熱交換器
【課題】簡易な構成で冷却フィン先端とハウジングとの隙間への冷媒の流れ込みを抑制することができる熱交換器を提供すること。
【解決手段】
ハウジング20内に冷却フィン32を備える熱交換器10において、ハウジング20の底面と冷却フィン32との隙間Sに冷媒の流れ方向と交差するように配置され、冷媒の流れを阻害する棒状の冷媒流れ阻害部材40を有し、冷媒流れ阻害部材40は、冷却フィン32の先端に形成した切り欠き33(23)に圧入されて固定されている。
【解決手段】
ハウジング20内に冷却フィン32を備える熱交換器10において、ハウジング20の底面と冷却フィン32との隙間Sに冷媒の流れ方向と交差するように配置され、冷媒の流れを阻害する棒状の冷媒流れ阻害部材40を有し、冷媒流れ阻害部材40は、冷却フィン32の先端に形成した切り欠き33(23)に圧入されて固定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング内に冷却フィンが設けられた熱交換器に関する。より詳細には、冷却フィンの先端とハウジングの底面との隙間に冷媒が流れることを阻止することにより熱交換効率を向上させる熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電動機を駆動源として搭載したハイブリッド車両や電気自動車等の電動車両が普及してきた。このような電動車両には、電動機の他に、充放電可能なバッテリ、バッテリの直流電力を電動機駆動用の三相交流電力に変換等するインバータなどが搭載されている。インバータは、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)等の半導体素子のスイッチング動作によって電力変換を行うものであり、スイッチング動作によって半導体素子が発熱する。そのため、この熱を除去して半導体素子(発熱体)の過熱を防止するために、熱交換器が取り付けられる。そして、インバータは、より高出力が求められる一方で小型化や軽量化の要求が厳しくなってきているため、熱交換効率に優れた熱交換器が求められている。
【0003】
ここで、発熱体を冷却する熱交換器としては、発熱体に固定されたフィン部材(冷却フィンとフィンベースとを備えている)に設けられた冷却フィンをハウジング内に設け、その冷却フィン間(ハウジング内部)に冷媒が流れるように構成されたものが知られている。この種の熱交換器では、各部品が公差を持っているため、冷却フィンの高さとハウジングの深さを等しくすることが困難であった。そして、図13に示すように、冷却フィン132の高さHよりハウジング120の深さdeが浅いと(H>de)、フィンベース131とハウジング120とが密着しなくなり冷媒が漏れてしまう。
【0004】
そこで、図14に示すように、冷却フィン132の高さHよりハウジング120の深さdeが深くなるように設計されているのが一般的である(H<de)。ところがこの場合、冷却フィン132の先端とハウジング120の底面との間に隙間が生じてしまうため、冷媒がその隙間に流れ易くなり、冷却フィン132の間に流れる冷媒の量が減少する。そうすると、冷媒と冷却フィンとの間における熱交換が効率的に行われなくなり、熱交換効率が低下するという問題があった。
【0005】
そのため、熱交換効率を低下させないように、例えば、特許文献1に記載の積層モジュールでは、バネ性を持たせた別部材を冷却フィン先端とケースとの間に設け、冷却フィンとケースとを密着させている。これにより、冷却フィンとケースとの間に隙間が形成されないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−140969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した特許文献1に記載の技術では、別部材(冷却フィンが含まれる場合もある)の変形量によっては、ケース(ハウジング)と中板(フィンベース)とが密着しなくなり、冷媒が漏れてしまうおそれがあった。
また、バネ性を持たせた別部材を設けるため、構造が複雑になるとともにコストアップを招いてしまうという問題もあった。
【0008】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、簡易な構成で冷却フィン先端とハウジングとの隙間への冷媒の流れ込みを抑制することができる熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、ハウジング内に冷却フィンを備える熱交換器において、前記ハウジングの底面と前記冷却フィンとの隙間に冷媒の流れ方向と交差するように配置され、冷媒の流れを阻害する棒状の冷媒流れ阻害部材を有し、前記冷媒流れ阻害部材は、前記冷却フィンの先端あるいは前記ハウジングの底部の少なくとも一方に形成した切り欠きに圧入されて固定されている
ことを特徴とする。
【0010】
この熱交換器では、棒状の冷媒流れ阻害部材が、冷却フィンの先端あるいはハウジングの底部の少なくとも一方に形成した切り欠きに圧入されて固定されている。すなわち、冷媒流れ阻害部材は、冷却フィンの先端に形成した切り欠きに圧入されている、ハウジングの底部に形成した切り欠きに圧入されている、又は冷却フィンの先端及びハウジングの底部のそれぞれに形成した各切り欠きに圧入されているかのいずれかである。これにより、冷媒流れ阻害部材が、冷却フィンの先端とハウジングの底面との間に存在する隙間に配置されて固定される。そして、冷媒流れ阻害部材は、冷媒の流れ方向と交差するように配置されるため、冷媒流れ阻害部材により、冷却フィンの先端とハウジングの底面との隙間への冷媒の流れ込みが阻止される。これにより、冷却フィンの先端とハウジングの底面との隙間へ冷媒が流れ難くなり、冷媒を冷却フィン間に流すことができる。その結果、冷媒と冷却フィンとの間における熱交換が効率的に行われるため、熱交換効率を向上させることができる。
【0011】
そして、この熱交換器では、棒状の冷媒流れ阻害部材を、冷却フィンの先端あるいはハウジングの底部の少なくとも一方に形成した切り欠きに圧入して、ハウジングの底面と冷却フィンとの隙間に配置している。そのため、簡易な構造かつ安価にて、冷却フィンの先端とハウジングの底面との隙間への冷媒の流れ込みを阻止することができる。
【0012】
また、上記課題を解決するためになされた本発明の別態様は、ハウジング内に冷却フィンを備える熱交換器において、前記ハウジングの底面と前記冷却フィンとの隙間に冷媒の流れ方向と交差するように配置され、冷媒の流れを阻害する円管状の冷媒流れ阻害部材を有し、前記冷媒流れ阻害部材は、前記冷却フィンの先端と前記ハウジングの底面との間に挟まれて弾性変形した状態で固定されていることを特徴とする。
【0013】
この熱交換器では、円管状の冷媒流れ阻害部材が、冷却フィンの先端とハウジングの底面との間に挟まれて弾性変形した状態で固定されている。これにより、冷媒流れ阻害部材が、冷却フィンの先端とハウジングの底面との間に存在する隙間に配置されて固定される。そして、冷媒流れ阻害部材は、冷媒の流れ方向と交差するように配置されるため、冷媒流れ阻害部材により、冷却フィンの先端とハウジングの底面との隙間への冷媒の流れ込みが阻止される。これにより、冷却フィンの先端とハウジングの底面との隙間へ冷媒が流れ難くなり、冷媒を冷却フィン間に流すことができる。その結果、冷媒と冷却フィンとの間における熱交換が効率的に行われるため、熱交換効率を向上させることができる。
【0014】
そして、この熱交換器でも、円管状の冷媒流れ阻害部材を、冷却フィンの先端とハウジングの底面との間に挟んで弾性変形させて固定し、ハウジングの底面と冷却フィンとの隙間に配置している。そのため、簡易な構造かつ安価にて、冷却フィンの先端とハウジングの底面との隙間への冷媒の流れ込みを阻止することができる。
