説明

照明装置を備えた撮影装置及びその制御方法

【課題】動画撮影用の照明装置と一眼レフカメラで静止画撮影用のレンズを用いた動画撮影時に、元々動画撮影用でない絞りの変更を控えながらも適切な露出制御を行う。
【解決手段】撮像素子とその出力に対するゲイン制御装置と、絞り機構を備えた撮影光学系と絞り制御装置と、動画撮影用照明装置とを備え、動画撮影時の露出制御は前記絞り制御より優先して前記ゲイン制御を行い、低輝度下における前記照明装置の使用を前記絞り制御よりも優先し、前記ゲイン制御開始後に開始する事で適切な露光制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は照明装置を用いて、特に動画撮影を行うための撮影装置とその露出制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低照度下でも鮮明な撮影を行う為に、撮影装置本体に内蔵あるいはアクセサリーとしての照明装置が従来から用いられている。特に動画撮影用としては、点灯/非点灯という簡単な制御から周囲の状況に応じて照明の明るさを調整、即ち調光制御する提案もいくつか開示されている。
【0003】
例えば、周囲の明るさを検知するセンサを備えた撮影装置にて、照明装置の自動点灯・消灯及び自動調光を行うものがある。(例えば、特許文献1参照。)
また、照明装置の消費電力を考慮し、絶えず最適な状態であると共に最低限の消費電力で照明装置を使用しようとするものがある。(例えば、特許文献2参照。)
前記特許文献1では、照明装置の光量調整を本体内の照度センサの出力に基づいて、照明装置の開閉機構を制御してその光量調整を行うとしている。
【0004】
一方、前記特許文献2では、撮像信号の光量調整をするアイリス(撮影光学系の絞り)、照明装置の光量及び前記撮像信号を増幅する増幅器の順に制御するとしている。
【0005】
以下、従来の照明装置を用いた動画撮影を行うための露出制御方法を、前記特許文献2で開示されている図7を例に説明する。
【0006】
図7の縦軸は撮像信号の出力の大きさを決める要因(ゲイン)となる制御因子の制御状態を示す軸である。本図では前記制御因子として、アイリス、ビデオライト(照明装置)、AGC(増幅器)としており、それぞれの制御は開⇔閉、点灯(調光)⇔消灯、増幅率の高⇔低が軸の上⇔下と対応している。横軸は被写体の照明状態(明るさ)で、左⇔右で暗⇔明としている。
【0007】
図7では、被写体の明るさがAを基準として明るい場合(横軸右方向)、アイリスが開放状態から徐々に絞られる制御が行われる。このとき、照明装置は使用されず、増幅器の倍率も基準(最低)レベルとしている。
【0008】
一方、被写体の明るさがAを基準として暗くなる(横軸左方向)場合、アイリスは開放のまま維持され、被写体の明るさCになるまで、照明装置の光量が徐々に多く(明るく)なる様に制御される。照明装置の明るさが最大になる被写体の明るさCまでは増幅器の倍率も基準レベルのままで維持されている。
【0009】
更に、被写体の明るさがCを基準として更に暗くなる(横軸左方向)場合、アイリスは開放のまま、照明装置の明るさも最大のまま維持され、増幅器の倍率が徐々に増加される制御が行われるとしている。
【0010】
以上のように図7では、撮影光学系の絞り、照明装置の光量、増幅器の倍率の順に制御されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平3−259669号公報
【特許文献2】特開平5−316408号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
以上は特に動画撮影を主体とする従来からのビデオカメラでの例であるが、昨今、静止画撮影のみ可能であったデジタル一眼レフカメラにおいても、動画撮影が可能になってきている。これは撮像素子の進化によるもので、前記ビデオカメラより大きな撮像素子による動画は、ボケ味や画質の点で一線を画するものとして注目されている。
【0013】
しかし、上記デジタル一眼レフカメラで動画を撮影する場合、使用する撮影レンズは基本的に静止画撮影用に設計されたものとなる。従って、前記ビデオカメラとは違った点に課題があり、特に撮影光学系であるレンズの絞り(アイリス)の駆動に関しては大きく異なる。以下、それについて説明する。
【0014】
図8(a)と(b)は一般的なビデオカメラでのアイリスの構成とその開閉特性を示す一例である。アイリスは図8(a)に示した様に、2枚の羽根の801と802が軸803を中心として回動出来るように構成される。前記二枚の羽根801及び802の間に形成される開口部804の面積を変化させる事により撮像素子に導かれる撮影光束を変化させ、撮影光学系であるレンズのFナンバーを変化させる。
