熱源装置及び熱交換装置
【課題】熱媒を熱源に用いる熱源装置に関し、熱媒で加熱される上水又は浴槽水の加熱に加熱排気の潜熱を用いて加熱効率を向上させる。
【解決手段】加熱排気(燃焼排気4)が持つ顕熱及び/又は潜熱による熱媒の加熱を含む熱源装置(給湯・暖房・追焚装置2)に関し、熱媒(温水6)の持つ熱を給水又は浴槽水に熱交換する第1の熱交換手段(給湯用熱交換器12)と、加熱排気の潜熱を給水又は浴槽水に熱交換する第2の熱交換手段(給湯用二次熱交換器8)とを併用することにより、給水又は浴槽水の加熱に対し、熱媒の熱と、加熱排気の潜熱とを併用し、排熱の効率的な利用を図ったものである。
【解決手段】加熱排気(燃焼排気4)が持つ顕熱及び/又は潜熱による熱媒の加熱を含む熱源装置(給湯・暖房・追焚装置2)に関し、熱媒(温水6)の持つ熱を給水又は浴槽水に熱交換する第1の熱交換手段(給湯用熱交換器12)と、加熱排気の潜熱を給水又は浴槽水に熱交換する第2の熱交換手段(給湯用二次熱交換器8)とを併用することにより、給水又は浴槽水の加熱に対し、熱媒の熱と、加熱排気の潜熱とを併用し、排熱の効率的な利用を図ったものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一の熱源で加熱された熱媒を用いて暖房用加熱、給湯用加熱、浴槽追焚用加熱等を行う熱源装置及び熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、単一の熱源で加熱された熱媒を用いて複合的な加熱を可能にした熱源装置は公知である。特許文献1では、熱源器で得られた熱媒を暖房用として暖房端末機に循環させるばかりでなく、給湯用熱交換器に圧送して給水を間接加熱して給湯したり、追焚用熱交換器に圧送して浴槽水を間接加熱して追焚することができる一缶三水路方式が開示されている。
【0003】
また、特許文献2では、燃焼排気の潜熱を回収する潜熱回収型燃焼装置を備える燃焼装置が開示され、この燃焼装置は、燃焼排気から主として顕熱を回収する顕熱回収用熱交換器と、燃焼排気から主として潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器とを備えたものであって、このような潜熱回収を併用することにより熱効率を向上させている。
【0004】
また、特許文献3、4では、一つの燃焼室に二つの熱交換器を配置させることにより、コンパクト化及び低価格化を図った一缶二水路型燃焼装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−130448号公報
【特許文献2】特開2001−241768号公報
【特許文献3】特開平10−267414号公報
【特許文献4】特開2005−274043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、所謂一缶三水路の燃焼装置では、燃焼熱を用いた直接加熱は暖房循環回路の熱媒に対して行い、給湯加熱や、浴槽水の追焚加熱は暖房用温水を熱源に用いる所謂液−液熱交換を用いている。斯かる構成は、温水のみを直接に加熱するため、熱源の単一化が図られる。熱交換効率の向上を図るため、暖房循環回路の戻り温水を二次熱交換器に通すことにより、燃焼排気から潜熱で加熱する潜熱回収を狙っている。潜熱回収は、低温度化した燃焼排気を熱源とするので、戻り温水の温度が低いことが望ましい。そこで、暖房回路の戻り温水の温度が十分に低下していれば、潜熱の吸収が良好となり、意図した潜熱回収が期待できることになる。
【0006】
また、所謂液−液熱交換における給湯用加熱では、温水による加熱のみであり、熱源側の排熱の利用効率が低いという指摘がある。
【0007】
このような課題について、特許文献1〜4にはその開示や示唆はなく、解決手段についても開示や示唆はない。
【0008】
そこで、本発明の第1の目的は、熱媒を熱源に用いる熱源装置に関し、熱媒で加熱される上水等の給水又は浴槽水の加熱に加熱排気の潜熱を用いて加熱効率を向上させることにある。
【0009】
また、本発明の第2の目的は、加熱排気の主として潜熱を吸収する熱交換装置に関し、構造のコンパクト化とともに、加熱効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記第1の目的を達成するため、加熱排気が持つ顕熱及び/又は潜熱による熱媒の加熱を含む熱源装置に関し、熱媒の持つ熱を給水又は浴槽水に熱交換する第1の熱交換手段と、加熱排気の潜熱を給水又は浴槽水に熱交換する第2の熱交換手段とを併用することにより、給水又は浴槽水の加熱に対し、熱媒の熱と、加熱排気の潜熱とを併用し、排熱の効率的な利用を図ったものである。また、本発明は、上記第2の目的を達成するため、第1及び第2の熱交換部を備え、第1の熱交換部で加熱排気の潜熱と給水等の熱交換、第2の熱交換部で加熱排気の潜熱と熱媒との熱交換を行える構成である。
【0011】
そこで、上記第1の目的を達成するため、本発明の第1の側面は、加熱排気が持つ顕熱及び/又は潜熱による熱媒の加熱を含む熱源装置であって、前記熱媒の持つ熱を給水又は浴槽水に熱交換する第1の熱交換手段と、前記加熱排気の前記潜熱を給水又は浴槽水に熱交換する第2の熱交換手段とを給湯路に備え、前記第2の熱交換手段で加熱された前記給水又は前記浴槽水を前記第1の熱交換手段で加熱して出湯させる構成である。斯かる構成により、第1の熱交換手段による熱媒との熱交換前に第2の熱交換手段で加熱排気による熱交換を行うので、排熱の回収効率が高められ、有効利用が図られる。この結果、熱効率が高められる。
【0012】
上記熱源装置において、好ましくは、加熱によって加熱排気を生じさせる熱源と、前記加熱排気の顕熱を前記熱媒に熱交換する一次熱交換手段と、前記加熱排気の潜熱を前記熱媒に熱交換する二次熱交換手段と、前記一次熱交換手段及び/又は前記二次熱交換手段で加熱した前記熱媒を溜めるタンクとを備え、前記熱媒を暖房負荷に循環させる構成としてもよい。
【0013】
上記熱源装置において、好ましくは、前記第2の熱交換手段はコルゲート管で構成してもよい。
【0014】
