説明

熱処理したウッドを適用した対称構造のウッドフローリング及びその製造方法

【課題】本発明は熱処理したウッドを上層及び下層に適用した対称構造のウッドフローリング及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】紫外線硬化型または熱硬化型表面処理層からなる表面層と、ナチュラルウッド、耐水合板、MDF、HDF、パーチクルボード、樹脂木粉混合ボードなどのような木質系ボードとからなる中間基材層と、基材層を中心に上下部に対称に積層される熱処理ウッド層で構成され、適切な規格に裁断した後T&G(Tongue and Groove)形態に加工された完製品形態を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱処理したウッドを上層及び下層に適用した対称構造のウッドフローリング及びその製造方法に係り、高温で熱処理した厚さ2mm以上の単板を基材層の上下部に対称に積層することによってバランスを取り、環境変化による変形の問題を完璧に解決した対称構造のウッドフローリングに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、上層の厚さが2mm未満のウッド板は合板床と称し、2mm以上のウッド板はナチュラルウッド床と通称する。一般のナチュラルウッド床は2mm以上の表面材と5ないし7mmの合板やストリップ(strip)を基材にして構成される。合板床が幅寸法75、92mm、長さ寸法900mmに仕様が制限されている一方、ナチュラルウッド床は幅寸法65ないし210mm、長さ寸法は360ないし2、25mmで多様な仕様で製造されている。また、表面強化のためにWPC(Wood Plastic Composite)含浸処理を施す製品もある。
【0003】
ところが、薄厚の模様木を使った合板床とは違って、2mm以上の単板を使ったナチュラルウッド床の場合、水分条件の変化による寸法安定性と撓み安定性(Warping)に劣って韓国固有のオンドル文化に脆弱点を露出している。
【0004】
また、市中に流通しているナチュラルウッド床は上部に2mm以上の単板を、下部には合板やストラップ(床の幅寸法に比べて相対的に小さい寸法の角材を表面材の木目方向と垂直に接着)状の基材を含む上下非対称の構造によって、全体的な構造のバランスがとれなくて合板床に比べて製品の基本物性に劣るという短所がある。
【0005】
日本特開第1994-158842号には基材合板の溝にヒータを設けた木質床暖房パネルが開示されているが、基材層を中心に非対称構造である。
【0006】
日本特開第2005-161624号にはトラックの床板として使用される木質の複合板が開示されているが、熱処理したウッド層を使用しなくて寸法安定性に不十分である。
【0007】
アメリカ特許公開2005/0153150号にはコンテーナ床用として使用される竹ボードが開示されているが、熱処理したウッド層を使用しなくて寸法安定性に不十分である。
【0008】
日本特開第2003-251616号には炭化木質繊維断熱材が開示されているが、床材ではなく外壁または床に使われる断燃材に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】日本特開第1994-158842号
【特許文献2】日本特開第2005-161624号
【特許文献3】アメリカ特許公開2005/0153150号
【特許文献4】日本特開第2003-251616号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は前述した従来の技術の問題点を解決するために案出されたもので、その目的は上層と下層には熱処理ウッドを使用することによって水分と熱による変化率に優れて既存のナチュラルウッド床に比べて寸法安定性を改善することができ、下層の構成を上層と同じ材料で仕上げて熱を湿気による撓みを解決することができ、特に対称構造の安定性を与えることによって、韓国のオンドル文化に適するように設計されたウッドフローリングを提供するところにある。
【0011】
本発明の他の目的は、熱処理を通じた材色(ウッドカラー)の高級化によって感性イメージを高めることのできるウッドフローリングを提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は前述した目的を達成するために、基材層と該基材層の上部及び下部に対称をなして積層される熱処理ウッド層を含むウッドフローリングを提供する。