【0015】
図8(b)はこのときのFナンバー(縦軸)とアイリスの開閉位置(横軸、開放:Ho、閉鎖:Hc)の関係を示すものである。開閉(回動)状態はホール素子(不図示)や撮像素子の出力で検出されるが、概ねなめらかに制御可能である。しかも一般的なビデオカメラでは撮像素子も小さいので、アイリスも小型な構成が可能で、動作音もほとんど無く制御可能となる。元々撮像素子の面積が小さく被写界深度が深いので、Fナンバーの調節よりなめらかな光量調節が主眼となる。この点、大判の撮像素子に対し、定められたFナンバーに制御する事を主眼とする静止画撮影用に設計された撮影レンズとは大きく異なる。
【0016】
図8(c)は一眼レフカメラ用交換レンズの絞り装置の主要部分の一例である。図中805が絞り羽根で、一般的にはこの枚数が多い程絞った時の形状が円形になり、理想に近いものが実現できる。この様に複数枚の絞り羽根で構成される絞り装置がカメラの設定に従った制御単位(通常1/2から1/3段。段とは露出制御に関わる制御単位で、1段とは露光量が倍に変化する制御量の事。)で制御される。動画撮影と異なり、静止画撮影では絞り量と共に露出量を決める重要な要因としての露光時間(所謂シャッター秒時)も通常1/数千秒から30秒までと幅広く、全ての条件で正確な絞り制御が必要とされる。
【0017】
一眼レフカメラでの静止画撮影用に設計された撮影レンズでは、図8(c)のような絞り装置を定められたFナンバーに素早く、正確に制御する事が必要となる。これは被写界深度によるボケ味も表現手段の大きな要素であるフィルムでの撮影から受け継ぐものである。従って、撮像素子の大きさも相まって絞り装置の構造も大きくなり、動作音も大きくなる。しかも、なめらかに光量調節量を推移させる必要が無かった為それが出来ない事もあり、実は動画撮影には向いていない。
【0018】
以上のように、一眼レフカメラで静止画撮影用に設計された撮影レンズを用いての動画撮影時は、急激な光量変化や動作音を伴う撮影レンズの絞り(Fナンバー)の変更はなるべくしない、と言うのが理想となる。これは照明装置を用いた動画撮影時でも何ら変わるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る撮影装置の構成は、
撮像素子(112)とその出力に対するゲイン制御装置(114)と、
絞り機構(104)を備えた撮影光学系(101)と絞り制御装置(105)と、
動画撮影用照明装置(405)とを備え、
動画撮影時の露出制御は前記絞り制御より優先して前記ゲイン制御を行い、
低輝度下における前記照明装置の使用を前記絞り制御よりも優先し、前記ゲイン制御開始後に開始する事を特徴とする撮影装置(200)。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、照明装置を用いて静止画撮影用に設計された撮影レンズで動画撮影を行う場合でも、光量の急激な変化や動作音を伴う撮影レンズの絞り変更制御の優先度を下げた撮影が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】一眼レフデジタルカメラの構成を示すブロック図
【図2】一眼レフデジタルカメラの光学部品配置の概略図
【図3】露出制御に関わる各制御因子の第一の動作遷移の説明図
【図4】露出制御に関わる各制御因子の第一の制御フロー図
【図5】露出制御に関わる各制御因子の第二の動作遷移の説明図
【図6】露出制御に関わる各制御因子の第二の制御フロー図
【図7】従来の露出制御に関わる各制御因子の動作遷移の説明図
【図8】ビデオカメラと一眼レフカメラの絞り装置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0022】
<第1の実施形態>
以下、本発明の一実施例に係わる具体的なデジタルカメラの構成について説明する。
【0023】
図1は、本発明の一実施形態に係わる一眼レフデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【0024】
図1において、101は撮影レンズである。102はAF(オートフォーカス)駆動部である。AF駆動部102は、例えばDCモータやステッピングモータによって構成され、マイクロコンピュータ123の制御によって撮影レンズ101のフォーカスレンズ位置を変化させることによりピントを合わせる。103は撮影レンズ光学系のズーム駆動部である。ズーム駆動部103は、例えばDCモータやステッピングモータによって構成され、マイクロコンピュータ123の制御によって撮影レンズ101の変倍レンズ位置を変化させることにより撮影レンズ101の焦点距離を変化させる。104は絞りである。図yy(C)に示したように、複数枚の絞り羽根で構成される。105は絞り駆動部である。絞り駆動部105は、絞り104を駆動する。駆動されるべき量はマイクロコンピュータ123によって算出され、光学的な絞り値を変化させる。
