説明

照明システム

【課題】光源装置を大型化することなく、光源装置の異常を検出可能とすること。
【解決手段】励起光源16、光ファイバ18、波長変換ユニット20を順に接続して構成された光源装置と、該光源装置の正常な動作を確認する動作確認装置14と、からなる照明システムは、光源装置における波長変換部を備える光信号射出端32と動作確認装置とを直接物理的に接続するための接続部40と、該接続部により光信号射出端と動作確認装置とが接続された状態で、光信号射出端から射出された光信号を検出する光量センサ28と、該光量センサでの検出結果に基づき、励起光源と光ファイバと波長変換ユニットの動作を判定する判定回路を有する光源制御器22と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被照明物を照明する照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、高い確度で断線を検出可能な構成を有する光源装置である発光装置が開示されている。この光源装置は、光(例えば励起光)を射出する半導体発光素子を有する光源と、半導体発光素子から射出された光を集光するレンズと、光がレンズによって集光するコネクタと、コネクタと接続する導光部材と、導光部材の先端に配設されている光部品と、を備えている。導光部材は、コネクタから集光した光を導光する。導光部材は例えば光ファイバなどである。光部品には、導光部材によって光が導光される。
【0003】
また、上記光源装置は、レンズとコネクタとの間に配設され、光部品から戻ってきた反射光を分岐する光分岐部材と、光分岐部材によって分岐された反射光を受光する受光素子と、を有している。受光素子は、反射光を検出することで、光源装置の異常の有無、例えば導光部材の断線を検出する検出部でもある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−26698号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した特許文献1は、光分岐部材によって分岐された反射光を検出することによって導光部材の断線等の異常を検出する構成を用いている。しかしながら、そのような反射光によって検出される検出項目は限られ、精度良く異常を検出する為に測定項目を増やすと、複数の検出器を光源装置に搭載する必要が有るので装置が大型化してしまうという問題点が有った。
【0006】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、光源装置を大型化することなく、光源装置の異常を検出可能な照明システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明システムの一態様は、
励起光を射出する励起光源、前記励起光源から射出された前記励起光を導光する導光部材、及び前記導光部材によって導光されてきた前記励起光を所望の波長の照明光に変換し、該照明光を被照明物に向けて射出する波長変換部を順に接続して構成された光源装置と、
前記光源装置の正常な動作を確認する動作確認装置と、
からなる照明システムにおいて、
前記光源装置における前記波長変換部を備える光信号射出端と前記動作確認装置とを直接物理的に接続するための接続部と、
前記接続部により前記光信号射出端と前記動作確認装置とが接続された状態で、前記光信号射出端から射出された光信号を検出する検出部と、
前記検出部での検出結果に基づき、前記励起光源と前記導光部材と前記波長変換部の動作を判定する動作判定部と、
を具備することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光源装置を大型化することなく、励起光源と導光部材と波長変換部の動作を判定することが可能な、つまり、光源装置の異常を検出可能な照明システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、本発明の第1実施形態に係る照明システムの全体構成を示すブロック図である。
【図2A】図2Aは、第1実施形態に係る照明システムにおける波長変換ユニットと動作確認装置の構成例を示す断面図である。
