説明

熱伝導部材、熱伝導部材の製造方法及び熱伝導部材を用いた接合構造

【課題】熱伝導性が高く、且つ応力緩和能が高い熱伝導部材を提供する。
【解決手段】半導体装置1は、半導体素子20と放熱板30との間に介在し、半導体素子20と放熱板30とを熱的に接続するとともに、半導体素子20と放熱板30とを接合する熱伝導部材40を有する。この熱伝導部材40は、金属箔50と、半導体素子20と放熱板30との積層方向に延在し、金属箔50上に平面方向に並んで設けられた第1及び第2柱状導体51,52とを有する金属層41と、金属層41を被覆する樹脂層42とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導部材、熱伝導部材の製造方法及び熱伝導部材を用いた接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CPU(Central Processing Unit)等に使用される半導体素子は、半導体パッケージ内の基板上に電気的に接続され、固定される。半導体素子は、動作時に高温となるため、半導体素子の温度を強制的に下げなければ、半導体素子の性能を発揮できなくなる虞がある。そこで、放熱性を向上させるために、半導体素子が発する熱を大気に放出するための放熱部品(例えば、金属製の放熱板)を半導体素子上に配置し、半導体素子が発する熱を外部に放出する経路を確保している。その際、半導体素子と放熱板との間に熱伝導部材(Thermal Interface Material:TIM)を挟み、半導体素子及び放熱板のそれぞれの表面の凹凸を吸収しながらその接触熱抵抗を減らし、半導体素子から放熱板への熱伝導がスムーズに行われるようにしている(例えば、特許文献1,2参照)。
【0003】
図18は、配線基板110に半導体素子120を搭載し、半導体素子120の背面に放熱板130を熱的に接続した半導体装置100の一例を示したものである。放熱板130には、半導体素子120を収容する凹部131が設けられている。この凹部131の内底面131Aには、半導体素子120が熱伝導部材140を介して接合されている。これにより、半導体素子120から発生する熱が熱伝導部材140を介して放熱板130側に放熱され、半導体素子120の温度上昇が抑制される。
【0004】
このような熱伝導部材140の材料には、有機材料よりも熱伝導性の高い無機材料(例えば、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素など)や金属材料(例えば、銀、銅、ニッケルなど)のフィラーを含有した低弾性率の有機系の樹脂バインダー等が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−037228号公報
【特許文献2】特開平11−068360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上述した熱伝導部材140は、上記フィラーが分散される有機系の樹脂の熱伝導性が高くない。そこで、熱伝導部材140の熱伝導性を高めるためには、樹脂層中のフィラーの体積分率を上げる必要がある。しかし、フィラーの体積分率を上げると、図18(b)に示すように、樹脂層141中に弾性率の高いフィラー142が全体的に分散されることになるため、熱伝導部材140の弾性率が上がる。すると、このような熱伝導部材140では、半導体素子120と放熱板130との熱膨張係数の差に起因する応力を緩和することができなくなる。このように、熱伝導部材140における熱伝導性と応力緩和能とは、いわゆるトレードオフの関係にあり、いずれかに関して所望とする条件を満たそうとすれば、他方の条件がより低いものにならざるを得ない。このため、熱伝導性が高く、且つ応力緩和能が高い熱伝導部材の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一観点によれば、金属箔と、厚さ方向に延在し、前記金属箔の第1主面及び第2主面のうち少なくとも一方の主面上に、前記厚さ方向と直交する平面方向に並んで設けられた複数の柱状導体と、少なくとも、前記金属箔の第1主面及び第2主面と前記柱状導体の側面とを被覆する樹脂層と、前記樹脂層の表面は、未硬化状態の絶縁樹脂からなる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一観点によれば、熱伝導性が高く、且つ応力緩和能が高くすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】(a)は第1実施形態の半導体装置を示す概略断面図、(b)は熱伝導部材を示す概略断面図、(c)は熱伝導部材を示す概略平面図。
【図2】(a)〜(c)は、熱伝導部材の作用を説明するための説明図。
【図3】(a)〜(e)は、第1実施形態の熱伝導部材の製造方法を示す概略断面図。
【図4】(a)、(b)は、第1実施形態の熱伝導部材の製造方法を示す概略断面図。
【図5】(a)、(b)は、第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図。
【図6】変形例の熱伝導部材を示す概略断面図。
【図7】(a)〜(c)は、変形例の熱伝導部材の製造方法を示す概略断面図。
【図8】変形例の熱伝導部材及び半導体装置の製造方法を示す概略断面図。
【図9】変形例の熱伝導部材及び半導体装置の製造方法を示す概略断面図。
【図10】(a)〜(g)は、第2実施形態の熱伝導部材の製造方法を示す概略断面図。
【図11】第2実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図。
【図12】(a)〜(e)は、第3実施形態の熱伝導部材の製造方法を示す概略断面図。
【図13】第3実施形態の半導体装置の製造方法を示す概略断面図。
【図14】(a)〜(c)は、変形例の熱伝導部材を示す概略断面図。
【図15】変形例の熱伝導部材を示す概略断面図。
【図16】変形例の熱伝導部材を示す概略断面図。
【図17】変形例の静電チャックを示す概略断面図。
【図18】(a)、(b)は、従来の半導体装置を示す概略断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して各実施形態を説明する。なお、添付図面は、特徴を分かりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の樹脂層のハッチングを省略している。
【0011】
(第1実施形態)
以下、第1実施形態を図1〜図5に従って説明する。
図1(a)に示すように、半導体装置1は、BGA(Ball Grid Array)型の配線基板10と、その配線基板10上に実装された半導体素子20と、半導体素子20の上方に配置された放熱板30と、半導体素子20と放熱板30とを熱的に接続する熱伝導部材40とを有している。
【0012】
配線基板10は、基板本体11と、接続用パッド12と、はんだボール13とを有している。基板本体11としては、接続用パッド12及びはんだボール13が基板内部を通じて相互に電気的に接続された構造を有していれば十分である。このため、基板本体11の内部には配線層が形成されていてもよく、配線層が形成されていなくてもよい。なお、基板本体11の内部に配線層が形成される場合には、複数の配線層が層間絶縁層を介して積層され、各配線層と各絶縁層に形成されたビアとによって上記接続用パッド12及びはんだボール13が電気的に接続されている。基板本体11としては、例えばコア基板を有するコア付きビルドアップ基板やコア基板を有さないコアレス基板等を用いることができる。
【0013】
接続用パッド12は、基板本体11の上面に形成されている。接続用パッド12の材料としては、例えば銅などの金属を用いることができる。
はんだボール13は、基板本体11の下面に形成されている。はんだボール13の材料としては、例えば鉛(Pb)を含む合金、錫(Sn)とCuの合金、Snと銀(Ag)の合金、SnとAgとCuの合金などを用いることができる。このはんだボール13は、例えばマザーボード等と接続される外部接続端子として機能する。
