説明

燃焼装置及びこれを備えたコージェネレーションシステム

【課題】燃料電池を安定的に運転し、その結果発電効率と熱効率とを同時に高め得る、燃料電池を用いた燃焼装置及びこれを備えたコージェネレーションシステムを提供する。
【解決手段】燃料を部分燃焼させて熱分解流体を生成する第一燃焼室2と、この第一燃焼室2内の燃焼により発生した熱分解流体を高温で再燃焼させる第二燃焼室4とを備えた二燃焼室型の燃焼装置において、第一燃焼室2にて発生した熱分解流体は、燃料電池5を介して、第二燃焼室4へ導入されるように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオマスなどを燃料として用いる燃焼装置及びこれを備えたコージェネレーションシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
コージェネレーションシステムとは、一次エネルギーから同時に2種類以上の二次エネルギーを発生させるシステムであり、多くは熱と電力を同時に供給する熱電併給システムを指す。その中でも、小型で発電効率が高く、環境負荷も小さい燃料電池を用いたコージェネレーションシステムが近年注目され、開発が活発に行われている(特許文献1等)。特に、都市ガスを燃料とした発電量3キロワット程度の家庭用のコージェネレーションシステムについては、一般家庭への設置を含むフィールド実証試験が実施されており、また市販もされている。
【0003】
これら都市ガスを燃料とする燃料電池コージェネレーションシステムに対して、燃料の多様化や二酸化炭素の排出量抑制の観点から、バイオマスを燃料として使用する燃料電池コージェネレーションシステムも提案されている(特許文献2等)。
【0004】
これらのコージェネレーションシステムでは燃料電池用の燃料を一旦冷却して燃料電池発電に供しているが、より効率を上げる手段として、燃焼室に直接燃料電池を配置させたシステムも提案されている(特許文献3〜5等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−134788号公報
【特許文献2】特開2006−128006号公報
【特許文献3】特開平8−45522号公報
【特許文献4】特開平4−206362号公報
【特許文献5】特開2004−319240号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら上記のシステムでは、一燃焼室型の燃焼装置に燃料電池を直接組み込んでいるため、燃焼温度がコントロールしにくい、不純物が燃料電池に悪影響を与える、などの問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述のような従来技術の問題点に鑑みて、燃料電池を安定的に運転し、その結果発電効率と熱効率とを同時に高め得る、燃料電池を用いた燃焼装置及びこれを備えたコージェネレーションシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る燃焼装置は、燃料を部分燃焼させて熱分解流体を生成する第一燃焼室と、この第一燃焼室内の燃焼により発生した熱分解流体を高温で再燃焼させる第二燃焼室とを備えた二燃焼室型の燃焼装置において、前記第一燃焼室にて発生した熱分解流体は、燃料電池を介して、第二燃焼室へ導入されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項2に記載の燃焼装置は、請求項1に記載の構成において、前記燃料電池は、前記第二燃焼室内に配置されていることを特徴とするものである。
【0010】
請求項3に記載の燃焼装置は、請求項1に記載の構成において、前記燃料電池は、前記第一燃焼室と第二燃焼室との間に介装されていることを特徴とするものである。
【0011】
請求項4に記載の燃焼装置は、請求項1ないし3のいずれかに記載の構成において、前記燃料電池の上流側に高温フィルターを設けたことを特徴とするものである。
【0012】
請求項5に記載の燃焼装置は、請求項4に記載の構成において、前記燃料電池と前記高温フィルターとの間に触媒フィルターを設けたことを特徴とするものである。
【0013】
請求項6に記載の燃焼装置は、請求項1ないし5のいずれかに記載の構成において、前記燃焼室は、木材などの天然バイオマス、都市ゴミのような廃棄物系バイオマスのみならず石炭などの化石燃料をも単独または任意の割合で混合して燃料として使用できることを特徴とするものである。
【0014】
請求項7に記載の燃焼装置は、請求項1ないし6のいずれかに記載の構成において、前記第二燃焼室より排出される排ガスを空気などの酸化剤と熱交換を行う機能を有する熱交換器を備えることを特徴とするものである。
【0015】