【0025】
106は撮影レンズ101から入射した光束をファインダ側と撮像素子側とに切替えるための主ミラーである。主ミラー106は常時はファインダ部へと光束を導くよう反射させるように配されているが、撮影が行われる場合には、撮像素子112へと光束を導くように上方に跳ね上がり光束中から待避する。また主ミラー106はその中央部が光の一部を透過できるようにハーフミラーとなっており、光束の一部を焦点検出を行うためのセンサに入射するように透過させる。なお、動画撮影の場合は、撮影(記録)開始前から常に撮像素子112へ光束を導くように上方に跳ね上がったまま維持される。
【0026】
107は主ミラー106から透過してきた光束を反射させ焦点検出を行うためのセンサ(焦点検出回路109内に配置されている)に導くためのサブミラーである。
【0027】
108はファインダを構成するペンタプリズムである。ファインダは他にピント板、アイピースレンズ(不図示)などによって構成させる。
【0028】
109は焦点検出回路である。ミラー106の中央部を透過し、サブミラー107で反射された光束は、焦点検出回路109の内部に配置された光電変換を行うためのセンサに至る。フォーカス演算に用いるデフォーカス量は、センサの出力を演算することによって求められる。マイクロコンピュータ123は演算結果を評価してAF駆動部102に指示し、フォーカスレンズを駆動させる。
【0029】
110はフォーカルプレーンシャッタである。111はシャッタ駆動回路であり、フォーカルプレーンシャッタ110を駆動する。静止画撮影に対するシャッタの開口時間は、マイクロコンピュータ123によって制御される。動画撮影の場合は、前記主ミラー106が上方に跳ね上がると共に全開状態が維持される。
【0030】
112は撮像素子である。撮像素子112には、CCDやCMOSセンサなどが用いられ、撮影レンズ101によって結像された被写体像を電気信号に変換する。113はクランプ回路である。114はAGC回路である。クランプ回路113やAGC回路114は、A/D変換をする前の基本的なアナログ信号処理を行い、後述する映像信号処理回路116を通じてマイクロコンピュータ123により、クランプレベルやAGC基準レベルの変更が行われる。115はA/D変換器である。A/D変換器115は撮像素子112のアナログ出力信号をデジタル信号に変換する。
【0031】
116は映像信号処理回路であり、ゲートアレイなどのロジックデバイスにより実現される。詳細は後述する。117はEVF駆動回路である。118はEVF(電子ビューファインダ)モニタである。119はメモリコントローラである。120はメモリである。121はコンピュータ等と接続可能な外部インターフェイスである。122はバッファメモリである。
【0032】
映像信号処理回路116は、デジタル化された画像データに、フィルター処理、色変換処理、ガンマ処理を行うと共に、JPEGなどの圧縮処理を行い、メモリコントローラ119に出力する。映像信号処理回路116は、撮像素子112からの映像信号や、メモリコントローラ119から逆に入力される画像データを、EVF駆動回路117を通してEVF(電子ビューファインダ)モニタ118に出力することも可能である。これらの機能切り替えはマイクロコンピュータ123の指示により行われる。映像信号処理回路116は、必要に応じて撮像素子112の信号の露出情報やホワイトバランスなどの情報をマイクロコンピュータ123に出力することが可能である。それらの情報を基にマイクロコンピュータ123はホワイトバランスやゲイン調整の指示を行う。静止画の連続撮影動作の場合においては、一旦、未処理画像のままバッファメモリ122に撮影データを格納し、メモリコントローラ119を通して未処理の画像データを読み出し、映像信号処理回路116にて画像処理や圧縮処理を行い連続撮影を行う。連像撮影枚数は、バッファメモリの大きさに左右される。
【0033】
メモリコントローラ119では、映像信号処理回路116から入力された未処理のデジタル画像データをバッファメモリに格納し、処理済みのデジタル画像データをメモリ120に格納する。また、逆にバッファメモリ122やメモリ120から画像データを映像信号処理回路部116に出力する。メモリ120は取り外し可能である場合もある。メモリコントローラ119は、コンピュータ等と接続可能な外部インターフェイス121を介してメモリ120に記憶されている画像を出力可能である。
【0034】
