説明

物品搬送装置

【課題】充電によって台車ユニットの運用効率の低下をまねくことなく、台車ユニットの蓄電装置を充電することができる物品搬送装置を提供すること。
【解決手段】搬送経路に沿って配設された走行レール3と、搬送物支持部材5を吊り下げた状態で走行レール3上を走行可能な走行台車6を有する台車ユニット4と、を備え、物品2を搬送物支持部材5に積載して搬送経路に沿って搬送する物品搬送装置において、走行台車6は、走行台車6を走行レール3上で走行させる駆動手段を有するとともに、台車ユニット4は、駆動手段に電力を供給する蓄電装置15を有し、この蓄電装置15が数秒から数分以内で充電可能となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送経路に沿って配設された走行レールと、搬送物支持部材を吊り下げた状態で前記走行レール上を走行可能な走行台車を有する台車ユニットと、を備え、物品を前記搬送物支持部材に積載して前記搬送経路に沿って搬送する物品搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、搭載されたバッテリにより駆動される天井式搬送車の車体に対して吊下部材を介して昇降する昇降体を、荷の移載作業を行う地上ステーションに降下させて、昇降体に設けられた充電コネクタと、地上ステーションに設けられた電源コネクタとを連結させて、バッテリを充電する搬送システムがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3674065号公報(第5頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の搬送システムにあっては、バッテリ(蓄電装置)を充電するために、天井式搬送車(台車ユニット)を地上ステーションに所定時間停車させなければならず、バッテリの充電時間が長い場合には、天井式搬送車の停車時間も長く設定しなければならないため、天井式搬送車の運用効率が低下してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、充電によって台車ユニットの運用効率の低下をまねくことなく、台車ユニットの蓄電装置を充電することができる物品搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、本発明の物品搬送装置は、
搬送経路に沿って配設された走行レールと、搬送物支持部材を吊り下げた状態で前記走行レール上を走行可能な走行台車を有する台車ユニットと、を備え、物品を前記搬送物支持部材に積載して前記搬送経路に沿って搬送する物品搬送装置において、
前記走行台車は、前記走行台車を前記走行レール上で走行させる駆動手段を有するとともに、前記台車ユニットは、前記駆動手段に電力を供給する蓄電装置を有し、該蓄電装置が数秒から数分以内で充電可能となっていることを特徴としている。
この特徴によれば、蓄電装置に対する充電を数秒から数分のほぼ瞬時に行うことができるため、台車ユニットの運用効率を低下させずに、台車ユニットの蓄電装置を充電することができる。
【0007】
本発明の物品搬送装置は、
前記搬送経路の少なくとも一部には、前記台車ユニットが移動中に前記蓄電装置に接続されて該蓄電装置を充電する充電装置が設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、台車ユニットが移動中であるときに充電するため、台車ユニットは、充電装置がある搬送経路の一部にて滞ることがなくなり、台車ユニットの運用効率を低下させずに、台車ユニットの蓄電装置を充電することができる。
【0008】
本発明の物品搬送装置は、
前記充電装置は、前記台車ユニットの移動方向に沿って移動される充電側移動部を有し、該充電側移動部を介して該充電装置と前記蓄電装置とが接続されることを特徴としている。
この特徴によれば、台車ユニットが移動している状態にて、充電側移動部が台車ユニットを追従するようになり、充電装置と蓄電装置との接続を円滑に行うことができる。
【0009】
本発明の物品搬送装置は、
前記台車ユニットは、該台車ユニットの移動方向と反対側に移動される台車側移動部を有し、該台車側移動部を介して前記充電装置と前記蓄電装置とが接続されることを特徴としている。
この特徴によれば、台車ユニットが移動している状態にて、台車側移動部が充電装置に対して相対的に移動不能に接続できるようになり、充電装置と蓄電装置との接続を円滑に行うことができる。
【0010】
本発明の物品搬送装置は、
前記充電装置は、前記走行レールに支持されていることを特徴としている。
