説明

無線通信システム

【課題】複数の通信機器73、74から構成された移動局装置と、基地局装置72を有し、通信機器と基地局装置とが無線通信する無線通信システムで、車載機73や携帯機74を効果的に動作停止状態に設定する。
【解決手段】複数の通信機器のそれぞれには、呼出情報として用いられる各移動局装置毎に共通な識別情報と、各通信機器毎に固有な識別情報が設定されている。無線通信システムでは、動作停止命令手段が、各通信機器毎に固有な識別情報を用いて通信機器を指定して動作停止命令の指示信号を基地局装置により通信機器に対して送信する。通信機器では、受信手段が基地局装置から動作停止命令の指示信号を受信し、動作停止手段が受信された動作停止命令の指示信号により指定された各通信機器毎に固有な識別情報が自機の識別情報と一致する場合に所定の動作停止状態へ移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車載機と携帯機から構成される移動局装置と基地局装置との間で無線により通信する無線通信システムなどに関し、特に、車載機や携帯機を効果的に動作停止状態に設定する無線通信システムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、無線通信システムでは、基地局装置と移動局装置との間で無線により通信することが行われている。また、移動局装置が紛失などされたときには、不正な使用を防止するために、基地局装置から当該移動局装置へ所定の信号を無線送信して当該移動局装置を動作停止状態に設定することが行われている。基地局装置は各移動局装置において通話時に電話番号として使用される呼出情報(ID情報)を指定して動作停止のための指示信号を送信し、各移動局装置は自装置(当該各移動局装置)に設定されたID情報を含む指示信号を受信したことに応じて動作停止状態へ移行する。
【0003】
動作停止状態が設定された移動局装置では、例えば電源がオフからオンにされたときに基地局装置に対して位置登録の要求を行う機能を除いては、全ての機能が使用不可能となる。そして、移動局装置の動作停止状態を解除するときには、当該移動局装置と所定のパーソナルコンピュータ(PC)とを有線で接続して、当該PCから当該移動局装置へ動作許可データを書き込むことにより、当該移動局装置の動作停止状態が解除されて使用可能な状態へ移行する。
【0004】
【特許文献1】特開2002−33822号公報
【非特許文献1】市町村デジタル移動通信システム TYPE1 標準規格、ARIB STD−T79 1.0版、社団法人電波産業会
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような無線通信システムでは、紛失などされた移動局装置を動作停止させた場合に、当該移動局装置に設定されたID情報と同一のID情報を新たな他の移動局装置に設定して使用することができないといった問題があった。
また、或る人が移動局装置を紛失などしたために当該人が使用する移動局装置のID情報が変更された場合(例えば、電話番号が変更された場合)には、このような変更を他の人に通知することが必要であり、変更前のID情報が登録された全ての電話帳などの情報を書き換えることが必要であるといった問題があった。
また、動作停止状態では移動局装置のほとんど全ての機能が使用不可能となり、誤って設定してしまった場合には容易に解除することができないといった問題があった。
【0006】
本発明は、このような従来の事情に鑑み為されたもので、移動局装置を効果的に動作停止状態に設定することができる無線通信システムなどを提供することを目的とする。
特に、本発明は、車載機と携帯機から構成される移動局装置と基地局装置との間で無線により通信する構成において、車載機や携帯機を効果的に全部或いは一部の動作停止状態に設定することができる無線通信システムなどを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る無線通信システムでは、次のような構成とした。
すなわち、当該無線通信システムでは、複数の通信機器から構成された移動局装置と、基地局装置を有し、前記通信機器と前記基地局装置とが無線により通信する。
前記複数の通信機器のそれぞれには、呼出情報として用いられる各移動局装置毎に共通な識別情報と、各通信機器毎に固有な識別情報が設定されている。
当該無線通信システムでは、動作停止命令手段が、前記各通信機器毎に固有な識別情報を用いて前記通信機器を指定して動作停止命令の指示信号を前記基地局装置により前記通信機器に対して送信する。
前記通信機器では、受信手段が、前記基地局装置から前記動作停止命令の指示信号を受信し、そして、動作停止手段が、受信された前記動作停止命令の指示信号により指定された前記各通信機器毎に固有な識別情報が自機の識別情報(各通信機器毎に固有な識別情報)と一致する場合に所定の動作停止状態へ移行する。
【0008】
従って、呼出情報として用いられる識別情報とは別に、各通信機器毎に固有な識別情報が設けられて通信機器を動作停止状態に設定するために用いられるため、例えば、移動局装置(ここでは、各通信機器)を効果的に動作停止状態に設定することができる。
また、紛失などされた通信機器を動作停止状態に設定した場合においても、当該通信機器に設定された呼出情報と同一の呼出情報を新たな他の通信機器に設定して使用することが可能である。
【0009】
ここで、移動局装置を構成する複数の通信機器の数としては、種々な数が用いられてもよい。
また、移動局装置や各通信機器としては、種々なものが用いられてもよい。
また、呼出情報は、例えば、基地局装置と移動局装置(ここでは、各通信機器)との間の無線通信において呼出対象となる移動局装置を特定するためなどに用いられる。
また、各移動局装置毎に共通な識別情報としては、種々な情報が用いられてもよく、例えば、電話番号の情報などが用いられ、同一の移動局装置を構成する通信機器には同一の識別情報がメモリに記憶されるなどして設定される。
