説明

熱可塑性材料の処理装置

【課題】熱可塑性材料の細片化を効果的に行わせる。
【解決手段】熱可塑性材料の処理装置において、周壁部7b内で回転体10の上側に被処理物押さえ体17を設け、該被処理物押さえ体17はこれの下面17aが回転体10の上面10aに対向され該下面17aに複数の突起刃18を設けられた構成となす。また熱可塑性材料の処理装置において、回転体10の上面10aがこれの回転中心に向け漸次に高くなる錐面状となされると共に該上面10aの複数箇所に突起刃9を設けられた構成となす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に廃棄材料としてのポリプロピレン、オレフィン及びPETなどの熱可塑性材料を細片化し特定位置に押し出すものとなされた処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性材料の処理装置は、例えば特許文献1、2、3及び4などに開示されているのであって、その概要を図7を参照して説明すると次のとおりである。
即ち、底面部7a及びこれを取り巻いた周壁部7bとを具備した容器体7と、底面部7aの上方近傍位置にて縦向き軸8回りへ回転可能となされ平面状の上面に突起刃9を固定された回転体10とを備えると共に周壁部7bの下部に突起刃9に対応した別の突起刃18aを固定されてなる細片化処理容器部2と、周壁部7bに押出開始部3Aのハウジング21aを固定され且つ回転体10の高さ近傍の周壁部7bに形成された透孔a2を通じて容器体7内とハウジング21a内とを連通されてなるスクリュー押出機3とを備えた構成となされている。
【0003】
この種の処理装置の使用にさいしては、熱可塑性材料である合成プラスチック材料wなどを容器体2の上方から投入するのであり、このように投入された合成プラスチック材料wなどは縦向き軸8回りへ回転されている回転体10の上面10aに落下し、該上面10aの突起刃9で何回も切断され細片化される。こうして細片化された合成プラスチック材料wなどは回転体10から回転力を付与されて回転体10の上面10a上で回転され、該回転で発生した遠心力が作用した状態となり、この遠心力の作用により前記透孔a2を通じてハウジング21aの内方に供給され、スクリュー押出機3の押出し作用により特定位置から押し出される。
【0004】
【特許文献1】特開昭59−207223号公報
【特許文献2】特表平9−501623号公報
【特許文献3】特表平10−512204号公報
【特許文献4】特表2003−515472号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来の処理装置では、回転体10の上面10aに落下した合成プラスチック材料wなどがこれに作用する重力作用により回転体10の突起刃9に係合されて切断される。このような切断状況の下では、合成プラスチック材料wは回転体10の外周縁近傍の狭い範囲でのみ2つの突起刃9、18aで効果的に細片化されるのであり、また合成プラスチック材料wなどが特にフィルムなどのような嵩比重の小さいものであるときに、合成プラスチック材料wに作用する遠心力や、空気流による抵抗や、突起刃9の係合作用に起因して重力作用に反して浮き上がってしまい、突起刃9に確実に係合するものとならず、突起刃9による細片化処理が十分に行われないことがある。
【0006】
また細片化された後の無数集合状の合成プラスチック材料wの自由表面gが合成プラスチック材料wに作用する遠心力により図7に示すように回転体10の上面10a上でその半径方向外側ほど高く上昇するものとなって、突起刃9、18aが合成プラスチック材料wを効果的に細片化できなかったりスクリュー押出機3の押出開始部3A内に合成プラスチック材料wが効果的に供給されないことがある。
【0007】
