説明

物品管理用コードのマーキング処理システム、コード判定システム、物品管理システム、物品管理用コードのマーキング方法、コード判定方法、および情報表示物

【課題】マーキングされるコードの信頼度を高め、マーキング内容の正否を正確に判定できるようにする。
【解決手段】製造固有情報管理サーバ2には、製造される製品毎にその製品に関わる一群の情報(製造固有情報)を抽出可能なデータベースが設けられる。印刷処理用端末装置40は、印刷対象の製品について、製造固有情報の送信を受け、その情報から内容の異なる2種類のコードを生成する。これらのコードは、それぞれのコードに含まれる個別情報によって一意に対応する関係に設定される。印刷処理用端末装置40は、一方のコードから2次元コードを生成するとともに、他方のコードを暗号化して文字列による識別コードを生成し、印刷機41に印刷させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、正規の物品を模した偽造品が出回るおそれのある物品(たとえば工業製品、ブランド品、証券、クレジットカードなど)を対象に、正規の物品であることを示すコードをマーキングする技術や、マーキングされた内容が正しいかどうかを判定する技術に関する。
なお、この明細書でいう「マーキング」とは、印刷処理のほか、刻印処理、浮き彫り処理、エッチング加工、レーザマーキングなど、情報の内容を目視可能な状態で固定するための種々の処理を指す。
【背景技術】
【0002】
近年、正規の物品との見分けがつかない精巧な偽造品が出回るケースが増えていることに鑑み、偽造品を簡単に判別できるようにすることを課題にした技術が開発されている。これらの中に、物品毎に個別に設定された情報を、2次元コードやバーコードなどの光学情報コードとして符号化し、そのコードの内容に対応する文字列とともに物品に印刷するようにしたものがある(特許文献1,2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−44257号公報
【特許文献2】特開2006−102364号公報
【0004】
特許文献1は、証券等の印刷物を対象にするもので、印刷対象の文字情報の一部を暗号化して、その暗号化情報を表す2次元コードを文字情報とともに印刷することが記載されている(段落0021〜0026)。また2次元コードから読み取った情報を復号して表示し、作業者がその表示内容と実際の印字情報とを照合することにより、正否を判定することが記載されている(段落0032〜0034)。
【0005】
特許文献2は、遊技機用の電子部品を対象にするもので、個々の部品によって内容の異なる第1の識別情報(製造番号、ロット番号、シリアル番号などを組み合わせたもの)をハッシュ関数を用いて別の内容のコード(チェックコード)に変換し、第1の識別情報およびチェックコードを埋め込んだ2次元コードを元の各種情報を示す文字列とともに部品の表面に印刷することが記載されている(段落0023,0024,0028等。)。また、出荷後の真贋判定検査として、2次元コードの読み取り処理を行って第1の識別情報およびチェックコードを復号し、復号された第1の識別情報を変換して得られたチェックコードと復号されたチェックコードを照合することや、復号された各情報をモニタに表示して、印刷された文字列との目視照合を行うことが記載されている(段落0046〜0049)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1,2では、2次元コードが表す情報とその情報の元になる情報とが、同じ対象物上に印刷されるので、両情報の関係から暗号化の規則などが解読されるおそれがある。また、解読された暗号化の規則に基づき、偽の文字列や2次元コードが印刷された場合には、その偽造を見破ることができない可能性がある。
【0007】
この発明は上記の問題に着目し、光学情報コードと文字列との関係を容易に解読できないようにして、各コードの信頼度を高め、マーキング内容の正否を正確に判定できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下に説明するマーキング処理システム、コード判定システム、物品管理システム、マーキング方法、コード判定方法、および情報表示物に係る発明は、上記の課題を解決するためになされたものである。
【0009】
(1)マーキング処理システムは 物品の管理のために光学情報コードおよび文字列によるコードを物品またはその付属物にマーキングするものである。このシステムには、物品に関する複数種の情報が、個々の物品毎にその物品に関する一群の情報を特定できるように関連づけられて格納された記憶手段;各物品について、それぞれ記憶手段中の当該物品につき特定される一群の情報のうちの一部を用いて、その物品に固有の内容を示す第1コードを生成する第1コード生成手段;各物品について、それぞれ前記一群の情報中の物品毎に固有の内容の情報であって第1コードに含まれていない情報を含む第2コードを生成する第2コード生成手段;第1コードを表す光学情報コードを生成する光学情報コード生成手段;第2コードに所定の変換処理を施してマーキング対象の文字列のデータを生成する文字列データ生成手段;第1コードを表す光学情報コードと、第2コードから生成された文字列データとを用いて、マーキング処理を実行するマーキング手段;の各手段を具備する。
【0010】
上記において、各物品に対応する情報群は、物品毎に異なる内容を有する情報を少なくとも2種類含むのが望ましい。第1コード、第2コードに、それぞれ物品毎に固有の内容の情報であって、コード間に共通しない情報を含める必要があるからである。ただし、情報群には、複数の物品間で共通する情報が含まれてもよい。第1コード、第2コードも同様であって、上記の固有の情報のほか、他の物品と共通する情報が含まれていてもよい。
【0011】
記憶手段は、物理的には複数のメモリ装置により構成される場合もある。また、第1コードに含める情報が物品毎に個別の記憶媒体(たとえばRFIDタグ、ICチップ等)に格納される場合には、これらの記憶媒体も記憶手段に含まれる。
【0012】
上記のシステムによれば、同じ物品について生成される第1コードおよび第2コードは、共通の情報群をソースとし、それぞれ物品に固有の内容の情報が含まれるので、第1コードと第2コードとは一意に対応する関係を有することになる。このため、第1コードを表す光学情報コードと第2コードから生成される文字列との組み合わせを、物品毎に異なるものにすることができる。したがって、光学情報コードから読み取られた読取データおよび文字列の組み合わせが同一であったり、光学情報コードが同一で文字列が異なるような物品が複数ある場合には、これらの物品中に本物があるとしても、1つだけであり、その他は全て偽物であると判断できる。
