説明

無線LANシステム

【課題】単一の無線通信方式によって無線LAN端末20の着信状態を制限することができると共に、新たに設置する機器を少なくすることができる無線LANシステム10を提供する。
【解決手段】本発明の無線LANシステム10によれば、無線LAN端末20は、無線LAN端末20の着信通知機能を制限するか否かを示す着信通知制御指示をアクセスポイント30から受信した場合に、当該着信通知制御指示が着信通知機能を制限する旨を示すならば、着信の通知方法を、例えば振動やLEDの点滅等に制限する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線LANの規格に基づいて無線通信を行う無線LANシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の無線通信技術の発達に伴い、携帯通信装置が小型化し、持ち運びがさらに容易になっている。また、携帯通信装置の機能も充実してきており、メールや音声通信の着信があった場合に、メロディー等の音や振動、LED(Light Emitting Diode)の点滅等によって、当該着信を通知する機能を備える携帯通信装置も存在する。しかし、コンサートや重要な会議が行なわれている会場等では、音によって着信を通知する場合、他の聴衆や参加者に迷惑がかかる場合がある。
【0003】
これを回避する技術として、特許文献1には、着信状態を制限したい場所(会議室等)に、携帯通信装置の着信状態を制限するための制限信号を無線送信する着信状態制御装置を設け、携帯通信装置が当該制限信号を受信した場合に、着信状態を、例えば振動によって通知する方法等に制限する技術が開示されている。
【0004】
また、近年、VoIP(Voice over Internet Protocol)やSIP(Session Initiation Protocol)等の技術を用いることにより、無線LAN方式を用いたネットワーク上で、データ通信や音声通信が実現されている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−284845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記の特許文献1に記載の技術では、会議室等の着信状態を制限したい場所が複数ある場合に、それぞれの場所に着信状態を制限する装置を設ける必要があり、上記課題を解決するためにシステム全体にかかる設備コストが高くなる場合がある。
【0007】
また、上記の特許文献1に記載の技術を実現する場合、当該特許文献1に明確には記載されていないが、それぞれの携帯通信装置に、本来のデータ通信や音声通信を行う無線通信方式の他に、着信状態を制限する装置からの制限信号を受信するための無線通信方式を実現する機能を設ける必要がある。携帯通信装置が複数の無線通信方式を実現する場合、携帯通信機器が大型化したり、携帯通信機器にかかるコストが高くなったりする場合がある。
【0008】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、単一の無線通信方式によって携帯通信装置の着信状態を制御することができると共に、新たに設置する機器を少なくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の無線LANシステムは、アクセスポイントからの指示に応じて配下の無線LAN端末による着信の通知方法を制限させる。
【0010】
例えば、本発明は、無線LAN端末と、配下の無線LAN端末どうしの通信を中継する機能および配下の無線LAN端末と通信網を介した他の通信機器との通信を中継する機能を有するアクセスポイントとを備える無線LANシステムであって、アクセスポイントは、無線LAN端末の着信通知機能を制限するか否かを示す着信通知制御指示を格納するAP側制御指示格納手段と、AP側制御指示格納手段内の着信通知制御指示を配下の無線LAN端末へ送信するAP側制御指示送信手段とを有し、無線LAN端末は、当該無線LAN端末への着信があった場合に、当該着信をユーザに通知する着信通知手段と、着信通知制御指示をアクセスポイントから受信する端末側制御指示受信手段と、端末側制御指示受信手段によって受信された着信通知制御指示が着信通知機能を制限する旨を示す場合に、着信通知手段による着信の通知方法を制限する着信通知制限手段とを有することを特徴とする無線LANシステムを提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の無線LANシステムによれば、単一の無線通信方式によって携帯通信装置の着信状態を制御することができると共に、新たに設置する機器を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施形態に係る無線LANシステム10の構成の一例を示す。無線LANシステム10は、無線LAN端末20、アクセスポイント30、および制御サーバ40を備える。
