説明

熱可塑性フルオロポリマー溶融加工のための方法

第1の組成物の溶融加工を含む方法。第1の組成物は、0.93〜1.0の緩和指数を有する第1のフルオロポリマーと、0.30〜0.92の緩和指数を有する第2のフルオロポリマーとを含む。第1の組成物の溶融加工を含む方法であって、第1の組成物は、0〜0.1のLCBIを有する第1のフルオロポリマーと、少なくとも0.2のLCBIを有する第2のフルオロポリマーとを含む。第1の組成物の溶融加工を含む方法であって、第1の組成物は、第1のフルオロポリマー部分と、第2のフルオロポリマー部分とを有するコアシェルポリマーとを含む。押出成形製品は、現況技術のフルオロポリマーで観察されるものよりも低い幅均一性指標値を有する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
フルオロポリマーは、熱抵抗性、耐化学性、耐候性、およびUV−安定性など、いくつかの望ましい特性のため、種々の用途に使用される。フルオロポリマーは、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)若しくはペルフルオロビニルエーテル(PVE)などの1つ以上のガス状または液体状のコモノマー、またはエチレン(E)およびプロピレン(P)などの非フッ素化オレフィンを有する、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)および/またはフッ化ビニリデン(VDF)などのガス状のフッ素化オレフィンのホモおよびコポリマーを含む。
フルオロポリマーは、溶融加工可能なポリマーおよび溶融加工不可能なポリマーを含む。例えば、ポリテトラフルオロエチレンおよび少量(例えば、1重量%以下)のコモノマーを有するテトラフルオロエチレンのコポリマーは、一般に分子量および溶融粘度が高いため、従来の装置で溶融加工できない。したがって、これらの溶融加工不可能なフルオロポリマーに対して、特別なプロセス技法が、これらのフルオロポリマーを望ましい物品および形状に形成するために開発されている。
【0002】
溶融加工可能な熱可塑性のあるフルオロポリマーはまた、既知であり、これらは、フッ素化および/または非フッ素化モノマーの様々な組み合わせから取得できる。溶融加工可能である場合、従来の装置で処理できる。溶融加工可能な熱可塑性のあるフルオロポリマーは、一般に、十分な結晶化度を有する非晶質フルオロポリマーおよびフルオロポリマーを含む。一般に、非晶質であるフルオロポリマーは、フルオロポリマーを硬化または加硫することにより、フルオロエラストマーを作製するために典型的に使用される。エラストマー特性は、一般に硬化後に得られるが、フルオロエラストマーの製造に用いられるフルオロポリマーは、フルオロエラストマーとも呼ばれることが多い。十分な結晶化度を有し、したがって、明確に検出可能かつ顕著な融点を有する溶融加工可能な熱可塑性のあるフルオロポリマーは、フルオロサーモプラストまたは熱可塑性フルオロポリマーとして、当該技術分野において既知である。
【0003】
フルオロサーモプラストの押出成形速度は、ポリマー溶融がメルトフラクチャーを受ける速度に限定される。これは、ワイヤおよびケーブル押出成形、フィルム押出成形、ブローンフィルム押出成形および射出成形などの熱成形プロセスにおいて重要な場合がある。押出成形速度が、メルトフラクチャーが生じる速度(臨界せん断速度として知られる)を超える場合、押出物品の望ましくない粗面を取得する。
【0004】
例えば、THVおよびFEPなど二相性フルオロサーモプラストは、押出ポリマーの分子量分布(MWD)を実質的に拡大し、それによって臨界せん断速度を増加することにより、押出成形速度を増加する試みに使用されている。しかしながら、臨界せん断速度の増加は、耐用期間を縮小するなどの全体的な機械的特性を弱めることにより、典型的に達成される。
【0005】
ワイヤおよびケーブル押出成形のフルオロサーモプラストのプロセス速度はまた、比較的大きな開口部がある押出成形型を使用し、望ましい最終直径に押出成形溶融を延伸することにより、増加することもできる。溶融延伸物は、一般に、型開口部の断面積に対する完成した押出品の断面積の比として算出された延伸比により特徴付けられる。ワイヤおよびケーブル押出成形の典型的な延伸比は、約100である。しかし、この溶融延伸物は、溶融延伸物の比を特徴付ける高い伸長率を備える。伸長率は通常、1〜1000 1/s程度である。ポリマー溶融は、十分に高い伸長粘度を示す必要がある。さもなければ、押出成形においてポリマー溶融のコーンの安定性は、不十分であり、頻繁なコーンの破損に加えて、押出成形物品の望ましくない直径の変動を生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コーンの安定性を増加させるための更なる試みは、例えば、FEPを有するペルフルオロビニルエーテル(PVE)の使用を含む。フルオロサーモプラストの工程速度が増加する一方、機械的特性を保持するための試みにおいて、PVEを(フルオロサーモプラストのコモノマーとして)追加する。しかし、フルオロサーモプラストへのPVEの追加の取り込みは、製造費を増大させ、望ましくない場合がある。更に、金型デポジット(「メヤニ(die drool)」)の構成は、特に、フルオロサーモプラストの広いMWDとともに生じてもよい。ワイヤおよびケーブルの絶縁など、高速押出成形手順において、金型デポジットの大きな集積は、型から離し、溶融コーンの切断(「コーンの破損」)、およびそれによる製造プロセスの中断を生じる場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
比較的高速のせん断速度で溶融加工でき、比較的高い幅均一性を示すフルオロサーモプラスト、およびかかるフルオロサーモプラストの溶融加工を含む方法の必要性が存在する。
【0008】
一態様において、本発明は、第1の組成物の溶融加工を含む方法に関し、かかる第1の組成物は、溶融加工可能かつ熱可塑性のフルオロポリマー、またはそれぞれ100℃〜320℃の融点を有するフルオロポリマーのブレンドを含む。第1の組成物は、0.93〜1.0の緩和指数を有する第1のフルオロポリマーと、0.3〜0.92の緩和指数を有する第2のフルオロポリマーとを含む。押出成形製品は、比較組成物(比較組成物は、第1のポリマーを含み第2のポリマーを含まない)の溶融加工により形成される比較押出成形製品に比べて低い幅均一性指標値を有する(すなわち、より均一である)。
【0009】
別の態様において、本発明は、押出成形製品をもたらすための上述の第1の組成物の溶融加工を含む方法に関し、かかる第1のフルオロポリマーおよび第2のフルオロポリマーは、溶融加工可能でありかつ熱可塑性であり、100℃〜320℃の融点を有する。更に、第1のフルオロポリマーおよび第2のフルオロポリマーは有機溶媒に可溶性であってよく、個々の構成成分は、第1のフルオロポリマーについては0〜0.1の長鎖分枝指数(LCBI)、第2のフルオロポリマーについては少なくとも0.2のLCBIで特徴付けられる。そのように得られた押出成形製品は、比較組成物(比較組成物は、第1のポリマーを含み第2のポリマーを含まない)の溶融加工により形成される比較押出成形製品に比べて低い幅均一性指標値を有する。
【0010】
更に別の態様において、本発明は、押出成形製品をもたらすための第1の組成物の溶融加工を含む方法に関し、かかる第1の組成物はコアシェルポリマーを含む。コアシェルポリマーは、第1のフルオロポリマー部分と、第2のフルオロポリマー部分とを有する。第1のポリマー部分と同一の化学構造を有するフルオロポリマーは0.93〜1.0の緩和指数を有し、第2のフルオロポリマー部分と同一の化学構造を有するフルオロポリマーは0.3〜0.92の緩和指数を有する。押出成形製品は、比較組成物(比較組成物は0.93〜1.0の緩和指数を有する第1のポリマー部分と同一の化学構造を有するフルオロポリマーを含み、比較組成物は0.3〜0.92の緩和指数を有する第2のフルオロポリマー部分と同一の化学構造を有するポリマーを含まない)の溶融加工により形成される比較押出成形製品に比べて低い幅均一性指標値を有する。
【0011】
一部の実施形態において、本明細書に記載の方法が、第1のフルオロポリマー単独の臨界せん断速度と比較して、増大した臨界せん断速度を有する押出成形製品をもたらすことができると判明した。また、一部の実施形態において、組成物は、伸長変形(延伸)下で、一般に溶融伸長を増加させる、著しいひずみ硬化を示す場合がある。本事象は、直鎖ポリマー連鎖構造を有する従来の現況技術ポリマーでは観測されない。ひずみ硬化は、コーンの異質を治癒するために溶融力を誘発する(いわゆる自己治癒効果)。その結果、こうした実施形態では、押出成形物品の幅および/または厚さは、均一性の向上を示す場合がある。本粘弾性的特性は、高い延伸比を用いる利用に適する組成物の実施形態を作製する。
【0012】
更なる態様において、本説明は、物品の押出成形、特にワイヤおよびケーブル、チューブおよびフィルムの押出成形、ならびにブロー成形プロセスにおける上述の組成物の使用に関する。
【0013】
別の態様において、本説明は押出成形製品をもたらす第1の組成物の溶融加工を含む方法に関し、かかる第1の組成物は、0.93〜1.0の緩和指数を有する第1のフルオロポリマーと、0.3〜0.92の緩和指数を有する第2のフルオロポリマーとを含み、第1のフルオロポリマーおよび第2のフルオロポリマーは溶融加工可能でありかつ熱可塑性であり、100℃〜320℃の融点を有する。押出成形製品は、比較組成物(比較組成物は第1のポリマーを含み第2のポリマーを含まない)の溶融加工により形成される比較押出成形製品の厚さ均一性指標値の4分の1未満の厚さ均一性指標値を有する。この割合は、すべての伸長率においてみられる必要はないが、少なくともある伸長率の値(例えば、1〜10 1/s)において必要がある。本明細書で提供し、かつ本発明の実施例から明らかなように、改善がみられたものの相対寸法は、押出成形型の寸法、押出成形の種類(フィルム、パイプなど)、およびその他条件に関連する場合がある。
【0014】
本説明に関連して、ポリマーを押出するために使用される従来の押出成形装置においてポリマーを加工することができるように、ポリマーの溶融粘度が十分低い場合、フルオロポリマーは、溶融加工可能であると考えられる。これは、典型的には、加工温度(例えば、250〜400℃)において、10Pas、好ましくは10〜10Pas以下の溶融粘度に相当する。
【0015】
本発明に関連して、用語「コポリマー」とは、明示的に記載されないその他のモノマーから誘発される、その他の更なる反復単位の選択を除外しないで、記載されないモノマーから誘発される反復単位を含むポリマーを意味することを一般に理解するべきである。したがって、例えば用語「モノマーAおよびBのコモノマー」とは、ターポリマーおよびクアドポリマーなど、AおよびBより他の更なるモノマーを有するポリマーに加えて、AおよびBのバイナリーポリマーを含む。
【0016】
明細書に記載する押出成形物品および本方法に関して、用語「幅均一性」および「厚さ均一性」は、押出成形物品の幅または厚さの標準偏差を示す「均一性指標値」として表すことができる。均一性指標値が低いほど、物品が有する均一性が高くなる。均一性指標値は、以下のように表すことができる。
【0017】
幅均一性指標値
【数1】

