説明

燃焼溶融炉及び燃焼溶融炉の運転方法

【課題】本発明は燃焼溶融炉の燃焼室の熱負荷変動による不安定要因を緩和して燃焼溶融炉の長期安定運転の実現と、燃焼室壁面の耐火材の溶損速度の抑制とを両立する燃焼溶融炉を提供する。
【解決手段】本発明の燃焼溶融炉は、燃焼溶融炉の燃焼室で燃料粒子を燃焼して発生した燃焼ガスを燃焼室から排出する排ガス煙道に燃焼ガスから熱量を回収する熱交換器を設置し、燃焼用空気を燃焼室に供給する第一の空気配管にこの第一の空気配管から分岐した分岐空気配管を設けてこの分岐空気配管の一部を伝熱管として熱交換器に配設し、熱交換器で熱交換されて加熱された燃焼用空気を流下させる分岐空気配管が第一の空気配管に連通するように配設して第一の分岐空気配管を流下する加熱した燃焼用空気と第一の空気配管を流下する低温の燃焼用空気とを混合させ、混合して温度が所望の温度範囲に調整された燃焼用空気を第一の空気配管を通じて燃焼室に供給するように構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、都市ごみを熱分解して得られた可燃性の燃焼粒子を燃焼して燃焼ガスを生成し、燃焼粒子が燃焼した灰分を溶融してスラグ化して回収する燃焼溶融炉及び燃焼溶融炉の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、都市ごみの増加に伴ってごみを燃焼して生じた焼却灰の埋め立て処分場の容量が逼迫している。そのため、焼却炉から排出される灰をごみの持つエネルギーを直接利用して溶融し減容化するごみ処理施設が考えられている。
【0003】
特に、ごみを熱分解装置にて還元雰囲気で加熱して熱分解ガスと固体残渣とを生成し、固体残渣から不燃物を除いた燃料粒子を燃焼溶融炉にて燃焼し、この燃料粒子の燃焼で発生した熱を利用して燃料粒子の焼却灰を溶融しスラグ化して回収する燃焼溶融炉を備えたごみ処理施設が注目されている。
【0004】
燃焼溶融炉には、燃焼粒子及び燃焼用の空気を燃焼室の内部で旋回させて燃焼する旋回型の燃焼溶融炉の方式が多く見られる。旋回型の燃焼溶融炉では燃焼溶融炉の燃焼室の内部に燃焼用空気によって高速の旋回流を形成し、その旋回流の中でごみから生成した燃料粒子を燃焼させると共に、ごみの燃焼で生じた焼却灰を旋回流の遠心力によって燃焼室の壁面に捕捉させて溶融スラグ化させている。
【0005】
この溶融スラグは燃焼溶融炉の燃焼室の壁面を下方に流下して燃焼室の底面に設けられたスラグ排出口から炉外に排出されるので、燃焼溶融炉の運転を長時間安定に保つには燃焼室の壁面の温度をスラグの溶融点以上に保つことが重要である。
【0006】
特許第3,557,912号公報には、ごみから生成した燃料粒子を燃焼させる旋回型の燃焼溶融炉において、空気比が1未満の還元雰囲気よりなる一次燃焼と空気比が1以上の酸化雰囲気よりなる二次燃焼とを一つの燃焼室で燃焼させるように構成して、燃焼溶融炉の構造を簡素化した技術が開示されている。
【0007】
【特許文献1】特許第3,557,912号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、都市ごみを熱処理して得られる燃料粒子の熱量は一定ではない。即ち、ごみの組成が不均一であることに起因した燃料粒子の熱量の変動と、熱処理するごみの量の変化に応じて生成される燃料粒子の量の増減によって、ごみを熱処理して得られる燃料粒子の全体の熱量は変化する。
【0009】
このため、特許第3,557,912号公報に記載された構成のごみから生成した燃料粒子を燃焼させる燃焼溶融炉では、燃料粒子の全体の熱量の変化により燃料粒子を燃焼して発生する熱負荷が変動することになり、以下の課題が生じる。
【0010】
(1)燃焼溶融炉の燃焼室内で熱負荷が減少した場合は、燃焼室内の平均温度は低下して燃焼室壁面が冷却されるため、焼却灰を溶融スラグ化する燃焼溶融性が低下して燃焼溶融炉の長期安定運転が困難となる。このため、熱負荷が減少した場合の燃焼溶融性を確保するために灯油等の助燃が必要となり燃料費が増加する。
【0011】
(2)燃焼溶融炉の燃焼室内で熱負荷が増加した場合は、燃焼室内の平均温度は上昇して燃焼室壁面の温度が上昇するため、燃焼室を構成する燃焼室壁面の耐火材の溶損速度が速くなる。また、燃焼室内に供給される燃料粒子が増量して熱負荷が増加した場合は、燃焼室内の壁面を流下する溶融スラグが増量するため、耐火材の溶損速度は更に速くなる。
【0012】
燃焼室壁面の耐火材の溶損はごみ処理施設の連続運転時間の制約となるばかりではなく、高額で長期の耐火材補修頻度が増えるため極めて重大な障害である。
【0013】
また、燃焼溶融炉の補修にはごみ処理施設を構成する他の機器も降温が必要となるため、降温、昇温に起因する腐食等の問題によって他の機器の寿命が短くなる問題もある。
【0014】
以上説明したように、ごみを熱処理して得られる燃料粒子を燃料とする燃焼溶融炉の燃焼室内の熱負荷に変動が生じて熱負荷が減少した場合は燃焼溶融炉の長期安定運転が困難となる課題があり、一方、熱負荷が増加した場合は燃焼室壁面の耐火材の溶損速度が速くなる課題がある。
【0015】
