説明

無線通信装置

【課題】従来、適切な周波数チャネルの変更が行えなかった。
【解決手段】自車両の位置情報と進行方向情報とを含む第一車両情報を取得する第一車両情報取得部と、他車両の位置情報と進行方向情報とを含む第二車両情報を受信する第二車両情報受信部と、第一車両情報が有する進行方向情報に応じて第一車両情報を送信するカレント周波数チャネルを決定する通常時制御部と、カレント周波数チャネルで第一車両情報を送信する第一車両情報送信部と、自車両と他車両とが異なる道路を走行しておりかつ自車両と他車両とが同一の周波数チャネルを用いて情報を送信している状態である競合状態であるか否かを判断する競合状態判断部と、競合状態であり、かつ、予め決められた条件に合致する場合に、カレント周波数チャネルを変更する競合時制御部とを具備する無線通信装置により、適切な周波数チャネルの変更が行える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車車間通信で利用される無線通信装置等に関するものである。
【背景技術】
【0002】
国土交通省が推進しているASV(先進安全自動車)では、車車間通信を予防安全向上に資する運転支援システムの実用化に取り組まれている。
【0003】
ASVで行われている検討では、事故数の多い事故4類型に、社会的要求として低減が期待される事故3類型を加えて合計7つの事故類型をピックアップしている。7つの事故類型とは、右折事故、出会い頭事故、歩行者事故、正面衝突事故、追突事故、左折事故、車線変更に伴う衝突事故である。ASVでは、かかる7つの事故類型で分類される事故の回避を中心として、安全な交通社会の実現を目指す取り組みが行われている。
【0004】
また、従来、マルチキャリアおよびマルチコードからなるチャネルを用いて、無線通信を行う無線通信装置があった(例えば、非特許文献1参照)。本無線通信装置は、レスポンス性劣化要因を大幅に削減するMM−SA(Multi−Carrier&Multi−Code Spread ALOHA)方式を採用する。MM−SA方式は、4個の周波数チャネルおよび15個の拡散コードによって掲載されるチャネルから、チャネル制御によって、干渉量の少ないチャネルを確立し、その確定したチャネルを用いて情報を送受信する方式である。
【0005】
また、中継送信装置として用いる通信装置を指定して中継送信を行う車載通信装置が存在した(特許文献1参照)。かかる車載通信装置は、他の車両を中継車両として指定するための中継車両候補テーブルを記憶するテーブル記憶部を備えている。また、当該中継車両候補テーブルは、他の車両の走行状況による分類に基づいて生成される。そして、車載通信装置は、中継車両候補テーブルに基づいて中継車両とする車両を指定する。車載通信装置は、指定した車両に搭載された車載通信装置を中継装置として、他の車載通信装置にパケットを中継送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−325019号公報(第1頁、第1図等)
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】酒井敏宏、大山卓、鈴木龍太郎、門脇直人、小花貞夫、"高レスポンスアドホック無線通信方式:MM-SA方式(Multi-Carrier&Multi-Code Spread ALOHA)の車車間通信への適応に関するシミュレーションによる基本特性評価"、電子情報通信学会技術研究報告、RCS-2007,2007年8月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の技術においては、適切な周波数チャネルの変更が行われず、車車間通信において、パケット衝突による干渉が生じる可能性が高くなっていた。具体的には、進行方向に応じて、周波数チャネルを割り当てた場合であり、かつ、自車両と他車両とが異なる道路を走行しており、かつ自車両と他車両とが同一の周波数チャネルを用いて情報を送信している状態である競合状態の場合に、適切な周波数チャネル制御が行われず、パケット衝突による干渉が生じる可能性が高くなっていた。さらに、具体的には、例えば、進行方向に応じて、周波数チャネルを割り当てた場合、右左折車両の進行方向変化による周波数チャネルの変更が発生し、他の車線を直進する車両の通信に対して干渉となることがあった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本第一の発明の無線通信装置は、車車間通信装置において利用される無線通信装置であって、自車両に関する情報であり、自車両の位置を示す位置情報と自車両の進行方向を示す進行方向情報とを含む第一車両情報を取得する第一車両情報取得部と、自車両とは異なる他車両に関する情報であり、他車両の位置を示す位置情報と他車両の進行方向を示す進行方向情報とを含む第二車両情報を、他車両に設置された他の無線通信装置から受信する第二車両情報受信部と、第一車両情報が有する進行方向情報に応じて、第一車両情報を送信する周波数チャネルであるカレント周波数チャネルを決定する通常時制御部と、カレント周波数チャネルが示す周波数チャネルで、第一車両情報を送信する第一車両情報送信部と、自車両と他車両とが異なる道路を走行しており、かつ自車両と他車両とが同一の周波数チャネルを用いて情報を送信している状態である競合状態であるか否かを判断する競合状態判断部と、競合状態判断部が競合状態であると判断し、かつ、予め決められた条件に合致する場合に、カレント周波数チャネルを変更する競合時制御部とを具備する無線通信装置である。
【0010】
かかる構成により、競合状態の場合に、適切に周波数チャネルの変更が行われ、パケット衝突による干渉が生じる可能性を低減できる。
【0011】
また、本第二の発明の無線通信装置は、第一の発明に対して、競合時制御部は、自車両が、右折または左折をしようとしている状態である右左折状態であるか否かを判断する右左折状態判断部と、競合状態判断部が競合状態であると判断し、かつ右左折状態判断部が右左折状態であると判断した場合、カレント周波数チャネルを、右折または左折の状態に応じて変更する右左折変更部とを具備する無線通信装置である。
【0012】
かかる構成により、適切なタイミングで、車両の右左折を考慮した周波数チャネルの変更が行われ、パケット衝突による干渉が生じる可能性を低減できる。
【0013】
また、本第三の発明の無線通信装置は、第二の発明に対して、競合状態判断部は、第一車両情報が有する進行方向情報と第二車両情報が有する進行方向情報との差が閾値以上または閾値より大きく、かつ自車両と他車両とが同一の周波数チャネルを用いて情報を送信している場合に競合状態であると判断する無線通信装置である。
【0014】
かかる構成により、競合状態の判断が精度高く行える。
【0015】
また、本第四の発明の無線通信装置は、第一から第三いずれかの発明に対して、交差点の位置情報を含む地図情報を格納し得る地図情報格納部をさらに具備し、右左折状態判断部は、ウインカーの状態であるウインカー状態を取得するウインカー状態取得手段と、第一車両情報が有する位置情報を取得する自車両位置情報取得手段と、自車両の進行方向であり、位置情報に最も近い交差点の位置情報を、地図情報から取得する直近交差点位置情報取得手段と、自車両位置情報取得手段が取得した位置情報と直近交差点位置情報取得手段が取得した交差点の位置情報とを用いて、自車両と直近の交差点との距離を算出する交差点距離算出手段と、ウインカー状態がONであり、かつ自車両と直近の交差点との距離が閾値以下または閾値より小さいという条件を満たすか否かを判断し、条件を満たすとの判断をした場合に右左折状態であるとし、条件を満たさないとの判断をした場合に右左折状態でないとする判断手段とを具備する無線通信装置である。
【0016】
かかる構成により、右左折状態の判断が精度高く行える。
【0017】
また、本第五の発明の無線通信装置は、第二から第四いずれかの発明に対して、競合時制御部は、右左折変更部がカレント周波数チャネルを変更した場合に、予め決められた処理を行わないことを示すフラグである強制変更フラグを格納し得る強制変更フラグ格納部と、右左折変更部がカレント周波数チャネルを変更した場合に、強制変更フラグをONにする強制変更フラグ設定部と、予め決められた右左折状態の解除条件に合致するか否かを検出する右左折状態解除検出部と、右左折状態解除検出部が右左折状態の解除条件に合致することを検出した場合、強制変更フラグをOFFにする強制変更フラグ解除部とをさらに具備し、通常時制御部は、強制変更フラグがONである場合、処理を行わない無線通信装置である。
【0018】
かかる構成により、強制変更フラグがONである場合、通常時制御の抑制ができ、適切な周波数チャネルの割当の制御が可能となる。なお、強制変更フラグがONである場合、さらに、後述する右左折時制御(右左折変更部における処理)を行わないことは、さらに好適である。
【0019】
また、本第六の発明の無線通信装置は、第五の発明に対して、右左折状態解除検出部は、ウインカーの状態であるウインカー状態を取得するウインカー状態取得手段と、ウインカー状態がOFFである場合に、右左折状態の解除条件に合致したことを検出する検出手段とを具備する無線通信装置である。
【0020】
かかる構成により、右左折状態が解除されたことを適切に検出し、右左折状態が解除されたことに合わせた、適切な周波数チャネルの割当の制御が可能となる。
【0021】
また、本第七の発明の無線通信装置は、第一から第六いずれかの発明に対して、競合時制御部は、競合状態判断部が競合状態であると判断した場合、第一車両情報と第二車両情報とを用いて、自車両と他車両とのうち、どちらが優先であるかを決定し、他車両が自車両より優先である場合に、カレント周波数チャネルを変更する優先度制御部をさらに具備する無線通信装置である。
【0022】
かかる構成により、自車両と他車両とが異なる道路を走行しており、かつ自車両と他車両が同一の周波数チャネルを用いて情報を送信している状態である競合状態であることを検知し、競合状態に適した周波数チャネルの割当の制御(この制御を優先度制御という。)が可能となる。
【0023】
また、本第八の発明の無線通信装置は、第七の発明に対して、優先度制御部は、第一車両情報が有する進行方向情報(θ1)と基準角(α)の差の絶対値(|θ1−α|)と、第二車両情報が有する進行方向情報(θ2)と基準角(α)の差の絶対値(|θ2−α|)とを算出し、自車両の差の絶対値(|θ1−α|)が他車両の差の絶対値(|θ2−α|)以上または、より大きい場合に、カレント周波数チャネルを変更する無線通信装置である。
【0024】
かかる構成により、競合状態の適正な判断が可能になり、競合状態に適した優先度制御が可能となる。
【0025】
また、本第九の発明の無線通信装置は、第七または第八の発明に対して、競合時制御部は、他車両が、右折または左折をしようとしている状態である右左折状態であるか否かを判断する他車両右左折状態判断部をさらに具備し、優先度制御部は、他車両右左折状態判断部が、他車両が右左折状態であると判断した場合、動作しない無線通信装置である。
【0026】
かかる構成により、他車両が右左折状態の場合、優先度制御は行わないことにより、適正な周波数チャネルの割当が可能となる。
【0027】
また、本第十の発明の無線通信装置は、第八または第九の発明に対して、競合時制御部は、優先度制御部がカレント周波数チャネルを変更した場合に、予め決められた処理を行わないことを示すフラグである優先度フラグを格納し得る優先度フラグ格納部と、優先度制御部がカレント周波数チャネルを変更した場合に、優先度フラグをONにする優先度フラグ設定部と、優先度フラグの解除条件に合致したことを検出する優先度フラグ解除検出部と、優先度フラグ解除検出部が優先度フラグの解除条件に合致したことを検出した場合、優先度フラグをOFFにする優先度フラグ解除部とをさらに具備し、通常時制御部は、優先度フラグがONである場合、処理を行わない無線通信装置である。
【0028】
かかる構成により、優先度制御により周波数チャネルを変更した場合に、通常の周波数チャネルの設定制御を行わないことにより、適正な周波数チャネルの割当が可能となる。なお、優先度フラグがONである場合、優先度制御部による制御(優先度制御)を行わないことはさらに好適である。
【0029】
また、本第十一の発明の無線通信装置は、第十の発明に対して、優先度フラグ解除部は、優先度フラグをONに設定した後、予め決められた時間を経過した場合に、優先度フラグの解除条件に合致したことを検出する無線通信装置である。
【0030】
かかる構成により、予め決められた時間を経過した場合に、優先度フラグの解除を行うことにより、適正な周波数チャネルの割当が可能となる。
【0031】
