説明

熱電変換モジュール

【課題】薄型で、耐久性、ハンドリング性に優れる熱電変換モジュールを提供する。
【解決手段】ガラス転移温度が300℃以上、引張弾性率が5〜20GPa、線膨張係数が−3〜+8ppm/℃であるポリイミドフィルムを基材とし、マズキングとスパッタ、蒸着法等を組み合わせ、順次、下部金属電極、p型熱電変換素子、n型熱電変換素子、上部金属電極を積み上げで形成し、熱電変換モジュールとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱電変換素子を交互に複数並べ、隣接する熱電変換素子同士を金属電極で電気的に接続されるように接合して成る所謂ペルチエ素子とも呼ばれる熱電変換モジュールに係わり、詳しくは、軽量でハンドリング性に優れ、なおかつ金属電極と熱電変換素子、絶縁基板間に作用する熱応力を緩和して疲労破壊を起こり難くする構造を有する熱電変換モジュール及びこれを用いた熱電変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ペルチェ効果を利用して冷却、加熱を行う熱電変換装置を採用したものが知られている。熱電変換装置は、p型とn型の熱電変換素子(ペルチェ素子)を縦及び横方向に交互に複数並べたうえで、隣接する素子同士を下側と上側の金属電極で電気的に直列接続となるよう相互に接合した熱電モジュールを備えている。この種の熱電モジュールにおいて、電極が形成される絶縁基材としては耐熱性の高いセラミック基板の使用が一般的である。
【0003】
かかる構造の熱電変換モジュールは、セラミック基板を使用しているため重く、また基板が割れやすいが為にハンドリング性に課題を抱えたものである。さらにかかる構造の熱電変換モジュールは各熱電変換素子と各電極、絶縁基板との間における線膨張係数の差に起因して、温度変化に伴い熱電変換素子と電極との接合部とその接合部の周辺部に熱応力が発生し、異種素材間での剥離、接合不良、場合によってはセラミック基板の割れなどのトラブルを生じるなどの課題をかかえている。かかる従来技術については特許文献1〜2に記載がなされている。
かかる課題を解決するために、特許文献3には高分子フィルムを基材に用い、薄膜技術により熱電変換素子を形成した熱電変換モジュールが提案されている。また特許文献4には有機半導体を用いた熱電変換モジュールが提案されている。さらに特許文献5〜6には熱電変換モジュール用基板として好適なポリイミドフィルムに関する提案がなされている。しかしながら、これらの技術を用いても、軽量でハンドリング性に優れ、なおかつ信頼性の高い熱電変換モジュールは実現出来ていないのが現状である
【0004】
【特許文献1】特開平5−41543号公報
【特許文献2】特開2005−57124号公報
【特許文献3】特開2003−133600号公報
【特許文献4】特開2006−114793号公報
【特許文献5】特開2006−169533号公報
【特許文献6】特開2006−169534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来技術の課題を背景になされたものである。すなわち本発明は上記のような状況に鑑みてなされたものであり、小型軽量でハンドリング性に優れ、なおかつ高い信頼性を持つ熱電変換モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは鋭意検討した結果、以下に示す手段により、上記課題を解決できることを
見出し、本発明に到達した。すなわち、本発明は、以下の構成からなる。
1.絶縁基材上の金属電極に、真空薄膜技術、ないし厚膜技術を組み合わせて形成される熱電変換素子を交互に複数並べ、隣接する熱電変換素子同士が金属電極により電気的に接続されるように当該金属電極を前記熱電変換素子に接合して成る熱電変換モジュールにおいて、前記金属電極を形成する絶縁基材が、ガラス転移温度が300℃以上、引張弾性率が5〜20GPa、線膨張係数が−3〜+8ppm/℃の高分子材料であることを特徴とする熱電変換モジュール。
2.高分子材料が、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリイミドフィルムである1.の熱電変換モジュール。
3.高分子材料が、下記の(a)、(b)を反応させて得られるポリイミドフィルムである1.又は2.いずれかに記載の熱電変換モジュール。
(a)ピロメリット酸二無水物を70モル%以上含むテトラカルボン酸二無水物、
(b)パラフェニレンジアミンおよび/またはベンゾオキサゾール骨格を有するジアミンを70モル%以上含むジアミン。
4.高分子材料が、分子内にエーテル結合を有するテトラカルボン酸無水物を1〜30モル%含むテトラカルボン酸二無水物類と、分子内にエーテル結合を有するジアミンを1〜30モル%含むジアミンから得られるポリイミドフィルムである3.に記載の熱電変換モジュール。
5.ポリイミドフィルムに含まれる高温揮発分が1%以下である2.〜4.いずれかに記載の熱電変換モジュール。
6.ポリイミドフィルムのカール度が10%以下である2.〜5.いずれかに記載の熱電変換モジュール。
【発明の効果】
【0007】
本発明において規定される物性を有する高分子材料を絶縁材料に用いることにより、セラミック基板を使用せず、なおかつ、真空薄膜技術、ないし厚膜技術を利用して信頼性の高い熱電変換モジュールを構成可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明を詳述する。
本発明に於ける熱電変換素子とは、p型半導体及びn型半導体(熱電素子材料)からなるブロック、ないしは薄膜、あるいは厚膜である。
かかる熱電素子材料としては、Si、Ge等の半導体素材、さらに、Ga−As、Bi−Te、Mg−Si、Mn−Si、Fe−Si、Si−Ge、Pb−Te等の半導体金属間化合物からなる熱電素子材料、カルコゲナイト系、スクッテルダイト系、フィルドスクッテルダイト系、炭化ホウ素等の熱電素子材料が挙げられる。
薄膜材料としては例えば、p型熱電変換材料としては(BiTe0.25(SbTe0.35、n型熱電変換材料としてはBiTe2.7Se0.3のように、いずれもBiTeをベースとする熱電材料を採用することができる。他にn型熱電材料としてはFeV(Al,Ge)、Fe(V,Mo)Al、(Fe,Pt)VAlなど、またp型熱電材料としてはFe(V,Ti)AlなどFeVAl系材料をもちいることもできる。これらは薄膜材料として好適であるが、前述のブロック、ないし厚膜材料として用いても良い。また厚膜材料としては、以上述べた材料の粉体の焼結体を用いることができる。
なおここに薄膜技術とはスパッタリング、蒸着、イオンビーム蒸着、反応性スパッタリング、反応性蒸着、CVD等の真空薄膜技術を用いて膜形成を行う技術全般を示す。また厚膜技術とは、ペースト状、塗料状に調製した原材料を用いて、スクリーン印刷、ウエットコーティング、グラヴィア印刷などによりウエット状態で塗布し乾燥、硬化、焼成などの手段により膜形成を行う技術全般を示す。
【0009】
本発明に於ける金属電極としては熱電変換材料と何らかの方法で電気的、機械的接合が可能な金属材料であればよい。具体的にはアルミニウム、ニッケル、銅、黄銅、白銅、モネル、洋白、などの銅合金、銅と酸化銅の複合材(Cu/CuO)、マグネシウム(Mg)、鉛(Pb)、錫(Sn)、インジウム(In)、金、銀、白金、鉄、鉄合金、錫銅合金、インバー合金などを用いることができる。
【0010】
本発明に於ける高分子材料とは主として有機高分子材料を意味する。本発明で好ましく用いられる有機高分子材料としてはポリイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンザゾール、芳香族ポリエステル、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンサルファイド、ポリファニレンエーテル、ポリベンゾシクロブテン、ポリアリルエーテル、等の耐熱性有機高分子材料であり、これらの高分子材料が、ガラス転移温度が300℃以上、引張弾性率が5〜20GPa、線膨張係数が−3〜+8ppm/℃であれば特に限定されるものではない。本発明では特にフィルム物性に優れた前記物性を保有するポリイミドフィルム、ポリベンザゾールフィルムを用いることが好ましい。以下ポリイミドフィルムについて詳述するがこれに限定されるものではない。
【0011】
本発明に於けるポリイミドフィルムとは、主鎖にイミド結合を有する耐熱性有機高分子材料である。ポリイミドフィルムは一般的には、テトラカルボン酸無水物とジアミンを溶液中にて重合してポリアミド酸を得、得られたポリアミド酸をフィルム状に成形した後、ポリアミド酸部位を脱水閉環することによりポリイミドフィルムを得る。
本発明では、芳香族テトラカルボン酸二無水物と、芳香族ジアミンとを反応させて得られるポリイミドからのフィルムが好ましく、より好ましくはピロメリット酸二無水物を70mol%以上含むテトラカルボン酸二無水物と、パラフェニレンジアミンおよび/またはベンゾオキサゾール骨格を有する芳香族ジアミンを70mol%以上含むジアミンとを反応させて得られるポリイミドフィルムであり、また分子内にエーテル結合を有するテトラカルボン酸二無水物を1〜30mol%含むテトラカルボン酸二無水物類と、分子内にエーテル結合を有するジアミンを1〜30mol%含む芳香族ジアミンとを反応させて得られるポリイミドフィルムである。
本発明におけるベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類として、下記の化合物が例示できる。
【0012】
【化1】