【0013】
本発明は熱処理したウッドを基材層の上下部に対称に構成することによって、寸法安定性を画期的に改善すると同時に、熱処理を通じたウッドカラーの高級化を達成することを特徴とする。
【0014】
本発明において熱処理ウッド層は150ないし230℃の温度下で熱処理した単板であることが望ましい。
【0015】
ウッドを構成する化学的成分は、セルロース(Cellulose)、ヘミセルロース(Hemicelluloses)、リグニン(Lignin)、抽出物とに大別される。
【0016】
このような化学的成分のうちヘミセルロースは150℃以上の温度で熱分解が発生してウッドの化学的、物理的性質が変わる。また、セルロースの熱分解は240ないし350℃で起こるようになるが、セルロースの分解はウッドの深刻な強度低下を引き起こす。
【0017】
この熱処理過程中、水分吸着点の減少によって収縮、膨張率が安定的に維持され、生物学的耐久性が改善され、ウッドカラーが濃くなり、ウッド内の抽出物が移動し、ウッドが軽くなると、平衡含水率が減り、断熱性能がアップする。
【0018】
本発明において適用しようとするウッドフローリングの望ましい形態は上部熱処理ウッド層の厚さが2mm以上のナチュラルウッド床である。
【0019】
本発明において基材層はナチュラルウッド、耐水合板、MDF(Medium Density Fiberboard:中密度繊維板)、HDF(High Density Fiberboard:高密度繊維板)、パーチクルボード、樹脂木粉混合ボードの中から選ばれる1種以上の木質系ボードとからなる。
【0020】
本発明のウッドフローリングは、上から表面処理層、熱処理ウッド層、基材層、熱処理ウッド層とからなる。
【0021】
本発明のウッドフロリーングに多様な機能性を与えるため、表面処理層、熱処理ウッド層、基材層のうち一つ以上の層に炭、黄土、銀、麦飯石,ゲルマニウム、磁鉄鋼、玉、抗菌剤、防虫剤の中から選ばれる1種以上の機能性物質;エポキシ、フェノール、アクリル、メラミン、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレートの中から選ばれる1種以上の硬化樹脂;炭酸カルシウム、滑石、酸化チタン、シリカー、ガラス粉末、二酸化ケイ素の中から選ばれる1種以上の充填材;及び/またはホスホン酸エステル、ハロゲン炭化水素、酸化アンチモン、アルミニウムヒドロキシ、リン酸化合物、ジシアンジアミドの中から選ばれる1種以上の難燃剤を添加することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は床材の上層及び下層に同じ厚さの単板を適用し、中間基材層としてナチュラルウッド、耐水合板、MDF、HDF、パーチクルボード、樹脂木粉混合ボードなどのような木質系ボードを適用した3層構造を通じて、上下部対称構造にてバランスをとるように積層し、一定した温度と圧力で一体化することによって環境変化による変形の問題を解決することができる。
【0023】
また、高温で熱処理した厚さ2mm以上の単板を上下層に適用することによって熱や湿気による変形を完璧に解決して、いずれの環境下でも使用可能であり、T&G加工を通じて床からの屈曲による製品間の段差を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明に係る対称構造のウッドフローリングの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付した図面に基づき本発明を詳述する。
【0026】
図1は本発明に係る対称構造のウッドフローリングの断面図であって、上から表面処理層10、熱処理ウッド層20、基材層30、熱処理ウッド層20とからなる。
【0027】
表面処理層10は通常の紫外線硬化型または熱硬化型表面処理層とからなる。
【0028】
熱処理ウッド層20は高温で熱処理して寸法安定化を導くウッド層であって、ウッドを熱処理すれば、ウッドの含水率が減ることによって寸法安定性が向上し、またウッドが黒くて濃く変わって高級品になる。
【0029】
熱処理ウッド層20は150ないし230℃の温度下で熱処理した2mm以上の単板で構成されることが望ましく、完全な対称構造のために上層と下層の両方とも、同じ材料及び同じ厚さで構成するのが望ましい。単板としては一般のウッド類を使用することができる。
【0030】
