説明

熱処理中の被加工物を支持するシステムおよび方法

非平面上面を有する支持板と、支持システムとを含む、熱処理中の被加工物を支持するための装置。支持システムは、被加工物の熱処理中、被加工物の初期形状の下面が支持板の非平面上面の上に不均一な間隔で支持されるように、被加工物を支持板の上に支持するように構成され、前記不均一な間隔は、被加工物の外周の下の縁部隙間と、被加工物の中心軸のところの中央部隙間とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理に関し、特に、熱処理中の被加工物を支持するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの用途で被加工物の熱処理を行う。例えば、マイクロプロセッサなどの半導体チップの製造において、被加工物は、通常、焼きなまし又は他の熱処理を目的として熱処理チャンバ内で支持される半導体ウェーハを含む。共通所有の米国特許出願第11/018,388号(公開US2005/0133167号。参照により本明細書に組み込むものとする)では、このような半導体ウェーハの焼きなましのための熱処理技術の例が説明されている。その中で、ウェーハはまず中間温度まで予熱され、その後、上面すなわちデバイス面が急速に焼きなまし温度まで加熱される。初期予熱段階は、ウェーハを通じての熱伝導時間よりも大幅にゆっくりした速度で行われ、アーク灯または他の照射装置でウェーハの裏面すなわち基板面を照射して、例えば、毎秒400℃未満の温度変化速度でウェーハを加熱することによりこれを達成することができる。次の表面加熱段階はウェーハを通じての熱伝導時間よりも短時間に行われ、デバイス面だけが最終焼きなまし温度にまで加熱されて、ウェーハの大部分はこれより低い、中間温度に近い温度のままとなる。このような表面加熱は、デバイス面をフラッシュランプまたはフラッシュランプの列からの高出力照射フラッシュに露光することにより達成される。フラッシュは、例えば、1ミリ秒など、比較的短い時間だけ継続する。次に、ウェーハの低温部分がヒートシンクとして働き、デバイス面の急速な冷却が容易になる。
【0003】
この焼きなまし法は、ウェーハのデバイス面を急速に加熱してウェーハの大部分よりも相当に高い温度にするというもので、デバイス面を、ウェーハの他の部分よりも高い率で熱的に膨張させる傾向がある。デバイス面温度とウェーハの大部分の温度との温度差の大きさにより、これは、「熱湾曲」をひき起こす傾向がある。これにより通常は平面のウェーハそれ自身が、熱で変形した形状になってしまう。デバイス面の加熱段階の強度と速度により、熱で変形した形状は、ウェーハの中央がその端部領域に比べて急速に上昇する傾向があることから、ドーム状の特質を有することがある。熱湾曲により、被加工物の外周部分または縁(例えば、直径30cmのウェーハの外側の2cmか4cm)が下方向に鋭く巻くこともあり、そうして、熱で変形した形状も、フリスビー(商標)飛行円盤に似たソーサー型の特質を有することがある。実際には、当該熱サイクルの物理的パラメータによって異なるものの、一部の用途では後者の被加工物外周での巻き込み効果は、前者の被加工物全体のドーム状の湾曲よりも顕著となる傾向があることがわかった。熱による変形形状は、ウェーハの応力構成が低減されたことを示しており、デバイス側とウェーハの大部分との間での温度勾配の結果としての熱応力を低下させるため、このような熱に誘発される動きを厳密に防止することは望ましくない。
【0004】
ウェーハのデバイス面の加熱速度が急速である(例えば、1ミリ秒のフラッシュが光る間など、ウェーハ内の典型的な熱伝導時間よりずっと急速に)ため、ウェーハの変形が急速に生じ、その縁部が急に下がる傾向がみられるほどである。ウェーハが縁近くで従来の支持ピンに支えられている場合、ウェーハの熱湾曲により、支持ピンには大きな下方向の力がかかり、ピンとウェーハの両方を損傷または破壊する潜在的可能性がある。このような力により、ウェーハが支持ピンより上方向に垂直に飛び出すこともあり、ウェーハが落ちてきてピンにぶつかる際にウェーハにさらに損傷を与える結果となることがある。ウェーハがもっと半径方向に沿って内側にある支持ピンに支えられていた場合、ウェーハの縁部は急速に下方向へ曲がり、ウェーハがその上に支持されている支持板にぶつかって、ウェーハを損傷または破損する潜在的可能性がある。さらに、このような熱湾曲が急に生じるために、ウェーハの様々な領域に伝わる初期速度により、ウェーハが平衡を保つ最小応力形状を超えてしまい、急に発振または振動することで応力が高まり、ウェーハを損傷または破損する潜在的可能性が生じることになる傾向がある。
【0005】
上記米国特許出願公開第US2005/0133167号には、とりわけ、熱に誘発された被加工物の動きを抑えるための方法及び装置が開示されている。上記方法の1つでは、減衰部材が、被加工物から離れた位置に配置され、被加工物の動きの勢いをそぐための減衰力をかける構成になっている。特に例示的実施形態では、減衰部材は石英板を含み、被加工物は半導体ウェーハを含み、石英板は、ウェーハの初期位置または休止位置から、石英板とウェーハとの間のガス圧力が熱に誘発された被加工物の動きに対抗できる程度に短い距離だけ離れた位置にある。例えば、石英板とウェーハは約1ミリメートルの距離しか離れていない位置にあってもよい。このような場合、照射フラッシュによりウェーハの中央領域が急速に石英板から浮き、これによりウェーハと板との間の隙間にガス圧力の低い領域を作り出す。それ故、ウェーハの上の高い周囲圧力とウェーハの下の隙間の低い圧力との間に圧力の差が作り出され、これが、ウェーハの浮きを抑えようとする傾向がある。逆に、ウェーハの中央領域が下へ戻り、平衡位置を越えてしまう場合、これによりウェーハと板との間の隙間の圧力がウェーハの上の周囲圧力よりも高くなり、ウェーハが発振または振動するとき、その圧力差が継続的にウェーハの動きに対抗する。それ故、ウェーハと減衰部材との間の損傷をひき起こす潜在的可能性のある物理的な接触を必要とすることなく、ウェーハの動きおよび振動を減衰させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第11/018,388号
【特許文献2】米国特許出願公開第US2005/0133167号
【特許文献3】同時係属米国特許出願第10/742575号
【特許文献4】米国特許出願第US2004/0178553号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、ウェーハの損傷または破損の尤度をさらに低減するには、ウェーハを熱で変形させてその内部の熱応力を低減させながら、熱に誘発される動きおよび振動の緩和をさらに改善することが望ましいと認識した。
【0008】
さらに、本発明者は、また、特定の熱処理装置で行われる連続的な熱サイクルの反復性または一貫性に対する「第1のウェーハ」効果およびその衝撃の重要性も認めた。この点について、制振板とウェーハとの間隔が狭いこと(例:1mm)により、制振板とウェーハとの間の圧力を利用して熱に誘発されるウェーハの動きおよび振動を抑える、US2005/0133167号に開示するものに類似の熱処理システムでは、板とウェーハとの間の熱伝導が、間隔をもっと広くしているシステムの場合よりも、相当に重要である。このような装置で第1のウェーハの熱処理を開始する前には、石英板は当初、低温であり、その周囲と熱平衡状態にある。熱処理が開始されると、石英板は熱くなるが、通常、均一には熱くならない。むしろ、1つには板とウェーハの両方の縁部効果により、板に熱勾配が生じ、板の中央領域が最も高温となり、その外側縁部に向けて半径方向に沿って外向きに移動するに従って、徐々に温度が低くなる。板は最初のサイクル全体を通じてウェーハよりも温度が低く、板がサイクルを何度も繰返して熱くなっても、ウェーハの熱サイクルの開始を除いて、すべてを通じてウェーハよりも低温となる。ウェーハと板との間の熱伝導は両者間の温度差に比例し、両者間の距離または間隙に逆比例する。それ故、板とウェーハとの間の間隔が均一であっても、熱いウェーハと低温の板との間の温度差が中央よりも外側領域で大きければ、板は、ウェーハの中心部からよりも、ウェーハの外側領域から、さらに熱エネルギーを伝導的に奪う。これはウェーハ自身の望ましくない熱勾配の一因となり、ウェーハに熱応力および潜在的な応力による損傷をひき起こすことがある。この効果は、ウェーハが支持板から遠く離される従来のシステムでは重要性が低い(この場合、板とウェーハの間では放射伝達よりも伝導の方が重要性が低くなる)かもしれないが、板とウェーハとの間隔を近くして(例:1mm)両者の間の圧力を使って熱により誘発されるウェーハの動きおよび振動を抑えようとするシステムでは非常に重要になる場合がある。後者の種類のシステムでは、ウェーハと板との間の間隔が狭いことから、ウェーハと板との間の総熱伝達に関して、熱伝導が、放射伝達と同等か、または放射伝達よりも大きくなる場合がある。従って、このような間隔の狭いシステムでは、板の不均一な温度分布に由来するウェーハからの不均一な伝導熱損失は、非常に大きな熱勾配を生じる傾向があり、これに対応して熱応力も大きくなる。こうした望ましくない効果は、通常、多数の熱サイクルに渡って繰返される傾向があり、それにより、板が最終的に熱平衡に至るまで、多数の連続するウェーハをこのような熱応力および潜在的な損傷にさらすことになる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の例示的実施形態によれば、被加工物の熱処理中に被加工物を支持するための装置が提供される。この装置は、非平面上面を有する支持板と、支持システムとを含む。支持システムは、被加工物の熱処理中に、被加工物の初期形状の下面が支持板の非平面上面の上に不均一な間隔を置いて支持されるように、被加工物を支持板の上に支持するように構成され、上記不均一な間隔は、被加工物の外周の下にある縁部隙間と、被加工物の中心軸にある中央部隙間とを含む。
【0010】
都合のよいことに、支持板の非平面上面と被加工物との間にこのように不均一な間隔を置くと、被加工物の初期形状から均一の間隔を置いた平面支持板を用いる従来のシステムに比べて、多数の利点を得ることができる。例えば、被加工物が半導体ウェーハである実施形態では、非平面形状と、これに対応する被加工物の初期形状からの不均一な間隔とは、支持板に不均一な温度分布が存在すると予想されるとき、被加工物全体にわたって熱損失率の場所によるばらつきを最小限にし、それにより「第1のウェーハ」効果に取り組むように構成することができる。代替的にまたは追加的に、非平面形状は、被加工物が予想される熱変形形状に変形する際の被加工物と支持板との間の接触を制御し、それにより被加工物の物理的な損傷または破損を防止するように構成することができる。代替的にまたは追加的に、上面を、被加工物の予想される熱変形形状との間に、被加工物と板との間の圧力が熱に誘発される被加工物の動きに対抗できるくらいに小さな距離を置き、それにより、被加工物を熱で変形させて内部応力を低減させながら、熱に誘発される被加工物の振動を減衰させ、それ故、さらに被加工物の損傷の尤度を低減するように構成することができる。
【0011】
同様に、このような実施形態は、非平面支持体を使用する従来のシステムに比べて重要な利点をもたらすことができる。例えば、最近発表された方法では、ウェーハの外周端部を環状の段に載せ、ウェーハの中央領域は環状の段に囲まれた凹状のくぼみの上に支持することにより、半導体ウェーハを支持するという意味である。しかし、フラッシュ加熱中にウェーハを直接、剛性の環状段の上に載せておくと、破損または損傷をひき起こす可能性がある。何故なら、初期熱湾曲により、ウェーハが非常に大きな下向きの力を、剛性の環状段に支えられている外周部分にかけることになるためである。結果として、ウェーハは、特にフラッシュの開始後の最初の数百マイクロ秒の間、過度の熱応力にさらされることになる。ウェーハは、熱的に変形することができるようにして内部応力を低減させるため、垂直に飛び上がることすらあり、ウェーハが自ら飛び上がって改めて着地する時に、破損または損傷のリスクが高まる。
【0012】
都合のよいことに、縁部隙間の存在により、被加工物の外周と支持板との間の接触を制御して、ウェーハがまず熱的に湾曲することにより応力を削減するが、空中には飛び上がらないようにすることができる。本明細書にさらに詳しく説明されるように、このような縁部隙間の存在により、破損または損傷の尤度をさらに低減するために、衝撃に由来する衝撃波の大きさとタイミングを制御することもできる。
【0013】
縁部隙間は、約3×10−4mから約1.2×10−3mの範囲とすることができる。例えば、縁部隙間は約0.5ミリメートルとすることができる。
【0014】
中央部隙間は、約1.2×10−3mから2.5×10−3mの範囲とすることができる。
【0015】
支持システムは、複数の可撓性支持部材を含むことができる。例えば、複数の可撓性支持部材は、複数の石英ファイバを含むことができる。
【0016】
