説明

物体面移動装置及び該壁面移動装置に用いられる吸着移動ユニット

【課題】移動速度が早くかつ有効荷重(ペイロード)が大きな壁面移動ロボットを提供すること。
【解決手段】吸着移動ユニット1a,1bを有する親機1及び吸着移動ユニット2−1aを有する子機2‐1は共に物体面に対して移動可能である。親機1と子機2−1とは連結機構3‐1によって連結され、連結機構3−1の長さは駆動機構4−1によって調整される。親機と子機は連携して移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は壁面、天井等の物体面を移動する物体面移動装置及び物体面移動装置に用いられる吸着移動ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、多くの構造物が巨大化の一途をたどる一方、構造物の老朽化、欠陥等による危険性から構造物を定期的に保守、点検を行うことが必要不可欠となっている。
【0003】
上述の保守、点検を行うのが物体面移動装置(たとえば壁面移動装置)である。物体面移動装置としては、図27に示すワイヤ牽引型物体面移動装置、図28、図29、図30に示す物体面吸着型物体面移動装置が知られている。
【0004】
図27のワイヤ牽引型物体面移動装置において、101はビル、102はビル101の壁面を清掃するためのゴンドラ、103はビル101の屋上に設けられ、ゴンドラ102を吊るすためのワイヤである。
【0005】
図27のワイヤ牽引型物体面移動装置は、ゴンドラ102の有効荷重(ペイロード)を大きくでき、また、信頼性が高いという利点を有する。
【0006】
図28の物体面吸着型物体面移動装置においては、壁201の面に対して負圧発生装置202によって負圧吸盤203内に負圧を発生させ、これにより、空気が負圧吸盤203内に吸入される際に吸着力を発生させる。また、同時に、車輪204により移動できるようにする。つまり、逆ホバークラフトの動作を行う。
【0007】
図28の物体面吸着型物体面移動装置は、移動速度が大きいという利点を有する。
【0008】
図29の物体面吸着型物体面移動装置においては、鉄などの磁性体より構成される壁301の面に対して永久磁石302によって吸着力を発生させる。また、同時に、車輪303により移動できるようにする。
【0009】
図29の物体面吸着型物体面移動装置も、移動速度が大きいという利点を有する。
【0010】
図30の物体面吸着型物体面移動装置においては、壁401の面に対して1対の負圧吸盤(もしくは永久磁石)402a,402b及びこれら負圧吸盤(もしくは永久磁石)402a,402bの間の負圧吸盤(もしくは永久磁石)402cにより吸着力を発生させる。この場合、負圧吸盤(もしくは永久磁石)402a,402bは支持フレーム403に固定され、負圧吸盤(もしくは永久磁石)402cは支持フレーム403に対して移動可能な上下駆動装置404に固定されている。
【0011】
従って、図30の(A)に示すごとく、負圧吸盤(もしくは永久磁石)402a,402bが吸着状態のときに、上下駆動装置404によって負圧吸盤(もしくは永久磁石)402cを壁401の面から浮上させ、負圧吸盤(もしくは永久磁石)402a,402bに対して移動させる。他方、図30の(B)に示すごとく、上下駆動装置404によって負圧吸盤(もしくは永久磁石)402cが吸着状態のときに、上下駆動装置404によって負圧吸盤(もしくは永久磁石)402a,402bを壁401の面から浮上させ、負圧吸盤(もしくは永久磁石)402cに対して移動させる。つまり、歩行型の動作を行う。
【0012】
尚、図30において、402a、402b、402cが永久磁石の場合には、壁401は鉄などの磁性体により構成される。
【0013】
図30の物体面吸着型物体面移動装置も、移動速度が大きいという利点を有する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、図27に示すワイヤ牽引型物体面移動装置においては、ビル101の壁面の一部に突起等がある場合には適用困難となり、移動性に限界があるという課題があった。
【0015】
また、図28、図29、図30に示す物体面吸着型物体面移動装置においては、いずれも、ペイロードが小さくかつ大きい吸着力が得られないという課題があった。つまり、図28においては、負圧は負圧吸盤203内への吸入によるので大きな負圧の上昇は期待できず、従って、大きい吸着力は得られない。また、図29においては、壁301の面と永久磁石302との間に間隙が存在するので、大きい吸着力は得られない。さらに、図30においては、静止状態には、高い吸着力を発生できるものの、移動状態には、負圧吸盤(もしくは永久磁石)402a,402bまたは負圧吸盤(もしくは永久磁石)402cは浮上して吸着力が低下するので、大きい吸着力は得られないと共に、自重を支持する吸着姿勢保持力の余裕が小さい。
【0016】
従って、本発明の目的は、大きい移動速度と共に大きい吸着力により大きなペイロードが得られる物体面吸着型物体面移動装置を提供することにある。
他の目的は、上述の物体面吸着型物体面移動装置に用いられる吸着移動ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上述の目的を達成するために本発明に係る物体面移動装置は、物体面に対して吸着力を発生する第1の吸着移動ユニットを有して物体面を移動可能な親機と、物体面に対して吸着力を発生する第2の吸着移動ユニットを有して物体面を移動可能な少なくとも1つの子機と、子機を親機に連結してその連結長さが調整可能な連結機構とを備えている。
【0018】