上記熱源装置において、好ましくは、前記第2の熱交換手段は、複数の受熱管を並列に設置し、各受熱管の端部をヘッダで連結させた構成としてもよい。即ち、管路抵抗を減らすために複数の管路からなる受熱管の端部をヘッダ構造とする。従って、所望の熱効率を得るために管路数及び管路長を自由に設定することができる。また、平行水管を所望熱効率を得るため、水管を分配することもできる。
【0015】
上記熱源装置において、好ましくは、前記第2の熱交換手段は、前記熱源の排気通路に備え、又は前記排気通路に設置された筐体内に備えた構成としてもよい。また、燃焼ガス流路の断面領域により、管路を全面にするか分離するかにより熱効率に影響を与えることができる。
【0016】
また、上記第2の目的を達成するため、本発明の第2の側面は、加熱排気から主として潜熱を吸収する熱交換装置であって、前記加熱排気の主として潜熱を給水又は浴槽水に熱交換する第1の熱交換部と、前記加熱排気の主として潜熱を熱媒に熱交換する第2の熱交換部とを前記加熱排気を流す排気路に備える構成である。
【0017】
上記熱交換装置において、好ましくは、前記第1の熱交換部と前記第2の熱交換部とを熱交換筐体部に内蔵させた構成としてもよい。
【0018】
上記熱交換装置において、好ましくは、前記第1の熱交換部と前記第2の熱交換部とをヘッダ部分で合体させた構成としてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、次の効果が得られる。
【0020】
(1) 本発明の熱源装置によれば、外部から供給される上水等の給水又は浴槽水を熱媒の熱及び加熱排気の潜熱によって加熱し、熱媒の加熱に加熱排気の潜熱を用いるので、排熱の有効利用が図られ、加熱効率を向上させることができる。
【0021】
(2) 本発明の熱交換装置によれば、外部から供給される上水等の給水又は浴槽水に第1の熱交換部で加熱排気の潜熱を熱交換し、第2の熱交換部で加熱排気の潜熱を熱媒に熱交換することができ、排熱の有効利用が図られ、加熱効率を向上させることができる。
【0022】
(3) 熱交換装置において、第1及び第2の熱交換部を一体化した構成とすれば、熱交換装置のコンパクト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〔第1の実施の形態〕
【0024】
本発明の第1の実施の形態について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の熱源装置及び熱交換装置の一実施形態である給湯・暖房・追焚装置を示す図である。
【0025】
この給湯・暖房・追焚装置2には、第1の側面として、加熱排気として燃焼排気4が持つ顕熱及び/又は潜熱により熱媒の加熱を含む熱源装置の一例であって、加熱排気として燃焼排気4の潜熱を主として熱交換に用いる熱交換装置6が設置されており、この熱交換装置6には、外部から供給される給水としての上水Wを加熱する第2の熱交換手段又は第1の熱交換部として給湯用二次熱交換器8と、熱媒である温水9を加熱する第2の熱交換部として温水用二次熱交換器10とを備えている。
【0026】
また、この給湯・暖房・追焚装置2には、第2の側面として、温水9の持つ熱を上水Wに熱交換する第1の熱交換手段として給湯用熱交換器12と、燃焼排気4の潜熱を上水Wに熱交換する給湯用二次熱交換器8とを給湯路である給湯回路14に備え、二次熱交換器8で加熱された上水Wを熱交換器12で加熱して出湯させる構成を含んでいる。
【0027】
この場合、燃焼排気4を生ずる加熱手段としてのバーナ16は、燃料ガスGを燃焼させ、燃焼排気4を生ずる。加熱手段には、石油、燃料ガスを燃焼させるバーナの燃焼熱、電熱、エンジンや燃料電池の排熱による燃焼排気を用いてもよい。バーナ16では、燃料ガスGの燃焼量がその供給によって調整でき、所望量及び所望の温度の燃焼排気4が得られる。
【0028】
この給湯・暖房・追焚装置2は、熱源に単一のバーナ16を用いる一缶三水の熱源装置であるから、給湯回路14と、風呂回路20と、温水9を循環させるための熱媒回路22とを備えている。ここで、この熱媒回路22には共通の熱媒として温水9を循環させるが、温水9を給湯加熱に用いるための回路として給湯与熱回路22A、温水9を暖房に用いるための回路として暖房回路22B、温水9を浴槽水BWの追焚加熱に用いるための回路として追焚与熱回路22Cを構成する。
【0029】
そこで、熱媒回路22の給湯与熱回路22Aには暖房に無関係に温水9を循環させ、暖房回路22Bには暖房負荷の暖房要求に応じて温水9を循環させる。熱媒回路22には、燃焼排気4の熱と温水9との熱交換を行う熱交換手段として、主として顕熱を吸収する温水用一次熱交換器26と、主として潜熱を吸収する温水用二次熱交換器10とが設置されているとともに、蓄熱手段として温水タンク28、圧送手段として循環ポンプ30が設置されている。循環ポンプ30は、加熱需要に応じて段階的又は連続的にポンプ回転数が制御される。
【0030】
給湯与熱回路22Aには管路43が設けられ、一次熱交換器26の出口側から高温側の温水9が高温分配弁38を経て管路43に流れて循環し、給湯用熱交換器12を経て温水タンク28に戻される。
【0031】
また、暖房回路22Bには、暖房負荷として高温端末32、低温端末34が設置され、暖房時、高温端末32には温水9の高温側温水、低温端末34には温水9の低温側温水が循環する。これら高温端末32、低温端末34は、単一又は複数からなる負荷構成である。高温端末32には、一次熱交換器26で加熱された高温側の温水9が分岐管36を通じて直送されるが、低温端末34には、温水タンク28側の低温側の温水9が二次熱交換器10を経て供給される。この場合、分岐管39を通じて高温側の温水9が低温側の温水9と混合され、低温端末34が必要とする温度に調整される。ここで、分岐管36は、一次熱交換器26で加熱された高温側の温水9を高温端末32側に流すための回路を構成し、分岐管39は、低温側の温水9に高温側の温水9を合流させるための回路を構成する。高温端末32及び低温端末34を通過した温水9は管路41を通じて温水タンク28に戻される。