【0014】
それぞれの無線LAN端末20は、例えば最も受信信号品質のよいアクセスポイント30に帰属し、当該アクセスポイント30と無線LANに基づく無線通信を行うことにより、当該アクセスポイント30を介して、当該アクセスポイント30に帰属している他の無線LAN端末20や、他のアクセスポイント30に帰属している無線LAN端末20、有線ネットワーク11に接続されている制御サーバ40や通信機器12等と通信を行う。
【0015】
無線LAN端末20は、他の無線LAN端末20や通信機器12から着信があった場合に、例えばメロディー等の音や振動、LEDの点滅等によって、着信があった旨を無線LAN端末20のユーザに通知する機能を有する。また、無線LAN端末20は、帰属中のアクセスポイント30から着信の通知方法を制限する旨を示す着信通知制御指示を受信した場合に、着信の通知方法を、音による通知方法以外の所定の通知方法に制限する(いわゆるマナーモードに設定する)。
【0016】
なお、それぞれの無線LAN端末20は、有線ネットワーク11に接続されているインターネット等の外部ネットワークを介して、当該外部ネットワークに接続されている他の通信機器12と通信を行ってもよい。また、本例において、無線LAN端末20は音声通信端末であり、例えばSIPに基づいて、他の無線LAN端末20や通信機器12と音声通信を行う。また、他の例として、無線LAN端末20は、音声データ以外のデータを送受信するデータ通信端末や、音声データおよび音声データ以外のデータの両方を送受信する通信端末等であってもよい。
【0017】
なお、本実施形態では、アクセスポイント30の上位ネットワークとして、有線ネットワーク11を例に説明しているが、当該上位ネットワークは、アクセスポイント30と無線LAN端末20との間で使用される方式とは異なる無線通信方式を使用する無線ネットワークであってもよい。
【0018】
それぞれのアクセスポイント30は、会議室やコンサート会場、オフィスフロア等の所定の領域13内に設けられ、有線ネットワーク11に接続されている。アクセスポイント30は、IEEE802.11aやIEEE802.11b等の無線LANの規格に基づいて、それぞれの無線LAN端末20と無線通信を行うと共に、有線ネットワーク11を介して、有線ネットワーク11に接続されている制御サーバ40や他の通信機器12と、例えばイーサネット(登録商標)等の通信規格に基づいて有線通信を行う。
【0019】
アクセスポイント30は、着信通知制御指示を制御サーバ40から受信して格納し、格納した着信通知制御指示を配下の無線LAN端末20に送信することにより、当該着信通知制御指示に応じて、配下の無線LAN端末20の着信通知方法を制限する。このように、それぞれの領域13に設けられたアクセスポイント30によって、当該アクセスポイント30に帰属した無線LAN端末20の着信通知方法を制限することにより、コンサートや重要な会議が行なわれている会場等において、ユーザの設定によらず、着信の通知方法を、確実に音以外の方法に設定することができる。
【0020】
なお、図1に示す例では、それぞれの領域13には1台のアクセスポイント30が設けられているが、複数台のアクセスポイント30が設けられていてもよい。この場合、無線LANシステム10は、同一の領域13内に設けられた複数のアクセスポイント30に、同一内容の着信通知制御指示を格納させることが好ましい。
【0021】
制御サーバ40は、それぞれの領域13内の無線LAN端末20の着信通知方法を制限するか否かを、それぞれの領域13毎に一元管理している。そして、領域13において会議等が開催される場合に、当該領域13に設けられているアクセスポイント30へ、着信通知方法を制限する旨の着信通知制御指示を送信する。
【0022】
図2は、無線LAN端末20の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。無線LAN端末20は、制御指示格納部21、制御指示受信部22、着信通知制限部23、受信電界強度測定部24、無線通信部25、着信通知部26、およびデータ通信部27を備える。
【0023】
無線通信部25は、アクセスポイント30と無線LANに基づく無線通信を行うと共に、最寄りのアクセスポイント30への帰属の処理や、帰属先のアクセスポイント30を変更するハンドオーバ処理等の無線LANに基づく無線通信に必要な処理を実行する。
【0024】