本発明の目的は、燃焼溶融炉の燃焼室内での熱負荷変動に起因する不安定要因を緩和して燃焼溶融炉の長期安定運転の実現と、燃焼室壁面の耐火材の溶損速度の抑制とを両立させた燃焼溶融炉を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の燃焼溶融炉は、ごみから生成された燃料粒子を供給する燃料配管と燃焼用空気を供給する第一の空気配管とが配設された燃焼室を備え、燃焼室で燃料粒子を燃焼して燃料粒子に含まれた灰分を溶融する燃焼溶融炉において、燃焼溶融炉の燃焼室で燃料粒子を燃焼して発生した燃焼ガスを燃焼室から排出する排ガス煙道に燃焼ガスから熱量を回収する熱交換器を設置し、燃焼用空気を燃焼室に供給する第一の空気配管にこの第一の空気配管から分岐した分岐空気配管を設けてこの分岐空気配管の一部を伝熱管として熱交換器に配設し、熱交換器で熱交換されて加熱された燃焼用空気を流下させる分岐空気配管を第一の空気配管に連通させて分岐空気配管を流下する加熱した燃焼用空気と第一の空気配管を流下する低温の燃焼用空気とを混合させ、混合して温度が所望の温度範囲に調整された燃焼用空気を分岐空気配管と連通した下流側の第一の空気配管を通じて燃焼室に供給するように構成したことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の燃焼溶融炉は、ごみから生成された燃料粒子を供給する燃料配管と燃焼用空気を供給する第一の空気配管とが配設された燃焼室を備え、この燃焼室で燃料粒子を燃焼して燃料粒子に含まれた灰分を溶融する燃焼溶融炉において、燃焼溶融炉の燃焼室で燃料粒子を燃焼して発生した燃焼ガスを燃焼室から排出する第一の排ガス煙道に燃焼ガスから熱量を回収する熱交換器を設置し、燃焼用空気を燃焼室に供給する第一の空気配管にこの第一の空気配管から分岐した分岐空気配管を設けて分岐空気配管の一部を伝熱管として熱交換器に配設し、熱交換器で熱交換されて加熱された燃焼用空気を流下させる分岐空気配管が第一の空気配管に連通させて分岐空気配管を流下する加熱した燃焼用空気と第一の空気配管を流下する低温の燃焼用空気とを混合させ、混合して温度が所望の温度範囲に調整された燃焼用空気を分岐空気配管と連通した下流側の第一の空気配管を通じて燃焼室に供給し、更に燃焼室に低温の空気を流下させる第二の空気配管を配設して空気を冷却用空気として燃焼室に供給するように構成したことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の燃焼溶融炉の運転方法は、ごみから生成された燃料粒子と燃焼用空気を燃焼室に供給して燃焼させて燃焼ガスを生成すると共に燃料粒子に含まれた灰分を溶融する燃焼溶融炉の運転方法において、燃焼溶融炉の燃焼室で燃料粒子を燃焼して発生した燃焼ガスを燃焼室から排出する排ガス煙道に設置した熱交換器によって燃焼室から排出された燃焼ガスから熱量を回収し、燃焼室に供給する低温の燃焼用空気の一部を分岐して熱交換器に供給してこの分岐した燃焼用空気を燃焼ガスから回収した熱量で加熱し、加熱された分岐した燃焼用空気を低温の燃焼用空気と混合させて燃焼用空気の温度を所望の温度範囲に調整し、この所望の温度範囲に調整された燃焼用空気を燃焼室に供給するようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、燃焼溶融炉の燃焼室内での熱負荷変動に起因する不安定要因を緩和して燃焼溶融炉の長期安定運転の実現と、燃焼室壁面の耐火材の溶損速度の抑制とを両立させた燃焼溶融炉が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施例であるごみを処理する燃焼溶融炉について図面を参照して以下に説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は本発明の一実施例であるごみを処理する燃焼溶融炉の構成を示す。
【0022】
図1において、燃焼溶融炉1を構成する主要機器の燃焼室1aは、燃焼室1aの内壁面を耐火材で構成している。
【0023】
燃焼室1aを内側の空間部に形成する燃焼溶融炉1の胴部には、都市ごみを熱分解して得られた固体物質或いは石炭などの可燃性固体物質を粉砕して生成した燃料粒子を燃焼室1の内部に供給する燃料粒子供給口2と、燃焼用空気を燃焼室1に供給する燃焼用空気供給口3と、助燃用の燃料を燃焼室1aに供給する助燃バーナ5とが夫々設置されている。
【0024】
そして、燃焼溶融炉1の燃焼室1aにて燃料粒子供給口2から供給された燃料粒子を、燃焼用空気供給口3から供給された燃焼用空気、及び助燃バーナ5から供給された助燃用の燃料によって燃焼させるように構成されている。
【0025】
燃焼室1aの胴部の上部には燃焼室1aの内部にて供給された燃料粒子を燃焼して生じた燃焼ガスを燃焼溶融炉1から外部に排出する燃焼ガス排出口6が設けられている。
【0026】
燃焼溶融炉1の胴部の内側で燃焼室1aの下部には、燃焼室1aで燃料粒子を燃焼させることにより生成した灰分が溶融して溶融スラグとなるので、この溶融スラグを燃焼室1aから排出するスラグ排出口4と、このスラグ排出口4から排出されたスラグを冷却した後に外部に排出するスラグ水槽13が設置されている。
【0027】
燃料粒子供給口2に供給される燃料粒子は、燃料供給装置12に貯蔵した都市ごみ等のこみを熱分解して得られた固体物質或いは石炭などの可燃性固体物質を粉砕して生成した燃料粒子を燃料配管57に導き、燃料配管57の上流側に設置した空気送風機11から送給される空気によって燃料粒子を搬送することにより燃料配管57を通じて燃料粒子供給口2に供給される。