別の方法としては、支持システムは、複数の支持ピンを含むことができる。
【0017】
縁部隙間と中央部隙間は不均一であってもよい。例えば、縁部隙間は中央部隙間より大きくすることができる。より詳細な例としては、縁部隙間は中央部隙間の少なくとも2倍、または少なくとも3倍の大きさとすることができる。別の方法としては、中央部隙間を縁部隙間よりも大きくすることができる。
【0018】
不均一な間隔により、不均一な温度分布が支持板に存在すると予想される際に、被加工物全体にわたって熱損失率の場所によるばらつきを最小限にすることができる。
【0019】
不均一な間隔は、一般に、半径距離の非減少関数として変化することがある。例えば、不均一な間隔は、被加工物の中心軸からの半径距離の閾値未満でほぼ一定とすることができ、また一般に、被加工物の半径距離の閾値から半径までの半径距離の関数として増大させることができる。
【0020】
例えば、中央部隙間を約1ミリメートル以下とし、縁部隙間を約2ミリメートルより大きくすることができる。
【0021】
支持板の非平面上面を、被加工物の予想される熱変形形状を補う形状とすることができる。
【0022】
例えば、支持板の上面の少なくとも一部を、全体的にドーム状とすることができる。さらに別の例として、支持板の上面の少なくとも一部を全体的にソーサー型とすることができる。別の例では、支持板の上面の少なくとも一部を全体的に円錐台形状とすることができる。
【0023】
支持板の上面の内側領域を全体的に凹状とし、支持板の上面の外側領域を全体的に凸状とすることができる。
【0024】
支持板の上面を中心軸から被加工物の外周へ、外向き且つ下向きに延びることができる。
【0025】
支持板の上面は、被加工物の熱処理中に被加工物外周がぶつかるように構成されている接触部を含むことができる。接触部は、被加工物の外周が接触部にぶつかった反作用で、半径方向に沿って内側へ向かう構成要素を有する反応力を被加工物の外周に加えるように構成することができる。接触部は上面の隣接する内側部分に対して角度をつけることができる。
【0026】
支持板の上面は、被加工物の予想される熱変形形状から、上面と被加工物の予想される熱変形形状との間のガス圧力が熱に誘発された被加工物の動きに対抗できるくらいに短い距離だけ離して配置するように構成することができる。例えば、支持板の上面は、被加工物の予想される熱変形形状から、1ミリメートル程度の間隔を置くように構成することができる。
【0027】
支持板は、被加工物が支持板の上に支持されている場合、上面と被加工物との間にできる隙間のガス流に抵抗するように構成されているガス流障壁を含むことができる。
【0028】
ガス流障壁は、乱流発生装置とすることができる。例えば、乱流発生装置は支持板の上面に画定される環状流路を含むことができる。
【0029】
支持板は、支持板の上面の少なくとも一部を含む着脱可能部分を含むことができる。例えば、支持板が下部および上部を含み、着脱可能部分が上部を含むことができる。
【0030】
装置はさらに、異なる形状の上面を有する第2の上部を含み、支持板の上面の形状を変えるために第2の上部を上部と交換可能とすることができる。
【0031】
装置はさらに、それぞれ独自の形状の上面を有する複数の上部を含み、複数の上部のそれぞれを、支持板の上面の形状を変えるために交換可能とすることができる。
【0032】
着脱可能部分は、着脱可能端部と着脱可能中央部とを含むことができる。
【0033】
縁部隙間と中央部隙間は調整可能である。
【0034】
支持板は、支持板を通って被加工物に伝達される電磁放射に対して、所望のレンズ効果を与える構成のレンズ部を含むことができる。
【0035】
装置は、装置が被加工物の初期形状を支持するように構成されている平面よりも上に配置された第2の板をさらに含むことができる。
【0036】
装置は、被加工物の動きを熱により誘発するように構成されている熱処理システムをさらに含むことができる。例えば、熱処理システムは、被加工物を中間温度まで予熱する構成とし、被加工物の表面領域のみを中間温度よりも高い所望の温度まで、被加工物の熱伝導時間よりも短時間で加熱するように構成することができる。
【0037】
本発明を説明する別の実施形態によれば、被加工物の熱処理中、被加工物を支持するための装置が提供される。この装置は、非平面上面を有する支持板を含む。装置はさらに、被加工物の熱処理の間、被加工物の初期形状の下面が支持板の非平面上面の上に不均一な間隔を置いて支持されるように被加工物を支持板の上に支持する手段を含み、不均一な間隔は、被加工物の外周の下の縁部隙間と、被加工物の中心軸のところの中央部隙間とを含む。
【0038】
本発明を説明する別の実施形態によれば、被加工物の熱処理中に、被加工物の初期形状の下面が支持板の非平面上面の上に不均一な間隔を置いて支持されるように、支持板の非平面上面の上に被加工物を支持することを含む方法が提供され、不均一な間隔は、被加工物の外周の下にある縁部隙間と、被加工物の中心軸にある中央部隙間とを含む。
【0039】
例えば、縁部隙間は約3×10−4mから約1.2×10−3mの範囲とすることができ、中央部隙間は約1.2×10−3mから約2.5×10−3mの範囲とすることができる。
【0040】
支持には、複数の石英ファイバによる被加工物の支持を含めることができる。
【0041】
支持には、熱による被加工物の動きの誘発を含めた被加工物の熱処理の間の被加工物の支持を含めることができる。例えば、熱で誘発される被加工物の動きには、被加工物の表面領域だけを被加工物の熱伝導時間よりも短時間に所望の温度まで加熱し、それにより被加工物を初期形状から熱変形形状に変形することを含めることができる。
【0042】
不均一な間隔により、予想された不均一な温度分布が支持板に存在する場合、被加工物全体にわたって熱損失率の場所によるばらつきを最小限とすることができる。
【0043】
支持には、被加工物の熱変形形状を、上面と被加工物の熱変形形状との間のガス圧力が熱で誘発された被加工物の動きに対抗できるだけの短い距離を置いて支持板の上面の上に支持することを含めることができる。
【0044】
本発明の他の態様および特徴は、添付の図面を参照しながら、本発明の特定の実施形態についての以下の説明を検討すれば、通常の当業者には明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0045】
本発明の実施形態を説明する図面は以下の通り。
【0046】
【図1】本発明の第1の実施形態による被加工物支持装置の中央断面図である。
【図2A】被加工物の初期形状の略断面図である。
【図2B】被加工物の1つの熱変形形状の略断面図である。
【図2C】被加工物の1つの熱変形形状の略断面図である。
【図2D】被加工物の1つの熱変形形状の略断面図である。
【図2E】被加工物の1つの熱変形形状の略断面図である。
【図3】被加工物の破損と熱サイクルの時間とのグラフである。
【図4】本発明の第1の実施形態による被加工物支持装置の中央断面図である。
【図5】本発明の第3の実施形態による被加工物支持装置の中央断面図である。
【図6】本発明の第4の実施形態による被加工物支持装置の中央断面図である。
【図7】本発明の第5の実施形態による被加工物支持装置の中央断面図である。
【図8】本発明の第6の実施形態による被加工物支持装置の中央断面図である。
【図9】本発明の第7の実施形態による被加工物支持装置の中央断面図である。
【図10】本発明の第8の実施形態による被加工物支持装置の中央断面図である。
【図11】本発明の第9の実施形態による被加工物支持装置の中央断面図である。
【図12】本発明の第10の実施形態による被加工物支持装置の中央断面図である。
【図13】本発明の第11の実施形態による被加工物支持装置の正面立面図である。
【図14】本発明の第12の実施形態による被加工物支持装置の中央断面図である。
【図15】本発明の第13の実施形態による被加工物支持装置の中央断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
図1を参照すると、本発明の第1の実施形態による熱処理中の被加工物を支持するための装置の全体を10に示す。装置10は、全体を14として示す非平面上面を有する支持板12と、全体を15として示す支持システムとを含む。この実施形態では、支持システム15は被加工物の熱処理中、被加工物106を支持板12の上に、被加工物106の初期形状110の下面20が支持板12の非平面上面14の上に不均一な間隔を置いて支持されるように支持するように構成されている。より詳細には、この実施形態では、不均一な間隔は、被加工物の外周の下の縁部隙間24と、被加工物の中心軸のところにある中央部隙間26とを含む。
【0048】
この実施形態では、被加工物106は半導体ウェーハを含み、支持板12は石英板を含む。より詳細には、この実施形態では、半導体ウェーハを、熱処理中、熱により被加工物の動きを誘発するような形で支持板の上に支持しようとしている。より詳細には、すでに説明したように、支持板12の上に支持されている間に、被加工物106はまず中間温度まで予熱され、その後、被加工物の上面18だけが、被加工物の熱伝導時間より短時間に、中間温度より高い所望の温度まで加熱される。すでに説明したとおり、このような熱処理により、被加工物106は初期形状110から熱により変形して予想される熱変形形状となる。
【0049】
より詳細には、図1および図2Aから図2Eを参照すると、この実施形態では、被加工物106の初期形状は、図2Aにその全体を110として示している。本実施形態では、被加工物の初期形状は円板状である。より詳細には、この実施形態では、被加工物106は直径300mmの半導体ウェーハであって、その初期形状110は平板状の円板であり、ウェーハの予想される熱変形形状を4例、図2Bから図2Eにそれぞれ示している。
【0050】
この実施形態では、図2Bから図2Eに示す4通りの予想される熱変形形状は、本発明者により予測されていた。より詳細には、そのような予測は、被加工物106に類似した直径300mmの半導体ウェーハを被加工物106と同じ熱サイクルにさらし、その変形特性を測定するためのハイスピードカメラおよび較正画像システムを用いて達成した。代替的にまたは追加的に、図2Bから図2Eに示す様々な予想される熱変形形状を、開発された有限要素モデルを使い、熱シミュレーションを用いて生成することができる。図2Bから図2Eに示す熱変形形状の詳細な知識は、本特許明細書の公開以前には当業分野において知られていなかったと信ずる。
【0051】
図2Aから図2Eを参照すると、例示としての熱サイクルは、被加工物106を中間温度に予熱し、次に被加工物106の上面18だけを中間温度よりも高い所望の温度まで加熱することを含む。後者の表面加熱ステップは、被加工物を通じての熱伝導時間よりも短い時間で行い、例えば、フラッシュランプまたはフラッシュランプの列を起動することにより達成することができる。当初、被加工物106がフラッシュランプからの照射に曝される場合、これは図2Aに示すような平板状の初期形状110である。照射フラッシュは時間t=0に開始され、継続時間は1ミリ秒程度である。
【0052】
図2Aから図2Eに示す例示としての熱サイクルは、以下の通りである。
・照射フラッシュの開始後t=0.8msまでに、被加工物106は熱により「曲がる」。すなわち、図2Bに示す第1の熱変形形状30に変形する。
・照射フラッシュの開始後t=1.5msまでに、被加工物は図2Cに示す第2の熱変形形状32に熱により変形する。
・照射フラッシュの開始後t=2.0msまでに、被加工物は図2Dに示す第3の熱変形形状34に熱により変形する。
・照射フラッシュの開始後t=2.5msまでに、被加工物は、図2Eに示す第4の熱変形形状36に熱により変形する(t=4.5msでもおおむねこの形状となる)。
【0053】
別の方法としては、別の熱サイクルではこれとは異なる熱変形形状も予想することができる。それ故、熱サイクルのパラメータの変化(例えば、照射フラッシュのパルス継続時間および強度など)により、測定され、シミュレーションされ、予想される様々な熱変形形状を得ることができる。
【0054】
図3は、破損を低減するために本発明の実施形態を利用していない例示としての熱サイクルについての、時間の経過に伴う被加工物の破損を示している。
【0055】
図2および図3を参照すると、本発明者は、被加工物の破損が大きく2つに分類される傾向があるとわかった。本発明者はこれをタイプIおよびタイプIIの破損として分類した。
【0056】