データ通信部27は、ユーザから入力された音声や通信データを、無線通信部25を介して他の無線LAN端末20等へ送信すると共に、無線通信部25を介して他の無線LAN端末20等から送信された音声や通信データを受信する。
【0025】
着信通知部26は、データ通信部27が無線通信部25を介して他の無線LAN端末20や通信機器12等から音声や通信データの着信を検出した場合に、当該着信を、例えばメロディー等の音や振動、LEDの点滅等の予めユーザによって設定された方法によってユーザに通知する。受信電界強度測定部24は、無線通信部25を介してアクセスポイント30から送信される電波の受信電界強度を測定する。
【0026】
制御指示受信部22は、無線通信部25を介して、アクセスポイント30から着信通知制御指示および着信通知方法を制限する場合の受信電界強度の閾値を受信し、受信した着信通知制御指示が示す内容および閾値を制御指示格納部21に格納する。本例において、着信通知制御指示および閾値は、無線LANによる通信方式に用いられるビーコン信号に格納されてアクセスポイント30から定期的に送信される。
【0027】
着信通知制限部23は、制御指示格納部21を参照し、着信の通知方法を制限する旨が制御指示格納部21内に格納されている場合、受信電界強度測定部24によって測定された受信電界強度が、制御指示格納部21内に格納された閾値以上か否かを判定する。受信電界強度測定部24によって測定された受信電界強度が閾値以上である場合、着信通知制限部23は、着信通知部26の現在の着信通知設定を読み出して記憶し、予め定められた着信通知方法を着信通知部26に設定する。この場合、他の例として、着信通知制限部23は、着信通知部26に設定された着信通知方法が音によるものではない場合、着信通知部26の設定を変更しないようにしてもよい。
【0028】
その後、受信電界強度測定部24によって測定された受信電界強度が閾値未満となった場合、あるいは、着信の通知方法を制限しない旨が制御指示格納部21内に格納された場合、着信通知制限部23は、記憶していた着信通知設定を着信通知部26に設定することにより、着信通知部26の通知設定を元に戻す。
【0029】
図3は、アクセスポイント30の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。アクセスポイント30は、有線通信部31、制御指示受信部32、無線通信部33、および制御指示格納部34を備える。
【0030】
有線通信部31は、イーサネット(登録商標)等の通信規格に基づいて、有線ネットワーク11を介して制御サーバ40や通信機器12、他のアクセスポイント30、さらには公衆網を介した相手機器(図示せず)との通信を行う。
【0031】
制御指示受信部32は、有線通信部31を介して、制御サーバ40から着信通知制御指示および着信通知方法を制限する場合の受信電界強度の閾値を受信し、受信した着信通知制御指示および閾値を制御指示格納部34に格納する。制御指示格納部34は、配下の無線LAN端末20に通知する着信通知制御指示および閾値を格納する。
【0032】
無線通信部33は、IEEE802.11aやIEEE802.11b等の無線LANの規格に基づいて、無線LAN端末20と無線通信を行う。また、無線通信部33は、制御指示格納部34に格納された着信通知制御指示および閾値を、無線通信により配下の無線LAN端末20へ送信する。
【0033】
本例において、無線通信部33は、着信通知制御指示および閾値を、無線LANによる通信方式に用いられるビーコン信号に格納して定期的に無線LAN端末20へ送信する。そのため、アクセスポイント30は、制御サーバ40から通知された最新の着信通知制御指示を配下の無線LAN端末20に通知することができる。
【0034】
なお、アクセスポイント30は、無線LAN端末20の帰属時に着信通知制御指示および閾値を当該無線LAN端末20に通知し、着信通知制御指示の内容に変更があった場合に、ビーコン内に着信通知制御指示および閾値を格納して、配下の無線LAN端末20へ送信するようにしてもよい。
【0035】
図4は、制御サーバ40の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。制御サーバ40は、部屋情報格納部41、制御指示格納部42、制御指示設定部43、予約状況管理部44、制御指示送信部45、および有線通信部46を備える。
【0036】
有線通信部46は、イーサネット(登録商標)等の通信規格に基づいて、有線ネットワーク11を介してアクセスポイント30や通信機器12等と有線通信を行う。部屋情報格納部41は、例えば図5に示すように、それぞれの領域13に設置されているアクセスポイント30の識別情報であるアクセスポイントID411を、会議室等の領域13を識別する部屋ID410に対応付けて予め格納している。
