説明

物体を形成するための装置

プラスチックの装入体(D)からプレフォームを圧縮成形するための装置は、パンチ手段(12)と、キャビティが設けられたダイ手段(13)と、接触位置と分離位置との間で互いに移動自在の少なくとも二つのダイエレメント(22)とを備えている。パンチ手段(12)は、キャビティに挿入するのに適したパンチ(14)と、少なくとも二つのダイエレメント(22)を接触位置に維持するため、パンチ(14)の周囲に摺動自在に取り付けられた押圧スリーブ(31)とを含む。パンチ手段(12)は、更に、パンチ(14)及び押圧スリーブ(31)を受け入れるように構成されたジャケット手段(91)と、第1圧力の第1流体を収容し、押圧スリーブ(31)に作用する少なくとも第1チャンバ(42、57)とを含む。第1チャンバ(42、57)は、第1チャンバ(42、57)の加圧状態を維持しながらパンチをパンチ手段(12)から取り外すことができるように、押圧スリーブ(31)及びジャケット手段(91)によってその全体の境界が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にプラスチックの圧縮成形によって物体を形成するための装置に関する。本発明による装置は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、高密度ポリエチレン(HDPE)、又はポリエチレンナフタレート(PEN)で形成されたボトル等の容器用のプレフォームの形成に特に適している。本発明による装置を使用することによって得られたプレフォームは、次いで、延伸ブロー成形プロセスによって、例えばボトル等の容器に形成される。
【背景技術】
【0002】
容器を形成するためのプレフォームは、長さ方向軸線に沿って延びる実質的に円筒形の中空本体を含む。中空本体の端部は、全体にドーム状の横壁によって閉止されている。中空本体は、更に、開放端を有し、ここで口部が得られる。この口部には、容器の蓋と係合するのに適したねじ山を備えた領域が設けられている。プレフォームの開放端は、長さ方向軸線を中心として周方向に延びる縁部領域によってその全体の境界が形成されている。
【0003】
プレフォームを製造するための製造プラントでは、様々な形状の低質量の容器を消費者に提供するため、各々が所定の大きさを持つプレフォームの製造バッチが連続的に製造される。換言すると、互いに異なる製品についての多くの要求に適合できる(要求に対する柔軟性を持つ)、プレフォームの圧縮成形を行うための装置を提供する必要が常にある。プラスチックの装入体(dose)を圧縮成形することによってプレフォームを形成するための製造プラントが周知である。このようなプラントは、垂直軸線を中心として回転自在のカルーセルの周囲領域に取り付けられた複数の金型を含む。
【0004】
各金型は、第1半部金型、第2半部金型、及び二つの移動自在のダイエレメントを含む。第1半部金型は、プレフォームの中空本体の実質的に円筒形の内面を形成する形態のパンチを含み、第2半部金型はプレフォームの中空本体の外面の実質的に円筒形の部品を形成する形態のダイキャビティを含み、二つの移動自在のダイエレメントには、外ねじが設けられたプレフォーム口部領域を形成する形態の形成面が設けられている。
【0005】
パンチ、ダイキャビティ、及び移動自在のダイエレメントの形状が、所望のプレフォームの幾何学的形状、即ちその大きさを決定するということに留意すべきである。詳細には、パンチとダイキャビティとの間の直径の差がプレフォームの最終的な厚さを決定し、パンチ及びダイキャビティの長さ方向寸法がプレフォームの長さを決定する。
【0006】
従って、プレフォームの圧縮成形を行うためのプラントを、ある大きさのプレフォームの製造から大きさが異なるプレフォームの製造に迅速に移行するためには、プレフォームの大きさを決定するエレメント(パンチ及び/ダイキャビティ及び/又は移動自在のダイエレメント)を非常に迅速に交換できるようにする必要がある。
【0007】
パンチ及びキャビティは、代表的には垂直である成形方向に沿って、互いに向かって及び互いから遠ざかる方向に移動できる。そうでない場合には、二つの移動自在のダイエレメントは、各ダイ部品と関連する形成面が互いから離間された、成形方向から間隔が隔てられた所定の位置と、形成エレメントが互いに近接した接触位置との間で移動できる。
【0008】
第1半部金型は、更に、中空押圧スリーブを成形方向で内部に摺動自在に収容する円筒形本体を含む。中空押圧スリーブは、パンチを摺動自在に収容する。前記押圧スリーブは、移動自在のダイエレメントを、少なくとも最終プレフォーム成形工程及び初期プレフォーム取り外し工程で、接触位置で、互いに接触した状態に維持する。第1半部金型の内部には、移動自在のダイエレメントと接触した円筒形チャンバの外側に押圧スリーブの壁を押すように、押圧スリーブの少なくとも一つの壁に作用を及ぼす加圧流体が供給される少なくとも一つのチャンバが設けられている。加圧流体が入ったチャンバは、この押圧スリーブに作用を及ぼす空気圧手段を提供する。
【0009】
作動中、第1半部金型及び第2半部金型は、形成されるべきプラスチック装入体をダイキャビティの内部に受け入れるため、間隔が隔てられている。次いで、二つの移動自在のダイエレメントが互いに移動して接触し、上半部金型の押圧スリーブによって保持されたとき、作動デバイスによって第2半部金型をパンチに近づけ、ダイキャビティ内部へのプラスチックの分配を開始する。
【0010】
この初期形成工程において、押圧スリーブに作用する空気圧手段は、二つの移動自在のエレメントを接触状態に維持するため、比較的低い初期力を及ぼすのに十分である。最終成形工程中、プラスチックが二つの移動自在のエレメントに達したとき、空気圧手段は、二つの移動自在のエレメントを互いから離す方向に移動しようとするプラスチックの作用に抗するため、最初に及ぼされた力よりもかなり大きい力を押圧スリーブに及ぼす必要がある。
【0011】
様々な成形工程で空気圧手段が押圧スリーブに様々な力を確実に及ぼすようにするため、WO2007/017418から、初期形成工程において円筒形本体の内部のチャンバに低圧の第1流体を供給し、最終成形工程において高圧の第2流体によって押圧スリーブに作用する空気圧手段を提供することが周知である。単チャンバ空気圧手段に対する変形例として、WO2007/017418は、二つのチャンバを持つ空気圧手段を開示している。これらのチャンバは円筒形本体内に形成され、互いに隔離されており、低圧流体及び高圧流体が各々供給され、作動を順次開始する。このようなチャンバを提供するため、円筒形本体は、円筒形本体に連結されており且つ押圧スリーブの周囲に配置された円筒形カップ部分と、この円筒形カップ部分と円筒形外部分との間に配置された摺動自在の中間スリーブとを収容している。
【0012】
上文中に開示した装置の一つの問題点は、空気圧手段を提供する加圧されたチャンバが押圧スリーブの面に直接的に作用し、パンチの壁によってその境界が形成されているということによる。その結果、パンチの取り外し、例えば大きさが異なるプレフォームを製造する場合のパンチの交換は、第1及び第2の加圧流体流路への供給を遮断し、これらの流路を空にした後にしか行うことができない。更に、パンチの交換を行うと、第1半部金型全体の取り外し及び再装着を行う上で、第1半部金型に設けられた様々な構成要素間での複雑な位置合わせ作業が必要となり、大きさの変更を行うと、圧縮成形装置を長期間に亘って停止することが必要とされる。