【0015】
上記した熱交換器において、前記冷媒流れ阻害部材は、その端面と前記ハウジングの側面との間隔が、前記冷却フィンと前記ハウジングの側面との間隔よりも小さくなるように、配置されていることが望ましい。
【0016】
このように冷媒流れ阻害部材を配置することにより、冷媒流れ阻害部材の端面とハウジングの側面との間隔における圧損が、冷却フィンとハウジングの側面との間隔における圧損よりも大きくなるので、冷媒流れ阻害部材の端部へ冷媒が流れ難くなる。これにより、熱交換器の端部においても、冷媒を冷却フィン側(冷却フィン間)に流すことができる。従って、冷媒と冷却フィンとの間における熱交換がより効率的に行われるため、熱交換効率を一層向上させることができる。
【0017】
上記した熱交換器において、前記冷媒流れ阻害部材は、その長手方向の少なくとも一部分に伸縮可能であり、かつ冷媒の流れを阻害する弾性部材を備えていることが望ましい。
【0018】
このような構成にすることにより、冷媒流れ阻害部材の端部をハウジングの側面に密着させることができる。これにより、冷媒流れ阻害部材の端部とハウジングの側面との間に隙間がなくなるので、冷媒流れ阻害部材の端部へ冷媒が流れなくなる。その結果、冷媒を冷却フィン間に流すことができるため、冷媒と冷却フィンとの間における熱交換がより一層効率的に行われるため、熱交換効率をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る熱交換器によれば、上記した通り、簡易な構成で安価に冷却フィン先端とハウジングとの隙間への冷媒の流れ込みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施の形態に係る熱交換器の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す熱交換器の側面図である。
【図3】冷媒流れ阻害部材の配置位置付近におけるハウジング内部を模式的に示す図である。
【図4】冷媒の流れ方向から見たハウジング内部を模式的に示す図である。
【図5】第1変形例に係る熱交換器におけるハウジング内部を模式的に示す図である。
【図6】冷媒流れ阻害部材の変形例を示す平面図である。
【図7】第2変形例に係る熱交換器の概略構成を示す斜視図である。
【図8】図7に示す熱交換器の側面図である。
【図9】第2の実施の形態に係る熱交換器の概略構成を示す斜視図である。
【図10】図9に示す熱交換器の側面図である。
【図11】冷媒流れ阻害部材の配置位置付近におけるハウジング内部を模式的に示す図である。
【図12】冷媒の流れ方向から見たハウジング内部を模式的に示す図である。
【図13】部品公差によりフィンベースとハウジングとの間に隙間が生じた状態を示す図である。
【図14】冷却フィンとハウジングの底面との間に隙間が生じた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の熱交換器を具体化した実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。ここでは、小型化かつ高い冷却性能が要求されるインバータ装置の半導体素子を冷却するために用いる熱交換器を例示する。以下に示す二つの実施形態に係る熱交換器は、内部を流れる冷媒(例えば冷却水)と熱交換を行うことにより、発熱する半導体素子を冷却するものである。
【0022】
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態に係る熱交換器について、図1〜図4を参照しながら説明する。図1は、第1の実施の形態に係る熱交換器の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1に示す熱交換器の側面図である。図3は、冷媒流れ阻害部材の配置位置付近におけるハウジング内部を模式的に示す図である。図4は、冷媒の流れ方向から見たハウジング内部を模式的に示す図である。なお、図1及び図2では、熱交換器内部を示すためにハウジングの側壁を図示していない。
【0023】
図1及び図2に示すように、第1の実施の形態に係る熱交換器10は、ハウジング20と、フィン部材30と、冷媒流れ阻害部材40とを備えている。そして、フィン部材30の上面に発熱体である半導体素子11がヒートスプレッダ12を介して載置されている。
【0024】
ハウジング20は、アルミニウム合金製の素材を例えばプレス加工によって上面が開口する直方体形状に形成したものである。このハウジング20には、冷媒を内部に導入するための導入口21と、冷媒を外部に排出するための排出口22とが設けられている。そして、ハウジング20に対して、ハウジング20の開口を塞ぐようにしてフィン部材30が取り付けられている。これにより、ハウジング20とフィンベース31とにより熱交換器10のケースが構成されるとともに、ハウジング20の内部に冷却フィン32が収容されるようになっている。
【0025】
フィン部材30は、図1及び図2に示すように、複数の冷却フィン32と、それらの冷却フィン32が設けられたフィンベース31とを備えている。このフィン部材30は、アルミニウム合金製の素材を例えば押出加工によって成形されている。そして、複数の冷却フィン32は、それぞれ一定の間隔をあけて平行にフィンベース31上に設けられており、冷却フィン32間(両端は冷却フィンとハウジング側壁との間)が、冷媒が流れる冷媒通路となっている。これにより、導入口21を介してハウジング20内に導入された冷媒は、冷却フィン32間を流れていき排出口22を介して外部に排出されるようになっている。
【0026】
ここで、ハウジング20の深さdeは、冷却フィン32の高さHよりも大きくされている(de>H)。そのため、熱交換器10では、図2に示すように、ハウジング20にフィン部材30を組み付けた状態で、冷却フィン32の先端とハウジング20の底面との間に隙間Sが形成されている。
【0027】
冷媒流れ阻害部材40は、冷媒の流れを阻害する棒状の部材である。本実施の形態では、冷媒流れ阻害部材40として丸棒を使用しているが、丸棒に限られず、後述する切り欠き33に圧入可能な連続体であれば良く、例えば中空パイプや角棒などを使用することもできる。また、本実施の形態では、冷媒流れ阻害部材40を2つ設けているが、冷媒流れ阻害部材40は少なくとも1つあればよい。
【0028】
そして、冷却フィン32の先端には、切り欠き33が設けられている。この切り欠き32には、冷媒流れ阻害部材40が圧入されている。切り欠き33は各冷却フィン32に対して形成されており、各切り欠き32は冷媒の流れ方向と直交する方向における同一直線上に設けられている。これにより、棒状の冷媒流れ阻害部材40を、各冷却フィン32に簡単に圧入することができるとともに、冷媒の流れ方向と直交する方向に配置することができるようになっている。
【0029】
ここで、図3に示すように、切り欠き33の幅Kwは、冷媒流れ阻害部材40の直径D以下(Kw≦D)となっている。また、切り欠き33の深さKdは、冷媒流れ阻害部材40の半径D/2より大きく(Kd>D/2)なっている。このように切り欠き33を設定することにより、確実に、切り欠き33に対して冷媒流れ阻害部材40を圧入して、冷却フィン32の先端とハウジング20の底面との隙間Sに冷媒流れ阻害部材40を配置することができる。これにより、冷却フィン32の先端とハウジング20の底面との隙間Sへの冷媒の流れ込みが阻止され、冷媒が隙間Sへ流れ難くなって冷却フィン間に流れるようになっている。
【0030】