【0037】
予約状況管理部44は、有線通信部46を介して他の機器から会議室等の部屋の予約を指示された場合に、受信した指示に応じて、それぞれの部屋の使用開始日時や使用終了日時等の予約状況を管理する。そして、予約状況管理部44は、カレンダー機能や時計機能を内蔵しており、現在の日時が、予約された部屋の使用開始日時となった場合に、部屋情報格納部41を参照して、対応する部屋に設置されているアクセスポイント30のアクセスポイントID411を抽出し、抽出したアクセスポイントID411を、着信の通知方法を制限する旨を示す着信通知制御指示と共に、制御指示設定部43に通知する。
【0038】
一方、現在の日時が、予約された部屋の使用終了日時となった場合、予約状況管理部44は、部屋情報格納部41を参照して、対応する部屋に設置されているアクセスポイント30のアクセスポイントID411を抽出し、抽出したアクセスポイントID411と共に、着信の通知方法を制限しない旨を示す着信通知制御指示を制御指示設定部43に通知する。
【0039】
制御指示格納部42は、例えば図6に示すように、着信通知制御指示421および着信の通知方法の制限を実行する受信電界強度の閾値422を、アクセスポイントID420に対応付けて格納する。制御指示設定部43は、アクセスポイント30の識別情報と共に着信通知制御指示を予約状況管理部44から通知された場合、着信通知制御指示421内の、対応する着信通知制御指示を、通知された着信通知制御指示で更新する。なお、本例において、制御指示格納部42内の閾値422は、対応するアクセスポイント30が領域13内に設置された段階で、着信通知方法を制限すべきエリアの広さに応じて、予め制御指示格納部42に設定される。
【0040】
制御指示送信部45は、制御指示格納部42内の着信通知制御指示421が更新された場合に、更新された着信通知制御情報を、対応する閾値と共に、有線通信部46を介して、対応するアクセスポイント30へ送信する。なお、制御指示送信部45は、制御指示格納部42内の着信通知制御情報が、着信の通知方法を制限しない旨に変更された場合に、閾値を送信しないようにしてもよい。
【0041】
図7は、無線LAN端末20の動作の一例を示すフローチャートである。例えば電源が投入される等の所定のタイミングで、無線LAN端末20は、本フローチャートに示す処理を開始する。
【0042】
まず、制御指示受信部22は、ビーコンを受信したか否かを判定する(S100)。ビーコンを受信していない場合(S100:No)、制御指示受信部22は、ビーコンを受信するまでステップ100を繰り返す。
【0043】
ビーコンを受信した場合(S100:Yes)、制御指示受信部22は、ビーコンから着信通知制御指示および閾値を抽出し、抽出した着信通知制御指示および閾値を制御指示格納部21に格納する(S101)。そして、着信通知制限部23は、制御指示格納部21を参照して、着信の通知方法を制限する旨が制御指示格納部21に格納されているか否かを判定する(S102)。
【0044】
着信の通知方法を制限する旨が制御指示格納部21内に格納されている場合(S102:Yes)、着信通知制限部23は、受信電界強度測定部24によって測定された受信電界強度が、制御指示格納部21内に格納された閾値以上か否かを判定する(S103)。受信電界強度が閾値未満である場合(S103:No)、着信通知制限部23は、ステップ106に示す処理を実行する。
【0045】
受信電界強度が閾値以上である場合(S103:Yes)、着信通知制限部23は、着信の通知方法が制限されていたか否かを判定する(S104)。着信の通知方法が制限されていた場合(S104:Yes)、制御指示受信部22は、再びステップ100に示した処理を実行する。
【0046】
着信の通知方法が制限されていない場合(S104:No)、着信通知制限部23は、着信通知部26の現在の着信通知設定を読み出して記憶し、音による通知方法以外の所定の着信通知方法を着信通知部26に設定し(S105)、制御指示受信部22は、再びステップ100に示した処理を実行する。
【0047】
ステップ102において、着信の通知方法を制限する旨が制御指示格納部21内に格納されていない場合(S102:No)、着信通知制限部23は、着信の通知方法が制限されていたか否かを判定する(S106)。着信の通知方法が制限されていない場合(S106:No)、制御指示受信部22は、再びステップ100に示した処理を実行する。
【0048】
