説明

熱転写用のドナー要素

光への露光によって画像形成するための集合体に有用なドナー要素は、延伸プロセスによって形成された支持層、支持層に隣接して配置された、光吸収剤を含有する光−熱変換層、および光−熱変換層に隣接し、支持層の反対側に配置された転写層を含む。光−熱変換層は、延伸プロセスの完了前に支持層上にコートされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドナー要素から受像要素への材料の光誘発転写用の画像形成可能集合体で受像要素と共に使用するためのドナー要素に関する。
【背景技術】
【0002】
ドナー要素から受像要素への材料の光誘発転写用の画像形成可能集合体で受像要素と共に使用するためのドナー要素は、典型的には多層を含む。層は、支持層、光−熱変換(LTHC)層、および転写層を含むことができるが、それらに限定されない。典型的には、50μmポリエチレンテレフタレートフィルムのような支持層が順次LTHC層前駆体でコートされ、前駆体が乾燥によって最終LTHC層に変換され、そしてその後転写層前駆体が支持層の反対側のLTHC層上にコートされ、乾燥によって転写層に変換される。
【0003】
材料は選択的に熱転写されて電子ディスプレイならびに他のデバイスおよびオブジェクトに有用な素子を形成する。具体的には、カラーフィルター、スペーサー、偏光子、導電層、トランジスタ、リン光体および有機エレクトロルミネセンス材料の選択的な熱転写はすべて提案されてきた。着色剤のような材料は選択的に熱転写されて参照画像の校正刷りのようなオブジェクトを形成することができる。
【0004】
ドナー要素からの転写可能な材料の移動の有効性および選択性の点で、ならびに受像要素への転写された材料の沈着および接着および固定の有効性および選択性の点で、ドナー要素の熱転写画像形成における改良に対するニーズが依然としてある。受像要素への層の意図されない転写を減らすドナー要素の熱転写画像形成における改良が追求される。ハンドリング特性およびドナー要素の耐損傷性を向上させるドナー要素の熱転写画像形成における改良が追求される。
【0005】
熱転写効率、加熱の任意のばらつきからの熱転写効率の独立性、湿気および温度のような環境条件の任意のばらつきからの熱転写効率の独立性、物質移動の完全性、意図されない物質移動のないこと、ドナーの物質移動した領域および非画像形成領域のきれいな分離、ならびに物質移動した材料の表面およびエッジの滑らかさの少なくとも1つを改善するために、熱転写ドナー要素の改良および画像形成可能集合体での受像要素と一緒のそれらの使用における改良に対するニーズは依然としてある。
【0006】
ポリエチレンテレフタレートのようなフィルムは、帯電防止剤および接着改質剤のような材料で長い間コートされてきた。改善された特性および実用性のフィルムを提供するためにこの分野では調合物の改良に対する継続的なニーズがある。
【0007】
公知ドナー要素およびそれらの通常使用の例は、米国特許公報(特許文献1)(ウォルク(Wolk)ら)および米国特許公報(特許文献2)(ブランチェット−フィンチャー(Blanchet−Fincher)ら)によって記載されている。
【0008】
ウォルクらの米国特許公報(特許文献1)は、有機電子ディスプレイまたはデバイスを製造するための配向材料のパターン化方法を提供している。該方法は、配向した電子活性材料または電子放射材料の熱転写ドナーシートからレセプターへ選択的な熱転写を含む。配向した発光ポリマー転写層を提供するための一方法は、ドナーシート上へ配向可能な発光ポリマーをコートすること、および生じた転写シートを配向方向に延伸することである。この方法では、配向可能な発光ポリマーは、好適な相溶性溶剤の添加によって可溶化し、そしてスピンコーティング、グラビアコーティング、マイアー(mayer)ロッドコーティング、ナイフコーティングなどによってドナーシート上へコートすることができる。選択される溶剤は好ましくは、ドナーシート中の既存層のどれとも望ましくないように相互作用しない(例えば、膨潤させないまたは溶解させない)。溶剤は次にコーティングから蒸発させて完全に形成されたドナーシートを製造することができる。ドナーシートは次に、選択された方向に延伸し、またはテンター掛けして転写層の配向可能材料の分子を配列させることができる。この方法は、配向可能な転写層がドナー基材上へコートされ、複合品が配向可能な転写層を配向させるために延伸されまたはテンター掛けされ、そして転写層が加熱および/または加圧することによってその配向した状態でレセプターに転写される積層転写方法に適しているかもしれない。このようにして、全体転写層、またはその大部分は一露光で転写することができる。
【0009】
ブランチェット−フィンチャーらの米国特許公報(特許文献2)は、放出層、加熱層、および転写層を含むドナー要素を開示している。放出層は、それらが層の本質的な機能を妨げない限り、添加剤を有することができる。かかる添加剤の例には、コーティング助剤、流れ添加剤、スリップ剤、ハレーション防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、およびコーティングの調合物に使用されることが知られているその他が挙げられる。
【0010】
【特許文献1】米国特許第6,485,884号明細書
【特許文献2】米国特許第6,146,792号明細書
【特許文献3】国際公開第03/078512−A号パンフレット
【特許文献4】米国特許第5,108,873号明細書
【特許文献5】米国特許第5,036,040号明細書
【特許文献6】米国特許第5,035,977号明細書
【特許文献7】米国特許第5,034,303号明細書
【特許文献8】米国特許第5,024,923号明細書
【特許文献9】米国特許第5,019,549号明細書
【特許文献10】米国特許第5,019,480号明細書
【特許文献11】米国特許第4,973,572号明細書
【特許文献12】米国特許第4,952,552号明細書
【特許文献13】米国特許第4,950,640号明細書
【特許文献14】米国特許第4,950,639号明細書
【特許文献15】米国特許第4,948,778号明細書
【特許文献16】米国特許第4,948,777号明細書
【特許文献17】米国特許第4,948,776号明細書
【特許文献18】米国特許第4,942,141号明細書
【特許文献19】米国特許第4,923,638号明細書
【特許文献20】米国特許第4,921,317号明細書
【特許文献21】米国特許第4,913,846号明細書
【特許文献22】米国特許第4,912,083号明細書
【特許文献23】米国特許第4,892,584号明細書
【特許文献24】米国特許第4,791,023号明細書
【特許文献25】米国特許第4,788,128号明細書
【特許文献26】米国特許第4,767,571号明細書
【特許文献27】米国特許第4,675,357号明細書
【特許文献28】米国特許第4,508,811号明細書
【特許文献29】米国特許第4,446,223号明細書
【特許文献30】米国特許第4,315,983号明細書
【特許文献31】米国特許第3,495,987号明細書
【特許文献32】GB−1114133−B号明細書
【特許文献33】GB−1109656−B号明細書
【特許文献34】米国特許第5,047,454号明細書
【特許文献35】米国特許第5,221,584号明細書
【特許文献36】米国特許第4,623,695号明細書
【特許文献37】米国特許第5,521,035号明細書
【特許文献38】米国特許第5,695,907号明細書
【特許文献39】米国特許第5,863,860号明細書
【特許文献40】米国特許第6,030,550号明細書
【特許文献41】国際公開第97/33193号パンフレット
【特許文献42】特開平9−255774号公報
【特許文献43】米国特許第5,998,085号明細書
【特許文献44】米国特許第6,114,088号明細書
【特許文献45】PCT出願国際公開第00/41893号パンフレット
【特許文献46】米国特許第5,318,938号明細書
【特許文献47】米国特許第5,882,774号明細書
【特許文献48】米国特許第5,828,488号明細書
【特許文献49】国際公開第95/17303号パンフレット
【特許文献50】米国特許第4,743,091号明細書
【特許文献51】米国特許第5,089,372号明細書
【特許文献52】米国特許第5,171,650号明細書
【特許文献53】米国特許第5,059,579号明細書
【非特許文献1】マツオカ(Matsuoka),M.著、「赤外線吸収材料(Infrared Absorbing Materials)」、ニューヨーク、Plenum Press、1990年
【非特許文献2】マツオカ,M.著、「ダイオードレーザー用の染料の吸収スペクトル(Absorption Spectra of Dyes for Diode Lasers)」、東京、ブンシン出版社(Bunshin Publishing Co)、1990年
【非特許文献3】ベアズリー(Beardsley)、セルビー(Selby)著、J.Paint Technology、第40 521巻(1968)、263−270ページ
【非特許文献4】「NPIRI原料データハンドブック(NPIRI Raw Materials Data Handbook)」、第4巻(顔料(Pigments))
【非特許文献5】リ(Li)ら著、Synthetic Metals 84(1997)、437−438ページ
【非特許文献6】チェン(Chen)ら著、Synthetic Metals 107(1999)、203−207ページ
【非特許文献7】クラーナー(Klarner)ら著、Chem.Mat.11(1999)、1800−1805ページ
【非特許文献8】ファラー(Farah)、ピエトロ(Pietro)著、Polymer Bulletin 43(1999)、135−142ページ
【非特許文献9】ヒラオカ(Hiraoka)ら著、Polymers for Advanced Technologies 8(1997)、465−470ページ
【非特許文献10】ベルマン(Bellmann)ら著、Chem Mater 10(1998)、1668−1678ページ
【非特許文献11】バイアール(Bayerl)ら著、Macromol.Rapid Commun.20(1999)、224−228ページ
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、光への露光で発生した熱によって画像形成するための集合体に有用なドナー要素を提供する。一実施形態では、本発明は、延伸プロセスによって形成された支持層、支持層に隣接して配置された、光吸収剤を含有する光−熱変換層、および延伸プロセス後に、光−熱変換層に隣接し、支持層の反対側に配置されたドナー要素が、画像形成光に選択的に露光されたときに、ドナー要素から隣接受像要素へ像様転写され得る材料を含む転写層を含む熱転写プロセスに使用するためのドナー要素であって、光−熱変換層が、延伸プロセスの完了前に支持層上にコートされるドナー要素を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、支持層110、光−熱変換(LTHC)層120、および転写層130を含むドナー要素100を示す。支持層および転写層は光−熱変換層を挟んでおり、このドナー要素はそれ故、隣接する光−熱変換層を一面上に有する支持層、および光−熱変換層に隣接する、そして支持層の反対側の転写層を含む。
【0013】
本発明では、光−熱変換層は支持層と同時に延伸される。延伸は、隣接する転写層が導入される前に実施される。光−熱変換層の延伸は、画像形成可能集合体で画像形成されたときにドナー要素の性能に予期しない便益をもたらす。ドナー要素は任意選択的に他の層、例えば支持層と転写層との間に配置された(例えば、中間層)、支持層に隣接してLTHC層に向い合って(例えば帯電防止層)、および転写層に隣接してLTHC層に向い合って(例えば接着層)を含んでもよい。
【0014】
支持層110は、例えば製造中に、画像形成可能集合体を製造するときに、および集合体の画像形成後に使用済みドナー要素を画像形成した受像要素から取り除くときに、ドナー要素をその機能性層で処理する実用的な手段を提供する。かかる態様では、支持層は慣習的なものであり、画像形成中に実質的に変化するかもしれない層用の基材として働く。
【0015】
支持層110はポリマーフィルムであることができる。ポリマーフィルムの好適な一タイプはポリエステルフィルム、例えば、ポリエチレンテレフタレートまたはポリエチレンナフタレートフィルムである。しかしながら、特定の用途向けに十分な機械的および熱的安定性、ならびにある特定波長での光の高い透過率をはじめとする、任意選択的に十分な光学的特性を有する他のフィルムを使用することができる。支持層に好適なポリマーの例には、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリビニル樹脂、またはポリエステルが挙げられる。一実施形態では、合成線状ポリエステルが支持層のために使用される。
【0016】
支持層として有用な合成線状ポリエステルは、1つまたは複数のジカルボン酸またはそれらの低級アルキル(6個以下の炭素原子)ジエステル、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−、2,6−もしくは2,7−ナフタレンジカルボン酸、コハク酸、セバシン酸、アジピン酸、アゼライン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸または1,2−ビス−p−カルボキシフェノキシエタン(任意選択的にピバリン酸のようなモノカルボン酸と共に)を、1つまたは複数のグリコール、特に脂肪族または脂環式グリコール、例えばエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノールと縮合させることによって得られてもよい。芳香族ジカルボン酸が好ましい。脂肪族グリコールが好ましい。例えばヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、または2−ヒドロキシナフタレン−6−カルボン酸などのω−ヒドロキシアルカン酸(典型的にはC3〜C12)のような、ヒドロキシカルボン酸モノマーから誘導された単位を含有するポリエステルまたはコポリエステルもまた使用されてもよい。一実施形態では、ポリエステルはポリエチレンテレフタレートおよびポリエチレンナフタレートから選択される。
【0017】
支持層は、上のフィルム形成材料の1つまたは複数の別個の層を含んでもよい。それぞれの層のポリマー材料は同じまたは異なるものであってもよい。例えば、支持層は1、2、3、4もしくは5以上の層を含んでもよく、典型的な多層構造物はAB、ABA、ABC、ABAB、ABABAまたはABCBAタイプのものであってもよい。
【0018】
支持層の形成は通常の技法によって行われてもよい。好都合にも、支持層の形成は押出によって達成される。大まかに言えば、本方法は、融解したポリマーの層を押し出す工程と、押出物を急冷する工程と、急冷された押出物を少なくとも1つの方向に延伸する工程とを含んでもよい。
【0019】
支持層は未延伸であってもよいし、または任意の回数延伸されても、例えば一軸延伸、もしくは二軸延伸されてもよい。延伸は、延伸フィルム、例えばチューブ状またはフラットフィルムを製造するために当該技術で公知の任意の方法によって達成されてもよい。典型的には、支持層を延伸するために用いられる方法は、本発明の延伸された光−熱変換層を製造するのに十分な延伸を提供する。延伸は、未延伸寸法の少なくとも1つの寸法の少なくとも10%の程度までである。一実施形態では、一寸法での延伸は少なくとも10、20、50、100、200、400、800、1600、および3200%の選択されたものである。一実施形態では、延伸は6400、3200、1600、800、400、200、100、および50%の選択されたもの未満である。
【0020】
二軸延伸は、フィルムの平面で2つの互いに垂直の方向に延伸して機械的特性および物理的特性の満足のいく組み合わせを達成することによってもたらされてもよい。
【0021】
同時二軸延伸は、熱可塑性樹脂ポリマーチューブを押し出すことによって達成されてもよく、チューブはその後急冷され、再加熱され、次に内部ガス圧によって膨張させられて横延伸を誘発し、そして縦延伸を誘発するであろう速度で引き出される。
【0022】
支持層形成ポリマーは、スロットダイを通して押し出され、ポリマーが非晶質状態に急冷されることを確実にするために冷却されたキャスティングドラム上で迅速に急冷される。延伸は次に、ポリエステルのガラス転移温度より高い温度で少なくとも1つの方向に急冷された押出物を延伸することによって達成されてもよい。逐次延伸は、平らな急冷された押出物をフィルム延伸機によって先ず一方向に、通常は縦方向、すなわち順方向に、次に横方向に延伸することによって達成されてもよい。押出物の順方向延伸は、一連の回転ロールにわたってまたは2対のニップロール間で都合よく達成されてもよく、次に横延伸はステンター装置で達成される。あるいはまた、キャストフィルムが二軸ステンターで順方向および横方向の両方に同時に延伸されてもよい。延伸は、ポリマーの性質によって決定される程度まで達成され、例えばポリエチレンテレフタレートは、延伸フィルムの寸法が延伸の各方向でその元の寸法の2〜5倍、より好ましくは2.5〜4.5倍であるように通常延伸される。典型的には、延伸は、70〜125℃の範囲の温度で達成される。一方向のみの延伸が必要とされる場合、より大きい延伸比(例えば、約8倍以下)が用いられてもよい。各方向に等しく延伸することは必要ではないが、これが普通である。
【0023】
延伸フィルムは、ポリエステルのガラス転移温度より高いがその溶融温度より低い温度で寸法制限下にヒートセットすることによって寸法安定化させてポリエステルの結晶化を誘起してもよい。実際のヒートセット温度および時間は、フィルムの組成物に依存して変わるであろうが、フィルムの機械的特性を実質的に劣化させないように選択されるべきである。これらの制限内で、約135℃〜250℃のヒートセット温度がポリエステルテレフタレートにとって一般に望ましい。コーティング層中の成分の熱安定性は、それらの成分のいかなる分解も回避するまたは減らすためにヒートセット温度の注意深い制御を必要とするかもしれない。好ましくは、ヒートセット温度は約235℃未満である。
【0024】
支持層それ自体が2つ以上の層を含む場合、支持層の製造は、マルチ−オリフィスダイの独立オリフィスを通してそれぞれのフィルム形成層の同時共押出、そしてその後依然として融解した層を合体させることによるか、あるいはまた、それぞれのポリマーの融解流れが先ずダイ多岐管につながるチャネル内で合体させられ、その後、それによって混合することなく層流の条件下にダイオリフィスから一緒に押し出されて多層ポリマーフィルムを生成し、それが本明細書に記載されるように延伸され、ヒートセットされてもよい単一チャネル共押出によるかのどちらかによる共押出によって都合よく達成されてもよい。多層支持層の形成はまた、通常の積層技法によって、例えば予め成形した第1層と予め成形した第2層とを一緒に積層することによって、または、例えば、予め成形した第2層上へ第1層をキャストすることによって達成されてもよい。
【0025】
支持層は、一様なコーティングを都合よく塗布し、次の層中へ集結させることができ、そして最終多層ドナー要素をシートまたはロール形で都合よく処理することができるように典型的には薄く、コート可能である。支持層組成物はまた、画像形成中にLTHC層の加熱にもかかわらず安定のままである材料から典型的には選択される。より厚いまたはより薄い支持層が使用されてもよいが、支持層の典型的な厚さは0.005〜0.5mmの範囲、例えば15μm、25μm、50μm、100μm、または250μm厚さのフィルムであってもよい。支持層の幅および長さ寸法はハンドリングの便利さのために選択され、画像形成されることになる受像要素の寸法は、例えば0.1〜5mの幅、および0.1〜10,000mの長さである。
