説明

燃料供給装置

【課題】燃料タンク内の燃料が酸化劣化した場合、その燃料を改質することの可能な燃料供給装置を提供する。
【解決手段】燃料タンク4内に設けられるポンプ本体50は、燃料タンク4内の燃料を蛇腹管49、吐出管15及び燃料配管を通して内燃機関に供給する。ポンプ本体50の吸入口側および吐出口52側の少なくともいずれか一方に燃料を改質する改質手段20が設けられる。ポンプ本体50の吐出口52から吐出された燃料の圧力が所定圧より高いとき、その燃料をプレッシャレギュレータ80は燃料タンク4内へ排出する。燃料タンク4内の燃料の酸化劣化の状態を検出する燃料性状センサ21の出力に基づき、燃料タンク4内の燃料が所定の状態よりも酸化劣化していることが検出された場合、ECUはポンプ本体50を駆動する。これにより、燃料タンク4内の燃料が改質手段20により改質される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料タンクの燃料を内燃機関に供給する燃料供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、動力源として電動機と内燃機関を備えたハイブリッド車が知られている。ハイブリッド車は、電動機による駆動が多くなり、内燃機関の運転が少なくなると、燃料タンクの燃料が長期間消費されないことがある。また、一般に、車両が長期間停止した状態が続くと、燃料タンク内の燃料が消費されない。
特許文献1では、燃料タンクと内燃機関とを接続する燃料配管に燃料の酸化劣化を検出する粘度センサが設けられている。車両の制御装置(ECU)は、粘度センサの出力に基づき、内燃機関に供給される燃料が所定の状態より酸化劣化していることが検出された場合、運転者に知らせると共に、燃料噴射を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−228534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、燃料タンク内の燃料が長期間消費されないと、燃料タンク内の空気に含まれる酸素により燃料が酸化することがある。燃料の酸性が強くなると、燃料タンク及びその燃料タンク内に設けられたポンプモジュールを形成する樹脂にクラックが発生し、又は金属に錆が発生する。これにより、ポンプモジュールを構成するポンプ本体の作動が悪化するおそれがある。また、燃料タンクから燃料漏れを生じるおそれがある。
特許文献1の燃料供給装置は、酸化劣化した燃料を改質する機能を備えていない。このため、燃料が酸化劣化していることが検出された場合、燃料を交換するか、燃料噴射量を多くする制御をしなければならない。したがって、燃費が悪化することが懸念される。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、燃料タンク内の燃料が酸化劣化した場合、その燃料を改質することの可能な燃料供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明によると、燃料タンク内に設けられるポンプ本体は、燃料タンク内の燃料を内燃機関に供給する。ポンプ本体の吸入口側および吐出口側の少なくともいずれか一方に燃料を改質する改質手段が設けられる。ポンプ本体の吐出口から吐出された燃料の圧力が所定圧より高いとき、その燃料をプレッシャレギュレータは燃料タンク内へ排出する。燃料タンク内の燃料の酸化劣化の状態を検出する燃料性状センサの出力に基づき、燃料タンク内の燃料が所定の状態よりも酸化劣化していることが検出された場合、制御手段はポンプ本体を駆動することで、燃料タンク内の燃料を循環させる。これにより、燃料タンク内の燃料が長期間消費されない場合、燃料タンク内の燃料が酸化劣化したことが検出されると、制御手段がポンプ本体を駆動することで、酸化劣化した燃料が改質手段により改質される。酸化劣化が改質された燃料は、プレッシャレギュレータにより燃料タンク内に排出されるので、燃料タンク内の燃料が改質される。このため、酸化劣化した燃料による樹脂のクラックの発生が抑制されると共に、金属の錆の発生が抑制される。したがって、ポンプ本体の作動の悪化、及び燃料タンクからの燃料漏れを抑制することができる。
【0007】