式中、
:(幅均一性指標値)平均フィルム幅
【数2】

から選択された位置iにおけるフィルム幅の平均偏差
n:無作為に選択された位置の数
i:無作為に選択された位置
:無作為に選択された位置iで測定されたフィルム幅
【数3】

:全選択位置における平均フィルム幅
厚さ均一性指標値
【数4】

式中、
:(厚さ均一性指標値)平均フィルム厚さ
【数5】

から選択された位置iにおけるフィルム厚さの平均偏差
n:無作為に選択された位置の数
i:無作為に選択された位置
:無作為に選択された位置iで測定されたフィルム厚さ
【数6】

全選択位置における平均フィルム厚さ
【発明を実施するための形態】
【0018】
フルオロサーモプラスチックの加工性を向上する方法の開発が必要である。他のテクニカルポリマーと比べると、フルオロポリマーの分子量分布(MWD)は比較的狭い(典型的にはMw/Mnが1.6〜2.5)。MWDが狭いと、際立ったニュートン粘性平坦部をともなう平坦で類似する粘度カーブが得られる。この加工挙動(低構造粘性)は、フルオロポリマーの溶融加工中の、ずり減粘の顕著な低下をもたらす傾向がある。
【0019】
ずり減粘が顕著に低下すると、フルオロポリマー溶融押出の加工障害をもたらす傾向を示す場合がある。しかし、多峰性ポリマーの使用など、加工性向上のための古典的な解決法では、フルオロポリマーシステムにおける機械的特性の低減につながる場合がある。
【0020】
本説明において、長鎖分枝を有するフルオロポリマーと線状フルオロポリマーとの混合物を含む溶融加工組成物は、MWDを比較的狭く保持(したがって、フルオロポリマーの有益な機械的特性を保有)しつつも、改善された加工性を示す場合があると判明している。これらの混合物を含むこうした組成物の溶融レオロジー特性は、線状フルオロポリマー単独のものとは基本的に異なる。長鎖分枝を有するフルオロポリマーを含む組成物は、広いMWDを有する線状物質でのみ達成され得る顕著な構造粘性を示す。
【0021】
本説明により更に、長鎖分枝を有するフルオロポリマーを含む溶融加工組成物が、延伸流における顕著なひずみ硬化の利益を得る場合があると判明される。このひずみ硬化挙動は、溶融押出プロセスなどに延伸力が関与する押出成形プロセスにおいて、多大な加工有利性をもたらすことができる。溶融押出成形プロセスとしては、例えば、溶融紡糸、ワイヤおよびケーブル押出成形、ブローンフィルム、ホース押出成形、フィルム押出成形、チューブ押出成形、および中空体のブロー成形が挙げられる。ひずみ硬化が増加すると、一部の実施形態において、押出成形溶融コーンの安定性の増加をもたらす場合がある。更に、溶融した外形における局所性狭窄は、自己治癒できる。その結果、押出成形物品は、自己治癒でき、それにより高度の幅均一性、ならびに壁厚さの均一性が得られる。
【0022】
本明細書に記載の方法により製造された溶融押出物品の全般品質は、これまでの方法より改善することができる。更に、本明細書に記載の方法により製造された物品は、幅均一性指標値が比較的低いため、製造されるスクラップ材料が少ない。したがって、本発明は、これまでの方法よりも、ある程度の経済的および環境的利点をもたらすことができる。
【0023】
一態様において、本発明は、第1の組成物の溶融加工を含む方法に関し、かかる第1の組成物は、溶融加工可能かつ熱可塑性のフルオロポリマー、またはそれぞれ100℃〜320℃の融点を有するフルオロポリマーのブレンドを含む。第1の組成物は、0.93〜1.0の緩和指数を有する第1のフルオロポリマー、と0.3〜0.92の緩和指数を有する第2のフルオロポリマーとを含む。押出成形製品は、比較組成物(比較組成物は、第1のポリマーを含み第2のポリマーを含まない)の溶融加工により形成される比較押出成形製品に比べて低い幅均一性指標値を有する(すなわち、より均一である)。
【0024】
一実施形態において、第2のフルオロポリマーは、(a)1つ以上のガス状のフッ素化モノマーと、(b)1つ以上の変性剤と、(c)非ガス状のフッ素化モノマーおよび非フッ素化モノマーとから任意に選択される1つ以上のコモノマーから誘導される。一実施形態において、1つ以上の変性剤は、臭素またはヨウ素原子の二重結合の少なくとも1つの炭素を有するオレフィンである。Brおよび/またはI原子を含むものとは別として、オレフィンは、すなわちフッ素原子を含まない非フッ素化であってよく、すなわち一部であるがすべてではない水素原子がフッ素原子で置換されている、部分的にフッ素化されているものであってよく、またはオレフィンは、すべての水素原子がIまたはBrで置換されているものを除いたフッ素原子で置換されている完全フッ素化化合物であってよい。
【0025】
特定の実施形態において、オレフィンは、一般式:
C=CXZ
式中、それぞれのXは、同一または異なるものであってよく、少なくとも1つのXは、BrまたはIを示し、Zは、水素、F、Cl、Br、I、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基またはペルフルオロポリエーテル基を示す条件を有する、水素、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択される。ペルフルオロアルキル基の例は、例えば1つから5つの炭素原子、1つから8つの炭素原子を有する、直鎖または分枝鎖ペルフルオロアルキル基を含む。ペルフルオロアルコキシ基の例は、アルキル基において、それによって、アルキル基は、直鎖または分枝鎖であってもよい、例えば1つから5つの炭素原子、1つから8つの炭素原子を有するものを含む。例として、以下の式に相当するものなどのペルフルオロポリエーテル基が挙げられる。
−O(RO)(RO)
式中、RおよびRは、1〜6個の炭素原子、特に2〜6個の炭素原子からなるそれぞれ直鎖または分枝鎖ペルフルオロアルキレン基であり、mおよびnは、独立して、m+nが少なくとも1である0〜10であり、Rは、1〜6個の炭素原子からなるペルフルオロアルキル基である。
【0026】
特定の実施形態において、式XC=CXZのオレフィンを使用することができ、式中、Xは、少なくとも1つのXがBrを示し、Zは、水素、F、Br、ペルフルオロアルキル基またはペルフルオロアルコキシ基を示す条件を有する、水素、FおよびBrから選択される。オレフィンの特定例としては、1−ブロモ−1,2,2,−トリフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン(BTFEと称する)、臭化ビニル、1,1−ジブロモエチレン、1,2−ジブロモエチレン、1−ブロモ−2,3,3,3−テトラフルオロ−プロペン、1−ブロモ−2,2−ジフルオロエチレン(BDFE)が挙げられる。また、オレフィンを含む臭素またはヨウ素の混合物を使用することを意図する。
【0027】
その他の実施形態において、第2のフルオロポリマーは、少量のヨード(ペルフルオロアルキル)エチレンで重合されたテトラフルオロエチレンの熱硬化性のないコポリマーである。具体的には、ヨード(ペルフルオロアルキル)エチレンは、4−ヨード−3,3,4,4−テトラフルオロブテン−1(ITFB)であってよい。当業者は、得られるポリマーが例えば0.3から0.92の範囲、0.92未満の緩和指数を有する限り、変性剤は特に限定されないことを認識するであろう。
【0028】
本発明の更なる実施形態において、変性剤は、以下の式:
C=CX−R−Br
式中、それぞれのXは、独立して、水素、フッ素、臭素、塩素またはヨウ素を示し、Rは、典型的には1つから8つの炭素原子を有する、ペルフルオロアルキレン基、ペルフルオロオキシアルキレン基または二価のペルフルオロポリエーテル基である。臭素は、R基の末端部分にあってよい(すなわち、第1炭素原子上)が、別の方法としては、R基の鎖に沿って含有してもよい(すなわち、第2または第3炭素原子上)。このようなオレフィンの例として、以下のものが挙げられる。
CH=CH−(CF−CFBr、式中、xは、0から5、
CF=CF−(CF−CFBr−CF、式中、xは、0から5、
CF=CF−(CF−CFBr、式中、xは、0から5、
CH=CH−O−(CF−CFBr、式中、xは、0から5、
CF=CF−O−(CF−CFBr、式中、xは、0から5、
CF=CF−(O−CF−CF−O)−(CF−CFBr、式中、xは、0から3、yは、0から5、
CF=CF−O−(CF−CF−(CF)−O−)−(CF−CFBr、式中、xは、0から3であり、yは、0から5、
CF=CH−O−(CF−CFBr、式中、xは、0から5、
CH=CF−O−(CF−CFBr、式中、xは、0から5。
【0029】
本発明の更なる実施形態において、二重結合で臭素またはヨウ素原子を有する1種以上のオレフィンと式XC=CX−R−Brにしたがうオレフィンの混合物が使用される。
【0030】
別の実施形態において、変性剤は、式CH=CH−R−CH=CHで表してもよく、式中、Rは、1つ以上のO原子を任意に含む二価のペルフルオロ脂肪族基、ペルフルオロアリーレン基、およびペルフルオロアルカリーレン基から選択される。二価のペルフルオロ脂肪族基は、例えば、ペルフルオロアルキレン基およびペルフルオロオキシアルキレン基を含む。本実施形態において、例えば、1,8−ジビニルペルフルオロ(オクタン)、1,6−ジビニルペルフルオロ(ヘキサン)、および1,4−ジビニルペルフルオロ(ブタン)を含む。
【0031】
更に別の実施形態において、変性剤は、ビスオレフィンから誘発されるモノマー単位であってよい。このようなビスオレフィンは、以下の一般式のうち1つを有するものとして説明できる。
CR=CF−(CF−O−(CF−CF=CR
CR=CF−CF−O−Rf−O−CF−CF=CR
X−Rf−Y
XおよびYは、互いに独立して、以下のうちの1つである
C=CR−、RC=CR−O−、RC=CR−CR−O−、
式中、それぞれのR、R、R、RおよびRは、独立して、Rf、FまたはHから選択される、
Rfは、Rfからなる群から選択されるか、または線状若しくは分枝状ペルフルオロアルキル、ペルフルオロアルキルエーテル若しくはペルフルオロアルキルポリエーテル残基であり、および
Rfは、非フッ素化またはフッ素化または完全フッ素化アリールであり、これは(オレフィン部分に加えて)非置換であってもよいしまたは次のものにより置換されていてもよく
− 1つ以上のF以外のハロゲン、
− 1つ以上の完全フッ素化アルキル残基、
− 1つ以上の完全フッ素化アルコキシ残基、
− 1つ以上の完全フッ素化ポリオキシアルキル残基、
− 1つ以上のフッ素化、完全フッ素化、または非フッ素化フェニル若しくはフェノキシ部分、またはこれらの組み合わせ、およびフェニル若しくはフェノキシ残基は、非置換であってもよく、または1つ以上の完全フッ素化アルキル、アルコキシ、若しくはポリオキシアルキル残基またはF以外の1つ以上のハロゲン、またはこれらの組み合わせにより置換されていてもよく、
nおよびmは、互いに独立して0〜6の整数であるが、ただし、nおよびmは、両方ともが0ではないことを条件とする。
【0032】
本説明による第2のフルオロポリマーは、いわゆる長鎖分枝を有する。つまり、主鎖からの1つ以上の分枝が存在するため、ポリマーは直鎖ではない。理論に成約される意図なく、フルオロポリマーの主鎖に重合されると、これらの分枝は、変性剤からの臭素またはヨウ素原子の抽出から生じる。主鎖上に生成されたラジカルは、その後、主鎖上に分枝としてポリマー鎖を形成する結果とともに更に重合をもたらす場合がある。かかる分枝は、長鎖分枝またはLCBとして当該技術分野において既知である。
【0033】
溶融加工可能なポリマー組成物に使用される第2のフルオロポリマーは、非直鎖ポリマー、すなわち分枝状ポリマーである。フルオロポリマーが有機溶媒に可溶性がある場合、分枝または非直鎖のレベルは、長鎖分枝指数(LCBI)を通して特徴付けることができる。LCBIは、R.N.シュロフ(Shroff)、H.マブリジス(Mavridis);高分子(Macromol.)、32、8464−8464(1999)および34、7362−7367(2001)に記載のように、以下の式により決定することができる。
【数7】