123はマイクロコンピュータである。124は操作部材である。操作部材124は、マイクロコンピュータ123にその状態を伝え、マイクロコンピュータ123はその操作部材の変化に応じて各部をコントロールする。
【0035】
125はスイッチ1(以後SW1)である。126はスイッチ2(以後SW2)である。スイッチSW1とスイッチSW2は、レリーズボタンの操作でオンオフするスイッチであり、それぞれ操作部材124の入力スイッチのうちの1つである。スイッチSW1のみオンの状態はレリーズボタン半押し状態であり、この状態でオートフォーカス動作や測光動作を行う。スイッチSW1,SW2が共にオンの状態はレリーズボタンの全押し状態であり、画像を記録するためのレリーズボタンオン状態である。この状態で撮影が行われる。またスイッチSW1、SW2がONし続けている間は、静止画の連続撮影動作或いはが行われる。操作部材124には他に、ISO設定ボタン、画像サイズ設定ボタン、画質設定ボタン、情報表示ボタンなど不図示のスイッチが接続されており、スイッチの状態が検出されている。
【0036】
127は液晶駆動回路である。128は外部液晶表示部材である。129はファインダ内液晶表示部材である。液晶駆動回路127は、マイクロコンピュータ123の表示内容命令に従って、外部液晶表示部材128やファインダ内液晶表示部材129を駆動する。また、ファインダ内液晶表示部材129には、不図示のLEDなどのバックライトが配置されており、そのLEDも液晶駆動回路127で駆動される。マイクロコンピュータ123は撮影前に設定されているISO感度、画像サイズ、画質に応じた、画像サイズの予測値データをもとに、メモリコントローラ119を通して、メモリの容量を確認した上で撮影可能残数を演算することができる。必要に応じて外部液晶表示部材128、ファインダ内液晶表示部材129にも表示することができる。
【0037】
130は不揮発性メモリ(EEPROM)で、カメラに電源が入れられていない状態でも、データを保存することができる。
【0038】
131は電源部である。電源部131は、各ICや駆動系に必要な電源を供給する。
【0039】
132は外部ストロボ装置であり、静止画撮影に用いるストロボ(フラッシュ)発光装置と動画撮影に用いるビデオライト(照明装置)の二つの機能を備えている。本実施例ではこの外部ストロボ装置に前記二つの機能が備わった構成としているが、前記二つの機能がカメラ本体に内蔵、或いはストロボ発光装置のみがカメラ本体に内蔵され、外部ビデオライトを備えた構成であっても勿論良い。
図2は、本発明の一実施例に係わる一眼レフレックスタイプのデジタルカメラ、撮影レンズおよびストロボ装置の光学部品配置の概略図である。
【0040】
200はカメラ本体である。300は撮影レンズ本体である。400はストロボ装置である。
【0041】
まずカメラ本体200の構成について説明する。
【0042】
カメラ本体200内には光学部品、機械部品、電気回路およびCCD等の撮像素子などが収納され、画像撮影や画像の確認が行えるようになっている。図2において、201は主ミラーであり、静止画撮影時のファインダ観察状態では、撮影光路内に斜設され、撮影状態では後述するサブミラー209と共に波線で示したように撮影光路外に退避する。主ミラー201はハーフミラーとなっており、撮影光路内に斜設されているときは、後述する焦点検出光学系に被写体からの光線の約半分を透過させる。なお、動画撮影に対しては、不図示のEVF(電子ビューファインダ)モニタでの観察状態から主ミラー201とサブミラー209は静止画の撮影状態と同様に撮影光路外に退避する。
【0043】
202はファインダ光学系の一部を構成し撮像レンズ300の予定結像面に配置されたピント板であり、203はファインダ光路変更用のペンタプリズムである。204は接眼レンズであり、撮影者はこの接眼レンズ204の後方にある窓からピント板202を観察することで撮影画面を観察することができる。205は結像レンズであり、206はファインダ観察画面内の被写体輝度を測定するための測光センサである。結像レンズ205は、ペンタプリズム204内の反射光路を介してピント板202と測光センサ206とを共役に関係付けている。
【0044】
207はフォーカルプレーンシャッタである。静止画撮影時は露光に必要なだけ開閉するが、動画撮影時は観察状態から開いた状態に維持される。
【0045】
208は撮像素子であり、CCDやCMOSセンサ等の撮像素子が用いられる。撮像素子208は撮像レンズ300の予定結像面に配置される。
【0046】
209はサブミラーであり、前述したように主ミラー201と同様にファインダ観察状態では撮影光路内に斜設され、撮影状態では撮影光路外に退避する。このサブミラー209は、斜設された主ミラー201を透過した光線を下方に折り曲げて、後述の焦点検出ユニット210の方に導く。
