説明

熱電式ガスセンサ

【課題】高温側部と低温側部との分離が良好にでき、ノイズが少なくて精度がよく、要求される広範囲の濃度測定が可能な熱電式ガスセンサの提供を課題とする。
【解決手段】被検出ガス成分と触媒材60との触媒反応によって発生した熱を、熱電素子40による熱電変換効果により電気信号に変換し、この電気信号を検出信号として被検出ガスのガス濃度を検出するようにした熱電式ガスセンサであって、相互に空間的に隔離された2つのメンブレン10、20の一方に前記熱電素子40の低温側部を設けると共に、他方のメンブレン20には前記触媒材60と前記熱電素子40の高温側部とを設けることで、熱電素子40を2つの隔離されたメンブレン10、20間にブリッジさせて配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱電式ガスセンサに関し、より詳しくは、ガスと触媒材との発熱反応による熱を熱電材料の熱電変換効果により電気信号に変換し、その信号を検出するようにした熱電式ガスセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
水素をクリーンエネルギーとして利用する燃料電池技術が急速に進展し、関連技術の一層の発展が求められている。特に水素を利用する燃料電池技術分野では、水素を安全に利用するための技術が求められており、燃料電池自動車や水素供給スタンド等における水素ガス漏れ検知技術として、水素ガス爆発下限濃度の4%までを精度よく計測できる水素センサが必要とされている。ちなみに、水素ガス検知濃度範囲の国際要求値は100ppm〜4%である。
【0003】
現在実用化されている水素ガスセンサのガス検知方式として、接触燃焼式と半導体式とがある。接触燃焼式センサは、接触燃焼の発熱による僅かなヒータの抵抗変化を信号とするため、低濃度での感度が悪く、1000ppmから数%までの検知濃度範囲でしか利用できない。一方、半導体式センサは、表面が可燃性ガスによって還元されることで抵抗が変化することを利用するタイプである。が、あるガス濃度以上では飽和するために抵抗変化が生じず、通常5000ppm未満の検知濃度範囲で利用される。半導体式センサと接触燃焼式センサとは、それぞれ1個では要求される濃度範囲(100ppm〜4%)をカバーできないため、現状は、これら2種類のセンサを組み合わせて使用している。
これに対して、未だ実用化には至っていないが、要求される水素ガスの検知濃度範囲である100ppm〜4%を満足できるガス検知方式として熱電式ガスセンサ、より具体的にはマイクロ熱電式ガスセンサが注目されている。この熱電式ガスセンサの検知方式は、水素ガス等の可燃性ガスと触媒材との発熱反応により発生する熱を熱電材料の熱電変換効果により電気信号に変換し、この電気信号を検出信号として検出するセンサである。
熱電式センサに係る先行技術として、特開2005−300522号公報には、マイクロ素子化された熱電式ガスセンサが開示されている。
【特許文献1】特開2005−300522号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に開示されるような熱電式ガスセンサの場合、センサ感度を大きくするために熱電材料の高温側部と低温側部との温度差を大きくする必要がある。上記特許文献1の先行技術では、熱電材料の断面積を小さくする等により、高温部から低温部へ熱が伝わり難いようにしている。
しかし断面積を小さくすると、電気抵抗が大きくなり、このためノイズが増大して、センサの精度が悪くなるという問題がある。また特許文献1のものでは、高温部(触媒部)と低温部との熱分離が難しいため、これによっても検出精度が上がらないという問題があった。
【0005】
そこで本発明は上記従来技術における問題点を解消し、高温側部と低温側部との分離が良好にでき、ノイズが少なくて精度がよく、要求される広範囲の濃度測定が可能な熱電式ガスセンサの提供を課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、本発明の熱電式ガスセンサは、被検出ガス成分と触媒材との触媒反応によって発生した熱を、熱電素子による熱電変換効果により電気信号に変換し、この電気信号を検出信号として被検出ガスのガス濃度を検出するようにした熱電式ガスセンサであって、相互に空間的に隔離された2つのメンブレンの一方に前記熱電素子の低温側部を設けると共に、他方のメンブレンには前記触媒材と前記熱電素子の高温側部とを設けることで、熱電素子を2つの隔離されたメンブレン間にブリッジさせて配置したことを第1の特徴としている。
