説明

無臭化したポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法、それを含有してなる化粧料原料および化粧料

【課題】酸による炭素−酸素結合やケイ素−酸素結合の切断が起こらず、実質的に無臭化され、経時で臭気を発生することもないため、毛髪化粧料や皮膚化粧料などの化粧料用途への使用に好適なポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を製造する方法を提供する。該組成物を含有する化粧料原料および化粧料を提供する。
【解決手段】ヒドロシリル化反応により合成したポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を、硫酸水素カリウム等の25℃で固体であり、水溶性であり、かつ、50gをイオン交換水1Lに溶解させたときの水溶液の25℃におけるpHが4以下であることを特徴とする酸性無機塩の存在下で加水分解処理することにより、臭気原因物質を除去することを特徴とするポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法および該精製品を含有する化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無臭化したポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法、それを含有してなる化粧料原料および化粧料に関し、更に詳しくは、経時による臭気の発生が極めて少ないポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法、この製造方法により得られる無臭化された組成物を含有してなる化粧料原料及びそれを配合してなる臭気の極めて少ない化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物は、ケイ素原子結合水素基を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンと末端にアリルエーテル基を有するポリオキシアルキレンとのヒドロシリル化反応によって合成されている。しかしながら、このようにして得られたポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物は、経時によって臭気を発生しやすいという問題点があり、これを、毛髪化粧料や皮膚化粧料などの化粧料用途に使用する場合、無香料化が困難であり、その配合量、使用用途が限定されていた。
【0003】
かかる臭気は、ヒドロシリル化反応中に、アリルエーテル基含有ポリオキシアルキレンの末端二重結合の内部転移が起こり、異性体であるプロペニルエーテル基含有ポリオキシアルキレンが副生して、これが系中の水分やわずかな酸の存在により徐々に加水分解して、臭気の原因であるプロピオンアルデヒドが発生するためと考えられている。
【0004】
これを解消するための方法として、例えば、ヒドロシリル化反応後に酸性の水溶液や酸性物質を用い、プロペニルエーテルと作用させ、強制的に加水分解を行い、臭気の原因であるプロピオンアルデヒドを発生させた後、これを除去する方法が提案されている(特許文献1参照)。また、水に代わり、低級アルコールと酸性物質とを用いて、プロペニルエーテル基含有ポリオキシアルキレンを分解し、プロピオンアルデヒドと低級アルコールの付加物を発生させた後、これらを除去する方法が提案されている(特許文献2参照)。しかし、いずれの方法においても、酸性物質としては、塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸、蟻酸、酢酸等の有機酸、ルイス酸等が例示されるのみであり、これらの酸は、加水分解反応時に、ポリオキシアルキレン部位の炭素−酸素結合やオルガノポリシロキサン部位のケイ素−酸素結合を切断するという欠点があった。さらに、加水分解反応を完結させるためには、過剰量の酸や水、又はアルコールが必要であり、これらを揮発除去する必要があるが、この際、前記した酸による炭素−酸素結合やケイ素−酸素結合の切断が助長されるという欠点があった。
【0005】
一方、これらの酸の欠点を解決すべく、ヒドロシリル化反応後に固体酸存在下に処理する方法が提案されている(特許文献3参照)。しかし、固体酸ではプロペニルエーテル基含有ポリオキシアルキレンとの接触が十分でなく、加水分解が不十分となり、経時による臭気発生が起こるという欠点があった。しかも、効率を上げるために使用量を増やすと、ろ過もれによる作業性の悪化や、ろ過工程での目詰まりによる作業性の悪化、さらには着色しやすいという欠点があった。また、固体酸は縮合重合反応の触媒としても知られているため、同様に前記した酸による炭素−酸素結合やケイ素酸素結合の切断が依然として助長されるという欠点があった。 さらに、固体酸は水にも有機溶媒にも不溶であることから、事後の洗浄工程を複雑にしてしまうという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平02−302438公報(特公平07−91389号公報)
【特許文献2】特開2004−189959号公報(特登録4064223)
【特許文献3】国際公開WO2004/046226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、酸による炭素−酸素結合やケイ素−酸素結合の切断が起こらず、実質的に無臭化され、経時で臭気を発生することもないため、毛髪化粧料や皮膚化粧料などの化粧料用途への使用に好適なポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を製造する方法を提供することを目的とする。また、本発明はポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を含有してなり、特有の臭気を感じさせない化粧料原料および該組成物を配合してなり、臭気の極めて少ない化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の目的は、(a)分子鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオキシアルキレン化合物と、(b)オルガノハイドロジェンポリシロキサン とをヒドロシリル化反応させることによりポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を合成する工程〔A〕およびポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を、(c)25℃で固体であり、水溶性であり、かつ、50gをイオン交換水1Lに溶解させたときの水溶液の25℃におけるpHが4以下であることを特徴とする1種類以上の酸性無機塩 の存在下で処理することにより、臭気原因物質を除去する工程〔B〕を有することを特徴とするポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法により達成される。また、本発明の目的は、上記の製造方法により得られたポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を含有する化粧料原料および化粧料により達成される。
【0009】
特に、本発明の目的は、前記の成分(c)として、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウムおよび硫酸水素アンモニウムからなる群から選択される1種以上の酸性無機塩を使用することにより好適に達成できる。さらに、本発明の目的は、前記の工程〔A〕、工程〔B〕およびポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を水素化触媒の存在下、水素添加反応による無臭化処理を行う工程〔C〕を有することを特徴とするポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法により、より好適に達成することができる。同様に、本発明の目的は、上記の製造方法により得られたポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を含有する化粧料原料および化粧料により達成される。
【0010】
すなわち、上記目的は、
「[1] ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法であって、
(a)分子鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオキシアルキレン化合物と、
(b)オルガノハイドロジェンポリシロキサン とをヒドロシリル化反応させることによりポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を合成する工程〔A〕;および
ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を、
(c)25℃で固体であり、水溶性であり、かつ、50gをイオン交換水1Lに溶解させたときの水溶液の25℃におけるpHが4以下であることを特徴とする1種類以上の酸性無機塩 の存在下で処理することにより、臭気原因物質を除去する工程〔B〕
を有することを特徴とするポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法。
[2] 上記の成分(c)が、硫酸水素イオン(HSO)および1価の陽イオン(M)からなる1種以上の酸性無機塩である、[1]に記載のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法。
[3] 上記の成分(c)が、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウムおよび硫酸水素アンモニウムからなる群から選択される1種以上の酸性無機塩である、[1]または[2]に記載のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法。
[4] さらに、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を水素化触媒の存在下、水素添加反応による無臭化処理を行う工程〔C〕
を有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法。
[5] 前記の工程〔C〕が、前記の工程〔B〕に引き続いて行われる工程であることを特徴とする[4]に記載のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法。
[5-1] 特に、工程〔C〕における水素化触媒がラネーニッケル触媒であることを特徴とする、[5]に記載のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法。
[6] 前記の工程〔B〕が、前記の工程〔C〕に引き続いて行われる工程であることを特徴とする[4]に記載のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法。
[6-1] 特に、工程〔C〕における水素化触媒がラネーニッケル触媒であることを特徴とする、[6]に記載のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法。
[7] 工程〔A〕において、
成分(a)が、下記構造式(1):
CH=CH−C2pO−(CO)p1(CO)p2R (1)
{式中、pは1〜10の範囲の数である。p1,p2は0〜30の範囲の数であり、(p1+p2)は4〜50となる範囲の数である。Rは水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基である。}で示される直鎖状のポリオキシアルキレン化合物であり、
成分(b)が、下記構造式(2):
【化1】

(式中、Rは置換もしくは非置換の一価炭化水素基であり、Rは水素原子またはRから選択される基であり、mは0〜1000の範囲の数であり、nは0〜200の範囲の数である。但し、n=0のとき、Rの少なくとも一方は水素原子である。)
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする、 [1]〜[6]のいずれか1項に記載のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法。
[7-1] 上記構造式(2)において、Rが炭素原子数1〜30のアルキル基であり、全てのRの少なくとも50モル%がメチル基である、[7]に記載のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法。
[8] 工程〔B〕の前工程または後工程として、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物に対して、減圧下に、窒素ガスを接触させて低沸分を留去するストリッピング工程を有する[1]〜[7]のいずれか1項にいずれか1項に記載のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法。
[9] [1]〜[8]のいずれか1項に記載の製造方法により得られるポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を含有する化粧料原料。
[10] [1]〜[8]のいずれか1項に記載の製造方法により得られるポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を含有してなる化粧料。」により達成される。
【発明の効果】
【0011】
本発明のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法により、酸による炭素−酸素結合やケイ素−酸素結合の切断が起こらず、実質的に無臭化され、経時で臭気を発生することもないため、毛髪化粧料や皮膚化粧料などの化粧料用途への使用に好適なポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を製造する方法を提供することができる。また、本発明により、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を含有してなり、特有の臭気を感じさせない化粧料原料を提供することができる。さらに、本発明により、該組成物を配合してなり、臭気の極めて少ない化粧料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法、該組成物を含有する化粧料原料及びそれを配合してなる化粧料について、詳細に説明する。
【0013】
本発明に係るポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法は、
(a)分子鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオキシアルキレン化合物と、
(b)オルガノハイドロジェンポリシロキサン とをヒドロシリル化反応させることによりポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を合成する工程〔A〕;および
ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を、
(c)25℃で固体であり、水溶性であり、かつ、50gをイオン交換水1Lに溶解させたときの水溶液の25℃におけるpHが4以下であることを特徴とする1種類以上の酸性無機塩 の存在下で処理することにより、臭気原因物質を除去する工程〔B〕
を有することを特徴とするポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法である。
【0014】
<工程〔A〕>
工程〔A〕は、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の粗製品の合成工程であり、(a)分子鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオキシアルキレン化合物と、(b)オルガノハイドロジェンポリシロキサン とをヒドロシリル化反応させることにより行われる。
【0015】
成分(a)は、分子鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオキシアルキレン化合物であり、本発明に係るポリオキシアルキレン変性ポリシロキサンに、ポリシロキサン主鎖としての特性に加えて、ポリオキシアルキレン結合に由来する親水性を付与する成分であり、ヒドロシリル化反応により成分(b)に導入される。
【0016】
末端二重結合を有するポリオキシアルキレン化合物としては、一般式: RO(R4O)で示される化合物が挙げられる。上式中、Rは水素原子または一価炭化水素基であり、少なくとも一方は、ビニル基,ヘキセニル基などの末端二重結合を有するアルケニル基であり、Rの一方が炭素原子数2〜12の末端二重結合を有するアルケニル基であることが好ましい。それ以外の一価炭化水素基としては、炭素原子数1〜12のアルキル基などの飽和脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基, シクロヘキシル基などの飽和脂環式炭化水素基; フェニル基、トリル基、ナフチル基などの芳香族炭化水素基および/ またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子が部分的にハロゲン原子またはエポキシ基、カルボキシル基、メタクリル基を含む有機基で置換された基が例示される。一方のRが水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であることが好ましい。Rは置換または非置換の二価炭化水素基であり、例えば、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、フェニレン基、アルキル置換フェニレン基が例示される。aは0または正の整数であり、1〜300であることが好ましく、1〜100がより好ましい。
特に好適には、下記構造式(1):
CH=CH−C2pO−(CO)p1(CO)p2R (1)
で示される直鎖状のポリオキシアルキレン化合物であって、オキシエチレン基またはオキシプロピレン基からなるポリオキシアルキレン単位を有する化合物が挙げられる。構造式(1)中、pは1〜10の範囲の数であり、1〜4の範囲の数が特に好ましい。p1,p2は0〜30の範囲の数であり、少なくともp1またはp2が4〜20の範囲の数であることが好ましい。さらに、(p1+p2)は4〜50となる範囲の数であり、8〜40の範囲の数であることが特に好ましい。なお、実際の成分(a)において、p1,p2の値は各オキシアルキレン単位の重合度の平均値であり、これらのオキシアルキレン単位の重合度は一定の幅(分布)を持ち、成分(a)において、p1,p2の値が異なる複数のポリオキシアルキレン化合物からなる混合物であっても良い。Rは水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基であり、水素原子またはメチル基であることが特に好ましい。
【0017】
成分(a)であるポリオキシアルキレン化合物として、下記式で示される化合物が例示される。これらのポリオキシアルキレン化合物は1種類を単独で用いてもよく、また2種類以上を組合せて用いてもよい。
CH=CHCHO(CO)12CH
CH=CHCHO(CO)12
CH=CHCHO(CO)12(CO)12CH
CH=CHCHO(CO)12(CO)12
CH=CHCHO(CO)12CH
CH=CHCHO(CO)12
【0018】
成分(b)はオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、本発明に使用されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1分子中に少なくとも1個のケイ素原子結合水素原子を含有するものであればよい。その構成シロキサン単位は、一般式: RSiO(4−a)/2で示される。式中、Rは水素原子または、置換もしくは非置換の一価炭化水素基である。一価炭化水素基として具体的には、炭素原子数1〜30のアルキル基(例えば、メチル基, エチル基, プロピル基, ブチル基, ペンチル基, ヘキシル基, ヘプチル基, オクチル基, デシル基, ドデシル基など)に代表される飽和脂肪族炭化水素基; シクロペンチル基, シクロヘキシル基などの炭素原子数3〜20のシクロアルキル基に代表される飽和脂環式炭化水素基; フェニル基、トリル基、ナフチル基、アルキルベンジル基などの芳香族炭化水素基および/またはこれらの基の炭素原子に結合した水素原子が部分的にハロゲン原子またはエポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基などを含む有機基で置換された基が例示され、同一でも異種でもよい。
【0019】
は好適にはアルキル基であり、メチル基がより好ましい。ただし、成分(b)であるオルガノハイドロジェンポリシロキサンを構成するシロキサン単位中のRのうち、少なくとも1つは水素原子である。aは平均0<a≦3である。このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンの分子構造は限定されず、直鎖状、一部分岐状を有する直鎖状、分岐鎖状、環状、樹枝状が例示され、好ましくは直鎖状である。またその分子量は特に限定されず、低分子量体から高分子量体まで使用できる。具体的には、数平均分子量が100〜100万の範囲であることが好ましく、300〜50万の範囲がより好ましい。
【0020】
このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては、下記構造式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンが例示される。これらのオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、(i)側鎖のみ、(ii)側鎖または分子鎖の片末端、(iii)側鎖または分子鎖の両末端に珪素結合水素原子を有する直鎖状オルガノハイドロジェンポリシロキサンの構造を示す。
【化2】