【図2B】図2Bは、図2Aの波長変換ユニットと動作確認装置とを接続した状態を示す断面図である。
【図3】図3は、第1実施形態における動作確認装置の別の構成例を示す断面図である。
【図4】図4は、第1実施形態に係る照明システムにおける判定回路の構成例を示す図である。
【図5】図5は、第1実施形態における判定回路の別の構成例を示す図である。
【図6】図6は、本発明の第2実施形態に係る照明システムにおける波長変換ユニットと動作確認装置の構成例を説明するための図である。
【図7】図7は、本発明の第3実施形態に係る照明システムにおける動作確認装置の構成例を説明するための図である。
【図8】図8は、図7の動作確認装置の検出光量分布の例を示す図である。
【図9】図9は、本発明の第4実施形態に係る照明システムにおける波長変換ユニットと動作確認装置の構成例を説明するための図である。
【図10】図10は、本発明の第5実施形態に係る照明システムにおける波長変換ユニットと動作確認装置の構成例を説明するための図である。
【図11】図11は、本発明の第6実施形態に係る照明システムの構成例を説明するための図である。
【図12】図12は、第6実施形態に係る照明システムにおける波長変換ユニットと動作確認装置の別の構成例を説明するための図である。
【図13】図13は、本発明の第8実施形態に係る照明システムの構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る照明システム10は、励起光を基に生成した照明光を被照明物に照明する光源装置12と、該光源装置12に対して接続または分離可能であり、光源装置12と接続し、かつ、光源装置12が光信号を射出した際に、その射出された光信号の状態を基に、光源装置12の状態、言い換えると光源装置12の異常の有無を確認するのに用いられる動作確認装置14と、から構成されている。
【0011】
光源装置12は、励起光を射出する励起光源16と、該励起光源16から射出された励起光を導光する導光部材である光ファイバ18と、該光ファイバ18によって導光されてきた励起光を所望の波長の照明光に変換し、該照明光を被照明物に向けて射出する波長変換部である波長変換ユニット20とを、順に接続して構成されている。さらに、光源装置12は、上記励起光源16の動作開始/停止や光出力を制御する光源制御器22と、該光源装置12に関する様々な情報を表示する表示器24と、を有している。
【0012】
ここで、励起光源16は、例えばレーザ装置である。
波長変換ユニット20は、波長変換を行う波長変換部材、例えば蛍光体を備えており、光ファイバ18より射出した励起光が蛍光体に照射されている。蛍光体は、照射された励起光を、励起光とは異なる所定の波長を有する蛍光に変換する。この所定の波長の光である蛍光が、該波長変換ユニット20から、被照明物を照明する照明光として射出される。なお蛍光体は、実際には照射された励起光全てを蛍光に変換するのではなく、励起光の一部を蛍光に変換する。そのため、波長変換ユニット20は、蛍光のみならず励起光も射出する。したがって、波長変換ユニット20は、実際は、照明光である蛍光と、蛍光体によって蛍光に変換されなかった励起光と、を含む光信号を射出する。
【0013】
一方、動作確認装置14は、上記波長変換ユニット20が配置された上記光源装置12の光信号射出端に対して着脱自在となっている。動作確認装置14は、該動作確認装置14が上記光信号射出端と接続した際に適切な位置関係に接続されているか否かを検出する接続検出器26と、該動作確認装置14が上記光信号射出端と接続された状態で、上記波長変換ユニット20から射出された光信号を検出する検出部である光量センサ28と、を有している。
【0014】
また、光源装置12の光源制御器22は、上記動作確認装置14の接続検出器26からの接続検出信号と光量センサ28からの検出光量とを受けるように構成されている。光源制御器22は、光量センサ28からの検出光量に基づいて、光源装置12の異常の有無、言い換えると、励起光源16と光ファイバ18と波長変換ユニット20の動作、を判定する動作判定部である判定回路30を備えている。なお、光源装置12の異常とは、例えば、光ファイバ18の断線や、断線による励起光の漏れ、または、波長変換ユニット20の故障による励起光や蛍光の射出効率の低下や、励起光が不要に増加する状態を示す。光源装置12の異常の有無の判定については、後述する。