【0013】
また文字列データは、第2コードを変換することにより生成されるので、その変換の規則がわからない限り、第2コードを復号することはできない。しかも、第2コードには、第1コードにはない物品毎に固有の内容の情報が含まれるので、仮にある正規の物品にマーキングされた文字列から第2コードを復号したとしても、その復号したコードを用いて、正規の物品と判断されるような組み合わせの光学情報コードおよび文字列を偽造することはできない。
【0014】
このように、上記のマーキング処理システムによれば、マーキングされた光学情報コードや文字列に基づいて、コードの生成の仕組みを解析したり、正規のコードとみなされるようなコードを偽造するのは不可能である。したがって、不正行為者が偽造した光学情報コードと文字列との組み合わせを確実に検出することができる。
【0015】
(2)上記のマーキング処理システムの一態様では、記憶手段は、物品毎に固有の内容の情報をキーにして一物品に対応する情報群を読み出せるように構成されている。また、第1コード生成手段は、第1コードとして、上記のキーとなる情報(以下、「キー情報」という。)を含むコードを生成する。
【0016】
上記の態様によれば、マーキング内容の正否判定を行う場合には、光学情報コードから第1コードを読み取った後に、そのコードに含まれるキー情報に基づき記憶手段を検索することにより、第2コードを構成する情報を特定することができる。
【0017】
(3)さらに好ましい態様のシステムでは、記憶手段には、各物品について物品の管理者が設定した秘密情報が含まれる。また第2コード生成手段は、第2コードとして、処理対象の物品に対応する秘密情報を含むコードを生成し、文字列データ生成手段は、前記第2コードを前記秘密情報が現れないコードに変換する演算を実行し、この演算により得られたコードから前記文字列データを生成する。
【0018】
上記の態様によれば、第2コードには、物品の管理者でなければ知り得ない情報が含まれているので、管理者以外の者がその情報を取得するのはきわめて困難となる。よって第2コードのセキュリティをより強固なものにすることができる。
【0019】
(4)コード判定システムは、上記のマーキング処理システムによりマーキングされた光学情報コードおよび所定の文字列を対象に、マーキング内容の正否を判定するもので、それぞれ固有の内容を示す第1コードを表す光学情報コードがマーキングされた複数の正規の物品について、その物品に関する一群の情報のうちの一部を用いて生成され、かつその一群の情報中の物品毎に固有の内容の情報であって第1コードに含まれていない情報を含み、所定の変換処理によって光学情報コードと共にマーキングされた文字列に変換される第2コードが、第1コードに対応づけられて格納された記憶手段;任意の物品について、その物品にマーキングされた光学情報コードに対する読取処理により得られた読取データおよび文字列の内容を表す文字列データの入力を受け付ける入力手段;入力手段が受け付けた読取データを第1コードとして前記記憶手段を検索して、そのコードに対応する第2コードを特定するコード特定手段;コード特定手段により特定された第2コードを用いた変換処理によりマーキング対象の文字列データを生成した場合に、前記入力手段が受け付けたのと同一の文字列データが得られるかどうかを判定する判定手段;判定手段による判定結果をマーキング内容の正否を示す情報として出力する判定結果出力手段;の各手段が含まれる。
【0020】
上記のコード判定システムにおける記憶手段には、各物品の「一群の情報」のすべてを格納しても良いが、これに限らず、少なくとも、第2コードを構成する各情報と、第2コードと第1コードとを関連づける情報(第1コード中の物品毎に内容が異なる部分、たとえば前出のキー情報)とを格納しても良い。
【0021】
上記構成のシステムにより、所定の物品またはその付属物のマーキング内容の正否を判定する場合、ユーザーは、光学情報コードに対する読取処理を行って、その結果である読取データと文字列の内容を示す文字列データとをシステムに入力する。これにより、コード特定手段が作動して、入力された読取データに基づき記憶手段を検索して第2コードが特定される。さらに判定手段による判定処理および判定結果出力手段による出力処理が行われる
【0022】
判定手段は、たとえば、コード特定手段により特定されたコードを用いてマーキング処理システムの文字列データ生成手段が行うのと同様の変換処理を実行し、生成された文字列データを読取データとともに入力された文字列データと比較する。第1コードと第2コードとは一意に対応する関係にあるから、特定された第2コードから変換される文字列データは正規のものと考えられる。よって、入力された文字列データが正規の文字列データと一致すれば、マーキング内容は正規なものと判断されるが、両文字列データが一致しない場合には、マーキング内容は偽のものと判断される。
【0023】
判定手段が行う処理は上記に限定されるものではない。たとえばマーキング処理システムにおいて、過去に生成された第2コードと文字列データとが対応づけられて保存されている場合には、コード特定手段が特定した第2コードをマーキング処理システムに送って、対応する文字列データの送信を要求し、送信された文字列データと入力された文字列データとを照合するようにしてもよい。
【0024】
上記のシステムによれば、光学情報コードが表す第1コードから導き出した正規の文字列データとマーキングされていた文字列データとを比較することにより、マーキング内容の正否を正しく判定することができる。
【0025】
(5)上記のコード判定システムの好ましい一態様では、入力手段は、外部装置から読取データおよび文字列データの送信を受け付ける手段として構成される。また判定結果出力手段は、前記読取データおよび文字列データの送信を行った外部装置にマーキング内容の正否を示す情報を返送する手段として構成される。この態様は、たとえば、インターネットのような通信網を介して外部装置からのアクセスを受け付ける形態のシステムに適用される。
【0026】
