説明

物品処理設備

【課題】 救援車による救援作業の作業性を向上させることができる物品処理設備を提供する。
【解決手段】 床面上を走行自在な物品搬送用の搬送車4を予め設定された物品搬送用の走行経路L2に沿って走行させるべく搬送車4の走行を制御し、且つ、物品処理設備内の機器の異常発生が異常検出部にて検出されると、床面上を走行自在な機器救援用の救援車6を物品搬送用の走行経路L2とは異なる経路として予め設定された救援用走行経路L3に沿って異常発生箇所に走行させるべく救援車6の走行を制御する制御手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床面上を走行自在な物品搬送用の搬送車を予め設定された物品搬送用の走行経路に沿って走行させるべく前記搬送車の走行を制御する制御手段が備えられている物品処理設備に関する。
【背景技術】
【0002】
かかる物品処理設備は、物品搬送用の搬送車を物品搬送用の走行経路に沿って走行させて物品を搬送するように構成されているものである。
そして、このような物品処理設備において、従来では、制御手段が、物品処理設備内の機器に異常が発生すると、床面上を走行自在な機器救援用の救援車を物品搬送用の走行経路に沿って異常発生箇所に走行させるべく救援車の走行を制御し、救援車にて異常が発生した機器に対して救援作業を行うように構成されているものがあった(例えば、特許文献1参照。)。
ちなみに、上記従来の物品処理設備は、物品処理設備内の機器としての搬送車に異常が発生した場合に、この搬送車に対して救援車が救援作業を行うものである。
【特許文献1】特開昭60−176112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
救援車にて救援作業を行うにあたっては、機器の救援作業を迅速に行うべく救援車を救援が必要な機器が位置する異常発生箇所に迅速に走行させることが望まれるものであり、また、物品処理設備が物品搬送用の走行経路から離れた位置に救援作業を行う可能性がある機器を装備している場合には、その機器についての救援作業を行えるようにすることが望まれるものであるが、上述した従来の物品処理設備では、搬送車が走行する物品搬送用の走行経路に沿って救援車を走行させるように構成されているため、上記要望を満足させることができないものであり、救援車による救援作業の作業性の向上を図ることができないものであった。
説明を加えると、物品搬送用の走行経路は、一般に、物品処理設備内の各所に分散して位置する複数の物品移載箇所を経由するループ状に設定されることが多いものであり、このような場合には、救援車が位置する現在位置と異常発生箇所とが、ループ状の物品搬送用の走行経路における向かい合う位置となったときに、直線的に走行させれば短い距離を走行するだけで済ませることができるものであるにも拘わらず、ループ状の物品搬送用の走行経路に沿って走行するために長い距離を走行させる必要が生じて、救援車を異常発生箇所に迅速に走行させることができない虞がある等、救援車を物品搬送用の走行経路に沿って異常発生箇所に走行させるようにすると、救援車を異常発生箇所に迅速に走行させることができない虞があった。
また、物品処理設備に装備される多数の機器のうちには、物品搬送用の走行経路から離れた位置に位置する機器が存在することがあるが、このような機器については、物品搬送用の走行経路に沿って走行する救援車にては救援作業を行うことができないものとなるものであった。
【0004】
本発明は、上記実状に鑑みて為されたものであって、その目的は、救援車による救援作業の作業性を向上させることができる物品処理設備を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的を達成するために、本発明にかかる物品処理設備は、床面上を走行自在な物品搬送用の搬送車を予め設定された物品搬送用の走行経路に沿って走行させるべく前記搬送車の走行を制御する制御手段が備えられている物品処理設備であって、
その第1特徴構成は、前記制御手段が、物品処理設備内の機器の異常発生が異常検出手段にて検出されると、床面上を走行自在な機器救援用の救援車を前記物品搬送用の走行経路とは異なる経路として予め設定された救援用走行経路に沿って異常発生箇所に走行させるべく前記救援車の走行を制御するように構成されている点にある。