請求項8に記載の燃焼装置は、請求項1ないし7のいずれかに記載の構成において、前記高温型燃料電池からの排ガスをそのまま燃焼させ熱源として使用できる第二燃焼室を備えていることを特徴とするものである。
【0016】
請求項9に記載の燃焼装置は、請求項2に記載の構成において、前記第二燃焼室は、前記燃料電池の第二燃焼室内への設置ならびにメンテナンスのための取出しが容易に行えるように形成されていることを特徴とするものである。
【0017】
請求項10に記載のコージェネレーションシステムは、燃料を部分燃焼させて熱分解流体を生成する第一燃焼室と、この第一燃焼室内の燃焼により発生した熱分解流体を高温で再燃焼させる第二燃焼室とを有する二燃焼室型燃焼装置と、前記第一燃焼室内で生成された熱分解流体を燃料とする燃料電池とを備え、前記第一燃焼室にて発生した熱分解流体は、燃料電池を介して、第二燃焼室へ導入されるように前記第一燃焼室、燃料電池及び第二燃焼室が配置構成されていることを特徴とするものである。
【0018】
請求項11に記載のコージェネレーションシステムは、請求項10に記載の構成において、前記燃料電池は、前記第二燃焼室内に配置されていることを特徴とするものである。
【0019】
請求項12に記載のコージェネレーションシステムは、請求項10に記載の構成において、前記燃料電池は、前記第一燃焼室と第二燃焼室との間に介装されていることを特徴とするものである。
【0020】
請求項13に記載のコージェネレーションシステムは、請求項10ないし12のいずれかに記載の構成において、前記第一燃焼室内で発生した高温ガス及び熱分解流体中の不純物を高温フィルターを用いて除去した後、第二燃焼室へ送出させることを特徴とするものである。
【0021】
請求項14に記載のコージェネレーションシステムは、請求項10ないし13のいずれかに記載の構成において、不純物除去後の高温ガス及び熱分解流体を触媒フィルターを用いて改質した後、第二燃焼室へ導入させることを特徴とするものである。
【0022】
請求項15に記載のコージェネレーションシステムは、請求項10ないし14のいずれかに記載の構成において、前記燃料電池は、高温型で電解質、アノード及びカソードを有しており、電解質として固体酸化物ないし溶融塩を用いることを特徴とするものである。
【0023】
請求項16に記載のコージェネレーションシステムは、請求項10ないし15のいずれかに記載の構成において、前記燃料電池のカソードヘの酸化剤ガスの供給を、燃焼装置排ガスの排出流によって生じる第二燃焼室内負圧によって行うことを特徴とするものである。
【0024】
請求項17に記載のコージェネレーションシステムは、請求項10ないし16のいずれかに記載の構成において、前記燃料電池のアノードヘの燃料流体の供給を、第一燃焼室における部分燃焼熱分解によって生じる圧力ならびに燃焼装置排ガスの排出流によって生じる第二燃焼室内負圧によって行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0025】
請求項1及び請求項10に記載の発明によれば、熱分解流体の流路中に熱容量の大きい燃料電池を配置することにより、かかる熱分解流体を燃料電池の燃料として利用可能とすると共に、燃焼温度の急激な変動を抑制して温度制御を容易にし、装置運転の安定化に寄与することができる。
【0026】
請求項2及び請求項11に記載の発明によれば、燃料電池の設置スペースを別途設けることなく、装置の小型化に寄与すると共に、燃料電池を作動温度内に保持することができる。
【0027】
請求項3及び請求項12に記載の発明によれば、燃焼室内の燃焼状況の変化に依らず、燃料電池の動作環境をより安定して確保することができる。
【0028】
請求項4,請求項5,請求項13及び請求項14に記載の発明によれば、高温フィルターにより燃料電池に悪影響を与える不純物を除去し、安定に燃料電池を運転することができ、また改質触媒フィルターを設置することにより燃料電池の発電効率を向上できる。
【0029】
請求項6に記載の発明によれば、木材などの天然バイオマス、都市ゴミのような廃棄物系バイオマスのみならず石炭などの化石燃料をも単独または任意の割合で混合して燃料として使用できる燃焼室を備えているため、幅広い種類の燃料に対応することができる。
【0030】
請求項7に記載の発明によれば、第二燃焼室より燃焼装置外に排出される排ガスを、燃料電池に供給する酸化剤と混合しかつ熱交換を行う機能を有する熱交換器を備えることにより、燃料電池を安定して運転することができる。
【0031】
請求項8に記載の発明によれば、高温型燃料電池からの排ガスをそのまま第二燃焼室において燃焼させ熱源として使用できることにより、総合効率をさらに向上させることができる。
【0032】