(6)つぎに、物品管理システムは、物品の管理のために光学情報コードおよび文字列によるコードを物品またはその付属物にマーキングする機能と、各コードのマーキング内容の正否を判定する機能とを具備するもので、前出のマーキング処理システムと同様の記憶手段、第1コード生成手段、第2コード生成手段、光学情報コード生成手段、文字列データ生成手段、マーキング手段と、コード判定システムと同様の入力手段、コード特定手段、判定手段、判定結果出力手段とを具備する。
【0027】
この物品管理システムによれば、マーキング処理に用いる記憶手段をコード判定のためのデータソースとして利用することができるので、メモリ資源の無駄を防止することができる。また、マーキング処理とコードの判定処理とが同一のシステムにおいて行われるので、判定の信頼度をより一層高めることができる。
【0028】
(7)マーキング方法では、物品毎に、その物品に関する一群の情報のうちの一部を用いて、当該物品に固有の内容を示す第1コードを生成するとともに、前記情報群中の物品毎に固有の内容の情報であって第1コードに含まれていない情報を含む第2コードを生成するステップ;第1コードを表す光学情報コードを生成するステップ、第2コードに所定の変換処理を施してマーキング対象の文字列のデータを生成するステップ;各物品につき、それぞれ第1コードを表す光学情報コードと、第2コードから生成された文字列データによる文字列とを、当該物品またはその付属物にマーキングするステップ、の各ステップを実行する。
【0029】
(8)コード判定方法では、それぞれ固有の内容を示す第1コードを表す光学情報コードがマーキングされた複数の正規の物品について、その物品に関する一群の情報を用いて生成され、かつその一群の情報中の物品毎に固有の内容の情報であって第1コードに含まれていない情報を含み、所定の変換処理によって光学情報コードと共にマーキングされた文字列に変換される第2コードを、第1コードに対応づけて記憶手段に格納するステップ;任意の物品について、その物品にマーキングされた光学情報コードに対する読取処理により得た読取データおよび文字列の内容を表す文字列データの入力を受け付けるステップ;入力された読取データを第1コードとして記憶手段を検索して、そのコードに対応する第2コードを特定するステップ;特定された第2コードを用いた変換処理によりマーキング対象の文字列データを生成した場合に、先に入力されたのと同一の文字列データが得られるかどうかを判定するステップ;判定の結果をコードのマーキング内容の正否を示す情報として出力するステップ;の各ステップを実行する。
【0030】
(9)情報表示物は、特定の物品に関する光学情報コードおよび文字列がマーキングされたもので、光学情報コードは、特定の物品に関する一群の情報のうちの一部を用いて生成され、かつ当該物品に固有の内容を示す第1コードを表す。また文字列は、前記一群の情報中の物品毎に固有の内容の情報であって第1コードに含まれていない情報を含む第2コードに、所定の変換処理を施して得られたものである。
【0031】
上記の情報表示物は、実際の物品の本体、または物品の付属物を構成するのが望ましい。物品の付属物とは、たとえば、物品を収容するパッケージ、包装紙、タグ(値札)、物品の説明書など、物品とともに流通する物をいう。
【発明の効果】
【0032】
上記したマーキング処理によれば、直接マーキングされることがない第2コードを介して光学情報コードおよび文字列が対応づけられ、一対の組み合わせが設定される。そして物品一つ一つに対し、それぞれ固有の内容の光学情報コードおよび文字列からなる一対の組合せをマーキングするので、マーキングの信頼度はきわめて高いものになり、コードの正否を正しく判定することができる。また、複数の物品に同一の組み合わせの光学情報コードと文字列とが付されている状態をもって、正規のマーキングが複製されていることを容易に判断できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1は、この発明による物品管理システム1の一構成例を示す。
この物品管理システム1は、物品(以下、電子部品などの製品を例として説明する)の製造者により運営されるもので、製造者が出荷する製品に管理用のコードをマーキングするとともに、インターネットを介して製品を購入したユーザからのアクセスを受け付けて、そのユーザが所有する製品のマーキングが正しいものであるかどうかを判定する処理を実行する。なお、システムのインターネットへの接続口には、ファイアウォール6が設けられる。
【0034】
システム内には、製造固有情報管理サーバ2および判定用サーバ3と、マーキングするための装置の一例としての複数の印刷ステーション4(図示は便宜上1つとしている。)が設けられる。印刷ステーション4には、コンピュータを主体とする印刷処理用端末装置40と、この端末装置40に接続された印刷機41とが含まれる。各サーバ2、3および印刷処理用端末装置40には、それぞれ図示しないCPUに、後記する図5,7に示す各種機能を設定するためのプログラムが組み込まれる。
【0035】
印刷機41は、完成した製品の本体に対し、またはそのパッケージに貼付されるラベルに対して管理用のコードを含む情報を印刷する。なおパッケージに直接、情報を印刷してもよいが、この実施例では、印刷されたラベルをパッケージに貼り付けている。印刷処理用端末装置40は、製造固有情報管理サーバ2との通信により、個々の製品毎にその製品の製造に際して発生した固有情報(後述する「製造固有情報」と同じ。)を取得し、その情報を用いて印刷対象のデータを生成し、印刷機41に供給する。この印刷対象のデータには、会社名、製品名、品番等の一般情報のほか、管理用のコードを表すデータが2種類含まれる。このうちの一方は2次元コードを構成し、他方は文字列として表される。
【0036】
図2は、製品100(この例ではマイクロスイッチ)の本体表面、およびこの製品100のパッケージ102に貼付されるラベル101に、印刷を行った例を示す。以下では、印刷されたものを2次元コードおよび文字列に限定して説明を進める。
【0037】
2次元コードは、個々の製品100毎に異なる内容の情報を表す。文字列も、製品100毎に固有の内容の情報をソースとする。具体的には、情報を暗号化し、暗号化後の情報を数字やアルファベットに置き換える処理により生成される。この文字列は、2次元コードとともに、正規の製品を識別するための標識として機能するので、以下、この文字列を「識別コード」と呼ぶことにする。
【0038】
図2の例では、2次元コードの真下に識別コード(一例として「86Gy9hY2」)をマーキング(以下、印刷として例示する)している。このように2次元コードの近傍に識別コードを印刷することにより、ユーザが他の文字列を識別コードと誤判別するのを防止することができる。ただし、識別コードの印刷位置を各ユーザに周知徹底できるのであれば、2次元コードから離れた場所に識別コードを印刷してもよい。