【0015】
このような構成の照明システム10においては、光源装置12による被照明物の照明に先立って、動作確認装置14を用いた光源装置12の動作判定が実施される。
【0016】
例えば、この動作判定は、光源装置12の電源投入時と光源装置12の動作初期化後との少なくとも一方において自動的に実施される。まず、光源制御器22は、励起光源16を動作させる前に、接続検出器26からの接続検出信号に基づいて、光源装置12の波長変換ユニット20の光信号射出端に対し動作確認装置14が適切な位置関係に接続されていることを確認した上で、励起光源16を動作させて波長変換ユニット20から光信号を射出させる。そして、動作確認装置14の光量センサ28により検出した射出光情報である検出光量を用いて、判定回路30により光源装置12の状態を判定し、その判定を基に光源制御器22は、光信号の光出力を制御する。即ち、光源装置12が危険、または動作不適であると判定したときには、励起光源16の発光を禁止するか、または励起光の光量が低くなるよう制限する。その後、動作確認装置14が光信号射出端から外されたならば、光出力が制御された光信号が光信号射出端から射出される。なお、判定結果または光信号の光出力の制御結果を表示器24にて表示するようにしても良い。
【0017】
次に、光源装置12の波長変換ユニット20及び動作確認装置14の具体的な構成について説明する。
【0018】
図2A及び図2Bに示すように、波長変換ユニット20は、光ファイバ18と該波長変換ユニット20とを保持するための光信号射出端32内の、光ファイバ18の先端部に配置される。この波長変換ユニット20は、光ファイバ18より射出した励起光の波長変換を行う波長変換部材である蛍光体34と、該蛍光体34の背部(光ファイバ18側)に配置されたテーパーミラー36と、を有している。上述したように、該蛍光体34で変換された照明光である蛍光と、該蛍光体34によって蛍光に変換されなかった励起光と、を含む光信号が、上記光信号射出端32の先端に設けられた射出口38より射出される。テーパーミラー36は、この蛍光体34で変換された蛍光の内、射出口38方向以外の方向へ進む光を上記射出口38から射出させるために配置されている。なお、波長変換ユニット20は、ここで述べた構造に限定されず、蛍光体34を用いた構造体であれば良いことは勿論である。
【0019】
また、動作確認装置14は、光信号射出端32に対して着脱自在となっており、上記接続検出器26及び光量センサ28を備える。さらに、この動作確認装置14は、上記光信号射出端32と該動作確認装置14とを直接物理的に接続するための接続部40と、その接続した状態において、上記光信号射出端32から射出される光信号を遮光する遮光部である遮光カバー42と、を有している。
【0020】
光量センサ28は、遮光カバー42の凹部の内面に配置され、波長変換ユニット20の射出口38の正面に配置されている。また、この光量センサ28と射出口38との間隔が適切な間隔になるように、接続部40には、位置合わせの為の凸部44を設けている。
【0021】
図2Bに示すように、波長変換ユニット20の光信号射出端32に動作確認装置14を装着したとき、射出口38は遮光カバー42で覆われており、射出口38から射出された光は外部へは漏れず、光量センサ28へは、射出口38から射出された光のみが入射するので、外光の影響を除去できる。また、光源装置12の動作判定時には、まだ光出力の制御を行っていないので、射出口38から危険なレベルの光が射出される虞があるが、たとえそのような光が射出されたとしても、遮光カバー42で覆われているので、その光が外部の人等に害を及ぼすことはない。
【0022】
接続検出器26は、遮光カバー42およびそれに固定された光量センサ28が適正な位置に設置されているか否かを検知する。この接続検出器26は、光学的にあるいは電磁的に接近を検知する構成のものであっても良いし、電極同士の接触により電気的に接続検知する構成のものであっても良い。
【0023】