また、各通信機器毎に固有な識別情報としては、種々な情報が用いられてもよく、例えば、マシンコードの情報などが用いられ、同一の移動局装置においても各通信機器毎に異なる識別情報がメモリに記憶されるなどして設定される。
【0010】
また、当該無線通信システムは、例えば、基地局装置の側に、回線制御装置や、指令装置などを有する構成とすることもできる。
また、動作停止命令の指示信号としては、種々な信号が用いられてもよく、例えば、命令対象となる通信機器に固有な識別情報が当該指示信号に含まれる。
また、所定の動作停止状態としては、種々な状態が用いられてもよく、例えば、通常の状態と比べて、全部の機能が使用不可能となる状態や、或いは、一部の機能が使用不可能となる状態を用いることができる。
【0011】
本発明に係る無線通信システムでは、次のような構成とした。
すなわち、当該無線通信システムでは、複数の通信機器から構成された移動局装置と、基地局装置を有し、前記通信機器と前記基地局装置とが無線により通信する。
前記通信機器の動作停止状態として、異なる動作停止内容を規定する複数種類のモードの状態が設けられている。
前記複数の通信機器のそれぞれには、呼出情報として用いられる各移動局装置毎に共通な識別情報と、各通信機器毎に固有な識別情報が設定されている。
当該無線通信システムでは、動作停止命令手段が、識別情報(前記各移動局装置毎に共通な識別情報、又は、前記各通信機器毎に固有な識別情報)を用いて前記通信機器を指定して所定のモードを指定する動作停止命令の指示信号を前記基地局装置により前記通信機器に対して送信する。
前記通信機器では、受信手段が、前記基地局装置から前記動作停止命令の指示信号を受信し、そして、動作停止手段が、受信された前記動作停止命令の指示信号により指定された識別情報が自機の識別情報(2種類の識別情報の内で指定に用いられたものに対応した識別情報)と一致する場合に前記動作停止命令の指示信号により指定されたモードの動作停止状態へ移行する。
【0012】
従って、通信機器の動作停止状態として複数種類のモードの状態が用いられるため、例えば、通信機器の動作停止内容を段階的に制限することなどを実現することができ、移動局装置(ここでは、各通信機器)を効果的に動作停止状態に設定することができる。
また、一例として、通信機器の送信を禁止して受信を許容するモードを設けた場合には、識別情報(各移動局装置毎に共通な識別情報、又は、各通信機器毎に固有な識別情報)を用いて通信機器を指定して当該モードの動作停止状態を解除するための指示信号を基地局装置から無線により送信し、これを受信した通信機器が指定された識別情報が自機の識別情報と一致した場合に当該モードの動作停止状態を解除することができる。
【0013】
ここで、複数種類のモードの数としては、種々な数が用いられてもよい。
また、各モードにおける動作停止内容としては、それぞれ、種々な内容が用いられてもよい。
また、モードを指定する動作停止命令の指示信号としては、種々な信号が用いられてもよく、例えば、命令対象となる通信機器の識別情報(各移動局装置毎に共通な識別情報、又は、各通信機器毎に固有な識別情報)及び当該モードを識別する情報が当該指示信号に含まれる。
【0014】
本発明に係る無線通信システムでは、一構成例として、次のような構成とした。
すなわち、前記複数種類のモードには、電源オン時における位置登録のための送受信を除いて受信を可能として送信を不可能とするモード(送信不可モード)、或いは、電源オン時における位置登録のための送受信を除いて制御データの受信と制御データの送信と通信データの送信と通話データの送信を可能として通信データの受信と通話データの受信を不可能とするモード(緊急モード)、或いは、電源オン時における位置登録のための送受信を除いて受信も送信も不可能とするモード(動作停止モード)の1つ以上のモードが含まれる。
なお、通常のモードでは、送信も受信も可能とされる。
【0015】
従って、移動局装置(ここでは、各通信機器)の状況などに応じて、複数種類のモードの中から任意のモードを設定することができ、それぞれの状況などに適した動作停止状態に設定することができる。
ここで、電源オン時(オフからオンへ切り替えられた時)における位置登録のための送受信では、例えば、移動局装置(ここでは、各通信機器)から基地局装置へ位置登録の要求を発し、これに応じて基地局装置が位置登録の許可又は動作停止の通知(或いは、命令)を発し、これに応じて移動局装置(ここでは、各通信機器)が通常の待ち受け状態又は動作停止状態となる。
また、例えば、制御データとしては無線通信や情報管理などに関する各種の制御のためのデータが用いられ、通信データとしてはテキストや画像などのデータが用いられ、通話データとしては電話の音声のデータが用いられる。
【0016】
本発明に係る無線通信システムでは、一構成例として、次のような構成とした。
すなわち、当該無線通信システムでは、管理手段が、前記複数の通信機器のそれぞれについて、前記各移動局装置毎に共通な識別情報と、前記各通信機器毎に固有な識別情報と、動作停止状態の設定状況を管理する。
従って、例えば、基地局装置又は基地局装置より上位の装置において、各通信機器について2種類の識別情報や動作停止状態の設定状況をメモリに記憶するなどして一括して管理することができる。
【0017】
本発明に係る無線通信システムでは、一構成例として、次のような構成とした。
すなわち、前記移動局装置は、車両に設けられる。また、前記移動局装置を構成する複数の通信機器は、車載機と携帯機である。
従って、例えば、消防車や救急車などの車両に車載機を搭載するとともに持ち運びが可能な携帯機を設け、隊員などが車載機や携帯機を用いて基地局装置の側と通話などする構成において、車載機や携帯機を効果的に全部或いは一部の動作停止状態に設定することができる。
【0018】
本発明では、移動局装置や、基地局装置或いは回線制御装置或いは指令装置などの1つ以上からなる管理側装置を提供することも可能である。