また、本第十二の発明の無線通信装置は、第十一の発明に対して、第一車両情報送信部は、所定の周期で、かつカレント周波数チャネルが示す周波数チャネルで、第一車両情報を送信し、予め決められた時間を経過した場合とは、優先度フラグをONに設定した後、予め設定された時間に対する残り時間が、所定の周期以内となった場合である無線通信装置である。
【0032】
かかる構成により、適切なタイミングで優先度フラグの解除が行える。
【0033】
また、本第十三の発明の無線通信装置は、第一から第十二いずれかの発明に対して、通常時制御部は、第一車両情報送信部が第一車両情報を送信した後、第一車両情報が有する進行方向情報に応じて、第一車両情報を送信する周波数チャネルであるカレント周波数チャネルを決定する無線通信装置である。
【0034】
かかる構成により、定期パケット送信した後、通常時制御を行うことにより、早期に適切な周波数チャネルで、パケット(第一車両情報)の送信ができる。
【発明の効果】
【0035】
本発明による無線通信装置によれば、車車間通信において、適切な周波数チャネル制御を行うことにより、干渉が生じる可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】実施の形態1における無線ネットワークの概略図
【図2】同無線通信装置のブロック図
【図3】同無線通信装置の一部の構成のブロック図
【図4】同周波数チャネルの基本割当について示した図
【図5】同無線通信装置の動作について説明するフローチャート
【図6】同通常時制御について説明するフローチャート
【図7】同競合状態発見処理の動作について説明するフローチャート
【図8】同右左折判断処理の動作について説明するフローチャート
【図9】同優先度制御について説明するフローチャート
【図10】同周波数チャネルの割当について説明する図
【図11】同周波数チャネルの割当の課題について説明する図
【図12】同右左折状態の判断方法について説明する図
【図13】同周波数チャネル制御の概要について説明する図
【図14】同実験の条件について説明する図
【図15】同実験で使用したパラメータについて説明する表
【図16】同交差角60度とした場合のシミュレーション時における右折車両の走行状態の変化について説明する図
【図17】同第一の周波数チャネル制御結果について説明する図
【図18】同第二の周波数チャネル制御結果について説明する図
【図19】同第三の周波数チャネル制御結果について説明する図
【図20】同目標値とシミュレーション結果との比較表
【図21】同他の周波数チャネル制御結果について説明する図
【図22】同他の周波数チャネル制御結果について説明する図
【図23】同各交差角における本手法の制御結果、およびその時の動作をまとめた表
【図24】同第一車両情報や周辺車両情報の構造の例を示す図
【図25】同他の優先度制御の方法について説明する図
【図26】同他の優先度制御の方法について説明する図
【図27】同コンピュータシステムの概観図
【図28】同コンピュータシステムのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、無線通信装置等の実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施の形態において同じ符号を付した構成要素は同様の動作を行うので、再度の説明を省略する場合がある。
(実施の形態1)
【0038】
本実施の形態において、車車間通信において、車両の右左折を考慮した周波数チャネルの変更を行える無線通信装置1について説明する。なお、車両とは、自動車、飛行機、電車、バス、自転車、二輪車などの移動体である。また、無線通信装置1は、通常、マルチキャリアによる多元接続を行う無線通信装置である。また、各キャリアでは、メディアアクセス制御によって通信制御を行う。ここで、メディアアクセス制御の方式として、例えば、MM−SA方式、CSMA/CA方式、TDMA方式などがあり得る。
【0039】
図1は、本実施の形態における無線ネットワークの概略図である。無線ネットワークは、無線通信装置1〜10を備える。無線通信装置1〜10は、それぞれ、車両1〜車両10に搭載されている。無線通信装置1〜10は、お互いに車両情報を送受信しあい、例えば、事故防止に寄与している、とする。以下、無線通信装置1〜10を代表して、無線通信装置1の動作について説明する。ただし、無線通信装置2〜10も、無線通信装置1と同様の構成である。したがって、以下、他の車両に搭載された無線通信装置も、無線通信装置1として、適宜、説明する。
【0040】
図2は、本実施の形態における無線通信装置1のブロック図である。無線通信装置1は、地図情報格納部100、優先度フラグ格納部101、強制変更フラグ格納部102、第一車両情報格納部103、周辺車両情報格納部104、第一車両情報取得部105、第二車両情報受信部106、通常時制御部107、第一車両情報送信部108、競合状態判断部109、車両情報出力部120、競合時制御部121を備える。
また、競合時制御部121は、右左折状態判断部110、右左折変更部111、強制変更フラグ設定部112、右左折状態解除検出部113、強制変更フラグ解除部114、他車両右左折状態判断部115、優先度制御部116、優先度フラグ設定部117、優先度フラグ解除検出部118、優先度フラグ解除部119を備える。
【0041】
図3は、右左折状態判断部110と右左折状態解除検出部113とに着目した、さらに詳細なブロック図である。
【0042】
右左折状態判断部110は、ウインカー状態取得手段1101、自車両位置情報取得手段1102、直近交差点位置情報取得手段1103、交差点距離算出手段1104、判断手段1105を備える。右左折状態解除検出部113は、ウインカー状態取得手段1101、検出手段1132を備える。
【0043】
地図情報格納部100は、地図情報を格納し得る。地図情報は、地図の情報であり、少なくとも交差点の位置情報を含む情報である。地図情報は、例えば、ナビゲーションシステムの地図情報である。また、位置情報とは、位置を示す情報であり、例えば、(経度,緯度)や領域を特定する領域IDなどである。地図情報格納部100は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。地図情報格納部100に地図情報が記憶される過程は問わない。例えば、記録媒体を介して地図情報が地図情報格納部100で記憶されるようになってもよく、通信回線等を介して送信された地図情報が地図情報格納部100で記憶されるようになってもよく、あるいは、入力デバイスを介して入力された地図情報が地図情報格納部100で記憶されるようになってもよい。
【0044】
優先度フラグ格納部101は、優先度フラグを格納し得る。優先度フラグとは、優先度制御部116がカレント周波数チャネルを変更した場合に、予め決められた処理を行わないことを示すフラグである。予め決められた処理とは、例えば、通常時制御部107が行う処理である。通常時制御部107が行う処理は、適宜、通常時制御という。優先度フラグ格納部101は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。優先度フラグ格納部101に優先度フラグが記憶される過程は問わない。
【0045】
強制変更フラグ格納部102は、強制変更フラグを格納し得る。強制変更フラグとは、右左折変更部111がカレント周波数チャネルを変更した場合に、予め決められた処理を行わないことを示すフラグである。予め決められた処理とは、例えば、通常時制御部107が行う通常時制御である。また、予め決められた処理とは、例えば、後述する右左折時制御である。強制変更フラグ格納部102は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。強制変更フラグ格納部102に強制変更フラグが記憶される過程は問わない。
【0046】
第一車両情報格納部103は、第一車両情報を格納し得る。第一車両情報とは、自車両に関する情報である。第一車両情報は、例えば、自車両の位置を示す位置情報と自車両の進行方向を示す進行方向情報とを含む情報である。進行方向情報とは、例えば、真北を基準(0度)として、何度方向に向いているかを示す情報であり、通常、単位は度(分などの、さらに細かい単位を含んでも良い)である。かかる場合、車両の進行方向が真東であれば、進行方向情報は90度である。第一車両情報格納部103は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。通常、第一車両情報取得部105が取得した第一車両情報が、第一車両情報格納部103に格納される。ただし、第一車両情報格納部103に第一車両情報が記憶される過程は問わない。
【0047】
周辺車両情報格納部104は、1以上の周辺車両情報を格納し得る。周辺車両情報とは、他車両を含む周辺車両の情報である。周辺車両とは、自車両の周辺に存在する車両である。周辺車両情報は、後述する第二車両情報を含む。周辺車両情報は、例えば、周辺車両の位置情報と進行方向情報とを含む情報である。周辺車両情報は、通常、周辺車両を識別する識別子(車両ID)を含む。周辺車両情報格納部104は、不揮発性の記録媒体が好適であるが、揮発性の記録媒体でも実現可能である。通常、第二車両情報受信部106が取得した第二車両情報が周辺車両情報として、周辺車両情報格納部104に格納される。ただし、周辺車両情報格納部104に周辺車両情報が記憶される過程は問わない。
【0048】
第一車両情報取得部105は、第一車両情報を取得する。第一車両情報とは、自車両の車両情報である。車両情報は、車両の走行に関する情報である。車両情報は、車両の位置を示す位置情報と進行方向を示す進行方向情報とを含む。つまり、第一車両情報は、自車両の位置情報と、自車両の進行方向情報とを含む。また、第一車両情報は、通常、自車両を識別する情報である車両IDを含む。第一車両情報取得部105は、例えば、GPS(Global Positioning System)受信装置で実現され得る。また、第一車両情報取得部105は、例えば、ビーコンや、その他の手段を用いて、第一車両情報を取得しても良い。また、ここでの取得とは、他の図示しない装置(例えば、種々の車両の車両情報を収集するサーバ装置など)からの受信でも良い。
【0049】
第一車両情報取得部105は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。第一車両情報取得部105の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0050】
第二車両情報受信部106は、第二車両情報を他車両に設置された他の無線通信装置1から受信する。第二車両情報とは、自車両とは異なる他車両に関する情報であり、他車両の位置を示す位置情報と他車両の進行方向を示す進行方向情報とを含む情報である。なお、第二車両情報は、通常、他車両を識別する情報である車両IDを含む。第二車両情報受信部106は、通常、定期的に第二車両配置情報を受信する。ただし、定期的とは、正確に、同時間間隔でなければならない趣旨ではない。また、第二車両情報受信部106が第二車両情報を受信するタイミングは、定期的で無くても良い。他の無線通信装置からの受信は、直接的な受信でも、他の装置を経由した間接的な受信でも良い。また、第二車両情報受信部106は、通常、パケット化され、変調された第二車両情報を受信する。また、第二車両情報は、通常、受信後に復調される。また、第二車両情報受信部106は、通常、すべての周波数チャネルの情報(パケット)を受信する。第二車両情報受信部106は、例えば、MM−SA方式により、第二車両配置情報を受信する。また、第二車両情報受信部106は、例えば、CSMA/CA方式、TDMA方式など、MM−SA方式以外の方式を用いて、第二車両配置情報を受信しても良い。
【0051】
第二車両情報受信部106は、通常、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送を受信する手段で実現されても良い。
【0052】
通常時制御部107は、第一車両情報が有する進行方向情報に応じて、第一車両情報を送信する周波数チャネルであるカレント周波数チャネルを決定する。つまり、進行方向情報(θ)が決まれば、カレント周波数チャネルが決まる。通常時制御部107は、進行方向情報(θ)とカレント周波数チャネルとの対応表を保持していても良いし、進行方向情報(θ)を入力とし、カレント周波数チャネルを出力とする演算式を保持しており、進行方向情報(θ)を入力して、カレント周波数チャネルを算出しても良い。ここで、カレント周波数チャネルを決定するとは、カレント周波数チャネルを、図示しないバッファ(例えば、カレント周波数チャネル格納部)に設定することである。具体的には、通常時制御部107は、例えば、以下のようにチャネル割り当てを行う。図4は、周波数チャネルの基本割当について示した図である。図4に示すように、通常時制御部107は、進行方向情報が示す進行方向が、真北を基準に±45度範囲であれば割り当て周波数チャネルを「f4」に決定し、真東を基準に±45度範囲であれば割り当て周波数チャネルを「f1」に決定し、真南を基準に±45度範囲であれば割り当て周波数チャネルを「f2」に決定し、真西を基準に±45度範囲であれば割り当て周波数チャネルを「f3」に決定する、とする。そして、基本割当ルールとして、f2はf4の対向車線用、f3はf1の対向車線用とする。