【0006】
すなわち、物品搬送用の走行経路とは異なる経路として救援用走行経路を予め設定しておき、物品処理設備内の機器に異常が発生した際には、救援車を救援用走行経路に沿って異常発生箇所に走行させて、救援車にて異常が発生した物品処理設備内の機器に対して救援作業を行なうこととなる。
そして、救援用走行経路としては、例えば、物品搬送用の走行経路がループ状に形成される場合において、物品搬送用の走行経路における向かい合う位置を短絡するような形態の経路として設定する等、物品処理設備の各所に分散して位置する機器に対して救援車を迅速に走行させ易い経路として設定することができ、このように救援用走行経路を設定することにより、救援車を異常発生箇所に迅速に走行させることが可能となる。
また、物品処理設備が物品搬送用の走行経路から離れた位置に救援作業を行う可能性がある機器を装備している場合には、救援用走行経路として、そのように物品搬送用の走行経路から離れた位置の機器に対して救援車を走行させる経路に設定して、物品搬送用の走行経路から離れた位置の機器についての救援作業を行わせることが可能となる。
したがって、救援車にて救援作業を行うにあたり、救援車を救援が必要な機器が位置する異常発生箇所に迅速に走行させることや、物品処理設備が物品搬送用の走行経路から離れた位置に救援作業を行う可能性がある機器を装備している場合には、その機器についての救援作業を行わせることが可能になる等、救援車による救援作業の作業性の向上を図ることができるようになった。
【0007】
本発明にかかる物品処理設備の第2特徴構成は、第1特徴構成において、前記救援車に撮影装置が備えられ、その撮影装置が撮影した画像を物品処理設備外の操作設備に向けて送信する送信手段が設けられている点にある。
【0008】
すなわち、物品処理設備についての管理が物品処理設備から離れた位置の操作設備にても行われる形態において、救援車が備える撮像装置の撮影画像が操作設備に送信されることなる。そして、操作設備に位置する管理者は、その送信されてくる撮像画像より、異常が発生した機器の状況を確認できるものとなり、その確認結果に基づいて、物品処理設備に位置する作業員に対して必要な措置を指示することや、機器を修理するのに必要や器材を用意して物品処理設備に修理に出向くことができる等、物品処理設備から離れた位置の操作設備において物品処理設備を管理することを良好に行えるものとなる。
したがって、物品処理設備についての管理を物品処理設備から離れた位置の操作設備にても行なう形態において、物品処理設備を管理することを良好に行えるものとなった。
【0009】
本発明にかかる物品処理設備の第3特徴構成は、第2特徴構成において、前記制御手段が、前記操作設備からの走行指令に基づいて前記救援車の走行を制御可能に構成されている点にある。
【0010】
すなわち、物品処理設備についての管理を物品処理設備から離れた位置の操作設備にても行なう形態において、操作設備からの走行指令により、救援車を走行させることができるものとなるのであり、例えば、救援車が備える撮像装置にて異常が発生した機器の状況を分かり易く撮像させるために、救援車を操作設備に位置する管理者にて走行させる等、操作設備に位置する管理者にて救援車を走行させることができる。
したがって、物品処理設備についての管理を物品処理設備から離れた位置の操作設備にても行なう形態において、救援車を用いながら物品処理設備を一層良好に管理することが可能となった。
【0011】
本発明にかかる物品処理設備の第4特徴構成は、第1〜第3特徴構成のいずれか1つにおいて、前記救援車が、前記搬送車を兼用するように構成されている点にある。
【0012】
すなわち、物品処理設備内の機器に異常が発生していない状態では、救援車を物品搬送用の走行経路に沿って走行させて搬送車として用いながら、物品処理設備内の機器に異常が発生した場合には、救援用走行経路に沿って異常発生箇所に走行させることで、異常が発生した機器に対して救援車にて救援作業を行うことができ、救援車を有効に活用することができる。