基材層30はナチュラルウッド, 耐水合板、MDF、HDF、パーチクルボード、樹脂木粉混合ボードなどの木質系ボードよりなる。
【0031】
本発明に係るウッドフローリングに多様な機能性を与えるため、表面処理層10、熱処理ウッド層20、基材層30のうち少なくとも一つの層に炭、黄土、銀、麦飯石, ゲルマニウム、磁鉄鋼,玉、抗菌剤、防虫剤などの機能性物質を添加して遠赤外線放射機能、陰イオン発散機能、抗菌機能、防虫機能など健康に役に立つ機能を与えることができる。また、エポキシ、フェノール、アクリル、メラミン、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレートなどの硬化樹脂を添加して製品の耐久性、耐摩耗性、耐水性などの物性を改善することができ、炭酸カルシウム、滑石、酸化チタン、シリカー、ガラス粉末、二酸化ケイ素などの充填材を添加してオンドル効果、熱伝導向上などの機能を提供することができ、ホスホン酸エステル、ハロゲン炭化水素、酸化アンチモン、アルミニウムヒドロキシ、リン酸化合物、ジシアミドなどの難燃剤をミドなどの難燃剤を添加して難燃機能を付することができる。
【0032】
熱処理ウッド層を含むウッドフローリングの製造のために、製材後多量の単板が得られる厚さの角材形態に裁断して熱処理原材料を用意する。
【0033】
熱処理ウッド層に使用可能な闊葉樹種としては、オーク(Oak)、バーチ(Birch)、ウォルナット(Walnut)、チェリー(Cherry)、アッシュ(Ash), 韓国産針葉樹種としてはラーチ(Larch)であって含水率5ないし10%のものを使用することができる。
【0034】
生材をそのまま熱処理に使用可能であるが、必要に応じて予め乾燥されておいた方が良策である。また、角材の4面を鉋掛けで仕上げて熱処理後良質の表面状態を導くことができる。
【0035】
熱処理過程には条件に応じて12時間ないし24時間かかる。
【0036】
熱処理過程は、乾燥、高温処理、冷却とに大きく3段階に分けて見られる。一番目の段階として乾燥過程は高温乾燥とも言われるが、ウッド内含水率をほぼ0%に近く下げる過程である。内部の割裂を防止するためにはかなりの注意を要する。初期含水率、樹種とウッド厚さに応じて乾燥段階の条件が違ってくる。
【0037】
2番目の段階は高温処理過程であって、予め設定した150ないし230℃の温度まで上昇させた後一定時間最適温度を維持させる。この際、蒸気(steam)を使って火事を予防し、ウッド内の化学的な変化を制御する。
【0038】
最後の段階は冷却段階であって、熱処理したウッドと外気の高い温度差によってウッドが割れる現象を防止すべきである。この際、熱処理したウッドを最終使用用途に応じて適正含水率のレベルに調整する必要がある。一般的な最終含水率レベルは5ないし7%になり、熱処理温度によって5ないし15時間冷却させる。
【0039】
熱処理過程に使用される樹種(闊葉樹、針葉樹)に応じて各条件(熱処理最大温度、蒸気使用程度、各段階別運用時間)は最適化可能である。
【0040】
こうして熱処理したウッドをウッドフローリングの規格に合わせて裁断し仕上げて上層及び下層に使用し、基材層と共に各層を一定した温度及び圧力で一体化してウッドフローリングを形成する。
【実施例1】
【0041】
上から熱処理ウッド層20、基材層30、熱処理ウッド層20を圧着によって対称構造に一体化した後、表面処理層10を形成し、T&G形態に裁断して熱処理ウッド層を有する対称構造のウッドフローリングを製造した。
【0042】
この際、上層と下層に適用する熱処理ウッド層20としては、180ないし200℃で熱処理して厚さが約3.0mm、含水率が5ないし7%のものを使用したし、基材層30としては厚さ4.0mm、含水率5%のフィランド産バーチ(Birch)合板を使用したし、接着剤は水性エマルジョンビニルウレタン系を主成分にして硬化剤を10%まで混合して使用したし、常温圧着可能な常温硬化型樹脂を使用した。
【0043】
製造工程を具体的に説明すれば、各層を積層した後プレスで一体化させるが、この際常温条件下で圧力は12kgf/cm2にし、加圧時間は60分で施して一体化した。一体化された表面層をサンディングした後下塗、中塗の順に塗装した後、実際製品サイズが幅70mm、長さ590mmになるようにテノーナ(Tenoner)を用いて裁断し、側面にT&G加工(Tongue and Groove)を経て、最後に表面上塗で塗装し包装して、完成品を製造した。
【実施例2】
【0044】