【0053】
また、通常時制御部107は、強制変更フラグがONである場合、処理(上述の通常時制御)を行わないことは好適である。処理を行わないとは、通常時制御部107が、第一車両情報が有する進行方向情報に応じて、第一車両情報を送信する周波数チャネルであるカレント周波数チャネルを決定する処理を行わないことである。
【0054】
また、通常時制御部107は、優先度フラグがONである場合、処理を行わないことは好適である。
【0055】
さらに、通常時制御部107は、第一車両情報送信部108が第一車両情報を送信した後、第一車両情報が有する進行方向情報に応じて、第一車両情報を送信する周波数チャネルであるカレント周波数チャネルを決定することは好適である。
【0056】
通常時制御部107は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。通常時制御部107の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0057】
第一車両情報送信部108は、カレント周波数チャネルが示す周波数チャネルで、第一車両情報を送信する。第一車両情報送信部108は、所定の周期で、かつカレント周波数チャネルが示す周波数チャネルで、第一車両情報を送信することは好適である。第一車両情報送信部108は、通常、定期的に第一車両情報を送信する。ただし、第一車両情報送信部108は、不定期に第一車両情報を送信しても良い。また、第一車両情報送信部108は、例えば、マルチキャリアおよびマルチコードからなるチャネルを用いて、第一車両情報を有するパケットの送信を行う。第一車両情報送信部108は、例えば、MM−SA方式により、第一車両情報を送信する。また、第一車両情報送信部108は、例えば、CSMA/CA方式など、MM−SA方式以外の方式を用いて、第一車両情報を送信しても良い。第一車両情報送信部108は、通常、無線または有線の通信手段で実現されるが、放送手段で実現されても良い。
【0058】
競合状態判断部109は、競合状態であるか否かを判断する。競合状態とは、自車両と他車両とが異なる道路を走行しており、かつ自車両と他車両とが同一の周波数チャネルを用いて情報(第一車両情報と第二車両情報)を送信している状態である。競合状態判断部109は、好ましくは、第一車両情報が有する進行方向情報と第二車両情報が有する進行方向情報との差が閾値以上または閾値より大きく、かつ自車両と他車両とが同一の周波数チャネルを用いて情報を送信している場合に競合状態であると判断する。なお、かかる場合、閾値は、競合状態判断部109が予め格納している。閾値は、例えば、10度である。
【0059】
なお、自車両と他車両とが異なる道路を走行しているか否かの判断方法は問わない。競合状態判断部109は、第一車両情報が有する進行方向情報と第二車両情報が有する進行方向情報との差が閾値以上または閾値より大きい場合に自車両と他車両とが異なる道路を走行していると判断しても良いし、道路の脇に設置されている通信装置から、走行中の道路識別子を受信し、当該道路識別子と、第二車両情報が有する道路識別子とが異なる場合に、自車両と他車両が異なる道路を走行していると判断しても良い。また、競合状態判断部109は、格納している地図情報が有する道路識別子と自車両の位置情報から、現在、走行中の道路の道路識別子を取得し、当該道路識別子と、第二車両情報が有する道路識別子とが異なる場合に、自車両と他車両が異なる道路を走行していると判断しても良い。また、自車両の周波数チャネルは、カレント周波数チャネルである。さらに、他車両の周波数チャネルは、第二車両情報受信部106が第二車両情報を受信した際の周波数チャネルである。したがって、競合状態判断部109は、他車両の周波数チャネルを取得し得る。
【0060】
競合状態判断部109は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。競合状態判断部109の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0061】
競合時制御部121は、競合状態判断部109が競合状態であると判断した場合に、カレント周波数チャネルを変更する。また、競合時制御部121は、競合状態判断部109が競合状態であると判断し、かつ、予め決められた条件に合致する場合に、カレント周波数チャネルを変更することは好適である。予め決められた条件とは、例えば、後述する右左折状態であること、第一車両情報と第二車両情報に関する条件、他車両が右左折状態であるか否かについて等である。また、カレント周波数チャネルの変更について、どのように変更するかは問わない。他車両と競合しないようにカレント周波数チャネルを変更すれば良い。なお、競合状態であると判断された場合に、カレント周波数チャネルを変更する制御を、適宜、競合時制御という。また、競合時制御は、後述する右左折時制御や優先度制御などを含む。競合時制御部121は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。競合時制御部121の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0062】
右左折状態判断部110は、自車両が右左折状態であるか否かを判断する。右左折状態とは、自車両が右折または左折をしようとしている状態である。右左折状態判断部110は、競合状態判断部109が競合状態であると判断した場合のみ、自車両が、右折または左折をしようとしている状態である右左折状態であるか否かを判断することは好適である。また、右左折状態判断部110は、自車両が右左折状態であるか否かの判断を行なう前に、強制変更フラグ格納部102の強制変更フラグがONであるか否かを判断し、強制変更フラグがONである場合には、自車両が右左折状態であるか否かの判断を行わないことは好適である。つまり、強制変更フラグがONである場合には、後述する右左折時制御が行われないことは好適である。
【0063】
右左折状態であるか否かの判断方法は種々ある。後述するように、右左折状態判断部110は、ウインカー状態がONで交差点からの距離が一定以内である場合に、右左折状態であると判断することは好適である。また、右左折状態判断部110は、自車両の速度が一定値未満であり、同一の道路を走行する周辺車両であり、速度(例えば、第二車両情報に含まれる)が一定値以上の周辺車両が一定数(例えば、一つでも良い)以上存在し、かつ交差点からの距離が一定以内である場合に、右左折状態であると判断しても良い。さらに、右左折状態判断部110は、ウインカー状態がONで時間が一定時間以上である場合に、右左折状態であると判断しても良い。その他、右左折状態であると判断するアルゴリズムは問わない。
【0064】
右左折状態判断部110は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。右左折状態判断部110の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0065】
ウインカー状態取得手段1101は、ウインカーの状態であるウインカー状態を取得する。ウインカー状態を取得する技術は公知技術である。ウインカー状態取得手段1101は、通常、右ウインカーのON/OFF、左ウインカーのON/OFFを取得できる。
【0066】
自車両位置情報取得手段1102は、第一車両情報が有する位置情報を取得する。自車両位置情報取得手段1102は、第一車両情報取得部105が取得した位置情報を読み出しても良いし、自身が取得しても良い。
【0067】
直近交差点位置情報取得手段1103は、位置情報に最も近い交差点の位置情報を、地図情報から取得する。最も近い交差点とは、進行方向の交差点のうち、最も近い交差点である。直近交差点位置情報取得手段1103の処理は、例えば、ナビゲーション装置で実現されている技術であるので詳細な説明を省略する。
【0068】
交差点距離算出手段1104は、自車両位置情報取得手段1102が取得した位置情報と直近交差点位置情報取得手段1103が取得した交差点の位置情報とを用いて、自車両と直近の交差点との距離を算出する。
【0069】
判断手段1105は、ウインカー状態がONであり、かつ自車両と直近の交差点との距離が閾値以下または閾値より小さいという条件を満たすか否かを判断し、条件を満たすとの判断をした場合に右左折状態であるとし、条件を満たさないとの判断をした場合に右左折状態でないとする。ここで、閾値は、判断手段1105が予め格納している。閾値は、例えば、30mである。
【0070】
右左折変更部111は、右左折状態判断部110が、右左折状態であると判断した場合、カレント周波数チャネルを、右折または左折の状態に応じて変更する。右左折変更部111は、右折の場合と左折の場合とで、変更する周波数チャネルが異なることは好適である。図4において、右左折変更部111は、右折の状態である場合は時計回り方向の隣接する周波数チャネルを選択し、左折の状態である場合は反時計回り方向の隣接する周波数チャネルを選択することは好適である。つまり、図4において、カレント周波数チャネルがf1である場合、右左折変更部111は、右折の状態である場合は時計回り方向の隣接する周波数チャネルであるf2を選択し、左折の状態である場合は反時計回り方向の隣接する周波数チャネルであるf4を選択することは好適である。なお、右左折変更部111がf2を選択する、ということは、カレント周波数チャネルのバッファに、f2を書き込むことである。なお、右左折状態であると判断した場合に、カレント周波数チャネルを変更する制御を、適宜、右左折時制御という。また、右左折変更部111は、強制変更フラグがONである場合には、右左折時制御が行わないことは好適である。
【0071】
右左折変更部111は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。右左折変更部111の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0072】
強制変更フラグ設定部112は、右左折変更部111がカレント周波数チャネルを変更した場合に、強制変更フラグ格納部102の強制変更フラグをONにする。強制変更フラグ設定部112は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。強制変更フラグ設定部112の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0073】
右左折状態解除検出部113は、右左折状態の解除を検出する。右左折状態の解除の検出とは、予め決められた右左折状態の解除条件に合致したことを検出することである。右左折状態解除検出部113は、ウインカー状態がOFFになった場合に右左折状態の解除を検出することは好適である。ただし、右左折状態解除検出部113は、右左折状態を検知後、所定時間が経過したことをもって、右左折状態の解除と判断しても良い。その他、右左折状態の解除を検出する方法は問わない。右左折状態解除検出部113は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。右左折状態解除検出部113の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0074】
検出手段1132は、ウインカー状態取得手段1101が取得したウインカー状態がOFFである場合に、右左折状態の解除を検出する。なお、ウインカー状態は、例えば、ウインカーOFFが「0」、右ウインカーONが「1」、左ウインカーONが「2」である。
【0075】
強制変更フラグ解除部114は、右左折状態解除検出部113が右左折状態の解除条件に合致することを検出した場合、強制変更フラグをOFFにする。強制変更フラグ解除部114は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。強制変更フラグ解除部114の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0076】