【0013】
上文中に開示したデバイスの別の問題点は、加圧流体が各々供給される二つのチャンバが設けられているため、機械的に複雑な構造及び高精度での製造を必要とする多くの構成要素が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】WO2007/017418
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の一つの目的は、プレフォームを圧縮成形によって形成するための装置を改良することである。
【0016】
別の目的は、第1半部金型のパンチの交換を、複雑で労力を要する再始動作業及び調整作業を行う必要なしに迅速に且つ容易に行うことができ、機械の停止時間を最小にする装置を提供することである。
【0017】
別の目的は、最終成形工程において、空気圧手段により、移動自在のエレメントが第2半部金型に強く押し付けられた状態を維持するように作用できる、製造が容易な装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明によれば、プラスチックの装入体からプレフォームを圧縮成形するための請求項1に記載の装置が提供される。
【0019】
本装置は、パンチ手段と、キャビティが設けられたダイ手段と、接触位置と分離位置との間で互いに移動自在の少なくとも二つのダイエレメントとを備え、押圧スリーブ及び前記パンチ手段のジャケット手段によってその全体の境界が形成された加圧チャンバが前記パンチ手段に設けられているため、前記チャンバ内に収容され、押圧スリーブに作用する加圧流体の流路を空にすることなく、装置によって、パンチ手段の対応するパンチを取り外すことができる。これにより、大きさの変更作業を加速でき、即ち設置されているパンチを大きさが異なるパンチと手早く交換できる。
【0020】
一実施形態では、本装置のパンチ手段は、前記プレフォームの初期形成工程において第1圧力の第1流体が供給され、最終成形工程において第2圧力の第2流体が供給される単一のチャンバを含む。
【0021】
別の実施形態では、本装置のパンチ手段は、第1圧力の第1流体及び第2圧力の第2流体を収容する二つのチャンバを含む。これらのチャンバは、前記プレフォームの中間成形工程及び最終成形工程において機能を順次開始し、前記プレフォームの初期取り外し工程及び中間取り外し工程で機能を順次停止する。
【0022】
この実施形態により、第1チャンバは押圧スリーブに直接的に作用し、第2チャンバは中間スリーブに直接的に作用し、中間スリーブが、パンチに摺動自在に取り付けられた成形スリーブに作用を及ぼす。前記押圧スリーブ及び前記成形スリーブが協働し、移動自在のエレメントの別個の部分に作用し、ダイ手段に向かって前記移動自在のエレメントを同時にしかし独立して押す別個の力を各々発生させる。
【0023】
一実施形態では、本装置は、パンチ手段を圧縮成形装置の各々の収容手段に係止する第1固定手段及び第2固定手段を含む。
【0024】
この実施形態によれば、パンチ手段の定期的保守作業が必要なとき、機械的構成要素の複雑なセンタリング作業及び位置合わせ作業なしで、パンチ手段の取り外し及び交換を手早く行うことができる。
【0025】
一実施形態では、本装置は、パンチ手段を取り外して装置から抜くとき、パンチをパンチ手段に取り外し自在に連結するための連結手段を含む。
【0026】
本発明は、その幾つかの実施形態を非限定的例として示す添付図面を参照することにより、更によく理解され、実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】図8のプレフォームを得るため、プラスチックの装入体を圧縮成形するための装置の断面図であり、パンチ手段及び移動自在のダイエレメントを開放作動位置で示す。
【図2】パンチ手段を組み立て形態で示す、図1の装置の拡大断面図である。
【図3】パンチを第1半部金型から取り外した第1取り外し形態での、図1のパンチ手段の拡大断面図である。
【図4】パンチ手段から抜いたパンチの部分断面図である。
【図5】パンチを装置の夫々の収容手段から部分的に取り外した第2取り外し形態でのパンチ手段の断面図である。
【図6】明瞭化を図るために幾つかの部品が取り外してある、図2の装置の拡大断面図である。
【図7】側部ピンを挿入位置で示し且つ側部ピンの退避位置を破線で示す、図3のVII−VII線に沿った断面図である。
【図8】ボトルの形成に使用される本発明の装置によって圧縮成形されたプレフォームの概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図8は、延伸ブロー成形プロセスによって、容器、特にボトルを得るために使用できるプレフォーム1を示す。プレフォーム1はプラスチック製であり、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、高密度ポリエチレン(HDPE)等で形成される。プレフォーム1は、長さ方向軸線Zに沿って延び、外面3によってその境界が形成される中空本体2を含む。中空本体2の第1端は、ベース面5によって外側の境界が形成されたドーム状の横壁4によって閉止されている。第1端とは反対側のプレフォーム1の第2端には口部6が設けられている。これは「フィニッシュ(finish)」とも呼ばれ、ここには、延伸ブロー成形プロセス中の形状の顕著な変化が加わらない。
【0029】
口部6にはねじ部分7が設けられている。これは、キャップの対応する別のねじ部分と係合するのに適している。円形の縁部8及び全体にリング状の部分9がねじ部分7の下に配置されている。口部6は、実質的に円形の冠部の形状の環状縁部ゾーン10によってその上部の境界が形成されている。
【0030】
図1は、プラスチックの装入体(dose)Dを圧縮成形することによって図8に示す種類のプレフォームを得るための成形カルーセルに含まれる成形装置11を示す。例えば垂直軸線であってもよい回転軸線を中心として回転する成形カルーセルの周囲領域には、複数の成形装置11が設けられていてもよい。
【0031】
装置11は、パンチ手段12及びこれと向き合ったダイ手段13を含む。パンチ手段12及びダイ手段13は、互いに相互作用してプレフォーム1を形成するため、向き合っている。図示の例では、パンチ手段12はダイ手段13の上方に配置されているが、パンチ手段12をダイ手段13の下に配置してもよいし、パンチ手段12及びダイ手段13を同じ高さに配置してもよい。
【0032】
図2及び図6に示すように、パンチ手段12は、成形軸線Aに沿って延びるパンチ14を含む。パンチ14には、プレフォーム1の内部を形成するため、外側成形面15が設けられている。パンチ14には、外側成形面15の上方に位置決めされた第1肩部16が設けられている。
【0033】