【0007】
上記本発明の第1の特徴によれば、熱電素子が空間的に隔離された2つのメンブレン間にブリッジされることで、熱電素子の高温側部と低温側部とが空間を介して十分に熱分離されるため、熱電素子以外による高温側部から低温側部への熱伝導を十分に抑えることができる。
よって熱電素子の高温側部と低温側部での温度差を確実に保持することができるので、精度のよい電気信号を発生させることができ、被検出ガス成分のガス濃度を感度良く検出することが可能となる。
また前記高温側部と低温側部との均温化を効果的に抑制することができるので、低温度差から高温度差までの広範囲にわたって温度差に応じた精度のよい電気信号を発生させることができ、被検出ガス成分の濃度を低濃度から広範囲にわたって精度良く検出することが可能となる。
また熱電素子以外による高温側部から低温側部への熱伝導による熱移動を抑制することができるので、その分だけ熱電素子自体の断面積を大きくすることが可能となり、よって熱電素子自体の電気抵抗値を低くすることができるので、これによってもノイズの少ない、精度のよいセンサを提供することが可能となる。
【0008】
また本発明の熱電式ガスセンサは、上記第1の特徴に加えて、一方のメンブレンに囲まれた中央に、他方のメンブレンが空間的に隔離された中央島として構成されており、p型熱電素子とn型熱電素子とからなる1対の熱電素子の各高温側部を前記中央島である他方のメンブレン上において相互に電極を介して接続して設け、1対の熱電素子の各低温側部を一方のメンブレン上において相互に離れた位置に設けたことを第2の特徴としている。
【0009】
上記本発明の第2の特徴によれば、上記第1の特徴による作用効果に加えて、一方のメンブレンに囲まれた中央に他方のメンブレンが中央島として空間的に隔離された構成とされているで、2つのメンブレンの配置構成を十分に省スペースで且つまとまったものとすることができ、コンパクトな熱電式ガスセンサを提供することができる。
更にp型熱電素子とn型熱電素子とからなる1対の熱電素子を、それらの各高温側部を中央島(他方のメンブレン)上において相互に電極を介して接続し、一方、1対の熱電素子の各低温側部を中央島の周囲にある一方のメンブレン上に相互に離して設けるようにしたので、中央島(他方のメンブレン)を1対の熱電素子の高温側部や触媒材の配置専用の基地として用い、周囲にある一方のメンブレンを1対の熱電素子の低温側部や該低温側部に接続する配線用の基地として、それぞれのメンブレンを役割、機能に応じて区別して特化させることが可能となるので、その分、性能のよい熱電式ガスセンサを提供することが可能となる。
【0010】
また本発明の熱電式ガスセンサは、上記第1又は第2の特徴に加えて、一方のメンブレンは、基板表面に積層された絶縁膜であり、他方のメンブレンは、基板表面には帰属しない独立した絶縁膜片であることを第3の特徴としている。
上記本発明の第3の特徴によれば、上記第1又は第2の特徴による作用効果に加えて、一方のメンブレンは、基板表面に積層された絶縁膜としたので、熱電素子の低温側部を安定した状態で基板上に堅固に配置させることができる。よって熱電素子の高温側部が独立した絶縁膜片(他方のメンブレン)にブリッジして設けられる場合でも、安定したブリッジ状態を保持することができる。このため空間的に隔離された絶縁膜片(他方のメンブレン)を有しながらも、構造的に安定した熱電式ガスセンサを提供することができる。
一方、他方のメンブレンは基板表面には帰属しない絶縁膜片としたので、周囲への熱伝導を十分に抑制することができ、熱電素子の高温側部と低温側部との温度差を十分に保持することができ、良好な熱電情報による精度のよいガス検知を行うことができる。
【0011】
また本発明の熱電式ガスセンサは、上記第1〜第3の何れか1つに記載の特徴に加えて、熱電素子は、BiTe系熱電素子とすることを第4の特徴としている。
