説明

物品確認システム及び物品確認装置

【課題】第三者から送信された不正な通信データを識別することができる物品確認システムを提供する。
【解決手段】 カードリードライタ12は、カード18の特徴を示す特徴情報を取得すると共に貼付された記憶部に予め記憶されている当該カード18が本物であると認証された認証回数を読み取り、認証回数に所定値を加算した識別値情報及び特徴情報をサーバ14に送信する。サーバ14は、記憶装置62にカード18を本物であると認証した認証回数を記憶しており、ネットワーク16より識別値情報及び特徴情報を受信し、受信した識別値情報により示される識別値と記憶装置62に記憶されている認証回数に所定値を加算した値とを比較し、値が一致した場合に特徴情報に基づき真贋の認証を行い、本物であると認証された場合に記憶装置62に記憶されている認証回数の更新を行うと共に認証の結果をカード18へ送信する。カード18においても認証回数の更新を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の真贋を確認する物品確認システム及び物品確認装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば、クレジットカード等の認証を行うカード認証システムでは、カードリーダ等によりクレジットカードの表面に貼付された磁気ストライプに予め記憶されているカード番号等のカード情報を読み取り、読み取ったカード情報をネットワーク等の通信回線を介して接続されたセンタのサーバ・コンピュータに送信し、サーバ・コンピュータにおいて、受信したカード情報に基づいてカードの真贋を確認処理や決済処理等が行われており、このカードの真贋を確認する方法にとして様々な技術が提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1及び特許文献2には、物品の表面に光源から光を照射して所定の観測領域から当該物品自体が元来有している再現不能な微小な特徴情報(例えば、表面の微細な凹凸のパターン)をカメラ等で読み取って予め登録しておき、確認対象の物品の表面の微小な特徴をカメラで読み取り、予め登録しておいた特徴情報と比較することによって、確認対象の物品の真贋の確認する書類確認装置や物品確認装置が開示されている
【特許文献1】特開2004−153405号公報
【特許文献2】特開2005−010581号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この特許文献1及び特許文献2の技術を物品確認システムに適用して、例えば、サーバ・コンピュータにカード毎の表面の微細な凹凸のパターンを示す特徴情報を予め記憶しておき、カードリーダ等によりクレジットカードからカード情報を読み取る際に、光源からカードの表面に光を照射し、カメラにより所定の観測領域の撮像を行って表面の凹凸のパターンを示す画像情報を取得し、取得した画像情報をカード情報と共にネットワークを介してサーバ・コンピュータに送信し、サーバ・コンピュータにおいて受信した画像情報を予め記憶した特徴情報と比較して真贋の確認を行うことにより、本物のカードを高い精度で識別することができる。
【0005】
しかしながら、カード認証システムは、ネットワーク等の通信回線を介して通信データの送受信を行うため、第三者によりネットワークがモニタリングされてカードリーダからサーバ・コンピュータへ送信された画像情報やカード情報等を含んだ通信データが傍受されてしまう場合があり、第三者から傍受された通信データをそのままサーバ・コンピュータに送信された場合に、サーバ・コンピュータで当該第三者から送信された不正な通信データを識別できない、という問題点があった。
【0006】
これにより、サーバ・コンピュータでは、当該第三者から受信した通信データに含まれる画像情報を、予め記憶した画像情報を比較して本物であると認証してしまい、再度決済処理等を行ってしまう場合がある。
【0007】
なお、上述した問題点は、ネットワークを介して送受信される通信データを暗号化している場合であっても、通信データを暗号化する暗号化キーが変更されない限り、サーバ・コンピュータでカードリーダから送信された通信データ及び第三者により傍受されて第三者から送信された通信データを復号化すると同一内容のデータとなってしまうため、同様の問題が発生する。
【0008】
また、上述した問題点は、カード認証システムに限られるものでなく、物品確認装置において物品の特徴を示す特徴情報を取得し、当該特徴情報を通信回線を介してサーバ・コンピュータへ送信し、サーバ・コンピュータにおいて物品の真贋の確認が行われる物品確認システム全般で同様の問題が発生する。
【0009】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、第三者から送信された不正な通信データを識別することができる物品確認システム及び物品確認装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明の物品確認システムは、物品の特徴を示す特徴情報を取得する取得手段、前記物品に備えられた記憶部から当該物品が本物であると認証された認証回数を示す第1認証回数情報を読み取る読取手段、前記読取手段により読み取られた前記第1認証回数情報により示される認証回数に所定値を加算した識別値情報、及び前記取得手段により取得された前記特徴情報を通信回線へ送信する第1送信手段、前記通信回線より前記物品が本物であるか否かの認証を行った結果を示す認証結果情報を受信する第1受信手段、及び前記第1受信手段により受信された前記認証結果情報により示される認証の結果、本物であると認証された場合に前記記憶部に記憶されている前記第1認証回数情報により示される認証回数をカウントアップする更新を行う第1更新手段、を備えた物品確認装置と、前記物品を本物であると認証した認証回数を示す第2認証回数情報を記憶する記憶手段、前記第1送信手段より送信されて前記通信回線を介して伝送された前記識別値情報及び前記特徴情報を受信する第2受信手段、前記第2受信手段により受信した前記識別値情報により示される識別値と前記記憶手段に記憶されている前記第2認証回数情報により示される認証回数に前記所定値を加算した値とを比較する比較手段、前記比較手段による比較結果、値が一致した場合に前記第2受信手段により受信した前記特徴情報に基づき真贋の認証を行う認証手段、前記認証手段による認証の結果、本物であると認証された場合に前記記憶手段に記憶されている前記第2認証回数情報により示される認証回数をカウントアップする更新を行う第2更新手段、及び前記認証手段による認証の結果を前記認証結果情報として前記通信回線へ送信する第2送信手段、を備えたサーバ装置と、を有している。
【0011】