パンチ14の内側には配管17が収容されており、この配管17の内側には入口導管18が形成される。入口導管18は、成形軸線Aに沿って配置されており、これを横切って冷却流体が流れる。入口導管18は、入口開口部19を通して冷却流体源(図示せず)と連通している。配管17とパンチ14との間には出口導管20が形成される。出口導管20は、特に環状隙間として形成され、出口開口部21を通して冷却流体を成形ユニット11に出すことができる。
【0034】
図1に示すように、装置11は、更に、一対の移動自在のダイエレメント22を含む。これらのダイエレメント22は、プレフォーム1の口部6を形成するのに適している。移動自在のエレメント22は、駆動手段(図示せず)によって、接触位置と分離位置との間で移動できる。接触位置では、移動自在のエレメント22は、互いに接触し、ねじ部分7、円形縁部8、及びリング9を形成できる複雑な成形面23を形成する。プレフォーム1のこれらのゾーンは、アンダーカット部分を形成する。これらのアンダーカット部分は、移動自在のエレメント22を、分離位置に位置するように、成形軸線Aと実質的に直交する方向に沿って互いから所定距離だけ離すことによって、成形装置11から除去できる。
【0035】
図示していない実施形態では、成形装置11は、二つ以上の移動自在のエレメント22を含んでいてもよい。
【0036】
これらの移動自在のエレメント22の各々は、成形軸線Aに対して横方向に、下面24及び上面25によってその境界が形成されている。移動自在のエレメント22の各々の内側には段差が設けられている。この段差は、複雑な成形面23の上方に配置されている。段差は、成形軸線Aに対して横方向に延びる横面26及び実質的に成形軸線Aに沿って配置されたガイド面27によってその境界が形成されている。移動自在のエレメント22の各々には、実質的に截頭円錐形(frustoconical)の第1カップリング面28を形成できる。第1カップリング面28は、下面24の近くで、移動自在のエレメント22を横方向でその境界を形成する。実質的に截頭円錐形の第2カップリング面29が、第1カップリング面28よりも比較的高い場所で、移動自在のエレメント22の各々の外側に配置されている。第2カップリング面29は、円筒形部分30によって上面25に結合される。
【0037】
図2及び図6に示すように、成形装置11は、接触位置において、移動自在のエレメント22を互いに接触した位置に維持するため、移動自在のエレメント22と相互作用する押圧スリーブ31を含む。押圧スリーブ31は、成形軸線Aに沿ってパンチ14の周囲を延びる。押圧スリーブ31の下部分及び内側には、接触位置において移動自在のエレメント22の第2カップリング面29と相互作用する実質的に截頭円錐形の収容−保持面32が設けられている。押圧スリーブ31の内側において保持面32の上方に形成された円筒形内部分33は、移動自在のエレメント22の各々の円筒形部分30と相互作用するのに適している。
【0038】
特に図6を参照すると、パンチ手段12は、チューブ状の外ジャケット35を含むジャケット手段91を含む。チューブ状の外ジャケット35の内側には、押圧スリーブ31が、成形軸線Aと平行に直線的に移動できるように摺動自在に取り付けられている。
【0039】
外ジャケット35は、内側面38及び底壁を持つ実質的に円筒形形状の側壁を有する。底壁は前記側壁に対して実質的に横方向であり、環状底面138が設けられている。
【0040】
例示の実施形態では、ジャケット手段91は、外ジャケット35に固定された円筒形エレメント135を含む。この円筒形エレメント135は、前記内側面38及び前記環状底面138の内部分を形成する。
【0041】
しかしながら、円筒形エレメント135は、外ジャケット35と一体に形成されていてもよい。
【0042】
押圧スリーブ31は円筒形外面36を有し、保持面32の上方に配置された円筒形外面36の一部は、外ジャケット35の内側での押圧スリーブ31の摺動を案内するために前記内側面38の一部と相互作用するのに適している。
【0043】
環状横壁39が、押圧スリーブ31を、円筒形外面36の上方で成形軸線Aに対してその境界を形成する。前記環状横壁39からチューブ状突出部40が延びており、チューブ状突出部40は、各横端壁41で終端する。前記チューブ状突出部40の端部分は、外ジャケット35の内側で摺動自在である。
【0044】
第1加圧流体、例えば第1圧力の圧縮空気が、環状横壁39の上方に形成された第1環状下チャンバ42に収容されている。この下チャンバ42は、環状横壁39、外ジャケット35の内側面38、外ジャケット35に面するチューブ状突出部40の円筒形表面部分43、及び前記円筒形エレメント135の環状下縁部によってその境界が形成されている。
【0045】
かくして、第1下チャンバ42は、押圧スリーブ31及び前記内ジャケット35によってその全体の境界が形成されている。外部の加圧流体供給源(図示せず)によって供給された第1加圧流体は、外ジャケット35の内側に形成された第1供給導管44を通って下チャンバ42に入る。詳細には、第1供給導管44は、外側に向かって開放した内ジャケット35の溝によって形成される。
【0046】
第1加圧流体は押圧スリーブ31の環状横壁39に作用し、押圧スリーブ31を外ジャケット35の外側に向かって、即ち移動自在のダイエレメント22に向かって押す。換言すると、第1加圧流体は、押圧スリーブ31に対して成形軸線Aと平行に圧力を及ぼす。この圧力は、ダイ手段13に差し向けられ、かくして、前記押圧スリーブに作用する第1空気圧手段を提供する。
【0047】
下チャンバ42は、成形軸線Aに沿って形成されており、環状断面が実質的に一定の第1部分42aと、押圧スリーブ31に形成された対応する凹部により、環状断面がダイ手段13に向かって増大し、最大断面の横壁39で終端するように形成された第2部分42bとを有する。このようにして、全体寸法がかなり小さい下チャンバ42を形成でき、加圧流体と押圧スリーブ31との間の相互作用面を大きくできる。
【0048】
外ジャケット35の下部分には、ストップリングナット47が取り付けられている。ストップリングナット47は、下チャンバ42の加圧流体によってダイ手段に向かって押された押圧スリーブ31が抜けないように構成されている。
【0049】
ストップリングナット47は、詳細には、押圧スリーブ31の外面36に形成された外肩部48に当接するように構成されている。
【0050】
ストップリングナット47は、押圧スリーブの最大伸長作動位置において押圧スリーブ31の制限ストップを形成する。詳細には、押圧スリーブ31の外肩部48とストップリングナット47との間に交換可能なエレメント46、即ち実質的に円筒形の環状スペーサが配置されている。この環状スペーサにより、押圧スリーブ31の制限ストップ位置を外ジャケット35に関して変更できる。
【0051】
ジャケット手段91は、更に、外ジャケット35に固定されたチューブ状内ジャケット49を含む。内ジャケット49には、通しハウジング59が設けられている。通しハウジング59は、パンチ14を受け入れ、このパンチを外ジャケット35とともに支持するように構成されている。
【0052】
内ジャケット49は、外ジャケット35内に収容され、実質的に円筒形の外面51を持つ第1部分50と、第1部分50の反対側にあり、外ジャケット35の外側に延びる第2部分52とを有する。
【0053】