本発明は、主にこのような問題点を解消することを可能とした熱可塑性材料の処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本願の第一発明は、請求項1に記載したように、底面部及びこれを取り巻いた周壁部とを具備した容器体と、前記底面部の上方近傍位置で縦向き軸回りへ回転可能となされ上面に突起刃を固定された回転体とからなる細片化処理容器部を備えると共に、前記周壁部に押出開始部のハウジングを固定され且つ、前記回転体の高さ近傍の前記周壁部に形成された透孔を通じて前記容器体内と前記ハウジング内とが連通されてなるスクリュー押出機を備えた熱可塑性材料の処理装置において、前記回転体の上側である前記周壁部内に被処理物押さえ体を設け、該被処理物押さえ体はこれの下面が前記回転体の上面に対向されるほか該下面に複数の突起刃が設けられているものである。
【0009】
この発明は次のように具体化される。
即ち、請求項2に記載したように、前記被処理物押さえ体が前記回転体に対し上下変位可能であるものとなす。
【0010】
また請求項3に記載したように、前記被処理物押さえ体が環形対称形状体となされていて前記回転体の回転中心と略同心に配置されているものとなす。
【0011】
また請求項4に記載したように、前記環形対称形状体の下面がこれの中央部に向けて漸次に高くなされているものとなす。
【0012】
また請求項5に記載したように、前記回転体の上面が回転中心に向け漸次に高くなる錐面状となされてあって、該上面と前記環形対称形状体の下面との上下方向隙間が前記縦向き軸からの距離に比例して小さくなされているものとなす。
【0013】
さらには請求項6に記載したように、前記環形対称形状体の上面が中央部に向けて漸次に低くなされているものとなす。
【0014】
次に本願の第二発明は、請求項7に記載したように、底面部及びこれを取り巻いた周壁部とを具備した容器体と、前記底面部の上方近傍位置で縦向き軸回りへ回転可能となされ上面に突起刃を固定された回転体とからなる細片化処理容器部を備えると共に、前記周壁部に押出開始部のハウジングを固定され且つ、前記回転体の高さ近傍の前記周壁部に形成された透孔を通じて前記容器体内と前記ハウジング内とが連通されてなるスクリュー押出機を備えた熱可塑性材料の処理装置において、前記回転体の上面がこれの回転中心に向け漸次に高くなる錐面状となされると共に該上面の複数箇所に突起刃が設けられているものである。
【発明の効果】
【0015】
上記した本願発明によれば、次のような効果が得られるのであって、即ち、被処理物が回転体の上面と被処理物押さえ体の下面との間の広い範囲で効果的に細片化されるものとなすことができ、また回転体の外周縁近傍に被処理物を比較的圧力の高い状態に密集させることができてスクリュー押出部の押出開始部内に被処理物が効果的に供給されるものとなすことができる。
【0016】
また回転体の外周縁近傍に存在した被処理物の温度が比較的高い状態となり、スクリュー押出機の押出開始部への被処理物の供給が被処理物の軟質化により効果的に行われると共にスクリュー押出機による被処理物の熱可塑化が効率的に行われるものとなる。
【0017】
請求項2に記載したものによれば、回転体の上面と被処理物押さえ体の下面との間で行われる被処理物の細片化作用を被処理物の種類や性状に応じて適宜に変更することができる。
【0018】
請求項3に記載したものによれば、被処理物押さえ体が回転体の上面への被処理物の落下を妨げないものとなり、また回転体の上面と被処理物押さえ体の下面との間で回転体の外周縁の近傍に細片群からなる被処理物を効果的に充満させることができ、被処理物の細片化や温度上昇がさらに促進されるものとなる。
【0019】
請求項4に記載したものによれば、被処理物押さえ体の下面に衝突した被処理物が効果的に該下面の突起刃と係合するようになり、該突起刃による被処理物の細片化が効果的に行われるものとなる。
【0020】
請求項5に記載したものによれば、回転体の上面中央部に落下した被処理物を回転体の傾斜した比較的広い上面上に効果的に拡散させて、被処理物に対し回転体の突起刃と被処理物押さえ体の突起刃とによる効果的な細片化作用を付与することができ、しかも回転体の外周縁に近づくほど強力な細片化作用を付与できるものとなり、スクリュー押出機の押出開始部に細片化程度の大なる被処理物を効率的に供給することができるものである。