そして、このようにして冷却フィン32の先端とハウジング20の底面との隙間に設けられた冷媒流れ阻害部材40は、図4に示すように、その端面40eとハウジング20の側面との間隔Ieが、冷却フィン32とハウジング20の側面との間隔Ifよりも小さく(Ie<If)なるように配置されている。すなわち、冷媒流れ阻害部材40は、その端面40eが、冷却フィン32のうち最も外側に位置する冷却フィン32e(なお、この冷却フィンの符号を単に「32」と表記することもある)の外側、つまり冷却フィン32eとハウジング20の側面との間に位置している。これにより、冷媒流れ阻害部材40の端面40eとハウジング20の側面との間隔Ieにおける圧損が、冷却フィン32eとハウジング20の側面との間隔Ifにおける圧損よりも大きくなるので、冷媒流れ阻害部材40の端部へ冷媒が流れ難くなっている。そのため、熱交換器10の両端部においても、冷媒が冷却フィン側(冷却フィン間)を流れるようになっている。
【0031】
このような熱交換器10は、次のようにして製造される。まず、ハウジング20の底部の所定位置に冷媒流れ阻害部材40を配置する。次に、そのように配置された冷媒流れ阻害部材40の真上から、フィン部材30を下方へ押し下げて切り欠き33に冷媒流れ阻害部材40を圧入していきながらハウジング20に組み付ける。このとき、フィン部材30は、フィンベース31がハウジング20に当接したところで止まるため、ハウジング20とフィンベース31とを密着させることができる。
【0032】
上記のようにして製造された熱交換器10では、棒状の冷媒流れ阻害部材40を、冷却フィン32の先端に形成した切り欠き33に圧入して、ハウジング20の底面と冷却フィン32との隙間Sに配置した簡易な構造により、隙間Sへの冷媒の流れ込みを効果的に阻止することができる。また、このような簡易な構成であるから安価に熱交換器10を製造することができる。
【0033】
続いて、このような構成を有する熱交換器10の動作について簡単に説明する。熱交換器10には、図1及び図2に示すように、フィン部材30(フィンベース31)に、ヒートスプレッダ12を介して半導体素子11が取り付けられる。なお、図1及び図2には、ヒートスプレッダ12上に1つの半導体素子11が載置されているが、熱交換器10又は半導体素子11の大きさ等に応じて、複数の半導体素子11を載置するようにしても良い。
【0034】
そして、冷媒は、導入口21から熱交換器10の内部へと導入される。熱交換器10内部に導入された冷媒は、冷却フィン32により形成された冷媒通路に従って流れていき、排出口22から外部へと排出される。
このとき、発熱体である半導体素子11は、自らが発した熱をヒートスプレッダ12に伝達する。ヒートスプレッダ12に伝達された熱は、そこで拡散されてフィンベース31を介して冷却フィン32へと伝えられる。そして、冷却フィン32と冷媒との間で熱交換が行われる。
【0035】
ここで、熱交換器10の内部では、冷媒流れ阻害部材40により、冷却フィン32の先端とハウジング20の底面との隙間Sへの冷媒の流れ込みが阻止されている。そのため、冷媒は、隙間Sへ流れずに冷却フィン32の間、及び冷却フィン32eとハウジング20の側面(側壁)との間を流れる。これにより、冷媒と冷却フィン32との間における熱交換が効率的に行われるため、熱交換効率が向上する。具体的には、熱伝達率で10%程度向上させることができた。その結果、半導体素子11は、熱交換器10により効果的に冷却される。
【0036】
以上、詳細に説明したように第1の実施の形態に係る熱交換器10によれば、棒状の冷媒流れ阻害部材40を、冷却フィン32の先端に形成した切り欠き33に圧入して、ハウジング20の底面と冷却フィン32との隙間Sに、冷媒の流れ方向と交差するように配置している。そのため、冷媒流れ阻害部材40により、隙間Sへの冷媒の流れ込みが阻止され、冷媒が冷却フィン32の間、及び冷却フィン32eとハウジング20の側面との間を流れる。従って、隙間Sが存在しても、冷媒と冷却フィン32との間における熱交換が効率的に行われるため、熱交換効率を向上させることができる。
【0037】
ここで、第1の実施の形態に係る熱交換器の変形例について、図5〜図8を参照しながら説明する。図5は、第1変形例に係る熱交換器におけるハウジング内部を模式的に示す図である。図6は、冷媒流れ阻害部材の変形例を示す平面図である。図7は、第2変形例に係る熱交換器の概略構成を示す斜視図である。図8は、図7に示す熱交換器の側面図である。なお、図7及び図8は、図1及び図2に対応する図面であり、図1及び図2と同様、熱交換器内部を示すためにハウジングの側壁を図示していない。
【0038】
第1変形例に係る熱交換器は、基本的な構成を熱交換器10とほぼ同じくするが、冷媒流れ阻害部材の構造が異なっている。
すなわち、図5に示すように、熱交換器10aでは、冷媒流れ阻害部材41が両端部に弾性部材41aを備えている。弾性部材41aは、冷媒流れ阻害部材41の長手方向に伸縮可能であり、かつ冷媒の流れを阻害するものである。図5では、弾性部材41aを両端部に設けた冷媒流れ阻害部材41を示しているが、弾性部材41aは冷媒流れ阻害部材41の長手方向に少なくとも1つ設ければ良い。なお、弾性部材としては、冷媒に対して耐腐食性を有する樹脂やゴムなどを使用することができる。
【0039】
これにより、熱交換器10aでは、冷媒流れ阻害部材41の両端部をハウジング20の側面に密着させることができる。従って、冷媒流れ阻害部材41の端面とハウジング20の側面との間に隙間がなくなるため、冷媒流れ阻害部材41の端部へ冷媒が流れなくなる。その結果、冷媒が冷却フィン32の間、及び冷却フィン32eとハウジング20の側面(側壁)との間に流れるため、冷媒と冷却フィン32との間における熱交換がより一層効率的に行われるため、熱交換効率をさらに向上させることができる。
【0040】
また、図6に示すように、弾性部材41aの代わりに、蛇腹状の板材42aを設け、その両端に棒状部材42b,42bを設けて冷媒流れ阻害部材42を構成することもできる。このような冷媒流れ阻害部材42は、蛇腹状の板材42aを縮めた状態でハウジング20内にセットし、蛇腹状の板材42aが立った状態(冷媒が通過しない状態)でハウジング20の底部に配置すればよい。なお、図6では、蛇腹状の板材42aの両側に棒状部材42b,42bを設けて冷媒流れ阻害部材を構成しているが、蛇腹状の板材42aの片側だけに棒状部材42bを設けて冷媒流れ阻害部材を構成しても良い。
そして、このような冷媒流れ阻害部材42を設けた熱交換器でも、熱交換効率を向上させることができる。
【0041】
第2変形例に係る熱交換器は、基本的な構成を熱交換器10とほぼ同じくするが、冷媒流れ阻害部材を圧入する切り欠きの形成位置が異なっている。
すなわち、図7及び図8に示すように、熱交換器10bでは、冷媒流れ阻害部材40を圧入する切り欠き23がハウジング20の底部に形成されている。そして、冷却フィン32の先端には切り欠きは形成されていない。なお、熱交換器10bでは、冷却フィン32の先端には切り欠きを設けていないが、冷却フィン32の先端に切り欠き33を設けても良い。つまり、切り欠きを冷却フィン32の先端及びハウジング20の底部の両方に設けることもできる。
【0042】
このような熱交換器10bでは、棒状の冷媒流れ阻害部材40を、ハウジング20の底部に形成した切り欠き23に圧入して、ハウジング20の底面と冷却フィン32との隙間Sに、冷媒の流れ方向と交差するように配置している。そのため、冷媒流れ阻害部材40により、隙間Sへの冷媒の流れ込みが阻止され、冷媒が冷却フィン間を流れる。従って、隙間Sが存在しても、冷媒と冷却フィン32との間における熱交換が効率的に行われるため、熱交換効率を向上させることができる。