一例として、本発明に係る移動局装置では、複数の通信機器から構成され、当該通信機器により基地局装置と無線により通信する構成において、次のような構成とした。
すなわち、前記複数の通信機器のそれぞれには、呼出情報として用いられる各移動局装置毎に共通な識別情報と、各通信機器毎に固有な識別情報が設定されている。
前記通信機器では、受信手段が、前記各通信機器毎に固有な識別情報を用いて前記通信機器を指定して前記基地局装置から送信される動作停止命令の指示信号を受信し、そして、動作停止手段が、受信された前記動作停止命令の指示信号により指定された前記各通信機器毎に固有な識別情報が自機の識別情報と一致する場合に所定の動作停止状態へ移行する。
【0019】
一例として、本発明に係る管理側装置では、次のような構成により、複数の通信機器から構成された移動局装置の当該通信機器に対して、動作停止命令の指示信号を送信する。
すなわち、前記複数の通信機器のそれぞれには、呼出情報として用いられる各移動局装置毎に共通な識別情報と、各通信機器毎に固有な識別情報が設定されている。
当該管理側装置では、動作停止命令手段が、前記各通信機器毎に固有な識別情報を用いて前記通信機器を指定して動作停止命令の指示信号を前記通信機器に対して送信する。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明に係る無線通信システムなどによると、複数の通信機器のそれぞれに各移動局装置毎に共通な識別情報と各通信機器毎に固有な識別情報が設定され、各通信機器毎に固有な識別情報を用いて通信機器を指定して動作停止命令が為されるようにしたため、例えば、移動局装置(ここでは、各通信機器)を効果的に動作停止状態に設定することができ、動作停止状態にした通信機器と同一な呼出情報を使用することが可能となる。
また、本発明に係る無線通信システムなどによると、通信機器の動作停止状態として複数種類のモードの状態が設けられ、モードを指定して動作停止命令が為されるようにしたため、例えば、通信機器の動作停止内容を段階的に制限することなどを実現することができ、移動局装置(ここでは、各通信機器)を効果的に動作停止状態に設定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
まず、図1及び図2を参照して、本発明を適用することが可能なシステムの一例を示す。
図1には、防災デジタル無線システムの一例である消防デジタル無線システムの構成例を示してある。
本例の消防デジタル無線システムは、操作部11と表示部12と記憶部13を有する指令装置(指令卓)1と、回線制御装置(無線回線制御装置)2と、複数であるn個の基地局装置A1〜Anと、複数であるn個の遠隔制御器B1〜Bnと、複数であるm個の移動局装置C1〜Cmを備えている。
各移動局装置C1〜Cmは、車載機21と携帯機22から構成されており、また、携帯機22を置くための置台23を有している。
【0022】
本例の消防デジタル無線システムは、東京都など各都道府県の地域防災のために用いることができる。本例では、指令装置1や回線制御装置2は防災センタに設置されており、各基地局装置A1〜Anは消防署内或いはビルの上や街中や山上などの外部に設置されており、各遠隔制御器B1〜Bnは消防署内に設置されており、各移動局装置C1〜Cmは消防車或いは救急車などの車両に設置されている。
各車両では、例えば、車載機21や置台23が当該各車両に取り付けられるなどして搭載されており、携帯機22は人により持ち運ぶことや置台23に置くことが可能になっている。
なお、図1に示されるのと同様なシステムを複数設けて、いずれかのシステムを運用するとともに他のシステムを予備として待機させ、運用しているシステムが故障したときに予備のシステムを運用させることで全体の運用を継続させるような構成とすることも可能である。
また、基地局装置A1〜Anとの間で通信する配下の装置としては、例えば、固定機、半固定機、携帯機、可搬機など、種々なものが用いられてもよい。
【0023】
本例の消防デジタル無線システムにおいて行われる動作の概要を示す。
指令装置1では、操作部11が人(指令者)により操作されることにより各種の指示や情報を入力し、表示部12が表示対象となる各種の情報を画面に表示出力し、メモリから構成された記憶部13が記憶対象となる各種の情報を記憶する。
指令者は、指令装置1から配下の装置(回線制御装置2、基地局装置A1〜An、遠隔制御器B1〜Bn、移動局装置C1〜Cm)へ各種の指示を送信することができる。また、指令者は、指令装置1が配下の装置から受信した各種の情報を画面表示により見ることができる。また、必要な情報は、記憶部13に保持される。
【0024】
回線制御装置2は、例えば有線で指令装置1と複数の基地局装置A1〜Anと接続されており、これらの間の通信を中継し、また、無線回線などに関する各種の制御を行う。
各基地局装置A1〜Anは、通信可能な領域(エリア)に存在する移動局装置C1〜Cmとの間で無線により通信し、また、有線で接続された各遠隔制御器B1〜Bnとの間で通信する。
各遠隔制御器B1〜Bnは、有線で接続された各基地局装置A1〜Anとの間で通信し、例えば、移動局装置と同様な機能を有しており、人(署員)により操作などされる。
各移動局装置C1〜Cmは、当該各移動局装置C1〜Cmが収容される基地局装置A1〜Anとの間で無線により通信する。
【0025】
図2には、車載機21の構成例及び携帯機22の構成例を示してある。
車載機21は、アンテナ31と、無線部32と、キー操作部33と、表示部34と、マイクを有するマイク部35と、例えば2つのスピーカを有するスピーカ部36と、メモリ37と、携帯インタフェース38と、制御部39を備えている。
携帯機22は、アンテナ41と、無線部42と、キー操作部43と、表示部44と、マイクを有するマイク部45と、スピーカを有するスピーカ部46と、メモリ47と、車載インタフェース48と、制御部49を備えている。
ここで、車載機21が有する内部の処理機能と携帯機22が有する内部の処理機能は、例えばスピーカの数が異なるなどの相違はあるが、概略的には、同様である。
