説明

物品検査装置

【課題】設定されている被検査物の長さに対する検査された被検査物の長さの対比から適切な検査精度や検査効率になるように対応をとることが可能な物品検査装置を提供すること。
【解決手段】被検査物を搬送する搬送手段と、前記被検査物の搬送方向における先部および後部を検出する搬入センサ4と、前記搬入センサ4によって検出された前記被検査物Wの品質データを取得し、前記品質データに基づいて前記被検査物の良否を判定する品質判定手段と、を備えた物品検査装置において、前記搬入センサ4により前記被検査物の搬送方向における先部が検出されてから後部が検出されるまでの検出時間に基づいて、前記搬送方向における前記被検査物Wの長さを表す被検査物長Lを算出する被検査物長算出手段8aと、前記被検査物長算出手段8aにより算出された前記被検査物長Lに関する統計量を算出する統計手段9aと、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検査物についての品質検査を行なう物品検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、物品検査装置として、搬送される被検査物の重量を計量し、適正な重量であるか否かを判定する重量選別機、搬送される被検査物によって磁界が変化することにより被検査物中の金属を検出する金属検出装置などが知られている。これら従来の物品検査装置は、搬送路を流れてくる被検査物を検査し、その検査結果から被検査物を良品と不良品とに選別して、不良品だけを搬送路外に排除している。
【0003】
この種の物品検査装置として、生産ラインの後端に設置された搬入コンベアの下流に設置され、搬入コンベアから受け取った被検査物を搬送する搬送コンベア上の検査空間で検査を行なっている。この検査は、フォトセンサ等により被検査物を検知してから検査空間内で検査されるまでの基準時間が搬送速度や被検査物の搬送方向の長さ、検査精度等によって決定される。
【0004】
例えば、物品検査装置の一種である重量選別機においては、被検査物が搬送コンベア上の最適な位置で重量が測定されると、安定して検査精度が得られるため、被検査物が検知されてから搬送コンベア上で最適な位置に搬送されるまでの時間を基準時間として設定している(例えば、特許文献1参照)。また、例えば、物品検査装置の一種である金属検出機においては、被検査物が金属検査ヘッドの検査空間を完全に通過しきるまでの時間を基準時間として設定している。ここで、基準時間は、被検査物の最大の長さ(例えば、対角線の長さ)に応じて設定されるが、これは被検査物が搬送方向に対して傾いたまま搬送されることを想定し、余裕をみているからである。
【特許文献1】特開平5−312626号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの物品検査装置は、上述したように被検査物の最大の長さを考慮して基準時間が設定されているため、被検査物の搬送される向きが搬送方向に平行な向きで安定して搬送されている場合は、基準時間に余裕があることになる。したがって、例えば、検査精度が一定であれば、設定されている基準時間よりも短い時間で検査を行なうことが可能であるにもかかわらず基準時間の余裕分だけ実質的な検査効率が低下するという問題があった。また、例えば、搬送速度を落とすことにより検査精度が向上するような場合には、搬送速度を落とすことにより検査精度を上げることが可能であるにもかかわらず、基準時間の余裕分だけ検査精度の向上に対して損質するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、前述のような従来の問題を解決するためになされたもので、設定されている被検査物の長さに対する検査された被検査物の長さの対比から適切な検査精度や検査効率になるように対応をとることが可能な物品検査装置を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る物品検査装置においては、上記目的を達成するため、(1)被検査物を搬送する搬送手段と、前記被検査物の搬送方向における先部および後部を検出する搬入検出手段と、前記搬入検出手段によって検出された前記被検査物の品質データを取得し、前記品質データに基づいて前記被検査物の良否を判定する品質判定手段と、を備えた物品検査装置において、前記搬入検出手段により前記被検査物の搬送方向における先部が検出されてから後部が検出されるまでの検出時間に基づいて、前記搬送方向における前記被検査物の長さを表す被検査物長を算出する被検査物長算出手段と、前記被検査物長算出手段により算出された前記被検査物長に関する統計量を算出する統計手段と、を備えるよう構成した。
【0008】
この構成により、本発明に係る物品検査装置においては、搬入センサにより被検査物の搬入方向における先部および後部が検出されると、被検査物長算出手段により被検査物長が算出される。被検査物長が算出されると、統計手段により被検査物長に関する統計量が算出される。そして、統計手段により算出された統計量に基づいて、基準時間を決定するために予め物品検査装置に設定した設定長と実際に搬送されている被検査物の被検査物長の分布が集中している長さとを比較することにより、物品検査装置の検査精度および検査効率を確認することができる。例えば、検査精度を重視する場合には、重量選別機の設定長を被検査物の最大の長さに設定し、被検査物長の分布が、設定長に対して短い長さに集中する場合には、搬送速度が必要以上に速く設定されていることを確認することができる。したがって、事前に設定した設定長を被検査物の分布に基づいて再設定することにより、搬送速度を下げることができ、搬送速度が下がると被検査物の振動の発生が減少し、検査精度を向上させることができる。一方、被検査物長の分布が、設定長付近に集中する場合には、適切な搬送速度に設定されていることを確認することができる。
また、例えば、検査効率を重視する場合には、物品検査装置の設定長を被検査物の最大の長さに設定し、被検査物長の分布が、設定長に対して短い長さに集中する場合には、基準時間を長くとりすぎていることを示し、検査効率が悪いことを確認することができる。一方、物品検査装置の設定長を被検査物の最大の長さに設定し、被検査物長の分布が、設定長付近に集中する場合には、順次搬送されている被検査物間の距離に対して基準時間を短くとりすぎていることを確認することができる。従って、事前に設定した設定長を被検査物の分布に基づいて再設定することにより、適切な基準時間を決定することができるため、検査精度を低下させることなく、検査効率を向上させることができる。
【0009】
また、(1)に記載の本発明に係る物品検査装置においては、(2)前記統計手段により算出される前記被検査物長のばらつきを表す統計量が所定の範囲内にあるか否かを判定し、前記所定の範囲から外れた場合にアラームを出力するばらつき異常判定手段を備えるよう構成した。
【0010】
この構成により、所定の範囲から外れた場合にばらつき異常判定手段によりアラームが出力されるため、物品検査装置のオペレータに、被検査物の搬送姿勢(搬送方向に対する傾き)が極端にばらついた向きで搬送されていることを確認させ、例えば、コンベア間の乗り継ぎ悪い等の問題を前段の生産ラインに知らせることができる。
【0011】
また、(1)または(2)に記載の本発明に係る物品検査装置においては、(3)前記被検査物長に関する統計量から算出されるばらつきを表す統計量および中心的傾向を表す統計量に基づいて推奨被検査物長を算出する推奨被検査物長算出手段、を備えるよう構成した。
【0012】
この構成により、被検査物長に関する統計量から推奨被検査物長が算出される。その結果、推奨被検査物長を物品検査装置の設定長として設定することができる。例えば、検査精度を重視する場合には、推奨被検査物長から適切な搬送速度を算出することができるため、検査効率を低下させることなく、検査精度を向上させることができる。また、例えば検査効率を重視する場合には、推奨被検査物長から適切な基準時間を算出することができるため、検査精度を低下させることなく、検査効率を向上させることができる。
【0013】
また、(3)に記載の本発明に係る物品検査装置においては、(4)前記搬入検出手段が検出する検出位置と前記品質判定手段が前記品質データを取得開始する取得開始位置との間の基準距離と前記推奨検査物長算出手段により算出された推奨検査物長とに基づいて前記搬送手段の最適搬送速度を算出する最適搬送速度算出手段、を備えるよう構成した。
【0014】
この構成により、例えば、検査精度を重視する場合には、推奨被検査物長から適切な搬送速度を算出して設定することにより被検査物の振動を抑えることができる。このため、検査効率を低下させることなく、検査精度を向上させることができる。
【0015】
また、(1)または(2)に記載の本発明に係る物品検査装置においては、(5)前記統計手段により算出された前記被検査物長に関する前記統計量に基づいて、前記被検査物長に関するヒストグラムを表示するヒストグラム表示手段をさらに備えるよう構成した。
【0016】
この構成により、ヒストグラム表示手段により被検査物長に関する統計がヒストグラムとして表示されるため、物品検査装置のオペレータに視覚を通じて、被検査物長の分布を認識させることができる。
【0017】
また、(5)に記載の本発明に係る物品検査装置においては、(6)前記搬入検出手段により前記被検査物が搬入されたことが検出されてから前記品質判定手段により前記被検査物の品質データの取得を開始するまでの基準時間を設定する設定手段を備え、前記ヒストグラム表示手段の表示が、前記被検査物の前記被検査物長をデータ区間とし、前記被検査物の検査個数を頻度としたヒストグラムであり、前記基準時間に前記搬送手段の搬送速度を乗じて求められる長さを表す設定長マークを含むよう構成した。
【0018】
この構成により、例えば、検査精度を重視する場合においては、ヒストグラムとともに、設定長マークが表示されるため、被検査物長の分布が、設定長マークに対して短い長さに集中している場合には、搬送速度が必要以上に速く設定されていることを物品検査装置のオペレータが確認することができる。したがって、事前に設定した設定長および搬送速度を被検査物の分布に基づいて再設定することにより、搬送速度を下げて検査精度を向上させることができる。一方、被検査物長の分布が、設定長マーク付近に集中している場合には、適切な搬送速度に設定されていることを確認することができる。
【0019】
また、(6)に記載の本発明に係る物品検査装置においては、(7)前記搬入検出手段により前記被検査物が搬入されたことが検出されてから前記品質判定手段により前記被検査物の品質データの取得を終了するまでの基準時間を設定する設定手段を備え、前記ヒストグラム表示手段の表示が、前記被検査物の前記被検査物長をデータ区間とし、前記被検査物の検査個数を頻度としたヒストグラムであり、前記基準時間に前記搬送手段の搬送速度に乗じて求められる長さを表す設定長マークを含むよう構成した。