【化3】

【化4】

式中、Rは置換もしくは非置換の一価炭化水素基であり、具体的には、前記Rで例示したのと同様の基が挙げられる。xは0または正の整数であり、yは正の整数であり、zは0または正の整数である。
【0021】
本発明において、特に好適に使用することができる直鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンとして、下記構造式(2)で示される直鎖状のポリシロキサンが例示される。このようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンは1種類を単独で用いてもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
構造式(2):
【化5】

式中、Rは置換もしくは非置換の一価炭化水素基であり、前記Rで例示したのと同様の基が挙げられるが、特に、Rは炭素原子数1〜30のアルキル基であることが好ましく、全てのRの少なくとも50モル%がメチル基であることが特に好ましい。また、非シリコーン系の化粧料原料との相溶性の改善等を目的として、メチル基以外のRとして、炭素原子数8〜30の中鎖または長鎖アルキル基を選択してもよく、かつ好ましい。
【0022】
式中、Rは水素原子またはRから選択される基であり、水素原子またはメチル基であることが特に好ましい。mは0〜2000の範囲の数であり、0〜1000の範囲の数である事が好ましく、0〜300の範囲の数であることがより好ましい。nは0〜500の範囲の数であり、0〜200の範囲であることが好ましく、0〜50の範囲の数であることがより好ましい。但し、n=0のとき、Rの少なくとも一方は水素原子である。さらに、Rの少なくとも一方がRで表される一価炭化水素基である場合、nは1〜40の範囲の数であることが特に好ましい。
【0023】
ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を合成するためのヒドロシリル化反応は、溶媒の存在下または不存在下、公知の方法に従って行うことができる。ここに、反応溶媒としては、エタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール系溶剤;トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶剤;ジオキサン、THFなどのエーテル系溶剤;n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘプタン、メチルシクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素系溶剤;四塩化炭素などの塩素化炭化水素系の有機溶剤を挙げることができる。
【0024】
ヒドロシリル化反応は、触媒の不存在下で行ってもよいが、触媒の存在下に行うことにより低温で短時間で反応が進行するので好ましい。かかる触媒としては、白金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウムなどの化合物を挙げることができ、その触媒活性が高いことから白金化合物が特に有効である。白金化合物の例としては、塩化白金酸;金属白金;アルミナ、シリカ、カーボンブラックなどの坦体に金属白金を坦持させたもの;白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフイン錯体、白金−ホスファイト錯体、白金アルコラート触媒などの白金錯体を挙げることができる。触媒の使用量は、白金触媒を使用する場合、金属白金として0.0001〜0.1質量%程度であり、0.0005〜0.05質量%の範囲が好適であるが、これに限定されない。
【0025】
ヒドロシリル化反応の反応温度としては、通常50〜150℃であり、反応時間は、通常10分間〜24時間、好ましくは1〜10時間である。
【0026】
上記のヒドロシリル化反応を行う際に、[成分(a)中の炭素−炭素二重結合の物質量/成分(b)中の珪素結合水素原子の物質量]の比は1.0〜2.0となる範囲が例示できる。すなわち、本発明に係るポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を合成する場合には、成分(a)を過剰量使用することが好ましい。より具体的には、上記の成分(a)、(b)の比が、1.05〜1.75となる範囲が好ましく、1.10〜1.55となる範囲がより好ましい。かかる、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物は、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサンと未反応の成分(a)との混合物であるが、これらの成分は、相溶性に優れ、均一な組成物として得られる。また、後述する工程〔B〕および任意の工程〔C〕の後、均一な組成物として化粧料原料として使用することができ、また化粧料に配合することができる。
【0027】
一方、上記の比が1.0未満では、本発明に係るポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物中に、未反応の成分(b)が残存することになる。このようなポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を化粧料原料として用いた場合には、残存する成分(b)が他の化粧料原料と反応し、水素ガスが発生する原因となり、配合先の化粧料の変質、火災の原因、容器の膨張等の好ましくない影響をもたらす。従って、オルガノハイドロジェンポリシロキサンが完全に反応するように、上記の比が1.0を超える、すなわち、ポリオキシアルキレン基として導入される成分(a)を1当量より多く、過剰量で反応させることが好ましい。
【0028】
一例として、工程〔A〕において、(a)上記構造式(1)で示される直鎖状のポリオキシアルキレン化合物、(b)上記構造式(2)で示される直鎖状のオルガノハイドロジェンポリシロキサンを使用し、成分(b)中の珪素結合水素原子に対して、成分(a)の物質量が過剰となる量で上記のヒドロシリル化反応を行った場合、下記構造式で示されるポリオキシアルキレン変性ポリシロキサンが合成され、該ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサンおよび未反応の成分(a)を含有する本発明に係るポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の粗製品が得られる。
【0029】
【化6】

【0030】
式中、Rは前記同様の基であり、R''は−C−C2pO−(CO)p1(CO)p2Rで示されるポリオキシアルキレン基であり、p,p1,p2の値の範囲は、前記と同様であり、Rは前記同様の基である。R’はRで表される一価炭化水素基または上記のR''で示される基である。mおよびnは、上記構造式(2)の定義と同じである。但し、n=0のとき、R’の少なくとも一方はR''で示される基である。さらに、Rの少なくとも一方がRで表される一価炭化水素基である場合、nは1〜40の範囲の数であることが特に好ましい。
【0031】
<工程(B)>
工程(B)は本発明に係るポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造法の特徴となる工程であり、特定の酸性無機塩を用いて該組成物の加水分解処理を行うことにより、ポリシロキサンの主鎖を構成するケイ素−酸素結合や側鎖部分の炭素−酸素結合の切断が起こらず、該組成物を実質的に無臭化し、経時における臭気の発生をほぼ完全に抑制するために必須となる工程である。
【0032】
かかる工程(B)は、具体的には、加水分解により、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の粗製品から、臭気原因物質を除去する工程であり、(c)25℃で固体であり、水溶性であり、かつ、50gをイオン交換水1Lに溶解させたときの水溶液の25℃におけるpHが4以下であることを特徴とする1種類以上の酸性無機塩の存在下で処理を行うことを特徴とする。なお、本発明におけるpHの値は、室温(25℃)下、試料水溶液をガラス電極を用いたpH計を用いて測定したpH値であり、本願におけるpH測定には、具体的には、東亜電波工業株式会社製「HM−10P」を用いた。
【0033】
成分(c)である酸性無機塩としては、25℃で固体であり、水溶性であり、かつ、50gをイオン交換水1Lに溶解させたときの水溶液のpHが4以下であることが必要であり、より好適にはpHが3.5以下であることが好ましく、2.0以下であることが特に好ましい。かかる水溶性の酸性無機塩を用いて該組成物の加水分解処理を行うことにより、炭素−酸素結合やケイ素−酸素結合の切断を生じることなく、該組成物を実質的に無臭化し、経時で臭気をほぼ完全に抑制することができる。
【0034】
かかる成分(c)は酸性無機塩は例えば、二価以上の無機酸の少なくとも一価の水素原子が塩基により中和された酸性無機塩を用いることが出来る。二価以上の無機酸としては例えば、硫酸、亜硫酸等が挙げられる。塩基としては、アルカリ金属、アンモニアなどが挙げられる。
【0035】
成分(c)はより具体的には、硫酸水素イオン(HSO)または亜硫酸水素イオン(HSO)および1価の陽イオン(M)からなる1種以上の酸性無機塩であることが好適であり、1価の陽イオン(M)として、アルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンが例示される。特に好適には、ナトリウムイオン、カリウムイオンおよびアンモニウムイオンからなる群から選択される1種類以上の1価の陽イオンが好ましい。また、これらの酸性無機塩は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組合せて使用してもよい。さらに、これらの酸性無機塩は室温(25℃)で固体であるため、処理後にろ過により容易に除去することができる。また水溶性であるため、製造後の洗浄工程においても水で容易に洗い流すことができる。
【0036】
一方、上記の(c)成分の条件を満たさない酢酸塩やリン酸塩等による加水分解処理では、加水分解後の該組成物を十分に低臭化することができない。一方、塩酸等の強酸による加水分解処理や硫酸ジルコニア等の公知の固体酸による加水分解処理では、一定の低臭化は実現できるが、加水分解後の該組成物の炭素−酸素結合やケイ素−酸素結合の切断が生じる場合がある。
【0037】
成分(c)である酸性無機塩としては、硫酸水素リチウム、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウム、硫酸水素ルビジウム、硫酸水素セシウム、硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム又は、これらの水和物が具体的に例示される。かかる酸性無機塩50gをイオン交換水1Lに溶解させたときの水溶液のpHは下表に示す通りである。低臭化という技術的効果から、pHが2.0以下の水溶性の酸性無機塩として、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウムおよび硫酸水素アンモニウムからなる群から選択される1種以上の酸性無機塩の使用がもっとも好適である。
【表1】