また、本発明に係る物体面移動装置は、物体面を移動可能な親機と、物体面に対して吸着力を発生する吸着移動ユニットを有して前記物体面を移動可能な少なくとも2つの子機と、各子機を親機に連結してその連結長さが調整可能な連結機構とを備えている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、親子型の物体面吸着型物体面移動装置が得られ、これにより、大きい移動速度及び大きい吸着力による大きなペイロードを達成できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
図1は本発明に係る物体面移動装置の第1の実施の形態を示す図である。図1において、物体面(図1の面を示す)に対して移動可能な親機1と子機2−1とは連結機構3−1によって連結され、連結機構3‐1の長さは駆動機構4−1によって調整される。連結機構3−1及び駆動機構4−1の詳細については後述する。
【0021】
親機1は吸着移動ユニット1a,1bを有し、子機2−1は吸着移動ユニット2−1aを有する。吸着移動ユニット1a,1b,2−1aは同一構成をなしており、移動状態時に物体面に対して第1の吸着力(たとえば最小吸着力)を有し、物体面上の静止状態時に物体面に対して第1の吸着力より大きい第2の吸着力(たとえば最大吸着力)を有する。吸着移動ユニット1a,1b,2−1aの詳細については後述する。
【0022】
図1の物体面移動装置の動作を図2、図3を参照して説明する。
【0023】
始めに、図2の(A)を参照すると、親機1、子機2‐1の静止状態においては、親機1、子機2‐1のいずれも物体面に対して最大吸着力により吸着させておくと共に、連結機構3−1をロック状態、つまり、連結機構3‐1の連結長さを固定しておく。これにより、子機2−1が親機1の自重の大きな部分を担うことになる。
【0024】
次に、図2の(B)を参照すると、子機2−1の移動準備状態においては、親機1の最大吸着力を保持する一方、子機2−1の吸着力を最小吸着力に変化させると共に、連結機構3−1をフリー状態、つまり、連結機構3−1の連結長さをフリー状態にしておく。これにより、親機1自身が親機1の自重を担うので、子機2−1は親機1の自重から開放されると共に、子機2‐1は移動可能となる。
【0025】
次に、図2の(C)を参照すると、図2の(B)の状態で子機2−1を所望の位置へ上方(もしくは下方)移動する。尚、図2の(B)、(C)においては、連結機構3−1を長さ調整状態つまり引張状態にしても、子機2−1の移動はしにくくなるが可能である。
【0026】
次に、図3の(A)を参照すると、親機1の移動準備状態においては、親機1の吸着力を最小吸着力に変化させる一方、子機2−1の吸着力を最大吸着力に変化させる。また同時に、連結機構3−1を長さ調整状態、つまり、連結機構3−1を引張状態にしておく。これにより、子機2−1が親機1の自重の一部を保持すると共に、親機1は移動可能となる。
【0027】
次に、図3の(B)を参照すると、図3の(A)の子機2−1による引張状態で親機1を所望の位置へ上方(もしくは下方)移動する。
【0028】
最後に、図3の(C)を参照すると、親機1、子機2‐1の静止状態に戻る。つまり、親機1の吸着力を最大吸着力に変化させると共に、連結機構3−1をロック状態にする。これにより、子機2‐1が親機1の自重の大きな部分を再び担うことになる。
【0029】
このように、図2、図3の動作を繰返すことにより親機1、子機2‐1の移動ができる。このとき、図2の(B)に示すごとく、子機2‐1は通常軽量であるので、子機2‐1自身の自重を支持するのに十分な最小吸着力で物体面を移動する。他方、図3の(B)に示すごとく、親機1は通常重量であるので、最大吸着力で静止している子機2‐1によって連結機構3−1を介して引張支持されながら最小吸着力で物体面を移動する。
【0030】
図4は図1の物体面移動装置の変更例を示す図である。図4においては、2つの子機2−1,2−2を連結機構3−1,3−2によって親機1に連結され、連結機構3‐1,3−2の長さは駆動機構4−1,4−2によって調整される。ここで子機2−1,2−2は親機1の異なる箇所で連結されているが、同一箇所でもよい。ただし、この場合、親機1の水平方向の中央位置で連結する。連結機構3−2及び駆動機構4−2の詳細についても後述する。
【0031】
子機2−2は吸着移動ユニット1a,1b,2−1aと同一構成の吸着移動ユニット2−2aを有する。
【0032】
図4の物体面移動装置の動作を図2、図3と同様の図5、図6を参照して説明する。
【0033】
始めに、図5の(A)を参照すると、親機1、子機2‐1,2−2の静止状態においては、親機1、子機2‐1,2−2のいずれも物体面に対して最大吸着力により吸着させておくと共に、連結機構3−1,3−2をロック状態、つまり、連結機構3‐1,3−2の連結長さを固定しておく。これにより、子機2−1、2−2が親機1の自重の大きな部分を分担保持することになる。
【0034】
次に、図5の(B)を参照すると、子機2−1,2−2の移動準備状態においては、親機1の最大吸着力を保持する一方、子機2−1,2−2の吸着力を最小吸着力に変化させる。また同時に、連結機構3‐1,3−2をフリー状態、つまり、連結機構3‐1,3−2の連結長さをフリー状態にしておく。これにより、子機2−1,2−2は親機1の自重から開放されると共に、子機2−1,2−2は移動可能となる。
【0035】
次に、図5の(C)を参照すると、図5の(B)の状態で子機2−1,2−2を所望の位置へ移動する。尚、図5の(B)、(C)においては、連結機構3−1,3−2を長さ調整状態にし、子機2−1,2−2が親機1の自重の一部を分担保持しても、子機2−1,2−2の移動はしにくくなるが可能である。
【0036】