【0021】
請求項6に記載したものによれば、被処理物が被処理物押さえ体の上面に落下しても該上面に引っ掛かることなく回転体の上面上に落下するものとなる。
【0022】
請求項7に記載したものによれば、請求項5記載の処理装置を実現する上で寄与するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
図1〜図6は本発明に係る熱可塑性材料の処理装置の一実施例を示しており、図1は全体を示しAは側面図でBはx1ーx1部を示す図であり、図2は全体の平面図であり、図3は一部を示しAは図1中のx2−x2部を示す図でBは図2中のx3−x3部を示す図であり、図4は図2の一部を拡大した図であり、図5は図3Aの一部を拡大した図であり、図6は図1Aの一部を拡大した図である。
【0024】
図1及び図2に示すように、本発明の処理装置は、床面に定置される定置フレーム1と、この定置フレーム1上に細片化処理容器部2及びスクリュー押出部3を設置された構成となされている。
【0025】
定置フレーム1は、下側水平部材4から複数の支柱部材5を起立させ、これら支柱部材5の上端間を上側水平部材6で結合したものとなされている。
【0026】
細片化処理容器部2は、図3にも示すように、平面視円形となされた底面部7a及びこれを取り巻いた円筒状の周壁部7b及びこの周壁部7bの上面を覆う頂板部7cを具備した容器体7と、前記底面部7aの上方近傍位置で縦向き軸8回りへ回転可能となされ上面10aに平面視台形状の突起刃9の多数を固定された回転体10とからなっている。
【0027】
周壁部7bの上部には図示しないベルトコンベアのような搬送手段を使用して被処理物wである合成プラスチック材料などを容器体7内に供給するための比較的大きな被処理物投入口a1が形成されており、この被処理物投入口a1の周囲には断面四角状の案内筒部材11が固着されている。また周壁部7bの下部左側の前後箇所には容器体7の内方を保守点検するための四角状の開閉口12a、12bが形成されている。各開閉口12a、12bはこれを密状に閉鎖するための蓋部材13を具備しており、各蓋部材13はその対応する縦向き支点軸13a回りへ開閉揺動されるものとなされている。13bは蓋部材13の開閉用把手部であり、b1及びb2は開閉口12a、12bを開放したときの蓋部材13を示している。
【0028】
そして周壁部7bの下部右側面の前後方向中央位置には側面視四角状の透孔a2が形成されている。この透孔a2は下端縁をできるだけ底面部7aに近接され、上端縁を回転体10の上面10aの最外周縁高さよりも高くなされており、その前後方向長さ及び高さについてはスクリュー押出機3との関連によって決定される。
【0029】
回転体10は図4にも示すように、上面10aが円錐面状となされていて、縦向き軸8回りの複数等分角度位置である縦向き軸8半径方向の上面10a箇所に、回転方向f1前側に位置した前縁9aを水平状の切刃となされ該切刃9aが上面10aよりも数cm程度高くなされた突起刃9の複数を列状にしかも縦向き軸8半径方向外側へ向かうほど回転方向f1に対して後退するように配置されたものとなされており、毎分凡そ700回転程度で回転されるものである。
【0030】
このさい、上面10aは円錐面状に限定するものではなく角錐面状となすことも差し支えないのであり、また図5に示すように水平状の底面部7aに対する上面10aの傾斜角度θ1は凡そ15度以上、好ましくは30度程度となす。この傾斜角度θ1は被処理物wの種類や性状に関連して適当に決定されるものであり、これが適当大きさであると、上方から上面10aの中心部に落下した合成プラスチック材料wなどが上面10a上を回転体10の回転による遠心力や重力作用により外方へ適当速度で拡散されるのであり、一方、傾斜角度θ1が小さいときこの拡散の作用が減少し、逆にこれが大きいときこの拡散の作用が増大する。
【0031】
縦向き軸8は上端に回転体10を固定され、転がり軸受14を介して定置フレーム1に支持され、下端に回転入力部材15を固定され、定置フレーム1に縦向きに固定されたモーター16の出力軸16aから回転入力部材15に回転を入力されるものとなされている。