請求項1記載の発明の物品確認システムによれば、物品確認装置では、取得手段により、物品の真贋を確認するために物品の特徴を示す特徴情報が取得され、読取手段により、物品に備えられた記憶部から当該物品が本物であると認証された認証回数を示す第1認証回数情報が読み取られ、第1送信手段により、読取手段により読み取られた第1認証回数情報により示される認証回数に所定値を加算した識別値情報、及び取得手段により取得された特徴情報が通信回線へ送信される。なお、上記記憶部には、磁気ストライプ等の磁気記録媒体や、IC(Integrated Circuit)チップ等の記憶素子が含まれる。また、上記通信回線には、インターネット、イントラネット、LAN(Local Area Network)、VAN(Value Added Network)、電話回線網、エコーネット(ECHONET)、HomePNA等の各種ネットワークの単独や、複数の組み合わせが含まれる。
【0012】
そして、本発明によれば、物品確認装置では、第1受信手段により、第1送信手段により送信した識別値情報及び特徴情報の応答として通信回線より物品が本物であるか否かの認証を行った結果を示す認証結果情報が受信され、第1更新手段により、第1受信手段により受信された前記認証結果情報により示される認証の結果、本物であると認証された場合に前記記憶部に記憶されている前記第1認証回数情報により示される認証回数をカウントアップする更新が行われる。
【0013】
また、本発明の物品確認システムによれば、サーバ装置では、記憶手段に物品を本物であると認証した認証回数を示す第2認証回数情報が記憶されている。なお、上記記憶手段には、RAM(Random Access Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)、フラッシュEEPROM(Flash EEPROM)等の半導体記憶素子、スマート・メディア(SmartMedia(登録商標))、xDピクチャーカード(xD-Picture Card(登録商標))、コンパクト・フラッシュ(CompactFlash(登録商標))、CD−R(Compact Disc-Recordable)、CD−RW(Compact Disc-ReWritable)、光磁気ディスク等の可搬記憶媒体やハード・ディスク等の固定記憶媒体が含まれる。
【0014】
そして、本発明によれば、サーバ装置では、第2受信手段により、第1送信手段より送信されて通信回線を介して伝送された識別値情報及び特徴情報が受信され、比較手段により、第2受信手段により受信した前記識別値情報により示される識別値と記憶手段に記憶されている第2認証回数情報により示される認証回数に前記所定値を加算した値とが比較され、認証手段により、比較手段による比較結果、値が一致した場合に第2受信手段により受信した前記特徴情報に基づき真贋の認証が行われ、第2更新手段により、認証手段による認証の結果、本物であると認証された場合に記憶手段に記憶されている前記第2認証回数情報により示される認証回数をカウントアップする更新が行われ、第2送信手段により、認証手段による認証の結果が認証結果情報として通信回線へ送信される。
【0015】
このように、請求項1記載の発明の物品確認システムによれば、物品確認装置では、物品の特徴を示す特徴情報を取得すると共に物品に備えられた記憶部に予め記憶されている当該物品が本物であると認証された認証回数を示す第1認証回数情報を読み取り、第1認証回数情報により示される認証回数に所定値を加算した識別値情報及び特徴情報を通信回線へ送信し、通信回線より物品が本物であるか否かの認証を行った結果を示す認証結果情報を受信し、認証結果情報により示される認証の結果、本物であると認証された場合に記憶部に記憶されている第1認証回数情報により示される認証回数をカウントアップする更新を行う。
【0016】
また、サーバ装置では、記憶手段に物品を本物であると認証した認証回数を示す第2認証回数情報を記憶しており、通信回線を介して伝送された識別値情報及び特徴情報を受信し、受信した前記識別値情報により示される識別値と記憶手段に記憶されている第2認証回数情報により示される認証回数に所定値を加算した値とを比較し、値が一致した場合に特徴情報に基づき真贋の認証を行い、認証の結果、本物であると認証された場合に記憶手段に記憶されている第2認証回数情報により示される認証回数をカウントアップする更新を行うと共に認証の結果を認証結果情報として通信回線へ送信している。
【0017】
よって、本発明によれば、物品が本物と認証される毎に物品に備えられた記憶部に記憶されている認証回数及び記憶手段に記憶されている認証回数がカウントアップされるため、第三者により通信回線が傍受され、第三者が傍受したデータを送信したとしても、第三者から送信された不正な通信データに含まれる認証回数がサーバ装置の記憶手段に記憶されている認証回数と一致しなくなるので、第三者から送信された不正な通信データを識別することができる。
【0018】
なお、請求項1記載の発明は、請求項2記載の発明のように、前記第1認証回数情報及び前記第2認証回数情報は、共に所定の暗号化方式で暗号化されているものとし、前記読取手段は、前記記憶部に予め記憶されている前記第1認証回数情報を読み取った後に復号化し、前記比較手段は、前記識別値と前記記憶手段に記憶されている前記第2認証回数情報を復号化し、当該復号化した第2認証回数情報により示される認証回数に前記所定値を加算した値とを比較するようにしてもよい。
【0019】
また、請求項2記載の発明は、請求項3記載の発明のように、前記第1送信手段は、前記識別値情報を前記所定の暗号化方式で暗号化して通信回線へ送信し、前記比較手段は、前記識別値情報と前記認証回数に前記所定値を加算した値を前記所定の暗号化方式で暗号化した情報との各ビットが一致するか否かを比較し、前記認証手段は、前記比較手段による比較結果、各ビットが全て一致した場合に真贋の認証を行うようにしてもよい。
【0020】
また、本発明は、請求項4記載の発明のように、前記物品は、クレジットカードであるものとしてもよい。
【0021】
一方、上記目的を達成するために、請求項5の発明の物品確認装置は、物品の特徴を示す特徴情報を取得する取得手段と、前記物品に備えられた記憶部から当該物品が本物であると認証された認証回数を示す認証回数情報を読み取る読取手段と、前記読取手段により読み取られた前記認証回数情報により示される認証回数に所定値を加算した識別値情報、及び前記取得手段により取得された前記特徴情報を通信回線へ送信する送信手段と、前記通信回線より前記物品が本物であるか否かの認証を行った結果を示す認証結果情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信された前記認証結果情報により示される認証の結果、本物であると認証された場合に前記記憶部に記憶されている前記認証回数情報により示される認証回数をカウントアップする更新を行う更新手段と、を備えている。