【0013】
【化2】

【0014】
【化3】

【0015】
【化4】

【0016】
【化5】

【0017】
【化6】

【0018】
【化7】

【0019】
【化8】

【0020】
【化9】

【0021】
【化10】

【0022】
【化11】

【0023】
【化12】

【0024】
【化13】

【0025】
これらの中でも、合成のし易さの観点から、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールの各異性体が好ましい。ここで、「各異性体」とは、アミノ(アミノフェニル)ベンゾオキサゾールが有する2つアミノ基が配位位置に応じて定められる各異性体である(例;上記「化1」〜「化4」に記載の各化合物)。これらのジアミンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明においては、前記ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミンを70モル%以上使用することが好ましい。
【0026】
本発明は、前記事項に限定されず下記の芳香族ジアミンを使用してもよいが、好ましくは全芳香族ジアミンの30モル%未満であれば下記に例示されるベンゾオキサゾール構造を有しないジアミン類を一種又は二種以上、併用してのポリイミドフィルムである。
そのようなジアミン類としては、例えば、4,4’−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、
【0027】
3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、3,3’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、3,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4’−ジアミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノジフェニルメタン、3,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、
【0028】
1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、
【0029】
1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4’−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、
【0030】
2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4’−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、
【0031】
3,3’−ジアミノ−4,4’−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−フェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4,4’−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4,5’−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4’−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4’−ジアミノ−5’−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル及び上記芳香族ジアミンにおける芳香環上の水素原子の一部もしくは全てがハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基又はアルコキシル基、シアノ基、又はアルキル基又はアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基又はアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
【0032】
本発明で用いられる芳香族テトラカルボン酸類は例えば芳香族テトラカルボン酸無水物類である。芳香族テトラカルボン酸無水物類(酸、無水物、アミド結合性誘導体などを示す)としては、好ましくは化14に示すピロメリット酸無水物と化15のビフェニルテトラカルボン酸無水物であり、全カルボン酸の70モル%以上使用することが好ましいが、これに限定されるものではない。その他の芳香族テトラカルボン酸として、具体的には、以下のものが挙げられる。
【0033】
【化14】

