装置1、2との間の無線通信としては、例えば、いずれの装置が送信側や受信側となってもよく、また、双方向の通信が行われてもよい。
【0040】
なお、本例の基地局装置11、12や無線端末装置1、2では、図9(a)に示されるような非反転の同期ワードパターン“SW”及びトラフィックチャネル(TCH)の信号を含む通信チャネルの信号と図9(b)に示されるような反転した同期ワードパターン“反転SW”及び高速付随制御チャネル(FACCH)の信号を含む通信チャネルの信号とを切り替えて無線送信する機能により通信チャネル信号無線送信手段が構成されており、このような通信チャネルの信号を無線受信する機能により無線受信手段が構成されており、受信した通信チャネルの信号に含まれる同期ワードパターンが非反転なものであるか或いは反転したものであるかを判定する機能により同期ワードパターン判定手段が構成されており、同期ワードパターンの判定処理の結果に基づいてトラフィックチャネル(TCH)或いは高速付随制御チャネル(FACCH)に対応した処理を実行する機能により通信チャネル信号処理実行手段が構成されている。
【実施例2】
【0041】
本発明に係る第2実施例を説明する。
本例では、図1に示されるような空港内デジタル移動通信システムにおいて、基地局装置11、12と無線端末装置1、2との間で通信チャネル(通信用物理チャネル)の信号を無線通信する。
この場合に、本例では、図8や図9(a)、(b)に示されるような通信チャネル(通信用物理チャネル)の信号フォーマットを用いて、基地局装置11、12と無線端末装置1、2との間で無線通信を行う。
通信チャネルでは、通常の通信時には図9(a)に示されるようにトラフィックチャネル(TCH)が使用され、制御信号の通信時には図9(b)に示されるように高速付随制御チャネル(FACCH)が使用される。
【0042】
上記した第1実施例では、通信チャネルに含まれるチャネルがトラフィックチャネル(TCH)であるか或いは高速付随制御チャネル(FACCH)であるかに応じて同期ワードのパターンを非反転ビットパターン或いは反転ビットパターンとし、受信側では同期ワードの反転ビットパターンを受信した場合に高速付随制御チャネル(FACCH)の受信処理を行う構成とした。
しかしながら、例えば、同期ワードは符号化されていないことから、受信電界の劣化やフェージングなどによる影響を受けやすく、このため、伝送路で誤りが生じて、受信側で同期ワードを検出することができなかった場合や同期ワードを誤検出したような場合に、誤って高速付随制御チャネル(FACCH)に対応した受信処理を行ってしまうことが起こり得る。
【0043】
そこで、本例の基地局装置11、12や無線端末装置1、2では、高速付随制御チャネル(FACCH)の異なる判定方式を使用する。
高速付随制御チャネル(FACCH)の信号の符号化では、例えば、図10(a)に示されるように、誤り検出符号である16ビットのCRC符号が付加され、誤り訂正符号である畳み込み符号化が行われ、バースト誤り耐性を向上するためのインタリーブが施される。
このため、高速付随制御チャネル(FACCH)で送受信される制御情報では、符号化されていない同期ワードと比較して、伝送路に対する誤り耐性が向上している。
【0044】
本例の受信側の装置では、受信した通信チャネルの信号について、同期ワードの非反転或いは反転の状態にかかわらず、高速付随制御チャネル(FACCH)の復号処理を行った結果に基づいて、対応するチャネルの受信処理を行う。
図5には、受信側の装置により行われる高速付随制御チャネル(FACCH)の判定処理の手順の一例を示してある。
受信側の装置では、送信側から無線送信された通信チャネルの信号を無線受信すると、受信したデータに対して高速付随制御チャネル(FACCH)についての復号処理を施して、高速付随制御チャネル(FACCH)の誤り検出符号を算出する(ステップS11)。この結果、受信側の装置では、高速付随制御チャネル(FACCH)の誤り検出符号に誤りがあった場合には(ステップS12)、受信したデータに高速付随制御チャネル(FACCH)のデータが含まれていないと判断して、つまり、受信したデータにトラフィックチャネル(TCH)のデータが含まれていると判断して、音声又は非音声のデータの受信処理を行う(ステップS13)。一方、受信側の装置では、高速付随制御チャネル(FACCH)の誤り検出符号に誤りがなかった場合には(ステップS12)、受信したデータに高速付随制御チャネル(FACCH)のデータが含まれていると判断して、高速付随制御チャネル(FACCH)の受信処理を行う(ステップS14)。
【0045】
以上のように、本例の空港内デジタル移動通信システムでは、通信チャネル(通信用物理チャネル)を必要なときに自由に使用して(スチールして)、高速付随制御チャネル(FACCH)を使用して制御情報の送受信を行うに際して、受信側の装置では、通信チャネルの信号に高速付随制御チャネル(FACCH)の信号が含まれているか否かを判定する態様として、誤り検出符号によって高速付随制御チャネル(FACCH)が含まれているか否かを判定する態様を用いた。