【0026】
最も近い隣接層(例えば、下層またはLTHC層)と接触する支持層の最外面を形成するために使用される材料は、支持層と隣接層との間の接着性を改善するため、支持層と隣接層との間の温度輸送を制御するため、LTHC層への画像形成光輸送を制御するため、ドナー要素のハンドリングを改善するためなどのために選択することができる。任意の下塗り層を、支持層上へのその後の層のコーティング中に一様性を増やし、そしてまた支持層と隣接層との間の接着強度を増やすために使用することができる。プライマー層付きの好適な支持層の一例は、帝人株式会社(製品No.HPE100、日本国大阪)から入手可能である。
【0027】
支持層は、デュポンテイジンフィルムス(DuPontTeijinFilms)(登録商標)、本願特許出願人と帝人株式会社との合弁事業によって製造されるポリエステルフィルムのメリネックス(MELINEX)(登録商標)ラインのような、隣接連続層を受け入れるためにプラズマ処理されてもよい。転写層の反対側の支持材の面上のバッキング層が任意選択的に支持材上に提供されてもよい。これらのバッキング層は、支持層の裏面、すなわち、転写可能な層とは反対側面に粗い表面を提供するために充填剤を含有してもよい。あるいはまた、支持層それ自体が、支持層の裏面に粗い表面を提供するためにシリカのような充填剤を含有してもよい。あるいはまた、支持層は、支持層の一面または両面に粗い表面を提供するために物理的に粗面化されてもよい。物理的な粗面化方法の幾つかの例には、サンドブラスティング、金属ブラシで衝撃を与えることなどが挙げられる。光減衰層は、粗面化支持層表面、または吸収剤もしくは拡散剤のような光減衰剤をまた含むことができる表面層に由来してもよい。
【0028】
支持層は、ボイド化剤、滑剤、酸化防止剤、ラジカル捕捉剤、UV吸収剤、難燃剤、熱安定剤、ブロッキング防止剤、界面活性剤、スリップ助剤、蛍光増白剤、光沢改良剤、プロデグラデント(prodegradent)、粘度調整剤および分散安定剤のような、ポリマーフィルムの製造に通常用いられる添加剤の任意のものを含有してもよい。充填剤は当該技術で周知であるように、ポリマーフィルム用の特に共通の添加剤であり、フィルム特性を調節するのに有用である。典型的な充填剤には、当該技術で周知であり、そして例えば(特許文献3)に記載されているように、微粒子無機充填剤(金属もしくは半金属酸化物、例えばカルシウムおよびバリウムの炭酸塩および硫酸塩などの粘土およびアルカリ性金属塩のような)もしくは非相溶性樹脂充填剤(ポリアミドおよびポリオレフィンのような)または2つ以上のかかる充填剤の混合物が含まれる。層の組成物の成分は通常の方法で一緒に混合されてもよい。例えば、それから層ポリマーが誘導されるモノマー反応体と混合することによって、または成分は、混転もしくは乾式ブレンディングによってまたは押出機中で混ぜ合わせることによってポリマーと混合され、それに冷却および、通常は、顆粒もしくはチップへの粉砕が続いてもよい。マスターバッチ技術がまた用いられてもよい。
【0029】
支持層は好ましくは充填剤なしであるかまたはわずかにだけ充填剤入りである、すなわち、任意の充填剤が、一般に支持層ポリマーの0.5重量%を超えない、好ましくは0.2重量%未満の少量だけ存在する。この実施形態では、支持層は典型的には光学的に無色透明であろうし、標準ASTM(米国材料試験協会)D 1003に従って測定されて、好ましくは6%未満、より好ましくは3.5%未満、そして特に2%未満の散乱可視光の百分率(ヘーズ)を有する。
【0030】
金属化フィルムは、ドナー要素用の支持層として使用することができる。具体的な例には、ポリエチレンテレフタレートまたはポリオレフィンフィルムを含むシングルフィルムまたは多層フィルムが挙げられる。有用なポリエチレンテレフタレートフィルムには、すべてCPフィルムス、バージニア州マーチンズビル(CP Films,Martinsville,Va)によって金属クロムで50%可視光透過率まで金属化された、メリネックス(MELINEX)(登録商標)473(100μm厚さ)、メリネックス(登録商標)6442(100μm厚さ)、メリネックス(登録商標)LJX111(25μm厚さ)、およびメリネックス(登録商標)453(50μm厚さ)が含まれる。
【0031】
支持層は通常、LTHC層に達する前にそれに当たることができる画像形成光を適度に通し、例えば、支持層は画像形成波長で90%以上の光透過率を有する。支持層は単層または多層であることができる。同様に、反射防止層が光反射を減らすために支持層上に形成されてもよい。
【0032】
光−熱変換層120は、画像形成工程中に、少なくともLTHC層で1つまたは複数の光吸収剤によって吸収された光を熱エネルギーに変換する役割を果たし、当該熱エネルギーは、後で記載される集合体の転写層の幾つかの成分または体積の受像要素への転写を引き起こすのに十分である。
【0033】
本発明では、光−熱変換層は、支持層に適用される延伸工程の完了前に支持層に塗布される。
【0034】
典型的には、LTHC層中の光吸収剤は、電磁スペクトルの赤外、可視および/または紫外領域の光を吸収し、吸収された光を熱に変換する。光吸収剤は典型的には、選択された画像形成光を高度に吸収し、画像形成光の波長で約0.1〜3以上の範囲の吸光度(ある特定の波長で入射光の20〜99.9%以上の吸収)のLTHC層を提供する。典型的には、画像形成光の波長でのLTHC層の吸光度は約0.1、0.2、0.3、0.4、0.6、0.8、1.0、1.25、1.5、2、2.5、もしくは10またはそれらの間の任意の値である。吸光度は、a)(典型的には最短方向で)層を通して伝えられる光の強度およびb)層に入射する光の強度の比の対数(ベース10)の絶対値である。例えば、1の吸光度は入射光強度の10%の透過に相当し、0.4より大きい吸光度は入射光強度の約40%未満の透過に相当する。
【0035】
2つの波長間での最大吸光度は、該吸光度が波長の該範囲で見いだされる最大値である波長での吸光度を意味し、吸光度の第1導関数対波長はゼロを通り、第2導関数は負である−言い換えれば、吸光度の波長による最短隣接値はより小さいかまたは同じものであり、吸光度のより大きい値は該波長範囲にわたって全く見いだされない。
【0036】
一実施形態では、LTHC層は画像形成のために用いられる波長領域または特定波長の光を高度に吸収するが、LTHC層は別の波長領域または特定波長でははるかに少なく吸収性(例えば透明、セミ透明、または半透明)である。例えば、約830nmに最大出力を有するレーザーで画像形成されるLTHC層は、750〜950nmの波長領域に最大吸光度を有することができるが、同時に400〜750nmの領域での最大吸光度が、少なくとも5倍より小さい(例えば、750〜900nmの最大吸光度は840nmにあって0.5であるが、400〜750nmの最大吸光度は650nmにあって0.09である)。一実施形態では、画像形成領域対非画像形成領域の吸光度のこの局所比は、非画像形成領域が比較的透明であるように典型的には1より大きい、例えば比は2、4、8、12、16、32またはそれ以上から選択されたものより大きいであろう。ある所与の波長領域での吸光度のこの比は、LTHC層に、そしてまたLTHC層中の任意の重要な吸収剤にも適用することができる(例えば、画像形成光の吸収の少なくとも10%の割合を占めるもののような任意の特定吸収剤、例えば、2−(2−(2−クロロ−3−(2−(1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)エチリデン)−1−シクロヘキセン−1−イル)エテニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩、CAS No.[162411−28−1]を有する遊離酸は、該比によって特徴付けることができる)。
【0037】
一実施形態では、LTHC層は、ある種の画像形成波長で光を著しく吸収するが、ある他の波長では光を著しく伝える。例えば予言的な一実施形態では、波長832nmで光の90%を吸収しながら(赤外線レーザーによる画像形成のために用いられる波長で吸光度1)、波長440nmでは光の20.6%のみが吸収され(ブルー波長で吸光度0.10)、赤外線の画像形成波長でよりも可視波長ではるかに多くの光をドナーに伝えさせる。当該ケースでは吸光度の比(画像形成波長対他の波長)は10である。他の波長での透過率は完全である必要はないが、改善されるべきであり、3程度から100程度またはそれ以上まで変わる吸光度比は有用であることができる。例えば目視検査では、5、10、15、30、および60以上の比から選択された、選択的に伝えられる波長について可視波長に有利に働く比が有用であるはずである。LTHC層を通る光の透過率に有用な波長には、紫外スペクトルでは300および350nm、可視スペクトルでは400、450、500、550、600、650、670、700、および750nm、そして赤外スペクトルでは770、800、850、900、1000、および1200nmが含まれる。熱を発生させるための吸光度に有用な波長には、レーザー出力波長に相当する、671、780、785、815、830、840、850、900、946、1047、1053、1064、1313、1319、および1340nmのような波長が含まれる。所与の波長で光の20%以上を伝える層は、当該波長で(比較的)透明であると言うことができる。透明度は、透過率が例えば所与の波長で20から30に40に50に60に70に80に90に95%以上の透過率に増加するにつれて改善され、透明度はLTHC層で改善される。光の散乱はまた、後方散乱および散乱損失を最小限にすることによって透明度を改善するために最小限にされるべきである。
【0038】
画像形成放射線向けに高度に吸収性の材料の使用は、非常に薄いLTHC層が構築されることを可能にする。延伸はまた非常に薄い層を製造することができる。薄いLTHC層は、光吸収によって高い局所的な温度を生成するのに有用であることができる。一実施形態では、LTHC層の厚さは500nm厚さ以下である。他の有用な厚さには、400nm、300nm、200nm、150nm、100nm、75nm、50nm、および30nm未満かそれらに等しいが含まれる。一般に厚さが約5μm以下の、より厚い層もまた使用することができる。
【0039】
一実施形態では、厚さは実験によって容易に最適化され、層の光吸収特性ほど重要でない可能性はあるが、典型的な光−熱変換層の厚さは50nm〜250nmの範囲である。非常に薄いフィルムは、好適に高い量の光吸収を達成しないかもしれない。厚さは、画像形成プロセス中に管理可能な量の熱エネルギーおよび温度を達成するように、有害な副作用なしに材料の必要な転写を達成するように、存在する光吸収剤の濃度および有効性に応じて典型的には変更される。
【0040】
ほんの薄い層でかなりの量の光を吸収できる光−熱変換層用の光吸収剤を選択することはしばしば有用である。例えば、0.2μmの層が830nmでの光について0.2の吸光度を有する場合、層は830nmで1/μmの光学密度を有すると言われ得る。一実施形態では、光−熱変換層は750〜1400nmの波長で0.01、0.1、0.5、1.0、2.0、4、8、16、32、64、および125/μmからの2つの選択の間の少なくとも1つの光学密度を有する。あるいはまた、好適な量の光が伝えられるよりむしろ吸収されることができ、透過率は10、20、30、40、および50%から選択されたものほどに低く、60、70、80、および90%から選択されたより高い量の透過率ほどに高い。
【0041】
一実施形態では、光−熱変換層中の光吸収剤または光吸収剤の組み合わせは、光の可視、短波長中赤外、および長波長中赤外波長バンドの少なくとも1つで少なくとも1つ波長について吸光度の0.1単位より多く寄与する。
【0042】
LTHC層、剥離改質剤層、またはそれらの前駆体は、例えば、棒コーティング、グラビアコーティング、押出コーティング、蒸着、積層および他のかかる技法のような材料をコートするための任意の好適な技法によって付けられてもよい。
【0043】
一実施形態では、LTHC層および/または剥離改質剤層前駆体のような層前駆体は、支持層前駆体に付けられ、生じた組み合わせは、任意選択的に高温に保持されながら延伸され、薄層化とおそらくは延伸の軸で支持層および隣接層の軸方向分子配向と、しばしば直接隣接する層間の改善された接着とをもたらす。薄層化は、改善された熱管理のためにおよび非常に薄い層の提供のために有用である。配向は、より高い強度、層のより高い接着、および光との異方性相互作用を提供することができる。
【0044】
層の配向は、赤外複屈折のキャラクタリゼーション、表面光学第二高周波発生、和周波発生、偏光解析法、または関連分析方法のような通常の技法によって分析されてもよい。層の厚さは、破砕および電子顕微鏡法または偏光解析法のような通常の技法によって研究することができる。
【0045】
LTHC層の延伸は、転写層のような、ドナー要素のその次の層の塗布前または後に起こることができる。例えば、LTHC層の延伸は、ドナー要素製造中の支持層およびLTHC層複合中間体の製造へ組み入れることができ、単一複合中間体は次に、単一成分コーターを備えたコーティング設備へ送り、多数の異なる、後で塗布される転写層と共に利用して異なるドナー要素を形成することができる。これは、後で分割され、そして様々な異なる転写層を支持するために使用される複合中間体の製造におけるスケールの経済性を考慮している。
【0046】
転写層の塗布前にLTHC層の延伸を完了することの別の利点は、転写層が延伸に強いものである必要がなく、薄くされず、転写層選択およびデザインでのより大きな柔軟性を可能にすることである。
【0047】
LTHC層用の好適な光吸収材料は、例えば、染料(例えば、可視染料、紫外染料、近赤外染料をはじめとする赤外染料、蛍光染料、および放射線偏光染料)、顔料、金属、金属化合物、金属フィルム、ならびに他の好適な吸収材料を含むことができる。
【0048】
LTHC層で光吸収剤としての使用に好適な染料は、顔料についてのように実質的に完全に(>80%)微粒子の形でよりもむしろ、少なくともある程度(>5%)溶解された形で、または少なくとも部分的に分散された形で存在してもよい。一実施形態では、画像形成波長での吸光度に最も関与する光吸収剤は、LTHC層に完全にまたは部分的に(>5%)溶解された染料である。一実施形態では、画像形成波長での吸光度に最も関与する光吸収剤は、ドナー要素構築物に塗布されるときに調合物に実質的に(>80%)溶解されており、後で部分的に分散された状態になる。
【0049】
光−熱変換層での光吸収剤として好適な染料および顔料の例には、ポリ置換フタロシアニン化合物および金属含有フタロシアニン化合物;金属錯体化合物、ベンゾオキサゾール化合物、ベンズ[e,f,またはg]インドリウム化合物、インドシアニン化合物、シアニン化合物;スクァリリウム化合物;カルコゲノピリロアクリデン化合物;クロコニウムおよびクロコネート化合物;金属チオレート化合物;ビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン化合物;オキシインドリジン化合物;インドリジン化合物;ピリリウムおよび金属ジチオレン化合物、ビス(アミノアリール)ポリメチン化合物;メロシアニン(merocyanine)化合物;チアジン化合物;アズレニウム化合物;キサンテン化合物;ならびにキノイド化合物が挙げられる。米国特許公報(特許文献4)、「IR放射線吸収性化合物およびその利用による光学記録媒体(IR−ray absorptive compound and optical recording medium by use thereof)」、米国特許公報(特許文献5)、「レーザー誘発熱染料転写に使用される染料−ドナー要素用の赤外線吸収ニッケル−ジチオレン染料錯体(Infrared absorbing nickel−dithiolene dye complexes for dye−donor element used in laser−induced thermal dye transfer)」、米国特許公報(特許文献6)、「レーザー誘発熱染料転写に使用される染料−ドナー要素用の赤外線吸収オキソノール染料(oxonol dyes)」、米国特許公報(特許文献7)、「レーザー誘発熱染料転写に使用される染料−ドナー要素用の赤外線吸収三核シアニン染料(trinuclear cyanine dyes)」、米国特許公報(特許文献8)、「赤外線吸収性組成物(Infrared absorbent compositions)」、米国特許公報(特許文献9)、「赤外線吸収スクァリリウム化合物を含有する熱画像形成用のドナー要素(Donor element for thermal imaging containing infra−red absorbing squarylium compound)」、米国特許公報(特許文献10)、「レーザー誘発熱染料転写に使用される染料−ドナー要素用の赤外線吸収インデン−橋架け−ポリメチン染料(indene−bridged−polymethine dyes)」、米国特許公報(特許文献11)、「レーザー誘発熱染料転写に使用される染料−ドナー要素用の赤外線吸収シアニン染料(cyanine dyes)」、米国特許公報(特許文献12)、「レーザー誘発熱染料転写に使用される染料−ドナー要素用の赤外線吸収キノイド染料(quinoid dyes)」、米国特許公報(特許文献13)、「レーザー誘発熱染料転写に使用される染料−ドナー要素用の赤外線吸収メロシアニン染料」、米国特許公報(特許文献14)、「レーザー誘発熱染料転写に使用される染料−ドナー要素用の赤外線吸収ビス(アミノアリール)ポリメチン染料(bis(aminoaryl)polymethine dyes)」、米国特許公報(特許文献15)、「レーザー誘発熱染料転写に使用される染料−ドナー要素用の赤外線吸収オキシインドリジン染料(oxyindolizine dyes)」、米国特許公報(特許文献16)、「レーザー誘発熱染料転写に使用される染料−ドナー要素用の赤外線吸収ビス(カルコゲノピリロ)ポリメチン染料(bis(chalcogenopyrylo)polymethine dyes)」、米国特許公報(特許文献17)、「レーザー誘発熱染料転写に使用される染料−ドナー要素用の赤外線吸収カルコゲノピリロ−アリーリデン染料(chalcogenopyrylo−arylidene dyes)」、米国特許公報(特許文献18)、「レーザー誘発熱染料転写に使用される染料−ドナー要素用の赤外線吸収スクァリリウム染料(squarylium dyes)」、米国特許公報(特許文献19)、「近赤外線吸収組成物(Near infrared absorbing composition)」、米国特許公報(特許文献20)、「2つのチオレート二座配位子を含有する金属錯体化合物を含む赤外線吸収剤(Infrared absorbent comprising a metal complex compound containing two thiolato bidentate ligands)」、米国特許公報(特許文献21)、「赤外線吸収組成物(Infrared absorbing composition)」、米国特許公報(特許文献22)、「レーザー誘発熱染料転写に使用される染料−ドナー要素用の赤外線吸収第一鉄錯体(ferrous complexes)」、米国特許公報(特許文献23)、「水溶性の赤外線吸収染料およびそれらを含有するインクジェットインク(Water soluble infrared absorbing dyes and ink−jet inks containing them)」、米国特許公報(特許文献24)、「赤外線吸収剤およびそれを使用する光学材料(Infrared absorbent and optical material using the same)」、米国特許公報(特許文献25)、「熱転写染料および赤外放射線フタロシアニン吸収剤入り転写印刷媒体(TRANSFER PRINTING MEDIUM WITH THERMAL TRANSFER DYE AND INFRA−RED RADIATION PHTHALOCYANINE ABSORBER)」、米国特許公報(特許文献26)、「赤外線吸収剤(Infrared absorbent)」、米国特許公報(特許文献27)、「近赤外線吸収ポリメリゼート(Near infrared absorbing polymerizate)」、米国特許公報(特許文献28)、「ピリリウムまたはチオピリリウム−スクァリリウム染料層を有する記録素子および新しいピリリウムまたはチオピリリウム−スクァリリウム化合物(Recording element having a pyrylium or thiopyrylium−squarylium dye layer and new pyrylium or thiopyrylium−squarylium compounds)」、米国特許公報(特許文献29)、「記録ならびにオキソインドリジンおよびオキソインドリジニウム染料を含む情報記録素子(Recording and information record elements comprising oxoindolizine and oxoindolizinium dyes)」、米国特許公報(特許文献30)、「2,6−ジ−第三ブチル−4−置換チオピリリウム塩、その製造方法、およびそれを含有する光伝導性組成物(2,6−Di−tert−butyl−4−substituted thiopyrylium salt,process for production of same,and a photoconductive composition containing same)」、米国特許公報(特許文献31)、「光重合性製品(PHOTOPOLYMERIZABLE PRODUCTS)」に開示されている光吸収材料もまた、適切な光源で使用されるときに本明細書で好適である。