他車両右左折状態判断部115は、他車両が、右左折状態であるか否かを判断する。通常、第二車両情報が他車両の位置情報、および他車両のウインカー状態を有する。そして、他車両右左折状態判断部115は、他車両の位置情報、および他車両のウインカー状態から、他車両が、右左折状態であるか否かを判断することは好適である。また、他車両右左折状態判断部115は、他車両の速度が一定値未満であり、かつ、他の周辺車両の中で、速度が一定値以上の車両が一定数以上存在し、かつ、交差点からの距離が一定以内である場合に、右左折状態であると判断しても良い。なお、かかる場合、第二車両情報は、速度の情報を有する。さらに、他車両右左折状態判断部115は、他車両のウインカー状態がONで時間が一定時間以上である場合に、右左折状態であると判断しても良い。その他、右左折状態であると判断するアルゴリズムは問わない。他車両右左折状態判断部115が、右左折状態判断部110と同じアルゴリズムで、右左折状態であるか否かを判断することは好適である。
【0077】
他車両右左折状態判断部115は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。他車両右左折状態判断部115の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0078】
優先度制御部116は、競合状態判断部109が競合状態であると判断した場合、第一車両情報と第二車両情報とを用いて、自車両と他車両とのうち、どちらが優先であるかを決定し、他車両が自車両より優先である場合に、カレント周波数チャネルを変更する。なお、競合状態であると判断された場合、自車両と他車両とのうち、どちらが優先であるかを決定し、他車両が自車両より優先である場合に、カレント周波数チャネルを変更する制御を、適宜、優先度制御という。また、ここで、第一車両情報と第二車両情報とを用いてとは、第一車両情報と第二車両情報のうちの一部の情報の使用でも良い趣旨である。
【0079】
優先度制御部116は、好ましくは、第一車両情報が有する進行方向情報(θ1)と基準角(α)の差の絶対値(|θ1−α|)と、第二車両情報が有する進行方向情報(θ2)と基準角(α)の差の絶対値(|θ2−α|)とを算出し、自車両の差の絶対値(|θ1−α|)が他車両の差の絶対値(|θ2−α|)以上または、より大きい場合に、他車両が自車両に対して優先であると判断し、自車両のカレント周波数チャネルを変更する。
【0080】
カレント周波数チャネルを変更する場合、優先度制御部116は、「θ1−α>=0」である場合に、図4における、時計回り方向の隣接する周波数チャネルに変更し、「θ1−α>=0」でない場合に、反時計回り方向の隣接する周波数チャネルに変更する。
【0081】
また、優先度制御部116は、右左折状態判断部110が、自車両が右左折状態であると判断した場合、動作しない(優先度制御を行わない)ことは好適である。
また、優先度制御部116は、他車両右左折状態判断部115が、他車両が右左折状態であると判断した場合、動作しないことは好適である。さらに、優先度制御部116は、優先度フラグがONである場合には、優先度制御を行わないことは好適である。
【0082】
優先度制御部116は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。優先度制御部116の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0083】
優先度フラグ設定部117は、優先度制御部116がカレント周波数チャネルを変更した場合に、優先度フラグ格納部101の優先度フラグをONにする。
【0084】
優先度フラグ設定部117は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。優先度フラグ設定部117の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0085】
優先度フラグ解除検出部118は、優先度フラグの解除条件に合致したことを検出する。解除条件とは、例えば、優先度フラグをONに設定した後、予め決められた時間を経過したことである。予め決められた時間とは、優先度フラグがONになった後、予め設定された時間に対する残り時間が、所定の周期以内である場合に、予め決められた時間を経過したと判断することは好適である。所定の周期とは、第一車両情報送信部108が第一車両情報を送信する周期である。また、予め決められた時間や予め設定された時間は、優先度フラグ解除検出部118が予め保持している。予め決められた時間や予め設定された時間は、例えば、1秒である。
【0086】
優先度フラグ解除検出部118は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。優先度フラグ解除検出部118の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0087】
優先度フラグ解除部119は、優先度フラグ解除検出部118が優先度フラグの解除条件に合致したことを検出した場合、優先度フラグ格納部101の優先度フラグをOFFにする。優先度フラグ解除部119は、通常、MPUやメモリ等から実現され得る。優先度フラグ解除部119の処理手順は、通常、ソフトウェアで実現され、当該ソフトウェアはROM等の記録媒体に記録されている。但し、ハードウェア(専用回路)で実現しても良い。
【0088】
車両情報出力部120は、第一車両情報の一部または全部、または周辺車両情報の一部または全部を出力する。車両情報出力部120は、例えば、地図情報格納部100の地図情報を出力しても良い。そして、車両情報出力部120は、例えば、出力している地図情報の上に、第一車両情報が示す自車両の位置、または周辺車両情報が示す周辺車両の位置を出力することは好適である。ここで出力とは、出力とは、ディスプレイへの表示、プロジェクターを用いた投影、プリンタへの印字、音出力、外部の装置への送信、記録媒体への蓄積、他の処理装置や他のプログラムなどへの処理結果の引渡しなどを含む概念である。
【0089】
また、無線通信装置1は、車両情報出力部120を有しなくても良い。
【0090】
車両情報出力部120は、ディスプレイやスピーカー等の出力デバイスを含むと考えても含まないと考えても良い。車両情報出力部120は、出力デバイスのドライバーソフトまたは、出力デバイスのドライバーソフトと出力デバイス等で実現され得る。
次に、無線通信装置1の動作について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0091】
(ステップS501)第一車両情報送信部108は、第一車両情報を送信するタイミングであるか否かを判断する。送信するタイミングであればステップS502に行き、送信するタイミングでなければステップS506に行く。なお、通常、一定の周期で、第一車両情報送信部108は、第一車両情報を送信するタイミングであると判断する。
【0092】
(ステップS502)第一車両情報送信部108は、第一車両情報取得部105が取得した最新の第一車両情報を取得する。なお、第一車両情報送信部108は、第一車両情報格納部103の第一車両情報を取得しても良い。
【0093】
(ステップS503)第一車両情報送信部108は、ステップS502で取得した第一車両情報を送信する。
【0094】
(ステップS504)通常時制御部107は、優先度フラグまたは強制変更フラグのどちらかがONであるか否かを判断する。どちらかのフラグがONであればステップS501に戻り、両方ともOFFであればステップS505に行く。なお、通常時制御部107は、上記の判断前に、優先度フラグ格納部101から優先度フラグを読み出し、強制変更フラグ格納部102から強制変更フラグを読み出すことは言うまでもない。
【0095】
(ステップS505)通常時制御部107は、通常時制御を行う。通常時制御について、図6のフローチャートを用いて説明する。ステップS501に戻る。
【0096】
(ステップS506)第二車両情報受信部106は、他の車両に搭載されている無線通信装置1から、第二車両情報を受信したか否かを判断する。第二車両情報を受信すればステップS507に行き、第二車両情報を受信しなければステップS501に戻る。
【0097】
(ステップS507)第二車両情報受信部106は、ステップS506で受信した第二車両情報を用いて、周辺車両情報格納部104の他車両の第二車両情報を更新する。なお、通常、第二車両情報は車両IDを含んでおり、当該車両IDに対応する第二車両情報を更新する。
【0098】
(ステップS508)競合状態判断部109は、競合状態を発見する処理を行う。競合状態発見処理について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0099】
(ステップS509)右左折状態判断部110は、ステップS508における判断結果が、競合状態であるか否かを判断する。競合状態であればステップS510に行き、競合状態でなければステップS501に戻る。
【0100】
(ステップS510)右左折状態判断部110は、強制変更フラグ格納部102の強制変更フラグがONであるか否かを判断する。ONであればステップS501に戻り、OFFであれば、ステップS511に行く。つまり、強制変更フラグがONである場合、右左折時制御も行なわれない。
(ステップS511)右左折状態判断部110は、自車両が右左折状態であるか否かを判断する。右左折判断処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0101】
(ステップS512)右左折変更部111は、ステップS511における判断結果が、自車両が右左折状態であるとの場合はステップS513に行き、右左折状態でないとの場合はステップS515に行く。
【0102】
(ステップS513)右左折変更部111は、自車両の周波数チャネルを変更する。さらに具体的には、右左折変更部111は、自車両のカレント周波数チャネル(例えば、f2)を取得し、右左折状態が「右折」である場合には、図4の時計回り方向の隣接する周波数チャネル(例えば、f3)を選択する。また、右左折変更部111は、右左折状態が「左折」である場合には、反時計回り方向の隣接する周波数チャネル(例えば、f1)を選択する。そして、右左折変更部111は、選択した周波数チャネルをカレント周波数チャネルとして所定のバッファ(例えば、図示しないカレント周波数チャネルのバッファ)に書き込む。
【0103】
(ステップS514)強制変更フラグ設定部112は、強制変更フラグ格納部102の強制変更フラグをONに設定する。なお、図5のフローチャートには現れていないが、強制変更フラグ設定部112が強制変更フラグをONにした場合、右左折状態解除検出部113は、右左折状態の解除条件に合致するか否かを検出する処理を繰り返す。そして、右左折状態解除検出部113が解除条件の合致を検出した場合に、強制変更フラグ解除部114は、強制変更フラグ設定部112が強制変更フラグをOFFに更新する。かかる強制変更フラグ解除処理は、他の処理と並行して行うことが好適であるが、シーケンシャルに行っても良い。ステップS501に戻る。
【0104】
(ステップS515)他車両右左折状態判断部115は、他車両が右左折状態であるか否かを判断する。かかる他車両右左折状態判断処理は、以下のような処理である。他車両右左折状態判断部115は、第二車両情報が有するウインカー状態がON(右ウインカーONまたは左ウインカーがON)であるか否かを判断し、ウインカー状態がONである場合に、第二車両情報が有する他車両の位置情報から得られる他車両の位置と、他車両の直近の交差点の位置とが、閾値以内であるか判断する。閾値以内であれば、他車両右左折状態判断部115は、他車両が右左折状態である、と判断する。なお、他車両右左折状態判断部115は、例えば、第二車両情報が有する他車両の位置情報と進行方向情報を、地図情報格納部100の地図情報に適用し、他車両の直近の交差点の位置情報を取得する。また、例えば、他車両右左折状態判断部115は、第二車両情報が有する右左折状態フラグがONであるか否かを判断し、右左折状態フラグがONである場合に、他車両が右左折状態である、と判断する。なお、右左折状態フラグとは、右折または左折の状態であることを示すフラグである。右左折状態フラグとは、例えば、右折時「2」、左折時「1」、右左折ではない時「0」などである。
【0105】
(ステップS516)優先度制御部116は、ステップS515における判断結果が、他車両が右左折状態である場合はステップS501に戻り、右左折状態でない場合はステップS517に行く。
【0106】
(ステップS517)優先度制御部116は、優先度フラグ格納部101の優先度フラグがONであるか否かを判断する。優先度フラグがONであればステップS501に戻り、OFFであればステップS518に行く。つまり、優先度フラグがONである場合、優先度制御が行われない。