この特徴によれば、走行レールがある搬送経路のいずれの箇所にも充電装置を設置できるようになり、かつ台車ユニットの荷重によって走行レールが撓んでも、その撓みによる移動が充電装置にも伝わるため、台車ユニットと充電装置との相対的な位置関係が殆ど変化されずに済むようになり、充電装置と蓄電装置との接続を円滑に行うことができる。
【0011】
本発明の物品搬送装置は、
前記充電装置と前記蓄電装置との接続を案内する案内手段が設けられることを特徴としている。
この特徴によれば、充電装置と蓄電装置との接続が案内されるようになり、充電装置と蓄電装置との接続を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1における物品搬送装置の全体像を示す平面図である。
【図2】台車ユニットを示す側面図である。
【図3】充電ステーションにおける台車ユニットを示す背面図である。
【図4】走行台車を示す平面図である。
【図5】接触部を示す斜視図である。
【図6】実施例2における接触部を示す斜視図である。
【図7】充電アームを示す斜視図である。
【図8】(a)は、充電アームと充電ステーションを走行する台車ユニットの接触部とを示す概略図であり、(b)は、充電アームと接触部とが接続されている状態を示す概略図であり、(c)は、台車ユニットの走行により互いに移動する充電アームと接触部とを示す概略図であり、(d)は、充電アームと台車ユニットの接触部との接続が解除された状態を示す概略図である。
【図9】実施例3におけるコイルと充電ステーションを走行する台車ユニットとを示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る物品搬送装置を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0014】
実施例1に係る物品搬送装置につき、図1から図5を参照して説明する。以下、図2、図4の紙面左側を台車ユニットの正面側(前方側)とし、図3の紙面左側を台車ユニットの左方側として説明する。
【0015】
図1の符号1は、例えば、自動車等を製造する工場内で、自動車の部品が収納された本発明における物品としてのコンテナ2(図2参照)を搬送するための本発明の適用された物品搬送装置である。
【0016】
図1及び図2に示すように、物品搬送装置1は、2本の走行レール3と、これら走行レール3を平面視で時計回りに走行可能な複数の台車ユニット4と、から主に構成されており、製造された自動車の部品が収納されているコンテナ2を図示しない次の工程ラインに向けて搬送経路に沿って搬送するようになっている。
【0017】
尚、特に図示しないが、各台車ユニット4は、制御装置と無線LAN等の無線通信の送受信器とを備えている。この制御装置は、送受信器を介してオペレータに後述する蓄電装置15内の充電量を送信可能な他、オペレータからの指令を送受信器で受信することによって台車ユニット4の走行と停止の制御を行っている。
【0018】
図3に示すように、2本の走行レール3は、上面3aが水平面状に形成された、アルミやスチール等の金属材によって構成された管材であり、工場内のコンテナ2の搬送経路に沿って工場内の天井から吊り下げされた状態で設けられている。また、図1に示すように、これら2本の走行レール3は、複数の直線路3bと右曲がりに形成された曲線路3cとを組み合わせて無端状に形成されている。
【0019】
図2〜図4に示すように、台車ユニット4は、前後2台の走行台車6と、各走行台車6から吊り下げられた状態でコンテナ2を保持する本発明における搬送物支持部材としてのキャリア5と、によって構成されている。これら2台の走行台車6は同一構成につき、1台の走行台車6について説明する。尚、本実施例では、台車ユニット4を2台の走行台車6を備えているものとして説明するが、台車ユニット4は搬送する物品の重量に応じて走行台車6を3台以上または1台のみ備えるように構成してもよい。
【0020】
この走行台車6は、正面視で略U字状を成すとともに、平面視でH字状を成すように形成された本体部6aと、走行台車6を走行させるための本発明における駆動手段としてのモータ7と、このモータ7の駆動によって走行レール3の上面3aに当接して回転する複数(本実施例では4輪)の車輪8と、から主に構成されている。
【0021】
このモータ7は、後述する蓄電装置15に接続されることで電力の供給を受けており、走行レール3における所定箇所には、台車ユニット4の移動中に、蓄電装置15に充電を行うための充電ステーションCが設けられている(図1参照)。
【0022】
図4に示すように、本体部6aは、樹脂材や金属材等で構成され、本体部6aの内部にモータ7が収納されている。このモータ7はシャフト7aが走行台車6の背面側を向くように本体部6a内に配置されている。また、シャフト7aの先端にはベベルギア9aが取り付けられている。
【0023】