【0020】
この構成により、例えば、検査効率を重視する場合においては、ヒストグラムとともに、設定長マークが表示されるため、被検査物長の分布が、設定長マークに対して短い長さに集中する場合には、基準時間を長くとりすぎていることを示し、検査効率が悪いことを確認することができる。一方、物品検査装置の設定長を被検査物の最大の長さに設定し、被検査物長の分布が、設定長マーク付近に集中する場合には、順次搬送されている被検査物間の距離に対して基準時間を短くとりすぎていることを物品検査装置のオペレータが確認することができる。従って、事前に設定した設定長を被検査物の分布に基づいて再設定することにより、適切な基準時間を決定することができるため、検査精度を低下させることなく、検査効率を向上させることができる。
【0021】
また、(6)または(7)に記載の本発明に係る物品検査装置においては、(8)前記被検査物長に関する統計量から算出されるばらつきを表す統計量および中心的傾向を表す統計量に基づいて推奨被検査物長を算出する推奨被検査物長算出手段を備え、前記ヒストグラム表示手段の表示が、前記推奨被検査物長算出手段により算出された前記推奨被検査物長を表す推奨被検査物長マークを含むよう構成した。
【0022】
この構成により、ヒストグラムとともに、推奨被検査物長マークが表示されるため、例えば、検査精度を重視する場合には、推奨被検査物長マークに合わせて設定長を再設定し、適切な搬送速度にすることにより、検査効率を低下させることなく、検査精度を向上させることができる。また、例えば、検査効率を重視する場合には、推奨被検査物長マークに合わせて設定長を再設定し、適切な基準時間にすることにより検査精度を低下させることなく、検査効率を向上させることができる。
【0023】
また、(6)に記載の本発明に係る物品検査装置においては、(9)前記被検査物長に関する統計量から算出されるばらつきを表す統計量および中心的傾向を表す統計量に基づいて推奨被検査物長を算出する推奨被検査物長算出手段と、前記搬入検出手段が検出する前記検出位置と前記品質判定手段が前記品質データを取得開始する取得開始位置との間の基準距離と前記推奨被検査物長算出手段により算出された推奨被検査物長とに基づいて、前記搬送手段の最適搬送速度を算出する最適搬送速度算出手段と、を備え、前記ヒストグラム表示手段の表示が、前記推奨被検査物長算出手段により算出された前記推奨被検査物長を表す推奨被検査物長マークおよび前記最適搬送速度算出手段により算出された前記最適搬送速度の表示を含むよう構成した。
【0024】
この構成により、ヒストグラムとともに、推奨被検査物長マークおよび最適搬送速度が表示されるため、例えば、検査精度を重視する場合には、推奨被検査物長マークまたは最適搬送速度に合わせて設定長を再設定し、適切な搬送速度にすることにより、検査効率を低下させることなく、検査精度を向上させることができる。
【0025】
また、(5)に記載の本発明に係る物品検査装置においては、(10)前記搬入検出手段により前記被検査物が搬入されたことが検出されてから前記品質判定手段により前記被検査物の品質データの取得を終了するまでの基準時間を設定する設定手段と、前記被検査物長に関する統計量から単位時間当たりの前記被検査物の検査個数を表す検査能力を算出するとともに前記設定手段により設定された前記基準時間に基づいて基準検査能力を算出する検査能力算出手段と、を備え、前記ヒストグラム表示手段の表示が、前記検査能力算出手段により算出された前記検査能力をデータ区間とし、前記被検査物の検査個数を頻度としたヒストグラムであり、前記検査能力算出手段により算出された基準検査能力を表す基準検査能力マークを含むよう構成した。
【0026】
この構成により、被検査物長が検査能力に換算されて、基準の検査能力を表す基準検査能力マークとともに、ヒストグラムが表示されるので、基準検査能力マークの分布からオペレータが検査能力の傾向や検査が正しく行なわれていたか否かを物品検査装置のオペレータに認識させることができ、生産ラインの前段への処置を促すことが可能となる。なお、本発明に係る物品検査装置の「基準検査能力」とは、物品検査装置が有する最大の検査能力をいう。
【発明の効果】
【0027】
請求項1に係る物品検査装置によれば、搬入センサにより被検査物の搬入方向における先部および後部が検出されると、被検査物長算出手段により被検査物長が算出される。被検査物長が算出されると、統計手段により被検査物長に関する統計量が算出される。そして、統計手段により算出された統計量に基づいて、基準時間を決定するために予め物品検査装置に設定した設定長と実際に搬送されている被検査物の被検査物長の分布が集中している長さとを比較することにより、適切な検査精度や検査効率になるように対応をとることができる。
【0028】
請求項2に係る物品検査装置によれば、所定の範囲から外れた場合にばらつき異常判定手段によりアラームが出力されるため、物品検査装置のオペレータに、被検査物の搬送姿勢(搬送方向に対する傾き)が極端にばらついた向きで搬送されていることを確認させ、例えば、コンベア間の乗り継ぎ悪い等の問題を前段の生産ラインに知らせることができる。
【0029】
請求項3に係る物品検査装置によれば、被検査物長に関する統計量から推奨被検査物長が算出される。その結果、推奨被検査物長を物品検査装置の設定長として設定することができる。例えば、検査精度を重視する場合には、推奨被検査物長から適切な搬送速度を算出することができるため、検査効率を低下させることなく、検査精度を向上させることができる。また、例えば検査効率を重視する場合には、推奨被検査物長に基づいて、検査空間を被検査物が通過しきるまでの基準時間を適切に算出できるため、検査精度を低下させることなく、検査効率を向上させることができる。
【0030】
請求項4に係る物品検査装置によれば、例えば、検査精度を重視する場合には、推奨被検査物長に基づいて最適搬送速度算出手段により適切な搬送速度が算出される。そして、算出された適切な搬送速度を物品検査装置に設定することにより被検査物の振動を抑えることができる。このため、検査効率を低下させることなく、検査精度を向上させることができる。
【0031】
請求項5に係る物品検査装置によれば、ヒストグラム表示手段により被検査物長に関する統計がヒストグラムとして表示されるため、物品検査装置のオペレータに視覚を通じて、被検査物長の分布を認識させることができる。
【0032】
請求項6に係る物品検査装置によれば、例えば、検査精度を重視する場合においては、ヒストグラムとともに、設定長マークが表示されるため、被検査物長の分布が、設定長マークに対して短い長さに集中している場合には、搬送速度が必要以上に速く設定されていることを物品検査装置のオペレータが確認することができる。したがって、事前に設定した設定長および搬送速度を被検査物の分布に基づいて再設定することにより、搬送速度を下げて検査精度を向上させることができる。一方、被検査物長の分布が、設定長マーク付近に集中している場合には、適切な搬送速度に設定されていることを確認することができる。
【0033】
請求項7に係る物品検査装置によれば、例えば、検査効率を重視する場合においては、ヒストグラムとともに、設定長マークが表示されるため、被検査物長の分布が、設定長マークに対して短い長さに集中する場合には、基準時間を長くとりすぎていることを示し、検査効率が悪いことを確認することができる。一方、物品検査装置の設定長を被検査物の最大の長さに設定し、被検査物長の分布が、設定長マーク付近に集中する場合には、順次搬送されている被検査物間の距離に対して基準時間を短くとりすぎていることを物品検査装置のオペレータが確認することができる。従って、事前に設定した設定長を被検査物の分布に基づいて再設定することにより、適切な基準時間を決定することができるため、検査精度を低下させることなく、検査効率を向上させることができる。
【0034】
請求項8に係る物品検査装置によれば、ヒストグラムとともに、推奨被検査物長マークが表示されるため、例えば、検査精度を重視する場合には、推奨被検査物長マークに合わせて設定長を再設定し、適切な搬送速度にすることにより、検査効率を低下させることなく、検査精度を向上させることができる。また、例えば、検査効率を重視する場合には、推奨被検査物長マークに合わせて設定長を再設定し、適切な基準時間にすることにより検査精度を低下させることなく、検査効率を向上させることができる。
【0035】
請求項9に係る物品検査装置によれば、ヒストグラムとともに、推奨被検査物長マークおよび最適搬送速度が表示されるため、例えば、検査精度を重視する場合には、推奨被検査物長マークまたは最適搬送速度に合わせて設定長を再設定し、適切な搬送速度にすることにより、検査効率を低下させることなく、検査精度を向上させることができる。
【0036】
請求項10に係る物品検査装置によれば、被検査物長が検査能力に換算されて、基準の検査能力を表す基準検査能力マークとともに、ヒストグラムが表示されるので、基準検査能力マークの分布からオペレータが検査能力の傾向や検査が正しく行なわれていたか否かを物品検査装置のオペレータに認識させることができ、生産ラインの前段への処置を促すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明に係る物品検査装置を、検査精度を重視する場合における第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0038】
(第1の実施の形態)
図1〜図9は、本発明の物品検査装置を、検査精度を重視する場合における装置の一種である重量選別機に適用した第1の実施の形態を示している。
【0039】
図1および図2に示すように、重量選別機1は、装置本体部2と、搬送手段としての搬送部3と、搬入検出手段としての搬入センサ4と、選別部5とにより構成されている。
この重量選別機1は、生産ラインの一部を構成するベルトコンベア14の下流側に設置されており、所定の間隔で矢印A方向に順次搬送されてくる被検査物Wの質量を測定し、得られた測定値を設定された質量の上限および下限の基準値とそれぞれ比較し、得られた測定値が基準値の範囲内にあるか否かを判定し、範囲内のものを良品とし範囲外のものを不良品として選別するようになっている。
【0040】
装置本体部2は、搬送制御部6と、重量選別部7と、被検査物長算出記憶部8と、算出処理部9と、表示部10と、操作部11と、これらの各部を収納する収納筐体2aとにより構成されている。
【0041】
搬送部3は、助走コンベア31および秤量コンベア32により構成されており、この助走コンベア31は、2つのローラ31a、31cと、これらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルト31bと、により構成されている。また、秤量コンベア32は、2つのローラ32a、32cとこれらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルト32bとにより構成されている。