請求項2に係る発明によると、燃料供給装置は、ポンプ本体の吸入口側および吐出口側の少なくともいずれか一方に設けられ、燃料に含まれる異物を捕獲するフィルタを備える。改質手段は、フィルタに設けられ、フィルタを通過する燃料を改質する。これにより、燃料供給装置は、燃料タンク内を循環する燃料、又は燃料タンク内から内燃機関に供給される燃料をろ過すると共に、改質することができる。
【0008】
請求項3に係る発明によると、フィルタは、フィルタケース、及びこのフィルタケースに収容されるフィルタエレメントを有する。改質手段は、フィルタエレメントと一体で形成され、そのフィルタエレメントに担持される。これにより、改質手段を組み付ける工数を低減することができる。
さらに、フィルタのろ過効率を悪化させることなく、燃料を改質することができる。
【0009】
請求項4に係る発明によると、改質手段は、フィルタエレメントと別体で形成され、そのフィルタエレメントと共にフィルタケース内に収容される。この構成においても、フィルタ内にエレメントと改質手段を同時に取り付けることで、改質手段を組み付ける工数を低減することができる。
【0010】
請求項5に係る発明によると、燃料供給装置は、ポンプボディ、サブタンク、及びフランジを備える。ポンプボディは、ポンプ本体、フィルタ及びプレッシャレギュレータを収容する。サブタンクは、有底筒状に形成され、その内側にポンプボディを収容する。フランジは、燃料タンクに形成された開口を塞ぐと共に、サブタンクを燃料タンク内に固定する。
燃料性状センサは、サブタンクの内側に設けられる燃料接触式センサであり、サブタンク内の燃料の状態を検出する。
これにより、ポンプ本体に直接吸入されるサブタンク内の燃料を燃料性状センサが直接検出することが可能になるので、ポンプ本体の作動の悪化を抑制すると共に、ポンプボディ、サブタンク等からの燃料漏れを抑制することができる。なお、燃料接触式センサとしては、pHセンサ、誘電率センサ等が例示される。
【0011】
請求項6に係る発明によると、燃料性状センサは、フランジの燃料タンク内側に設けられる燃料非接触式センサであり、サブタンク内の燃料の状態を検出する。この構成によっても、ポンプ本体に直接吸入されるサブタンク内の燃料を燃料性状センサが検出することが可能になるので、ポンプ本体の作動の悪化を抑制すると共に、ポンプボディ、サブタンク等からの燃料漏れを抑制することができる。なお、燃料非接触式センサとしては、赤外線センサ等が例示される。
【0012】
請求項7に係る発明によると、改質手段は、酸化劣化した燃料を改質可能な孔を有する多孔性材料である。多孔性材料としては、酸素吸着樹脂、活性炭及びセラミック等が例示される。これにより、酸化劣化した燃料を改質することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態による燃料供給装置の構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態による燃料供給装置の断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による燃料供給装置の備えるフィルタエレメントの模式図である。
【図4】本発明の第1実施形態による燃料供給装置の備えるプレッシャレギュレータ部分の断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態による燃料供給装置の断面図である。
【図6】本発明の第3実施形態による燃料供給装置の断面図である。
【図7】本発明の第4実施形態による燃料供給装置の備えるプレッシャレギュレータ部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明による複数の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による燃料供給装置を図1〜図4に示す。本実施形態の燃料供給装置1は、図1に示すように、ポンプモジュール2及びこのポンプモジュール2の作動を制御する制御手段としてのECU3を備えている。ポンプモジュール2は、燃料タンク4に形成された開口5から挿入され、燃料タンク4内に設置されている。燃料タンク4には、燃料供給口6から燃料が供給される。燃料タンク4内の燃料は、ポンプモジュール2によって汲み上げられ、燃料配管7を経由して内燃機関へ供給される。
【0015】
