説明

燃料ガス精製設備

【課題】多成分の不純物を含む原料ガスから、燃料として使用する燃料ガスを精製することが可能な燃料ガス精製設備を提供する。
【解決手段】原料ガス2に除去剤を吹き込むことで不純物を固定する不純物固定装置3と、少なくとも不純物固定装置3に固定された不純物を物理的な濾過によって除去する物理的濾過装置6と、物理的濾過装置6により不純物が除去された原料ガス2を流通させて不純物を吸着剤によって吸着除去する吸着除去装置8とを備え、乾式法により、種々の原料から製造された原料ガスに含まれる多種の不純物が除去でき、しかも、多目的に応用できる燃料ガス9を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス温度を露点以下に下げない乾式法により原料ガスから不純物を除去して燃料ガスとする燃料ガス精製設備に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、資源の有効利用や廃棄物の減量化が求められており、バイオマスから製造した原料ガスや廃棄物から製造した原料ガスを燃料ガスとすることが考えられている。多様な燃料ガスには環境に影響を与える不純物が含まれているため、多成分の不純物を除去して品質を高める、いわゆる燃料ガスの精製技術が従来から提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
例えば、特許文献1では、湿式のガス精製を用いて、還元性ガス中の不純物を除去する有機性廃棄物の資源化方法及び資源化装置が提案されている。即ち、特許文献1で開示された技術は、アルカリ洗浄液を用いたスクラバによる水溶性の酸性ガス及びダストの除去、シフト反応装置(触媒反応器)によるCOのHへの変換、湿式脱硫装置によるHSやCOの除去、という工程を備えている。この技術では、廃棄物のガス化装置から、Hを含むアンモニア合成プロセス向けとしてアンモニア合成に適した組成の燃料ガスが得られる。
【0004】
また、特許文献2では、還元性ガス中の不純物を除去するガス精製方法及びガス精製設備が提案されている。即ち、特許文献2で開示された技術は、石炭ガス化ガスに含まれる塩化水素並びにアンモニアを、低温度における塩化アンモニウム精製反応によって固体として除去する技術である。この技術は、石炭ガス化ガスを燃料ガスとして適用できるようにしたものである。
【0005】
一方、大気に放出される排気ガスから環境に影響を与える多成分の不純物を除去する排ガス処理装置としては、例えば、特許文献3、特許文献4が知られている。排ガス処理の分野は、特定の成分が環境に排出されないことが第1の目的であるため、処理後のガスの品質には関知していない。この点において、処理後のガスの品質を向上させることが第一の目的である燃料ガス精製とは技術的な思想が相違する。
【0006】
【特許文献1】特開平10−236801号公報
【特許文献2】特開平11−57402号公報
【特許文献3】特開平8−28856号公報
【特許文献4】特開2004−167388号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
燃料ガスの精製技術の分野においては、特許文献1で提案されているように、不純物を除去してHを含むアンモニア合成プロセス向けとしてアンモニア合成に適した組成の燃料ガスを得ること、即ち、特定の組成の燃料ガスを得る技術が知られている。このため、環境に影響を与える不純物を除去して用途を特定した燃料ガスを得ることはできるが、精製された燃料ガスを、例えば、溶融炭酸塩形燃料電池の燃料ガス、燃焼タービンの燃料ガス、あるいは化学合成用の原料ガスといった種々の用途に用いることができないのが実情であった。
【0008】
ここで、本明細書では、燃料ガスの定義としては、例えば、溶融炭酸塩形燃料電池に適用される電池反応用の燃料ガス、燃焼タービンに適用される燃焼用の燃料ガス、化学合成用の原料ガスの意味を含めて燃料ガスとして説明してある。つまり、燃料ガスとしては燃焼に用いられるものに限らず、各種の化学反応用に用いられる原料ガスについても燃料ガスと称している。
【0009】
また、特許文献2で提案されているように、石炭ガス化ガスを精製して燃料ガスとして適用できるようにすること、即ち、特定の原料ガスから不純物を除去して燃料ガスを得る技術が知られている。このため、環境に影響を与える不純物を除去した燃料ガスを特定の原料ガスから得ることはできるが、バイオマスから製造した原料ガスや廃棄物から製造した原料ガスといった不純物が特定されていない原料ガスを精製して燃料ガスを供給することができないのが実情であった。
【0010】
つまり、不純物が特定されていない種々の原料ガスから多成分の不純物を除去して種々の機器に対する燃料ガスの精製技術は確立されていないのが現状である。
【0011】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、種々の原料から製造された原料ガスに含まれる多種の不純物が除去でき、しかも、多目的に応用できる燃料ガスを得ることができる燃料ガス精製設備を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、ガス温度を露点以下に下げない乾式法により原料ガスから不純物を除去して燃料ガスとする燃料ガス精製設備であって、原料ガスに除去剤を吹き込むことや不純物の相変化を利用することで不純物を固定する不純物固定手段と、少なくとも不純物固定手段によって固定された不純物を物理的な濾過によって除去する物理的濾過手段と、物理的濾過手段により不純物が除去された原料ガスを流通させて不純物を吸着剤によって吸着除去する吸着除去手段とを備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0013】
かかる第1の態様では、種々の原料から製造された原料ガスに含まれる多種の不純物が除去でき、しかも、多目的に応用できる燃料ガスを得ることができる燃料ガス精製設備とすることが可能となる。
【0014】
上記目的を達成するための本発明の第2の態様は、ガス温度を露点以下に下げない乾式法により原料ガスから不純物を除去して燃料ガスとする燃料ガス精製設備であって、原料ガスに除去剤を吹き込むことや不純物の相変化を利用することで不純物を固定する不純物固定手段と、少なくとも不純物固定手段によって固定された不純物を物理的な濾過によって除去する物理的濾過手段と、物理的濾過手段により不純物が除去された原料ガスを流通させて吸着剤によって不純物を吸着除去する吸着除去手段と、吸着除去手段により不純物が除去された原料ガスを触媒により化学変換する触媒変換手段と、触媒変換手段で化学変換された原料ガスを吸収剤と化学反応させて不純物を除去する反応除去手段とを備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0015】
かかる第2の態様では、多種の原料から製造された原料ガスに含まれる広範囲の不純物が除去でき、しかも、多目的に応用できる燃料ガスを得ることができる燃料ガス精製設備とすることが可能となる。
【0016】
本発明の第3の態様は、第1または2の態様において、不純物固定手段では、除去剤として吸着剤もしくは吸収剤が吹き込まれるか、あるいはガス温度を不純物の凝縮温度以下に低下させることに伴う相変化によって、酸性ガス、塩基性ガス、重金属類、有機塩素化合物、軽金属、炭化水素類の少なくとも一つが固定されることを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0017】
かかる第3の態様では、不純物固定手段で、酸性ガス、塩基性ガス、重金属類、有機塩素化合物、軽金属、炭化水素類の少なくとも一つを固定することができる。
【0018】
本発明の第4の態様は、第1または2の態様において、物理的濾過手段では、不純物固定手段によって固定された不純物、原料ガス中の固体状不純物の少なくともいずれかがフィルターによって除去されることを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0019】
かかる第4の態様では、物理的濾過手段で、不純物固定手段によって固定された不純物、原料ガス中の固体状不純物を除去することができる。
【0020】
本発明の第5の態様は、第1または2の態様において、吸着除去手段では、酸性ガス、塩基性ガス、重金属類、有機塩素化合物、炭化水素類の少なくとも一つが吸着剤によって吸着除去されることを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0021】