【0034】
【化15】

【0035】
【化16】

【0036】
【化17】

【0037】
【化18】

【0038】
【化19】

【0039】
これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
【0040】
本発明においては、全テトラカルボン酸二無水物の30モル%未満好ましくは10モル%未満であれば下記に例示される非芳香族のテトラカルボン酸二無水物類を一種又は二種以上、併用しても構わない。そのようなテトラカルボン酸無水物としては、例えば、ブタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ペンタン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサン−1,2,4,5−テトラカルボン酸二無水物、シクロヘキサ−1−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−メチル−3−エチルシクロヘキサ−1−エン−3−(1,2),5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−エチルシクロヘキサン−1−(1,2),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、
【0041】
ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、1−プロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3,4−テトラカルボン酸二無水物、1,3−ジプロピルシクロヘキサン−1−(2,3),3−(2,3)−テトラカルボン酸二無水物、ジシクロヘキシル−3,4,3’,4’−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ビシクロ[2.2.2]オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。これらのテトラカルボン酸二無水物は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
本発明では、ベンゾオキサゾール骨格を有するジアミン類を70モル%以上、芳香族テトラカルボン酸二無水物を70モル%以上用いることが好ましい。使用量がこの範囲に満たないと、フィルム強度と耐熱性が低下し所望の効果を得ることができなくなる場合が多い。
【0042】
前記芳香族ジアミン類と、芳香族テトラカルボン酸(無水物)類とを重縮合(重合)してポリアミド酸を得るときに用いる溶媒は、原料となるモノマー及び生成するポリアミド酸のいずれをも溶解するものであれば特に限定されないが、極性有機溶媒が好ましく、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホリックアミド、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、スルホラン、ハロゲン化フェノール類等があげられる。 これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。溶媒の使用量は、原料となるモノマーを溶解するのに十分な量であればよく、具体的な使用量としては、モノマーを溶解した溶液に占めるモノマーの質量が、通常5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%となるような量が挙げられる。
【0043】
ポリアミド酸を得るための重合反応(以下、単に「重合反応」ともいう)の条件は従来公知の条件を適用すればよく、具体例として、有機溶媒中、0〜80℃の温度範囲で、10分〜30時間連続して撹拌及び/又は混合することが挙げられる。必要により重合反応を分割したり、温度を上下させてもかまわない。この場合に、両モノマーの添加順序には特に制限はないが、芳香族ジアミン類の溶液中に芳香族テトラカルボン酸無水物類を添加するのが好ましい。重合反応によって得られるポリアミド酸溶液に占めるポリアミド酸の質量は、好ましくは5〜40質量%、より好ましくは10〜30質量%であり、前記溶液の粘度はブルックフィールド粘度計による測定(25℃)で、送液の安定性の点から、好ましくは10〜2000Pa・sであり、より好ましくは100〜1000Pa・sである。
本発明におけるポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)は、特に限定するものではないが3.0dl/g以上が好ましく、4.0dl/g以上がさらに好ましい。
これらの還元粘度とすることで、得られるポリイミドベンゾオキサゾールの300℃でのカール度が10%以下となす制御が容易となる。
【0044】
重合反応中に真空脱泡することは、良質なポリアミド酸の有機溶媒溶液を製造するのに有効である。また、重合反応の前に芳香族ジアミン類に少量の末端封止剤を添加して重合を制御することを行ってもよい。末端封止剤としては、無水マレイン酸等といった炭素−炭素二重結合を有する化合物が挙げられる。無水マレイン酸を使用する場合の使用量は、芳香族ジアミン類1モル当たり好ましくは0.001〜1.0モルである。
【0045】
高温処理によるイミド化方法としては、従来公知のイミド化反応を適宜用いることが可能である。例えば、閉環触媒や脱水剤を含まないポリアミド酸溶液を用いて、加熱処理に供することでイミド化反応を進行させる方法(所謂、熱閉環法)やポリアミド酸溶液に閉環触媒及び脱水剤を含有させておいて、上記閉環触媒及び脱水剤の作用によってイミド化反応を行わせる、化学閉環法を挙げることができる。
【0046】
熱閉環法の加熱最高温度は、100〜500℃が例示され、好ましくは200〜480℃である。加熱最高温度がこの範囲より低いと充分に閉環されづらくなり、またこの範囲より高いと劣化が進行し、複合体が脆くなりやすくなる。より好ましい態様としては、150〜250℃で3〜20分間処理した後に350〜500℃で3〜20分間処理する2段階熱処理が挙げられる。
【0047】
化学閉環法では、ポリアミド酸溶液をイミド化反応を一部進行させて自己支持性を有する前駆体複合体を形成した後に、加熱によってイミド化を完全に行わせることができる。
この場合、イミド化反応を一部進行させる条件としては、好ましくは100〜200℃による3〜20分間の熱処理であり、イミド化反応を完全に行わせるための条件は、好ましくは200〜400℃による3〜20分間の熱処理である。