従って、救援車を有効に活用することができる物品処理設備を提供することができるに至った。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、物品処理設備には、物品を保管する自動倉庫1、搬入出コンベア2と自動倉庫1との間で物品を搬送する床面上を走行自在な物品搬送用の搬送台車3、及び、自動倉庫1とステーションコンベア5との間で物品を搬送する床面上を走行自在な物品搬送用の搬送車4が備えられており、搬入出コンベア2にて搬入された物品を搬送台車3にて受け取って自動倉庫1における搬送台車側の入出庫装置13に受け渡し、自動倉庫1における搬送台車側の入出庫装置13から出庫された物品を搬送台車3にて受け取って搬入出コンベア2に受け渡し、また、自動倉庫1における搬送車側の入出庫装置13から出庫された物品を搬送車4にて受け取ってステーションコンベア5に受け渡し、ステーションコンベア5の物品を搬送車4にて受け取って自動倉庫1における搬送車側の入出庫装置13に受け渡すように構成されている。
【0014】
自動倉庫1には、物品を収納する収納棚10が相対向する一対を一組として配設され、その相対向する収納棚10の間には、スタッカークレーン11が走行レール12に沿って走行可能に設けられ、収納棚10の横側方の両側それぞれには、物品を載置搬送する前記入出庫装置13が設けられている。そして、自動倉庫1は、入出庫装置13に受け渡された物品をスタッカークレーン11にて収納棚10に入庫し、収納棚10に収納されている物品をスタッカークレーン11にて入出庫装置13に降ろすように構成されている。
図6に示すように、入出庫装置13の夫々は、一対のチェーンコンベア13bと、その一対のチェーンコンベア13bの収納棚側の端部の間に位置するように設けられた昇降台13aとを備え、昇降台13aの載置面がチェーンコンベア13bの搬送面より下方に位置する状態でチェーンコンベア13bにて物品を載置搬送し、昇降台13aの載置面がチェーンコンベア13bの搬送面より上方に位置する状態で、昇降台13aに対する物品移載作業がスタッカークレーン11にて行われるように構成されている。
【0015】
また、物品処理設備には、床面上を走行自在で物品処理設備内の機器を救援する機器救援用の救援車6が備えられており、この救援車6は、搬送車4を兼用できるように構成され、物品処理設備内の機器に異常が発生していない状態では搬送車4と同様に自動倉庫1とステーションコンベア5との間で物品を搬送するのに用いられる。そして、物品処理設備内の機器としては、搬入出コンベア2、搬送台車3、入出庫装置13、スタッカークレーン11、及び、ステーションコンベア5が相当する。
【0016】
図1及び図5に示すように、搬送台車3は、床面上に敷設された案内レール14に接触案内されて走行用経路L1に沿って走行する軌道式に構成されており、搬送車4は、予め設定された物品搬送用の走行経路L2に沿って走行する無軌道式に構成され、救援車6は、予め設定された物品搬送用の走行経路L2並びにこの物品搬送用の走行経路L2とは異なる経路として予め設定された救援用走行経路L3に沿って走行する無軌道式に構成されている。
図1においては、物品搬送用の走行経路L2が救援用走行経路L3に比べて太い破線で図示され、図5においては、救援用走行経路L3が物品搬送用の走行経路L2に比べて太い破線で図示されている。
【0017】
図1及び図5に示すように、搬入出コンベア2は、自動倉庫1からスタッカークレーン11の走行方向に沿う前後方向の一方側(以下、前後一方側と略称する)に離れて設置されており、また、ステーションコンベア5は、自動倉庫1から前後方向と直交する横幅方向の一方側(以下、横幅一方側と略称する)に離れて設置されており、自動倉庫1と搬入出コンベア2との間に前記走行用経路L1が設定され、自動倉庫1とステーションコンベア5との間に前記物品搬送用の走行経路L2が設定されている。
物品搬送用の走行経路L2について説明を加えると、図1に示すように、物品搬送用の走行経路L2には、自動倉庫1の前後他方側から横幅一方側に亘るL字状のループ経路部分gや、このループ経路部分gから搬送車側の入出庫装置13やステーションコンベア5に向けて分岐する分岐経路部分hが設定されている。
【0018】