パンチ手段12は、外ジャケット35と内ジャケット49の第1部分50との間に摺動自在に取り付けられた中間スリーブ53を含む。外ジャケット35と内ジャケット49との間における中間スリーブ53の摺動を案内するため、中間スリーブ53の円筒形外面54が外ジャケット35の内側面38の一部と相互作用し、中間スリーブ53の円筒形内面55が内ジャケット49の円筒形外面51の一部と相互作用する。中間スリーブ53は、実質的に、横壁56によってその上部の境界が形成されている。
【0054】
第2加圧流体、例えば第2圧力の圧縮空気が、環状横壁56の上方に形成された第2環状上チャンバ57に収容されている。上チャンバ57は、環状横壁56、内側面38、外ジャケット35の底面138、及び内ジャケット49の第1部分50の外面51によってその境界が形成されている。上チャンバ57の第2加圧流体は第2圧力にある。第2圧力は、下チャンバ42の加圧流体の第1圧力よりも大きい。
【0055】
第2圧力の第2流体は、外ジャケット35の内側に形成された複数の供給導管58の各々を通って(又は、図示していない変形例では、単一の第2供給導管58によって)上チャンバ57に入る。第2流体は、外部の第2加圧流体供給源(図示せず)によって供給される。この加圧流体は、中間スリーブ53の環状横壁56に作用し、中間スリーブ53を外ジャケット35の外側に、即ち移動自在のダイエレメント22に押す。換言すると、加圧流体は、中間スリーブ53に圧力を及ぼす。この圧力は、成形軸線Aと平行であり、ダイ手段13に差し向けられる。
【0056】
内ジャケット49は、上壁が肩部を形成する第1環状縁部60を含む。肩部は、上チャンバ57の加圧流体によって中間スリーブ53がダイ手段13に押し付けられ、最大伸長作動位置にあるとき、中間スリーブ53の対応する肩部61に当接するのに適している。かくして、内ジャケット49の第1環状縁部60は、最大伸長作動位置において中間スリーブ53の制限ストップを形成する。
【0057】
内ジャケット49は、更に、第2チャンバ57とは反対側における縁部60に連結されたチューブ状突出部62を含む。このチューブ状突出部62はダイ手段に向かって延びており、横端壁63を有する。
【0058】
中間スリーブ53は、円筒形外面54から延びる下環状横壁64を上横壁56の反対側に備えている。前記壁64と隣接してチューブ状突出部65が延びている。チューブ状突出部65は、横端壁66で終端する。
【0059】
前記中間スリーブ53と前記外ジャケット35との間に、詳細には、前記チューブ状突出部65と外ジャケット35の内側面38との間に環状収容部67が形成される。この環状収容部67は、押圧スリーブ31のチューブ状突出部40を摺動自在に受け入れるのに適している。詳細には、押圧スリーブ31のチューブ状突出部40の横端壁41は、押圧スリーブ31が退避作動位置にあるとき、中間スリーブ53の下環状横壁64に当接することなく近づくのに適している。押圧スリーブ31のこの作動位置では、以下に更に詳しく説明するように、第2チャンバ57内の加圧流体が中間スリーブ53に直接的に作用し、押圧スリーブ31は、加圧されたチャンバ42により直接的に生成されたスラスト(thrust)によってダイ手段13に向かって押される。
【0060】
図4及び図6に示すように、押圧スリーブ31とパンチ14との間には、チューブ状形状の成形スリーブ68が配置されている。成形スリーブ68は前記パンチ14上に摺動自在に取り付けられており且つ前記パンチ14と実質的に同軸である。外側成形面15によってその境界が形成されたパンチ14の一部が成形スリーブ68から出ており、ダイ手段13に面する。
【0061】
成形スリーブ68は、下部が端部69によってその境界が形成されており、この端部69に環状成形面70が形成されている。環状成形面70は、パンチ15に向かって形成されており、プレフォーム1の環状縁部10の形成に適しており、第1横方向相互作用面71が形成されている。第1横方向相互作用面71は、外部に配置されており、移動自在のエレメント22の各々の横面26に面する。
【0062】
成形スリーブ68は、成形軸線Aと平行に且つその下端69の下の外側が、外ガイド面72によってその境界が形成されている。外ガイド面72は、移動自在のエレメント22の各々のガイド面27と係合できる。他方、成形スリーブ68の内側は、パンチ14に沿って摺動できる内ガイド面73によってその境界が形成されている。
【0063】
成形スリーブ68は、外ガイド面72の上方に大径ゾーンを有し、その下側が成形軸線Aに対して横方向の第2相互作用面74によってその境界が形成されている。第2相互作用面74は、移動自在の部分22の各々の上面25と相互作用できる。
【0064】
リングナットエレメント75が成形スリーブ68の上端に例えば螺合によって固定されている。前記リングナットエレメント75は、パンチ14に形成された第2肩部77と係合するのに適した内縁部76を有する。
【0065】
第2肩部77は、各々の最大伸長作動位置で、成形スリーブ68の制限ストップを形成し、成形スリーブ68がパンチ14から外れないようにし、成形プロセス中のパンチ14の移動を制限する。
【0066】
成形スリーブ68の内側には、パンチ14に形成された第1肩部16に当接できる内肩部78が形成されている。
【0067】
成形スリーブ68の上面には、更に、環状縁部79が設けられている。この環状縁部79は、中間スリーブ53が最大伸長作動位置にあるとき、中間スリーブ53の横端壁66に当接するように構成されている。この作動位置では第2チャンバ57内の第2加圧流体が中間スリーブ53に直接的に作用し、成形スリーブ68に間接的に作用し、中間スリーブ53の横端壁66によって成形スリーブ68をダイ手段13に向かって押す。かくして、第2加圧流体は、中間スリーブ53に作用する第2空気圧手段を提供する。
【0068】
図3、図4、及び図5を参照すると、成形スリーブ68及びパンチ14は、第1下チャンバ42内の第1加圧流体及び第2上チャンバ57内の第2加圧流体を逃がす必要なしに、パンチ手段12によって連結及び取り外しを行うことができる。実際には、パンチ14の取り外しは図3に示すように行われる。第1及び第2のチャンバは、全体が、内ジャケット49及び/又は外ジャケット35の壁によって、及び中間スリーブ53又は押圧スリーブ31の一部分である壁によってその境界が形成されており、従って、第1及び第2のチャンバは、両方とも、パンチ14から完全に遮断されている。パンチ14は、別の種類の別のパンチと交換できる。
【0069】
更に、装置11は、冷却液及び第1及び第2の加圧流体の両方を分配するためのマニホールド95を含むということに留意すべきである。詳細には、マニホールドは、パンチ手段12の上方に配置されたリング状エレメントを含み、ここに第1加圧流体、第2加圧流体、及び冷却液が別個の角度位置で流入する。これにより、パンチ14内で循環する液体を分配流路内を循環する残りの液体から分離する。
【0070】
従って、パンチ14を取り外すとき、冷却流体の流路を完全に空にする必要がなく、パンチ14内の流体だけを抜けばよい。
【0071】
装置11は、更に、パンチ手段12を受け入れるように構成された収容手段80(図3及び図5参照)を含む。詳細には、収容手段80は、ジャケット手段91即ち外ジャケット35を収容するように構成された第1収容部81と、外ジャケット35及び内ジャケット49に固定された円筒形エレメント135と、外側成形面15とは反対側のパンチ14の端部分83を収容するように構成された第2収容部82とを含む。