【0028】
燃焼用空気供給口3に供給される燃焼用空気は、空気送風機7から空気配管53を通じて供給される。
【0029】
助燃バーナ5に供給される灯油等の助燃用の燃料は、助燃燃料供給装置14から燃料配管59を通じて供給される。助燃バーナ5に供給される燃焼用空気は、空気送風機11から空気配管58を通じて供給される。
【0030】
燃焼溶融炉1の燃焼室1aにて燃料供給装置12から供給された燃料粒子を燃焼して発生した高温の燃焼ガスは、燃焼ガス排出口6から排ガス煙道51を通じて排出される。
【0031】
排ガス煙道51の経路の途中には熱交換器8が設置され、この熱交換器8の下流側には排ガス処理装置16が設置されて燃焼ガスに含まれる有害分を除去している。
【0032】
排ガス処理装置16を経た燃焼ガスは排ガス煙道51を流下して煙突17から大気に放出される。
【0033】
排ガス煙道51の経路途中に熱交換器8を設置することにより、燃焼溶融炉1の燃焼室1aで生じた燃焼ガスが保有する廃熱を有効利用できる。
【0034】
即ち、送風機7から燃焼用空気を燃焼用空気供給口3に供給する空気配管53の上流側部分で空気配管53から空気配管55が分岐しており、空気配管55には送風機7から送給された燃焼用空気の一部が流下する。
【0035】
この空気配管55はその一部が伝熱管として熱交換器8に配設されており、送風機7から送給された燃焼用空気の一部が熱交換器8に配設された空気配管55を流下する。
【0036】
熱交換器8において排ガス煙道51を流れる高温の燃焼ガスと空気配管55を流下する燃焼用空気とが熱交換されて燃焼用空気が加熱され、この加熱された燃焼用空気は熱交換器8の下流側の空気配管55を流下して空気配管53と合流点27で合流する。
【0037】
そして、この合流点27にて空気配管55を流下して加熱された燃焼用空気と、送風機7から送給されて空気配管53を流下する低温の燃焼用空気とが混合され、温度調節された燃焼用空気が合流点27の下流側の空気配管53を更に流下して燃焼用空気供給口3に供給されることによって、温度調節された燃焼用の空気を燃焼溶融炉1の燃焼室1aに流入させている。
【0038】
熱交換器8にて排ガス煙道51を流下する燃焼ガスとの熱交換によって加熱された燃焼用空気が流れる熱交換器8の下流側の空気配管55には、バルブ9と流量計18とが設置されている。
【0039】
また、非加熱の低温の燃焼用空気が流れる合流点27より上流側の空気配管53には、バルブ10と流量計19が設置されている。
【0040】
そして、空気配管55に設置したバルブ9及び空気配管53に設置したバルブ10の各バルブ開度を調整して空気配管55及び空気配管53を夫々流下する燃焼用空気の流量配分を調節することにより、燃焼用空気供給口3から燃焼室1aに供給される燃焼用空気の温度を適正な約150〜350℃の温度範囲に調整することが可能となっている。
【0041】
燃焼溶融炉1には燃焼用空気供給口3から燃焼室1aの内部の壁面に沿って流入させる燃焼用空気の温度を、燃焼室1aの壁面を構成する耐火材の溶損速度が長期間使用できる低い耐火材溶損速度に低減するように、約150〜350℃の温度範囲に調整する制御装置30が設置されている。
【0042】
この制御装置30には、検出器である流量計18で検出した熱交換器8の下流側の空気配管55を流下する加熱された燃焼用空気の流量と、流量計19で検出した合流点27より上流側の空気配管53を流下する低温の燃焼用空気の流量の検出信号が入力される。
【0043】
燃焼室1aの内部の壁面には燃焼室1aの壁面の温度を検出する温度計21が設置されているが、温度計21で検出する壁面の温度は燃焼溶融炉1の熱負荷と、燃焼室1aで燃焼する燃料粒子に対する燃焼用空気の比である空気比とに依存するので、熱負荷のみの指標とはならない。
【0044】
燃焼室1aの内部で燃料粒子供給口2から供給された燃料粒子を燃焼させた燃焼室内の燃焼温度は約1400℃であり、温度計21で検出される燃焼室1aの壁面温度は約900〜950℃にもなる。そこで、温度計21で検出した燃焼室1aの壁面温度の検出信号を制御装置30に入力させ、燃焼室1aの壁面を構成する耐火壁の溶損速度の進展を抑制するためにこの制御装置30によって燃焼室1aに流入させる燃焼用空気の温度制御を行う。
【0045】
また、合流点27より下流側の空気配管53を流下して燃焼用空気供給口3に供給される燃焼用空気の温度は、合流点27の下流側の空気配管53に設置された温度計20により測定される。
【0046】
この温度計20で検出される空気の温度は、空気配管55で導かれた熱交換器8で加熱した燃焼用空気と、合流点27より上流側の空気配管53を流下する低温の燃焼用空気とを合流点27で混合して温度が調整されて、合流点27の下流側の空気配管53を流れる燃焼用空気の温度をモニターするものであり、温度計20の検出信号も監視用に制御装置30に入力される。
【0047】
そして、制御装置30では、温度計21によって測定された燃焼室1aの壁面の温度の検出信号をメインの検出値として、燃焼溶融炉1の燃焼室1aの壁面を構成する耐火材の溶損速度が長期間使用できる低い耐火材溶損速度に低減するように、燃焼用空気供給口3に供給される燃焼用空気の流量を調節してこの燃焼用空気の温度を所望の温度範囲に制御する。