【0048】
閉環触媒をポリアミド酸溶液に加えるタイミングは特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。閉環触媒の具体例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミンなどといった脂肪族第3級アミンや、イソキノリン、ピリジン、ベータピコリンなどといった複素環式第3級アミンなどが挙げられ、中でも、複素環式第3級アミンから選ばれる少なくとも一種のアミンが好ましい。ポリアミド酸1モルに対する閉環触媒の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.5〜8モルである。
脱水剤をポリアミド酸溶液に加えるタイミングも特に限定はなく、ポリアミド酸を得るための重合反応を行う前に予め加えておいてもよい。脱水剤の具体例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸などといった脂肪族カルボン酸無水物や、無水安息香酸などといった芳香族カルボン酸無水物などが挙げられ、中でも、無水酢酸、無水安息香酸あるいはそれらの混合物が好ましい。また、ポリアミド酸1モルに対する脱水剤の使用量は特に限定はないが、好ましくは0.1〜4モルである。脱水剤を用いる場合には、アセチルアセトンなどといったゲル化遅延剤を併用してもよい。
【0049】
本発明のポリイミドフィルムの厚さは特に限定されないが、通常4.8〜80μm、好ましくは9〜45μm、さらに好ましくは15〜30μmである。この厚さはポリアミド酸溶液などのフィルム原料液を支持体に塗布する際の塗布量や、ポリアミド酸溶液などののフィルム原料液における原料濃度によって容易に制御し得る。また、電気的接続に用いられるワイヤ径との関係から、厚さは4.8μm以上であることが好ましく9μm以上がなお好ましく15μm以上がなおさらに好ましい。厚さ上限は特に制限されないが、パッケージ全体を薄くすることが要求されることから。80μm以下が好ましく、45μm以下がなお好ましく、30μm以下がなおさらに好ましい。
本発明の(ポリイミド)フィルムには、滑剤を(ポリイミド)フィルム中に添加含有せしめるなどしてフィルム表面に微細な凹凸を付与しフィルムの滑り性を改善することが好ましい。
滑剤としては、無機や有機の0.03〜3μm程度の平均粒子径を有する微粒子が使用でき、具体例として、酸化チタン、アルミナ、シリカ、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、燐酸水素カルシウム、ピロ燐酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、粘土鉱物などが挙げられる。
本発明のポリイミドフィルムは、無延伸フィルムであっても延伸フィルムであってもよく、ここで無延伸フィルムとは、テンター延伸、ロール延伸、インフレーション延伸などによってフィルムの面拡張方向に機械的な外力を意図的に加えずに得られるフィルムをいう。
【0050】
本発明における高分子材料(ポリイミドフィルム)の引張弾性率が5GPa以上20GPa以下であり、引張弾性率がこの範囲に満たないと、バーンインや温度サイクル試験時にも半導体チップ上の機能素子にストレスを加えることなく安定した動作を保証することが出来なくなり、また薄葉化されたウエハから得られるチップの補強効果が発揮出来ない。
引張弾性率がこの範囲を超えると、逆に半導体チップにストレスがかかりやすくなる場合が多くなる。本発明における引張弾性率とは、引張試験に於ける応力−歪み曲線より得られる初期弾性率と定義する。
本発明における線膨張係数とは単位温度あたりの材料の面方向での伸縮率を意味し、縦方向と横方向の線膨張係数の平均値を意味するものである。線膨張係数は後述の方法で測定される。本発明においては高分子材料の線膨張係数が−3〜8ppm/℃であることが好ましく、−1〜6ppmがなお好ましく1〜5ppmであることがなおさらに好ましい。線膨張係数がこの範囲を逸脱すると積層されたチップ、並びにチップと熱電変換モジュール界面に余分な応力が加わり、界面剥離ややチップストレスの原因となり易く、また半導体チップや熱電変換モジュールが高熱を受けた場合や過熱冷却を受けた場合に、半導体チップのウエハと熱電変換モジュールとしての本発明の高分子材料(ポリイミドフィルム)との線膨張係数の乖離が大きくなり、半導体チップにストレスがかかりやすくなり半導体チップ、熱電変換モジュールとしての信頼性の低下につながる。
本発明における高分子材料(ポリイミドフィルム)のガラス転移温度は、熱電変換モジュールとしての耐熱性の観点から、300℃以上であることが必須であり、より好ましくは330℃以上、なお好ましくは370℃以上なおさらに好ましくは400℃以上である。
なお、本発明に於けるガラス転移温度とは、固体粘弾性測定(レオメトリックス社製、RSA−II、周波数:10Hz)にて観測されるtanδピーク温度である。
【0051】
本発明におけるもう一つの好ましいポリイミド(フィルム)として、分子内にエーテル結合を有するテトラカルボン酸無水物を1〜30モル%含むテトラカルボン酸二無水物類と、分子内にエーテル結合を有するジアミンを1〜30モル%含むジアミンから得られるポリイミドフィルムが挙げられる、この場合の残部のテトラカルボン酸無水物とジアミンとは前記したところのピロメリット酸二無水物を70mol%以上含むテトラカルボン酸二無水物と、パラフェニレンジアミンおよび/またはベンゾオキサゾール骨格を有する芳香族ジアミンを70mol%以上含むジアミンとを反応させて得られるポリイミド(フィルム)である。
分子内にエーテル結合を有するテトラカルボン酸無水物とは、ベンゼン核2個を酸素原子が橋架けした骨格、ベンゼン核3個を酸素原子がそれぞれのベンゼン核を橋架けした骨格、などを有するもののそれぞれの末端ベンゼン核に2個のカルボン酸基が結合したものが挙げられ、例えば下記式化20で示す構造を分子内に有するテトラカルボン酸の無水物を示し、好ましくは4,4’−オキシジフタル酸である。本発明においてはかかるテトラカルボン酸無水物をテトラカルボン酸成分全体の1〜30モル%使用することが好ましい。
かかる成分を1〜30モル%の範囲で加えることにより、ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張強度を大きく損なうことなく、ポリイミドフィルムの接着性を改善することができる。
【0052】
【化20】