次に、図6の(A)を参照すると、親機1の移動準備状態においては、親機1の吸着力を最小吸着力に変化させる一方、子機2−1,2−2の吸着力を最大吸着力に変化させる。また同時に、連結機構3‐1,3−2を長さ調整状態、つまり、連結機構3‐1,3−2を引張状態にしておく。これにより、子機2−1,2−2が親機1の自重の一部を分担保持すると共に、親機1は移動可能となる。
【0037】
次に、図6の(B)を参照すると、図6の(A)の子機2−1,2−2による引張状態で親機1を所望の位置へ移動する。
【0038】
最後に、図6の(C)を参照すると、親機1、子機2−1,2−2の静止状態に戻る。つまり、親機1の吸着力を最大吸着力に変化させると共に、連結機構3‐1,3−2をロック状態にする。これにより、子機2−1,2−2が親機1の自重の大きな部分を再び分担保持することになる。
【0039】
このように、図5、図6の動作を繰返すことにより親機1、子機2−1,2−2の移動ができる。このとき、図5の(B)に示すごとく、子機2−1,2−2は通常軽量であるので、子機2−1,2−2自身の自重を支持するのに十分な最小吸着力で物体面を移動する。他方、図6の(B)に示すごとく、親機1は通常重量であるので、最大吸着力で静止している子機2−1,2−2によって連結機構3‐1,3−2を介して引張支持されながら最小吸着力で物体面を移動する。
【0040】
本発明に係る第1の実施の形態においては、子機は1つもしくは2つであるが、本発明は3つ以上の子機を有する場合にも適用できる。この場合、子機の数が大きくなれば、動作制御は複雑となるが、親機1がより重量となっても子機による引張状態で物体面を移動できる。
【0041】
図7は本発明に係る物体面移動装置の第2の実施の形態を示す図である。図7においては、図4の場合と同様に2つの子機2−1,2−2を連結機構3−1,3−2によって親機1に連結され、連結機構3‐1,3−2の長さは駆動機構4−1,4−2によって調整されるが、子機2−1,2−2は親機1の水平方向の中央位置で連結される。連結機構3−2及び駆動機構4−2の詳細についても後述する。子機2−1,2−2は吸着移動ユニット2−1a,2−2aを有するが、親機1は吸着移動ユニットを有しない。このため、上述のごとく、親機1の水平方向の中央位置を子機2−1,2−2で支持して親機1の姿勢の均衡をとる。
【0042】
図7の物体面移動装置の動作を図8、図9を参照して説明する。
【0043】
始めに、図8の(A)を参照すると、親機1、子機2‐1,2−2の静止状態においては、子機2‐1,2−2を物体面に対して最大吸着力により吸着させておくと共に、連結機構3−1,3−2をロック状態、つまり、連結機構3−1,3−2の連結長さを固定しておく。これにより、子機2−1、2−2が親機1の自重の全部を分担保持することになる。
【0044】
次に、図8の(B)を参照すると、子機2−1,2−2の移動準備状態においては、子機2−1,2−2の一方、たとえば子機2−1の吸着力を最小吸着力に変化させると同時に、連結機構3‐1をフリー状態、つまり、連結機構3−1の連結長さはフリー状態にしておく。これにより、子機2−2が親機1の自重の全部を担うので、子機2−1は親機1の自重から開放されると共に、子機2−1は移動可能となる。
【0045】
次に、図8の(C)を参照すると、図8の(B)の状態で子機2−1を所望の位置へ移動する。尚、図8の(B)、(C)においては、連結機構3−1を長さ調整状態、つまり引張状態にし、子機2−1が親機1の自重の一部を担っても、子機2−1の移動はしにくくなるが可能である。
【0046】
次に、図9の(A)を参照すると、親機1の移動準備状態においては、子機2−1の吸着力を最大吸着力に変化させると共に、2つの連結機構3‐1,3−2を長さ調整状態、つまり、連結機構3‐1,3−2を引張状態にしておく。これにより、子機2−1,2−2が親機1の自重の全部を分担保持すると共に、親機1は移動可能となる。
【0047】
次に、図9の(B)を参照すると、図9の(A)の子機2−1,2−2による引張状態で連結機構3−1,3−2の両方の長さを変化させることにより親機1を所望の位置へ移動させる。尚、図9の(A)、(B)において、連結機構3−1,3−2の一方の長さのみを変化させる場合には、変化しない連結機構はロック状態に保持する。
【0048】
最後に、図9の(C)を参照すると、親機1、子機2−1,2−2は静止状態に戻る。つまり、連結機構3‐1,3−2をロック状態にする。これにより、子機2−1,2−2が親機1の自重の全部を再び分担保持することになる。
【0049】
このように、図8、図9の動作を繰返すことにより親機1、子機2−1,2−2の移動ができる。このとき、図8の(B)に示すごとく、子機2−1は通常軽量であるので、子機2−1自身の自重を支持するのに十分な最小吸着力で物体面を移動する。他方、図9の(B)に示すごとく、親機1は通常重量であるので、最大吸着力で静止している子機2−1,2−2によって連結機構3‐1,3−2を介して引張支持されながら物体面を移動する。
【0050】
図10は図7の物体面移動装置の変更例を示す図である。図10においては、4つの子機2−1,2−2,2−3,2−4が連結機構3−1,3−2,3−3,3−4によって親機1に連結され、連結機構3−1,3−2,3−3,3−4の長さは駆動機構4−1,4−2,4−3,4−4によって調整されるが、子機2−1,2−2は対をなし、親機1のある位置で連結され、子機2−3,2−4は対をなし、親機1のほかの位置に連結される。連結機構3−3,3−4及び駆動機構4−3,4−4の詳細についても後述する。
【0051】
子機2−3,2−4は吸着移動ユニット2−3a,2−4aを有する。また、親機1の2つの位置を2対の子機2−1,2−2及び子機2−3,2−4で支持して親機1の均衡をとる。
【0052】
図10の物体面移動装置の動作を図11、図12を参照して説明する。