【0014】
半導体素子20は、シリコン(Si)等からなる薄板化された半導体基板上に半導体集積回路(図示略)された素子形成面(図1において下面)側がパッシベーション膜で覆われ、その素子形成面に接続端子21が配設された構造を有している。半導体素子20としては、例えばCPU(Central Processing Unit)チップやGPU(Graphics Processing Unit)チップなどのロジックチップを用いることができる。また、半導体素子20としては、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)チップ、SRAM(Static Random Access Memory)チップやフラッシュメモリチップなどのメモリチップを用いることができる。本実施形態では、半導体素子20がシリコンからなり、その半導体素子20の熱膨張係数が約3ppm/℃になる。半導体素子20の大きさは、例えば平面視で10mm×10mm程度である。半導体素子20の厚さは、例えば10〜50μmとすることができる。
【0015】
半導体素子20は、配線基板10にフリップチップ接合されている。すなわち、半導体素子20は、上記接続端子21を介して、配線基板10の接続用パッド12と電気的に接続されている。接続端子21としては、例えば金(Au)バンプやはんだバンプを用いることができる。はんだバンプの材料としては、例えばPbを含む合金、SnとCuの合金、SnとAgの合金、SnとAgとCuの合金などを用いることができる。
【0016】
半導体素子20の下面と配線基板10の上面との間にはアンダーフィル樹脂22が充填されている。アンダーフィル樹脂22の材料としては、例えばエポキシ系樹脂などの絶縁樹脂を用いることができる。
【0017】
半導体素子20の上方には、放熱板30が配置されている。放熱板30はヒートスプレッダとも呼ばれる。放熱板30の材料としては、例えばCu、Ag、アルミニウム(Al)又はそれらの合金等を用いることができる。本実施形態では、放熱板30がAlからなり、その放熱板30の熱膨張係数が約23ppm/℃になる。
【0018】
放熱板30は、配線基板10上に接合されている。具体的には、放熱板30は、半導体素子20を取り囲むように配線基板10の周縁部に接合部材35によって接合されている。接合部材35の材料としては、例えばシリコンポリマー系の樹脂を用いることができる。
【0019】
放熱板30は、板状に形成された板状部31と、この板状部31の周囲に一体的に形成され、底面が接合部材35を介して配線基板10に接合された枠状の側壁部32とを有している。放熱板30には、これら板状部31と側壁部32とによって凹部33が形成されている。また、この凹部33と配線基板10とによって形成された収容部に半導体素子20が収容されている。なお、放熱板30の大きさは、例えば平面視で20mm×20mm〜40mm×40mm程度である。また、放熱板30の板状部31の厚さは、例えば0.5〜4mm程度とすることができる。
【0020】
上記半導体素子20の素子形成面と反対側の面(図1において上面)は、熱伝導部材40を介して放熱板30の凹部33の内底面33Aに熱的に結合されている。これにより、半導体素子20から発生する熱は、熱伝導部材40を介して放熱板30に放熱される。
【0021】
熱伝導部材40は、金属層41と、その金属層41を被覆する樹脂層42とを有している。
金属層41は、断面視において、十字形状が幅方向(図1(a)では横方向)に連続した構造を有している。具体的には、図1(b)に示すように、金属層41は、薄膜状の金属箔50と、金属箔50の第1主面50A上に厚さ方向に平行して形成された複数の第1柱状導体51と、金属箔50の第2主面50B上に厚さ方向に平行して形成された複数の第2柱状導体52とを有している。この金属層41は、半導体素子20から発生した熱を放熱板30に伝導する役割を果たす。このような金属層41(金属箔50、第1及び第2柱状導体51,52)の材料としては、熱伝導性の高い材料を用いることができる。具体的には、金属層41の材料としては、例えば銅やアルミニウムなどの金属を用いることができる。本実施形態では、金属層41は銅からなり、金属層41の熱膨張係数が約17ppm/℃程度となる。
【0022】
金属箔50は、樹脂層42の厚さ方向の略中央に形成されている。この金属箔50は、図1(c)に示すように、例えば平面視矩形状に形成されている。具体的には、金属箔50は、樹脂層42の平面形状(外形)よりも一回り小さく形成されている。金属箔50の厚さは、例えば5〜10μm程度とすることができる。
【0023】
第1柱状導体51は、図1(b)に示すように、金属箔50の第1主面50Aから樹脂層42の下面42Aに向かって厚さ方向(積層方向)に延在するように形成されている。第1柱状導体51は、図1(c)に示すように、例えば平面視円形状に形成されている。複数の第1柱状導体51は、金属箔50上に平面方向に並んで設けられている。具体的には、複数の第1柱状導体51は、金属箔50の平面上にマトリクス状(図1(c)では、7×11)に配置されている。
【0024】
第1柱状導体51の高さ及び直径は、例えば熱伝導部材40が必要とする熱伝導率に応じて設定される。また、第1柱状導体51のピッチは、例えば熱伝導部材40が必要とする熱伝導率や第1柱状導体51のアスペクト比などに応じて設定される。具体的には、第1柱状導体51の高さは例えば10〜100μm、第1柱状導体51の直径は例えば10〜500μm、第1柱状導体51のピッチは例えば10〜500μmとすることができる。ここで、第1柱状導体51の直径を10μmよりも小さくすると歩留まりが極端に悪くなる一方で、第1柱状導体51の直径を500μmよりも大きくすると当該第1柱状導体51が変形しにくくなる。
【0025】
なお、第1柱状導体51の平面形状は、円形状に限定されず、例えば矩形状や五角形、六角形等の多角形状としてもよい。また、第1柱状導体51の配置形態は、マトリクス状に限定されず、例えばヘキサゴナル状に配置するようにしてもよい。
【0026】
第2柱状導体52は、図1(b)に示すように、金属箔50の第2主面50Bから樹脂層42の上面42Bに向かって厚さ方向(積層方向)に延在するように形成されている。第2柱状導体52は、図1(c)に示すように、例えば平面視円形状に形成されている。複数の第2柱状導体52は、金属箔50上に平面方向に並んで設けられている。具体的には、複数の第2柱状導体52は、金属箔50の平面上にマトリクス状(図1(c)では、7×11)に配置されている。具体的には、第2柱状導体52は、平面視において第1柱状導体51と重なるように配置されている。すなわち、第1柱状導体51と第2柱状導体52は、図1(b)に示すように、断面視において、金属箔50と十字状に交差するような位置関係となるように形成されている。但し、必ずしも精確に十字状に交差している必要はなく、十字状に近い形態で交差していれば十分である。すなわち、第1柱状導体51と第2柱状導体52とは平面視したときに完全に重なっている必要はなく、例えば平面視したときに第1柱状導体51が第2柱状導体52からずれた位置に形成されるようにしてもよい。
【0027】
なお、第2柱状導体52の高さは例えば10〜100μm、第2柱状導体52の直径は例えば10〜500μm、第2柱状導体52のピッチは例えば10〜500μmとすることができる。また、第2柱状導体52の平面形状は、円形状に限定されず、例えば矩形状や五角形、六角形等の多角形としてもよい。第2柱状導体52の配置形態は、マトリクス状に限定されず、例えばヘキサゴナル状に配置するようにしてもよい。
【0028】