【0039】
図1に戻って、判定用サーバ3は、ファイアウォール6を介してユーザの使用する機器7(以下、「ユーザ端末7」という。)から、コードの正否を判定する旨の要求(以下、「判定要求」という。)を受け付けて、その要求に応じた判定処理を実行する。
【0040】
判定要求には、製品100の本体表面またはラベル101に印刷された2次元コードに対する読取処理により得られた読取データと、識別コードを表す文字列データとが含まれる。このため、ユーザ端末7は、インターネットに接続する機能のほか、2次元コードを読み取る機能を具備する必要がある。たとえば、2次元コード用のコードリーダ(図示せず。)が接続されたパーソナルコンピュータや撮像機能を有する携帯電話などをユーザ端末7として使用することができる。文字列データについては、キーボードなどを用いて入力すればよい。
【0041】
判定用サーバ3は、ユーザ端末7からの判定要求に含まれる読取データおよび識別コードを用いて、これらが正しいコードを表しているかどうかを判定し、その判定結果(正しいコードと判定した場合は「OK」を示すコード、偽のコードと判定した場合は「NG」を示すコード)をユーザ端末7に返送する。この判定処理は、製造固有情報管理サーバ2との通信により得た情報を用いて進められる。
【0042】
製造固有情報管理サーバ2(以下、略して「管理サーバ2」という。)には、各製品の製造に際して発生した種々の情報を蓄積するデータベースが設けられる。蓄積される情報には、例えば、品番、製造ロット番号、製品のシリアル番号など、個々の製品を固有に特定できる一群の情報(製品一つ一つにそれぞれ固有に付される情報)のほか、製造日、工場の識別番号、製造ラインの識別番号、製造担当者の識別番号など、個々の製品固有でなくて複数の製品に共通に設定された製造管理に関する情報が含まれ、互いの情報が関連付けされて記憶される。そして、製品を固有に特定できる情報(たとえば品番と製造ロット番号とシリアル番号との組み合わせ)をキー情報として、関連付けられた一連の情報を管理サーバ2から抽出または検索することが可能となっている。よって必要な時に個々の製品の製造や管理に関する一群の情報を取得することができる。なお、製品一つ一つにそれぞれ付される固有の内容の情報は、品番と製造ロット番号とシリアル番号との組み合わせに限らない。他例を挙げると、製品一つ一つに固有に付される情報が製品連番だという場合もあるし、製造記号だという場合もある。またロット管理しない場合だと、品番とシリアル番号の組み合わせを製造固有情報に利用できる。
【0043】
すなわち、管理サーバ2内のデータベースは、請求項の「物品毎にその物品に関わる一群の情報が特定できるように関連づけられて格納されている記憶手段」に該当する。以下、この製品毎に特定される一群の情報を「製造固有情報」といい、製造固有情報管理サーバ2内のデータベースも、これに合わせて「製造固有情報データベース(DB)」という。
【0044】
この実施例では、製品毎に、その製品に対応する製造固有情報に基づいて2次元コードや識別コードの元になるコードを抽出するようにしている。図3は、そのコード抽出の一例を示す。
【0045】
図3は、1つの製品の製造固有情報を短冊形に模式して示したものである。その中でその1つの製品について固有の内容の情報(以下「個別情報」という。)に該当する部分に、塗りつぶしパターンを付している。特に先頭の斜線で示す個別情報は前記したキー情報である。このことは、1つのキー情報によりその1つの製品が持つ製造固有情報のすべてが関連付いていることを意味する。
【0046】
図3の例では、製造固有情報のうちキー情報を含む所定数の情報を用いて、2次元コードの元になるコード(以下、「第1コード」という。)を生成するとともに、この第1コードには含まれない情報を用いて、識別コードの元になるコード(以下、「第2コード」という。)を生成する。第1コードにはキー情報とともに個別情報Xと予め選ばれた共通情報が含まれる。第1コード中の塗りつぶしパターンにしていない部分に、例えば、製造に関するトレーサビリティの情報であって、製造者が意図的に外部へ伝えたい情報を含めてもよい。第2コードには個別情報Yと予め選ばれた別の共通情報が含まれる。第2コード中の塗りつぶしパターンにしていない部分に、例えば製造日、工場の識別番号、製造ラインの識別番号、製造担当者の識別番号などの製造者しか知りえない情報を含める。なお、第1コードと第2コードの対象に選ばれていないその他の情報には、製造段階で発生した情報(各工程における処理時刻、検査の際の計測値、検査結果など)であって、製造者が外部への流出を禁止している秘密情報が含まれる。
【0047】
第1コードは、通常のエンコード手法を用いて2次元コードに変換される。一方、第2コードは、個別情報Yが現れない内容になるように所定の変換処理が施される。例えば暗号化を施し、この暗号化後のコードを文字列データに変換し、識別コードとする。ここで生成された識別コードはデータ列の桁数が少ないほうが好ましい。例えば、第2コードのデータに暗号圧縮する処理を施して62進数のデータ列に変換する処理をすればデータ列の桁数を少なくできる。
【0048】
上記のように、第1コード、第2コードには、それぞれ製品毎に固有の内容の情報が含まれるので、いずれも当該製品に固有の内容を示すものとなり、各コードは一意に対応する関係にある。したがって、第2コードから生成される識別コードと第1コードから生成される2次元コードとの組み合わせも、製品毎に一意に定められる。言い換えれば、各製品に付された2次元コードと識別コードとの組み合わせは、それぞれ当該製品に限り適用されるもので、他の製品に同じ組み合わせのコードが適用されることはない。
【0049】
上記のようなコードの構成によれば、偽造されたコードを簡単かつ正確に特定することができる。たとえば、2次元コードの内容がでたらめに設定された場合、この2次元コードから読み取られた第1コードは現実には存在しないから、その第1コードにより製造固有情報データベースを検索しても、そのコードに対応する製造固有情報を見つけることはできない。よって、2次元コードの読取データにより製造固有情報データベースを検索する処理により、当該コードが偽物であると判定することができる。
【0050】