(ステップS518)優先度制御部116は、優先度制御を行う。優先度制御について、図9のフローチャートを用いて説明する。なお、強制変更フラグがONである場合も、通常、優先度制御は行われない。
【0107】
(ステップS519)優先度フラグ設定部117は、ステップS518における優先度制御の際に、自車両の周波数チャネル(カレント周波数チャネル)を変更したか否かを判断する。変更してればステップS520に行き、変更していなければステップS501に戻る。
【0108】
(ステップS520)優先度フラグ設定部117は、優先度フラグ格納部101の優先度フラグをONに設定する。
【0109】
(ステップS521)優先度フラグ設定部117は、優先度フラグ管理タイマをセットする。なお、優先度フラグ管理タイマがセットされれば、タイマが進んでいき、優先度フラグ解除検出部118は、予め決められた時間が経過したことを検知し、かかる検知をした場合、優先度フラグ解除部119は、優先度フラグ格納部101の優先度フラグをOFFに更新する。なお、かかる優先度フラグ解除処理は、他の処理と並行して行うことが好適であるが、シーケンシャルに行っても良い。ステップS501に戻る。
【0110】
なお、図5のフローチャートにおいて、電源オフや処理終了の割り込みにより処理は終了する。
また、図5のフローチャートにおいて、ステップS510の判断処理は、例えば、ステップS508の直前に行われても良い。その他、フローチャートにおいて、処理の手順を入れかえても良いステップがあり得ることは言うまでもない。
【0111】
次に、ステップS505の通常時制御の例について、図6のフローチャートを用いて説明する。
【0112】
(ステップS601)通常時制御部107は、第一車両情報が有する進行方向情報(ここでは、角度D)を取得する。Dは、真北を基準とし、真東を+90度、真西を−90度または+270度とする。
【0113】
(ステップS602)通常時制御部107は、条件「−45度<=D<45度」を満たすか否かを判断する。この条件を満たせばステップS603に行き、条件を満たさなければステップS604に行く。
【0114】
(ステップS603)通常時制御部107は、カレント周波数チャネルをf4に設定する。上位処理にリターンする。
【0115】
(ステップS604)通常時制御部107は、条件「45度<=D<135度」を満たすか否かを判断する。この条件を満たせばステップS605に行き、条件を満たさなければステップS606に行く。
【0116】
(ステップS605)通常時制御部107は、カレント周波数チャネルをf1に設定する。上位処理にリターンする。
【0117】
(ステップS606)通常時制御部107は、条件「135度<=D<225度」を満たすか否かを判断する。この条件を満たせばステップS607に行き、条件を満たさなければステップS608に行く。なお、ステップS608に行く場合は、条件「225度<=D<315度(−45度)」を満たす場合である。
【0118】
(ステップS607)通常時制御部107は、カレント周波数チャネルをf2に設定する。上位処理にリターンする。
【0119】
(ステップS608)通常時制御部107は、カレント周波数チャネルをf3に設定する。上位処理にリターンする。
【0120】
次に、ステップS508の競合状態発見処理の例について、図7のフローチャートを用いて説明する。
【0121】
(ステップS701)競合状態判断部109は、カレント周波数チャネルと第一車両情報が有する進行方向情報とを取得する。
【0122】
(ステップS702)競合状態判断部109は、他車両の周波数チャネルと第二車両情報が有する進行方向情報とを取得する。
【0123】
(ステップS703)競合状態判断部109は、ステップS701で取得したカレント周波数チャネルと、ステップS702で取得した周波数チャネルとが一致するか否かを判断する。一致すればステップS704に行き、一致しなければステップS706に行く。
【0124】
(ステップS704)競合状態判断部109は、ステップS701で取得した進行方向情報と、ステップS702で取得した進行方向情報との差が閾値以上であるか否かを判断する。閾値以上であればステップS705に行き、閾値以上でなければステップS706に行く。
【0125】
(ステップS705)競合状態判断部109は、変数「状態」に値「競合状態(例えば、「1」」を代入する。上位処理にリターンする。
【0126】
(ステップS706)競合状態判断部109は、変数「状態」に値「非競合状態(例えば、「0」」を代入する。上位処理にリターンする。
【0127】
なお、図7のフローチャートのステップS704において、2つの進行方向情報の差が閾値より大きいか否かを判断しても良い。閾値より大きいかの判断と、閾値以上かの判断は、同様であるとする。
【0128】
また、図7のフローチャートにおける変数「状態」を見て、競合状態か否かが判断され得る。
【0129】
次に、ステップS510の右左折判断処理について、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0130】
(ステップS801)右左折状態判断部110のウインカー状態取得手段1101は、ウインカー状態を取得する。
【0131】
(ステップS802)右左折状態判断部110は、ステップS801で取得したウインカー状態が「ON」であるか否かを判断する。ウインカー状態が「ON」(右ウインカーがONまたは左ウインカーがON)であればステップS803に行き、ウインカー状態が「OFF」であればステップS808に行く。
【0132】
(ステップS803)右左折状態判断部110の自車両位置情報取得手段1102は、第一車両情報が有する位置情報を取得する。
【0133】
(ステップS804)右左折状態判断部110の直近交差点位置情報取得手段1103は、ステップS803で取得された位置情報に最も近く、進行方向の交差点の位置情報を、地図情報から取得する。なお、進行方向は、進行方向情報から判断され得る。
【0134】
(ステップS805)右左折状態判断部110の交差点距離算出手段1104は、ステップS803で取得した自車両の位置情報と、ステップS804で取得した直近の交差点の位置情報とから、自車両と直近の交差点との距離Dを算出する。
【0135】
(ステップS806)右左折状態判断部110は、ステップS805で算出された距離Dが閾値以下であるか否かを判断する。閾値以下であればステップS807に行き、閾値以下でなければステップS808に行く。
【0136】
(ステップS807)右左折状態判断部110は、変数「状態」に値「右左折状態(例えば、「1」」を代入する。上位処理にリターンする。
【0137】
(ステップS808)右左折状態判断部110は、変数「状態」に値「非右左折状態(例えば、「0」」を代入する。上位処理にリターンする。
【0138】
なお、図8のフローチャートのステップS806において、距離Dが閾値以下であるか否かを判断したが、距離Dが閾値未満であるか否かを判断しても良い。
【0139】
また、図8のフローチャートにおける変数「状態」を見て、右左折状態か否かが判断され得る。
【0140】
次に、ステップS516の優先度制御について、図9のフローチャートを用いて説明する。
【0141】
(ステップS901)優先度制御部116は、自車両の進行方向情報(θ1)を取得する。
【0142】
(ステップS902)優先度制御部116は、他車両の進行方向情報(θ2)を取得する。なお、他車両の進行方向情報は、第二車両情報が有する。
【0143】
(ステップS903)優先度制御部116は、予め格納している基準角(α)を読み出す。なお、基準角(α)は、例えば、0度、90度、180度、270度のいずれかであり、θ1とθ2が、例えば、図4の周波数チャネル(f1)に対応する進行方向情報である場合には、基準角(α)は90度である。
【0144】
(ステップS904)優先度制御部116は、「|θ1−α|>=|θ2−α|」であるか否かを判断する。かかる条件を満たせばステップS905に行き、条件を満たさなければ上位処理にリターンする。
【0145】
(ステップS905)優先度制御部116は、「θ1−α>=0」であるか否かを判断する。かかる条件を満たせばステップS906に行き、条件を満たさなければステップS907に行く。
【0146】
(ステップS906)優先度制御部116は、カレント周波数チャネルに対して、時計回り方向の隣接する周波数チャネルに、カレント周波数チャネルを変更する。上位処理にリターンする。
【0147】
(ステップS907)優先度制御部116は、カレント周波数チャネルに対して、反時計回り方向の隣接する周波数チャネルに、カレント周波数チャネルを変更する。上位処理にリターンする。
【0148】
なお、図9のフローチャートのステップS904において、条件は「|θ1−α|>|θ2−α|」でも良い。
【0149】
以下、本実施の形態における無線通信装置1の具体的な動作について説明する。無線通信装置1の概念図は図1である。
【0150】
無線通信装置1が行う車車間通信システムは、例えば、MM−SA車車間通信システムである。MM−SA車車間通信システムは、複数周波数チャネルおよび複数拡散符号を組み合わせて用いる。MM−SA車車間通信システムの特徴は、以下の(1)から(5)である。
(1)5.8GHz帯でDSRC(Dedicated Short Range Communication)が規定する14本の周波数チャネルのうち、4周波数チャネルを使用すること
(2)東西南北ごとに4つの周波数チャネルを規定し、各車両が進行方向に基づいて自律的に周波数チャネルを選択すること
(3)同一車線上を走行する車両は、送信タイミング制御に基づき、さらにSpread ALOHA方式で送信すること
(4)RC−005に従った送信周期と送信タイミング制御に基づいてパケットを送信し、エリアベース転送方式でマルチホップ通信を行なうこと
(5)RC−005に準拠したパケットフォーマットであること
【0151】
また、MM−SA車車間通信システムにおける周波数チャネル割当機能は、図4を用いて説明した通りである。また、かかる場合、図10で示す車両における無線通信装置1の第一車両情報送信部108は、周波数チャネルf4を用いて、パケット(第一車両情報)を送信することになる。
【0152】
図4、図10を用いて説明した周波数チャネル割当機能では、交差点が直交している場合において良好な結果をもたらす。しかし、実際の交差点形状は多様であり、例えば、図11に示すよう直線道路が鋭角に交差する交差点が考えられる。鋭角交差点を構成する各道路の方向によっては、図4で述べた周波数チャネル制御機能に従うと、図11に示すように車両AとBは異なる道路上を走行しているにも関わらず、同一の周波数チャネルf1を選択するという状況が考えられる(つまり、競合状態が発生する。)。車両CとDとの場合も同様である。この車車間通信システムでは、出会い頭事故防止のために干渉抑制を目的として、例えば、4つの周波数チャネルを進行方向ごとに割り当てることが前提条件となっている。図11の状況下では、4進行方向に対して2つの周波数チャネルが使用され、この前提条件を満たすことができない。そのため、同一周波数チャネルを使用する車両台数が増加し、結果として干渉量が増加し、MM−SAパケット転送方式のパケット到達率が劣化することが懸念される。
【0153】
そのため、無線通信装置1は、上述した処理により、「進行方向ごとに4つの周波数チャネルが選択される状態」を自律的に実現できる。また、無線通信装置1は、右左折車両が存在する状況下において、進行方向ごとに4つの周波数チャネルが選択される状態を維持しつつ、右左折車両のみが周波数チャネルを変更できる。
【0154】
つまり、無線通信装置1の通常時制御部107は、進行方向と東西南北を基準とした周波数チャネル制御機能(上述した通常時制御であるが、以下、適宜、進行方向ベース制御とも言う。)を実現する。また、競合状態判断部109が競合状態を検出し、優先度制御部116または右左折変更部111等が競合状態時に周波数チャネル制御を行う。つまり、ここでの競合時制御は、優先度制御と右左折時制御である。
【0155】
また、競合状態判断部109が競合状態を検出する方法は、上述したように、以下の2つの条件によることが好適である。
(1)パケット受信時の周波数チャネルが自車両のカレント周波数チャネルと等しい。
(2)自車両と相手車両の進行方向差が一定(例えば10度)以上である。
【0156】