樹脂層42は、金属層41(金属箔50、第1及び第2柱状導体51,52)の全面を被覆するように形成されている。この樹脂層42は、当該樹脂層42の下面42Aに配置される半導体素子20と、当該樹脂層42の上面42Bに配置される放熱板30とを接合する機能を有するとともに、半導体素子20と放熱板30との熱膨張係数の差に起因する応力を緩和する機能を果たす。これらの機能を果たす樹脂層42の材料としては、弾性率の低い(例えば、1〜300MPa程度)絶縁性樹脂を用いることができる。具体的には、樹脂層42の材料としては、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などを用いることができる。樹脂層42の厚さは、例えば10〜100μm程度とすることができる。
【0029】
次に、上記半導体装置1の作用について説明する。
熱伝導部材40の樹脂層42中に、厚さ方向に延在して平面方向に並んで設けられる第1及び第2柱状導体51,52を設けるようにした。このように、熱伝導性の高い第1及び第2柱状導体51,52が、熱伝導を必要とする方向である厚さ方向(積層方向)に延在される。これにより、例えば樹脂層42中に含有される金属材料の含有量が同じである場合には、金属フィラーを含有した従来の熱伝導部材140と比べて、本実施形態の熱伝導部材40の厚さ方向における体積分率当りの熱伝導率を高くすることができる。したがって、熱伝導部材40によれば、半導体素子20から発生した熱を効率良く放熱板30に伝導することができる。なお、熱伝導部材40の平面方向における体積分率当りの熱伝導率は、従来の熱伝導部材140のそれと比べて低くなる。しかし、半導体素子20から発生した熱を放熱板30に伝導するためには、被接合部材間(半導体素子20及び放熱板30間)、つまり厚さ方向の熱伝導性が重要となり、平面方向の熱伝導性はあまり影響を及ぼさない。このため、本実施形態の熱伝導部材40のように、第1及び第2柱状導体51,52が厚さ方向に延在され、熱伝導性に異方性がある場合には、樹脂層42中の金属材料の含有量が少ない場合であっても、高い熱伝導性を得ることができる。
【0030】
その一方で、複数の第1柱状導体51及び複数の第2柱状導体52が平面方向に並んで設けられている。これにより、熱伝導部材40では、樹脂層42が平面方向に弾性変形し易いため、被接合部材間の熱膨張係数の差に起因する平面方向の応力を緩和することができる。詳述すると、図2に示すように、熱伝導部材40を介して半導体素子20と放熱板30とを接合したときの接合温度(図2(a)参照)から温度が低くなると、図2(b)に示すように、熱膨張係数の大きい放熱板30が半導体素子20よりも大きく平面方向に縮もうとする。このとき、低弾性率の樹脂層42が半導体素子20の熱膨張係数と放熱板30の熱膨張係数の差を吸収するように弾性変形される。ここで、本実施形態の熱伝導部材40では、第1柱状導体51及び第2柱状導体52が樹脂層42の平面方向の弾性変形を制限しないため、半導体素子20の熱膨張係数と放熱板30の熱膨張係数の差を樹脂層42の弾性変形により好適に吸収させることができる。これにより、半導体素子20及び放熱板30の熱膨張係数の差に起因して発生する平面方向の応力を好適に緩和することができる。すなわち、熱伝導部材40の応力緩和能を、従来の熱伝導部材140の応力緩和能よりも高くすることができる。なお、樹脂層42中には、平面方向に延在される金属箔50が含有されている。但し、この金属箔50の熱膨張係数(ここでは、17ppm/℃)は、半導体素子20の熱膨張係数(ここでは、3ppm/℃)と放熱板30の熱膨張係数(ここでは、23ppm/℃)との中間の値である。このため、この金属箔50の平面方向の変形量(収縮量)は、半導体素子20における変形量と放熱板30における変形量との中間の量になる。そして、この金属箔50は、樹脂層42の厚さ方向の中間位置に設けられている。このため、金属箔50が樹脂層42と同様に収縮されるため、上記樹脂層42の弾性変形は金属箔50によっても制限されない。
【0031】
同様に、上記接合温度(図2(a)参照)から温度が高くなると、図2(c)に示すように、熱膨張係数の大きい放熱板30が半導体素子20よりも大きく平面方向に膨張しようとする。このとき、低弾性率の樹脂層42が半導体素子20の熱膨張係数と放熱板30の熱膨張係数の差を吸収するように弾性変形される。ここでも、上記同様に、第1柱状導体51及び第2柱状導体52が樹脂層42の平面方向の弾性変形を制限しないため、半導体素子20の熱膨張係数と放熱板30の熱膨張係数の差を樹脂層42の弾性変形により好適に吸収させることができる。これにより、半導体素子20及び放熱板30の熱膨張係数の差に起因して発生する平面方向の応力を好適に緩和することができる。
【0032】
さらに、全ての第1及び第2柱状導体51,52と接続され、平面方向に延在された金属箔50を設けるようにした。これにより、第1及び第2柱状導体51,52に伝導された熱を平面方向に分散させることができるため、均熱性を向上させることができる。
【0033】
次に、上記半導体装置1の製造方法について説明する。ここでは、まず、熱伝導部材40の製造方法について説明する。
まず、熱伝導部材40を製造するためには、図3(a)に示すように、金属箔50を用意する。ここでは、金属箔50として銅箔を用意する。
【0034】
次に、図3(b)に示す工程では、金属箔50の両面に絶縁層61,62を形成する。絶縁層61は金属箔50の第1主面50Aを覆うように形成され、絶縁層62は金属箔50の第2主面50Bを覆うように形成される。これら絶縁層61,62の材料としては、感光性を有する材料、及び感光性を有しない材料のいずれも用いることができる。絶縁層61,62としては、ドライフィルムレジストや液状レジスト等を用いることができる。例えば絶縁層61,62としてドライフィルムレジストを用いる場合には、金属箔50の両面にドライフィルムを熱圧着によりラミネートすることで上記絶縁層61,62を形成する。また、絶縁層61,62として液状レジストを用いる場合には、スクリーン印刷法、スプレーコート法やロールコート法などの方法により上記絶縁層61,62を形成することができる。なお、これら絶縁層61,62の厚さは、例えば10〜100μm程度である。
【0035】
続いて、図3(c)に示す工程では、金属箔50の第1主面50Aが露出されるように絶縁層61の所定箇所に開口部61Xを形成するとともに、金属箔50の第2主面50Bが露出されるように絶縁層62の所定箇所に開口部62Xを形成する。開口部61Xは、第1柱状導体51の形成領域に対応する部分の金属箔50の第1主面50Aを露出するように形成される。また、開口部62Xは、第2柱状導体52の形成領域に対応する部分の金属箔50の第2主面50Bを露出するように形成される。なお、これら開口部61X,62Xは、例えばレーザ加工法によって形成することができる。また、絶縁層61,62の材料として感光性を有する材料を用いる場合には、金属箔50の両面に形成された絶縁層61,62を露光・現像によりパターニングして、上記開口部61X,62Xを形成することができる。
【0036】
次に、図3(d)に示す工程では、上記絶縁層61,62をめっきマスクとして、金属箔50の第1主面50A及び第2主面50Bに、その金属箔50をめっき給電層に利用する電解めっきを施す。具体的には、絶縁層61の開口部61Xから露出された金属箔50の第1主面50Aに電解めっき(ここでは、電解銅めっき)を施すことにより、第1主面50A上に立設された第1柱状導体51を形成する。また、絶縁層62の開口部62Xから露出された金属箔50の第2主面50Bに電解銅めっきを施すことにより、第2主面50B上に立設された第2柱状導体52を形成する。なお、第1及び第2柱状導体51,52は、例えばペースト充填などの方法によって形成するようにしてもよい。
【0037】
続いて、図3(e)に示す工程では、めっきマスクとして用いた絶縁層61,62を除去する。例えば絶縁層61,62の材料としてドライフィルムレジストを用いた場合には、水酸化ナトリウムやモノエタノールアミン系などのアルカリ性の薬液を用いて絶縁層61,62を除去することができる。一方、絶縁層61,62の材料としてノボラック系樹脂やエポキシ系樹脂等の液状レジストを用いた場合には、アセトンやアルコール等を用いて絶縁層61,62を除去することができる。これにより、金属箔50、第1及び第2柱状導体51,52を有する金属層41が形成される。