また、正規の製品の2次元コードを複製し、識別コードを変更またはでたらめに設定した場合には、2次元コードから読み取られた第1コードに対応する製造固有情報は存在するが、この情報から生成される第2コードから導かれる識別コードは、印刷された識別コードと同一のものにはならない。したがって、2次元コードの読取データから製造固有情報を特定し、この情報から第2コードを生成した後に、この第2コードから生成される識別コードが印刷された識別コードと同一であるかどうかを判定することにより、印刷された識別コードは偽物であると判定することができる。
【0051】
一方、2次元コードおよび識別コードの正規の組み合わせをそのまま複製した場合には、その組み合わせ自体は正しいと判定される。しかし、この組み合わせを有する製品は、世の中に1つしか存在しないはずであり、複数人のユーザが同じ組み合わせの製品を所有するはずがない。したがって、同じコードの組み合わせについて、同時期に複数の判定要求があった場合には、その組み合わせのコードが印刷された偽造品が出回っていると考えてよい。なお、2次元コードおよび識別コードの正規の組み合わせをそのまま複製されないように、製品100やパッケージやラベル101のいずれかに真正を示すホログラムシールを貼ったり、ラベルに特殊インクで印刷したり、ラベル101を特殊素材にするなど、別途の対策を加えることも考えられる。
【0052】
なお、図3の例では、第1コードおよび第2コードを、それぞれ異なる情報により生成しているが、これに限らず、図4(1)に示すように、各コード間で一部の情報を共用するようにしてもよい。ただし、個別情報Yは、第2コードにのみ含まれるように設定する必要がある。
【0053】
また、図4(2)に示すように、1つの製品に対応する製造固有情報が物理的に分割されているような場合には、第1コードに含まれる情報と第2コードに含まれる情報とを、異なる情報源から抽出してもよい。この場合には、各情報源を共通のキー情報をもってリンクさせておけば、第1コードに対応する第2コードを簡単に特定することができる。
【0054】
図5は、図1の物品管理システム1のうち、コードの印刷処理に関わる機能を示す。
管理サーバ2には、前記した製造固有情報データベース20のほか、送受信部21、製造固有情報読出部22、データ管理部23などが設けられる。送受信部21は、印刷処理用端末装置40と情報をやりとりするためのもので、製造固有情報読出部22は、製造固有情報データベース20から特定の製造固有情報を読み出す処理を実行する。データ管理部23は、送受信部21が印刷処理用端末装置40から受け付けた管理データに基づき、対応する製造固有情報を更新する。
【0055】
印刷処理端末装置40(以下、「印刷端末40」と略す。)には、製造固有情報取得部42、第1コード生成部43、第2コード生成部44、2次元コード生成部45、識別コード生成部46、印刷制御部47、管理データ送信部48などが設けられる。
【0056】
図6は、コードの印刷について、印刷端末40および管理サーバ2において実行される処理の流れを示す。図中、印刷端末40側の処理のステップ(ST)を100番代の数値により示し、管理サーバ2側の処理のステップを10番代の数値により示す。また点線の矢印により、装置間における処理の関係を示す。
【0057】
以下、図6の流れに沿って、図5に示した各種機能により実行される印刷処理を説明する。
【0058】
まず印刷端末40の製造固有情報取得部42は、図示しない生産制御システムからの印刷指示を受けて、管理サーバ2に、印刷対象の製品の製造固有情報の送信を要求する(ST101)。この送信要求は、たとえば図3,4に示したキー情報により、送信対象の情報を特定するものである。
【0059】
管理サーバ2では、送受信部21により送信要求を受信し(ST11)、製造固有情報読出部22によって、要求された製造固有情報の読み出しを実行する(ST12)。さらに読み出された製造固有情報は、送受信部21によって印刷端末40に返送される。
【0060】
印刷端末40の製造固有情報取得部42は、管理サーバ2からの製造固有情報を受信し(ST102)、これを第1コード生成部43および第2コード生成部44に供給する。第1コード生成部43は、製造固有情報からキー情報および個別情報Xを含む所定数の情報を抽出し、これらを所定の順序で配列するなどして、第1コードを生成する(ST103)。第2コード生成部44も、製造固有情報から個別情報Yを含む所定数の情報を抽出し、これらを所定の順序で配列するなどして、第2コードを生成する(ST104)。
【0061】
第1コード生成部43により生成された第1コードは、2次元コード生成部45に与えられる。2次元コード生成部45は、この第1コードをエンコードして、2次元コードを生成する(ST105)。
【0062】
第2コード生成部44により生成された第2コードは、識別コード生成部46に与えられる。識別コード生成部46は、この第2コードを所定の暗号化ルールに基づき変換し、文字列データによる識別コードを生成する(ST106)。
【0063】
つぎのST107は、印刷制御部47および図1に示した印刷機41により実行されるものである。印刷制御部47は、ST105,106により生成された2次元コードおよび識別コードを取り込んで印刷機41に供給する。このとき印刷機41には、印刷対象の製品100またはラベル101が送り込まれており、印刷制御部47から供給された各コードを、印刷対象物に印刷する。
【0064】
第1コード生成部43が生成した第1コードは、管理データ送信部48にも与えられる。管理データ送信部48は、印刷機41に印刷対象のコードが出力されたのに応じて、印刷済みの製品を特定するための管理データとして第1コードを管理サーバ2に送信する(ST108)。このST108をもって、1つの製品に対する印刷端末40側の処理は終了する。
【0065】
管理サーバ2の送受信部21は、管理データ送信部48から送信された管理データを受け付けると(ST13が「YES」)、その管理データをデータ管理部23に渡す。データ管理部23は、製造固有情報データベース20を検索し、管理データに対応する製造固有情報を特定する(ST14)。さらに、データ管理部13は、この特定された当該製品の製造固有情報に、コードが印刷済みであることを示す情報を関連付けて記憶する処理(たとえば「印刷処理済み」を示すフラグを付けるなど)を実行する(ST15)。このST15をもって、1つの製品に対する管理サーバ2側の処理も終了する。
【0066】