【0038】
本発明の特徴となる酸性無機塩存在下の処理は、例えば、(1)ヒドロシリル化反応により合成されたポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の反応系(例えば、フラスコなどの反応容器)中に、上記の酸性無機塩を添加して、撹拌する分解処理、(2)酸性無機塩と水若しくは酸性無機塩と水と有機溶媒を添加して、撹拌する加水分解処理などを意味する。
【0039】
特に、前記した工程工程〔A〕の後、本発明に係るポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の粗製品を含む反応系中に、酸性無機塩と水を添加して、機械力を用いて撹拌する加水分解処理が好ましい。加水分解処理は任意の温度、処理時間を選択して行うことができ、0〜200℃、より好ましくは50〜100℃の温度条件で、0.1〜24時間、より好ましくは0.5〜10時間程度の反応時間で行うことが好ましい。酸性無機塩の使用量は、処理装置および処理時間に応じて適宜選択することができるが、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物に対して1〜500ppmの範囲が好ましく、5〜200ppmの範囲がより好ましい。
【0040】
本発明の製造方法において、臭気の原因物質である低沸分(プロピオンアルデヒド等)を除去するストリッピング工程を含むことが好ましい。また、ストリッピング後に、再び酸性無機塩存在下の処理を行うことでより多くのプロペニルエーテル基含有ポリオキシアルキレンを加水分解することができ、臭気原因物質であるプロピオンアルデヒド等を除去することができる。このとき、酸性無機塩が残存しているので、新たに酸性無機塩を追加する必要はなく、水のみを添加すればよいという利点がある。すなわち、上記の工程〔B〕およびストリッピング工程は、低臭化の程度を高める目的等で2回以上繰り返し行うことができる。
【0041】
なお、ストリッピング工程によって留去される「低沸物」には、臭気の原因物質であるプロピオンアルデヒドのほか、ヒドロシリル化反応(工程〔A〕)または後述する水素添加反応(工程〔C〕)に使用した反応溶媒などが含まれる。
【0042】
ストリッピング工程(低沸物の留去)は、工程〔B〕の前工程として、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の粗製品に対して実施してもよいし、工程〔B〕の後工程として、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物またはその水素添加反応後の組成物に対して実施してもよい。また、工程〔B〕の前工程および後工程としてそれぞれ実施することもできる。好適には、上記の工程〔B〕に次いで、加水分解反応により生成した臭気原因物質であるプロピオンアルデヒドを除去する目的で行うことが好ましい。
【0043】
除去方法としては、常圧下あるいは減圧下でのストリッピングが好ましく、120℃ 以下で行うことが好ましい。効率よくストリッピングするためには、減圧下で行うか、例えば窒素ガスのような不活性ガス注入下で行うことが好ましい。低沸物の留去操作の一例を具体的に示せば、低沸物が含まれているポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の粗製品またはその水素添加物を、還流冷却管、窒素挿入口などを備えたフラスコに仕込み、窒素ガスを供給しながら内部を減圧して昇温し、圧力と温度を一定に保持することにより軽質物を留去させる。ここに減圧条件としては、0.1〜10.0KPaとされ、加熱温度としては50〜170℃とされ、処理時間としては10分間〜24時間とすることが一般的である。
【0044】
本発明のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物は、工程〔B〕にかかる酸性無機塩存在下の処理の前工程または後工程として、水素添加処理<工程〔C〕>を行うことできる。水素添加反応による無臭化処理は、上記の工程〔B〕にかかる酸性無機塩存在下の処理後に、水素添加反応による処理を行ってもよいし、一方、水素添加反応による処理を行った後に、上記の工程〔B〕にかかる酸性無機塩存在下に処理してもよい。
【0045】
<工程〔C〕>
工程〔C〕は、工程〔A〕または工程〔B〕後のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物に対し、水素添加反応による無臭化処理を行う工程である。水素添加反応としては、水素による方法と金属水素化物による方法とがあり、さらに均一反応と不均一反応がある。これらは単独で行うこともできるがそれらを組合せて行うことも可能である。しかし、使用した触媒が製品に残存しないという利点を考慮すると、固体触媒を用いた不均一接触水素添加反応がもっとも好ましい。
【0046】
ここに、固体触媒(水素化触媒)としては、一般的な白金系触媒及びパラジウム系触媒等の貴金属系触媒、並びにニッケル系触媒を用いることができる。より具体的には、ニッケル、バラジウム、白金、ロジウム、コバルトなどの単体並びに白金−パラジウム、ニッケル−銅−クロム、ニッケル−銅−亜鉛、ニッケル−夕ングステン及びニッケル−モリブデン等の複数の金属を組み合わせた触媒を例示することができる。任意に使用される触媒担体としては、活性炭、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、ゼオライト等を挙げることができ、金属の担持量としては、貴金属触媒系では、0.1〜5質量%、好ましくは0.2〜3質量%、ニッケル系触媒では、20〜70質量%、好ましくは40〜60質量%である。また、合成工程(ヒドロシリル化反応)で使用した白金触媒をそのまま使用することもできる。これらの水素化触媒は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0047】
本願発明の工程〔C〕において、好適な水素化触媒は、ニッケル系触媒であり、ニッケル/珪藻土またはラネーニッケル触媒であることが好ましい。特に、水素添加による無臭化の促進の観点から、ラネーニッケル触媒の使用が最も好ましい。かかるラネーニッケル触媒の使用は、貴金属触媒に比して、経済的に優位であるが、ラネーニッケル触媒は通常アルカリにて展開して用いるので、特に反応溶液のpHを注意深く測定する必要がある。また、反応系内が弱アルカリ性になるので、特に酸性水溶液による加水分解反応が脱臭に対して有効となる点で、本発明の製造法に好適に使用できる実益がある。
【0048】
水素添加反応は、常圧または加圧下で行うことができ、一般的に1〜100MPa、50〜200℃で行うことが望ましい。現実的には、水素加圧下(水素圧=0.1〜20MPa(約1〜200kg/cm )で行う。反応温度としては、反応時間の短縮の観点から50〜170℃であることが好ましい。また、水素添加反応は、溶媒の存在下で行うことができ、前記のアルコール系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、エーテル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、塩素化炭化水素系の有機溶剤などを適宜選択して使用することができる。
【0049】
水素添加反応は、回分式および連続式の何れの方式で行ってもよい。回分式で行う場合における反応時間は、触媒量および反応温度などによっても異なるが、概ね3〜12時間の範囲で行う。
回分式で行う場合、水素添加反応の終点は、圧力ゲージを注意深く観測することによって水素圧の減少が殆ど観測されなくなった時点から、さらに1〜2時間反応させた時点とすることができる。なお、反応途中で水素圧が減少した場合、水素ガスを再び導入し水素圧を高く保持することが反応時間短縮の観点から好ましい。
【0050】
水素添加反応終了後、窒素加圧下に、濾紙、けい藻土または活性炭を使用して、水素添加反応触媒(反応系に存在する場合にはヒドロシリル化反応触媒)を分離除去して溶剤を留去する事によってポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の水素添加物を得ることができる。
【0051】
本発明にかかる製造方法により得られたポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物は、空気中の酸素により徐々に酸化され、変質する。これを防止するためフェノール類、ヒドロキノン類、ベンゾキノン類、芳香族アミン類、又はビタミン類等の酸化防止剤を入れ、酸化安定性を増加させることができ、かつ好ましい。このような酸化防止剤としては、例えば、BHT(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール)、ビタミンC、ビタミンEなどを用いることができる。このとき、使用する酸化防止剤の添加量は、その質量においてポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物に対し10〜1000ppm、好ましくは50〜500ppmとなる範囲である。
【0052】
<無臭化されたポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物>
以上の工程〔A〕および工程〔B〕、並びに必要に応じて実施される工程〔C〕およびストリッピング工程を有する本発明の製造方法により、本発明に係るポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物が得られる。本発明のポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物は、経時で臭気を発生することが無く、皮膚や毛髪用の化粧料、洗浄剤、繊維等各種処理剤を中心に、無香料化が困難であった分野にも、好適に利用することができる。
【0053】
具体的には、本発明の製造方法により得られるポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物は、工程〔B〕において特定の酸性無機塩存在下の加水分解、さらに任意で工程〔C〕に係る水素添加反応による無臭化処理が施されていることにより、この組成物は、特有の臭気(不快な臭い)を感じさせず、実質的に無臭のものであり、経時における臭気の発生をほぼ完全に抑制されている。さらに、工程〔B〕においてポリシロキサンの主鎖を構成するケイ素−酸素結合や側鎖部分の炭素−酸素結合の切断が起こらず、全体が均一な組成物である。これにより、本発明の製造方法により得られるポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物は、化粧料用途への使用が好適であり、各種化粧料の原料として好適に配合することができる。特に、化粧料や化粧品全体の0.1〜40質量%程度の範囲での使用が好ましい。
【0054】
<化粧料>
本発明の化粧料は、本発明の製造方法により得られる無臭化したポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を含有する点に特徴を有する。かかる化粧料は、公知のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン(ポリエーテル変性シリコーンともいう)を含有する化粧料およびそれらに記載の化粧料原料成分と同様の成分との組み合わせ及び用途を例示することができる。
【0055】
より具体的には、本発明の製造方法により得られる無臭化したポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を含有する皮膚化粧料または毛髪化粧料が例示される。
【0056】
本発明に係る皮膚化粧料は、本発明の製造方法により得られる無臭化したポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を含有する皮膚化粧料であり、皮膚化粧料の形態は、特に限定されないが、溶液状、クリーム状、固形状、半固形状、ゲル状、油中水型あるいは水中油型の乳化組成物(エマルジョン組成物)のいずれであっても良い。具体的には、本発明に係る皮膚化粧料は、化粧水、乳液、クリーム、日焼け止め乳液、日焼け止めクリーム、ハンドクリーム、クレンジング、マッサージ料、洗浄剤、制汗剤、脱臭剤などの基礎化粧品;ファンデーション、メークアップ下地、頬紅、口紅、アイシャドー、アイライナー、マスカラ、ネールエナメルなどのメーキャップ化粧品などが例示される。
【0057】
同様に、本発明に係る毛髪化粧料は、本発明の製造方法により得られる無臭化したポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を含有しており、様々な形態で使用できる。例えば、それらをアルコール類、炭化水素類、揮発性環状シリコーン類等に溶解または分散させて用いてもよいし、更には乳化剤を用いて水に分散させてエマルジョンの形態で用いることもできる。また、プロパン、ブタン、トリクロルモノフルオロメタン、ジクロルジフルオロメタン、ジクロルテトラフルオロエタン、炭酸ガス、窒素ガス等の噴射剤を併用してスプレーとして用いることもできる。それらの形態でシャンプー剤、リンス剤、セットローション剤、ヘアスプレー剤、パーマネントウエーブ剤、ムース剤、染毛剤等として使用できる。
【0058】
本発明の化粧料は、本発明の効果を妨げない範囲で通常の化粧料に使用される成分、水、粉体または着色剤、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、油剤、油溶性ゲル化剤、有機変性粘土鉱物、界面活性剤、樹脂、紫外線吸収剤、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、香料、塩類、酸化防止剤、pH調整剤、キレート剤、清涼剤、抗炎症剤、美肌用成分(美白剤、細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン、包接化合物等、生理活性物質、香料を添加することができ、これらは特に限定されるものではない。
【0059】
水は、人体に有害な成分を含有せず、清浄であればよく、水道水、精製水、ミネラルウォーターが例示される。本発明の化粧料が水系の化粧料である場合、水相には本発明の効果を損なわない範囲で任意に水溶性の添加成分を配合することができる。水相を構成する成分としては、後述するビタミンB群、ビタミンCおよびその誘導体、パントテン酸およびその誘導体、ビオチン等のビタミン類などの水溶性活性物質、水溶性紫外線吸収剤、各種水溶性の色素等を配合することができるが、これらに限定されるものでない。また、化粧料の保存安定性等を改善する目的で、公知のpH調整剤、防腐剤、抗菌剤または酸化防止剤を適宜配合することもできる。
【0060】