例示としての熱サイクルでは、タイプIの破損が大部分の破損の原因となっており、フラッシュ開始からt=1ミリ秒からt=1.5ミリ秒の間の、被加工物106が図2Bに示す第1の熱変形形状30から図2Cに示す第2の熱変形形状32に遷移している時に発生する傾向がある。この点について、第2の熱変形形状32では上面18の熱膨張からの応力を和らげるように突出するのではなく、むしろ被加工物の中央領域33がくぼんで、中央領域33で上面18を圧迫している。それ故、被加工物の中央領域33には、上面18の急速な熱膨張と、中央領域33の第2の熱変形形状32の曲面に由来する圧迫との両方から、相当の応力がかかる。被加工物106の外縁でここまでに生じた初期衝撃からの上面18に対する強い衝撃波が、第2の熱変形形状32になっているときの中央領域33を通って広がっていくと、タイプIの破損が生じる尤度が増す。本発明者は、例えば、引っかき傷などのウェーハの損傷があると、タイプIの破損の尤度が大幅に増大することも見出した。具体例として、ウェーハ底面の領域に損傷のあるウェーハが凹状の湾曲を経験すると熱膨張の応力が増大する。あるいは、ウェーハ底部に損傷があると、これが石英板に衝撃を与え、破損の尤度が高まる。
【0057】
タイプIIの破損は、被加工物106が図2Eに示す第4の熱変形形状36になっているときに発生する傾向があった。この形状では、被加工物106は、突出した曲面が上面18の熱膨張に由来する中央領域33への応力を緩和している第3の熱変形形状34(図2Dに示す)から、くぼんだ曲面が上面18を圧迫して熱膨張応力を増大させる第4の熱変形形状36に変化したところである。被加工物の中央領域33がこの第4の熱変形形状36である間に十分な力で支持板12にぶつかった場合、タイプIIの破損が生じる尤度が高まる。
【0058】
もう一度図1を参照すると、都合のよいことに、本実施形態では、タイプI、タイプIIの両方の破損の尤度を、縁部隙間24と中央部隙間26の選択のおかげで軽減している。こうした隙間は、本実施形態では不均一になっている。
【0059】
より詳細には、本実施形態ではタイプIの破損を低減するために、縁部隙間24は約3×10−4mから約1.2×10−3mの範囲内にある。さらに詳しく言うと、この実施形態では、縁部隙間24は、約0.5ミリメートルである。この点について、本発明者は、照射フラッシュに反応してウェーハが最初に熱により曲がったときに、こうした縁部隙間が被加工物106の外周の初期衝撃に由来する支持板12に対する衝撃波の大きさおよびタイミングを制御するのに役立つことを発見した。縁部隙間24が大きすぎると、被加工物106の外周は支持板12にまったくぶつからないかもしれない。従来の通念では、熱処理中のシリコンウェーハと他の物体との物理的接触は望ましくないとされていたが、本発明者は、熱サイクルによっては、支持板に対する被加工物の外周のこの初期衝撃を避けることによって、不都合なことに、ウェーハの全体的な変形が大きくなり、タイプIおよびタイプIIの破損の尤度が高まることに気づいた。逆に、縁部隙間が小さすぎるか、縁部隙間がまったくないと、被加工物は非常に大きな機械的応力を最初の数百マイクロ秒の間に受けることになり、被加工物が剛性面または剛性支持体に支えられていた場合、被加工物の初期熱湾曲は、被加工物をまっすぐ上に放り出してしまうほど激しくなることがあり、被加工物が飛び出してまた落ちて戻る時に損傷する有意の尤度を有する。
【0060】
従って、本実施形態では、約3×10−4mから約1.2×10−3mの範囲の縁部隙間24、またはより詳細には、約0.5ミリメートルの縁部隙間24を選択すると都合がよく、タイプIの破損の尤度が低くなる。例示としての熱サイクルについては、本発明者は、このような縁部隙間24により、被加工物106の外周が、他の場合であれば照射フラッシュにより誘発された熱湾曲速度の最高点となったはずの速度に達するいくぶん前に支持板の上面14にぶつかる結果となる傾向があることに気づいた。それ故、被加工物外周が支持板の上面に与える初期衝撃は、都合のよいことに被加工物全体の動きを減衰させ、それによりこのような衝撃がない場合に比べてタイプI、タイプIIの破損の尤度を低減する。この初期衝撃は被加工物中に衝撃波を発生させるが、この衝撃波は、衝撃発生時点までに外周が最高可能速度に達していた場合に想定されるほどは強くない。また、縁部隙間24は、結果として生じる衝撃波が、被加工物が図2Cに示す第2の熱変形形状32ではないときに被加工物の中央領域33を通るようなタイミングで必ず衝撃が生じるように選択する。それ故、タイプIの破損の尤度は大幅に低減する。別の方法としては、最適な縁部隙間は、特定の熱サイクル、被加工物および当該装置によって決まることが認められる。それ故、他の例または実施形態については、全体的な被加工物の動きを弱めること、衝撃波の苛烈さを減じること、および衝撃波のタイミングを制御することの望ましいバランスを達成するために、本明細書の教示に従って他の最適値が選択される場合がある。
【0061】
「タイプII」の破損の尤度を低減するため、本実施形態では、中央部隙間26は、約1.2×10−3mから約2.5×10−3mの範囲とする。より詳細には、この実施形態では中央部隙間26は約1.5ミリメートルとする。この点について、本発明者は、このような中央部隙間26は、例示としての熱サイクルで有利であることに気づいた。これにより、ガス圧力の減衰と、被加工物106の中央領域33と支持板12との間の接触の激しさを抑えることとの所望のバランスを達成することができるからである。上記共通所有している米国特許出願公開第2005/0133167号に詳細に説明されているように、ガス圧力の抑制には、支持板12の上面と被加工物106の下面20との間のガス圧力が熱により誘発された被加工物の動きに対抗できるくらいの短い距離だけ、被加工物を支持板から離して配置することが必要である。そして、中央部隙間26が増大するにつれて、これに関連するガス圧力抑制効果が弱まり、それにより全体的な被加工物の動きが大きくなって、破損(タイプIまたはII)の尤度が高まることになる。しかし逆に、中央部隙間26が大きくなれば、中央領域の衝撃の苛烈さまたは頻度が低くなり、それにより、少なくともそうした衝撃の結果として起こったはずの一部のタイプIIの破損は防止できる。従って、本実施形態の例示としての熱サイクルについて、本発明者は、約1.2×10−3mから約2.5×10−3mの範囲の中央部隙間26がこうした考慮すべき点のバランスを取り、全体的に破損の尤度を低減する結果となる傾向があることに気づいた。別の方法としては、最適な中央部隙間は特定の熱サイクル、被加工物および当該装置によって決まることが認められる。そこで、他の例または実施形態では、全体的な被加工物の動きをガス圧力で抑制することと、中央領域33が支持板12に与える衝撃の強さおよび頻度を低減することとの所望のバランスを達成するために、本明細書の教示に従って他の最適値が選択されることがある。
【0062】
改めて図1を参照すると、この実施形態で支持システム15は、複数の柔軟支持部材を含む。より詳細には、この実施形態では複数の柔軟支持部材は複数の石英ファイバを含む。さらにより詳細には、この実施形態では、複数の石英ファイバは、複数の石英ファイバループを含み、これは、共通所有している同時係属米国特許出願第10/742575号(公開US2004/0178553号。参照により本明細書に組み込むものとする)で、その図23および図24に関連して記載しているものに類似する。別の方法としては、支持システムは、以下の他の実施形態に関連して説明するように、複数の支持ピンを含むことができる。
【0063】
図1および図4を参照すると、本発明の第2の実施形態による熱処理中に被加工物を支持する装置は、その全体を40として図4に示している。装置40は、図1に示す装置10に類似し、全体を44として示す、非平面上面を有する支持板42を含む。装置40は、さらに、支持システム15を含み、これは、この実施形態では被加工物の初期形状の下面20が支持板42の非平面上面44の上に不均一な間隔を置いて支持されるように、被加工物の熱処理中、被加工物106を支持板42の上に支持するように構成されている。より詳細には、この実施形態では、不均一な間隔として、被加工物の外周の下に縁部隙間54があり、被加工物の中心軸のところには中央部隙間56がある。
【0064】
本実施形態では、縁部隙間54と中央部隙間56とは調整可能である。より詳細には、本実施形態で、支持板42には着脱可能な部分があり、この部分は、支持板44の上面の少なくとも一部分を含む。より詳細には、この実施形態で、着脱可能な部分には着脱可能な縁部58および着脱可能な中央部60がある。
【0065】
この実施形態では、着脱可能な縁部58には、重力またはその他、熱処理と着脱性にふさわしい手段で支持板42の上部に取り付けられる環状の石英リングが含まれる。着脱可能な縁部58は、図4に示す着脱可能な縁部58とは高さの異なる他の類似の環状石英リング(図示せず)と交換することができ、これにより、縁部隙間54を調整する。この実施形態では縁部隙間54は、被加工物の外周の下にある、支持板42の上面44と被加工物106の下面20との間の不均一な間隔のうちある一箇所の最小値として計測される。より詳細には、この実施形態では被加工物が半導体ウェーハであり、被加工物の外周は、デバイスを何も形成しない、ウェーハ外縁除外区画を含む。本実施形態では、縁部隙間54、またはより詳細には、被加工物外周の下にある不均一な間隔のうちのある一箇所での最小値は、被加工物の中心軸からr=148mm(すなわち、半径150mmの被加工物の周囲のもっとも外側から半径方向に沿って中心へ向かうと2mm内側)の位置で得られる。都合のよいことに、局地的な最小間隔r=148mmを置くことで、被加工物の外周と支持板の上面との接触は、何もデバイスを形成しない、被加工物の外縁除外区画の中か、その境界線上で発生する傾向がある。しかし、これに代えて、局地的最小間隔の半径に沿った距離および縁部隙間の測定方法は希望に応じて様々に変更することができる。
【0066】
それ故、本実施形態では、着脱可能縁部58を取外し、これをそれぞれ様々な高さの、類似の形状で着脱可能な縁部と交換することにより、縁部隙間54を調整することができる。より詳細には、この実施形態ではこのような着脱可能な縁部が10個あり、互いに交換して、縁部隙間54を3×10−4mから1.2×10−3mまで、1×10−4mきざみで変化させることができる。代替的にまたは追加的に、こうした着脱可能縁部は、接触点(被加工物の外周が支持板に衝撃を与える箇所)を単に上下に動かすのではなく、半径方向に沿って内側方向および外側方向へ動かすのに用いることもできる。
【0067】
また、この実施形態では、着脱可能な中央部60は、重力または熱処理および着脱性にふさわしい他の手段で支持板42の上部に装着されている平面石英円板を含む。着脱可能な中央部60は、取外して、図4に示す着脱可能な中央部60とは異なる様々な高さのある、他の交換可能な着脱可能平面石英円板(図示せず)と交換することができ、これにより、中央部隙間56を調整する。より詳細には、この実施形態ではこのような着脱可能な中央部60が14個あり、互いに交換していくと、中央部隙間56を1.2×10−3mから2.5×10−3mまで、1×10−4mきざみで変化させることができる。
【0068】
別の方法としては、他の実施形態では、縁部隙間および中央部隙間をもっと大きな範囲または小さな範囲で変化させることができ、変化の段階を粗くしたり細かくしたりすることもできる。あるいは、さらに別の方法として、縁部隙間と中央部隙間を、他の実施形態について以下に説明するように、ほぼすべての支持板42の上面44について別々の交換可能な上面に代えることにより変化させることができる。
【0069】
この実施形態では、着脱可能な中央部60が円板状であるため、支持板42の上面44と被加工物106の下面20との間の間隔は一定であり、円板状の中央部60全体の上にある中央部隙間60に等しい。これは、この実施形態では被加工物の中心軸(r=0)から、被加工物半径の約3分の2(r=100mm)までの部分である。支持板42の上面44は、約r=100mmから約r=125mmへ、着脱可能な中心部60の外側の境界線を越えて半径方向に沿って外側へと拡大して、支持板42の中間部分までに範囲を画定し、着脱可能な中央部60と着脱可能な縁部58との間の半径に沿った区域では、支持板の上面44と被加工物の下面20との間の中間部隙間62の範囲を画定する。この実施形態では、中間部隙間62は調整できないが、必要に応じて他の実施形態では調整可能とすることができる。この中間部を越えて半径方向に沿って外側へ、約r=125mmから約r=155mmに拡大する(被加工物の外縁をわずかに超える程度)と、支持板の上面44は着脱可能な縁部58により範囲が定まり、これにより縁部隙間54の範囲が定まる。
【0070】
都合のよいことに、このような実施形態では縁部隙間54と中央部隙間56とを調整できるため、様々な縁部隙間と中央部隙間とを経験的に試験することが容易にでき、本明細書の教示に従って、最適な縁部隙間および中央部隙間の数値を認定し、特定の熱サイクルについての被加工物の破損を最低限にすることができる。
【0071】
図5を参照すると、本発明の第3の実施形態により熱処理中の被加工物を支持するための装置の全体を100として示している。この実施形態で、装置100は、全体を104として示す非平面上面を有する支持板102と、支持システムとを含む。この実施形態では、支持システムは、被加工物106の初期形状110の下面20が支持板の非平面上面104の上に不均一な間隔を置いて支持されるように、支持板102の上に被加工物106を支持するように構成されている。この不均一な間隔には、被加工物の外周の下にある縁部隙間114と、被加工物の中心軸にある中央部隙間118とが含まれる。