【0050】
好適な赤外線−吸収染料(近赤外線−、中赤外線−、および遠赤外線−吸収染料をはじめとする)の製造業者はH.W.サンズ・コーポレーション、フロリダ州ジュピター(H.W.Sands Corporation,Jupiter,FL)である。好適な染料には、SDA−4927としてH.W.サンズ社、フロリダ州ジュピターから入手可能な、2−(2−(2−クロロ−3−(2−(1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)エチリデン)−1−シクロヘキセン−1−イル)エテニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩、CAS No.[162411−28−1]を有する遊離酸;SDA−5802としてH.W.サンズ社、フロリダ州ジュピターから入手可能な、分子式C41474Na163および分子当たり約811グラムの分子量を有する、2−[2−[2−(2−ピリミジノチオ)−3−[2−(1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)]エチリデン1−シクロペンテン−1−イル]エテニル]−1,1-ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩、ナトリウム塩;SDA−8662としてH.W.サンズ社、フロリダ州ジュピターから入手可能な、CAS No.[3599−32−4]、およびモル当たり約775グラムの分子量を有するインドシアニングリーン;ハンプフォード・リサーチ社、コネチカット州ストラトフォード(Hampford Research Inc,Stratford,CT)、またはTIC−5Cとしてピスガー・ラボタトリーズ、ノースカロライナ州ピスガー・フォーレスト(Pisgah Laboratories,Pisgah Forest,NC)から入手可能な、CAS No.[128433−68−1]およびモル当たり約619グラムの分子量を有する、3H−インドリウム、2−[2−[2−クロロ−3−[(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)エチリデン]−1−シクロペンテン−1−イル]エテニル]−1,3,3−トリメチル−、トリフルオロメタンスルホン酸との塩(1:1)が含まれる。他のかかる染料の例は、(非特許文献1)に、および(非特許文献2)に見いだされるかもしれない。商品名サイアソーブ(CYASORB)IR−99([67255−33−8])、IR−126([85496−34−0])およびIR−165(N,N’−2,5−シクロヘキサジエン−1,4−ジイリデンビス[4−(ジブチルアミノ)−N−[4−(ジブチルアミノ)フェニル]ベンゼンアミニウムビス[(OC−6−11)−ヘキサフルオロアンチモネート(1−)]、[5496−71−9])で、アメリカン・サイアナミッド社、ニュージャージー州ウェイン(American Cyanamid Co.,Wayne,NJ)によって;サイテック・インダストリーズ、ニュージャージー州ウェスト・パターソン(Cytec Industries,West Paterson,NJ)によってまたはグレンデール・プロテクティブ・テクノロジーズ社、フロリダ州レークランド(Glendale Protective Technologies,Inc.,Lakeland,Florida)によって市販されているIR吸収剤が使用されてもよい。
【0051】
具体的な染料は、LTHC層にとって必要な、望まれる、望まれない、および禁止される吸収の波長範囲だけでなく、LTHC層の具体的なバインダーおよび/またはコーティング溶剤への溶解性、およびそれらとの相溶性のような因子に基づいて選択されてもよい。
【0052】
顔料材料もまた、光吸収剤としてLTHC層に使用されてもよい。好適な顔料の例には、フタロシアニン、ニッケルジチオレン、および他の顔料だけでなく、カーボンブラックおよびグラファイトが挙げられる。さらに、例えば、ピラゾロンイエロー、ジアニシジンレッドの銅またはクロム錯体、およびニッケルアゾイエローをベースにする黒アゾ顔料も有用である。無機顔料もまた価値がある。例には、アルミニウム、ビスマス、スズ、インジウム、亜鉛、チタン、クロム、モリブデン、タングステン、コバルト、イリジウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、ジルコニウム、鉄、鉛またはテルルのような金属の酸化物および硫化物が挙げられる。金属ホウ化物、炭化物、窒化物、炭窒化物、ブロンズ構造化酸化物、およびブロンズ族に構造上関連する酸化物もまた実用性がある。
【0053】
別の好適なLTHC層には、薄膜として形成された金属または金属/金属酸化物、例えば、黒色アルミニウム(すなわち、黒色外観を有する部分酸化アルミニウム)またはクロムが含まれる。金属および金属化合物フィルムは、例えば、スパッタリングおよび蒸着のような技法によって形成されてもよい。微粒子コーティングは、バインダーおよび任意の好適な乾式または湿式コーティング技法を用いて形成されてもよい。
【0054】
LTHC層に好適な材料は無機または有機であることができ、画像形成光を本質的に吸収することができるまたはフィルム形成もしくは接着性改質のような他の目的に役立つことができる。
【0055】
目的とする波長で重要でない光−熱変換体であるが、他の機能に役立つ好適な光−熱変換層中の成分の例には、典型的なバインダー、ポリマー、および界面活性剤のようなコーティング助剤、ならびに画像形成光波長でわずかな吸光度の顔料および染料のようなマイナーな光吸収剤が挙げられる。
【0056】
一実施形態では、転写層、光−熱変換層、支持層と転写層との間の層、または剥離改質剤を含む層のような層がバインダーを含む。一実施形態では、バインダーは樹脂、ポリマーまたはコポリマーである。本発明での使用のための好適なバインダーは、ポリウレタン;ポリオール(ポリビニルアルコールおよびエチレン−ビニルアルコールをはじめとする);ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレンのような)およびポリスチレン(ポリアルファ−メチルスチレンのような)およびポリオレフィンワックス;ポリオレフィン/ビスアミド;ポリビニルピロリドン(PVP);ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー(PVP/VA);ポリアクリル樹脂;ポリアルキルメタクリレート(特にポリメチルメタクリレート(PMMA));アクリルおよびメタクリルコポリマー;スルホン化アクリルおよびメタクリルコポリマー;エチレン/アクリル酸コポリマー;アクリル/シリカ樹脂(サンモル(Sanmol)TMのような);ポリエステル(スルホン化ポリエステルをはじめとする);セルロース系エステルおよびエーテル(ヒドロキシエチルおよびカルボキシメチルセルロースのような);ニトロセルロース;ポリイミン(ポリエチレンイミンのような);ポリアミン(ポリアリルアミンのような);スチレン/無水マレイン酸コポリマー;第四級アンモニウム化合物;ラウリル硫酸アンモニウム;フィッシャー・トロプシュ非イオン性エマルジョン(ミケム(Michem)64540として入手可能な);多糖類樹脂;PTFEおよびポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)をはじめとするハロゲン化ポリオレフィン;アルコール中のコポリエステル樹脂(ヴァイロナル(Vylonal)TMとして商業的に入手可能なもののような);スルホン化無水マレイン酸;エチレン酢酸ビニル;ポリオキサゾリン;高MWポリオレフィンアルコール(ポリエチレンオキシド);ポリオキシメチレン;ゼラチン;フェノール樹脂(ノボラックおよびレゾール樹脂のような);ポリビニルブチラール樹脂;ポリ酢酸ビニル;ポリビニルアセタール;ポリ塩化およびフッ化ビニリデン;ポリ塩化およびフッ化ビニル;ポリカーボネートならびにポリアルキレンカーボネートをはじめとする、本明細書にリストされる様々な材料から選択されてもよい。バインダーはまた、任意選択的にアルコキシル化(例えばメトキシル化またはエトキシル化)された、メラミンのようなアミンとホルムアルデヒドのようなアルデヒドとの縮合生成物を含んでもよい。加えて、転写層用の本明細書に列挙されるバインダーはまた、転写アシスト層に使用されてもよい。好ましくは、その水相での水分散性バインダーの平均粒度は、均一なコーティング層を促進するために、0.1μm未満、より好ましくは0.05μm未満であり、そして好ましくは狭い粒度分布を有する。
【0057】
好ましいバインダーは、放射線吸収剤と良好な相溶性を示し、そして基材層への転写アシストコーティングの接着性の有意な損失なしに転写アシストコーティング層中への放射線吸収剤のより高い使用量を可能にするものである。放射線吸収剤のより高い使用量は、転写アシストコーティングによって吸収される放射線の量を増やすために望ましい。
【0058】
一実施形態では、バインダーは、アクリルおよび/またはメタクリル樹脂および任意選択的にスルホン化ポリエステルよりなる群から、好ましくはポリエステルから選択される。
【0059】
好ましいポリエステルバインダーは、親水性を向上させ、そして当該技術で周知であるように、ペンダント・イオン性基、好ましくは陰イオン性基、例えばペンダント・スルホネートまたはカルボキシレート基をポリエステル主鎖中へ典型的に導入する官能性コモノマーを含むコポリエステルから選択される。
【0060】
好適な親水性ポリエステルバインダーには、ジカルボン酸および芳香族ジカルボン酸の芳香核に結合したスルホネート基を含有するスルホモノマーを含む酸成分とジオール成分とを有するコポリエステルをはじめとする、部分スルホン化ポリエステルが含まれる。好ましい実施形態では、スルホモノマーは、コポリエステルの重量を基準にして、約0.1〜約10モル%の範囲で、好ましくは約1〜約10モル%の範囲で、より好ましくは約2〜約6%の範囲で存在する。一実施形態では、コポリマーの数平均分子量は約10,000〜約15,000の範囲にある。好ましくは、スルホモノマーのスルホネート基はスルホン酸塩、好ましくは、I族またはII族金属、好ましくはリチウム、ナトリウムまたはカリウム、より好ましくはナトリウムのスルホン酸塩である。アンモニウム塩もまた使用されてもよい。スルホモノマーの芳香族ジカルボン酸は、任意の好適な芳香族ジカルボン酸、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,5−、2,6−または2,7−ナフタレンジカルボン酸から選択されてもよい。好ましくはスルホモノマーの芳香族ジカルボン酸はイソフタル酸である。好ましいスルホモノマーは5−スルホイソフタル酸ナトリウムおよび4−スルホイソフタル酸ナトリウムである。非スルホン化酸成分は好ましくは芳香族ジカルボン酸、好ましくはテレフタル酸である。
【0061】
好適なアクリル樹脂バインダーの一クラスは、アクリル酸のエステル、好ましくはアルキル基がメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、ヘキシル、2−エチルヘキシル、ヘプチルおよびn−オクチルのようなC1〜10アルキル基、より好ましくはエチルおよびブチルであるアルキルエステルに由来する少なくとも1つのモノマーを含む。一実施形態では、樹脂はアルキルアクリレートモノマー単位を含み、さらにアルキルメタクリレートモノマー単位を含み、特にここで、ポリマーはエチルアクリレートおよびアルキルメタクリレート(好ましくはメチルメタクリレート)を含む。好ましい実施形態では、アルキルアクリレートモノマー単位は約30〜約65モル%の範囲の割合で存在し、アルキルメタクリレートモノマー単位は約20〜約60モル%の範囲の割合で存在する。アクリル樹脂のさらなるクラスは、メタクリル酸のエステル、好ましくは上記のようなアルキルエステル、好ましくはメチルエステルに由来する少なくとも1つのモノマーを含む。存在してもよい他のモノマー単位には、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ハロ置換アクリロニトリル、ハロ置換メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−エタノールアクリルアミド、N−プロパノールアクリルアミド、N−メタクリルアミド、N−エタノールメタクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−第三ブチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート;イタコン酸、イタコン酸無水物およびイタコン酸の半エステル;酢酸ビニル、クロロ酢酸ビニルおよび安息香酸ビニルのようなビニルエステル;ビニルピリジン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、マレイン酸、無水マレイン酸、スチレンおよびクロロスチレン、ヒドロキシスチレンおよびアルキル基がC1〜10アルキル基であるアルキル化スチレンのようなスチレンの誘導体が含まれる。一実施形態では、アクリル樹脂は約35〜60モル%エチルアクリレート、約30〜55モル%メチルメタクリレートおよび約2〜20モル%メタクリルアミドを含む。さらなる実施形態では、樹脂はポリメチルメタクリレートであり、任意選択的にここで、1つまたは複数のさらなるコモノマー(上に記載されたもののような)が少量(典型的には30%以下、典型的には20%以下、典型的には10%以下、そして一実施形態では、5%以下)で共重合される。典型的には、樹脂の分子量は約40,000〜約300,000、より好ましくは約50,000〜約200,000である。
【0062】
バインダー成分としての使用に好適なアクリル樹脂はアクリレートヒドロゾルの形にあることができる。アクリレート−ベースのヒドロゾルはかなりの期間公知であったし((非特許文献3))、その製造は(特許文献32)および(特許文献33)に記載されている。他のアクリレートヒドロゾルは、それらの開示が参照により本明細書に援用される、米国特許公報(特許文献34)および米国特許公報(特許文献35)に開示されている。一実施形態では、アクリレートヒドロゾルは、その開示が参照により本明細書に援用される米国特許公報(特許文献36)に開示されているものから選択される。このように、アクリルヒドロゾルは、水性エマルジョンでの
(a)約30〜約99重量%のC1〜8アルコールの少なくとも1つの(メタ)アクリル酸エステル、
(b)約0.5〜約7重量%の少なくとも1つのエチレン系不飽和酸またはそのアミド、ならびに
(c)0〜約70重量%の、スチレン、メチルスチレン、アクリロニトリル、酢酸ビニル、および塩化ビニルよりなる群から選択され少なくとも1つのモノマー
の重合であって、特に、(i)少なくとも1つのアルキルフェノールエーテルスルフェートと(ii)そのカルボン酸部分が8〜24個の炭素原子を含有するα−スルホカルボン酸、そのC1〜4エステルの少なくとも1つとの乳化剤混合物、または前述のどちらかの塩の存在下に実施される重合によって製造されてもよい。典型的には、ポリマーの分子量は約10,000〜約1,000,000、特に40,000〜約500,000の範囲にある。
【0063】
一実施形態では、バインダーは、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ニトロセルロース、ポリメチルメタクリレート、ポリアルファ−メチルスチレン、ポリアルキレンカーボネート、およびポリオキシメチレンから、そして特にニトロセルロース、ポリメチルメタクリレート、およびポリアルキレンカーボネート(特にここで、アルキレン基はC1〜C8アルキレン基、特にC1〜C4アルキレン、そして特にエチレンまたはポリプロピレンである)から選択される。さらなる実施形態では、バインダーはニトロセルロースから選択される。さらなる実施形態では、バインダーはポリメチルメタクリレートから選択される。
【0064】
さらなる実施形態では、バインダーはスチレン−無水マレイン酸コポリマーから選択される。
【0065】
LTHC層での使用のための好適なバインダーには、例えば、フェノール樹脂(すなわち、ノボラックおよびレゾール樹脂)、ポリビニルブチラール樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアセタール、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリレート、セルロース系エーテルおよびエステル、ニトロセルロース、ポリエステル、スルホポリエステル、およびポリカーボネートのような、フィルム形成ポリマーが含まれる。バインダーが存在するとき、光−熱変換体対バインダー比は一般に、どのタイプの光−熱変換体およびバインダーが使用されるかに依存して重量で約5:1〜1:1000の範囲であってもよい。界面活性剤および分散剤のような、通常のコーティング助剤がコーティングプロセスを容易にするために添加されてもよい。LTHC層は、当該技術で公知の様々なコーティング方法を用いて支持層上へコートされてもよい。バインダー含有LTHC層は典型的には、0.001〜5.0μm、例えば10nm、100nm、300nm、1μm、または5μmの厚さにコートされる。
【0066】
ただ一つのLTHC層を有することが典型的であるが、2つ以上のLTHC層を有することもまた可能であり、異なる層は、それらがすべて本明細書に記載されるように機能する限り、同じまたは異なる組成物を有することができる。重要な主LTHC層は、光−熱変換の結果として画像形成に最も顕著に寄与するもの−典型的には画像形成中に最高温度を達成する層である。他の層は元の画像形成ビーム強度のあるわずかな吸光度を有するかもしれないが、これらの層による画像形成の現象に対する吸光度の小さなまたは無視できる寄与は、それらが光−熱変換層と考えることができないことを意味する。
【0067】