粉体または着色剤としては、通常の化粧料に使用されるものであれば、その形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、紡錘状等)や粒子径(煙霧状、微粒子、顔料 級等)、粒子構造(多孔質、無孔質等)を問わず、いずれのものも使用することができるが、これらの粉体及び/または着色剤を顔料として配合する場合、平均粒子径が1nm〜20μmの範囲にある無機顔料粉体、有機顔料粉体、樹脂粉体から選択される1種類又は2種類以上を配合することが好ましい。
【0061】
粉体または着色剤は例えば無機粉体 、有機粉体 、界面活性剤金属塩粉体 (金属石鹸)、有色顔料 、パール顔料 、有機変性粘度鉱物、金属粉末顔料 等が挙げられ、さらにこれらの顔料を複合化したものも使用することができる。具体的には、無機粉体としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、マイカ、カオリン、セリサイト、白雲母、合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、リチア雲母、ケイ酸、無水ケイ酸、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウムマグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、ヒドロキシアパタイト、バーミキュライト、ハイジライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、ゼオライト、セラミックスパウダー、第二リン酸カルシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ボロン等;有機粉体 としては、ポリアミドパウダー、ポリエステルパウダー、ポリエチレンパウダー、ポリプロピレンパウダー、ポリスチレンパウダー、ポリウレタンパウダー、ベンゾグアナミンパウダー、ポリメチルベンゾグアナミンパウダー、ポリテトラフルオロエチレンパウダー、ポリメチルメタクリレートパウダー、セルロース、シルクパウダー、ナイロンパウダー、12ナイロン、6ナイロン、シリコーンパウダー、シリコーンゴム球状粉体、ポリメチルシルセスキオキサンで表面を被覆したシリコーンゴム球状粉体 、ポリメチルシルセスキオキサン球状粉体 、スチレン・アクリル酸共重合体、ジビニルベンゼン・スチレン共重合体、ビニル樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、ケイ素樹脂、アクリル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネイト樹脂、微結晶繊維粉体 、デンプン末、ラウロイルリジン等;界面活性剤金属塩粉体 としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ラウリン酸亜鉛、セチルリン酸亜鉛、セチルリン酸カルシウム、セチルリン酸亜鉛ナトリウム等;有色顔料 としては、ベンガラ、酸化鉄、水酸化鉄、チタン酸鉄の無機赤色顔料 、γー酸化鉄等の無機褐色系顔料 、黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料 、黒酸化鉄、カーボンブラック等の無機黒色顔料 、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット等の無機紫色顔料 、水酸化クロム、酸化クロム、酸化コバルト、チタン酸コバルト等の無機緑色顔料 、紺青、群青等の無機青色系顔料 、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色227号、赤色228号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、黄色204号、黄色401号、青色1号、青色2号、青色201号、青色404号、緑色3号、緑色201号、緑色204号、緑色205号、橙色201号、橙色203号、橙色204号、橙色206号、橙色207号等のタール系色素をレーキ化したもの、カルミン酸、ラッカイン酸、カルサミン、ブラジリン、クロシン等の天然色素をレーキ化したもの等;パール顔料 としては、酸化チタン被覆雲母、雲母チタン、酸化鉄処理雲母チタン、酸化チタン被覆マイカ、オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化チタン被覆タルク、魚鱗箔、酸化チタン被覆着色雲母等;金属粉末顔料 としては、アルミニウム、金、銀、銅、白金、ステンレス等の金属粉末が挙げられる。
【0062】
特に無機系粉体として、微粒子酸化チタン、微粒子鉄含有酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化セリウム及びそれらの複合体等の紫外線を吸収散乱する粉体も挙げられる。さらに詳細には、無機系の紫外線防御成分は、前記の無機系の粉体顔料、金属粉末顔料などを紫外線分散剤として配合するものであっても良く、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、低次酸化チタン、鉄ドーピング酸化チタンなどの金属酸化物、水酸化鉄などの金属水酸化物、板状酸化鉄、アルミニウムフレークなどの金属フレーク類、炭化珪素などのセラミック類が挙げられる。このうち、平均粒子径が1〜100nmの範囲にある微粒子金属酸化物もしくは微粒子金属水酸化物から選ばれる少なくとも一種であることが特に好ましい。
【0063】
有機変性粘度鉱物としては、例えば、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー、ジメチルアルキルアンモニウムヘクトライト、ベンジルジメチルステアリルアンモニウムヘクトライト、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム処理ケイ酸アルミニウムマグネシウムなどが挙げられる。これらの市販品としては、ベントン27(ベンジルジメチルステアリルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト: ナショナルレッド社製)、ベントン38(ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド処理ヘクトライト: ナショナルレッド社製)等が挙げられる。
【0064】
シリコーンゴム球状粉体(シリコーンエラストマー球状粉体と呼ばれることもある)としては、一次粒子径が0.1〜50μmの範囲にあるものが好ましい。かかるシリコーンゴム球状粉体の市販品としては、例えば東レ・ダウコーニング社製のトレフィルE−506S,トレフィルE−508,9701 Cosmetic Powder,9702 Powderなどが挙げられる。また、シリコーンゴム球状粉体は水分散液の形態としても、本発明の化粧料で使用することができる。このような水分散液の市販品としては、例えば東レ・ダウコーニング社製のBY 29−129,PF−2001 PIF Emulsionなどが挙げられる。
【0065】
さらに、これらの粉体または着色剤には、撥水化処理がされていることが特に好ましい。また、これらの粉体及び/または着色剤同士を複合化したり、一般油剤や、本発明に係るポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物以外のシリコーン化合物、又はフッ素化合物、界面活性剤等で表面処理が行われたものも使用することができ、必要に応じて一種、又は二種以上用いることができる。
【0066】
このような撥水化処理の例としては、前記の粉体及び/又は着色剤を各種の撥水化表面処理剤で処理したものが挙げられ、例えばメチルハイドロジェンポリシロキサン処理、シリコーンレジン処理、シリコーンガム処理、アクリルシリコーン処理、フッ素化シリコーン処理などのオルガノシロキサン処理、ステアリン酸亜鉛処理などの金属石鹸処理、シランカップリング剤処理、アルキルシラン処理などのシラン処理、パーフルオロアルキルシラン、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩、パーフルオロポリエーテル処理などのフッ素化合物処理、N-ラウロイル-L-リジン処理などのアミノ酸処理、スクワラン処理などの油剤処理、アクリル酸アルキル処理などのアクリル処理などが挙げられ、これらの1種以上を組み合わせて使用することが可能である。
【0067】
これらの粉体または着色剤として、特に好適には、シリコーン樹脂粉末、シリコーンゴム粉末、有機樹脂粉末(シリコーン樹脂粉末を除く)、有機変性粘度鉱物、酸化チタン、酸化亜鉛、雲母チタン、金属石鹸、無機体質顔料および無機着色顔料からなる群から選択される少なくとも1種の粉体または着色剤である。
【0068】
アルコール類としては、低級アルコール、糖アルコールおよび高級アルコールから選択される1種類以上を使用することができる。具体的には、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール;ソルビトール、マルトース等の糖アルコール;ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール) 、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等の高級アルコールが挙げられる。
【0069】
水溶性高分子は、化粧料の使用感を向上させる目的で配合され、通常の化粧品に使用されるものであれば、両性、カチオン性、アニオン性、非イオン性、水膨潤性粘土鉱物のいずれであっても用いることができ、1種類又は2種類以上の水溶性高分子を併用することもできる。これらの水溶性高分子は、含水成分の増粘効果を有するため、特にゲル状の含水化粧料、油中水型エマルジョン化粧料、水中油型エマルジョン化粧料を得る場合に有用である。
【0070】
両性水溶性高分子としては、両性化デンプン、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(例えば、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体)、メタクリル酸誘導体(例えば、ポリメタクリロイルエチルジメチルベタイン、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−メチルカルボキシベタイン・メタクリル酸アルキル共重合体等)が例示される。
【0071】
カチオン性水溶性高分子としては、第4級窒素変性ポリサッカライド(例えば、カチオン変性セルロース、カチオン変性ヒドロキシエチルセルロース、カチオン変性グアーガム、カチオン変性ローカストビーンガム、カチオン変性デンプン等)、塩化ジメチルジアリルアンモニウム誘導体(例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム等)、ビニルピロリドン誘導体(例えば、ビニルピロリドン・ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体塩、ビニルピロリドン・メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド共重合体、ビニルピロリドン・塩化メチルビニルイミダゾリウム共重合体等)、メタクリル酸誘導体(例えば、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸2−ヒドロキシエチル共重合体、メタクリロイルエチルジメチルベタイン・塩化メタクリロイルエチルトリメチルアンモニウム・メタクリル酸メトキシポリエチレングリコール共重合体等)が例示される。
【0072】
アニオン性水溶性高分子としては、ポリアクリル酸またはそのアルカリ金属塩、ポリメタアクリル酸またはそのアルカリ金属塩、ヒアルロン酸またはそのアルカリ金属塩、アセチル化ヒアルロン酸またはそのアルカリ金属塩、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合体の加水分解物などの脂肪族カルボン酸またはその金属塩の水溶性重合体、カルボキシメチルセルロース又はそのアルカリ金属塩、メチルビニルエーテル−マレイン酸ハーフエステル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン液、カルボキシビニルポリマーが例示される。
【0073】
非イオン性水溶性高分子としては、ポリビニルピロリドン、高重合ポリエチレングリコール、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体、セルロース又はその誘導体(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース)、ケラチン及びコラーゲン又はその誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グァーガム、ペクチン、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジュランガム、デキストラン、クインスシードガム、トラガントガム、キチン・キトサン誘導体、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ等)、ケラチンおよびコラーゲンまたはその誘導体等の天然の高分子化合物が例示される。
【0074】
水膨潤性粘土鉱物は無機系水溶性高分子であって、三層構造を有するコロイド含有ケイ酸アルミニウムの一種で、一般的に、下記式(1)で表されるものが例示される。
(X,Y)2−3(Si,Al)10(OH)1/3・nHO (1)
(ただし、Xは、Al、Fe(III)、Mn(III)、または、Cr(III)であり、Y は、Mg、Fe(II)、Ni、Zn、または、Liであり、Zは、K、Na、または、Caである)
このような無機系水溶性高分子として、具体的には、ベントナイト、モンモリロナイト、パイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、無水ケイ酸が例示され、これらは天然物および合成物のいずれであってもよい。
【0075】
油剤としては、通常の化粧料に使用されるものであれば、固体、半固体、液状のいずれのものも使用することができる。具体的には、シリコーンオイル、炭化水素油、エステル油、植物性油脂類、動物性油脂類、液状脂肪酸、トリグリセライド、人工皮脂、フッ素系油剤から選択される1種類または2種類以上が例示できる。
【0076】
シリコーンオイルは、具体的には、下記一般式(1)で示される直鎖状オルガノポリシロキサンまたは一般式(2)で示される環状オルガノポリシロキサン及び一般式(3)で示される分岐状オルガノポリシロキサンが挙げられる。
【化7】