【0048】
即ち、温度計21で検出した燃焼室1aの壁面温度に基づいて制御装置30によって空気配管53のバルブ10の開度を制御して燃焼用空気の流量を調節し、燃焼用空気供給口3を通じて燃焼室1aに供給する燃焼用空気の温度を約150〜350℃の所望の温度範囲となるように調整する。
【0049】
尚、熱交換器8の伝熱管となる空気配管55の耐熱性を考慮して常時一定流量の燃焼用空気を空気配管55に流す必要があるので、熱交換器8で加熱された燃焼用空気を流す空気配管55に設置したバルブ9は制御装置30によって一定開度に制御する。
【0050】
したがって、制御装置30では燃焼用空気の流量に対応した空気配管53のバルブ10の開度を温度計21で測定した燃焼室1aの壁面温度の検出信号に基づいて演算し、このバルブ10に対する弁開度の指令信号を制御装置30から出力して、バルブ9は一定開度に、バルブ10は燃焼室1aの壁面温度の変化に対応した適切な開度に夫々操作して、燃焼用空気供給口3を通じて燃焼室1aの壁面に沿って流入させる燃焼用空気の温度を所望の温度範囲の約150〜350℃に制御するようにしている。
【0051】
ところで、燃焼用空気供給口3の配設位置は、図2に示したように燃焼溶融炉1の燃焼室1aの断面に対して例えば燃焼室1aの外周の接線方向に沿って4箇所の燃焼用空気供給口3a、3b、3c、3dを相互に離間させて設置することによって、燃焼室1aの内部には空気配管53を通じて供給され流入した燃焼用空気を燃焼室1aの内壁に沿って流下する旋回流が形成できる。
【0052】
燃焼溶融炉1の燃焼室1aの内部では燃焼用空気供給口3a、3b、3c、3dから流入させた燃焼用空気によって壁面に沿って流下する旋回流を形成させているので、燃料粒子供給口2から燃焼室1aの内部に供給された燃料粒子は燃焼用空気による旋回流の中で約1400℃で燃焼して燃焼ガスを生成する。
【0053】
また、燃焼室1aの内部に供給された燃料粒子は燃焼ガスの生成と同時に焼却灰も生成し、この焼却灰が燃焼用空気の旋回流による遠心力で燃焼室1aの壁面に捕捉されて溶融スラグとなる。
【0054】
生成した溶融スラグは燃焼室1aからスラグ排出口4を経由して排出されて、燃焼室1aの下方に設置されたスラグ水槽13に流入して冷却される。
【0055】
次に、本実施例の燃焼溶融炉1によって燃焼用空気を所望の温度範囲の約150〜350°に温度調整して燃料粒子の燃焼試験を実施した結果を説明する。
【0056】
燃焼試験では、熱交換器8を流下する燃焼ガスによって加熱された燃焼用空気の流量が一定になるようにバルブ9の開度を調整し、燃焼室1aの熱負荷の変動を燃焼室1aの壁面に設置した温度計21で検出した所望の温度範囲から変動した温度偏差に基づいて、制御装置30によってバルブ10の開度を調整して非加熱の燃焼用空気の空気量を調節し、この加熱された燃焼用空気と非加熱の燃焼用空気とを混合し、燃焼用空気供給口3から燃焼室1aの内部に供給する燃焼用空気としての温度を所望の温度の範囲に自動調整した。
【0057】
即ち、燃焼室1aの内部の壁面に設置した温度計21によって燃焼室1aの内部の熱負荷に連動した燃焼室1aの壁面の温度を検出して制御装置300にその検出信号を入力させる。
【0058】
制御装置300では、予め定めた例えば730℃の設定温度の比較して温度計21で検出した燃焼室1aの壁面温度との偏差信号に基づいて、燃焼用空気が所望の約150〜350℃の温度範囲となるように温度制御を行う。
【0059】
即ち、温度計21で検出する燃焼室1aの壁面温度が730℃を越えて燃焼室1aの壁面を構成する耐火材が長期間使用できる低い耐火材溶損速度の上限に上昇した場合には、空気配管53に設けられたバルブ10の開度を開けて非加熱の燃焼用空気の流量を増やし、燃焼用空気供給口3に供給する燃焼用空気の温度を約150〜350℃の範囲の中で下限の約150℃に近い温度に低下するように調節して供給する。
【0060】
逆に、温度計21で検出する燃焼室1aの壁面温度が730℃を下回って燃焼室1aの壁面を構成する耐火材が長期間使用できる低い耐火材溶損速度の下限に低下した場合には、空気配管53に設けられたバルブ10の開度を減じて非加熱の燃焼用空気の流量を減少させ、燃焼用空気供給口3に供給する燃焼用空気の温度を約150〜350℃の範囲の中で上限の約350℃に近い温度に上昇するように調節して供給する。
【0061】
このような燃焼用空気の温度制御を制御装置300によって行うことによって燃焼用空気供給口3に供給される燃焼用空気の温度を、燃焼室1aの壁面を構成する耐火材が長期間使用できる低い耐火材溶損速度に低減し得る所望の温度範囲の約150〜350℃に制御し、燃焼室1aの壁面の温度を、例えば約730℃に一定に維持することによって燃焼室壁面の耐火材の溶損速度の進行を抑制する。
【0062】
また、この燃焼用空気の温度制御の利点は、燃焼室1aの内部の熱負荷が上がった場合には燃焼用空気の総量が増えるので空気比が上がり、一方、燃焼室1aの内部の熱負荷が下がった場合には空気比が下げることが出来ると共に、燃焼用空気の温度を所望の温度範囲に自動的に調整できることにより、燃焼室1aの熱負荷変化に起因する燃焼室1aの運転温度である約1400℃からの変動を抑制できることにある。
【0063】