【0072】
装置11は、第2収容部82の内側に、前記パンチ14を前記第2収容部82に取り外し自在に係止するための第1固定手段84を含む。この第1固定手段84は、例えば、第2収容部82と螺着する雌ねじ85を含む。この雌ねじ85は、内ねじが設けられた端部分を有する。これは、パンチ14のねじ山を備えた端部分83を受け入れるのに適している。
【0073】
パンチ14は、パンチ14を内ジャケット49に挿入したとき、内ジャケット49のチューブ状突出部62の横端壁63に当接する当接部分86、即ち当接縁部を有するということに留意されるべきである。かくして、パンチ14を第1固定手段84によって第2収容部82に係止するとき、当接縁部86により、力を成形軸線Aと平行に且つ第1固定手段84に差し向けた状態で、ジャケット手段91を第1収容部81の内側に係止できる。
【0074】
装置11は、パンチ14を取り外すとき、ジャケット手段91を前記第1収容部81に取り外し自在に係止できる第2固定手段87を含む。
【0075】
第2固定手段87は、第1収容部81の内側に収容されたブッシュ88を含む。ブッシュ88は、例えば、螺合により、内ジャケット49の自由端52に固定される。第2固定手段87は、更に、ブッシュ88を第1収容部81の壁に固定する取り外し自在の横方向枢軸89を含む。
【0076】
本発明のパンチ手段12は、実質的に、外カートリッジ90を含む。この外カートリッジ90には、ジャケット手段91(即ち外ジャケット35及び内ジャケット49)、押圧スリーブ31、及び中間スリーブ53が含まれ、このカートリッジの内側には、第1チャンバ42及び第2チャンバ57が全体に含まれる。外カートリッジ90は、第2固定手段87によって第1収容部81に固定された状態に保持され、たとえパンチ14を取り外す場合でもチャンバには圧力が加わったままである。
【0077】
装置11は、ブッシュ88と第1固定手段84との間に取り外し自在の連結手段92を備えている。この連結手段92は、例えば、第1固定手段84及び第2固定手段87に関わらず、パンチ14を外ジャケット35及び内ジャケット49に固定する取り外し可能な安全ばねを含む。このようにして、メンテナンス作業を行うため、パンチ手段12を収容手段80から完全に抜くことができる。
【0078】
作動中、先ず最初に成形装置11を図1に示す開放位置に置く。この位置では、ダイ手段13はパンチ手段12から間隔が隔てられている。これは、溶融状態/ペースト状態のプラスチックの装入体Dを移送手段(図示せず)からダイのキャビティに受け入れるためである。
【0079】
移動自在のエレメント22は、押圧スリーブ31が、第1下チャンバ42の第1圧力の第1流体によってダイ手段13に最初に押し付けられるため、最大伸長作動位置の押圧スリーブ31によって接触位置に維持される。中間スリーブ53もまた最大伸長作動位置にあり、第2チャンバ57の第2圧力の第2流体によって押されている。同様に、上述のように、成形スリーブ68は、中間スリーブ53によって押されているため、最大伸長作動位置にある。
【0080】
次いで、初期形成工程において、アクチュエータがダイ手段13をパンチ手段12まで移動させる。装入体Dの上端がパンチ14の下端と接触する。この際、アクチュエータはダイ手段13をパンチ手段12に向かって移動させ続け、パンチ14は装入体Dの絞りを開始し、装入体Dを変形し、装入体Dをダイキャビティの内部に再分配する。詳細には、パンチ14によってプレスされたプラスチックが、パンチ14の下に配置されたダイキャビティの部分全体に拡がり、プレフォーム1の外面3を構成するダイキャビティの内部成形面の形状をとり始める。
【0081】
次いで、ダイ手段13は、移動自在のエレメント22の下面24と接触する。詳細には、移動自在のエレメント22の截頭円錐形表面28が、相補的形状のダイ手段13の上部分と形状連結態様で係合する。
【0082】
パンチ14によって押圧されたダイキャビティ内のプラスチックが移動自在のエレメント22まで上昇し始める。この際、プラスチックは、移動自在のエレメント22の下面24の下にとどまる。この成形工程において、プラスチックは、比較的高い高さまで流れた場合でも、ダイキャビティの上面と移動自在のエレメント22との間の隙間に入り込まない。これは、移動自在のエレメント22が、第1チャンバ42の第1圧力の流体が作用している押圧スリーブ31によって、ダイ手段13に押し付けられた状態に維持されるためである。
【0083】
次いで、アクチュエータはダイ手段13を上方に移動させ続け、従って、ダイ手段13は移動自在のエレメント22と接触し、アクチュエータは、更に、移動自在のエレメント22及び押圧スリーブ31を移動させ、これはダイ手段13と一体に移動する。
【0084】
この工程では、成形スリーブ68は静止したままであり、中間スリーブ53によって押されているため、最大伸長作動位置を保持する。この際、移動自在のエレメント22のガイド面27は、成形スリーブ68の外ガイド面72に沿って流れ、押圧スリーブ31の外面36は外ジャケット35の内側面38上で摺動する。押圧スリーブ31のチューブ状突出部40は、中間スリーブ53のチューブ状突出部65と外ジャケット35との間に形成された収容部67の内側で摺動する。第1下チャンバ42に収容された第1圧力の第1流体は、押圧スリーブ31を強く押す。これにより移動自在のエレメント22をダイ手段13に向かってプレスされた状態に維持する。
【0085】
中間成形工程では、アクチュエータによって押された移動自在のエレメント22の横面26は、成形スリーブ68の第1相互作用面71の近くに位置決めされる。これらは、プラスチックが横面26間から流出しないようにすると同時にダイキャビティ内の空気を出すことができるようにするため、相互作用面71からの距離が非常に小さいように位置決めされる。これと同時に、移動自在のエレメント22の上面25は、成形スリーブ68の第2相互作用面74と接触した状態に位置決めされ、成形スリーブ68の環状縁部79の上壁は、中間スリーブ53の横端壁66に当接し続ける。
【0086】
押圧スリーブ31のチューブ状突出部40の第1横端壁41は、中間スリーブ53のチューブ状突出部65と外ジャケット35との間に形成された収容部67の内側で摺動し、引っ込められる。
【0087】
かくして、パンチ手段12とダイ手段13との間には、閉止された第1成形チャンバが形成される。第1成形チャンバは、この時点では、パンチ14及びダイキャビティが対応する最終的な形態に達していないため、プレフォーム1の正確な形状と対応する形状を備えていない。成形スリーブ68の環状成形面70が第1成形チャンバを閉止すると、プラスチックは第1成形チャンバを完全に充填し始める。
【0088】
次いで、アクチュエータはダイ手段13を上方に移動させ続ける。この際に、ダイ手段13は移動自在のエレメント22と接触しており、アクチュエータは、移動自在のエレメント22、押圧スリーブ31(押圧スリーブ31の保持面32は移動自在のエレメント22の第2連結面29と接触している)、成形スリーブ68(移動自在のエレメント22の上面25は成形スリーブ68の相互作用面74と接触している)、及び中間スリーブ53を上方に一体的に移動させる。中間スリーブ53は成形スリーブ68と接触しており、成形スリーブ68によって移動される。