【化8】

【化9】

【0077】
上の式(1)〜(3)について、R は、水素原子、水酸基又は炭素数2から30の一価の非置換又はフッ素置換アルキル基、アリール基、アミノ置換アルキル基、アルコキシ基及び(CH3)3SiO{(CH3)2SiO}uSi(CH3)2CH2CH2-で示される基から選択される基であり、具体的には、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基などの飽和脂肪族炭化水素基;ビニル基、アリル基、ヘキセニル基などの不飽和脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基などの飽和脂環式炭化水素基;フェニル基、トリル基、ナフチル基などの芳香族炭化水素基および、これらの基の炭素原子に結合した水素原子が部分的にハロゲン原子、エポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、メタクリル基、メルカプト基などを含む有機基または2価の炭化水素基及び/または鎖状のポリジメチルシロキサン結合を介して結合されたトリメチルシロキシ基で置換された基が例示される。mは0から1000の整数、nは0から1000の整数、m+nが1から2000の整数、x、yは0、1、2又は3、p及びqは0〜8の整数で3≦p+q≦8、rは1〜4の整数、uは0〜500の整数である。
【0078】
これらの構造を有するシリコーンオイルとして具体的には、環状オルガノポリシロキサンとしてヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、デカメチルシクロペンタシロキサン(D5)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(D6)、1,1−ジエチルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、フェニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、1、1−ジフェニルヘキサメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラシクロヘキシルテトラメチルシクロテトラシロキサン、トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)トリメチルシクロトリシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−メタクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−アクリロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−カルボキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(3−ビニロキシプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(p−ビニルフェニル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ[3−(p−ビニルフェニル)プロピル]テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N−アクリロイル−N−メチル−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラ(N,N−ビス(ラウロイル)−3−アミノプロピル)テトラメチルシクロテトラシロキサン等が例示される。直鎖状オルガノポリシロキサンとしては、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン(2cstや6cstなど低粘度〜100万cstなど高粘度のジメチルシリコーン)、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルフェニルポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジフェニルポリシロキサン,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体,トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、フェニル(トリメチルシロキシ)シロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルアルキルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン・メチルアルキルシロキサン共重合体,分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチル(3,3,3−トリフルオロプロピル)シロキサン共重合体、α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン、α,ω−ジエトキシポリジメチルシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−オクチルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ドデシルトリシロキサン、1,1,1,3,5,5,5−ヘプタメチル−3−ヘキサデシルトリシロキサン、トリストリメチルシロキシメチルシラン、トリストリメチルシロキシアルキルシラン、テトラキストリメチルシロキシシラン、テトラメチル−1,3−ジヒドロキシジシロキサン、オクタメチル−1,7−ジヒドロキシテトラシロキサン、ヘキサメチル−1,5−ジエトキシトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、高級アルコキシ変性シリコーン、高級脂肪酸変性シリコーン等が例示される。
【0079】
炭化水素油としては、流動パラフィン,軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン,ワセリン,n−パラフィン,イソパラフィン,イソドデカン、イソヘキサデカン、ポリイソブチレン、水素化ポリイソブチレン、ポリブテン,オゾケライト,セレシン,マイクロクリスタリンワックス,パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレン・ポリピロピレンワックス、スクワラン,スクワレン、プリスタン,ポリイソプレン等が例示される。
【0080】
エステル油としては、オクタン酸ヘキシルデシル、オクタン酸セチル,ミリスチン酸イソプロピル,パルミチン酸イソプロピル,ステアリン酸ブチル,ラウリン酸ヘキシル,ミリスチン酸ミリスチル,オレイン酸オレイル,オレイン酸デシル,ミリスチン酸オクチルドデシル,ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル,乳酸セチル,乳酸ミリスチル,フタル酸ジエチル,フタル酸ジブチル,酢酸ラノリン,モノステアリン酸エチレングリコール,モノステアリン酸プロピレングリコール,ジオイレイン酸プロピレングリコール,モノステアリン酸グリセリル,モノオレイン酸グリセリル,トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル,トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパン、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、モノイソステアリン酸水添ヒマシ油、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソセチル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸エチル、オレイン酸オクチルドデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、コハク酸ジオクチル、ステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチルオクチル、パリミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、N − ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル) 、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイルサルコシンイソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ネオデカン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、水素添加ロジンペンタエリスリチル、トリエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10 、デカ( エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸)ポリグリセリル−8、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、ジステアリン酸グリコール(ジステアリン酸エチレングリコール)、ダイマージリノール酸ジイソプロピル、ダイマージリノール酸ジイソステアリル、ダイマージリール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ダイマージリノール酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシアルキルダイマージリノレイルエーテル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸) グリセリル、水添ロジントリグリセリド(水素添加エステルガム)、ロジントリグリセリド(エステルガム)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル、酢酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、硬質ラノリン脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸コレステリル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、アボカド油脂肪酸エチル、ラノリン脂肪酸イソプロピル等が例示される。
【0081】
天然動植物油脂類及び半合成油脂として、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、オリーブスクワラン、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、水添ホホバエステル、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、羊脂、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。但し、POE はポリオキシエチレンを意味する。
【0082】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0083】
フッ素系油剤としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられ、これらの油剤は必要に応じて一種、又は二種以上用いることができる。
【0084】
油溶性ゲル化剤としては、アルミニウムステアレート、マグネシウムステアレート、ジンクミリステート等の金属セッケン、N−ラウロイル−L−グルタミン酸、α,γ−ジ−n−ブチルアミン等のアミノ酸誘導体、デキストリンパルミチン酸エステル、デキストリンステアリン酸エステル、デキストリン2 − エチルヘキサン酸パルミチン酸エステル等のデキストリン脂肪酸エステル、ショ糖パルミチン酸エステル、ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル、イヌリンステアリン酸エステル、フラクトオリゴ糖2−エチルヘキサン酸エステル等のフラクトオリゴ糖脂肪酸エステル、モノベンジリデンソルビトール、ジベンジリデンソルビトール等のソルビトールのベンジリデン誘導体、ジメチルベンジルドデシルアンモニウムモンモリロナイトクレー、ジメチルジオクタデシルアンモニウムモンモリナイトクレー等の有機変性粘土鉱物等が挙げられ、これらは必要に応じて一種、又は二種以上用いることができる。
【0085】
本発明の化粧料には、上記成分以外の界面活性剤を配合することができる。係る界面活性剤は、本発明に係るポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物以外のシリコーン系界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、半極性界面活性剤からなる群より選ばれる1種又は2種類以上の界面活性剤を併用することができる。
【0086】
シリコーン系界面活性剤は、本発明に係るポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物以外のシリコーン系界面活性剤である。かかるシリコーン系界面活性剤は油剤の乳化や洗浄成分であり、代表的には、ポリグリセリル変性シリコーン,グリセリル変性シリコーン,糖変性シリコーン、フッ素系界面活性剤,ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー,アルキルポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテルが例示される。
【0087】
アニオン性界面活性剤として、飽和または不飽和脂肪酸塩(例えば、ラウリン酸ナトリウム,ステアリン酸ナトリウム,オレイン酸ナトリウム,リノレン酸ナトリウム等),アルキル硫酸塩,アルキルベンゼンスルホン酸(例えば、ヘキシルベンゼンスルホン酸,トクチルベンゼンスルホン酸,ドデシルベンゼンスルホン酸等)およびその塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩,ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩,ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩,スルホコハク酸アルキルエステル塩,ポリオキシアルキレンスルホコハク酸アルキルエステル塩,ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩,アルカンスルホン酸塩,オクチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド,ドデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド,アルキルスルホネート,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテル酢酸塩,アルキルリン酸塩,ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩,アシルグルタミン酸塩,α−アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキルまたはアルケニル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルまたはアルケニルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N−アシルアミノ酸塩、スルホコハク酸塩、アルキルエーテルカルボン酸塩、アミドエーテルカルボン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩、アラニン誘導体、グリシン誘導体、アルギニン誘導体が例示される。塩としてはナトリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩、さらにはアンモニウム塩が挙げられる。
【0088】
カチオン性界面活性剤として、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化牛脂アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジココイルジメチルアンモニウム、塩化ジオクチルジメチルアンモニウム、塩化ジ(POE)オレイルメチルアンモニウム(2EO)、塩化ベンザルコニウム、塩化アルキルベンザルコニウム,塩化アルキルジメチルベンザルコニウム,塩化ベンゼトニウム,塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、ラノリン誘導四級アンモニウム塩、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、塩化ステアロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化トール油アルキルベンジルヒドロキシエチルイミダゾリニウム、ベンジルアンモニウム塩が例示される。
【0089】
ノニオン性界面活性剤として、ポリオキシアルキレンエーテル類,ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類,ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレン脂肪酸ジエステル類,ポリオキシアルキレン樹脂酸エステル類,ポリオキシアルキレン(硬化)ヒマシ油類,ポリオキシアルキレンアルキルフェノール類,ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル類,ポリオキシアルキレンフェニルフェニルエーテル類,ポリオキシアルキレンアルキルエステル類,ポリオキシアルキレンアルキルエステル類,ソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシアルキレンソルビタンアルキルエステル類,ポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレンソルビット脂肪酸エステル類,ポリオキシアルキレングリセリン脂肪酸エステル類,ポリグリセリンアルキルエーテル類,ポリグリセリン脂肪酸エステル類,ショ糖脂肪酸エステル類,脂肪酸アルカノールアミド,アルキルグルコシド類,ポリオキシアルキレン脂肪酸ビスフェニルエーテル類,ポリプロピレングリコール,ジエチレングリコール,ポリオキシアルキレン変性シリコーン,ポリグリセリル変性シリコーン,グリセリル変性シリコーン,糖変性シリコーン,フッ素系界面活性剤,ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマー,アルキルポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンブロックポリマーエーテルが例示される。
【0090】