【0043】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係る熱交換器について、図9〜図12を参照しながら説明する。図9は、第2の実施の形態に係る熱交換器の概略構成を示す斜視図である。図10は、図9に示す熱交換器の側面図である。図11は、冷媒流れ阻害部材の配置位置付近におけるハウジング内部を模式的に示す図である。図12は、冷媒の流れ方向から見たハウジング内部を模式的に示す図である。なお、図9及び図10では、熱交換器内部を示すためにハウジングの側壁を図示していない。
【0044】
第2の実施の形態に係る熱交換器は、第1の実施の形態と構成をほぼ同じくするが、冷媒流れ阻害部材を圧入する切り欠きが設けられていないこと、及び冷媒流れ阻害部材の構成が異なっている。そのため、第1の実施の形態と同じ構成については同符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0045】
図9及び図10に示すように、第2の実施の形態に係る熱交換器50は、ハウジング20と、フィン部材30と、冷媒流れ阻害部材60とを備えている。そして、フィン部材30の上面に発熱体である半導体素子11がヒートスプレッダ12を介して載置されている。なお、フィン部材30は、第1の実施の形態と基本的には同じものであるが、本実施の形態では、冷却フィン32に切り欠きが形成されていない。
【0046】
冷媒流れ阻害部材60は、冷媒の流れを阻害する円管状の部材である。そして、この冷媒流れ阻害部材60は、冷媒の流れ方向と直交する方向に配置され、冷却フィン32とハウジング20の底面との間に挟まれて弾性変形している。これにより、図11に示すように、冷却フィン32の先端とハウジング20の底部との隙間Sへの冷媒の流れ込みが阻止され、冷媒が隙間Sへ流れ難くなって冷却フィン間に流れるようになっている。なお、本実施の形態でも、冷媒流れ阻害部材60を2つ設けているが、冷媒流れ阻害部材60は少なくとも1つあればよい。
【0047】
そして、このようにして冷却フィン32の先端とハウジング20の底面との隙間Sに、弾性変形領域内で潰されて配置された冷媒流れ阻害部材60は、図12に示すように、その端面60eとハウジング20の側面との間隔Ieが、冷却フィン32とハウジング20の側面との間隔Ifよりも小さく(Ie<If)なるように配置されている。すなわち、冷媒流れ阻害部材60は、その端面60eが、冷却フィン32のうち最も外側に位置する冷却フィン32eの外側、つまり冷却フィン32eとハウジング20の側面との間に位置している。これにより、冷媒流れ阻害部材60の端面60eとハウジング20の側面との間隔Ieにおける圧損が、冷却フィン32eとハウジング20の側面との間隔Ifにおける圧損よりも大きくなるので、冷媒流れ阻害部材40の端部へ冷媒が流れ難くなっている。そのため、熱交換器50の両端部においても、冷媒が冷却フィン側(冷却フィン間)を流れるようになっている。
【0048】
このような熱交換器50は、次のようにして製造される。まず、ハウジング20の底面の所定位置に冷媒流れ阻害部材60を配置する。次に、そのように配置された冷媒流れ阻害部材60の真上から、フィン部材30を下方へ押し下げて冷媒流れ阻害部材60を変形させていきながらハウジング20に組み付ける。このとき、フィン部材30は、フィンベース31がハウジング20に当接したところで止まるため、ハウジング20とフィンベース31とを密着させることができる。
【0049】
上記のようにして製造された熱交換器50では、円管状の冷媒流れ阻害部材60を、冷却フィン32の先端で押圧して弾性変形させ、ハウジング20の底面と冷却フィン32との隙間Sに配置した簡易な構造により、隙間Sへの冷媒の流れ込みを効果的に阻止することができる。また、このような簡易な構成であるから安価に熱交換器50を製造することができる。
【0050】
そして、このような構成を有する熱交換器50でも、第1の実施の形態と同様に動作して、冷媒流れ阻害部材60により、冷却フィン32の先端とハウジング20の底面との隙間Sへの冷媒の流れ込みが阻止されている。そのため、冷媒は、隙間Sへ流れずに冷却フィン32の間、及び冷却フィン32eとハウジング20の側面(側壁)との間を流れる。これにより、冷媒と冷却フィン32との間における熱交換が効率的に行われるため、熱交換効率が向上し、半導体素子11が、熱交換器50により効果的に冷却される。
【0051】
以上、詳細に説明したように第2の実施の形態に係る熱交換器50によれば、円管状の冷媒流れ阻害部材60を、弾性変形させて、ハウジング20の底面と冷却フィン32との隙間Sに、冷媒の流れ方向と交差するように配置している。そのため、冷媒流れ阻害部材60により、隙間Sへの冷媒の流れ込みが阻止され、冷媒が冷却フィン32の間、及び冷却フィン32eとハウジング20の側面との間を流れる。従って、隙間Sが存在しても、冷媒と冷却フィン32との間における熱交換が効率的に行われるため、熱交換効率を向上させることができる。
【0052】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、上記した実施の形態では、2つの冷媒流れ阻害部材40(60)を、両端にハウジング20の側面と隙間が生じるように配置しているが、それぞれをずらして一端にハウジング20の側面と隙間が生じるように(他端に密着させて)配置してもよい。このような配置により、熱交換器10(50)の両端部において、冷媒を冷却フィン側(冷却フィン間)に流すことができる。
【0053】
また、上記した実施の形態では、冷却フィンはブロック状フィンを平行に配置したものであるが、冷却フィンはこれに限らず、例えば、多数の棒状フィンを互い違いに配置したものや、コルゲートフィンなどであっても良い。
【0054】
さらに、上記した実施の形態では、半導体素子11に対し本発明を適用した場合を示したが、これに限られることなく、冷却効果を必要とする様々な発熱体に対して本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 熱交換器
11 半導体素子
20 ハウジング
21 導入口
22 排出口
30 フィン部材
31 フィンベース
32 冷却フィン
33 切り欠き
40 冷媒流れ阻害部材
40e 端面
50 熱交換器
60 冷媒流れ阻害部材
D 直径
de ハウジングの深さ
H フィン高さ
S 隙間
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハウジング内に冷却フィンが設けられた熱交換器に関する。より詳細には、冷却フィンの先端とハウジングの底面との隙間に冷媒が流れることを阻止することにより熱交換効率を向上させる熱交換器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電動機を駆動源として搭載したハイブリッド車両や電気自動車等の電動車両が普及してきた。このような電動車両には、電動機の他に、充放電可能なバッテリ、バッテリの直流電力を電動機駆動用の三相交流電力に変換等するインバータなどが搭載されている。インバータは、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)等の半導体素子のスイッチング動作によって電力変換を行うものであり、スイッチング動作によって半導体素子が発熱する。そのため、この熱を除去して半導体素子(発熱体)の過熱を防止するために、熱交換器が取り付けられる。そして、インバータは、より高出力が求められる一方で小型化や軽量化の要求が厳しくなってきているため、熱交換効率に優れた熱交換器が求められている。
【0003】
