説明

物理的な物体をサーチするシステム及び方法

物理的な物体をサーチするシステム及び方法。システムは、関連した一物体上にそれぞれのタグが配置された1つ又は複数のタグと、各サブステーション付近の範囲内にあるタグと通信するよう各サブステーションが構成された1つ又は複数のサブステーションと、各ベース・ステーション付近の範囲内にあるサブステーションと通信するよう各ベース・ステーションが構成された1つ又は複数のベース・ステーションと、各ベース・ステーション付近の範囲内のサブステーションに、サーチ・クエリに応答して問い合わせて、サーチ・クエリのサーチ物体が、それぞれのサブステーション付近の範囲内にあるか否かを判定する、各ベース・ステーションにある問い合わせエンジンとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物理的な物体をサーチするシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報及び通信技術における進展により、データのダウンロ―ドを行い、データを局所で保存することがもう必要でないほど、サーチ・クエリに対する情報の生成が効率的になってきている。よって、今日では、インターネット上で情報を調べることは容易な作業である。
【0003】
更に、効率性を損なうことなく、計画及び整理において必要な時間及び労力が少なくなっている。例えば、グーグル社のジーメール(Gmail)は、電子メールを効率的にラベリングし、サーチすることを可能にしている。今日では、人々は、自分の電子メールの整理及びファイリングを行わなくて済むことが可能である。
【0004】
しかし、物理的な物体のサーチは、骨が折れ、困難な作業に留まっている。特定の物体を探すことや、将来、容易に取り出すことができるために物理的な物体を整理することに、多大な時間及び労力を費やし得る。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、前述の課題を解決するために、物理的な物体をサーチするシステム及び方法を提供することに対する必要性が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の局面によれば、物理的な物体をサーチするシステムを提供する。このシステムは、関連した一物体上にそれぞれのタグが配置された1つ又は複数のタグと、それぞれのサブステーション付近の範囲内にあるタグと、それぞれのサブステーションが通信するよう構成された1つ又は複数のサブステーションと、各ベース・ステーション付近の範囲内にあるサブステーションと通信するようそれぞれのベース・ステーションが構成された1つ又は複数のベース・ステーションと、各ベース・ステーションに存在し、各ベース・ステーション付近の範囲内のサブステーションにサーチ・クエリに応じて問い合わせて、サーチ・クエリのサーチ物体がそれぞれのサブステーション付近の範囲内にあるか否かを判定する問い合わせエンジンとを備える。
【0007】
システムは、サーチ・クエリを入力し、サーチ結果を表示する1つ又は複数のクエリ端末を更に備え得る。
【0008】
各サブステーションは、それぞれのタグからの信号強度を示す値とともに、各サブステーション付近の範囲内のタグのタグ記述のリストを問い合わせエンジンに供給することができる。
【0009】
2つ以上のサブステーション付近の範囲内に1つのタグがある場合、問い合わせエンジンは、信号強度を示す、より高い値が受信されるサブステーションに上記1つのタグを割り当てることができる。
【0010】
タグ記述は、タグが配置されているそれぞれの物理的な物体の記述を備えることができる。
【0011】
各ベース・ステーションは、各ベース・ステーションの範囲に対応する空間に公的又は私的としてラベリングするよう構成することができ、問い合わせエンジンは、空間が公的であるか、又は私的であるか(ユーザに関連した)に応じたやり方でサーチ・クエリを処理することができる。
【0012】
各タグは、関連した物体を公的又は私的としてラベリングするよう構成することができ、問い合わせエンジンは、物体が公的であるか、又は私的であるか(ユーザに関連している)に応じたやり方でサーチ・クエリを処理することができる。
【0013】
問い合わせエンジンは、サーチ物体が公的であり、私的空間内にある場合、2値形式におけるサーチ結果の表示を指示することができる。
問い合わせエンジンは、サーチ物体が、一ユーザに関連した私的なものであり、サーチ・物体が、別のユーザに関連した私的空間にある場合に、2値形式においてサーチ結果の表示を指示することができる。
【0014】
問い合わせエンジンは、ベース・ステーション内に集中させて実現することができるか、又は、問い合わせエンジンは、ベース・ステーション上、及び1つ又は複数のサブステーション上若しくはタグ上に分散させて実現することができる。
【0015】
問い合わせエンジン・プロトコルは、エネルギ、レーテンシ又は両方について最適化することができる。
【0016】
本発明の第2の局面によれば、物理的な物体をサーチする方法を提供する。この方法は、関連した一物体上にそれぞれのタグが配置された1つ又は複数のタグを配置する工程と、それぞれのサブステーション付近の範囲内にあるタグと通信するよう、1つ又は複数のサブステーションを構成する工程と、各ベース・ステーション付近の範囲内にあるサブステーションと通信するよう1つ又は複数のベース・ステーションを構成する工程と、各ベース・ステーションに存在し、各ベース・ステーション付近の範囲内のサブステーションにサーチ・クエリに応じて問い合わせる問い合わせエンジンを利用して、サーチ・クエリのサーチ物体がそれぞれのサブステーション付近の範囲内にあるか否かを判定する工程とを備える。
方法は、サーチ・クエリを入力し、サーチ結果を表示する1つ又は複数のクエリ端末を利用する工程を更に備え得る。
【0017】
方法は、それぞれのタグからの信号強度を示す値とともに、各サブステーション付近の範囲内のタグのタグ記述のリストを問い合わせエンジンに供給するために各サブステーションを利用する工程を更に備え得る。
【0018】
方法は、2つ以上のサブステーション付近の範囲内に1つのタグがある場合、信号強度を示す、より高い値が受信されるサブステーションに上記1つのタグを割り当てるために問い合わせエンジンを利用する工程を更に備え得る。
タグ記述は、タグが配置されているそれぞれの物理的な物体の記述を備えることができる。
【0019】