両性界面活性剤としてイミダゾリン型、アミドベタイン型、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アルキルスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、カルボベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸型、アミドアミノ酸型両性界面活性剤が例示される。具体的には、2−ウンデシル−N,N,N−(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)−2−イミダゾリンナトリウム、2−ココイル−2−イミタゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等のイミダゾリン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルベタインなどのアルキルベタイン型両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、牛脂脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、硬化牛脂脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン 、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のアミドベタイン型両性界面活性剤;ヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタインなどのアルキルスルホベタイン型両性界面活性剤;ラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタインなどのアルキルヒドロキシスルホベタイン型両性界面活性剤;ラウリルヒドロキシホスホベタインなどのホスホベタイン型両性界面活性剤;N−ラウロイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−オレオイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ココイル−N’−ヒドロキシエチル−N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ラウロイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンカリウム、N−オレオイル−N’−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンカリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル− N’−カルボキシメチルエチレンジアミンナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル−N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンモノナトリウム、N−ラウロイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム、N−オレオイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウム、N−ココイル−N−ヒドロキシエチル− N’, N’−ジカルボキシメチルエチレンジアミンジナトリウムなどののアミドアミノ酸型両性界面活性剤が例示される。
【0091】
半極性界面活性剤としては、アルキルアミンオキサイド型界面活性剤、アルキルアミンオキサイド、アルキルアミドアミンオキサイド、アルキルヒドロキシアミンオキサイドなどが例示され、炭素数10〜18のアルキルジメチルアミンオキサイド、炭素数8〜18のアルコキシエチルジヒドロキシエチルアミンオキサイド等が好ましく用いられる。具体的には、ドデシルジメチルアミンオキサイド、ジメチルオクチルアミンオキサイド、ジエチルデシルアミンオキサイド、ビス−(2−ヒドロキシエチル)ドデシルアミンオキサイド、ジプロピルテトラデシルアミンオキサイド、メチルエチルへキサデシルアミンオキサイド、ドデシルアミドプロピルジメチルアミンオキサイド、セチルジメチルアミンオキサイド、ステアリルジメチルアミンオキサイド、タロウジメチルアミンオキサイド、ジメチル−2−ヒドロキシオクタデシルアミンオキサイド、ラウリルジメチルアミンオキシド、ミリスチルジメチルアミンオキシド、ステアリルジメチルアミンオキシド、イソステアリルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アルキルジメチルアミンオキシド、カプリル酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、カプリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、パルミチン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、イソステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、オレイン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、リシノレイン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、12−ヒドロキシステアリン酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、パーム核油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ヒマシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドエチルジメチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ヤシ脂肪酸アミドエチルジエチルアミンオキシド、ラウリン酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、ミリスチン酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシド、及びヤシ脂肪酸アミドエチルジヒドロキシエチルアミンオキシドが例示される。
【0092】
紫外線防御剤には、無機系の紫外線防御剤と有機系の紫外線防御剤がある。本発明の化粧料が日焼け止め化粧料であれば、少なくとも1種の有機系の紫外線防御剤を含有することが好ましく、UV−Aに対応した紫外線防御成分とUV−Bに対応した紫外線防御成分を併用することがさらに好ましい。
【0093】
無機紫外線防御剤は、無機系の粉体顔料、金属粉末顔料などを紫外線分散剤として配合するものであっても良く、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、低次酸化チタン、鉄ドーピング酸化チタンなどの金属酸化物、水酸化鉄などの金属水酸化物、板状酸化鉄、アルミニウムフレークなどの金属フレーク類、炭化珪素などのセラミック類が挙げられる。
【0094】
有機紫外線防御剤として、パラアミノ安息香酸等の安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸メチル等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸メチル等のサリチル酸系紫外線吸収剤、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系紫外線吸収剤、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ウロカニン酸エチル等のウロカニン酸系紫外線吸収剤、4−t−ブチル−4’−メトキシ−ジベンゾイルメタン等のジベンゾイルメタン系紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0095】
保湿剤としては、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グルコース、キシリトール、マルチトール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類;ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ピロリドンカルボン酸塩、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリオキシプロピレンメチルグルコシド等がある。
【0096】
防菌防腐剤としては、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等、抗菌剤としては、安息香酸、サリチル酸、石炭酸、ソルビン酸、パラオキシ安息香酸アルキルエステル、パラクロルメタクレゾール、ヘキサクロロフェン、塩化ベンザルコニウム、塩化クロルヘキシジン、トリクロロカルバニリド、トリクロサン、感光素、フェノキシエタノール等が挙げられるが、口紅の場合は配合しないことが好ましい。
【0097】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、フィチン酸等が挙げられる。
【0098】
pH調整剤としては、例えば、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、dl−リンゴ酸、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられ
【0099】
キレート剤としては、例えば、アラニン、エデト酸ナトリウム塩、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、リン酸等が挙げられる。
【0100】
清涼剤としては、L−メントール、カンフル等、抗炎症剤としては、アラントイン、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸、トラネキサム酸、アズレン等が挙げられる。
【0101】
美肌用成分としては、胎盤抽出液、アルブチン、グルタチオン、ユキノシタ抽出物等の美白剤、ロイヤルゼリー等の細胞賦活剤、肌荒れ改善剤、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、カフェイン、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等の血行促進剤、酸化亜鉛、タンニン酸等の皮膚収斂剤、イオウ、チアントロール等の抗脂漏剤等が挙げられ、ビタミン類としては、ビタミンA油、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類、リボフラビン、酪酸リボフラビン、フラビンアデニンヌクレオチド等のビタミンB2類、ピリドキシン塩酸塩、ピリドキシンジオクタノエート、ピリドキシントリパルミテート等のビタミンB6類、ビタミンB12及びその誘導体、ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ジパルミチン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸ナトリウム、L−アスコルビン酸リン酸ジエステルジカリウム等のビタミンC類、エルゴカルシフェロール、コレカルシフェロール等のビタミンD類、α−トコフェノール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、酢酸dl−α−トコフェロール、ニコチン酸dl−α−トコフェロール、コハク酸dl−α−トコフェロール等のビタミンE類、ビタミンH、ビタミンP、ニコチン酸、ニコチン酸ベンジル等のニコチン酸類、パントテン酸カルシウム、D−パントテニルアルコール、パントテニルエチルエーテル、アセチルパントテニルエチルエーテル等のパントテン酸類等が挙げられる。
【0102】
アミノ酸として、グリシン、ヴァリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン等のアミノ酸及び/又はその塩が例示される。
【0103】
核酸として、デオキシリボ核酸等、ホルモンとしては、エストラジオール、エテニルエストラジオール等が挙げられる。
【0104】
生理活性成分は、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質であって、親油性であるものが例示される。例えば、抗炎症剤、老化防止剤、ひきしめ剤、発毛剤、育毛剤、保湿剤、血行促進剤、乾燥剤、温感剤、ビタミン類、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。同様に、天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分が好ましく配合することができる。
【0105】
香料は、親油性の香料であれば特に限定されるものではなく、種々の植物の花、種子、葉、根等から抽出した香料、海藻類から抽出した香料、動物の各部位または分泌物から抽出した香料(例、じゃこう、マッコウ)、人工的に合成した香料(例、メントール、ムスク、酢酸エステル、バニラ)が例示される。香料は、化粧料に香気、香りを付与するために配合される。色素は油溶性染料、体質顔料、無機顔料、有機顔料、親油性の蛍光増白剤などがある。
【実施例】
【0106】
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、これらにより限定されるものではない。参考例において使用したメチルハイドロジェンポリシロキサンは、常法の平衡化反応により製造したものである。また、各ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物(以下、「試料」という)の精製品の臭気(臭気試験)、ポリシロキサン部位のケイ素−酸素結合(Si−O)切断の有無は以下に述べる方法により評価した。
【0107】
[臭気試験1:カルボニル総量の測定]
特開2005-120293号公報で提示された、< 組成物のカルボニル総量の測定( A ) >を準用して、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の「カルボニル価(CV)」を求めた。
具体的には、以下の手順に従ってポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の「カルボニル価(CV)」を測定することにより、組成物の臭気原因となるカルボニル価を定量的に評価した。
<組成物のカルボニル総量の測定(A)>
実施例、比較例に係るポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物(試料)の各々について、以下の測定方法に従ってカルボニル総量の測定(カルボニル価の測定・検量線の測定・カルボニル類の定量)を行った。ここで、反応溶媒および希釈溶媒を構成する「超高純度アルコール(A)」としては、使用前3ヶ月に製造された市販品「エタノール(99.8)インフィニティピュア」(和光純薬工業(株)製)であって、使用直前まで未開封のもの(アルデヒド・ケトンの総量=2.4〜2.9ppm)を使用した。
【0108】
〔調製例1A〕
超高純度アルコール(A)100mLを収容する瓶を開封し、この瓶に、試薬特級トリクロロ酢酸4.30gを直接添加し、当該瓶に蓋をした後、振り混ぜて均一化することにより、トリクロロ酢酸のアルコール溶液〔酸濃度として4.3%(wt/vol)〕を調製した。以下、この溶液を「トリクロロ酢酸溶液(1A)」とする。なお、この調製操作は、吸光度の測定前1時間以内に行った。
【0109】
〔調製例2A〕
超高純度アルコール(A)100mLを収容する瓶を開封し、この瓶に、2,4−ジニトロフェニルヒドラジン(等量の水を含有する試薬特級品、以下、「2, 4−DNPH」と略す)50mgを直接添加し、当該瓶に蓋をした後、超音波洗浄機に5分間かけることにより、超高純度アルコール(A)によって2, 4−DNPHを完全に溶解させて、0.025%(wt/vol)の2, 4−DNPHのアルコール溶液を調製した。以下、この溶液を「2, 4−DNPH溶液(2A)」とする。なお、この調製操作は、吸光度の測定前1時間以内に行った。
【0110】
〔調製例3A〕
超高純度アルコール(A)100mLを収容する瓶を開封し、この瓶に、水酸化カリウム(ペレット状試薬特級品)4.0gを直接添加し、当該瓶に蓋をし、ペレットが消失するまで振り混ぜた後、超音波洗浄機に10分間かけることにより、超高純度アルコール(A)によって水酸化カリウムを完全に溶解させて、4.0%(wt/vol)の水酸化カリウムのアルコール溶液を調製した。以下、この溶液を「水酸化カリウム溶液(3A)」とする。なお、この調製操作は、吸光度の測定前1時間以内に行った。
【0111】
〔カルボニル価の測定〕
試料 2.00gと、超高純度アルコール(A)23.00gとを50mLの蓋付スクリュー管に仕込み、これらを混合して、試料濃度=8質量%の試料溶液(Sa)25.00gを調製した。
なお、比較例1,3,4,5,6で得られた組成物は、カルボニル価が非常に大きく、試料濃度=8質量%の試料溶液(Sa)を使用して後の工程を実施すると、吸光度(A1 )が0.80を超えて正確な吸光度測定ができないと予想されたため、比較例1,3,4,5,6で得られた組成物を試料とした場合には、当該試料0.200gと、超高純度アルコール(A)24.80gとを50mLの蓋付スクリュー管に仕込み、これらを混合して調製した液(試料濃度=0.8質量%)を試料溶液(Sa)として使用した。
【0112】
得られた試料溶液(Sa)1.250gと、超高純度アルコール(A)3.750gとを50mLのメスフラスコに仕込み、両者を混合して、試料濃度=2質量%の試料溶液(Sb)5.000gを調製した。
【0113】
試料溶液(Sb)5.000gが収容されている当該メスフラスコに、調製例1Aで得られたトリクロロ酢酸溶液(1A)3mLと、調製例2Aで得られた2, 4−DNPH溶液(2A)5mLとをホールピペットにより添加した。さらに、精製水1.050gを添加して混合した。
次いで、当該メスフラスコに栓をし、そのまわりにテフロン(登録商標)シールを巻いて気密性を確保した後、当該メスフラスコを60℃の恒温糟に入れて30分間加熱することにより、試料中に含まれるカルボニル類と、2, 4−DNPHとを反応させた。
次いで、当該メスフラスコを恒温糟から取り出し、室温で30分間放置した。
次いで、当該メスフラスコの栓を開けて、調製例3Aで得られた水酸化カリウム溶液(3A)10mLをホールピペットにより添加し、当該メスフラスコを振って混合した。
水酸化カリウム溶液(3A)10mLを添加してから8分経過後、希釈溶媒として超高純度アルコール(A)を添加し、この系を振り混ぜて総量が50mLの反応溶液(塩基性の反応溶液)を調製した。次いで、水酸化カリウム溶液(3A)10mLを添加してから15分経過後、濁りを取り除いた上記の反応溶液を吸収セル(液層の長さ=1cm)に入れ、吸光光度計により、430nmの吸光度(A1 )を測定した。
【0114】
一方、空試験として、前記試料溶液(Sb)に代えて、超高純度アルコール(A)5.000gを使用し、上記と同様の操作〔トリクロロ酢酸溶液(1A)の添加、2, 4−DNPH溶液(2A)の添加、得られた混合溶液の加熱および冷却、水酸化カリウム溶液(3A)の添加、超高純度アルコール(A)からなる希釈溶媒の添加〕を行って得られた溶液を吸収セル(液層の長さ=1cm)に入れ、上記と同様にして430nmの吸光度(A2 )を測定した。
【0115】
以上のようにして得られた吸光度(A1 )および吸光度(A2 )を、数式:CV=(A1 −A2 )/0.1に代入することによりカルボニル価(CV)を求めた。
なお、比較例1,3,4,5,6で得られた組成物を試料とした場合には、数式:CV=(A1 −A2 )/0.01に代入してカルボニル価を求めた。
【0116】
[臭気試験2:配合系の臭気評価]
各ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を、水/(多価)アルコールとの混合系を化粧料のモデル配合系として、経時的な着臭の程度を追跡し、経時的着臭の抑制効果について評価を行った。ここに、水/(多価)アルコールとの混合系は、試料 3.0gと、プロピレングリコール3.0gと、精製水24.0gとを50mLスクリュー管に仕込み、栓をして振り混ぜることによって調製した。経時的着臭の評価は、下記の基準に基いて、混合初期(直後)と70℃の環境下に2週間放置した後に実施した。
◎:ほとんど着臭が知覚できないレベル
○:僅かに着臭(エーテル様の特異臭)が感じられる
△:少しの着臭(エーテル様の特異臭)が感じられる
×:着臭(エーテル様の特異臭)が有ると強く感じられる
【0117】
[ポリシロキサン部位のケイ素−酸素結合(Si−O)切断の有無]
各ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物中のオルガノポリシロキサン部位のケイ素−酸素結合の切断があったかどうかを調べるために、生成物について29Si NMRによる分析を行った。該切断が起こった場合、シラノール(≡Si−O−H)が形成されることから、重ベンゼンを溶媒として使用し、29Si NMRによって−15〜−10ppmの領域における上記シラノール基に由来する29Siのシグナルの有無から判断した。
【0118】
[ストリッピング工程の条件]
窒素ガスを供給しながら内部を減圧して80〜90℃まで昇温し、1〜4kPaで1〜3時間にわたり低沸分(プロピオンアルデヒド等)を除去した(ストリッピング工程)。
【0119】
<実施例1>
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素挿入口を備えた1000ml(1L)の4つ口フラスコ中に、水素ガス発生量が12.2ml/gであり、構造式が