【0053】
始めに、図11の(A)を参照すると、親機1、子機2−1,2−2,2−3,2−4の静止状態においては、子機2−1,2−2,2−3,2−4を物体面に対して最大吸着力により吸着させておくと共に、連結機構3−1,3−2,3−3,3−4をロック状態、つまり、連結機構3−1,3−2,3−3,3−4の連結長さを固定しておく。これにより、子機2−1,2−2,2−3,2−4が親機1の自重の全部を分担保持することになる。
【0054】
次に、図11の(B)を参照すると、子機2−1,2−2,2−3,2−4の移動準備状態においては、子機2−1,2−2の一方たとえば子機2−1及び子機2−3,2−4の一方たとえば子機2−3の吸着力を最小吸着力に変化させると共に、連結機構3‐1,3−3をフリー状態、つまり、連結機構3−1,3−3の連結長さをフリー状態にしておく。これにより、子機2−2,2−4が親機1の自重を分担保持するので、子機2−1,2−3は親機1の自重から開放されると共に、子機2−1,2−3は移動可能となる。
【0055】
次に、図11の(C)を参照すると、図11の(B)の状態で子機2−1,2−3を所望の位置へ移動する。尚、図11の(B)、(C)において、連結機構3−1,3−3を長さ調整状態、つまり引張状態にし、子機2−1,2−3が親機1の自重の一部を分担保持しても、子機2−1,2−3の移動はしにくくなるが可能である。
【0056】
次に、図12の(A)を参照すると、親機1の移動準備状態においては、子機2−1,2−3の吸着力を最大吸着力に変化させると共に、4つの連結機構3−1,3−2,3−3,3−4を長さ調整状態、つまり、連結機構3−1,3−2,3−3,3−4を引張状態にしておく。これにより、子機2−1,2−2,2−3,2−4が親機1の自重の全部を分担保持すると共に、親機1は移動可能となる。
【0057】
次に、図12の(B)を参照すると、図12の(A)の子機2−1,2−2,2−3,2−4による引張状態で連結機構3−1,3−2,3−3,3−4の長さを変化させることにより親機1を所望の位置へ移動させる。尚、図11の(A)、(B)において、連結機構3−1,3−2の一方の長さ及び/または連結機構3−3,3−4の一方の長さのみを変化させる場合には、変化しない連結機構はロック状態に保持する。
【0058】
最後に、図12の(C)を参照すると、親機1、子機2−1,2−2,2−3,2−4は静止状態に戻る。つまり、連結機構3−1,3−2,3−3,3−4をロック状態にする。これにより、子機2−1,2−2,2−3,2−4が親機1の自重の全部を再び分担保持することになる。
【0059】
このように、図11、図12の動作を繰返すことにより親機1、子機2−1,2−2,2−3,2−4の移動ができる。このとき、図11の(B)に示すごとく、子機2−1,2−3は通常軽量であるので、子機2−1,2−3自身の自重を支持するのに十分な最小吸着力で物体面を移動する。他方、図12の(B)に示すごとく、親機1は通常重量であるので、最大吸着力で静止している子機2−1,2−2,2−3,2−4によって連結機構3−1,3−2,3−3,3−4を介して引張支持されながら物体面を移動する。
【0060】
本発明に係る第2の実施の形態においては、子機は1対もしくは2対であるが、本発明は複数たとえば3対以上の子機を有する場合にも適用できる。この場合、子機の対の数が大きくなれば、動作制御は複雑となるが、親機1がより重量となっても物体面を移動できる。尚、各対の子機は好ましくは親機の同一位置に連結され、子機の移動をし易くする。
【0061】
図13は図1、図4、図7、図10の連結機構3−1,3−2,3−3,3−4及び駆動機構4−1,4−2,4−3,4−4の第1の例を示す図である。図13においては、連結機構3−i(i=1,2,3,4)としてのワイヤ1301、及び駆動機構4−i(i=1,2,3,4)としてのリール1302及びモータ1303を設けてある。ワイヤ1301の長さはモータ1303によってリール1302を回転することにより調整可能である。たとえば、連結機構3−iをロックする場合には、モータ1303の通電を停止しかつリール1302の回転をロックし、これにより、ワイヤ1301の長さを固定する。また、連結機構3−iをフリー状態にする場合には、モータ1303の通電を停止しかつリール1302の回転をフリー状態にし、これにより、ワイヤ1301の長さをフリー状態にする。さらに、連結機構3−iを引張状態にする場合には、モータ1303の通電を保持する。
【0062】
尚、図13の構成においては、子機2−iは必ず親機1の上方に存在することを前提にし、子機2−iが親機1の下方に存在することはない。
【0063】
図14は図1、図4、図7、図10の連結機構3−1,3−2,3−3,3−4及び駆動機構4−1,4−2,4−3,4−4の第2の例を示す図である。図14においては、連結機構3−i(i=1,2,3,4)としてのロッド1401、及び駆動機構4−i(i=1,2,3,4)としてのロッド伸展装置1402を設けてある。ロッド1401の長さはロッド伸展装置1402によって調整可能である。たとえば、連結機構3−iをロックする場合には、ロッド伸展装置1402をロックし、これにより、ロッド1401の長さを固定する。また、連結機構3−iをフリー状態にする場合には、ロッド伸展装置1402をフリー状態にし、これにより、ロッド1401の長さをフリー状態にする。さらに、連結機構3−iを長さ調整状態にする場合には、ロッド伸展装置1402の状態を保持し親機1と子機2−iの間のロッド1401を圧縮もしくは引張状態にする。
【0064】