そして、競合状態判断部109が競合状態を検出した後、受信車両(自車両)と送信車両(他車両)の走行状態に応じて、優先度制御部116または右左折変更部111等は、優先度制御あるいは右左折時制御のいずれかを実行する。具体的には、優先度制御は両車両が直進しているときに実行され、これにより4つの進行方向に対して4つの異なる周波数チャネルを各車両が選択することが可能となる。右左折時制御は、受信車両と送信車両の少なくとも一方が右左折をしている状態のときに実行され、右左折車両のみのカレント周波数チャネル(以下、単に、周波数チャネルとも言う。)を変更することで、他の直進車両が周波数チャネルを変更する現象を抑えることが可能である。
【0157】
以下、競合状態発見と、発見した競合の原因が右左折車両によるものか否かを判定する方法、優先度制御および右左折時制御について、具体的に述べる。また、各周波数チャネル制御のフラグを用いた管理について説明する。
【0158】
第二車両情報受信部106がパケット(第二車両情報)を受信した後、競合状態判断部109が受信により競合状態を発見した場合、以下のような周波数チャネル制御を行う。つまり、自車両は、自車両が直進状態の場合には、優先度制御部116は優先度制御を実行し、自車両が右左折状態である場合は、右左折変更部111は右左折時制御を実行する。なお、右左折をしている状態を右左折状態、それ以外の状態を直進状態と定義する。右左折時には周波数チャネルを変更する必要があるが、車線変更時には周波数チャネルを変更する必要がない。ウインカー状態のみでは、車線変更と右左折との判断ができないため、右左折状態判断部110は直近交差点位置情報をも用いている。これらの情報を用いて、右左折状態判断部110は、ウインカーONかつ車両と交差点までの距離(図12中のD)が右左折区間(図12中のR)以内であれば右左折状態、それ以外を直進状態と判定する。
【0159】
優先度制御部116が行う優先度制御の目的は、図11で示した様に使用する周波数チャネルが2つになってしまうことを抑え、進行方向ごとに4つの周波数チャネルに振り分けるためである。優先度制御部116は、各車両が自律的に制御するために下記に示す優先度のルール(1)から(3)を設ける。
(1)東西南北方向(北を0度とした際の0度(360度),90度,180度,270度)の優先度が一番高い。
(2)45度,135度,225度,315度の優先度が一番低い。
(3)優先度の比較は度単位で行う。
【0160】
そして、競合状態を検出した車両は、上記ルールに従い自車両と相手車両の優先度を、進行方向を用いて算出し比較する。自車両の優先度が低い場合のみ、優先度制御部116は自車両のカレント周波数チャネルを変更し、そうでなければカレント周波数チャネルの変更は行わない。
【0161】
右左折車両は、一時的に進行方向が変化するため、右左折開始前に同一車線を直進する車両との間で競合を起こす原因となる。さらに、進行方向の変化に伴う右左折車両の優先度の変化は、すでに優先度制御によって4つの周波数チャネルが適切に選択している状態にも関わらず、直進車両が周波数チャネルを変更する可能性があるという問題がある。無線通信装置1は、右左折時制御によってこの問題を解決する。
【0162】
右左折時制御は、自車両と他車両のどちらかの車両が右左折状態であると判定すると実行される。右左折時制御時は、以下のルール(1)から(3)に基づいた制御を行う。
(1)右左折車両のみが周波数チャネルを変更する。
(2)それ以外の車両(直進車両)は、右左折車両との競合発生が生じても周波数チャネルの変更を行わない。
(3)周波数チャネル変更時は、右ウインカー点灯時なら時計回り方向、左ウインカー点灯時は反時計回り方向の隣接する周波数チャネルを選択する。
【0163】
ルール(2)は、右左折動作によって生じた優先度の変化によって直進車両の周波数チャネル変更を抑制するためである。このように、右左折動作に起因する競合の発生時は、右左折車両が自発的に周波数チャネルを変更することで直進車両の周波数チャネル変更を防ぐことが可能となる。
【0164】
無線通信装置1の基本的な動作として、進行方向ベース制御(通常時制御部107による通常時制御)は、周期的なパケット送信時に周波数チャネルを決定する。一方、競合時制御(優先度制御と右左折時制御とを含む制御)は、パケット受信時に必要に応じて実行される。このように、各制御は実行タイミングが異なるため、優先度制御または右左折時制御による周波数チャネルの変更結果を、競合が発生しているにもかかわらず進行方向ベース制御が変更することを防ぐ必要がある。
【0165】
そこで、無線通信装置1は、この問題を解決するために、2つのフラグ(優先度フラグと強制変更フラグ)と1つのフラグ管理タイマ(優先度フラグ管理タイマ)を使用する。各フラグと優先度フラグ管理タイマの動作は、以下に挙げるとおりである。また、各チャネル制御・抑制とフラグの関係を図13に示す。図13は、周波数チャネル制御の概要について説明する図である。
【0166】
つまり、強制変更フラグは、右左折時制御によって自車両の周波数チャネルを変更したときにONになり、ウインカーがOFFになったときにOFFになる。また、強制フラグがON時は、競合状態を発見しても、周波数チャネルは変更しない。
【0167】
また、優先度フラグは、優先度制御によって自車両の周波数チャネルを変更したときにONになり、優先度フラグ管理タイマが満了時にOFFになる。
【0168】
さらに、優先度フラグ管理タイマは、優先度フラグがONになるときに規定時間(例えば3秒)でセットされる。そして、当該タイマ満了時には、優先度フラグをOFFにする。
【0169】
以下、無線通信装置1に対してシミュレーション評価を行うことによる実験結果について述べる。
(実験1)
【0170】
この実験は、周波数チャネル制御によって,進行方向ごとに4つの周波数チャネルを選択し,右左折車両の進行方向変化による直進車両の周波数チャネル変更が抑えられることを確認するための実験である。
【0171】
この実験を、自律分散アプリケーションを対象としたシミュレータ「NetLogo」(URL:http//ccl.northwestern.edu/netlogo/を参照のこと。)を用いて行った。本シミュレータは、自律的な周波数チャネル制御の評価に十分であることと、視覚的な動作確認を容易に行うことができることから採用した。本評価は、右折車両が存在する場合における周波数チャネルの割当状況を確認することを目的としているため、シミュレーション・トポロジは図14に示す通り1つの交差点を対象とした。交差点形状は、優先道路と規制道路が鋭角に交差する交差点とし、27台の車両を配置した状況で交差点の交差角を、図15に示すパラメータで評価した。また、競合発生を検知する際の条件の1つである車両間の進行方向差を10度と設定した。これは、車線変更による進行方向変化と右左折による進行方向変化とを判別することが目的である。
【0172】
交差角60度とした場合のシミュレーション時における右折車両は、図16に示した通りに走行状態が変化する。右折車両は、交差点手前30mの時点でウインカーを点灯し、交差点中央から距離11m以内を走行中は右左折状態と判断される。右折中は、進行方向が70度から130度まで変化する。右左折状態は、右折終了時のウインカー消灯によって終了し、その後直進状態へ戻る。また、以下に、(a)競合発生時に進行方向ベース制御を適用した場合、(b)競合発生時において優先度制御のみを適用した場合、(c)同じく無線通信装置1の手法(優先度制御と右左折時制御)を適用した場合についてのシミュレーション結果について述べる。また、実験2で、交差角を変更した場合における本手法の周波数チャネル制御結果についても述べる。
(a)進行方向ベース制御のみによる制御結果
【0173】
図17に進行方向ベース制御のみによる周波数チャネル制御結果を示す。進行方向ベース制御は、進行方向が東西南北のいずれの方角を向いているかのみによって周波数チャネルを選択する。そのため、全車両が直進している状態では、各進行方向にしたがって2つの周波数チャネルのみが選択される結果となった。右折車両が右折する際には、右折車両の進行方向が70度から130度へ変化する。周波数チャネルf1の選択範囲内(45度〜135度)でのみ変化するため、右折車両の周波数チャネル制御結果に変更が生じなかった。したがって、シミュレーション開始から終了までの間、周波数チャネルの選択状況に変化が生じなかった。このように,進行方向ベース制御のみによる周波数チャネル制御では、鋭角交差点のような交差点形状において4つの進行方向に対して2つの周波数チャネルのみ選択され、4つの周波数チャネルを使用することが困難となる状況が存在することが明らかとなった。
(b)競合検知時に優先度制御のみを適用した場合の制御結果
【0174】
競合発生時において優先度制御のみを行った場合の結果を図18に示す。シミュレーションの開始から右折車両が右折するまでの間は、すべての車両が直進をしている状態のため、優先道路と規制道路の車両間で発生する競合に対して優先度制御が実行され、4つの周波数チャネルが進行方向ごとに選択されている。シミュレーション開始から約5.5秒経過した時点で大きな変動が発生している。これは、右折車両の右折に伴い進行方向が10度変化した時点であり、その結果同一車線を走行していた図14に示した直進車両群Aとの間で競合が発生したためである。この時点では、(右折車両の優先度>直進車両群Aの優先度)であるため、直進車両群Aの車両8台が周波数チャネルをf1からf4に変更する。優先度制御によって周波数チャネルの選択状況に大きな変化が生じた後、3秒経過後(優先度フラグ管理タイマ満了後)に周波数チャネルf4を選択している車両台数が元の5台に戻り、周波数チャネルf2が1台分増加している。この時点では、右折車両の右折が進行していることによって(右折車両の優先度<直進車両群Aの優先度)、優先度が逆転している。そのため、直進車両群Aは初期状態と同じ周波数チャネルf1を再度選択することによって、f1とf4を選択する車両数が右折開始前の状態に戻る。また、右折車両は、優先度制御によって周波数チャネルをf1からf2へ変更している。
【0175】
このように、すべての競合発生時に優先度制御を適用した場合、全車両が直進状態の状況では、進行方向ごとに4つの周波数チャネルが選択されることが確認できた。しかし、右左折による進行方向の一時的な変化に対して、直進車両が周波数チャネルを変更する可能性があり、本手法(無線通信装置1の手法)の目的を達成するためには十分でないことを確認した。
(c)競合検知時に優先度制御と右左折時制御とを適用した場合の制御結果
【0176】
無線通信装置1の手法を適用した場合の周波数チャネル制御結果を図19に示す。無線通信装置1の手法では、シミュレーション開始から右折車両が右折によって進行方向が10度変化するまでの間は優先度制御が行われる。したがって、約5.5秒までは図18と同等の結果を示している。約5.5秒時点において発生する競合に対して、本手法では右左折時制御を実行し、その結果右左折状態の車両のみが周波数チャネルを変更する。ただし、他の直進車両は、右左折時制御によって右左折車両の競合に対応せず、優先度制御の制御結果に基づいた周波数チャネルを使用する。そのため、本手法による結果では、右折車両が周波数チャネルをf1からf2に変更するだけの結果となっている。したがって,本方式によって、MM−SA車車間通信システムで要求される進行方向ごとに異なる周波数チャネルの選択が行われている状態を、右折車両が存在する状況下でも維持できていることが確認できた。
【0177】
したがって、本シミュレーション環境においては、使用周波数チャネル数が4chであり、周波数チャネルを変更する車両台数が右折車両の1台であることが目標値となる。この目標値とシミュレーション結果との比較を図20に示す。比較の結果、本手法によって目標値が達成されたことが確認された。進行方向ベースのみによる制御では、どちらの項目においても目標値を達成できなかった。競合発見時において優先度制御のみを実行した場合は、右折時に直進車両が周波数チャネルを変更していたため、全車両が直進状態の時のみ目標値が達成されていた。したがって、競合発生時において、優先度制御と右左折時制御が状態に応じて適切に実行されることが、良好な結果をもたらすことが明らかとなった。
(実験2)
【0178】
優先道路と規制道路との交差角を5度,30度,90度に変更した場合における本手法のシミュレーション評価を行った。交差角が5度の場合の結果は、図示していないが図17と同じであった。これは、競合を検知する条件の1つとして進行方向の差を10度と設定していることから、交差角が5度では競合が発生していることを検知できないためである。交差角が30度時と90度時の結果は、図21と図22に示す通り、図19で示した交差角60度の場合とほぼ同一の結果となった。周波数チャネルを変更するタイミングがそれぞれ多少異なる理由は、交差角の変化により交差点形状が変化しているためである。ただし、交差角90度(直交交差点)の場合では、優先度制御を行わずとも進行方向ベース制御によって進行方向ごとに異なる周波数チャネルを選択可能である。したがって、全車両が直進している場合には競合が発生しないため進行方向ベース制御が実行され、右折車両が右折中の場合にのみ競合が発生し、右折車両に対する右左折時制御が実行されるという結果になった。つまり、進行方向ベース制御に加えて、優先度制御を行わずとも、右左折時制御を行うことによる効果も検証できた。ただし、鋭角交差点であっても、各道路の進行方向によっては直交交差点と同様の結果となる。