方法は、各ベース・ステーションの範囲に対応する空間に公的又は私的としてラベリングするよう各ベース・ステーションを構成する工程と、空間が公的であるか、又は私的であるか(ユーザに関連している)に応じたやり方でサーチ・クエリを処理する問い合わせエンジンを利用する工程とを更に備え得る。
【0020】
方法は、関連した物体を公的又は私的としてラベリングするよう各タグを構成する工程と、物体が公的であるか、又は私的であるか(ユーザに関連している)に応じたやり方でサーチ・クエリを処理する問い合わせエンジンを利用する工程とを更に備えることができる。
【0021】
方法は、サーチ・物体が公的であり、私的空間内にある場合、2値形式におけるサーチ結果の表示を指示する問い合わせエンジンを利用する工程を更に備えることができる。
方法は、サーチ物体が、一ユーザに関連した私的なものであり、サーチ物体が、別のユーザに関連した私的空間にある場合に、2値形式におけるサーチ結果の表示を指示する問い合わせエンジンを利用する工程を更に備えることができる。
【0022】
方法は、ベース・ステーション内に集中させて問い合わせエンジンを実現するか、又は、ベース・ステーション上、及び1つ又は複数のサブステーション上若しくはタグ上に分散させて問い合わせエンジンを実現する工程を更に備えることができる。
【0023】
方法は、エネルギ、レーテンシ又は両方について、問い合わせエンジン・プロトコルを最適化する工程を更に備えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施例は、以下の記載から、単なる例として、かつ、図面とともに、当業者にとってより深く理解され、容易に明らかになるであろう。
【実施例】
【0025】
別途明記しない限り、かつ、以下から明らかなように、本明細書を通して、「送出」、「算出」、「判定」、「ブロードキャスト」、「生成」、「取り出し」、「出力」等などの語を利用した記載は、コンピュータ・システム内の物理的数量として表されるデータを操作し、コンピュータ・システム内やその他の情報記憶、伝送又は表示装置内の物理的数量として同様に表される他のデータに変換する、コンピュータ・システムや同様な電子装置の動作及び処理を表す。
【0026】
図1は、物理的な物体をサーチするシステム100のアーキテクチャの概略図である。システム100は、タグ102、サブステーション104、及びベース・ステーション106を備える。タグ102、サブステーション104、及びベース・ステーション106は、物体の製造時に埋め込まれる。あるいは、タグ102、サブステーション104、及びベース・ステーション106は、システム100のユーザによって物体上に配置することが可能である。例えば、印刷可能なアンテナを用いることにより、物体のディスクリプタ(例えば、著者及び題名を備えた著書)をタグ102に書き込み、タグ102を物体上に貼着させることは簡単になる。
【0027】
システム100は階層型アーキテクチャ(より低い階層における物体は、より高い階層における物体よりも高いモバイル性を有する)を採用している。ベース・ステーション106は、システム・アークテクチャにおける階層の最高レベルにある。各ベース・ステーション106は、静的であり、場所のディスクリプタ(例えば、ジャックのオフィス)を記憶する。場所のサイズに応じて、場所毎に1つ又は複数のベース・ステーション106があり得る。更に、ベース・ステーション106は、バックボーン・ネットワーク108とタグ102との間のゲートウェイとしても作動する。
【0028】
ベース・ステーション106は、サブステーション104と通信する、カスタム製の強力な無線周波数識別(RFID)読み取り器又は装置であり得る。ベース・ステーション106はメモリ及び処理機能を有する。ベース・ステーション106は電力線によって給電されるので、サブステーション104及びタグ102に対する処理及びエネルギ負担をかなり削減することが可能である。
【0029】
サブステーション104は階層の次レベルにあり、概ね静的であり、たまにしか位置を変えない物体(例えば、家具)を表す。サブステーション104は、それぞれのベース・ステーション106によって問い合わせされる。各サブステーション104は、それが貼着されている物体のディスクリプタ(例えば、コーヒー・テーブル)を記憶する。複数のサブステーション104が、マルチホップ・アドホック・ネットワークを形成し、ベース・ステーション106との間で情報を中継することが可能である。用いられるサブステーション104はより複雑であり、単純なメモリ及び処理機能を有している。これは、集中させた場所における計算の負荷を削減する。サブステーション104は、ハイブリッド・スマート・ダスト(smart dust)装置及びRFID読み取り器であり得る。サブステーション104として用いることが可能な装置の例には、バークレー・モートをRFID読み取り器と統合するスカイテックがある。
【0030】
タグ102は、階層の最低レベルにある。タグ102は、容易に移動可能な物体(例えば、本)に取り付けられる。タグ102それぞれは、それが取り付けられた物体のディスクリプタ(例えば、ハリー・ポッターの本)を記憶する。
【0031】
タグ102はRFIDタグであり得る。RFIDは、2つの基本カテゴリ(負荷ベース及びRFベース)に分けることが可能である。負荷ベースのタグは、RFID読み取り器とタグとの間の誘導結合を介して機能し、その結果、検出範囲は15cm以下に制限される。前述の範囲制限によって、ベース・ステーション106はタグ102からの応答をヒアリングすることができないことがあり得る。サブステーション104は、タグ102からベース・ステーション106に情報を中継する役割を果たさなければならないことになる。よって、タグ102全てからの伝送を受信するために多数のサブステーション104が必要である。一方、負荷ベースのタグを用いることの利点は、精度が向上することである。範囲が制限されており、各タグが、非常に少数のサブステーションの範囲内にあることになるからである。
【0032】
RFIDタグは、アクティブ及びパッシブに更にカテゴリ化することが可能である。パッシブ・タグは、情報の記憶しか行うことが可能でなく、バッテリからの電力を必要としない非常に単純な装置である。読み取り器が前述のタグにエネルギを放射すると、パッシブ・タグは、記憶された情報の送信によって応答する。パッシブ・タグを用いることの利点は、パッシブ・タグが、電力源を必要とせず、長期間の間、持ち得ることである。標準的なパッシブRFIDタグを用いることの別の利点は、市販の装置を用いることが可能であり、規模の経済によって費用を節減することが可能であることである。しかし、パッシブ・タグを用いることは、スケーラブルなプロトコルをもたらさないことがあり得る。クエリが何であるかにかかわらず、全てのタグがそのディスクリプタによって応答することになるからである。