【0042】
この搬送部3は、ベルトコンベア14から矢印A方向に搬送されてくる包装された生肉、魚、加工食品、医薬などの各種の被検査物Wを搬送する。この被検査物Wは、助走コンベア31により測定するのに最適な速度になるよう加速または減速されて搬送され、秤量コンベア32によりさらに搬送され、搬送されている間に重量選別部7により質量が測定され、さらに選別部5に搬送される。
【0043】
搬入センサ4は、被検査物Wの搬送方向における先部および後部を検出するものであり、投光部4aと受光部4bからなる透過形光電センサで構成されている。投光部4aおよび受光部4bは、助走コンベア31と秤量コンベア32との間に、搬送される被検査物Wの下部の高さに位置して、対向するようにして配置されている。被検査物Wの搬送方向における先部が投光部4aおよび受光部4bの間を通過すると、被検査物Wにより光が遮光されるため、投光部4aからの光を受光部4bが受光できず、被検査物Wの搬入開始が検出される。また、被検査物Wの搬送方向における後部が投光部4aおよび受光部4bの間を通過すると、投光部4aからの光を受光部4bが受光して、被検査物Wの搬入完了が検出される。搬入センサ4は、搬入開始の信号および搬入完了の信号を検出すると、搬入開始の信号を重量選別部7に出力し、搬入開始の信号および搬入完了の信号を被検査物長算出記憶部8に出力する。重量選別部7に出力された搬入開始の信号は、荷重センサ21の測定開始のタイミングに使用される。また、被検査物長算出記憶部8に出力された搬入開始の信号および搬入完了の信号は、被検査物Wの搬送方向における長さである被検査物長Lを算出する際に使用される。
【0044】
選別部5は、選別機構部5aおよび搬出コンベア5bにより構成されており、この選別機構部5aは、押出機構により構成されている。選別機構部5aは、搬送される被検査物Wが搬出コンベア5bで矢印B方向に搬送されている間に、不良品として判定された搬出コンベア5b上の被検査物Wを搬出コンベア5b外へ押し出すことにより排除する。なお、この選別機構部5aは、良品と不良品とを選別できるものであればよく、押出機構に限らず、アームにより搬出コンベア5b上の被検査物Wの流れる方向を変えて選別するフリッパ機構や、搬出コンベア5b上の被検査物Wを下方へ落下させることにより選別するドロップアウト機構の選別機構を採用してもよい。また、機械的に選別する方式に限定されず、被検査物Wが軽いものであれば、圧縮エアにより被検査物Wを吹き飛ばすエアジェット方式を採用してもよい。また、搬出コンベア5bは、ローラ5cおよびローラ5cに対向して配置されるローラ(不図示)と、これらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルト5dとにより構成されており、測定を終了した被検査物Wを所定の速度で下流側に搬出する。
【0045】
搬送制御部6は、駆動モータ12と、制御手段13とにより構成されており、この駆動モータ12は、制御手段13によりその回転速度(rpm)が制御される。また、この制御手段13は、算出処理部9から出力された速度情報や操作部11から入力された設定情報などの各情報に基づいて駆動モータ12の回転速度を制御する。
【0046】
重量選別部7は、荷重センサ21と、質量検出手段22と、記憶手段23と、品質判定手段24とにより構成されており、搬送部3により搬送される被検査物Wの質量を測定し、測定した質量が所定値の範囲内にあるか否かを判定する。
【0047】
この荷重センサ21は、電磁平衡機構などのはかり機構で構成されており、被検査物Wが秤量コンベア32で搬送されている間に、その被検査物Wの質量を測定するようになっている。なお、荷重センサ21は、質量を測定できるはかり機構であればよく、例えば、差動トランス機構や歪ゲージ機構などのはかり機構で構成してもよい。
【0048】
この電磁平衡機構は、天秤を有しており、この天秤の一方側に被検査物Wを載せ、天秤の他方側に分銅を載せる代わりに、電磁力を加えて、この天秤を釣り合わせるよう構成されている。この電磁平衡機構は、天秤を釣り合わせる際に必要な電磁力が被検査物Wの質量に応じて変化することを利用したもので、天秤が釣り合ったときの電流を検知し、この電流に応じた信号を出力する。この電磁力は、搬入センサ4によって被検査物Wが秤量コンベア32に搬入されたことが検知されてから所定の基準時間Tkが経過したときに加えられるようになっている。この基準時間Tkは、搬入センサ4で被検査物Wが秤量コンベア32に搬入を開始したことを検出してから、被検査物Wが秤量コンベア32に完全に乗り移り、さらに荷重センサ21から出力された信号が安定するまでに必要な時間を意味し、被検査物長Lや助走コンベア31および秤量コンベア32の搬送速度Vに基づいて決定される。
【0049】
この荷重センサ21においては、被検査物Wの品種に応じて、その測定範囲、測定能力および測定精度などの検査条件が選択され、食品などの品種の場合には、例えば、測定範囲が6g〜600g、測定能力が最大150個/min、測定精度が約±0.1gで選択され、検出された質量信号は品質判定手段24に出力される。測定能力が最大150個/minの場合には、被検査物Wの1個当たりの基準時間Tkは、最小400msecに設定されていることになる。この基準時間Tkは、400msecに近いほど短時間で測定されるので検査効率は高まり、遠くなるほど時間はかかるが、検査精度は高まることになる。
【0050】
他方、薬品や健康食品以外の品種で小物の場合には、例えば、測定範囲が1g〜300g、測定能力が最大600個/min、測定精度が約±0.03gで選択され、検出された質量信号は品質判定手段24に出力される。測定能力が最大600個/minであると、被検査物Wの1個当たりの基準時間Tkは、最小100msecに設定されていることになる。この基準時間Tkは、100msecに近いほど短時間で測定されるので検査効率は高まり、遠くなるほど時間はかかるが、検査精度は高まる。
【0051】
質量検出手段22は、所定の検出回路で構成されており、この検出回路においては、荷重センサ21から出力された被検査物Wの質量信号が入力されると、この質量信号に基づいて、被検査物Wの質量が検出され、この質量はさらに検出された質量の信号として品質判定手段24に出力される。質量検出手段22においては、搬入センサ4によって被検査物Wが秤量コンベア32に搬入されたことが検知されてから所定の基準時間Tkが経過した後、荷重センサ21により質量が測定された被検査物Wに対して、被検査物W毎に質量検出を実行される。
【0052】
記憶手段23は、記憶媒体などから構成されており、被検査物Wの品種に対応して予め設定した各種のデータを記憶するようになっている。この記憶手段23には、助走コンベア31または秤量コンベア32の各ベルト速度[m/min]および搬送方向における長さ[mm]、被検査物Wの質量に対する許容範囲の上限値Ga[g]と下限値Gb[g]、秤量コンベア32の搬出端から選別部5までの距離[mm]、基準時間Tk[s]、統計量の上限値Sa[mm]と下限値Sb[mm]などが記憶されるようになっている。
【0053】
品質判定手段24は、品質判定回路などから構成されており、被検査物Wの良否を判定する。この品質判定手段24においては、質量検出手段22から出力された被検査物Wの質量信号を受領すると、記憶手段23に記憶されている質量の上限値Gaおよび下限値Gbが読み出され、検出した被検査物Wの質量と上限値Gaおよび下限値Gbとがそれぞれ比較され、上限値Gaおよび下限値Gbで決定される質量の許容範囲内に被検査物Wの質量が入っているか否かが判定される。
【0054】
この品質判定手段24において判定された判定結果は、選別部5に出力され、被検査物Wが良品または不良品として選別される。また、この判定結果は、表示部10に出力され、良品または不良品として表示され、さらに記憶手段23に出力され各被検査物Wについての判定結果が個々に記憶される。また、搬送制御部6にも出力され、通常時の搬送部3の駆動や、不良品が続出した場合のような異常時の搬送停止などの制御情報として使用される。
【0055】
被検査物長算出記憶部8は、集積回路(Integrated Circuit)、CPU(Central Processing Unit)などの電子回路およびRAM(Random Access Memory)などの記憶媒体で構成され、被検査物長算出手段8aを備えている。
【0056】
被検査物長算出手段8aは、搬入センサ4から搬入開始の信号を受領してから搬入完了の信号を受領するまでの検出時間Ta[msec]に基づいて、被検査物長L[mm]を算出する。検出時間Taは、図外のタイマーにより計時されている。助走コンベア31および秤量コンベア32の搬送速度をV[m/min]、検出時間をTaとすると、被検査物長Lは、次式(1)に基づいて算出される。
L=V×Ta (1)
例えば、搬送速度V=60[m/min]、検出時間Ta=40[msec]とすると、
被検査物長L=60[m/min]×40[msec]
=1000[mm/sec]×0.04[sec]
=40mm
となり、算出された被検査物長Lは40mmとなる。
【0057】
この被検査物長Lは、被検査物Wの搬送方向に対する向きにより変化する。例えば、直方体の被検査物Wの場合、被検査物Wの長辺が搬送方向に対して平行となるような向きで搬送されていた場合には、被検査物長Lは被検査物Wの長辺の長さとなり、被検査物Wの短辺が搬送方向に対して平行となるような向きで搬送されていた場合には被検査物長Lは被検査物Wの短辺の長さとなり、被検査物Wの最長の長さを示す対角線が搬送方向に対して平行となるような向きに、被検査物Wが傾いた状態で搬送されていた場合には被検査物長Lは被検査物Wの対角線の長さとなる。また、被検査物Wの搬送方向における長さが高さ方向で変わる袋物の場合には、搬入センサ4が被検査物Wの下部の高さに位置しているため、被検査物Wの下部における搬送方向の長さが被検査物長Lとなる。
【0058】
算出処理部9は、集積回路、CPUなどの電子回路からなり、統計手段9a、推奨被検査物長算出手段9c、最適搬送速度算出手段9dおよびばらつき異常判定手段9eを備えている。この算出処理部9においては、搬送制御部6、被検査物長算出記憶部8および記憶手段23などから受領する情報、例えば、被検査物長L、被検査物長毎の累積検査個数などに基づいて、被検査物長Lのばらつきを表す統計量としての被検査物長Lの標準偏差、搬送速度V、推奨被検査物長Lkなどを算出処理するようになっている。なお、本発明の第1の実施の形態における「ばらつきを表す統計量」とは、標準偏差だけでなく、全数値を加算して、その合計を個数で割って算出する単純相加平均や各々の特性を考慮して算出する加重相加平均などの相加平均、倍率の平均を算出する相乗平均、データの数をデータの逆数の和で割った平均を算出する調和平均などの平均値または目標値から算出する偏差、全体のばらつきを表す変動や自由度、この変動の全数をその自由度で割って算出する分散、範囲(最大値−最小値)などが含まれる。