【0034】
上記の式では、分枝フルオロポリマーが溶融され得る溶媒中で、η0,brは、温度Tで測定された分枝フルオロポリマーのゼロ剪断粘度(単位Pas)であり、および[η]brは、温度T’における分枝フルオロポリマーの固有粘度(単位ml/g)であり、ならびにaおよびkは定数である。これらの定数は、次の等式から決定される。
【数8】

式中、η0,linおよび[η]linはそれぞれ、対応する線状フルオロポリマーのそれぞれ同じ温度TおよびT’ならびに同じ溶媒中で測定されたゼロ剪断粘度および固有粘度を表す。したがって、LCBIは、測定温度の選択および供給される溶媒には依存しないが、当然のことながら、同一の溶媒および温度を式5および6で使用する。
【0035】
値aおよびkは、溶融加工可能なポリマー組成物に使用されてもよいいくつかのフルオロポリマーのための試験条件に合わせて、記載される。
【表A】

【0036】
上記では、ポリマーのモノマー単位の指数は、モル%中のそれぞれの単位の量を示し、試験条件は、以下のようである。
A:265℃での剪断粘度および35℃でのメチルエチルケトン中の固有粘度
B:230℃でのせん断粘度および23℃でのジメチルホルムアミド中の固有粘度
C:230℃でのせん断粘度および110℃でのジメチルホルムアミド中の固有粘度
定数「a」は、試験したフルオロポリマーに独立していると思われ、k値は、フルオロポリマーの組成物および使用した試験条件で異なることが上記から観測できる。
【0037】
第2のフルオロポリマーのLCBIは、例えば、少なくとも0.2の値を有してよい。第2のフルオロポリマーのLCBIは、少なくとも0.3、少なくとも0.4、または更には少なくとも0.5であってよい。LCBIの上限は、本発明により特に限定されないが、10まで、5まで、または更には2までであってよい。一般に、溶融の欠陥を削減するために第2のフルオロポリマーの有効性は、類似のゼロせん断速度粘度(η)を有するポリマーに対するLCBI値の増加とともに増加する。しかしながら、分枝(およびLCBI値)のレベルが大きすぎる場合、フルオロポリマーは、有機溶媒に溶融できないゲル分率を有する場合がある。本観察は、フルオロポリマー処理器の操作範囲に実用限界を与える場合があるが、本明細書に記載の発明の上限を示すとは限らない。分枝のこのような高レベルで、溶融加工可能な溶融加工可能なポリマー組成物の処理におけるフルオロポリマーの効果は、フルオロポリマーの溶融粘度が高すぎる場合、低減する場合がある。当業者は、LCBIの適切な値を容易に決定することができる。一般に、LCBIは、0.2から5、例えば、0.4から2.0であってよい。
【0038】
フルオロポリマーがいずれの有機溶媒にも不溶性である場合、分枝または非直鎖のレベルは、代替的に、緩和指数nを通して特徴付けることができる。国際公開第2004/094491号に開示されるように、分枝状フルオロポリマーの緩和指数nは、典型的に0.90まで、例えば、0.2以上、0.3以上、更には0.35以上、0.85まで、更には0.92までである。一般に、nが1に近い場合、分枝鎖がより少なくなる。
【0039】
長鎖分枝のレベルおよびフルオロサーモプラストの緩和指数は、使用した変性剤の量の変化により、容易かつ再生可能な方法で制御することができる。したがって、一般に、変性剤が少量であるほど緩和指数が高く、変性剤が多量であるほど緩和指数が減少する。更なる情報は、スタンゲ(Stange)らによる、「高分子(Macromol.)」、第40巻、第7号、p.2409(2007年)に開示されている。重合条件などのその他の要因が長鎖分枝のレベルおよび緩和指数にもある程度影響する場合があるが、必要とされる変性剤の量は、典型的には、重合に与えるモノマーの総重量に基づいて、0.4重量%までである。変性剤の有効量は、0.01重量%、または更に0.05重量%から0.25重量%まで、更に0.4重量%、またはそれより高くてもよい。変性剤は、重合の開始時に添加でき、および/または連続的な方法で、および/または少量ずつ、重合中、添加してもよい。
【0040】
本発明の第2のフルオロポリマーは、100〜320℃の融点を有する、結晶性であってよい。これらの第2のフルオロポリマーは、硬化できない、または過酸化物硬化システムを使用してのみかろうじて硬化でき、使用する場合、いくつかの変性剤は、臭素および/またはヨウ素原子を含む場合があるという事実にもかかわらず、臭素および/またはヨウ素原子をポリマー鎖に導入することができる。変性剤を使用する場合、変性剤の量は少なすぎて、重合反応後、いずれの臭素またはヨウ素原子が残っても、フルオロエラストマーの作製において、観測され、必要とされる実質的な硬化を可能にするには、十分ではない。
【0041】
第1のフルオロポリマーおよび第2のフルオロポリマーを含むポリマー組成物は、著しいひずみ硬化を示すという事実により特徴付けられる。ひずみ硬化は、無次元ひずみ硬化係数Sにより定量化することができる。Sを決定する1つの方法は、ARレオメーター(ティーエーインスツルメンツ(TA Instruments)、米国デラウェア州ニューキャッスル(New Castle))などの特別な伸長装置を装備した変形制御したレオメーターにおいて、伸長実験を行う方法である。この市販されている機器の設定において、本発明の組成物の第2のフルオロポリマーは、伸長率ε0.3〜10 1/sの範囲で、少なくとも1.2のひずみ硬化変数Sを示す。伸長率ε=1 1/sで1.2よりも小さいSを有するポリマーは、通常、線状ポリマー鎖構造を有すると分類される。
【0042】
Sを決定する代替的方法は、スピン力を測定可能な溶融スピン装置により得られる。既知の装置には、例えば、レオテンス(Rheotens)(ゲットフェルト(Goettfert)、ドイツ、ブッヘン(Buchen))が挙げられる。定義された条件下(定義されたダイ形状および定義された押出成形率)で記録された押出成形圧力pで除された最大スピン力Fmax.は、ひずみ硬化に関連する。本明細書に記載の第2のフルオロポリマーは、cN/バールの単位で与えられた、少なくとも0.064の技術的係数Fmax/pを示す。0.064よりも小さいFmax/pを有するポリマーは、線状ポリマーとして分類してよい。技術的係数Fmax/pは、以下の方法でひずみ硬化係数S(伸長率1 1/sで定量化)に関連する。
【数9】