本例では、高速付随制御チャネル(FACCH)の判定を行う際に、同期ワードの非反転或いは反転の状態にかかわらずに、初めに高速付随制御チャネル(FACCH)の受信処理を行って、誤り検出符号の検出結果に基づいて高速付随制御チャネル(FACCH)の有無を判定する。
【0046】
従って、本例の空港内デジタル移動通信システムでは、受信側の装置において、受信したデータに高速付随制御チャネル(FACCH)のデータが含まれているか否かを判定する際に、同期ワードと比較して誤り耐性が向上している高速付随制御チャネル(FACCH)の誤り検出符号により判定を行うことにより、例えば、同期ワードの非反転或いは反転の状態で判定する方式と比べて、誤判定を少なくすることができ、誤った高速付随制御チャネル(FACCH)の受信処理を行ってしまうことを低減させることができる。
【0047】
ここで、例えば、上記した第1実施例で示したように同期ワードの非反転或いは反転の状態に基づいて高速付随制御チャネル(FACCH)の有無を判定する態様と、本例のように高速付随制御チャネル(FACCH)の誤り検出符号を用いて高速付随制御チャネル(FACCH)の有無を判定する態様とは、それぞれ個別に実施されてもよく、或いは、これらの態様が種々に組み合わされたような方式を用いることも可能である。
【0048】
一例として、受信側の装置において、通信チャネルの受信信号の誤りビット数や受信電界強度などに基づいて回線品質を検出し、検出した回線品質が所定の閾値以上である(或いは、所定の閾値を超える)場合には上記した第1実施例で示したように同期ワードの非反転或いは反転の状態に基づいて高速付随制御チャネル(FACCH)の有無を判定する態様を使用し、検出した回線品質が所定の閾値未満である(或いは、所定の閾値以下である)場合には本例のように高速付随制御チャネル(FACCH)の誤り検出符号を用いて高速付随制御チャネル(FACCH)の有無を判定する態様を使用するようなことも可能である。
【0049】
なお、本例の基地局装置11、12や無線端末装置1、2では、図9(a)に示されるようなトラフィックチャネル(TCH)の信号を含む通信チャネルの信号と図9(b)に示されるような誤り検出符号化された高速付随制御チャネル(FACCH)の信号を含む通信チャネルの信号とを切り替えて無線送信する機能により通信チャネル信号無線送信手段が構成されており、このような通信チャネルの信号を無線受信する機能により無線受信手段が構成されており、受信した通信チャネルの信号に対して誤り検出処理を実行する機能により誤り検出処理実行手段が構成されており、誤り検出処理の結果に基づいてトラフィックチャネル(TCH)或いは高速付随制御チャネル(FACCH)に対応した処理を実行する機能により通信チャネル信号処理実行手段が構成されている。
【0050】
また、本例の基地局装置11、12や無線端末装置1、2では、送信対象となる高速付随制御チャネルの信号に対して誤り検出符号化処理を実行する機能により誤り検出符号化処理実行手段が構成されており、送信対象となる高速付随制御チャネルの信号に対して誤り訂正符号化処理を実行する機能により誤り訂正符号化処理実行手段が構成されており、受信した通信チャネルの信号に対して誤り訂正復号処理を実行する機能により誤り訂正復号処理実行手段が構成されている。
【0051】
ここで、本発明に係る無線通信システムや送信機や受信機や通信機(送受信機)などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々な装置やシステムとして提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係る無線通信システムや送信機や受信機や通信機(送受信機)などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施例に係る空港内デジタル移動通信システムの構成例を示す図である。
【図2】本発明の実施例に係る送受信機の構成例を示す図である。
【図3】本発明の第1実施例に係る通信チャネルによるFACCHを含むデータの送信処理の流れの一例を示す図である。
【図4】本発明の第1実施例に係る受信側におけるFACCHの判定方式の一例を示す図である。
【図5】本発明の第2実施例に係る受信側におけるFACCHの判定方式の一例を示す図である。
【図6】デジタル無線通信システムの構成例を示す図である。
【図7】列車無線システムの構成例を示す図である。
【図8】通信用物理チャネルの信号フォーマットの一例を示す図である。
【図9】(a)は通常の通信における通信用物理チャネルの信号フォーマットの一例を示す図であり、(b)は制御信号の通信における通信用物理チャネルの信号フォーマットの一例を示す図である。
【図10】(a)はFACCH符号化手順の一例を示す図であり、(b)はFACCH復号手順の一例を示す図である。