【0032】
追焚与熱回路22Cは管路45によって構成され、一次熱交換器26の出口側から高温側の温水9を高温分配弁38を経て風呂用熱交換器42を循環させて温水タンク28に循環させる回路である。熱交換器42は、熱媒としての温水9を風呂回路20の浴槽水BWに熱交換する液−液熱交換器である。高温分配弁38は、給湯回路14又は風呂回路20への熱供給を切り替える切替手段を構成している。
【0033】
また、風呂回路20は、熱媒回路22と独立した循環路であって、浴槽44に溜められている浴槽水BWを、ポンプ46の運転により浴槽44から熱交換器42に導き、温水9との熱交換により加熱した後、浴槽44に戻す回路である。また、風呂回路20と給湯回路14との間には切替弁48を介して給湯管路50が接続されており、給湯回路14及び給湯管路50を介して浴槽44に注湯が可能である。
【0034】
給湯回路14は、熱媒回路22と独立した回路であって、上水Wを、二次熱交換器8を介して熱交換器12に流し、温水9との熱交換により加熱し、給湯させる。
【0035】
二次熱交換器8、10を備える熱交換装置6について、図2を参照して説明する。図2は、二次熱交換器8、10が一体化された熱交換装置6を示している。
【0036】
この熱交換装置6は、入口側ヘッダ52と出口側ヘッダ54とを備え、これら入口側ヘッダ52と出口側ヘッダ54との間には、複数の受熱管として給湯側熱交換管56と、温水側熱交換管58とが併設されて一体化され、入口側ヘッダ52及び出口側ヘッダ54は、分離壁60、62によって給湯側と温水側とに分離されている。
【0037】
ポート64から流入した上水Wは、給湯側熱交換管56を経てポート66から流出し、ポート68から流入した温水9は、温水側熱交換管58を経てポート70から流出する。これら温水9及び上水Wは、燃焼排気4の潜熱との熱交換で加熱される。
【0038】
この熱交換装置6では、チタン又はチタン合金あるいはステンレス製の複数のコルゲート管で構成される熱交換管56、58が並列に設置され、各ヘッダ52、54がそれぞれ一体化されているが、その構成は任意であり、熱交換管56、58の全長、本数の割合も可変することができ、暖房及び給湯の効率を勘案して選定すればよい。
【0039】
次に、給湯、暖房、追焚の各動作を説明する。
【0040】
(1) 給湯動作
【0041】
リモコン装置72の運転スイッチを押し、給湯栓を開くと、図3に示すように、上水Wは、水制御弁74、水流感知装置としての水量センサ76を介してバイパス通路78に流れるとともに、給湯用二次熱交換器8側に流れ、その後、熱交換器12を経て給湯栓へ流れる。給水量が一定以上に達したことを水量センサ76が検知すると、循環ポンプ30、給気ファン80が回転し、給気ファン80の回転数が一定以上に達すると、イグナイタ82が作動し、点火プラグ84が放電を開始する。元ガス電磁弁86、ガス電磁弁88、ガス切替電磁弁90、92が「開」、ガス比例弁94が「ON」し、バーナ16に点火する。フレームロッド96が火炎を検知すると、リモコン装置72の燃焼表示が点灯する。二次熱交換器8、熱交換器12で加熱された高温の上水Wと、バイパス通路78を経た低温の上水Wとが混合され、設定温度で出湯が得られる。
【0042】
このように上水Wは、燃焼排気4との熱交換により潜熱を受けて加熱されるとともに、熱交換器12で温水9との熱交換により加熱される。このような給湯動作において、温水9と上水W及び出湯の各温度関係は図4に示す通りである。
【0043】
(2) 暖房動作(高温)
【0044】
高温端末32の運転スイッチを「ON」にすると、図5に示すように、循環ポンプ30、給気ファン80が回転し、イグナイタ82により点火プラグ84から連続放電が開始されてバーナ16の燃焼が開始され、温水9が加熱され、これは、既述の給湯時の動作と同様である。暖房負荷に応じて、一次熱交換器26の出口側にある温度センサ98により燃焼ガス量を比例制御し、負荷が小さい場合は、ON−OFF制御で設定温度を保つ。高温端末32の運転スイッチを「OFF」にすると、バーナ16の燃焼が停止する。温水9が不足したときは、温水タンク28の水位検出器100で検出し、所定レベルまで上水Wを補給する。
【0045】
(3) 暖房動作(低温)
【0046】
低温端末34の運転スイッチを「ON」にすると、図6に示すように、同様に、バーナ16の燃焼が開始され、暖房負荷に応じて、温度センサ98により燃焼ガス量の比例制御をし、温度センサ99の温度を確認しながら低温調整弁37により高温側(80〔℃〕)の温水9と低温側の温水9を混合し、設定温度に調整し、低温端末34に循環させる。低温端末34の運転スイッチを「OFF」にすると、元ガス電磁弁86、ガス切替電磁弁90が「閉」、ガス比例弁94が「OFF」、循環ポンプ30、給気ファン80が「OFF」となり、燃焼停止となる。
【0047】
(4) 追焚動作
【0048】
浴槽水BWは、追焚与熱回路22Cに循環する温水9との熱交換により加熱される。この場合、バーナ16の燃焼を伴ってもよく、燃焼停止の状態でも温水9の熱容量に応じて浴槽水BWの加熱が可能である。
【0049】
〔第2の実施の形態〕
【0050】
本発明の第2の実施の形態について、図7を参照して説明する。図7は、第2の実施の形態に係る熱交換装置6を示す図であり、(A)はその外観を示す斜視図、(B)はその構成図である。
【0051】
この実施の形態においても、図1に示す給湯・暖房・追焚装置2が用いられる。そこで、この実施の形態の熱交換装置6では、ヘッダ52、54に多数の直管状の熱交換管56、58をロー付け等により接続したものであり、熱交換管56、58は、ステンレス等の金属管であり、燃焼ガスが通過可能な程度の隙間を空けて平行に配置されたものである。そして、ヘッダ52、54の内部は、分離壁60、62の設置により、上水W側と熱媒である温水9側とに分離されている。
【0052】
〔第3の実施の形態〕
【0053】