【0026】
車載機21では、無線部32がアンテナ31により基地局装置A1〜Anとの間で信号を無線送信や無線受信し、キー操作部33が人(使用者)からのキー操作を受け付け、表示部34が使用者に対して情報を画面に表示し、マイク部35が使用者などにより発せられる音(音声)を入力し、スピーカ部36が使用者に対して音(音声)を出力し、メモリ37が例えば呼び出されるための電話番号となる呼出情報(ID情報)を記憶し、携帯インタフェース38が携帯機22の車載インタフェース48との間で例えば光信号により通信し、制御部39が各種の制御を行う。
【0027】
同様に、携帯機22では、無線部42がアンテナ41により基地局装置A1〜Anとの間で信号を無線送信や無線受信し、キー操作部43が人(使用者)からのキー操作を受け付け、表示部44が使用者に対して情報を画面に表示し、マイク部45が使用者などにより発せられる音(音声)を入力し、スピーカ部46が使用者に対して音(音声)を出力し、メモリ47が例えば呼び出されるための電話番号となる呼出情報(ID情報)を記憶し、車載インタフェース48が車載機21の携帯インタフェース38との間で例えば光信号により通信し、制御部49が各種の制御を行う。
【0028】
ここで、車載機21のメモリ37に記憶される呼出情報(ID情報)と携帯機22のメモリ47に記憶される呼出情報(ID情報)としては、同一の情報が設定される。
また、車載機21と携帯機22とは、携帯機22が置台23に置かれた状態では携帯インタフェース38と車載インタフェース48との間で通信することが可能であるが、例えば、携帯機22が置台23から取り外されて持ち運ばれる状態では携帯インタフェース38と車載インタフェース48との間では通信しない。
【0029】
本例では、携帯機22が置台23にセットされている(置かれている)状態では、携帯機22は特に機能せず、基地局装置A1〜Anからの受信や、基地局装置A1〜Anへの送信や、キー入力や、表示出力や、音声入力や、音声出力などは全て車載機21により行われる。
一方、携帯機22が置台23から取り外された状態では、携帯機22により基地局装置A1〜Anからの受信や、基地局装置A1〜Anへの送信や、キー入力や、表示出力や、音声入力や、音声出力などの全てが行われ、この状態では、車載機21により基地局装置A1〜Anからの受信や、表示出力や、音声出力のみが行われる。つまり、車載機21と携帯機22とは同一の呼出情報(ID情報)が設定されており、受信は両方で同時に行うことが可能であるが、送信は片方ずつ行う構成となっている。
【0030】
なお、置台23から取り外された携帯機22は、車載機21を介さずに、基地局装置A1〜Anとの間で直接的に無線通信する。この点は、通常の親子電話の子機とは異なる点であると考えられる。
また、携帯機22が置台23にセットされた状態や置台23から取り外された状態は、車載機21や携帯機22により検出されて、それぞれの制御部39、49によりそのときの状態に応じて実行可能な機能(或いは、実行不可能な機能)が設定される。
【0031】
また、車載機21では、2つのスピーカを有しており、例えば、携帯機22が置台23から取り外された状態では、基地局装置A1〜Anから携帯機22へ送信される通話の内容を一のスピーカから音声出力するとともに、携帯機22から基地局装置A1〜Anへ送信される通話の内容を他のスピーカから音声出力する。
一例として、消防車などに移動局装置C1〜Cmが設けられており、当該消防車などが火災などの現場にいて、或る隊員が携帯機22を持って当該消防車などの外部に出て活動し、他の隊員が当該消防車などの内部で待機する際に、当該他の隊員は車載機21から出力される音声を聞くことにより、携帯機22と基地局装置A1〜Anとの間で行われる通話の内容を聞くことができる。
なお、例えば、基地局装置A1〜Anから移動局装置C1〜Cmへの下りの通信と、移動局装置C1〜Cmから基地局装置A1〜Anへの上りの通信とでは、異なる周波数が用いられる。
【0032】
また、基地局装置A1〜Anの側(例えば、指令装置1)と移動局装置C1〜Cmとの間の通信としては、例えば、プレストーク通信が行われる構成が用いられてもよく、或いは、通常の携帯電話のような両方向同時通信が行われる構成が用いられてもよく、或いは、他の態様の通信が行われる構成が用いられてもよい。また、基地局装置A1〜Anの側から移動局装置C1〜Cmへ報知のための情報を送信して、移動局装置C1〜Cmが当該情報の受信に応じて当該情報を(自動的に)出力するような構成を用いることもできる。
【0033】
消防車の場合には、例えば、プレストーク通信が用いられ、指令装置1から複数の消防車の移動局装置C1〜Cmを呼び出してグループ通信(例えば、事業リンクでのグループ通信)し、このグループ内でプレストーク通信することにより、これら複数の消防車により同一の火災現場の処置を行うことができる。
救急車の場合には、例えば、通常の電話のような通信が用いられ、発話(発呼)及び受話により通話を行うことができる。
また、例えば、車載機21と携帯機22との間で離れた所でも無線により通信することが可能な機能を車載機21及び携帯機22に設けることも可能である。この場合、一例として、トンネル内などの不感地帯で携帯機22を車両の外部に持ち出すときに、車載機21と携帯機22をトランシーバのように用いて互いに通話することができる。
【実施例1】
【0034】
本発明の第1実施例を説明する。
図3には、デジタル移動通信システムである無線通信システムの一例を示してある。
具体的には、送信アンテナ51と受信アンテナ52と無線装置53と制御装置54を備えた基地局装置や、指令卓55や、車両に設けられた複数の移動局装置D1〜D5や、人により持ち運ばれる複数の携帯機E1〜E3や、前記基地局装置の通信可能なエリア(基地局ゾーン)61を示してある。
ここで、各移動局装置D1〜D5は、車載機と携帯機と置台から構成されている。
【0035】