【0033】
一方、アクティブ・タグは、バッテリによって給電され、よって、より多くの処理を行うことができる。しかし、アクティブ・タグを用いるうえでの、費用と、性能の利点との間のトレードオフが存在し得る。
【0034】
あるいは、スマート・タグとしても知られているカスタム化されたパッシブ・タグ(単純な論理ゲート、加算器及び比較器を含む)を用いることが可能である。スマート・タグは、クエリをそのディスクリプタと比較し、条件付きでクエリに応答することができる。前述の修正は、バッテリなどの外部エネルギ源を加えることなく可能である。しかし、カスタム化は、規模の経済の損失につながる。それによって、システムの性能と費用との間のトレードオフが生じる。
【0035】
システム100の適用の例を以下に説明する。ユーザは、物体を見つけたい場合、ネットワーク・バックボーン108を介してベース・ステーション106に接続されたクエリ端末110上でクエリを入力する。クエリ端末110は、システム100のヒューマン・マシン・インタフェースを供給することによって、物理的環境における物理的な物体について問い合わせるために用いられる。インタフェースは、プラットフォームに依存し、それによって、デスクトップ型コンピュータ。携帯情報端末や携帯電話機などの装置をクエリ端末110として用いることが可能である。
【0036】
クエリは次いで、1つ又は複数のベース・ステーション106に送出される。ベ―ス・ステーション106それぞれは、付近のサブステーション104及びタグ102にクエリをブロードキャストする。一致する1つ又は複数のクエリ語を記憶したタグ102はベース・ステーション106に応答する。サブステーション104はタグ応答にリスニングし、タグ102からの受信信号強度インディケーション(RSSI)値をベース・ステーション106に通知する。
【0037】
物理的な物体(例えば、携帯電話機)のサーチが行われる都度、物理的な物体は、階層の高レベルにおける物体(例えば、コーヒー・テーブル)に対して位置特定される。したがって、タグ結果は、タグ102の推定された相対位置とともに、一致数の降順で表示される。一致数は、クエリに一致する、タグ102上のディスクリプタの数によって求められる。相対位置は、最大RSSI値でタグ102をヒアリングするサブステーション104とタグ102を関連付けることによって推定される。図2は、サーチ結果のサンプル表示を示す。
【0038】
無線チャネルの時間変動性にもかかわらず、RSSIを用いて、物体のおおよその位置を推定する。概ね静的な環境では、チャネル変動が少ないとみなされるからである。第2に、約1mの伝送範囲をサブステーション104に用いることができる。位置誤差は、伝送範囲に等しい半径の円内で常に有界である。シャドウイングの影響は、狭い伝送範囲において削減され、よって、RSSIは、ユーザが物体をすばやく位置特定することを支援するうえで十分なものである。更に、金属(例えば、金属キャビネット)に入っている物体を位置特定する場合、アンテナが金属キャビネットの外側にあるように、サブステーション104を設計することが可能である。これは、金属キャビネット内に入っている物体が、容易に位置特定されることを可能にする。
【0039】
図1をもう一度参照すれば、システム100は、物理資源の共有及び取引を伴う各種の新たな適用も可能にする。例えば、大学のキャンパスでは、高価で、かつ、見つけることが困難な本を教授と学生との間で共有することが可能である。中古の教科書は、広告を出す手間をかける必要なく、売り出し中とタグを付すことが可能である。
【0040】
システム100は、公衆による物理的な所持物のサーチをユーザが制限することも可能にする。大学のキャンパスにおいて本を共有するという単純な適用を考えてみる。システム100は、特定の著書組を公的として、かつ、残りの著書組を私的としてユーザが表すことを可能にする。ユーザのみが、私的な著書を位置特定することができる一方、誰でも、公的な著書の存在及び場所を求めることができる。更に、ユーザは、自分の個人空間を他の人がサーチ可能である状態を望まないことがあり得る。
【0041】
よって、システム100のこの適用の重要な要素は、セキュリティ及びプライバシである。システム100が直面する、セキュリティ上及びプライバシ上の主たるリスクは、システム100が無線技術を用いて通信することである。したがって、物理的な物体、及び物理空間のプライバシを保護するためのセキュアな認証及びアクセスを用意する必要性が存在している。物体のプライバシは暗号手法によって提供される一方、空間のプライバシは、セキュリティ・エージェント112によって提供される。
【0042】
前述の通り、私的としてマーキングされた物体はその所有者によってのみサーチすることが可能であり、公的としてマーキングされた物体は、誰によってもサーチ可能である。各ユーザはクエリ端末110において認証され、一対の公開暗号鍵及び秘密暗号鍵がユーザのために取り出されるか、又は、新たなユーザのために作成される。
【0043】
タグ102及びサブステーション104のハードウェア上の制約を前提とすれば、タグ102及びサブステーション104によって、如何なる複雑な認証を行うことも実現可能でない。タグ102及びサブステーション104は、情報を暗号化形式で、又は平文として記憶するに過ぎない。それによって、タグ102及びサブステーション104は、単純かつ安価になる。更に、このことによって、無線チャネルを介した鍵の交換が必要でないセキュアなフレームワークが更に提供される。クエリ端末110又はベース・ステーション106は、必要な暗号化及び復号を行うよう企図されている。
【0044】
初期化時に、物体は全て、私的又は公的とマーキングされる。私的な物体は、所有者の公開鍵を用いてそのディスクリプタを暗号化させる一方、公的な物体は、そのディスクリプタを平文として記憶させる。所有者が自らの物体について問い合わせる場合、クエリ文が、クエリ端末110において自らの公開鍵を用いて暗号化される。暗号化されたクエリ及びその平文は同時に、指定されたベース・ステーション106に送られる。暗号化された成分は、私的な物体に一致する一方、平文の成分は、公的な物体全てに一致することになる。結果は全て、次いでクエリ端末110に戻される。クエリ端末110では、暗号化されたディスクリプタが、所有者の秘密鍵によって復号される。
【0045】
