説明

物品の省エネルギー加熱方法及び加熱炉

【課題】排熱回収ボイラなど大掛かりな設備によらず、炉内高温ガスの顕熱を輻射熱に転換してこれを物品の加熱に直接利用することにより、加熱・昇温速度が大きく、熱効率の高い加熱方法及びその加熱方法を実現できる加熱炉を提供する。
【解決手段】顕熱を有する高温ガスを加熱炉1内においてSi−C−M−O系繊維の積層体からなる熱レフレクタ12に接触させて、前記顕熱の少なくとも一部を輻射熱に転換し、該輻射熱を被加熱体の加熱に利用するものである。ここに、Si−C−M−O系繊維とは、原子比でSi:30〜60%、C:30〜70%、M:0〜10%、O:0〜30%を含むセラミックス繊維をいう。また、MはAl、Ti及びZrから選んだ1種又は2種以上の金属元素である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の加熱方法及び加熱炉に係る。本発明に係る加熱炉及び加熱方法は、加熱形式、加熱対象に特に制限がなく、炉内に高温ガスが存在するあらゆる形式の加熱炉に対して適用でき、たとえば、ごみ焼却炉にも適用することができる。
【背景技術】
【0002】
鋼材等を熱間加工するに当たっては、事前に所定の高温に加熱する必要があり、そのため、均熱炉や加熱炉が用いられる。また、セラミックの焼成に当たっては、より高温の加熱炉が用いられる。これらの加熱炉の熱源としては、炭化水素ガス、石油、重油等の化石燃料の燃焼熱が利用されるほか、雰囲気制御加熱炉では電気エネルギも利用される。このような加熱炉においては、熱効率の向上が省エネルギの観点から重要であり、従来から排熱回収ボイラなどを利用して発電、温水製造あるいは空気・燃料ガスの予熱等が行われている。
【0003】
しかしながら、排熱回収ボイラは一般に大掛かりな設備が必要であり、設備費が高くつき、比較的小規模の熱処理設備には必ずしも好ましいものとはいえない。また、回収された熱は、排熱利用という形で間接的に利用されるに過ぎず、直接加熱炉に戻すことができないため、炉内において被加熱物の昇温速度を大きくするためには、より高温の燃焼ガスを急速に発生させることが必要になり、操業上の負荷が一時的に過大になるなどの問題もある。
【0004】
そのため、排熱回収ボイラとは異なる機能による熱効率の向上手段が求められてきている。そのような手段として、たとえば、特許文献1には、炉壁が耐火れんがにより形成され炉内の被加熱物を輻射熱により加熱する加熱炉において、前記炉壁のうち少なくとも内壁側が黒色顔料を混入した耐火れんがにより形成することによって、従来の加熱炉に比べて、燃焼排ガス温度を低下させ、被加熱物の昇温速度を向上することができることが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、SiO:60%以上、Al:10〜20%、P:5%以下、NaO:10%以下を含有する高熱輻射率の炉壁材を上部一方向焚均熱炉の下部炉壁に適用することにより、炉内下部低温部においても鋼材を均一加熱できることが記載されている。そのほか、特許文献3には、一方向性凝固法で得られた融液成長セラミック複合材料からなる粒状輻射蓄熱部材を炉内加熱室内に分散させ、回収・再循環させることによって燃焼炎で再熱し、供給される熱を十分に利用することができる輻射強化加熱炉を得るという方法が開示されている。
【0006】
【特許文献1】特開平8−210782号公報
【特許文献2】特開平7−25667号公報
【特許文献3】特開平10−267545号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これらの手段は、炉内高温ガスの顕熱を輻射熱に転換して被加熱物の加熱に利用するものであり、高温ガスの熱伝導、対流伝熱に加え、輻射伝熱をいっそう有効に利用できるようにするものである。これにより被加熱物の昇温速度を大きくすることができ、大掛かりな排熱回収ボイラを備えることなく、熱効率の向上を図ることができる可能性が示唆されている。しかしながら、これらの手段を具現化するためには、たとえば、特許文献1に記載の「黒色顔料を混入した耐火れんが」の具体的設計基準などを明らかにしなければならないが、そのような手段は未だ明らかにされておらず、そのため、実用化の段階にいたっていない。