ポンプモジュール2は、図2に示すように、フランジ10、サブタンク30、ポンプボディ40、ポンプ本体50、低圧フィルタ60、高圧フィルタ70、改質手段20、プレッシャレギュレータ80及び燃料性状センサ21等を備えている。ポンプモジュール2は、例えば樹脂及び金属等から形成されている。
フランジ10は、略円盤状に形成され、燃料タンク4に形成された開口5を塞いでいる。フランジ10には、吐出管15及び電気コネクタ16が設けられている。吐出管15は、一方の側が内燃機関に燃料を供給する燃料配管7に接続され、他方の側が蛇腹管49に接続されている。
【0016】
サブタンク30は、有底筒状に形成されている。フランジ10とサブタンク30とを支柱部材31が接続している。支柱部材31は、一端がフランジ10に形成された図示しない凹部に圧入され、他端がサブタンク30に形成された図示しない孔に摺動可能に取付けられている。支柱部材31の径外側には圧縮コイルスプリング34が取付けられ、その弾性力によりサブタンク30を燃料タンク4の底壁8に押し付けている。
【0017】
サブタンク30の内側にポンプボディ40が収容されている。ポンプボディ40は、図示しない取付部材によってサブタンク30に固定されている。
ポンプボディ40は、ポンプ本体50、高圧フィルタ70及びプレッシャレギュレータ80を収容すると共に、これらを連通する燃料通路45,46を形成している。
ポンプ本体50は、略円筒状に形成され、その内部に、図示しないモータ及びこのモータにより回転する図示しないインペラを有する。ポンプ本体50は、インペラの回転により、軸方向下側に設けられた吸入口から燃料を吸入、昇圧し、軸方向上側に設けられた吐出口52から燃料を吐出する。
ポンプ本体50の吸入口側には低圧フィルタ60が設けられている。低圧フィルタ60は、袋状に形成され、サブタンク30内からポンプ本体50に吸入される燃料に含まれる比較的大きな異物を捕獲する。
【0018】
ポンプ本体50の径外側に高圧フィルタ70が設けられている。高圧フィルタ70は、円環状に形成されたフィルタケース71、及びこのフィルタケース71の内側に設けられた筒状のフィルタエレメント72を有する。高圧フィルタ70は、吐出口52から吐出した燃料に含まれる比較的小さい異物を捕獲する。
【0019】
フィルタエレメント72は、先ず、綿繊維又はガラス繊維などの基材に、改質手段20としての酸素吸着樹脂、活性炭又はセラミック等の多孔性材料が混合され、図3(A)に示すように、平板状のろ紙73と波状のろ紙74とが形成される。そして平板状のろ紙73と波状のろ紙74とが接合された後、図3(B)に示すように、ロール状に巻かれる。これにより、筒状のフィルタエレメント72が形成される。この結果、改質手段20は、フィルタエレメント72に担持され、そのフィルタエレメント72と一体に形成される。したがって、フィルタエレメント72を通過する燃料は、異物が捕獲されると共に、酸化劣化した燃料が改質される。
【0020】
図4に示すように、高圧フィルタ70とポンプボディ40の流出通路47とを連通する燃料通路46にプレッシャレギュレータ80が設けられている。プレッシャレギュレータ80は、略筒状に形成されたケース81、及びこのケース81の内部に図示しない圧力弁を有する。ケース81は大径部82と小径部83とを有する。プレッシャレギュレータ80は、ケース81の大径部82と小径部83との間の段差84に形成された図示しない開口から燃料通路46を流れる燃料をケース81内部に導入している。
燃料通路46に流れる燃料の圧力が所定圧より高くなると、ケース81内部に設けられた圧力弁が開弁する。これにより、燃料通路46に流れる燃料は、ケース81内部を通り、小径部83の軸方向の上端85に形成された図示しない開口から燃料室48へ排出される。したがって、燃料通路46を流れる燃料は、プレッシャレギュレータ80により所定圧に調圧される。
【0021】
燃料室48は、ジェット通路90に連通している。ジェット通路90は、燃料室48と反対側の端部が図示しないジェットノズルに接続されている。燃料通路46から燃料室48へ排出された燃料は、ジェット通路90を経由してジェットノズルから噴射される。ジェットノズルは、サブタンク30の外側からサブタンク30内へ燃料を噴射することで、そこに発生する負圧により燃料タンク4の燃料をサブタンク30内に導入する。