請求項9に記載の発明によれば、第二燃焼室の形状を燃料電池メンテナンスに最適な形状とすることにより本コージェネレーションシステムのメンテナンスをより容易にする。
【0033】
請求項15に記載の発明によれば、高温型の燃料電池を使用することにより、高温ガスを冷却することなく燃料電池の燃料として使用することができる。
【0034】
請求項16及び請求項17に記載の発明によれば、燃料電池のアノード及びカソードヘの燃料供給を燃焼装置内で発生する圧力を利用することにより、吸気ないし送風ファンなどの設置を不要にする。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】実施の形態1に係るコージェネレーションシステムの構成を説明するためのシステムブロック図である。
【図2】実施の形態1に係る燃料電池の構成を説明するための模式図である。
【図3】実施の形態1に係るコージェネレーションシステムの別の構成例を説明するための模式図である。
【図4】実施の形態2に係るコージェネレーションシステムの構成を説明するためのシステムブロック図である。
【図5】実施の形態2に係る燃料電池の構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
<実施の形態1>
以下、本発明に係る燃料電池を用いたコージェネレーションシステムの一実施形態について図1を参照しつつ説明する。ここで、図1は、実施の形態1に係るバイオマス熱分解コージェネレーションシステムを示すシステムブロック図である。
【0037】
図1に模式的に示すように、本コージェネレーションシステムは、第一燃焼室2、第二燃焼室4、熱交換器6を有するボイラー1、高温型燃料電池5、導入口3、高温フィルター8、触媒フィルター9を備えている。また、第一燃焼室2、第二燃焼室4等は、ケーシング12内に収容されており、第一燃焼室2、第二燃焼室4の周囲には、ケーシング12との間に、ボイラー用循環水が導入されている。
【0038】
第一燃焼室2には、燃料投入口7よりバイオマス等の燃料が投入され、当該燃料の部分燃焼が行われる。その際発生する熱は、バイオマスなどの燃料の熱分解とボイラー加熱とに使用される。この第一燃焼室2はバイオマスなどの燃料の熱分解が主目的であるため、運転中は一般的に約200〜600℃程度の温度域で保たれている。この部分燃焼により発生した圧力は、不図示の煙突から排出される排出ガスによるドラフト作用と相俟って、第一燃焼室2での生成物(熱分解流体)を第二燃焼室4へ送入する駆動力の一部となる。
【0039】
第一燃焼室2でバイオマスなどの燃料を部分燃焼・熱分解させて発生した熱分解ガスならびに熱分解時に揮発したタールを含む熱分解流体燃料は、途中冷却されることなく、第一燃焼室2と第二燃焼室4との間に設けられた導入口3を介して、第二燃焼室4内に設置された高温型燃料電池5のアノード(燃料極)に直接供給される。導入口3には、塩化水素、硫化水素など燃料電池5の動作に悪影響を与える微量不純物を吸収する高温フィルター8が設置されている。また、導入口3には熱分解流体燃料を改質できる触媒フィルター9がさらに設置(本例では、高温フィルター8の下流側に設置)されている。酸化ガスは外部より直接または熱交換器6を経由して予熱混合した後、高温型燃料電池5のカソード(空気極)に導入される。このようにしてアノード側に燃料流体、カソード側に酸化ガスの供給を受けた燃料電池5は発電を行う。また、アノードとカソードとは電解質を含む隔壁(セパレータ)で隔てられており、本実施の形態では、第一燃焼室2で発生する熱分解流体燃料を冷却することなく直接燃料として使用できるように、電解質として固体酸化物を採用している。なお、作動温度は燃料電池の材質にもよるが、800〜1000℃である。
【0040】
これは、燃焼により発生する可能性のあるダイオキシン類を分解するに十分な温度である。このようにして使用された燃料ガス及び酸化剤ガスは、燃料電池5よりそれぞれ排出ガスとして排出され、第二燃焼室4内にてそのまま燃焼させて、ボイラーへの熱供給を行う熱源として利用する。
【0041】
第二燃焼室4で燃焼を終了した排気ガスは、熱交換器6を経由して酸化剤ガスを加熱(予熱)した後、不図示の煙突を介して外気に放出される。この際に発生する負圧は、第一燃焼室2から燃料電池5への燃料流体送入の駆動力の一部となる。
【0042】
また、燃料電池5には蓄電池10が接続されており、この蓄電池10へ余剰電力を供給して充電を行う。
【0043】
また、本実施形態においては、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物型燃料電池により説明しているが、この代わりに、同様に高温の作動温度(600〜700℃)を有する溶融塩型燃料電池を使用することもできる。