図1の転写層130は、光による像様転写用の画像形成可能集合体の受像要素に隣接して転写可能な材料を保持するのに役立つ。転写層は、バインダーありまたはなしで1つまたは複数の層に配置されている任意の好適な材料であって、ドナー要素が光−熱変換層によって吸収され、そして熱に変換され得る画像形成光に露光されるときに任意の好適な転写メカニズムによって単位としてまたは部分でもしくはパートで選択的に転写され得る材料を含むことができる。像様転写では、転写される材料は転写層の全マスであってもよいが全マスである必要はない。単一部分での転写層の成分は受像要素に選択的に転写されてもよいが、他の成分はドナー要素に残る(例えば昇華性染料は転写するが、染料を保持する耐熱性の架橋ポリマーマトリックスは転写されずに留まってもよい)。
【0068】
転写層は、受像要素への転写のために、および受像要素またはドナー要素で必要な機能を遂行するために機能的なままである任意の厚さのものであってもよい。転写層の典型的な厚さは0.1μm〜20μm、例えば0.2、0.5、0.8、1、2、4、6、8、10、15、または20μmであってもよい。
【0069】
転写層は有機、無機、有機金属、またはポリマー材料をはじめとする複数の成分を含んでもよい。転写層としておよび/または転写層に組み入れられる材料としてドナー要素から選択的にパターン化できる材料の例には、着色剤(例えば、バインダー中に分散された顔料および/または染料)、偏光子、液晶材料、粒子(例えば、液蝕ディスプレイ用のスペーサー、粒子、導電性粒子をはじめとする磁性粒子)、電子放射材料(例えば、リン光体および/または有機エレクトロルミネセンス材料)、電子放射デバイス(例えば、エレクトロルミネセンスデバイス)中へ組み入れられてもよい非電子放射材料、疎水性材料(例えば、インクジェットレセプター用の間仕切りバンク)、親水性材料、多層スタック(例えば、有機エレクトロルミネセンスデバイスのような多層デバイス構築物)、微細構造もしくはナノ構造層、エッチングレジスト、金属、ポリマー、接着剤、バインダー、およびバイオ材料、ならびに他の好適な材料または材料の組み合わせが挙げられる。
【0070】
転写層は、光−熱変換層、または他の好適な隣接ドナー要素層上へコートすることができる。転写層またはその前駆体は、例えば、棒コーティング、グラビアコーティング、押出コーティング、蒸着、積層および他のかかる技法のような材料をコートするための任意の好適な技法によって塗布されてもよい。コーティング前、後またはそれと同時に、架橋可能な転写層材料またはその部分は、材料に依存して、例えば加熱、放射線への露光、および/または化学硬化剤への暴露によって架橋されてもよい。
【0071】
一実施形態では、転写層は、ディスプレイ用途に有用である材料を含む。本発明に従った熱転写は、フォトリソグラフィーベースのパターン化技術についてより少ない処理工程を用いて高い精度および正確さで1つまたは複数の材料を受像要素上にパターン化するために行うことができ、従ってディスプレイ製造のような用途で特に有用であることができる。例えば、転写層は、レセプターへの熱転写時に、転写される材料がカラーフィルラー、ブラックマトリックス、スペーサー、バリア、間仕切り、偏光子、遅延層、波長板、有機導電体または半導体、無機導電体または半導体、有機エレクトロルミネセンス層、リン光体層、有機エレクトロルミネセンスデバイス、有機トランジスタ、および単独でまたは同様な方法でパターン化されてもされなくてもよい他の素子と組み合わせて、ディスプレイに有用であることができる他のかかる素子、デバイス、またはその部分を形成するように製造することができる。
【0072】
特定の実施形態では、転写層は着色剤を含むことができる。例えば、顔料または染料が着色剤として使用されてもよい。一実施形態では、(非特許文献4)に開示されているもののような良好な色耐久性および透明性を有する顔料が使用される。好適な透明着色剤の例には、チバ−ガイギー・クロモフタール・レッド(Ciba−Geigy Cromophtal Red)A2B(登録商標)、ダイニッヒ−セイカ(Dainich−Seika)ECY−204(登録商標)、ゼネカ・モナストラル・グリーン(Zeneca Monastral Green)6Y−CL(登録商標)、およびバスフ・ヘリオゲン・ブルー(BASF Heliogen Blue)L6700(登録商標)が挙げられる。他の好適な透明着色剤には、サンRSマゼンタ(Sun RS Magenta)234−007(登録商標)、ヘキストGSイエロー(Hoechst GS Yellow)GG11−1200(登録商標)、サンGSシアン(Cyan)249−0592(登録商標)、サンRSシアン248−061、チバ−ガイギーBSマゼンタRT−333D(登録商標)、チバ−ガイギー・マイクロリス・イエロー(Microlith Yellow)3G−WA(登録商標)、チバ−ガイギー・マイクロリス・イエロー2R−WA(登録商標)、チバ−ガイギー・マイクロリス・ブルー(Blue)YG−WA(登録商標)、チバ−ガイギー・マイクロリス・ブラック(Black)C−WA(登録商標)、チバ−ガイギー・マイクロリス・バイオレット(Violet)RL−WA(登録商標)、チバ−ガイギー・マイクロリス・レッド(Red)RBS−WA(登録商標)、ホイコテック・アクイスII(Heucotech Aquis II)(登録商標)シリーズの任意のもの、ホイコスパース・アクイスIII(Heucosperse Aquis III)シリーズの任意のものなどが含まれる。本発明で着色剤用に使用することができる別のクラスの顔料は、チバ−ガイギーから入手可能なもののような様々な潜在顔料である。熱画像形成による着色剤の転写は、米国特許公報(特許文献37)、米国特許公報(特許文献38)、および米国特許公報(特許文献39)に開示されている。
【0073】
幾つかの実施形態では、転写層は、有機エレクトロルミネセンスディスプレイおよびデバイスのような電子放射ディスプレイ、またはリン光体ベースのディスプレイおよびデバイスに有用な1つまたは複数の材料を含むことができる。例えば、転写層は、架橋しているか否かにかかわらず、他の有機導電性または半導体材料だけでなく、架橋した発光ポリマーまたは架橋した電荷輸送材料を含むことができる。ポリマーである有機発光ダイオード(OLED)については、最終OLEDデバイスの安定性を高めるために有機層の1つまたは複数を架橋させることが望ましいかもしれない。熱転写前にOLEDデバイス用の1つまたは複数の有機層を架橋させることもまた望ましいかもしれない。転写前の架橋は、より良好な転写および/もしくはOLEDデバイスでのより良好な性能特性につながる、ならびに/またはユニークなOLEDデバイスおよび/もしくはデバイス層での架橋が熱転写前に行われるときにより容易に製造されるかもしれないOLEDデバイスの構築を可能にするかもしれない、より安定なドナー媒体、フィルムモルホロジーのより良好な制御を提供することができる。
【0074】
発光ポリマーの例には、ポリ(フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ−パラ−フェニレン(PPP)、およびポリフルオレン(PF)が挙げられる。本発明の転写層に有用であることができる架橋可能な発光材料の具体的な例には、(非特許文献5)に開示されている青色発光ポリ(メタクリレート)コポリマー、(非特許文献6)に開示されている架橋可能なトリフェニルアミン誘導体(TPA)、(非特許文献7)に開示されている架橋可能なオリゴ−およびポリ(ジアルキルフルオレン)、(非特許文献8)に開示されている部分架橋ポリ(N−ビニルカルバゾール−ビニルアルコール)コポリマー、および(非特許文献9)に開示されている酸素架橋ポリシランが挙げられる。
【0075】
本発明の転写層に有用であることができるOLEDデバイス用の架橋可能な輸送層材料の具体的な例には、シラン官能化トリアリールアミン、(非特許文献10)に開示されているようなペンダント・トリアリールアミン付きポリ(ノルボルネン)、(非特許文献11)に開示されているようなビス−官能化ホール輸送トリアリールアミン、米国特許公報(特許文献40)に開示されているような様々な架橋導電性ポリアニリンおよび他のポリマー、(特許文献41)に開示されている架橋可能なトリアリールポリアミン、および(特許文献42)に開示されているような架橋可能なトリフェニルアミン含有ポリエーテルケトンが挙げられる。
【0076】
本発明の転写層に使用される発光、電荷輸送、または電荷注入材料はまた、熱転写の前か後かのどちらかにその中にドーパントを組み入れられてもよい。ドーパントは、発光特性、電荷輸送特性および/または他のかかる特性を変えるまたは強化するためにOLED用の材料に組み入れられてもよい。
【0077】
電子放射ディスプレイおよびデバイス用途向けドナーシートからレセプターへの材料の熱転写は、米国特許公報(特許文献43)および米国特許公報(特許文献44)に、ならびに(特許文献45)に開示されている。
【0078】
転写層は任意選択的に様々な添加剤を含むことができる。好適な添加剤には、IR吸収剤、分散剤、界面活性剤、安定剤、可塑剤、架橋剤およびコーティング助剤が含まれ得る。転写層はまた、染料、可塑剤、UV安定剤、フィルム形成添加剤、および接着剤を含むがそれらに限定されない様々な添加剤を含有してもよい。
【0079】
転写層の露出区域が損傷を受けないように、バインダーのポリマーが熱暴露中に達成される温度で自己酸化しない、分解しないまたは劣化しないことはバインダー入り転写層に典型的である。好適なバインダーの例には、スチレン/メチルメタクリレートおよびスチレン/メチルメタクリレート/アクリル酸のような、スチレンと(メタ)アクリレートエステルと酸とのコポリマー、スチレン/エチレン/ブチレンのようなスチレンとオレフィンモノマーとのコポリマー、およびスチレンとアクリロニトリルとのコポリマーをはじめとするスチレンポリマーおよびコポリマー;フルオロポリマー;エチレンおよび一酸化炭素とのそれらをはじめとする(メタ)アクリル酸および相当するエステルのポリマーおよびコポリマー;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリウレタン;ポリエーテル;ならびにポリエステルが挙げられる。上記ポリマー用のモノマーは置換または非置換であることができる。ポリマーの混合物もまた使用することができる。他の好適なバインダーには、塩化ビニルポリマー、酢酸ビニルポリマー、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、酢酸ビニル−クロトン酸コポリマー、スチレン無水マレイン酸半エステル樹脂、(メタ)アクリレートポリマーおよびコポリマー、ポリ(ビニルアセタール)、酸無水物およびアミンで変性されたポリ(ビニルアセタール)、ヒドロキシアルキルセルロース樹脂およびスチレン・アクリル樹脂が含まれる。
【0080】
本発明では、支持層と転写層との間に剥離改質剤がまた配置されてもよく、それは支持層にまたは別の層に配置されてもよい。層中の剥離改質剤の一共通便益は、転写可能な材料の大部分を画像形成中にドナー要素の転写層から受像要素に転写できることである。着色した転写された材料についての別の共通便益は、転写された材料のより良好な色および輝度が取得できることである。剥離改質剤の別の共通便益は、転写された材料のより少ない損傷またはより少ない分解で転写が起こることである。別の共通便益は、転写された形体の幅が画像形成中に光源によって照射される幅で決定されるような所望の幅により近いことである。
【0081】
別の共通便益は、供給される光エネルギーの変動による結果の変化が剥離改質剤の不存在下よりも小さいことである。例えば、レーザーヘッドに供給されるワット数が14〜23ワットで変動するとき、ドナー要素から受像要素に転写された転写可能材料の量、転写された材料の色および輝度、または転写された形体の幅の変化は、剥離改質剤が全く存在しないときより剥離改質剤が使用されたときに低い。複数のレーザーピクセルが画像形成のために同時にしばしば用いられ、ヘッドでかかる各ピクセルによって供給される正確なエネルギーは変動すると予期され得るので、転写を引き起こすために供給される光の量の変動に対して転写の品質を比較的鈍感にする剥離改質剤によって着実な方法が可能にされる。
【0082】
図1は、支持層の延伸の完了前に塗布される光−熱変換層120中へ剥離改質剤が組み入れられたドナー要素実施形態を例示する。図2は順次、支持層110、支持層の延伸完成中転写層の導入前に延伸された光−熱変換層220、剥離改質剤層250、および転写層130を含むドナー要素実施形態200を例示する。(各図で、別の図から繰り返される要素は同じように番号を付けられる。)図3は順次、支持層110、剥離改質剤層250、転写層の導入前に延伸された光−熱変換層220、および転写層130を含むドナー要素実施形態300を例示する。図2および3は、剥離改質剤を含む層が光−熱変換層から分かれている本発明の実施形態を例示する。述べられたように、他の層もまた、当該技術で公知であるようにドナー要素に配置することができる。
【0083】
延伸された光−熱変換層を使用することの改善された実用性の基本的なメカニズムは、完全には断定されないが、本発明を限定または制限することなく、光−熱変換層および支持層および少なくともすべての介在層の延伸が層の均一性を維持しながら層を薄くするのに役立つだけでなく、層間接着性を改善するのに役立つと推測されてもよい。層間接着性のこの改善は、ドナー要素の非転写成分から転写された材料のよりきれいな分離を生成することができる。層の薄層化は、光−熱変換が原因で画像形成中に遭遇する温度分布を変えることができる。延伸されない転写層または他の層でその後コートされるドナー要素の表面の化学的性質の変化もまた存在するかもしれない。
【0084】
剥離改質剤の包含の改善された実用性の基本的なメカニズムは、完全には断定されないが、本発明を限定または制限することなく、剥離改質剤が加工環境での比較的広い範囲の周囲湿度にわたってドナー要素の層の含水率を一定の適切なレベルに維持すると推測されてもよい。適切なレベルの内部含水率は、画像形成プロセス中に層間接着性または熱伝導率のような幾つかの特性に都合よく影響を及ぼすと推測することができる。
【0085】
本発明を限定または制限することなく進められる、剥離改質剤を使用することの改善された実用性の別の推測されるメカニズムは、剥離改質剤が層内のまたは層間の凝集エネルギーまたは接着エネルギーまたは熱流の1つを低くする役割を果たし、その結果、材料の転写が剥離改質剤の不存在下でより低い量の光吸光度で、または広い範囲の光吸光度にわたって同様に、または異なる場所で起こることである。
【0086】
化合物は、保湿特性;帯電防止特性;および界面活性特性;ならびに有機陽イオン、特に窒素、ホウ素、硫黄、もしくはリンの陽イオンの存在;または窒素上に3もしくは4個の炭素置換基および1もしくはゼロ個のプロトンを有するアンモニウム陽イオン(例えば第四級アンモニウム陽イオン、窒素への4つの置換基に26個の炭素を有するステアルアミドプロピルジメチル−β−ヒドロキシエチルアンモニウム陽イオン、C1735C(=O)NHC36N(CH32(C36OH)、または窒素に直接結合した1個のプロトンを有するジメチルアミノエタノールからのプロトン化第三級アンモニウム陽イオン)の存在;有機陰イオン、特に酸素、リン、窒素もしくは硫黄の少なくとも1つを含有する陰イオン;例えば酸素含有ドデカン酸アンモニウム、もしくは硫黄含有ドデシル硫酸(例えば、有機基中に8〜40個の炭素原子を有する、イオン化長鎖有機カルボキシレート、有機スルホネート、および有機スルフェート)、またはリン含有フェニルホスホネート、少なくとも1つのエステル基中に6〜40個の炭素を有するスルホスクシネート基の長鎖ジエステル(例えばスルホコハク酸2−エチルヘキシル陰イオン)、1〜40個の炭素原子および1〜81個のフッ素を有するパーフッ素化および部分フッ素化有機陰イオン基(例えばトリフルオロメタンスルホネートおよびパーフルオロオクタノエート)の存在;有機ホスフェートおよび無機ホスフェート陰イオン(例えばリン酸二水素モノ陰イオン、リン酸一水素ジ陰イオン、リン酸エチル水素モノ陰イオン)およびホスホネート陰イオン(例えばフェニルホスホン酸ジナトリウム塩CAS[25148−85−0]でのようなフェニルホスホネートジ陰イオン)をはじめとするリン含有陰イオンの存在;フッ素化有機陰イオン(例えばトリフルオロメタンスルホネート)の存在;ならびにポリグリコールエーテル誘導体(例えばポリエトキシル化ノニルフェノールをはじめとする8〜100個の炭素原子を有するアルキルフェノールポリエトキシレートのような非イオン(例えば界面活性剤)、および4〜100個のエトキシレート基を有するエルフジン(Elfugin)PFのような材料をはじめとする、そして合計少なくとも1、2、3、4、8、10、16、20、24、32、40、もしくは80個の炭素および4、8、10、16、20、24、32、40、80、もしくは150個未満またはそれらに等しい炭素原子を有する各化合物を含む、アミン含有エトキシレート)の存在を含むことができるがそれらの限定されない観察結果によって可能な剥離改質剤と認めることができる。
【0087】
第四級アンモニウム陽イオンは、通常の構造図面が窒素上に孤立電子対なしで、むしろ4個の異なる炭素原子への4つの単結合、または2個の異なる炭素原子への2つの単結合および第3の異なる炭素原子への二重結合ありの、窒素周りに8個の電子を示す、それらの正に帯電した構造物である。
【0088】
さらなる可能な剥離改質剤クラスは、R1およびR2が結合ポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレン鎖を延ばさず、R1およびR2の1つ、しかし両方ではないがH(水素)であってもよく、nが1に等しいかまたはそれより大きいとき、(R1)−(CH2−CH2−O)n−(R2)もしくは(R1)−(CH2−CH(CH3)−O)n−(R2)の少なくとも1つまたは−CH2−CH2−O−もしくは−CH2−CH(CH3)−O−もしくは−CH(CH3)−CH2−O−のランダムもしくはブロックコポリマーセグメントを有する、(エチレン−、プロピレン−)アルコキシル化化合物とも称される、1つまたは複数のポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレン鎖を有する有機および有機金属化合物の中に認められる。一実施形態では、nは1、2、3、4、10、20、および100から選択されたものより大きいことができ、nは100、25、15、および5から選択されたもの未満であることができる。一実施形態では、まさしくR1およびR2の1つはHである。一実施形態では、R1もR2もHではない。一実施形態では、R2はHである。一実施形態では、単一化合物中の別個のポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレン鎖の数(ここで、各nはできるだけ大きく選択される)は、1、2、3、4、および5以上の別個の鎖から選択されたものである。一実施形態では、単一化合物中の別個のポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレン鎖の数(ここで、各nはできるだけ大きく選択される)は、3、4、5、10、20、50、および100未満の別個の鎖から選択されたものである。
【0089】
(エチレン−、プロピレン−)アルコキシル化されている剥離改質剤の一実施形態では、剥離改質剤は1つまたは複数のアミン基または窒素原子を含む。
【0090】
一実施形態では、含まれる陽イオンの対陰イオンは、塩化物、臭化物、ヨウ化物、ホスフェート、水酸化物、ニトレート、ベンゾエートおよび置換ベンゾエート、ならびにアセテートおよび置換アセテートから選択される。一実施形態では、陰イオンの対陽イオンは、アンモニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、およびマグネシウムから選択される。
【0091】