【0022】
よって、請求項5に記載の発明によれば、物品が本物と認証される毎に物品に備えられた記憶部に記憶されている認証回数に記憶されている認証回数がカウントアップされるため、第三者により通信回線が傍受され、第三者が傍受したデータを送信したとしても、第三者から送信された不正な通信データに含まれる認証回数がサーバ装置の記憶手段に記憶されている認証回数と一致しなくなるので、第三者から送信された不正な通信データを識別することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、本発明によれば、物品が本物と認証される毎に物品に備えられた記憶部に記憶されている認証回数及び記憶手段に記憶されている認証回数がカウントアップされるため、第三者により通信回線が傍受され、第三者が傍受したデータを送信したとしても、第三者から送信された不正な通信データに含まれる認証回数がサーバ装置の記憶手段に記憶されている認証回数と一致しなくなるので、第三者から送信された不正な通信データを識別することができる、という優れた効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0025】
[ランダムパターン]
まず、本発明に係る実施の形態を説明するのに先立ち、物品自体が元来有している再現不能な微細な凹凸の特徴(以下、ランダムパターンと称す。)について説明する。
【0026】
例えば、不織布では、繊維が複雑に絡み合ってできたものであり、この繊維によるパターンが同一になるものはない。すなわち、不織布から繊維によるランダムパターンを観測することができる。また、紙も植物繊維が複雑に絡み合ってできたものであり、不織布と同様に、紙からもランダムパターンを観測することができる。同一種、同一ロットの紙であっても紙毎にそのパターンは異なる。
【0027】
また、カーボン充填した黒色のゴム表面、ICパッケージ用のセラミック表面、金属微粒子分散のUV硬化型塗料の塗膜(所謂ラメ塗装)表面からも、表面の微小なクラックや材料の微粒子等によってランダムパターンが観察できる。また、ステンレス鋼材表面からもヘアライン処理やサンドブラスト処理等、表面仕上げ時に作られたランダムパターンを観察できる。また、皮革も自然の状態でその表面にランダムな皺が形成されているため、この皺がランダムパターンとして観察される。
【0028】
このように、各種の物品からランダムパターンを観察することができる。このランダムパターンは、意図的に作ったものではなく、物品そのものの成り立ち、製造工程、或いは製造後などで不作為にできたものであり、そのパターンが全く同じである物品が複数存在するとは考え難い。また、同一のものを故意に作り出すことは困難と思われる。すなわち、同一の工程を経て製造・物流された物品であっても、微視的には、各物品ごとにランダムパターンが異なる。特に、上述したようなランダムパターンは、顕微鏡レベルの微細なパターンであり、これを偽造することは容易ではない。また、ゴム表面や皮革表面、或いは不織布といった形状が変化し易い軟らかい素材のランダムパターンも、外力が加わらない状態では安定である。
【0029】
なお、ここでいう物品表面のランダムパターンとは、外部から撮像可能に現れている物品の再現不能な微細な特徴をいう。例えば、外側が透明な保護膜で覆われている物品の場合には、透明な保護膜自体に現れている再現不能な微細な特徴と、透明な保護膜の下層に現れている再現不能な微細な特徴の双方の特徴を含む。具体的に例示すると、現在金融機関等で広く使用されているクレジットカード等のカードには、例えばラメ状の微細な地紋が現れた塗装の上に、ハードコート等の透明層が固着されているタイプのものが広く普及している。従って、このような物品の場合には、透明層自体に現れた凹凸等の微細なランダムパターンと、透明層の下の微細な地紋(ランダムパターン)の双方を含むことができる。また、この場合の透明層は、下層の微細な特徴が撮像可能に現れる程度に透明であればよく、その透明度は限定されない。
【0030】
なお、ランダムパターンについての詳細な説明は、先に先行技術文献として挙げた特許文献1(特開2004−153405号公報)及び特許文献2(特開2005−010581号公報)に記載されているため、ランダムパターンについてのこれ以上のここでの説明は省略する。
【0031】
本発明に係る物品確認システムは、上記のような物品が元来有するランダムなパターンを、各物品を確認(識別・照合)するための情報として利用するものである。このような微細なランダムパターンの読み取りには、触針法、電子顕微鏡観察法等幾つかの方法が考えられるが、物品保護の観点から未処理、非破壊であることが望ましい。光を利用する方法はこの点で優れている。以下、本発明に係る実施形態の一例として、光を利用してランダムパターンを読み取って、物品の真贋を確認する物品確認システムを説明する。
【0032】
[全体構成]
図1は、本発明の実施の形態に係る物品確認システム10の概略機能構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態では、確認対象の物品として、プラスチックカードにテープ状(ストライプ)の磁気記録媒体を貼付したキャッシュカードやクレジットカード等の磁気カード(以下、カード)18を例に挙げて説明する。
【0033】
同図に示すように、本実施の形態に係る物品確認システム10は、店舗に置かれたカードリードライタ12と、センタに置かれたサーバ・コンピュータ(以下「サーバ」という。)14と、がネットワーク16に接続されて構成されている。カードリードライタ12とサーバ14は、ネットワーク16を介して互いにデータの送受信が可能な構成となっている。
【0034】
カード18に貼付された磁気記録媒体には、カード番号等のカード情報及び当該カード18が本物と認証された回数を示す認証回数情報が予め記憶されている。なお、認証回数情報は所定の暗号化方式(例えば、AES(Advanced Encryption Standard)方式)にて所定の暗号化キーを用いて暗号化されている。
【0035】
カードリードライタ12は、後述するリードライト部40を用いて、カード18に貼付された磁気記録媒体からのカード情報と認証回数情報の読込みの制御、磁気記録媒体に記憶された認証回数情報の更新の制御、及びカード18の表面の所定領域の画像情報の取得の制御を各々行うカード読込書込制御部20と、カード読込書込制御部20の制御により読込まれた各情報に基づいてサーバ14へカード18の認証を要求するためのデータを生成する認証要求データ生成部22と、カード読込書込制御部20の制御により取得された所定領域の画像情報から当該カードの特徴を示す特徴情報(詳細後述)を生成する特徴情報生成部24と、を備えている。
【0036】