【0044】
次に、本発明に係るコージェネレーションシステムにおける燃料電池の構成について、以下に説明する。
【0045】
図2に模式的に示すように、本実施の形態に係る燃料電池5は、燃料極としてのアノード5aと、空気極としてのカソード5bと、アノード5aとカソード5bとの間に介装され、両者を仕切る電解質を含んだセパレータ5cと、これらを取付支持する方形枠状の支持体50とにより単位セル5uが構成されている。
【0046】
また、上記支持体50の対向辺の一対には、略直方体状の一対のスペーサ52,52がかかる対向辺に沿って延在するように、支持体50と一体に突出形成されている。
【0047】
そして、複数の単位セル5uを所定の積層方向(本例では、上下方向)に積層することにより、本実施の形態に係る燃料電池5が形成されている。
【0048】
なお、本実施の形態における上記燃料電池5は、積層方向に隣接する単位セル5u,5u間において、隣接するスペーサ52,52同士が互いに直交するように配置されていると共に、対向する電極同士が互いに同極性となるように積層されている。
【0049】
すなわち、本実施の形態に係る燃料電池5では、積層方向に隣接する単位セル5u,5u間の対向電極が同極性となると共に、スペーサ52,52により隣接する単位セル5u,5u間に隙間(流路)が形成されており、この隙間により互いに直交する流路が積層方向に沿って交互に形成されている。
【0050】
これにより、熱分解流体の流路と予熱空気の流路とを確実に分離して、対向するアノード5a間に熱分解流体Paを供給すると共に、対向するカソード5b間に空気流(酸化剤ガス)Pbを供給して、燃料極5a及び空気極5bへの各流体Pa,Pbの供給効率を向上させることができる。
【0051】
併せて、燃料極5a及び空気極5bへの流路を互いに直交するように形成することにより、図1に例示したような、いわゆるダウンドラフト方式により第二燃焼室4の上方から熱分解流体Paが供給され、第二燃焼室4の側方から空気流Pbが供給される燃焼室構成を有するコージェネレーションシステムにおいて、熱分解流体Paと予熱空気Pbとを対応する各電極5a,5bに容易に導くことができ、燃料電池5の第二燃焼室4内への配置収容を容易に実現することができる。
【0052】
なお、本実施の形態では、第二燃焼室4を第一燃焼室2の下方に配置したダウンドラフト方式の燃焼装置の構成を例示したが、本発明が適用可能な燃焼装置は、このような構成に限定されるものではなく、例えば、図3に模式的に示すように、略中空直方体状の横長の燃焼室に隔壁Wを設けて、この隔壁Wの略中央部に貫通穴を形成することにより、第一燃焼室2の後方に第二燃焼室4を区画形成し、かかる第二燃焼室4内に燃料電池5を配設するように構成してもよい。
【0053】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2に係るコージェネレーションシステムの構成について、図4及び図5を参照して説明する。ここで、図4は、実施の形態2に係るバイオマス熱分解コージェネレーションシステムを示すシステムブロック図であり、図5は、実施の形態2に係る燃料電池の構成を説明するための模式図である。
【0054】
本実施の形態に係るコージェネレーションシステムは、燃料電池5を、第一燃焼室2と第二燃焼室4との間に配置したものであり、先の実施の形態と同様な機能を有する部材には、同様な符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0055】
図4に模式的に示すように、本実施の形態に係るコージェネレーションシステムでは、第一燃焼室2と第二燃焼室4との間に燃料電池5が介装されており、第一燃焼室2と第二燃焼室4とは、燃料電池5を介して互いに接続されている。
【0056】
本実施の形態に係る燃料電池5は、図5に模式的に示すように、単位セル5uの支持体50の周辺部に方形の切り欠き(スリット)を設け、さらに、隣接する単位セル5u,5u間に、熱分解流体及び空気の流路を形成するためのスリット板50S,50A,50Bを順次介装した構成となっている。
【0057】
具体的には、最上流側(本例では、図中、最上部)に、導入スリット板50Sを設け、その下流側(図中、下側)に、順次、燃料スリット板50A、単位セル5u、空気スリット板50B、単位セル5uを設け、以下同様な組合せのセット(燃料スリット板50A、単位セル5u、空気スリット板50B、単位セル5u)を繰り返して積層することにより、燃料電池5が形成されている。
【0058】
上記導入スリット板50Sは、その周辺部に略方形の2つの燃料口50a,50a及び2つの空気口50b,50bを有しており、一対の燃料口50a,50a及び一対の空気口50b,50bは、それぞれ導入スリット板50Sの対向する辺に形成されている。