かかる第5の態様では、吸着除去手段で、酸性ガス、塩基性ガス、重金属類、有機塩素化合物、炭化水素類の少なくとも一つを除去することができる。
【0022】
本発明の第6の態様は、第5の態様において、吸着剤は活性炭であることを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0023】
かかる第6の態様では、活性炭で、酸性ガス、塩基性ガス、重金属類、有機塩素化合物、炭化水素類の少なくとも一つを除去することができる。
【0024】
本発明の第7の態様は、第2の態様において、触媒変換手段では、酸性ガス、塩基性ガス、炭化水素類の少なくとも一つが触媒によって化学変換されることを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0025】
かかる第7の態様では、触媒変換手段で、酸性ガス、塩基性ガス、炭化水素類の少なくとも一つを除去することができる。
【0026】
本発明の第8の態様は、第2の態様において、反応除去手段では、酸性ガス、有機塩素化合物、炭化水素類の少なくとも一つが吸収剤との化学反応によって吸収されるか、あるいは分解されて吸収されることを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0027】
かかる第8の態様では、反応除去手段で、酸性ガス、有機塩素化合物、炭化水素類の少なくとも一つを除去することができる。
【0028】
上記目的を達成するための本発明の第9の態様は、ガス温度を露点以下に下げない乾式法により原料ガスから不純物を除去して燃料ガスとする燃料ガス精製設備であって、原料ガスに除去剤を吹き込むことや不純物の相変化を利用することで不純物を固定する不純物固定手段と、少なくとも不純物固定手段によって固定された不純物を物理的な濾過によって除去する物理的濾過手段と、物理的濾過手段により不純物が除去された原料ガスを流通させて不純物を吸着剤によって吸着除去する吸着除去手段と、吸着除去手段により不純物が除去された原料ガスを触媒により化学変換する触媒変換手段と、触媒変換手段で化学変換された原料ガスを吸収剤と化学反応させて不純物を除去する反応除去手段とを備え、不純物固定手段では、除去剤として吸着剤もしくは吸収剤が吹き込まれるか、あるいはガス温度を不純物の凝縮温度以下に低下させることに伴う相変化によって、酸性ガス、塩基性ガス、重金属類、有機塩素化合物、軽金属、炭化水素類の少なくとも一つが固定され、物理的濾過手段では、不純物固定手段によって固定された不純物、原料ガス中の固体状不純物の少なくともいずれかがフィルターによって除去され、吸着除去手段では、酸性ガス、塩基性ガス、重金属類、有機塩素化合物、炭化水素類の少なくとも一つが吸着剤によって吸着除去され、触媒変換手段では、酸性ガス、塩基性ガス、炭化水素類の少なくとも一つが触媒によって化学変換され、反応除去手段では、酸性ガス、有機塩素化合物、炭化水素類の少なくとも一つが吸収剤との化学反応によって吸収されるか、あるいは分解されて吸収されることを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0029】
かかる第9の態様では、不純物固定手段で、酸性ガス、塩基性ガス、重金属類、有機塩素化合物、軽金属、炭化水素類の少なくとも一つを固定することができ、物理的濾過手段で、不純物固定手段によって固定された不純物、原料ガス中の固体状不純物を除去することができ、吸着除去手段で、酸性ガス、塩基性ガス、重金属類、有機塩素化合物、炭化水素類の少なくとも一つを除去することができ、触媒変換手段で、酸性ガス、塩基性ガス、炭化水素類の少なくとも一つを除去することができ、反応除去手段で、酸性ガス、有機塩素化合物、炭化水素類の少なくとも一つを除去することができ、多種の原料から製造された原料ガスに含まれる広範囲の不純物が除去でき、しかも、多目的に応用できる燃料ガスを得ることができる燃料ガス精製設備とすることが可能となる。
【0030】
本発明の第10の態様は、第1〜9のいずれかの態様において、燃料ガスのガス性状を調整するガス性状調整手段を備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0031】
かかる第10の態様では、燃料ガスのガス性状を所望状態に調整することができる。
【0032】
本発明の第11の態様は、第10の態様において、ガス性状調整手段は、ガス性状である温度、圧力、ガス組成の少なくとも一つを、精製される燃料ガスの用途に応じて最適に調整する機能を備えていることを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0033】
かかる第11の態様では、温度、圧力、ガス組成の少なくとも一つの性状を用途に応じて最適に調整することができる。
【0034】
本発明の第12の態様は、第1〜11のいずれかの態様において、原料ガスは、バイオマスから製造した原料ガス、廃棄物から製造した原料ガス、石炭から製造した原料ガス、重油から製造した原料ガスの少なくともいずれかであることを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0035】
かかる第12の態様では、バイオマスから製造した原料ガス、廃棄物から製造した原料ガス、石炭から製造した原料ガス、重油から製造した原料ガスのいずれかを精製して燃料ガスを供給することができる。
【0036】
本発明の第13の態様は、第1〜12のいずれかの態様において、精製された燃料ガスは、溶融炭酸塩形燃料電池の燃料ガスであることを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0037】
かかる第13の態様では、原料ガスを精製して溶融炭酸塩形燃料電池用の燃料ガスを供給することができる。
【0038】
本発明の第14の態様は、第1〜12のいずれかの態様において、精製された燃料ガスは、化学合成用の燃料ガスであることを特徴とする燃料ガス精製設備にある。
【0039】
かかる第14の態様では、原料ガスを精製して化学合成用の燃料ガスを供給することができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明の燃料ガス精製設備は、種々の原料から製造された原料ガスに含まれる多種の不純物が除去でき、しかも、多目的に応用できる燃料ガスを得ることができる燃料ガス精製設備とすることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
本願発明は、石炭、重質油、オリマルジョン、紙ごみや生活廃棄物などの廃棄物、バイオマス、ゴミ固形燃料(Refuse Derived Fuel、RDF)、古紙と廃プラスチックからなる固形燃料(Refuse Paper and Plastic Fuel、RPF)等を部分酸化して得られた原料ガス、即ち、不純物として何が入っていても除去して燃料ガスとして精製する設備であり、ガス燃焼ボイラ用の燃料、一般の燃焼用燃料、ガスエンジン用の燃料、ガスタービン用の燃料、高温燃料電池用の燃料、化学合成用の燃料ガス(原料ガス)として用いることができる燃料ガスを得る設備である。多成分の不純物を除去するにあたり、ガス温度を露点以下に下げない乾式法により除去が実施され、下流で除去する不純物が上流側の除去プロセスに悪影響を与えない(邪魔しない)システムが構築されている。
【0042】
図1には本発明の実施形態例に係る燃料ガス精製設備の構成要素と除去される不純物との関係を示してある。図1で示した構成要素での除去プロセスの順序は次の通りである。
(1)不純物固定剤として吸収剤や吸着剤を原料ガスに吹き込むことや温度を低下させることによる相変化を利用して不純物を固定する不純物固定手段。
【0043】
不純物固定手段では、酸性ガス、塩基性ガス、重金属類、有機塩素化合物、タール等の炭化水素類が不純物固定剤によって固体になる。また、アルカリ金属などの軽金属は、それらの凝縮温度以下に温度を低下させるだけでも固体となる。この手段で固定された、酸性ガス、塩基性ガス、炭化水素類を含んだ不純物固定剤や固体状の軽金属類を除去するためには、後述する物理的濾過手段と組み合わせる。
(2)不純物を物理的な濾過によって除去する物理的濾過手段。
【0044】
物理的濾過手段では、不純物固定手段で用いられた不純物固定剤やダストなどの固体状不純物、炭化水素類が物理的に濾過されて除去される。炭化水素類は、後述する反応除去手段と組み合わせて除去される。