前記実施例1において、基材層30をビルマ産チークコアボード(Teak Core Board)を積層して製造した。以降の製造工程は実施例1と同様に製造した。
【比較例1】
【0045】
実施例1と同様な構造の熱処理していないナチュラルウッド床
【比較例2】
【0046】
市販中の一般のナチュラルウッド床
【試験例】
【0047】
前記実施例に基づき製造した本発明の熱処理したウッドを上層及び下層に適用した対称構造のウッドフローリングの物性を同じ構造の未処理ナチュラルウッド床と既存に流通されていたナチュラルウッド床材の物性と比較したし、その結果表1から確認できるように、実施例において製造したウッドフローリングの寸法安定性と撓み安定性が比較例のナチュラルウッド床より優れた。
【0048】
ここで、高温条件の場合80℃乾燥機で6時間乾燥させ、浸漬条件の場合、常温水で6時間浸漬した後、幅及び長さ方向の寸法と撓み程度(Warping)を各々バーニアカリパス (vernier calipers)と厚さゲージで測定した。
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によりオンドル文化への適用であるという形で設計された韓国型ナチュラルウッド床材が提供される。
【符号の説明】
【0050】
10:表面処理層
20:熱処理ウッド層
30:基材層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材層の上部または下部に熱処理ウッド層を備えてなる、ウッドフローリング。
【請求項2】
前記熱処理ウッド層が、前記基材層の上部及び下部に積層され対称構造を呈することを特徴とする、請求項1に記載のウッドフローリング。
【請求項3】
前記熱処理ウッド層が、150ないし230℃の温度で熱処理した単板であることを特徴とする、請求項1に記載のウッドフローリング。
【請求項4】
上部熱処理ウッド層の厚さが、2mm以上のナチュラルウッド床であることを特徴とする、請求項1に記載のウッドフローリング。
【請求項5】
前記基材層が、ナチュラルウッド、耐水合板、MDF(Medium Density Fiberboard)、HDF(High Density Fiberboard)、パーチクルボード、樹脂木粉混合ボードの中から選ばれる1種以上の木質系ボードよりなることを特徴とする、請求項1に記載のウッドフローリング。
【請求項6】
上から、表面処理層、熱処理ウッド層、基材層、熱処理ウッド層よりなることを特徴とする、請求項1に記載のウッドフローリング。
【請求項7】
表面処理層、熱処理ウッド層、基材層のうち一つ以上の層が、炭、黄土、銀、麦飯石, ゲルマニウム、磁鉄鋼, 玉、抗菌剤、防虫剤の中から選ばれる1種以上の機能性物質を含むことを特徴とする、請求項6に記載のウッドフローリング。
【請求項8】
表面処理層、熱処理ウッド層、基材層のうち一つ以上の層が、エポキシ、フェノール、アクリル、メラミン、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレートの中から選ばれる1種以上の硬化樹脂を含むことを特徴とする、請求項6に記載のウッドフローリング。
【請求項9】
表面処理層、熱処理ウッド層、基材層のうち一つ以上の層が、炭酸カルシウム, 滑石、酸化チタン、シリカー、ガラス粉末、二酸化ケイ素の中から選ばれる1種以上の充填材を含むことを特徴とする、請求項6に記載のウッドフローリング。
【請求項10】
表面処理層、熱処理ウッド層、基材層のうち一つ以上の層が、ホスホン酸エステル、ハロゲン炭化水素、酸化アンチモン、アルミニウムヒドロキシ、リン酸化合物、ジシアンジアミドの中から選ばれる1種以上の難燃剤を含むことを特徴とする、請求項6に記載のウッドフローリング。

【図1】
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【公表番号】特表2010−504866(P2010−504866A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530243(P2009−530243)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【国際出願番号】PCT/KR2007/001024
【国際公開番号】WO2008/038869
【国際公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】