【0008】
本発明は、排熱回収ボイラなど大掛かりな設備によらず、炉内高温ガスの顕熱を輻射熱に転換してこれを物品の加熱に直接利用することにより、加熱・昇温速度が大きく、熱効率の高い加熱方法及びその加熱方法を実現できる加熱炉を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の物品の加熱方法は、顕熱を有する高温ガスを加熱炉内においてSi−C−M−O系繊維の積層体(不織布、網目状織物あるいは連続多孔体)に接触させて前記顕熱の少なくとも一部を輻射熱に転換し、該輻射熱を被加熱体の加熱に利用するものである。ここに、Si−C−M−O系繊維とは、原子比でSi:30〜60%、C:30〜70%、M:0〜10%、O:0〜30%を含むセラミックス繊維をいう。また、MはAl、Ti及びZrから選んだ1種又は2種以上の金属元素である。
【0010】
上記発明において、顕熱から輻射熱への転換を、加熱炉内部の排気口入口を覆って設置されたSi−C−M−O系繊維の積層体からなる熱フィルタに高温ガスを通過させることによって行うことができる。また、加熱炉内部のいずれかの又はすべての壁面を覆って設置されたSi−C−M−O系繊維の積層体からなる熱レフレクタと高温ガスとの接触により行わせることもでき、これら両者を併用することもできる。
【0011】
上記各発明に用いるSi−C−M−O系繊維の積層体は、直径:1〜100μmの繊維を空隙体積率:90〜98%、厚さ:1〜10mmとなるように積層して構成した単層体又はこれら単層体を複数枚重ね合わせたものとすることができる。
【0012】
上記各発明は、排気口入口にSi−C−M−O系繊維の積層体からなる熱フィルタを備える加熱炉によって、又は内壁面の少なくとも一面にSi−C−M−O系繊維の積層体からなる熱レフレクタを備える加熱炉によって実施することができる。さらに、これら両者を併用することもできる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、熱フィルタ効果及び/又は熱レフレクタ効果により、炉内高温ガスの顕熱を輻射熱に転換してこれを物品の加熱に利用することにより、ガス加熱炉の加熱・昇温速度を大きくすることができ、また、熱効率を高くすることができる。また、低発熱燃料を利用して高温加熱することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(第1実施形態)
図1は、熱フィルタ効果が得られるように設計された第1実施形態に従う加熱炉の基本概念図である。図1に示すように、本発明の第1実施形態にしたがう加熱炉は、耐火物で構築された加熱炉本体1にバーナ2及び煙道4につながる排気口3を備え、この排気口3の炉内側入口(ガス出口)に熱フィルタ11が設置されている。加熱炉1の形式については特に制限する必要はない。この例では炉床5に被加熱物Sが載置されているが、この被加熱物は、たとえば、炉天井6から吊り下げる形式をとることもできる。また、本例では、たとえば重油焚のバーナ2を備えているが、加熱を、たとえば、電気エネルギによるものとし、炉内雰囲気調整を公知の手段によって行うものとしてもよい。また、被加熱物の装入、抽出も公知の手段により行うようにすることができる。
【0015】
熱フィルタ11は、Si−C−M−O系繊維の積層体で構成されており、加熱炉の排気口3を炉内部側から通気可能に完全に塞いでいる。ここに、Si−C−M−O系繊維とは、原子比でSi:30〜60%、C:30〜70%、M:0〜10%、O:0〜30%を含むセラミックス繊維をいい、MはAl、Ti及びZrから選んだ1種又は2種以上の金属元素である。このような繊維は、ポリカルボシランを前駆体として有機−無機変換プロセスにより作成することができ、たとえば宇部興産株式会社製のチラノ繊維(登録商標)あるいは日本カーボン株式会社製のニカロン繊維(登録商標)として知られており、容易に入手することができる。なお、この繊維物質は上記基本成分のほか、骨格形成元素としてB、Nなどを適宜含むことができる。
【0016】