本発明の第3の実施の形態について、図8ないし図11を参照して説明する。図8ないし図11は、一次熱交換器26及び熱交換装置6の構成を示す図であり、図8はその平面図、図9はその内部配管構成を示す図、図10は給湯側の二次熱交換器8の配管構成を示す図、図11は温水側の二次熱交換器10の配管構成を示す図である。図8〜図11において、図1、図2、図7と同一又は共通部分には同一符号を付してある。
【0054】
この実施の形態では、一次熱交換器26の上部に熱交換装置6の熱交換筐体部102が搭載され、この熱交換筐体部102から引き出された各ポート64、66と各ポート68、70とが相反方向に開口部を向けて設置されている。熱交換筐体部102には、潜熱の吸収後の燃焼排気4を通過させる排気口104が形成されている。
【0055】
熱交換筐体部102には図9に示すように、屈曲させた給湯側熱交換管56、温水側熱交換管58が設置されており、図10に示すように、給湯側熱交換管56の端部にはポート64、66が形成され、また、図11に示すように、温水側熱交換管58の端部にはポート68、70が形成されている。
【0056】
そして、給湯側熱交換管56及び温水側熱交換管58のそれぞれは複数の管路を並列化することにより、管路の圧力損失を低減させている。
【0057】
このような熱交換装置6を用いても同様に、燃焼排気4の潜熱を上水W及び温水9に熱交換することができ、熱交換効率を高めることができるとともに、排熱の有効利用を図ることができる。
【0058】
〔他の実施の形態〕
【0059】
(1) 上記実施の形態では、熱媒として温水9を用いたが、油やガス等の熱を搬送し、放熱可能な流体であってもよい。
【0060】
(2) 上記実施の形態において、二次熱交換器8及び熱交換器12は、上水Wを加熱する構成であるが、浴槽水BWを加熱する構成であってもよい。
【0061】
(3) 上記実施の形態では、加熱排気として燃焼排気4を用いたが、加熱排気として燃焼以外の加熱流体を用いてもよい。
【0062】
(4) 上記実施の形態では、低温端末34に流す温水9を低温調整弁37により高温側温水と低温側温水とのミキシングにより所定温度に調整しているが、低温調整弁37を除いて高温側温水と低温側温水とを管路や温水タンク28で間接的にミキシングする構成としてもよく、その場合、温水9の温度を温度センサ99によって監視し、又は、温水タンク28の温水9の温度を監視する等により、これらを制御情報に用いてバーナ16の燃焼や燃焼時間を制御すれば、高温側の温水9の温度調整により、低温端末34に流れる温水温度を所定温度に維持することができる。
【0063】
以上の通り、本発明の最も好ましい実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、加熱排気が持つ潜熱を、上水等の給水及び/又は浴槽水の加熱、熱媒加熱に利用し、排熱の有効利用による熱交換効率の向上を図ることができ、また、給水加熱と、熱媒加熱とを行う二次熱交換器を合体させた熱交換装置を用いているので、熱交換部の小型化等に寄与し、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る熱源装置及び熱交換装置を示す図である。
【図2】熱交換装置を示す図である。
【図3】給湯動作を示す図である。
【図4】給湯動作における熱交換を示す図である。
【図5】暖房動作(高温)における熱交換を示す図である。
【図6】暖房動作(低温)における熱交換を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係る熱交換装置を示す図である。
【図8】第3の実施の形態に係る熱交換装置を示す図である。
【図9】熱交換装置の配管構成を示す図である。
【図10】熱交換装置の給湯側の配管構成を示す図である。
【図11】熱交換装置の温水側の配管構成を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
2 給湯・暖房・追焚装置
4 燃焼排気(加熱排気)
6 熱交換装置
8 給湯用二次熱交換器(第2の熱交換手段、第1の熱交換部)
9 温水(熱媒)
10 温水用二次熱交換器(第2の熱交換部)
12 給湯用熱交換器(第1の熱交換手段)
14 給湯回路
16 バーナ(熱源)
26 温水用一次熱交換器
28 温水タンク
32 高温端末
34 低温端末
52 入口側ヘッダ
54 出口側ヘッダ
56 給湯側熱交換管
58 温水側熱交換管
102 熱交換筐体部
【技術分野】
【0001】
本発明は、単一の熱源で加熱された熱媒を用いて暖房用加熱、給湯用加熱、浴槽追焚用加熱等を行う熱源装置及び熱交換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、単一の熱源で加熱された熱媒を用いて複合的な加熱を可能にした熱源装置は公知である。特許文献1では、熱源器で得られた熱媒を暖房用として暖房端末機に循環させるばかりでなく、給湯用熱交換器に圧送して給水を間接加熱して給湯したり、追焚用熱交換器に圧送して浴槽水を間接加熱して追焚することができる一缶三水路方式が開示されている。
【0003】
また、特許文献2では、燃焼排気の潜熱を回収する潜熱回収型燃焼装置を備える燃焼装置が開示され、この燃焼装置は、燃焼排気から主として顕熱を回収する顕熱回収用熱交換器と、燃焼排気から主として潜熱を回収する潜熱回収用熱交換器とを備えたものであって、このような潜熱回収を併用することにより熱効率を向上させている。
【0004】
また、特許文献3、4では、一つの燃焼室に二つの熱交換器を配置させることにより、コンパクト化及び低価格化を図った一缶二水路型燃焼装置が開示されている。
【特許文献1】特開2003−130448号公報
【特許文献2】特開2001−241768号公報
【特許文献3】特開平10−267414号公報