【0059】
統計手段9aは、集積回路などの電子回路などからなり、標準偏差算出手段9bを備えており、被検査物長Lに関する統計量を算出するようになっている。このように算出した統計量は、記憶手段23に記憶するようになっている。
【0060】
なお、本実施の形態においては、統計手段9aが標準偏差算出手段9bを備えているものとして説明したが、本発明に係る重量選別機1においては、算出処理部9が、統計手段9a、標準偏差算出手段9b、推奨被検査物長算出手段9c、最適搬送速度算出手段9dおよびばらつき異常判定手段9eを備えるようにしてもよい。
【0061】
この統計手段9aにおいては、被検査物長L(1)からL(n)までの累積検査個数が所定の検査個数、例えば、最初のL(1)から起算して50個〜1,000個内の所定の検査個数に到達したか否かがカウントされ、所定の検査個数に到達したとき、所定の被検査物長区間毎に被検査物Wの累積検査個数が集計されるようになっている。ここでいう被検査物長区間は、最大の被検査物長Lと最小の被検査物長Lとの差であるばらつきを等間隔に分割した区間である。例えば、被検査物長Lに関する統計が30mmから50mmの間でばらついていた場合に、これを20分割すると、被検査物長区間は、1mmとなる。この統計手段9aにおいては、分割された個々の被検査物長区間毎に被検査物Wの検査個数が集計されることにより、被検査物長Lに関する統計が算出される。このように、統計手段9aにより算出された統計は、表示部10によりヒストグラムとして表示される。したがって、分割された個々の区間が小さい区間である程、ヒストグラムの表示がきめ細かく滑らかに表示され、この区間が大きい区間である程、荒く表示されるようになる。また、分割された個々の区間が小さい区間である程、集計の算出処理や記憶により多くの時間を要し、分割された個々の区間が大きい区間である程、集計の算出処理や記憶がより短時間で実行することができる。そのため、分割の区間は、被検査物Wの大きさや生産計画に基づいて効率よく算出処理および表示が実行されるよう適宜設定される。
【0062】
以下、被検査物Wの被検査物長Lを被検査物長区間毎に集計する場合について具体例を挙げて説明する。図3は、被検査物の搬送状態の一例を示す上面模式図である。
【0063】
図3に示すように、ベルトコンベア14上に搬送されている被検査物Wは、真上から見ると、長辺の長さ「40mm」、短辺の長さ「30mm」、対角線の長さ「50mm」の長方形状をしている。このため、被検査物Wの最大の長さは50mm、最小の長さは30mmとなるため、統計を採った場合には、30mmから50mmの間で被検査物長Lがばらつくことが想定される。この最大の長さと最小の長さの差である20mmの間でばらつきが生じるため、これを20分割すると被検査物長区間は1mmとなる。このような被検査物長Lのばらつきは、被検査物Wの向きがバラバラのまま搬送されることにより生じる。例えば、被検査物Wの短辺が搬送方向に対して平行となるような向きで被検査物Wが搬送されている場合には、被検査物長Lは30mmとなり、被検査物Wの長辺が搬送方向に対して平行となるような向きで被検査物Wが搬送されている場合には、被検査物長Lは40mmとなり、被検査物Wの対角線が搬送方向に対して平行となるような向きで被検査物Wが搬送されている場合には、被検査物長Lは50mmとなる。
【0064】
この統計手段9aにおいては、前述の20分割した被検査物長区間に基づいて、被検査物Wの累積検査個数を算出処理すると、次のようになる。1mm毎の被検査物長区間を、被検査物長区間H1から被検査物長区間H20とすると、
H1は被検査物長30mm〜31mmで、被検査物Wの累積検査個数が3個、
H2は被検査物長31mm〜32mmで、被検査物Wの累積検査個数が6個、
H20は被検査物長49mm〜50mmで、被検査物Wの累積検査個数が4個、
などのように被検査物Wの被検査物長区間毎(H1〜H20毎)の累積検査個数が算出処理され、記憶手段23に記憶されるようになっている。このような算出処理は、前述のように被検査物長L(1)からL(n)までの累積検査個数が所定の検査個数、例えば、最初の被検査物長L(1)から起算して所定の検査個数に到達したとき実行されるようになっている。
【0065】
なお、被検査物Wの搬送方向における長さが異常である場合に、異常な長さの被検査物長Lを統計量に含めないようにする構成としてもよい。この場合、例えば、被検査物長算出記憶部8に被検査物長判定手段をさらに備えるようにする。この場合、記憶手段23に被検査物長Lの上限値Laと下限値Lbを記憶しておく。
【0066】
この被検査物長判定手段は、被検査物長算出手段8aにより被検査物長Lが算出されると、記憶手段23に記憶されている被検査物長Lの上限値Laと下限値Lbを読み出し、被検査物長Lと比較することにより判定する。被検査物長判定手段は、被検査物長算出手段8aにより算出された被検査物長Lが所定の範囲内であると判定した場合(下限値Lb≦被検査物長≦上限値La)には、被検査物Wは所定の範囲内の長さであるとして記憶媒体に出力し、被検査物長算出手段8aにより算出された被検査物長Lが所定の範囲内にないと判定した場合(被検査物長<下限値Lb、上限値La<被検査物長)には、被検査物Wは異常な長さを有するとして、記憶媒体に出力しない。
【0067】
搬入センサ4に被検査物Wの搬入が検出される度に、被検査物長Lが所定の範囲内の長さであるか否かが判定され、所定の範囲内の被検査物長Lは記憶媒体に出力される。そして、所定の範囲外の被検査物Wを除くn個の被検査物Wの品質検査が終了するまで、処理が繰り返し実行され、被検査物長L(1)〜L(n)が記憶媒体に出力されるようになっている。このように、異常な長さを有する被検査物Wを排除することにより、被検査物Wが異常な長さを有することによる検査不良を統計の対象外にすることができる。例えば、所定の範囲の上限値Laを被検査物Wの最大の長さ、下限値Lbを被検査物Wの最小の長さとして設定しておけば、搬送されている被検査物Wの変形や破損により被検査物Wの長さが変わった場合や、複数の被検査物Wが重なったまま搬送された場合には、被検査物長判定手段が、異常な長さの被検査物Wの被検査物長Lが所定の範囲内にないと判定し、これらの被検査物Wを統計の対象外にすることができる。
【0068】
被検査物長Lの長さが所定の範囲内であるか否かにより判定する被検査物長判定手段を備える構成に代えて、搬入センサ4により検出された検出時間Taが所定時間内であるか否かを判定する検出時間判定手段を備える構成としてもよい。この場合、記憶手段23に所定時間の上限時間と下限時間とを記憶しておき、検出時間判定手段が記憶手段23に記憶されている上限時間と下限時間を読み出し、搬入センサ4から搬入開始の信号を受領してから搬入完了の信号を受領するまでの検出時間Taと比較することにより判定する。検出時間判定手段は、検出時間Taが所定時間内であると判定した場合(下限時間≦検出時間≦上限時間)には、被検査物長算出手段8aに検出時間Taを出力し、被検査物長算出手段8aは、受領した検出時間Taに基づいて被検査物長Lを算出する。検出時間判定手段は、検出時間Taが所定時間内にないと判定した場合(下限時間≦検出時間≦上限時間)には、被検査物長算出手段8aに検出時間を出力しない。このように、検出時間が所定時間内の被検査物Wだけ、被検査物長算出手段8aに被検査物長Lが算出されるため処理の負担を軽減することができる。
【0069】
標準偏差算出手段9bは、統計手段9aにおいて集計され記憶された、被検査物Wの被検査物長区間毎(H1〜H20毎)の累積検査個数に基づいて、標準偏差σを求めるよう構成されており、算出された標準偏差σは、記憶手段23に記憶されるようになっている。標準偏差σは、次式(2)に基づいて算出される。
【数1】


式(2)中、nは自然数(検査個数)、xは個々の被検査物長[mm]、mは被検査物長の平均値[mm]を表す。
【0070】
推奨被検査物長算出手段9cは、統計手段9aより算出された被検査物長Lに関する統計から推奨被検査物長Glを算出するものであり、統計の平均値をlm、標準偏差算出手段9bにより算出された標準偏差をσとすると、推奨被検査物長は、次式(3)に基づいて算出される。
Gl=lm+nσ (3) (nは2または3の自然数)
推奨被検査物長算出手段9cにより算出された推奨被検査物長Glは、記憶手段23に記憶される。ここで、推奨検査物長Glについて詳しく説明する前に、被検査物長L、搬送速度W、基準時間Tkの関係について説明する。
【0071】
本発明の第1の実施の形態においては、搬送部3の搬送速度Vは、被検査物の搬送方向における長さをL1、搬入センサ4が搬入を検出する検出位置と測定位置との基準距離をL2、基準時間Tkとすると、次式(4)に基づいて算出される。
V=(L1+L2)/Tk (4)
また、秤量コンベア32の所定の搬送位置で重量測定を行なうため、搬入センサ4で被検査物Wの先部が検出されてから重量測定が開始されるまでの基準時間Tkは一定となる。基準距離L2および基準時間Tkが一定の値をとるため、被検査物の搬送方向における長さであるL1に入力される長さに応じて速度が変化することがわかる。例えば、L1に被検査物Wの搬送方向における最大の長さを設定した場合には、搬送速度Vが最大になり、L1に最小の長さを設定した場合には、搬送速度Vが最小となる。また、搬送速度Vが速くなればなるほど、搬送部3において振動が発生して検査精度が低下する。次に、図4を参照して被検査物長L、搬送速度W、基準時間Tkの関係について具体的に説明する。
【0072】
図4(a)は、被検査物Wを袋物とした場合の被検査物Wの模式図である。図4(b)は、被検査物Wの最大の長さを設定長として重量選別機1に設定した場合における被検査物Wの搬送状態を示す説明図である。図4(c)は、実際の被検査物Wの搬送状態を示す説明図である。なお、本発明の実施の形態における設定長Lkとは、搬送部3の搬送速度Vを算出するために重量選別機1に稼動前に設定されるものである。
【0073】
図4(a)に示すように、被検査物Wは、高さ方向において搬送方向における長さが異なっている。このため、図4(a)に示すような袋物の場合には、搬入センサ4は被検査物Wの下部の高さに位置して配置されているため、被検査物Wの最大の長さと実際に搬入センサ4の検出時間Taに基づいて算出される被検査物長Lが異なることがわかる。このため、図4(b)のように、被検査物Wの最大の長さを基準として被検査物長Lが算出されることはなく、実際には、図4(c)のように、被検査物Wの下部の搬送方向における長さが被検査物長Lとして算出される。搬送速度Vは、式(4)で示すように、被検査物Wの長さであるL1の長さが長くなればなるほど、速くなるため(基準時間Tkが一定であるため)、図4(b)で示すような被検査物Wの最大の長さを設定長Lkとした場合には、搬送速度Vが実際の搬送状態である図4(c)の状態と比べて不必要に速い速度に設定されていることがわかる。つづいて、図5を参照して、推奨検査物長Glについて説明する。