このSi-C-M-O系繊維は、ほぼ理想的な黒体スペクトルを発するものであり、大気雰囲気下で1300℃以上の耐熱性を有し、空気中高温においても、酸化、熱分解、焼失することなく、強度と形状を安定に保持できる。また、熱伝導率が3W/m・K以下であり、比熱が小さいことと相俟って、急速な加熱・冷却が可能である。さらに、その繊維径は、1〜100μm程度であり、容易に任意の形状に積層することができる。したがって、かかるSi-C-M-O系繊維を利用して積層体、たとえば不織布とするときは、高温排ガスから回収した熱ネルギーを輻射熱として効率的に放出することが可能である。
【0017】
本発明の第1実施形態では、このSi−C−M−O系繊維を積層体とし、これを図1に示すように、加熱炉の排気口3の入口(ガス出口)に設置する。積層体とするに当たっては、直径:1〜100μmの繊維を空隙体積率:90〜98%、厚さ:1〜10mmとなるように、たとえば単層の不織布として形成し、これを必要に応じて複数枚重ね合わせればよい。このような単層の積層体は、例えば、宇部興産株式会社製のセラミックスフェルトなどによって調達することができる。また、セラミックスフェルトに代えて、例えば、網目状織物、連続多孔体等に成形したものも利用できる。
【0018】
なお、重ね合わせは、同一の構造を持つ単層体を複数枚重ね合わせてもよいが、互いに空隙体積率及び/又は厚さの異なるものとするのがよい。それにより、加熱炉の特性、操業条件等に合わせて熱フィルタ作用を最適化することができる。また、積層体を作成するに当たっては、加熱炉内のガスが積層体を通過するときの圧力差が2〜50mmAq(20〜500Pa)程度となるようにするのがよい。これにより、加熱炉内におけるガス圧を適正に保つとともに炉内におけるガス循環を行わせて熱効率の一層の向上を図ることができる。さらに、実施形態1においては、加熱炉の排気口3の入口(ガス出口)において排ガス顕熱の輻射熱への転換とその加熱炉内での利用が行われるようにするために、炉内側に相当する部位の空隙率を大きくし、煙道側の空隙率を小さくするのがよい。
【0019】
なお、上記空隙体積率は、たとえば製造された積層体に静かに樹脂を注入して固化させた後、断面を光学顕微鏡によって観測して繊維の占める面積率を、たとえばリニア・アナリシスによって求めることによって定めることができる。
【0020】
本発明の第1実施形態は上記のように構成されているから、加熱炉を操業状態に置くと、ガスバーナ2から燃焼ガスが放出され、その顕熱により加熱炉1の炉壁が加熱されるとともに、排気口3の入口を覆って設置された熱フィルタを高温排ガスが通過する。これにより、高温排ガスの顕熱が熱フィルタに伝熱し、加熱された温度に相応する輻射熱を放散することになる。この輻射熱は、炉内に装入された被加熱物S及び炉壁の加熱に向けられ、炉内温度の昇温速度が大きくなり、炉の加熱性能が向上をもたらす。また、定常操業状態では、炉内温度を一定に保持するための燃料消費量が節約されることになる。
【0021】
このような作用・効果は、熱フィルタがSi−C−M−O系繊維の積層体により構成されていることに基づいている。すなわち、熱フィルタを構成するSi−C−M−O系繊維が細繊維であるために高温排ガスとの接触面積が大きく、結果として大きな熱伝達係数をもち、その熱伝導率並びに比熱が極めて小さいことにより、熱フィルタは、通過する排ガスの顕熱によりSi−C−M−O系繊維のみが急速に加熱される。しかも、Si−C−M−O系繊維はほぼ理想的な黒体スペクトルを発するものであることにより、高温排ガスの顕熱の30〜60%程度を輻射熱に転換できる。このことは、後述の実施例に示すように、熱フィルタの入口側(測定点A)と出口側(測定点B)とで400〜500℃の温度低下が生じており、この温度低下分に相当する熱エネルギが炉内に向けて輻射熱として放出されたものに相当しているのである。
【0022】
なお、熱フィルタを構成するSi−C−M−O系繊維は、その線径が1〜100μmと細く、強度が3GPa超と大きく、かつその耐熱性が大であるので、加熱炉が連続操業であっても、間歇操業であっても長期間に亘って使用することができる。
【0023】
(第2実施形態)