【0179】
図23は、各交差角における提案手法の制御結果、およびその時の動作をまとめたものである。
【0180】
以上、本実施の形態によれば、無線通信装置1は、競合状態の場合に、適切に周波数チャネルの変更が行われ、パケット衝突による干渉が生じる可能性を低減できる。
また、本実施の形態によれば、無線通信装置1は、交差点の形状および右左折車両による動的な進行方向の変化を考慮した周波数チャネル制御手法を実現する。特に、無線通信装置1は、車両の右左折を考慮した周波数チャネルの変更ができる。
また、本実施の形態によれば、無線通信装置1は、周波数チャネル制御機構を設けることで、所望波/干渉波が小さい環境においても、周波数チャネルを分けることにより、直接波で受信車両に届く干渉波を抑制することができ、所望波を正しく復調できる。
【0181】
なお、本実施の形態の具体例によれば、無線通信装置1は、通常時制御に加えて、優先度制御を行った上で、右左折時制御を行った。しかし、無線通信装置1は、通常時制御に加えて、右左折時制御を行うだけでも、一定の効果を奏する。かかる場合の無線通信装置1は、車車間通信装置において利用される無線通信装置であって、自車両に関する情報であり、自車両の位置を示す位置情報と自車両の進行方向を示す進行方向情報とを含む第一車両情報を取得する第一車両情報取得部と、前記自車両とは異なる他車両に関する情報であり、前記他車両の位置を示す位置情報と前記他車両の進行方向を示す進行方向情報とを含む第二車両情報を、前記他車両に設置された他の無線通信装置から受信する第二車両情報受信部と、前記第一車両情報が有する進行方向情報に応じて、前記第一車両情報を送信する周波数チャネルであるカレント周波数チャネルを決定する通常時制御部と、前記カレント周波数チャネルが示す周波数チャネルで、前記第一車両情報を送信する第一車両情報送信部と、前記自車両が、右折または左折をしようとしている状態である右左折状態であるか否かを判断する右左折状態判断部と、前記右左折状態判断部が、右左折状態であると判断した場合、前記カレント周波数チャネルを、右折または左折の状態に応じて変更する右左折変更部とを具備する無線通信装置である。
【0182】
また、本実施の形態によれば、第一車両情報格納部103の第一車両情報や、周辺車両情報格納部104の周辺車両情報(他車両情報を含む)を用いて、例えば、車両情報出力部120は、自車両や周辺車両の位置を、車両1のユーザ(ドライバーなど)に出力することは好適である。ただし、第一車両情報や周辺車両情報(他車両情報を含む)をどのように利用するかは問わない。
【0183】
また、本実施の形態における、第一車両情報格納部103の第一車両情報や、周辺車両情報格納部104の周辺車両情報の構造の例を図24に示す。図24は、複数の周辺車両情報を管理する周辺車両情報管理表である。周辺車両情報管理表は、ここでは、自車両情報(「車両ID=ID4」の情報)、および他車両情報(「車両ID=ID1,ID2,ID3」の情報)を管理している、とする。つまり、第一車両情報格納部103と周辺車両情報格納部104とが一体化されている場合の例である。ここで、自車両情報、および他車両情報は、「車両ID」「時刻」「位置情報」「シーケンス番号」「方向」「相対方向」「相対距離」「周波数CH」「拡散符号CH」を有する。
【0184】
また、本実施の形態において、優先度制御部116は、例えば、第一車両情報が有する進行方向情報(θ1)と基準角(α)の差の絶対値(|θ1−α|)と、第二車両情報が有する進行方向情報(θ2)と基準角(α)の差の絶対値(|θ2−α|)とを算出し、自車両の差の絶対値(|θ1−α|)が他車両の差の絶対値(|θ2−α|)以上または、より大きい場合に、他車両が自車両に対して優先であると判断し、自車両のカレント周波数チャネルを変更した。しかし、優先度制御部116は、以下のようにカレント周波数チャネルを変更しても良い。つまり、以下のように、優先度制御部116は、優先度制御を行っても良い。ここで、真北を中心に±45度範囲に2つの車両が同一の周波数f4を使用している場合を例に示す(図25参照)。優先度制御部116は、自律的に制御する際の優先順位を「(1)>(2)>(3)」とする、とする。ここで、(1)、(2)、(3)は、図25に示す様に、真北を0度とすると、(1)(0度〜15度)範囲と(345度〜360度(0度))範囲、(2)(315度〜345度)範囲、(3)(15度〜45度)範囲である。
【0185】
図25は、車両1の進行方向は(2)の範囲、車両2の進行方向は(1)の場合の例を示したものである。この場合、(1)に存在する車両2の優先順位が高いので、優先度制御部116は、車両1のカレント周波数チャネルをf4から、f3へ変更する。
【0186】
図26は、車両1の進行方向は(2)、車両2の進行方向は(3)の場合の例を示している。この場合、優先順位条件から、車両2の方の優先順位が低いことから、優先度制御部116は、車両2のカレント周波数チャネルをf4からf1へ変更する。なお、かかる優先度制御部116の周波数チャネルの決定方法、および周波数チャネルは、一例であり、これらに制限されるものではないことは言うまでもない。つまり、優先度制御のアルゴリズムは種々あり得る。
【0187】
また、本実施の形態において、使用できる周波数チャネルは4つである場合に説明した。しかし、使用できる周波数チャネルは4つであるとは限らない。使用できる周波数チャネルは、例えば、8つでも良い。かかる場合、全方位(360度)を8つに分割して、通常時制御や優先度制御や右左折時制御を行う。また、使用できる周波数チャネルは、例えば、6つ等でも良い。
【0188】
さらに、本実施の形態における処理は、ソフトウェアで実現しても良い。そして、このソフトウェアをソフトウェアダウンロード等により配布しても良い。また、このソフトウェアをCD−ROMなどの記録媒体に記録して流布しても良い。なお、このことは、本明細書における他の実施の形態においても該当する。なお、本実施の形態における無線通信装置1を実現するソフトウェアは、以下のようなプログラムである。つまり、このプログラムは、車車間通信装置において利用される無線通信方法を実現するプログラムであって、コンピュータを、自車両に関する情報であり、自車両の位置を示す位置情報と自車両の進行方向を示す進行方向情報とを含む第一車両情報を取得する第一車両情報取得部と、前記自車両とは異なる他車両に関する情報であり、前記他車両の位置を示す位置情報と前記他車両の進行方向を示す進行方向情報とを含む第二車両情報を、前記他車両に設置された他の無線通信装置から受信する第二車両情報受信部と、前記第一車両情報が有する進行方向情報に応じて、前記第一車両情報を送信する周波数チャネルであるカレント周波数チャネルを決定する通常時制御部と、前記カレント周波数チャネルが示す周波数チャネルで、前記第一車両情報を送信する第一車両情報送信部と、前記自車両が、右折または左折をしようとしている状態である右左折状態であるか否かを判断する右左折状態判断部と、前記右左折状態判断部が、右左折状態であると判断した場合、前記カレント周波数チャネルを、右折または左折の状態に応じて変更する右左折変更部として機能させるためのプログラム、である。
また、上記プログラムにおいて、コンピュータを、前記自車両と前記他車両とが異なる道路を走行しており、かつ前記自車両と前記他車両とが同一の周波数チャネルを用いて情報を送信している状態である競合状態であるか否かを判断する競合状態判断部としてさらに機能させ、前記右左折状態判断部は、前記競合状態判断部が競合状態であると判断した場合のみ、前記自車両が、右折または左折をしようとしている状態である右左折状態であるか否かを判断するものとして機能させるためのプログラムであることは好適である。
【0189】
また、上記プログラムにおいて、前記競合状態判断部は、前記第一車両情報が有する進行方向情報と前記第二車両情報が有する進行方向情報との差が閾値以上または閾値より大きく、かつ前記自車両と前記他車両とが同一の周波数チャネルを用いて情報を送信している場合に競合状態であると判断するものとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであることは好適である。
【0190】
また、上記プログラムにおいて、前記右左折状態判断部は、ウインカーの状態であるウインカー状態を取得するウインカー状態取得手段と、前記第一車両情報が有する位置情報を取得する自車両位置情報取得手段と、前記自車両の進行方向であり、前記位置情報に最も近い交差点の位置情報を、地図情報から取得する直近交差点位置情報取得手段と、前記自車両位置情報取得手段が取得した位置情報と前記直近交差点位置情報取得手段が取得した交差点の位置情報とを用いて、自車両と直近の交差点との距離を算出する交差点距離算出手段と、前記ウインカー状態がONであり、かつ前記自車両と直近の交差点との距離が閾値以下または閾値より小さいという条件を満たすか否かを判断し、前記条件を満たすとの判断をした場合に右左折状態であるとし、前記条件を満たさないとの判断をした場合に右左折状態でないとする判断手段とを具備するものとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであることは好適である。
【0191】
また、上記プログラムにおいて、コンピュータを、前記右左折変更部が前記カレント周波数チャネルを変更した場合に、強制変更フラグをONにする強制変更フラグ設定部と、予め決められた右左折状態の解除条件に合致するか否かを検出する右左折状態解除検出部と、前記右左折状態解除検出部が右左折状態の解除条件に合致することを検出した場合、前記強制変更フラグをOFFにする強制変更フラグ解除部としてさらに機能させ、前記通常時制御部は、前記強制変更フラグがONである場合、処理を行わないものとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであることは好適である。
【0192】
また、上記プログラムにおいて、前記右左折状態解除検出部は、ウインカーの状態であるウインカー状態を取得するウインカー状態取得手段と、前記ウインカー状態がOFFである場合に、右左折状態の解除条件に合致したことを検出する検出手段とを具備するものとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであることは好適である。
【0193】
また、上記プログラムにおいて、コンピュータを、前記競合状態判断部が競合状態であると判断した場合、前記第一車両情報と前記第二車両情報とを用いて、前記自車両と前記他車両とのうち、どちらが優先であるかを決定し、前記他車両が前記自車両より優先である場合に、前記カレント周波数チャネルを変更する優先度制御部としてさらに機能させるためのプログラムであることは好適である。
【0194】
また、上記プログラムにおいて、前記優先度制御部は、前記第一車両情報が有する進行方向情報(θ1)と基準角(α)の差の絶対値(|θ1−α|)と、前記第二車両情報が有する進行方向情報(θ2)と基準角(α)の差の絶対値(|θ2−α|)とを算出し、前記自車両の差の絶対値(|θ1−α|)が前記他車両の差の絶対値(|θ2−α|)以上または、より大きい場合に、前記カレント周波数チャネルを変更するものとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであることは好適である。
【0195】
また、上記プログラムにおいて、コンピュータを、前記他車両が、右折または左折をしようとしている状態である右左折状態であるか否かを判断する他車両右左折状態判断部としてさらに機能させ、前記優先度制御部は、前記他車両右左折状態判断部が、前記他車両が右左折状態であると判断した場合、動作しないものとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであることは好適である。
【0196】
また、上記プログラムにおいて、コンピュータを、前記優先度制御部が前記カレント周波数チャネルを変更した場合に、優先度フラグをONにする優先度フラグ設定部と、優先度フラグの解除条件に合致したことを検出する優先度フラグ解除検出部と、前記優先度フラグ解除検出部が優先度フラグの解除条件に合致したことを検出した場合、前記優先度フラグをOFFにする優先度フラグ解除部としてさらに機能させ、前記通常時制御部は、前記優先度フラグがONである場合、処理を行わないものとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであることは好適である。