上記本発明の第4の特徴によれば、上記第1〜第3の何れか1つに記載の特徴による作用効果に加えて、熱電素子をBiTe系熱電素子とすることで、従来用いられているSiGe系熱電素子に比べて、熱伝導をより抑制することができ、被検出ガス成分の検出をより高感度で行うことができる。
【0012】
また本発明の熱電式ガスセンサは、上記第1〜第4の何れか1つに記載の特徴に加えて、触媒材は水素ガスに対して選択的に触媒反応する触媒材とすることを第5の特徴としている。
上記本発明の第5の特徴によれば、上記第1〜第4の何れか1つに記載の特徴による作用効果に加えて、被検出成分としての水素ガスに対し、その濃度を広範囲にわたって精度良く検出することが可能となる。よって、燃料電池自動車や水素供給スタンド等の水素ガス漏れの検出に好ましく用いることができる。また国際要求値である100ppm〜4%までの水素ガス検知濃度範囲についても良好に検出することが可能となる。
【0013】
また本発明の熱電式ガスセンサは、上記第1〜第5の何れか1つに記載の特徴に加えて、触媒材、熱電素子、電極はリソグラフィーによる薄膜パターンとして形成されることを第6の特徴としている。
上記本発明の第6の特徴によれば、上記第1〜第5の何れか1つに記載の特徴による作用効果に加えて、熱電式ガスセンサの構成材である触媒材、熱電素子、電極をリソグラフによる薄膜パターンとして形成することにより、熱電式ガスセンサをマイクロ素子化することができ、種々の検出器、測定器に組み込むことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の熱電式ガスセンサによれば、被検出ガスと触媒との反応によって生じた熱が、高温側部から低温側部へ熱伝導して平均化するのを十分に抑制することができる。また、これによって熱電素子の断面積を大きくして電気抵抗値を下げることができる。よって熱電素子を用いた熱電式ガスセンサにおいて、被検出ガス成分の濃度を広い範囲で高精度に検出、測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下の図面を参照して、本発明の実施形態に係る熱電式ガスセンサを説明し、本発明の理解に供する。しかし、以下の説明は本発明の実施形態であって、特許請求の範囲に記載の内容を限定するものではない。
【0016】
図1は本発明の実施形態に係る熱電式ガスセンサの要部を示す平面図で、図2は断面図である。
2つメンブレン10、20が1対として相互に空間的に隔離された状態で構成されている。一方のメンブレン10は基板30の表面に積層された状態に構成されている。他方のメンブレン20は、基板30には帰属することなく、空間的に独立したメンブレン片として構成されている。
より具体的には、前記基板30表面に積層された状態に構成される一方のメンブレン10は、他方のメンブレン20の周囲を囲うように配置されており、他方のメンブレン20は、前記一方のメンブレン10に周囲を空間Sで囲まれた中央島として構成されている。
【0017】
前記1対のメンブレン10、20間に熱電素子40がブリッジされた状態に配置されている。
熱電素子40は、p型熱電素子41とn型熱電素子42との1対で用いられている。
そして、p型熱電素子41の高温側部41aとn型熱電素子42の高温側部42aとは、中央島を構成する他方のメンブレン20上に、電極51を介して相互に接続された状態に設けられている。
p型熱電素子41の低温側部41bとn型熱電素子42の低温側部42bとは、一方のメンブレン10上の相互に離れた位置に設けられている。具体的には、p型熱電素子41の低温側部41bとn型熱電素子42の低温側部42bとは、中央島である他方のメンブレン20を挟んで、一方のメンブレン10上の相互に180度離れた反対位置に設けられている。
p型熱電素子41の低温側部41bとn型熱電素子42の低温側部42bとは、それぞれ電極52、53に接続された状態に設けられている。この電極52、53には検出電気信号を取り出す信号線ないし信号線パターンが接続されることになる。
【0018】
前記中央島である他方のメンブレン20上には、前記p型熱電素子41の高温側部41aとn型熱電素子42の高温側部42a、及び電極51を覆うように、触媒材60が設けられている。