【0074】
図5は、被検査物Wの最大の長さを設定長Lkとして重量選別機1に設定した場合における被検査物長Lに関する統計量と重量選別機1の設定長Lkとの関係を示す説明図である。
【0075】
被検査物Wの最大の長さを設定長Lkとして設定した場合、図5に示すように、被検査物長Lに関する統計は、設定長Lkよりも短い値に集中していることがわかる。これは、搬送されている被検査物Wに対し搬送速度Vに余裕があることを示しており、設定長Lkを下げることにより、搬送速度Vを遅くして検査精度を上げたとしても検査効率が低下することがないことを示している。このため、推奨被検査物長算出手段9cにより推奨被検査物長Glを算出して、算出された推奨被検査物長Glを設定長Lkとして重量選別機1に設定することにより、検査効率を低下させることなく、検査精度を上げることができる。この場合、検査精度に重点を置く場合には、Gl=lm+3σとして推奨被検査物長Glを算出し、設定長Lkとして設定することにより、検査効率を高めた状態で不良率を0.15%以内に抑えることができる。また、検査効率に重点を置く場合には、Gl=lm+2σとして推奨被検査物長Glを算出し、設定長として設定することにより、検査効率をさらに高めた状態で不良率を2.3%以内に抑えることができる。このように、検査効率および検査精度の双方のバランスを考慮し、検査効率および検査精度が最も良い値になるように最適な被検査物長Lが算出処理される。なお、lm+2σ≦Gl≦lm+3σを満たせば、どのように構成で被検査物長Lを算出してもよく、例えば、過去の統計の経験値から得られる所定の係数αを、平均値lmに乗ずることにより被検査物長Lを算出する構成としてもよい(Gl=lm×α)。
【0076】
最適搬送速度算出手段9dは、推奨被検査物長算出手段9cにより算出された推奨被検査物長Glに基づいて最適搬送速度Gvを算出する。具体的には、式(4)に推奨被検査物長Glを入力することにより算出される。従って、最適搬送速度Gvは、Gv=(Gl+L2)/Tkで算出される。また、最適搬送速度Gvは、推奨被検査物長をGl、設定長をLk、搬入センサ4が搬入を検出する検出位置と測定位置との基準距離をL2、設定長に対応する設定速度をVkとすると、基準時間Tkが一定であるため、次式(5)のように表すこともできる。
Gv=Vk×(Gl+L2)/(Lk+L2) (5)
【0077】
ばらつき異常判定手段9eは、統計手段9aにより被検査物長Lに関する統計量が算出されると、記憶手段23に記憶されている統計量の上限値Saと下限値Sbを読み出し、被検査物長Lのばらつきを表す統計量の各値が所定の範囲に収まっているかを判定する。ばらつき異常判定手段9eは、被検査物長Lのばらつきを表す統計量の各値が所定の範囲外であると判定した場合(ばらつきを表す統計量の各値<ばらつきを表す統計量の所定の範囲としての下限値Sb、ばらつきを表す統計量の所定の範囲としての統計量の上限値Sa<ばらつきを表す統計量の各値)には、表示部10に「被検査物の搬送が不良です。確認してください。」などのメッセージを表示させ、オペレータに確認を促すことができる。ばらつき異常判定手段9eは、表示部10にメッセージを表示させる構成に代えて、音声により報知する構成としてもよい。また、ばらつきを表す統計量の標準偏差とばらつきを表す統計量の所定の範囲としての上限値Saおよび下限値Sbを比較する構成としてもよい。この場合、例えば、上限値Sa=5mm、下限値Sb=−5mmとして記憶手段23に記憶させておき、ばらつき異常判定手段9eは、統計量の±3σに相当する値が±5mmに収まっているか否かによりばらつき異常を判定する。
【0078】
表示部10は、図1に示すように、装置本体部2の搬送部3側の上端部に設けられ、例えば、図6、図7に示すように液晶ディスプレイなどの表示デバイスで構成される。表示部10は、被検査物長算出記憶部8に記憶されている被検査物長区間毎の累積検査個数に基づいて、横軸にデータ区間を表す被検査物長L、縦軸に頻度を表す被検査物Wの検査個数としたヒストグラム41aを表示する。
【0079】
また、表示部10は、被検査物Wの品種に対応して予め設定した検査条件、被検査物Wに対する質量の許容範囲の上限値Gaと下限値Gb、助走コンベア31および秤量コンベア32の搬送速度V[m/min]、推奨被検査物長Gl[mm]、最適搬送速度Gv[m/min]、品質判定手段24により判定された判定結果などを必要に応じて表示するようになっている。
【0080】
具体的には、図6および図7に表示部10の表示画面に表示した一例を示す。
図6は、横軸にデータ区間を示す被検査物Wの被検査物長L[mm]、縦軸に頻度を示す。
被検査物Wの累積検査個数[個]を表したもので、被検査物長が50[mm]〜100[mm]の範囲を約40分割し、被検査物長区間を1.25[mm]として、被検査物長区間毎の被検査物Wの累積検査個数をヒストグラム41aとして表したものである。ヒストグラム41aの表示と同時に、設定長Lkの長さを示す設定長マーク42、推奨被検査物長Glを示す推奨被検査物長マーク44、が表示されている。
【0081】
これらの表示とともに、左上部には、「測定の基準時間○○msec」、「搬送速度○○m/min」、「推奨被検査物長○○mm」、「最適搬送速度○○m/min」のように項目および項目に対応する数値が表示されている。
このようにヒストグラム41aの表示と同時に設定長マーク42、推奨被検査物長マーク44が表示されるので、重量選別機1のオペレータは、これらの表示を参照して推奨被検査物長マーク44の近傍に設定長マーク42が近づくように設定長Lkを再設定することができる。
【0082】
操作部11は、図1に示すように、表示部10の下側に設けられており、重量選別機1のオペレータは、表示部10に表示されたヒストグラムを参照しながら、操作部11から設定長Lkを直接入力することができ、推奨被検査物長マーク47の近傍に設定長マーク42を近づけるように設定変更することができる。
【0083】
なお、操作部11は、図7に示すように、表示部10の表示画面左側の入力操作部11aと表示画面下側の入力切替部11bとから成るタッチパネルとして形成してもよい。入力操作部11aは、重量選別機1の設定長を入力するものであり、右側にヒストグラム41a、左側に入力操作部11aが表示されるので、重量選別機1のオペレータは、右側のヒストグラム41aの表示を参照しながら、左側の入力操作部11aから設定長Lkを直接入力することができ、推奨被検査物長マーク47の近傍に設定長マーク42を近づけるように容易に設定変更することができる。また、入力切替部11bは、入力操作部11aの表示・非表示を切り替えるものであり、入力操作部11aを表示した場合には、表示画面を参照しながら設定変更ができ、入力操作部11aを非表示とした場合には、表示画面に広くヒストグラム41aを表示させることができる。また、操作部11は、マウスなどのポインティングデバイスを有する構成としてもよい。ポインティングデバイスにより、設定長マーク42をドラッグして推奨被検査物長マーク44に近づけることにより、さらに容易に設定変更することができる。
【0084】
本発明の第1の実施の形態に係る重量選別機1においては、各構成部分を制御するCPU(不図示)及びこれらに構成部分を接続するバス(不図示)を設けてもよい。例えば、重量選別機1における搬送部3、搬入センサ4、選別部5、搬送制御部6、重量選別部7、被検査物長算出記憶部8、算出処理部9、表示部10、操作部11などの各構成部分はCPUによって動作するようにしてもよい。CPUは、装置本体部2内に格納した各構成部分に対応する制御プログラムを実行し、各構成部分を動作させるようになっている。
【0085】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る重量選別機1における統計算出処理について、図8のフローチャートを参照して説明する。
【0086】
重量選別機1に設定長Lkおよび搬送速度Vが入力されると(ステップS10でYESの場合)、基準時間Tkが算出される(ステップS11)。基準時間Tkが算出されると、重量選別機1の上流に設置された搬送コンベア14から被検査物Wが順次搬送され、助走コンベア31を介して、秤量コンベア32に被検査物Wの搬入が開始される(ステップS12)。被検査物Wの搬入が開始されると、搬入センサ4により搬送方向における被検査物Wの先部が検出され、さらに搬送されて後部が検出される(ステップS13)。被検査物Wの後部が検出されると、被検査物長算出記憶部8の被検査物長算出手段8aにより、搬入センサ4の検出時間から被検査物Wの被検査物長Lが算出される(ステップS14)。被検査物長算出手段8aにより被検査物長Lが算出されると、被検査物長Lは被検査物長算出記憶部8の記憶媒体に記憶される(ステップS15)。被検査物長Lが被検査物長算出記憶部8の記憶媒体に記憶されると、記憶媒体に記憶された被検査物長Lの検査個数が所定検査個数を超えるか否かが判断される(ステップS16)。被検査物長Lの検査個数が所定検査個数を超えていない場合(ステップS16でNOの場合)、次の被検査物Wの搬入が開始される。被検査物長Lの検査個数が所定検査個数を超えている場合(ステップS16でYESの場合)、統計手段9aにより統計量が算出される(ステップS17)。統計手段9aにより統計量が算出されると、ばらつき異常判定手段9eにより統計量の各値が所定の範囲内であるか否かが判定される(ステップS18)。ばらつき異常判定手段9eにより統計量の各値が所定の範囲内であると判定された場合(ステップS18でYES)、統計量が記憶手段32に記憶される(ステップS19)。一方、ばらつき異常判定手段9eにより統計量の各値が所定の範囲内にないと判定された場合(ステップS18でNO)、表示部10に「統計量に異常があります。確認して下さい。」などのメッセージを表示させ(ステップS20)、オペレータに確認を促し、統計量が記憶手段32に記憶される(ステップS19)。
【0087】
次に、本発明の第1の実施の形態に係る重量選別機1におけるヒストグラムの表示処理について、図9のフローチャートを参照して説明する。
【0088】
統計手段9aにより統計量が算出されていると(ステップS25でYESの場合)、表示部10により設定長マーク42とともに、被検査物長Lに関するヒストグラム41aが表示画面に表示される(ステップS26)。設定長マーク42とともに、ヒストグラム41aが表示されると、表示画面に推奨被検査物長マーク44を表示するか否かが判断される(ステップS27)。推奨被検査物長マーク44を表示しない場合(ステップS27でNOの場合)、ステップS29に進む。推奨被検査物長マーク44を表示する場合(ステップS27でYESの場合)、推奨被検査物長算出手段9cにより推奨被検査物長Glが算出され、表示部10により推奨被検査物長マーク44が表示画面に表示される(ステップS29)。そして、推奨検査物長Glを設定長Lkとして設定することにより、重量選別機1を適切な搬送速度Vに変更することができる。