また本発明に於ける分子内にエーテル結合を有するジアミンとは、ベンゼン核2個を酸素原子が橋架けした骨格、ベンゼン核3個を酸素原子がそれぞれのベンゼン核を橋架けした骨格、などを有するもののそれぞれの末端ベンゼン核にアミノ基が結合したものが挙げられ、
【0053】
【化21】

【0054】
例えば化21なる構造を分子内に有するジアミンを示し、好ましくは分子内に二個のエーテル結合を有する、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、TPEQ:1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、APB:1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼンである。本発明においてはかかるジアミンをジアミン成分全体の1〜30モル%使用することが好ましい。かかる成分を1〜30モル%の範囲で加えることにより、ポリイミドフィルムの引張弾性率、引張強度を大きく損なうことなく、ポリイミドフィルムの接着性を改善することができる。
【0055】
本発明の熱電変換モジュールにおいて好ましい態様であるポリイミドフィルムを主材として使用する場合のさらに好ましい態様として、当該高分子材料であるポリイミドフィルムは、そのカール度が10%以下であるものを用いることである。
本発明におけるカール度とは、フィルムに所定の熱処理を行った後のフィルムの面方向に対する厚さ方向への変形度合を意味し、具体的には、図1に示すように、50mm×50mmの試験片を、400℃で10分間熱風処理した後に、平面上に試験片を凹状となるように静置し、四隅の平面からの距離(h1、h2、h3、h4:単位mm)の平均値をカール量(mm)とし、試験片の各頂点から中心までの距離(35.36mm)に対するカール量の百分率(%)で表される値である。
試料片は、フィルムの全長に対して5分の1の長さピッチで幅方向に2点(幅長の1/3と2/3の点)を試験片の中心点として計10点をサンプリングし、測定値は10点の平均値とする。
但し、10点のサンプリングをするに十分なフィルムがない場合は、可能な限り等間隔でサンプリングする。
具体的には、次式によって算出される。
カール量(mm)=(h1+h2+h3+h4)/4
カール度(%)=100×(カール量)/35.36
本発明におけるカール度は10%以下であることが好ましく、7%以下がなお好ましく4%以下がなおさらに好ましい。カール度が所定の範囲を超えると、熱電変換素子の実装の際に熱電変換モジュールの変形が生じ、アライメントが狂って接続不良を生じる場合がある。
【0056】
また本発明における、熱電変換モジュールとしての高分子材料における好ましい一態様として使用されるポリイミドフィルムの高温揮発分は、1.0%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5%以下、さらに好ましくは0.2%以下であり、少なければ少ないほど好ましいが、製造の容易性、コスト等を考慮すれば、実質的に不具合が生じない程度にすればよく、その下限としては、具体的には0.01%である。
本発明における、「高温揮発分」の測定は、下記のようにして実施した。
キューリーポイント型熱分解装置を用いて、GCMS法より、ポリマー分解物量を求めた。あらかじめ加熱乾燥処理した日本分析工業製500℃用パイロホイルに、試料(目安4mg)を精秤し(秤量値をA(mg)とする。)、熱分解装置内保温温度を170℃にセットして、試料ホイルを導入、3分間ヘリウムパージした。その後、直ちに発振操作により500℃で10秒間加熱した。その500℃での10秒間の加熱中にフィルムから揮発する残溶媒やポリマー分解物を、GCMSで検出した。この全イオン(TIC)ピーク面積を求め、アニリン換算による絶対検量線法によりポリマー分解物量B(μg)を求めた。ポリイミドフィルムに対する高温揮発分は次式により算出した。
ポリマー分解物量(ppm)=B(μg)/A(mg)×1000
(熱分解GCMS条件)
装置 : HP5973N(HP社製GCMS)
JHS−3(日本分析工業社製熱分解装置)
カラム : HP−1(アジレントテクノロジー社製)、φ0.25mm×25m、膜厚1μm
カラム温度 : 40℃/2分保持 ⇒ 10℃/分で260℃まで昇温 ⇒ 260℃/5分保持
流量 : He 0.7ml/min、スプリット導入
質量操作範囲 : m/z=30〜550
【0057】
本発明における高温揮発分(ポリマー由来の分解物や残溶媒など)は、上記測定条件に即して、主としてかかる雰囲気下でポリイミドフィルムから分解・揮発するものと考えられ、分子量が50以上200以下、かつ分子骨格に1個以上の窒素原子を有する、ポリマー由来の分解物や残溶媒である。かかるポリマー由来の分解物は、下記化合物が代表的具体例であり、これらの少なくとも1つを含むものである。
アニリン、ベンゾニトリル、1−メチル−2,5−ピロリジンジオン、メチルイソシアノベンゼン、1,2−ベンゾジニトリル、ジメチルベンズアミド、2−メチルイソインドール−1,3−ジオン、4−シアノフェニルグリオキザール−1−オキシム。
【0058】
本発明において前記ポリイミドフィルムに含まれるポリマー分解物の量を所定の範囲内に納めるには、さらにポリイミドフィルムの熱処理後に、熱処理炉から出てきたフィルムを直ちに巻き取らず、フィルム両面をフリーの状態にして5分以上、好ましくは7分以上、さらに好ましくは10分以上、なお好ましくは16分以上、大気中ないし不活性気体中に保持した後に巻き取ることが好ましい。両面フリーの状態とは大気ないし不活性気体にフィルムが直接触れている状態を意味する。もちろん、その間には、複数のロール等を用いてフィルムを搬送することができる。フィルムに含まれる低分子量物質が拡散によりフィルム外に排出されるに十分な時間を確保する意味合いである保持時間が短いとポリマー由来の分解物、溶媒、反応副生成物などの低分子量物質の残存量が多くなる場合がある。また時間が長すぎる場合には、フィルムハンドリンが困難となり生産性が低下する場合がある。
【0059】