触媒材60は、検出対象成分である被検出ガス成分の種類に応じて、その被検出ガス成分と触媒反応を起こして熱を発生させる触媒材を用いることになる。本実施形態では、水素ガス成分と触媒反応を起こして熱を発生させる触媒材を用いている。水素ガス検出用の触媒材60としては、白金系の貴金属合金、アルミナに白金を担持させたセラミックス触媒等の白金と酸化物の複合体、白金系の貴金属合金と酸化物の複合体等を用いることができる。
【0019】
前記熱電素子40としては、本実施形態ではBiTe系熱電素子、即ちBiTe系化合物を用いている。BiTe系化合物はSiGe系合金に比べて、熱伝導率が小さく(1.5×10−5Ω・m)、高温側部から低温側部への熱伝導を抑えることができ、また熱電素子の断面積を大きくすることができるので、検出精度が高く安定したセンサすることができる。勿論、熱電素子40としては、熱電効果(ゼーベック効果)をもつ他の熱電素子を用いることができる。
またp型熱電素子41としては、BiTeを主成分として、これにp型不純物を添加したものを用いることができる。同様にn型熱電素子42は、BiTeを主成分として、これにn型不純物を添加したものを用いることができる。
【0020】
前記電極51、52、53は、金(Au)を用いることができる。しかし、他の電気伝導性のよい材料を用いることもできる。
【0021】
前記基板30はシリコン基板としている。
本実施形態では、前記基板30を用いて、上記したメンブレン10、20、熱電素子40、電極51、52、53、及び触媒材60をリソグラフィーにより薄膜パターンとして形成している。
前記一方のメンブレン10は、基板30上に積層、形成された絶縁膜として構成されている。一方のメンブレン10を構成する絶縁膜は、例えばシリコン窒化膜、シリコン酸化膜、PSG膜、及びそれらを複層に積層した複層の絶縁膜として構成することができる。
他方のメンブレン20も絶縁膜で構成されている。絶縁膜の種類は前記一方のメンブレン10と同じにすることができる。
他方のメンブレン20は独立した絶縁膜片で、最終的には基板30表面には帰属しない。しかし、その作製過程においては、基板30上に積層される。
【0022】
リソグラフィーによるマイクロ素子としての熱電ガスセンサの作製は、概略的には、シリコン基板30上に一方のメンブレン10と他方のメンブレン20とからなる絶縁膜パターンを形成する工程、p型熱電素子41とn型熱電素子42とによる熱電素子薄膜パターンを形成する工程、電極51、52、53の薄膜パターンを、メンブレン10、20上に、熱電素子40(41、42)の高温側部41a、42aを電極51で被覆し、熱電素子40(41、42)の低温側部41b、42bを電極52、53でそれぞれ被覆するようにして形成する工程、触媒材60による薄膜パターンを、他方のメンブレン20上に、熱電素子40(41、42)の高温側部41a、42aと電極51とを被覆するようにして形成する工程、シリコン基板30のうち、一方のメンブレン10が積層されている部分を残して、他方のメンブレン20及び前記隙間S(図1参照)に対応する部分をシリコン基板30の裏側から選択的に除去する工程、を経て行うことができる。
前記熱電素子40をBiTe系熱電素子で構成する場合は、非結晶状態の熱電素子40のパターンを成膜した後、Ar−Hガス雰囲気中、300℃で結晶化熱処理をすることで、BiTe系熱電素子の一部が酸化物になるのを防止して、良好な結晶化を図ることができ、熱電変換効率を上げることができる。また結晶化熱処理の際、一方向加熱を行うことで、結晶の配向性を上げて、感度を向上させることができる。
また必要に応じて、触媒材60を安定した温度に加熱するためのヒータパターンを触媒材60の薄膜パターンの近くに形成することができる。
その他、電極52、53から外部に引き出すリード線パターンを形成しておくことができる。
【0023】
上記のようにマイクロ素子としての熱電ガスセンサは、センサチップとして、例えばチップ径が数mm〜数cm、チップ厚が数百μm〜数mm、メンブレン10、20、熱電素子40、電極51、52、53、触媒材60の各薄膜の厚みが数百nm〜数百μm、といった大きさにすることができる。勿論、チップの大きさや、各薄膜パターンの大きさ、厚みは、種々変更することができる。