さらに、カードリードライタ12は、ネットワーク16に接続され、サーバ14との間でデータの送受信を行う通信インタフェース部(以下、「通信I/F部」という。)26と、認証要求データ生成部22により生成された各種情報及び特徴情報生成部24により生成された特徴情報をサーバ14へ送信して真贋の問合せを制御する問合せ制御部28と、問合せに対する応答により示される真贋の判定結果が表示される表示パネル等の表示部30と、を備えている。
【0037】
図2には、リードライト部40の詳細な構成が示されている。
【0038】
リードライト部40には、光源部41、カメラ42、磁気ヘッド制御装置44、及びカード搬送装置46、磁気ヘッド48、が備えられている。光源部41、カメラ42、磁気ヘッド制御装置44、及びカード搬送装置46は、カード読込書込制御部20に接続されている。
【0039】
カード搬送装置46は、挿入口50からカード18が挿入されると、カード読込書込制御部20の制御により、当該挿入されたカード18を予め定められた読み取り位置まで搬送し、挿入されたカード18への処理が終了したときには、該処理済みのカード18を挿入時と逆方向へ搬送して挿入口50から排出する。
【0040】
磁気ヘッド制御装置44には、磁気ヘッド48が接続されている。磁気ヘッド48は、磁気ヘッド制御装置44からの制御によりカード18と接触している際にカード18に貼付された磁気記録媒体から情報を読み出し又は磁気記録媒体に記憶されている情報の書き換えを行うことができる。
【0041】
カード読込書込制御部20は、挿入口50からカード18が挿入されて読み取り位置まで搬送される搬送中に磁気ヘッド制御装置44を制御して磁気ヘッド48によりカード18に貼付された磁気記録媒体からカード情報及び認証回数情報を読み出して認証要求データ生成部22(図1参照)へ出力する。また、カード読込書込制御部20は、一旦取り込んだカード18を挿入口50へ排出するためにカード18が読み取り位置から挿入口50方向へ搬送される搬送中に磁気ヘッド制御装置44を制御して磁気ヘッド48により磁気記録媒体の認証回数情報の書き換えを行っている。
【0042】
光源部41は、カード18が読み取り位置に位置した際に光を照射してカード18の表面の予め定められた範囲を照明するように配置されている。なお、光源には、例えば、LED、ハロゲンランプ、蛍光灯、キセノン放電管などを用いることができる。
【0043】
カメラ42は、光源部41から照射された光によって照明されたカード18の表面の予め定められた範囲の表面のランダムパターンを含む画像(以下、特徴画像と呼称)を撮像する。本実施の形態において、カメラ42は移動せず、カメラ42の撮像範囲は固定されている。
【0044】
カード読込書込制御部20は、磁気ヘッド制御装置44を制御して磁気ヘッド48によりカード18の磁気記録媒体から読み取ったカード情報及び認証回数情報を認証要求データ生成部22へ出力し、カメラ42を制御して撮像によって得られた特徴画像の画像情報を特徴情報生成部24(図1参照)へ出力する。
【0045】
認証要求データ生成部22には、磁気ヘッド48により読み取られたカード情報及び認証回数情報が入力される。なお、上述したように、本実施の形態では、認証回数情報がカード18の磁気記録媒体に所定の暗号化方式で暗号化されて記憶されている。このため、認証要求データ生成部22は、認証回数情報を所定の暗号化キーを用いて復号化し、復号化した認証回数情報により示される認証回数に所定値(本実施の形態では‘1’)を加算して識別値とし、当該識別値を示す識別値情報を上述した所定の暗号化キーを用いて所定の暗号化方式で再度暗号化を行い、カード情報と共に問合せ制御部28へ出力する。
【0046】
一方、特徴情報生成部24には、カメラ42による撮像によって得られた画像情報が入力される。特徴情報生成部24は、当該画像情報により示される特徴画像から物品表面のランダムパターンの特徴を示す特徴情報を生成して問合せ制御部28へ出力する。
【0047】
なお、特徴情報の生成には、従来公知の技術を採用することができるが、本実施の形態では、先に先行技術文献として挙げた特許文献1(特開2004−153405号公報)及び特許文献2(特開2005−010581号公報)に記載されている方法を適用する。
【0048】
すなわち、まず、撮像された特徴画像を適切な大きさのメッシュ(メッシュ数d=縦M×横N)に区切り(量子化)、各メッシュをある濃度値(濃度レベルq)で代表させて(標本化)、モザイク状の画像の画像データに変換し、量子化標本化後の画像データを、j番目のメッシュの濃度をxjとして、このパターンをx=(x1,x2,・・・xd)t(tは転置を表す)なるベクトル(特徴ベクトル)で記述する。この特徴ベクトルを特徴量とする。
【0049】
この特徴ベクトルの各要素は対応する画像領域の濃度を与える。得られたパターンは特徴ベクトルによって張られた特徴空間上の1点として表される。前述したように、各物品は、微視的には異なるランダムパターンを有するため、特徴ベクトルもそれぞれ固有の特徴を表すものとなる。すなわち、各物品のランダムパターンの特徴をこの特徴ベクトルによって表すことができる。なお、特徴ベクトルの代わりに、全ベクトルから分散共分散行列又は相関行列を求めて、これを特徴量としてもよい。
【0050】
問合せ制御部28は、認証要求データ生成部22より入力する識別値情報、カード情報、及び特徴情報生成部24より入力する特徴情報をサーバ14へ送信して真贋の問合せ行い、当該問合せに対する応答として受信される認証結果を表示部30に表示させる制御を行う。そして、問合せ制御部28は、カード18が本物であると認証された場合、カード読込書込制御部20に識別値情報を出力して認証回数情報の更新を依頼する。
【0051】
カード読込書込制御部20は、カード搬送装置46を制御してカード18を挿入口50に排出させる搬送中に、磁気ヘッド制御装置44を制御して磁気ヘッド48より磁気記録媒体の認証回数情報の更新を行う。
【0052】
一方、サーバ14は、ネットワーク16に接続され、カードリードライタ12との間でデータの送受信を行う通信I/F部60と、予めカード18に個別に付されたカード番号毎に、本物と認証した認証回数を示す認証回数情報及び当該カード18の予め定められた範囲の表面のランダムパターンより定まる特徴情報を関連付けたID別認証情報テーブルを記憶した記憶装置62と、通信I/F部60により受信したカード情報により示されるカード番号に対応する認証回数情報及び特徴情報を記憶装置62に記憶されたID別認証情報テーブルから読み出すテーブル情報読出部64と、を備えている。
【0053】
さらに、サーバ14は、テーブル情報読出部64により読み出された認証回数情報及び特徴情報と通信I/F部60により受信した認証回数情報及び特徴情報の比較を行う比較部66と、比較部66の比較結果に応じてテーブル情報読出部64に記憶されている認証回数情報の更新を行う認証回数更新部68と、を備えている。