【0072】
この実施形態では、被加工物106は半導体ウェーハを含み、支持板102は石英板を含む。より詳細には、この実施形態では半導体ウェーハを、熱処理されている間、被加工物の動きが熱により誘発されるような方法で支持板の上に支持しようとしている。さらにより詳細には、すでに説明したように、支持板102の上に支持されている間、被加工物106はまず中間温度まで加熱され、その後、被加工物の上面18だけが中間温度より高い所望の温度まで、被加工物の熱伝導時間より短い時間内に加熱される。すでに説明したように、このような熱処理により、被加工物106はその初期形状110から、例えば、図5の112(または図2Bから図2Eの30、32、34、36)に示す形状などの予想される熱変形形状に熱により変形する。しかし、そのほか、様々な種類の被加工物、支持板および熱処理方法を代わりに利用することができる。
【0073】
本実施形態では、上面104は、縁部隙間114が中央部隙間118より大きくなるように構成されている。より詳細には、この実施形態では、縁部隙間114は中央部隙間118の少なくとも2倍の大きさである。より詳細には、この実施形態で縁部隙間114は中央部隙間118の少なくとも3倍の大きさである。
【0074】
この実施形態では、中央部隙間118は約1ミリメートル以下である。より詳細には、この実施形態では中央部隙間118は1ミリメートルであり、縁部隙間114は3ミリメートルである。別の方法としては、上面104と被加工物106の初期形状との間の他の不均一な空間関係は、希望があれば他と置き換えることができる。
【0075】
都合のよいことに、本実施形態で上面104は、本明細書ですでに説明した「第1のウェーハ」効果、すなわち、従来のシステムでは被加工物106において望ましくないほど大きな温度勾配を生じる傾向を和らげる形状である。これを達成するためには、この実施形態では、被加工物の下面20と支持板の非平面上面104との間の不均一な間隔により、支持板102に予想される不均一な温度分布が存在するときに被加工物106全体での熱損失率の場所によるばらつきを最小限にする。
【0076】
この点について記すと、本実施形態では、被加工物106が経験する熱損失メカニズムには、放射損失並びに被加工物106と上面104との間の伝導による熱移動との両方が含まれる。被加工物が支持板から大きく離して置かれる従来システムでは、伝導による熱移動は放射による熱損失よりも大幅に少ないと思われるが、被加工物が支持板の近くに配置されている、本明細書に説明する例示的実施形態では、伝導による熱移転は、放射熱損失と肩を並べるか、場合によってはそれより大きくなる。被加工物106と上面104との間での伝導による熱移転は、被加工物と上面104との間の温度差に直接、比例し、被加工物と上面104との間の間隔には逆比例する。これとは対照的に、一次近似値として、放射熱損失の率は被加工物と上面104との間の間隔によって変化はしない(ただし、この一次近似は、被加工物の外縁部では確度が低くなる)。
【0077】
この実施形態では、支持板102で予想される不均一な温度分布には、支持板の内部または中央領域についてほぼ一定であり、中央領域から半径方向に沿っての距離が延びるにつれて低くなる温度が含まれている。本明細書にすでに説明したように、支持板102は、通常、熱処理中の被加工物106よりも温度が低く、支持板102での温度分布は、最初の熱処理サイクルでは、後に続くサイクル中よりも低温であり、より不均一であると予想される。それ故、支持板の上面が平面で、被加工物の初期形状110からの距離が一定であったなら、支持板でのこの不均一な温度分布は、予熱段階で被加工物の内側領域からよりも被加工物106の外側領域から、より大量の熱エネルギーを奪う形で熱伝導する傾向があり、これにより、被加工物106に温度勾配を作り出して、これが次に被加工物内の熱応力を生成することになる。
【0078】
こうした熱勾配および熱応力の大きさを抑えるため、本実施形態では、支持板102の上面104が、支持板の上面104と被加工物106の初期形状110の下面20との間の不均一な間隔が被加工物の中心軸からの半径距離の関数として変化するように構成されている。より詳細には、この実施形態で、不均一な間隔はおおむね半径距離の減少しない関数として変化する。より詳細には、この実施形態では、中央部隙間118は約1ミリメートル以下であり、縁部隙間114は約2ミリメートルを超える。
【0079】
この実施形態では、支持板102の上面104と被加工物106の初期形状110の下面20との間の不均一な間隔は、被加工物の中心軸からの半径距離の閾値に満たない値でほぼ一定であり、一般に半径距離の閾値から被加工物半径への半径距離の関数として増大していく。この実施形態では、半径距離の閾値は被加工物半径の約半分である。より詳細には、本実施形態で、被加工物106は半径150mmの円板状の半導体ウェーハで、上面104は円板状の平面中央領域107と非平面実質的部分108とからなる。この実施形態では、上面104の円板状の平面中央領域が、上では被加工物の中心が支持されている上面の中心(半径距離=0)から半径方向に沿って外へ向かい、半径距離の閾値にまで至る。これは、この実施形態では被加工物半径の半分、r=75mmである。やはりこの実施形態で、上面104の非平面実質的部分108は、r=75mmの円板型平面中央領域の円周上の境界線から拡張し、半径距離r=150mmに至るまで半径方向に沿って外へ延びていくにつれ、下向きに曲がる。
【0080】
本実施形態では、非平面実質的部分108と、被加工物106の初期形状との間の間隔は、r=75mmでの垂直距離1mmからr=150mmでの垂直距離3mmまでの範囲にわたる。都合のよいことに、このような間隔の関係は、本明細書にすでに説明した「第1のウェーハ」効果を和らげる傾向がある。この点について、被加工物106と支持板102との間の熱伝導率が両者間の温度差ΔTに直接比例し、両者間の間隔Sに反比例することが想起される。支持板102の予想される不均一な温度分布が予熱段階では被加工物106の温度よりも低いと予想され、上面104の温度は、円板状の中央領域から半径距離が大きくなるにつれて低くなっていくと予想されるため、上面104と被加工物106との間の温度差ΔT(r)は、半径距離rと共に一般に増大していく(rは円板状の中央領域の境界上での半径距離r=75mmから被加工物の外周での半径距離r=150mmまでの範囲にわたる)。この実施形態では、この空間的に増大していく温度差ΔT(r)が空間的に増大する熱伝導に変化するのを防止するため、上面104と被加工物106との間の垂直間隔S(r)も、上面104の実質的部分108について半径距離rと共に増大し(すなわち、r=75からr=150mmまで)、ΔT(r)/S(r)がすべてのrに対してほぼ一定値を保つようにして、これにより上面104と被加工物106との間でほぼ一定の熱伝導率を維持する。注記したように、一次近似として、被加工物106からの放射熱損失率は、上面104と被加工物106との間の垂直距離からはおおむね独立している。それ故、本実施形態では、被加工物106に熱勾配を誘発するような、支持板102での予想される不均一な温度分布の傾向が大いに低減し、これにより被加工物106での熱応力が大幅に低減することになる。
【0081】
別の方法としては、希望があれば、ΔT(r)/S(r)を一定に維持する方法を探してそれにより熱伝導損失率を一定に維持するよりも、むしろ、上面104を、被加工物106全体にわたって一定の熱損失率をより正確に維持するような形状とすることができる。例えば、間隔S(r)を制御してR(r)+ΔT(r)/S(r)を一定に維持することができる。ここでR(r)は、半径距離rの関数としての被加工物106が経験する実際の合計熱損失のより正確な予測である。必要に応じて、R(r)は「縁部効果」を考慮に入れることができる。被加工物はこの効果により外縁部で単位質量当たりの露光表面積が広がるために、輻射、伝導、対流を通じて外縁部でより多くのエネルギーを失う傾向がある。このような実施形態では、上面104は上面104と被加工物の初期形状110との間の間隔S(r)が、被加工物の内側領域で縁部で生じるよりも大きな対応する伝導熱損失をひき起こし、結果的に伝導率の分布が不均一となって、存在したはずの不均一なエネルギー損失率の分布を補償することになり、これにより被加工物全体についてほぼ均一な合計熱損失率が得られる。
【0082】
図2および図5を参照すると、本実施形態では中央部隙間118が比較的小さい(1mm)ため、被加工物106が図2Eに示す第4の熱変形形状36を取っている場合、被加工物106の中央領域33が支持板102の上面104に衝撃を与える可能性が高まることになる。しかし、中央部隙間118が同様に小さいことから、上記共通所有している米国特許公開US2005/0133167号に詳細に説明されているように、上述の「第1のウェーハ」効果に対する補償が強化され、また、被加工物と支持板との間のガス圧力により被加工物の動きのガス圧力による減衰が強化されることになる。従って、後者の利益は本実施形態において衝撃のリスクよりも重要であるとみなされるが、これとは異なる熱サイクルを利用する別の実施形態では、被加工物106の中央領域33と支持板102との間での衝撃がより強烈である潜在的可能性があり、両者のバランスは同じではないかもしれない。
【0083】
本実施形態では、平面ではなく、被加工物の初期形状110から不均一な間隔を取るように構成されている実質的部分108は、上面のうち、被加工物面積の最も外側の6分の1が上に支持されている部分を含んでいる。より広い範囲で言うと、この実施形態では上面104の実質的部分108は、上面のうち、被加工物面積の最も外側の5分の1が上に支持されている部分を含んでいる。さらに範囲を広げて言うと、この実施形態では、実質的部分108は、上面のうち、被加工物面積の最も外側の4分の1が上に支持されている部分を含んでいる。もっと広げると、この実施形態では、実質的部分108は、上面のうち、被加工物面積の最も外側の3分の1が上に支持されている部分を含んでいる。さらに広げると、この実施形態では、実質的部分108は、上面のうち、被加工物面積の最も外側の2分の1が上に支持されている部分を含んでいる。もっと広げると、この実施形態では、実質的部分108は、上面のうち、被加工物面積の最も外側の3分の2が上に支持されている部分を含んでいる。もっと範囲を広げると、この実施形態では、実質的部分108は、上面のうち、被加工物面積の最も外側の4分の3が上に支持されている部分を含んでいる。この点について、本実施形態では、非平面実質的部分108が、被加工物の中心軸からの半径距離がr=75mmの位置から、被加工物の外側半径、すなわち中心軸からr=150mmの位置に至っていることが想起されるであろう。それ故、被加工物106の半径の外側の2分の1が非平面実質的部分108の上に支持されるとき、被加工物106の表面積の4分の3が非平面実質的部分108の上に支持される。
【0084】
別の方法としては、非平面実質的部分108に含まれる上面104はもっと多くても少なくてもよく、別の非平面形状または構成も含むことができる。
【0085】
都合のよいことに、この実施形態では、支持板102の上面104は被加工物106の予想される熱変形形状112を補足する形状である。さらに具体的には、この実施形態では支持板の上面104の少なくとも一部はおおむねフリスビー型、すなわちソーサーの形をしている。さらに詳しく言えば、この実施形態では、被加工物の中心軸(r=0)から被加工物の外周の下(r=150mm)まで延びる部分の上面104は、おおむねソーサーの形である。この点については、被加工物106の上面18が被加工物の熱伝導時間未満の短時間で所望の温度まで加熱されるとき、被加工物の大部分はこれより低い中間温度のままであるが、被加工物の上面18が被加工物の大部分に比べて大きく熱膨張することから、図4に示す予想熱変形形状112に変形することになる。この実施形態では、上面104の形状のため、最初に予想熱変形形状112に熱で変形する際、被加工物106の外周は上面104にぶつからない。被加工物がひっかかれたり他の損傷を受けたりした場合、引っかき傷によりタイプIの破損の尤度が増大する傾向があるため、こうした接触がなければ、被加工物106が残っていく尤度が改善されることになるだろう。しかし、逆に、ひっかかれたり他の損傷を受けたりしていない場合、被加工物が最初に湾曲して熱変形形状になっていく際の被加工物106と上面104との間の衝撃が制御されることが望ましい。こうした接触により、被加工物全体の動きが減り、これにより被加工物106のタイプIとタイプIIの破損の尤度が低くなるからである。
【0086】