着信の通知方法が制限されていた場合(S106:Yes)、着信通知制限部23は、着信の通知方法を制限する前に記憶しておいた着信通知部26の着信通知設定を読み出して着信通知部26に設定することにより、着信通知部26の着信通知方法を元の設定に戻し(S107)、制御指示受信部22は、再びステップ100に示した処理を実行する。
【0049】
図8は、アクセスポイント30の動作の一例を示すフローチャートである。例えば電源が投入される等の所定のタイミングで、アクセスポイント30は、本フローチャートに示す処理を開始する。
【0050】
まず、制御指示受信部32は、着信通知制御指示および閾値を制御サーバ40から受信したか否かを判定する(S200)。着信通知制御指示および閾値を制御サーバ40から受信した場合(S200:Yes)、制御指示受信部32は、受信した着信通知制御指示および閾値を、制御指示格納部34に格納し(S201)、再びステップ200に示した処理を実行する。
【0051】
着信通知制御指示および閾値を制御サーバ40から受信していない場合(S200:No)、無線通信部33は、ビーコンの送信タイミングか否かを判定する(S202)。ビーコンの送信タイミングではない場合(S202:No)、制御指示受信部32は、再びステップ200に示した処理を実行する。
【0052】
ビーコンの送信タイミングである場合(S202:Yes)、無線通信部33は、着信通知制御指示および閾値を制御指示格納部34から読み出し、読み出した着信通知制御指示および閾値をビーコンに格納して、配下の無線LAN端末20へ無線通信により送信し(S203)、制御指示受信部32は、再びステップ200に示した処理を実行する。
【0053】
図9は、制御サーバ40の動作の一例を示すフローチャートである。例えば電源が投入される等の所定のタイミングで、制御サーバ40は、本フローチャートに示す処理を開始する。
【0054】
まず、予約状況管理部44は、有線通信部46を介して、会議室等の予約を指示する予約情報を受信したか否かを判定する(S300)。予約情報を受信した場合(S300:Yes)、予約状況管理部44は、受信した予約情報に応じて、使用開始日時および使用終了日時を、対応する部屋の識別情報に対応付けて格納する等の予約処理を実行し(S301)、予約状況管理部44は、再びステップ300に示した処理を実行する。
【0055】
予約情報を受信していない場合(S300:No)、予約状況管理部44は、現在の日時が、予約された部屋の使用開始日時となったか否かを判定する(S302)。現在の日時が、予約された部屋の使用開始日時となった場合(S302:Yes)、予約状況管理部44は、部屋情報格納部41を参照して、対応する部屋に設置されたアクセスポイント30の識別情報を抽出する。そして、予約状況管理部44は、抽出した識別情報を、着信の通知方法を制限する旨を示す着信通知制御指示と共に、制御指示設定部43に通知する(S303)。
【0056】
次に、制御指示設定部43は、予約状況管理部44から通知された着信通知制御指示を、予約状況管理部44から通知された識別情報に対応する制御指示格納部42内の箇所に格納することにより更新する(S304)。そして、制御指示送信部45は、制御指示格納部42内において更新された着信通知制御指示を、対応する閾値と共に、有線通信部46を介して、対応するアクセスポイント30へ送信し(S305)、予約状況管理部44は、再びステップ300に示した処理を実行する。
【0057】
現在の日時が、予約された部屋の使用開始日時となっていない場合(S302:No)、予約状況管理部44は、現在の日時が、予約された部屋の使用終了日時となったか否かを判定する(S306)。現在の日時が、予約された部屋の使用終了日時となっていない場合(S306:No)、予約状況管理部44は、再びステップ300に示した処理を実行する。
【0058】
現在の日時が、予約された部屋の使用終了日時となった場合(S306:Yes)、予約状況管理部44は、部屋情報格納部41を参照して、対応する部屋に設置されたアクセスポイント30の識別情報を抽出する。そして、予約状況管理部44は、抽出した識別情報を、着信の通知方法を制限しない旨を示す着信通知制御指示と共に、制御指示設定部43に通知する(S307)。
【0059】
次に、制御指示設定部43は、予約状況管理部44から通知された着信通知制御指示を、予約状況管理部44から通知された識別情報に対応する制御指示格納部42内の箇所に格納することにより更新する(S308)。そして、制御指示送信部45は、制御指示格納部42内において更新された着信通知制御指示を、対応する閾値と共に、有線通信部46を介して、対応するアクセスポイント30へ送信し(S309)、予約状況管理部44は、再びステップ300に示した処理を実行する。
【0060】
以上、本発明の実施の形態について説明した。
【0061】