また、燃料室48には、リリーフバルブ91が接続している。リリーフバルブ91は、燃料室48の燃料圧力が高くなり、その燃料圧力が弁体93に作用する力がスプリング92に設定された荷重より大きくなると、弁体93が壁面94から離座する。これにより、ジェットノズルの噴射に余剰となった燃料は、サブタンク30内へ排出される。
【0022】
図2に示すように、高圧フィルタ70から燃料通路46を通り、プレッシャレギュレータ80により所定圧に調圧された燃料は、流出通路47に流れる。流出通路47の出口側とフランジ10の吐出管15とを蛇腹管49が接続している。内燃機関の運転時、流出通路47から蛇腹管49を通り吐出管15から吐出される燃料は、燃料配管7を経由し、内燃機関に供給される。
【0023】
フランジ10の燃料タンク4内側の内壁に燃料性状センサ21が設けられている。本実施形態の燃料性状センサ21は、燃料非接触式センサであり、具体的には、赤外線センサである。赤外線センサは、サブタンク30内の燃料に向かって赤外線を照射し、燃料によって反射される光を受光素子により受光する。燃料の酸化劣化の状態に応じて燃料から反射される光が変化する。このため、燃料性状センサ21は、受光素子の受光した光に応じた信号をECU3に出力する。
ECU3は、燃料性状センサ21から出力された信号を受信すると、その信号に基づき、燃料の酸化劣化の状態を検出する。なお、ECU3は、ポンプモジュール2と別体で車両に設置されていてもよいし、ポンプモジュール2と一体でフランジ10に設置されていてもよい。
【0024】
燃料供給装置1の作動について説明する。
ECU3は、燃料の酸化劣化の状態を定期的に検出する。この検出のタイミングは、例えば、1日に1回程度であってもよいし、1月に1回程度であってもよい。
なお、ECU3は、内燃機関が一定期間運転されていないことが検出された場合、燃料の酸化劣化の状態を検出するようにしてもよい。また、ECU3は、燃料タンク4の燃料供給口6から燃料が一定期間給油されていないことが検出された場合、燃料の酸化劣化の状態を検出するようにしてもよい。
【0025】
ECU3は、サブタンク30内の燃料が所定の状態よりも酸化していることが検出された場合、リード線53を介してポンプ本体50に通電し、ポンプ本体50を駆動する。
ここで、燃料の所定の状態は、ポンプモジュール2を形成する材質の耐酸性等、種々の条件に基づき任意に設定可能である。燃料の所定の状態として、例えば、ポンプモジュール2を形成する樹脂又は金属に影響を与えない程度の劣化状態が例示される。また、燃料の所定の状態として、例えば、内燃機関の運転に影響を与えない程度の劣化状態が例示される。
【0026】
内燃機関の運転が停止しているとき、ポンプ本体50に通電されると、ポンプ本体50は、モータによりインペラを回転させ、サブタンク30内の燃料を低圧フィルタ60を経由し、ポンプ本体50に吸入する。ポンプ本体50に吸入された燃料は、インペラの回転により昇圧され、ポンプ本体50の吐出口52から排出される。この燃料は、高圧フィルタ70により異物が除去されると共に改質された後、内燃機関に供給されることなく、プレッシャレギュレータ80から燃料室48に排出される。燃料室48の燃料は、ジェットノズルからサブタンク30内に噴射される。また、燃料室48の燃料は、リリーフバルブ91からサブタンク30内に排出される。サブタンク30内に排出された燃料はサブタンク30の開口部から燃料タンク4内に溢れ出る。これにより、燃料タンク4内の燃料がポンプモジュール2を循環し、改質される。
【0027】
ECU3は、燃料性状センサ21から出力される信号に基づき、サブタンク30内の燃料が所定の状態に改質されたことが検出された場合、ポンプ本体50への通電を停止する。
なお、ECU3は、ポンプ本体50に一定時間通電した後、ポンプ本体50への通電を停止してもよい。この一定時間は、燃料タンク4内の所定量の燃料がポンプモジュール2を循環する時間、または、サブタンク30内の所定量の燃料がポンプモジュール2を循環する時間としてもよい。
【0028】
本実施形態では、以下の作用効果を奏する。
(1)燃料タンク内の燃料が長期間消費されない場合、ECU3は、燃料性状センサ21により燃料タンク4内の燃料が酸化劣化したことを検出すると、ポンプ本体50を駆動する。これにより、高圧フィルタ70に設けられた改質手段20により燃料タンク4内の燃料をろ過されると共に改質される。このため、酸化した燃料による樹脂のクラックの発生が抑制されると共に、金属の錆の発生が抑制される。したがって、ポンプ本体50の作動の悪化、並びにポンプボディ40、サブタンク30及び燃料タンク4からの燃料漏れを抑制することができる。