この実施形態では、被加工物106は、支持システムにより支持板102の上に支持されている。この実施形態では、支持システムには複数の支持ピンがあり、そのうち3つが図4に120、122および124として図示されている。本実施形態では、装置100の支持システムにはさらに第4のこのような支持ピンがあり(図4の断面図には示されていない)、4つのピンが、上に被加工物106が支持されている支持板102の中心から等距離の位置に対称に配置されている。この実施形態では、支持ピンは石英支持ピンである。より詳細には、この実施形態では石英ピンそれぞれが火炎研磨した上端部を有し、熱で誘発されて被加工物が動く際に被加工物106を引っかく尤度が低くなるようにしている。
【0087】
この実施形態では、各支持ピンは被加工物半径の約3分の2から4分の3の半径距離に位置している。より詳細には、本実施形態では、被加工物の半径が150mmであり、石英支持ピンはそれぞれ被加工物の中心軸からr=110mmの半径距離に位置している。この点については、半径150mmの半導体ウェーハが関係する一部の特定の熱処理サイクルでは、ほぼ半径距離r=110±5mmで熱に誘発される動きが最も少ない。しかし、他の半径距離の方が、他の熱処理サイクルおよび/または他の被加工物タイプには、より適しているかもしれない。
【0088】
やはりこの実施形態で、クォータピンそれぞれの直径は1.5mmであり、支持板102のそれぞれの孔に自立しており、ピンが支持板と被加工物との間の熱結合に寄与する程度を低減させている。別の方法としては、必要に応じて、ピンは支持板にある環状の溝(この実施形態では図示していない。他の実施形態に関連して後述)に自立することもできる。必要に応じて、石英ピンは、その底部にフランジ(この実施形態では図示しない)を有し、フランジは孔(または後者の実施形態の場合には環状の溝)よりも直径が大きくて、熱に誘発された被加工物の動きの結果としての反動力に対応してピンが孔または溝から飛び出すのを防いでいる。あるいは、さらに別の実施形態として、ピンは支持板102に堅固に取り付けるか、これと一体に形成することができる。より一般的には、少なくとも上面の非平面実質的部分が被加工物の初期形状から不均一に間隔をあけて位置するように支持板の上面の上に被加工物を支持する他の適切な手段を、本明細書に記載の支持ピンに代えて利用することができる。
【0089】
図6を参照すると、本発明の第4の実施形態による装置の全体を200に示している。上記実施形態と同様、装置200は、非平面上面204を有する支持板202と、被加工物の熱処理中、被加工物の初期形状110の下面20が支持板の非平面上面204の上に不均一な間隔をあけて支持されるように支持板202の上に被加工物106を支持するように構成されている支持システムとからなり、不均一な間隔には、被加工物の外周の下にある縁部隙間と、被加工物の中心軸のところの中央部隙間とが含まれる。
【0090】
この実施形態では、少なくとも上面204の実質的部分208は平面ではなく、被加工物106の初期形状110から不均一に間隔を置くように構成されている。しかし、この実施形態では上面204の形状、特に実質的部分208の形状が、上の実施形態とは異なる。
【0091】
より詳細には、この実施形態で上面204は面取りされている。それ故、この実施形態では、少なくとも支持板202の上面204の一部は、おおむね円錐台形状である。
【0092】
本実施形態では、上面204は、被加工物106の平板状の初期形状110から均一な垂直距離を置くように構成されている円板状の平面中央領域207を含む。被加工物106の中心軸からの半径距離の閾値では、上面204が円板状の平面中央領域207から実質的部分208に推移し、後者は被加工物の中心軸から半径方向に沿って外側へ広がっていくにつれて、一定の傾斜角度で下方向へ傾斜していく。それ故、中央領域207と周囲の実質的部分208とがほぼ円錐台形状を形成する。
【0093】
この実施形態では、平面中央領域207が、下方向に傾斜していく非平面実質的部分208へ推移していく半径距離の閾値はr=75mmであり、上面204と被加工物106との間の垂直な間隔は、中央領域207での中央部隙間1mmから、実質的部分208の外周(r=150mm)での縁部隙間3mmまで様々である。しかし、平面部分と非平面部分との推移については、様々な垂直間隔および様々な半径距離の閾値をこれらに代えて利用することができる。
【0094】
図7を参照すると、本発明の第5の実施形態による装置の全体を300として示している。装置300は、非平面上面304を有する支持板302と、被加工物の熱処理中、被加工物の初期形状110の下面20が支持板の非平面上面304の上に不均一な間隔で支持されるように、被加工物106を支持板302の上に支持するように構成されている支持システムとを含み、この不均一な間隔は、被加工物の外周の下の縁部隙間と、被加工物の中心軸の中央部隙間とを含む。
【0095】
この実施形態では、少なくとも上面304の実質的部分は平面でなく、被加工物106の初期形状110から不均一な間隔を置くように構成されている。
【0096】
この実施形態では、非平面実質的部分には、上面304のほぼ全体が含まれる。さらに詳しく言えば、この実施形態では、少なくとも支持板302の上面304の一部は、おおむねドーム状である。さらに詳しく言うと、本実施形態では、上面304のうち、上に被加工物106全体が支持される部分は、ドーム状である。
【0097】
それ故、この実施形態では、支持板302の上面304は、中心軸から被加工物の外周に向かって、外側へ、且つ下方向へと延びていく。より詳細には、この実施形態では、上面304は、その中央領域から外側領域へと外側へ延びていく際に、下向きに曲がる。
【0098】
本実施形態では、支持板の上面304は、被加工物の初期形状110の最も外側の外周が上に支持される上面304の周辺領域から半径方向に沿って外側に位置する、ほぼ上方向へ延びる側壁310を含んでいる。より詳細には、この実施形態では側壁310は上面304の周辺領域から、被加工物の初期形状110が支持される平面の上方へと延びる制限部分312を含む。この実施形態では、制限部分312は、被加工物106が支持板302の上に支持される場合、被加工物の初期形状110の最も外側の外周部分を、そのすぐ近くで囲むように構成されている。別の方法としては、制限部分312は省略することができ、側壁を、被加工物106の初期形状110が支持されている平面の下へとほぼ上方向へ延びることができる。別の方法としては、側壁310を全面的に省略することができる。例えば、望むのであれば、上面304全体をドーム状にすることができる。
【0099】
この実施形態では、上面304と被加工物106の初期形状110との間の間隔は、被加工物の中心が上に支持される中央領域で、約0.5ミリメートルである。
【0100】
図5および図8を参照すると、本発明の第6の実施形態に従った装置の全体を400として図8に示している。この実施形態では、装置400は、非平面上面404、および被加工物106の初期形状110の下面20が支持板402の非平面上面404の上に不均一な間隔を置いて支持されるように支持板402の上に被加工物106を支持するように構成されている支持システムとから成っており、不均一な間隔には、被加工物の外周の下の縁部隙間と、被加工物の中心軸のところの中央部隙間がある。
【0101】
ここまでに記載した実施形態と同様、少なくとも非平面上面404の実質的部分は平面ではなく、被加工物が支持板402の上に支持されるときに被加工物106の初期形状110から不均一な間隔を置くように構成されている。
【0102】
有利な点として、本実施形態では、支持板402の上面404は、被加工物の熱処理中に被加工物106の外周がぶつかるように構成されている接触部406も含んでいる。
【0103】
この点について、本実施形態では、被加工物の外周部と支持板の上面との間の制御された衝撃は、被加工物全体の動きを緩和し、それによりタイプI、タイプIIの両方のリスクを低減させるためには望ましいとみなされているが、しかし、制御された衝撃で被加工物を破損するかもしれないリスクが、この緩和の結果として得られる残存可能性の増大よりも大きくないことが条件である(この均衡は、タイプIの破損のリスクの高まっている、引っかき傷のあるウェーハはについては異なるかもしれない)。
【0104】
別の方法としては、このような接触部は、被加工物の外周と支持板の上面との間の衝撃が必ずしも望まれないが、工程の変数としてたまたま発生することのある実施形態の場合にも備えることができる。例えば、特定の熱サイクル中に被加工物106の熱処理を行うと予想よりも早く熱変形が進行し、予想された熱変形形状112よりも過剰な熱変形形状412となる場合、被加工物の外周はしばしば支持板の上面にぶつかることがある。
【0105】
いずれの場合にも(意図的な衝撃か意図しない衝撃か)、被加工物106の外周が下方向に曲がり、図5に示す上面104の外側部分にぶつかるのなら、半径方向に沿って外側に行くにつれて下方向に湾曲する実質的部分108のどこかの位置でそうなるであろう。従って、下向きおよび半径方向に沿って内側へ向かう構成要素を有する力により、外周が上面104にぶつかり、その結果、上面104が、被加工物106に対して上向きおよび半径方向に沿って外側へ向かう構成要素を有する、同等且つ逆向きの反応力をかけることになる。この反応力の半径方向に沿って外側へ向かう構成要素により、被加工物106には張力がかかる。しかし、本発明者は、被加工物106が半導体ウェーハである実施形態では、ウェーハの張力が、圧縮よりも損傷または破損をひき起こす可能性の方が高いことに気づいた。
【0106】
従って、そうした衝突が被加工物の損傷または破損を招く尤度を低減するために、本実施形態では、接触部406が、接触部406にぶつかる被加工物の外周に対して、被加工物106の外周の半径方向に沿って内側へ向かう構成要素を有する反応力をかける設計となっている。それ故、被加工物106の外周が接触部406にぶつかった場合、結果的に接触部406から被加工物106にかかる反応力の半径方向に沿って内側へ向かう構成要素により、被加工物106には、張力というよりはむしろ圧縮力がかかり、これにより、衝突により被加工物が損傷または破損する尤度を低減させる。さらに、このような衝突は被加工物の下向きの動きを停止させ、運動量を小さくする結果となって、これが次に、熱で誘発された被加工物の振動を抑える傾向がある。
【0107】
より詳細には、この実施形態では、接触部406は上面の隣接する内側部分408に対して相対的に角度がついている。より詳細に言うと、この実施形態では、上面の隣接する内側部分408は外側に行くにつれ下方向に曲がっていき、そして接触部分406は実質的に水平であって、おおむね水平に延びていって、隣接する内側部分408から半径方向に沿って外側へ行くに従って、わずかに上方向に曲がるだけである。別の方法としては、接触部406を正確に水平にしても、他の形で角度をつけてもよい。より一般的には、接触部406の他の角度、形状、および/または構成は、接触部406から被加工物106にかかる反応力が半径方向に沿って外向きの構成要素よりもむしろ半径方向に沿って内向きの構成要素を有することを確保しながら、他の角度等に代えることができ、被加工物の外周が接触部にぶつかる角度に基づいて選択することができる。
【0108】
図1および図2に関連してすでに説明したように、接触部406の配置は、被加工物の外周が、接触部に衝撃を与える際に熱により誘発される最高可能速度では動かないことを確実にし、結果として生じる衝撃波の強さを抑えるように選択することもできる。同様に、接触部の配置は、そのような衝撃波が被加工物を通じて伝わるタイミングを制御し、被加工物が応力の高い熱変形形状32または36となっているときに衝撃波が被加工物の中央領域33に到達しないように選択することができる。
【0109】
さらに図5および図8を参照すると、本実施形態では、支持板402の上面404は、被加工物106の予想される熱変形形状112から、上面404と被加工物の予想熱変形形状112との間のガス圧力が熱により誘発される被加工物の動きに十分対抗できるだけの間隔を置くように構成されている。
【0110】
より詳細には、この実施形態では、支持板402の上面404は、被加工物の予想される熱変形形状112からほぼ均一の間隔を置く構成である。この点については、上面404と予想熱変形形状112との間をこのように近接させたほぼ均一の間隔とすることにより、上面404と予想熱変形形状112との間の空気の隙間のおかげで、平面板を必要とする従来のシステムに比べて、熱に誘発される被加工物106の振動の減衰が大幅に改善されることになる。このように減衰を改善するため、本実施形態では、上面404は予想される熱変形形状112を補足する形状とし、中央領域をほぼドーム状として、その外側領域では隣接する内側部分408の近くでより鋭く下向きに曲げることで、予想される熱変形形状112となる際に予想される被加工物106の外縁の下向きの湾曲を模倣する。
【0111】