エトキシル化された材料は、CH2CH2O、OCH(CH3)CH2またはCH(CH3)CH2O基の一部ではない少なくとも1個の炭素を含有する親化合物のヒドロキシル酸素、チオール硫黄、またはアミノ窒素基への開環モードでの1つまたは複数のエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドの分子の付加によって形式上誘導され、その結果少なくとも1つのOH末端を有するものである。アミノ窒素を含む(エチレン−、プロピレン−)アルコキシル化置換アルコール化合物は(エチレン−、プロピレン−)アルコキシル化アミン化合物と称される。かかる化合物はCH2CH2O、OCH(CH3)CH2またはCH(CH3)CH2Oセグメントの少なくとも1つを含む。親化合物は、OH基が該基または基の列を終わらせない限り、CH2CH2O、OCH(CH3)CH2またはCH(CH3)CH2O基を含有することができる。
【0092】
一実施形態では、CH2CH2O、OCH(CH3)CH2またはCH(CH3)CH2O基を含まない親化合物の一置換ポリ([エチレン−プロピレン]オキシド)アルコール化合物が使用される(ただ一つのヒドロキシル酸素、チオール硫黄、またはアミノ窒素基において置換された)。例は、その親化合物がノニルフェノールである、ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル、CAS番号9016−45−9である。一実施形態では、CH2CH2O、OCH(CH3)CH2またはCH(CH3)CH2O基を含まない親化合物の二置換ポリ([エチレン−プロピレン]オキシド)アルコール化合物が使用される(合計2つのヒドロキシル酸素、チオール硫黄、またはアミノ窒素基において置換された)。例は、1,200の平均相対モル質量の2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオールエトキシレート、CAS番号9014−85−1である。一実施形態では、三置換ポリ([エチレン−プロピレン]オキシド)アルコール化合物が使用される(合計3つのヒドロキシル酸素、チオール硫黄、またはアミノ窒素基において置換された)。例は、1,312の平均相対モル質量のポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、CAS番号9005−67−8である。一実施形態では、−CH2CH2O−、−OCH(CH3)CH2−または−CH(CH3)CH2O−基を含まない親化合物の四置換ポリ([エチレン−プロピレン]オキシド)アルコール化合物が使用される(合計4つのヒドロキシル酸素、チオール硫黄、またはアミノ窒素基において置換された)。2つの例は、7000の平均相対モル質量のエチレンジアミンテトラキス(エトキシレート−ブロック−プロポキシレート)テトロール、CAS番号26316−40−5、および3600の平均相対モル質量のテトラキス(プロポキシレート−ブロック−エトキシレート)テトロール、CAS番号11111−34−5である。本明細書に例示される1、2、3、および4重置換より高度の置換(5、6、7、およびそれ以上)もまた、有用な実施形態の一部として考慮される。
【0093】
一実施形態では、剥離改質剤層のポリ([エチレン−プロピレン]オキシド)置換アルコール化合物中のそれぞれ44または58の相対モル質量の−CH2CH2O−または−CH(CH3)CH2O−基の質量分率百分率は、5、10、15、20、25、30、35、40、45、55、65、75、80、85、90、95、98、99、および99.9%の2つの選択されたものの間である。
【0094】
好適な剥離改質剤の例には、保湿剤、帯電防止剤、乳化剤、および界面活性剤が挙げられる。具体的な例には、リン酸二水素ステアルアミドプロピルジメチル−β−ヒドロキシエチルアンモニウム(CAS[3758−54−1])、リン酸二水素ステアルアミドプロピルジメチル−β−ヒドロキシエチルアンモニウム(35%溶液としてサイアスタット(Cyastat)SP、サイテック・インダストリーズ、ニュージャージー州ウェスト・パターソンで入手可能な)、リン酸エチルを水酸化カリウム、その後ジメチルアミノエタノールで中和することによって製造されたリン酸エチル(ジメチルアミノエタノール)カリウム、エルフジンPF、エルフジンAKT、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、N,N,N’−トリス(2−ヒドロキシエチル)−N,N’−ジメチル−N’−オクタデシル−1,3−プロパンジアミニウムビス(メチル硫酸)塩、ドデシル硫酸アンモニウム、スルホコハク酸2−エチルヘキシルナトリウム(エアロゾル(Aerosol)OT−75でのような)、有機アミンおよびアミド、脂肪酸のエステル、脂肪酸、ポリオキシエチレン誘導体、半導体、ならびに様々な有機および無機塩が挙げられる。
【0095】
剥離改質剤のために剥離改質の特性を与えることができる他の化学的官能基には、アルカノールアミド基、アルキルアリールスルホネート基、アミンオキシド基、スルホン化アミンおよびアミド基、ベタイン基、カルボキシル化アルコールエトキシレート基、ジフェニルスルホネート基、エトキシル化アルコール基、エトキシル化アルキルフェノール基、エトキシル化アミンおよびアミド基、エトキシル化脂肪酸基、フルオロカーボンベースの界面活性剤基、グリセロールエステル基、イミダゾリンズ基、イミダゾリン基、イセチオネート基、ラノリンベース基、レシチン基、レシチン基、リグニン基、モノグリセリド基、オレフィンスルホネート基、ホスフェート基、ホスフェートエステル基、ポリアミノカルボン酸基、第四級界面活性剤基、サルコシン基、シリコーンベースの界面活性剤基、ソルビタン基、蔗糖またはグルコースエステル基、スルホネート基、スルホスクシナメート基、ならびにタウレート基が含まれる。
【0096】
層中の剥離改質剤の好適な量は大きな範囲にわたって変わることができ、剥離改質剤が大量の水を引き付けるときには量において典型的にはより低く、そして剥離改質剤が少量の水を引き付けるときにはより高い。典型的には層中の剥離改質剤の最高分率は、層の百分率質量比で0.01、0.05、0.1、0.2、0.5、1、2、3、4、5、6、8、10、12、16、20、30、50、または80%より大きく、100、90、70、40、25、15、10、5、1、または0.25%以下である。1つまたは複数の剥離改質剤を、支持層と転写層との間の1つまたは複数の層に使用することができる。
【0097】
一実施形態では、剥離改質剤を含む剥離改質剤層の厚さは、5μm厚さ以下である。他の有用な厚さには、3μm、2μm、1μm、400nm、300nm、200nm、150nm、100nm、75nm、50nm、および30nm未満かそれに等しいが含まれる。
【0098】
剥離改質剤層およびLTHC層は重なり合うまたは共存することができる。同じまたは異なる剥離改質剤を有する2つ以上の剥離改質剤層を使用することができる。1つまたは2つ以上の剥離改質剤を各剥離改質剤層に使用することができる。
【0099】
剥離改質剤およびLTHC層の1つに適用できる特性および方法は、典型的には他に適用できる。例えば、塗布の方法、好適なバインダーおよび他の原料、ならびに1つの層の好ましい厚さは典型的には、他の実施形態を考慮に入れる。これは、単層が剥離改質剤および光−熱変換機能の両方を提供するときに最も明らかである。
【0100】
LTHC層および剥離改質剤層のどちらかまたは両方は、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、浸漬コーティング、ビーズコーティング、スロットコーティング、積層、押出、または静電吹き付けコーティングのような既知の方法によって塗布することができる。
【0101】
一実施形態では、光−熱変換層またはその前駆体コーティング組成物は、支持層の最終厚さを得るために実施される支持層の処理中に、例えば二軸延伸操作の2つの段階(縦および横)の間にまたは最終延伸操作の完了前のいつでも支持層に塗布することができる。一実施形態では先ず第1に一連の回転ローラー上で縦方向に延伸され、コーティング組成物でコートされ、次にステンターオーブン中で横延伸され、そして任意選択的に引き続きヒートセットされるような順序の剥離改質剤層コーティングおよび延伸は特に、コートされた線状ポリエステルフィルム支持層の製造に有用である。コーティング組成物は、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、浸漬コーティング、ビーズコーティング、スロットコーティングまたは静電吹き付けコーティングのような任意の好適な通常のコーティング技法によって支持層に塗布されてもよい。
【0102】
ポリマー支持層上へのコーティング組成物の沈積前に、その露出表面は、必要に応じて、当該表面とその後塗布されるコーティング組成物との間の接着性を改善するための化学的または物理的表面改質処理を受けてもよい。一実施形態は、コロナ放電に付随する高電圧電気ストレスに支持層の露出表面をさらすことである。あるいはまた、支持層は、支持層ポリマーに対する溶解または膨潤作用を有すると当該技術で知られている試剤で前処理されてもよい。かかる試剤の例には、共通有機溶剤に溶解されたハロゲン化フェノール、例えばアセトンまたはメタノール中のp−クロロ−m−クレゾール、2,4−ジクロロフェノール、2,4,5−もしくは2,4,6−トリクロロフェノールまたは4−クロロレゾルシノールの溶液が挙げられる。コロナ放電による処理は、1〜100kVの電位で1〜20kwの出力を好ましくは有する、高周波数、高電圧発電機を用いる通常の装置を使って空気中大気圧で達成されてもよい。放電は、好ましくは0.01〜10m/秒の線速度で、放電ステーションで誘電性支持ローラー上にフィルムを通すことによって通常行われる。放電電極は、移動中のフィルム表面から0.1〜10.0mmに配置されてもよい。
【0103】
中間層、剥離層、放出層、および断熱層を含むがそれらに限定されない、1つまたは複数の他の通常の熱転写ドナー要素層を本発明のドナー要素に含めることができる。
【0104】
一実施形態では、少なくとも1つの剥離改質剤を有する層を含むドナー要素は、カーボンブラックのような少なくとも1つの微粒子光吸収剤を有する光−熱変換層を有する。剥離改質剤を含有する光−熱変換層は、別個であるまたは1つで同じものであることができる。
【0105】
一実施形態では、ドナー要素は、少なくとも1つの剥離改質剤を有する層、および染料のような少なくとも1つの非微粒子光吸収剤を有する光−熱変換層を含む。溶解された光吸収剤の便益は、粒子凝集なしの均一層を形成でき、その結果非常に薄い層が均一に光を吸収することである。溶解された光吸収剤の別の便益は、光散乱が減少することである。溶解された光吸収剤は溶解していない形の同じ光吸収剤に同伴されることが可能である。一実施形態では、溶解された(非微粒子)形の光吸収剤が当該空襲剤の質量で大部分を構成する。
【0106】
剥離改質剤を含有する光−熱変換層は別個であるまたは1つで同じものであることができる。
【0107】
一実施形態では、ドナー要素は、少なくとも1つの剥離改質剤を有する層、および赤外染料のような少なくとも1つのスペクトル選択性非微粒子光吸収剤を有する光−熱変換層を含む。スペクトル選択性光吸収剤の便益は、吸光度スペクトルを画像形成光源での実用性のために選択でき、そして透過率スペクトルを集束レーザーでのまたは人間もしくは機械による検査手順での実用性のために選択できることである。
【0108】
本発明のドナー要素は、画像形成可能集合体中の受像要素上へ熱転写画像形成するために利用することができる。転写後に、使用済みドナー要素(画像のネガ)および画像形成された受像要素(画像のポジ)のどちらかまたは両方が機能オブジェクトとして有用であるかもしれない。
【0109】
図4Aは、ドナー要素100の転写層130が受像要素410と接触した、画像形成可能集合体400の実施形態を示す。光420は支持層110、その後光−熱変換および剥離改質剤層120に衝突することができ、そして光−熱変換および剥離改質剤層120によって吸収され得る。十分な光が吸収され、適切な加熱を生成したとき、適切に加熱されたLTHC層に隣接する転写層130の選択された部分が受像要素に移動するであろう。
【0110】
図4Bは、ドナー要素100の転写層130が受像ベース層410上に置かれた予め転写された材料430の表面に沿って受像要素460と間欠接触した、画像形成可能集合体450の実施形態を示す。受像層410は、例えば空気480により転写層130から短い距離だけ分離され得る。光は支持層110ならびに光−熱変換および剥離改質剤層120に衝突することでき、光−熱変換および剥離改質剤層120によって吸収され得る。十分な光が吸収され、適切な加熱を生成したとき、適切に加熱されたLTHC層に隣接する転写層130の選択された部分が受像要素460に移動するであろう。460のような表面模様付き受像要素は、図5に示されるような先行熱転写および分離工程によって得ることができる。画像形成可能集合体450では、ドナー要素は受像要素460と接触している。接触は連続的よりもむしろ間欠的である。ドナー要素の層は層410に隣接しているが、層410と必ずしも接触していない−用語隣接は接触を必要としない。
【0111】
図5は、転写層の全体体積が十分に照射された区域で転写されるケース(物質移動)について、十分な光への像様露光後の集合体400の分離の産物を一実施形態について示す。分離後に、使用済みドナー要素500は、LTHC層120の下の支持層110、および転写層の保留部分530を有する。画像形成された受像要素520は、元の受像要素410上に、照明に対応した区域に転写層から転写された新たな材料540を有する。
【0112】
受像要素は、ガラス、透明フィルム、反射フィルム、金属、半導体、様々な紙、およびプラスチックを含むが、それらに限定されない、特定用途に好適な任意の品目であってもよい。例えば、受像要素は、ディスプレイ用途に好適な任意のタイプの基材またはディスプレイ要素であってもよい。液晶ディスプレイまたは電子放射ディスプレイのようなディスプレイでの使用に好適な受像要素には、可視光を実質的に伝える堅いまたは柔軟な基材が含まれる。堅い受像要素の例には、ガラス、酸化インジウムスズ・コーテッドガラス、低温ポリシリコン(LTPS)、および堅いプラスチックが挙げられる。好適な柔軟な基材には、実質的に無色透明で透過性のポリマーフィルム、反射フィルム、非複屈折フィルム、半透過型フィルム、偏光フィルム、多層光学フィルムなどが含まれる。好適なポリマー基材には、ポリエステルベース(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリビニル樹脂(例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアセタールなど)、セルロースエステルベース(例えば、三酢酸セルロース、酢酸セルロース)、および様々な画像形成技術で支持材として使用される他の通常のポリマーフィルムが含まれる。2〜200ミル(すなわち、0.05〜5mm)の透明なポリマーフィルムベースが好ましい。
【0113】
ガラス受像要素については、典型的な厚さは0.2〜2.0mmである。1.0mm厚さもしくはそれ未満、または0.7mm厚さもしくはそれ未満でさえあるガラス基材を使用することがしばしば望ましい。より薄い基材はより薄い、より軽量のディスプレイをもたらす。しかしながら、ある種の加工、ハンドリングおよびアセンブリング条件は、より厚い基材が使用されることを示唆するかもしれない。例えば、幾つかのアセンブリ条件は、基材間に配置されたスペーサーの位置を固定するためにディスプレイアセンブリの圧縮を必要とするかもしれない。より軽いディスプレイ用の薄い基材と信頼性のあるハンドリングおよび加工のための厚い基材との競合する懸念事項は、特定ディスプレイ寸法に好ましい構築を達成するためにバランスさせることができる。
【0114】
受像要素がポリマーフィルムである場合、フィルムはそれが一体化されることになるディスプレイの操作の妨害を実質的に防ぐために非複屈折であることが好ましいかもしれないし、またはフィルムは所望の光学効果を達成するために複屈折であることが好ましいかもしれない。模範的な非複屈折受像要素は、溶媒キャストされているポリエステルである。これらの典型的な例は、9,9−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−フルオレンとイソフタル酸、テレフタル酸またはそれらの混合物とに由来する繰り返し相互重合単位よりなるまたは本質的になるポリマーであって、一様なフィルムの形成を可能にするのに十分なほどにオリゴマー(すなわち、約8000以下の分子量を有する化学種)含有率が低いポリマーに由来するものである。このポリマーは米国特許公報(特許文献46)において熱転写受像要素中の一成分として開示された。別のクラスの非複屈折基材は、非晶質ポリオレフィン(例えば、日本ゼオン株式会社から商品名ゼオネックス(Zeonex)TMで販売されているもの)である。模範的な複屈折ポリマー受像要素には、米国特許公報(特許文献47)および米国特許公報(特許文献48)に、ならびに(特許文献49)に開示されているもののような多層偏光子または鏡が含まれる。
【0115】
ドナー要素は、順に支持層、転写層、および受像要素を含み、固定された空間的関係で受像要素に隣接して置かれる。ドナー要素と受像要素との組み合わせは、画像形成可能集合体と称される。画像形成可能集合体は、画像形成光に像様露光され、ドナー要素の転写層から受像要素の方への材料の局所的な移動をもたらす。画像形成後に、集合体は画像形成集合体と称される。画像形成集合体の画像形成したドナー要素(使用済みドナー要素とも呼ばれる)および画像形成された受像要素は次に分離される。
【0116】
幾つかの場合には、2つ以上の異なるドナー要素を順次使用して光学ディスプレイのようなデバイスを形成することが必要である、望ましい、および/または好都合であるかもしれない。例えば、ブラックマトリックスが受像要素を提供するためにガラスパネル上に形成され、着色ドナー要素の順次使用によるブラックマトリックスのウィンドウ中のカラーフィルター要素の熱転写がそれに続いてもよい。別の例として、ブラックマトリックスが形成され、薄膜トランジスタの1つまたは複数の層の熱転写がそれに続いてもよい。別の例として、多層デバイスは、異なるドナー要素から別個の層または層の別個のスタックを転写することによって形成され得る。多層スタックはまた、単一ドナー要素から単一転写単位として転写され得る。多層デバイスの例には、有機電界効果トランジスタ(OFET)のようなトランジスタ、有機発光ダイオード(OLED)をはじめとする、有機エレクトロルミネセンスピクセルおよび/またはデバイスが挙げられる。マルチプルドナーシートをまた使用してレセプター上の同じ層中に別個の部品を形成することができる。例えば、3つの異なるカラードナーを使用してカラー電子ディスプレイ用のカラーフィルターを形成することができる。また、それぞれが多層転写層を有する、別個のドナーシートを使用して異なる多層デバイス(例えば、異なる色を発する有機発光ダイオード(OLED)、アドレス可能なピクセルを形成するために接続するOLEDおよび有機電界トランジスタ(OFET)など)をパターン化することができる。2つ以上の熱転写要素の様々な他の組み合わせを用いて、各熱転写要素がデバイスの1つまたは複数の部分を形成する、デバイスを形成することができる。レセプター上のこれらのデバイス、または他のデバイスの他の部分がフォトリソグラフ法、インクジェット法、および様々な他の印刷またはマスク−ベースの方法をはじめとする任意の好適な方法によって全体的にまたは部分的に形成されてもよいことは理解されるであろう。
【0117】
本発明のドナー要素は、様々な方法によって製造することができる。一実施形態では、光−熱変換層コーティング組成物またはその前駆体希釈コーティング組成物は、支持層上にコートし、そして任意選択的に濃縮することができる。コーティング組成物は、グラビアロールコーティング、リバースロールコーティング、浸漬コーティング、ビーズコーティング、スロットコーティングまたは静電吹き付けコーティングのような任意の好適な通常のコーティング技法によって支持層に塗布されてもよい。