図4には、回線制御装置71及び基地局装置72の側から移動局装置D1〜D5(本例では、車載機73と携帯機74)を動作停止状態に設定するため及び当該動作停止状態を解除するための構成例を示してある。
回線制御装置71は、メモリ81を備えており、当該メモリ81に動作停止に関する情報を記憶している。
車載機73は、メモリ82を備えており、当該メモリ82に自機の呼出情報(ID情報)や、自機の動作停止用識別情報を記憶している。
携帯機74は、車載機73と組になるものであり、メモリ83を備えており、当該メモリ83に自機の呼出情報(ID情報)や、自機の動作停止用識別情報を記憶している。
【0036】
ここで、車載機73に設定されたID情報と携帯機74に設定されたID情報とは同一の情報である一方、車載機73に設定された動作停止用識別情報と携帯機74に設定された動作停止用識別情報とは異なる情報である。本例では、各機器の動作停止用識別情報として、当該各機器に固有なマシンコード(例えば、製造番号)を用いている。
このように、本例では、車載機73や携帯機74は、発着信時に電話番号として使用されるID情報とは別に、各機器毎に固有な動作停止用識別情報をメモリ82、83に保持している。そして、本例では、このような動作停止用識別情報を、動作停止状態を設定或いは解除する対象となる機器を指定する情報として用いる。
【0037】
具体的には、車載機73或いは携帯機74が盗難や紛失などされた際に、これが不正に使用されることを防止するために、回線制御装置71の機能(例えば、管理監視機能)による制御により、基地局装置72から対象となる車載機73或いは携帯機74に対してその動作停止用識別情報を含む動作停止命令の指示信号を無線により送信する。
図5には、車載機73或いは携帯機74により行われる動作停止処理の手順の一例を示してある。
すなわち、上記のような動作停止命令の指示信号を受信した車載機73或いは携帯機74では、当該指示信号を解析し(ステップS1)、当該指示信号に含まれる動作停止用識別情報を検出して、当該検出した動作停止用識別情報が自機73、74のメモリ82、83に記憶された動作停止用識別情報と同一であるか否かを判定し(ステップS2)、同一である場合には、自機73、74を動作停止状態に設定する(ステップS3)。
【0038】
このように、動作停止用の識別情報を用いて車載機73或いは携帯機74を動作停止状態とすると、ID情報については動作停止状態が設定されていないため、動作停止状態となった車載機73或いは携帯機74が使用されないようにしつつ、それと同一のID情報を新たに別の車載機或いは携帯機に登録(設定)して使用することができ、同一のID情報(例えば、電話番号)を再使用することができる。つまり、この新たな車載機或いは携帯機では、動作停止状態となった車載機或いは携帯機とは動作停止用識別情報が異なっているため、通常に使用されることが可能である。
【0039】
本例では、動作停止状態が設定された車載機73或いは携帯機74では、人による操作を受け付けず、電源がオフからオンにされたときに行われる位置登録のための送受信を除いては、基地局装置72との間での送受信はできなくなる。
図6には、携帯機73或いは車載機74と基地局装置72との間で行われる位置登録のための送受信により実現される動作停止処理及び動作停止解除処理の流れの一例を示してある。
なお、図6に示される処理は、例えば、動作停止状態にある車載機73或いは携帯機74においても、通常の状態(動作停止状態ではない状態)にある車載機73或いは携帯機74においても、行われる。
【0040】
車載機73或いは携帯機74は、電源がオフからオンへ切り替えられた後に、まず、自機73、74のメモリ(例えば、メモリ82、83)内に登録されている複数の周波数(基地局装置からの信号の周波数)について報知情報の受信電界を測定して、例えば測定された受信電界強度が一番高い周波数に対応した基地局装置72を通信相手として設定する。車載機73或いは携帯機74は、当該設定の後、基地局装置72から定期的に無線送信される報知情報を受信すると、これに応じて自機73、74の動作停止用識別情報を含む位置登録のための情報を無線送信する。
【0041】
回線制御装置71では各機器(各車載機及び各携帯機)が動作停止状態にあるか否かをメモリ81に記憶して管理しており、動作停止状態が設定されている車載機73或いは携帯機74に対しては動作停止状態であることを示す位置登録応答の情報を基地局装置72から無線送信し、これを受信したことに応じて当該車載機73或いは携帯機74は動作停止状態となる。一方、回線制御装置71では、もともと動作停止状態にされていない車載機73或いは携帯機74又は動作停止状態にされたが管理者(例えば、指令者)などにより動作停止が解除された車載機73或いは携帯機74に対しては、正常(成功)な位置登録応答の情報を基地局装置72から無線送信し、これを受信したことに応じてこれらの車載機73或いは携帯機74は、もともと動作停止状態が設定されていない場合にはそのまま待ち受け動作を続け、また、動作停止状態が設定されていた場合には当該設定を解除して待ち受け状態となる。
【0042】
以上のように、本例の無線通信システムでは、少なくとも1つの基地局装置72と複数の通信機器(本例では、車載機73や携帯機74)を有する構成において、通信機器を識別する情報を複数用いることにより、或る通信機器を動作停止状態にした場合においても、通話時に使用するID情報を変更することなく新たな通信機器を代わりに使用することが可能となる。
【0043】
一構成例として、指令卓55或いは回線制御装置71などが複数の移動局装置(本例では、車載機73や携帯機74)について各移動局装置の電話番号に相当するID情報と各機器固有のマシンコードに相当する動作停止用識別情報を記憶した一覧メモリテーブルを有し、複数の移動局装置の各々(本例では、車載機73や携帯機74)が自機のID情報と動作停止用識別情報を記憶する。そして、任意の通信機器(本例では、車載機73或いは携帯機74)に対して動作停止を実行する場合には、当該通信機器の動作停止用識別情報を指定して当該通信機器のID情報にて動作停止命令の指示信号を基地局装置72から送出し、前記一覧メモリテーブルにおいて当該指示信号で指定した動作停止用識別情報に対応した通信機器を動作停止状態として記憶する。