【特許文献4】特開2005−274043号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、所謂一缶三水路の燃焼装置では、燃焼熱を用いた直接加熱は暖房循環回路の熱媒に対して行い、給湯加熱や、浴槽水の追焚加熱は暖房用温水を熱源に用いる所謂液−液熱交換を用いている。斯かる構成は、温水のみを直接に加熱するため、熱源の単一化が図られる。熱交換効率の向上を図るため、暖房循環回路の戻り温水を二次熱交換器に通すことにより、燃焼排気から潜熱で加熱する潜熱回収を狙っている。潜熱回収は、低温度化した燃焼排気を熱源とするので、戻り温水の温度が低いことが望ましい。そこで、暖房回路の戻り温水の温度が十分に低下していれば、潜熱の吸収が良好となり、意図した潜熱回収が期待できることになる。
【0006】
また、所謂液−液熱交換における給湯用加熱では、温水による加熱のみであり、熱源側の排熱の利用効率が低いという指摘がある。
【0007】
このような課題について、特許文献1〜4にはその開示や示唆はなく、解決手段についても開示や示唆はない。
【0008】
そこで、本発明の第1の目的は、熱媒を熱源に用いる熱源装置に関し、熱媒で加熱される上水等の給水又は浴槽水の加熱に加熱排気の潜熱を用いて加熱効率を向上させることにある。
【0009】
また、本発明の第2の目的は、加熱排気の主として潜熱を吸収する熱交換装置に関し、構造のコンパクト化とともに、加熱効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記第1の目的を達成するため、加熱排気が持つ顕熱及び/又は潜熱による熱媒の加熱を含む熱源装置に関し、熱媒の持つ熱を給水又は浴槽水に熱交換する第1の熱交換手段と、加熱排気の潜熱を給水又は浴槽水に熱交換する第2の熱交換手段とを併用することにより、給水又は浴槽水の加熱に対し、熱媒の熱と、加熱排気の潜熱とを併用し、排熱の効率的な利用を図ったものである。また、本発明は、上記第2の目的を達成するため、第1及び第2の熱交換部を備え、第1の熱交換部で加熱排気の潜熱と給水等の熱交換、第2の熱交換部で加熱排気の潜熱と熱媒との熱交換を行える構成である。
【0011】
そこで、上記第1の目的を達成するため、本発明の第1の側面は、加熱排気が持つ顕熱及び/又は潜熱による熱媒の加熱を含む熱源装置であって、前記熱媒の持つ熱を給水又は浴槽水に熱交換する第1の熱交換手段と、前記加熱排気の前記潜熱を給水又は浴槽水に熱交換する第2の熱交換手段とを給湯路に備え、前記第2の熱交換手段で加熱された前記給水又は前記浴槽水を前記第1の熱交換手段で加熱して出湯させる構成である。斯かる構成により、第1の熱交換手段による熱媒との熱交換前に第2の熱交換手段で加熱排気による熱交換を行うので、排熱の回収効率が高められ、有効利用が図られる。この結果、熱効率が高められる。
【0012】
上記熱源装置において、好ましくは、加熱によって加熱排気を生じさせる熱源と、前記加熱排気の顕熱を前記熱媒に熱交換する一次熱交換手段と、前記加熱排気の潜熱を前記熱媒に熱交換する二次熱交換手段と、前記一次熱交換手段及び/又は前記二次熱交換手段で加熱した前記熱媒を溜めるタンクとを備え、前記熱媒を暖房負荷に循環させる構成としてもよい。
【0013】
上記熱源装置において、好ましくは、前記第2の熱交換手段はコルゲート管で構成してもよい。
【0014】
上記熱源装置において、好ましくは、前記第2の熱交換手段は、複数の受熱管を並列に設置し、各受熱管の端部をヘッダで連結させた構成としてもよい。即ち、管路抵抗を減らすために複数の管路からなる受熱管の端部をヘッダ構造とする。従って、所望の熱効率を得るために管路数及び管路長を自由に設定することができる。また、平行水管を所望熱効率を得るため、水管を分配することもできる。
【0015】
上記熱源装置において、好ましくは、前記第2の熱交換手段は、前記熱源の排気通路に備え、又は前記排気通路に設置された筐体内に備えた構成としてもよい。また、燃焼ガス流路の断面領域により、管路を全面にするか分離するかにより熱効率に影響を与えることができる。
【0016】
また、上記第2の目的を達成するため、本発明の第2の側面は、加熱排気から主として潜熱を吸収する熱交換装置であって、前記加熱排気の主として潜熱を給水又は浴槽水に熱交換する第1の熱交換部と、前記加熱排気の主として潜熱を熱媒に熱交換する第2の熱交換部とを前記加熱排気を流す排気路に備える構成である。
【0017】
上記熱交換装置において、好ましくは、前記第1の熱交換部と前記第2の熱交換部とを熱交換筐体部に内蔵させた構成としてもよい。
【0018】
上記熱交換装置において、好ましくは、前記第1の熱交換部と前記第2の熱交換部とをヘッダ部分で合体させた構成としてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、次の効果が得られる。
【0020】
(1) 本発明の熱源装置によれば、外部から供給される上水等の給水又は浴槽水を熱媒の熱及び加熱排気の潜熱によって加熱し、熱媒の加熱に加熱排気の潜熱を用いるので、排熱の有効利用が図られ、加熱効率を向上させることができる。
【0021】
(2) 本発明の熱交換装置によれば、外部から供給される上水等の給水又は浴槽水に第1の熱交換部で加熱排気の潜熱を熱交換し、第2の熱交換部で加熱排気の潜熱を熱媒に熱交換することができ、排熱の有効利用が図られ、加熱効率を向上させることができる。
【0022】
(3) 熱交換装置において、第1及び第2の熱交換部を一体化した構成とすれば、熱交換装置のコンパクト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
〔第1の実施の形態〕
【0024】
本発明の第1の実施の形態について、図1を参照して説明する。図1は、本発明の熱源装置及び熱交換装置の一実施形態である給湯・暖房・追焚装置を示す図である。
【0025】
この給湯・暖房・追焚装置2には、第1の側面として、加熱排気として燃焼排気4が持つ顕熱及び/又は潜熱により熱媒の加熱を含む熱源装置の一例であって、加熱排気として燃焼排気4の潜熱を主として熱交換に用いる熱交換装置6が設置されており、この熱交換装置6には、外部から供給される給水としての上水Wを加熱する第2の熱交換手段又は第1の熱交換部として給湯用二次熱交換器8と、熱媒である温水9を加熱する第2の熱交換部として温水用二次熱交換器10とを備えている。