【0089】
以上説明したように、検査精度を重視する場合における第1の実施の形態に係る重量選別機1では、設定長マーク42とともに、統計手段9aにより算出された統計をヒストグラム41aとして表示画面に表示することにより、設定長Lkとヒストグラム41aとを比較することにより、適切な検査精度になるように対応をとることができる。例えば、重量選別機1の設定長Lkを被検査物Wの最大の長さに設定し、被検査物長Wの分布が、設定長Lkに対して短い長さに集中する場合には、搬送速度Vが必要以上に速く設定されていることを確認することができる。したがって、事前に設定した設定長Lkを被検査物Wの分布に基づいて再設定することにより、搬送速度Vを下げて検査精度を向上させることができる。一方、被検査物長Lの分布が、設定長付近に集中する場合には、適切な搬送速度Vに設定されていることを確認することができる。
【0090】
第1の実施の形態に係る物品検査装置においては、検査精度を重視する場合について説明したが、検査効率を重視する場合にも有用である。
以下、本発明に係る物品検査装置を、検査効率を重視する場合における第2の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0091】
(第2の実施の形態)
図10〜図14は、本発明の物品検査装置を、検査効率を重視する場合における装置の一種である金属検出機に適用した第2の実施の形態を示している。
図10は、本発明の第2の実施の形態に係る金属検出機の一例を示している。
なお、第2の実施の形態に係る金属検出機においては、第1の実施の形態に係る重量選別機1が被検査物Wの重量を選別するのに対し、被検査物Wに混入した磁性物を検出し良否を選別するので、被検査物Wを選別する手段が異なっており、この被検査物Wを選別する手段に関する構成が異なっているが、他の構成は同様に構成されている。したがって、同一の構成については、図1〜図9に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ説明する。
【0092】
金属検出機50は、図10に示すように、装置本体部2と、搬送部15と、搬入センサ4と、選別部5と、検出ヘッド部17と、着磁部18とにより構成される。
【0093】
金属検出機50は、被検査物Wに磁性物が混入している場合に、着磁部18により磁性物に着磁した後、検出ヘッド17により着磁量を検出し得られた検出値を記憶手段23に記録されている基準値と比較し、得られた検出値が基準値を超えているか否かを判定し、基準値未満のものを良品とし、基準値を超過したものを磁性物が混入した不良品として判定するようになっている。
【0094】
搬送部15は、2つのローラ15a、15bと、これらのローラに巻き付けられている無端状の搬送ベルト15cと、により構成されている。
【0095】
着磁部18は、永久磁石および永久磁石を支持する支持部材により構成される。この構成により、搬送部15上に永久磁石により磁界が形成され、搬送ベルト15cで搬送される被検査物Wが磁界を通過する際に、被検査物Wに混入している磁性物に着磁するようになっている。具体的には、図10に示すように、搬送ベルト15cの上側部に配置される永久磁石および永久磁石を支持する上側支持部材と、図示しない搬送ベルト15cの下側部に配置される永久磁石および永久磁石を支持する下側支持部材とにより構成される。また、上側支持部材に支持された永久磁石の搬送ベルト15c側の表面部の極性と、下側支持部材に支持された永久磁石の搬送ベルト15c側の表面部の極性とが異極性になるように配置されている。
【0096】
検出ヘッド部17は、検出コイルと直流増幅回路と積分回路とアナログデジタル変換回路とにより構成される。コイル部は、図10に示すように、搬送ベルト15cの上側部に配置され閉鎖回路を形成する上側サーチコイルおよび上側サーチコイルを支持する上側サーチコイル支持部材と、図示しない搬送ベルト15cの下側部に配置され閉鎖回路を形成する下側サーチコイルおよび下側サーチコイルを支持する下側サーチコイル支持部材とにより構成される。上側サーチコイルおよび下側サーチコイルは、着磁部18を構成する永久磁石が発生する磁界の影響を無視できる程度に着磁部18の永久磁石から離れた位置に配置されている。
【0097】
被検査物Wが、搬送ベルト15cに搬送されて上側サーチコイルと下側サーチコイルで形成される空間を通過すると、被検査物Wに磁性物が混入している場合には、着磁部18で着磁され残留磁気を帯びている磁性物から磁束が外部に放出されているので、上側サーチコイルおよび下側サーチコイルに磁束の変化が生じ、磁束の変化により電圧が誘起されるようになっている。この誘起された各電圧は、積分回路で時間積分されて定量的な値とされた後、直流増幅回路で増幅されアナログの電圧信号として低域通過フィルタを介して低周波数帯の信号成分が抽出されることにより雑音が除去されるようになっている。雑音が除去されたアナログ信号はアナログデジタル変換回路に出力され、デジタル信号に変換されて演算処理手段51に出力されるようになっている。
【0098】
装置本体部2は、搬送制御部6と、被検査物長算出記憶部8と、表示部10と、操作部11と、異物検出部16と、算出処理部59と、これらの各部を収納する収納筐体2aとにより構成される。
【0099】
異物検出部16は、演算処理手段51と、異物判定手段52と、記憶手段23とにより構成されており、被検査物Wに磁性物などの異物が混入しているか否かが検出され判定されるようになっている。
【0100】
記憶手段23は、記憶媒体などから構成されており、被検査物Wの品種に対応して予め設定した各種のデータを記憶するようになっている。この記憶手段23には、搬送部15の各ベルト速度[m/min]および搬送方向における長さ[mm]、被検査物W中の磁生物の着磁量の基準となる基準値、搬入センサ4により被検査物Wの先部が検出されてから被検査物Wの後部が検出ヘッド部17を完全に通過するまでの設定基準時間Tk1[s]、などが記憶されるようになっている。
【0101】
演算処理手段51は、信号を演算処理するための集積回路、CPUなどの電子回路および演算処理結果を記憶するRAMなどの記憶媒体で構成される。このような構成により、記憶手段23に記録され基準となる基準デジタル信号が読み出され、検出ヘッド部17から受領したデジタル信号の値と、基準デジタル信号の値との差分が算出され、算出された差分デジタル信号の値が異物判定手段52に出力されるようになっている。
【0102】
異物判定手段52は、異物の有無判定するための集積回路などから構成される。このような構成により、演算処理手段51から出力されたデジタル信号からなる差分デジタル信号を受け、記憶手段23に予め記録され判定の基準となる基準値を読み出し、被検査物Wから得られた差分デジタル信号の値と基準値とが比較され、被検査物Wの差分デジタル信号の値が基準値を超えているか否かが判定される。判定された結果は、選別部5に出力され、被検査物Wの差分デジタル信号の値が基準値を超えていない良品と超えている不良品とが選別される。
【0103】
算出処理部59は、集積回路、CPUなどの電子回路からなり、統計手段59a、推奨被検査物長算出手段59eと、推奨検査能力算出手段59fおよびばらつき異常判定手段59gとを備えており、搬送制御部6、被検査物長算出記憶部8および記憶手段23などから受領する情報、例えば、被検査物長L、被検査物長毎の累積検査個数などに基づいて、被検査物長Lのばらつきを表す統計量としての被検査物長Lの標準偏差、搬送速度V、推奨被検査物長Lkなどを算出処理するようになっている。なお、推奨被検査物長算出手段59eおよびばらつき異常判定手段59gは、第1の実施の形態に係る重量選別機1が備える推奨被検査物長算出手段9cおよびばらつき異常判定手段9eと同様の構成である。
【0104】
なお、本発明の第2の実施の形態においては、統計手段59aが標準偏差算出手段59bを備えているものとして説明したが、本発明に係る金属検出機50においては、算出処理部9が、統計手段59a、標準偏差算出手段59b、基準時間算出手段59c、推奨被検査物長算出手段59e、推奨検査能力算出手段59fおよび異常判定手段59gを備えるようにしてもよい。
【0105】
統計手段59aは、集積回路などの電子回路などからなり、標準偏差算出手段59b、基準時間算出手段59cおよび検査能力算出手段59dを備えており、被検査物長Lに関する統計量を算出するようになっている。このように算出した統計量は、記憶手段23に記憶するようになっている。なお、統計手段59aによる統計量の算出処理および標準偏差算出手段59bは、第1の実施の形態に係る重量選別機1が備える標準偏差算出手段9bと同様の構成である。
【0106】
基準時間算出手段59cは、搬入センサ4により被検査物Wの先部が検出されてから被検査物Wの後部が検出ヘッド部17を完全に通過するまでの算出基準時間Tk2を算出する。算出基準時間Tk2は、被検査物Wの搬送方向における長さをL1、搬入センサ4が搬入を検出する検出位置と検出終了位置との基準距離をL2、搬送速度をVとすると、算出基準時間Tk2は、次式(6)に基づいて算出される。
Tk=(L1+L2)/V (6)
この場合、搬送速度Vが一定とすると、基準距離L2が変わらないため、被検査物の搬送方向における長さであるL1に入力される長さに応じて算出基準時間Tk2が変化することがわかる。例えば、L1に被検査物Wの搬送方向における最大の長さを設定した場合には、算出基準時間Tk2が最小になり、L1に最小の長さを設定した場合には、算出基準時間Tk2が最大となる。以下、被検査物Wの算出基準時間Tk2を被検査物長区間毎に算出する場合について具体例を挙げて説明する。
【0107】
搬送速度=60[m/min]、被検査物長L=30[mm]〜50[mm]、基準距離L2=150[mm]とすると、
被検査物長Lが最小の長さの場合(L=30[mm])、
算出基準時間Tk2=(30[mm]+150[mm])/60[m/min]
=180[mm]/1000[mm/sec]
=0.18[sec]となり、
被検査物長Lが最大の長さの場合(L=50[mm])、
算出基準時間Tk2=(50[mm]+150[mm])/60[m/min]
=200[mm]/1000[mm/sec]
=0.20[sec]となり、被検査物長Lに応じて算出基準時間Tk2は、0.18[sec]〜0.20[sec]の範囲でばらつくことになる。この範囲を、被検査物長区間に対応させて20分割すると、1[msec]となり、被検査物長Lが1[mm]増加することに算出基準時間Tk2が1[msec]だけ長くなり、検査効率が低下することを示している。