なお、印刷端末40における処理は上記に限らず、ST107の印刷処理を行った後、ST108を省略してST101に戻るようなフローチャートとしてもよい。この場合、印刷端末40は、1つの製品に対する印刷処理をする度に管理サーバ2へ送信を行うのでなく、管理データ送信部48が複数の管理データ(印刷処理済みの情報)を蓄積しておき、蓄積した管理データをまとめて所定のタイミングで管理サーバ2へ送信する構成となる。また、管理サーバ2では、複数の管理データについてST14、ST15の処理を行なうことになる。
【0067】
図7は、物品管理システム1内のコードの判定に関する機能を示す。
判定用サーバ3には、ユーザ端末7からの判定要求を受け付ける判定要求受付部31や、ユーザ端末7に判定結果を返送するための判定結果送信部36が設けられる。さらに、読取データ送信部32、処理結果受付部33、識別コード生成部34、判定処理部35などが設けられる。
【0068】
管理サーバ2には、第1コード取得部24、第2コード生成部25、処理結果送信部26などが設けられる。さらに、印刷処理に関与したデータ管理部23および製造固有情報データベース20は、コードの判定の処理にも使用される。
【0069】
図8は、コードの判定処理について、判定用サーバ3および管理サーバ2において実行される処理の流れを示す。この図8では、判定用サーバ3側の処理のステップを200番代の数字で示し、管理サーバ2側の処理のステップを20番代の数字で示す。また、図6と同様に装置間における処理の関係を点線矢印で示している。
【0070】
以下、図8の流れに沿って、図7に示した各種機能により実行される判定処理を説明する。
【0071】
判定用サーバ3側の処理は、ユーザ端末6から、2次元コードの読取データおよび識別コードを表す文字列データを含む判定要求を受信したことに応じて開始される。判定要求受付部31は、この要求を受け付けると、読取データおよび識別コードを、それぞれ個別に抽出する(ST201,202)。なお、以下では、便宜上、判定要求から抽出された識別コードを、「識別コード(A)」とする。
【0072】
2次元コードの読取データは、読取データ送信部32に渡され、管理サーバ2に送信される(ST203)。管理サーバ2の第1コード取得部24は、この読取データを第1コードとして受信し、データ管理部23に渡す(ST21)。
【0073】
データ管理部23では、供給された第1コードに含まれたキー情報を認識し、そのキー情報に基づいて製造固有情報データベース20を検索する(ST22)。この検索によりキー情報に対応する製造固有情報を抽出できた場合には、さらに、抽出された製造固有情報と第1コードとの全体構成を比較する。この結果、両者が完全一致した場合には、抽出された製造固有情報に「印刷処理済み」の情報が書き込まれているかどうかをチェックする(ST24)。
【0074】
第1コードに完全に一致する製造固有情報が抽出されなかった場合(ST23が「NO」の場合)、または対応する情報は抽出できたが、その製造固有情報に「印刷処理済み」の情報が書き込まれていない場合(ST24が「NO」の場合)には、データ管理部23は処理結果送信部26に連絡して、「NG」を示すコードを判定用サーバ3に送信させる(ST27)。
【0075】
一方、第1コードと同一の内容を含む製造固有情報が抽出され、その情報に「印刷処理済み」の情報が書き込まれている場合(ST23,24がともに「YES」の場合)には、データ管理部23は、この製造固有情報を第2コード生成部25に供給する。第2コード生成部25は、印刷端末40側の第2コード生成部44と同様のルールに基づき、供給された製造固有情報から第2コードを生成する(ST25)。この第2コードは、処理結果送信部26により判定用サーバ3に送信される(ST26)。
【0076】
判定用サーバ3からの読取データの送信に対する管理サーバ2側の処理は、上記のST26またはST27をもって終了する。送信されたデータは、判定用サーバ3の処理結果受付部23に取り込まれる。
【0077】
処理結果受付部33が管理サーバ2から第2コードの送信を受け付けた場合(ST204が「YES」の場合)には、この第2コードは識別コード生成部34に与えられる。識別コード生成部34は、印刷端末40側の識別コード生成部46と同一の暗号化ルールに基づき、第2コードを暗号化して識別コードを生成する(ST205)。以下、この管理サーバ2からの第2コードを用いて生成された識別コードを、「識別コード(B)」という。
【0078】
判定処理部35は、判定要求受付部31により抽出された識別コード(A)と、識別コード生成部34により生成された識別コード(B)とを取り込んで、両者を照合する(ST206)。この照合により、2つのコードが一致した場合(ST207が「YES」の場合)には、判定処理部35は判定結果送信部36に「OK」のコードを与え、ユーザ端末7に送信させる(ST208)。一方、2つのコードが一致しなかった場合(ST207が「NO」の場合)には、判定処理部35は判定結果送信部36に「NG」のコードを与え、ユーザ端末7に送信させる(ST209)。
【0079】
一方、処理結果受付部33が、2次元コードではなく、「NG」のコードを受け付けた場合(ST204が「NO」の場合)には、そのコードは判定処理部35に渡される。この場合の判定処理部35は、照合処理を行うことなく、判定結果送信部36に「NG」のコードを与えて送信させる(ST209)。
【0080】
ST208またはST209の送信処理が終了すると、判定処理部35は、送信した判定結果を、その判定に関係する各種情報(読取データ、識別コード(A)(B)など)とともに、図示しないメモリに保存する(ST210)。この処理をもって、ユーザ端末7からの判定要求に対する処理は終了する。
【0081】
なお、上記図7,8の例では、判定用サーバ3からの読取データの送信に対し、管理サーバ2から第2コードを送信しているが、第2コードのセキュリティ保護を万全にするために、管理サーバ2側に識別コードの生成機能を設定し、読取データの送信に応じて識別コード(B)を返送するようにしてもよい。
【0082】
図8に示した一連の処理によれば、判定対象の製品が正規のものであれば、判定要求から抽出された識別コード(A)と、管理サーバ2からの第2コードにより生成された識別コード(B)とは、必ず一致し、判定要求に対し「OK」の判定結果が送信される。
【0083】
一方、判定対象の製品が偽造品であり、2次元コードがいずれかの製品から複製され、識別コードがでたらめに書き換えられている場合には、識別コード(A)と識別コード(B)とは一致せず、ユーザ端末7には「NG」の判定結果が送信される。