【0026】
また、この給湯・暖房・追焚装置2には、第2の側面として、温水9の持つ熱を上水Wに熱交換する第1の熱交換手段として給湯用熱交換器12と、燃焼排気4の潜熱を上水Wに熱交換する給湯用二次熱交換器8とを給湯路である給湯回路14に備え、二次熱交換器8で加熱された上水Wを熱交換器12で加熱して出湯させる構成を含んでいる。
【0027】
この場合、燃焼排気4を生ずる加熱手段としてのバーナ16は、燃料ガスGを燃焼させ、燃焼排気4を生ずる。加熱手段には、石油、燃料ガスを燃焼させるバーナの燃焼熱、電熱、エンジンや燃料電池の排熱による燃焼排気を用いてもよい。バーナ16では、燃料ガスGの燃焼量がその供給によって調整でき、所望量及び所望の温度の燃焼排気4が得られる。
【0028】
この給湯・暖房・追焚装置2は、熱源に単一のバーナ16を用いる一缶三水の熱源装置であるから、給湯回路14と、風呂回路20と、温水9を循環させるための熱媒回路22とを備えている。ここで、この熱媒回路22には共通の熱媒として温水9を循環させるが、温水9を給湯加熱に用いるための回路として給湯与熱回路22A、温水9を暖房に用いるための回路として暖房回路22B、温水9を浴槽水BWの追焚加熱に用いるための回路として追焚与熱回路22Cを構成する。
【0029】
そこで、熱媒回路22の給湯与熱回路22Aには暖房に無関係に温水9を循環させ、暖房回路22Bには暖房負荷の暖房要求に応じて温水9を循環させる。熱媒回路22には、燃焼排気4の熱と温水9との熱交換を行う熱交換手段として、主として顕熱を吸収する温水用一次熱交換器26と、主として潜熱を吸収する温水用二次熱交換器10とが設置されているとともに、蓄熱手段として温水タンク28、圧送手段として循環ポンプ30が設置されている。循環ポンプ30は、加熱需要に応じて段階的又は連続的にポンプ回転数が制御される。
【0030】
給湯与熱回路22Aには管路43が設けられ、一次熱交換器26の出口側から高温側の温水9が高温分配弁38を経て管路43に流れて循環し、給湯用熱交換器12を経て温水タンク28に戻される。
【0031】
また、暖房回路22Bには、暖房負荷として高温端末32、低温端末34が設置され、暖房時、高温端末32には温水9の高温側温水、低温端末34には温水9の低温側温水が循環する。これら高温端末32、低温端末34は、単一又は複数からなる負荷構成である。高温端末32には、一次熱交換器26で加熱された高温側の温水9が分岐管36を通じて直送されるが、低温端末34には、温水タンク28側の低温側の温水9が二次熱交換器10を経て供給される。この場合、分岐管39を通じて高温側の温水9が低温側の温水9と混合され、低温端末34が必要とする温度に調整される。ここで、分岐管36は、一次熱交換器26で加熱された高温側の温水9を高温端末32側に流すための回路を構成し、分岐管39は、低温側の温水9に高温側の温水9を合流させるための回路を構成する。高温端末32及び低温端末34を通過した温水9は管路41を通じて温水タンク28に戻される。
【0032】
追焚与熱回路22Cは管路45によって構成され、一次熱交換器26の出口側から高温側の温水9を高温分配弁38を経て風呂用熱交換器42を循環させて温水タンク28に循環させる回路である。熱交換器42は、熱媒としての温水9を風呂回路20の浴槽水BWに熱交換する液−液熱交換器である。高温分配弁38は、給湯回路14又は風呂回路20への熱供給を切り替える切替手段を構成している。
【0033】
また、風呂回路20は、熱媒回路22と独立した循環路であって、浴槽44に溜められている浴槽水BWを、ポンプ46の運転により浴槽44から熱交換器42に導き、温水9との熱交換により加熱した後、浴槽44に戻す回路である。また、風呂回路20と給湯回路14との間には切替弁48を介して給湯管路50が接続されており、給湯回路14及び給湯管路50を介して浴槽44に注湯が可能である。
【0034】
給湯回路14は、熱媒回路22と独立した回路であって、上水Wを、二次熱交換器8を介して熱交換器12に流し、温水9との熱交換により加熱し、給湯させる。
【0035】
二次熱交換器8、10を備える熱交換装置6について、図2を参照して説明する。図2は、二次熱交換器8、10が一体化された熱交換装置6を示している。
【0036】
この熱交換装置6は、入口側ヘッダ52と出口側ヘッダ54とを備え、これら入口側ヘッダ52と出口側ヘッダ54との間には、複数の受熱管として給湯側熱交換管56と、温水側熱交換管58とが併設されて一体化され、入口側ヘッダ52及び出口側ヘッダ54は、分離壁60、62によって給湯側と温水側とに分離されている。
【0037】
ポート64から流入した上水Wは、給湯側熱交換管56を経てポート66から流出し、ポート68から流入した温水9は、温水側熱交換管58を経てポート70から流出する。これら温水9及び上水Wは、燃焼排気4の潜熱との熱交換で加熱される。
【0038】
この熱交換装置6では、チタン又はチタン合金あるいはステンレス製の複数のコルゲート管で構成される熱交換管56、58が並列に設置され、各ヘッダ52、54がそれぞれ一体化されているが、その構成は任意であり、熱交換管56、58の全長、本数の割合も可変することができ、暖房及び給湯の効率を勘案して選定すればよい。
【0039】
次に、給湯、暖房、追焚の各動作を説明する。
【0040】
(1) 給湯動作
【0041】
リモコン装置72の運転スイッチを押し、給湯栓を開くと、図3に示すように、上水Wは、水制御弁74、水流感知装置としての水量センサ76を介してバイパス通路78に流れるとともに、給湯用二次熱交換器8側に流れ、その後、熱交換器12を経て給湯栓へ流れる。給水量が一定以上に達したことを水量センサ76が検知すると、循環ポンプ30、給気ファン80が回転し、給気ファン80の回転数が一定以上に達すると、イグナイタ82が作動し、点火プラグ84が放電を開始する。元ガス電磁弁86、ガス電磁弁88、ガス切替電磁弁90、92が「開」、ガス比例弁94が「ON」し、バーナ16に点火する。フレームロッド96が火炎を検知すると、リモコン装置72の燃焼表示が点灯する。二次熱交換器8、熱交換器12で加熱された高温の上水Wと、バイパス通路78を経た低温の上水Wとが混合され、設定温度で出湯が得られる。