【0054】
なお、ID別認証情報テーブルに登録される特徴情報は、予めカード番号毎に登録される。この特徴情報は、カード18の製造時等のカード18が利用者に配布される前に、予めカード18表面の予め定められた範囲の表面の特徴画像が撮像され、特徴画像から物品表面のランダムパターンの特徴を示す特徴情報として求められている。また、本実施の形態では、カード18に貼付された磁気記録媒体に記憶される認証回数、及び記憶装置62に記憶されているID別認証情報テーブルに初期登録される認証回数の初期値は共にゼロである。さらにまた、ID別認証情報テーブルに記憶されている認証回数情報は、カードリードライタ12で用いられている暗号化方式と同じ所定の暗号化方式で暗号化されている。
【0055】
通信I/F部60は、ネットワーク16を介して識別値情報、カード情報、及び特徴情報を受信すると、カード情報をテーブル情報読出部64へ出力し、カード情報、識別値情報、及び特徴情報を比較部66へ出力する。
【0056】
テーブル情報読出部64は、通信I/F部60よりカード情報が入力すると、カード情報により示されるカード番号に対応する認証回数情報及び特徴情報を記憶装置62に記憶されたID別認証情報テーブルから読み出す。そして、テーブル情報読出部64は、暗号化されている認証回数情報を所定の暗号化キーを用いて復号化し、復号化した認証回数情報により示される認証回数に所定値(本実施の形態では‘1’)を加算して認証値とし、当該認証値を示す認証値情報を上述した所定の暗号化キーを用いて所定の暗号化方式で再度暗号化を行い、特徴情報と共に比較部66へ出力する。
【0057】
比較部66は、通信I/F部60より入力した識別値情報と、テーブル情報読出部64より入力した認証値情報の各ビットを比較し、不一致のビットが存在する場合は不認証を示す認証結果情報を送信する。すなわち、識別値情報、認証値情報が共に同じ暗号化キーを用いて所定の暗号化方式で暗号化されているため、比較部66は、識別値情報と認証値情報との各ビットが一致するか否かにより、識別値情報及び認証値情報によりそれぞれ暗号化されている値が同じであるか否かを判別する。
【0058】
比較部66は、識別値情報と認証値情報の各ビットを比較し、各ビットが一致した場合は、通信I/F部60より入力した特徴情報(以下、「特徴情報D1」という。)とテーブル情報読出部64より入力した特徴情報(以下、「特徴情報D2」という。)とを比較して類似度の算出を行い、特徴情報D1及び特徴情報D2の類似度が閾値以上であれば、一致していると判断する。なお、類似度の算出には、従来公知の技術を採用することができるが、本実施の形態では、先に先行技術文献として挙げた特許文献1(特開2004−153405号公報)及び特許文献2(特開2005−010581号公報)に記載されている方法を適用し、特徴情報D1が示す特徴量(特徴ベクトル)と、特徴情報D2が示す特徴量(特徴ベクトル)との距離を算出して類似度を求める。求めた距離が近い程、類似度が高くなる(両者が似ている)。当然ながら、KL(Karhunen−Loeve)展開等による特徴空間の次元削減を行って距離を求めてもよい。
【0059】
ここで、類似度として計算する距離としては、統計学上の判別分析やクラスター分析などで用いられる距離、例えば、市街地距離、ユークリッド距離、標準化ユークリッド距離、ミンコフスキーの距離、マハラノビス距離などを用いることができる(村上征勝著:行動計量学シリーズ「真贋の科学」朝倉書店、1996)。前者4つの距離は、何れも確認対象の物品の特徴ベクトルと登録された本物の物品の特徴ベクトル間の距離として得られる。マハラノビスの距離は、確認対象の物品の特徴ベクトルと登録された本物の物品の特徴ベクトル(平均ベクトル)と、特徴行列(分散共分散行列、又は相関行列)の逆行列から計算される。
【0060】
比較部66は、特徴情報D1及び特徴情報D2の類似度が閾値以上であれば、一致していると判断して、認証回数更新部68へカード情報及び認証値情報を送信して認証回数情報の更新を依頼する。また、比較部66は、通信I/F部60よりカードリードライタ12へカード18が本物であると認証したことを示す認証結果情報を送信させる。
【0061】
一方、比較部66は、特徴情報D1及び特徴情報D2の類似度が閾値未満であれば、不一致であると判断して、通信I/F部60よりカードリードライタ12へカード18を本物と認証できない非認証(偽物))であることを示す認証結果情報を送信させる。
【0062】
なお、類似度と比較する上記閾値については、量子化標本化誤差などを見込んで、所定の許容範囲を設けて設定することが好ましい。すなわち、類似度判定を厳しく行うか、甘くするかの要求に応じて、閾値の大きさを適宜選択すればよい。また、登録(確認)対象の物品の種類によって許容範囲を異ならせてもよい。
【0063】
認証回数更新部68は、カード情報及び認証値情報が入力すると、記憶装置62に記憶されたID別認証情報テーブルのカード情報により示されるカード番号に対応する認証回数情報の更新を行う
[物品確認システムの動作]
次に、物品確認システム10の動作を説明する。
【0064】
カードリードライタ12は、登録対象のカード18が挿入口50(図2参照)から挿入されると、以下のカード真贋判定処理を実行する。
【0065】
図3には、カード真贋判定処理の流れを示すフローチャートが示されている。
【0066】
同図のステップ100では、カード読込書込制御部20の制御に従って、カード搬送装置46は、挿入されたカード18を予め定められた読み取り位置まで搬送し、磁気ヘッド制御装置44は、磁気ヘッド48を制御してカード18に貼付された磁気記録媒体からカード情報及び認証回数情報を読み出して取得する。
【0067】
カード読込書込制御部20は、読み取ったカード情報及び認証回数情報を認証要求データ生成部22へ出力する。なお、この認証回数情報は、上述したように、所定の暗号化方式で暗号化されている。
【0068】
次のステップ102では、認証要求データ生成部22は、入力した認証回数情報を所定の暗号化キーを用いて復号化し、次のステップ104では、復号化した認証回数情報により示される認証回数に所定値(本実施の形態では‘1’)を加算して識別値とし、次のステップ106では、識別値を示す識別値情報を所定の暗号化キーを用いて所定の暗号化方式で再度暗号化してカード情報と共に問合せ制御部28へ出力する。
【0069】
次のステップ108では、カード読込書込制御部20の制御に従って、カード搬送装置46は、カード18をカード搬送装置46によりを予め定められた読み取り位置まで搬送し、光源部41が点灯してカード18の表面に光を照射し、カメラ42はカード18の表面の予め定められた範囲の表面の特徴画像を撮像し、撮像後、光源部41は消灯する。
【0070】