【0032】
細片化処理容器部2の内方には、図5などに示すように被処理物押さえ体17が設けられている。この被処理物押さえ体17は環形対称形状体となされていて回転体10の回転中心と略同心に配置されており、容器体7の周壁部7bに支持されると共に下面17aが前記回転体10の上面10aに対向されるほか該下面17aに複数の突起刃18を設けられたものとなされている。
【0033】
被処理物押さえ体17の下面17aはこれの中央部に向けて漸次に高くなされた凸形円錐面状となされており、回転体10の上面10aと該下面17aとの上下方向隙間c1は縦向き軸8からの距離に比例して小さくなされている。そして、水平面に対する下面17aの傾斜角度θ2は回転体10の上面10aとの関連で決定されるもので、回転体10の上面10aの傾斜角度θ1と同一かそれ以上の大きさとなされており、例えば15度〜50度の範囲内で決定される。
【0034】
被処理物押さえ体17の上面17bはこれの中央部に向けて漸次に低くなされた凹形円錐面状となされており、水平面に対する該上面17bの傾斜角度θ3は上面17bに落下した被処理物wが重力作用により摩擦力に抗して中央側へ滑落し得るように決定される。被処理物wが合成プラスチック材料であるときは傾斜角度θ3を例えば40度以上となされる。
【0035】
さらに各突起刃18は例えば細巾平板などを回転方向に沿わせた姿勢で固定するのであり、このさい回転体10の回転方向f1と対向した側に位置した前縁に切刃を形成するのが好ましいが、必ずしもそのようにしなくてもよいのであり、即ち、切刃を形成しないで単に被処理物wの回転方向f1の流動を規制するに過ぎないものとなすことも差し支えないものである。
【0036】
容器体7の周壁部7bと被処理物押さえ体17との間には図5に示すように被処理物押さえ体17を上下変位可能に位置決めするための位置調整変更手段19が設けてあり、図示例ではボルト19aとこれに螺合されたナット19bとを備え、ナット19bがボルト19aに対し回転操作されることによりボルト19aが周壁部7bに対し上下変位され被処理物押さえ体17がボルト19aと同体状に上下変位されるものとなされている。19cはボルト19aの支持力を被処理物押さえ体17に伝達するための板部材である。なお、この位置調整変更手段19はモーターなどの動力により被処理物押さえ体17を上下変位させる構成となすこともできる。
【0037】
スクリュー型押出機3は次のようなものとなされている。
即ち、図1及び図2などに示すようにスクリュー20とこれを包囲した筒状ハウジング21とを備えており、後側から前側へ向けて押出開始部3A、圧縮部3B、可塑化処理部3C及び取出口部3Dをこの順に形成されている。スクリュー20は回転入力軸部20a、シールスクリュー部分20b及び取入スクリュー部分20cからなる径大スクリュー部と、径を前方へ向け漸減された圧縮スクリュー部分20dと、小径となされた可塑化処理範囲スクリュー部分20eとを同心状且つ一体状に形成されたものとなされている。一方、筒状ハウジング21は図4及び図5に示すように後部ハウジング21Aと前部ハウジング21Bとからなっており、後部ハウジング21Aは周壁左側部にこれの内方空間に通じた側面視四角状の取入口d1を形成された取入ハウジング21aと、圧縮スクリュー部分20dの外周面に対応して内孔の径を漸減された圧縮ハウジング21bとからなり、また前部ハウジング21Bは外径及び内径を比較的小さくなされ且つ比較的長いものとなされるほか周壁の適当箇所に極めて小さな径の図示しない通気透孔を多数形成されたものとなされている。
【0038】