また、動作停止状態に設定された通信機器のID情報を新たな他の通信機器のID情報として設定して前記一覧メモリテーブルに記憶することにより、当該他の通信機器により当該ID情報を用いた通信を行うことが可能となる。
【0044】
従って、本例の無線通信システムでは、通話時に使用するID情報について、動作停止した通信機器(本例では、車載機73や携帯機74)と同一のID情報を他の通信機器に付与して使用することができる。
例えば、車載機73と携帯機74の組について、いずれか一方のみを紛失などしてしまった場合には、動作停止用識別情報を用いて紛失などした機器を基地局装置72から動作停止状態に設定して、当該機器に代わる新たな機器に同一のID情報を設定することにより、紛失などしていない他方の機器についてはそのままID情報を変えずに使用を継続することができる。なお、紛失などした機器と代わりの機器とでは、動作停止用識別情報は異なる情報とされる。
【0045】
なお、本例の無線通信システムでは、呼出情報(ID情報)により各移動局装置毎に共通な識別情報が構成されており、動作停止用識別情報により各通信機器73、74毎に固有な識別情報が構成されており、指令卓55や回線制御装置71が基地局装置72を介して車載機73や携帯機74に対して動作停止命令の指示信号を無線送信する機能により動作停止命令手段が構成されており、回線制御装置71などが各通信機器73、74について動作停止状態の設定状況などを管理する機能により管理手段が構成されている。
また、本例の車載機73や携帯機74では、動作停止命令の指示信号を無線受信する機能により受信手段が構成されており、自機に対する動作停止命令の指示信号を受信したことに応じて動作停止状態へ移行する機能により動作停止手段が構成されている。
【実施例2】
【0046】
本発明の第2実施例を説明する。
なお、上記した第1実施例と同様な構成や動作については説明を省略或いは簡易化する。
本例では、車載機73或いは携帯機74に設定する状態として、通常の動作状態と、位置登録のための送受信以外の全ての機能が停止される動作停止状態のほかに、各種の状態を用意しておいて、車載機73或いは携帯機74の使用状況などに応じて各状態を当該車載機73或いは当該携帯機74に基地局装置72から設定する。
【0047】
図7には、車載機73や携帯機74に設定される各状態のモードの内容を規定したモード内容テーブルの一例を示してある。
本例では、モード内容テーブルが回線制御装置71のメモリ81に記憶されているが、他の構成例として、回線制御装置71に接続されたコンピュータのメモリや、或いは、指令卓55に記憶されるような構成が用いられてもよい。
モード1(通常モード)は、車載機73或いは携帯機74の全ての機能が通常通りに使用可能な通常状態のモードである。
【0048】
モード2(送信不可モード)は、車載機73或いは携帯機74において制御データや通信データや通話(音声)データの受信は可能であるがこれらのデータの送信は不可能とされる送信不可状態のモードである。このモード2では、車載機73或いは携帯機74において、受信のみが可能であり、例えば、基地局装置72への位置登録の要求が拒否された後には、制御データや通信データや通話データの送信はしないが、これらのデータの受信や受信データの表示出力や受信通話(受信音声)のスピーカ出力はする。この状態では、車載機73或いは携帯機74において電源のオンオフ切替が為されなくとも、基地局装置72から設定されているモード2を解除して他のモード(例えば、通常モード)へ移行させる指示信号を無線送信して、当該指示信号を車載機73或いは携帯機74により受信することにより、モードの解除や他のモードへの移行を容易に行うことができる。また、この状態では、送信が為されないため、他の通信機器への影響を回避することができ、例えば、盗難などされたときにも送信が為されないようにすることができる。車載機73と携帯機74とは1組になっているため、例えば、片方が盗難などされて送信されると他方と混線する可能性があり、誤った情報が流れる可能性がある。
【0049】
モード3(緊急モード)は、車載機73或いは携帯機74において制御データの受信や各データの送信は可能であるが通信データや通話データの受信は不可能とされる緊急状態のモードである。このモード3では、車載機73或いは携帯機74において、通信データの受信及びその出力や通話データの受信及びその出力が為されないため、車載機73或いは携帯機74が機能していないように見せることができ、且つ、データや音声の送信は為されるために、周囲の音声や画像(例えば、車載機73或いは携帯機74に設けられたカメラによる撮影画像)などを指令卓55などに対して送信して知らせることができる。例えば、緊急時に、車載機73或いは携帯機74をモード3に設定し、周囲の音声や画像などを自動的に入力して上位の装置(指令卓55など)に対して無線送信する構成とすると、犯人などから見ると車載機73或いは携帯機74が動作していないように見えるが、その場の状況(音声や画像など)を上位の装置へ通知することができる。
【0050】
モード4(動作停止モード)は、図6に示されるような電源投入時における位置登録のための送受信を除いては、車載機73或いは携帯機74の全ての機能が不使用とされる動作停止状態のモードである。
なお、本例で示したモード1〜4以外にも、種々なモードが用いられてもよく、例えば、制御データの受信、通信データの受信、通話データの受信、制御データの送信、通信データの送信、通話データの送信などの各機能をそれぞれオンオフすることが可能である。
【0051】
図8には、各車載機73や各携帯機74の状態を記憶する機器状態テーブルの一例を示してある。