なお、光量センサ28の前面(射出口38側)には、励起光が透過する波長フィルタ46が配設されている。そのため、光量センサ28は、動作確認装置14が光信号射出端32と接続し、励起光源16が励起光を射出した際、波長変換ユニット20が蛍光と励起光を射出する状態において、励起光の状態を検出することとなる。波長変換ユニット20が故障すると、波長変換ユニット20によって蛍光に変換される励起光が減少し、励起光のまま射出口38から射出する励起光が増加する。そのため、波長変換ユニット20が故障すると、蛍光の射出量が減り、励起光の射出量が増す。この励起光は、人の目や皮膚に直接照射されると害を及ぼす虞が大きいため、ここでは、この励起光の光量を検出するようにしているものである。なお、例えば光ファイバ18が断線や劣化すると、断線部分や劣化部分から励起光が漏れ、波長変換ユニット20へ入射する励起光の光量は減少し、波長変換ユニット20を透過する励起光の光量も減少する。
【0024】
また、図3に示すように、2つ光量センサ28を設けて、それぞれに励起光、蛍光を透過する波長フィルタ46E,46Fを配置することで、励起光光量検出器と蛍光光量検出器とを構成し、励起光の光量と蛍光の光量とをそれぞれ独立に検出可能としても良い。すなわち、励起光の光量変化に表れない光源装置12の微小な異常を蛍光の光量変化として検出できる場合があるので、蛍光の光量を検出することは意味がある。
【0025】
あるいは、波長フィルタ46と光量センサ28の代わりに、分光型検出器を用いても良い。このような分光型検出器を用いる場合、判定回路30は、分光型検出器で検出した励起光波長の光量のみを基に判定しても良いし、励起光波長の光量と蛍光波長の光量との相対強度を基に判定するようにしても良い。
【0026】
なお、光源装置12の判定回路30は、例えば、図4に示すように、動作確認装置14の光量センサ28からの検出光量を所定の値に相当する基準電圧と比較する比較器48から構成することができる。このような判定回路30は、励起光の光量が所定の値以下か否かを判定することにより、光源装置12の異常の有無、言い換えると、励起光源16と光ファイバ18と波長変換ユニット20の動作、を判定する。
【0027】
あるいは、光源装置12の判定回路30は、例えば、図5に示すように、動作確認装置14の光量センサ28からの検出光量を所定の範囲の下限値に相当する基準電圧1と比較する比較器50と、光量センサ28からの検出光量を上記所定の範囲の上限値に相当する基準電圧2と比較する比較器52と、それら比較器50,52の判定結果の論理積をとって最終的な判定結果を得る論理積演算器54と、から構成するようにしても良い。このような判定回路30は、励起光の光量が所定の範囲に入っているか否かを判定することにより、光源装置12の異常の有無、言い換えると、励起光源16と光ファイバ18と波長変換ユニット20の動作、を判定する。
【0028】
ここで、判定回路30の判定は、下記のいずれかの方法により行われる。
・波長変換ユニット20を透過し外部に出力される励起光光量が、励起光源16や波長変換ユニット20などの製造バラツキを考慮して求められた光量の範囲に入っている時を動作「好適」、入っていない時を動作「不適」と判定する。
・波長変換ユニット20などの劣化を考慮し、将来劣化し危険な状態に至るまで十分な時間があると励起光光量から予想される状態を動作「好適」、十分な時間がないと予想される状態を動作「不適」と判定する。
・波長変換ユニット20に故障が発生し、波長変換ユニット20の射出口38より出力される励起光の光量が、他の機器や人体へ影響を与える光量であるときは「危険」、影響を与えない光量であるときは「安全」と判定する。
【0029】
例えば、励起光源16が上述したようにレーザ装置である場合、光源装置12に異常が生じると、レーザ光である励起光が射出口38から所定の値以上に射出される虞が生じる。励起光が所定の値以上に射出されると、使用者に影響を与え、所望な安全性を保てない虞が生じたり、他の機器に影響を与える虞が生じたりする。そこで、検出した励起光の光量が所定の値以下であれば「安全」、所定の値を超えれば「危険」と判定する。この判定の閾値である所定の値は、例えば励起光が他の機器や光源装置12の使用者に影響を与える状態となる射出光量を基に、その光量が射出された時に光量センサ28で検出される光量を基準とすれば良い。なお、この判定の閾値は、国際規格等で規定されるレーザ安全クラスを基準としても良い。