また、本発明においては、ポリイミドフィルムの表面に、大気中ないし不活性気体中において超音波、好ましくは30〜250kHzの広帯域超音波をかけ、さらにフィルムないし接着シート表面近傍の大気ないし不活性気体を流速0.5m/秒以上、好ましくは3m/秒以上、なお好ましくは15m/秒以上、なおさらに好ましくは30m/秒の流速において更新させることが好ましい。かかる処理はポリイミドフィルムに行う場合には熱処理炉からでた直後から、5分以内、好ましくは7分以内、なお好ましくは15分以内に行うことが好ましい。かかる処理は熱処理炉内においてフィルム近傍に存在した、ポリマー由来分解物を含む低分子物質が冷却凝縮によりフィルム表面に付着することを防止する物である。
かかる高温揮発成分が多いと、熱電変換素子が発熱した際に金属電極が基材フィルムから剥離する場合がある。
【0060】
本発明では、好ましい態様として、以上述べてきた有機高分子材料特にポリイミドフィルムを絶縁基材に用い、かかる絶縁基材に、金属箔を直接形成、ないし接着剤でラミネートしてから不要部分をエッチングで除去するサブトラクティブ法、あるいは必要部分だけ厚付けするフルアディティブ法、セミアディティブ法を用いることができる。直接形成する場合にはスパッタリング、蒸着などの真空薄膜法、ないし無電解メッキ、電気メッキなどを用いることで金属電極を形成することができる。
本発明において金属箔を高分子材料にラミネートするためには接着剤が必要である。接着剤には熱可塑性接着剤、熱硬化性接着剤のいずれを用いることも可能である。熱可塑接着剤としては、熱可塑性のポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド、全芳香族ポリエステルなどを用いることが出来る。本発明では耐熱性の観点ならびに半導体チップに熱電変換モジュールを接着する際に低圧力で接着しやすいとの観点より熱硬化性接着剤を使用することが好ましく、それらの中でも接着剤硬化物の引張弾性率が0.8〜8GPaであるものが好ましい。
【0061】
本発明では有機高分子材料、好ましくはポリイミドフィルムの両面に接着剤樹脂成分を配した、所謂両面接着フィルム的な形態とすることが好ましい。
本発明で用いられる熱硬化性接着剤としては、熱硬化性であって耐熱性、接着性に優れたものであれば特に限定されるものではない。本発明では硬化物の引張弾性率が0.8〜8GPaである接着剤層を用いることが好ましい。接着剤の引張弾性率がこの範囲より高いと線膨張係数の離れた基材フィルムと金属箔の応力歪みを接着剤層で緩和吸収することが出来なくなり、結果として半導体と金属箔層との接続信頼性が発現されなくなるので好ましくない。また、引張弾性率がこの範囲を下回ると、ボンディングの際に接着剤層が変形し、ボンディングアライメントが狂って接続不良となる場合がある。
【0062】
本発明に用いられる熱硬化性接着剤としてはエポキシ系、ウレタン系、アクリル系、シリコーン系、ポリエステル系、イミド系、ポリアミドイミド系等を用いることができ、またさらに詳しくは、例えば、主としてポリアミド樹脂等のフレキシブルな樹脂とフェノール等の硬質の材料とを主成分として、エポキシ樹脂、イミダゾール類等を含むものが例示される。さらに具体的には、ダイマー酸ベースのポリアミドイミド樹脂、常温固体のフェノール、常温液状のエポキシ等を適度に混合したもの等を例示できる、適度な軟らかさ、硬さ、接着性等を有し、半硬化状態を容易にコントロールできる。また、ポリアミドイミド樹脂としては重量平均分子量が5000〜100000のものが好適である。さらに、ポリアミドイミド樹脂原料のカルボン酸とアミンとによりアミドイミド樹脂の凝集力も変化するため、適宜フェノールやエポキシ樹脂の分子量、軟化点等を選択することが好ましい。また、ポリアミドイミド樹脂の代わりにポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、アクリロニトリルブタジエン樹脂、ポリイミド樹脂、ブチラール樹脂等が使用できる。さらにこれらのシリコーン変性された材料なども耐久性の観点から好ましい。
【0063】
また、フェノール樹脂やエポキシ樹脂だけでなく、マレイミド樹脂、レゾール樹脂、トリアジン樹脂等も使用できる。またニトリルブタジエンゴムなどを配合、共重合する事も可能である。
本発明の熱硬化性接着剤は硬化状態を半硬化状態にコントロールされるが、硬化状態をコントロールする方法としては、例えば、接着剤を基材上に塗布、乾燥させる際の温風による加熱、遠/近赤外線による加熱、電子線の照射などが挙げられる。加熱によるコントロールでは、100〜200℃で、1〜60分加熱することが好ましく、130〜160℃で、5〜10分加熱することがさらに好ましい。また、FPC、ないしTAB用テープをロール状に巻回した状態で、例えば40〜90℃程度の比較的低温で数時間〜数百時間熱処理することにより硬化状態をコントロールすることもできる。なお、硬化状態をコントロールする際の条件は、接着剤の組成や硬化機構、硬化速度を考慮して決定することが好ましい。このようにして、硬化状態をコントロールすることにより、半硬化状態の接着剤を得ることが可能となる。本発明の熱硬化性接着剤は、いったん半硬化状態とされた状態で用いることができる。
なお、接着剤を塗布する前にフィルム表面をプラズマ処理、コロナ処理、アルカリ処理することは、接着力を高めるために好ましい方法である。かかるプラズマ処理は真空プラズマ、常圧プラズマいずれを使用することも可能である。
【0064】
上記の有機高分子材料好ましくはポリイミドフィルムと熱硬化性接着剤を用いて両面接着フィルムを製造する方法は特に制限はなく、例えば、該熱硬化性樹脂組成物を有機溶媒に溶解させた樹脂溶液を耐熱性樹脂層の両面に塗布した後、加熱して溶媒を揮発させフィルム化する方法や、あるいは、予めフィルム化しておいた熱硬化性樹脂層を耐熱性樹脂層の両面にラミネートするといった方法等が挙げられる。
接着剤層の厚さは、基材となるフィルムの厚さ未満であることが好ましく、絶対値としては好ましくは25μm以下、さらに好ましくは18μm以下、なお好ましくは11μm以下、なおさらに好ましくは6.5μm以下である。なお接着剤層の厚さの下限値は1.2μm程度である。
【0065】
本発明ではこのようにして形成した金属層を加工して金属電極を形成し、その上に薄膜技術ないし厚膜技術とマスキング、印刷法、光パターン形成法等を組み合わせて熱電変換素子を形成配置し、さらに必要に応じて絶縁層、金属電極層を形成し、熱電変換モジュールとする。