ここで、発熱体を冷却する熱交換器としては、発熱体に固定されたフィン部材(冷却フィンとフィンベースとを備えている)に設けられた冷却フィンをハウジング内に設け、その冷却フィン間(ハウジング内部)に冷媒が流れるように構成されたものが知られている。この種の熱交換器では、各部品が公差を持っているため、冷却フィンの高さとハウジングの深さを等しくすることが困難であった。そして、図13に示すように、冷却フィン132の高さHよりハウジング120の深さdeが浅いと(H>de)、フィンベース131とハウジング120とが密着しなくなり冷媒が漏れてしまう。
【0004】
そこで、図14に示すように、冷却フィン132の高さHよりハウジング120の深さdeが深くなるように設計されているのが一般的である(H<de)。ところがこの場合、冷却フィン132の先端とハウジング120の底面との間に隙間が生じてしまうため、冷媒がその隙間に流れ易くなり、冷却フィン132の間に流れる冷媒の量が減少する。そうすると、冷媒と冷却フィンとの間における熱交換が効率的に行われなくなり、熱交換効率が低下するという問題があった。
【0005】
そのため、熱交換効率を低下させないように、例えば、特許文献1に記載の積層モジュールでは、バネ性を持たせた別部材を冷却フィン先端とケースとの間に設け、冷却フィンとケースとを密着させている。これにより、冷却フィンとケースとの間に隙間が形成されないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−140969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記した特許文献1に記載の技術では、別部材(冷却フィンが含まれる場合もある)の変形量によっては、ケース(ハウジング)と中板(フィンベース)とが密着しなくなり、冷媒が漏れてしまうおそれがあった。
また、バネ性を持たせた別部材を設けるため、構造が複雑になるとともにコストアップを招いてしまうという問題もあった。
【0008】
そこで、本発明は上記した問題点を解決するためになされたものであり、簡易な構成で冷却フィン先端とハウジングとの隙間への冷媒の流れ込みを抑制することができる熱交換器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためになされた本発明の一態様は、ハウジング内に冷却フィンを備える熱交換器において、前記ハウジングの底面と前記冷却フィンとの隙間に冷媒の流れ方向と交差するように配置され、冷媒の流れを阻害する棒状の冷媒流れ阻害部材を有し、前記冷媒流れ阻害部材は、前記冷却フィンの先端あるいは前記ハウジングの底部の少なくとも一方に形成した切り欠きに圧入されて固定されている
ことを特徴とする。
【0010】
この熱交換器では、棒状の冷媒流れ阻害部材が、冷却フィンの先端あるいはハウジングの底部の少なくとも一方に形成した切り欠きに圧入されて固定されている。すなわち、冷媒流れ阻害部材は、冷却フィンの先端に形成した切り欠きに圧入されている、ハウジングの底部に形成した切り欠きに圧入されている、又は冷却フィンの先端及びハウジングの底部のそれぞれに形成した各切り欠きに圧入されているかのいずれかである。これにより、冷媒流れ阻害部材が、冷却フィンの先端とハウジングの底面との間に存在する隙間に配置されて固定される。そして、冷媒流れ阻害部材は、冷媒の流れ方向と交差するように配置されるため、冷媒流れ阻害部材により、冷却フィンの先端とハウジングの底面との隙間への冷媒の流れ込みが阻止される。これにより、冷却フィンの先端とハウジングの底面との隙間へ冷媒が流れ難くなり、冷媒を冷却フィン間に流すことができる。その結果、冷媒と冷却フィンとの間における熱交換が効率的に行われるため、熱交換効率を向上させることができる。
【0011】
そして、この熱交換器では、棒状の冷媒流れ阻害部材を、冷却フィンの先端あるいはハウジングの底部の少なくとも一方に形成した切り欠きに圧入して、ハウジングの底面と冷却フィンとの隙間に配置している。そのため、簡易な構造かつ安価にて、冷却フィンの先端とハウジングの底面との隙間への冷媒の流れ込みを阻止することができる。
【0012】
また、上記課題を解決するためになされた本発明の別態様は、ハウジング内に冷却フィンを備える熱交換器において、前記ハウジングの底面と前記冷却フィンとの隙間に冷媒の流れ方向と交差するように配置され、冷媒の流れを阻害する円管状の冷媒流れ阻害部材を有し、前記冷媒流れ阻害部材は、前記冷却フィンの先端と前記ハウジングの底面との間に挟まれて弾性変形した状態で固定されていることを特徴とする。
【0013】
この熱交換器では、円管状の冷媒流れ阻害部材が、冷却フィンの先端とハウジングの底面との間に挟まれて弾性変形した状態で固定されている。これにより、冷媒流れ阻害部材が、冷却フィンの先端とハウジングの底面との間に存在する隙間に配置されて固定される。そして、冷媒流れ阻害部材は、冷媒の流れ方向と交差するように配置されるため、冷媒流れ阻害部材により、冷却フィンの先端とハウジングの底面との隙間への冷媒の流れ込みが阻止される。これにより、冷却フィンの先端とハウジングの底面との隙間へ冷媒が流れ難くなり、冷媒を冷却フィン間に流すことができる。その結果、冷媒と冷却フィンとの間における熱交換が効率的に行われるため、熱交換効率を向上させることができる。
【0014】
そして、この熱交換器でも、円管状の冷媒流れ阻害部材を、冷却フィンの先端とハウジングの底面との間に挟んで弾性変形させて固定し、ハウジングの底面と冷却フィンとの隙間に配置している。そのため、簡易な構造かつ安価にて、冷却フィンの先端とハウジングの底面との隙間への冷媒の流れ込みを阻止することができる。
【0015】
上記した熱交換器において、前記冷媒流れ阻害部材は、その端面と前記ハウジングの側面との間隔が、前記冷却フィンと前記ハウジングの側面との間隔よりも小さくなるように、配置されていることが望ましい。
【0016】
このように冷媒流れ阻害部材を配置することにより、冷媒流れ阻害部材の端面とハウジングの側面との間隔における圧損が、冷却フィンとハウジングの側面との間隔における圧損よりも大きくなるので、冷媒流れ阻害部材の端部へ冷媒が流れ難くなる。これにより、熱交換器の端部においても、冷媒を冷却フィン側(冷却フィン間)に流すことができる。従って、冷媒と冷却フィンとの間における熱交換がより効率的に行われるため、熱交換効率を一層向上させることができる。
【0017】
上記した熱交換器において、前記冷媒流れ阻害部材は、その長手方向の少なくとも一部分に伸縮可能であり、かつ冷媒の流れを阻害する弾性部材を備えていることが望ましい。
【0018】
このような構成にすることにより、冷媒流れ阻害部材の端部をハウジングの側面に密着させることができる。これにより、冷媒流れ阻害部材の端部とハウジングの側面との間に隙間がなくなるので、冷媒流れ阻害部材の端部へ冷媒が流れなくなる。その結果、冷媒を冷却フィン間に流すことができるため、冷媒と冷却フィンとの間における熱交換がより一層効率的に行われるため、熱交換効率をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係る熱交換器によれば、上記した通り、簡易な構成で安価に冷却フィン先端とハウジングとの隙間への冷媒の流れ込みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1の実施の形態に係る熱交換器の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1に示す熱交換器の側面図である。
【図3】冷媒流れ阻害部材の配置位置付近におけるハウジング内部を模式的に示す図である。
【図4】冷媒の流れ方向から見たハウジング内部を模式的に示す図である。
【図5】第1変形例に係る熱交換器におけるハウジング内部を模式的に示す図である。
【図6】冷媒流れ阻害部材の変形例を示す平面図である。