(3)不純物を吸着剤によって吸着除去する吸着除去手段。
【0045】
吸着除去手段では、酸性ガス、塩基性ガス、重金属類、ダイオキシン等の有機塩素化合物、炭化水素類が吸着除去される。
(4)不純物を触媒により化学変換する触媒変換手段。
【0046】
触媒変換手段では、酸性ガスや塩基性ガスが除去しやすい物質に化学変換され、塩基性ガスや炭化水素類が分解される。特に酸性ガスは、後述する反応除去手段と組み合わせて、例えば、ppm以下の濃度を達成する精密精製に適用される。
(5)原料ガスに含まれる不純物と吸収剤を化学反応させることによって不純物を除去する反応除去手段。
【0047】
反応除去手段では、酸性ガス、有機塩素化合物、炭化水素類が除去される。酸性ガスには触媒変換手段で化学変換された物質を含む。
【0048】
更に、本発明では、精製後の燃料ガスの品質を向上させるため、除去・固定化の対象となる成分(不純物)を低減させることに加え、精製後に利用するガスの性状(温度、圧力、ガス組成等)を用途に応じて最適になるように調整することができる機能(ガス性状調整手段)を備えることができる。
【0049】
具体的には、(水素/一酸化炭素)の比率を向上させたり、メタン濃度を向上させて溶融炭酸塩形燃料電池用の燃料ガスとして適したガス組成に調整する機能を持たせたり、アンモニア合成、メタノール合成、GTL等の化学合成用の燃料ガス(原料ガス)として(水素/一酸化炭素)の比率を最適にする機能を持たせることができる。燃料ガスの組成を調整する機能を達成する手法としては、精製途中あるいは精製後のガスを、目的に応じた触媒を備えた反応器に精製途中あるいは精製後のガスを流通させる水性ガスシフト反応を利用したり、メタネーション反応等を利用する方法が挙げられる。
【0050】
前述した図1で示した除去対象の不純物には、単独の除去手段(構成要素)で対策が可能なものもあれば、複数の構成要素を連携させて対策を講じた方がよいものもある。不純物ごとに構成要素のどこで対策をすべきか、構成要素のマトリックスを図1の表に示してある。図中◎印は対象不純物を除去するのに最も適している構成要素であり、○印は次いで適用性の高い構成要素である。また、直線で結んだものは連携して対策する構成要素である。例えば、不純物固定手段は、それ単独で除去を完結することはできず、必ず固定した不純物を除去する物理的濾過を伴う必要がある。
【0051】
また、吸着除去手段、触媒変換手段と反応除去手段は相互に密接に連携するプロセスであることが多く、場合によっては順序が前後することがある。また、除去対象となる不純物の種類によっては、物理的濾過手段、触媒変換手段、あるいは反応除去手段をガス精製設備の中の2箇所以上で繰り返して用いることもある。
【0052】
図1に示した構成要素を組み合わせることにより、多種の原料ガスを供給する原料ガス供給装置と、多種の精製ガスを利用する精製ガス利用装置に適用可能な乾式のガス精製設備を構築することができる。
【0053】
図2乃至図8に基づいて本発明のガス精製設備の具体的な実施形態例を説明する。図2乃至図8には本発明の第1乃至第7実施形態例に係るガス精製設備の系統を示してある。いずれの設備も、原料ガスを供給する原料ガス供給装置と精製後の燃料ガスを利用する精製ガス利用装置の間を、複数の構成要素に基づいた除去プロセスによって接続してある。
【0054】
図2に基づいて第1実施形態例を説明する。
【0055】
図2に示すように、原料ガス供給装置1から、例えば、生活廃棄物(生ゴミや紙ごみ等)を部分酸化させて得られる原料ガス2が不純物固定手段としての不純物固定装置3に送られ、不純物固定装置3には不純物固定剤供給装置4から除去剤としての不純物固定剤5{例えば、Ca(OH)}が吹き込まれる。不純物固定装置3では、原料ガス2から酸性ガスが不純物固定剤5との化学反応によって固定される。酸性ガスが固定された原料ガス2は物理的濾過手段としての物理的濾過装置6(例えば、バグフィルター)に送られ、物理的濾過装置6では、酸性ガスと反応した不純物固定剤が除去される。さらに不純物固定装置3で未反応の不純物固定剤が残っていれば、物理的濾過装置6においても酸性ガスが不純物固定剤との化学反応によって固定される。また、物理的濾過装置6ではダストなどの固体状不純物も除去される。物理的濾過装置6で除去された、酸性ガスと反応した不純物固定剤、未反応の不純物固定剤、ならびに固体状不純物は不純物排出装置7に排出される。物理的濾過装置6を通過した原料ガス2は吸着除去手段としての吸着除去装置8に送られ、塩基性ガス(アンモニア)が吸着剤(例えば、活性炭)に吸着除去される。吸着除去装置8で塩基性ガスが吸着されたガスは燃料ガス9とされて精製ガス利用装置10に送られて燃焼ガスとして利用される。
【0056】
つまり、図2に示した実施形態例は、紙ごみを部分酸化して得られた原料ガスを精製して燃焼用燃料を供給する例を示したものである。そして、除去手段の構成要素と除去対象とする不純物との組み合わせは、図1に示す、(1)不純物固定手段と(2)物理的濾過手段の連携で(a)酸性ガスが除去され、(3)吸着除去手段で(b)塩基性ガス(アンモニア)が除去され、(2)物理的濾過手段で(c)固体状不純物(ダスト、不純物固定剤等)が除去される。
【0057】
このため、生活廃棄物(生ゴミや紙ごみ等)を部分酸化して得られるガスを原料ガスとして、酸性ガス、塩基性ガス、固体状不純物が除去された燃料ガスを供給することができる。
【0058】
図3に基づいて第2実施形態例を説明する。尚、図2に示した構成要素と同一の要素には同一符号を付してある。
【0059】
図3に示すように、原料ガス供給装置1から、ガス化炉でバイオマスから製造された原料ガス2が不純物固定手段としての不純物固定装置3に送られ、不純物固定装置3には不純物固定剤供給装置4から除去剤としての不純物固定剤5{例えば、Ca(OH)}が吹き込まれる。不純物固定装置3では、原料ガス2から酸性ガスが不純物固定剤との化学反応によって固定される。酸性ガスが固定された原料ガス2は物理的濾過手段としての物理的濾過装置6(例えば、バグフィルター)に送られ、物理的濾過装置6では、酸性ガスと反応した不純物固定剤が除去される。さらに不純物固定装置3で未反応の不純物固定剤が残っていれば、物理的濾過装置6においても酸性ガスが不純物固定剤との化学反応によって固定される。また、物理的濾過装置6ではダストなどの固体状不純物も除去される。加えて、不純物固定装置3や物理的濾過装置6を軽金属類の凝縮温度よりも低い温度で運転することによって、アルカリ金属などの軽金属類が凝縮して固体状不純物と共に除去される。物理的濾過装置6で除去された、酸性ガスと反応した不純物固定剤、未反応の不純物固定剤、凝縮した軽金属類、ならびに固体状不純物は不純物排出装置7に排出される。物理的濾過装置6を通過した原料ガス2は吸着除去手段としての吸着除去装置8に送られ、塩基性ガス(アンモニア)が吸着剤(例えば、活性炭)に吸着除去される。
【0060】
吸着除去装置8で塩基性ガスが吸着された原料ガス2は触媒変換手段としての触媒変換装置11に送られ、触媒変換装置11では炭化水素類(不飽和炭化水素など)が化学的に分解されて除去される。炭化水素類が除去されたガスは燃料ガス9とされて精製ガス利用装置10に送られてガスエンジン用の燃料ガスとして利用される。
【0061】
つまり、図3に示した実施形態例は、ガス化炉でバイオマスから製造された原料ガスを精製してガスエンジン用燃料を供給する例を示したものである。そして、除去手段の構成要素と除去対象とする不純物との組み合わせは、図1に示す、(1)不純物固定手段と(2)物理的濾過手段の連携で(a)酸性ガスが除去(粗精製)され、(3)吸着除去手段で(b)塩基性ガス(アンモニア)が除去され、(2)物理的濾過手段で(c)固体状不純物(タスト、不純物固定剤等)が除去され、更に、(1)不純物固定手段と(2)物理的濾過手段の連携で(f)軽金属類(アルカリ金属等)が除去され、(4)触媒変換手段で(g)炭化水素類が分解され除去される。
【0062】
このため、原料ガスから酸性ガス、塩基性ガス、固体状不純物、軽金属類、炭化水素類が除去された燃料ガスを供給することができる。
【0063】
図4に基づいて第3実施形態例を説明する。尚、図2、図3に示した構成要素と同一の要素には同一符号を付してある。
【0064】