図2は、熱レフレクタ効果が得られる場合の第2実施形態に従う加熱炉の基本概念図である。この第2実施形態では、前述の第1実施形態における熱フィルタ11が省略される一方、加熱炉本体1の内面(この場合には側壁7及び天井6)に熱レフレクタ12が取付けられている。熱レフレクタ12の取付け箇所は加熱炉本体1の内面(炉底部、側壁部、天井を含む)の全体とすることができる。また、加熱炉本体1の内面の一部、例えば、側壁7及び天井6の少なくとも1面とすることもできる。さらに、これら取付け面の全体に取付けることもできるが、例えば1側面のうち中央部のみを取付け部とすることもできる。これらは、炉形式、その具体的構造、被加熱体の装入・抽出方法、被加熱体の形状等により任意に設計することができる。
【0024】
熱レフレクタ12も前述の熱フィルタ11と同様にSi−C−M−O系繊維を積層体で構成されており、その構成(繊維の特性、積層厚さ、密度等)もほぼ熱フィルタ用の積層体と同様でよい。ただし、炉本体1の内壁に貼り付けられることと、排ガスとの十分な接触による輻射熱の放散作用が主であり、ガスの通過を必要としないことを考慮して、加熱炉内表面側を含めて空隙率を小さくするのがよい。なお、上記積層体を熱リフレクタとして加熱炉内に設置するためには、既設のアルミナーシリカ系断熱材の上に単純に貼り付けるだけで良く、特別の手段を講じる必要はない。
【0025】
その他の構成は、実施形態1の場合と同様でよい。
【0026】
本発明の第2実施形態は上記のように構成されているから、加熱炉を操業状態に置くと、ガスバーナ2から燃焼ガスが放出され、その顕熱により加熱炉1の内面が加熱される。その際、上記熱レフレクタ貼付け部では、炉内を循環する高温ガスが熱レフレクタのSi−C−M−O系繊維に接触・浸透し、高温ガスの顕熱が伝熱され、伝熱された熱エネルギは熱レフレクタの表面からが輻射熱に転換されて炉内に向けて反射・放出されることになる。換言すれば、炉内の高温ガスの顕熱の相当部分(後に示す実施例によれば20〜40%程度)が炉内にレフレクション(反射)されて直接に自己回収されることになる。その結果、炉内温度を一定に保持するための燃料消費量が節約されるのみならず、炉内温度の昇温速度が速くなり、炉内ガスの循環が一様になり、炉の加熱性能が向上するという効果が得られる。なお、熱レフレクタの貼付けられない箇所においては、上記顕熱の輻射熱への転換は行われないが、熱レフレクタの貼付部からの放射される輻射熱によって急速に加熱され、それにより加熱速度の向上、炉内温度の均一化等の効果が得られる。
【0027】
(第3実施形態)
図3は、熱フィルタ効果及び熱レフレクタ効果が得られる第3実施形態に従う加熱炉の基本概念図である。この第3実施形態では、前述の第1実施形態における熱フィルタ11とともに、第2実施形態における熱レフレクタ12がともに利用される。これら熱フィルタ11及び熱レフレクタ12の構成及び取付け箇所、取付け方法等は、前記第1実施形態及び第2実施形態の例にしたがえばよい。
【0028】
その作用メカニズムは、それぞれ第1実施形態(熱フィルタ効果)及び第2実施形態(熱レフレクタ効果)に記載したとおりであり、これらにおいて得られる効果が重畳して得られる。さらに、炉内ガス循環作用により高温となったガスにより熱レフレクタ作用が行われる結果、一層の加熱速度の向上、炉内温度の均一化等の効果が得られる。
【実施例】
【0029】
(実施例1)
表1に諸元を示す中型実用熱処理炉を利用し、これに熱フィルタ及び/又は熱レフレクタとして宇部興産株式会社製のSi−C−Zr−O系繊維(商品名:チラノZM(登録商標))の不織布マットを施工した。チラノZMの諸特性は表2に示す。
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
表1に示す諸元を有する加熱炉に表2に示す特性を有するマットを積層体として利用し、これを熱フィルタ及び熱レフレクタとして表3に示すように組み合わせて貼り付けた。なお、熱レフレクタは四方の炉内壁の下半分に貼り付けた。
【0033】
【表3】

【0034】
上記のように構成した加熱炉を用いて、燃焼時間2時間、加熱温度1100℃とする操業を行った。操業に当たっては、加熱炉の炉床中央に被加熱物体として普通鋼ブロック試料(幅:65mm×高:65mm×長:220mm)を設置し、その内部中心に熱電対を挿入して温度上昇の時間経過を測設置した熱電対により炉内温度を測定し、高温排ガスの顕熱の輻射熱への転換・回収状況を検証した。実験結果を表4にまとめて示す。
