説明

熱感知器

【課題】熱感知器の薄型化を図る。
【解決手段】本体3と、該本体3に設けられた吸熱板11と、該吸熱板11の内面11aと対向する位置であって、前記吸熱板11と離して設けられたサーモパイル7と、前記本体3に設けられたサーミスタ9と、を備えている。前記本体3は、円錐台形部5bを有する筐体5に覆われており、前記吸熱板11は、前記円錐台形部5bの頂面5cに設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、火災を検出する熱感知器に関するものであり、更に述べると、非接触温度センサを備えた熱感知器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の熱感知器は、筐体の表面にサーミスタを突設し、該サーミスタに熱気流を直接接触させて温度を測定している(例えば、特許文献1、参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−109141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来例では、サーミスタを熱気流に直接暴露させて温度を測定するために、該サーミスタを筐体から突出させて設けている。そのため、該サーミスタに棒体などが衝突して外力が加わると、変形して温度測定が不可能となったり、又は、正確に温度測定が出来なくなることがある。
【0005】
そこで、該サーミスタを外力から守るために、サーミスタの保護構造部(ガード)が必要となるが、この保護構造部を設けると、熱感知器全体が厚くなってしまうので、熱感知器の薄型化の要求に応じることが出来ない。
【0006】
この発明は、上記亊情に鑑み、熱感知器の薄型化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、本体と、該本体に設けられた吸熱板と、該吸熱板の内面と対向する位置であって、前記吸熱板と離して設けられた非接触温度センサと、を有することを特徴とする。
【0008】
この発明は、本体と、該本体に設けられた吸熱板と、該吸熱板の内面と対向する位置であって、前記吸熱板と離して設けられた非接触温度センサと、前記本体に設けられた自己温度センサと、を有することを特徴とする。
【0009】
この発明の前記吸熱板は、前記非接触温度センサの指向範囲内に設けられていることを特徴とする。この発明の前記吸熱板は、前記本体と平行に配置されていることを特徴とする。この発明の前記本体は、円錐台形部を有する筐体に覆われており、前記吸熱板は、前記円錐台形部の頂面に設けられていることを特徴とする。この発明の前記自己温度センサは、前記非接触温度センサと一体となって設けられたことを特徴とする。この発明の前記非接触温度センサは、サーモパイルで、前記自己温度センサはサーミスタであることを特徴とする。この発明の前記吸熱板は、着脱自在であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明は、以上の様に構成したので、従来例に比べ、熱感知器を薄型化することが出来る。
【0011】
又、非接触温度センサをサーモパイルとし、自己温度センサをサーミスタとして温度を検出するので、サーミスタだけを用いる場合に比べ、より正確に火災を検出することが出来る。
【0012】
更に、吸熱板を着脱自在にしたので、素材の異なる吸熱板を選択することにより、熱感知器の感度を容易に変更することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態を示す平面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】熱感知器の本体を示す平面図である。
【図4】前記本体の正面図である。
【図5】使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
熱感知器1は、本体3と該本体3を覆う筐体5を備えている。前記本体3は、プラスチックにより円盤状に形成され、図示しないベースを介して天井面に設置されている。該本体3の中央部には、非接触温度センサ7が設けられているが、このセンサ7として、例えば、サーモパイルが用いられる。このサーモパイル7は、物体から放射される赤外線を受けそのエネルギ量に応じた熱起電力を発生する赤外線センサである。
【0015】
前記本体3には、自己温度センサ9が前記非接触温度センサ7と一体となって設けられているが、このセンサ9として、例えば、サーミスタが用いられる。このサーミスタ9は、温度変化に対し極めて大きな抵抗値変化を示す抵抗器である。前記両センサ7、9を本体3と一体に設けることにより、より熱感知器1の小型化を図ることが出来る。
【0016】
前記筐体5は、プラスチックで形成され、円筒部5aと、該円筒部5aに連続する円錐台形部5bとを備えている。前記円錐台形部5bの頂面5cには、吸熱板11が設けられているが、この吸熱板11は、火災の熱を吸収しやすく、かつ、燃え難い材料、例えば、アルミやポリエチレンテレフタラート等により形成されている。前記吸熱板11は、円形状に形成され、かつ、着脱可能に設けられている。