【0043】
本明細書に記載の第1のフルオロポリマーおよび第2のフルオロポリマーは、溶液中での重合、溶媒スラリー重合、懸濁液重合、超臨界COでの重合を含む、いずれの既知の重合技術を使用しても取得することができる。第1のフルオロポリマーおよび第2のフルオロポリマーはまた、水溶性エマルション重合処理を通して、作製してもよい。
【0044】
水溶性エマルション重合において、水溶性エマルション重合プロセスに使用するための反応槽は、典型的には、重合反応中に内部圧力に耐えることができる加圧可能な槽である。典型的には、反応槽は機械的攪拌器を包含し、これは反応装置内容物と熱交換システムとの完全な混合を生み出す。いかなる量のフルオロモノマー(類)が反応器に入れられてもよい。回分式、連続的な方法、または半連続的な方法において、モノマーを入れてもよい。モノマーをケトルに添加する独立した比率は、時間をともなう特定のモノマーの消費率により異なる。好ましくは、モノマーの添加率は、すなわちポリマーへのモノマーの変換である、モノマーの消費率に等しい。
【0045】
水溶性エマルション重合反応ケトルに臨界量でない量の水を入れ、水相を提供する。水相には一般にまた、フッ素化界面活性剤、典型的には、テロゲンでないフッ素化界面活性剤が添加される。当然のことながら、フッ素化界面活性剤を添加しない重合方法を用いる方法もまた好適である。使用する場合、フッ素化界面活性剤は、典型的に、0.01重量%から1重量%の量で使用される。好適なフッ素化界面活性剤は、水溶性エマルション重合で通常使用されるいずれのフッ素化界面活性剤を含む。
【0046】
一部の実施形態において、フッ素化界面活性剤は、以下の一般式に相当するものである。
Y−R−Z−M
式中、Yは、水素、ClまたはFを表し、Rは、4〜10個の炭素原子を有する線状または分枝状完全フッ素化アルキレンを表し、Zは、COOまたはSOを表し、Mは、アルカリ金属イオンまたはアンモニウムイオンを表す。本発明に使用される特定のフッ素化界面活性剤は、ペルフルオロオクタン酸およびペルフルオロオクタンスルホン酸のアンモニウム塩である。また、フッ素化界面活性剤の混合物も使用することができる。また、欧州特許第1,189,953号に記載されるようなフッ素化ポリエーテル界面活性剤は、本明細書に記載のポリマーの調製の使用のために検討される。
【0047】
更なる実施形態では、フッ素化界面活性剤として、以下の一般式(I)のアニオン性部分を有する非テロゲン性界面活性剤が挙げられる。
−O−L−CO (I)
式中、Rは、部分的フッ素化アルキル基、完全フッ素化アルキル基、1つ以上の酸素原子で中断された部分的フッ素化アルキル基、および1つ以上の酸素原子で中断された完全フッ素化アルキル基から選択され、Rは、1〜10個の炭素原子を有し、Lは、一般式(CX(式中、それぞれのXは、独立してR、フッ素、および水素から選択され、nは、1〜5から選択される)を有するアルキレン基であるが、ただし、界面活性剤は、少なくとも1つの−CH−単位および−CHF−単位から選択される単位を含有することを条件とする。
【0048】
更に別の実施形態では、フッ素化界面活性剤として、以下の一般式(II)を有するフッ素化カルボン酸またはそれらの塩から選択される、1種以上のフッ素化界面活性剤が挙げられる。
[R−O−L’−COOi+ (II)
式中、L’は、直鎖状部分フッ素化若しくは全部フッ素化アルキレン基または脂肪族炭化水素基を表し、Rは、直鎖状部分フッ素化若しくは全部フッ素化脂肪族基または1つ以上の酸素原子で中断された直鎖状部分フッ素化若しくは全部フッ素化脂肪族基を表し、Xi+は、価数iを有するカチオンを表し、iは、1、2、または3である。
【0049】
式(II)に従う化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる
f’−O−CHF−COOH
−O−CHF−COOH
CF−O−CFCF−CF−O−CHF−COOH
CFCFCF−O−CFCF−CF−O−CHF−COOH
CF−O−CF−CF−O−CHF−COOH
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CHF−COOH
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−COOH
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−COOH

f’−O−CHF−CF−COOH
CF−O−CHF−CF−COOH
CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−COOH
CF−CF−O−CHF−CF−COOH
CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−COOH
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−COOH
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−COOH
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CHF−CF−COOH
CF−CHF−O−CF−CF−O−CHF−CF−COOH
CF−CHF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−COOH

f’−O−CF−CHFCOOH
CF−O−CF−CHF−COOH
−O−CF−CHF−COOH
CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−COOH
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−COOH
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−COOH
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−COOH

f’−O−CF−CHF−CFCOOH
CF−O−CF−CHF−CF−COOH
−O−CF−CHF−CF−COOH
−O−CF−CHF−CF−COOH
CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CHF−CF−COOH
CF−O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−COOH
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−COOH
CF−(O−CF−O−CF−CF−O−CF−CHF−CF−COOH

f’−(O)−CHF−CF−O−(CH2)n−COOH(n=1、2または3、m=0または1)
CF−O−CHF−CF−O−CH−COOH
CF−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−O−CH−COOH
−O−CHF−CF−O−CH−COOH
−O−CHF−CF−O−CH−CH−COOH
−O−CF−CF−O−CHF−CF−OCHCOOH
−O−CF−CF−CF−O−CHF−CF−OCHCOOH
−O−CF−CHF−CF−OCHCOOH
CF−CHF−CF−O−CHCOOH
−CF−CHF−CF−OCH−COOH
CF−O−CF−CF−O−CH−COOH
CF−O−CF−CF−CF−O−CF−CF−O−CH−COOH
−O−CF−CF−O−CH−COOH
−O−CF−CF−O−CH−CH−COOH
−O−CF−CF−O−CF−CF−OCHCOOH
−O−CF−CF−CF−O−CF−CF−OCHCOOH
−O−CF−CF−CF−OCHCOOH
−O−CH−COOH
−O−CH−CH−COOH
−O−CHCOOH
13−OCH−COOH

f’−O−CF−CF−COOH
CF−O−CF−CF−COOH
−O−CF−CF−COOH
−O−CF−CF−COOH
−O−CF−CF−COOH

f’−(O−CF−O−CF−COOH(uは、1、2、3、4、5または6の整数)
CF−(O−CF−O−CF−COOH
CF−(O−CF−O−CF−COOH
CF−(O−CF−O−CF−COOH

−(O−CF−CF−O−CF−COOH(kは、1、2、または3)
CF−(O−CF−CF−O−CF−COOH
−(O−CF−CF−O−CF−COOH
−(O−CF−CF−O−CF−COOH
−(O−CF−CF−O−CF−COOH
−(O−CF−CF−O−CF−COOH
CF−(O−CF−CF−O−CF−COOH
−(O−CF−CF−O−CF−COOH
−(O−CF−CF−O−CF−COOH