この実施形態では、支持板の上面404は、被加工物106の予想される熱変形形状112から、1ミリメートル程度の距離の間隔を置くように構成されている。より詳細には、この実施形態では、上面404は予想される熱変形形状112から、1ミリメートル未満の距離を置くように構成されている。より詳細には、この実施形態では、上面404は、予想される熱変形形状112から、0.5ミリメートルの距離を置くように構成されている。
【0112】
それ故、この実施形態では、被加工物106は上面404の上に、上面404の非平面実質的部分が被加工物106の予想される熱変形形状112からほぼ均一の、約0.5ミリメートルの間隔を置くように支持される。被加工物の予想される熱変形形状112のこのように大きな面積と、支持板との間のこのように近接した均一な間隔により、被加工物の振動する動きをガス圧力で減衰させる働きが、平面支持板を使用している従来のシステムよりもずっと広い面積にわたって、大幅に強化されるのが有利である。
【0113】
図8および図9を参照すると、本発明の第7の実施形態による装置の全体を500として図9に示している。この実施形態では、装置500は、非平面上面504を有する支持板502と、支持システムとを含む。支持板502は、支持板402とおおむね同様であるが、この実施形態では、全体を506として示すガス流障壁も含む。ガス流障壁506は、被加工物が支持板502の上に支持されているときに、上面504と被加工物106との間の隙間508を通るガス流に抵抗するように構成されている。この点では、被加工物106が初期形状から予想される熱変形形状に変形する速度のせいで、被加工物106の急激な変形により、隙間508に強制的に空気が送り込まれる。この急速な空気の流れは、次に、被加工物106を支持ピンから上のほうへ吹き上げる傾向がある。代替的にまたは追加的に、急速な空気の流れは、当該熱サイクルによっては、超音速となる潜在的可能性がある。こうした効果のいずれもが、被加工物に損傷を生じる尤度を高め、望ましくないと考えられる。従って本実施形態では、ガス流障壁506が被加工物106の急激な熱変形に由来する空気の流れの速度を緩め、それによりこうした望ましくない効果を軽減または防止する傾向があって有利である。
【0114】
この実施形態では、ガス流障壁506は、乱流発生装置を含む。より詳細には、この実施形態では、乱流発生装置は支持板502の上面504に定める環状流路510を含む。それ故、被加工物106の急激な熱変形により空気が隙間508の中へ急速に流入させられるとき、急速な空気の流れの一部は還流流路510へと逸らされ、環状流路の近くに乱流を発生させて、それにより隙間508に流入する空気の流れの全体速度を遅くする。
【0115】
本発明では、装置500の支持システムは、例えば、512、514、および516に示すような複数の支持ピンを含む。少なくとも3つのそのようなピンを使って安定性を支えることが望ましい。そしてこの実施形態では、装置500はこのようなピンを4つ含む。この実施形態では、支持ピンは環状流路510に配置され、その上の被加工物106を支持する。より詳細には、この実施形態では、4つの支持ピンが、環状流路510に90°間隔で配置されている。
【0116】
この実施形態では、支持ピンは環状流路510に自立し、支持板502と被加工物106との間の熱結合にピンが寄与する程度を減じる。また、この実施形態では、支持ピン512はその底部にフランジ520を含み、他の支持ピンそれぞれが、そのそれぞれの底部に類似のフランジを含む。この実施形態では、フランジ520は平板状の底部よりもむしろ丸くなったか、または湾曲した底面を有していて、熱結合をさらに減じる。少なくとも環状流路510の一部分522は、フランジ520よりも狭く、フランジが流路から飛び出すのを防止している。フランジよりも幅の広い挿入孔(図示せず)を環状流路510の1箇所にあけて、支持ピンの挿入および取り外しができるようにする。
【0117】
本実施形態では、支持ピンのそれぞれは、直径1.5mmの石英ピンと、被加工物106をひっかいてしまう尤度を低減するために火炎研磨した上端部とを備えている。
【0118】
この実施形態では、環状流路510は、被加工物106の中心が上に支持される支持板502の中心から、被加工物106の半径の約3分の2から約4分の3までの距離を半径に添って取った位置に環状流路510を配置する。より詳細には、本実施形態では、被加工物106は半径150mmの半導体ウェーハであり、環状流路510は被加工物106の中心軸から半径方向に沿っておよそ110±5mmの距離に配置されている。別の方法としては、環状流路510は、異なる半径距離に配置することもできる。さらに一般的には、他の種類のガス流障壁を、環状流路510の代用とすることができる。
【0119】
図9および図10を参照すると、本発明の第8の実施形態に従った装置の全体を600として図10に示している。装置600は、支持板602を含む。この実施形態では、支持板602は、環状流路510に類似した環状流路610を含み、支持板602は、他のいくつかの面で支持板502に類似している。しかし、この実施形態では、装置600は追加ガス流障壁、すなわち、支持ピンを囲むリング620をさらに含む。この実施形態では、また、支持板の上面604が、支持ピンの配置されている環状流路の外側境界の近くで、リング620の支持を助けるためにやや異なる形になっている。
【0120】
この実施形態では、リング620は、光ファイバリングを備える。より詳細には、この実施形態で、リング620は、直径1.5mmの光石英ファイバを備える。別の方法としては、もっと直径の小さい光ファイバの束で代用することもできる。あるいは、別の案として、他のふさわしい種類のリングで代用することができる。さらに例となる別の場合には、リングは支持板と一体に形成することもできる。さらに一般的には、他の各種のガス流障壁で代用することもできる。
【0121】
図9および図11を参照すると、本発明の第9の実施形態による装置の全体を700として図11に示している。装置700は、支持板702を含み、支持板702は環状流路510に類似する環状流路710を含んでいる。支持板702は他のいくつかの面でも支持板502に類似している。しかし、この実施形態では、装置700は、さらに、追加ガス流障壁、すなわち支持板702の上面704の隆起部分712を含む。隆起部分712は、上面704の隣接部分の上に上へ向かって突き出している。より詳細には、この実施形態で隆起部分712は、環状流路710に隣接する位置で、流路から半径方向に沿って内側方向へ、上向きに突き出している。この実施形態では、隆起部分712は、偏向面714を含み、これは、流入する空気を下向きに偏向させて環状流路710に流す形状となっている。本実施形態では、隆起部分712はできるだけ環状流路710内の支持ピンの近くに配置され、支持ピンは、熱で誘発されて動く間に被加工物106が隆起部分712にぶつからないようにしている。やはりこの実施形態で、隆起部分712の半径方向の長さはできるだけ短くし、熱に誘発された被加工物の動きにより作り出されるガス流が急速に流れ込んできても破損しないだけの強度を実現する。これは、隆起部分712と被加工物106の間の、被加工物の予熱中の熱結合を最小限にするためである。別の方法としては、隆起部分の形状はこれと異なっていてもよく、また位置も異なっていてもよい。
【0122】
図11および図12を参照すると、本発明の第10の実施形態による装置の全体が800として図12に示してある。装置800は、支持板702におおむね類似する支持板802を含む。それ故、この実施形態では、支持板802は、追加ガス流障壁として全体を812に示す、支持板802の上面804の隣接部分の上に上向きに突き出す隆起部分を含む。しかし、この実施形態では、隆起部分812は、内側隆起部分814と外側隆起部分816とを、支持ピンが配置されている還流流路の両側に備えている。内側と外側の隆起部分814および816は、環状流路810にできるだけ近く位置させ、流路内の支持ピンが、熱に誘発された動きの間に被加工物106が隆起部分814および816にぶつかるのを防止する。被加工物の予熱中の隆起部分と被加工物106との間の熱結合を最小限にするために、隆起部分814および816の半径方向の長さも、強度の制約を条件として最小限にされる。
【0123】
図5および図13を参照すると、本発明の第11の実施形態による装置の全体を900として図13に示してある。この実施形態では、装置900は、全体を902に示す支持板を含む。
【0124】
本実施形態では、支持板902は、支持板の上面の少なくとも一部を備える着脱可能な部分を含む。より詳細には、この実施形態では、支持板902は、下部904と、上部906とを備え、上部906は、下部904から取外すことができる。この実施形態では、上部906は下部904に取り付けることができ、結果として支持板902を形成する。これは図5に示す支持板102に類似している。
【0125】
上部906は熱処理および着脱可能性に適した方法で下部904に取り付けることができる。例えば、この実施形態では、上部906は、平板状の下面を有し、これは、下部904の平板状の上面に対して補足的である。従って、上部906を下部904の上に置いたとき、これら2つの補足的な表面の間のガス圧力、重力および摩擦力は、上部と下部を合わせたままに維持する傾向がある。別の方法としては、適切な光学的接着剤を用いて上部と下部を取り付けることができる。さらに一般的には、上部と下部を取り付ける他の方法で代用することができる。
【0126】
この実施形態では、上部906は、上部906を下部904に取り付けることにより形成される支持板902の上面の少なくとも一部を含む。しかし、この実施形態では、上部906は結果として得られる支持板902の上面全体は含んでいない。むしろ、上部906が下部904に取り付けられて支持板902を形成するとき、結果として得られる支持板902の上面が、上部906の上面全体、並びに下部904の上面のうち、半径距離が上部906の半径を超える外側部分を含んでいる。しかし、別の方法としては、上部906の半径を下部904の半径以上とし、上部906の上面が、上部906を下部904に取り付けることにより形成される支持板902の上面全体を形成するようにすることもできる。
【0127】
図7および図13を参照すると、この実施形態では、装置900は、さらに、上部906とは異なる形状の上面を有する第2の上部908も含む。第2の上部908は、支持板902の上面の形状を変えるために、上部906と交換可能である。この実施形態では、第2の上部908は、図7に示す支持板302の上面304に類似する形状の上面を有する。
【0128】
図9および図13を参照すると、この実施形態で、装置900は、さらに、上部906とも第2の上部908とも異なる形状の上面を有する第3の上部910を含む。第3の上部910は、支持板902の上面の形状を変えるために、上部906または第2の上部908と交換可能である。この実施形態では、第3の上部910は、図9に示す支持板502の上面504に類似する形状の上面を有する。
【0129】
それ故、この実施形態では、装置900は、それぞれ独自の形状上面を有する複数の上部を含み、複数の上部のそれぞれは、支持板902の上面の形状を変えるために他の上部と互いに交換可能である。必要に応じて、装置900は、また独自形状の上面を有する追加の上部も含むことができる。
【0130】
従って、有利なこととして、装置の使用者が複数の様々な熱処理サイクルを複数の類似の被加工物に適用して、結果として被加工物の様々な予想される熱変形形状を得たいと考える場合、使用者は、単純に上部を取外して別の形状の上部を下部904に取り付け、これにより結果として得られる支持板902の上面の形状を変更して、特定の熱サイクルについての被加工物の予想される熱変形形状に対応することができる。同様に、このような交換可能性は、熱処理中のある被加工物の予想される熱変形形状が別の被加工物とは異なる他の状況でも同等に有利である(例えば、異なる種類の被加工物に類似の熱処理サイクルを適用する、あるいは異なる熱処理サイクルを異なる種類の被加工物に適用するなど)。
【0131】
この実施形態では、支持板902は、支持板を通じて被加工物に伝達される電磁放射に対して所望のレンズ効果を提供するように構成されているレンズ部920を含む。より詳細には、この実施形態では、支持板902の下部904は、レンズ部920を含む。
【0132】
本実施形態では、レンズ部920の目的は、支持板902を通じて伝達され、被加工物を予熱する電磁放射に対する支持板902の不均一な上面のレンズ効果を補償することである。
【0133】
この実施形態では、レンズ部920は下部904の下面に環状のレンズ形状を含む。より詳細には、この実施形態では、レンズ部は下部904の下面と一体に形成された環状石英レンズである。レンズ部920は図13に下部904の下面の残余部分の下の突起として示してあるが、あるいは、レンズ部は、他の方法で形成することもできる。例えば、レンズ部は、下部904の下面の凹部または凹部として、または下部904の下面の形状を他の方法で修正して形成することができる。
【0134】