【0089】
この最終成形工程では、成形チャンバの容積は、パンチ手段12及びダイ手段13が最終作動形態に達するまで徐々に減少する。最終作動形態では、プレフォーム1の最終的形状と実質的に対応する形状を持つ第2成形チャンバが形成される。第2上チャンバ57の第2圧力の第2流体はガスばねとして作用し、中間スリーブ53に抑制作用を及ぼし、これによりダイ手段13に向かって強く押される。このようにして、中間スリーブ53によって押された成形スリーブ68が移動自在のエレメント22をダイ手段13に押し、ダイ手段13が移動自在のエレメント22を中間スリーブ53に向かって押す。詳細には、成形スリーブ68の環状成形面70は、プレフォームの縁部ゾーン10を効果的に形成し、プレフォームの上昇を抑える。これに対し、成形スリーブ68の第2相互作用面74は移動自在のエレメント22をダイ手段13に向かって強く押す。
【0090】
これと同時に、第1圧力の第1流体による所定の圧力で第1チャンバ42の流体によって押された押圧スリーブ31は、移動自在のエレメント22と接触した状態を維持し続け、移動自在のエレメント22をダイ手段13に向かって強く押し、成形チャンバ内のプラスチックの作用を移動自在のエレメント22において抑制する。
【0091】
押圧スリーブ31のチューブ状突出部40の第1横端壁41は、退避作動位置では、中間スリーブ53の下横壁64とほぼ接触する状態になっているが、下横壁64と当接しておらず、第1下チャンバ42の第1圧力の第1流体は押圧スリーブ31をダイ手段13に向かって押し続ける。最終成形工程では、かくして、中間スリーブ53が前記成形スリーブ68に当接し、成形スリーブ68を移動自在のエレメント22に向かって押すため、第2チャンバ57が成形スリーブ68に作用する。この際、第1チャンバ42は、押圧スリーブ31に作用を及ぼし続ける。かくして、第1チャンバ42及び第2チャンバ57は、作動を順次開始するけれども、第1チャンバ42は第2チャンバ57よりも前に作動を開始し、中間工程及び最終的成形工程で協働し、ダイ手段13に差し向けられた各々別個の圧力を発生させる、移動自在のエレメント22をダイ手段13に同時にしかし別個に押すということに留意すべきである。
【0092】
詳細には、第1チャンバ42及び第2チャンバ57は、第1チャンバ42が移動自在のエレメント22の截頭円錐形連結面29に作用するため、前記移動自在のエレメント22の別個の部分に作用する。この際、第2チャンバ57は移動自在のエレメント22の上面25に作用する。
【0093】
プレフォーム1を冷却し、損傷の危険なしに取り扱うことができる温度で安定したとき、成形装置11を開放し、形成されたばかりのプレフォーム1を取り出すことができる。プレフォーム1は冷却すると収縮するため、パンチ14の周囲にしっかりとクランプされた状態にとどまるということに留意すべきである。
【0094】
初期取り出し工程では、ダイキャビティを下方に移動させることによって、アクチュエータがダイ手段13をパンチ手段12から取り出す。
【0095】
その結果、第2チャンバ57は、成形スリーブ68に当接した中間スリーブ53に作用することによって、成形スリーブ68を下方に摺動する。前記成形スリーブ68の第2相互作用面74は、移動自在のダイエレメント22の上面25に当接し、これを下方に即ちダイ手段13に向かって押す。
【0096】
これと同時に、第1チャンバ42が押圧スリーブ31を下方に押し、かくして、押圧スリーブ31は、前記押圧スリーブ31の保持面32が前記移動自在のエレメント22の截頭円錐形連結面29に当接したとき、移動自在のエレメント22を下方に押す。従って、第1チャンバ42及び第2チャンバ57は初期取り出し工程で協働し、ダイ手段13に向かって差し向けられた別個の力を各々発生させ、移動自在のエレメント22を同時に下方に押すということに留意すべきである。
【0097】
この初期取り出し工程において、ねじ山を備えた部分7、円形縁部8、及びリング9が複雑な成形面23によってクランプされているため、プレフォーム1は移動自在のエレメント22と関連している。かくして、移動自在のエレメント22は、ダイ手段13に向かって移動することにより、プレフォーム1とパンチ14との間の摩擦に打ち勝って、プレフォーム1をパンチ14から取り外す。
【0098】
プレフォーム1は、パンチ14から取り外され、成形スリーブ68の最大伸長作動位置が得られている限り、成形スリーブ68によって案内されるということに着目することが重要である。成形スリーブ68が下方に摺動するため、成形スリーブ68の環状成形面70がプレフォーム1の縁部ゾーン10を押し、起こり得るプレフォーム1の変形を阻止する。
【0099】
上文中に開示したように成形スリーブ68と協働する押圧スリーブ31は、プレフォーム1をパンチ14から取り外すのに寄与する。詳細には、プレフォーム1のねじ山を備えた部分5を安定化し、起こり得るプレフォーム1の半径方向の変形を阻止する。
【0100】
中間取り外し工程では、成形スリーブ68は前進作動位置で停止し、リングナットエレメント75の内縁部76がパンチ14の第2肩部77と係合する。その間、第1チャンバ42の第1流体によって押され続けている押圧スリーブ31のチューブ状突出部40が、中間スリーブ53のチューブ状突出部65と外ジャケット35との間に形成された収容部67の内側でダイ手段13に向かって摺動する。
【0101】
従って、第1チャンバ42及び第2チャンバ57は連続して作動を停止するが、第2チャンバ57は第1チャンバ42よりも先に作動を停止し、初期取り外し工程及び中間取り外し工程の両方で協働し、ダイ手段13に差し向けられた別個の力を各々発生させ、移動自在のエレメント22をこれと同時にしかし独立してダイ手段13に向かって押すということに留意すべきである。
【0102】
最終取り外し工程では、第1下チャンバ42に収容された第1加圧流体が、押圧スリーブ31をダイ手段13に向かって更に押し、パンチ14の第2肩部77によって静止状態に維持された成形スリーブ68から遠ざかる方向に移動させる。押圧スリーブ31によって互いに接触した状態に維持された移動自在のエレメント22は、押圧スリーブ31とともに下方に移動し、パンチ14からのプレフォーム1の取り外しを続行する。この工程では、既に外側成形面15から取り外されているプレフォーム1をパンチ14から比較的小さい取り外し力で取り外すことができる。これは、第1下チャンバ42に収容された第1加圧流体のみによって行うことができるということに留意されたい。
【0103】
例えば装置11に設置されたパンチ手段12の清掃及び/又は試験を必要とする圧縮成形装置のメンテナンス作業中、とりわけ、第1チャンバ42に続く圧縮空気の供給導管44及び第2チャンバ57に続く圧縮空気の供給導管58、即ち装置11の圧縮空気流路を空にして作業を行う必要がある。更に、装置内を循環する冷却液の分布を、パンチ14の内部を循環する冷却液から隔離しなければならない。
【0104】