システム100では、物理空間を、公的、私的、又は立入禁止として指定することが可能である。物理的な物体に対するクエリを何れのユーザも公的空間において行うことが可能である。しかし、認可されたユーザのみが、立入禁止と指定された空間において物体をサーチすることが可能である。認証は、ベース・ステーション106にあるセキュリティ・エージェント112によって行われる。セキュリティ・エージェント112はクエリ端末110とセキュア・トンネルを介して通信する。ユーザは、ベース・ステーション106が扱う場所に対するクエリを行うことが可能になる前に認証される。RSA暗号化ベースのハンドシェークを用いて、場所の、認可されていない如何なるアクセスも阻止することが可能である。それによって、場所の所有者による、アクセスの付与及び拒否が可能になる。これによって、空間の、認可されていないアクセスが阻止される。空間は、空間の所有者以外の誰に対しても立ち入り禁止である。
【0046】
セキュリティ・エージェント112は、完全にカスタマイズされ、電力線によって給電され、高速バックボーン108に接続されるベース・ステーション106において標準的なソフトウェア認証を用いる。よって、耐久性、処理能力、又は通信オーバヘッドの課題はないか、又は、ほとんどない。私的物体の暗号化をサポートするために、通常、元のクエリ文の容量の2倍のクエリが送出される。
【0047】
図3は、システム100のタグ102と、サブステーション104と、ベース・ステーション106との間の通信を示す。システム100は、伝送費用を最小にする目的で企図されている。特に、システム110は、複数のソースからの単一の受信ノードのバースト的フラッディングを回避し、タイムアウト手法を用いて、欠けているパケットを検出し、再送信する備えを有する。
【0048】
単一のクエリ・セッションは、クエリ端末110(図1)にユーザがクエリを入力することによって始まる。クエリはベース・ステーション106に送出される。クエリを受信した後、ベース・ステーションは、工程302で、サブステーション104の数を求める。工程304で、サブステーション104は、それぞれのIDによって応答する。
【0049】
工程306では、ベース・ステーション106は次いで、クエリをサブステーション104全てに送出する。工程308では、サブステーション104は、付近のタグ102の数を求める。工程310で、タグ102は、サブステーション104がクエリをタグ102にブロードキャストする前に、それぞれのIDによって応答する。工程312で、サブステーション104は、タグ102のタグ・ディスクリプタを要求する。工程314で、タグ102は、それぞれのタグ・ディスクリプタによってサブステーション104に回答する。それぞれのタグ記述が、サブステーション104によってラウンド・ロビン方式でダウンロードされ、その内部EEPROMメモリにキャッシングされる。同時に、クエリ統計が編集され、一致数ベクトルが、工程316でベース・ステーション106に送出される。一致数ベクトルは、値対(すなわち、一致数、及び一致数を有するタグの数)を備える。

サブステーション104全ての一致数ベクトルに基づいて、ベース・ステーション106は、タグ102の一致数閾値についての大局的な判定を行う。重なりの度合いが大きいことにより、工程318で、一致数閾値以上の一致数を有する一致タグについてタグ識別情報をサブステーション104に、サブステーション104に関する関連RSSI値とともにまず要求することによって、タグ・ディスクリプタを繰り返しダウンロードすることが回避される。工程320で、サブステーション104は、タグID、一致数、及びサブステーション104に関するRSSI値によって回答する。
【0050】
工程322では、ベース・ステーション106は次いで、先行して取り出されていないタグ・ディスクリプタを備えたタグを要求し、工程324で、サブステーション104は、タグID、及びサブステーション104に関するRSSI値によって回答する。最後に、工程326で、ベース・ステーション106は、サブステーション104の位置を要求し、工程328で、サブステーション104は、それぞれの位置によって回答する。工程320乃至328は、サブステーション104全てについて、繰り返され、順次行われる。サーチ処理は、適切な情報全てがサブステーション104全てから取り出された際に完了する。
【0051】
サーチ処理の完了時に、選択されたタグ102のタグ・ディスクリプタ、各タグ102付近のサブステーション104のリスト、及びRSSI測定値に基づいたそれぞれの推定至近性がクエリ端末110に送出される。
【0052】
図4は、部屋の中のシステム100の小規模システム実現形態400を示す。システム400は、システム400の設計における各種課題を考察するために開発されている。システム400は、クロスボー社のMICA2無線センサを用いて実現される。MICA2モートは、永久データ記憶のためのEEPROM(512KB)及びRAM(4KB)を備えた8ビットのAVR RISC マイクロコントローラによって構成される。モートは、CC1000低電力RFトランシーバに基づいた無線リンクを備える。タイニーOSが、モートの作動に用いられる。クエリ文及びディスクリプタは全て、複数のパケットによって送出される。29バイトの最大パケット容量が、タイニーOSにおいて備えられているからである。
【0053】
システム400は、クエリ端末として用いられるコンピュータ402、及びベース・ステーション404を備える。コンピュータ402はベース・ステーション404にシリアル・リンク406を介して接続される。クエリが行われる単純なGUIがユーザに提供される。サーチは、ユーザがクエリ列を入力することによって起動される。システムは、サーチ環境を走査し、適切性の降順で一致タグのリストを提示する。ユーザは更に、何れかの特定の関心タグの考えられる位置について照会することができる。
【0054】
コンピュータ402は、シリアル・リンク406を介して接続されたゲートウェイ・モート(図示せず)を有する。ゲートウェイ(図示せず)は、サブステーション408とコンピュータ402との間のインタフェースとしての役目を担う。ベース・ステーション404は、利用可能な資源を利用し、更に、開発及び実証実験を加速化させるために、コンピュータ内のソフトウェアにおいて実現される。システム400は、一致が存在している場合にタグ410がクエリに条件付きで応答することが可能であるものとする。更に、タグ410は、クエリに対する一致数によって応答する機能も有する。
【0055】
物理的な物体をサーチする方法及びシステムは、図9に略示するコンピュータ402上で実現される。これは、コンピュータ402内で実行され、例示的な実施例の方法の実行をコンピュータ402に指示するコンピュータ・プログラムなどの問い合わせエンジンとして実現することができる。