【0108】
つづいて、図11を参照して、設定長Lkと被検査物長Lに関する統計量との関係について説明する。
【0109】
図11は、被検査物Wの最大の長さを設定長として重量選別機1に設定した場合における被検査物長Lに関する統計と重量選別機1の設定長Lkとの関係を示す説明図である。
【0110】
被検査物Wの最大の長さを設定長Lkとして設定した場合、図11に示すように、被検査物長Lに関する統計は、設定長Lkよりも短い値に集中していることがわかる。これは、搬送されている被検査物Wの設定基準時間Tk1に余裕があることを示しており、設定長Lkを下げることにより、設定基準時間Tk1を短くして検査効率を上げたとしても検査精度が低下することがないことを示している。このため、推奨被検査物長算出手段59eにより推奨被検査物長Glを算出して、算出された推奨被検査物長Glを設定長Lkとして重量選別機1に設定することにより、検査精度を低下させることなく、検査効率を上げることができる。この場合、検査精度に重点を置く場合には、Gl=lm+3σとして推奨被検査物長Glを算出し、設定長Lkとして設定することにより、検査効率を高めた状態で不良率を0.15%以内に抑えることができる。また、検査効率に重点を置く場合には、Gl=lm+2σとして推奨被検査物長Glを算出し、設定長Lkとして設定することにより、検査効率をさらに高めた状態で不良率を2.3%以内に抑えることができる。このように、検査効率および検査精度の双方のバランスを考慮し、検査効率および検査精度が最も良い値になるように最適な被検査物長Lが算出処理される。なお、lm+2σ≦Gl≦lm+3σを満たせば、どのように構成で被検査物長Lを算出してもよく、例えば、過去の統計の経験値から得られる所定の係数αを、平均値lmに乗ずることにより被検査物長Lを算出する構成としてもよい(Gl=lm×α)。
【0111】
検査能力算出手段59dは、基準時間算出手段59cにより算出された算出基準時間Tk2に基づいて金属検出機50の検査能力Nを算出する。検査能力Nは、1分間における検査個数で算出され、次式(7)に基づいて算出される。
N=1[min]/Tk (7)
基準時間算出手段59cにより算出された算出基準時間Tk2が最小の場合(算出基準時間Tk2=0.18[sec])には、
検査能力N=1[min]/0.18[sec]
=60[sec]/0.18[sec]
=333[個/min]
となり、1分間に被検査物Wを333個検査することができること示している。
基準時間算出手段59cにより算出された算出基準時間Tk2が最大の場合(算出基準時間Tk2=0.20[sec])には、
検査能力N=1[min]/0.20[sec]
=60[sec]/0.20[sec]
=300[個/min]
となり、1分間に被検査物Wを300回検査することができること示している。このように、検査能力Nは、算出基準時間Tk2(被検査物長L)に応じて、被検査物長Lが30[mm]〜50[mm]の間では、300回〜333回の範囲でばらつくことになる。この範囲を、被検査物長区間に対応させて20分割すると、1.65[個/min]となり、被検査物長Lが1mm増加することに検査能力Nが1.65[個/min]だけ低下することを示している。
【0112】
統計手段59aが算出した被検査物長Lに関する統計を、基準時間算出手段59cおよび検査能力算出手段59dにより検査能力Nに関する統計に換算すると、被検査物長区間に対応する検査能力区間を検査能力区間N1から検査能力区間N20とすると、
N1は検査能力300.00[個/min]〜301.65[個/min]で、被検査物Wの累積検査個数が3個、
N2は検査能力301.65[個/min]〜303.30[個/min]で、被検査物Wの累積検査個数が6個、
N20は検査能力331.35[個/min]〜333.00[個/min]で、被検査物Wの累積検査個数が4個、
などのように被検査物Wの検査能力間隔区間毎(N1〜N20毎)の累積検査個数を算出することができる。
【0113】
推奨検査能力算出手段59fは、推奨被検査物長算出手段59eにより算出された推奨被検査物長Glに基づいて推奨検査能力Gnを算出する。具体的には、式(6)および式(7)に基づいて推奨被検査物長Glを入力することにより算出される。従って、推奨検査能力Gn=1[個/min]×V/(Gl+L2)で算出される。
【0114】
表示部10は、図1に示すように、装置本体部2の搬送部3側の上端部に設けられ、例えば、第1の実施の形態と同様に、図7に示すように液晶ディスプレイなどの表示デバイスで構成される。表示部10は、被検査物長算出記憶部8に記憶されている被検査物長区間毎の累積検査個数に基づいて、横軸にデータ区間を表す被検査物長L、縦軸に頻度を表す被検査物Wの検査個数としたヒストグラム41aまたは横軸にデータ区間を表す検査能力N、縦軸に頻度を表す被検査物Wの検査個数としたヒストグラム41bを表示する。
【0115】
また、表示部10は、被検査物Wの品種に対応して予め設定した検査条件、被検査物Wに対する質量の許容範囲の上限値Gaと下限値Gb、搬送部15の搬送速度V[m/min]、推奨被検査物長Gl[mm]、推奨検査能力Gn[個/min]、異物判定手段52により判定された判定結果などを必要に応じて表示するようになっている。
【0116】
具体的には、図12および図13に表示部10の表示画面に表示した一例を示す。
図12は、横軸にデータ区間を示す被検査物Wの被検査物長L[mm]、縦軸に頻度を示す被検査物Wの累積検査個数[個]を表したもので、被検査物長が50[mm]〜100[mm]の範囲を約40分割し、被検査物長区間を1.25[mm]として、被検査物長区間毎の被検査物Wの累積検査個数をヒストグラム41aとして表したものである。ヒストグラム41aの表示と同時に、設定長Lkの長さを示す設定長マーク42、推奨被検査物長Glを示す推奨被検査物長マーク44が表示されている。
【0117】
これらの表示とともに、左上部には、「測定の基準時間○○msec」、「搬送速度○○m/min」、「推奨被検査物長○○mm」項目および項目に対応する数値が表示されている。
このようにヒストグラム41aの表示と同時に設定長マーク42、推奨被検査物長マーク44が表示されるので、金属検出機50のオペレータは、これらの表示を参照して推奨被検査物長マーク44の近傍に設定長マーク42が近づくように設定長Lkを再設定することができる。
【0118】
続いて図13を参照して、被検査物長Lを検査能力Nに換算して生成されたヒストグラム41bについて説明する。図12は、被検査物長(50[mm]〜100[mm])を検査能力Nに換算し、横軸にデータ区間を示す検査能力N[個/min]、縦軸に頻度を示す被検査物Wの累積検査個数[個]を表したもので、検査能力間隔が200[個/min]〜240[個/min]の範囲を約40分割し、検査能力区間を1.00[個/min]として検査能力区間毎の被検査物Wの累積検査個数をヒストグラム41bとして表したものである。また、ヒストグラム41bの表示と同時に、設定検査能力マーク43、推奨検査能力マーク45が表示されている。
【0119】
これらの表示とともに、左上部には、「測定の基準時間○○msec」、「搬送速度○○m/min」、「推奨被検査物長○○mm」のように項目および項目に対応する数値が表示されている。
このようにヒストグラム41bの表示と同時に設定検査能力マーク43、推奨検査能力マーク45等が表示されるので、重量選別機1のオペレータは、これらの表示を参照して推奨検査能力マーク45の近傍に設定検査能力マーク43が近づくように設定長Lkを再設定し、前段に対し能力向上を促すことができる。この場合、設定長Lkと検査能力Nとの対応関係を表示部10に表示させる構成としてもよいし、予め対応表を作成しておき、この対応表に基づいて設定長Lkを再設定する構成としてもよい。
【0120】
本発明の第2の実施の形態に係る金属検出機50においては、各構成部分を制御するCPU(不図示)及びこれらに構成部分を接続するバス(不図示)を設けてもよい。例えば、金属検出機50における搬送部3、選別部5、搬送制御部6、表示部10、操作部11、着磁部18、異物検出部16、検出ヘッド部17などの各構成部分はCPUによって動作するようにしてもよい。CPUは、装置本体部2内に格納した各構成部分に対応する制御プログラムを実行し、各構成部分を動作させるようになっている。
【0121】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る金属検出機50における統計算出処理およびヒストグラムの表示処理について説明する。
【0122】
第2の実施の形態に係る金属検出機50における統計算出処理については、第1の実施の形態の統計算出処理におけるステップS10からステップS20までの各ステップと同様の処理を行なう。
【0123】
次に、本実施の形態に係る重量選別機1におけるヒストグラムの表示処理について、図14のフローチャートを参照して説明する。
【0124】
統計手段59aにより統計が算出されていると(ステップS30でYESの場合)、表示部10により設定長マーク42とともに、被検査物長Lに関するヒストグラム41aが表示画面に表示される(ステップS31)。設定長マーク42とともに、ヒストグラム41aが表示されると、表示画面に推奨被検査物長マーク44を表示するか否かが判断される(ステップS32)。推奨被検査物長マーク44を表示しない場合(ステップS32でNOの場合)、ステップS34に進む。推奨被検査物長マーク44を表示する場合(ステップS32でYESの場合)、推奨被検査物長算出手段59eにより推奨被検査物長Glが算出され、表示部10により推奨被検査物長マーク44が表示画面に表示される(ステップS33)。
【0125】
ここで、表示画面が被検査物長Lに関するヒストグラム41aから検査能力Nに関するヒストグラム41bに切り替えられると(ステップS34でYESの場合)、基準時間算出手段59cおよび検査能力算出手段59dにより被検査物長Lが検査能力Nに換算され、表示部10により設定検査能力マーク43とともに、表示画面に検査能力Nに関するヒストグラム41bが表示される(ステップS35)。設定検査能力マーク43とともに、ヒストグラム41bが表示されると、表示画面に推奨検査能力マーク45を表示するか否かが判断される(ステップS36)。推奨検査能力マーク45を表示する場合(ステップS36でYESの場合)、基準時間算出手段59cおよび検査能力算出手段59dにより推奨被検査物長Glに基づいて推奨検査能力Nが算出され、表示部10により推奨検査能力マーク45が表示画面に表示される(ステップS37)。
【0126】