尚、図14の構成においては、子機2−iは親機1の上方及び下方のいずれに存在してもよい。たとえば、図15に示すごとく、ロッド1401a,1401b及びロッド伸展装置1402a,1402bを親機1の側面に設ければ、親機1の上方に位置する子機2‐1のロッド1401aは圧縮状態となり、親機1の下方に位置するロッド2‐2のロッド1401bは引張状態となる。
【0065】
図16は図1、図4、図7、図10の吸着移動ユニット1a,1b,2−ia(i=1,2,3,4)の第1の例を示す斜視図である。図16において、モータ161−1,161−2,161−3,161−4(161−4は図示せず)によって回転する車輪162−1,162−2,162−3,162−4(162−4は図示せず)は回転軸163−1,163−2,163−3,163−4(163−4は図示せず)を介して支持フレーム164に支持されている。回転軸163−1,163−2,163−3,163−4にはプーリ165が取り付けられ、これにより、すべての車輪162−1,162−2,162−3,162−4は操舵用モータ166によってタイミングベルト167を回転することにより同期して同一方向に向く。この結果、吸着移動ユニット1a,1b,2−iaはあらゆる方向へ移動可能となる。
【0066】
また、図16の支持フレーム164には吸着装置168が設けられている。この吸着装置168としては、負圧吸盤式、永久磁石式及び電磁石式がある。後者の2型式の場合は、物体は磁性体よりなる。
【0067】
図17は図1、図4、図7、図10の吸着移動ユニット1a,1b,2−ia(i=1,2,3,4)の第2の例を示す斜視図である。図17において、駆動プーリ171−1,171−2,171−3,171−4(171−4は図示せず)によって回転するクローラ172−1,172−2は支持フレーム173に支持されている。支持フレーム173には操舵用モータ174が取り付けられ、これにより、クローラ172−1,172−2は操舵用モータ174によって回転することにより同期して同一方向に向く。この結果、吸着移動ユニット1a,1b,2−iaはあらゆる方向へ移動可能となる。
【0068】
また、図17の支持フレーム173には吸着装置175が設けられている。この吸着装置175としても、負圧吸盤式、永久磁石式及び電磁石式がある。後者の2型式の場合は、物体は磁性体よりなる。
【0069】
図17のクローラ172−1(172−2)は、図18のごとく変更できる。
【0070】
すなわち、図18の(A)に示すごとく、クローラ172−1(172−2)の中央下端部にアイドラープーリ181(182)を付加し、クローラ172−1(172−2)を若干突き出させる。これにより、クローラ172−1(172−2)全体が物体面に吸着しなくなり、この結果、操舵抵抗を低減できる。
【0071】
また、図18の(B)に示すごとく、クローラ172−1(172−2)をローラ183を設けることにより全方向クローラとし、これにより、物体面上での移動時に方向転換する際の操舵抵抗を低減できる。この際、自重によってローラ183が回転しないように、クローラ172−1(172−2)の数を3つ以上にする必要がある。
【0072】
次に、図16の吸着装置168を図19、図20、図21、図22、図23、図24、図25、図26を参照して説明する。
【0073】
図19は図16の吸着装置168の第1の例であって、(A)は移動状態、(B)は静止状態を示す。
【0074】
図19において、吸着装置168は、負圧吸盤式であって、物体面に近接するための負圧吸盤191、空気漏れ防止シール192及び負圧吸盤191を支持フレーム164に対して上下に駆動させる上下駆動装置193により構成されている。すなわち、図19の(A)に示すごとく、移動状態においては、上下駆動装置193は負圧吸盤191を物体面に対して上昇させて物体面から引離す。この結果、吸着装置168は物体面に対して最小吸着力を有することになる。他方、図19の(B)に示すごとく、静止状態においては、上下駆動装置193は負圧吸盤191を物体面に対して下降させて物体面に接触させる。この結果、吸着装置168は物体面に対して最大吸着力を有することになる。
【0075】
図20は図16の吸着装置168の第2の例であって、(A)は移動状態、(B)は静止状態を示す。
【0076】
図20において、吸着装置168は永久磁石式であって、磁性体の物体面に接触するための永久磁石2001、永久磁石2001を支持フレーム164に対して上下に駆動させる上下駆動装置2002により構成されている。すなわち、図20の(A)に示すごとく、移動状態においては、上下駆動装置2002は永久磁石2001を物体面に対して上昇させて物体面から引離す。この結果、吸着装置168は物体面に対して最小吸着力を有することになる。他方、図20の(B)に示すごとく、静止状態においては、上下駆動装置2002は永久磁石2001を物体面に対して下降させて物体面に接触させる。この結果、吸着装置168は物体面に対して最大吸着力を有することになる。
【0077】
図21は図16の吸着装置168の第3の例であって、(A)は移動状態、(B)は静止状態を示す。
【0078】
図21において、吸着装置168も永久磁石式であって、図20の構成要素に対して、永久磁石2001と支持フレーム164との間に非線形特性のばね2101を付加する。このばね2101は永久磁石2001の物体面に対する吸着力と逆方向のばね力を有し、ばね2101のばね力と永久磁石2001の上下に駆動させる上下駆動装置2002の吸着力とを均衡させる。この結果、小さな駆動力で永久磁石2001を上下駆動できる。尚、動作は図20の吸着装置168とほぼ同一である。
【0079】
図22は図16の吸着装置168の第4の例であって、(A)は移動状態、(B)は静止状態を示す。
【0080】