【0038】
次に、図4(a)に示す工程では、保護フィルム63に樹脂層42(図1参照)となるシート状の絶縁樹脂43Aが接着された構造体63Aと、保護フィルム64に樹脂層42(図1参照)となるシート状の絶縁樹脂43Bが接着された構造体64Aとを用意する。保護フィルム63,64としては、ポリエステル又はPET(ポリエチレンテレフタレート)のフィルムに薄いフッ素樹脂(ETFE)層を積層したフィルムや、ポリエステル又はPETの表面にシリコーン離型を施したフィルムなどを用いることができる。離型剤としては、シリコーン系離型剤やフッ素系離型剤を用いることができる。なお、保護フィルム63,64の離型剤の施された面が絶縁樹脂43A,43Bにそれぞれ接着されている。保護フィルム63,64の厚さは、例えば10〜50μm程度とすることができる。一方、絶縁樹脂43A,43Bの材料としては、弾性率の低い熱硬化性樹脂、例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などを用いることができる。絶縁樹脂43A,43Bは、B−ステージ状態(半硬化状態)のものが使用される。なお、絶縁樹脂43A,43Bは、同じ絶縁樹脂を用いることが好ましい。
【0039】
また、図4(a)に示す工程では、金属層41(第1柱状導体51)の下面側に構造体63Aを配置し、金属層41(第2柱状導体52)の上面側に構造体64Aを配置する。このとき、構造体63Aは、絶縁樹脂43Aが金属層41と対向するように絶縁樹脂43Aを上側に向けた状態で配置され、構造体64Aは、絶縁樹脂43Bが金属層41と対向するように絶縁樹脂43Bを下側に向けた状態で配置される。そして、金属層41を構造体63A,64Aで両面から挟み込んで熱圧着し、両構造体63A,64Aをラミネートする。この熱圧着により、図4(b)に示すように、絶縁樹脂43A,43Bによって樹脂層42が形成されるとともに、その樹脂層42中に金属層41が圧入される。これにより、金属層41が樹脂層42によって被覆された熱伝導部材40が形成される。この熱伝導部材40は、その樹脂層42の上下面が保護フィルム63,64によって被覆されている。但し、本工程では、シート状の絶縁樹脂43A,43B、つまり樹脂層42の熱硬化は行わず、B−ステージ状態のままにしておく。なお、絶縁樹脂43A,43Bを真空雰囲気中でラミネートすることにより、絶縁樹脂43A,43B中へのボイドの巻き込みを抑制することができる。
【0040】
次に、半導体装置1の製造方法について説明する。
まず、図5(a)に示すように、半導体素子20が実装された配線基板10を用意する。ここでは、図示を省略して詳細な説明を割愛するが、配線基板10は例えば以下のような方法で製造される。すなわち、接続用パッド12を有する配線基板10を形成し、その配線基板10の上面に形成された接続用パッド12に半導体素子20の接続端子21をフリップチップ接合する。次に、配線基板10と半導体素子20との間にアンダーフィル樹脂22を形成する。
【0041】
続いて、図5(a)に示す工程では、配線基板10の上面の外周縁に沿って枠状に熱硬化型の接合部材35を塗布する。また、図4(b)に示した熱伝導部材40に接着された保護フィルム63を剥離して、樹脂層42の下面42Aを露出させ、その樹脂層42の下面42Aが半導体素子20の上面20Aに当接するように、熱伝導部材40を半導体素子20上に配置する。次いで、熱伝導部材40に接着された保護フィルム64を剥離する。その後、配線基板10及び半導体素子20上に、鍛造加工や機械切削などにより製造された放熱板30を配置する。具体的には、放熱板30の側壁部32の底面が接合部材35に対向するように、且つ放熱板30の凹部33の内底面33Aが樹脂層42の上面42Bに対向するように、配線基板10及び半導体素子20上に放熱板30を配置する。
【0042】
次に、上述のように配置した配線基板10、放熱板30及び熱伝導部材40を加熱及び加圧することにより、図5(b)に示すように、放熱板30の側壁部32を接合部材35に当接し、放熱板30の内底面33Aを熱伝導部材40に当接すると共に、接合部材35及び樹脂層42を硬化する。これにより、放熱板30が接合部材35を介して配線基板10に接合されるとともに、放熱板30が熱伝導部材40を介して半導体素子20に接合される。例えば、半導体素子20の実装された配線基板10、熱伝導部材40及び放熱板30を重ね合わせ、一対のプレス熱盤の間に配置し、真空プレスなどにより上下両面から加熱及び加圧することによって、図5(b)に示すような一体構造を得ることができる。その後、はんだボール13を形成することにより、図1に示した半導体装置1が製造される。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)熱伝導部材40の樹脂層42中に、厚さ方向に延在して平面方向に並んで設けられる第1及び第2柱状導体51,52を設けるようにした。これにより、熱伝導部材40の厚さ方向における体積分率当りの熱伝導率を高くすることができる。その一方で、第1柱状導体51及び第2柱状導体52が樹脂層42の平面方向の弾性変形を制限しないため、半導体素子20の熱膨張係数と放熱板30の熱膨張係数の差を樹脂層42の弾性変形により好適に吸収させることができ、被接合部材間の熱膨張係数の差に起因する平面方向の応力を好適に緩和することができる。すなわち、熱伝導部材40の応力緩和能を高くすることができる。
【0044】
(2)全ての第1及び第2柱状導体51,52と接続され、平面方向に延在された金属箔50を設けるようにした。これにより、第1及び第2柱状導体51,52に伝導された熱を平面方向に分散させることができるため、均熱性を向上させることができる。
【0045】
(3)さらに、金属箔50を設けたことにより、第1及び第2柱状導体51,52が金属箔50に接続された状態で熱伝導部材40の製造を行うことができる。
(第1実施形態の変形例)
なお、上記第1実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
【0046】
・上記第1実施形態では、第1柱状導体51と第2柱状導体52とが、金属箔50を対称軸として略線対称となるように形成するようにした。すなわち、第1柱状導体51の高さと第2柱状導体52の高さとが略同じになるようにした。これに限らず、被接合部材(上記第1実施形態では、半導体素子20及び放熱板30)の熱膨張係数と金属層41の熱膨張係数との差に応じて、第1柱状導体51の高さと第2柱状導体52の高さの比を適宜調整するようにしてもよい。具体的には、第1柱状導体51の高さと第2柱状導体52の高さの比を、一方の被接合部材の熱膨張係数と金属層41の熱膨張係数の差分と、他方の被接合部材の熱膨張係数と金属層41の熱膨張係数の差分との比と同じになるように調整するようにしてもよい。この点について以下に詳述する。例えば、シリコンからなる半導体素子20の熱膨張係数が約3ppm/℃、アルミニウムからなる放熱板30の熱膨張係数が約23ppm/℃、銅からなる金属層41の熱膨張係数が約17ppm/℃である場合には、半導体素子20と金属層41との熱膨張係数の差が14ppm/℃、放熱板30と金属層41との熱膨張係数差が6ppm/℃となる。この場合に、第1柱状導体51の高さH1と第2柱状導体52の高さH2の比H1:H2が6:14に近づくように、第1及び第2柱状導体51,52の高さを調整する。このように、金属箔50の位置を、その金属箔50の熱膨張係数に近い熱膨張係数を持つ被接合部材に物理的に近づくように偏らせて配置するようにしてもよい。これにより、金属箔50の変形量を、その金属箔50の設けられた平面位置における樹脂層42の弾性変形量に近づけることができる。このため、樹脂層42の弾性変形が金属箔50によって制限されることを好適に抑制することができ、熱伝導部材40の応力緩和能をより向上させることができる。
【0047】