図5に示すように、救援用走行経路L3には、搬入出コンベア2、走行用経路L1、自動倉庫1、及び、物品搬送用の走行経路L2夫々の横幅他方側近くを通るように設定された横幅他方側経路aや、自動倉庫1の横幅一方側近くを通り、物品搬送用の走行経路L2を貫通するように設定された横幅中間経路bや、搬入出コンベア2、走行用経路L1の横幅一方側近くを通り、自動倉庫1の横幅一方側の遠くを通り、物品搬送用の走行経路L2のループ経路部分gを貫通するように設定された横幅一方側経路cが設定されている。
また、救援用走行経路L3には、ステーションコンベア5、及び、物品搬送用の走行経路L2夫々の前後他方側近くを通る前後他方側経路dや、複数並ぶステーションコンベア5の間を通り、物品搬送用の走行経路L2のループ経路部分gを貫通するように設定された前後中間経路eや、ステーションコンベア5、及び、物品搬送用の走行経路L2夫々の前後一方側近くを通る前後一方側経路fが設定されている。
ちなみに、横幅中間経路b、横幅一方側経路c、及び、前後中間経路eが物品搬送用の走行経路L2のループ経路部分gを貫通するように設定されることにより、これらの経路におけるループ経路部分gの内側に位置する部分が、ループ経路部分gにおける向かい合う位置を短絡させる短絡経路として設定されている。
【0019】
そして、横幅他方側経路aの前後他方側端部と前後他方側経路dの横幅他方側端部とが接続され、横幅中間経路bの前後他方側端部、及び、横幅一方側経路cの前後他方側端部夫々は前後他方側経路dに接続されている。横幅中間経路bの前後一方側端部は、横幅一方側経路c側に屈曲して横幅一方側経路cに接続されている。前後中間経路eの横幅一方側端部、及び、前後一方側経路fの横幅一方側端部の夫々は横幅中間経路bに接続されている。
また、物品搬送用の走行経路L2におけるループ経路部分gと、このループ経路部分gの近くを通る横幅他方側経路a、横幅中間経路b、前後他方側経路d、及び、前後一方側経路fとは、互いに救援用走行経路L3における接続経路にて適宜接続されている。
【0020】
従って、物品搬送用の走行経路L2におけるループ経路部分gに沿って走行している救援車6は、ループ経路部分gにおける向かい合う位置を短絡する救援用走行経路L3の経路部分を走行させてループ経路部分gにおける向かい合う箇所に迅速に走行させることができ、また、救援用走行経路L3に乗り移らせて救援用走行経路L3に沿って走行させることにより、物品搬送用の走行経路L2から離れた位置に位置する機器が存在しても、この機器の近くまで救援車6を走行させることができ、また、ループ経路部分gに沿う救援用走行経路L3の経路部分、例えば、前後他方側経路dにおける物品搬送用の走行経路L2に沿う経路部分を走行させて、ループ経路部分gに停止している搬送車4を避けるように走行させることができる。
【0021】
図2に示すように、搬送車4には、物品移載用のフォーク式移載装置17や、光を水平又は略水平面内で走査して反射板18にて反射される光を受光する投受光部19、搬送車4の走行距離を検出する距離検出部(図示せず)、搬送車4の方位を検出する方位検出部(図示せず)などが備えられている。また、図3に示すように、救援車6には、搬送車4と同様に、フォーク式移載装置17や投受光部19、距離検出部(図示せず)、方位検出部(図示せず)などが備えられており、上述のように救援車6は搬送車4を兼用できるように構成されている。そして、救援車6には、撮影装置7が備えられており、この撮影装置7にて物品処理設備内の機器を撮影できるように構成されている。
撮影装置7について補足説明すると、撮影装置7は、横軸心周りに回転操作可能で且つ上下方向に移動操作可能に救援車6に備えられており、横軸芯周りに回転操作することにより撮影装置7の向きを上下に変更可能で、さらに横軸芯周りに回転させることにより撮影装置7の向きを車両前方側や車両後方側に向くように変更可能に構成され、また、上下方向に移動操作することにより撮影装置7の高さを変更可能に構成されている。尚、撮影装置7の向きを左右に変更する場合は、救援車6自体の向きを左右に変更することにより行われる。
【0022】
図4に示すように、物品処理設備には搬送側制御装置21が備えられており、この搬送側制御装置21における搬送制御部22にて、搬入出コンベア2、搬送台車3、入出庫装置13、スタッカークレーン11、搬送車4、ステーションコンベア5及び救援車6等の物品処理設備内の機器の作動を制御するように構成されている。