【0059】
上記燃料スリット板50Aは、同様な空気口50b,50bを有していると共に、一対の空気口50b,50bの間には、燃料供給口53Aが開口形成されている。
【0060】
上記空気スリット板50Bは、同様な燃料口50a,50aを有していると共に、一対の燃料口50a,50aの間には、空気供給口53Bが開口形成されている。
【0061】
上記単位セル5uは、先の実施の形態と同様なセル構成に加えて、支持体50の周辺に、上記一対の燃料口50a,50a及び一対の空気口50b,50bが形成されている。
【0062】
このように構成した燃料電池5では、同方向から供給された燃料流Pa及び空気流Pbは、最上流側に配置された導入スリット板50Sの対応する燃料口50a,50a及び空気口50b,50bを通過することによりそれぞれ集束され、下流側の燃料スリット板50Aに導かれる。ここで、空気流Pbは、導入スリット板50Sの空気口50b,50bと対応する位置に形成された燃料スリット板50Aの空気口50b,50bを通過する。一方、燃料流Paは、導入スリット板50Sの燃料口50a,50aに対応する位置まで開口形成された燃料スリット板50Aの燃料供給口53Aにより、下流側に設けられた単位セル5uの燃料口50a,50a及び燃料極(アノード)5aに分散される。つまり、燃料スリット板50Aの燃料供給口53Aにより、単位セル5uの燃料極5aに燃料流Paが供給されることとなる。
【0063】
単位セル5uの燃料口50a,50aを通過した燃料流Paは、単位セル5uの燃料口50a,50aと対応する位置に形成された空気スリット板50Bの燃料口50a,50aを通過する。一方、空気流Pbは、単位セル5uの空気口50b,50bに対応する位置まで開口形成された空気スリット板50Bの空気供給口53Bにより、下流側に設けられた単位セル5uの空気口50b,50b及び空気極(カソード)5bに分散される。つまり、空気スリット板50Bの空気供給口53Bにより、単位セル5uの空気極5bに空気流Pbが供給されることとなる。以下、同様な作用により、積層された単位セル5u,5u間の各燃料極5a及び空気極5bに、対応する燃料流Pa及び空気流Pbが供給される。
【0064】
すなわち、本実施の形態に係る燃料電池5では、同方向から供給される熱分解流体Pa及び予熱空気Pbの流れが、隣接する単位セル5u,5u間に介装されたスリット板50A,50Bにより、順次、集束・分散され、対応する燃料極5a及び空気極5bに選択的に適切に供給されることとなる。これにより、図4に例示したような、第一燃焼室2、燃料電池5、第二燃焼室4が直列に配置された構成に好適に適用することができる。
【0065】
なお、本実施の形態においても、先の実施の形態と同様に、燃料電池5の上流側(図4において、上側)に高温フィルター8や触媒フィルター9を設けてもよいし、空気流等を予熱する熱交換器6を設けてもよい。
【0066】
このように構成した本実施の形態に係るコージェネレーションシステムでは、先の実施の形態に比し、燃料電池5の収容スペースを別途設ける必要が生じるが、燃料電池5の動作環境を燃焼室内の燃焼環境と隔離して、燃焼室内の燃焼状況の変化に依らず、燃料電池5の動作環境をより安定して確保することができる。
【0067】
以上説明したように、本発明によれば、第一燃焼室2でバイオマスなどの燃料を部分燃焼熱分解して得られた熱分解流体燃料を直接燃料電池に供給し、かつ第一燃焼室2における部分燃焼、燃料電池5の作動時に排出される排熱ならびに燃料電池5の排ガスの燃焼熱をボイラーの熱源として使用するため、燃料利用効率を向上させることができる。
【0068】
なお、上述した各実施形態は、あくまで例示であり、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態では、導入口3に高温フィルター8ならびに触媒フィルター9の両方を備えているが、燃料の種類によってどちらか一方のフィルターだけを設置してもよい。
【符号の説明】
【0069】
1:二燃焼室型ボイラー、2:第一燃焼室、3:導入口、4:第二燃焼室、5:燃料電池、5a:アノード(燃料極)、5b:カソード(空気極)、5c:セパレータ、5u:単位セル、6:熱交換器、7:燃料投入口、8:高温フィルター、9:触媒フィルター、10:蓄電池、12:ケーシング、50:支持体、50S,50A,50B:スリット板、50a:燃料口、50b:空気口、52:スペーサ、53A:燃料供給口、53B:空気供給口、Pa:熱分解流体(燃料流)、Pb:予熱空気(酸化ガス)、W:隔壁


【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料を部分燃焼させて熱分解流体を生成する第一燃焼室と、この第一燃焼室内の燃焼により発生した熱分解流体を高温で再燃焼させる第二燃焼室とを備えた二燃焼室型の燃焼装置において、