図4に示すように、原料ガス供給装置1から、例えば石炭ガス化炉によって石炭から製造された原料ガス2が不純物固定手段としての不純物固定装置3に送られ、不純物固定装置3には不純物固定剤供給装置4から除去剤としての不純物固定剤5{例えば、Ca(OH)}が吹き込まれる。不純物固定装置3では、原料ガス2から酸性ガスのうち塩化水素(HCl)等が不純物固定剤との化学反応によって固定される。酸性ガスが固定された原料ガス2は物理的濾過手段としての物理的濾過装置6(例えば、バグフィルター)に送られ、物理的濾過装置6では、酸性ガスと反応した不純物固定剤が除去される。さらに不純物固定装置3で未反応の不純物固定剤が残っていれば、物理的濾過装置6においても酸性ガスが不純物固定剤との化学反応によって固定される。また、物理的濾過装置6ではダストなどの固体状不純物も除去される。加えて、不純物固定装置3や物理的濾過装置6を軽金属類の凝縮温度よりも低い温度で運転することによって、アルカリ金属などの軽金属類が凝縮して固体状不純物と共に除去される。物理的濾過装置6で除去された、酸性ガスと反応した不純物固定剤、未反応の不純物固定剤、凝縮した軽金属類、ならびに固体状不純物は不純物排出装置7に排出される。物理的濾過装置6を通過した原料ガス2は吸着除去手段としての吸着除去装置8に送られ、塩基性ガス(アンモニア)が吸着剤(例えば、活性炭)に吸着除去される。
【0065】
吸着除去装置8で塩基性ガスが吸着された原料ガス2は触媒変換手段としての触媒変換装置11に送られ、触媒変換装置11では硫化カルボニル(COS)の様に反応除去装置12では除去しにくい酸性ガスがCOS変換触媒の働きで硫化水素(HS)に化学変換される。触媒変換装置11で酸性ガスが化学変換された原料ガス2は、反応除去手段としての反応除去装置12に送られ、酸性ガスが吸収剤(酸化鉄など)と化学反応して除去される。反応除去装置12で酸性ガスが除去されたガスは燃料ガス9とされて精製ガス利用装置10に送られてガスタービン用の燃料ガスとして利用される。
【0066】
つまり、図4に示した実施形態例は、石炭ガス化炉で得られた原料ガスを精製してガスタービン用燃料を供給する例を示したものである。そして、除去手段の構成要素と除去対象とする不純物との組み合わせは、図1に示す、(1)不純物固定手段と(2)物理的濾過手段の連携で(a)酸性ガス(HCl等)が除去され、(4)触媒変換手段と(5)反応除去手段の連携で(a)酸性ガス(COS、HS)が精密精製される。更に、(3)吸着除去手段で(b)塩基性ガス(アンモニア)が除去され、(2)物理的濾過手段で(c)固体状不純物が除去され、(1)不純物固定手段と(2)物理的濾過手段の連携で(f)軽金属類(アルカリ金属)が除去される。
【0067】
このため、石炭から製造された原料ガスから酸性ガス、塩基性ガス、固体状不純物、軽金属類が除去された燃料ガスを供給することができる。
【0068】
図5に基づいて第4実施形態例を説明する。尚、図2乃至図4に示した構成要素と同一の要素には同一符号を付してある。
【0069】
図5に示すように、原料ガス供給装置1から、例えば石炭ガス化炉によって石炭から製造された原料ガス2が不純物固定手段としての不純物固定装置3に送られ、不純物固定装置3には不純物固定剤供給装置4から除去剤としての不純物固定剤5{例えば、Ca(OH)}が吹き込まれる。不純物固定装置3では、原料ガス2から酸性ガスのうち塩化水素(HCl)等が不純物固定剤との化学反応によって固定される。酸性ガスが固定された原料ガス2は物理的濾過手段としての物理的濾過装置6(例えば、バグフィルター)に送られ、物理的濾過装置6では、酸性ガスと反応した不純物固定剤5が除去される。さらに不純物固定装置3で未反応の不純物固定剤が残っていれば、物理的濾過装置6においても酸性ガスが不純物固定剤5との化学反応によって固定される。また、物理的濾過装置6ではダストなどの固体状不純物も除去される。加えて、不純物固定装置3や物理的濾過装置6を軽金属類の凝縮温度よりも低い温度で運転することによって、アルカリ金属などの軽金属類が凝縮して固体状不純物と共に除去される。さらに加えて、不純物固定装置3や物理的濾過装置6をHClとアンモニアから固体の塩化アンモニウムが生成する温度で運転すれば、酸性ガスであるHClと塩基性ガスであるアンモニアを塩化アンモニウムとして固体状不純物と共に除去することが出来る。物理的濾過装置6で除去された、酸性ガスと反応した不純物固定剤、未反応の不純物固定剤、凝縮した軽金属類、生成した塩化アンモニウム、ならびに固体状不純物は不純物排出装置7に排出される。物理的濾過装置6を通過した原料ガス2は吸着除去手段としての吸着除去装置8に送られ、塩基性ガス(アンモニア)、重金属類(水銀、砒素、セレン等)及び有機塩素化合物(ダイオキシン類)が吸着剤に吸着除去される。この場合に用いられる吸着剤には、それぞれの除去対象(すなわち塩基性ガス、重金属類及び有機塩素化合物)に性能を最適化した活性炭が適しており、それらの活性炭を複数組み合わせて用いることによって複数の除去対象を除去できる。
【0070】
吸着除去装置8で塩基性ガス、重金属類及び有機塩素化合物が吸着された原料ガス2は反応除去装置13に送られ、上流の各プロセスで除去しきれなかった酸性ガスのうちハロゲン化水素(HCl、HF等)が吸収剤と化学反応して精密に除去される。反応除去装置13でハロゲン化水素が除去された原料ガス2は触媒変換手段としての触媒変換装置11に送られ、触媒変換装置11では硫化カルボニル(COS)の様に反応除去手段では除去しにくい酸性ガスがCOS変換触媒の働きで硫化水素(HS)に化学変換される。触媒変換装置11で酸性ガスが化学変換された原料ガス2は、反応除去手段としての反応除去装置12に送られ、酸性ガスが吸収剤(酸化亜鉛など)と化学反応して精密に除去される。反応除去装置12で酸性ガスが除去されたガスは燃料ガス9とされて精製ガス利用装置10に送られて高温燃料電池(溶融炭酸塩形燃料電池:MCFC)用の燃料ガスとして利用される。
【0071】
つまり、図5に示した実施形態例は、石炭から製造された原料ガスを精製してMCFC用燃料を供給する例を示したものである。そして、除去手段の構成要素と除去対象とする不純物との組み合わせは、図1に示す、(1)不純物固定手段と(2)物理的濾過手段の連携で(a)酸性ガス(ハロゲン化水素)が除去され、(5)反応除去手段で(a)酸性ガス(ハロゲン化水素)が精密精製され、(4)触媒変換手段と(5)反応除去手段の連携で(a)酸性ガス(硫黄化合物)が除去され、(1)不純物固定手段と(2)物理的濾過手段の連携で(a)酸性ガス(塩化水素)と(b)塩基性ガス(アンモニア)が同時に除去され、(3)吸着除去手段で(b)塩基性ガス(アンモニア)が除去され、(2)物理的濾過手段で(c)固体状不純物(ダスト、不純物固定剤等)が除去され、(3)吸着除去手段で(d)重金属類(水銀、砒素、セレン等)及び(e)有機塩素化合物(ダイオキシン類)が除去され、(1)不純物固定手段と(2)物理的濾過手段の連携で(f)軽金属類(アルカリ金属)が除去される。
【0072】
このため、石炭で製造された原料ガスから酸性ガス、塩基性ガス、固体状不純物、重金属類、有機塩素化合物、軽金属類が除去された燃料ガスを供給することができる。
【0073】
図6に基づいて第5実施形態例を説明する。尚、図2乃至図5に示した構成要素と同一の要素には同一符号を付してある。
【0074】
図6に示すように、原料ガス供給装置1から、例えば廃棄物やバイオマスから製造した原料ガス2が不純物固定手段としての不純物固定装置3に送られ、不純物固定装置3には不純物固定剤供給装置4から除去剤としての不純物固定剤5{例えば、Ca(OH)}が吹き込まれる。不純物固定装置3では、原料ガス2から酸性ガスのうち塩化水素(HCl)等が不純物固定剤との化学反応によって固定される。一方、原料ガス供給装置1から原料ガス2が物理的濾過手段としての物理的濾過装置15に送られて炭化水素類(タール等)が除去され、タールなどが除去された原料ガス2が不純物固定装置3に送られる。原料ガス供給装置1からの原料ガス2は、図示しない切換えバルブの操作により、直接不純物固定装置3に送られる場合と、物理的濾過装置15を経由して送られる場合が適宜選択される。
【0075】