【0017】
前記吸熱板11は、本体3の表面3aと平行に配置され、その内面11aは前記サーモパイル7と間隔tをおいて対向している。この間隔tは、例えば、5mmであるが、前記吸熱板11がサーモパイル7の指向範囲S内に位置するように調整されている。
【0018】
なお、前記吸熱板11の面積(大きさ)は、熱感知に必要最小限の大きさにすることが好ましい。それは、前記面積が大き過ぎると、前記吸熱板11から火災の熱を吸収するので、筐体5内の温度が急上昇し、サーモパイル7とサーミスタ9の温度差が小さくなるので、正確な火災判断が出来なくなるからである。
【0019】
次に、本実施形態の作動について説明する。
熱感知器1は、火災監視領域の天井面に図示しないベースを介して取り付けられており、該熱感知器1のサーモパイル7とサーミスタ9は、常時、温度監視を行っている。即ち、前記サーモパイル7は、外気の温度としての吸熱板11の温度を監視し、又、前記サーミスタ9は、本体3内の温度を監視している。
【0020】
前記監視領域において火災が発生すると、該監視領域の温度が上昇すると共に、熱気流Aが天井面にそって流れる。そのため、該熱気流Aは熱感知器1の筐体5の円錐台形部5bに案内されながら頂面5cに向って流れるので、吸熱板11は該熱気流Aにより加熱され温度が上昇する。この吸熱板11の温度は、サーモパイル7により測定され、その測定結果は、図示しない制御部に送信される。
【0021】
この時、筐体5に覆われている本体3の温度は、サーミスタ9により測定され、その測定結果は、前記制御部に送信される。
【0022】
前記制御部は、サーモパイル7の測定温度とサーミスタ9の測定温度とを比較し、その差によって火災か否かを判断する。
この様に、2種類の温度センサ7、9を用いて火災を判断するので、1種類のみのセンサを用いる場合に比べ、より正確に火災判断をすることが出来る。
【0023】
なお、吸熱板11は、着脱自在に設けられているので、この吸熱板11を素材の異なる吸熱板11に代えることにより、熱感知器1の感度を変更することが出来る。例えば、熱感知器1の検出感度を低くしたい場合には、吸熱板11の素材を熱が伝わり難いものとすることで、吸熱板11が温まるのを遅らせ、その結果、火災の検出を鈍くすることが出来る。
要するに、熱感知器の検出値の調整作業をしなくとも、吸熱板11を代えることにより、熱感知器の感度を変更することが出来るのである。
【0024】
以上のように、上記実施形態では、サーモパイル7が外気の温度を検出して、筐体5内のサーミスタ9が該筐体5内の温度を検出して、これらを比較して温度上昇に基づく火災判断を行っているが、サーミスタ9を用いずに、単にサーモパイル7の測定温度が所定の温度を上回ることで火災か否かを判断しても良い。
【0025】
この場合、筐体5が無く、吸熱板11を図示しない支持部を介して本体3と接続しても良い。又、サーミスタ9は、サーモパイル7と一体である必要は無く、本体上に直接設けても良い。
【符号の説明】
【0026】
1 熱感知器
3 本体
5 筐体
7 サーモパイル
9 サーミスタ
11 吸熱板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
該本体に設けられた吸熱板と、
該吸熱板の内面と対向する位置であって、前記吸熱板と離して設けられた非接触温度センサと、
を有することを特徴とする熱感知器。
【請求項2】
本体と、
該本体に設けられた吸熱板と、
該吸熱板の内面と対向する位置であって、前記吸熱板と離して設けられた非接触温度センサと、
前記本体に設けられた自己温度センサと、
を有することを特徴とする熱感知器。
【請求項3】
前記吸熱板は、前記非接触温度センサの指向範囲内に設けられていることを特徴とする請求項1、又は、2記載の熱感知器。
【請求項4】
前記吸熱板は、前記本体と平行に配置されていることを特徴とする請求項1、2、又は、3記載の熱感知器。
【請求項5】
前記本体は、円錐台形部を有する筐体に覆われており、前記吸熱板は、前記円錐台形部の頂面に設けられていることを特徴とする請求項1、2、3、又は、4記載の熱感知器。
【請求項6】
前記自己温度センサは、前記非接触温度センサと一体となって設けられたことを特徴とする請求項2記載の熱感知器。
【請求項7】
前記非接触温度センサは、サーモパイルで、前記自己温度センサはサーミスタであることを特徴とする請求項2記載の熱感知器。
【請求項8】
前記吸熱板は、着脱自在であることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、又は、7記載の熱感知器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−218044(P2010−218044A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−61789(P2009−61789)
【出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】