前記第一燃焼室にて発生した熱分解流体は、燃料電池を介して、第二燃焼室へ導入されるように構成されていることを特徴とする燃焼装置。
【請求項2】
前記燃料電池は、前記第二燃焼室内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記燃料電池は、前記第一燃焼室と第二燃焼室との間に介装されていることを特徴とする請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記燃料電池の上流側に高温フィルターを設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記燃料電池と前記高温フィルターとの間に触媒フィルターを設けたことを特徴とする請求項4に記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記燃焼室は、木材などの天然バイオマス、都市ゴミのような廃棄物系バイオマスのみならず石炭などの化石燃料をも単独または任意の割合で混合して燃料として使用できることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項7】
前記第二燃焼室より排出される排ガスを空気などの酸化剤と混合しかつ熱交換を行う機能を有する熱交換器を備えることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項8】
前記高温型燃料電池からの排ガスをそのまま燃焼させボイラーの熱源として使用できる第二燃焼室を備えていることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の燃焼装置。
【請求項9】
前記第二燃焼室は、前記燃料電池の第二燃焼室内への設置ならびにメンテナンスのための取出しが容易に行えるように形成されていることを特徴とする請求項2に記載の燃焼装置。
【請求項10】
燃料を部分燃焼させて熱分解流体を生成する第一燃焼室と、この第一燃焼室内の燃焼により発生した熱分解流体を高温で再燃焼させる第二燃焼室とを有する二燃焼室型燃焼装置と、
前記第一燃焼室内で生成された熱分解流体を燃料とする燃料電池と
を備え、
前記第一燃焼室にて発生した熱分解流体は、燃料電池を介して、第二燃焼室へ導入されるように前記第一燃焼室、燃料電池及び第二燃焼室が配置構成されていることを特徴とするコージェネレーションシステム。
【請求項11】
前記燃料電池は、前記第二燃焼室内に配置されていることを特徴とする請求項10に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項12】
前記燃料電池は、前記第一燃焼室と第二燃焼室との間に介装されていることを特徴とする請求項10に記載のコージェネレーションシステム。
【請求項13】
前記第一燃焼室内で発生した高温ガス及び熱分解流体中の不純物を高温フィルターを用いて除去した後、第二燃焼室へ送出させることを特徴とする請求項10ないし12のいずれかに記載のコージェネレーションシステム。
【請求項14】
不純物除去後の高温ガス及び熱分解流体を触媒フィルターを用いて改質した後、第二燃焼室へ導入させることを特徴とする請求項10ないし13のいずれかに記載のコージェネレーションシステム。
【請求項15】
前記燃料電池は、高温型で電解質、アノード及びカソードを有しており、電解質として固体酸化物ないし溶融塩を用いる請求項10ないし14のいずれかに記載のコージェネレーションシステム。
【請求項16】
前記燃料電池のカソードヘの酸化剤ガスの供給を、燃焼装置排ガスの排出流によって生じる第二燃焼室内負圧によって行うことを特徴とする請求項10ないし15のいずれかに記載のコージェネレーションシステム。
【請求項17】
前記燃料電池のアノードヘの燃料流体の供給を、第一燃焼室における部分燃焼熱分解によって生じる圧力ならびに燃焼装置排ガスの排出流によって生じる第二燃焼室内負圧によって行うことを特徴とする請求項10ないし16のいずれかに記載のコージェネレーションシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−65786(P2011−65786A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−213644(P2009−213644)
【出願日】平成21年9月15日(2009.9.15)
【出願人】(308034660)株式会社アーク (2)
【出願人】(509258980)株式会社山形屋 (1)
【出願人】(509259493)
【Fターム(参考)】