上記説明から明らかなように、本実施形態の無線LANシステム10によれば、単一の無線通信方式によって無線LAN端末20の着信状態を制限することができると共に、新たに設置する機器を少なくすることができる。
【0062】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0063】
例えば、上記した本実施形態では、無線LAN端末20は、帰属中のアクセスポイント30から着信の通知方法を制限する旨を指示された場合に、受信電界強度が閾値以上ならば、着信の通知方法を制限するようにしたが、他の形態として、無線LAN端末20は、着信の通知方法を制限する旨を帰属中のアクセスポイント30から指示された場合に、着信の通知方法を制限しない旨を指示されるまで、受信電界強度によらず、着信の通知方法を制限するようにしてもよい。
【0064】
また、上記した実施形態では、それぞれのアクセスポイント30は、制御サーバ40からの指示に応じて、配下の無線LAN端末20の着信通知方法を制限したが、他の形態として、無線LANシステム10内に制御サーバ40を設けず、それぞれのアクセスポイント30は、予めそれぞれのアクセスポイント30に設定された着信通知方法の制限の有無に応じて、配下の無線LAN端末20の着信通知方法を制限するようにしてもよい。
【0065】
この場合、アクセスポイント30にスイッチが設けられ、当該スイッチがオンにされたアクセスポイント30は、配下の無線LAN端末20の着信通知方法を常に制限するようにしてもよい。
【0066】
また、上記した予約状況管理部44は、現在の日時が使用開始日時になった場合に、制御指示格納部42に格納された閾値を読み出し、読み出した閾値と共に、着信の通知方法を制限する旨を示す着信通知制御指示を、有線通信部46を介してアクセスポイント30へ送信し、現在の日時が使用終了日時になった場合に、着信の通知方法を制限しない旨を示す着信通知制御指示を、有線通信部46を介してアクセスポイント30へ送信するようにしてもよい。
【0067】
また、上記した実施形態では、無線LAN端末20は、着信の通知方法を制限するか否かを示す指示を、帰属中のアクセスポイント30から通知されるが、他の形態として、無線LAN端末20は、帰属中のアクセスポイント30を介して、定期的に、制御サーバ40内の制御指示格納部42を参照して、着信の通知方法を制限すべきか否かを判定するようにしてもよい。
【0068】
また、上記した実施形態では、無線通信方式の一例として無線LANを用いて説明したが、本発明はこれに限られず、WCDMA(Wideband Code Division Multiple Access)やPDC(Personal Digital Cellular)等の携帯電話方式やPHS(Personal Handyphone System)、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の他の通信方式においても本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施形態に係る無線LANシステム10の構成の一例を示すシステム構成図である。
【図2】無線LAN端末20の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図3】アクセスポイント30の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図4】制御サーバ40の詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【図5】部屋情報格納部41に格納されるデータ構造の一例を示す説明図である。
【図6】制御指示格納部42に格納されるデータ構造の一例を示す説明図である。
【図7】無線LAN端末20の動作の一例を示すフローチャートである。
【図8】アクセスポイント30の動作の一例を示すフローチャートである。
【図9】制御サーバ40の動作の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0070】
10・・・無線LANシステム、11・・・有線ネットワーク、12・・・通信機器、13・・・領域、20・・・無線LAN端末、21、34、42・・・制御指示格納部、22、32・・・制御指示受信部、23・・・着信通知制限部、24・・・受信電界強度測定部、25、33・・・無線通信部、26・・・着信通知部、27・・・データ通信部、30・・・アクセスポイント、31、46・・・有線通信部、40・・・制御サーバ、41・・・部屋情報格納部、410・・・部屋ID、411、420・・・アクセスポイントID、421・・・着信通知制御指示、422・・・閾値、43・・・制御指示設定部、44・・・予約状況管理部、45・・・制御指示送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LAN端末と、