【0030】
上述した光源装置12に異常が生じる場合とは、例えば波長変換ユニット20が故障したことを示す。波長変換ユニット20が故障すると、波長変換ユニット20によって蛍光に変換される励起光が減少し、励起光のまま射出口38から射出する励起光が増加する。そのため波長変換ユニット20が故障すると、蛍光の射出量が減り、励起光の射出量が増す。
【0031】
また、上記動作「好適」と動作「不適」とは、例えば励起光源16や波長変換ユニット20が設計時の仕様を満たすことができるか否か、あるいは、例えば波長変換ユニット20などの劣化を考慮し、波長変換ユニット20などが劣化することで波長変換ユニット20などが危険な状態に至るまでに十分な時間があるか否か、によって決まる。判定の閾値である所定の値は、例えば励起光源16や波長変換ユニット20が設計時の仕様を満たし、例えば励起光源16や波長変換ユニット20等の製造バラツキを考慮して求めれば良い。この所定の値は、上記「安全」と「危険」とにおける所定の値よりも小さい。
【0032】
判定回路30は、上記「安全」と「危険」または上記「好適」と「不適」のいずれかのための所定の値に相当する基準電圧を比較器48または52,54に予め設定しておくことで、判定結果を得る。もちろん、上記「安全」,「危険」と上記「好適」,「不適」とをそれぞれ判定して、その判定の組み合わせに応じて励起光の光量(励起光源16の光出力)を制御するようにしても構わない。
【0033】
なお、ここでは励起光光量を基に判定する例を説明したが、蛍光光量、または両光量を用いて判定する方法も考えられる。または、分光型検出器を用いて、スペクトルから励起光光量、蛍光光量を導出して同様に判定する方法も採ることができる。また、励起光光量と蛍光光量の比を用いて判定する方法も考えられる。
【0034】
そして、動作確認装置14が光源装置12から使用者の作業によって外された後、光源制御器22は先の判定結果を基に、励起光源16の光出力を制御する。「安全」または動作「好適」と判定された場合、照明光を出力可能となる。「危険」または「動作不適」であると判定したときには、励起光源16を停止するか、または励起光の光量が低くなるよう制限する。
【0035】
以上のような第1実施形態に係る照明システム10によれば、動作確認装置14が光信号射出端32に接続した際に、動作確認装置14に配した光量センサが光信号を受光することで、検出した光信号を基に励起光源16と光ファイバ18と波長変換ユニット20の動作を判定すること、つまり、光源装置12の異常を検出することができる。よって、本実施形態では、光源装置12の光学系に新たな構成を追加することなく、光ファイバ18や波長変換ユニット20の故障を光学的に検出できるので、光源装置12の大型化を防止することができる。
【0036】
また、本実施形態では、動作確認装置14を光信号射出端32に接続するだけでよく、光源装置12の光学系に新たな構成を追加することなく、設計自由度が高い構成で光ファイバ18や波長変換ユニット20の故障を光学的に検出し、故障検出時には光源装置12の危険な動作を抑制することが可能となる。そして、故障が検出されず、光源装置12を動作させるときには、動作確認装置14を外しているので、光源装置12の動作や使用し易さに影響を与えることが無い。
【0037】
また、本実施形態では、光学的な検出結果に基づく判定を行うので、光源装置12の異常を判定する時間が短く応答性が良い。さらに、異常発生による影響を直接検出することとなるので、確実な検出が可能である。
【0038】
[第2実施形態]
本第2実施形態に係る照明システム10は、光源装置12の光信号射出端32に波長変換ユニット20を複数配置したものである。
【0039】
例えば、図6(A)は、光信号射出端32に3個の波長変換ユニット20を配置した例であり、光信号射出端32は、3個の射出口38を備えている。なお、各波長変換ユニット20への導光に関しては、励起光源16から射出された励起光を光分岐して複数の光ファイバ18によって各波長変換ユニット20に導光するようにしても良いし、励起光源16から射出された励起光を1本の光ファイバ18によって光信号射出端32内に導光し、該光信号射出端32内で各波長変換ユニット20に光分岐するようにしても良い。