【0024】
以上のような構成からなる熱電式ガスセンサにおいて、水素ガスが雰囲気中に含まれると、その水素ガスと触媒材60とが反応して熱が発生する。これによって、p型熱電素子41とn型熱電素子42の各高温側部41a、42aが加熱され、低温側部41b、42bとの間に温度差が生じ、起電力が発生する。このときp型熱電素子41とn型熱電素子42とには逆方向の起電力が生じるので、全体として加算された起電力がp型熱電素子41の低温側部41bとn型熱電素子42の低温側部42bとの間に生じることになる。よってこの加算された起電力が電気信号として、両電極52、53から導出される信号線に検出信号として出力される。この電気信号の各値と水素ガス濃度との関係を予め制御部のコンピュータに記憶させておくことで、直ちにガス濃度を検出して、表示等をすることができる。
【0025】
なお上記において、熱電素子40は必ずしもp型熱電素子41とn型熱電素子42との1対を設ける必要はなく、1つの熱電素子だけを設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明によれば、水素ガスやその他のガスの検出を高精度で安定して行うことができる熱電式ガスセンサを提供することにおいて、センサ分野や測定器分野での産業上の利用性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施形態に係る熱電式ガスセンサの要部を示す平面図である。
【図2】本発明の実施形態に係る熱電式ガスセンサの要部の断面図である。
【符号の説明】
【0028】
10 1方のメンブレン
20 他方のメンブレン
30 基板
40 熱電素子
41 p型熱電素子
41a 高温側部
41b 低温側部
42 n型熱電素子
42a 高温側部
42b 低温側部
51 電極
52 電極
53 電極
60 触媒材
S 空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出ガス成分と触媒材との触媒反応によって発生した熱を、熱電素子による熱電変換効果により電気信号に変換し、この電気信号を検出信号として被検出ガスのガス濃度を検出するようにした熱電式ガスセンサであって、相互に空間的に隔離された2つのメンブレンの一方に前記熱電素子の低温側部を設けると共に、他方のメンブレンには前記触媒材と前記熱電素子の高温側部とを設けることで、熱電素子を2つの隔離されたメンブレン間にブリッジさせて配置したことを特徴とする熱電式ガスセンサ。
【請求項2】
一方のメンブレンに囲まれた中央に、他方のメンブレンが空間的に隔離された中央島として構成されており、p型熱電素子とn型熱電素子とからなる1対の熱電素子の各高温側部を前記中央島である他方のメンブレン上において相互に電極を介して接続して設け、1対の熱電素子の各低温側部を一方のメンブレン上において相互に離れた位置に設けたことを特徴とする請求項1に記載の熱電式ガスセンサ。
【請求項3】
一方のメンブレンは、基板表面に積層された絶縁膜であり、他方のメンブレンは、基板表面には帰属しない独立した絶縁膜片であることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱電式ガスセンサ。
【請求項4】
熱電素子は、BiTe系熱電素子とすることを特徴とする請求項1〜3の何れか1つに記載の熱電式ガスセンサ。
【請求項5】
触媒材は水素ガスに対して選択的に触媒反応する触媒材とすることを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の熱電式ガスセンサ。
【請求項6】
触媒材、熱電素子、電極はリソグラフィーによる薄膜パターンとして形成されることを特徴とする請求項1〜5の何れか1つに記載の熱電式ガスセンサ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−122106(P2010−122106A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296748(P2008−296748)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】