f’−O−CF−COOH
−O−CF−COOH
CF−O−CF−CF−CF−O−CF−COOH

CF−CHF−O−(CF−COOH(oは、1、2、3、4、5、または6の整数)
CFCFH−O−(CF−COOH
CFCFH−O−(CF−COOH

CF−CF−O−(CF−COOH(oは上記の通り)
CF−CF−O−(CFCOOH
CF−CF−O−(CFCOOH
【0050】
上記の一般式では、Rは一般式(II)に関して上記で定義した意味を有する。上記リストの化合物は酸のみを列挙しているが、相当する塩、特にNH塩、カリウム塩、ナトリウム塩またはリチウム塩も同様に使用できることが分かる。
【0051】
重合の開始前に、反応ケトルに連鎖移動剤を入れてよい。有用な連鎖移動剤には、エタンのようなC〜C炭化水素、アルコール、エーテル、脂肪族カルボン酸エステルおよびマロン酸エステルを包含するエステル、ケトンおよびハロカーボンが挙げられる。特に有用な連鎖移動剤は、ジメチルエーテルおよびメチル第3ブチルエーテルなどのジアルキルエーテルである。また、重合中、連続的または半連続的な方法で、連鎖移動剤の更なる添加を実行してよい。例えば、二分子の分子量分布を有するフルオロポリマーは、連鎖移動剤の初期量の存在下で、第1の重合フッ素化モノマーにより適宜調製され、その後、追加のモノマーとともに更に連鎖移動剤を重合した時点で添加される。
【0052】
反応開始剤または反応開始剤システムに水相を添加することにより、モノマーの初期変更後、通常、重合を開始する。例えば、ペルオキシドはフリーラジカル反応開始剤として使用され得る。過酸化物反応開始剤の具体例としては、過酸化水素、ジアシルペルオキシド、例えばジアセチルペルオキシド、ジプロピオニルペルオキシド、ジブチリルペルオキシド、ジベンゾイルペルオキシド、ベンゾイルアセチルペルオキシド、ジグルタル酸ペルオキシドおよびジラウリルペルオキシド、ならびに更なる水溶性過酸および例えばアンモニウム、ナトリウム、またはカリウム塩のようなそれらの水溶性塩が挙げられる。過酸の例としては過酢酸が挙げられる。過酸のエステルも同様に使用することができ、そしてそれらの例としては、第3ブチルペルオキシアセテートおよび第3ブチルペルオキシピバレートが挙げられる。使用することができる開始剤の更なるクラスは水溶性アゾ化合物である。開始剤として用いるために適するレドックス系には、例えばペルオキソジスルフェートと亜硫酸水素または二亜硫酸水素の組み合わせ、チオスルフェートとペルオキソジスルフェートの組み合わせ、ペルオキソジスルフェートとヒドラジンの組み合わせが挙げられる。使用することができる更なる開始剤は、過硫酸塩、過マンガン酸またはマンガン酸あるいは2種以上のマンガン酸のアンモニウム塩、アルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩である。用いられる開始剤の量は、重合混合物の全重量を基準にして典型的には0.03〜2重量%の間、好ましくは0.05〜1重量%の間である。反応開始剤の全量は重合の開始時に添加してよいか、または反応開始剤は、送り込んだモノマーの70〜80%の転化が達成されるまでに、重合中に連続方式で重合に添加できる。反応開始剤の一部を開始時に添加し、そして残りを重合中に一度にまたは更に別々に分けて添加することもできる。また、例えば鉄、銅および銀の水溶性塩などの促進剤を添加してもよい。
【0053】
重合反応の開始中、密閉した反応ケトルおよびその内容物を反応温度まで適宜予熱する。重合温度は、20℃から、30℃から、または更には40℃からであってもよく、および更には100℃まで、110℃まで、または更には150℃までであってもよい。重合圧力は、例えば、400〜3000kPa(4〜30バール)、特には800〜2000kPa(8〜20バール)の範囲であってもよい。水溶性エマルション重合システムは更に、緩衝剤および錯体フォーマーなどの助剤を含んでよい。
【0054】
重合の終了で取得することができるポリマー固体の量は、典型的には少なくとも10重量%、または更に少なくとも20重量%、最高40重量%、または更に最大45重量%であり、得られるフルオロポリマーの平均粒子サイズは、典型的には50ナノメートルから500ナノメートルまでである。
【0055】
別の実施形態では、第1のフルオロポリマーおよび第2のフルオロポリマーを溶媒スラリー重合技術により得ることができる。例えば、フルオロポリマーを、以下から選択される低テロゲン性ハイドロフルオロエーテル(HFE)を含む重合媒体において、少なくとも1種のフッ素化モノマーの重合を含むプロセスにより製造してよい。
a)式RCHOCFHのHFE
式中、Rは、線状部分的フッ素化アルキル基、1つ以上の酸素原子で中断された線状部分的フッ素化アルキル基、分枝状部分的フッ素化アルキル基、1つ以上の酸素原子で中断された分枝状部分的フッ素化アルキル基、および完全フッ素化アルケニル基から選択され、
の炭素原子の総数は、7以上である。
b)式:
−O−RのHFE
式中、Rは、(CFCF−CHF−CF(CF)−、(CFCF−(CHF−CF)−、(CFCH−C(CF(CF−、(CFC−CH−(CF−(CF−、(CFC−CH(CFCF)(CF−(CF)−および(CFCH−C(CFCF)(CF(CF)−から選択され、Rは、−C−Xであり、ここで、Xは、H、F、完全フッ素化アルキル基、または部分的フッ素化アルキル基から選択される。
c)(b)の式のHFE、式中、Rは、(CFCH−CF−および(CFC=CF−から選択され、Rは、−C−X、および−CH−(CF−Hから選択され、ここで、Xは、H、F、完全フッ素化アルキル基または部分的フッ素化アルキル基から選択され、n=4〜6である。
d)(b)の式のHFE、式中、Rは、HCFCF−およびCF−CHF−CF−から選択され、Rは、−CH(CFHから選択され、nは、式Iの炭素原子の総数が9以上になるように選択される。
e)RO(CFCFCFOCHFCF、ここで、n=2〜4であり、Rはペルフルオロアルキルであるもの;CFCHFO(CFOCHFCF、ここで、n=4〜6であるもの;HCF(OCFOCFH、ここで、n=2〜6であるもの;およびHCF(OCFCFOCFH、ここで、n=2〜6であるものから選択されるHFEポリエーテル。
【0056】
重合プロセスは、1つ以上のガス状のフッ素化モノマー(完全フッ素化されていてもされていなくてもよい)の重合を含む。ガス状のフッ素化モノマーの例としては、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、ヘキサフルオロプロピレンなどのペルフルオロアルキルビニルモノマー、完全フッ素化される場合があるフッ素化アリルエーテルおよびフッ素化アルコキシビニルエーテル、ペルフルオロメチルビニルエーテルなど、完全フッ素化される場合もあるフッ素化ビニルエーテルが挙げられる。ガス状のフッ素化モノマーを使用して共重合のために使用することができるコモノマーとしては、非ガス状のフッ素化モノマー、すなわち、重合の条件下で液相の、エチレンおよびプロピレンなどの非フッ素化モノマーが挙げられる。
【0057】
本発明のプロセスに使用することができるペルフルオロビニルエーテルの例は、式:
CF=CF−O−R
式中、Rは、1つ以上の酸素原子を含有してもよい完全フッ素化脂肪族基を表す。特に、以下の式に相当する完全フッ素化ビニルエーテルが好ましい。
CF=CFO(RO)(RO)
式中、RおよびRは、1〜6個の炭素原子、特に2〜6個の炭素原子からなる異なる線状または分枝状ペルフルオロアルキレン基であり、mおよびnは、独立して、0〜10であり、Rは、1〜6個の炭素原子からなるペルフルオロアルキル基である。完全フッ素化アルキルビニルエーテルの特定例として、ペルフルオロメチルビニルエーテル(PMVE)、ペルフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)、およびペルフルオロn−プロピルビニルエーテル(PPVE−1)が挙げられる。完全フッ素化アルコキシビニルエーテルの特定例として、ペルフルオロ−2−プロポキシプロピルビニルエーテル(PPVE−2)、ペルフルオロ−3−メトキシ−n−プロピルビニルエーテル(MV−31)、ペルフルオロ−2−メトキシ−エチルビニルエーテルおよびCF−(CF−O−CF(CF)−CF−O−CF(CF)−CF−O−CF=CF(PPVE−3)が挙げられる。一部の前述のペルフルオロビニルエーテルは、重合の条件下で液体であり、したがって、非ガス状のフッ素化モノマーである。好適なフッ素化ビニルモノマーは、以下の一般式に相当する。
CF=CF−RまたはCH=CH−R
式中、Rは、1〜10個、好ましくは1〜5個の炭素原子からなるペルフルオロアルキル基またはペルフルオロアルコキシ基を示す。ペルフルオロアルキルビニルモノマーの典型的な例は、ヘキサフルオロプロピレンである。
【0058】
本発明によるプロセスで製造されるフルオロポリマーの例として、テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、テトラフルオロエチレンおよびペルフルオロビニルエーテル(例えば、PMVE、PPVE−1、PPVE−2、またはPPVE−1およびPPVE−2の組み合わせ)のコポリマー、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデンのコポリマー、クロロトリフルオロエチレンとフッ化ビニリデンのコポリマー、テトラフルオロエチレンとエチレンのコポリマー、テトラフルオロエチレンとプロピレンのコポリマー、フッ化ビニリデンとペルフルオロビニルエーテル(例えば、PMVE、PPVE−1、PPVE−2、またはPPVE−1およびPPVE−2の組み合わせ)のコポリマー、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびペルフルオロビニルエーテル(例えば、PMVE、PPVE−1、PPVE−2、またはPPVE−1およびPPVE−2の組み合わせ)のターポリマー、テトラフルオロエチレン、エチレンまたはプロピレンおよびペルフルオロビニルエーテル(例えば、PMVE、PPVE−1、PPVE−2、またはPPVE−1およびPPVE−2の組み合わせ)のターポリマー、テトラフルオロエチレン、エチレンまたはプロピレンおよびヘキサフルオロプロピレンのターポリマー、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデンおよびヘキサフルオロプロピレンのターポリマー、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレンおよびペルフルオロビニルエーテル(例えば、PMVE、PPVE−1、PPVE−2、またはPPVE−1およびPPVE−2の組み合わせ)のターポリマー、ならびにテトラフルオロエチレン、エチレンまたはプロピレン、ヘキサフルオロプロピレンおよびペルフルオロビニルエーテル(例えば、PMVE、PPVE−1、PPVE−2、またはPPVE−1およびPPVE−2の組み合わせ)のコポリマーのコポリマーが挙げられる。
【0059】
上記のように、第2のフルオロポリマーの合成において、使用する場合、変性剤は、部分的に、または連続的な方法において、重合容器に添加してよい。変性剤は別々の注入口または保存シリンダーから重合に供給されてよい。代替的には、変性剤とフッ素化モノマーの混合物は、変性剤を重合に与えるために使用してよい。後方の方法は、長鎖分枝の更に均一な分布をもたらす第2のフルオロポリマーに、改善された均質な変性剤を提供できる。重合に与えるために変性剤を混ぜることができるモノマーとともに好適なフッ素化モノマーは、CTFE、HFPなどのフッ素化オレフィンおよびペルフルオロメチルビニルエーテルなどのペルフルオロビニルエーテルを含む。
【0060】
更に別の態様において、本発明は、第1の組成物の溶融加工を含む方法に関し、かかる第1の組成物は、第1のポリマー部分と同一の化学構造を有するフルオロポリマーが0.93〜1.0の緩和指数を有する第1のフルオロポリマー部分と、第2のフルオロポリマー部分と同一の化学構造を有するポリマーが0.3〜0.92の緩和指数を有する第2のフルオロポリマー部分とを有するコアシェルポリマーを含む。押出成形製品は、比較組成物(比較組成物は、0.93〜1.0の緩和指数を有する第1のポリマー部分と同一の化学構造を有するフルオロポリマーを含み、0.3〜0.92の緩和指数を有する第2のフルオロポリマー部分と同一の化学構造を有するポリマーを含まない)の溶融加工により形成される比較押出成形製品に比べて低い幅均一性指標値を有する。
【0061】
一部の実施形態において、第2のフルオロポリマー部分は、第1のフルオロポリマー部分の40重量%以内、更に30重量%以内、20重量%以内、または10重量%以内である、フッ素含量を有する。別の実施形態では、2つの部分のフッ素含量は、少なくとも1重量%、少なくとも5重量%、少なくとも10重量%、または更に少なくとも20重量%異なる。更に別の実施形態では、2つの部分のフッ素含量は同一である。
【0062】
第1のフルオロポリマーおよび第2のフルオロポリマー部分のそれぞれが同一化学構造を有するポリマーに加えて、コアシェルポリマーは、溶融加工可能で熱可塑性があり、それぞれは、100℃から320℃の融点を有する。
【0063】
本明細書に記載のコアシェルポリマーの調製方法は、(a)1つ以上の第1のガス状フッ素化モノマーと、(b)1つ以上の変性剤と、(c)非ガス状フッ素化モノマーおよび非フッ素化モノマーとから選択される、任意の1つ以上の第1のコモノマーとの重合、好ましくは水溶性乳化重合を含んでよい。かかる方法は、連鎖移動剤を重合工程に添加する工程を更に含んでよい。1つ以上のガス状フッ素化モノマーおよび任意のコモノマーをともなう1つ以上の変性剤と重合後、連鎖移動剤を添加する場合、取得したポリマー分子の平均鎖長を制御するために十分な量において、連鎖移動剤を添加してよい。この順序で、第2のフルオロポリマー部分を形成する。続いて、または代替的に、第2のフルオロポリマー部分の重合前に、かかる方法は、1つ以上の変性剤、1つ以上の第2のガス状フッ素化モノマーおよび任意に1つ以上の第2のコモノマーの不在下で、重合するステップを含む。第2のガス状フッ素化モノマーおよび任意の第2のコモノマーは、第1のガス状フッ素化モノマーおよび任意の第1のコモノマーと同一であってよい。本工程は、第1のフルオロポリマー部分を生成する。第1のフルオロポリマー部分は、コアまたはシェルのどちらかを作製してよく、第2のフルオロポリマー部分は、その他を作製してよい。
【0064】
コアシェルポリマーにおいて、コアポリマーおよびシェルポリマーの化学構造からの急激な改造でない場合がある。つまり、コアシェルポリマーは、ブロックコポリマーである必要はない。第1のフルオロポリマー部分および第2のフルオロポリマー部分は、一部分で分離し、コアの化学組成物は、シェルの化学組成物に遷移する場合がある。本遷移部分は、コアポリマーの一部の特性およびシェルポリマーの一部の特性を有する一般化学構造を有する場合がある。遷移領域におけるこれらの化学特性の相対量は、コアポリマーに近くとても類似しているコアから、シェルポリマーに近くとても類似しているシェルに変化する。上記に記載されるように、第1のフルオロポリマーまたは第2のフルオロポリマーのいずれかは、シェルを含むその他とともに、コアを含んでよい。本明細書で想到されるように、本明細書に提供される方法でコアシェルポリマーを使用するとき、第1のフルオロポリマー部分と第2のフルオロポリマー部分の質量比は、第1のフルオロポリマーと第2のフルオロポリマーを含む類似の第1の組成物における、第1のフルオロポリマーと第2のフルオロポリマーの比に類似するか、同一となるであろう。