図22において、吸着装置168も永久磁石式であって、図20の構成要素に対して、永久磁石2001に連動するストッパ2201を付加する。この結果、図22の(A)に示すごとく、移動状態においては、上下駆動装置2002が永久磁石2001を物体面に対して上昇させて物体面から引離すと、ストッパ2201は車輪162−1,162−2,162−3,162−4に接触しない。他方、図22の(B)に示すごとく、静止状態においては、上下駆動装置2002が永久磁石2001を物体面に対して下降させて物体面に接触させると、ストッパ2201は車輪162−1,162−2,162−3,162−4の回転を停止させる。このように、静止状態に車輪162−1,162−2,162−3,162−4の回転を停止させると、静止状態の吸着移動ユニットの姿勢のずれを防止できる。
【0081】
図23は図16の吸着装置168の第5の例であって、(A)は移動状態、(B)は静止状態を示す。
【0082】
図23において、吸着装置168も永久磁石式であって、図20の構成要素に対して、車輪162−1,162−2,162−3,162−4と支持フレーム164との間にばね2301を付加する。この結果、図23の(A)に示すごとく、移動状態においては、上下駆動装置2002が永久磁石2001を物体面に対して上昇させて物体面から引離すと、ばね2301は車輪162−1,162−2,162−3,162−4に対してサスペンションの役割を果たし、平坦な物体面以外でも、移動状態を安定できる。他方、図23の(B)に示すごとく、静止状態においては、上下駆動装置2002が永久磁石2001を物体面に対して下降させて物体面に接触させると、ばね2301は車輪162−1,162−2,162−3,162−4を確実に物体面に接触させるので、静止状態の吸着移動ユニットの姿勢のずれを防止できる。
【0083】
図24は図16の吸着装置168の第6の例であって、(A)は移動状態、(B)は静止状態を示す。
【0084】
図24において、吸着装置168も永久磁石式であって、図20の構成要素に対して、物体面と永久磁石2001との間に蓋2401を付加すると共に、蓋2401と支持フレーム164との間にばね2402を付加する。この場合、蓋2401は永久磁石2001の磁力線を通過させる材料よりなる。この結果、図24の(A)に示すごとく、移動状態においては、上下駆動装置2002が永久磁石2001を物体面に対して上昇させて物体面から引離すと、ばね2402により蓋2401も物体面から引離れる。他方、図24の(B)に示すごとく、静止状態においては、上下駆動装置2002が永久磁石2001を物体面に対して下降させると、永久磁石2001は蓋2401を押しながら物体面に接触する。このように、静止状態の永久磁石2001は物体面に直接接触せず、従って、物体面上の砂鉄等の磁性材料は蓋2401に付着する。蓋2401に付着した磁性材料は移動状態における蓋2401から除去することができる。
【0085】
図25は図16の吸着装置168の第7の例であって、(A)は移動状態、(B)は静止状態を示す。
【0086】
図25において、吸着装置168も永久磁石式であって、図23の構成要素に対して、蓋164aを支持フレーム164にその一部もしくは別個に付加する。この場合、蓋164aは永久磁石2001の磁力線を通過させる材料よりなる。この結果、図25の(A)に示すごとく、移動状態においては、上下駆動装置2002が永久磁石2001を物体面に対して上昇させて物体面から引離すと、ばね2301は車輪162−1,162−2,162−3,162−4に対してサスペンションの役割を果たし、平坦な物体面以外でも、移動状態を安定できる。他方、図25の(B)に示すごとく、静止状態においては、上下駆動装置2002が永久磁石2001を物体面に対して下降させると永久磁石2001は蓋164aを押しながら物体面に接触する。このように、静止状態の永久磁石2001は物体面に直接接触せず、従って、物体面上の砂鉄等の磁性材料は蓋164aに付着する。蓋164aに付着した磁性材料は移動状態において蓋164aから除去することができる。
【0087】
図26は図16の吸着装置168の第8の例であって、(A)は移動状態、(B)は静止状態を示す。
【0088】
図26において、吸着装置168は電磁石式であって、図20の永久磁石2001及び上下駆動装置2002の代りに電磁石2601を備えている。すなわち、図26の(A)に示すごとく、移動状態においては、電磁石2601は弱いオンとされ、つまり、最小限の電流が電磁石2601に供給され、この結果、吸着装置168は物体面に対して最小吸着力を有することになる。他方、図26の(B)に示すごとく、静止状態においては、電磁石2601は強くオンとされ、つまり、最大限の電流が電磁石2601に供給され、この結果、吸着装置168は物体面に対して最大吸着力を有することになる。
【0089】
図19〜図26の吸着装置は図16の吸着移動ユニットに適用されるものであるが、図19〜図26の吸着装置は図17の吸着移動ユニットに適用することができる。この場合、図19〜図26の車輪162−1,162−2,162−3,162−4の代りに図17のクローラ172−1,172−2を用いる。
【0090】
図21〜図25の吸着装置は適宜組合せて用いることができる。たとえば、図21のばね2101は図22、図23、図24、図25の吸気装置に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明に係る物体面移動装置の第1の実施の形態を示す図である。
【図2】図1の物体面移動装置の動作を説明する図である。
【図3】図1の物体面移動装置の動作を説明する図である。
【図4】図1の物体面移動装置の変更例を示す図である。
【図5】図4の物体面移動装置の動作を説明する図である。
【図6】図4の物体面移動装置の動作を説明する図である。