・上記第1実施形態では、第1柱状導体51と第2柱状導体52とが、金属箔50を対称軸として略線対称となるように形成するようにした。これに限らず、例えば図6に示されるように、第1柱状導体53と第2柱状導体54とを、金属箔50の両面で互い違いに配置されるように形成するようにしてもよい。具体的には、隣接する第1柱状導体53の中間に形成される凹部に対応して第2柱状導体54が形成され、隣接する第2柱状導体54の中間に形成される凹部に対応して第1柱状導体53が形成される。
【0048】
ここで、図6に示した熱伝導部材40Aの金属層41Aの製造方法を以下に説明する。
まず、図7(a)に示すように、金属箔50の第1主面50Aに開口部65Xを有する絶縁層65を形成するとともに、金属箔50の第2主面50Bに開口部66Xを有する絶縁層66を形成する。開口部65Xは、第1柱状導体53の形成領域に対応する部分の金属箔50の第1主面50Aを露出するように形成される。また、開口部66Xは、第2柱状導体54の形成領域に対応する部分の金属箔50の第2主面50Bを露出するように形成される。これら開口部65X,66Xは、例えばレーザ加工法やフォトリソグラフィ法によって形成することができる。このとき、開口部65Xと開口部66Xとは、平面視したときに互いにずれた位置に形成されるため、開口部65Xと開口部66Xとが重なるように位置合わせする必要がない、つまり高精度な位置合わせが必要ない。
【0049】
次に、図7(b)に示す工程では、上記絶縁層65,66をめっきマスクとして、金属箔50の第1主面50A及び第2主面50Bに、その金属箔50をめっき給電層に利用する電解めっきを施す。これにより、金属箔50の第1主面50A上に第1柱状導体53が形成され、金属箔50の第2主面50B上に第2柱状導体54が形成される。次いで、図7(c)に示す工程では、めっきマスクとして用いた絶縁層65,66を除去する。これにより、金属箔50、第1及び第2柱状導体53,54を有する金属層41Aが形成される。
【0050】
・上記第1実施形態では、樹脂層42となる絶縁樹脂43A,43Bの材料としてシート状の絶縁樹脂を用いるようにしたが、絶縁樹脂43A,43Bの材料として液状やペースト状の絶縁樹脂を用いるようにしてもよい。
【0051】
・上記第1実施形態では、配線基板10等とは別に製造された熱伝導部材40、つまり保護フィルム63,64によって被覆された熱伝導部材40を利用して半導体装置1を製造するようにした。これに限らず、熱伝導部材の製造と、その熱伝導部材を介する半導体素子20と放熱板30との接合とを同時に行うようにしてもよい。詳述すると、例えば図8に示されるように、半導体素子20の接続端子21が接続用パッド12にフリップチップ接合された配線基板10と、放熱板30と、図3(a)〜(e)の製造方法により製造された金属層41とを用意する。続いて、金属層41の金属箔50の上下面それぞれの中央部付近に、印刷法等によりペースト状の絶縁樹脂44A,44Bを山状に盛り上がるように形成する。次いで、配線基板10上に形成された接合部材35と放熱板30の側壁部32とが対向するように、且つ放熱板30の凹部33の内底面33Aが半導体素子20と対向するように両者を位置合わせし、両者間に上記絶縁樹脂44A,44Bの形成された金属層41を介在させて重ね合わせる。具体的には、金属箔50の第1主面50Aに形成された絶縁樹脂44Aと半導体素子20の上面20Aとが接するように、且つ金属箔50の第2主面50Bに形成された絶縁樹脂44Bと放熱板30の凹部33の内底面33Aとが接するように、配線基板10と放熱板30とを重ね合わせる。次に、このように重ね合わされた構造体を、下側のプレス熱盤67と上側のプレス熱盤68との間に配置し、真空プレス等により上下両面から加熱・加圧(ホットプレス)する。すると、図9に示すように、半硬化状態の絶縁樹脂44A,44Bは、半導体素子20の上面20A及び放熱板30の内底面33Aによってそれぞれ押圧されて平面方向に広がる。このように広がる絶縁樹脂44A,44Bによって金属層41が覆われる。さらに、上記加熱・加圧処理により、絶縁樹脂44A,44Bが熱硬化されることで樹脂層42Cが形成され、その樹脂層42Cによって金属層41が被覆された熱伝導部材40Bが形成されるとともに、その熱伝導部材40Bを介して半導体素子20と放熱板30とが接合される。また、上記加熱・加圧処理により、接合部材35が熱硬化され、その硬化された接合部材35を介して配線基板10と放熱板30とが接合される。
【0052】
このような方法によれば、熱伝導部材40Bの製造と、その熱伝導部材40Bを介する半導体素子20と放熱板30との接合とを同時に行うことができる。さらに、上記方法によれば、上記加熱・加圧処理において、絶縁樹脂44A,44Bを平面方向に均一に広げることができるため、絶縁樹脂44A,44B(樹脂層42C)へのボイドの巻き込みを好適に抑制することができる。
【0053】
(第2実施形態)
以下、第2実施形態について、図10及び図11に従って説明する。この実施形態の熱伝導部材の構造が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。なお、先の図1〜図9に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0054】
熱伝導部材40Cの製造方法について図10に従って説明する。
まず、熱伝導部材40Cを製造するためには、図10(a)に示すように、金属箔50を用意する。ここでは、金属箔50として銅箔を用意する。
【0055】
次に、図10(b)に示す工程では、金属箔50の第1主面50A(図10(b)では、上面)に、その第1主面50Aを覆うように絶縁層69を形成する。絶縁層69の材料としては、感光性を有する材料、及び感光性を有しない材料のいずれも用いることができる。絶縁層69としては、ドライフィルムレジストや液状レジスト等を用いることができる。絶縁層69の厚さは、例えば10〜100μm程度である。続いて、図10(c)に示す工程では、金属箔50の第1主面50Aが露出されるように、絶縁層69の所定箇所に開口部69Xを形成する。
【0056】
次に、図10(d)に示す工程では、上記絶縁層69をめっきマスクとして、金属箔50の第1主面50Aに、その金属箔50をめっき給電層に利用する電解めっきを施す。具体的には、絶縁層69の開口部69Xから露出された金属箔50の第1主面50Aに電解めっき(ここでは、電解銅めっき)を施すことにより、第1主面50A上に立設された柱状導体55を形成する。この柱状導体55は、金属箔50の第1主面50Aから上方に向かって延在されるように形成される。柱状導体55は、例えば平面視円形状に形成されている。複数の柱状導体55は、金属箔50の第1主面50A上に平面方向(図10(e)では横方向)に並んで設けられている。具体的には、柱状導体55は、上記第1実施形態の第1柱状導体51及び第2柱状導体52と同様に、金属箔50の第1主面50A上に平面視マトリクス状に配列されている。ここで、柱状導体55の高さは例えば10〜100μm程度、柱状導体55の直径は例えば10〜500μm程度、柱状導体55のピッチは例えば10〜500μm程度とすることができる。
【0057】
続いて、図10(e)に示す工程では、めっきマスクとして用いた絶縁層69を除去する。これにより、金属箔50と、金属箔50の第1主面50A上に立設された柱状導体55とを有する金属層41Cが形成される。具体的には、金属層41Cは、薄膜状の金属箔50の第1主面50A上に、その第1主面50Aから鉛直方向に向かって延びる多数の柱状導体55が形成され、断面視で略櫛歯状に形成されたものである。
【0058】
次に、図10(f)に示す工程では、金属箔50の第1主面50Aの一端側にペースト状の絶縁樹脂46Aを配置し、スキージ70によって絶縁樹脂46Aを横方向に移動させながら塗布することによって、隣接する柱状導体55間に形成される凹部55X内に絶縁樹脂46Aを選択的に埋め込む。なお、絶縁樹脂46Aの材料としては、弾性率の低い熱硬化性樹脂、例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などを用いることができる。絶縁樹脂46Aは、B−ステージ状態(半硬化状態)のものが使用される。また、スキージ法以外の印刷法(スクリーン印刷法など)によって絶縁樹脂46Aを塗布するようにしてもよい。