【0065】
化学組成物における急変を本明細書で検討されたコアシェルポリマーに示す場合がある。例えば、いわゆるシードラテックスを使用して、コアシェルポリマーの調製によってこのような構造を取得してもよい。
【0066】
一部の実施形態において、1種以上の変性剤は、典型的に、重合に与えられるモノマーの総重量に基づいて0.4重量%まで、特に0.01から0.4重量%(またはより高く)までの量で使用される。第2のフルオロポリマーの形成に対して、本明細書に記載されるように、いずれの量において、変性剤を添加してもよい。
【0067】
PFAおよびFEP、またはコアシェルポリマーなど、分離した第1のフルオロポリマーおよび第2のフルオロポリマーは、後フッ素化、ポリマー検査後であってよい。後フッ素化中、フルオロポリマー中のいずれの残存する水素、臭素、および/またはヨウ素原子も、フッ素原子で置換することができる。更に、カルボン酸基、COF基、アミド基、および−CFCHOH基など、いずれの不安定な末端基も、フルオロポリマーの溶融加工中、HFを分解し、形成する場合があり、安定したCF基に変換することができる。フッ素化後、百万の炭素原子あたり30未満、20未満、または更に10未満の不安定な末端基がフルオロポリマーに存在するような十分な条件下で、実施される場合がある。したがって、それによって、不活性が高いフルオロポリマーを取得する場合がある。後フッ素化を、第1または第2のフルオロポリマーに、若しくはどちらでもなく、または双方に、実行してよい。
【0068】
本明細書に記載の第1の組成物の調製は、別の方法として、第1のフルオロポリマーと第2のフルオロポリマーを混合するステップを含んでよい。混合するステップは、第1のフルオロポリマーと第2のフルオロポリマーのそれぞれからなる、例えば、水溶性分散など、分散物の混合を含んでよい。かかる方法は、更に分散混合物を凝固するステップを含んでよい。混合するステップはまた、静的ミキサーにおいて、第1のフルオロポリマーと第2のフルオロポリマーの疑集体のブレンドを含む、あらゆる多くの他の技術により実行される場合がある。ブレンド物の均一性は、例えば単軸、若しくは2軸押し出し機、または内部ミキサー(例えば、ブラバリー(Brabury)ミキサー)での押出成形など、追加の溶融ブレンド工程により更に改善できる。
【0069】
組成物は、いずれの相対量においても、本明細書に記載されるように、第1のフルオロポリマーと第2のフルオロポリマーとを含んでよい。例えば、第2のポリマーの存在は、組成物の総重量に基づいて少なくとも90重量%、少なくとも50重量%、少なくとも20重量%、少なくとも10重量%、少なくとも5重量%、または更に少なくとも0.1重量%であってよい。第1のフルオロポリマーは、組成物の総重量に基づいて少なくとも10重量%まで、少なくとも50重量%まで、少なくとも80重量%まで、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、または更に少なくとも99.9重量%であってよい。
【0070】
本明細書に記載の組成物は、様々な物品の製造に好適であり、特に、物品を製造するために高い伸長率を含む、押出成形処理工程に好適である。例えば、組成物は、迅速に処理でき、ワイヤおよびケーブルの押出成形に使用することができる高い延伸比を用いて処理することができるように、ひずみ硬化挙動と組み合わせる高速な臨界せん断速度を有する利点を示すワイヤおよびケーブルを作製するために使用できる。
【0071】
ひずみ硬化挙動は、少なくとも1.2のひずみ硬化指数S、あるいは、少なくとも0.064の技術的係数Fmax/pにより特徴付けられる。一般に、これらの特性は、機械的特性を犠牲にすることなく得られる。更に、本発明による組成物を処理する場合があるひずみ硬化特性のため、高い延伸比を用いて高速処理速度で生じる場合がある、いずれの直径変動も、一般に適用する高い延伸力を用いて溶融押出中、消失する。これは、例えば、本明細書に記載の第2のフルオロポリマーを含まない線状フルオロサーモプラストを含むポリマーブレンドに対照的であり、延伸処理において生じる直径変動の結果として、物品の直径が小さい場合、高い延伸力下で、溶融押出された組成物のコーン破損が生じる。
【0072】
一部の実施形態において、本明細書に記載の方法は、第1のフルオロポリマーと第2のフルオロポリマー(上述)とを含む組成物が押出されるとき、第1のフルオロポリマーのみを含む組成物の押出成形と比較して、溶融コーンの安定性が極めて向上される、フルオロポリマー押出成形のプロセスを提供できる。その結果、このように得られた物品は、上述した比較的低い幅均一性指標値に加え、壁厚さの均一性が非常に改善される。本明細書に記載の押出成形製品は、フルオロポリマーが、カーボンブラック、二酸化チタン、グラスバブルズ(S60HS、iM30Kなど)、グラスビーズ、グラスマイクロビーズ、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸カルシウム、ナノ粘土、ナノシリカ、ステンレス鋼、ブロンズ、カーボンナノチューブ、グラスファイバーまたはカーボンファイバーなどの、有機または無機充填剤を含有するとき、特に有用である。
【0073】
一部の実施形態において、本明細書に記載の押出成形製品は、光起電モジュールにおける裏面フィルム、可撓性光起電モジュール用の表面フィルム、および/または、航空機の胴体に適用される装飾用フィルムなどの装飾用途のブローンフィルムに有用である。
【0074】
以下の実施例を用いて本発明を更に例示するが、本発明をそれら実施例に制限することを意図するものではない。
【0075】
実施例
方法
g/10分で報告される、メルトフローインデックス(MFI)は、ASTMD−1238により、5.0kgの支持重量で測定された。特に記載のない限り、265℃の温度を適用し、2.1mmの直径および8.0mmの長さの標準化された押出成形型を使用した。
【0076】
窒素流量および10℃/分の加熱率下で、パーキンエルマー(Perkin-Elmer)DSC7.0(パーキンエルマー社(PerkinElmer Inc.)(マサチューセッツ州ウェルズリー(Wellesley))を用いて、ASTM 4591によりフッ素樹脂の溶融ピークを測定した。示された融点は、溶融ピーク最大値に関する。
【0077】
ラテックス粒径の決定は、ISO/DIS13321に従って、マルバーンゼタザイザー(Malvern Zetazizer)1000HSA(マルバーンインスツルメンツ社(Malvern Instruments Inc.)、米国マサチューセッツ州サウスボロ(Southborough))を使用し、動的光散乱により実施した。報告された平均粒径は、Z平均である。測定前に、重合から産出されるようにポリマーラテックスを0.001mol/L KCl溶液で希釈し、測定温度は、すべての場合において20℃であった。
【0078】
振動ずれ流動測定を、FRT200変換器を備え、200gまでの抵抗力を有する、ひずみ制御されたARESレオメーター(3ARES−13、ファームウェアバージョン(Firmware version)4.04.00)(ティーエーインスツルメンツ社(TA Instruments Inc.)、米国デラウェア州ニューキャッスル(New Castle))を使用して、フルオロポリマー溶融において実施した。265℃、窒素雰囲気下で、25mmの平行平板の形状を使用し、掃引周波数の実験において、動的機械的データを記録した。オーブンの熱的制御を、サンプル/ツールの熱素子を使用して行った。1から20%まで典型的に上昇するひずみを適用した。ゼロせん断粘度ηを、Pa×sの単位で報告し、オーケストレータ(orchestrator)ソフトウェア(バージョン7.0.8.13)により提供される、4つのパラメータカロー(Carreau)フィット機能を使用して粘度機能η(ω)から外挿した。緩和指数n(n=δ/90°)を評価するために必要とされる、ゲル点δの位相角は、第1の誘導体のδ(ω)が最大値を通過する、または第2の誘導体がゼロを通過する周波数から選択された。ひずみ硬化の量を評価するために必要とされる、せん断η(t)における過渡伸長粘度機能(下記参照)は、周波数掃引から算出された。本明細書では、伸長粘度は、粘度ηを3倍(トルートン則(Trouton rule)に従う)することにより得られ、時間tは、逆周波数(t=1/ω)から得られた。
【0079】
265℃で、ARES−EVF(伸長粘度固定)ツール(ティーエーインスツルメンツ(TA Instruments))を使用して、同一のARESレオメーターにおいて、過渡の単軸延伸部測定を記録した(2つのローラーは、12.7mmの距離を有する)。オーブンの熱的制御を、オーブン中で熱素子を使用して、「モード3(Mode 3)」において行った。分析したポリマーサンプルは、プレス焼結したプレートから取られ、通常、長さ18mm、高さ9〜11mm、厚さ0.7〜1.0mmの寸法の長方形状の形状を有した。100秒の予熱時間と0.01 1/sの初期伸長を適用した。室温で、1.8g/cmのポリマー密度および265℃で1.5g/cmのポリマー密度を使用して、熱膨張を補償した。時間の関数として伸長粘度η(t)を、ひずみ制御され、連続および過渡モードにおけるモータ設定を有する、ひずみ率εの1.0および3.0s−1で記録した。最大値4.9(L/L=134)のヘンキー(Hencky)(真)ひずみがARES−EVF装置で達成されるが、2.5(L/L=2.2)のヘンキーひずみを実際には達成できる。特に記載のない限り、これらの条件下で、測定中、コーン破損は生じなかった。
【0080】
無次元ひずみ硬化変数Sを、S=η(t,ε)/[3×η(t)]により決定した。本明細書では、η(t,ε)は、2.2(L/L=9.0)または1.5(L/L=4.5)のヘンキーひずみで得られた伸長粘度であり、代替的には、η(t)は、周波数掃引の実験から算出されたせん断における過渡伸長粘度機能である。
【0081】
回転装置でひずみ硬化を記録するために、以下の実験の設定を選択した。溶融ストランドをレオグラフ(Rheograph)2000キャピラリーレオメーター(ゲットフェルト(Goettfert)、ブッヘン(Buchen)、ドイツ(Germany))を使用して押出成形した。直径2.3mm、長さ36mmの標準キャピラリーおよび標準的な50000kPa(500バール)の圧力変換器を選択した。特に記載のない限り、溶融温度は、265℃であった。0.5mm/sのピストン速度を適用し、47.3s−1の見かけのせん断速度に対応した。回転の長さは80mmであったので、押出溶融ストランドをレオテンス(Rheotens)101.1(ゲットフェルト(Goettfert)、ドイツブッヘン(Buchen))の回転により得た。回転の実験のために選択された速度ランプは、12mm/sであった。レオテンス(Rheotens)の力曲線の連続プラトー値を達成した場合、cNの単位で報告された、最大圧延力Fmax.を得た。Fmax./pを評価するために必要とされる圧力をキャピラリーレオメーターのトランスデューサから得た。
【0082】
(実施例1)
55モル%のTFE、12モル%のHFPおよび33モル%のVDFのターポリマーを、羽根車攪拌器システムを搭載した総容量186.1Lの重合ケトルで調製した。以下の手順に従って、ポリマー調製は、ポリマー分画の85%が直鎖状トポグラフィーを有し、ポリマー分画の15%が長鎖分枝状トポグラフィーを有する(パーセントは、フルオロポリマーの総重量により得られる)ように調整された。
【0083】
総容量186.1Lの重合ケトルに、114.6Lの脱イオン水、7.6gのシュウ酸、47gのシュウ酸アンモニウムおよび947gの30重量%のペルフルオロオクタン酸アンモニウム塩(APFO)水溶液を投入した。次いで、無酸素ケトルを60℃まで加熱し、攪拌システムを210rpmに設定した。ケトルに、950kPa(9.5バール)の絶対圧の25gのエタンおよび4220gのヘキサフルオロプロピレン(HFP)、1180kPa(11.8バール)の絶対圧の480gのフッ化ビニリデン(VDF)、および1550kPa(15.5バール)の絶対反応圧の1350gのテトラフルオロエチレン(tetrafluorethylene)(TFE)に投入した。HFPの供給ラインとして用いたステンレス製のシリンダー(総容量5.41L)を、十分に真空にした。完全に真空にした後、シリンダーに、30gのブロモジフルオロエチレン(BDFE)を投入した。その後、シリンダーは、乱流条件下で、1708gのHFPにBDFEの十分な分散を確保するために、2850gのHFPで急速に充満した。
【0084】
100mLの1.0重量%の水溶性過マンガン酸カリウム(KMnO)溶液の添加により重合を開始し、KMnO溶液の連続供給を300mL/時間の供給速度で維持した。反応開始後、60℃の反応温度および1550kPa(15.5バール)の絶対反応圧は、0.338のHFP/BDFEブレンド(kg)/TFE(kg)の供給比、および0.379のVDF(kg)/TFE(kg)の供給比を有する気相に、TFE、VDF、HFPおよびBDFEを供給することにより維持された。45分後、5100gのTFEが供給されたとき、追加の18gのエタンを投入し、HFP/BDFEブレンドの供給を中断した。それ以降、(HFP/BDFEブレンドに代わりに)純HFPを0.335のHFP(kg)/TFE(kg)の供給比を有する気相に、34.0kgのTFEの総供給量が250分間の反応時間内に達成されるまで、供給し続けた。モノマーの供給をモノマーのバルブを閉じることにより中断し、残存するモノマーは、10分以内に反応し、1100kPa(11.0バール)まで下がった。次に、反応装置を通気し、3サイクルにおいてNでフラッシュした。このように得られた173kgのポリマー分散液を、反応装置の底部で除去した。これは、34重量%の固体含量と、動的光散乱で決定されるとき、94nmの平均ラテックス粒径を有していた。
【0085】
同一条件下で、別に2回の重合反応を実施した。これら3回の重合バッチの分散液を合わせ、DOWEX650Cの陽イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Co)、米国ミシガン州ミッドランド(Midland))を含むガラスカラムを通過させた。分散液を、ゴーリン(GAULIN)ホモジナイザー(型式106MC4−8、8TBSX、パネビス(Pannevis)、オランダ、ユトレヒト(Utrecht))を用いてせん断凝析させ、連続洗浄/濾過ベルト上に置いた。洗浄したポリマー凝集体を、圧縮機(カール(Kahl)、ドイツ、ハンブルグ(Hamburg)から入手可能)を用いて圧縮した。圧縮されたポリマー凝集体を、混転乾燥機(OHLアパラテバオ社(OHL Apparatebau)ドイツ、リンブルグ・アン・デア・ラーン(Limburg a. d., Lahn)から入手可能)内で、110℃の減圧下で10時間乾燥させ、続いて溶融ペレット化した。このように得られた120kgのポリマー溶融ペレットは、表1に記載する物理学的特性を示した。
【表B】