【0118】
支持層上へのコーティング組成物の沈積前に、その露出表面は、必要に応じて、当該表面とその後塗布されるコーティング組成物との間の接着性を改善するための化学的または物理的表面改質処理を受けてもよい。一実施形態は、コロナ放電に付随する高電圧電気ストレスに支持層の露出表面をさらすことである。あるいはまた、支持層は、支持層ポリマーに対する溶解または膨潤作用を有すると当該技術で知られている試剤で前処理されてもよい。当該技術で公知の試剤で前処理されてもよい。ポリエステル支持層の処理に特に好適である、かかる試剤の例には、共通有機溶剤に溶解されたハロゲン化フェノール、例えばアセトンまたはメタノール中のp−クロロ−m−クレゾール、2,4−ジクロロフェノール、2,4,5−もしくは2,4,6−トリクロロフェノールまたは4−クロロレゾルシノールの溶液が挙げられる。コロナ放電による処理は、1〜100kVの電位で1〜20kwの出力を好ましくは有する、高周波数、高電圧発電機を用いる通常の装置を使って空気中大気圧で達成されてもよい。放電は、好ましくは0.01〜10m/秒の線速度で、放電ステーションで誘電性支持ローラー上にフィルムを通すことによって通常行われる。放電電極は移動フィルム表面から0.1〜10.0mmに配置されてもよい。
【0119】
真空および/または圧力を用いて画像形成可能集合体でドナーおよび受像要素を一緒に保持することができる。一代案として、熱画像形成可能なドナーおよび受像要素を、周辺での層の融合によって一緒に保持することができる。別の代案として、熱画像形成可能なドナーおよび受像要素を一緒に接着テープで貼り、画像形成装置に接着テープで接合することができる、またはピン/締め付けシステムを用いることができる。さらに別の代案として、熱画像形成可能ドナー要素を受像要素に積層してレーザー加工可能な集合体を与えることができる。レーザー加工可能な集合体を都合よくドラム、または平らな移動可能なステージに取り付けてレーザー画像形成を容易にすることができる。当業者は、フラットベッド、内部ドラム、キャプスタン駆動などのような他のエンジン構造物もまた本発明で用い得ることを認めるであろう。
【0120】
図4のLTHC層120は、転写層の少なくとも幾つかの成分の受像要素への転写を引き起こすように、衝突光を吸収することによって、画像形成中に熱発生のかなりの割合をドナー要素の適切な領域へ局在化するための役割を果たす。昇華転写、拡散転写、物質移動、除去物質移動、溶融転写などのような、しかしそれらに限定されない転写の様々なメカニズムが存在し得る。熱物質移動では、転写層の全部の、または部分の非転写体積(intact volume)(マス)の転写は、該体積の成分の実質的な分離なしに、光が衝突する区域で起こる。混合物の体積(しかし、実質的にすべての成分を含む非転写体積ではない)の少なくとも1つの成分の転写は、転写可能な材料を保持するマトリックス材料が実質的に転写されない、昇華転写および拡散転写のような他のケースで起こることがある。
【0121】
様々な発光源を用いて熱転写ドナー要素を加熱することができる。アナログ技法(例えば、マスクを通した露光)のためには、高出力の光源(例えば、キセノンフラッシュランプおよびレーザー)が有用である。デジタル画像形成技法のためには、赤外線、可視光、および紫外線レーザーが特に有用である。
【0122】
本明細書で用いるところでは、用語「光」は、約200nm〜約300μmの波長を有する放射線をカバーすることを意図される。この光スペクトルは、約200nm〜約400nmの紫外線(UV)範囲、約400nm〜約750nmの可視光範囲、および約750nm〜約300μmの赤外線(IR)範囲に分けることができる。近赤外スペクトルは約750〜約2500nmを含み、中赤外スペクトルは約2500〜約12500nmを含み、遠赤外スペクトルは約12500nm〜約300μmを含む。短波長近赤外スペクトルは約750nm〜約1200nmの波長を含み、長波長近赤外スペクトルは約1200nm〜約2500nmの波長を含む。
【0123】
一実施形態では、露光工程は、約600mJ/cm2以下、最も典型的には約250〜約440mJ/cm2のレーザー・フルエンスでの画像形成レーザーで行われる。他の光源および照射条件は、とりわけ、ドナー要素構築物、転写層材料、熱転写のモード、および他のかかる因子に基づいて好適なものであることができる。
【0124】
高いスポット配置正確さが大きな基材面積にわたって必要とされるとき(例えば、高い情報フルカラーディスプレイ用途向けに)、レーザーは光源として特に有用である。レーザー源はまた、大きな堅い基材(例えば、1メートル×1メートル×1.1mmおよびカラーフィルターガラスのようなより大きい基材)ならびに連続のまたはシート化フィルム基材(例えば、100μm厚さポリイミドシート)の両方とも相性がよい。
【0125】
ダイオードレーザー、例えばそれらの小さなサイズ、低コスト、安定性、信頼性、耐久性および変調の容易さの観点からかなりの利点を提供する約750〜約870nmおよび1200nm以下の領域で発光するものが特に有利である。かかるレーザーは、例えば、スペクトラ・ダイオード・ラボラトリーズ(カリフォルニア州サンノゼ)(Spectra Diode Laboratories(San Jose,CA))から入手可能である。画像を受像層に振り向けるために用いられる一装置は、約830nmを発するレーザーを利用する、クレオ・スペクトル・トレンドセッター(Creo Spectrum Trendsetter)3244Fである。この装置は空間光変調器(Spatial Light Modulator)を利用して〜830nmレーザーダイオードアレイからの5〜50ワット出力を分割し、変調する。関連光学は、画像形成可能な要素上へこの光の焦点を合わせる。これは、それぞれが約10×10〜2×10ミクロンスポットでの10〜200mWの光で、50〜240の個々のビームのアレイに焦点を合わせられた、0.1〜30ワットの画像形成光をドナー要素上に生成する。米国特許公報(特許文献50)に開示されているような、類似の露光はスポット当たり個々のレーザーで得ることができる。このケースでは、各レーザーは780〜870nmで50〜300mWの電気変調光を発する。他の選択肢には、500〜3000mWを発する、そしてそれぞれ個々に変調され、媒体に焦点を合わせられた繊維連結レーザーが含まれる。かかるレーザーは、アリゾナ州ツーソンのオプト・パワー(Opto Power in Tucson,AZ)から入手することができる。
【0126】
熱画像形成に好適なレーザーには、例えば、高出力(>90mW)単一モード・レーザーダイオード、繊維連結レーザーダイオード、およびダイオード励起固体状態レーザー(例えば、Nd:YAGおよびNd:YLF)が含まれる。レーザー露光滞留時間は、例えば、2,3百分のマイクロ秒から数十マイクロ秒以上まで広く変わることができ、レーザー・フルエンスは、例えば約0.01から約5J/cm2以上までの範囲にあることができる。
【0127】
一実施形態では画像形成光は、650〜1300nmの波長、例えば660〜900nm、および950〜1200nmの範囲の選択された波長で強く発光する1つまたは複数のレーザーによって提供される。
【0128】
一実施形態では、画像形成中に、選択的に照射された領域でのドナー要素の全体転写層は、任意の中間層または光−熱変換層のような、熱物質移動要素の他の層の有意な部分または成分を転写することなく受像要素に転写される。これは、LTHC層が転写される材料とは異なる特性を有し、そして転写によって得られる機能性を妨げ得るときに特に望ましい。例えば、青カラーフィルターウィンドウ用の透明な青色転写層と共に転写する黄着色のまたは黒色のLTHC層、または導電性転写層と共に導電性パッド上へ転写する電気絶縁性LTHC層は許容されないものであり得る。
【0129】
別の実施形態では、転写層は成分の混合物であり、ドナー要素の照明による転写は、昇華性染料、または溶融成分のような選択された成分について起こるにすぎない。
【0130】
熱転写のモードは、照射のタイプ、転写層中の材料のタイプなどに依存して変わることができ、一般に1つまたは複数のメカニズムによって起こり、その1つまたは複数が画像形成条件、ドナー構築物などに依存して転写中に重視されるまたは重視されないかもしれない。熱転写の次のモードは、本発明を限定するものではなく、あくまで例示目的のために与えられる。
【0131】
熱転写の推測される一メカニズムには、転写層とドナー要素の残りとの界面での局所加熱がドナーへの熱転写層の接着性を選択された場所で低くすることができる、熱溶融−粘着転写が含まれる。熱転写層の選択された部分は、ドナー要素が除去されるときに、転写層の選択された部分がレセプター上に留まるように、ドナーによりも強く受像要素に接着することができる。熱転写の推測される別のメカニズムには、局所加熱を用いてドナー要素から転写層の部分を除去することができ、それによって除去された材料をレセプターの方へ導く除去転写が含まれる。熱転写の推測されるさらに別のメカニズムには、転写層に分散された材料がドナー要素に発生した熱によって昇華することができる昇華が含まれる。昇華した材料の一部はレセプター上に凝縮することができる。
【0132】
画像形成中に、熱転写要素は受像要素と密に接触させることができる(熱溶融−粘着転写メカニズムについて典型的にそのケースであるかもしれないように)、または熱転写要素は受像要素から少し離して間隔をあけることができる(除去転写メカニズムまたは転写材料昇華メカニズムについてそのケースであり得るように)。少なくとも幾つかの場合には、圧力または真空を用いてレセプターと密に接触して熱転写要素を保持することができる。幾つかの場合には、マスクを熱転写要素と受像要素との間に置くことができる。かかるマスクは除去可能であるか、または転写後に受像要素上に留まることができる。次に光源を用いてLTHC層(および任意選択的に任意の光吸収剤を含有する他の層)を像様様式に(例えば、デジタルでまたはマスクを通したアナログ露光によって)加熱して像様転写および/または熱転写ドナー要素から受像要素への転写層のパターン化を行うことができる。
【0133】
像様光露光による画像形成後の集合体についての後工程は、画像形成された受像要素からの画像形成ドナー要素の分離である(図5)。通常これは、2つの要素を単に引き剥がすことによって行われる。これは一般に非常に少ない剥離力を必要とし、受像要素からドナー支持材を単に分離することによって行われる。これは、任意の通常の分離技法を用いて行うことができ、手動または自動であることができる。
【0134】
典型的には意図される製品は、光露光および分離後に、その上に転写される材料がパターンで転写された受像要素である。しかしながら、意図される製品が露光および分離後のドナー要素であることもまた可能である。ドナー支持層およびLTHC層が透明であり、そして転写層が不透明である一実施形態では、画像形成されたドナー要素は、感光性材料、例えばフォトレジスト、感光性ポリマー印刷プレート、感光性防水加工材料、医療ハード・コピーなどの通常のアナログ露光用の光工具として使用することができる。光工具用途向けには、ドナー要素の「無色透明」、すなわち、レーザー露光区域と「不透明」、すなわち、非露光区域との間の密度差を最大にすることが重要である。このように、ドナー要素に使用される材料はこの用途に適合するように調整されなければならない。
【0135】
一実施形態では、画像形成された受像要素は、ドナー要素と共にその後の画像形成可能集合体の受像要素として使用することができる。
【0136】
一実施形態では、異なる組成物の層を有するドナー要素の使用は、材料転写を意図される区域に強烈なレーザービームを照らす、迅速に走査される点滅レーザービームによって発生する熱の結果によるドナー要素から受像要素への材料の像様転写用の画像形成可能集合体で受像要素と組み合わせて有用である。画像形成された受像要素からの使用済みドナー要素の分離は、カラーフィルター、視覚的ディスプレイ、カラー画像複製品、回路部品などに有用な物品を提供する。
【0137】
一実施形態では、支持層、金属の顔料入り、または染料含有層のような光−熱変換層に有用な層(LTHC層)、および転写層を含む少なくとも3つの層のドナー要素構築物は、層間接着、光吸収、熱転写、ハンドリングなどのような特性を改質するために、3つの層の間にまたは外側に置くことができる構築物中の追加の層によって補完される。
【0138】
典型的には、転写層の選択された部分が、任意の中間層またはLTHC層のような、熱転写要素の他の層の有意部分を転写することなく受像要素に転写される。任意の中間層の存在は、LTHC層から受像要素への材料の転写を排除するまたは減らす、および/または転写層の転写された部分での歪みを減らすかもしれない。好ましくは、画像形成条件下で、LTHC層への任意の中間層の接着性は転写層への中間層の接着性より大きい。幾つかの場合には、反射中間層を使用して中間層を通って伝えられる画像形成光のレベルを減衰させ、そして伝えられる光と転写層および/またはレセプターとの相互作用に起因するかもしれない転写層の転写された部分へのいかなる損傷も減らすことができる。これは、受像要素が画像形成光を高度に吸収するときに起こるかもしれない熱損傷を減らすのに特に有益である。
【0139】
レーザー露光中に、画像形成された材料からの多重反射による干渉縞の形成を最小にすることが望ましいかもしれない。これは、様々な方法によって成し遂げることができる。最も一般的な方法は、米国特許公報(特許文献51)に記載されているように入射光の規模で熱転写要素の表面を効果的に粗くすることである。これは、入射光の空間干渉性を乱し、こうして自己干渉を最小にするという効果を有する。代わりの方法は、熱転写要素内に反射防止コーティングを用いることである。反射防止コーティングの使用は公知であり、米国特許公報(特許文献52)に記載されているように、フッ化マグネシウムのような四分の一波長厚さのコーティングよりなってもよい。
【0140】
メートル以上の長さおよび幅寸法を有する熱転写要素をはじめとする、大きな熱転写要素を使用することができる。操作中、レーザーは、大きな熱転写要素の端から端までラスタ化する、またはさもなければ移動させることができ、レーザーは所望のパターンに従って熱転写要素の部分を照明するように選択的に操作される。あるいはまた、レーザーは固定されたもので、熱転写要素および/または受像要素基材がレーザーの真下を移動させられてもよい。
【0141】
幾つかの場合に、2つ以上の異なる熱転写要素を順次使用して光学ディスプレイのようなデバイスを形成することが必要である、望ましい、および/または好都合であるかもしれない。
【0142】
例えば、ピクセルウィンドウを画定するブラックマトリックスは、熱転写画像形成、引き続く別個のウィンドウへのマルチカラーの順次熱転写によってガラス板上に形成され、ブラックマトリックスのウィンドウにカラーフィルター要素を形成してもよい。別の例として、ブラックマトリックスが形成され、液晶ディスプレイで透明度を切り替えるために用いる薄膜トランジスタの1つまたは複数の層の熱転写がそれに続いてもよい。別の例として、多層デバイスは、異なる熱転写要素から別個の層または層の別個のスタックを転写することによって形成され得る。多層スタックはまた、単一ドナー要素から単一転写単位として転写され得る。多層デバイスの例には、有機電界効果トランジスタ(OFET)のようなトランジスタ、有機発光ダイオード(OLED)をはじめとする、有機エレクトロルミネセンスピクセルおよび/またはデバイスが挙げられる。マルチプルドナーシートをまた使用してレセプター上の同じ層中に別個の部品を形成することができる。例えば、3つの異なるカラードナーを使用してカラー電子ディスプレイ用のカラーフィルターを形成することができる。また、それぞれが多層転写層を有する、別個のドナーシートを使用して異なる多層デバイス(例えば、異なる色を発するOLED、アドレス可能なピクセルを形成するために接続するOLEDおよびOFETなど)をパターン化することができる。2つ以上の熱転写要素の様々な他の組み合わせを用いて、各熱転写要素がデバイスの1つまたは複数の部分を形成する、デバイスを形成することができる。レセプター上のこれらのデバイス、または他のデバイスの他の部分がフォトリソグラフ法、インクジェット法、および様々な他の印刷またはマスク−ベースの方法をはじめとする任意の好適な方法によって全体的にまたは部分的に形成されてもよいことは理解されるであろう。
【0143】
特に明記しない限り、本明細書に用いられるすべての技術および科学用語は、本発明が属する当業者によって共通して理解されるものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものに類似のまたは同等の方法および材料を本発明の実施または試験に際して用いることができるが、好適な方法および材料は本明細書に記載される。本明細書に述べられるすべての刊行物、特許出願、特許、および他の参考文献は、全体を参照により援用される。抵触する場合には、定義を含む本明細書が優先するであろう。加えて、材料、方法、および実施例は例示的であるにすぎず、限定的であることを意図されない。
【実施例】
【0144】
パーキン・エルマー・ラムブダ(Perkin Elmer Lambda)900UV−Vis−IR分光計または同等物を用いて830nmのような波長で層のパーセント透過率を測定することができる。着色した転写層の転写の完全性は、未画像形成および画像形成ドナー要素間の吸光度の変化を、例えば青色着色した転写層のドナー要素について440nm波長で記録することによって測定した。かかるカラー測定に好適な分光計は、オーシャン・オプチックス、フロリダ州ダニディン(Ocean Optics,Dunedin,FL)から入手可能である。
【0145】
次の原料を使用して実施例のドナー要素を作り出した。特に明記しない限り、すべての部および百分率は容量ではなく質量による。
【0146】
ポリマー分散系PD2Eはバインダーおよび架橋剤の水性分散系である:48モル%エチルアクリレートと、48モル%メチルメタクリレートと、4モル%メタクリルアミドとの約37%のコポリマー、約9%のケミカル・アブストラクツ登録番号(Chemical Abstracts Registry number)[68002−20−0]のメチル化メラミンホルムアルデヒド架橋剤、約1%ホルムアルデヒド、約3%メタノール、および残り水。
【0147】
剥離改質剤KEP−DMAEは、濃厚水性水酸化カリウムを水性リン酸エチル(スタウファー・ケミカルズ、コネチカット州ウェストポート(Stauffer Chemicals,Westport,CT))に加えて約4.5のpHを達成し、引き続きジメチルアミノエタノールを加えて約7.5のpHを達成することによって11.5%固形分の水溶液で製造した。
【0148】
剥離改質剤サイアスタットSPは、サイテック・インダストリーズ、ニュージャージー州ウェスト・パターソンから入手可能な、50/50イソプロパノール/水中のリン酸二水素ステアルアミドプロピルジメチル−β−ヒドロキシエチルアンモニウム([3758−54−1]の35%固形分溶液である。
【0149】
剥離改質剤エルフジンPF(ポリグリコールエーテル置換化合物を含有する)およびエルフジンAKT(ホスフェート陰イオンまたはエステル化合物を含有する)は、クラリアント・コーポレーション、ノースカロライナ州シャーロット(Clariant Corporation,Charlotte,NC)から入手可能である。エルフジンPFは、5つ以下のH(OCH2−CH2n−鎖(相異なる酸素からの3つ、および単一窒素からの2つ)を有するように、かつ、5つの「n」(ポリエチレンオキシド鎖の重合度)の合計が5〜100であり、そしてH(OCH2−CH2n−のHエンドキャップの少なくとも1つがCH2−CH(OH)−CH2Cl基で置換されるように、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(トリス(TRIS)、CAS[77−86−1])の5つの位置でのポリエトキシル化の生成物として米国特許公報(特許文献53)に記載されている。