そして、押出開始部3Aは回転入力軸部20a、シールスクリュー部分20b及び取入スクリュー部分20cと、これらを包囲した取入ハウジング21aとからなり、取入ハウジング21aの内方空間をなす内孔内と容器体7内とは透孔a2及び取入口d1を通じて連通されており、また取入ハウジング21aの内孔の径は取入スクリュー部分20cのそれよりも大きくなされており、取入ハウジング21aと取入スクリュー部分20cとの間に形成された円弧状隙間は取入スクリュー部分20cの下側隙間及び取入口d1及び透孔a2を介して容器体7内に開放されると共に、取入スクリュー部分20cの上側隙間は取入ハウジング21aの案内用角孔d2に位置調整可能に内挿され固定された前後向きの仕切板22を介して容器体7内への開放を制限された状態となされている。このさい、透孔a2及び取入口d1は略同一と大きさとなされて正対配置されるのであり、それらの前後方向長さは取入スクリュー部分20cの螺旋条e1の複数ピッチ長さ程度となされ、高さは取入スクリュー部分20cの螺旋条e1の外径よりも僅かに小さい程度となされる。
【0039】
圧縮部3Bは圧縮スクリュー部分20dとこれを包囲した圧縮ハウジング21bとからなり、前方へ向かうほど被処理物wの存在し得る容積が小さくなるものとなされている。そして可塑化処理部3Cは可塑化処理範囲スクリュー部分20eとこれを包囲した前部ハウジング21Bとを具備するほか、前部ハウジング21Bの外周面に被着された加熱手段23及び、前部ハウジング21B内に存在した被処理物w中の水分を除去するための水分除去手段24を具備したものとなされている。水分除去手段24は加熱手段23の外方に空気を流通させる空気路25と、この空気路25内に空気を供給するファン26と、空気路25内から空気を吸引し排除する図示しない空気排出装置とを備えている。取出口部3Dは可塑化された被処理物wを取り出して他の機器に供給する箇所で、被処理物wの通路の断面積を可変として被処理物wの流動抵抗を大小に変更可能となすことも差し支えないものである。
【0040】
取入ハウジング21aの後端には定置フレーム1に固定された減速機27が結合されており、減速機27の出力部材27aとスクリュー20の後端とが取入ハウジング21a及び減速機27ケーシングの内方で連結されている。そして、減速機27の入力部材27bには定置フレーム1の後部に前後向きに固定されたモーター28の出力軸28aが連動連結される。
【0041】
なお図示例では取出口部3Dに被処理物濾過手段29が結合されており、この濾過手段29に、被処理物wを多数の小粒体に分割し成形するペレタイザー30が結合されている。図2中、31は定置フレーム1に固定された操作盤である。
【0042】
次に、上記した熱可塑性材料の処理装置の使用例及び作用などについて説明する。
モーター16及びモーター28を作動させて回転体10及びスクリュー20を回転状態にすると共に被処理物押さえ体17を特定高さに位置決めした後、被処理物投入口a1を通じて容器体7内に合成プラスチック材料などの断片からなる被処理物を投入する。
【0043】
容器体7内に投入された被処理物wは被処理物押さえ体17の中心孔を通過して回転体10の上面10aの略中央部に落下する。このさい、被処理物wの一部は被処理物押さえ体17の上面10aに落下することもあり得るが、ここに落下した被処理物wは上面10aの傾斜角度θ3により上面10aとの摩擦抵抗に抗して被処理物wに作用する重力により被処理物押さえ体17に引っ掛かることなく滑落する。
【0044】
回転体10はこれの上面10a上に落下した被処理物wに突起刃9による係止力及び上面10aに対する摩擦力により回転力を付与し被処理物wを同体的に回転させる。これにより、上面10a上の被処理物wはこれに作用する遠心力で縦向き軸8半径外方向へ飛行し、被処理物押さえ体17の下面17aに衝突して縦向き軸8回りの回転を突起刃18の係止力及び下面17aに対する摩擦力で抑制されると共に縦向き軸8半径外方向の飛行を規制されるのであり、この状態になると、被処理物wに作用していた遠心力が小さくなるか消失するため、重力作用により落下して再び上面10a上に達し、回転体10から回転力を付与されるといった現象が繰り返されるのであり、これにより上面10a上を漸次にその半径外方向へ移動され、この移動過程で回転体10の突起刃9と下面17aの突起刃18とにより切り刻まれると共に引張破断又は衝撃破断されるようになる。