更に、本体部6aの前部及び後部の左右側端部には、各車輪8がシャフト8aによって回転可能に枢支されている。これら車輪8のうち、走行台車6の後部の右側端部に枢支されている車輪8のシャフト8aの先端部は、本体部6a内に突出して配置されている。
【0024】
尚、このシャフト8aの先端部には、ベベルギア9aと係合するベベルギア9bが取り付けられている。つまり、走行台車6の後部の右側端部に枢支されている車輪8は、モータ7が駆動することで他の車輪8と独立して回転駆動される駆動輪8bを構成している。更に尚、その他の車輪8は従動輪8cを構成している。
【0025】
図3〜図4に示すように、本体部6aの下端部には、前部と後部とでガイドローラ10が左右方向に2輪並設されている。これらガイドローラ10は、水平方向に回転可能に枢支されており、走行台車6が走行レール3上に載置されることで、両走行レール3間の間隙11内に配置されるようになっている。このため、各ガイドローラ10は、走行台車6の走行中に両走行レール3の側端部に当接し、走行台車6が走行レール3上から離脱しないようガイドしている。
【0026】
また、図2〜図4に示すように、本体部6a下端部の水平方向の略中央には、下方を向く吊下棒12が取り付けられている。この吊下棒12の下端部には、正面視下向きU字状に形成された中間部材13が更に取り付けられている(図3参照)。尚、特に図示しないが、吊下棒12は、中間部材13に対して水平方向に相対回転可能に取り付けられている。
【0027】
そして、前後の中間部材13間には、前後方向を向く連結杆材14が取り付けられている。この連結杆材14と各中間部材13、及び吊下棒12を介して前後の走行台車6が互いに連結されている。更に、これら中間部材13の下端部には、キャリア5の上端部が取り付けられている。
【0028】
具体的には、キャリア5は、前後方向を向く上部杆材5aと、この上部杆材5aの先端部と後端部とから下方に向けて延設されている縦杆材5bと、これら縦杆材5b間の上部と下端部とに取り付けられたコンテナ2を載置するための載置板5c,5dと、から構成されており、上部杆材5aが両中間部材13に取り付けられることで前後の走行台車6から吊り下げられている。尚、本実施例では、縦杆材5b間の下端部に取り付けられた載置板5d上にのみコンテナ2が載置されているが、コンテナ2の大きさによっては載置板5c上にコンテナ2を載置してもよい。
【0029】
縦杆材5b間の下端部に取り付けられた載置板5dの下端部には、走行台車6のモータ7を駆動させるための蓄電装置15が取り付けられている。この蓄電装置15は、極めて短時間で充電が可能となっている。尚、本実施例における蓄電装置15は、数秒から数分程度のほぼ瞬時の充電時間で充電が可能となっている。
【0030】
そして、各モータ7と蓄電装置15と制御装置は、図示しない配線で接続されている。更に尚、連結杆材14の左側端部には、蓄電装置15と制御装置に図示しない配線で接続される接触部21を有する支持ブラケット19が取り付けられている(図3参照)。
【0031】
次に、充電ステーションCについて説明する。図1及び図3に示すように、充電ステーションCは、走行レール3上を走行する台車ユニット4が曲線路3cを走行した直後に走行する直線路3bに設けられており、走行中の台車ユニット4の蓄電装置15に充電可能となっている。
【0032】
この充電ステーションC内の直線路3bには、蓄電装置15に充電を行うための複数(本実施例では3個)の充電プラグ17が取り付けられている。尚、充電プラグ17は、無線LAN等の無線通信の図示しない送受信器を備えているとともに、工場内に設置された所定の電源に接続されている。
【0033】
図3に示すように、走行レール3に取り付けられたブラケット17aと、ブラケット17aに取り付けられた電動シリンダ17bと、電動シリンダ17bの駆動によって前後方向に向けて伸縮可能なアーム部17cと、アーム部17cの先端に取り付けられた左右2つの端子17dと、から構成されている。
【0034】
左右2つの端子17dは下方を向くように取り付けられている。また、連結杆材14の左側端部には、背面視で略L字状に形成された支持ブラケット19が取り付けられている。この支持ブラケット19上には、接触部21が配置されており、この接触部21は、図示しない配線によって蓄電装置15及び制御装置に接続された2条の導電体20を有している。尚、充電プラグ17によって本実施例における充電装置が構成されている。
【0035】
図5に示すように、接触部21には、上方に開口し、且つ前後方向を向く2条の溝部21aが形成されている。また、導電体20は、銅等の導電性を有する金属材で構成され、溝部21a内に前後方向を向いて配置されている。更に、これら溝部21a内に配置された導電体20と充電プラグ17の端子17dとは、上下方向に対向するように配置されている。