【図11】復号のための信号処理の手順の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1、2・・無線端末装置、 11、12、62、A1〜An・・基地局装置、 13・・インタフェース装置、 14・・回線制御装置、 15・・有線端末接続装置、 21、22・・有線端末装置、 23・・ダイナミックリグルーピング端末装置、 24・・運用管理装置、 31・・監視カメラ装置、 41・・端子、 42・・高周波部、 43・・復調部、 44・・データ処理部、 45・・音声処理部、 46・・スピーカ部、 47・・マイク部、 48・・変調部、 49・・制御部、 50・・入力部、 51・・表示部、 61・・制御局装置、 63・・中継局装置、 64、65・・通信エリア、 71〜74・・移動局装置、 81・・列車無線中央装置、 82・・漏洩同軸ケーブル、 83・・列車、 84・・車上局装置(移動無線機)、 B1〜Bn・・有線回線、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信チャネルの信号を無線により通信する無線通信システムにおいて、
送信側の通信装置は、通信チャネルの信号にトラフィックチャネルの信号を含める場合には当該通信チャネルの信号に所定のパターンの信号を同期ワードの信号として含める一方、通信チャネルの信号に高速付随制御チャネルの信号を含める場合には当該通信チャネルの信号に前記所定のパターンに対して反転したパターンの信号を同期ワードの信号として含めて、通信チャネルの信号を無線により送信する通信チャネル信号無線送信手段を備え、
受信側の通信装置は、通信チャネルの信号を無線により受信する無線受信手段と、
前記無線受信手段により受信された通信チャネルの信号に含まれる同期ワードの信号が前記所定のパターンの信号であるか或いは前記反転したパターンの信号であるかを判定する同期ワードパターン判定手段と、
前記同期ワードパターン判定手段により前記受信された通信チャネルの信号に含まれる同期ワードの信号が前記所定のパターンの信号であることが判定された場合には当該通信チャネルの信号に対してトラフィックチャネルに対応した処理を実行する一方、前記同期ワードパターン判定手段により前記受信された通信チャネルの信号に含まれる同期ワードの信号が前記反転したパターンの信号であることが判定された場合には当該通信チャネルの信号に対して高速付随制御チャネルに対応した処理を実行する通信チャネル信号処理実行手段と、を備えた、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
通信チャネルの信号を無線により通信する無線通信システムにおいて、
送信側の通信装置は、通信チャネルの信号にトラフィックチャネルの信号を含めて或いは所定の誤り検出符号化方式により誤り検出符号化された高速付随制御チャネルの信号を含めて、通信チャネルの信号を無線により送信する通信チャネル信号無線送信手段を備え、
受信側の通信装置は、通信チャネルの信号を無線により受信する無線受信手段と、
前記無線受信手段により受信された通信チャネルの信号に対して前記誤り検出符号化方式に対応した誤り検出処理を実行する誤り検出処理実行手段と、
前記誤り検出処理実行手段により検出された誤り度が所定の閾値以上である或いは所定の閾値を超えた場合には前記受信された通信チャネルの信号に対してトラフィックチャネルに対応した処理を実行する一方、前記誤り検出処理実行手段により検出された誤り度が所定の閾値未満である或いは所定の閾値以下である場合には前記受信された通信チャネルの信号に対して高速付随制御チャネルに対応した処理を実行する通信チャネル信号処理実行手段と、を備えた、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項2に記載の無線通信システムにおいて、
前記送信側の通信装置は、送信対象となる高速付随制御チャネルの信号に対して所定の誤り検出符号化方式により誤り検出符号化処理を実行する誤り検出符号化処理実行手段と、
前記誤り検出符号化処理実行手段により誤り検出符号化処理が実行された高速付随制御チャネルの信号に対して所定の誤り訂正符号化方式により誤り訂正符号化処理を実行する誤り訂正符号化処理実行手段と、を備え、
前記送信側の通信装置の前記通信チャネル信号無線送信手段は、通信チャネルの信号にトラフィックチャネルの信号を含めて或いは前記誤り訂正符号化処理実行手段により誤り訂正符号化処理が実行された高速付随制御チャネルの信号を含めて、通信チャネルの信号を無線により送信し、
前記受信側の通信装置は、前記無線受信手段により受信された通信チャネルの信号に対して前記誤り訂正符号化方式に対応した誤り訂正復号処理を実行する誤り訂正復号処理実行手段を備え、
前記受信側の通信装置の前記誤り検出処理実行手段は、前記誤り訂正復号処理実行手段により誤り訂正復号処理が実行された通信チャネルの信号に対して前記誤り検出符号化方式に対応した誤り検出処理を実行する、
ことを特徴とする無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−67262(P2006−67262A)
【公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−247724(P2004−247724)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】