【0045】
このさい、上面10aの傾斜角度θ1が上面10a上に落下した被処理物wの縦向き軸8半径外方向への拡散を効果的となし、また二つの突起刃9、18が切断刃と受刃の関係となって被処理物wの細片化を効果的に行うものとなり、また上面10aが水平面である場合に比べて上面10aの面積が拡大したものとなり、このように拡大された上面10aと、被処理物押さえ体17の下面17aとの間の略全域が被処理物wの細片化に寄与するものとなる。
【0046】
こうして回転体10による被処理物wの細片化が行われると、被処理物wは細片集合状となり、回転体10の回転により回転体10の半径方向外側へ向かうほど大きい遠心力を付与され高い圧力で密集するのであり、これに関連して、被処理物wの自由表面はこの圧力の大きさに比例した高さに上昇しようとする。しかし、被処理物wの自由表面の上昇は被処理物押さえ体17の下面17aにより制限されるのであり、したがって被処理物wは特に回転体10の外周縁近傍において上面10aと下面17aとの間に葉片状、薄片状又は小粒状となって充満した状態になる。
【0047】
このように充満した状態は、突起刃9と突起刃18による被処理物wの切断破砕作用による細片化を促進させたり、また被処理物wの混合攪拌及びこれによる温度上昇を促進させる上で寄与する。
【0048】
上述した被処理物wの細片化処理中には被処理物wの破断エネルギーと摩擦エネルギーとで被処理物wは加熱され回転体10の上面10aの外周縁に近いものほど温度が高い様態となる。こうして温度上昇された被処理物wの熱はスクリュー押出機3の押出過程での被処理物wの熱可塑化のための熱エネルギーとして有益に作用する。
【0049】
回転体10や被処理物押さえ体17による被処理物wの細片化が十分に行われないときには、被処理物押さえ体17の高さを変更してその下面17aを回転体10の上面10aに近接させたり回転体10の回転速度を上昇させるのであり、またその細片化が過度であるときにはその逆を行えばよい。
【0050】
回転体10の上面10aと被処理物押さえ体17の下面17aとの間で回転体10の外周縁近傍に充満した被処理物wは上述したように加熱され且つ圧力の高い状態となっているため、透孔a2及び取入口d1を通じて押出開始部3Aの取入ハウジング21a内の取入スクリュー部分20cの下側隙間に効果的に押し込まれる。このように押し込まれた被処理物wは取入スクリュー部分20aの前方視右回り方向の回転により取入ハウジング21a内に誘い込まれその内孔の内面に沿って周方向へ移動され、仕切板22の位置に達したとき、その周方向への移動を制限され、この制限により螺旋条e1間の前後方向隙間内に強制的に押し込まれて前方への送り力を付与される。この送り力により、被処理物wはスクリュー押出機3による押出しを開始される。
【0051】
こうして押し出された被処理物は圧縮部3Bで圧縮され嵩密度を上昇されつつ被処理物wの破断エネルギーや摩擦エネルギーでさらに温度上昇されて、可塑化処理部3Cに到達するのであり、可塑化処理部3Cでは可塑化処理範囲スクリュー部分20eから送り力を付与されて前方へ移動されつつ加熱手段23でさらに加熱されて熱可塑化されると共に前部ハウジング21Bに形成された図示しない通気透孔を通じて通気路25内へ流出する水蒸気を水分除去手段24が大気側に排出することにより水分を除去される。
【0052】
この後、熱可塑化された被処理物wは取出口部3Dから取り出され濾過手段29に達し、ここで不純物を除去された後、ペレタイザー30により小粒に成形される。
【0053】
上記実施例装置は次のように変形できる。
回転体10の上面10aを平面となし、この平面に突起刃9を設けることも差し支えない。このさい、被処理物押さえ体17の下面17aは傾斜角度θ2を小さくなすか或いは水平面となしてもよい。
【0054】
またスクリュー押出機3のスクリュー20の長手方向は上下方向へ傾斜させてもよいのであり、或いは容器体7の半径方向に近づけるように位置させるか又は正確に合致させてもよいのであって、この場合は押出開始部3Aの構造を例えば特許文献1に開示されたように変形することが必要となる。