この実施形態では、レンズ部920は906、908および910に示すような様々な取り付け可能な上部の平均的なレンズ効果を補償する形状となっている。別の方法としては、必要に応じて、レンズ部920を着脱可能とし、様々な取り付け可能な上部のそれぞれに対応する、様々なそれぞれのレンズ部(図示せず)を提供することができる。それ故、異なるそれぞれのレンズ部を上部906、908または910それぞれについて下部904の下面に取り付けることができる。あるいは、さらに別の方法として、独自形状のそれぞれのレンズ部を有する複数の交換可能な下部を提供することができる。さらに、別の方法として、独自形状の上部それぞれは、各自のそれぞれ独自形状のレンズ部を備えることができる。例えば、各独自レンズ部をそれぞれの上部の下面の凹部として形成し、それぞれの上部にそれ自身の一体型レンズ矯正部分を含むことができる。
【0135】
あるいは、さらに別の方法として、図1から図13を参照すると、支持板12、42、102、202、302、402、502、602、702、または802のいずれかは、レンズ部を、それぞれの支持板と一体に、または支持板から着脱可能に備えることができる。
【0136】
より一般的には、ふさわしいレンズ部のその他の種類、構成および位置を代わりに利用することができる。
【0137】
図5および図14を参照すると、本発明の第12の実施形態による装置の全体を1000として図14に示している。この実施形態では、装置1000は、その上にある被加工物106を支持するために、図5に示す支持板102を含む。より詳細には、この実施形態では、装置1000は、支持板102を支持するために、下部環状内向き突起支持端部1004を有する被加工物平面板1002を含む。本実施形態では、装置1000は、被加工物の熱処理中に、被加工物106の初期形状110の下面20が支持板102の非平面上面104の上に不均一な間隔をあけて支持されるように支持板102の上に被加工物106を支持する手段を含み、不均一な間隔は、図5に示す端部隙間114と、中央部隙間118とを含む。より詳細には、この実施形態では被加工物を支持する手段は、支持ピン120、122および124などの複数の支持ピンを含む。別の方法としては、例えば、図1に示す支持システム15など、被加工物を支持する他のふさわしい手段で代用することもできる。
【0138】
この実施形態では、装置1000は、さらに、装置1000が被加工物106の初期形状110を支持するように構成されている平面の上に配置した第2の板1006を含む。本実施形態では、第2の板1006は、被加工物平面板1002の上部環状内向き突起支持端部1008により支持される。
【0139】
本実施形態では、被加工物106の初期形状110の上面18と、第2の板1006の下面との間の間隔1020は、支持板102の上面104と被加工物106の初期形状110の下面20との間の間隔と同等である。より詳細は、この実施形態では、間隔1020は1ミリメートル程度とすることができる。しかし、そうではなくて、間隔1020を、上面104と被加工物106との間の間隔より大きく、または小さくすることもできる。しかし、被加工物106が半導体ウェーハでありその上面18がデバイス側である本実施形態などの実施形態では、間隔1020は、被加工物が予想される熱変形形状112に変形する際に、被加工物の上面(デバイス側)18と第2の板1006との物理的な接触を避けるのに十分な大きさとすることが望ましい。例えば、本実施形態に関連して例示として説明する熱サイクルに関しては、より一般的には所望の間隔は特定の当該熱サイクルのパラメータに基づいて変えられるが、間隔1020は少なくとも0.5mmであることが望ましい。
【0140】
減衰力の強化に加えて、支持板102と第2の板1006の両方がウェーハの近くに存在することで、被加工物の近くでの気体の処理量が低減する傾向があり、これにより対流および汚染の問題が低減する傾向がある。
【0141】
別の方法としては、必要に応じて、第2の板1006は省略することができる。
【0142】
この実施形態では、装置1000は、被加工物106の熱処理のために、全体を1052に示す熱処理システムをさらに含む。より詳細には、この実施形態では、熱処理システムは被加工物106の動きを熱により誘発するように構成されている。この点で、本実施形態では、熱処理システム1052は、被加工物106を中間温度まで予熱するように構成され、次に被加工物106の表面領域だけを中間温度よりも高い希望の温度まで、被加工物の熱伝導時間よりも短時間で加熱するように構成されている。より詳細には、この実施形態では、熱処理システム1052は被加工物を中間温度まで予熱する構成の予熱システムと、被加工物の表面領域だけを所望の温度まで加熱する構成の表面加熱システムとからなる。この実施形態では、予熱システムと表面加熱システムは、それぞれの照射システムを含む。より詳細には、この実施形態では、予熱システムは直流アーク灯1058を含み、表面加熱システムは、被加工物106を照射フラッシュに暴露する構成の少なくとも1つの照射フラッシュ装置を含む。より詳細には、この実施形態では照射フラッシュ装置はフラッシュランプ1060を含み、これは主として可視波長および赤外線波長からなる放射フラッシュを出すように構成されている。別の方法としては、照射フラッシュ装置は、主にマイクロ波の波長からなる照射フラッシュを出すように構成されているマイクロ波パルス発生装置を含むこともできる。この実施形態では、直流アーク灯1058は、石英窓1066を通じて、および石英支持板102を通じて被加工物106の下面20を照射するように構成され、同様に、フラッシュランプ1060は、石英窓1068を通じて、および第2の板1006を通じて被加工物106の上面18を照射するように構成されている。一般に、本実施形態では、装置1000の熱処理システムの、支持板102以外の様々な構成部品は、上記の共通所有している米国特許出願公開第US2005/0133167号に開示されている熱処理システムの対応する構成部品と類似している。しかし、別の方法としては、他の適切な熱処理システムおよび/またはその構成部品で代用することができる。
【0143】
さらに図5および図14を参照すると、図14に示す実施形態の稼動時、被加工物106は支持板102の上面104の上に、少なくとも支持板の上面104の非平面実質的部分108が被加工物106の初期形状110から不均一な間隔を置くように支持される。この実施形態では、被加工物106は、被加工物の熱処理中、この方法で支持される。より詳細には、この実施形態では、熱処理には、予熱段階と、熱に誘発された被加工物の動きを含む表面加熱段階との両方がある。
【0144】
予熱段階で、直流アーク灯1058を起動して、石英窓1066および支持板102を通じて被加工物を照射することにより、被加工物106を所望の中間温度まで予熱する。この予熱段階で、図5に関連して前述の通り、被加工物の初期形状110は支持板102の上面104の上に、そこに不均一な間隔をあけて支持される。支持板102に予想される不均一な温度分布があるとき、この間隔により、被加工物106の全体にわたって、熱損失率の場所によるばらつきを最小限にする。従って、この実施形態では前述の「第1のウェーハ」効果がそれにより最小限に抑えられ、有利である。
【0145】
被加工物が中間温度に到達したとき、熱処理サイクルの表面加熱段階は、次に被加工物の動きを熱で誘発する。より詳細には、被加工物の熱に誘発される動きとしては、被加工物の表面領域だけを被加工物の熱伝導時間よりも短時間で所望の温度まで加熱し、それにより被加工物を初期形状から熱変形形状に変形させることを含む。これを達成するため、この実施形態では、フラッシュランプ1060を起動して、被加工物106の上面18(この実施形態では半導体ウェーハのデバイス側)を、石英窓1068と第2の板1006を通じて高強度の電磁照射フラッシュに暴露する。高強度の照射フラッシュは、例えば、1msフラッシュなど、被加工物の熱伝導時間よりも大幅に短い時間しか継続しない。照射フラッシュは、被加工物の上面18だけを所望の温度に加熱するが、被加工物の大部分は比較的低温の中間温度に留まる。被加工物の加熱された上面18の急速な熱膨張のために、上面18は、被加工物の大部分よりも大きく熱膨張し、それにより被加工物を、初期形状110から予想される熱変形形状112に熱で変形させる。この熱変形が急速に生じることにより、被加工物がその平衡変形形状を飛び越して、発振または振動する。
【0146】
この実施形態では、被加工物106を支持することは、被加工物106が初期形状110から予想される熱変形形状112に変形するときに、被加工物106と、支持板102の上面104との接触を制御することを含む。このような制御の方法については前述したが、例えば、上面104を、被加工物が上面104にぶつかった時点での被加工物の外周速度を削減または制限し、図2に示す高応力熱変形形状32および36と比較して衝撃により誘発される衝撃波のタイミングを制御するように配置することを含む。別の実施形態では、制御に接触そのものの防止を含むことができるが、外周と支持板の少なくともある程度の接触は多くの実施形態で、全体的な被加工物の動きを抑え、それにより残存可能性を高めるには望ましい。それ故、このような制御により、被加工物と支持板との衝突に由来する被加工物の損傷または破損のリスクを有利に抑制する。
【0147】
また、この実施形態で、被加工物106を支持することは、被加工物106の熱変形形状を支持板102の上面104の上に、上面104と被加工物106の熱変形形状との間のガス圧力が熱により誘発される被加工物の動きに対抗するように十分小さい距離を置いて支持することを含む。それ故、支持板102と被加工物106の間のガス圧力は被加工物の振動する動きを緩和する役目を果たし、それによりさらに被加工物の損傷または破損の尤度を低減する。
【0148】
図1から図14を参照すると、様々な例示的実施形態で、装置10、40、100、200、300、400、500、600、700、800、900のそれぞれは、それ自身の熱処理システムを含み、これは図14に示す例示的熱処理システム1052に類似していることもあるし、相当に異なることもある。逆に、別の実施形態では、こうした装置が、それぞれ、既存の熱処理システムに据付けるための支持板構成要素だけを含むこともできる。
【0149】
図5および図15を参照すると、本発明の第13の実施形態による、熱処理中に被加工物を支持するための装置の全体を1500に示している。装置1500は、全体を1504に示す非平面上面を有する支持板1502と、支持システム(図15に図示せず)とを含む。一般に、支持板1502は図5の102に示すものに類似している。しかし、支持板102と異なり、この実施形態では支持板1502の上面1504の内側領域1510は全体的に凹状であり、支持板1502の上面1504の外側領域1512は全体的に凸状である。
【0150】
より詳細には、この実施形態で、支持板1502の上面1504は、被加工物の中心軸を中心とするくぼんだ凹部を有し、これが内側領域1510の範囲を画定している。この実施形態では、くぼんだ凹部内側領域1510は、被加工物の中心軸から外側へ、被加工物の半径の約3分の2(r=100mm程度まで)延びており、ここで、上面1504の半径距離が全体的に凹状の内側領域1510から全体的に凸状の外側領域1512に変化する。
【0151】
他の代替物
以上、説明のために支持板の具体的な上面形状を説明してきたが、当業者が本明細書を見れば、このほかに多数の形状が可能であることは明白であろう。それ故、特定の実施形態または用途での必要に応じて、少なくともその実質的な部分が平面でない他の上面形状で、本明細書に説明したいずれかの上面形状に代えることができる。
【0152】
同様に、ガス流障壁、接触部および支持ピンなどの様々な特徴も、説明のための具体的な支持板の上面形状に関連して示したが、代案として、こうした特徴は、これらの上面形状を用いる他の実施形態から省略することもできる。
【0153】
本明細書に記載の様々な特徴は別々の実施形態として記載したが、こうした特徴の多くは互いに排他的なものではなく、様々な代案としての実施形態で互いに組み合わせたり置き換えたりすることができる。
【0154】
例えば、図8に戻ると、接触部406は、本明細書に記載の他の実施形態のいずれか、または図示していない他の実施形態に設けることができる。
【0155】
同様に、図5および図9を参照すると、図1に示すものなどの支持ピンは、図9から図13に示すものと置き換えることができ、逆も同様である。さらに一般的には、図5に示すものなどの支持ピン、または図9に示す別のピンは、本明細書の他の実施形態に示す具体的な支持ピンの代わりに使用することができる。別の方法としては、本明細書には具体的に記載されていない別種の支持ピンを代用することもできる。例えば、図1および図4に示す支持システム15の石英ファイバループなどの可撓性支持部材、または例えば、共通所有している米国特許出願第US2004/0178553号に開示されている他の可撓性支持部材のいずれかで、他の実施形態のいずれかの支持ピンに代えることができる。同様に、支持ピンまたは他の支持手段が配置される位置は、特定の実施形態での必要に応じて修正することができる。