配下の無線LAN端末どうしの通信を中継する機能および配下の無線LAN端末と通信網を介した他の通信機器との通信を中継する機能を有するアクセスポイントと
を備える無線LANシステムであって、
前記アクセスポイントは、
無線LAN端末の着信通知機能を制限するか否かを示す着信通知制御指示を格納するAP側制御指示格納手段と、
前記AP側制御指示格納手段内の着信通知制御指示を配下の無線LAN端末へ送信するAP側制御指示送信手段と
を有し、
前記無線LAN端末は、
当該無線LAN端末への着信があった場合に、当該着信をユーザに通知する着信通知手段と、
前記着信通知制御指示を前記アクセスポイントから受信する端末側制御指示受信手段と、
前記端末側制御指示受信手段によって受信された着信通知制御指示が着信通知機能を制限する旨を示す場合に、前記着信通知手段による着信の通知方法を制限する着信通知制限手段と
を有することを特徴とする無線LANシステム。
【請求項2】
請求項1に記載の無線LANシステムであって、
前記AP側制御指示送信手段は、
前記着信通知制御指示を、ビーコン内に格納して、配下の無線LAN端末へ送信すること
を特徴とする無線LANシステム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の無線LANシステムであって、
前記無線LAN端末は、
着信通知機能の制限を実行する受信電界強度の閾値を格納する端末側閾値格納手段
をさらに備え、
前記着信通知制限手段は、
前記端末側制御指示受信手段によって受信された着信通知制御指示が着信通知機能を制限する旨を示しており、かつ、前記アクセスポイントからの受信電界強度が前記閾値以上の場合に、前記着信通知手段による着信の通知方法を制限すること
を特徴とする無線LANシステム。
【請求項4】
請求項3に記載の無線LANシステムであって、
前記AP側制御指示格納手段は、配下の無線LAN端末へ通知する前記閾値をさらに格納し、
前記AP側制御指示送信手段は、前記AP側制御指示格納手段に格納された閾値を、前記着信通知制御指示と共に配下の無線LAN端末へ送信し、
前記端末側制御指示受信手段は、前記アクセスポイントからさらに前記閾値を受信し、受信した前記閾値を前記端末側閾値格納手段に格納すること
を特徴とする無線LANシステム。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載の無線LANシステムであって、
前記アクセスポイントは、前記無線LANシステム内に複数設けられ、
前記無線LANシステムは、
それぞれのアクセスポイントに、当該アクセスポイントの配下の無線LAN端末に着信通知機能を制限させるか否かを一元管理する制御サーバをさらに備え、
前記制御サーバは、
それぞれのアクセスポイントに対する着信通知制御指示を、当該アクセスポイントの識別情報に対応付けて格納するサーバ側制御指示格納手段と
前記サーバ側制御指示格納手段を参照して、対応するアクセスポイントのそれぞれへ、前記着信通知制御指示を送信するサーバ側制御指示送信手段と
を有し、
前記アクセスポイントは、
前記着信通知制御指示を前記制御サーバから受信し、受信した着信通知制御指示を、前記AP側制御指示格納手段に格納するAP側制御指示受信手段をさらに有すること
を特徴とする無線LANシステム。
【請求項6】
請求項5に記載の無線LANシステムであって、
前記制御サーバは、
それぞれの部屋に設けられているアクセスポイントの識別情報を、対応する部屋の識別情報に対応付けて格納する部屋情報格納手段と
それぞれの部屋の予約状況を管理する予約状況管理手段と、
前記予約状況管理手段によって管理されている予約時間になった場合に、前記部屋情報格納手段を参照して、対応する部屋内のアクセスポイントの着信通知制御指示を、配下の無線LAN端末の着信通知機能を制限する旨に設定して、サーバ側制御指示格納手段に格納する制御指示設定手段と
をさらに有すること
を特徴とする無線LANシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−202027(P2007−202027A)
【公開日】平成19年8月9日(2007.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−20705(P2006−20705)
【出願日】平成18年1月30日(2006.1.30)
【出願人】(000134707)株式会社ナカヨ通信機 (522)
【Fターム(参考)】