【0040】
このように光源装置12の光信号射出端32に複数の波長変換ユニット20が配置されている構成では、図6(A)及び(B)に示すように、光信号射出端32の外周に切り欠き56を設け、動作確認装置14の遮光カバー42の内周に、上記切り欠き56と嵌め合うような突出部58を設けておき、各波長変換ユニット20に対面する場所に光量センサ28を配置することで、各波長変換ユニット20の光量を確実に検出することができるようになる。このように、複数の波長変換ユニット20を備える場合には、接続部40に、温度センサ28と光信号射出端32との位置関係が一意に定まる接続構造を持つことが好ましい。
【0041】
[第3実施形態]
本第3実施形態に係る照明システム10は、図7に示すように、上記光量センサ28の代わりに、光量分布測定可能な2次元配列光量センサ60を搭載するものである。この2次元配列光量センサ60としては、2次元PDやイメージャ素子を用いることができる。
【0042】
この場合、判定回路30は、2次元配列光量センサ60で測定した配光特性(光量分布)が、設計値より求めた分布に対して所定の上限値と下限値の間にあれば「安全」または動作「好適」と判定する。これに対して、上記設計値より求めた分布に対して、図8(A)に示すように広がったり、図8(B)に示すように分布の中心がずれたりしたときには、「危険」または動作「不適」と判定する。
【0043】
また、波長フィルタ46に代えてカラーフィルタを搭載することにより、波長毎(色事)にどのような分布を持つかで判定する構成も採用することができる。この場合、励起光、蛍光それぞれの分布で判定が可能になる。
【0044】
なお、2次元配列光量センサ60で測定した光量分布の検出値と設計値より求めた分布とを比較するのではなく、測定した光量分布の検出値から最大光量を求め、その値を基に判定を行うことで、判定時間の短縮化が図れる。
【0045】
[第4実施形態]
本第4実施形態に係る照明システム10は、図9に示すように、動作確認装置14の遮光カバー42の内側に、散乱板62を設置し、光量センサ28は、波長変換ユニット20の射出口38から射出される光信号が直接入射しない場所に設置したものである。
【0046】
このような構成においては、射出口38から出射された光信号は、散乱板62に照射され、該散乱板62で様々な方向に反射・散乱される。
【0047】
従って、光信号が配光分布を有していた場合でも、光量センサ28では平均化して検出できるので、光量センサ28が波長変換ユニット20の射出口38の正面に配置されていなくても、散乱板62によって散乱された光信号の光量を測定可能な位置に配置されれば、光信号全体の状況を検出できる。
【0048】
また、光源装置12の光信号射出端32に複数の波長変換ユニット20が配置されている構成においても、同様の構成にすることで、それぞれの波長変換ユニット20より射出した光信号の反射散乱光が光量センサ28に入射するので、各波長変換ユニット20の光量を確実に検出することができる。
【0049】
なお、図9では、接続検出器26を、動作確認装置14側でなく光源装置12の光信号射出端32側に配置しているが、動作的には動作確認装置14側に配置した場合と同様である。上記第1乃至第3実施形態の構成においても、接続検出器26を光信号射出端32側に配置しても良いことは勿論である。
【0050】
[第5実施形態]
本第5実施形態に係る照明システム10は、図10に示すように、光量センサ28を、動作確認装置14側ではなくて、光源装置12の光信号射出端32に内蔵させたものである。この場合、動作確認装置14は、上記第4実施形態と同様、遮光カバー42の内側に散乱板62を設置する。
【0051】
このような構成においては、波長変換ユニット20の射出口38から射出した光信号は、遮光カバー42内の散乱板62により反射・散乱して、光信号射出端32内蔵の光量センサ28に入射する。
【0052】