【0084】
また、2次元コードが偽造される場合もあるが、殆どの場合、偽造された2次元コードに対応する製造固有情報は存在しないと考えられる。したがって、判定用サーバ3から送信された読取データに対し、管理サーバ2側で対応する情報を抽出できず、「NG」のコードが返送され、ユーザ端末7にも「NG」の判定結果が送信される。また偶然に、偽造された2次元コードに対応する製造固有情報が存在したとしても、その製造固有情報中の第2コードに含まれる個別情報Yは、製造固有管理サーバ2内に保持されているので、第3者がこれを取得して正しい識別コードを導出できる可能性は、殆どないと考えられる。したがって、識別コードが偽造された場合と同様に、識別コード(A)と識別コード(B)とが一致しない状態になるから、ユーザ端末7には、やはり「NG」が送信される。
【0085】
このように、上記のシステムの判定処理によれば、コードの正否を簡単かつ正確に、判定することができる。
【0086】
なお、上記の物品管理システム1には、2つのサーバ2,3が設けられており、管理サーバ2は、2種類のコードを印刷する処理と、印刷されたコードの正否を判定する処理の双方に関与しているが、サーバ2,3を1つにまとめてもよい。
【0087】
また、2種類の処理を同じシステム内で行うのに代えて、処理の内容毎にシステムを分離してもよい。この場合、第2コードのセキュリティを確保できるのであれば、印刷処理側のシステムから判定側のシステムに、印刷済みの各製品にかかる第1、第2のコードを送信し、判定側のシステムに蓄積するようにしてもよい。この場合、判定側のシステムは、「それぞれ固有の内容を示す第1コードを表す光学情報コードがマーキングされた複数の正規の物品について、その物品に関する一群の情報を用いて生成され、かつその一群の情報中の物品毎に固有の内容の情報であって第1コードに含まれていない情報を含み、所定の変換処理によって光学情報コードとともにマーキングされた文字列に変換される第2コードが、第1コードに対応づけられて格納された記憶手段」を具備することになる。
【0088】
また、上記の物品管理システム1は、電子部品を対象にするものであるが、電子部品以外の物品(ブランド品、クレジットカードなど)についても同様の構成のシステムを構築することができる。この場合、物品によっては、電子部品の場合のように種々の個別情報が発生しないケースもあるが、たとえば、複数の乱数を生成し、これらを組み合わせるなどの方法によって、物品毎に固有の内容の情報を作成し、これを第2コードの個別情報Yとして使用することができる。
【0089】
また、上記した実施例では、製造固有情報を全て管理サーバ2内で管理しているが、第1コードを構成する情報については、管理サーバ2以外の場所に複製して保存してもよい。たとえば、印刷対象物が大型であれば、第1コードを構成する情報を物品毎にRFIDタグなどの記憶媒体に格納して印刷対象物に付し、印刷機に導かれる途中に第1コードの読取を行うようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】物品管理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】2次元コードおよび識別コードの印刷例を示す説明図である。
【図3】2種類のコードの元になるデータの構成例を示す説明図である。
【図4】2種類のコードの元になるデータの構成の他の例を示す説明図である。
【図5】印刷処理に関する機能ブロック図である。
【図6】印刷処理に関する処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】コードの判定処理に関する機能ブロック図である。
【図8】コードの判定処理の流れを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0091】
1 物品管理システム
2 製造固有情報管理サーバ
3 判定用サーバ
4 印刷ステーション
7 ユーザ端末
20 製造固有情報データベース
23 データ管理部
25 第2コード生成部
31 判定要求受付部
35 判定処理部
36 判定結果送信部
40 印刷処理用端末装置
41 印刷機
43 第1コード生成部
44 第2コード生成部
45 2次元コード生成部
46 識別コード生成部
47 印刷処理部
100 製品
101 ラベル
102 パッケージ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の管理のために光学情報コードおよび文字列によるコードを物品またはその付属物にマーキングするシステムであって、
物品に関する複数種の情報が、個々の物品毎にその物品に関する一群の情報を特定できるように関連づけられて格納された記憶手段と、
各物品について、それぞれ前記記憶手段中の当該物品につき特定される一群の情報のうちの一部を用いて、その物品に固有の内容を示す第1コードを生成する第1コード生成手段と、
各物品について、それぞれ前記一群の情報中の物品毎に固有の内容の情報であって第1コードに含まれていない情報を含む第2コードを生成する第2コード生成手段と、
前記第1コードを表す光学情報コードを生成する光学情報コード生成手段と、
前記第2コードに所定の変換処理を施してマーキング対象の文字列のデータを生成する文字列データ生成手段と、
前記第1コードを表す光学情報コードと、第2コードから生成された文字列データとを用いて、前記マーキング処理を実行するマーキング手段とを、
具備する物品管理用コードのマーキング処理システム。
【請求項2】
前記記憶手段は、物品毎に固有の内容の情報をキーにして一物品に対応する情報群を読み出せるように構成されており、前記第1コード生成手段は、前記第1コードとして、前記キーとなる情報を含むコードを生成する請求項1に記載された物品管理用コードのマーキング処理システム。
【請求項3】
前記記憶手段には、各物品について物品の管理者が設定した秘密情報が含まれており、
前記第2コード生成手段は、前記第2コードとして、処理対象の物品に対応する秘密情報を含むコードを生成し、
前記文字列データ生成手段は、前記第2コードを前記秘密情報が現れないコードに変換する演算を実行し、この演算により得られたコードから前記文字列データを生成する請求項1に記載された物品管理用コードのマーキング処理システム。
【請求項4】
物品またはその付属物にマーキングされた光学情報コードおよび所定の文字列を対象に、そのマーキング内容の正否を判定するシステムであって、