【0047】
210は焦点検出ユニットであり、焦点検出ユニット210は、位相差検出方式によって撮像レンズ300の焦点調節状態を検出し、その検出結果は撮像レンズの焦点調節機構を制御するカメラ用のマイクロコンピュータに送られる。
【0048】
次に、撮像レンズ300の構成について説明する。
【0049】
図2において、301は群を成すレンズのうちの1群レンズであって、1群レンズ301は光軸上を前後に移動することで、撮影画面のピント位置を調整するフォーカスレンズである。302は群を成すレンズのうちの2群レンズであって、2群レンズ302は光軸上を前後に移動することで撮像レンズ300の焦点距離を変更し、撮影画面の変倍を行う変倍レンズである。303は群を成すレンズのうちの3群レンズであって、3群レンズ303は固定レンズである。
【0050】
304は絞りである。絞り304は図8(c)の様に複数枚の絞り羽根で構成される。
【0051】
305はフォーカスレンズである1群レンズ301を光軸方向に移動させるAF駆動部であり、DCモータやステッピングモータによって構成されAF動作により前後に移動させる。306は2群レンズを302を光軸方向に移動させるズーム駆動部であり、DCモータやステッピングモータによって構成され変倍レンズ302を前後に移動させる。307は絞り駆動部であり、DCモータやステッピングモータによって構成され、絞り304の開口径を変化させるようにこれを駆動する。
【0052】
308はカメラ本体200と撮像レンズ300との通信インターフェイスとなるレンズマウント接点群である。
【0053】
次に、外部ストロボ装置400の構成について説明する。
【0054】
外部ストロボ装置400はカメラ本体200に着脱可能であり、カメラ本体200からの信号に従って、静止画撮影時はストロボ発光制御を、動画撮影時はビデオライト投光制御を行う。
【0055】
図2において、401はストロボ発光の光源となるキセノン管であり、電流エネルギーを発光エネルギーに変換する。402はフレネルレンズであり、403は反射板であり、フレネルレンズ402と反射板403はそれぞれ発光エネルギーを効率良く被写体に向けて集光する役目を持つ。
【0056】
404はカメラ本体200と外部ストロボ装置400との通信インターフェイスとなるホットシューに設けられたストロボ接点群である。
【0057】
405はビデオライト投光部で、光源となるLED406と投光用光学系である投光レンズ407から構成される。なお、ビデオライトの投光制御として、被写体の明るさに応じた照明のON/OFF制御から、照明の明るさを被写体の明るさに応じて調節する調光制御も可能としている。
【0058】
図3は照明装置を用いた撮影装置において、本発明の第1の実施形態による動画撮影時の露出制御に関わる各制御因子の動作遷移を説明する図である。本図でも図7と同様に、縦軸は撮像信号の出力の大きさを決める要因(感度向上させるゲイン)となる制御因子の制御状態を示す軸である。前記制御因子として、アイリス(絞り:AV)、ビデオライト(照明装置:VL)、AGC(増幅器:ISO)としており、それぞれの制御は開⇔閉、点灯(調光)⇔消灯、増幅率の高⇔低が軸の上⇔下と対応している。また、シャッター秒時(蓄積時間:TV)も説明上記載している。横軸は被写体の照明状態(明るさ)で、左⇔右で暗⇔明としている。
【0059】
図中、Sは動画撮影開始時の被写体の明るさで自動的に決定される上記制御因子のTV、AV及びISO(VLはOFF)が表される点を示している。この状態より被写体の明るさがより明るく(横軸右方向)或いは暗く(同左方向)変化すると、上記各制御因子が自動的に制御される。
【0060】
まず、被写体が明るくなった場合を説明する。図3の点Sより右方向の明るさCまでは、TV値の制御で対応する。動画撮影では静止画よりシャッター秒時の採り得る範囲が狭いが、制御方法は撮像素子の電子シャッター機能のみとなり、画質への影響もほとんど無く可能となる。但し、フリッカーの影響を避ける為に静止画ほど短い秒時までは採用できない。
【0061】
更に被写体が明るくなった場合、図3の明るさCからBまでは、明るさCの時点でTV値が所定の最短秒時に達しているので、AV値よりISOを優先して制御する。ISOを下げる事は回路上の増幅器のゲイン制御のみで可能で、画質的にはノイズ抑制にもなる。なお、ISOは静止画同様の性能限界まで下げられる。
【0062】
被写体が更に明るくなり図3の明るさBを超えると、最終手段としてAV値の制御を最大値、即ち絞りの開口が最小になるまで行う事となる。
【0063】