【0042】
このように上水Wは、燃焼排気4との熱交換により潜熱を受けて加熱されるとともに、熱交換器12で温水9との熱交換により加熱される。このような給湯動作において、温水9と上水W及び出湯の各温度関係は図4に示す通りである。
【0043】
(2) 暖房動作(高温)
【0044】
高温端末32の運転スイッチを「ON」にすると、図5に示すように、循環ポンプ30、給気ファン80が回転し、イグナイタ82により点火プラグ84から連続放電が開始されてバーナ16の燃焼が開始され、温水9が加熱され、これは、既述の給湯時の動作と同様である。暖房負荷に応じて、一次熱交換器26の出口側にある温度センサ98により燃焼ガス量を比例制御し、負荷が小さい場合は、ON−OFF制御で設定温度を保つ。高温端末32の運転スイッチを「OFF」にすると、バーナ16の燃焼が停止する。温水9が不足したときは、温水タンク28の水位検出器100で検出し、所定レベルまで上水Wを補給する。
【0045】
(3) 暖房動作(低温)
【0046】
低温端末34の運転スイッチを「ON」にすると、図6に示すように、同様に、バーナ16の燃焼が開始され、暖房負荷に応じて、温度センサ98により燃焼ガス量の比例制御をし、温度センサ99の温度を確認しながら低温調整弁37により高温側(80〔℃〕)の温水9と低温側の温水9を混合し、設定温度に調整し、低温端末34に循環させる。低温端末34の運転スイッチを「OFF」にすると、元ガス電磁弁86、ガス切替電磁弁90が「閉」、ガス比例弁94が「OFF」、循環ポンプ30、給気ファン80が「OFF」となり、燃焼停止となる。
【0047】
(4) 追焚動作
【0048】
浴槽水BWは、追焚与熱回路22Cに循環する温水9との熱交換により加熱される。この場合、バーナ16の燃焼を伴ってもよく、燃焼停止の状態でも温水9の熱容量に応じて浴槽水BWの加熱が可能である。
【0049】
〔第2の実施の形態〕
【0050】
本発明の第2の実施の形態について、図7を参照して説明する。図7は、第2の実施の形態に係る熱交換装置6を示す図であり、(A)はその外観を示す斜視図、(B)はその構成図である。
【0051】
この実施の形態においても、図1に示す給湯・暖房・追焚装置2が用いられる。そこで、この実施の形態の熱交換装置6では、ヘッダ52、54に多数の直管状の熱交換管56、58をロー付け等により接続したものであり、熱交換管56、58は、ステンレス等の金属管であり、燃焼ガスが通過可能な程度の隙間を空けて平行に配置されたものである。そして、ヘッダ52、54の内部は、分離壁60、62の設置により、上水W側と熱媒である温水9側とに分離されている。
【0052】
〔第3の実施の形態〕
【0053】
本発明の第3の実施の形態について、図8ないし図11を参照して説明する。図8ないし図11は、一次熱交換器26及び熱交換装置6の構成を示す図であり、図8はその平面図、図9はその内部配管構成を示す図、図10は給湯側の二次熱交換器8の配管構成を示す図、図11は温水側の二次熱交換器10の配管構成を示す図である。図8〜図11において、図1、図2、図7と同一又は共通部分には同一符号を付してある。
【0054】
この実施の形態では、一次熱交換器26の上部に熱交換装置6の熱交換筐体部102が搭載され、この熱交換筐体部102から引き出された各ポート64、66と各ポート68、70とが相反方向に開口部を向けて設置されている。熱交換筐体部102には、潜熱の吸収後の燃焼排気4を通過させる排気口104が形成されている。
【0055】
熱交換筐体部102には図9に示すように、屈曲させた給湯側熱交換管56、温水側熱交換管58が設置されており、図10に示すように、給湯側熱交換管56の端部にはポート64、66が形成され、また、図11に示すように、温水側熱交換管58の端部にはポート68、70が形成されている。
【0056】
そして、給湯側熱交換管56及び温水側熱交換管58のそれぞれは複数の管路を並列化することにより、管路の圧力損失を低減させている。
【0057】
このような熱交換装置6を用いても同様に、燃焼排気4の潜熱を上水W及び温水9に熱交換することができ、熱交換効率を高めることができるとともに、排熱の有効利用を図ることができる。
【0058】
〔他の実施の形態〕
【0059】
(1) 上記実施の形態では、熱媒として温水9を用いたが、油やガス等の熱を搬送し、放熱可能な流体であってもよい。
【0060】
(2) 上記実施の形態において、二次熱交換器8及び熱交換器12は、上水Wを加熱する構成であるが、浴槽水BWを加熱する構成であってもよい。
【0061】
(3) 上記実施の形態では、加熱排気として燃焼排気4を用いたが、加熱排気として燃焼以外の加熱流体を用いてもよい。
【0062】
(4) 上記実施の形態では、低温端末34に流す温水9を低温調整弁37により高温側温水と低温側温水とのミキシングにより所定温度に調整しているが、低温調整弁37を除いて高温側温水と低温側温水とを管路や温水タンク28で間接的にミキシングする構成としてもよく、その場合、温水9の温度を温度センサ99によって監視し、又は、温水タンク28の温水9の温度を監視する等により、これらを制御情報に用いてバーナ16の燃焼や燃焼時間を制御すれば、高温側の温水9の温度調整により、低温端末34に流れる温水温度を所定温度に維持することができる。
【0063】
以上の通り、本発明の最も好ましい実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、加熱排気が持つ潜熱を、上水等の給水及び/又は浴槽水の加熱、熱媒加熱に利用し、排熱の有効利用による熱交換効率の向上を図ることができ、また、給水加熱と、熱媒加熱とを行う二次熱交換器を合体させた熱交換装置を用いているので、熱交換部の小型化等に寄与し、有用である。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る熱源装置及び熱交換装置を示す図である。