【図7】本発明に係る物体面移動装置の第2の実施の形態を示す図である。
【図8】図7の物体面移動装置の動作を説明する図である。
【図9】図7の物体面移動装置の動作を説明する図である。
【図10】図7の物体面移動装置の変更例を示す図である。
【図11】図10の物体面移動装置の動作を説明する図である。
【図12】図10の物体面移動装置の動作を説明する図である。
【図13】図1、図4、図7、図10の連結機構及び駆動機構の第1の例を示す図である。
【図14】図1、図4、図7、図10の連結機構及び駆動機構の第2の例を示す図である。
【図15】図14の連結機構及び駆動機構の応用例を示す図である。
【図16】図1、図4、図7、図10の吸着移動ユニットの第1の例を示す斜視図である。
【図17】図1、図4、図7、図10の吸着移動ユニットの第2の例を示す斜視図である。
【図18】図7のクローラの変更例を示す図である。
【図19】図16の吸着装置の第1の例を示す側面図である。
【図20】図16の吸着装置の第2の例を示す側面図である。
【図21】図16の吸着装置の第3の例を示す側面図である。
【図22】図16の吸着装置の第4の例を示す側面図である。
【図23】図16の吸着装置の第5の例を示す側面図である。
【図24】図16の吸着装置の第6の例を示す側面図である。
【図25】図16の吸着装置の第7の例を示す側面図である。
【図26】図16の吸着装置の第8の例を示す側面図である。
【図27】従来のワイヤ牽引型物体面移動装置を示す斜視図である。
【図28】第1の従来の物体面吸着型物体面移動装置を示す側面図である。
【図29】第2の従来の物体面吸着型物体面移動装置を示す側面図である。
【図30】第3の従来の物体面吸着型物体面移動装置を示す側面図である。
【符号の説明】
【0092】
1:親機
1a,1b:吸着移動ユニット
2−1,2−2:子機
2−1a,2−2a:吸着移動ユニット
3−1,3−2:連結機構
4−1,4−2:駆動機構
101:ビル
102:ゴンドラ
103:ワイヤ
201:壁
202:負圧発生装置
203:負圧吸盤
301:壁
302:永久磁石
303:車輪
401:壁
402a,402b:負圧吸盤(永久磁石)
403:フレーム
404:上下駆動装置
161−1,161−2,…:モータ
162−1,162−2,…:車輪
163−1,163−2,…:回転軸
164:支持フレーム
164a:蓋
165:プーリ
166:操舵モータ
167:タイミングベルト
168:吸着装置
171−1,171−2,…:駆動プーリ
172−1,172−2,…:クローラ
173:支持フレーム
174:操舵用モータ
175:吸着装置
181,182:アイドラープーリ
183:ローラ
191:負圧吸盤
192:空気漏れ防止シール
193:上下駆動装置
1301:ワイヤ
1302:リール
1303:モータ
1401:ロッド
1402:ロッド伸展装置
2001:永久磁石
2002:上下駆動装置
2101:ばね
2201:ストッパ
2301:ばね
2401:蓋
2402:ばね
2601:電磁石

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体面に対して吸着力を発生する第1の吸着移動ユニット(1a,1b,…)を有して前記物体面を移動可能な親機(1)と、
前記物体面に対して吸着力を発生する第2の吸着移動ユニット(2−1a,2−2a,…)を有して前記物体面を移動可能な少なくとも1つの子機(2−1,2−2,…)と、
該子機を前記親機に連結してその連結長さが調整可能な連結機構(3−1,3−2,…)と
を具備する物体面移動装置。
【請求項2】
物体面を移動可能な親機(1)と、
前記物体面に対して吸着力を発生する吸着移動ユニット(2−1a,2−2a,…)を有して前記物体面を移動可能な少なくとも2つの子機(2−1,2−2,…)と、
該各子機を前記親機に連結してその連結長さが調整可能な連結機構(3−1,3−2,…)と
を具備する物体面移動装置。
【請求項3】
前記子機は対をなし、該各対の子機は前記親機の同一位置に連結された請求項2に記載の物体面移動装置。
【請求項4】
前記子機の数が2つの場合、該子機は前記親機の水平方向の中央位置に連結された請求項2に記載の物体面移動装置。
【請求項5】
前記連結機構はワイヤ(1301)を具備する請求項1または2に記載の物体面移動装置。
【請求項6】
さらに、
前記ワイヤの長さを調整するリール(1302)と、
該リールを駆動するモータ(1302)と
を具備し、前記ワイヤの長さを固定するロック状態、前記ワイヤの長さをフリーにするフリー状態及び前記ワイヤを引張状態にする長さ調節状態を実現する請求項5に記載の物体面移動装置。
【請求項7】
前記連結機構はロッド(1401)を具備する請求項1または2に記載の物体面移動装置。
【請求項8】
さらに、
前記ロッドを伸展させるロッド伸展装置(1402)を具備し、前記ロッドの長さを固定するロック状態、前記ロッドの長さをフリーにするフリー状態及び前記ロッドを圧縮もしくは引張状態にする長さ調節状態を実現する請求項7に記載の物体面移動装置。
【請求項9】
前記吸着移動ユニットは
移動状態時に前記物体面に対して第1の吸着力を有しかつ静止状態時に前記物体面に対して該第1の吸着力より大きい第2の吸着力を有する請求項1あるいは2に記載の物体面移動装置。
【請求項10】
前記各吸着移動ユニットは、
前記物体面に接触可能な複数の車輪(161−1,161−2,…)と、
該各車輪を回転支持する支持フレーム(164)と、
該支持フレームに設けられ、前記物体面に対して前記吸着力を発生する吸着装置(168)と
を具備する請求項1または2に記載の物体面移動装置。
【請求項11】
前記各吸着移動ユニットは、
前記物体面に接触可能な複数のクローラ(172−1,172−2,…)と、