【図7】第2変形例に係る熱交換器の概略構成を示す斜視図である。
【図8】図7に示す熱交換器の側面図である。
【図9】第2の実施の形態に係る熱交換器の概略構成を示す斜視図である。
【図10】図9に示す熱交換器の側面図である。
【図11】冷媒流れ阻害部材の配置位置付近におけるハウジング内部を模式的に示す図である。
【図12】冷媒の流れ方向から見たハウジング内部を模式的に示す図である。
【図13】部品公差によりフィンベースとハウジングとの間に隙間が生じた状態を示す図である。
【図14】冷却フィンとハウジングの底面との間に隙間が生じた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の熱交換器を具体化した実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。ここでは、小型化かつ高い冷却性能が要求されるインバータ装置の半導体素子を冷却するために用いる熱交換器を例示する。以下に示す二つの実施形態に係る熱交換器は、内部を流れる冷媒(例えば冷却水)と熱交換を行うことにより、発熱する半導体素子を冷却するものである。
【0022】
[第1の実施の形態]
まず、第1の実施の形態に係る熱交換器について、図1〜図4を参照しながら説明する。図1は、第1の実施の形態に係る熱交換器の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1に示す熱交換器の側面図である。図3は、冷媒流れ阻害部材の配置位置付近におけるハウジング内部を模式的に示す図である。図4は、冷媒の流れ方向から見たハウジング内部を模式的に示す図である。なお、図1及び図2では、熱交換器内部を示すためにハウジングの側壁を図示していない。
【0023】
図1及び図2に示すように、第1の実施の形態に係る熱交換器10は、ハウジング20と、フィン部材30と、冷媒流れ阻害部材40とを備えている。そして、フィン部材30の上面に発熱体である半導体素子11がヒートスプレッダ12を介して載置されている。
【0024】
ハウジング20は、アルミニウム合金製の素材を例えばプレス加工によって上面が開口する直方体形状に形成したものである。このハウジング20には、冷媒を内部に導入するための導入口21と、冷媒を外部に排出するための排出口22とが設けられている。そして、ハウジング20に対して、ハウジング20の開口を塞ぐようにしてフィン部材30が取り付けられている。これにより、ハウジング20とフィンベース31とにより熱交換器10のケースが構成されるとともに、ハウジング20の内部に冷却フィン32が収容されるようになっている。
【0025】
フィン部材30は、図1及び図2に示すように、複数の冷却フィン32と、それらの冷却フィン32が設けられたフィンベース31とを備えている。このフィン部材30は、アルミニウム合金製の素材を例えば押出加工によって成形されている。そして、複数の冷却フィン32は、それぞれ一定の間隔をあけて平行にフィンベース31上に設けられており、冷却フィン32間(両端は冷却フィンとハウジング側壁との間)が、冷媒が流れる冷媒通路となっている。これにより、導入口21を介してハウジング20内に導入された冷媒は、冷却フィン32間を流れていき排出口22を介して外部に排出されるようになっている。
【0026】
ここで、ハウジング20の深さdeは、冷却フィン32の高さHよりも大きくされている(de>H)。そのため、熱交換器10では、図2に示すように、ハウジング20にフィン部材30を組み付けた状態で、冷却フィン32の先端とハウジング20の底面との間に隙間Sが形成されている。
【0027】
冷媒流れ阻害部材40は、冷媒の流れを阻害する棒状の部材である。本実施の形態では、冷媒流れ阻害部材40として丸棒を使用しているが、丸棒に限られず、後述する切り欠き33に圧入可能な連続体であれば良く、例えば中空パイプや角棒などを使用することもできる。また、本実施の形態では、冷媒流れ阻害部材40を2つ設けているが、冷媒流れ阻害部材40は少なくとも1つあればよい。
【0028】
そして、冷却フィン32の先端には、切り欠き33が設けられている。この切り欠き32には、冷媒流れ阻害部材40が圧入されている。切り欠き33は各冷却フィン32に対して形成されており、各切り欠き32は冷媒の流れ方向と直交する方向における同一直線上に設けられている。これにより、棒状の冷媒流れ阻害部材40を、各冷却フィン32に簡単に圧入することができるとともに、冷媒の流れ方向と直交する方向に配置することができるようになっている。
【0029】
ここで、図3に示すように、切り欠き33の幅Kwは、冷媒流れ阻害部材40の直径D以下(Kw≦D)となっている。また、切り欠き33の深さKdは、冷媒流れ阻害部材40の半径D/2より大きく(Kd>D/2)なっている。このように切り欠き33を設定することにより、確実に、切り欠き33に対して冷媒流れ阻害部材40を圧入して、冷却フィン32の先端とハウジング20の底面との隙間Sに冷媒流れ阻害部材40を配置することができる。これにより、冷却フィン32の先端とハウジング20の底面との隙間Sへの冷媒の流れ込みが阻止され、冷媒が隙間Sへ流れ難くなって冷却フィン間に流れるようになっている。
【0030】
そして、このようにして冷却フィン32の先端とハウジング20の底面との隙間に設けられた冷媒流れ阻害部材40は、図4に示すように、その端面40eとハウジング20の側面との間隔Ieが、冷却フィン32とハウジング20の側面との間隔Ifよりも小さく(Ie<If)なるように配置されている。すなわち、冷媒流れ阻害部材40は、その端面40eが、冷却フィン32のうち最も外側に位置する冷却フィン32e(なお、この冷却フィンの符号を単に「32」と表記することもある)の外側、つまり冷却フィン32eとハウジング20の側面との間に位置している。これにより、冷媒流れ阻害部材40の端面40eとハウジング20の側面との間隔Ieにおける圧損が、冷却フィン32eとハウジング20の側面との間隔Ifにおける圧損よりも大きくなるので、冷媒流れ阻害部材40の端部へ冷媒が流れ難くなっている。そのため、熱交換器10の両端部においても、冷媒が冷却フィン側(冷却フィン間)を流れるようになっている。
【0031】
このような熱交換器10は、次のようにして製造される。まず、ハウジング20の底部の所定位置に冷媒流れ阻害部材40を配置する。次に、そのように配置された冷媒流れ阻害部材40の真上から、フィン部材30を下方へ押し下げて切り欠き33に冷媒流れ阻害部材40を圧入していきながらハウジング20に組み付ける。このとき、フィン部材30は、フィンベース31がハウジング20に当接したところで止まるため、ハウジング20とフィンベース31とを密着させることができる。
【0032】
上記のようにして製造された熱交換器10では、棒状の冷媒流れ阻害部材40を、冷却フィン32の先端に形成した切り欠き33に圧入して、ハウジング20の底面と冷却フィン32との隙間Sに配置した簡易な構造により、隙間Sへの冷媒の流れ込みを効果的に阻止することができる。また、このような簡易な構成であるから安価に熱交換器10を製造することができる。
【0033】
続いて、このような構成を有する熱交換器10の動作について簡単に説明する。熱交換器10には、図1及び図2に示すように、フィン部材30(フィンベース31)に、ヒートスプレッダ12を介して半導体素子11が取り付けられる。なお、図1及び図2には、ヒートスプレッダ12上に1つの半導体素子11が載置されているが、熱交換器10又は半導体素子11の大きさ等に応じて、複数の半導体素子11を載置するようにしても良い。
【0034】
そして、冷媒は、導入口21から熱交換器10の内部へと導入される。熱交換器10内部に導入された冷媒は、冷却フィン32により形成された冷媒通路に従って流れていき、排出口22から外部へと排出される。