カード読込書込制御部20は、撮像によって得られた画像情報を特徴情報生成部24へ出力する。
【0071】
次のステップ110では、特徴情報生成部24は、撮像した特徴画像の画像情報から、上述したように、特徴ベクトルを求め、特徴ベクトルを特徴量として問合せ制御部28へ出力する。
【0072】
次のステップ112では、問合せ制御部28は、通信I/F部26を介して識別値情報、カード情報、及び特徴情報をサーバ14へ送信して真贋の問合せを行う。
【0073】
この識別値情報、カード情報、及び特徴情報が通信I/F部60で受信されると、サーバ14では、以下に示す認証処理を実行して認証結果を示す応答を送信する。
【0074】
図4には、認証結果の流れを示すフローチャートが示されている。
【0075】
同図のステップ150では、通信I/F部60は、受信したカード情報をテーブル情報読出部64へ出力し、また、カード情報、識別値情報、及び特徴情報を比較部66へ出力する。テーブル情報読出部64は、記憶装置62に記憶されたID別認証情報テーブルからカード情報により示されるカード番号に対応する認証回数情報及び特徴情報を読み出す。なお、この認証回数情報は所定の暗号化方式で暗号化されている。
【0076】
次のステップ152では、テーブル情報読出部64は、ID別認証情報テーブルから読み出した認証回数情報を所定の暗号化キーを用いて復号化し、次のステップ154では、復号化した認証回数情報により示される認証回数に所定値(本実施の形態では‘1’)を加算して認証値とし、次のステップ156では、当該認証値を示す認証値情報を所定の暗号化キーを用いて所定の暗号化方式で再度暗号化を行い、ID別認証情報テーブルから読み出した特徴情報と共に比較部66へ出力する。
【0077】
次のステップ158では、比較部66は、通信I/F部60より入力した識別値情報とテーブル情報読出部64より入力した認証値情報との各ビットが一致するか否かの比較を行い、肯定判定であった場合はステップ160へ移行し、否定判定であった場合はステップ166へ移行する。すなわち、真贋の確認対象となるカード18の磁気記録媒体に記憶されている認証回数に所定値を加えた値と、ID別認証情報テーブルに記憶されている当該カードのカード番号に対応する認証回数に所定値を加えた値が一致するか否かを判定しており、上述したステップ158は一致した場合に肯定判定となり、不一致の場合に否定判定となる。
【0078】
ステップ160では、比較部66は、上述したように、通信I/F部60より入力した特徴情報D1とテーブル情報読出部64より入力した特徴情報D2との距離から類似度を算出し、当該類似度が閾値以上であるか否かを判定し、肯定判定であった場合はステップ164へ移行し、否定判定であった場合は、ステップ166へ移行する。
【0079】
ステップ162では、認証回数更新部68は、ID別認証情報テーブルに記憶されている本物と認証した認証回数を示す認証回数情報により示される認証回数をカウントアップする更新を行う。なお、本実施の形態では、認証値情報は、ID別認証情報テーブルに記憶されているカード番号に対応する認証回数情報を所定の暗号化キーを用いて復号化し、復号化した認証回数情報により示される認証回数に所定値として‘1'加算し、所定の暗号化キーを用いて所定の暗号化方式で再度暗号化したものであるので、認証値情報をID別認証情報テーブルに認証回数情報として記憶させる。
【0080】
なお、認証回数に加算する所定値が‘1’以外の場合は、認証回数更新部68が、ID別認証情報テーブルからカード番号に対応する認証回数情報を読み出して所定の暗号化キーを用いて復号化し、復号化した認証回数情報により示される認証回数に1加算し、所定の暗号化キーを用いて所定の暗号化方式で再度暗号化した情報をID別認証情報テーブルに新たな認証回数情報として記憶させる。
【0081】
次のステップ164では、通信I/F部60は、カードリードライタ12へカード18を本物と認証したことを示す認証結果情報を送信して、本認証処理は終了となる。
【0082】
一方、ステップ166では、通信I/F部60は、カードリードライタ12へカード18を本物と認証できない非認証としたことを示す認証結果情報を送信して、本認証処理は終了となる。
【0083】
このように、本認証処理によれば、サーバ14では、通信I/F部60により識別値情報、カード情報、及び特徴情報D1を受信した場合に、記憶装置62に記憶されたID別認証情報テーブルからカード情報により示されるカード番号に対応する認証回数情報及び識別値情報D2を読み出し、認証回数情報を復号化した認証回数に所定値を加算し、再度暗号化した認証値情報と識別値情報が一致し、かつ、特徴情報D1と特徴情報D2とを比較した類似度が閾値以上の場合に、本物と認証して、ID別認証情報テーブルに記憶されている認証回数をカウントアップする。これにより、通信I/F部60で再度同じ識別値情報、カード情報、及び特徴情報D1を受信した場合に、認証値情報と識別値情報とが一致しなくなるため、第三者によりネットワーク16を伝送されるデータが傍受され、当該第三者からネットワーク16を介してサーバ14に傍受されたデータが送信された場合に、第三者から送信されたデータを識別することができる。
【0084】
一方、カード真贋判定処理(図3参照)のステップ114では、サーバ14からの応答の受信待ちを行う。
【0085】
次のステップ116では、応答として受信した認証結果情報により示される認証結果を表示部30に表示させる。
【0086】
次のステップ118では、認証結果情報により示される認証の結果、カード18が本物と認証されたか否かを判定し、肯定判定であった場合はステップ122へ移行し、否定判定であったステップ120へ移行する。
【0087】
ステップ120では、カード読込書込制御部20の制御によりカード18を読み取り位置から挿入口50方向へ搬送して、カード18を挿入口50から排出させる。
【0088】
一方、ステップ122では、問合せ制御部28は、カード読込書込制御部20に識別値情報を出力して認証回数情報の更新を依頼する。カード読込書込制御部20は、カード18を読み取り位置から挿入口50方向へ搬送させる搬送中に磁気ヘッド48により磁気記録媒体の認証回数情報を識別値情報で更新を行い、カード18を挿入口50から排出させる。なお、本実施の形態では、識別値情報は、カード18の磁気記録媒体に記憶されている認証回数情報を所定の暗号化キーを用いて復号化し、復号化した認証回数情報により示される認証回数に所定値として‘1’加算(インクリメント)し、所定の暗号化キーを用いて所定の暗号化方式で再度暗号化したものであるので、カード18の磁気記録媒体の認証回数情報を識別値情報で更新することにより、認証回数情報によりされる認証回数がカウントアップされる。
【0089】