ここで空気比とは、燃料粒子を完全に酸化させるのに必要な酸素量に対して実際の燃焼に使用した酸素量の比である。
【0064】
上記した燃焼試験の結果、燃焼室1aの内部の熱負荷が低下して燃焼室1aの壁面温度が低下した場合には、燃焼用空気の温度を自動的に上昇させるように調整することによって助燃を増大させずに燃焼溶融炉の長期安定運転を確保することができた。
【0065】
また、燃焼室1aの内部の燃負荷が増加して燃焼室1aの壁面温度上昇した場合には、燃焼用空気の温度を自動的に低下させるように調整することによって燃焼室1aの壁面の耐火材の溶損速度を抑制できることが確認できた。
【0066】
次に、本実施例における燃焼溶融炉で、燃焼室1aの壁面温度に基づいて燃焼室1aの内壁に沿って流入させる燃焼用空気を所望の温度範囲の約150〜350℃に制御させることによって燃焼室1aの壁面を構成する耐火材の溶損速度を抑制する実験の結果を説明する。
【0067】
燃焼室1aの内部の熱負荷増加によって生じる燃焼室壁面の耐火材の溶損速度が速くなる課題に対して、本実験では燃焼室1aとして試験炉を用いて耐火材の溶損速度の影響を検討し、燃焼室1aとなる試験炉に流入させる燃焼用空気としてヒータで加熱した空気と非加熱の空気とを混合した混合空気を用いて検討した。
【0068】
図7は、この試験炉に流入させる混合空気を所定の流量に保ち、試験炉の壁面温度を変化させた場合の壁面を構成する耐火材の溶損速度を実験した結果である。
【0069】
図7では、壁面温度が950℃の場合の耐火材の溶損速度を100として規格化して耐火材の溶損速度を評価したものであり、図7に示した通り燃焼用空気温度を約150〜350℃の範囲に調節して試験炉に供給した場合に耐火材の溶損速度は著しく減ずることを実験により確認できた。
【0070】
ここで、壁面温度が約950℃の場合とは、通常の燃焼溶融炉で燃焼ガスを熱源として熱交換器にて熱回収した加熱空気を燃焼用空気にそのまま用いて非加熱の空気を混合しない場合の上限の温度である。
【0071】
この熱回収した加熱空気を燃焼用空気として用いると、燃焼室1aを構成する試験炉で燃料粒子を燃焼して所定の約1400℃の温度を維持するのに必要な助燃燃料を不要、或いは減少させることが出来る。
【0072】
また、燃焼用空気として非加熱の空気を加熱空気に対して混合させ過ぎて燃焼用空気の温度をより低い温度に低下させてしまうと、燃焼室1aを構成する試験炉での燃料粒子の燃焼温度が所定の約1400℃を維持できなくなり、安定燃焼に支障をきたすことになる。
【0073】
また、燃焼溶鉱炉1に備えられた燃料粒子を製造する前処理設備であるゴミピットの異臭拡散を防止するため、ゴミピットの空気を吸引して負圧にしている。そして、ゴミピットから吸引した空気を燃焼室1aに供給して燃料粒子の燃焼用空気として利用している。
【0074】
ところで、ゴミピットから吸引した空気をそのまま使用すると、ごみに含まれた硫酸成分によって酸露点腐食が生じるので、酸露点腐食を回避するためにも燃焼用空気の温度を約150℃以上に調節する必要があります(硫酸の結露点:約150℃)。
【0075】
そこで、燃焼室1aを構成する試験炉の壁面温度を、例えば約930℃程度に維持するために試験炉に流入させる燃焼用空気の温度を約150〜350℃の範囲に温度調整させることが必要となる。
【0076】
即ち、燃焼室1aの壁面の耐火材溶損速度を抑制するためには、燃焼室1aの内部に供給する燃焼用空気の温度を約150〜350℃の範囲に調整しないと効果が得られないことになる。
【0077】
一方、燃焼室1aの内部の熱負荷減少によって生じる燃焼不安定の課題に対して、燃焼空気の温度を上げることにより燃焼室1aの壁面の温度を上昇させた長期安定運転の可能性を検討した。
【0078】
この場合、燃焼空気の温度は高い方が理想的であるが、実用的には、通常の熱交換器の効率で得られる温度の範囲内であることと、耐熱性を満足する配管材料が350℃を超えると著しく高価になるコストの制約から燃焼空気の上限温度は350℃となる。
【0079】
試験炉を用いて熱負荷を低下させ、350℃に加熱した燃焼用空気で燃焼試験の実験を行ったところ、試験炉の場合では熱負荷が低下した場合も助燃を必要とせずに燃焼が安定し長期安定運転が可能であることが確認できた。
【0080】
以上の実験の結果により、熱負荷変動に起因する燃焼室壁面の耐火材の溶損速度を抑制すると同時に熱負荷変動に起因する不安定要因を緩和し燃焼溶融炉の長期安定運転を実現するには、熱負荷変動で変化する燃焼室の壁面温度を検出し、この検出した壁面温度に基づいて燃焼室に供給する燃焼用空気の温度を所望の温度範囲に調整することによって、燃焼室壁面を適正温度に保ち耐火材の溶損速度を抑制することが効果的である。
【0081】
そこで本実施例では、燃料粒子を燃焼して燃料粒子内の灰分を溶融する燃焼溶融炉1の燃焼室1aで燃料粒子を燃焼して発生した燃焼ガスを燃焼室1aの燃焼ガス排出口から排出する排ガス煙道51の経路に熱交換器を設置して燃焼ガスから熱を回収して空気を加熱し、この加熱された空気と非加熱の空気とを混合して所望の温度範囲に調整した燃焼用空気を燃焼溶融炉1の燃焼室1aの燃焼用空気供給口3に供給するように構成した。
【0082】