必要に応じて物理的濾過装置15にて炭化水素類が除去され、さらに酸性ガスが固定された原料ガス2は物理的濾過手段としての物理的濾過装置6(例えば、バグフィルター)に送られ、物理的濾過装置6では、酸性ガスと反応した不純物固定剤が除去される。さらに不純物固定装置3で未反応の不純物固定剤が残っていれば、物理的濾過装置6においても酸性ガスが不純物固定剤5との化学反応によって固定される。また、物理的濾過装置6ではダストなどの固体状不純物も除去される。加えて、不純物固定装置3や物理的濾過装置6を軽金属類の凝縮温度よりも低い温度で運転することによって、アルカリ金属などの軽金属類が凝縮して固体状不純物と共に除去される。さらに加えて、不純物固定装置3や物理的濾過装置6をHClとアンモニアから固体の塩化アンモニウムが生成する温度で運転すれば、酸性ガスであるHClと塩基性ガスであるアンモニアを塩化アンモニウムとして固体状不純物と共に除去することが出来る。物理的濾過装置6で除去された、酸性ガスと反応した不純物固定剤、未反応の不純物固定剤、凝縮した軽金属類、生成した塩化アンモニウム、ならびに固体状不純物は不純物排出装置7に排出される。物理的濾過装置6を通過した原料ガス2は吸着除去手段としての吸着除去装置8に送られ、塩基性ガス(アンモニア)、重金属類(水銀、砒素、セレン等)及び有機塩素化合物(ダイオキシン類)が吸着剤に吸着除去される。この場合に用いられる吸着剤には、それぞれの除去対象(すなわち塩基性ガス、重金属類及び有機塩素化合物)に性能を最適化した活性炭が適しており、それらの活性炭を複数組み合わせて用いることによって複数の除去対象を除去できる。
【0076】
吸着除去装置8で塩基性ガス、重金属類及び有機塩素化合物が吸着された原料ガス2は反応除去装置13に送られ、上流の各プロセスで除去しきれなかった酸性ガスのうちハロゲン化水素(HCl、HF等)が吸収剤と化学反応して精密に除去される。反応除去装置13でハロゲン化水素が除去された原料ガス2は触媒変換手段としての触媒変換装置11に送られ、触媒変換装置11では硫化カルボニル(COS)の様に反応除去手段では除去しにくい酸性ガスがCOS変換触媒の働きで硫化水素(HS)に化学変換される。触媒変換装置11で酸性ガスが化学変換された原料ガス2は、反応除去手段としての反応除去装置12に送られ、酸性ガスが吸収剤(酸化亜鉛など)と化学反応して精密に除去される。反応除去装置12で酸性ガスが除去されたガスは燃料ガス9とされて精製ガス利用装置10に送られて高温燃料電池(溶融炭酸塩形燃料電池:MCFC)用の燃料ガスとして利用される。
【0077】
つまり、図6に示した実施形態例は、廃棄物やバイオマスから製造された原料ガスを精製してMCFC用燃料を供給する例を示したものである。そして、除去手段の構成要素と除去対象とする不純物との組み合わせは、図1に示す、(1)不純物固定手段と(2)物理的濾過手段の連携で(a)酸性ガス(ハロゲン化水素)が除去され、(5)反応除去手段で(a)酸性ガス(ハロゲン化水素)が精密精製され、(4)触媒変換手段と(5)反応除去手段の連携で(a)酸性ガス(硫黄化合物)が除去され、(1)不純物固定手段と(2)物理的濾過手段の連携で(a)酸性ガス(塩化水素)と(b)塩基性ガス(アンモニア)が同時に除去され、(3)吸着除去手段で(b)塩基性ガス(アンモニア)が除去され、(2)物理的濾過手段で(c)固体状不純物(ダスト、不純物固定剤等)が除去され、(3)吸着除去手段で(d)重金属類(水銀、砒素、セレン等)及び(e)有機塩素化合物(ダイオキシン類)が除去され、(1)不純物固定手段と(2)物理的濾過手段の連携で(f)軽金属類(アルカリ金属)が除去され、(2)物理的濾過手段で(g)炭化水素類(タール等)が除去され、(3)吸着除去手段で(g)炭化水素類(不飽和炭化水素等)が除去される。
【0078】
このため、廃棄物やバイオマスから製造される原料ガスから酸性ガス、塩基性ガス、固体状不純物、重金属類、有機塩素化合物、軽金属類、炭化水素類が除去された燃料ガスを供給することができる。
【0079】
図7に基づいて第6実施形態例を説明する。尚、図2乃至図6に示した構成要素と同一の要素には同一符号を付してある。
【0080】
図7に示すように、原料ガス供給装置1から、例えば廃棄物やバイオマスから製造した原料ガス2が不純物固定手段としての不純物固定装置3に送られ、不純物固定装置3には不純物固定剤供給装置4から除去剤としての不純物固定剤5{例えば、Ca(OH)}が吹き込まれる。不純物固定装置3では、原料ガス2から酸性ガスのうち塩化水素(HCl)等が不純物固定剤との化学反応によって固定される。一方、不純物固定装置3には不純物固定剤供給手段16から除去剤としての不純物固定剤17(例えば、タール吸収剤)が吹き込まれる。不純物固定装置3では、原料ガス2中の炭化水素類(タール等)が不純物固定剤17によって固定される。
【0081】
酸性ガス及び炭化水素類が固定された原料ガス2は物理的濾過手段としての物理的濾過装置6(例えば、バグフィルター)に送られ、物理的濾過装置6では、酸性ガスと反応した不純物固定剤5や炭化水素類を吸収した不純物固定剤17が除去される。さらに不純物固定装置3で未反応の不純物固定剤や炭化水素類を吸収していない不純物固定剤17が残っていれば、物理的濾過装置6においても酸性ガスが不純物固定剤5との化学反応によって固定され、また炭化水素類が不純物固定剤17に吸収される。また、物理的濾過装置6ではダストなどの固体状不純物も除去される。加えて、不純物固定装置3や物理的濾過装置6を軽金属類の凝縮温度よりも低い温度で運転することによって、アルカリ金属などの軽金属類が凝縮して固体状不純物と共に除去される。さらに加えて、不純物固定装置3や物理的濾過装置6をHClとアンモニアから固体の塩化アンモニウムが生成する温度で運転すれば、酸性ガスであるHClと塩基性ガスであるアンモニアを塩化アンモニウムとして固体状不純物と共に除去することが出来る。物理的濾過装置6で除去された、酸性ガスと反応した不純物固定剤5、炭化水素類を吸収した不純物固定剤17、未反応の不純物固定剤および炭化水素類を吸収していない不純物固定剤17、凝縮した軽金属類、生成した塩化アンモニウム、ならびに固体状不純物は不純物排出装置7に排出される。物理的濾過装置6を通過した原料ガス2は吸着除去手段としての吸着除去装置8に送られ、塩基性ガス(アンモニア)、重金属類(水銀、砒素、セレン等)及び有機塩素化合物(ダイオキシン類)が吸着剤に吸着除去される。この場合に用いられる吸着剤には、それぞれの除去対象(すなわち塩基性ガス、重金属類及び有機塩素化合物)に性能を最適化した活性炭が適しており、それらの活性炭を複数組み合わせて用いることによって複数の除去対象を除去できる。
【0082】
吸着除去装置8で塩基性ガス、重金属類及び有機塩素化合物が吸着された原料ガス2は反応除去装置13に送られ、上流の各プロセスで除去しきれなかった酸性ガスのうちハロゲン化水素(HCl、HF等)が吸収剤と化学反応して精密に除去される。反応除去装置13でハロゲン化水素が除去された原料ガス2は触媒変換手段としての触媒変換装置11に送られ、触媒変換装置11では硫化カルボニル(COS)の様に反応除去手段では除去しにくい酸性ガスがCOS変換触媒の働きで硫化水素(HS)に化学変換される。触媒変換装置11で酸性ガスが化学変換された原料ガス2は、反応除去手段としての反応除去装置12に送られ、酸性ガスが吸収剤(酸化亜鉛など)と化学反応して精密に除去される。反応除去装置12で酸性ガスが除去されたガスは燃料ガス9とされて精製ガス利用装置10に送られて高温燃料電池(溶融炭酸塩形燃料電池:MCFC)用の燃料ガスとして利用される。
【0083】
つまり、図7に示した実施形態例は、廃棄物やバイオマスから製造された原料ガスを精製してMCFC用燃料を供給する例を示したものである。そして、除去手段の構成要素と除去対象とする不純物との組み合わせは、図1に示す、(1)不純物固定手段と(2)物理的濾過手段の連携で(a)酸性ガス(ハロゲン化水素)が除去され、(5)反応除去手段で(a)酸性ガス(ハロゲン化水素)が精密精製され、(4)触媒変換手段と(5)反応除去手段の連携で(a)酸性ガス(硫黄化合物)が除去され、(1)不純物固定手段と(2)物理的濾過手段の連携で(a)酸性ガス(塩化水素)と(b)塩基性ガス(アンモニア)が同時に除去され、(3)吸着除去手段で(b)塩基性ガス(アンモニア)が除去され、(2)物理的濾過手段で(c)固体状不純物(ダスト、不純物固定剤等)が除去され、(3)吸着除去手段で(d)重金属類(水銀、砒素、セレン等)及び(e)有機塩素化合物(ダイオキシン類)が除去され、(1)不純物固定手段と(2)物理的濾過手段の連携で(f)軽金属類(アルカリ金属)及び(g)炭化水素類(タール等)が除去される。
【0084】
このため、廃棄物やバイオマスから製造される原料ガスから酸性ガス、塩基性ガス、固体状不純物、重金属類、有機塩素化合物、軽金属類、炭化水素類が除去された燃料ガスを供給することができる。
【0085】
図8に基づいて第7実施形態例を説明する。尚、図2乃至図7に示した構成要素と同一の要素には同一符号を付してある。
【0086】