図2に従来の熱電変換モジュールの一例の模式図を示す。
基材1には金属電極が形成されている。かかる金属電極の上にp型熱電変換素子3、n型熱電変換素子4、が交互に実装されている。
もう一方の金属電極6が形成された基材5が位置合わせされて熱電変換素子を挟み込むように配置され、同様に金属電極と熱電変換素子が接合される。このよにして構成された熱電変換モジュールには、必要に応じて放熱板、ないし吸熱板として作用する金属プレート7、金属プレート8が配置される。
図3に本発明の熱電変換モジュールの一例を示す。
本例では、フィルム1にまず定法により金属電極が形成され、その上に積み重ねるように薄膜技術ないし厚膜技術によりp型熱電変換素子3、n型熱電変換素子4、が交互に形成され、最上部に金属電極6が形成され、さらに必要に応じて必要に応じて金属電極6が形成された基材フィルム7が配置される。かかるモジュールには必要に応じてさらに放熱板、ないし吸熱板として作用する金属プレートが配置される。
図4に本発明の熱電変換モジュールの一例を示す。
本例では、フィルム1にまず定法により金属電極が形成され、その上に積み重ねるように薄膜技術ないし厚膜技術によりp型熱電変換素子3、n型熱電変換素子4、が交互に形成され、絶縁層8を挟んで最上部に金属電極5が形成され、熱電変換モジュールとなる。さらに必要に応じて必要に応じて放熱板、ないし吸熱板として作用する金属プレートが配置される。
【実施例】
【0066】
以下、本発明を、実施例によりさら詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の各物性値は以下の方法により測定した。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチル−2−ピロリドンに溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。
【0067】
2.フィルム厚さ
フィルムの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1254D)を用いて測定した。
3.フィルムの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度
測定対象のフィルムを、流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞれ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(商品名)、機種名AG−5000A)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度を測定した。
【0068】
4.フィルムの線膨張係数(CTE)
下記条件で伸縮率を測定し、30〜300℃までを15℃間隔で分割し、各分割範囲の伸縮率/温度の平均値より求めた。MD方向、TD方向のことわりがない場合は、MD方向、TD方向の平均値である。
装置名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
【0069】
実施例などで使用する化合物の略称を下記する。
PMDA :ピロメリット酸二無水物
BPDA :3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
ODPA :4,4’−オキシジフタル酸
DAMBO:5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール
ODA :4,4’−ジアミノジフェニルエーテル
PDA :パラフェニレンジアミン
BAPB :1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン
DMF :ジメチルホルムアミド
DMAC :ジメチルアセトアミド
また、略称GFはポリイミド前駆体フィルム(グリーンフィルム)を、略称IFはポリイミドフィルムを示す。
【0070】
<重合およびフィルムの製造>
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後,5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(DAMBO)320質量部を仕込んだ。次いで,N,N−ジメチルアセトアミド4400質量部を加えて完全に溶解させた後,ピロメリット酸二無水物327質量部を加え,25℃の反応温度で17時間攪拌すると,褐色で粘調なポリアミド酸溶液が得られた。このもののηsp/Cは3.9であった。
続いてこのポリアミド酸溶液をステンレスベルトに、スキージ/ベルト間のギャップを1350μmとしてコーティングし、110℃にて25分間乾燥した。乾燥後に自己支持性となったポリアミド酸フィルムをステンレスベルトから剥離し厚さ95μmのグリーンフィルムを得た。このときのグリーンフィルムの残溶媒量は31%であった。
得られた各グリーンフィルムを、ピンテンターのピンにフィルム両端が均一に突き刺さるようにして両端を把持した状態で連続式の熱処理炉に通し、第1段が150℃で4分、第2段が210℃で4分、第3段として495℃で8分の条件で3段階の加熱を施して、イミド化反応を進行させた。熱処理炉から出たフィルムは約4分間かけてほぼ室温まで冷却され、さらにクリーン度1000以下に調整された大気中を7分間搬送された。さらにその後に、フィルム幅方向はフィルム幅+40mm、フィルム進行方向には50mmの区間にて30〜150kHzの広帯域超音波を照射し、同エリアの境界において流速30m/秒となるように気流制御してフィルム表面近傍の大気を更新した。フィルムはさらに2分間の搬送後に、イオン式除電器にて表面電位が0.3kV以下となるように除電され、静電気除去能を有する6インチのプラスチック製コアにロール状に巻き取り、褐色を呈する各IF(ポリイミドフィルム)であるフィルムAを得た。得られたポリイミドフィルムの特性値を評価した。結果を表1に示す。
以下、同様にして表1に示す原料を使用して同様に操作し、表1に示すポリイミドフィルムを得た。
【0071】
【表1】