(CHSiO[(CHSiO]45[(CH)HSiO]Si(CH

であるメチルハイドロジェンポリシロキサン 500g、
構造式が CH=CHCHO(CO)10H であるアリルポリエーテル 200g
および イソプロピルアルコール(IPA) 200gを仕込み、これに、白金濃度が3 . 0 質量%の白金ジビニルテトラメチルジシロキサン−トルエン溶液を加えて、80℃で3時間反応を行った。
次に、減圧下で低沸分を留去した後、硫酸水素ナトリウム・1水和物を0.035 g、精製水 11g を添加して、80℃で1時間、加水分解処理を行った後、減圧下で低沸分を留去した。
さらに、精製水11g を添加して80℃で3時間、加水分解処理を行った後、減圧下で上記同様にして低沸分を留去し、得られた反応生成物を室温まで冷却し、常圧に戻して、珪藻土10gを混合して加圧濾過処理を行うことにより固液分離(触媒の除去)操作を行った。当該操作後の濾液として、「ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物1」を得た。
【0120】
<実施例2>
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素挿入口を備えた1000ml(1L)の4つ口フラスコ中に、水素ガス発生量が28.7ml/gであり、構造式が

(CHSiO[(CHSiO]27[(CH)HSiO]Si(CH

であるメチルハイドロジェンポリシロキサン 171g、
構造式が CH=CHCHO(CO)19(CO)19H であるアリルポリエーテル 529gを仕込み、これに、白金濃度が3 . 0 質量%の白金ジビニルテトラメチルジシロキサン−トルエン溶液を加えて、80℃で2時間反応を行った。
次に、硫酸水素アンモニウム 0.175g 、精製水 11gを添加して、80℃で1時間、加水分解処理を行った後、減圧下で低沸分を留去した。
さらに、精製水14g を添加して80℃で3時間、加水分解処理を行った後、減圧下で上記同様にして低沸分を留去し、得られた反応生成物を室温まで冷却し、常圧に戻して、珪藻土10gを混合して加圧濾過処理を行うことにより固液分離(触媒の除去)操作を行った。当該操作後の濾液として、「ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物2」を得た。
【0121】
<実施例3>
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素挿入口を備えた1000ml(1L)の4つ口フラスコ中に、水素ガス発生量が18.3ml/gであり、構造式が

(CHSiO[(CHSiO]45[(CH)HSiO]Si(CH

であるメチルハイドロジェンポリシロキサン 409g、
構造式が CH=CHCHO(CO)12CH であるアリルポリエーテル 291gを仕込み、これに、白金濃度が3.0質量%の白金ジビニルテトラメチルジシロキサン−トルエン溶液を加えて、80℃で2時間反応を行った。
次に、減圧下で低沸分を留去した後、硫酸水素カリウムを0.105g 、精製水11gを添加して、80℃で2時間、加水分解処理を行った後、減圧下で低沸分を留去し、室温でろ過した。
この濾液600gをオートクレーブに移し、ラネーニッケル触媒30gを加えたのち、水素を導入して、温度140℃ 、圧力80kg/cm で6時間、水素添加反応を行った後、触媒を0.1μmのろ過フィルターを用いて加圧濾過処理を行うことにより固液分離(触媒の除去)操作を行った。
この濾液500gから減圧下で低沸分を留去することにより、「ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物3」を得た。
【0122】
<実施例4>
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素挿入口を備えた1000ml(1L)の4つ口フラスコ中に、水素ガス発生量が93.2ml/gであり、構造式が

(CHSiO[(CHSiO]10[(CH)HSiO]Si(CH

であるメチルハイドロジェンポリシロキサン 165g、
構造式が CH=CHCHO(CO)12CH であるアリルポリエーテル 535gを仕込み、これに、白金濃度が3.0質量%の白金ジビニルテトラメチルジシロキサン−トルエン溶液を加えて、80℃で2時間反応を行った。
次に、この反応液600gをオートクレーブに移し、ラネーニッケル触媒30gを加えたのち、水素を導入して、温度140℃ 、圧力80kg/cmで6時間、水素添加反応を行った後、触媒を0.1μmのろ過フィルターを用いて加圧濾過処理を行うことにより固液分離(触媒の除去)操作を行った。
この濾液500gに硫酸水素カリウムを0.04 g 、精製水11gを添加して、80℃で3時間、加水分解処理を行った後、減圧下で低沸分を留去し、室温でろ過して、「ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物4」を得た。
【0123】
<比較例1>
実施例1において、硫酸水素ナトリウム・1水和物による処理の代わりに、精製水12gのみを添加して、80℃で3時間、加水分解処理を行った他は実施例1と同様にして、「比較サンプル1」を得た。
【0124】
<比較例2>
実施例1において、硫酸水素ナトリウム・1水和物による処理の代わりに、0.1mol/L塩酸水溶液 7gを添加して、80℃で3時間、加水分解処理を行った後、5%−重曹水1.5gを添加して中和を行った他は実施例1と同様にして、「比較サンプル2」を得た。
【0125】
<比較例3>
実施例2において、硫酸水素アンモニウムの代わりに、酢酸ナトリウム 0.04gを添加して、90℃で2時間、加水分解処理を行った他は実施例2と同様にして、「比較サンプル3」を得た。
【0126】
<比較例4>
実施例2において、硫酸水素アンモニウムの代わりに、硫酸ナトリウム 0.04gを添加して、90℃で2時間、加水分解処理を行った他は実施例2と同様にして、「比較サンプル4」を得た。
【0127】
<比較例5>
実施例2において、硫酸水素アンモニウムの代わりに、りん酸二水素ナトリウム二水和物 0.04gを添加して、90℃で2時間、加水分解処理を行った他は実施例2と同様にして、「比較サンプル5」を得た。なお、りん酸二水素ナトリウム二水和物50gを水1Lに溶解させたとき、その水溶液はpH約4.3を示した。
【0128】
<比較例6>
実施例2において、硫酸水素アンモニウムの代わりに、硫酸ジルコニア「SZA−60」〔ジャパンエナジー製〕0.04gを添加して、90℃で2時間、加水分解処理を行った後、減圧下で低沸分を留去し、得られた反応性生物を室温まで冷却し、常圧に戻して、珪藻土10gを混合して加圧濾過処理を行うことにより固液分離操作を行った。濾液として「比較サンプル6」を得た。
【0129】
<比較例7>
実施例2において、硫酸水素アンモニウムの代わりに、硫酸ジルコニア「SZA−60」〔ジャパンエナジー製〕 0.8g添加して、90℃で2時間、加水分解処理を行った後、減圧下で低沸分を留去し、得られた反応性生物を室温まで冷却し、常圧に戻して、珪藻土10gを混合して加圧濾過処理を行うことにより固液分離操作を行った。濾液として「比較サンプル7」を得た。
【0130】
<比較例8>
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素挿入口を備えた1000ml(1L)の4つ口フラスコ中に、水素ガス発生量が12.2ml/gであり、構造式が