【0059】
その後、絶縁樹脂46Aを熱処理して硬化させる。これにより、図10(e)に示すように、金属箔50の第1主面50A及び柱状導体55の側面を被覆する絶縁層46が形成される。
【0060】
続いて、図10(e)に示す工程では、保護フィルム71を有する第1接着剤層47によって金属箔50の第2主面50Bを被覆し、保護フィルム72を有する第2接着剤層48によって絶縁層46の主面(図10(g)では上面)を被覆する。このとき、絶縁層46と第1及び第2接着剤層47,48とによって、金属層41Cを被覆する樹脂層49が構成される。なお、第1及び第2接着剤層47,48の材料としては、弾性率の低い熱硬化性樹脂、例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などを用いることができる。第1及び第2接着剤層47,48は、B−ステージ状態(半硬化状態)のものが使用される。なお、第1及び第2接着剤層47,48を被覆する方法としては、例えば金属層41C上に絶縁層46が形成された構造体の両面から樹脂フィルムをラミネートする方法を用いることができる。
【0061】
以上の製造工程により、保護フィルム71,72によって被覆された熱伝導部材40Cを製造することができる。すなわち、金属箔50と柱状導体55とを有する金属層41Cと、金属箔50の第1主面50A及び柱状導体55の側面を被覆する絶縁層46と、金属箔50の第2主面50Bを被覆する第1接着剤層47と、絶縁層46及び柱状導体55の上面を被覆する第2接着剤層48とを有する熱伝導部材40Cを製造することができる。
【0062】
次に、図11に示す工程では、図5(a)、(b)で説明した工程と同様に、半導体素子20と放熱板30との間に上記保護フィルム71,72の剥離された熱伝導部材40Cを介在させて、配線基板10、熱伝導部材40C及び放熱板30を重ね合わせる。このとき、本実施形態では、金属箔50の第2主面50Bに接する第1接着剤層47と放熱板30とが当接するように、且つ第2接着剤層48と半導体素子20とが当接するように、熱伝導部材40Cが配置される。すなわち、熱伝導部材40Cの金属箔50が、第1及び第2接着剤層47,48に挟まれた空間の中で放熱板30に最も近い位置となるように、熱伝導部材40Cが配置される。詳述すると、本実施形態では、半導体素子20がシリコンからなりその熱膨張係数が約3ppm/℃程度、放熱板30が銅からなりその熱膨張係数が約17ppm/℃である。この場合に、金属箔50の熱膨張係数(約17ppm/℃)に近い被接合部品(ここでは、放熱板30)に金属箔50を物理的に近づけるように配置する。
【0063】
そして、重ね合わせた配線基板10、熱伝導部材40C及び放熱板30を、例えば一対のプレス熱盤の間に配置し、真空プレスなどにより上下両面から加熱及び加圧することによって、図11に示すような一体構造を形成する。この加熱及び加圧により、熱伝導部材40Cの第1及び第2接着剤層47,48が熱硬化され、その熱伝導部材40Cを介して半導体素子20と放熱板30とが接合される。その後、はんだボール13を形成することにより半導体装置2が製造される。
【0064】
以上説明した実施形態によれば、第1実施形態の(1)〜(3)の効果に加えて以下の効果を奏する。
(4)金属箔50の熱膨張係数(約17ppm/℃)に近い被接合部品(ここでは、放熱板30)に金属箔50を物理的に近づけるように配置するようにした。これにより、温度変化に対して金属箔50が放熱板30と同様に変形(収縮又は膨張)するため、金属箔50によって絶縁層46や接着剤層47の弾性変形が制限されることを抑制することができる。さらに、金属箔50が放熱板30と同様に変形されるため、その金属箔50に接続された柱状導体55の変形が制限されることも抑制することができる、つまり柱状導体55の可動範囲を確保することができる。
【0065】
(第3実施形態)
以下、第3実施形態について、図12及び図13に従って説明する。この実施形態の熱伝導部材の構造が上記第1及び第2実施形態と異なっている。以下、第1及び第2実施形態との相違点を中心に説明する。なお、先の図1〜図11に示した部材と同一の部材にはそれぞれ同一の符号を付して示し、それら各要素についての詳細な説明は省略する。
【0066】
はじめに、熱伝導部材40Dの製造方法について図12に従って説明する。
まず、図12(a)に示す工程では、図10(a)〜図10(e)に示した工程と同様の製造工程により製造された金属層41Cを用意する。また、保護フィルム73にシート状の絶縁樹脂81Aが接着された構造体73Aを用意する。保護フィルム73としては、ポリエステル又はPETのフィルムに薄いフッ素樹脂層を積層したフィルムや、ポリエステル又はPETの表面にシリコーン離型を施したフィルムなどを用いることができる。離型剤としては、シリコーン系離型剤やフッ素系離型剤を用いることができる。なお、保護フィルム73の離型剤の施された面が絶縁樹脂81Aに接着されている。保護フィルム73の厚さは、例えば10〜50μm程度とすることができる。一方、絶縁樹脂81Aの材料としては、弾性率の低い熱硬化性樹脂、例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などを用いることができる。絶縁樹脂81Aは、B−ステージ状態(半硬化状態)のものが使用される。この絶縁樹脂81Aの厚さは、金属層41Cの柱状導体55を被覆可能な厚さ、例えば15〜110μm程度とすることができる。
【0067】
また、図12(a)に示す工程では、金属層41C(柱状導体55)の上面側に構造体73Aを配置する。このとき、構造体73Aは、絶縁樹脂81Aが金属層41Cと対向するように絶縁樹脂81Aを下側に向けた状態で配置される。そして、金属箔50の第1主面50Aにシート状の構造体73Aを熱圧着によりラミネートする。このときの熱圧着により、図12(b)に示すように、絶縁樹脂81A中に柱状導体55が圧入される。これにより、金属箔50の第1主面50A及び柱状導体55が絶縁樹脂81Aによって被覆される。但し、本工程では、絶縁樹脂81Aの熱硬化は行わず、B−ステージ状態のままにしておく。なお、絶縁樹脂81Aを真空雰囲気中でラミネートすることにより、絶縁樹脂81A中へのボイドの巻き込みを抑制することができる。
【0068】
次に、図12(c)に示す工程では、図12(b)に示した金属箔50を除去する。例えば金属箔50として銅箔を用いる場合には、塩化第二鉄水溶液、塩化第二銅水溶液、過硫酸アンモニウム水溶液等を用いたウェットエッチングにより、金属箔50の除去を行うことができる。
【0069】
続いて、図12(d)に示す工程では、保護フィルム74にシート状の絶縁樹脂81Bが接着された構造体74Aを用意する。保護フィルム74としては、ポリエステル又はPETのフィルムに薄いフッ素樹脂層を積層したフィルムや、ポリエステル又はPETの表面にシリコーン離型を施したフィルムなどを用いることができる。離型剤としては、シリコーン系離型剤やフッ素系離型剤を用いることができる。なお、保護フィルム74の離型剤の施された面が絶縁樹脂81Bに接着されている。保護フィルム74の厚さは、例えば10〜50μm程度とすることができる。一方、絶縁樹脂81Bの材料としては、絶縁樹脂81Aと同じ材料を用いることができる。すなわち、絶縁樹脂81Bの材料としては、弾性率の低い熱硬化性樹脂、例えばシリコーン樹脂やエポキシ樹脂などを用いることができる。絶縁樹脂81Bは、B−ステージ状態(半硬化状態)のものが使用される。この絶縁樹脂81Bの厚さは、柱状導体55の下面55Aを被覆可能な厚さ、例えば1〜10μm程度とすることができる。
【0070】