なお、観察機能を持った光源装置12であれば、別途光量センサ28を設ける必要なく、その観察機能を構成しているイメージャ素子を用いて光量を検出しても良い。さらに、カラーフィルタ付きのイメージャ素子の場合は、励起光と蛍光を分離して検出可能であり、また、配光も検出可能である。
【0053】
なお、図10では、接続検出器26を、光信号射出端32側に配置しているが、動作確認装置14側に配置しても良いことは勿論である。
【0054】
[第6実施形態]
本第6実施形態に係る照明システム10は、動作確認装置14側から光源装置12側への情報の伝達を、図11に示すように、赤外、電磁結合、または電波による無線送信部である送信器64と無線受信部である受信器66とを用いた無線通信により行うものである。
この場合、光源制御器22に設置していた判定回路30を、動作確認装置14の光量センサ28と送信器64の間に配置するようにしても良い。このような配置すれば、無線通信の内容として、判定結果を送信すれば良いので、通信機構が簡略化できる。
【0055】
また、接続検出器26も、光源装置12の光信号射出端32側に設置することで、動作確認装置14との有線接続を無くすことができる。
【0056】
なお、図12に示すように、受信器66を、動作確認装置14が光信号射出端32に接続されたときに送信器64と受信器66とが対向するような、光信号射出端32内の位置に設けても良い。この場合、動作確認装置14が正しく接続された時のみ動作するように、送信器64と受信器66が近距離でのみ動作するような低電力型にすることで、送信器64・受信器66の動作を基に、接続検出を行うことも可能であり、これにより、接続検出器26を省略することも可能となる。
【0057】
また、送信器64及び受信器66を双方向で無線伝達可能な送受信器とすることで、動作確認装置14に電池を内蔵する代わりに、それら送受信器で光源装置12側から伝達される電力を、動作確認装置14側の動作に用いるようにしても良い。
【0058】
なお、図11及び図12では、接続検出器26を、光信号射出端32側に配置しているが、動作確認装置14側に配置しても良いことは勿論である。
【0059】
[第7実施形態]
本第7実施形態に係る照明システム10は、光量センサ28を光電池として用いるものである。
【0060】
これにより、実際の被照明物の照明に使用されない、判定のためのみに用いられる光信号を電力に変換して、動作確認装置14の動作に利用することができる。
【0061】
[第8実施形態]
本第8実施形態に係る照明システム10は、図13に示すように、動作確認装置14を、励起光源16や光源制御器22を内蔵する光源装置本体68に組み込んだものである。
【0062】
これにより、動作確認装置14と光源制御器22との接続の手間を省き、また、動作確認装置14の紛失の虞を無くすことができる。
【0063】
なお、図13では、接続検出器26を、光信号射出端32側に配置しているが、動作確認装置14側に配置しても良いことは勿論である。
【0064】
以上実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形や応用が可能なことは勿論である。
【0065】
例えば、第1乃至第5実施形態、第7及び第8実施形態においても、第6実施形態と同様に、判定回路30を、光源制御器22に内蔵するのではなく、動作確認装置14側に設けても構わない。
【符号の説明】
【0066】
10…照明システム、 12…光源装置、 14…動作確認装置、 16…励起光源、 18…光ファイバ、 20…波長変換ユニット、 22…光源制御器、 24…表示器、 26…接続検出器、 28…光量センサ、 30…判定回路、 32…光信号射出端、 34…蛍光体、 36…テーパーミラー、 38…射出口、 40…接続部、 42…遮光カバー、 44…凸部、 46,46E,46F…波長フィルタ、 48,50,52…比較器、 54…論理積演算器、 56…切り欠き、 58…突出部、 60…次元配列光量センサ、 62…散乱板、 64…送信器、 66…受信器、 68…光源装置本体。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
励起光を射出する励起光源、前記励起光源から射出された前記励起光を導光する導光部材、及び前記導光部材によって導光されてきた前記励起光を所望の波長の照明光に変換し、該照明光を被照明物に向けて射出する波長変換部を順に接続して構成された光源装置と、