このとき、発熱体である半導体素子11は、自らが発した熱をヒートスプレッダ12に伝達する。ヒートスプレッダ12に伝達された熱は、そこで拡散されてフィンベース31を介して冷却フィン32へと伝えられる。そして、冷却フィン32と冷媒との間で熱交換が行われる。
【0035】
ここで、熱交換器10の内部では、冷媒流れ阻害部材40により、冷却フィン32の先端とハウジング20の底面との隙間Sへの冷媒の流れ込みが阻止されている。そのため、冷媒は、隙間Sへ流れずに冷却フィン32の間、及び冷却フィン32eとハウジング20の側面(側壁)との間を流れる。これにより、冷媒と冷却フィン32との間における熱交換が効率的に行われるため、熱交換効率が向上する。具体的には、熱伝達率で10%程度向上させることができた。その結果、半導体素子11は、熱交換器10により効果的に冷却される。
【0036】
以上、詳細に説明したように第1の実施の形態に係る熱交換器10によれば、棒状の冷媒流れ阻害部材40を、冷却フィン32の先端に形成した切り欠き33に圧入して、ハウジング20の底面と冷却フィン32との隙間Sに、冷媒の流れ方向と交差するように配置している。そのため、冷媒流れ阻害部材40により、隙間Sへの冷媒の流れ込みが阻止され、冷媒が冷却フィン32の間、及び冷却フィン32eとハウジング20の側面との間を流れる。従って、隙間Sが存在しても、冷媒と冷却フィン32との間における熱交換が効率的に行われるため、熱交換効率を向上させることができる。
【0037】
ここで、第1の実施の形態に係る熱交換器の変形例について、図5〜図8を参照しながら説明する。図5は、第1変形例に係る熱交換器におけるハウジング内部を模式的に示す図である。図6は、冷媒流れ阻害部材の変形例を示す平面図である。図7は、第2変形例に係る熱交換器の概略構成を示す斜視図である。図8は、図7に示す熱交換器の側面図である。なお、図7及び図8は、図1及び図2に対応する図面であり、図1及び図2と同様、熱交換器内部を示すためにハウジングの側壁を図示していない。
【0038】
第1変形例に係る熱交換器は、基本的な構成を熱交換器10とほぼ同じくするが、冷媒流れ阻害部材の構造が異なっている。
すなわち、図5に示すように、熱交換器10aでは、冷媒流れ阻害部材41が両端部に弾性部材41aを備えている。弾性部材41aは、冷媒流れ阻害部材41の長手方向に伸縮可能であり、かつ冷媒の流れを阻害するものである。図5では、弾性部材41aを両端部に設けた冷媒流れ阻害部材41を示しているが、弾性部材41aは冷媒流れ阻害部材41の長手方向に少なくとも1つ設ければ良い。なお、弾性部材としては、冷媒に対して耐腐食性を有する樹脂やゴムなどを使用することができる。
【0039】
これにより、熱交換器10aでは、冷媒流れ阻害部材41の両端部をハウジング20の側面に密着させることができる。従って、冷媒流れ阻害部材41の端面とハウジング20の側面との間に隙間がなくなるため、冷媒流れ阻害部材41の端部へ冷媒が流れなくなる。その結果、冷媒が冷却フィン32の間、及び冷却フィン32eとハウジング20の側面(側壁)との間に流れるため、冷媒と冷却フィン32との間における熱交換がより一層効率的に行われるため、熱交換効率をさらに向上させることができる。
【0040】
また、図6に示すように、弾性部材41aの代わりに、蛇腹状の板材42aを設け、その両端に棒状部材42b,42bを設けて冷媒流れ阻害部材42を構成することもできる。このような冷媒流れ阻害部材42は、蛇腹状の板材42aを縮めた状態でハウジング20内にセットし、蛇腹状の板材42aが立った状態(冷媒が通過しない状態)でハウジング20の底部に配置すればよい。なお、図6では、蛇腹状の板材42aの両側に棒状部材42b,42bを設けて冷媒流れ阻害部材を構成しているが、蛇腹状の板材42aの片側だけに棒状部材42bを設けて冷媒流れ阻害部材を構成しても良い。
そして、このような冷媒流れ阻害部材42を設けた熱交換器でも、熱交換効率を向上させることができる。
【0041】
第2変形例に係る熱交換器は、基本的な構成を熱交換器10とほぼ同じくするが、冷媒流れ阻害部材を圧入する切り欠きの形成位置が異なっている。
すなわち、図7及び図8に示すように、熱交換器10bでは、冷媒流れ阻害部材40を圧入する切り欠き23がハウジング20の底部に形成されている。そして、冷却フィン32の先端には切り欠きは形成されていない。なお、熱交換器10bでは、冷却フィン32の先端には切り欠きを設けていないが、冷却フィン32の先端に切り欠き33を設けても良い。つまり、切り欠きを冷却フィン32の先端及びハウジング20の底部の両方に設けることもできる。
【0042】
このような熱交換器10bでは、棒状の冷媒流れ阻害部材40を、ハウジング20の底部に形成した切り欠き23に圧入して、ハウジング20の底面と冷却フィン32との隙間Sに、冷媒の流れ方向と交差するように配置している。そのため、冷媒流れ阻害部材40により、隙間Sへの冷媒の流れ込みが阻止され、冷媒が冷却フィン間を流れる。従って、隙間Sが存在しても、冷媒と冷却フィン32との間における熱交換が効率的に行われるため、熱交換効率を向上させることができる。
【0043】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係る熱交換器について、図9〜図12を参照しながら説明する。図9は、第2の実施の形態に係る熱交換器の概略構成を示す斜視図である。図10は、図9に示す熱交換器の側面図である。図11は、冷媒流れ阻害部材の配置位置付近におけるハウジング内部を模式的に示す図である。図12は、冷媒の流れ方向から見たハウジング内部を模式的に示す図である。なお、図9及び図10では、熱交換器内部を示すためにハウジングの側壁を図示していない。
【0044】
第2の実施の形態に係る熱交換器は、第1の実施の形態と構成をほぼ同じくするが、冷媒流れ阻害部材を圧入する切り欠きが設けられていないこと、及び冷媒流れ阻害部材の構成が異なっている。そのため、第1の実施の形態と同じ構成については同符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0045】
図9及び図10に示すように、第2の実施の形態に係る熱交換器50は、ハウジング20と、フィン部材30と、冷媒流れ阻害部材60とを備えている。そして、フィン部材30の上面に発熱体である半導体素子11がヒートスプレッダ12を介して載置されている。なお、フィン部材30は、第1の実施の形態と基本的には同じものであるが、本実施の形態では、冷却フィン32に切り欠きが形成されていない。
【0046】
冷媒流れ阻害部材60は、冷媒の流れを阻害する円管状の部材である。そして、この冷媒流れ阻害部材60は、冷媒の流れ方向と直交する方向に配置され、冷却フィン32とハウジング20の底面との間に挟まれて弾性変形している。これにより、図11に示すように、冷却フィン32の先端とハウジング20の底部との隙間Sへの冷媒の流れ込みが阻止され、冷媒が隙間Sへ流れ難くなって冷却フィン間に流れるようになっている。なお、本実施の形態でも、冷媒流れ阻害部材60を2つ設けているが、冷媒流れ阻害部材60は少なくとも1つあればよい。
【0047】