図8に示すように、原料ガス供給装置1から、廃棄物やバイオマスから製造した原料ガス2、あるいは、石炭から製造した原料ガス2が不純物固定手段としての不純物固定装置3に送られ、不純物固定装置3には不純物固定剤供給装置4から除去剤としての不純物固定剤5{例えば、Ca(OH)}が吹き込まれる。不純物固定装置3では、原料ガス2から酸性ガスのうち塩化水素(HCl)等が不純物固定剤との化学反応によって固定される。酸性ガスが固定された原料ガス2は物理的濾過手段としての物理的濾過装置6(例えば、バグフィルター)に送られ、物理的濾過装置6では、酸性ガスと反応した不純物固定剤が除去される。さらに不純物固定装置3で未反応の不純物固定剤が残っていれば、物理的濾過装置6においても酸性ガスが不純物固定剤との化学反応によって固定される。また、物理的濾過装置6ではダストなどの固体状不純物も除去される。加えて、不純物固定装置3や物理的濾過装置6を軽金属類の凝縮温度よりも低い温度で運転することによって、アルカリ金属などの軽金属類が凝縮して固体状不純物と共に除去される。さらに加えて、不純物固定装置3や物理的濾過装置6をHClとアンモニアから固体の塩化アンモニウムが生成する温度で運転すれば、酸性ガスであるHClと塩基性ガスであるアンモニアを塩化アンモニウムとして固体状不純物と共に除去することが出来る。物理的濾過装置6で除去された、酸性ガスと反応した不純物固定剤、未反応の不純物固定剤、凝縮した軽金属類、生成した塩化アンモニウム、ならびに固体状不純物は不純物排出装置7に排出される。物理的濾過装置6を通過した原料ガス2は吸着除去手段としての吸着除去装置8に送られ、塩基性ガス(アンモニア)、重金属類(水銀、砒素、セレン等)及び有機塩素化合物(ダイオキシン類)が吸着剤に吸着除去される。この場合に用いられる吸着剤には、それぞれの除去対象(すなわち塩基性ガス、重金属類及び有機塩素化合物)に性能を最適化した活性炭が適しており、それらの活性炭を複数組み合わせて用いることによって複数の除去対象を除去できる。
【0087】
吸着除去装置8で塩基性ガス、重金属類及び有機塩素化合物が吸着された原料ガス2は反応除去装置13に送られ、上流の各プロセスで除去しきれなかった酸性ガスのうちハロゲン化水素(HCl、HF等)が吸収剤と化学反応して精密に除去される。反応除去装置13でハロゲン化水素が除去された原料ガス2は触媒変換手段としての触媒変換装置11に送られ、触媒変換装置11では硫化カルボニル(COS)の様に反応除去手段では除去しにくい酸性ガスがCOS変換触媒の働きで硫化水素(HS)に化学変換される。触媒変換装置11で酸性ガスが化学変換された原料ガス2は、反応除去手段としての反応除去装置12に送られ、酸性ガスが吸収剤(酸化亜鉛など)と化学反応して精密に除去される。反応除去装置12で酸性ガスが除去された原料ガスは触媒変換装置14に送られ、触媒変換装置14では、燃料ガスの組成を精製ガス利用装置10の用途に適した組成に調整するため、ガス性状調整手段すなわち触媒の働きによる化学変換がなされる。触媒変換装置14でガス性状調整手段による燃料組成の調整がなされたガスは燃料ガス9とされて精製ガス利用装置10に送られる。
【0088】
例えば、原料ガス2が廃棄物やバイオマスから製造した原料ガスの場合、高温燃料電池(溶融炭酸塩形燃料電池:MCFC)用の燃料ガス(化学反応用の原料ガス)として利用される。また、原料ガス2が石炭から製造した原料ガスの場合、化学合成用の燃料ガスとして利用される。これらの場合、ガス性状調整手段においては、触媒の働きによって水素と一酸化炭素の比率を向上させたり、メタン濃度を向上させて溶融炭酸塩形燃料電池用の燃料ガスとして適したガス組成に調整したり、やはり触媒の作用による水性ガスシフト反応等を利用して、アンモニア合成、メタノール合成、GTL等の化学合成用の燃料ガス(化学反応用の原料ガス)として適した水素と一酸化炭素の比率に調整することが行われる。
【0089】
つまり、図8に示した実施形態例は、廃棄物やバイオマスから製造した原料ガスを精製してMCFC用燃料を供給する例、及び、石炭から製造した原料ガスを精製して化学合成用の燃料ガス(化学反応用の原料ガス)を供給する例を示したものである。そして、除去手段の構成要素と除去対象とする不純物との組み合わせは、図1に示す、(1)不純物固定手段と(2)物理的濾過手段の連携で(a)酸性ガス(ハロゲン化水素)が除去され、(5)反応除去手段で(a)酸性ガス(ハロゲン化水素)が精密精製され、(4)触媒変換手段と(5)反応除去手段の連携で(a)酸性ガス(硫黄化合物)が除去され、(1)不純物固定手段と(2)物理的濾過手段の連携で(a)酸性ガス(塩化水素)と(b)塩基性ガス(アンモニア)が同時に除去され、(3)吸着除去手段で(b)塩基性ガス(アンモニア)が除去され、更に、(2)物理的濾過手段で(c)固体状不純物が除去され、(3)吸着除去手段で(d)重金属類(水銀、砒素、セレン等)及び(e)有機塩素化合物(ダイオキシン類)が除去され、(1)不純物固定手段と(2)物理的濾過手段の連携で(f)軽金属類(アルカリ金属)が除去され、(3)吸着除去手段で(g)炭化水素類が除去され、さらにガス性状調整手段で用途に応じた燃料組成に調整される。
【0090】
このため、廃棄物やバイオマスから製造した原料ガス、及び石炭で製造した原料ガスから酸性ガス、塩基性ガス、固体状不純物、重金属類、有機塩素化合物、軽金属類、炭化水素類が除去され、さらにガス組成が調整された燃料ガスを供給することができる。
【0091】
従って、以上の図2乃至図8に基づいた本発明のガス精製設備の具体的な実施形態例の説明で述べたように、多様な製造方法で多種の原料から製造した、多成分の不純物を含む原料ガスから、燃料ガス精製設備を用いたガス精製を行うことによって、燃料の用途あるいは合成用原料の用途に使用する燃料ガスを供給することが可能になる。
【0092】
図9、図10に基づいて本発明の具体的な実施例を説明する。図9には本発明の第4実施例に係るガス精製設備の概略系統、図10にはガス精製設備の仕様状況を示してある。図9に示した設備は、図5に示した実施形態例を具体的に示した設備の例であり、図5に示した構成要素と同一の要素には同一符号を付し、図5に示した部材に相当する部材は括弧書きで示してある。
【0093】
図9に示すように、例えば、処理ガス量が380mN/hで、800℃の原料ガス2(不純物として、例えば、HCl、HF、HS、COS、固体状不純物、ダイオキシン類、Hgが存在)が不純物固定手段としてのハロゲン化物除去塔21(不純物固定装置3)に送られ、ハロゲン化物除去塔21には、原料ホッパー23からのCa(OH)(不純物固定剤5)がスラリーとされて供給手段22から除去剤として水蒸気と共に吹き込まれる。ハロゲン化物除去塔21ではHClやHFがスラリーに吸収され、例えば、HClやHFが50ppmを下回る濃度に除去される。
【0094】
ここで、ハロゲン化水素は、HCl、HFを含む化合物で、ハロゲン化物は、ハロゲン化水素に加えて、それらが反応除去手段において吸収剤との化学反応により生成した物質(CaCl、NaCl、NaFなど)等を含む化合物として説明してある。
【0095】
HClやHFが除去された原料ガス2は、バグフィルター24(物理的濾過装置6)によりダスト(固体状不純物)が、例えば、5mg/mNを下回る状態に除去(濾過)される。ダストが除去された原料ガス2は活性炭フィルター25(吸着除去装置8)に送られ、活性炭フィルター25ではダイオキシン類、Hgが活性炭に吸着されて、例えば、ダイオキシン類が0.1ngTEQ/mNを下回る値、Hgが5μg/mNを下回る値に低減される。
【0096】
活性炭フィルター25を通過した原料ガス2はブロア26により熱交換器27に送られて加熱され、加熱された原料ガス2はハロゲン化水素精密除去塔28(反応除去装置13)に送られる。ハロゲン化水素精密除去塔28ではHClやHFなどのハロゲン化水素がNaAlOに吸収され、例えば、HClやHFが1ppmを下回る濃度に除去される。
【0097】
HClやHFが1ppmを下回る濃度に除去された原料ガス2はCOSコンバーター29(触媒変換装置11)に送られてCOSがHSに変換される。COSがHSに変換された原料ガス2はZnO脱硫塔30(反応除去装置12)に送られ、ZnOの吸収反応によりHSとCOSを合わせて1ppmを下回る濃度に除去される。HSとCOSが合わせて1ppmを下回る濃度に除去された原料ガス2は熱交換器31で、例えば、600℃の燃料ガス9とされて所望の機器に送られる。
【0098】