(CHSiO[(CHSiO]45[(CH)HSiO]Si(CH

であるメチルハイドロジェンポリシロキサン 500g、
構造式が CH=CHCHO(CO)10H であるアリルポリエーテル 200g
および イソプロピルアルコール(IPA) 200gを仕込み、これに、白金濃度が3 . 0 質量%の白金ジビニルテトラメチルジシロキサン−トルエン溶液を加えて、80℃で3時間反応を行った。
次に、この反応液600gをオートクレーブに移し、ラネーニッケル触媒30gを加えたのち、水素を導入して、温度140℃ 、圧力80kg/cmで6時間、水素添加反応を行った後、得られた反応性生物を室温まで冷却し、常圧に戻して、珪藻土10gを混合して加圧濾過処理を行うことにより固液分離操作を行った。
この濾液500gから減圧下で低沸分を留去することにより、「比較サンプル8」を得た。
【0131】
上記実施例1〜4、比較例1〜8について、得られた各組成物の臭気試験1、臭気試験2およびオルガノポリシロキサン部位のケイ素−酸素結合の切断の有無を評価した結果を下表1に示す。
【0132】
[表1]:実施例、比較例にかかる各試料の臭気評価およびケイ素−酸素結合の切断の有無
【表2】

【0133】
本願実施例1、2に係るポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物は、製造直後〜経時において不快な臭いはほとんど感じられなかった。
さらに、実施例3および実施例4に示すように、水素添加法と組み合わせることにより、経時においても、実質的に無臭の製品を得られることが分かった。
また、実施例1〜4の全てにおいて、オルガノポリシロキサン部位のケイ素−酸素結合の切断は起こらないことが確認できた。
【0134】
一方、本発明に係る特定の酸性無機塩による低臭化処理を行わなかった比較例1〜8にかかる比較サンプルは、いずれも、実施例にかかるポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物より不快な臭気が強いと評価された。また、臭気低減のため、大量の硫酸ジルコニアを用いて処理した比較例7においては、一定の臭気低減が実現できたが、オルガノポリシロキサン部位のケイ素−酸素結合の切断が発生した。



【0135】
<実施例5>
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素挿入口を備えた1000ml(1L)の4つ口フラスコ中に、水素ガス発生量が12.2ml/gであり、構造式が

(CHSiO[(CHSiO]45[(CH)HSiO]Si(CH

であるメチルハイドロジェンポリシロキサン 500g、
構造式が CH=CHCHO(CO)10H であるアリルポリエーテル 200g
および イソプロピルアルコール(IPA) 200gを仕込み、これに、白金濃度が3 . 0 質量%の白金ジビニルテトラメチルジシロキサン−トルエン溶液を加えて、80℃で3時間反応を行った。
次に、減圧下で低沸分を留去した後、硫酸水素ナトリウム・1水和物を0.035 g、精製水 11g を添加して、80℃で1時間、加水分解処理を行った後、減圧下で低沸分を留去し、室温でフィルターセル(Celite社製)でろ過して、「ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物6」を得た。得られた「ポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン組成物5」の480nmにおける光透過率(石英セル、光路長:10mm)は99%であり、色相(APHA)は10以下であった。
【0136】
さらに、得られた「ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物5」50gを100ccガラス瓶に採取し、100℃で5時間加熱した。加熱後の該組成物は着色することなく、色相(APHA)は10以下を維持していた。
【0137】
<比較例9>
攪拌機、還流冷却器、温度計および窒素挿入口を備えた1000ml(1L)の4つ口フラスコ中に、水素ガス発生量が12.2ml/gであり、構造式が

(CHSiO[(CHSiO]45[(CH)HSiO]Si(CH

であるメチルハイドロジェンポリシロキサン 500g、
構造式が CH=CHCHO(CO)10H であるアリルポリエーテル 200g
および イソプロピルアルコール(IPA) 200gを仕込み、これに、白金濃度が3 . 0 質量%の白金ジビニルテトラメチルジシロキサン−トルエン溶液を加えて、80℃で3時間反応を行った。
次に、減圧下で低沸分を留去した後、硫酸ジルコニア「SZA−60」〔ジャパンエナジー製〕 0.7g 、精製水11gを添加して、80℃で1時間、加水分解処理を行った後、減圧下で低沸分を留去した。室温でフィルターセルでろ過したところ、少し白濁しており、480nmにおける光透過率(石英セル、光路長:10mm)は90%であった。再度、得られたろ液をフィルターセルにてろ過して、「比較サンプル9」を得た。得られた「比較サンプル9」のの480nmにおける光透過率(石英セル、光路長:10mm)は99%であり、色相(APHA)は10であった。
【0138】
さらに、得られた「比較サンプル9」50gを100ccガラス瓶に採取し、100℃で5時間加熱した。加熱後の該サンプルは黄色く着色してしまった。また、その色相(APHA)は150であった。
【0139】
実施例6 : 液状ファンデーション
下記成分から成る液状ファンデーションを調製した。(数字は全て質量%である)
(油相部)
デカメチルシクロペンタシロキサン 15.0
流動パラフィン 5.0
パラメトキシケイ皮酸エステル 3.0
実施例5で得たポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物5 2.0
(水相部)
精製水 56.2
グリセリン 5.0
水溶性防腐剤 適量
(粉体部分)
疎水化処理酸化チタン 10.0
タルク 3.8
着色顔料 適量
【0140】
<製法>
上記の(油相部)と(水相部)をそれぞれ加熱し溶解させる。さらに、上記の(粉体部分)を加熱溶解後の(水相部)に攪拌しながら十分に分散させて75℃に加熱する。ここで得た水相部を、油相部に攪拌しながら加え、ホモミキサーで乳化分散した後、室温まで冷却して製品とした。
<評価>
このようにして得られた液状ファンデーションは、のびが軽く、べたつきがなくてさっぱりとした優れた使用性、使用感を持ち、また、経時的に臭いの変化の認められない経時安定性の良好な化粧料であった。
【0141】
実施例7 : 日焼け止め化粧料
下記成分から成る日焼け止め化粧料を調製した。(数字は全て質量%である)
(油相部)
デカメチルシクロペンタシロキサン 25.0
疎水化処理酸化チタン 10.0
疎水化処理タルク 4.0
スクワラン 5.0
実施例1で得たポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物1 2.0
有機変性モンモリロナイト 1.0
防腐剤 適量
香料 適量
(水相部)
精製水 46.0
ジプロピレングリコール 7.0
【0142】
<製法>
上記の(油相部)と(水相部)をそれぞれ60℃に加熱し溶解させる。(油相部)に(水相部)を加え、ホモミキサーを用いて乳化粒子を均一にした後、冷却を行い製品とした。
<評価>
このようにして得られた日焼け止め化粧料は、のびが軽く、べたつきがなくてさっぱりとした優れた使用性、使用感を持ち、また、経時的に臭いの変化の認められない経時安定性の良好な化粧料であった。
【0143】
実施例8 : トリートメントジェル
下記成分から成るトリートメントジェルを調製した。(数字は全て質量%である)
(油相部)
エタノール 20.0
実施例2で得たポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物2 2.0
トリイソオクタングリセリル 2.0
トレフィルE−506S 8.0
(水相部)
カルボキシビニルパウダー(1%水溶液) 20.0
トリエタノールアミン 0.2
精製水 49.3
【0144】
<製法>
上記の(油相部)と(水相部)をそれぞれ混合均一化させる。さらに、均一混合した(油相部)を(水相部)に徐々に加えて全体を均一にし、製品とした。
<評価>
このようにして得られたトリートメントジェルは、のびが軽く、べたつきがなくてさっぱりとした優れた使用性、使用感を持ち、また、経時的に臭いの変化の認められない経時安定性の良好な化粧料であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法であって、
(a)分子鎖の末端に炭素−炭素二重結合を有するポリオキシアルキレン化合物と、
(b)オルガノハイドロジェンポリシロキサン とをヒドロシリル化反応させることによりポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を合成する工程〔A〕;および
ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を、
(c)25℃で固体であり、水溶性であり、かつ、50gをイオン交換水1Lに溶解させたときの水溶液の25℃におけるpHが4以下であることを特徴とする1種類以上の酸性無機塩 の存在下で処理することにより、臭気原因物質を除去する工程〔B〕
を有することを特徴とするポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項2】
上記の成分(c)が、硫酸水素イオン(HSO)および1価の陽イオン(M)からなる1種以上の酸性無機塩である、請求項1に記載のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項3】
上記の成分(c)が、硫酸水素ナトリウム、硫酸水素カリウムおよび硫酸水素アンモニウムからなる群から選択される1種以上の酸性無機塩である、請求項1または請求項2に記載のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項4】
さらに、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を水素化触媒の存在下、水素添加反応による無臭化処理を行う工程〔C〕
を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項5】
前記の工程〔C〕が、前記の工程〔B〕に引き続いて行われる工程であることを特徴とする請求項4に記載のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項6】
前記の工程〔B〕が、前記の工程〔C〕に引き続いて行われる工程であることを特徴とする請求項4に記載のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項7】
工程〔A〕において、
成分(a)が、下記構造式(1):
CH=CH−C2pO−(CO)p1(CO)p2R (1)
{式中、pは1〜10の範囲の数である。p1,p2は0〜30の範囲の数であり、(p1+p2)は4〜50となる範囲の数である。Rは水素原子または炭素原子数1〜10のアルキル基である。}で示される直鎖状のポリオキシアルキレン化合物であり、
成分(b)が、下記構造式(2):
【化1】

(式中、Rは置換もしくは非置換の一価炭化水素基であり、Rは水素原子またはRから選択される基であり、mは0〜1000の範囲の数であり、nは0〜200の範囲の数である。但し、n=0のとき、Rの少なくとも一方は水素原子である。)
で示されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンであることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項8】
工程〔B〕の前工程または後工程として、ポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物に対して、減圧下に、窒素ガスを接触させて低沸分を留去するストリッピング工程を有する請求項1〜7のいずれか1項にいずれか1項に記載のポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の製造方法により得られるポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を含有する化粧料原料。
【請求項10】
請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の製造方法により得られるポリオキシアルキレン変性ポリシロキサン組成物を含有してなる化粧料。

【公開番号】特開2011−116902(P2011−116902A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−277015(P2009−277015)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【Fターム(参考)】