そして、このようにして冷却フィン32の先端とハウジング20の底面との隙間Sに、弾性変形領域内で潰されて配置された冷媒流れ阻害部材60は、図12に示すように、その端面60eとハウジング20の側面との間隔Ieが、冷却フィン32とハウジング20の側面との間隔Ifよりも小さく(Ie<If)なるように配置されている。すなわち、冷媒流れ阻害部材60は、その端面60eが、冷却フィン32のうち最も外側に位置する冷却フィン32eの外側、つまり冷却フィン32eとハウジング20の側面との間に位置している。これにより、冷媒流れ阻害部材60の端面60eとハウジング20の側面との間隔Ieにおける圧損が、冷却フィン32eとハウジング20の側面との間隔Ifにおける圧損よりも大きくなるので、冷媒流れ阻害部材40の端部へ冷媒が流れ難くなっている。そのため、熱交換器50の両端部においても、冷媒が冷却フィン側(冷却フィン間)を流れるようになっている。
【0048】
このような熱交換器50は、次のようにして製造される。まず、ハウジング20の底面の所定位置に冷媒流れ阻害部材60を配置する。次に、そのように配置された冷媒流れ阻害部材60の真上から、フィン部材30を下方へ押し下げて冷媒流れ阻害部材60を変形させていきながらハウジング20に組み付ける。このとき、フィン部材30は、フィンベース31がハウジング20に当接したところで止まるため、ハウジング20とフィンベース31とを密着させることができる。
【0049】
上記のようにして製造された熱交換器50では、円管状の冷媒流れ阻害部材60を、冷却フィン32の先端で押圧して弾性変形させ、ハウジング20の底面と冷却フィン32との隙間Sに配置した簡易な構造により、隙間Sへの冷媒の流れ込みを効果的に阻止することができる。また、このような簡易な構成であるから安価に熱交換器50を製造することができる。
【0050】
そして、このような構成を有する熱交換器50でも、第1の実施の形態と同様に動作して、冷媒流れ阻害部材60により、冷却フィン32の先端とハウジング20の底面との隙間Sへの冷媒の流れ込みが阻止されている。そのため、冷媒は、隙間Sへ流れずに冷却フィン32の間、及び冷却フィン32eとハウジング20の側面(側壁)との間を流れる。これにより、冷媒と冷却フィン32との間における熱交換が効率的に行われるため、熱交換効率が向上し、半導体素子11が、熱交換器50により効果的に冷却される。
【0051】
以上、詳細に説明したように第2の実施の形態に係る熱交換器50によれば、円管状の冷媒流れ阻害部材60を、弾性変形させて、ハウジング20の底面と冷却フィン32との隙間Sに、冷媒の流れ方向と交差するように配置している。そのため、冷媒流れ阻害部材60により、隙間Sへの冷媒の流れ込みが阻止され、冷媒が冷却フィン32の間、及び冷却フィン32eとハウジング20の側面との間を流れる。従って、隙間Sが存在しても、冷媒と冷却フィン32との間における熱交換が効率的に行われるため、熱交換効率を向上させることができる。
【0052】
なお、上記した実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることはもちろんである。例えば、上記した実施の形態では、2つの冷媒流れ阻害部材40(60)を、両端にハウジング20の側面と隙間が生じるように配置しているが、それぞれをずらして一端にハウジング20の側面と隙間が生じるように(他端に密着させて)配置してもよい。このような配置により、熱交換器10(50)の両端部において、冷媒を冷却フィン側(冷却フィン間)に流すことができる。
【0053】
また、上記した実施の形態では、冷却フィンはブロック状フィンを平行に配置したものであるが、冷却フィンはこれに限らず、例えば、多数の棒状フィンを互い違いに配置したものや、コルゲートフィンなどであっても良い。
【0054】
さらに、上記した実施の形態では、半導体素子11に対し本発明を適用した場合を示したが、これに限られることなく、冷却効果を必要とする様々な発熱体に対して本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
10 熱交換器
11 半導体素子
20 ハウジング
21 導入口
22 排出口
30 フィン部材
31 フィンベース
32 冷却フィン
33 切り欠き
40 冷媒流れ阻害部材
40e 端面
50 熱交換器
60 冷媒流れ阻害部材
D 直径
de ハウジングの深さ
H フィン高さ
S 隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジング内に冷却フィンを備える熱交換器において、
前記ハウジングの底面と前記冷却フィンとの隙間に冷媒の流れ方向と交差するように配置され、冷媒の流れを阻害する棒状の冷媒流れ阻害部材を有し、
前記冷媒流れ阻害部材は、前記冷却フィンの先端あるいは前記ハウジングの底部の少なくとも一方に形成した切り欠きに圧入されて固定されている
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
ハウジング内に冷却フィンを備える熱交換器において、
前記ハウジングの底面と前記冷却フィンとの隙間に冷媒の流れ方向と交差するように配置され、冷媒の流れを阻害する円管状の冷媒流れ阻害部材を有し、
前記冷媒流れ阻害部材は、前記冷却フィンの先端と前記ハウジングの底面との間に挟まれて弾性変形した状態で固定されている
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する熱交換器において、
前記冷媒流れ阻害部材は、その端面と前記ハウジングの側面との間隔が、前記冷却フィンと前記ハウジングの側面との間隔よりも小さくなるように、配置されている
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項4】
請求項1から請求項3に記載するいずれか1つの熱交換器において、
前記冷媒流れ阻害部材は、その長手方向の少なくとも一部分に伸縮可能であり、かつ冷媒の流れを阻害する弾性部材を備えている
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項1】
ハウジング内に冷却フィンを備える熱交換器において、
前記ハウジングの底面と前記冷却フィンとの隙間に冷媒の流れ方向と交差するように配置され、冷媒の流れを阻害する棒状の冷媒流れ阻害部材を有し、
前記冷媒流れ阻害部材は、前記冷却フィンの先端あるいは前記ハウジングの底部の少なくとも一方に形成した切り欠きに圧入されて固定されている
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
ハウジング内に冷却フィンを備える熱交換器において、
前記ハウジングの底面と前記冷却フィンとの隙間に冷媒の流れ方向と交差するように配置され、冷媒の流れを阻害する円管状の冷媒流れ阻害部材を有し、
前記冷媒流れ阻害部材は、前記冷却フィンの先端と前記ハウジングの底面との間に挟まれて弾性変形した状態で固定されている
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載する熱交換器において、
前記冷媒流れ阻害部材は、その端面と前記ハウジングの側面との間隔が、前記冷却フィンと前記ハウジングの側面との間隔よりも小さくなるように、配置されている
ことを特徴とする熱交換器。
【請求項4】
請求項1から請求項3に記載するいずれか1つの熱交換器において、
前記冷媒流れ阻害部材は、その長手方向の少なくとも一部分に伸縮可能であり、かつ冷媒の流れを阻害する弾性部材を備えている
ことを特徴とする熱交換器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−156322(P2012−156322A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14281(P2011−14281)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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