【0056】
コンピュータ402は、コンピュータ・モジュール902、入力モジュール(キーボード904やマウス906など)、及び複数の出力装置(ディスプレイ908やプリンタ910など)を備える。
【0057】
コンピュータ・モジュール902は、例えば、インターネットやその他のネットワーク・システム(ローカル・エリア・ネットワーク(LAN)やワイド・エリア・ネットワーク(WAN)など)へのアクセスを可能にするために、適切なトランシーバ装置914を介してコンピュータ・ネットワーク912に接続される。
【0058】
この例におけるコンピュータ・モジュール902は、プロセッサ918、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)920及びリード・オンリ・メモリ(ROM)922を含む。コンピュータ・モジュール902は、いくつかの入出力(I/O)インタフェース(例えば、ディスプレイ908とのI/Oインタフェース924や、キーボード904とのI/Oインタフェース926)も含む。

コンピュータ・モジュール902の構成部分は通常、相互接続バス928を介して、かつ、当業者に知られているやり方で通信する。
【0059】
アプリケーション・プログラムは通常、CD-ROMやフラッシュ・メモリ担体などのデータ記憶媒体上にコード化され、データ記憶装置930の対応するデータ記憶媒体ドライブを利用して読み出されて、コンピュータ402のユーザに供給される。物理的な物体のサーチもインターネットを用いて行うことが可能である。アプリケーション・プログラムは、その実行においてプロセッサ918によって読み出され、制御される。プログラム・データの中間記憶は、RAM920を用いて達成することができる。
【0060】
近似の位置特定が十分であることを検証するために、システム400上の機密のユーザの実証実験が行われる。タギングされた4つの物体、及び7つのサブステーション408が部屋の中に配置される。ユーザの実証実験では、部屋及び4つの物体を公的とマーキングしている。
【0061】
部屋の正確なレイアウトについての事前の知識のないランダムな十の対象者が、タグを付された物体を部屋内で見つけるよう指示される。前述の対象者は、2つの物体をシステム400によって位置特定し、2つの物体を手作業で位置特定するよう指示される。物体対毎に、一方は可視であり、他方は可視範囲内にない。対象者には、探す物体の単純な説明がされる。同様に、システムは、物体の位置の非常に単純かつ大ざっぱな説明をユーザに行う。同時に、サブステーション408及びタグ410は全て、余分な視覚キューを阻止するために、隠れて見ええないようにする。
【0062】
システム400を利用しない場合、物体の位置特定に要する平均時間は約101.4秒であり、標準偏差は約87.3秒である。所要時間は、おおよそ10秒乃至300秒である。システムを利用した場合、タイミングは、約39.8秒の平均、及び約35.5秒の標準偏差に改善する。所要最小時間及び所要最大時間はそれぞれ、約2秒及び110秒改善する。システムなしで物体をサーチすることを対象者があきらめた3つの場合が存在している。システム400の利用によって、ユーザは、約15秒と約70秒との間で物体を見つけることができている。
【0063】
プロトタイプの適用及びテストにより、RSSI測定値は、タグ410及びサブステーション408の至近性以外の種々の理由で変動することが明らかになった。 RSSI測定値は、送信電力に大きく依存している。更に、測定値が、モノポール・アンテナの指向性に依存することも明らかになった。
【0064】
RFベースの比較的長い伝送範囲が理由で、大きい重なりがシステム400において生じ得る。これは、システムのスケーラビリティに対して数多くの制約をもたらし得る。サブステーション408それぞれが、その伝送範囲において、より多くのタグ410を扱う必要があるので、タグ・ディスクリプタをキャッシングするために必要なメモリ容量は膨大になってしまう。したがって、システム400の如何なる実現形態においても、サブステーション408の所要メモリ容量を注意深く検討しなければならない。
【0065】
重なりが大きいことによって、輻輳が増大し、よって、パケット喪失の確率が高くなる。結果として生じる再伝送によって、遅延が大きくなってしまいかねない。同時に、チャネル・アクセスを得ることができないことによって、未処理メッセージをキューが格納することが必要であることにつながり得る。このメッセージ・キューによって、サブステーション408において必要なメモリが相当の容量になる。このことは、システム効率及び遅延に関して、重なりが「わずかであるか、又はない」システムが望ましいことを示唆している。すなわち、長距離RFIDは、必要なサブステーション408の数を削減するために用いることができるが、遅延及びレーテンシの増大をもたらし得る。
【0066】
部屋が私的とマーキングされている場合、検討する物理的な物体の3つのクラス(すなわち、私的空間の所有者によって所有される公的な物体及び私的な物体、並びに第三者によって所有される私的な物体)が存在している。私的空間における公的な物体又は私的な物体のクエリに対して、各種ユーザに戻されるサーチ結果を示すシステム400の別のアプリケーションを以下に説明する。
【0067】
例示的なシナリオでは、3名の人物(すなわち、アリス、ボブ及びチャーリー)が存在している。アリスは部屋を自分の私的空間として指定している。部屋には、アリスが所有しているいくつかの公的な物体、及びいくつかの私的な物体を有する。ボブは、私的とマーキングされた自分の携帯電話機をアリスの部屋の中に置き忘れてしまった。アリスの家の中のベース・ステーション404にあるセキュリティ・エージェント(図示せず)は、アリスを認証し、アリスが所有する公的な物体及び私的な物体全てをアリスがサーチすることを可能にし、前述の物体の位置がアリスに戻される。
【0068】
チャーリーが、アリスの部屋の中の公的な物体をサーチした場合、平文のクエリ、及び、チャーリーの公開鍵によって暗号化されたクエリが併せて送出される。アリスの私的な物体は自分の秘密鍵によって暗号化されているので、自分の家の中にある公的な物体のみが平文クエリに一致する。更に、ベース・ステーション404におけるセキュリティ・エージェント(図示せず)は、アリスの部屋の中の物体の位置を供給することなく、アリスの部屋における物体の有無を示す2値回答のみがチャーリーに戻されるようにする。
【0069】