【0150】
湿潤剤WET2は、デグッサ、バージニア州ホープウェル(Degussa,Hopewell,VA)製のポリエーテル変性トリシロキサンコポリマーである。
【0151】
SDA−4927は、H.W.サンズ社、フロリダ州ジュピターから入手可能な、2−(2−(2−クロロ−3−(2−(1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)エチリデン)−1−シクロヘキセン−1−イル)エテニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩、CAS No.[162411−28−1]を有する遊離酸である。
【0152】
ジョンクリル(JONCRYL)63は、ジョンソン・ポリマー、ウィスコンシン州スターテバント(Johnson Polymer,Sturtevant,WI)から入手可能なジョンクリル67、8200の数平均分子量および12000の重量平均分子量のスチレン・アクリルコポリマーの30%水溶液である。
【0153】
ゾニール(ZONYL)(登録商標)FSAは、本願特許出願人、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,DE)から入手可能な、RfCH2CH2SCH2CH2CO2Li(ここで、Rf=F(CF2CF2)xであり、そしてここで、xは1〜約9である)を含む、水イソプロパノールブレンド中の25%固形分フルオロ界面活性剤溶液である。
【0154】
エアロテックス(AEROTEX)3730は、サイテック・インダストリーズ、ニュージャージー州ウェスト・パターソンから入手可能な、85%固形分の水性の完全水溶性のメチル化メラミンホルムアルデヒド樹脂架橋剤である。
【0155】
下に与えられる実施例では、転写層厚さは約1〜2ミクロンである。
【0156】
(実施例1)
次の実施例は、順に通常の支持層、支持層上に通常通りにコートされる光−熱変換−剥離改質剤層、および転写層を有するドナー要素の実施形態および使用を提供する。剥離改質剤層は、光吸収剤として溶解された赤外線吸収染料を含む。
【0157】
調合物1(HF1)は、順に5290部水、552.2部のPD2E、2.5部WET2、72.6部サイアスタットSPを混合し、次に3%水性水酸化アンモニウムを使用して調合物のpHを8.9〜9.1に調整し、最後に66.09部SDA−4927を加えることによって製造した。
【0158】
670nmで0.6吸光度(25%透過率)を達成するために青染料を含有する二軸延伸ポリエステルテレフタレートフィルムの50μm厚さ支持層をトップ面上にワイア巻き棒を用いてHF1でコートし、調合物を50℃で少なくとも5分間乾燥させて830nm波長で光の51.7%を伝える組み合わせ剥離改質剤および光吸収剤層を与えた(0.287の吸光度)。得られた構築物は支持吸収剤(Support Absorber)1(SA1−IRM35)と称された。
【0159】
ブルー調合物(BF1)は、67.4部ブルー・ピグメント・ディスパージョン(Blue Pigment Dispersion)(49.3%不揮発性マス、顔料対バインダー質量比2.0)、3.60部バイオレット(Violet)ピグメント・ディスパージョン(25%不揮発性マス、顔料対バインダー質量比2.3)、229.2部水、90.8部ジョンクリル63、2.4部水性水酸化アンモニウム(3%)、1.4部ゾニールFSA、1.20部SDA−4927、および4部エアロテックス3730を組み合わせることによって製造した。
【0160】
BF1を、ワイア巻き棒を用いてSA1−IRM35のHF1面上にコートし、50℃で少なくとも5分間乾燥させてブルードナー要素1(BDE1−IRM35)を与えた。
【0161】
ドナー要素BDE1−IRM35のセクションを、支持層/剥離改質剤光−熱変換層/転写層/ピクセル/ガラス順に予め転写された赤ピクセルを有するガラスカラーフィルター基材と組み合わせて画像形成可能集合体を形成した。画像形成可能集合体を、約400mJ/cm2のフルエンスおよび5μ秒未満の露光時間で支持層に衝突する迅速に移動する点滅830nm赤外線レーザーを用いて画像形成させてブルー転写層の着色剤の92%完全転写に相当する、明度x=0.151、y=0.167、およびY=22.3を有するカラーフィルターに好適な青ピクセルを転写した。
【0162】
(実施例2)
次の実施例は、ステンターオーブン中での横延伸およびその後のヒートセットの前に支持層前駆体上にコートされる剥離改質剤層を有するドナー要素の実施形態および使用を提供する。
【0163】
50μm経路長にわたって670nmで0.6吸光度(25%透過率)を達成するためにブルー染料を含有する一軸延伸ポリエステルテレフタレートフィルムの厚い支持層をトップ面上にオフセットグラビア塗布機を用いてHF1でコートし、乾燥のために90〜100℃に予熱し、50μmの最終厚さを達成するために横に延伸し、ヒートセットして0.398の吸光度を有する、830nm波長で光の40%を伝える160nm厚さの組み合わせ剥離改質剤および光吸収剤層を与えた。得られた構築物は支持吸収剤2(SA2−IRM35)と称された。
【0164】
BF1を、ワイア巻き棒を用いてSA2−IRM35のHF1面上にコートし、50℃で少なくとも5分間乾燥させてブルードナー要素2(BDE2−IRM35)を与えた。
【0165】
ドナー要素BDE2−IRM35のセクションを、支持層/剥離改質剤光−熱変換層/転写層/ピクセル/ガラス順に予め転写されたカラーピクセルを有するガラスカラーフィルター基材と組み合わせて画像形成可能集合体を形成した。画像形成可能集合体を、約400mJ/cm2のフルエンスおよび5μ秒未満の露光時間で支持層に衝突する迅速に移動する点滅830nmレーザーを用いて画像形成させてブルー転写層の着色剤の98%完全転写に相当する、明度x=0.151、y=0.150、およびY=19.32を有するカラーフィルターに好適な青ピクセルを転写した。
【0166】
(比較例3)
次の比較例は、剥離改質剤原料サイアスタット−SPなしで調合した、実施例1に密に匹敵するドナー要素を提供する。
【0167】
剥離改質剤調合物2(HF2)は、順に4945部水、1364部PD2E、10部WET2を混合し、次に3%水性水酸化アンモニウムを使用して調合物のpHを8.9〜9.1に調整し、最後に3571部SDA−4927を加えることによって製造した。
【0168】
670nmで0.6吸光度を達成するためにブルー染料を含有するポリエステルテレフタレートフィルムの50μm厚さ支持層をトップ面上にワイア巻き棒を用いてHF1でコートし、調合物を50℃で少なくとも5分間乾燥させて830nm波長で光の51.7%を伝える光吸収剤層を与えた(0.287の吸光度)。得られた構築物は支持吸収剤3(SA3−IRM32A)と称された。
【0169】
BF1を、#2ワイア巻き棒を用いてSA3−IRM32AのHF2面上にコートし、80℃で20分間乾燥させてブルードナー要素3(BDE3−IRM32A)を与えた。
【0170】
ドナー要素BDE3−IRM32Aのセクションを、支持層/剥離改質剤光−熱変換層/転写層/ピクセル/ガラス順に予め転写されたカラーピクセルを有するガラスカラーフィルター基材と組み合わせて画像形成可能集合体を形成した。画像形成可能集合体を、約400mJ/cm2のフルエンスおよび5μ秒未満の露光時間で支持層に衝突する迅速に移動する830nmレーザーを用いて画像形成させてブルー転写層の着色剤の85.5%完全転写に相当する、明度x=0.152、y=0.166、およびY=21.5を有するカラーフィルターに好適な青ピクセルを転写した。
【0171】
(実施例4)
次の実施例は、延伸およびヒートセットの前に支持層前駆体上にコートされる光吸収材としてカーボンブラックを含む剥離改質剤光−熱変換層を有するドナー要素の実施形態および使用を提供する。
【0172】
調合物3(HF3)は、順に8290部水、1364部のPD2E、10部WET2、179.3部サイアスタットSPを混合し、次に3%水性水酸化アンモニウムを使用して調合物のpHを8.9〜9.1に調整し、最後に1814部の25.7%不揮発性マス水性カーボンブラック分散系を加えることによって製造した。
【0173】
充填剤なしのポリエチレンテレフタレートを含むポリマー組成物を溶融押出し、冷却した回転ドラム上へキャストし、そして75℃の温度でその元の長さの約3倍に押出の方向に延伸した。冷却した延伸ポリマー組成物を次に1つの面上にHF3でコートして約20〜30μmの湿ったコーティング厚さを与えた。HF3を、オフセットグラビアコーティング装置を用いて、グラビアロール表面上へHF3を取り込むHF3供給を通って回転する60QCHグラビアロール(パマーコ・テクノロジーズ、ニュージャージー州ロゼル(Pamarco Technologies,Roselle,NJ))を用いてコートした。グラビアロールをポリマー組成物移動と反対の方向に回転させ、ロールは接触の1ポイントでコーティングを塗布した。
【0174】
コーテッドポリマー組成物を、100〜110℃の温度のステンターオーブンへ移行させ、そこでコーテッドポリマー組成物を乾燥させ、その元の幅の約3倍に横方向に延伸した。二軸延伸したコーテッドポリマー組成物を、通常の方法で約190℃の温度でヒートセットして支持吸収剤4(SA4−IRM30)と称される複合インラインコーテッド支持層/光−熱吸収剤および剥離改質剤層をもたらした。支持吸収剤4の総厚さは50μmであり、コーティング層の乾燥厚さは約0.5〜0.9μmであった。830nm波長での支持吸収剤4の吸光度はコーティングのために0.28であった。
【0175】
従来のレッド調合物1(RF1)を、SA4−IRM30の光−熱吸収剤および剥離改質剤層上へコートしてレッドドナー要素(RDE4−IRM30)を提供した。
【0176】
ドナー要素RDE4−IRM30のセクションを、支持層/剥離改質剤光−熱変換層/転写層/ガラス順のガラスカラーフィルター基材と組み合わせて画像形成可能集合体を形成した。画像形成可能集合体を、約400mJ/cm2のフルエンスおよび5μ秒未満の露光時間で支持層に衝突する21.5ワットの出力エネルギーの迅速に移動する点滅830nm赤外線レーザーを用いて画像形成させてレッド転写層の着色剤の84%完全転写に相当する、明度x=0.559、y=0.331、およびY=26.7を有するカラーフィルターに好適な赤ピクセルを転写した。
【0177】
ドナー要素RDE4−IRM30の別のセクションを、支持層/剥離改質剤光−熱変換層/転写層/ピクセル/ガラス順に予め転写されたカラーピクセルを有するガラスカラーフィルター基材と組み合わせて画像形成可能集合体を形成した。画像形成可能集合体を、約400mJ/cm2のフルエンスおよび5μ秒未満の露光時間で支持層に衝突する21.5ワットの出力エネルギーの迅速に移動する点滅830nm赤外線レーザーを用いて画像形成させてレッド転写層の厚さの91%完全転写に相当する、明度x=0.581、y=0.334、およびY=24.5を有するカラーフィルターに好適な赤ピクセルを転写した。
【0178】
(実施例5)
次の実施例は、剥離改質剤サイアスタットSPを含まないドナー要素に、光吸収材としてカーボンブラックを含む光−熱変換層を有するドナー要素の実施形態および使用を提供する。光−熱変換層を、ステンターオーブン中での横延伸およびその後のヒートセット前に支持層前駆体上にコートした。
【0179】
調合物4(HF4)は、順に7840部水、1364部のPD2E、10部WET2を混合し、次に3%水性水酸化アンモニウムを使用して調合物のpHを8.9〜9.1に調整し、最後に1814部のカーボンブラック分散系を加えることによって製造した。
【0180】
HF4を、HF3についてのようにコートして支持吸収剤5(SA5−IRM33)と称される複合インラインコーテッド支持層/光−熱吸収剤層を与えた。支持吸収剤5の総厚さは50μmであり、支持吸収剤4の吸光度はコーティングのために830nm波長での0.27であった。
【0181】
従来のレッド調合物1(RF1)を、SA5−IRM33の光−熱吸収剤層上へコートしてレッドドナー要素(RDE5−IRM33)を提供した。
【0182】
ドナー要素RDE5−IRM33のセクションを、支持層/光−熱変換層/転写層/ガラス順のガラスカラーフィルター基材と組み合わせて画像形成可能集合体を形成した。画像形成可能集合体を、約400mJ/cm2のフルエンスおよび5μ秒未満の露光時間で支持層に衝突する21.5ワットの出力エネルギーの迅速に移動する点滅830nm赤外線レーザーを用いて画像形成させてレッド転写層の厚さの78%完全転写に相当する、明度x=0.565、y=0.332、およびY=28.2を有するカラーフィルターに好適な赤ピクセルを転写した。
【0183】
ドナー要素RDE5−IRM33の別のセクションを、支持層/剥離改質剤光−熱変換層/転写層/ピクセル/ガラス順に予め転写されたカラーピクセルを有するガラスカラーフィルター基材と組み合わせて画像形成可能集合体を形成した。画像形成可能集合体を、約400mJ/cm2のフルエンスおよび5μ秒未満の露光時間で支持層に衝突する21.5ワットの出力エネルギーの迅速に移動する点滅830nm赤外線レーザーを用いて画像形成させてレッド転写層の厚さの84%完全転写に相当する、明度x=0.583、y=0.335、およびY=25.6を有するカラーフィルターに好適な赤ピクセルを転写した。
【0184】
(実施例6〜14)
次の実施例は、水分散性スルホン化ポリエステルバインダー、近IRレーザー放射線を吸収することができる染料、および任意選択的に剥離改質剤または比較材料を含む光−熱変換層を有するドナー要素の比較例および実施例の実施形態を提供する。
【0185】
百重量部の光−熱変換層コーティング組成物を、約72部の水、1部のジメチルアミノエタノール、0.95部SDA−4927、13部の水性分散30質量パーセントスルホン化ポリエステル(63℃のガラス転移温度および27℃の最低フィルム形成温度を有するアマーテック(AmerTech)ポリエステル無色透明)、4部イソプロパノール、1部基材湿潤添加剤(デグッサ、バージニア州ホープウェル製のテゴ・ウェット(Tego WET)250、93〜96%固形分ポリエーテル変性トリシロキサンコポリマー)および任意選択的に0.16部の剥離改質剤化合物または比較化合物(水または他のキャリアに同伴されてもよい)を使用することによって製造した。実施例6のケースでは、塗布後に支持層が830nmで約45%の透過率の延伸光−熱変換剥離改質剤層を達成するためにその元の幅の3倍に延伸され得るように、より少ない水を使用した。他の実施例7〜14では、十分に混合された光−熱変換層コーティング組成物を、#0ワイア巻き棒を用いて50ミクロン・ポリエステル支持層上へコートして約3ミクロンの湿ったコーテッド厚さおよび約190nmの乾燥コーティング厚さならびに約45%の830nm波長光の透過率を与えた。得られた支持層/LTHC層構築物をLTHC層面に1〜2ミクロンの乾燥厚さで従来のブルー顔料入り転写層でコートして添付の表に特定されるドナー要素を提供した。
【0186】
ドナー要素のセクションを、支持層/光−熱変換層/転写層/ガラス順の赤ピクセル要素を有するガラスカラーフィルター基材と組み合わせて画像形成可能集合体を形成した。画像形成可能集合体を、約250〜500mJ/cm2のフルエンスおよび5μ秒未満の露光時間で支持層に衝突する6つの別々にサンプリングされた出力エネルギー(名目14、17、18.5、20、21.5、および23ワット)の迅速に移動する点滅830nm赤外線レーザーを用いて画像形成させてカラーフィルターに好適な青ピクセルを転写した。
【0187】
画像形成された集合体を、使用済みブルードナー要素と赤および青ピクセル要素を有するガラスカラーフィルター基材とに分離した。使用済みドナー要素を、100%転写を意図される区域でブルー転写層の非転写百分率について比色分析で分析し、その値を100%から差し引いて達成された転写百分率を与えた。ガラスカラーフィルター基材の青ピクセル要素を、転写されたライン幅(画像形成レーザー使用からの意図される画像形成転写幅の百分率として表される)および転写された材料の明度(元のドナー要素値からの差としてCIEスケールのxyY座標で表される)について比色分析で分析した。熱転写プロセスおよび色の品質を、xおよびyがカラーの色相を表し、そしてYが輝度(透過光子/入射光子の比)の尺度であるCIEシステムでのカラー座標についてx、yおよびY値を測定することによって評価した。
【0188】
次の表1は、様々な名目レベルのレーザーエネルギーを用いて画像形成させることによるドナー要素の性能を記録する。「実施例」と標識される第1列は、各実施例に識別子を割り当てる。「化合物」と標識される第2列は、候補剥離改質剤として使用される化合物を示す(100のコーティング組成物当たり0.16部)。「Tr.%平均」と標識される第3列は、ドナー要素を出て受像要素に転写されたブルー転写材料の転写百分率平均(6つの名目レーザー出力設定にわたって)を示す。「Tr.%最高」と標識される第4列は、6つの名目レーザー設定のうちで最高の転写パーセントを示す。「Tr.%デルタ」と標識される第5列は、6つのレーザー設定内での転写量の広がり、達成された最高値と最低値との差を示す。第6〜第8列は、複数ピクセルレーザーヘッドでのレーザーピクセルの使用によって測定されるような、ブルーの転写された材料の達成転写幅対幅約90ミクロンの意図された転写について同じ量を記録する。第9および第10列は、xyYカラー空間での転写されたブルー転写材料カラー対非転写ブルー転写材料のxyY座標を反映している。このように、dyは、非転写および転写されたブルー転写材料についてのxyY空間における「y」座標での絶対差である。列9の平均値は用いた6つのレーザーワット量にわたるものである。同様に、「dY平均」列10は、6つのレーザーワット量設定にわたって平均した転写後のY(輝度)差(dY)を示す。
【0189】
【表1】

【0190】
行6−0および7−1、「K+EtOPO3H−DMAE」は、3部水中での0.5部リン酸エチル(スタウファー・ケミカル・カンパニー(Stauffer Chemical Company)、コネチカット州ウェストポート;ルブリゾール、オハイオ州ウィックリフ(Lubrizol,Wickliffe,OH))と4.5のpHを達成するために十分な45%水性水酸化カリウムとの組み合わせ、引き続く7.5のpHを達成するために十分なジメチルアミノエタノールの添加、そして最後に合計5部の11.5相対質量パーセントの水を含まない化合物の最終水溶液を達成するための水での希釈から導かれる0.16グラム固形分基準(水を含まない)のリン酸エチルカリウムとジメチルアミノエタノールとのブレンドを示す。
【0191】
行12−7、「リチウムトリフレート」は、トリフルオロメタンスルホン酸リチウムの使用について報告する。
【0192】
次の表2は、様々な名目レベルのレーザーエネルギーを用いて画像形成させることによるドナー要素の性能を記録する。「実施例」と標識される第1列は、各実施例に識別子を割り当てる。「化合物」と標識される第2列は、候補剥離改質剤として使用される化合物を示す(100のコーティング組成物当たり0.16部)。「最初良好」と標識される第3列は、ドナー要素を出て受像要素に転写されたブルー転写材料の許容される転写を生成する最低レーザーエネルギー(11ワットから23ワットまで1.5ワット差で9つの名目レーザー出力設定にわたって)を示す。「最後良好」と標識される第4列は、ドナー要素を出て受像要素に転写されたブルー転写材料の許容される転写を生成する最高レーザーエネルギー(11ワットから23ワットまで1.5ワット差で9つの名目レーザー出力設定にわたって)を示す。「最後良好でのTr、%」と標識される第5列は、「最後良好」と標識されるレベルでレーザーエネルギーを用いて受像要素に転写されたブルー転写層の百分率を示す。