【0035】
【表4】

【0036】
上記の試験結果から下記の結論が要約される。
(1)熱フィルタ作用と熱レフレクタ作用の相乗効果により、30%に近い顕著な燃料節約が可能になった。
(2)熱フィルタ作用と熱レフレクタ作用による省エネルギ効果は、ほぼ2:1であった。
(3)所定温度までの炉内温度上昇時間は、熱フィルタならびに熱フィルタの設置により40%程度の大幅短縮が可能であった。
【0037】
本発明の熱フィルタ作用及び/又は熱レフレクタ作用により省エネルギ化は、ガス燃焼炉のみならず雰囲気ガスを用いる電気炉にも適用可能である。要するに、炉内に高温ガスが存在するあらゆる種類の加熱炉に対して、本発明により省エネルギ化ならびに加熱の高性能化が実現できる。さらに、本発明を適用することにより、ゴミ焼却炉の助燃バーナ用燃料の節約、低発熱量ゴミの自己燃焼、低カロリー燃料の使用等も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1実施形態に従う加熱炉の基本概念図である。
【図2】本発明の第2実施形態に従う加熱炉の基本概念図である。
【図3】本発明の第3実施形態に従う加熱炉の基本概念図である。
【符号の説明】
【0039】
1:加熱炉本体
2:バーナ
3:排気口
4:煙道
5:炉床
6:天井
7:側壁
11:熱フィルタ
12:熱レフレクタ
A:炉内側温度測定点
B:炉外側温度測定点
S:被加熱体(鋼材ブロック)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顕熱を有する高温ガスを加熱炉内においてSi−C−M−O系繊維の積層体に接触させて、前記顕熱の少なくとも一部を輻射熱に転換させ、該輻射熱を被加熱体の加熱に利用することを特徴とする物品の加熱方法。
ここに、Si−C−M−O系繊維とは、原子比でSi:30〜60%、C:30〜70%、M:0〜10%、O:0〜30%を含むセラミックス繊維をいう。また、MはAl、Ti及びZrから選んだ1種又は2種以上の金属元素である。
【請求項2】
顕熱から輻射熱への転換が、加熱炉内部の排気口入口を覆って設置されたSi−C−M−O系繊維の積層体からなる熱フィルタを高温ガスが通過することにより行われることを特徴とする請求項1記載の物品の加熱方法。
【請求項3】
顕熱から輻射熱への転換が、加熱炉内部のいずれかの又はすべての壁面に設置されたSi−C−M−O系繊維の積層体からなる熱レフレクタと高温ガスとの接触により行われることを特徴とする請求項1記載の物品の加熱方法。
【請求項4】
請求項2及び請求項3記載の物品の加熱方法をともに行うことを特徴とする請求項1記載の物品の加熱方法。
【請求項5】
Si−C−M−O系繊維の積層体は、直径:1〜100μmの繊維を空隙体積率:90〜98%、厚さ:1〜10mmとなるように積層した単層体又は該単層体を複数枚重ね合わせたものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の物品の加熱方法。
【請求項6】
排気口入口にSi−C−M−O系繊維の積層体からなる熱フィルタを備えることを特徴とする加熱炉。
【請求項7】
内壁面の少なくとも一面にSi−C−M−O系繊維の積層体からなる熱レフレクタを備えることを特徴とする加熱炉。
【請求項8】
内壁面の少なくとも一面にSi−C−M−O系繊維の積層体からなる熱レフレクタを備えることを特徴とする請求項6記載の加熱炉。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−45150(P2008−45150A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−218707(P2006−218707)
【出願日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【出願人】(500509564)株式会社サン・フロンティア・テクノロジー (1)
【出願人】(391030099)株式会社旭製作所 (15)
【出願人】(594046282)新潟ファーネス工業株式会社 (2)
【Fターム(参考)】