ボブが、アリスの部屋の中の自分の携帯電話機をサーチした場合、平文クエリ、及びボブの公開鍵による暗号化文が併せて送出される。この場合、ボブの携帯電話機は、暗号化クエリに一致することになる。しかし、アリスの部屋の中のボブの携帯電話機の有無を示す二値結果のみがボブに戻される。
【0070】
クエリ・プロトコルの設計
もう一度、図1を参照すれば、システム100(図1)の設計上の選択は、装置(例えば、比較器及びクエリ・プロトコルを用いた、カスタマイズされたパッシブ・タグ)に依存する。2つの重要な関心課題には、エネルギ及びレーテンシがある。サブステーション104は、バッテリによって給電されるものとするので、エネルギは、装置及びシステム100の耐久性を確実にするために、できる限り節減すべき重要な資源である。更に、ユーザ体験を拡充させるために、結果をユーザにできる限りすばやく戻さなければならない。
【0071】
遅延最適プロトコル及びエネルギ最適プロトコルを設計するために用いる方法論を以下に説明する。有効なプロトコルとして、開始状態から、所望の終了状態にシステム100を持っていく動作群がある。最適化の制約は、システムに利用可能な動作組である。方法論を用いて、種々の装置の選択を備えたシステム100の性能が調査される。以下に表す方法論は、最適クエリ・プロトコルを求めるために行われる最後の最適化の小さいが代表的な部分集合である。
【0072】
プロトコルに到達する1つのやり方として、考えられる手法全てを考察することがある。図5aは、考えられる2つの手法を示すフロー図を示す。前述のオプション間の選択をそれらの合計費用を比較することによって行うことが可能である。
【0073】
工程502では、サブステーションはクエリ文を知る。工程502の後、2つのオプション504と506との間で選択を行わなければならない。オプション504が選ばれた場合、
サブステーションは、工程508で、タグに向けてクエリ文を送出する。工程510で、タグはクエリ文を知る。工程512で、タグは一致数識別情報(id)を算出する。工程514で、タグは一致数idを知る。工程516で、タグは一致数idをサブステーションに送出する。
【0074】
オプション506が選ばれた場合、工程518で、サブステーションは、ディスクリプタ全てに対するクエリをタグに向けて送出する。工程520では、タグは、ディスクリプタに対するクエリを知る。工程522では、タグは、ディスクリプタによって回答する。工程524では、サブステーションは、タグ・ディスクリプタ全てを知る。工程526では、サブステーションは一致数idを算出する。
【0075】
オプション504及び506の最後の工程528では、サブステーションは、タグ全ての一致数idを知る。
【0076】
最善のプロトコルに対する体系的なサーチを可能にするために、動作の考えられる組み合わせ全てが考察される。各動作はシステムの状態を1つの状態から別の状態に持っていく。更に、各動作は、実行に必要な労力を表す費用に関連付けられる。よって、プロトコルの費用は、その動作全てに関連した費用の合計である。同時に、各動作は、実行することができることに先行して、特定の前提状態を必要とする。
【0077】
扱いやすい課題を公式化するためには、状態がマルコフ過程であることを確実にすることが好ましい。これは、各状態において考えられる動作が、先行状態とは無関係であることを確実にすることができる。
【0078】
基本状態は、システムにおける装置の知識を表すよう定義される。例えば、図5aの基本状態Aは、ユーザによって入力されるクエリ文をサブステーションが分かることを表す。
【0079】
動作は、一基本状態から別の基本状態にシステムを変換し、その過程で費用が生じる。基本状態-動作対を前提とすれば、後続する基本状態を求めることが可能である。図5aの動作1は、「サブステーションがクエリ文を送出する」として表す。動作1は、基本状態Aを前提条件状態として必要とし、システムを次の基本状態Bに持っていく。

状態は、基本状態のベクトルとして定義される。例えば、状態[A;B]532は、図5bに示すように、基本状態A及びBを有する。よって、システムは、図5aの動作1を用いて状態[A]530から状態[A;B]532に移動させることが可能である。
【0080】
システムの状態及び動作を定義した後、規定された開始状態530から所望の終了状態534までの最小コスト・パスを求めることによって、最適なプロトコルを設計することが可能である。いくつかの終了状態を、システムのプロトコルとして受け入れることが可能である。よって、コストレス動作を用いて種々の考えられる終了状態から到達することが可能な人工的な終了状態が作成される。コストレス動作は、図5bにおける任意の終了状態534に、基本状態Fを含む各状態を移動させる動作である。状態は、グラフの頂点として表され、動作は稜線として表される。各稜線は、対応する動作の実行に必要なエネルギ又は遅延に対応する重みを有する。何れかの最短パス・アルゴリズム(ダイクストラのアルゴリズムなど)を用いて、最適なプロトコルを求めることが可能である。
【0081】
上記方法論によれば、45の基本状態及び64の動作を公式化することが可能である。基本状態は基本的には、各装置の知識(クエリ文、一致数、ディスクリプタ、及び行われる何れかの判定におおよそカテゴリ化することが可能である)を表す。したがって、考えられる基本状態の注意深い置換を行うことが可能である。一方、処理動作の考えられるリストは、装置において利用可能な情報(すなわち、基本状態)によって有界である。別の装置に情報を送るか、又は新たな情報を取得するよう処理することが可能であるに過ぎない。よって、処理動作を網羅的にリスト化することが可能である。開始基本状態でない限り、各基本状態は動作を介して別の基本状態から達成可能でなければならないことを確認することが重要である。同時に、各基本状態は、終了基本状態でない限り、別の基本状態に移動させることを可能にする動作を有していなければならない。これによって、基本状態及び動作の組が一貫しているようにすることが可能である。考えられる状態全てがリスト化された場合、合計で3,518×1013の考えられる状態があり得る。注意深く検討することによって、状態数は89,350まで劇的に削減することが可能である。この課題が扱いやすい状態に留まるために、前述の検討が好ましい。前述の検討は図5bに示す。図5bでは、合計で32個の状態を生成することが可能である一方、14個の状態のみが考えられる。状態のリスト化は自動化することが可能である。
【0082】