パンチ14を螺着する雌ねじ85に作用を及ぼし、ブッシュ88を収容手段80に固定する横方向枢軸89を横に抜くことによって、パンチ手段12を装置11から完全に取り外し、パンチ手段12を収容手段80から抜くことができる。取り外し自在の連結手段92は、パンチ14が対応するカートリッジ90に連結された状態を常に維持し、これにより装置11からパンチ手段を取り外す上での安全性を保証する。
【0105】
メンテナンス作業後、パンチ手段12は、収容手段それ自体が取り付け工程中にパンチ手段のセンタリング手段を構成するため、時間がかかる構成要素の調整作業及び位置合わせ作業を行う必要なく取り付けられるということに留意されたい。
【0106】
大きさの変更作業中、又は重量及び/又は形状が異なるプレフォーム1を製造する必要がある場合、装置内を循環する冷却液の分布を、パンチ14の内部を循環する冷却液から隔離することによって、パンチ14を大きさの異なるパンチと短時間で交換できる。これは、パンチ14を螺着する雌ねじ85に作用を及ぼすことによって行われる。パンチを取り外したとき、カートリッジ90内の第1チャンバ42及び第2チャンバ57は両方とも加圧状態のままであり、従って、大きさが異なる新たなパンチ14を内ジャケット49内に螺着した後、及びその内部での冷却液の循環を再開した後、装置11はいつでも作動の準備ができている。パンチ14は、実際には、内ジャケット49内でどのような種類の位置合わせも必要とせず、取り付け中に内ジャケット49内で摺動し、当接縁部86により係止される。
【0107】
かくして、上文中に開示した装置11には、押圧スリーブ31及び成形スリーブ68が移動自在のエレメント22に作用する圧力を最適にするという利点がある。詳細には、中間成形工程では低い圧力、最終成形工程では遥かに大きい圧力を加え、作動中の融通性を大きくできる。詳細には、押圧スリーブ31及びジャケット手段91の壁によって全体が形成されたチャンバ42、57を形成することによって、上述のチャンバ42及び57をパンチ14から隔離できる。これは、大きさの変更を行うためにパンチ14の取り外し及び取り付けを迅速に行うことができるようにするためである。
【0108】
更に、装置11の構造は、特に簡単なものとなっている。これは、第1チャンバ42が形成する第1空気圧手段及び第2チャンバ57が形成する第2空気圧手段が、互いに平行でかつその大きさが異なる圧力を発生させ、これらの圧力が前記移動自在のエレメント22の別個の部分をダイ手段13に向かって押すためである。これは、各々の最適の圧力を前記移動自在のエレメント22の各部分に加えることができるため、特に有利である。このような力により、中間成形工程及び最終成形工程、及び初期取り外し工程及び中間取り外し工程で、プレフォーム1の口部ゾーン6を形成でき、その後、パンチ14から変形なしで取り外すことができる。
【0109】
ここに例示していない一つの実施形態では、第1チャンバ42及び第2チャンバ57は、移動自在のエレメント22をダイ手段13に同時に且つ独立して押すために最大圧力を必要とする最終成形工程及び初期取り外し工程のみにおいて協働する。
【0110】
添付図面に示してない変形例では、装置11は単一のチャンバ、例えば、加圧流体が供給される上チャンバ57を有する。これは、中間成形工程では圧力が足らず、最終成形工程ではその大きさが比較的大きい。押圧スリーブ31及び中間スリーブ68が互いに一体をなして協働し、移動自在のエレメント22に作用する単一の摺動自在の押圧スリーブ31を形成する。この変形例でも、加圧流体の流路を空にする必要なしに、パンチ14をパンチ手段12から抜くことができるということに留意されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パンチ手段(12)と、キャビティが設けられたダイ手段(13)と、接触位置と分離位置との間で互いに移動自在の少なくとも二つのダイエレメント(22)とを備え、前記パンチ手段(12)は、前記キャビティに挿入するのに適したパンチ(14)と、前記少なくとも二つのダイエレメント(22)を前記接触位置に維持するため、前記パンチ(14)の周囲に摺動自在に取り付けられた押圧スリーブ(31)と、前記パンチ(14)及び前記押圧スリーブ(31)を受け入れるように構成されたジャケット手段(91)と、第1圧力の第1流体を収容し、前記押圧スリーブ(31)に作用する少なくとも第1チャンバ(42、57)とを含む、プラスチックの装入体(D)からプレフォームを圧縮成形するための装置において、
前記第1チャンバ(42、57)は、前記第1チャンバ(42、57)を加圧状態に維持しながら前記パンチを前記パンチ手段(12)から取り外すことができるように、前記押圧スリーブ(31)及び前記ジャケット手段(91)によってその全体の境界が形成されている、ことを特徴とする装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置において、
前記パンチ手段(12)を取り外し自在に収容するように構成された収容手段(80)を含む、装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置において、
前記ジャケット手段(91)は外ジャケット(35)を含み、前記第1チャンバ(42)は、前記押圧スリーブ(31)及び前記外ジャケット(35)によってその全体の境界が形成されている、装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置において、
前記ジャケット手段(91)は、更に、前記外ジャケット(35)に固定され、前記パンチ(14)を収容するように構成された内ジャケット(49)を含み、前記ジャケット手段(91)は、前記パンチ(14)を支持する、装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置において、
前記パンチ手段(12)は、第2チャンバ(57)を形成するよう前記外ジャケット(35)と前記内ジャケット(49)との間に摺動自在に配置された中間スリーブ(53)を含み、前記第2チャンバ(57)は、第2圧力の第2流体を収容し、前記第2流体の前記第2圧力は前記第1流体の前記第1圧力よりも大きい、装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置において、
前記内ジャケット(35)は、最大伸長位置で前記中間スリーブ(53)の対応する肩部(61)に当接するのに適した肩部(60)を含み、前記中間スリーブ(53)は、前記第2流体によって前記最大伸長位置に押される、装置。
【請求項7】
請求項5又は6に記載の装置において、
前記中間スリーブ(53)と前記外ジャケット(35)との間には、前記押圧スリーブ(31)の各チューブ状突出部(40)を収容するのに適した環状の収容部(67)が形成される、装置。
【請求項8】
請求項7に記載の装置において、
前記中間スリーブ(53)は、前記第2チャンバ(57)に関して反対側から前記ダイ手段(13)に向かって延びるチューブ状突出部(65)を含み、前記環状の収容部(67)は、前記中間スリーブ(53)の前記チューブ状突出部(65)及び前記外ジャケット(35)によって形成される、装置。
【請求項9】
請求項1乃至8のうちのいずれか一項に記載の装置において、