【0072】
<実施例1〜4、比較例1〜3>
上記で得られた各フィルムを50cm幅のロールサイズにスリットし、ロールからの巻き出し/巻き取り部を有する連続式の真空装置にて以下の条件でプラズマ処理した
プラズマ処理条件は酸素ガス中で、周波数13.56MHz、出力150W、ガス圧0.7Paの条件であり、処理時の温度は25℃、処理時間は5分間であった。次いで、周波数13.56MHz、出力500W、ガス圧0.7Paの条件、ニッケル−クロム(15質量%)合金のターゲットを用い、アルゴン雰囲気下にてRFスパッタ法により、10Å/秒のレートで厚さ120Åのニッケル−クロム合金被膜(下地層)を形成し、次いで、150Å/秒のレートで銅を蒸着し、厚さ0.25μmの銅薄膜を形成させて真空中にて巻き取った。得られた片面金属化フィルムを再度同じ装置に仕込み、裏面に同様に金属薄膜を形成し、両面金属化フィルムとした。
【0073】
得られた両面金属薄膜付きフィルムをロールトゥロール方式の縦型の連続式電気めっき装置を用い、硫酸銅めっき浴をもちいて、厚さ20μmの厚付け銅めっき層(厚付け層)を形成し、目的とする金属化ポリイミドフィルムを得た。得られた金属化ポリイミドフィルムを、幅250mm、長さ400mmに裁断し、所定位置に両面スルーホール用の孔明けを行い、無電解メッキ後に最大厚さ35μmとなるように両面スルーホールめっきを行い、その後、ドライフィルムをラミネートし所定のパターンで露光、現像後に、HClと過酸化水素を含む塩化第二銅のエッチングラインで、40℃、2kgf/cmのスプレー圧でエッチングし、片面に金属電極パターン、裏面には放熱吸熱板接続用のベタ電極を有する熱電変換モジュール用基板を作製した。
【0074】
得られた熱電変換モジュール用基板にビスマス−テルル系材料からなるp型熱電変換素子、n型熱電変換素子をマスキングとスパッタリング法を併用して所定の位置に順次形成し、絶縁材料としてマスキングと蒸着によりシリカ薄膜を形成し、最後に上部の金属電極として銅を全面にスパッタリングし、電気メッキにて25μmまで厚付けした後に所定部分を残してエッチングし、図4に示す熱電変換モジュールを得た。なお電気メッキにはビルドアッププリント配線板のヴィアホール形成に用いられるヴィアフィリングめっき用の電気メッキ浴を用い、最表面が極力平坦になるよう調整されている。得られた熱電変換モジュールの耐久性評価として、熱電変換モジュールに通電し、極性を5分サイクルで入れ替えることにより、加熱、冷却を1000サイクル繰り返し、異常の有無を検査した。またハンドリング性評価として、得られた熱電変換モジュールを、特に梱包せずに金属製ラックに入れ、振動試験器にて1時間ラックを振動させ、その後に熱電変換モジュールの異常の有無を検査した。さらに密閉容器に水を入れ、121℃、2気圧に加熱するPCT試験を96時間行い試験後の異常の有無を検査した。各々の試験を、各100個の試作品について行った。試験後の不良率を表2に示す。
以下同様に各フィルムを基材として熱電変換モジュールを構成し、評価した。また比較例3では、従来のアルミナセラミック基板を用いた。結果を表2に示す。ポリイミドフィルムEを用いた場合には熱電変換素子層を形成する際に真空装置内で電極金属層の剥離が生じ、モジュールを構成することができなかったため、以後の評価は行っていない。
【0075】
<実施例5、6>
得られたポリイミドフィルムを用い、金属電極形成には熱硬化型銀ペーストのスクリーン印刷、絶縁層形成には熱硬化型エポキシ系ソルダーレジストインク、熱電変換素子層としてはビスマス−テルル系熱電変換材料の粉体をフィラーに、溶剤可溶型共重合ポリエステル樹脂バイロンRV630(東洋紡績株式会社製)とエポキシ樹脂をマトリクスに用いたペースト材料のスクリーン印刷法を用いて、図3に図示する構成の熱電変換モジュールを形成した。以下、実施例1と同様に評価した結果を表2に示す。
【0076】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0077】
以上述べてきたように、本発明の熱電変換モジュールは薄型で軽量で耐久性に優れ、なおかつハンドリング性に優れ、温度センサー、小型の冷蔵庫、あるいは発熱を伴う電子機器、半導体装置などの冷却などに有用に利用できる物である。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】フィルムのカール度を測定する方法の模式図
【図2】従来の熱電変換モジュールの一例を示す概略図
【図3】本発明の熱電変換モジュールの一例を示す概略図
【図4】本発明の熱電変換モジュールの一例を示す概略図
【符号の説明】
【0079】
図1において
1.ポリイミドフィルムの試験片
2.アルミナ・セラミック板
図2において
1.基材
2.電極
3.p型熱電変換素子
4.n型熱電変換素子
5.基材
6.電極
7.金属プレート
8.金属プレート
図3、図4において
1.フィルム
2.電極
3.p型熱電変換素子
4.n型熱電変換素子
5.電極
6.電極
7.フィルム
8.絶縁層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基材上の金属電極に、真空薄膜技術、ないし厚膜技術を組み合わせて形成される熱電変換素子を交互に複数並べ、隣接する熱電変換素子同士が金属電極により電気的に接続されるように当該金属電極を前記熱電変換素子に接合して成る熱電変換モジュールにおいて、前記金属電極を形成する絶縁基材が、ガラス転移温度が300℃以上、引張弾性率が5〜20GPa、線膨張係数が−3〜+8ppm/℃の高分子材料であることを特徴とする熱電変換モジュール。
【請求項2】
高分子材料が、テトラカルボン酸二無水物とジアミンとを反応させて得られるポリイミドフィルムである請求項1記載の熱電変換モジュール。
【請求項3】
高分子材料が、下記の(a)、(b)を反応させて得られるポリイミドフィルムである請求項1又は2いずれかに記載の熱電変換モジュール。
(a)ピロメリット酸二無水物を70モル%以上含むテトラカルボン酸二無水物、
(b)パラフェニレンジアミンおよび/またはベンゾオキサゾール骨格を有するジアミンを70モル%以上含むジアミン。
【請求項4】
高分子材料が、分子内にエーテル結合を有するテトラカルボン酸無水物を1〜30モル%含むテトラカルボン酸二無水物類と、分子内にエーテル結合を有するジアミンを1〜30モル%含むジアミンから得られるポリイミドフィルムである請求項3に記載の熱電変換モジュール。
【請求項5】
ポリイミドフィルムに含まれる高温揮発分(残sol、残分解物)が1%以下である請求項2〜4いずれかに記載の熱電変換モジュール。
【請求項6】
ポリイミドフィルムのカール度が10%以下である請求項2〜5いずれかに記載の熱電変換モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−182092(P2008−182092A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−14963(P2007−14963)
【出願日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】