図9に示したガス精製設備の仕様、構成プロセス、処理原理、除去対象、除去項目は図10に示したとおりであり、ガス精製設備の運転温度は150℃〜350℃となっている。図9に示した実施例では、HCl、HF、HS、COS、固体状不純物、ダイオキシン類、Hgが存在する原料ガス2に対して、これらの不純物を除去した燃料ガス9を供給することができる。そして、ガス精製設備は、乾式設備となっているので、処理液体の排水処理設備などの大掛かりな設備類を設ける必要がなく、多成分の不純物を除去した燃料ガス9(例えば、MCFC用の燃料ガス)を簡単な設備構成で得ることが可能になる。また、熱交換器を用いて適切な温度維持、及び適切な通気を行うことにより、ダストフィルターの逆洗とダストの払い出し以外には運転操作が不要である。
【0099】
図11乃至図13に基づいて本発明の他の具体的な実施例を説明する。図11には本発明の第5実施例に係るガス精製設備の概略系統、図12には図11に示したガス精製設備の平面配置状況、図13には図11に示したガス精製設備の側面配置状況を示してある。図11に示した設備は、図6に示した実施形態例を具体的に示した設備の例であり、図6に示した構成要素と同一の要素及び図9に示した第1実施形態例に示した構成要素と同一の要素には同一符号を付してある。
【0100】
図11に示すように、原料ガス2が、切換えバルブ52、53の操作により不純物固定手段としてのハロゲン化物除去塔21に送られる。一方、原料ガス2が、切換えバルブ52、53の操作によりタール対策プロセス51(物理的濾過装置15)に送られ、タールが除去された後に切換えバルブ52、53の操作によりハロゲン化物除去塔21に送られる。切換えバルブ52、53の操作により、原料ガス2に含まれる不純物に応じてタール対策プロセス51が適宜使用される。
【0101】
必要に応じてタール対策プロセス51にてタールが除去された後、ハロゲン化物除去塔21には、原料ホッパー23からのCa(OH)(不純物固定剤5)がスラリーとされて供給手段22から除去剤として水蒸気と共に吹き込まれる。ハロゲン化物除去塔21ではHClやHFがスラリーに含まれるCa(OH)によって固定され、例えば、HClやHFが50ppmを下回る濃度に低減される。
【0102】
HClやHFが固定された原料ガス2は、バグフィルター24(物理的濾過装置6)により固定されたハロゲン化水素を含むダスト(固体状不純物)が、例えば、5mg/mNを下回る状態に除去(濾過)される。ダストが除去された原料ガス2は活性炭フィルター25(吸着除去装置8)に送られ、活性炭フィルター25ではダイオキシン類、Hgが活性炭に吸着されて、例えば、ダイオキシン類が0.1ngTEQ/mNを下回る値、Hgが5μg/mNを下回る値に低減される。
【0103】
活性炭フィルター25を通過した原料ガス2はブロア26により熱交換器27に送られて加熱され、加熱された原料ガス2はハロゲン化水素精密除去塔28(反応除去装置13)に送られる。ハロゲン化水素精密除去塔28ではHClやHFなどのハロゲン化水素がNaAlOに吸収され、例えば、HClやHFが1ppmを下回る濃度に除去される。
【0104】
HClやHFが1ppmを下回る濃度に除去された原料ガス2はCOSコンバーター29(触媒変換装置11)に送られてCOSがHSに変換される。COSがHSに変換された原料ガス2はZnO脱硫塔30(反応除去装置12)に送られ、ZnOの吸収反応によりHSとCOSを合わせて1ppmを下回る濃度に除去される。HSとCOSが合わせて1ppmを下回る濃度に除去された原料ガス2は熱交換器31で、例えば、600℃の燃料ガス9とされて所望の機器に送られる。
【0105】
図11に示した実施例では、必要によってタールが除去された燃料ガス9を供給することができる。そして、ガス精製設備は、乾式設備となっているので、処理液体の排水処理設備などの大掛かりな設備類を設ける必要がなく、多成分の不純物を除去した燃料ガス9(例えば、MCFC用の燃料ガス)を簡単な設備構成で得ることが可能になる。また、熱交換器を用いて適切な温度維持、及び適切な通気を行うことにより、ダストフィルターの逆洗とダストの払い出し以外には運転操作が不要である。
【0106】
図12、図13に示すように、原料ガス2をタール対策プロセス手段51に流通させない場合には、燃料供給系71からの燃料によりスタートアップヒータ72で加熱したガスをブロア73により切換えバルブ53の部位で原料ガス2に送り込み昇温させる。また、バグフィルター24には窒素カードル75から逆洗窒素タンク74に供給された逆洗用の窒素が送られて適宜逆洗が実施される。また、ガス精製設備には分析装置及び操作系76が備えられている。
【0107】
図12、図13に示すように、ガス精製設備の構成要素は一つの平面に全てが配置されている。即ち、一つの構成要素の上部には他の構成要素が存在していない。このため、各構成要素に対する構成品の交換やメンテナンスを各構成要素の上部から行うことができ、メンテナンス性が極めて良好な設備となる。また、フィルター類をパッケージ化して各構成要素の上部からパッケージを交換することで、フィルター類の交換・メンテナンスが極めて簡単に行える。
【0108】
図14に基づいて本発明の他の具体的な実施例を説明する。図14には本発明の第6実施例に係るガス精製設備の概略系統を示してある。図14に示した設備は、図7に示した実施形態例を具体的に示した設備の例であり、図7に示した構成要素と同一の要素及び図9に示した第1実施形態例に示した構成要素と同一の要素には同一符号を付してある。
【0109】
図14に示すように、原料ガス2が不純物固定手段としてのハロゲン化物除去塔63に送られる。ハロゲン化物除去塔63には、原料ホッパー23からのCa(OH)(不純物固定剤5)がスラリーとされて供給手段22から除去剤として水蒸気と共に吹き込まれる。ハロゲン化物除去塔63ではHClやHFがスラリーに吸収され、例えば、HClやHFが50ppmを下回る濃度に除去される。一方、ハロゲン化物除去塔63には、原料ホッパー61からのタール吸収剤(不純物固定剤17)が供給手段62から水蒸気と共に吹き込まれる。ハロゲン化物除去塔63では原料ガス2中のタールがタール吸収剤によって固定される。
【0110】
HClやHF、タールが固定された原料ガス2は、バグフィルター24(物理的濾過装置6)により固定されたハロゲン化物やタールを含むダスト(固体状不純物)が、例えば、5mg/mNを下回る状態に除去(濾過)される。固体状不純物が除去された原料ガス2は活性炭フィルター25(吸着除去装置8)に送られ、活性炭フィルター25ではダイオキシン類、Hgが活性炭に吸着されて、例えば、ダイオキシン類が0.1ngTEQ/mNを下回る値、Hgが5μg/mNを下回る値に低減される。
【0111】
活性炭フィルター25を通過した原料ガス2はブロア26により熱交換器27に送られて加熱され、加熱された原料ガス2はハロゲン化水素精密除去塔28(反応除去装置13)に送られる。ハロゲン化水素精密除去塔28ではHClやHFなどのハロゲン化水素がNaAlOに吸収され、例えば、HClやHFが1ppmを下回る濃度に除去される。
【0112】
HClやHFが1ppmを下回る濃度に除去された原料ガス2はCOSコンバーター29(触媒変換装置11)に送られてCOSがHSに変換される。COSがHSに変換された原料ガス2はZnO脱硫塔30(反応除去装置12)に送られ、ZnOの吸収反応によりHSとCOSを合わせて1ppmを下回る濃度に除去される。HSとCOSが合わせて1ppmを下回る濃度に除去された原料ガス2は熱交換器31で、例えば、600℃の燃料ガス9とされて所望の機器に送られる。
【0113】
図14に示した実施例では、タールが確実に除去された燃料ガス9を供給することができる。そして、ガス精製設備は、乾式設備となっているので、湿式のガス精製設備では必須となる各種吸収液の再生設備やスクラバ等から排出される処理液体の廃水処理設備などの大掛かりな設備類を設ける必要がなく、多成分の不純物を除去した燃料ガス9(例えば、MCFC用の燃料ガス)を簡単な設備構成で得ることが可能になる。また、熱交換器を用いて適切な温度維持、及び適切な通気を行うことにより、ダストフィルターの逆洗とダストの払い出しのみの簡便な操作で運転が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0114】
本発明は、ガス温度を露点以下に下げない乾式法により原料ガスから不純物を除去して燃料ガスとする燃料ガス精製設備の産業分野で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明の実施形態例に係る燃料ガス精製設備の構成要素と除去される不純物との関係を表す表図である。