また、本実施例では、燃焼溶融炉1の燃焼室1aの壁面温度を計測する温度計21を設置して、この温度計21で検出した燃焼室1aの壁面温度に基づいて制御装置30によってバルブ10を操作して熱交換器8を介して加熱された燃焼用空気と非加熱の燃焼用空気を混合して約150℃〜350℃の所望の温度範囲に調整し、この所望の温度範囲に調整した燃焼用空気を燃焼溶融炉1の燃焼室1aの燃焼用空気供給口3に供給するように構成したので、燃焼室の壁面温度を適正温度に保ち耐火材の溶損速度を抑制することが可能となる。
【0083】
従って、本実施例によれば、燃焼溶融炉の燃焼室内での熱負荷変動に起因する不安定要因を緩和して燃焼溶融炉の長期安定運転の実現と、燃焼室壁面の耐火材の溶損速度の抑制とを両立させた燃焼溶融炉が実現できる。
【実施例2】
【0084】
図3は本発明の他の実施例であるごみを処理する燃焼溶融炉の構成を示す。
【0085】
本実施例における燃焼溶融炉は図1乃至図2に示した実施例と基本的な構成は同じであるので、共通した構成及び作用の説明は省略して相違した部分のみ説明する。
【0086】
図3の燃焼溶融炉において、図1に示した実施例の燃焼溶融炉と異なる点は、燃焼溶融炉1の燃焼室1aの内部に燃料粒子を燃焼して生じた燃焼ガスを燃焼ガス排出口6から外部に排出する排ガス煙道51が排ガス煙道51に設置したバルブ22の上流側で分岐して丁度、熱交換器8をバイパスする排ガス煙道52が配設されている。
【0087】
この排ガス煙道52にもバルブ23を設置して、排ガス煙道52を熱交換器8の下流側にて排ガス煙道51に合流するように構成している。
【0088】
図1に示した実施例の構成では燃焼溶融炉1の燃焼室1aから排出された燃焼ガスは全て熱交換器8を通過するため、熱交換器8の伝熱管となる空気配管55の耐熱性を考慮して常時一定流量の燃焼用空気を空気配管55に流す必要があり、よって燃焼溶融炉1の燃焼室1aに供給する燃焼用空気の温度を低下させる必要が生じた際にその自由度が制限される。
【0089】
特に、燃焼溶融炉1の燃焼室1aでの熱負荷が小さく、つまり全燃焼用空気の流量が少ない条件の場合において燃焼用空気の温度を低下させる自由度が制限される状況は顕著となる。
【0090】
これに対して図3に示した本実施例では、熱交換器8が設置される排ガス煙道51にバルブ22を、排ガス煙道51から分岐した排ガス煙道52にバルブ23を夫々設置し、これらのバルブ51、及びバルブ52の開度を制御装置30からの指令信号によって夫々調整することによって、熱交換器8をバイパスして排ガス煙道52を流下するガスの流量を増加し、排ガス煙道51を流下して熱交換器8を流れる燃焼ガスの流量を減少させることが出来るので、実施例1の排ガス煙道51を流れる燃焼ガスの流量よりも本実施例の排ガス煙道51を流れる燃焼ガスの流量を少なくすることが可能となる。
【0091】
これにより、熱交換器8を介して排ガス煙道51を流れる燃焼ガスによって加熱される燃焼用空気の温度を図1に示す実施例よりも容易に所望の約150〜350℃の温度範囲に調整することができ、よって燃焼用空気の温度を調節する自由度が増加する。
【0092】
よって、燃焼溶融炉1の燃焼室1aにおける全ての熱負荷に亘って燃焼用空気の温度を適切な温度範囲に調整でき、燃焼溶融炉1の助燃量を増大させずに燃焼溶融炉1の燃焼室1aの壁面を構成する耐火材の溶損速度を長期間使用できる温度にまで十分に低下させることができる。
【0093】
従って、本実施例によれば、燃焼溶融炉の燃焼室内での熱負荷変動に起因する不安定要因を緩和して燃焼溶融炉の長期安定運転の実現と、燃焼室壁面の耐火材の溶損速度の抑制とを両立させた燃焼溶融炉が実現できる。
【実施例3】
【0094】
図4に本発明の更に他の実施例であるごみを処理する燃焼溶融炉の構成を示す。
【0095】
本実施例における燃焼溶融炉は図1乃至図2に示した実施例と基本的な構成は同じであるので、共通した構成及び作用の説明は省略して相違した部分のみ説明する。
【0096】
図4の燃焼溶融炉1において、図1に示した実施例の燃焼溶融炉と異なる点は、燃焼溶融炉1の燃焼室1aの壁面に低温の冷却空気を供給する壁面冷却用空気口24を設置し、この壁面冷却用空気口24に冷却空気を導く空気配管54を配設するように構成したことである。
【0097】
空気配管54は空気送風機7から空気を導く空気配管55の上流側部分で分岐させて配設しても良いし、或いは空気配管55とは独立して配設させても良い。いずれであっても低温の冷却空気を空気送風機7から空気配管54を通じて壁面冷却用空気口24に供給し燃焼室1aの内部に流下させて燃焼室1aの壁面を冷却できれば良い。
【0098】
この空気配管54には、空気配管54を流下する冷却空気の流量を調節するバルブ25と流量を検出する流量計26が夫々設置されており、制御装置30からの指令信号によってバルブ25の開度を操作して壁面冷却用空気口24から燃焼室1aに流入する冷却空気の流量を調節するようになっている。
【0099】
また、燃焼室1aの壁面に設置した壁面冷却用空気口24の位置は、空気配管53を通じて流下した所望の約150〜350℃の温度範囲に調整された燃焼用空気を燃焼室1aに流入させる燃焼用空気供給口3と、燃料配管57を通じて供給される燃料粒子を燃焼室1aに供給する燃焼粒子供給口2とに対する壁面冷却用空気口24の相対的な位置関係が重要である。
【0100】