つまり、例えば、搬送台車4の作動の制御は、搬入出コンベア2の搬送台車側の端部まで物品が搬送されたことが在荷センサ(図示せず)にて検出されると、搬送台車4をその搬入出コンベア2と対向する位置まで走行させて物品を受け取った後、搬送台車側の入出庫コンベア13と対向する位置まで走行させてその入出庫コンベア13に物品を受け渡す。また、搬送台車側の入出庫コンベア13の搬送台車側の端部まで物品が搬送されたことが在荷センサ(図示せず)にて検出されると、搬送台車4をその入出庫コンベア13と対向する位置まで走行させて物品を受け取った後、搬入出コンベア2と対向する位置まで走行させてその搬入出コンベア2に物品を受け渡すように制御する。
搬送車4及び救援車6の走行の制御について説明を加えると、搬送制御部22は、搬送車4や救援車6の投受光部19から投射されて反射板18にて反射される光を投受光部19にて受光する際の走査角情報及び複数の反射板18についての配設位置情報に基づいて搬送車4や救援車6の現在位置を検出し、その現在位置情報、距離検出部の検出情報、方位検出部の検出情報などから、物品搬送用の走行経路L2に沿って走行させるべく搬送車4や救援車6の走行を制御するように構成されている。
【0023】
搬送制御部22は、物品処理設備内の機器の異常発生が搬送側制御装置21における異常検出部23にて後述の如く検出されると、救援車6を救援用走行経路L3に沿って異常発生箇所に走行させるべく前記救援車6の走行を制御するように構成されている。つまり、異常検出部23にて、物品処理設備内の機器、つまりは、搬入出コンベア2、搬送台車3、入出庫装置13、スタッカークレーン11、搬送車4及びステーションコンベア5等の異常を検出するように構成されており、異常検出部23にて物品処理設備内の機器の異常発生が検出されると、搬送制御部22は、救援車6の走行を異常が発生した機器に対応する異常発生箇所まで走行するように制御するように構成されている。
【0024】
そして、異常検出部23による物品処理設備内の機器の異常発生の検出は、例えば、搬入出コンベア2が物品を載置搬送している場合において、物品搬送の完了したことを検出する検出センサ(図示せず)からの検出信号が設定時間経過しても搬送側制御装置21に送信されないときは、搬入出コンベア2に異常が発生していると判断し、また、搬送車4が走行している場合において、前述のように検出される搬送車4の現在位置が物品搬送用の走行経路L2から大きく外れてしまったときは、その搬送車4が搬送車4に異常が発生していると判断し、また、スタッカークレーン11から入出庫装置13における昇降台13aに物品を降ろす場合において、スタッカークレーン11から昇降台13aに物品を移載したにも拘らず、昇降台13aに物品が移載されたことを示す在荷センサ(図示せず)の検出信号が搬送側制御装置21に送信されていないときは、スタッカークレーン11から入出庫装置13への物品の移載が適正に行われていないので、スタッカークレーン11或いは入出庫装置13に異常が発生していると判断するようにして、物品処理設備内の機器の異常発生を検出するように構成されている。
【0025】
図4に示すように、物品処理設備には、撮影装置7が撮影した画像を物品処理設備外の操作設備に向けて送信する送信手段としての搬送側通信装置24が設けられ、物品処理設備外の操作設備には、操作側通信装置29が設けられており、搬送側通信装置24と操作側通信装置29との間でインターネット等を利用して通信可能に構成されている。そして、操作設備には、搬送側通信装置24から送信された画像を操作側通信装置29にて受信するとその画像をモニタ27に表示させる操作側制御装置26が設けられている。尚、操作設備は、メンテナンス作業者や管理者が居て物品処理設備を管理するための設備である。
また、搬送側通信装置24から送信された異常検出部23による検出情報を操作側通信装置29にて受信すると、その検出情報に基づいて、物品処理設備内のどの機器に異常が発生しているか判断できるように、物品処理設備内の機器のレイアウトに異常が発生した機器がチェックされた画像がモニタ27に表示されるように構成されている。
【0026】