次に、被写体が図3の点Sより暗くなった場合を説明する。点Sより左方向の明るさDまでは、明るくなった場合と同様にまずTV値の制御で対応する。当然であるが、動画のフレームレートの逆数を超えるような長いシャッター秒時は設定できない制約が生じる。
【0064】
更に被写体が暗くなった場合、図3の明るさDからEまでは、明るさDの時点でTV値が所定の最長秒時の設定に達しているので、まずISOを優先して制御する。本実施例では、まず「常用」としたISO設定範囲で制御する。これはデジタルカメラで静止画を撮影する場合、標準的使用を前提とした通常設定で使用されるISOの範囲である。ノイズ面でやや性能が劣る高感度領域まで通常の使用範囲に入れるかどうかを切り換えられる仕様があり、これに対する「拡張」がより高感度側までの通常使用を可能とした場合に採り得るISOの範囲となる。
【0065】
図3の明るさEで常用範囲でのISOの制御が終了すると、いよいよ照明装置の使用を始める。図3ではVLが他の制御因子同様に傾きを持って表現されているが、照明の明るさを被写体の明るさに応じた調光制御で決定している事を表している。
【0066】
図3にて明るさFで照明装置の調光制御範囲が終了すると、先述の「拡張」範囲でのISOの制御を開始する。この制御は明るさGにて最高ゲインとなるISO設定値になるまで行われる。「拡張」範囲で画質的に問題があるとも言えそうだが、実は静止画に対して動画でのシャッター秒時の範囲が狭い為、静止画程ノイズ面での劣化は目立たないとも言える。撮像素子あるいは撮影装置の性能次第である。
【0067】
被写体が更に暗くなり、図3の明るさGより暗くなると、最終手段としてAV値の制御を最小値、即ち絞りが開放になるまで行う事となる。図3でのこの明るさHが、本撮影装置での適正露出に対する低輝度限界となる。
【0068】
以上のように、動画撮影開始時の被写体の明るさSに対して、明るく、あるいは暗くなった場合、急激な光量変化や動作音を伴う撮影レンズの絞りの制御よりTV値あるいはISOを優先して制御し、特に暗く照明装置を用いる場合でもその優先度が変わる事はない。
【0069】
なお、「拡張」のISO設定は低感度側でも可能な場合がある。この低感度側の「拡張」範囲も使用する場合は、明るさCからBでの「常用」範囲でのISOの制御に引き続いて「拡張」範囲でのISOの制御を行う。いずれにしても、絞りの制御より優先して用いる事に変わりはない。
【0070】
以上の様な動画撮影時の露出制御に関わる各制御因子の制御フローを図4に示す。図1の操作部材124にて動画撮影モードに設定され、同図SW1 125或いはSW2 126がONされると、ステップS400からの動画露出制御が開始される。
【0071】
ステップS401では測光が行われる。動画に対する測光は静止画撮影時とは異なり、主ミラーが跳ね上がったまま維持されるので撮像素子の出力値で直接行う。この結果により、続くステップS402でAV値、ISO、TV値の適正露出となる制御動作開始点(図3でのS相当)を定める。そして、次のステップS403で、この時点でビデオライトの必要性を判断する(図3では必要のない明るさでの設定例で示している)。
【0072】
以下、まずステップS403で、ビデオライトの必要性無しと判断された場合のフローについて説明する。
【0073】
ステップS404で被写体の輝度変化に対応するために測光を行う。ここで輝度変化が検出された場合、続くステップS405にて、図3に示したようにまずTV値の変更制御を行う。このTV値の制御のみで適正露出となった場合、或いは輝度変化が無くそのまま適正露出の場合は、ステップS406にて適正露出と判断され、前記ステップS404へ戻る。
【0074】
ステップS405のTV値の変更制御だけでは適正露出とならない場合は、ステップS407で常用範囲のISOの変更制御に移行する。この常用範囲のISOの変更制御で適正露出となった場合、ステップS408にて前記ステップS404へ戻る。
【0075】
一方、常用範囲のISOの変更制御で適正露出とならない場合は、ステップS409でISOの確認を行う。ISOが最低値、即ち、被写体輝度が明るい場合は、最終手段として絞りの制御を実施する為に、ステップS410へ移行する。
【0076】
以上の一連の制御フローは、動画撮影準備或いは動画撮影が終了する前記SW1のOFFがステップS411で判断されるまで繰り返される。
【0077】
次に、前記ステップS403でビデオライトの必要性有りと判断される被写体輝度が暗い場合のフローについて説明する。
【0078】
まず、ステップS412にてビデオライトの点灯制御を行う。なお、一旦点灯後に引き続き必要性有りとの判断が継続している場合は、当然そのまま点灯し続ける事は言うまでもない。
【0079】