サブステーションによるRFIDタグの目録作成は、一回限りのプロセスである。この一回限りのプロセスの、各クエリに対するコストは無視できる。更に、ベース・ステーションは、計算能力が高く、電力線によって給電されるものとする。よって、ベース・ステーション内の如何なる計算が発生させる遅延も無視できる。エネルギの最小化が、耐久性を達成するためであることに基づけば、ベース・ステーションによって行われる動作の如何なるエネルギ・コストも無視できる。ベース・ステーションとサブステーションとの間の通信によって、サブステーションにおけるコストが発生する。これは無視することが可能でない。したがって、プロトコルのエネルギ消費は、サブステーション及びタグによってのみ発生する。
【0083】
図6aは、システム100(図1)のハードウェア装置パラメータを示す表Iを示す。ハードウェア値を用いて、種々の動作のエネルギ及びレーテンシのコストを求める。前述の値は、現在入手可能なハードウェア(すなわち、クロスボーのMICA2センサ、スカイテックのRFID読み取り器、及びISO15693RFIDタグ)から導き出される。図6bは、システム100(図1)のシミュレーション・パラメータを示す表IIを示す。前述の手法、並びに、表I及び表IIの値によって、種々のシナリオに最適なプロトコルが、システム設計中に利用可能な種々の選択に基づいて計算される。
【0084】
システム設計中、タグの一致数を算出し、サブステーションに伝送することが可能な、カスタマイズされたスマート・タグの利用を調査している。スマート・タグは、一致数閾値に応じてタグのディスクリプタも伝送することが可能である。システム階層をプッシュダウンするために適切な処理量も調査している。集中システムでは、タグを選択するうえでの決定は、サブステーションによって局所で行うことが可能でない。分散システムでは、タグを選択するうえでの決定は、サブステーションによって局所で行うことが可能でない。
【0085】
集中システムにおいて結果が大局的又は局所的に適切であり得ることも明らかになっている。大局的に適切な結果は、「選択タグ数」NT(S)の最も適切な結果全てを有するものである。これは、選択を行うために、一致数及び識別情報の対全てをベース・ステーションに戻すことを必要とする。あるいは、ベース・ステーションは、一致数ベクトルや、一致数及び識別情報の対の部分集合などの他の統計に基づいて決定することができる。前述の場合、結果は、局所的に適切であると言われることになる。
【0086】
その後、サブステーションによる重なるカバレッジの影響を検査するために、最適なプロトコルを、表IIの値を変えた後に計算する。「各サブステーション下のタグの和」ΣniT(S)は2250から7500に変わり、「サブステーション下のタグの最大数」maxiNiTは45から225に変わる。「選択タグの合計数」ΣNiT(S)及び「サブステーション下の選択タグの最大数」maxiNiT(S)は、サブステーションによって決定される一致数による決定の場合、40から200に、かつ、10から50にそれぞれ変えられ、ベース・ステーションによって決定される一致数による決定の場合、40から160に、かつ、10から40にそれぞれ変えられる。前述の値は、重なるカバレッジの度合いを反映させるよう変えられる。
【0087】
最後に、サブステーション毎のタグ数は、低いタグ数を表すために30から10に変えられ、高いタグ数を表すために30から50に変えられる。前述の値に基づいて、ダイクストラのアルゴリズムを用いてプロトコルを判定し、選択された最適プロトコルが、以下において提示される。
【0088】
局所的に適切な結果をダム・タグが戻す、分散システムのエネルギ・レーテンシ最適プロトコル
1)クエリ端末が、ベース・ステーションに問い合わせる。
【0089】
2)ベース・ステーションは、クエリ文を送出する。
【0090】
3)サブステーションは、ディスクリプタ全てに対するクエリを送出する。
【0091】
4)タグは全て、回答する。
【0092】
5)サブステーションは一致数をディスクリプタから算出する。
【0093】
6)サブステーションは一致数ベクトルを算出する。
【0094】
7)サブステーションは局所一致数を算出する。
【0095】
8)サブステーションは、局所的に決定された一致数を送出する。
【0096】
9)ベース・ステーションは、局所のものに基づいて一致数を近似する。
【0097】
10)ベース・ステーションは、大局的に決定された近似一致数を送出する。
【0098】
11)サブステーションは、大局的な近似推定に基づいて、選択タグidをフィルタリングする。
【0099】
12)サブステーションは、大局的に選択されたもの(近似一致)のディスクリプタをフィルタリングする。
【0100】
13)サブステーションは、大局的に選択されたタグ・ディスクリプタ(近似一致)を送出する。
【0101】
14)ベース・ステーションは、大局的に近似させたタグ・ディスクリプタの和をフィルタリングする。
【0102】
局所的に適切な結果をスマート・タグが戻す、分散システムのエネルギ最適プロトコル
1)クエリ端末が、ベース・ステーションに問い合わせる。
【0103】
2)ベース・ステーションは、クエリ文を送出する。
【0104】
3)サブステーションはクエリ文を送出する。
【0105】
4)タグは一致数を算出する。
【0106】
5)タグは、一致数値・id値を回答する。
【0107】
6)サブステーションは一致数ベクトルを算出する。
【0108】
7)サブステーションは局所一致数を算出する。
【0109】
8)サブステーションは、局所的に選択されたタグをフィルタリングする。
【0110】
9)サブステーションは、局所的に選択されたタグの一致数、idを送出する。
【0111】
10)ベース・ステーションは、局所的に選択されたタグ一致数・idをフィルタリングする。
【0112】
11)ベース・ステーションは、局所的に選択された一致数idに基づいて一致数を決定する
12)ベース・ステーションは、大局的な近似のために、局所的に選択された一致数・idをフィルタリングする。
【0113】
13)ベース・ステーションは、大局的に選択されたタグの一致数・id(近似)を送出する
14)サブステーションは、大局的に選択されたid(近似id)によるクエリを送出する。
【0114】
15)タグは、大局的に近似された選択(id)に基づいて回答する。
【0115】
16)サブステーションは、大局的に選択されたタグ・ディスクリプタ(近似id)を送出する。
【0116】
選択されたプロトコルのエネルギ・レーテンシ値を、図7に示す表IIIにおいて集計した。表IIIの行702は、30のスマート・タグ又は30のダム・タグ、及び表IIにおける値をシミュレートすることによって、重なりが少ないシステムのエネルギ値及びレーテンシ値を示す。