該各クローラを回転支持する支持フレーム(173)と、
該支持フレームに設けられ、前記物体面に対して前記吸着力を発生する吸着装置(175)と
を具備する請求項1または2に記載の物体面移動装置。
【請求項12】
前記各クローラはその両端に駆動プーリ(171−1,171−2,…)を具備する請求項11に記載の物体面移動装置。
【請求項13】
前記各クローラはさらにその中央下端部にアイドラープーリ(181,182,…)を具備する請求項12に記載の物体面移動装置。
【請求項14】
前記各クローラはローラ(183)を具備し、全方向クローラとして作用する請求項11に記載の物体面移動装置。
【請求項15】
前記吸着装置は、
前記物体面に近接するための負圧吸盤(191)と、
該負圧吸盤の空気漏れ防止シール(192)と、
前記負圧吸盤を前記支持フレームに対して上下駆動するための上下駆動装置(193)と
を具備する請求項10または11に記載の物体面移動装置。
【請求項16】
前記吸着装置は、
前記物体面に吸着するための永久磁石(2001)と、
前記永久磁石を前記支持フレームに対して上下駆動するための上下駆動装置(2002)と
を具備する請求項10または11に記載の物体面移動装置。
【請求項17】
前記吸着装置は、さらに、
前記永久磁石と前記支持フレームとの間に設けられ、前記永久磁石の前記物体面に対する吸着力と逆方向のばね力を有するばね(2101)を具備する請求項16に記載の物体面移動装置。
【請求項18】
前記吸着装置は、さらに、
前記永久磁石と連動し、前記車輪もしくは前記クローラを制動するためのストッパ(2201)を具備する請求項16に記載の物体面移動装置。
【請求項19】
前記吸着装置は、さらに、
前記車輪もしくは前記クローラと前記支持フレームとの間に設けられたばね(2301)を具備する請求項16に記載の物体面移動装置。
【請求項20】
前記吸着装置は、さらに、
前記永久磁石を覆い、該永久磁石の磁力線を通過する蓋(2401)を具備する請求項16に記載の物体面移動装置。
【請求項21】
前記吸着装置は、さらに、
前記蓋と前記支持フレームとの間にばね(2402)を具備する請求項20に記載の物体面移動装置。
【請求項22】
前記吸着装置は電磁石(2601)を具備する請求項10または11に記載の物体面移動装置。
【請求項23】
物体面に接触可能な複数の車輪(161−1,161−2,…)と、
該各車輪を回転支持する支持フレーム(164)と、
該支持フレームに設けられ、前記物体面に対して吸着力を発生する吸着装置(168)と
を具備する吸着移動ユニット。
【請求項24】
物体面に接触可能な複数のクローラ(172−1,172−2,…)と、
該各クローラを回転支持する支持フレーム(173)と、
該支持フレームに設けられ、前記物体面に対して吸着力を発生する吸着装置(175)と
を具備する吸着移動ユニット。
【請求項25】
前記各クローラはその両端に駆動プーリ(171−1,171−2,…)を具備する請求項24に記載の吸着移動ユニット。
【請求項26】
前記各クローラはさらにその中央下端部にアイドラープーリ(181,182,…)を具備する請求項25に記載の吸着移動ユニット。
【請求項27】
前記各クローラはローラ(183)を具備し、全方向クローラとして作用する請求項24に記載の吸着移動ユニット。
【請求項28】
前記吸着装置は、
前記物体面に近接するための負圧吸盤(191)と、
該負圧吸盤の空気漏れ防止シール(192)と、
前記負圧吸盤を前記支持フレームに対して上下駆動するための上下駆動装置(193)と
を具備する請求項23または24に記載の吸着移動ユニット。
【請求項29】
前記吸着装置は、
前記物体面に吸着するための永久磁石(2001)と、
前記永久磁石を前記支持フレームに対して上下駆動するための上下駆動装置(2002)と
を具備する請求項23または24に記載の吸着移動ユニット。
【請求項30】
前記吸着装置は、さらに、
前記永久磁石と前記支持フレームとの間に設けられ、前記永久磁石の前記物体面に対する吸着力と逆方向のばね力を有するばね(2101)を具備する請求項29に記載の吸着移動ユニット。
【請求項31】
前記吸着装置は、さらに、
前記永久磁石と連動し、前記車輪もしくは前記クローラを制動するためのストッパ(2201)を具備する請求項29に記載の吸着移動ユニット。
【請求項32】
前記吸着装置は、さらに、
前記車輪もしくは前記クローラと前記支持フレームとの間に設けられたばね(2301)を具備する請求項29に記載の吸着移動ユニット。
【請求項33】
前記吸着装置は、さらに、
前記永久磁石を覆い、該永久磁石の磁力線を通過する蓋(2401)を具備する請求項29に記載の吸着移動ユニット。
【請求項34】
前記吸着装置は、さらに、
前記蓋と前記支持フレームとの間にばね(2402)を具備する請求項33に記載の吸着移動ユニット。
【請求項35】
前記吸着装置は電磁石(2601)を具備する請求項23または24に記載の吸着移動ユニット。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2006−198762(P2006−198762A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−361182(P2005−361182)
【出願日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2004年(平成16年)6月18日 社団法人日本機械学会発行の「ロボティクス・メカトロニクス講演会2004講演論文集」に発表
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【Fターム(参考)】