【0086】
比較実施例CE−2
55モル%のTFE、12モル%のHFP、および33モル%のVDFを有する比較線状ターポリマーを調製した。物理学的特性を表2にまとめる。
【表C】

【0087】
フィルム押出成形
フィルム押出成形を、実施例1および比較実施例CE−2のポリマー材料を用いて実施した。
【0088】
押出成形の設定は、30mmの単軸(スクリュー長750mm)押し出し機(イデー社(Ide GmbH & co. KG)、ドイツ、オストフィルデルン(Ostfildern)から入手可能)、150mmのフィルムダイ(ブレイエル(Breyer)、ドイツ、ビュルフラーツ(Wulfrath)から入手可能)、および3−ロールスタック(コリン社(Collin GmbH)、ドイツ、エーバースベルク(Ebersberg)から入手可能)とした。
【0089】
試験した両材料について、押し出し機の温度プロファイルは、ゾーン1〜ゾーン4のそれぞれで、210℃、240℃、250℃および255℃であった。1000/500/200μmのフィルターパックを使用した。
【0090】
2.5mmのダイギャップに対する測定圧は、CE−2ターポリマーについて1260kPa(12.6バール)であり、実施例1のポリマーについて8500kPa(8.5バール)であった。これにより、公称25の延伸比が得られた。
【0091】
ダイ温度は、全て250℃に設定した。全ての実験について22rpmのスクリュー速度を採用し、出力を6.2kgに一定とした。3−ロールスタック温度を80℃に維持し、ダイと3−ロールスタックとの距離を30mmに一定とした。伸長ライン速度は、3.6m/分〜13m/分の間で可変とした。フィルムを押出成形して巻き取り、いかなる形においても、フィルムの折りたたみ、変形、または損傷がないように、サンプルをラインから直接切断して計測した。
【0092】
フィルム幅均一性
実施例1のポリマーから押出成形されたフィルムの均一性は、CE−2のターポリマーよりも明らかに良好であることが観察された。適用されたそれぞれの個別のライン速度について、20個の別個の無作為に選択された位置における、得られたフィルムの幅および厚さを測定した。これらのデータを用い、フィルム幅に対する均一性指標値を式1および2(上述)に従って評価した。
【0093】
この評価結果を表3にまとめる。
【表D】

【0094】
フィルム厚さ均一性
上述の評価方法と同様に、押出フィルムのフィルム厚さに対する均一性指標値を式3および4(上述)に従って評価した。
【0095】
この評価結果を表4にまとめる。
【表E】

【0096】
チューブ押出成形
チューブ押出成形を、実施例1およびCE−2のポリマー材料を用いて実施した。
【0097】
内径55.9mmのダイおよび外径44.7mmのピンを搭載した、45mmの単軸押し出し機(スクリュー長1350mm)(シーベ・エンジニアリング(Siebe Engineering GmbH)、ドイツ、ノイシュタット(Neustadt)/ヴィート(Wied)から入手可能)を、この設定で使用した。チューブキャリブレータの外径は11.0mmであった。このように、公称外径10mmのチューブを製造し、表5に記載の伸長ライン速度により内径は変化した。
【0098】
この可変ライン速度を用いると、延伸比は、両材料について低ライン速度で公称37から、高ライン速度で公称90および120と変化した。残部は、両材料について公称1.0〜1.2であった。
【0099】
試験した両材料について、押し出し機の温度プロファイルは、ゾーン1〜ゾーン4のそれぞれで、170℃、195℃、220℃および220℃であった。CE−2ポリマーについて測定圧は3400kPa(34バール)であり、実施例1のポリマーについて測定圧は3200kPa(32バール)であった。フランジ、ヘッドおよびダイの温度は、全て220℃に設定した。全ての実験について10rpmのスクリュー速度を採用し、出力を7.2kgに一定とした。真空槽の水温を27℃に維持し、ダイとキャリブレータとの距離を59mmで一定とした。表5に示すように、試験した両材料において、伸長ライン速度は2.5m/分〜5m/分の間で可変であった。
【0100】
実施例1のポリマーから押出成形されたチューブの壁厚さは、CE−2のターポリマーよりも明らかに良好であることが観察された。更に、CE−2のターポリマーの溶融コーンが不安定となり、弛む傾向を示したのに対し、実施例1のポリマーのチューブ押出成形プロセス中の溶融コーンは完全に安定のまま保たれることが観察された。チューブの壁厚さに対する不均一性指標値を、上述の手順と類似する手順により、かつ式3および4に従って評価した。この評価における結果の数値を表5にまとめる。
【表F】

【0101】
充填フィルム押出成形
1重量%のグラスバブルズで充填したフィルムを押出成形し、実施例1のポリマー材料を用いて実施例3を得、CE−2からはCE−4を得た。
【0102】
押出成形の設定は、45mmの単軸(スクリュー長1350mm;L/D=30)押し出し機(プラスティーク社(Plastik Maschinenbau)、ドイツ、ボンガルド(Bongard)/ケルベルグ(Kelberg)から入手可能)、400mmのフィルムダイ(EDI、ウィスコンシン州チペワフォールズ(Chippewa Falls)から入手可能)、および冷却ロールとした。
【0103】
試験した材料について、押し出し機の温度プロファイルは、ゾーン1〜ゾーン4のそれぞれで、20℃、153℃、211℃および229℃であり、ゾーン5〜9で245℃であった。1000/200μmのフィルターパックを使用した。
【0104】
1.25mmのダイギャップに対する測定圧は、CE−4(THV500AEの凝集体形状+1重量%のグラスバブルズ)S60HS(gb)(スリーエム社(3M Company)、ミネソタ州セントポール(St. Paul)から入手可能)のターポリマーについて8000kPa(80バール)であり、実施例3(実施例1の組成物+1重量%のグラスバブルズS60HS)のポリマーについて9200kPa(92バール)であった。これにより、10〜25の延伸比が得られた。
【0105】
ダイの直径は39.7cmであった。ダイ温度を270℃に設定し、ギャップを1.25mmに設定した。全ての実験について8.5rpmのスクリュー速度を採用し、出力を9.9kg/時間に一定とした。冷却ロールの水温を63℃に維持し、ダイと冷却ロールとの距離をこの実施例では一定とした。伸長ライン速度は、CE−4ターポリマーについては1.8m/分〜7.2m/分の間で、実施例3については1.8m/分〜17.0m/分の間で可変とした。フィルムを押出成形して巻き取り、サンプルを切断して計測した。
【0106】
この実験においても、実施例3のポリマーから押出成形されたフィルムの均一性は、CE−4のターポリマーよりも明らかに良好であることが観察された。適用されたそれぞれの個別のライン速度について、30個の別個の無作為に選択された位置における、得られたフィルムの幅および厚さを測定した。これらのデータを用い、フィルム幅に対する均一性指標値を式1および2(上述)に従って評価した。
【0107】
CE−4のターポリマーに関して、評価結果を表6にまとめる。実施例3の結果は表7にまとめる。
【表G】