また、図12(d)に示す工程では、絶縁樹脂81Aの下面側に構造体74Aを配置する。このとき、構造体74Aは、絶縁樹脂81Bが絶縁樹脂81Aと対向するように絶縁樹脂81Bを上側に向けた状態で配置される。そして、絶縁樹脂81Aにシート状の構造体74Aを熱圧着によりラミネートする。この熱圧着により、図12(e)に示すように、絶縁樹脂81A,81Bによって樹脂層81が形成されるとともに、その樹脂層81中に柱状導体が圧入される。但し、本工程では、樹脂層81(絶縁樹脂81A,81B)の熱硬化は行わず、B−ステージ状態のままにしておく。
【0071】
以上の製造工程により、保護フィルム73,74によって被覆された熱伝導部材40Dを製造することができる。すなわち、樹脂層81の厚さ方向に延在し、厚さ方向に平行に設けられた複数の柱状導体55と、その柱状導体55を被覆する樹脂層81とを有する熱伝導部材40Dを製造することができる。
【0072】
次に、図13に示す工程では、図5(a)、(b)で説明した工程と同様に、半導体素子20と放熱板30との間に上記保護フィルム73,74の剥離された熱伝導部材40Dを介在させて、配線基板10、熱伝導部材40D及び放熱板30を重ね合わせる。そして、重ね合わせた配線基板10、熱伝導部材40D及び放熱板30を、例えば一対のプレス熱盤の間に配置し、真空プレスなどにより上下両面から加熱及び加圧することによって、図13に示すような一体構造を形成する。この加熱及び加圧により、熱伝導部材40Dの樹脂層81が熱硬化され、その熱伝導部材40Dを介して半導体素子20と放熱板30とが接合される。その後、はんだボール13を形成することにより半導体装置3が製造される。
【0073】
以上説明した実施形態によれば、第1実施形態の(1)と同様の効果を奏する。
(他の実施形態)
なお、上記各実施形態は、これを適宜変更した以下の態様にて実施することもできる。
【0074】
・上記第1実施形態の熱伝導部材40は、樹脂層42によって金属層41を覆うように形成した。これに限らず、少なくとも、金属箔50の第1主面50A及び第2主面50B、第1柱状導体51の側面及び第2柱状導体52の側面が樹脂層42に被覆される構造であればよい。例えば図14(a)に示されるように、第1柱状導体51の下面51Aが樹脂層42の下面42Aから露出し、第2柱状導体52の上面52Aが樹脂層42の上面42Bから露出するようにしてもよい。このとき、第1柱状導体51の下面51Aと樹脂層42の下面42Aとが面一になるように、且つ第2柱状導体52の上面52Aと樹脂層42の上面42Bとが面一になるように、熱伝導部材40Eを形成するようにしてもよい。この場合には、第1及び第2柱状導体51,52が被接合部材(半導体素子20や放熱板30)に直接接触されるため、熱伝導性をより高めることができる。
【0075】
・図14(b)に示される熱伝導部材40Fのように、上記第1実施形態の熱伝導部材40の樹脂層42を、被接合部材の間に設けられる前の工程で完全に硬化された絶縁層42Dに変更してもよい。この場合には、絶縁層42Dの上下両面に第1及び第2接着剤層47,48を設ける。これら絶縁層42Dと第1及び第2接着剤層47,48によって、金属層41を被覆する樹脂層が構成される。
【0076】
・図14(c)に示される熱伝導部材40Gのように、上記図14(a)に示した熱伝導部材40Eの樹脂層42を、被接合部材の間に設けられる前の工程で完全に硬化された絶縁層42Eに変更してもよい。この場合には、絶縁層42Eの上下両面に第1及び第2接着剤層47,48を設ける。これら絶縁層42Eと第1及び第2接着剤層47,48によって、金属層41を被覆する樹脂層が構成される。
【0077】
・上記第2実施形態の熱伝導部材40Cでは、完全に硬化された絶縁層46と第1及び第2接着剤層47,48とからなる樹脂層49によって、金属層41Cを被覆するようにした。これに限らず、図15に示される熱伝導部材40Hのように、半硬化状態の樹脂層49Aによって金属層41Cを被覆するようにしてもよい。この場合に、図15に示すように柱状導体55の下面55Aを樹脂層49Aの下面49Bから露出させるようにしてもよい。また、樹脂層49Aによって金属層41Cの全面を被覆するようにしてもよい。
【0078】
・図16に示される熱伝導部材40Iのように、上記第2実施形態の熱伝導部材40Cから金属箔50を省略するようにしてもよい。すなわち、熱伝導部材40Iは、柱状導体55と、その柱状導体55の側面を被覆する絶縁層46と、絶縁層46の上下両面を被覆する第1及び第2接着剤層47,48とを有している。この熱伝導部材40Iでは、絶縁層46と第1及び第2接着剤層47,48によって柱状導体55の全面が被覆されている。
【0079】
・上記図1〜図16では、柱状導体51〜55の形状がストレート形状となっているが、例えば柱状導体51〜55の形状を、金属箔50に接続された基端から先端になるにつれて径が大きくなるテーパ形状となるようにしてもよい。このように柱状導体51〜55がテーパ形状に形成されると、金属箔50と柱状導体51〜55との接触面積が小さくなるため、温度変化が起きたときに柱状導体51〜55が変形し易くなる。
【0080】
・上記各実施形態では、BGA型の配線基板に具体化したが、例えばPGA(Pin Grid Array)型の配線基板やLGA(Land Grid Array)型の配線基板に具体化してもよい。
・上記各実施形態の放熱板30の上方に放熱フィン、ヒートパイプやベーパチャンバなどの各種冷却・放熱手段を設けるようにしてもよい。さらに、この場合に、放熱板30と冷却・放熱手段との間や、各冷却・放熱手段の間に上記熱伝導部材40,40A〜40Iを設けるようにしてもよい。
【0081】
・上記各実施形態では、熱伝導部材40,40C,40Dを適用した半導体装置1,2,3に具体化した。これに限らず、第1の熱膨張係数を有する第1部材と第2の熱膨張係数を有する第2部材とが熱伝導部材によって接合され、且つ熱的にも接続される接合構造(構造体)であれば、上記熱伝導部材40,40C,40Dを適用することができる。例えば図17に示されるように、静電チャック4に熱伝導部材40を適用するようにしてもよい。
【0082】
静電チャック4は、基本的には、ベースプレート91と、接着剤層92と、その接着剤層92を介してベースプレート91に接合されるフィルム状のヒータ93と、このヒータ93上に熱伝導部材40を介して接合された静電チャック(ESC)基板94とを有している。
【0083】
ベースプレート91の内部には、平面方向に並んで複数の冷却用流路95が形成されている。これら複数の冷却用流路95は、ベースプレート91内で連通している。図中矢印で示すように左側の流路95から右側の流路95に、水やガルデン等の冷却媒体を流すことにより、このベースプレート91上に接着剤層92、ヒータ93及び熱伝導部材40を介して接合されたESC基板94上に吸着保持されるウエハWの温度が所定の温度となるように調整することができる。
【0084】
このベースプレート91は、プラズマを制御するための電極として利用することができる。すなわち、ベースプレート91に所定の高周波電力(通常は複数の高周波)を給電することで、発生したプラズマ状態にあるイオン等をウエハWに衝突させるためのエネルギーを制御し、エッチング処理を効果的に行うことができる。なお、このベースプレート91は、プラズマを発生させるための電極として利用することも可能である。
【0085】
このようなベースプレート91の材料としては、導電性を有する材料を用いることができる。例えばベースプレート91の材料としては、アルミニウムや超硬合金等の金属材料や、その金属材料とセラミック材との複合材料等を用いることができる。
【0086】
接着剤層92は、主としてヒータ93とベースプレート91との間の熱伝導を良好に維持するために設けられている。すなわち、ヒータ93はESC基板94上のウエハWを加熱するために設けられているが、プラズマ等によりウエハWが急速に加熱された場合にその熱を外部に逃がす必要があり、また、ヒータ93からの熱をベースプレート91に伝導しながらウエハWを加熱する必要がある。このため、この接着剤層92の材料としては、熱伝導率の高い材料を選択するのが望ましく、例えばシリコーン樹脂などを用いることができる。なお、この接着剤層92の代わりに、ベースプレート91とヒータ93との間に熱伝導部材40を設けるようにしてもよい。また、ヒータ93の材料としては、例えばアルミニウムなどの金属を用いることができる。本例では、ヒータ93がアルミニウムからなり、そのヒータ93の熱膨張係数が約23ppm/℃になる。