以上説明したように、検査効率を重視する場合における本発明の第2の実施の形態に係る金属検出機50では、適切な検査効率になるように対応をとることができる。例えば、金属検出機50の設定長Lkを被検査物Wの最大の長さに設定し、被検査物長Lの分布が、設定長Lkに対して短い長さに集中する場合には、設定基準時間Tk1を長くとりすぎていることを示し、検査効率が悪いことを確認することができる。従って、事前に設定した設定長Lkを被検査物Wの分布に基づいて再設定することにより、適切な設定基準時間Tk1を決定することができるため、検査精度を低下させることなく、検査効率を向上させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0127】
以上説明したように、本発明は、物品検査装置を用いて被検査物の検査を実施する際に、最適な基準時間を物品検査装置のオペレータが簡単に設定させることができるという効果を有し、広く物品の質量を計量する装置、例えば、重量選別機、物品に含まれる金属などの異物を検出する金属検出機およびX線異物検出機などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0128】
【図1】本発明の物品検査装置の第1の実施の形態に係る重量選別機の一実施の形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の物品検査装置の第1の実施の形態に係る重量選別機の一実施の形態を示すブロック図である。
【図3】本発明の物品検査装置の第1の実施の形態に係る重量選別機の一実施の形態における被検査物の搬送状態の一例を示す上面模式図である。
【図4】(a)は、本発明の物品検査装置の第1の実施の形態に係る重量選別機の被検査物を袋物とした場合の被検査物の模式図である。(b)は、本発明の物品検査装置の第1の実施の形態に係る重量選別機の被検査物の最大の長さを設定長として設定した場合における被検査物の搬送状態を示す説明図である。(c)は、本発明の物品検査装置の第1の実施の形態に係る重量選別機の実際の被検査物Wの搬送状態を示す説明図である。
【図5】本発明の物品検査装置の第1の実施の形態に係る重量選別機の被検査物Wの最大の長さを設定長とした場合における被検査物長に関する統計量と設定長との関係を示す説明図である。
【図6】本発明の物品検査装置の第1の実施の形態に係る重量選別機の表示部に表示した被検査物長のヒストグラムの一例を示す平面図である。
【図7】本発明の物品検査装置の第1の実施の形態に係る重量選別機の表示部に表示した被検査物長のヒストグラムの一例を示す平面図である。
【図8】本発明の物品検査装置の第1の実施の形態に係る重量選別機の統計算出処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明の物品検査装置の第1の実施の形態に係る重量選別機の表示処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明の物品検査装置の第2の実施の形態に係る金属検出機の一実施の形態を示すブロック図である。
【図11】本発明の物品検査装置の第2の実施の形態に係る金属検出機の被検査物Wの最大の長さを設定長として設定した場合における被検査物長に関する統計量と設定長との関係を示す説明図である。
【図12】本発明の物品検査装置の第2の実施の形態に係る重量選別機の表示部に表示した被検査物長のヒストグラムの一例を示す平面図である。
【図13】本発明の物品検査装置の第2の実施の形態に係る金属検出機の表示部に表示した検査能力のヒストグラムの一例を示す平面図である。
【図14】本発明の物品検査装置の第2の実施の形態に係る金属検出機の表示処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0129】
1 重量選別機
2 装置本体部
2a 収納筐体
3 搬送部
4 搬入センサ
4a 投光部
4b 受光部
5 選別部
5a 選別機構部
5b 搬出コンベア
5c ローラ
5d 搬送ベルト
6 搬送制御部
7 重量選別部
8 被検査物長算出記憶部
8a 被検査物長算出手段
8b 被検査物長判定手段
9 算出処理部
9a 統計手段
9b 標準偏差算出手段
9c 推奨被検査物長算出手段
9d 最適搬送速度算出手段
9e ばらつき異常判定手段
10 表示部
11 操作部
11a 入力操作部
11b 入力切替部
12 駆動モータ
13 制御手段
14 ベルトコンベア
15 搬送部
16 異物検出部
17 検出ヘッド部
18 着磁部
21 荷重センサ
22 質量検出手段
23 記憶手段
24 品質判定手段
31 助走コンベア
31a、31b ローラ
31c 搬送ベルト
32 秤量コンベア
32a、32b ローラ
32c 搬送ベルト
41a ヒストグラム
41b ヒストグラム
42 設定長マーク
43 設定検査能力マーク
44 推奨被検査物長マーク
45 推奨検査能力マーク
50 金属検出装置
51 演算処理手段
52 異物判定手段
59 算出処理部
59a 統計手段
59b 標準偏差算出手段
59c 基準時間算出手段
59d 検査能力算出手段
59e 推奨被検査物長算出手段
59f 推奨検査能力算出手段
59g ばらつき異常判定手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検査物を搬送する搬送手段と、
前記被検査物の搬送方向における先部および後部を検出する搬入検出手段と、
前記搬入検出手段によって検出された前記被検査物の品質データを取得し、前記品質データに基づいて前記被検査物の良否を判定する品質判定手段と、を備えた物品検査装置において、
前記搬入検出手段により前記被検査物の搬送方向における先部が検出されてから後部が検出されるまでの検出時間に基づいて、前記搬送方向における前記被検査物の長さを表す被検査物長を算出する被検査物長算出手段と、
前記被検査物長算出手段により算出された前記被検査物長に関する統計量を算出する統計手段と、
を備えたことを特徴とする物品検査装置。
【請求項2】
前記統計手段により算出される前記被検査物長のばらつきを表す統計量が所定の範囲内にあるか否かを判定し、前記所定の範囲から外れた場合にアラームを出力するばらつき異常判定手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の物品検査装置。
【請求項3】
前記被検査物長に関する統計量から算出されるばらつきを表す統計量および中心的傾向を表す統計量に基づいて推奨被検査物長を算出する推奨被検査物長算出手段、を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の物品検査装置。
【請求項4】
前記搬入検出手段が検出する検出位置と前記品質判定手段が前記品質データを取得開始する取得開始位置との間の基準距離と前記推奨検査物長算出手段により算出された推奨検査物長とに基づいて前記搬送手段の最適搬送速度を算出する最適搬送速度算出手段、を備えたことを特徴とする請求項3に記載の物品検査装置。
【請求項5】
前記統計手段により算出された前記被検査物長に関する前記統計量に基づいて、前記被検査物長に関するヒストグラムを表示するヒストグラム表示手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の物品検査装置。
【請求項6】
前記搬入検出手段により前記被検査物が搬入されたことが検出されてから前記品質判定手段により前記被検査物の品質データの取得を開始するまでの基準時間を設定する設定手段を備え、
前記ヒストグラム表示手段の表示が、前記被検査物の前記被検査物長をデータ区間とし、前記被検査物の検査個数を頻度としたヒストグラムであり、前記基準時間に前記搬送手段の搬送速度を乗じて求められる長さを表す設定長マークを含むことを特徴とする請求項5に記載の物品検査装置。
【請求項7】
前記搬入検出手段により前記被検査物が搬入されたことが検出されてから前記品質判定手段により前記被検査物の品質データの取得を終了するまでの基準時間を設定する設定手段を備え、
前記ヒストグラム表示手段の表示が、前記被検査物の前記被検査物長をデータ区間とし、前記被検査物の検査個数を頻度としたヒストグラムであり、前記基準時間に前記搬送手段の搬送速度に乗じて求められる長さを表す設定長マークを含むことを特徴とする請求項5に記載の物品検査装置。
【請求項8】
前記被検査物長に関する統計量から算出されるばらつきを表す統計量および中心的傾向を表す統計量に基づいて推奨被検査物長を算出する推奨被検査物長算出手段を備え、
前記ヒストグラム表示手段の表示が、前記推奨被検査物長算出手段により算出された前記推奨被検査物長を表す推奨被検査物長マークを含むことを特徴とする請求項6または7に記載の物品検査装置。
【請求項9】
前記被検査物長に関する統計量から算出されるばらつきを表す統計量および中心的傾向を表す統計量に基づいて推奨被検査物長を算出する推奨被検査物長算出手段と、
前記搬入検出手段が検出する前記検出位置と前記品質判定手段が前記品質データを取得開始する取得開始位置との間の基準距離と前記推奨被検査物長算出手段により算出された推奨被検査物長とに基づいて、前記搬送手段の最適搬送速度を算出する最適搬送速度算出手段と、を備え、
前記ヒストグラム表示手段の表示が、前記推奨被検査物長算出手段により算出された前記推奨被検査物長を表す推奨被検査物長マークおよび前記最適搬送速度算出手段により算出された前記最適搬送速度を表す最適搬送速度の表示を含むことを特徴とする請求項6に記載の物品検査装置。
【請求項10】
前記搬入検出手段により前記被検査物が搬入されたことが検出されてから前記品質判定手段により前記被検査物の品質データの取得を終了するまでの基準時間を設定する設定手段と、
前記被検査物長に関する統計量から単位時間当たりの前記被検査物の検査個数を表す検査能力を算出するとともに前記設定手段により設定された前記基準時間に基づいて基準検査能力を算出する検査能力算出手段と、を備え、
前記ヒストグラム表示手段の表示が、前記検査能力算出手段により算出された前記検査能力をデータ区間とし、前記被検査物の検査個数を頻度としたヒストグラムであり、前記検査能力算出手段により算出された基準検査能力を表す基準検査能力マークを含むことを特徴とする請求項5に記載の物品検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図6】
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【図7】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−297119(P2008−297119A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−148413(P2007−148413)
【出願日】平成19年6月4日(2007.6.4)
【出願人】(302046001)アンリツ産機システム株式会社 (238)
【Fターム(参考)】