(2)燃料性状センサ21は、フランジ10に設けられ、サブタンク30内の燃料の状態を検出する。これにより、ポンプ本体50に直接吸入されるサブタンク30内の燃料を燃料性状センサ21が検出することが可能になる。このため、ポンプ本体50の作動の悪化を抑制すると共に、ポンプボディ40及びサブタンク30等からの燃料漏れを抑制することができる。
(3)改質手段20は、高圧フィルタ70のフィルタエレメント72に担持され、そのフィルタエレメント72と一体で形成される。これにより、改質手段20を組み付ける工数を低減することができる。さらに、高圧フィルタ70のろ過効率を悪化させることなく、燃料を改質することができる。
【0029】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態による燃料供給装置を図5に示す。以下、複数の実施形態において、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態では、燃料性状センサ22がサブタンク30の内壁に設けられている。本実施形態の燃料性状センサ22は、燃料接触式センサであり、具体的に、pHセンサまたは誘電率センサである。pHセンサは燃料の水素イオン濃度を検出する。誘電率センサは、2個の電極間を流れる燃料の静電容量を検出する。燃料性状センサ22の検出した信号は、ECU3に伝送される。
【0030】
ECU3は、燃料性状センサ22から出力された信号を受信すると、その信号に基づき、燃料の酸化劣化の状態を検出する。ECU3は、サブタンク30内の燃料が所定の状態よりも酸化していることが検出された場合、ポンプ本体50に通電し、ポンプ本体50を駆動する。これにより、燃料タンク4内の酸化劣化した燃料が高圧フィルタ70のフィルタエレメント72に担持された改質手段20により改質される。
本実施形態では、ポンプ本体50に直接吸入されるサブタンク30内の燃料を燃料性状センサ22が直接検出することが可能になる。このため、ポンプ本体50の作動の悪化を抑制すると共に、ポンプボディ40及びサブタンク30等からの燃料漏れを抑制することができる。
【0031】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態による燃料供給装置を図6に示す。本実施形態では、燃料性状センサ23がサブタンク30の底壁35に設けられている。本実施形態の燃料性状センサ23は、第2実施形態と同様、燃料接触式センサである。
また、本実施形態では、高圧フィルタ70のフィルタエレメント75と改質手段24とが別体で形成されている。改質手段24は、酸素吸着樹脂、活性炭又はセラミック等の多孔性材料、或いは磁石等から円盤状に形成されている。改質手段24は、フィルタエレメント75と共に高圧フィルタ70のフィルタケース71内に収容されている。
【0032】
本実施形態では、サブタンク30内の燃料が少量になった場合、サブタンク30の底壁35に設けられた燃料性状センサ23により燃料の性状を検出することができる。
また、本実施形態では、高圧フィルタ70のフィルタケース71内にフィルタエレメント75と改質手段24を同時に組み付けることで、改質手段24を組み付ける工数を低減し、ポンプモジュールの製造コストを低減することができる。
【0033】
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態による燃料供給装置を図7に示す。本実施形態では、リリーフバルブ91の燃料出口側に改質手段25が設けられている。
本実施形態においても、ポンプモジュール2と燃料タンク4内を循環する燃料を改質手段25に通すことで、燃料タンク4内の酸化劣化した燃料を改質することができる。
【0034】
(他の実施形態)
上述した実施形態では、燃料性状センサ21,22,23をフランジ10またはサブタンク30の内壁に設けた。これに対し、本発明は、燃料性状センサをサブタンクの外壁又は燃料タンクの内壁に設けてもよい。
上述した第1〜第3実施形態では、高圧フィルタ70に改質手段20,24を設けた。これに対し、本発明は、低圧フィルタに改質手段を設けてもよい。