それぞれ固有の内容を示す第1コードを表す光学情報コードがマーキングされた複数の正規の物品について、その物品に関する一群の情報を用いて生成され、かつその一群の情報中の物品毎に固有の内容の情報であって第1コードに含まれていない情報を含み、所定の変換処理によって前記光学情報コードとともにマーキングされた文字列に変換される第2コードが、第1コードに対応づけられて格納された記憶手段と、
任意の物品について、その物品にマーキングされた光学情報コードに対する読取処理により得られた読取データおよび前記文字列の内容を表す文字列データの入力を受け付ける入力手段と、
前記入力手段が受け付けた読取データを第1コードとして前記記憶手段を検索して、そのコードに対応する第2コードを特定するコード特定手段と、
前記コード特定手段により特定された第2コードを用いた前記変換処理によりマーキング対象の文字列データを生成した場合に、前記入力手段が受け付けたのと同一の文字列データが得られるかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を前記マーキング内容の正否を示す情報として出力する判定結果出力手段とを、具備するコード判定システム。
【請求項5】
前記入力手段は、外部装置から読取データおよび文字列データの送信を受け付ける手段として構成されるとともに、前記判定結果出力手段は、前記読取データおよび文字列データの送信を行った外部装置に前記マーキング内容の正否を示す情報を返送する手段として構成される請求項4に記載されたコード判定システム。
【請求項6】
物品の管理のために光学情報コードおよび文字列によるコードを物品またはその付属物にマーキングする機能と、前記各コードのマーキング内容の正否を判定する機能とを具備するシステムであって、
物品に関する複数種の情報が、個々の物品毎にその物品に関する一群の情報を特定できるように関連づけられて格納された記憶手段と、
各物品について、それぞれ前記記憶手段中の当該物品につき特定される一群の情報のうちの一部を用いて、その物品に固有の内容を示す第1コードを生成する第1コード生成手段と、
各物品について、それぞれ前記一群の情報中の物品毎に固有の内容の情報であって第1コードに含まれていない情報を含む第2コードを生成する第2コード生成手段と、
前記第1コードを表す光学情報コードを生成する光学情報コード生成手段と、
前記第2コードに所定の変換処理を施してマーキング対象の文字列のデータを生成する文字列データ生成手段と、
前記第1コードを表す光学情報コードと、第2コードから生成された文字列データとを用いて、前記マーキング処理を実行するマーキング手段と、
任意の物品について、その物品にマーキングされた光学情報コードに対する読取処理により得た読取データおよび前記文字列の内容を表す文字列データの入力を受け付ける入力手段と、
前記入力手段が受け付けた読取データを第1コードとして前記記憶手段を検索して、そのコードに対応する第2コードを特定するコード特定手段と、
前記コード特定手段により特定された第2コードを用いて前記文字列データ生成手段が文字列データを生成した場合に、前記入力手段が受け付けたのと同一の文字列データが得られるかどうかを判定する判定手段と、
前記判定手段による判定結果を前記コードの印刷内容の正否を示す情報として出力する判定結果出力手段とを、具備することを特徴とする物品管理システム。
【請求項7】
物品またはその付属物に管理用のコードをマーキングする方法であって、
物品毎に、その物品に関する一群の情報のうちの一部を用いて、当該物品に固有の内容を示す第1コードを生成するとともに、前記情報群中の物品毎に固有の内容の情報であって第1コードに含まれていない情報を含む第2コードを生成するステップ、
前記第1コードを表す光学情報コードを生成するステップ、
前記第2コードに所定の変換処理を施してマーキング対象の文字列のデータを生成するステップ、
各物品につき、それぞれ前記第1コードを表す光学情報コードと、前記第2コードから生成された文字列データによる文字列とを、当該物品またはその付属物にマーキングするステップ、の各ステップを実行する物品管理用コードのマーキング方法。
【請求項8】
物品またはその付属物にマーキングされた光学情報コードおよび所定の文字列を対象に、そのマーキング内容の正否を判定する方法であって、
それぞれ固有の内容を示す第1コードを表す光学情報コードがマーキングされた複数の正規の物品について、その物品に関する一群の情報を用いて生成され、かつその一群の情報中の物品毎に固有の内容の情報であって第1コードに含まれていない情報を含み、所定の変換処理によって前記光学情報コードとともにマーキングされた文字列に変換される第2コードを、第1コードに対応づけて記憶手段に格納するステップ、
任意の物品について、その物品にマーキングされた光学情報コードに対する読取処理により得た読取データおよび前記文字列の内容を表す文字列データの入力を受け付けるステップ、
前記入力された読取データを第1コードとして前記記憶手段を検索して、そのコードに対応する第2コードを特定するステップ、
前記特定された第2コードを用いた前記変換処理によりマーキング対象の文字列データを生成した場合に、前記入力されたのと同一の文字列データが得られるかどうかを判定するステップ、
前記判定の結果を前記マーキング内容の正否を示す情報として出力するステップ、
の各ステップを実行する物品管理用のコード判定方法。
【請求項9】
特定の物品に関する光学情報コードおよび文字列がマーキングされた情報表示物であって、
前記光学情報コードは、前記特定の物品に関する一群の情報のうちの一部を用いて生成され、かつ当該物品に固有の内容を示す第1コードを表すものであり、
前記文字列は、前記一群の情報中の物品毎に固有の内容の情報であって第1コードに含まれていない情報を含む第2コードに、所定の変換処理を施して得られたものである、情報表示物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−77240(P2008−77240A)
【公開日】平成20年4月3日(2008.4.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−253521(P2006−253521)
【出願日】平成18年9月19日(2006.9.19)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)
【Fターム(参考)】