【0055】
さらには被処理物押さえ体17を一体状の環形としないで、下面17a、上面17b及び突起刃18を具備した部分環体の複数個を容器体7の内周面の周方向へ隙間を置いて列設することも差し支えない。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明の一実施例である熱可塑性材料の処理装置の全体を示しAは側面図でBはx1ーx1部を示す図である。
【図2】図2は前記処理装置の全体平面図である。
【図3】前記処理装置の一部を示しAは図1中のx2−x2部を示す図でBは図2中のx3−x3部を示す図である。
【図4】図2の一部を拡大した図である。
【図5】図3Aの一部を拡大した図である。
【図6】図1Aの一部を拡大した図である。
【図7】従来装置の部分断面図である。
【符号の説明】
【0057】
2 細片化処理容器部
3 スクリュー押出機
3A 押出開始部
7 容器体
7a 底面部
7b 周壁部
8 縦向き軸
9 突起刃
10 回転体
10a 回転体10の上面
17 被処理物押さえ体
17a 被処理物押さえ体17の下面
18 突起刃
21a 取込ハウジング
a2 透孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底面部及びこれを取り巻いた周壁部とを具備した容器体と、前記底面部の上方近傍位置にて縦向き軸回りへ回転可能となされ上面に突起刃を固定された回転体とからなる細片化処理容器部を備えると共に、前記周壁部に押出開始部のハウジングを固定され且つ、前記回転体の高さ近傍の前記周壁部に形成された透孔を通じて前記容器体内と前記ハウジング内とが連通されてなるスクリュー押出機を備えた熱可塑性材料の処理装置において、前記回転体の上側である前記周壁部内に被処理物押さえ体を設け、該被処理物押さえ体はこれの下面が前記回転体の上面に対向され該下面に複数の突起刃が設けられていることを特徴とする熱可塑性材料の処理装置。
【請求項2】
前記被処理物押さえ体が前記回転体に対し上下変位可能であることを特徴とする請求項1記載の熱可塑性材料の処理装置。
【請求項3】
前記被処理物押さえ体が環形対称形状体となされていて前記回転体の回転中心と略同心に配置されていることを特徴とする請求項1又は2記載の熱可塑性材料の処理装置。
【請求項4】
前記環形対称形状体の下面がこれの中央部に向けて漸次に高くなされていることを特徴とする請求項3記載の熱可塑性材料の処理装置。
【請求項5】
前記回転体の上面がこれの回転中心に向け漸次に高くなる錐面状となされていて、該上面と前記環形対称形状体の下面との上下方向隙間が前記縦向き軸からの距離に比例して小さくなされていることを特徴とする請求項4記載の熱可塑性材料の処理装置。
【請求項6】
前記環形対称形状体の上面が中央部に向けて漸次に低くなされていることを特徴とする請求項3、4又は5記載の熱可塑性材料の処理装置。
【請求項7】
底面部及びこれを取り巻いた周壁部とを具備した容器体と、前記底面部の上方近傍位置で縦向き軸回りへ回転可能となされ上面に突起刃を固定された回転体とからなる細片化処理容器部を備えると共に、前記周壁部に押出開始部のハウジングを固定され且つ、前記回転体の高さ近傍の前記周壁部に形成された透孔を通じて前記容器体内と前記ハウジング内とが連通されてなるスクリュー押出機を備えた熱可塑性材料の処理装置において、前記回転体の上面がこれの回転中心に向け漸次に高くなる錐面状となされると共に該上面の複数箇所に突起刃が設けられていることを特徴とする熱可塑性材料の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−176040(P2007−176040A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−377917(P2005−377917)
【出願日】平成17年12月28日(2005.12.28)
【出願人】(000234122)萩原工業株式会社 (47)
【Fターム(参考)】