【0087】
ESC基板94の内部には、図示は省略するが、所要の電極層が埋め込まれている。少なくとも、ウエハWを保持する側の吸着面の近傍の基板部分に、静電吸着用の直流電圧が印加される電極層が埋め込まれている。さらに必要に応じて、この吸着用電極層の吸着面と反対側の基板部分に、プラズマ制御用の高周波電力が給電される複数の電極層が埋め込まれていてもよい。
【0088】
ESC基板94の材料としては、絶縁性を有する材料を用いることができる。例えばESC基板94の材料としては、窒化珪素等のセラミック材、アルミナ、窒化アルミニウム、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等の有機材料を用いることができる。本例では、ESC基板94がセラミック材からなり、そのESC基板の熱膨張係数が5〜7ppm/℃程度となる。また、ESC基板94は、当該ESC基板94に吸着されるウエハWのサイズ(例えば、450mm×450mm)よりも一回り小さく形成されている。これにより、少なくとも上記吸着面の部分がプラズマに晒されないようにしている。
【0089】
ヒータ93とESC基板94との間に設けられた熱伝導部材40は、ヒータ93とESC基板94との間の熱伝導を良好に維持する機能と、ヒータ93とESC基板94とを接合する機能を有している。さらに、熱伝導部材40は、ヒータ93とESC基板94との熱膨張係数の差に起因した応力を緩和する機能を有している。このような構造体に適用される場合の熱伝導部材40(樹脂層42)の厚さは、例えば100〜220μm程度とすることができる。具体的には、金属箔50の厚さは例えば5〜20μm程度、柱状導体51,52の厚さは例えば40〜100μm程度、柱状導体51,52の直径は例えば10〜500μm程度、柱状導体51,52のピッチは例えば10〜500μm程度とすることができる。熱伝導部材40は、ESC基板94と略同じサイズに形成されている。このように、熱伝導部材40は、図17に示した静電チャック4のような大型の装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0090】
1,2,3 半導体装置
20 半導体素子(第1部材)
30 放熱板(第2部材)
40,40A〜40I 熱伝導部材
41,41A,41C 金属層
42,42C,43,49,49A,81 樹脂層
42D,42E,46 絶縁層(第1絶縁層)
47 第1接着剤層(第2絶縁層)
48 第2接着剤層(第2絶縁層)
50 金属箔
51,53 第1柱状導体
52,54 第2柱状導体
55 柱状導体
61,62,65,66,69 絶縁層
61X,62X,65X,66X,69X 開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属箔と、
厚さ方向に延在し、前記金属箔の第1主面及び第2主面のうち少なくとも一方の主面上に、前記厚さ方向と直交する平面方向に並んで設けられた複数の柱状導体と、
少なくとも、前記金属箔の第1主面及び第2主面と前記柱状導体の側面とを被覆する樹脂層と、
を有することを特徴とする熱伝導部材。
【請求項2】
前記柱状導体は、
前記金属箔の第1主面上に前記平面方向に並んで設けられた複数の第1柱状導体と、
前記金属箔の第2主面上に前記平面方向に並んで設けられた複数の第2柱状導体と、
を有することを特徴とする請求項1に記載の熱伝導部材。
【請求項3】
前記熱伝導部材は、第1の熱膨張係数を有する第1部材と、前記第1の熱膨張係数とは異なる第2の熱膨張係数を有する第2部材とを接合するものであって、
前記第1柱状導体の高さと前記第2柱状導体の高さとの比が、前記金属箔の熱膨張係数と前記第1の熱膨張係数及び前記第2の熱膨張係数との差に応じて設定されることを特徴とする請求項2に記載の熱伝導部材。
【請求項4】
前記樹脂層は、未硬化状態の絶縁樹脂であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱伝導部材。
【請求項5】
前記柱状導体は、前記金属箔の第1主面上に形成され、
前記樹脂層は、
少なくとも、前記金属箔の第1主面及び前記柱状導体の側面を被覆する第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の第1主面及び第2主面を被覆する第2絶縁層からなり、
前記第2絶縁層は、未硬化状態の絶縁樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の熱伝導部材。
【請求項6】
厚さ方向に延在し、前記厚さ方向と直交する平面方向に並んで設けられた複数の柱状導体と、
前記柱状導体の全面を被覆する樹脂層と、
前記樹脂層の表面は、未硬化状態の絶縁樹脂からなることを特徴とする熱伝導部材。
【請求項7】
金属箔の第1主面及び第2主面の少なくとも一方の主面上に、該主面を被覆する絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層に、該絶縁層の平面方向に並んで設けられた複数の開口部を形成する工程と、
前記金属箔上に立設する柱状導体を形成する工程と、
前記絶縁層を除去する工程と、
少なくとも、前記金属箔の第1主面及び第2主面と前記柱状導体の側面とを被覆する樹脂層を形成する工程と、
を有することを特徴とする熱伝導部材の製造方法。
【請求項8】
前記樹脂層を形成する工程は、
前記金属箔の第1主面及び第2主面と前記柱状導体の少なくとも側面を、未硬化状態の絶縁樹脂からなる前記樹脂層によって被覆すること特徴とする請求項7に記載の熱伝導部材の製造方法。
【請求項9】
前記絶縁層を形成する工程は、前記金属箔の第1主面に前記絶縁層を形成し、
前記樹脂層を形成する工程は、
前記金属箔の第1主面及び該第1主面上に形成された前記柱状導体の側面を、未硬化状態の絶縁樹脂によって被覆する工程と、
前記未硬化状態の絶縁樹脂を完全に硬化する工程と、
前記硬化後の絶縁樹脂の主面及び前記金属箔の第2主面を、未硬化状態の絶縁樹脂からなる接着剤層によって被覆する工程と、
を有することを特徴とする請求項7に記載の熱伝導部材の製造方法。
【請求項10】
第1の熱膨張係数を有する第1部材と、
前記第1の熱膨張係数と異なる第2の熱膨張係数を有する第2部材と、
前記第1部材と前記第2部材との間に介在し、前記第1部材と前記第2部材とを熱的に接続する熱伝導部材と、を有する接合構造であって、
前記熱伝導部材は、
金属箔と、前記第1部材と前記第2部材の積層方向に延在し、前記金属箔の第1主面及び第2主面の少なくとも一方の主面上に前記積層方向と直交する平面方向に並んで設けられた複数の柱状導体とを有する金属層と、
少なくとも、前記金属箔の第1主面及び第2主面と前記柱状導体の側面とを被覆する樹脂層と、
前記第1部材と前記第2部材が前記熱伝導部材の表面に露出される前記樹脂層に当接して、前記熱伝導部材を介して前記第1部材と前記第2部材とが接合されることを特徴とする接合構造。
【請求項11】
前記柱状導体は、
前記金属箔の第1主面上に前記平面方向に並んで設けられた複数の第1柱状導体と、
前記金属箔の第2主面上に前記平面方向に並んで設けられた複数の第2柱状導体と、を有し、
前記第1柱状導体の高さと前記第2柱状導体の高さとの比が、前記金属層の熱膨張係数と前記第1の熱膨張係数及び前記第2の熱膨張係数との差に応じて設定されることを特徴とする請求項10に記載の接合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−77598(P2013−77598A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214946(P2011−214946)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】