【図2】熱交換装置を示す図である。
【図3】給湯動作を示す図である。
【図4】給湯動作における熱交換を示す図である。
【図5】暖房動作(高温)における熱交換を示す図である。
【図6】暖房動作(低温)における熱交換を示す図である。
【図7】第2の実施の形態に係る熱交換装置を示す図である。
【図8】第3の実施の形態に係る熱交換装置を示す図である。
【図9】熱交換装置の配管構成を示す図である。
【図10】熱交換装置の給湯側の配管構成を示す図である。
【図11】熱交換装置の温水側の配管構成を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
2 給湯・暖房・追焚装置
4 燃焼排気(加熱排気)
6 熱交換装置
8 給湯用二次熱交換器(第2の熱交換手段、第1の熱交換部)
9 温水(熱媒)
10 温水用二次熱交換器(第2の熱交換部)
12 給湯用熱交換器(第1の熱交換手段)
14 給湯回路
16 バーナ(熱源)
26 温水用一次熱交換器
28 温水タンク
32 高温端末
34 低温端末
52 入口側ヘッダ
54 出口側ヘッダ
56 給湯側熱交換管
58 温水側熱交換管
102 熱交換筐体部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱排気が持つ顕熱及び/又は潜熱による熱媒の加熱を含む熱源装置であって、
前記熱媒の持つ熱を給水又は浴槽水に熱交換する第1の熱交換手段と、前記加熱排気の前記潜熱を給水又は浴槽水に熱交換する第2の熱交換手段とを給湯路に備え、
前記第2の熱交換手段で加熱された前記給水又は前記浴槽水を前記第1の熱交換手段で加熱して出湯させることを特徴とする熱源装置。
【請求項2】
請求項1の前記熱源装置において、
加熱によって加熱排気を生じさせる熱源と、
前記加熱排気の顕熱を前記熱媒に熱交換する一次熱交換手段と、
前記加熱排気の潜熱を前記熱媒に熱交換する二次熱交換手段と、
前記一次熱交換手段及び/又は前記二次熱交換手段で加熱した前記熱媒を溜めるタンクと、
を備え、前記熱媒を暖房負荷に循環させることを特徴とする熱源装置。
【請求項3】
請求項1の前記熱源装置において、
前記第2の熱交換手段はコルゲート管であることを特徴とする熱源装置。
【請求項4】
請求項1の前記熱源装置において、
前記第2の熱交換手段は、複数の受熱管を並列に設置し、各受熱管の端部をヘッダで連結させたことを特徴とする熱源装置。
【請求項5】
請求項2の前記熱源装置において、
前記第2の熱交換手段は、前記熱源の排気通路に備え、又は前記排気通路に設置された筐体内に備えたことを特徴とする熱源装置。
【請求項6】
加熱排気から主として潜熱を吸収する熱交換装置であって、
前記加熱排気の主として潜熱を給水又は浴槽水に熱交換する第1の熱交換部と、前記加熱排気の主として潜熱を熱媒に熱交換する第2の熱交換部とを前記加熱排気を流す排気路に備えることを特徴とする熱交換装置。
【請求項7】
請求項6の熱交換装置において、
前記第1の熱交換部と前記第2の熱交換部とを熱交換筐体部に内蔵させたことを特徴とする熱交換装置。
【請求項8】
請求項6の熱交換装置において、
前記第1の熱交換部と前記第2の熱交換部とをヘッダ部分で合体させたことを特徴とする熱交換装置。
【請求項1】
加熱排気が持つ顕熱及び/又は潜熱による熱媒の加熱を含む熱源装置であって、
前記熱媒の持つ熱を給水又は浴槽水に熱交換する第1の熱交換手段と、前記加熱排気の前記潜熱を給水又は浴槽水に熱交換する第2の熱交換手段とを給湯路に備え、
前記第2の熱交換手段で加熱された前記給水又は前記浴槽水を前記第1の熱交換手段で加熱して出湯させることを特徴とする熱源装置。
【請求項2】
請求項1の前記熱源装置において、
加熱によって加熱排気を生じさせる熱源と、
前記加熱排気の顕熱を前記熱媒に熱交換する一次熱交換手段と、
前記加熱排気の潜熱を前記熱媒に熱交換する二次熱交換手段と、
前記一次熱交換手段及び/又は前記二次熱交換手段で加熱した前記熱媒を溜めるタンクと、
を備え、前記熱媒を暖房負荷に循環させることを特徴とする熱源装置。
【請求項3】
請求項1の前記熱源装置において、
前記第2の熱交換手段はコルゲート管であることを特徴とする熱源装置。
【請求項4】
請求項1の前記熱源装置において、
前記第2の熱交換手段は、複数の受熱管を並列に設置し、各受熱管の端部をヘッダで連結させたことを特徴とする熱源装置。
【請求項5】
請求項2の前記熱源装置において、
前記第2の熱交換手段は、前記熱源の排気通路に備え、又は前記排気通路に設置された筐体内に備えたことを特徴とする熱源装置。
【請求項6】
加熱排気から主として潜熱を吸収する熱交換装置であって、
前記加熱排気の主として潜熱を給水又は浴槽水に熱交換する第1の熱交換部と、前記加熱排気の主として潜熱を熱媒に熱交換する第2の熱交換部とを前記加熱排気を流す排気路に備えることを特徴とする熱交換装置。
【請求項7】
請求項6の熱交換装置において、
前記第1の熱交換部と前記第2の熱交換部とを熱交換筐体部に内蔵させたことを特徴とする熱交換装置。
【請求項8】
請求項6の熱交換装置において、
前記第1の熱交換部と前記第2の熱交換部とをヘッダ部分で合体させたことを特徴とする熱交換装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−315700(P2007−315700A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−146827(P2006−146827)
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(000170130)高木産業株式会社 (87)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月26日(2006.5.26)
【出願人】(000170130)高木産業株式会社 (87)
【Fターム(参考)】
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