前記パンチ手段(12)は、前記パンチ(14)に摺動自在に取り付けられ、前記プレフォーム(1)の環状縁部ゾーン(10)を形成するように構成された成形スリーブ(68)を含む、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置において、
前記成形スリーブ(68)は、前記押圧スリーブ(31)と前記パンチ(14)との間に配置される、装置。
【請求項11】
請求項9又は10に記載の装置において、
前記成形スリーブ(68)は前記パンチ(14)に連結されており、前記パンチ(14)および前記成形スリーブ(68)は前記パンチ手段(12)から取り外すことができる、装置。
【請求項12】
請求項1乃至11のうちのいずれか一項に記載の装置において、
前記収容手段(80)は、前記ジャケット手段(91)を収容するように構成された第1収容部(81)と、前記パンチ(14)の端部分(83)を収容するように構成された第2収容部(82)とを含む、装置。
【請求項13】
請求項12に記載の装置において、
前記パンチ(14)を前記第2収容部(82)に取り外し自在に係止するための第1固定手段(84)を含む、装置。
【請求項14】
請求項13に記載の装置において、
前記第1固定手段(84)は、前記第2収容部(82)に螺着できる雌ねじ(85)を含み、前記雌ねじ(85)は、前記パンチ(14)のねじ山を備えた端部分(83)と係合するための雌ねじが設けられた端部分を含む、装置。
【請求項15】
請求項12が請求項4乃至8のうちのいずれか一項に記載の装置であったときの、請求項13又は14に記載の装置において、
前記パンチ(14)は、前記第1固定手段(84)が前記パンチ(14)を前記第2収容部(82)に係止するとき、前記内ジャケット(49)及び前記外ジャケット(35)を前記第1収容部(81)に維持するように、前記内ジャケット(49)の横壁(63)に当接するように構成された当接部分(86)を含む、装置。
【請求項16】
請求項12乃至15のうちのいずれか一項に記載の装置において、
特に前記パンチ(14)を取り外すとき、前記ジャケット手段(91)を前記第1収容部(81)に維持するように前記ジャケット手段(91)に作用する第2固定手段を含む、装置。
【請求項17】
請求項16に記載の装置において、
前記第2固定手段(87)は、前記内ジャケット(49)の自由端(52)及び前記第1収容部(81)の壁に、取り外し自在の横方向ピン(89)によって連結されたブッシュ(88)を含む、装置。
【請求項18】
請求項9が請求項5乃至8のうちのいずれか一項に記載の装置であり、請求項12が請求項9乃至11のうちのいずれか一項に記載の装置であったときの、請求項9乃至17のうちのいずれか一項に記載の装置において、
前記成形スリーブ(68)、前記中間スリーブ(53)、及び前記押圧スリーブ(31)は、前記ダイ手段(13)によって及ぼされた力により、前記パンチ(14)に関して、最大伸長作動位置から退避作動位置まで移動できる、装置。
【請求項19】
請求項9が請求項8に記載の装置であり、請求項12が請求項9乃至11のうちのいずれか一項に記載の装置であったときの、請求項9乃至18のうちのいずれか一項に記載の装置において、
前記押圧スリーブ(31)の前記チューブ状突出部(40)は、前記プレフォームの中間成形工程及び/又は最終成形工程、及び前記プレフォームの初期取り外し工程及び/又は中間取り外し工程において、前記環状の収容部(67)内の退避作動位置にある、装置。
【請求項20】
請求項12が請求項9乃至11のうちのいずれか一項に記載の装置であり、請求項9が請求項8に記載の装置であったときの、請求項9乃至19のうちのいずれか一項に記載の装置において、
前記成形スリーブ(68)は、前記中間スリーブ(53)の前記チューブ状突出部(65)に当接するように、前記ダイ手段(13)に対して実質的に反対側に配置された環状縁部(79)を含み、前記第2チャンバ(57)の前記第2加圧流体は、前記プレフォームの中間成形工程及び/又は最終成形工程、及び前記プレフォームの初期取り外し工程及び/又は中間取り外し工程において、前記中間スリーブ(53)を介して前記成形スリーブ(68)に作用する、装置。
【請求項21】
請求項20に記載の装置において、
前記中間スリーブ(53)によって前記成形スリーブ(68)に作用する前記第2チャンバ(57)は、前記プレフォームの中間成形工程及び/又は最終成形工程、及び前記プレフォームの初期取り外し工程及び/又は中間取り外し工程において、前記押圧スリーブ(31)に作用する前記第1チャンバ(42)と協働し、前記少なくとも二つのダイエレメント(22)を前記接触位置に維持する、装置。
【請求項22】
請求項21に記載の装置において、
前記第2チャンバ(57)及び前記第1チャンバ(42)は、前記ダイ手段(13)に向かって差し向けられた力を各々発生させ、これらの力は、前記移動自在のエレメント(22)の別個の部分に作用する、装置。
【請求項23】
請求項20乃至22のうちのいずれか一項に記載の装置において、
前記成形スリーブ(68)に作用する前記第2チャンバ(57)は、前記成形工程において、前記第1チャンバ(42)が前記押圧スリーブ(31)に作用した後、作動を開始する、装置。
【請求項24】
請求項20乃至22のうちのいずれか一項に記載の装置において、
前記成形スリーブ(68)に作用する前記第2チャンバ(57)は、前記取り外し工程において、前記第1チャンバ(42)が前記押圧スリーブ(31)に作用する前に作動を完了する、装置。
【請求項25】
請求項1乃至24のうちのいずれか一項に記載の装置において、
前記第1チャンバ(42)は、断面が前記ダイ手段(13)に向かって増大する部分(42b)を持つように形成されている、装置。
【請求項26】
請求項1乃至25のうちのいずれか一項に記載の装置において、
特に前記パンチ手段(12)を前記装置から取り外すとき、前記パンチ(14)を前記ジャケット手段(91)に固定するための取り外し自在の連結手段(92)を含む、装置。
【請求項27】
請求項1乃至26のうちのいずれか一項に記載の装置において、
複数の前記パンチ手段(12)又は各々の前記ダイ手段(13)及び各々のダイエレメント(22)が回転自在の成形カルーセルに含まれる、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2012−517917(P2012−517917A)
【公表日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−549716(P2011−549716)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【国際出願番号】PCT/IB2010/050600
【国際公開番号】WO2010/092527
【国際公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【出願人】(509238432)サチミ、コオペラティバ、メッカニーチ、イモラ、ソチエタ、コオペラティバ (14)
【氏名又は名称原語表記】SACMI COOPERATIVA MECCANICI IMOLA SOCIETA’ COOPERATIVA
【Fターム(参考)】