【0197】
また、上記プログラムにおいて、前記優先度フラグ解除部は、前記優先度フラグをONに設定した後、予め決められた時間を経過した場合に、優先度フラグの解除条件に合致したことを検出するものとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであることは好適である。
【0198】
また、上記プログラムにおいて、前記第一車両情報送信部は、所定の周期で、かつ前記カレント周波数チャネルが示す周波数チャネルで、前記第一車両情報を送信し、前記予め決められた時間を経過した場合とは、前記優先度フラグをONに設定した後、予め設定された時間に対する残り時間が、前記所定の周期以内となった場合であるものとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであることは好適である。
【0199】
また、上記プログラムにおいて、前記通常時制御部は、前記第一車両情報送信部が前記第一車両情報を送信した後、前記第一車両情報が有する進行方向情報に応じて、前記第一車両情報を送信する周波数チャネルであるカレント周波数チャネルを決定するものとして、コンピュータを機能させるためのプログラムであることは好適である。
【0200】
また、図27は、本明細書で述べたプログラムを実行して、上述した実施の形態の無線通信装置1を実現するコンピュータの外観を示す。上述の実施の形態は、コンピュータハードウェア及びその上で実行されるコンピュータプログラムで実現され得る。図27は、このコンピュータシステムの概観図であり、図28は、コンピュータシステムのブロック図である。
【0201】
なお、上記プログラムにおいて、情報を送信するステップや、情報を受信するステップなどでは、ハードウェアによって行われる処理、例えば、送信ステップにおけるモデムやインターフェースカードなどで行われる処理(ハードウェアでしか行われない処理)は含まれない。
【0202】
また、上記プログラムを実行するコンピュータは、単数であってもよく、複数であってもよい。すなわち、集中処理を行ってもよく、あるいは分散処理を行ってもよい。
【0203】
また、上記各実施の形態において、一の装置に存在する2以上の通信手段は、物理的に一の媒体で実現されても良いことは言うまでもない。
【0204】
また、上記各実施の形態において、各処理(各機能)は、単一の装置(システム)によって集中処理されることによって実現されてもよく、あるいは、複数の装置によって分散処理されることによって実現されてもよい。
本発明は、以上の実施の形態に限定されることなく、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0205】
以上のように、本発明にかかる無線通信装置は、車車間通信において、適切な周波数チャネル制御を行うことにより、干渉が生じる可能性を低減できる、という効果を有し、無線通信装置等として有用である。
【符号の説明】
【0206】
1 無線通信装置
100 地図情報格納部
101 優先度フラグ格納部
102 強制変更フラグ格納部
103 第一車両情報格納部
104 周辺車両情報格納部
105 第一車両情報取得部
106 第二車両情報受信部
107 通常時制御部
108 第一車両情報送信部
109 競合状態判断部
110 右左折状態判断部
111 右左折変更部
112 強制変更フラグ設定部
113 右左折状態解除検出部
114 強制変更フラグ解除部
115 他車両右左折状態判断部
116 優先度制御部
117 優先度フラグ設定部
118 優先度フラグ解除検出部
119 優先度フラグ解除部
120 車両情報出力部
121 競合時制御部
1101 ウインカー状態取得手段
1102 自車両位置情報取得手段
1103 直近交差点位置情報取得手段
1104 交差点距離算出手段
1105 判断手段
1132 検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車車間通信装置において利用される無線通信装置であって、
自車両に関する情報であり、自車両の位置を示す位置情報と自車両の進行方向を示す進行方向情報とを含む第一車両情報を取得する第一車両情報取得部と、
前記自車両とは異なる他車両に関する情報であり、前記他車両の位置を示す位置情報と前記他車両の進行方向を示す進行方向情報とを含む第二車両情報を、前記他車両に設置された他の無線通信装置から受信する第二車両情報受信部と、
前記第一車両情報が有する進行方向情報に応じて、前記第一車両情報を送信する周波数チャネルであるカレント周波数チャネルを決定する通常時制御部と、
前記カレント周波数チャネルが示す周波数チャネルで、前記第一車両情報を送信する第一車両情報送信部と、
前記自車両と前記他車両とが異なる道路を走行しており、かつ前記自車両と前記他車両とが同一の周波数チャネルを用いて情報を送信している状態である競合状態であるか否かを判断する競合状態判断部と、
前記競合状態判断部が競合状態であると判断し、かつ、予め決められた条件に合致する場合に、前記カレント周波数チャネルを変更する競合時制御部とを具備する無線通信装置。
【請求項2】
前記競合時制御部は、
前記自車両が、右折または左折をしようとしている状態である右左折状態であるか否かを判断する右左折状態判断部と、
前記競合状態判断部が競合状態であると判断し、かつ前記右左折状態判断部が右左折状態であると判断した場合、前記カレント周波数チャネルを、右折または左折の状態に応じて変更する右左折変更部とを具備する請求項1記載の無線通信装置。
【請求項3】
前記競合時制御部は、
前記右左折変更部が前記カレント周波数チャネルを変更した場合に、予め決められた処理を行わないことを示すフラグである強制変更フラグを格納し得る強制変更フラグ格納部と、
前記右左折変更部が前記カレント周波数チャネルを変更した場合に、前記強制変更フラグをONにする強制変更フラグ設定部と、
予め決められた右左折状態の解除条件に合致するか否かを検出する右左折状態解除検出部と、
前記右左折状態解除検出部が右左折状態の解除条件に合致することを検出した場合、前記強制変更フラグをOFFにする強制変更フラグ解除部とをさらに具備し、
前記通常時制御部は、
前記強制変更フラグがONである場合、処理を行わない請求項2記載の無線通信装置。
【請求項4】
前記右左折状態解除検出部は、
ウインカーの状態であるウインカー状態を取得するウインカー状態取得手段と、
前記ウインカー状態がOFFである場合に、右左折状態の解除条件に合致したことを検出する検出手段とを具備する請求項3記載の無線通信装置。
【請求項5】
前記競合時制御部は、
前記競合状態判断部が競合状態であると判断した場合、前記第一車両情報と前記第二車両情報とを用いて、前記自車両と前記他車両とのうち、どちらが優先であるかを決定し、前記他車両が前記自車両より優先である場合に、前記カレント周波数チャネルを変更する優先度制御部を具備する請求項1から請求項4いずれか記載の無線通信装置。
【請求項6】
前記競合時制御部は、
前記他車両が、右折または左折をしようとしている状態である右左折状態であるか否かを判断する他車両右左折状態判断部をさらに具備し、
前記優先度制御部は、
前記他車両右左折状態判断部が、前記他車両が右左折状態であると判断した場合、動作しない請求項5記載の無線通信装置。
【請求項7】
前記競合時制御部は、
前記優先度制御部が前記カレント周波数チャネルを変更した場合に、予め決められた処理を行わないことを示すフラグである優先度フラグを格納し得る優先度フラグ格納部と、
前記優先度制御部が前記カレント周波数チャネルを変更した場合に、前記優先度フラグをONにする優先度フラグ設定部と、
優先度フラグの解除条件に合致したことを検出する優先度フラグ解除検出部と、
前記優先度フラグ解除検出部が優先度フラグの解除条件に合致したことを検出した場合、前記優先度フラグをOFFにする優先度フラグ解除部とをさらに具備し、
前記通常時制御部は、
前記優先度フラグがONである場合、処理を行わない請求項6記載の無線通信装置。
【請求項8】
前記優先度フラグ解除部は、
前記優先度フラグをONに設定した後、予め決められた時間を経過した場合に、優先度フラグの解除条件に合致したことを検出する請求項7記載の無線通信装置。
【請求項9】
前記第一車両情報送信部は、
所定の周期で、かつ前記カレント周波数チャネルが示す周波数チャネルで、前記第一車両情報を送信し、
前記予め決められた時間を経過した場合とは、前記優先度フラグをONに設定した後、予め設定された時間に対する残り時間が、前記所定の周期以内となった場合である請求項8記載の無線通信装置。
【請求項10】
マルチキャリアによる多元接続を行う請求項1から請求項9いずれか記載の無線通信装置であって、
前記第一車両情報送信部は、
各キャリアで、メディアアクセス制御によって、前記カレント周波数チャネルが示す周波数チャネルで、前記第一車両情報を送信する請求項1から請求項9いずれか記載の無線通信装置。
【請求項11】
第一車両情報取得部、第二車両情報受信部、通常時制御部、第一車両情報送信部、競合状態判断部、および競合時制御部により実現され、車車間通信装置において利用される無線通信方法であって、
前記第一車両情報取得部により、自車両に関する情報であり、自車両の位置を示す位置情報と自車両の進行方向を示す進行方向情報とを含む第一車両情報を取得する第一車両情報取得ステップと、
前記第二車両情報受信部により、前記自車両とは異なる他車両に関する情報であり、前記他車両の位置を示す位置情報と前記他車両の進行方向を示す進行方向情報とを含む第二車両情報を、前記他車両に設置された他の無線通信装置から受信する第二車両情報受信ステップと、
前記通常時制御部により、前記第一車両情報が有する進行方向情報に応じて、前記第一車両情報を送信する周波数チャネルであるカレント周波数チャネルを決定する通常時制御ステップと、
前記第一車両情報送信部により、前記カレント周波数チャネルが示す周波数チャネルで、前記第一車両情報を送信する第一車両情報送信ステップと、
前記競合状態判断部により、前記自車両と前記他車両とが異なる道路を走行しており、かつ前記自車両と前記他車両とが同一の周波数チャネルを用いて情報を送信している状態である競合状態であるか否かを判断する競合状態判断ステップと、
前記競合時制御部により、前記競合状態判断ステップで競合状態であると判断し、かつ、予め決められた条件に合致する場合に、前記カレント周波数チャネルを変更する競合時制御ステップとを具備する無線通信方法。
【請求項12】
車車間通信装置において利用される無線通信方法を実現するプログラムであって、
コンピュータを、
自車両に関する情報であり、自車両の位置を示す位置情報と自車両の進行方向を示す進行方向情報とを含む第一車両情報を取得する第一車両情報取得部と、
前記自車両とは異なる他車両に関する情報であり、前記他車両の位置を示す位置情報と前記他車両の進行方向を示す進行方向情報とを含む第二車両情報を、前記他車両に設置された他の無線通信装置から受信する第二車両情報受信部と、
前記第一車両情報が有する進行方向情報に応じて、前記第一車両情報を送信する周波数チャネルであるカレント周波数チャネルを決定する通常時制御部と、
前記カレント周波数チャネルが示す周波数チャネルで、前記第一車両情報を送信する第一車両情報送信部と、
前記自車両と前記他車両とが異なる道路を走行しており、かつ前記自車両と前記他車両とが同一の周波数チャネルを用いて情報を送信している状態である競合状態であるか否かを判断する競合状態判断部と、
前記競合状態判断部が競合状態であると判断し、かつ、予め決められた条件に合致する場合に、前記カレント周波数チャネルを変更する競合時制御部として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−45032(P2011−45032A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−193580(P2009−193580)
【出願日】平成21年8月24日(2009.8.24)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成21年度独立行政法人情報通信研究機構、研究テーマ「高レスポンスマルチホップ自律無線通信システムの研究開発」に関する委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(393031586)株式会社国際電気通信基礎技術研究所 (905)
【Fターム(参考)】