続くステップS413ではビデオライトの点灯状況下での被写体の輝度変化に対応するために測光を行う。その結果を用いて、次のステップS414にてビデオライトの調光制御を行う。調光制御の具体的方法については特別な方法を必要としないので詳細な説明は割愛するが、例えば特開平6−62293や特開平7−50775等に開示されている。このビデオライトの調光制御で適正露出となった場合、ステップS415にて前記ステップS403へ戻る。この場合、ビデオライトの必要性は有りのままである。
【0080】
一方、更に被写体輝度が暗くなり、ステップS414でのビデオライトの調光制御でも適正露出が得られない場合は、ステップS415からステップS416に移行し、拡張範囲のISOの変更制御に移行する。この拡張範囲のISOの変更制御で適正露出となった場合、次のステップS417にて前記ステップS403へ戻る。この場合もビデオライトの必要性は有りのままである。
【0081】
ステップS416での拡張範囲のISOの変更制御でも適正露出が得られない場合、即ち、被写体輝度が大変暗くなってきた場合は、ステップS417からステップS418に移行し、最終手段として絞りの制御を実施する。
【0082】
なお、前記ステップS409でのISOの確認で、ISOが最低値で無い場合、即ち、ISOが常用範囲の最高値の場合は、被写体輝度が暗く、ビデオライトの必要性が有りと判断される事となり、そのままステップS412のビデオライトの点灯制御に移行させる。
【0083】
また被写体輝度が明るくなり、ステップS414のビデオライトの調光制御において点灯の必要無くステップS415で適正露出と判断された場合は、その時点でビデオライトの必要性は無しとして、ステップS403に移行後はステップS404からのフローに戻す。
【0084】
そして、上記ビデオライトを用いた一連の制御フローは、動画撮影準備或いは動画撮影が終了する前記SW1のOFFがステップS419で判断されるまで繰り返される。
<第2の実施形態>
図5は簡略的にON/OFF制御のみの照明装置を備えた撮影装置において、本発明の第2の実施形態による動画撮影時の露出制御に関わる各制御因子の動作遷移を説明する図である。以下、前記第1の実施形態である図3との差を中心に説明する。
【0085】
図5では動画撮影開始時の被写体の明るさであるSより暗い明るさD以降、特に「拡張」範囲のISOと照明装置の制御方法が図1とは異なる。点Sより明るさEまでは図3と同様で、まずTV値、続いて「常用」範囲のISOで制御している。
【0086】
更に暗い明るさEにおいて、本実施例では「常用」に引き続き「拡張」範囲のISOでの制御を開始し、明るさFまで行う。これは本実施例での照明装置がON/OFF制御のみで、点Sから制御してきたシャッター秒時(TV値)或いはAGC(ISO値)を一時的に戻し、照明装置の点灯による急激な明るさの変化を吸収する様に制御する必要が生じるからである。本実施例ではこれを「拡張」範囲のISOの制御で実施している。
【0087】
本実施例では、明るさFまで暗くなって照明装置の使用を始める。このとき、先述したように「拡張」範囲のISOの制御を照明装置の点灯による急激な明るさの変化を吸収する為に、ゲインを一旦下げる方向に戻す。そして明るさGまでは第1の実施例同様に、再度「拡張」範囲のISOでの制御を行う事になる。
なお、照明装置の点灯による急激な明るさの変化が「拡張」範囲のISOだけでは吸収出来ない場合、「常用」範囲のISOまで、あるいはTV値の制御まで戻っても良い事は明白である。この回路上の増幅器のゲイン制御、あるいは撮像素子の電子シャッター機能の制御のみで可能な事が撮影に対する影響を少なくできる要因となる。
【0088】
上記ゲイン制御でも適正な撮影が出来なくなる明るさG以降になると、図3同様に最終手段としてAV値の制御を最小値、即ち絞りが開放になるまで行う。
【0089】
以上のように、特にON/OFF制御のみの照明装置を備えた本実施例に於いても、撮影レンズの絞りの制御よりTV値あるいはISOを優先して制御を行う。
【0090】
以上の様な動画撮影時の露出制御に関わる各制御因子の制御フローを図6に示す。以下、前記第1の実施形態である図4との差を中心に説明する。
【0091】
本第2の実施例と前述した第1の実施例との差は、照明装置が簡略的にON/OFF制御のみである事、更にISOの制御が異なる事である。
【0092】
まず、図4のステップS407でのISOの変更制御が常用範囲のみに対して、図6のステップS607では全域、つまり常用範囲と拡張範囲を隔てなく連続で制御対象範囲としている。これにより、照明装置であるビデオライトの使用が前記第1の実施例より被写体輝度がより暗くなってから開始される事になる。ビデオライトの必要性無しでの制御は、このステップのみの差となる。