搬送側制御装置21は、物品処理設備外の操作設備からの撮影指令に基づいて前記撮影装置7の作動を制御するように構成され、また、物品処理設備外の操作設備からの走行指令に基づいて前記救援車6の走行を制御可能に構成されている。つまり、操作設備には救援車6を操作するための操作装置28が設けられており、操作側制御装置26は、操作装置28の操作に基づいた走行指令や撮影指令を操作側通信装置29から物品処理設備に向けて送信する。搬送側制御装置21は、搬送側通信装置24に走行指令や撮影指令が入力されると、走行指令に基づいて救援車6の走行を制御し、撮影指令に基づいて撮影装置7の作動を制御するように構成されている。
そして、物品処理設備外の操作設備からの走行指令に基づく搬送制御部22による救援車6の走行の制御は、救援車6が異常発生箇所まで走行した状態で行われる。つまり、救援車6が物品搬送用の走行経路L2や救援用走行経路L3を走行中に操作装置28を操作しても救援車6を任意に走行させることはできず、救援車6が異常発生箇所まで走行した状態で操作装置28を操作することにより救援車6を任意に走行させることができるように構成されている。
また、操作装置28の操作により救援車6が走行することにより、救援車6が物品搬送用の走行経路L2に沿って走行する搬送車4と接触する虞がある場合には、そのことを知らせる警報をモニタ27に表示するように構成されている。
【0027】
次に、物品処理設備の機器の異常発生が異常検出部23にて検出された場合の救援車6の作動の制御について、物品処理設備の機器における搬送車側の入出庫装置13の異常発生が異常検出部23にて検出された場合を例に挙げて説明する。
まず、搬送車側の入出庫装置13の異常発生が異常検出部23にて検出されると、搬入出コンベア2、搬送台車3、スタッカークレーン11、入出庫装置13、搬送車4及びステーションコンベア5の作動を停止させる。そして、図5に示すように、ステーションコンベア5の前方辺りに救援車6が位置する状態で、物品処理設備の機器における搬送車側の入出庫装置13の異常発生が異常検出部23にて検出されると、救援車の現在位置から異常発生箇所まで走行する経路は、図中の矢印で示すように、物品搬送用の走行経路L2に沿って走行する救援車6を、救援用走行経路L3に乗り移らせて物品搬送用の走行経路L2におけるループ部分を縦断させた後、救援用走行経路L3に沿って異常発生箇所となる搬送車側の入出庫装置13の横側方箇所まで走行させる。このように救援車の現在位置から異常発生箇所まで走行する経路は走行距離が短くなるように設定され、その設定された経路に搬送車4が停止している場合は、搬送車4が停止している経路部分を除いて走行距離の短い経路が設定される。
また、搬送車側の入出庫装置13の異常発生が異常検出部23にて検出されるに伴って、異常検出部23による検出情報が操作設備に送信されて、物品処理設備内の機器のレイアウトに搬送車側の入出庫装置がチェックされた画像がモニタ27に表示され、このモニタ27の表示により、操作設備内のメンテナンス作業者は、物品処理設備内の搬送車側の入出庫装置13に異常が発生していることを認識することができる。
そして、操作設備内のメンテナンス作業者は、救援車6が搬送車側の入出庫装置13の横側方箇所まで走行した状態で、モニタ27に表示された撮影装置7にて撮影された画像を見ながら操作装置28を操作することにより、図6に示すように、救援車6の走行や向きの変更並びに撮影装置7の横軸心周りの回転や上下方向の移動によりメンテナンス作業者が望む画像をモニタ27に表示することができる。よって、メンテナンス作業者は、このモニタ27に表示される撮影装置7にて撮影された画像を参考にして入出庫装置13の異常の状況を判断することができるので、異常が発生した機器を修理するのに適切な機材や工具を持って物品処理設備に出向くことができる。
【0028】
尚、物品処理設備の機器における搬送車4の異常発生が異常検出部23にて検出された場合において、救援車6の現在位置から異常発生箇所まで走行する経路が救援用走行経路を利用しても走行距離が短くならない場合は、救援車6の現在位置から異常発生箇所までの物品搬送用の走行経路L2に沿う経路が設定される。また、物品処理設備の機器における搬送車4の異常発生が異常検出部23にて検出されて、救援車6を異常発生箇所となる搬送車6の前方箇所や後方箇所まで走行させる場合は、物品搬送用の走行経路L2に沿って走行する救援車6を、救援用走行経路L3に乗り移らせて物品搬送用の走行経路L2におけるループ部分を横断や縦断させた後、物品搬送用の走行経路L2に乗り移らせて物品搬送用の走行経路に沿って走行させて異常発生箇所まで走行するように設定される。