なお、認証回数に加算する所定値が‘1’以外の場合、認証要求データ生成部22は、カード18の取り込み時に、カード18の磁気記録媒体から読込んだカード情報を問合せ制御部28へ出力するようにする。問合せ制御部28は、認証回数情報を所定の暗号化キーを用いて復号化し、復号化した認証回数情報により示される認証回数に1加算し、所定の暗号化キーを用いて所定の暗号化方式で再度暗号化した情報を識別値情報としてカード読込書込制御部20に出力する。
【0090】
このように、本カード真贋判定処理によれば、サーバ14でカード18が本物と認証されると、カード18の磁気記録媒体に記憶されている認証回数もカウントアップされるため、カード18の磁気記録媒体に記憶されている認証回数とサーバ14の記憶装置62に記憶されたID別認証情報テーブルの認証回数とが一致する。これにより、カードリードライタ12から再度カード18の真贋の判定を行ったとしても認証処理(図4参照)のステップ158で識別値と認証値とが一致して肯定判定となるため、カード18の表面の予め定められた範囲の特徴画像に基づく真贋の判定を行うことができる。
【0091】
以上説明したように、本実施の形態によれば、カードリードライタ12では、取得手段(ここでは、カメラ42)により、物品(ここでは、カード18)の特徴を示す特徴情報が取得され、読取手段(ここでは、磁気ヘッド48)により、物品に備えられた記憶部(ここでは、磁気記録媒体)から当該物品が本物であると認証された認証回数を示す第1認証回数情報が読み取られ、第1送信手段(ここでは、通信I/F部26)により、読取手段により読み取られた第1認証回数情報により示される認証回数に所定値を加算した識別値情報、及び取得手段により取得された特徴情報が通信回線へ送信され、第1受信手段(ここでは、通信I/F部26)により、通信回線より物品が本物であるか否かの認証を行った結果を示す認証結果情報が受信され、第1更新手段(ここでは、カード読込書込制御部20)により、第1受信手段により受信された認証結果情報により示される認証の結果、本物であると認証された場合に前記記憶部に記憶されている前記第1認証回数情報により示される認証回数をカウントアップする更新が行われる。
【0092】
また、サーバ14では、記憶手段(ここでは、記憶装置62)に物品を本物であると認証した認証回数を示す第2認証回数情報が記憶されており、第2受信手段(ここでは、通信I/F部60)により、第1送信手段より送信されて前記通信回線を介して伝送された識別値情報及び特徴情報が受信され、比較手段(ここでは、比較部66)により、第2受信手段により受信した識別値情報により示される識別値と記憶手段に記憶されている前記第2認証回数情報により示される認証回数に所定値を加算した値とが比較され、認証手段(ここでは、比較部66)により、比較手段による比較結果、値が一致した場合に第2受信手段により受信した前記特徴情報に基づき真贋の認証が行われ、第2更新手段(ここでは、認証回数更新部68)により、認証手段による認証の結果、本物であると認証された場合に記憶手段に記憶されている第2認証回数情報により示される認証回数をカウントアップする更新が行われ、第2送信手段(ここでは、通信I/F部60)により、認証手段による認証の結果が認証結果情報として通信回線へ送信される。
【0093】
よって、本実施の形態によれば、カード18が本物と認証される毎にカード18の磁気記録媒体に記憶されている認証回数及び記憶装置62に記憶されている認証回数がカウントアップされるため、第三者によりネットワーク16が傍受され、第三者が傍受したデータを送信したとしても、第三者から送信された不正な通信データに含まれる認証回数がサーバ14の記憶装置62に記憶されている認証回数と一致しなくなるので、第三者から送信された不正な通信データを識別することができる。
【0094】
また、本実施の形態によれば、第1認証回数情報及び第2認証回数情報は、共に所定の暗号化方式で暗号化されているものとし、読取手段は、記憶部に予め記憶されている第1認証回数情報を読み取った後に復号化し、比較手段は、識別値と前記記憶手段に記憶されている第2認証回数情報を復号化し、当該復号化した第2認証回数情報により示される認証回数に所定値を加算した値とを比較しているので、第三者により記憶部に記憶されている第1認証回数情報及び記憶手段に記憶されている第2認証回数情報が読み取られたとしても認証回数を判別できないため、セキュリティが向上する。
【0095】
また、本実施の形態によれば、第1送信手段は、識別値情報を所定の暗号化方式で暗号化して通信回線へ送信し、比較手段は、識別値情報と認証回数に所定値を加算した値を前記所定の暗号化方式で暗号化した情報との各ビットが一致するか否かを比較し、認証手段は、比較手段による比較結果、各ビットが全て一致した場合に真贋の認証を行っているので、第三者により通信回線が傍受されたとしても認証回数を判別できないため、セキュリティが向上する。
【0096】
なお、上記実施の形態では、カード18の磁気記録媒体に記憶されている認証回数情報及び、ID別認証情報テーブルに記憶されている認証回数情報を暗号化する方式としてAES方式とした場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、DES(Data Encryption Standard)方式、3DES方式、FEAL(Fast data Encipherment Algorithm)方式等いずれの暗号化方式を用いてもよい。
【0097】
また、上記実施の形態では、暗号化する暗号化キー及び復号化する復号化キーが同じ共通鍵方式の暗号化方式を用いた場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、RSA(R. Rivest、A. Shamir、L. Adelman)等の公開鍵暗号化方式を用いてもよい。また、通信I/F部26と通信I/F部60で交換されるデータを全てをいずれかの暗号化方式で暗号化するものとしてもよい。これにより、ネットワーク16を伝送される特徴情報が第三者に傍受されても、第三者に特徴情報の内容を解読されることを防止することができる。
【0098】
また、上記実施の形態では、カード18の磁気記録媒体に記憶されている認証回数情報及び、ID別認証情報テーブルに記憶されている認証回数情報を共に所定の暗号化方式で暗号化している場合について説明したが、共に暗号せずに記憶させるものとしてもよい。これにより、暗号化の処理を行う必要が無くなるため、処理が負荷を軽減することができる。この場合は、通信I/F部26と通信I/F部60で交換されるデータを暗号化することが好ましい。
【0099】
また、上記実施の形態では、カード18の磁気記録媒体にカード情報及び認証回数情報を記憶させている場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、カード18の表面にICチップ等の記憶素子を貼付してカード情報及び認証回数情報等の情報を記憶させるものとしてもよい。