)切断フィルムの縁部で調製した。
【表H】

)切断フィルムの縁部で調製した。
【0108】
1重量%のグラスバブルズに代えて、10重量%の二酸化チタン(TiO)(クロノス(Kronos)、ドイツ、レーバークーゼン(Leverkusen)より入手可能)を実施例1のポリマーに添加した以外は、これまでの実施例と同じ設定で実施例5を調製し、CE−2のターポリマーに添加してCE−6を調製した。CE−6について、ライン速度を1.2m/分〜7.2m/分の間で可変とした。フィルムを押出成形して巻き取り、サンプルを切断して計測した。CE−6は、7.2m/分のライン速度において、非常に不安定なプロセス状態で実行されたが、コーン破損が起こる前に、フィルムサンプルを得ることが可能であった。実施例5については、ライン速度を1.2m/分〜15m/分の間で可変とし、安定なプロセス状態でフィルムが得られた。
【0109】
適用されたそれぞれの個別のライン速度について、再び30個の別個の無作為に選択された位置における、得られたフィルムの幅および厚さを測定した。更に再び、フィルム幅に対する均一性指標値を式1および2(上述)に従って評価した。CE−6に関して、評価結果を表8にまとめる。実施例5に対する結果は表9にまとめる。
【表I】

【表J】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の組成物の溶融加工を含む方法であって、
前記第1の組成物が、0.93〜1.0の緩和指数を有する第1のフルオロポリマーおよび0.30〜0.92の緩和指数を有する第2のフルオロポリマーを含み、前記第1のフルオロポリマーおよび第2のフルオロポリマーが、溶融加工可能かつ熱可塑性であり、100℃〜320℃の融点を有して押出成形製品をもたらし、
前記押出成形製品が、比較組成物の溶融加工により形成される比較押出成形製品に比べて低い幅均一性指標値を有し、前記比較組成物が第1のポリマーを含み第2のポリマーを含まない、方法。
【請求項2】
前記第2のフルオロポリマーが、
(a)1つ以上のガス状のフッ素化モノマー、
(b)
(i)オレフィンの二重結合の炭素に結合する臭素またはヨウ素原子を有するオレフィンと、
(ii)式:
C=CX−R−Br
(式中、それぞれのXが、独立して水素、フッ素、臭素、塩素、またはヨウ素であり、Rが、ペルフルオロアルキレン基、ペルフルオロオキシアルキレン基、またはペルフルオロポリエーテル基である)
に相当するオレフィンと、
(iii)一般式:
CR=CF−(CF−O−(CF−CF=CR
CR=CF−CF−O−Rf−O−CF−CF=CR
X−Rf−Y
(式中、それぞれのXおよびYが、独立してRC=CR−、RC=CR−O−、およびRC=CR−CR−O−から選択され、
それぞれのR、R、R、RおよびRが、独立してRf、F、およびHから選択され、
Rfが、Rf、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルキルエーテル基、およびペルフルオロアルキルポリエーテル基から選択され、
Rfが、非置換基および置換基から選択されるアリール基であり、更に、置換アリール基が、1つ以上のF以外のハロゲン、1つ以上の完全フッ素化アルキル基、1つ以上の完全フッ素化アルコキシ基、1つ以上の完全フッ素化ポリオキシアルキル基、1つ以上のフェニル基、1つ以上のフェノキシ基、およびこれらの組み合わせから選択される置換基を有し、
フェニルおよびフェノキシ基が、非置換基および置換基から選択され、更に、前記置換基が、1つ以上の完全フッ素化アルキル基、1つ以上の完全フッ素化アルコキシ基、1つ以上の完全フッ素化ポリオキシアルキル基、1つ以上のF以外のハロゲン、およびこれらの組み合わせから選択される置換基を含み、
nおよびmが、それぞれ独立して0〜6の整数から選択される[ただしnおよびmが、両方とも0でないことを条件とする])
の1つに相当するオレフィンと、
(v)これらの組み合わせと、
から選択される、1つ以上の変性剤、ならびに
(c)非ガス状のフッ素化モノマーおよび非フッ素化モノマーから選択される任意の1つ以上のコモノマー、
から誘導される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ガス状のフッ素化モノマーが、テトラフルオロエチレン、フッ化ビニリデン、クロロトリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、ペルフルオロビニルエーテル、およびこれらの混合物から選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
オレフィンの二重結合の炭素に結合する臭素またはヨウ素原子を有する前記オレフィンが、一般式:
C=CXZ
(式中、それぞれのXが、同一または異なってもよく、少なくとも1つのXが、BrまたはIを示し、Zが、水素、F、Cl、Br、I、ペルフルオロアルキル基、ペルフルオロアルコキシ基またはペルフルオロポリエーテル基である条件を有する、水素、F、Cl、BrおよびIからなる群から選択される)
に相当する、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つのXがBrであり、Zが水素、F、Br、ペルフルオロアルキル基、またはペルフルオロアルコキシ基であるという条件で、Xが、水素、FおよびBrから選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
Rfが、完全フッ素化されている、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記第2のフルオロポリマーが、完全フッ素化ポリマーである、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のフルオロポリマーおよび第2のフルオロポリマーの総重量に基づき、0.1〜90重量%の前記第2のフルオロポリマー、10〜99.9重量%の前記第1のフルオロポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のフルオロポリマーおよび第2のフルオロポリマーの総重量に基づき、5〜50重量%の前記第2のフルオロポリマー、50〜95重量%の前記第1のフルオロポリマーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記第1のフルオロポリマーおよび第2のフルオロポリマーが、均一な混合物の形態である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記第2のフルオロポリマーおよび前記第1のフルオロポリマーが、同一のモノマー単位から誘導される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1のフルオロポリマーのそれぞれのモノマー単位の相対量が、前記第2のフルオロポリマーの前記同一のモノマー単位の相対量の40重量%以内である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1のフルオロポリマーが、テトラフルオロエチレンおよびヘキサフルオロプロピレンのコポリマー;ポリフッ化ビニリデン;テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、およびフッ化ビニリデンのコポリマー;テトラフルオロプロピレンおよびペルフルオロ(アルキルビニル)エーテルのコポリマー;ならびにテトラフルオロエチレンおよびペルフルオロ(アルコキシビニル)エーテルのコポリマーから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
第1の組成物の溶融加工を含む方法であって、
前記第1の組成物が、0〜0.1のLCBIを有する第1のフルオロポリマーおよび少なくとも0.2のLCBIを有する第2のフルオロポリマーを含み、前記第1および第2のフルオロポリマーが、溶融加工可能かつ熱可塑性であり、100℃〜320℃の融点を有して押出成形製品をもたらし、
更に、前記押出成形製品が、比較組成物の溶融加工により形成される比較押出成形製品に比べて低い幅均一性指標値を有し、前記比較組成物が第1のポリマーを含み第2のポリマーを含まない、方法。
【請求項15】
押出成形製品をもたらすための第1の組成物の溶融加工を含む方法であって、
前記第1の組成物が、第1のフルオロポリマー部分と第2のフルオロポリマー部分とを有するコアシェルポリマーを含み、前記第1のポリマー部分と同一の化学構造を有するフルオロポリマーが0.93〜1.0の緩和指数を有し、前記第2のフルオロポリマー部分と同一の化学構造を有するフルオロポリマーが0.3〜0.92の緩和指数を有し、
前記第1のフルオロポリマー部分と第2のフルオロポリマー部分の質量比が、1000:1〜1:9であり、
更に、前記押出成形製品が比較組成物の溶融加工により形成される比較押出成形製品に比べて低い幅均一性指標値を有し、前記比較組成物が0.93〜1.0の緩和指数を有する前記第1のポリマー部分と同一の化学構造を有するフルオロポリマーを含み、前記比較組成物が0.3〜0.92の緩和指数を有する前記第2のフルオロポリマー部分と同一の化学構造を有するポリマーを含まない、方法。
【請求項16】
前記コアシェルポリマーのコアが、前記第1のフルオロポリマーである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記コアシェルポリマーのコアが、前記第2のフルオロポリマーである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
第1の組成物の溶融加工を含む方法であって、
前記第1の組成物が、0.93〜1.0の緩和指数を有する第1のフルオロポリマーと、0.30〜0.92の緩和指数を有する第2のフルオロポリマーとを含み、
前記第1のフルオロポリマーおよび第2のフルオロポリマーが、溶融加工可能かつ熱可塑性であり、100℃〜320℃の融点を有して押出成形製品をもたらし、
前記押出成形製品が、比較組成物の溶融加工により形成される比較押出成形製品の厚さ均一性指標値の4分の1未満の厚さ均一性指標値を有し、前記比較組成物が第1のポリマーを含み第2のポリマーを含まない、方法。
【請求項19】
溶融加工が、ワイヤおよびケーブル押出成形、チューブ押出成形、フィルム押出成形、ならびにブロー成形から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記溶融押出成形製品が、ワイヤまたはケーブル、フィルム、およびチューブから選択される物品を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
有機充填剤および無機充填剤の群から選択される少なくとも1種の充填剤が、前記第1のフルオロポリマーおよび第2のフルオロポリマーのうちの少なくとも1つに添加される、請求項1に記載の方法。

【公表番号】特表2010−533231(P2010−533231A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−516140(P2010−516140)
【出願日】平成20年7月2日(2008.7.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/068977
【国際公開番号】WO2009/009361
【国際公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】