本例では、機器状態テーブルが回線制御装置71のメモリ81に記憶されているが、他の構成例として、回線制御装置71に接続されたコンピュータのメモリや、或いは、指令卓55に記憶されるような構成が用いられてもよい。
本例の機器状態テーブルでは、呼出情報(ID情報)と、動作停止用識別情報として使用されるマシンコードと、設定されているモードの種類(本例では、モードの番号)と、機器の種別(本例では、車載機であるか或いは携帯機であるか)とが対応付けられている。
【0052】
一例として、ID情報が0001でありマシンコードが051001であり種別が携帯機である機器には、モード1が設定されている。他の一例として、ID情報が0002でありマシンコードが051003であり種別が携帯機である機器には、モード2が設定されている。他の一例として、ID情報が0003でありマシンコードが051006であり種別が車載機である機器には、モード3が設定されている。
また、本例では、ID情報が0002でありマシンコードが051003である携帯機が紛失などされてモード2(送信不可モード)とされていることに応じて、異なるマシンコード(051007)を有する他の携帯機に同一のID情報(0002)が付与されて使用されておりモード1が設定されている。
【0053】
例えば、モード4のように電源のオンオフ切替をしないと動作停止状態が解除され得ない状態では、誤操作などで設定されたときには解除が為されないことがあり使用者にとって不便なことも多い。
そこで、本例では、動作制限のためのモードを複数用意して、その中に送信ができないモード2を追加することで、当該モード2において車載機73或いは携帯機74により常に基地局装置72からの情報を受信することを可能とした。
【0054】
図9には、モード2(送信不可モード)の設定処理及び解除処理の流れの一例を示してある。
車載機73或いは携帯機74が待ち受け状態であるときに、回線制御装置71及び基地局装置72の側で当該車載機73或いは当該携帯機74に対してモード2が設定されると、当該車載機73或いは当該携帯機に対してモード2を設定するための指示信号を基地局装置72から無線送信し、これを受信したことに応じて当該車載機73或いは当該携帯機74ではモード2が設定されて受信は可能であるが送信が不可能な状態となる。その後、回線制御装置71及び基地局装置72の側で当該車載機73或いは当該携帯機74に対してモード2の解除が設定されると、当該車載機73或いは当該携帯機に対してモード2を解除するための指示信号を基地局装置72から無線送信し、これを受信したことに応じて当該車載機73或いは当該携帯機74ではモード2が解除されて例えばモード1(通常モード)へ移行して待ち受け状態となる。このように、基地局装置73から容易にモード2(送信不可モード)の設定或いは解除を行うことができる。
【0055】
以上のように、本例の無線通信システムでは、少なくとも1つの基地局装置72と複数の通信機器(本例では、車載機73や携帯機74)を有する構成において、基地局装置72からの命令により段階的に各通信機器の機能を制限することができる。このような機能制限として、本例では、複数のモードを用意して、これら複数のモードのうちの任意の1つを選択して設定することができる。
従って、本例の無線通信システムでは、各通信機器(本例では、車載機73や携帯機74)の機能を段階的に制限して、その状況に合わせたモードを設定することができる。また、通信機器を送信不可にするモード2を設けたことにより、基地局装置72から通信機器に対して容易にモード2の設定或いは解除を指示することができる。
【0056】
ここで、本例では、マシンコード(動作停止用識別情報)を用いて通信機器(本例では、車載機73や携帯機74)を指定して段階的な機能制限(本例では、各モードの設定や解除)を行う構成としたが、他の構成例として、マシンコード(動作停止用識別情報)を用いずに、呼出情報(ID情報)を用いて通信機器を指定して段階的な機能制限を行うこともできる。
また、段階的な機能制限(本例では、各モードの設定や解除)は、マシンコード(動作停止用識別情報)を用いると、車載機73と携帯機74とで別個に制御することができる。
【0057】
なお、本例の無線通信システムでは、呼出情報(ID情報)により各移動局装置毎に共通な識別情報が構成されており、動作停止用識別情報により各通信機器73、74毎に固有な識別情報が構成されており、指令卓55や回線制御装置71が基地局装置72を介して車載機73や携帯機74に対して各種のモードを指定する動作停止命令の指示信号を無線送信する機能により動作停止命令手段が構成されており、回線制御装置71などが各通信機器73、74について各モードの動作停止状態の設定状況などを管理する機能により管理手段が構成されている。
また、本例の車載機73や携帯機74では、動作停止命令の指示信号を無線受信する機能により受信手段が構成されており、自機に対する動作停止命令の指示信号を受信したことに応じて指定されたモードの動作停止状態へ移行する機能により動作停止手段が構成されている。
【0058】
なお、以上の実施例では、動作停止用の識別情報を用いて通信機器に所定の状態(所定のモード)を設定する構成を、複数の通信機器(本例では、車載機及び携帯機)から構成される移動局装置に適用した場合を示したが、例えば、移動局装置が単体の通信機器として構成される場合に適用することも可能である。
【0059】
ここで、本発明に係るシステムや装置(機器)などの構成としては、必ずしも以上に示したものに限られず、種々な構成が用いられてもよい。また、本発明は、例えば、本発明に係る処理を実行する方法或いは方式や、このような方法や方式を実現するためのプログラムや当該プログラムを記録する記録媒体などとして提供することも可能であり、また、種々な装置やシステムとして提供することも可能である。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るシステムや装置(機器)などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】消防デジタル無線システムの構成例を示す図である。