【0036】
台車ユニット4が充電ステーションCで蓄電装置15の充電を行う場合には、先ず、台車ユニット4が充電ステーションCに進入したら、制御装置によって蓄電装置15の充電量を測定する。蓄電装置15の充電量が所定量以下であれば、制御装置は、モータ7の駆動を停止し、台車ユニット4の充電ステーションC内での速度を所定速度以下の低速走行となるように制御し、台車ユニット4が慣性力によって走行されるように切り換える。尚、本実施例における所定速度以下とは、およそ4km/h以下の状態を示す。
【0037】
更に、制御装置は、電動シリンダ17bを駆動させることでアーム部17cを下方に向けて伸展させ、端子17dを接触部21の導電体20に接触させる。尚、蓄電装置15は、数秒程度のほぼ瞬時の充電時間で充電が可能となっている。そのため、台車ユニット4が端子17dを導電体20の前後方向の略全長に亘って摺動されて、この端子17dが導電体20に摺接している僅かな時間に蓄電装置15に対する充電を完了させることができる。
【0038】
また、蓄電装置15の充電量が所定量以上である場合には、モータ7の駆動をそのまま維持させ、台車ユニット4に充電ステーションCを通過させる。このようにすることで、不必要な充電を無くし、台車ユニット4によるコンテナ2の搬送を効率化することができる。
【0039】
以上、本実施例における物品搬送装置1における蓄電装置15にあっては、走行台車6は、走行台車6を走行レール3上で走行させるモータ7を有するとともに、台車ユニット4は、モータ7に電力を供給する蓄電装置15を有し、蓄電装置15が数秒から数分以内で充電可能となっていることで、蓄電装置15に対する充電を数秒から数分のほぼ瞬時に行うことができるため、台車ユニット4の運用効率を低下させずに、台車ユニット4の蓄電装置15を充電することができる。
【0040】
また、搬送経路の少なくとも一部には、台車ユニット4が移動中に蓄電装置15に接続されて蓄電装置17を充電する充電プラグ17が設けられることで、台車ユニット4が移動中であるときに充電するため、台車ユニット4は、充電プラグ17がある搬送経路の一部にて滞ることがなくなり、台車ユニット4の運用効率を低下させずに、台車ユニット4の蓄電装置15を充電することができる。
【0041】
また、充電プラグ17は、走行レール3に支持されていることで、走行レール3がある搬送経路のいずれの箇所にも充電プラグ17を設置できるようになり、かつ台車ユニット4の荷重によって走行レール3が撓んでも、その撓みによる移動が充電プラグ17にも伝わるため、台車ユニット4と充電プラグ17との相対的な位置関係が殆ど変化されずに済むようになり、充電プラグ17と蓄電装置15との接続を円滑に行うことができる。
【実施例2】
【0042】
次に、実施例2に係る物品搬送装置につき、図6〜図8を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。以下、図8の紙面上方側を台車ユニットの正面側(前方側)として説明する。
【0043】
実施例2における充電ステーションC内には、走行レール3の左側端部から延設された支持ブラケット18が取り付けられている。この支持ブラケット18は、その先端部が台車ユニット4の連結杆材14の左側端部の近傍まで延設されている。
【0044】
図6に示すように、実施例2における連結杆材14の左側端部には、接触部22が取り付けられている。この接触部22は、連結杆材14の左側端部に固着された基部22aと、この基部22aから水平方向に揺動可能に枢支された本発明における台車側移動部としての揺動アーム部22bと、揺動アーム部22bの先端部に取り付けられた上下2つの導電体22cと、から主に構成されている。
【0045】
具体的には、揺動アーム部22bは、基部22a内に設けられたバネ(図示略)によって、その先端部が台車ユニット4の左前方を向くように付勢されて配置されている(図8(a)参照)。また、揺動アーム部22bの先端部は、上下方向を向く円柱部22dに形成されており、この円柱部22dの外周面の略全長に亘って上下2つの導電体22cが取り付けられている。
【0046】
図7に示すように、支持ブラケット18には、充電アーム23が取り付けられている。この充電アーム23は、支持ブラケット18から水平方向に揺動可能に枢支された本発明における充電側移動部としての揺動アーム部23aと、揺動アーム23aの先端部から伸縮可能な伸縮アーム部23bと、伸縮アーム部23bの先端部に取り付けられた上下2つの端子23cと、から主に構成されている。
【0047】