【図2】本発明の第1実施形態例に係るガス精製設備の概略系統図である。
【図3】本発明の第2実施形態例に係るガス精製設備の概略系統図である。
【図4】本発明の第3実施形態例に係るガス精製設備の概略系統図である。
【図5】本発明の第4実施形態例に係るガス精製設備の概略系統図である。
【図6】本発明の第5実施形態例に係るガス精製設備の概略系統図である。
【図7】本発明の第6実施形態例に係るガス精製設備の概略系統図である。
【図8】本発明の第7実施形態例に係るガス精製設備の概略系統図である。
【図9】本発明の第4実施例に係るガス精製設備の概略系統図である。
【図10】ガス精製設備の仕様状況を表す表図である。
【図11】本発明の第5実施例に係るガス精製設備の概略系統図である。
【図12】図11に示したガス精製設備の平面配置図である。
【図13】図11に示したガス精製設備の側面配置図である。
【図14】本発明の第6実施例に係るガス精製設備の概略系統図である。
【符号の説明】
【0116】
1 原料ガス供給装置
2 原料ガス
3 不純物固定装置
4 不純物固定剤供給装置
5 不純物固定剤
6、15 物理的濾過装置
7 不純物排出装置
8 吸着除去装置
9 燃料ガス
10 精製ガス利用装置
11、14 触媒変換装置
12、13 反応除去装置
16 不純物固定剤供給手段
17 不純物固定剤
21、63 ハロゲン化物除去塔
22、62 供給手段
23、61 原料ホッパー
24 バグフィルター
25 活性炭フィルター
26 ブロア
27、31 熱交換器
28 ハロゲン化水素精密除去塔
29 COSコンバーター
30 ZnO脱硫塔
51 タール対策プロセス
52,53 切換えバルブ
71 燃料供給系
72 スタートアップヒータ
73 ブロア
74 逆洗窒素タンク
75 窒素カードル
76 分析装置及び操作系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス温度を露点以下に下げない乾式法により原料ガスから不純物を除去して燃料ガスとする燃料ガス精製設備であって、
原料ガスに除去剤を吹き込むことや不純物の相変化を利用することで不純物を固定する不純物固定手段と、
少なくとも不純物固定手段によって固定された不純物を物理的な濾過によって除去する物理的濾過手段と、
物理的濾過手段により不純物が除去された原料ガスを流通させて不純物を吸着剤によって吸着除去する吸着除去手段と
を備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項2】
ガス温度を露点以下に下げない乾式法により原料ガスから不純物を除去して燃料ガスとする燃料ガス精製設備であって、
原料ガスに除去剤を吹き込むことや不純物の相変化を利用することで不純物を固定する不純物固定手段と、
少なくとも不純物固定手段によって固定された不純物を物理的な濾過によって除去する物理的濾過手段と、
物理的濾過手段により不純物が除去された原料ガスを流通させて不純物を吸着剤によって吸着除去する吸着除去手段と、
吸着除去手段により不純物が除去された原料ガスを触媒により化学変換する触媒変換手段と、
触媒変換手段で化学変換された原料ガスを吸収剤と化学反応させて不純物を除去する反応除去手段と
を備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項3】
請求項1または2において、
不純物固定手段では、除去剤として吸着剤もしくは吸収剤が吹き込まれるか、あるいはガス温度を不純物の凝縮温度以下に低下させることに伴う相変化によって、酸性ガス、塩基性ガス、重金属類、有機塩素化合物、軽金属、炭化水素類の少なくとも一つが固定されることを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項4】
請求項1または2において、
物理的濾過手段では、不純物固定手段によって固定された不純物、原料ガス中の固体状不純物の少なくともいずれかがフィルターによって除去されることを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項5】
請求項1または2において、
吸着除去手段では、酸性ガス、塩基性ガス、重金属類、有機塩素化合物、炭化水素類の少なくとも一つが吸着剤によって吸着除去されることを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項6】
請求項5において、吸着剤は活性炭であることを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項7】
請求項2において、
触媒変換手段では、酸性ガス、塩基性ガス、炭化水素類の少なくとも一つが触媒によって化学変換されることを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項8】
請求項2において、
反応除去手段では、酸性ガス、有機塩素化合物、炭化水素類の少なくとも一つが吸収剤との化学反応によって吸収されるか、あるいは分解されて吸収されることを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項9】
ガス温度を露点以下に下げない乾式法により原料ガスから不純物を除去して燃料ガスとする燃料ガス精製設備であって、
原料ガスに除去剤を吹き込むことや不純物の相変化を利用することで不純物を固定する不純物固定手段と、
少なくとも不純物固定手段によって固定された不純物を物理的な濾過によって除去する物理的濾過手段と、
物理的濾過手段により不純物が除去された原料ガスを流通させて不純物を吸着剤によって吸着除去する吸着除去手段と、
吸着除去手段により不純物が除去された原料ガスを触媒により化学変換する触媒変換手段と、
触媒変換手段で化学変換された原料ガスを吸収剤と化学反応させて不純物を除去する反応除去手段とを備え、
不純物固定手段では、除去剤として吸着剤もしくは吸収剤が吹き込まれるか、あるいはガス温度を不純物の凝縮温度以下に低下させることに伴う相変化によって、酸性ガス、塩基性ガス、重金属類、有機塩素化合物、軽金属、炭化水素類の少なくとも一つが固定され、
物理的濾過手段では、不純物固定手段によって固定された不純物、原料ガス中の固体状不純物の少なくともいずれかがフィルターによって除去され、
吸着除去手段では、酸性ガス、塩基性ガス、重金属類、有機塩素化合物、炭化水素類の少なくとも一つが吸着剤によって吸着除去され、
触媒変換手段では、酸性ガス、塩基性ガス、炭化水素類の少なくとも一つが触媒によって化学変換され、
反応除去手段では、酸性ガス、有機塩素化合物、炭化水素類の少なくとも一つが吸収剤との化学反応によって吸収されるか、あるいは分解されて吸収される
ことを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかにおいて、
燃料ガスのガス性状を調整するガス性状調整手段を備えたことを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項11】
請求項10において、
ガス性状調整手段は、ガス性状である温度、圧力、ガス組成の少なくとも一つを、精製される燃料ガスの用途に応じて最適に調整する機能を備えていることを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項12】
請求項1〜11のいずれかにおいて、
原料ガスは、バイオマスから製造した原料ガス、廃棄物から製造した原料ガス、石炭から製造した原料ガス、重油から製造した原料ガスの少なくともいずれかであることを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項13】
請求項1〜12のいずれかにおいて、
精製された燃料ガスは、溶融炭酸塩形燃料電池用の燃料ガスであることを特徴とする燃料ガス精製設備。
【請求項14】
請求項1〜12のいずれかにおいて、
精製された燃料ガスは、化学合成用の燃料ガスであることを特徴とする燃料ガス精製設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−193563(P2006−193563A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−4526(P2005−4526)
【出願日】平成17年1月11日(2005.1.11)
【出願人】(000173809)財団法人電力中央研究所 (1,040)
【Fターム(参考)】