前記光源装置の正常な動作を確認する動作確認装置と、
からなる照明システムにおいて、
前記光源装置における前記波長変換部を備える光信号射出端と前記動作確認装置とを直接物理的に接続するための接続部と、
前記接続部により前記光信号射出端と前記動作確認装置とが接続された状態で、前記光信号射出端から射出された光信号を検出する検出部と、
前記検出部での検出結果に基づき、前記励起光源と前記導光部材と前記波長変換部の動作を判定する動作判定部と、
を具備することを特徴とする照明システム。
【請求項2】
前記動作確認装置は、前記光信号射出端に接続することで、前記光信号射出端から射出される前記光信号を遮光する遮光部を有していることを特徴とする請求項1に記載の照明システム。
【請求項3】
前記検出部は、前記遮光部に設置されていることを特徴とする請求項2に記載の照明システム。
【請求項4】
前記接続部は、前記光信号射出端と前記検出器とを所定の位置関係で保持することを特徴とする請求項3に記載の照明システム。
【請求項5】
前記検出器は、前記動作確認装置に配置され、
前記接続部は、前記動作確認装置の前記検出器と前記光信号射出端との位置関係が一意に定まる接続構造を持つことを特徴とする請求項4に記載の照明システム。
【請求項6】
前記接続部は、前記検出部と前記光信号射出端との間の距離が一定になるような接続構造を持つことを特徴とする請求項4に記載の照明システム。
【請求項7】
前記検出部は、前記光源装置の、前記光信号射出端の近傍に設置されており、
前記光信号射出端より射出される前記光信号が照射される前記遮光部の面に、光学散乱部材が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の照明システム。
【請求項8】
前記光信号は、前記励起光の波長と前記照明光の波長とを含み、
前記検出部は、前記励起光の波長と前記照明光の波長とを分離検出可能な分光型検出器を有することを特徴とする請求項3に記載の照明システム。
【請求項9】
前記分光型検出器は、前記励起光の光量を検出する励起光光量検出器と、前記照明光の光量を検出する照明光光量検出器と、からなり、
前記動作判定部は、前記励起光光量検出器の出力と前記照明光光量検出器の出力との比に基づいて、前記励起光源と前記導光部材と前記波長変換部の動作を判定することを特徴とする請求項8に記載の照明システム。
【請求項10】
前記検出部は、前記光信号の光量を測定可能な光量検出器を有することを特徴とする請求項3に記載の照明システム。
【請求項11】
前記光量検出器は、前記遮光部の、前記光信号射出端の正面位置に配置されることを特徴とする請求項10に記載の照明システム。
【請求項12】
前記光量検出器は、光量分布測定可能なセンサであることを特徴とする請求項10に記載の照明システム。
【請求項13】
前記遮光部は、前記光信号射出端の正面位置に散乱板を有し、
前記光量検出器は、前記光信号射出端から射出された前記光信号が直接照射されない位置であって、前記散乱板によって散乱された前記光信号の光量を測定可能な位置に配置されることを特徴とする請求項10に記載の照明システム。
【請求項14】
前記動作判定部は、前記動作確認装置に配置され、
前記動作確認装置は、前記動作判定部の判定結果を当該動作確認装置外部に無線送信する無線送信部をさらに備えることを特徴とする請求項8または10に記載の照明システム。
【請求項15】
前記接続部は、前記光信号射出端と前記動作確認装置とが直接物理的に接続したことを検出する接続検出器をさらに有し、
前記接続検出器は、電極、光、または電磁を基に前記接続したことを検出することを特徴とする請求項14に記載の照明システム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−204106(P2012−204106A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66714(P2011−66714)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】