具体的には、揺動アーム部23aは、支持ブラケット18に対してバネ(図示略)によって、その先端部が走行レール3の右後方を向くように配置されている(図8(a)参照)。また、伸縮アーム部23bは、揺動アーム部23a内に設けられたバネ(図示略)によって伸展方向に付勢されている。更に、伸縮アーム部23bの先端部は、揺動アーム部22bの円柱部22dを保持可能な円弧状の、本発明における案内手段としての保持部23dに形成されている。この保持部23dの内周面に上下2つの端子23cが取り付けられている。
【0048】
尚、本実施例では、充電アーム23が充電装置を構成している。更に尚、導電体22cは、図示しない配線によって蓄電装置15に接続されており、端子23cは、図示しない配線によって工場内の所定の電源に接続されている。
【0049】
台車ユニット4の蓄電装置15に対して充電する際には、先ず、図8(a)に示すように、台車ユニット4が充電ステーションC内に進入後、制御装置は、台車ユニット4の充電ステーションC内での速度を所定速度以下の低速走行となるように制御し、台車ユニット4が慣性力によって走行されるように切り換える。尚、本実施例における所定速度以下とは、およそ1km/h以下の状態を示す。
【0050】
そして、図8(b)に示すように、台車ユニット4の進行により、接触部22の円柱部22dが充電アーム23の保持部23d内に保持され、導電体22cと端子23cとが接触することで蓄電装置15に対して充電が開始される。
【0051】
この状態で台車ユニット4が慣性力で走行することで、揺動アーム部22bは、基部22a内のバネ(図示略)の付勢力に抗して後方側に向かって揺動されるとともに、揺動アーム部23aは、支持ブラケット18との間のバネ(図示略)の付勢力に抗して前方側に向かって揺動される。同時に、伸縮アーム部23bは、揺動アーム部22bからの押圧力を受けることで揺動アーム部23a内のバネ(図示略)の付勢力に抗して揺動アーム部23a内に押し込められる(図8(c)参照)。
【0052】
尚、蓄電装置15は、数秒程度のほぼ瞬時の充電時間で充電が可能となっている。そのため、台車ユニット4が充電ステーションCを通過する際の僅かな時間に、蓄電装置15に対する充電を完了させることができる。
【0053】
更に、図8(d)に示すように、伸縮アーム部23bは、揺動アーム部23a内のバネ(図示略)の付勢力によって揺動アーム部23aの外方に向かって伸展されるとともに、伸展後に、保持部23dによる円柱部22dの保持が解除され、導電体22cと端子23cとの接触が解除されて蓄電装置15に対する充電を終了する。
【0054】
尚、円柱部22dの保持が解除されると、揺動アーム部23aは、支持ブラケット18との間のバネ(図示略)の付勢力によって、再び図8(a)に示す走行レール3の右後方を向く初期位置に復元される。同様に、揺動アーム部22bは、基部22a内のバネの付勢力によって台車ユニット4の左前方を向く初期位置に復元される。
【0055】
また、充電アーム23は、台車ユニット4の移動方向に沿って移動される揺動アーム部23aを有し、揺動アーム部23aを介して充電アーム23と蓄電装置15とが接続されることで、台車ユニット4が移動している状態にて、揺動アーム部23aが台車ユニット4を追従するようになり、充電アーム23と蓄電装置15との接続を円滑に行うことができる。
【0056】
また、台車ユニット4は、台車ユニット4の移動方向と反対側に移動される揺動アーム部22bを有し、揺動アーム部22bを介して充電アーム23と蓄電装置15とが接続されることで、台車ユニット4が移動している状態にて、揺動アーム部22bが充電アーム23に対して相対的に移動不能に接続できる。
【0057】
また、充電アーム23と接触部22との接続を案内する保持部23dが設けられることで、台車ユニット4が所定の速度で移動している状態で、充電アーム23と接触部22の接続を円滑に行うことができる。
【実施例3】
【0058】
次に、実施例3に係る物品搬送装置につき、図9を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成を省略する。以下、図9の紙面奥側を台車ユニットの正面側(前方側)とし、図9の紙面左側を台車ユニットの左方側として説明する。
【0059】
図9に示すように、実施例3における連結杆材14の左側端部には、コイル24が取り付けられている。このコイル24は、図示しない配線によって蓄電装置15に接続されている。
【0060】
一方、充電ステーションC内の走行レール3の左側端部には、支持ブラケット26を介してコイル25が取り付けられている。このコイル25は、工場内の所定の電源に接続されている。また、これらコイル24,25は、台車ユニット4が充電ステーションCを走行する際に、左右で対向するように配置されている。尚、本実施例では、コイル25により充電装置が構成されている。
【0061】