【0029】
搬送側制御装置21における搬送制御部22が、搬送車4を物品搬送用の走行経路L2に沿って走行させるべく搬送車4の走行を制御し、且つ、物品処理設備内の機器の異常発生が異常検出部23にて検出されると、救援車6を救援用走行経路L3に沿って異常発生箇所まで走行させるべく救援車6の走行を制御する制御手段として機能する。
また、搬送側制御装置21における異常検出部23が、物品処理設備内の機器の異常発生を検出する異常検出手段として機能する。
【0030】
〔別実施の形態〕
上記実施の形態では、救援車6に撮影装置7を備えたが、救援車6に撮影装置7を備えなくてもよい。つまり、救援車6に撮影装置7を備えさせて、救援車6の救援作業を異常が発生した機器を撮影装置7にて撮影することとしたが、救援車6に接続機構を備えさせて、救援車6の救援作業を異常が発生した機器に救援車6を接続して異常が発生した機器を救援車6にて退避箇所に移動させることとしてもよく、また、救援車6に充電装置を備えさせて、救援車6の救援作業を充電切れにより異常が発生した機器に救援車6にて充電することとしてもよい。
【0031】
上記実施の形態では、制御手段22を、物品処理設備外の操作設備からの撮影指令に基づいて撮影装置7の作動を制御するように構成したが、このように物品処理設備外の操作設備からの撮影指令に基づいて撮影装置7の作動を制御するように構成しなくてもよく、また制御手段22を、物品処理設備外の操作設備からの走行指令に基づいて救援車6の走行を制御可能に構成したが、このように物品処理設備外の操作設備からの走行指令に基づいて救援車6の走行を制御可能に構成しなくてもよい。
【0032】
上記実施の形態では、救援車6を搬送車4に兼用するように構成したが、救援車6を搬送車4に兼用しなくてもよく、物品処理設備内の機器の異常発生が異常検出手段23にて検出されるまでは、搬送車4の走行の邪魔にならないように退避箇所で救援車6を待機させておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】物品処理設備の平面図
【図2】搬送車の斜視図
【図3】救援車の斜視図
【図4】制御ブロック図
【図5】物品処理設備の平面図
【図6】遠隔操作での救援車の動きを示す作用図
【符号の説明】
【0034】
4 搬送車
6 救援車
7 撮影装置
22 搬送制御部
23 異常検出部
24 搬送側通信装置
L2 物品搬送用の走行経路
L3 救援用走行経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面上を走行自在な物品搬送用の搬送車を予め設定された物品搬送用の走行経路に沿って走行させるべく前記搬送車の走行を制御する制御手段が備えられている物品処理設備であって、
前記制御手段が、物品処理設備内の機器の異常発生が異常検出手段にて検出されると、床面上を走行自在な機器救援用の救援車を前記物品搬送用の走行経路とは異なる経路として予め設定された救援用走行経路に沿って異常発生箇所に走行させるべく前記救援車の走行を制御するように構成されている物品処理設備。
【請求項2】
前記救援車に撮影装置が備えられ、その撮影装置が撮影した画像を物品処理設備外の操作設備に向けて送信する送信手段が設けられている請求項1記載の物品処理設備。
【請求項3】
前記制御手段が、前記操作設備からの走行指令に基づいて前記救援車の走行を制御可能に構成されている請求項2記載の物品処理設備。
【請求項4】
前記救援車が、前記搬送車を兼用するように構成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の物品処理設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−65754(P2007−65754A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−247768(P2005−247768)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(000003643)株式会社ダイフク (1,209)
【Fターム(参考)】