【0100】
また、上記実施の形態では、ID別認証情報テーブルに予め登録された特徴量(特徴ベクトル)及び確認対象の特徴量(特徴ベクトル)を比較する場合に、距離に基づいてその類似度を判断して両者が一致しているか否かを判定するようにしたが、登録した特徴ベクトル及び確認対象の特徴ベクトルの成す角度から判断しても良い。
【0101】
さらにまた、ID別認証情報テーブルに特徴量に代えて特徴画像を登録しておき、登録した特徴画像と確認対象の特徴画像とを比較して類似度を求めることもできる(画像マッチング方式)。また、特徴画像を実空間上で比較して識別や照合をする以外にも、特徴画像を2次元フーリエ変換により周波数領域へ変換し、フーリエ空間上で比較してもよい。この場合、予め登録されたカード18から得た特徴画像と確認対象のカード18から得た特徴画像とをフーリエ空間上で画像合成し、逆フーリエ変換することで相関強度画像を得て、そのピーク値から二つの画像の類似度を評価することができる。例えば振幅のピークの大きさが予め決めておいた閾値以上であった場合に、登録した特徴量及び確認対象の特徴量が類似(一致)していると判定することができる。
【0102】
また、上記実施の形態では、真贋を確認する物品として、クレジットカードやキャッシュカード等のカードを例に挙げて説明したが、これに限定されず、意図的に作ったものではなく、物品そのものの成り立ち、製造工程、或いは製造後などで不作為にできた微細なランダムパターンを有し、外力が加わらない状態で形状が変化にくい物品であれば、どのような物品であっても、本発明に係る物品確認装置及び物品確認方法を用いて真贋を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0103】
【図1】本発明の実施の形態に係る物品確認システムの概略構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るリードライト部の詳細な構成を示す構成図である。
【図3】カード真贋判定処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】認証結果の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0104】
10 物品確認システム
12 カードリードライタ
14 サーバ
16 ネットワーク
18 カード
26 通信I/F部
42 カメラ
48 磁気ヘッド
28 問合せ制御部
60 通信I/F部
66 比較部
68 認証回数更新部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の特徴を示す特徴情報を取得する取得手段、前記物品に備えられた記憶部から当該物品が本物であると認証された認証回数を示す第1認証回数情報を読み取る読取手段、前記読取手段により読み取られた前記第1認証回数情報により示される認証回数に所定値を加算した識別値情報、及び前記取得手段により取得された前記特徴情報を通信回線へ送信する第1送信手段、前記通信回線より前記物品が本物であるか否かの認証を行った結果を示す認証結果情報を受信する第1受信手段、及び前記第1受信手段により受信された前記認証結果情報により示される認証の結果、本物であると認証された場合に前記記憶部に記憶されている前記第1認証回数情報により示される認証回数をカウントアップする更新を行う第1更新手段、を備えた物品確認装置と、
前記物品を本物であると認証した認証回数を示す第2認証回数情報を記憶する記憶手段、前記第1送信手段より送信されて前記通信回線を介して伝送された前記識別値情報及び前記特徴情報を受信する第2受信手段、前記第2受信手段により受信した前記識別値情報により示される識別値と前記記憶手段に記憶されている前記第2認証回数情報により示される認証回数に前記所定値を加算した値とを比較する比較手段、前記比較手段による比較結果、値が一致した場合に前記第2受信手段により受信した前記特徴情報に基づき真贋の認証を行う認証手段、前記認証手段による認証の結果、本物であると認証された場合に前記記憶手段に記憶されている前記第2認証回数情報により示される認証回数をカウントアップする更新を行う第2更新手段、及び前記認証手段による認証の結果を前記認証結果情報として前記通信回線へ送信する第2送信手段、を備えたサーバ装置と、
を有する物品確認システム。
【請求項2】
前記第1認証回数情報及び前記第2認証回数情報は、共に所定の暗号化方式で暗号化されているものとし、
前記読取手段は、前記記憶部に予め記憶されている前記第1認証回数情報を読み取った後に復号化し、
前記比較手段は、前記識別値と前記記憶手段に記憶されている前記第2認証回数情報を復号化し、当該復号化した第2認証回数情報により示される認証回数に前記所定値を加算した値とを比較する
請求項1記載の物品確認システム。
【請求項3】
前記第1送信手段は、前記識別値情報を前記所定の暗号化方式で暗号化して通信回線へ送信し、
前記比較手段は、前記識別値情報と前記認証回数に前記所定値を加算した値を前記所定の暗号化方式で暗号化した情報との各ビットが一致するか否かを比較し、
前記認証手段は、前記比較手段による比較結果、各ビットが全て一致した場合に真贋の認証を行う
請求項2記載の物品確認システム。
【請求項4】
前記物品は、クレジットカードである
請求項1乃至請求項3の何れか1項記載の物品確認システム。
【請求項5】
物品の特徴を示す特徴情報を取得する取得手段と、
前記物品に備えられた記憶部から当該物品が本物であると認証された認証回数を示す認証回数情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段により読み取られた前記認証回数情報により示される認証回数に所定値を加算した識別値情報、及び前記取得手段により取得された前記特徴情報を通信回線へ送信する送信手段と、
前記通信回線より前記物品が本物であるか否かの認証を行った結果を示す認証結果情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された前記認証結果情報により示される認証の結果、本物であると認証された場合に前記記憶部に記憶されている前記認証回数情報により示される認証回数をカウントアップする更新を行う更新手段と、
を備えた物品確認装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−36753(P2007−36753A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−218023(P2005−218023)
【出願日】平成17年7月27日(2005.7.27)
【出願人】(591227686)富士ゼロックスエンジニアリング株式会社 (41)
【Fターム(参考)】