本実施例で台車ユニット4が充電ステーションCで蓄電装置15の充電を行う場合には、先ず、台車ユニット4の制御装置はモータ7の駆動を停止し、台車ユニット4の充電ステーションC内での速度を所定速度以下の低速走行となるように制御し、台車ユニット4が慣性力によって走行されるように切り換える。
【0062】
台車ユニット4は、コイル25の右側方を低速で走行する際に、コイル25を流れている電流によってコイル24に誘導起電力が発生する。このコイル24に発生した誘導起電力によって蓄電装置15の充電を行う。
【0063】
尚、蓄電装置15は、数秒程度のほぼ瞬時の充電時間で充電が可能となっている。そのため、台車ユニット4が充電ステーションCを通過する際の僅かな時間に、蓄電装置15に対する充電を完了させることができる。
【0064】
本実施例の蓄電装置15の充電は、蓄電装置15を台車ユニット4の外部の充電装置と被接触で行っているので、蓄電装置15と台車ユニット4の外部の充電装置とを接続して充電を行う際に、端子等の接続部品同士を接触させる必要がなくなり、使用部品を簡素化できる。
【0065】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0066】
例えば、前記実施例1〜3では、本発明がキャリア5を吊り下げた状態で走行レール3に沿って走行可能な台車ユニット4を備える物品搬送装置1に適用されているが、本発明はリニア式の搬送台車などにも適用することができる。
【0067】
また、前記実施例1〜3では、台車ユニット4が充電ステーションCに進入すると、制御装置がモータ7の駆動を停止し、台車ユニット4の充電ステーションC内での速度を所定速度以下の低速走行となるように切り換えた状態で、蓄電装置15に充電を行っているが、充電ステーションC内を台車ユニット4が高速で通常走行している状態で蓄電装置15に充電を行うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0068】
1 物品搬送装置
2 コンテナ(物品)
3 走行レール
4 台車ユニット
5 キャリア(搬送物支持部材)
6 走行台車
7 モータ(駆動手段)
15 蓄電装置
17 充電プラグ(充電装置)
17b 電動シリンダ
20 導電体
21 接触部
22 接触部
22b 揺動アーム部(台車側移動部)
22c 導電部
22d 円柱部
23 充電アーム(充電装置)
23a 揺動アーム部(充電側移動部)
23b 伸縮アーム部
23c 端子
23d 保持部(案内手段)
24,25 コイル(充電装置)
C 充電ステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送経路に沿って配設された走行レールと、搬送物支持部材を吊り下げた状態で前記走行レール上を走行可能な走行台車を有する台車ユニットと、を備え、物品を前記搬送物支持部材に積載して前記搬送経路に沿って搬送する物品搬送装置において、
前記走行台車は、前記走行台車を前記走行レール上で走行させる駆動手段を有するとともに、前記台車ユニットは、前記駆動手段に電力を供給する蓄電装置を有し、該蓄電装置が数秒から数分以内で充電可能となっていることを特徴とする物品搬送装置。
【請求項2】
前記搬送経路の少なくとも一部には、前記台車ユニットが移動中に前記蓄電装置に接続されて該蓄電装置を充電する充電装置が設けられることを特徴とする請求項1に記載の物品搬送装置。
【請求項3】
前記充電装置は、前記台車ユニットの移動方向に沿って移動される充電側移動部を有し、該充電側移動部を介して該充電装置と前記蓄電装置とが接続されることを特徴とする請求項2に記載の物品搬送装置。
【請求項4】
前記台車ユニットは、該台車ユニットの移動方向と反対側に移動される台車側移動部を有し、該台車側移動部を介して前記充電装置と前記蓄電装置とが接続されることを特徴とする請求項2または3に記載の物品搬送装置。
【請求項5】
前記充電装置は、前記走行レールに支持されていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の物品搬送装置。
【請求項6】
前記充電装置と前記蓄電装置との接続を案内する案内手段が設けられることを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の物品搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−105499(P2011−105499A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264890(P2009−264890)
【出願日】平成21年11月20日(2009.11.20)
【出願人】(000000561)株式会社岡村製作所 (1,415)
【Fターム(参考)】