上述した実施形態では、改質手段20,24,25として、酸素吸着樹脂、活性炭又はセラミック等の多孔性材料を使用した。これに対し、本発明は、改質手段として、磁石、イオン交換樹脂、グラファイトシリカ、または酸化した燃料を還元することの可能な還元剤を使用してもよい。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、上記複数の実施形態を組合せることに加え、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0035】
1 ・・・燃料供給装置
3 ・・・ECU(制御手段)
4 ・・・燃料タンク
20,24,25・・・改質手段
21,22,23・・・燃料性状センサ
50 ・・・ポンプ本体
52 ・・・吐出口
60 ・・・低圧フィルタ
70 ・・・高圧フィルタ
80 ・・・プレッシャレギュレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンク内に設けられ、前記燃料タンク内の燃料を内燃機関に供給するポンプ本体と、
前記ポンプ本体の吸入口側および吐出口側の少なくともいずれか一方に設けられ、燃料を改質する改質手段と、
前記ポンプ本体の前記吐出口から吐出された燃料の圧力が所定圧より高いとき、前記吐出口から吐出された燃料を前記燃料タンク内へ排出するプレッシャレギュレータと、
前記燃料タンク内の燃料の酸化劣化の状態を検出する燃料性状センサと、
前記燃料性状センサの出力に基づき、前記燃料タンク内の燃料が所定の状態よりも酸化劣化していることが検出された場合、前記ポンプ本体を駆動することで、燃料タンク内の燃料を循環させる制御手段と、を備えることを特徴とする燃料供給装置。
【請求項2】
前記ポンプ本体の前記吸入口側および前記吐出口側の少なくともいずれか一方に設けられ、燃料に含まれる異物を捕獲するフィルタを備え、
前記改質手段は、前記フィルタに設けられ、前記フィルタを通過する燃料を改質することを特徴とする請求項1に記載の燃料供給装置。
【請求項3】
前記フィルタは、フィルタケース、及びこのフィルタケースに収容されるフィルタエレメントを有し、
前記改質手段は、前記フィルタエレメントと一体で形成され、前記フィルタエレメントに担持されることを特徴とする請求項2に記載の燃料供給装置。
【請求項4】
前記フィルタは、フィルタケース、及びこのフィルタケースに収容されるフィルタエレメントを有し、
前記改質手段は、前記フィルタエレメントと別体で形成され、前記フィルタエレメントと共に前記フィルタケース内に収容されることを特徴とする請求項2に記載の燃料供給装置。
【請求項5】
前記ポンプ本体、前記フィルタ及び前記プレッシャレギュレータを収容するポンプボディと、
有底筒状に形成され、その内側に前記ポンプボディを収容するサブタンクと、
前記燃料タンクに形成された開口を塞ぐと共に、前記サブタンクを前記燃料タンク内に固定するフランジと、を備え、
前記燃料性状センサは、前記サブタンクの内側に設けられる燃料接触式センサであり、前記サブタンク内の燃料の状態を検出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料供給装置。
【請求項6】
前記ポンプ本体、前記フィルタ及び前記プレッシャレギュレータを収容するポンプボディと、
有底筒状に形成され、その内側に前記ポンプボディを収容するサブタンクと、
前記燃料タンクに形成された開口を塞ぐと共に、前記サブタンクを燃料タンク内に固定するフランジと、を備え、
前記燃料性状センサは、前記フランジの前記燃料タンク内側に設けられる燃料非接触式センサであり、前記サブタンク内の燃料の状態を検出することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の燃料供給装置。
【請求項7】
前記改質手段は、酸化劣化した燃料を改質可能な孔を有する多孔性材料であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の燃料供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−62785(P2012−62785A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205703(P2010−205703)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】