【0193】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0194】
【図1】延伸された光−熱変換層を含むドナー要素の一実施形態の略断面図である。
【図2】剥離改質剤を含有するドナー要素の第2実施形態の略断面図である。
【図3】剥離改質剤を含有するドナー要素の別の実施形態の略断面図である。
【図4A】受像要素に隣接するドナー要素の画像形成可能集合体の異なる実施形態の略断面図であり、ここで、図4Aは光によって画像形成されつつある画像形成可能集合体を例示する。
【図4B】受像要素に隣接するドナー要素の画像形成可能集合体の異なる実施形態の略断面図であり、ここで、図4Aは光によって画像形成されつつある画像形成可能集合体を例示する。
【図5】画像形成され、分離された画像形成可能集合体の画像形成したドナー要素および画像形成した受像要素の略断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
延伸プロセスによって形成された支持層、
該支持層に隣接して配置された、光吸収剤を含む光−熱変換層、および
延伸プロセス後に、該光−熱変換層に隣接し、該支持層の反対側に配置されたドナー要素が、画像形成光に選択的に露光されたときに、ドナー要素から隣接受像要素へ像様転写され得る材料を含む転写層
を含む熱転写プロセスに使用するためのドナー要素であって、
該光−熱変換層が、延伸プロセスの完了前に該支持層上にコートされることを特徴とするドナー要素。
【請求項2】
前記転写層が、配向した有機電子放射材料を含まず、かつ、配向した電子活性材料を含まないことを特徴とする請求項1に記載のドナー要素。
【請求項3】
前記光−熱変換層が、ニトロセルロースを含むことを特徴とする請求項1に記載のドナー要素。
【請求項4】
前記光−熱変換層が、ポリメチルメタクリレートを含むことを特徴とする請求項1に記載のドナー要素。
【請求項5】
前記光−熱変換層が、ポリアルキレンカーボネートを含むことを特徴とする請求項1に記載のドナー要素。
【請求項6】
前記光−熱変換層が、スチレン−マレイン酸コポリマーを含むことを特徴とする請求項1に記載のドナー要素。
【請求項7】
前記光−熱変換層が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖類、ポリ(エチレンオキシド)、ゼラチン、ポリヒドロキシエチルセルロースおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるものを含むことを特徴とする請求項1に記載のドナー要素。
【請求項8】
前記光吸収剤が、顔料を含むことを特徴とする請求項1に記載のドナー要素。
【請求項9】
前記光吸収剤が、カーボンブラックおよびグラファイトの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載のドナー要素。
【請求項10】
前記光吸収剤が、近赤外染料を含むことを特徴とする請求項1に記載のドナー要素。
【請求項11】
前記光吸収剤が、750〜1200nmの波長で少なくとも1つの吸収極大を有することを特徴とする請求項1に記載のドナー要素。
【請求項12】
前記光−熱変換層の650〜1200nmの波長での最大吸光度が、400〜650nmの波長での該光−熱変換層の最大吸光度より少なくとも3倍大きいことを特徴とする請求項1に記載のドナー要素。
【請求項13】
前記光−熱変換層が、カーボンブラックおよびグラファイトの両方とも含まないことを特徴とする請求項1に記載のドナー要素。
【請求項14】
前記光−熱変換層が、750〜1200nmの波長で0.2より大きい吸光度を有することを特徴とする請求項1に記載のドナー要素。
【請求項15】
前記光−熱変換層が、20〜300nmの厚さを有することを特徴とする請求項1に記載のドナー要素。
【請求項16】
前記光吸収剤が、
a)2−(2−(2−クロロ−3−(2−(1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)エチリデン)−1−シクロヘキセン−1−イル)エテニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩、CAS No.[162411−28−1]を有する遊離酸、
b)分子式C41474Na163およびモル当たり約811グラムの分子量を有する、2−[2−[2−(2−ピリミジノチオ)−3−[2−(1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)]エチリデン−1−シクロペンテン−1−イル]エテニル]−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩、ナトリウム塩、
c)CAS No.[3599−32−4]を有するインドシアニングリーン、
d)3H−インドリウム、2−[2−[2−クロロ−3−[(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)エチリデン]−1−シクロペンテン−1−イル]エテニル]−1,3,3−トリメチル−、CAS No.[128433−68−1]を有するトリフルオロメタンスルホン酸との塩(1:1)、および
e)それらの組み合わせ
よりなる群から選択されることを特徴とする請求項1に記載のドナー要素。
【請求項17】
剥離改質剤が、前記支持層と転写層との間に配置されることを特徴とする請求項1に記載のドナー要素。
【請求項18】
前記剥離改質剤が、前記光−熱変換層に配置されることを特徴とする請求項17に記載のドナー要素。
【請求項19】
前記剥離改質剤が、前記転写層と光−熱変換層との間の層に配置されることを特徴とする請求項17に記載のドナー要素。
【請求項20】
前記剥離改質剤が、前記転写層と支持層との間に配置された層の0.1〜90質量パーセントを占めることを特徴とする請求項17に記載のドナー要素。
【請求項21】
前記剥離改質剤が、少なくとも4個および80個未満の炭素原子を含む第四級アンモニウム陽イオンを含むことを特徴とする請求項17に記載のドナー要素。
【請求項22】
前記剥離改質剤が、ステアルアミドプロピルジメチル−β−ヒドロキシエチルアンモニウム陽イオンを含むことを特徴とする請求項17に記載のドナー要素。
【請求項23】
前記剥離改質剤が、少なくとも1個のエステル基および2〜5個のヒドロキシル基を含む非イオン性化合物を含むことを特徴とする請求項17に記載のドナー要素。
【請求項24】
前記剥離改質剤が、1〜80個の炭素原子と、炭素原子およびリン原子に共有結合した少なくとも1個の酸素原子とを含む陰イオンを含むことを特徴とする請求項17に記載のドナー要素。
【請求項25】
前記剥離改質剤が、アミンを含むポリ([エチレン−プロピレン]オキシド)置換アルコール化合物を含むことを特徴とする請求項17に記載のドナー要素。
【請求項26】
前記剥離改質剤が、4〜100個のエトキシレート基を含有するポリ([エチレン−プロピレン]オキシド)置換アルコール化合物を含むことを特徴とする請求項17に記載のドナー要素。
【請求項27】
前記支持層および光−熱変換層が、いかなる金属層も含まず、かつ、いかなる金属酸化物層も含まず、
前記光−熱変換層が、20〜300nmの厚さを有し、カーボンブラックおよびグラファイトを含まず、かつ、750〜1200nmの波長で0.2より大きい極大吸光度を有し、
前記光吸収剤が、近赤外染料を含み、
前記剥離改質剤が、前記光−熱変換層に配置され、そしてリン化合物を含み、そして
前記転写層が、顔料を含む
ことを特徴とする請求項17に記載のドナー要素。
【請求項28】
延伸プロセスによって形成される支持層を提供する工程と、
該支持層の一面を、光吸収剤を含む光−熱変換層で被覆する工程と、
該延伸プロセス後に、該支持層の反対側の光−熱変換層を転写層で被覆する工程であって、該転写層は、該光−熱変換層が光に選択的に露光されたときに、該支持層から隣接受像要素へ像様転写され得る材料を含むものである工程と
を含む熱転写プロセスに使用するためのドナー要素の製造方法であって、
該被覆工程が該延伸プロセスの完了前に行われることを特徴とする方法。
【請求項29】
前記転写層が、配向した有機電子放射材料を含まず、かつ、配向した電子活性材料を含まないことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記光−熱変換層が、ニトロセルロースを含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記光−熱変換層が、ポリメチルメタクリレートを含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項32】
前記光−熱変換層が、ポリアルキレンカーボネートを含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項33】
前記光−熱変換層が、スチレン−マレイン酸コポリマーを含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項34】
前記光−熱変換層が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖類、ポリ(エチレンオキシド)、ゼラチン、ポリヒドロキシエチルセルロースおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるものを含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項35】
前記光吸収剤が、顔料を含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項36】
前記光吸収剤が、カーボンブラックおよびグラファイトの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項37】
前記光吸収剤が、近赤外染料を含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記光吸収剤が、750〜1200nmの波長で少なくとも1つの吸収極大を有することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項39】
前記光−熱変換層の650〜1200nmの波長での最大吸光度が、400〜650nmの波長での該光−熱変換層の最大吸光度より少なくとも3倍大きいことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項40】
前記光−熱変換層が、カーボンブラックおよびグラファイトの両方とも含まないことを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項41】
前記光−熱変換層が、750〜1200nmの波長で0.2より大きい吸光度を有することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項42】
前記光−熱変換層が、20〜300nmの厚さを有することを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項43】
前記光吸収剤が、
f)2−(2−(2−クロロ−3−(2−(1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)エチリデン)−1−シクロヘキセン−1−イル)エテニル)−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩、CAS No.[162411−28−1]を有する遊離酸、
g)分子式C41474Na163およびモル当たり約811グラムの分子量を有する、2−[2−[2−(2−ピリミジノチオ)−3−[2−(1,3−ジヒドロ−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−2H−ベンズ[e]インドール−2−イリデン)]エチリデン−1−シクロペンテン−1−イル]エテニル]−1,1−ジメチル−3−(4−スルホブチル)−1H−ベンズ[e]インドリウム、分子内塩、ナトリウム塩、
h)CAS No.[3599−32−4]を有するインドシアニングリーン、
i)3H−インドリウム、2−[2−[2−クロロ−3−[(1,3−ジヒドロ−1,3,3−トリメチル−2H−インドール−2−イリデン)エチリデン]−1−シクロペンテン−1−イル]エテニル]−1,3,3−トリメチル−、CAS No.[128433−68−1]を有するトリフルオロメタンスルホン酸との塩(1:1)、および
j)それらの組み合わせ
よりなる群から選択されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項44】
剥離改質剤が、前記支持層と転写層との間に配置されることを特徴とする請求項28に記載の方法。
【請求項45】
前記剥離改質剤が、光−熱変換層に配置されることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記剥離改質剤が、前記転写層と光−熱変換層との間の層に配置されることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項47】
前記剥離改質剤が、前記転写層と支持層との間に配置された層の0.1〜90質量パーセントを占めることを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項48】
前記剥離改質剤が、少なくとも4個および80個未満の炭素原子を含む第四級アンモニウム陽イオンを含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項49】
前記剥離改質剤が、ステアルアミドプロピルジメチル−β−ヒドロキシエチルアンモニウム陽イオンを含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項50】
前記剥離改質剤が、少なくとも1個のエステル基および2〜5個のヒドロキシル基を含む非イオン性化合物を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項51】
前記剥離改質剤が、1〜80個の炭素原子と、炭素原子およびリン原子に共有結合した少なくとも1個の酸素原子とを含む陰イオンを含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項52】
前記剥離改質剤が、アミンを含むポリ([エチレン−プロピレン]オキシド)置換アルコール化合物を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項53】
前記剥離改質剤が、4〜100個のエトキシレート基を含有するポリ([エチレン−プロピレン]オキシド)置換アルコール化合物を含むことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項54】
前記支持層および光−熱変換層が、いかなる金属層も含まず、かつ、いかなる金属酸化物層も含まず、
前記光−熱変換層が、20〜300nmの厚さを有し、カーボンブラックおよびグラファイトを含まず、かつ、750〜1200nmの波長で0.2より大きい極大吸光度を有し、
前記光吸収剤が、近赤外染料を含み、
前記剥離改質剤が、光−熱変換層に配置され、かつ、リン化合物を含み、そして
前記転写層が顔料を含む
ことを特徴とする請求項44に記載の方法。
【請求項55】
a.延伸プロセスによって形成された支持層、
b.該支持層の一面に隣接して配置された、光吸収剤を含む光−熱変換層、および
c.延伸プロセス後に、該光−熱変換層に隣接し、該支持層の反対側に配置された該光−熱変換層と受像要素との間に配置された転写層
を含むドナー要素と受像要素との集合体を提供する工程と、
該集合体を光に像様露光させ、それによって像様露光された転写層の少なくとも一部が該受像要素に転写されて画像を形成する工程と、
該ドナー要素を該受像要素から分離し、それによって該受像要素上に画像を現出させる工程と
を含む熱転写プロセスにおいてドナー要素を用いる画像形成方法であって、
延伸プロセスの完了前に、該光−熱変換層が該支持層上にコートされることを特徴とする方法。
【請求項56】
前記光が、650〜1200nmの波長でエネルギー出力最大を有するレーザーによって提供されることを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記光が、650〜800nmの波長でエネルギー出力最大を有するレーザーによって提供されることを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記光が、800〜900nmの波長でエネルギー出力最大を有するレーザーによって提供されることを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項59】
前記光が、900〜1200nmの波長でエネルギー出力最大を有するレーザーによって提供されることを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項60】
前記転写された部分が、転写層の非転写体積(intact volume)を含むことを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項61】
前記転写された部分が、転写層の非転写体積を含み、前記光が650〜1200nmの波長でエネルギー出力最大を有するレーザーによって提供され、前記光−熱変換層が剥離改質剤を含み、前記転写層が顔料を含み、そして該剥離改質剤がリンを含むことを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項62】
画像形成露光中に、前記光−熱変換層によって40〜80%の前記光が伝えられることを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項63】
画像形成露光中に、前記光−熱変換層によって30〜70%の前記光が伝えられることを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項64】
前記光−熱変換層が、ニトロセルロースを含むことを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項65】
前記光−熱変換層が、ポリメチルメタクリレートを含むことを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項66】
前記光−熱変換層が、ポリアルキレンカーボネートを含むことを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項67】
前記光−熱変換層が、スチレン−マレイン酸コポリマーを含むことを特徴とする請求項55に記載の方法。
【請求項68】
前記光−熱変換層が、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、多糖類、ポリ(エチレンオキシド)、ゼラチン、ポリヒドロキシエチルセルロースおよびそれらの組み合わせからなる群から選択されるものを含むことを特徴とする請求項55に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【公表番号】特表2008−516823(P2008−516823A)
【公表日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−538094(P2007−538094)
【出願日】平成17年10月20日(2005.10.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/038011
【国際公開番号】WO2006/045085
【国際公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】