【0156】
同様に、図9から図13を参照すると、図9から図13に示す乱流発生装置などのガス流障壁は、本明細書に示すいずれの実施形態でも備えることができる。
【0157】
図13を参照すると、本明細書の上面のいずれかを有する上部を、単数または複数の下部および単数または複数の上部の所与の組み合わせについて、追加、代用、または削除することができる。さらに一般的には、少なくとも実質的な部分が平面でない上面を有する他の適切な代案としての上部を追加または代用することができる。
【0158】
さらに一般的に言うと、本発明の特定の実施形態について記載し、説明してきたが、上記実施形態は本発明を説明するものとしてのみ考えるべきであり、本願またはそこから優先権を主張する出願に添付される特許請求の範囲に従って解釈される本発明を制限するものと考えるべきではない。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物の熱処理の間、前記被加工物を支持するための装置であって、
非平面上面を有する支持板と、
前記被加工物の熱処理中、前記被加工物の初期形状の下面が前記支持板の非平面上面の上に不均一な間隔を置いて支持されるように、前記支持板の上に前記被加工物を支持し、前記不均一な間隔が、前記被加工物の外周の下にある縁部隙間と、前記被加工物の中心軸にある中央部隙間とを含むように構成されている支持システムと、
を備える装置。
【請求項2】
前記縁部隙間が、約3×10−4mから1.2×10−3mの範囲である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記縁部隙間が、約0.5ミリメートルである、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記中央部隙間が、約1.2×10−3mから2.5×10−3mの範囲にある、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記支持システムが、複数の可撓性支持部材を備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記複数の可撓性支持部材が、複数の石英ファイバを備える、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記支持システムが、複数の支持ピンを備える、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記縁部隙間と中央部隙間が等しくない、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記縁部隙間が、前記中央部隙間より大きい、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記縁部隙間が、少なくとも前記中央部隙間の2倍の大きさである、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記不均一な間隔が、予想される不均一な温度分布が前記支持板に存在する際に前記被加工物全体にわたって熱損失率の場所によるばらつきを最小限にしている、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
前記不均一な間隔が、一般に半径距離の非減少関数として変化する、請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の装置。
【請求項13】
前記不均一な間隔が、前記被加工物の中心軸からの半径距離の閾値未満でほぼ一定であり、前記不均一な間隔が、一般に、前記被加工物の半径距離の閾値から半径までの半径距離の関数として増大する、請求項1から請求項12のいずれか1項に記載の装置。
【請求項14】
前記中央部隙間が、約1ミリメートル以下であり、前記縁部隙間が、約2ミリメートルより大きい、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
前記支持板の前記非平面上面が、前記被加工物の予想される熱変形形状を補足する形状である、請求項1から請求項14のいずれか1項に記載の装置。
【請求項16】
前記支持板の前記上面の少なくとも一部が、全体的にドーム状になっている、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記支持板の前記上面の少なくとも一部が、全体的にソーサー状になっている、請求項15に記載の装置。
【請求項18】
前記支持板の前記上面の少なくとも一部が、全体的に円錐台形状になっている、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
前記支持板の前記上面の内側領域が、全体的に凹状になっており、前記支持板の上面の外側領域が全体的に凸状になっている、請求項15に記載の装置。
【請求項20】
前記支持板の前記上面が、前記中心軸から前記被加工物の外周へ、外向き且つ下向きに延びる、請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の装置。
【請求項21】
前記支持板の前記上面が、前記被加工物の熱処理中に前記被加工物の外周がぶつかるように構成されている接触部を備える、請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記接触部が、前記被加工物の外周が前記接触部にぶつかった反作用で、半径方向に沿って内側へ向かう構成要素を有する反応力を前記被加工物の外周に加えるように構成される、請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記接触部が、前記上面の隣接する内側部分に対して角度がついている、請求項21に記載の装置。
【請求項24】
前記支持板の前記上面が、前記被加工物の予想される熱変形形状から、前記上面と前記被加工物の前記予想される熱変形形状との間のガス圧力が被加工物の熱に誘発された動きに対抗できるくらいに短い距離だけ離して配置するように構成される、請求項1から請求項23のいずれか1項に記載の装置。
【請求項25】
前記支持板の前記上面が、前記被加工物の予想される熱変形形状から、1ミリメートル程度の間隔を置くように構成される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記被加工物が前記支持板の上に支持されている場合、前記支持板が、前記上面と前記被加工物との間にできる隙間のガス流に抵抗するように構成されているガス流障壁を備える、請求項1から請求項25のいずれか1項に記載の装置。
【請求項27】
前記ガス流障壁が、乱流発生装置を備える、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記乱流発生装置が、前記支持板の前記上面に画定される環状流路を備える、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記支持板が、前記支持板の前記上面の少なくとも一部を含む着脱可能部分を備える、請求項1から請求項28のいずれか1項に記載の装置。
【請求項30】
前記支持板が、下部および上部を備え、前記着脱可能部分が前記上部を備える、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
異なる形状の上面を有する第2の上部をさらに備え、前記支持板の前記上面の形状を変えるために前記第2の上部を前記上部と交換可能である、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
それぞれ独自の形状の上面を有する複数の上部をさらに備え、前記複数の上部のそれぞれが、前記支持板の前記上面の形状を変えるために交換可能である、請求項30に記載の装置。
【請求項33】
前記着脱可能部分が、着脱可能端部と、着脱可能中央部とを備える、請求項29に記載の装置。
【請求項34】
前記縁部隙間と前記中央部隙間が、調整可能である、請求項1から請求項33のいずれか1項に記載の装置。
【請求項35】
前記支持板が、前記支持板を通って前記被加工物に伝達される電磁放射に対して、所望のレンズ効果を提供するように構成されているレンズ部を備える、請求項1から請求項34のいずれか1項に記載の装置。
【請求項36】
前記装置が、前記被加工物の前記初期形状を支持するように構成されている平面よりも上に配置された第2の板をさらに備える、請求項1から請求項36のいずれか1項に記載の装置。
【請求項37】
前記被加工物の動きを熱により誘発するように構成されている熱処理システムをさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項38】
前記熱処理システムが、前記被加工物を中間温度まで予熱するように構成され、前記被加工物の表面領域のみを中間温度よりも高い所望の温度まで、前記被加工物の熱伝導時間よりも短時間で加熱するように構成される、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
被加工物の熱処理の間、前記被加工物を支持するための装置であって、
非平面上面を有する支持板と、
前記被加工物の熱処理中、前記被加工物の初期形状の下面が前記支持板の前記非平面上面の上に不均一な間隔を置いて支持されるように前記支持板の上に前記被加工物を支持し、前記不均一な間隔が、前記被加工物の外周の下にある縁部隙間と、前記被加工物の中心軸にある中央部隙間とを含む手段と
を備える装置。
【請求項40】
被加工物の熱処理中、前記被加工物の初期形状の下面が支持板の非平面上面の上に不均一な間隔を置いて支持されるように、前記支持板の前記非平面上面の上に前記被加工物を支持することを含み、前記不均一な間隔が、前記被加工物の外周の下にある縁部隙間と、前記被加工物の中心軸にある中央部隙間とを含む方法。
【請求項41】
前記縁部隙間が、約3×10−4mから約1.2×10−3mの範囲である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記中央部隙間が、約1.2×10−3mから約2.5×10−3mの範囲にある、請求項40または請求項41の方法。
【請求項43】
支持が、複数の石英ファイバで前記被加工物を支持することを含む、請求項40から請求項42のいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
支持が、前記被加工物の熱処理中に前記被加工物を支持することを含み、前記被加工物の熱処理が熱で誘発された前記被加工物の動きを含む、請求項40から請求項43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
熱で誘発された前記被加工物の動きが、前記被加工物の熱伝導時間よりも短時間に前記被加工物の表面領域だけを所望の温度に加熱し、それにより前記被加工物を前記初期形状から熱変形形状に変形することを含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記不均一な間隔により、予想される不均一な温度分布が前記支持板に存在する場合に、被加工物全体にわたっての熱損失率の場所によるばらつきを最小限にする、請求項40から請求項45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
支持が、前記被加工物の熱変形形状を、前記上面と前記被加工物の熱変形形状との間のガス圧力が熱で誘発された前記被加工物の動きに対抗できるだけの距離を置いて前記支持板の前記上面の上に支持することを含む、請求項40から請求項46のいずれか1項に記載の方法。


【図1】
image rotate

【図2A】
image rotate

【図2B】
image rotate

【図2C】
image rotate

【図2D】
image rotate

【図2E】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公表番号】特表2010−509780(P2010−509780A)
【公表日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−536574(P2009−536574)
【出願日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【国際出願番号】PCT/CA2007/002070
【国際公開番号】WO2008/058397
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(503200800)マトソン テクノロジー カナダ インコーポレイテッド (10)
【Fターム(参考)】