【0093】
一方、ビデオライトの必要性有りでの制御では、当然であるが、図4のステップS414に相当する調光制御が無くなる。これに代わり図6では、ステップS614で拡張範囲のISOの変更制御が行われる。ここでは、ビデオライト点灯状態でのステップS613での測光結果に基づいて、拡張範囲のISOを用いて、適正露出制御を行う。この拡張範囲のISOの変更制御で適正露出となった場合、ステップS615から図4でのステップ403と同様なステップS603へ戻る。
【0094】
一方、拡張範囲のISOの変更制御で適正露出とならない場合は、ステップS616でISOの確認を行う。ISOが最高値、即ち、被写体輝度が大変暗い場合は、最終手段として絞りの制御を実施する為に、ステップS618へ移行する。以降は図4と同等である。
【0095】
他方、ISOが最高値で無い、即ち、被写体輝度が明るくなった場合は、ステップS617にてビデオライトの消灯制御を行い、その時点でビデオライトの必要性は無しとして、ステップS603に移行後、ステップS604からのフローに移行させる。
<他の実施形態>
なお、第1の実施形態で採用したビデオライトの調光制御機能であるが、光源次第では調光動作に応じて光源の色温度特性が変化する場合がある。この特性データを予め計測しておき、マイクロコンピュータ123によりホワイトバランス調整の指示が映像信号処理回路116に行われる際にそのデータを活用する事は有効となる。特に被写体輝度が暗い場合、その場の自動調整のみでは十分調整出来ない場合があり、特にビデオライトがカメラ本体に内蔵の場合や、カメラシステム専用の外部ビデオライト及びビデオライト内蔵の外部ストロボでは、効果が十分に期待できる。
【符号の説明】
【0096】
101 撮影レンズ
104 絞り
105 絞り駆動部
112 撮像素子
114 AGC回路
116 映像信号処理回路
123 マイクロコンピュータ
124 操作部材
132 外部ストロボ装置
200 カメラ本体
208 撮像素子
300 撮影レンズ
304 絞り
307 絞り駆動部
400 外部ストロボ装置
405 ビデオライト投光部
406 LED
407 投光レンズ
801、802 絞り羽根
803 絞り軸
804 絞り開口部
805 絞り羽根



【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子(112)とその出力に対するゲイン制御装置(114)と、
絞り機構(104)を備えた撮影光学系(101)と絞り制御装置(105)と、
動画撮影用照明装置(405)とを備え、
動画撮影時の露出制御は前記絞り制御より優先して前記ゲイン制御を行い、
低輝度下における前記照明装置の使用を前記絞り制御よりも優先し、前記ゲイン制御開始後に開始する事を特徴とする撮影装置(200)。
【請求項2】
前記ゲイン制御を少なくとも2つの連続領域に分けて行う場合、前記照明装置の使用を前記連続領域の高い方より優先して開始する事を特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記照明装置が調光制御を行う場合、前記調光制御に伴う前記照明装置の色温度の変化にホワイトバランスを対応させる事を特徴とする請求項1または請求項2に記載の撮影装置。
【請求項4】
撮像素子(112)とその出力に対するゲイン制御手段(S407)と、
絞り機構(104)を備えた撮影光学系(101)と絞り制御手段(S410)と、
動画撮影用照明装置(405)の制御手段(S414)とを備え、
動画撮影時は前記絞り制御より優先して前記ゲイン制御を行い、
低輝度下における前記照明装置の使用を前記絞り制御よりも優先し、前記ゲイン制御開始後に開始する事を特徴とする撮影装置の露出制御方法(S400)。
【請求項5】
前記ゲイン制御を少なくとも2つの連続領域に分けて行う場合、前記照明装置の使用を前記連続領域の高い方より優先して開始する事を特徴とする請求項4に記載の撮影装置の露出制御方法。
【請求項6】
前記照明装置が調光制御を行う場合、前記調光制御に伴う前記照明装置の色温度の変化にホワイトバランスを対応させる事を特徴とする請求項4または請求項5に記載の撮影装置の露出制御方法。


【図7】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−95085(P2012−95085A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−240503(P2010−240503)
【出願日】平成22年10月27日(2010.10.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】