【図2】車載機及び携帯機の構成例を示す図である。
【図3】本発明の一実施例に係る無線通信システムの概略的な構成例を示す図である。
【図4】動作停止処理を行うための構成例を示す図である。
【図5】動作停止処理の手順の一例を示す図である。
【図6】動作停止処理及び動作停止解除処理の流れの一例を示す図である。
【図7】モード内容テーブルの一例を示す図である。
【図8】機器状態テーブルの一例を示す図である。
【図9】送信不可モードの設定処理及び解除処理の流れの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1・・指令装置、 2、71・・回線制御装置、 11・・操作部、 12、34、44・・表示部、 13・・記憶部、 21、73・・車載機、 22、E1〜E3、74・・携帯機、 23・・置台、 A1〜An、72・・基地局装置、 B1〜Bn・・遠隔制御器、 C1〜Cm、D1〜D5・・移動局装置、 31、41、51、52・・アンテナ、 32、42・・無線部、 33、43・・キー操作部、 35、45・・マイク部、 36、46・・スピーカ部、 37、47・・メモリ、 38・・携帯インタフェース、 39、49・・制御部、 48・・車載インタフェース、 53・・無線装置、 54・・制御装置、 55・・指令卓、 61・・基地局ゾーン、 81〜83・・メモリ、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の通信機器から構成された移動局装置と、基地局装置を有し、前記通信機器と前記基地局装置とが無線により通信する無線通信システムにおいて、
前記複数の通信機器のそれぞれには、呼出情報として用いられる各移動局装置毎に共通な識別情報と、各通信機器毎に固有な識別情報が設定されており、
当該無線通信システムは、前記各通信機器毎に固有な識別情報を用いて前記通信機器を指定して動作停止命令の指示信号を前記基地局装置により前記通信機器に対して送信する動作停止命令手段を備え、
前記通信機器は、前記基地局装置から前記動作停止命令の指示信号を受信する受信手段と、受信された前記動作停止命令の指示信号により指定された前記各通信機器毎に固有な識別情報が自機の識別情報と一致する場合に所定の動作停止状態へ移行する動作停止手段を備えた、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項2】
複数の通信機器から構成された移動局装置と、基地局装置を有し、前記通信機器と前記基地局装置とが無線により通信する無線通信システムにおいて、
前記通信機器の動作停止状態として、異なる動作停止内容を規定する複数種類のモードの状態が設けられており、
前記複数の通信機器のそれぞれには、呼出情報として用いられる各移動局装置毎に共通な識別情報と、各通信機器毎に固有な識別情報が設定されており、
当該無線通信システムは、前記各移動局装置毎に共通な識別情報又は前記各通信機器毎に固有な識別情報を用いて前記通信機器を指定して所定のモードを指定する動作停止命令の指示信号を前記基地局装置により前記通信機器に対して送信する動作停止命令手段を備え、
前記通信機器は、前記基地局装置から前記動作停止命令の指示信号を受信する受信手段と、受信された前記動作停止命令の指示信号により指定された識別情報が自機の識別情報と一致する場合に前記動作停止命令の指示信号により指定されたモードの動作停止状態へ移行する動作停止手段を備えた、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項3】
請求項2に記載の無線通信システムにおいて、
前記複数種類のモードには、電源オン時における位置登録のための送受信を除いて受信を可能として送信を不可能とするモード、或いは、電源オン時における位置登録のための送受信を除いて制御データの受信と制御データの送信と通信データの送信と通話データの送信を可能として通信データの受信と通話データの受信を不可能とするモード、或いは、電源オン時における位置登録のための送受信を除いて受信も送信も不可能とするモードの1つ以上のモードが含まれる、
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項4】
複数の通信機器から構成され、当該通信機器により基地局装置と無線により通信する移動局装置において、
前記複数の通信機器のそれぞれには、呼出情報として用いられる各移動局装置毎に共通な識別情報と、各通信機器毎に固有な識別情報が設定されており、
前記通信機器は、前記各通信機器毎に固有な識別情報を用いて前記通信機器を指定して前記基地局装置から送信される動作停止命令の指示信号を受信する受信手段と、受信された前記動作停止命令の指示信号により指定された前記各通信機器毎に固有な識別情報が自機の識別情報と一致する場合に所定の動作停止状態へ移行する動作停止手段を備えた、
ことを特徴とする移動局装置。
【請求項5】
複数の通信機器から構成された移動局装置の当該通信機器に対して動作停止命令の指示信号を送信する管理側装置において、
前記複数の通信機器のそれぞれには、呼出情報として用いられる各移動局装置毎に共通な識別情報と、各通信機器毎に固有な識別情報が設定されており、
当該管理側装置は、前記各通信機器毎に固有な識別情報を用いて前記通信機器を指定して動作停止命令の指示信号を前記通信機器に対して送信する動作停止命令手段を備えた、
ことを特徴とする管理側装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−142870(P2007−142870A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−334681(P2005−334681)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】