図5は、燃焼溶融炉1の燃焼室1aの壁面に設けた燃焼用空気供給口3と、燃料粒子供給口2及び壁面冷却用空気口24の相対的な配置関係を表したものであり、図5の(a)は燃焼溶融炉1の配設方向に沿ってこれらの相対的な配置関係を示し、図5の(b)は、燃焼溶融炉1の燃焼室1aをA−A方向に断面してこれらの相対的な配置関係を示す断面図を、図5の(c)は燃焼室1aの外壁に沿って展開してこれらの相対的な配置関係を示す展開図である。
【0101】
燃焼用空気供給口3、燃料粒子供給口2及び壁面冷却用空気口24を図5に示すような相対的な配置関係で配置したことによって、燃焼用空気供給口3より燃焼溶融炉1の燃焼室1aに供給される燃焼用空気は燃焼室1aの内部で内壁面に沿った旋回流を形成しながら壁面をスラグ排出口4に向かって下降して、図5の(c)に示した展開図の矢印方向に主流れを形成する。
【0102】
燃料粒子供給口2より燃焼室1aの内部に供給される燃焼粒子を燃焼させやすくするために、燃焼用空気供給口3より燃焼用空気の主流れ方向の前方位置に燃料粒子供給口2が配置されている。
【0103】
壁面冷却用空気口24は、燃焼用空気が形成する主流れ方向の前方で、かつ燃焼用空気供給口3と燃料粒子供給口2の中間位置に位置するように配置される。
【0104】
そして、この壁面冷却用空気口24には非加熱の低温の空気が空気送風機7から空気配管54を通じて供給される。壁面冷却用空気口24から燃焼室1aの内部に供給される壁面冷却用空気の量は、燃焼用空気量の数%でよい。
【0105】
壁面冷却用空気口24から燃焼室1aの内部に供給される壁面冷却用空気は下記の点から、燃焼室1aの壁面近傍を冷却する効果が高い。
【0106】
(1)熱交換器8を介して加熱された燃焼用空気が燃焼溶融炉1の燃焼室1aの内部で形成する主流れは、流量の少ない壁面冷却用空気を覆うように流れるため、壁面冷却用空気口24から燃焼室1aの内部に供給される壁面冷却用空気は燃焼室1aの内壁面の近傍を流れやすくなる。
【0107】
図6にこれらの燃焼用空気と壁面冷却用空気との流れの状況を模式的に示す。
【0108】
(2)壁面冷却用空気口24から供給される壁面冷却用空気は非加熱の低温の空気であり、燃焼用空気供給口3から供給される加熱された燃焼用空気と混合されにくい。このため、壁面冷却用空気は燃焼室1aの内壁面の近傍に沿って流れ易くなる。
【0109】
(3)壁面冷却用空気口24から供給される壁面冷却用空気は温度が低いために燃焼用空気供給口3から供給される燃焼用空気よりも空気の密度が大きく、よって供給された壁面冷却用空気は壁面冷却用空気口24から燃焼室1aの内壁面を伝って下降しやすい。
【0110】
従って、本実施例によれば、燃焼溶融炉の燃焼室内での熱負荷変動に起因する不安定要因を緩和して燃焼溶融炉の長期安定運転の実現と、燃焼室壁面の耐火材の溶損速度の抑制とを両立させた燃焼溶融炉が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本発明は、都市ごみを熱分解して得られた可燃性の燃焼粒子を燃焼して燃焼ガスを生成し燃焼粒子を燃焼した灰分を溶融してスラグ化して回収する構成の燃焼溶融炉、及びこの燃焼溶融炉を効果的に運転する燃焼溶融炉の運転方法に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の一実施例である燃焼溶融炉の構成を示す系統図。
【図2】図1に記載した実施例である燃焼溶融炉の燃焼室内に旋回流を形成する燃焼空気供給口の配置を示す燃焼室の断面図。
【図3】本発明の他の実施例である燃焼溶融炉の構成を示す系統図。
【図4】本発明の更に他の実施例である燃焼溶融炉の構成を示す系統図。
【図5】図4に記載した実施例である燃焼溶融炉の燃焼室における燃焼用空気口と燃料粒子の供給口に対する壁面冷却用空気供給口の配置を示す構成図。
【図6】図4に記載した実施例である燃焼溶融炉の燃焼室における燃焼用空気と壁面冷却用空気の流れを示す模式図。
【図7】本発明の実施例における燃焼用空気の温度と燃焼溶融炉の燃焼室の壁面の耐火材溶損速度との関係を示す図。
【符号の説明】
【0113】
1:燃焼溶融炉、1a:燃焼室、2:燃料粒子供給口、3:燃焼用空気供給口、4:スラグ排出口、5:助燃バーナ、6:燃焼ガス排出口、7、11、15:空気送風機、8:熱交換器、9、10、22、23、25:バルブ、12:燃料供給装置、13:スラグ水槽、14:助燃燃料供給装置、16:排ガス処理装置、17:煙突、18、19、26:流量計、20、21:温度計、24:壁面冷却用空気口、27:合流点、30:制御装置、51、52:排ガス煙道、53、54、55、58:空気配管、57、59:燃料配管。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみから生成された燃料粒子を供給する燃料配管と燃焼用空気を供給する第一の空気配管とが配設された燃焼室を備え、燃焼室で燃料粒子を燃焼して燃料粒子に含まれた灰分を溶融する燃焼溶融炉において、燃焼溶融炉の燃焼室で燃料粒子を燃焼して発生した燃焼ガスを燃焼室から排出する排ガス煙道に燃焼ガスから熱量を回収する熱交換器を設置し、燃焼用空気を燃焼室に供給する第一の空気配管にこの第一の空気配管から分岐した分岐空気配管を設けてこの分岐空気配管の一部を伝熱管として熱交換器に配設し、熱交換器で熱交換されて加熱された燃焼用空気を流下させる分岐空気配管を第一の空気配管に連通させて分岐空気配管を流下する加熱した燃焼用空気と第一の空気配管を流下する低温の燃焼用空気とを混合させ、混合して温度が所望の温度範囲に調整された燃焼用空気を分岐空気配管と連通した下流側の第一の空気配管を通じて燃焼室に供給するように構成したことを特徴とする燃焼溶融炉。
【請求項2】
請求項1に記載の燃焼溶融炉おいて、燃焼室に燃焼室の壁面温度を計測する温度計を設置し、分岐空気配管が連通した位置より上流側の第一の空気配管に流量調整用のバルブを設置し、温度計で検出した燃焼室の壁面温度に基づいて第一の空気配管に設置した流量調整用のバルブの流量を調整して第一の空気配管を通じて燃焼室に供給する燃焼用空気の温度を所望の温度範囲に制御する制御装置を設置するように構成したことを特徴とする燃焼溶融炉。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の燃焼溶融炉おいて、燃焼ガスを燃焼室から排出した燃焼ガスが流下する排ガス煙道から熱交換器をバイパスする第二の排ガス煙道を分岐させて配設し、排ガス煙道及び第二の排ガス煙道に燃焼ガスの流量を調節するバルブを夫々設置して排ガス煙道及び第二の排ガス煙道を流下する燃焼ガスの流量を夫々調節し得るように構成したことを特徴とする燃焼溶融炉。
【請求項4】
ごみから生成された燃料粒子を供給する燃料配管と燃焼用空気を供給する第一の空気配管とが配設された燃焼室を備え、この燃焼室で燃料粒子を燃焼して燃料粒子に含まれた灰分を溶融する燃焼溶融炉において、燃焼溶融炉の燃焼室で燃料粒子を燃焼して発生した燃焼ガスを燃焼室から排出する排ガス煙道に燃焼ガスから熱量を回収する熱交換器を設置し、燃焼用空気を燃焼室に供給する第一の空気配管にこの第一の空気配管から分岐した分岐空気配管を設けて分岐空気配管の一部を伝熱管として熱交換器に配設し、熱交換器で熱交換されて加熱された燃焼用空気を流下させる分岐空気配管が第一の空気配管に連通させて分岐空気配管を流下する加熱した燃焼用空気と第一の空気配管を流下する低温の燃焼用空気とを混合させ、混合して温度が所望の温度範囲に調整された燃焼用空気を分岐空気配管と連通した下流側の第一の空気配管を通じて燃焼室に供給し、更に燃焼室に低温の空気を流下させる第二の空気配管を配設して空気を冷却用空気として燃焼室に供給するように構成したことを特徴とする燃焼溶融炉。
【請求項5】
請求項4に記載の燃焼溶融炉おいて、第一の空気配管を通じて導いた燃焼用空気を燃焼室に流入させる燃焼用空気供給口を燃焼室の壁面に配設して燃焼室の内部で燃焼室の壁面に沿って旋回する旋回流を形成させ、この旋回流の流れ方向に沿って燃焼用空気供給口よりも旋回流の流れの下流側の位置に燃料粒子を燃焼室に流入させる燃料粒子供給口を配設し、この旋回流の流れ方向に沿って燃料粒子供給口よりも旋回流の流れの上流側で且つ燃焼用空気供給口よりも旋回流の流れの下流側の位置に第二の空気配管を通じて導いた冷却用空気を燃焼室に流入させる燃焼室壁面冷却用空気口を配設するように構成したことを特徴とする燃焼溶融炉。
【請求項6】
請求項1又は請求項4に記載の燃焼溶融炉おいて、第一の空気配管を通じて燃焼室に供給する燃焼用空気は約150〜350℃の温度範囲に調整するように構成したことを特徴とする燃焼溶融炉。
【請求項7】
ごみから生成された燃料粒子と燃焼用空気を燃焼室に供給して燃焼させて燃焼ガスを生成すると共に燃料粒子に含まれた灰分を溶融する燃焼溶融炉の運転方法において、燃焼溶融炉の燃焼室で燃料粒子を燃焼して発生した燃焼ガスを燃焼室から排出する排ガス煙道に設置した熱交換器によって燃焼室から排出された燃焼ガスから熱量を回収し、燃焼室に供給する低温の燃焼用空気の一部を分岐して熱交換器に供給してこの分岐した燃焼用空気を燃焼ガスから回収した熱量で加熱し、加熱された分岐した燃焼用空気を低温の燃焼用空気と混合させて燃焼用空気の温度を所望の温度範囲に調整し、この所望の温度範囲に調整された燃焼用空気を燃焼室に供給するようにしたことを特徴とする燃焼溶融炉の運転方法。
【請求項8】
請求項7に記載の燃焼溶融炉の運転方法おいて、更に低温の空気を燃焼用空気とは独立させて冷却用空気として燃焼室に供給するようにしたことを特徴とする燃焼溶融炉の運転方法。
【請求項9】
請求項7又は請求項8に記載の燃焼溶融炉の運転方法おいて、燃焼溶融炉の燃焼室の壁面温度を検出し、検出した燃焼室の壁面温度に基づいて燃焼室から排出された燃焼ガスの熱量を回収して加熱された分岐した燃焼用空気に混合させる低温の燃焼用空気の流量を調整して、燃焼室に供給するこの混合させた燃焼用空気の温度を所望の温度範囲に調節することを特徴とする燃焼溶融炉の運転方法。
【請求項10】
請求項7に記載の燃焼溶融炉の運転方法おいて、燃焼室に供給する燃焼用空気を約150〜350℃の温度範囲に調整して燃焼室に供給させたことを特徴とする燃焼溶融炉の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−32345(P2008−32345A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−208139(P2006−208139)
【出願日】平成18年7月31日(2006.7.31)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】