【0117】
表IIIの行704は、30個のスマート・タグ又は30個のダム・タグによって、かつ、サブステーションによって決定される一致数による決定(すなわち、分散システム)の場合の値(ΣNiT=7500、maxiNiT=225、及びΣNiT(S)=200、maxiNiT(S)=50)、又は、ベース・ステーションによって決定される一致数による決定(すなわち、集中システム)の場合の値(ΣNiT(S)=160、maxiNiT(S)=40)によってシミュレートすることによって、重なりの大きいシステムのエネルギ値及びレーテンシ値を示す。
【0118】
表IIIの行706は、10個のスマート・タグ又は10個のダム・タグによって、かつ、サブステーションによって決定される一致数による決定(すなわち、分散システム)の場合の値(ΣNiT=7500、maxiNiT=225、及びΣNiT(S)=200)、又は、ベース・ステーションによって決定される一致数による決定(すなわち、集中システム)の場合の値(ΣNiT(S)=160、maxiNiT(S)=40)によってシミュレートすることによって、タグ数の少ないシステムのエネルギ値及びレーテンシ値を示す。

表IIIの行708は、50個のスマート・タグ又は50個のダム・タグによって、かつ、サブステーションによって決定される一致数による決定(すなわち、分散システム)の場合の値(ΣNTi=7500、maxiNTi=225、及びΣNiT(S)=200、maxiNiT(S)=50)、又は、ベース・ステーションによって決定される一致数による決定(すなわち、集中システム)の場合の値(ΣNiT(S)=160、maxiNiT(S)=40)によってシミュレートすることによって、タグ数の少ないシステムのエネルギ値及びレーテンシ値を示す。
【0119】
複数のラウンドにおいてプロトコルが動作することを可能にするスマート・タグを用いる。第1のラウンドでは、クエリとの一致を有するスマート・タグが、その一致数によって応答する。後続ラウンドでは、特定の閾値よりも大きな一致数を有するスマート・タグのみがそのディスクリプタによって応答するよう要求される。一方、ダム・タグは、それぞれのタグ・ディスクリプタによってのみクエリに回答することが可能である。
【0120】
図8aは、スマート・タグ(点802、804、806及び808)がダム・タグ(点810、812、814及び816)によって置き換えられた場合に発生するエネルギ消費及びレーテンシにおける増加を示す。図8aは、消費エネルギが平均約17.66倍増加している一方、発生する遅延は、平均約1.31倍増加している(スマート・タグ(点802及び804)がダム・タグ(点810及び812)によって置き換えられた場合の、重なりの小さいシステムの場合)ことを示す。スマート・タグに最適なプロトコル全てにおいて、一致数がタグによって集計されることが分かる。これは、並列処理の恩恵を受ける。このことは、ダム・タグの場合は可能でなく、よって、発生するエネルギ消費及びレーテンシが削減される。
【0121】
図8aは、ダム・タグ(点814及び816)を用いることによって、重なりが大きいシステムの場合に生じるエネルギ消費及びレーテンシは、スマート・タグ(点806及び808)を用いる場合と比較して約37.25倍及び約2.71倍それぞれ、増加する。何れの値も、重なりが小さいシステムよりもずっと大きい。したがって、重なりが大きいシステムの場合、スマート・タグを用いるほうがよい。
【0122】
図8bは、集中システム(点818及び点820)が分散システム(点822及び点824)に換えられた場合の、エネルギ消費のわずかな減少、及び発生レーテンシにおける、より大きな減少を示す。エネルギ消費及び発生レーテンシは、約0.990倍及び約0.996倍それぞれ、変化する。何れの場合にも、タグ・ディスクリプタは、大局的に決定された一致数閾値を用いて取り出される。その差は、分散システムは、一致数閾値を局所的に決定することを可能にし、それによって、エネルギ及びレーテンシにおけるわずかな節減がもたらされるという点である。
【0123】
結果は種々の要因によって影響を受ける。まず、サブステーションは、クロスボーMICA2センサとしてモデリングされている。このセンサは大量の待機電力を消費している。よって、計算するためのエネルギは、通信するためのエネルギと比較してかなり多いことがあり得る。第2に、システムの重なりの度合いが、結果に対してかなりの影響を及ぼしている。図8bは、集中システムと比較して、分散システムのレーテンシが、ダム・タグ及びスマート・タグそれぞれの場合、約0.836倍及び約0.507倍、減少する。スマート・タグの場合、約0.566倍の、エネルギ消費におけるかなりの減少をみることもできる。したがって、重なりの大きなシステムの場合、分散システムを用いるほうがよい。
【0124】
図8cは、局所的に適切な結果(点826及び828)の代わりに大局的に適切な結果(点830及び832)が必要な場合の、発生レーテンシにおけるかなりの増加、及び消費エネルギにおけるわずかな変化を示す。そういうものとして、集中システムにおいて、大局的に適切な結果を確実にすることのコストは、局所的に適切な結果を確実にすることのコストよりも高いことがあり得る。発生レーテンシ及び消費エネルギはそれぞれ、約1.789倍及び約1.097倍、増加する。大局的に適切な結果の場合、タグの一致数及び識別情報の対は全て、ベース・ステーションに供給され、レーテンシの増加に寄与する。しかし、一致・識別情報は、容量が小さく、識別情報によるクエリによって、ディスクリプタの、不要なクエリがなくなるので、エネルギ増加量は最小である。
【0125】
図8dは、重なりの小さいシステム(点834及び点836)が、重なりの大きいシステム(点838、840、842及び844)に換えられた場合に、約1.350倍から約3.329倍までの、エネルギ消費における増加、及び、約1.133倍から約3.245倍までの、レーテンシにおける増加がみられることを示す。エネルギ消費及び発生レーテンシにおいて、大きな増加がみられる。よって、多数の反復が理由で、コストにおける大きな増加量がある(特に、ダム・タグにおいてみられる)。
【0126】
一致数及び識別情報の対の完全な組を有するベース・ステーションによって決定された識別情報を用いてクエリが行われた場合に、厳密な数の選択タグが応答することになることが分かる。しかし、ベース・ステーションにおいて決定された閾値一致数を用いてクエリが行われた場合、2つ以上のサブステーション付近のタグのディスクリプタが、重なりが理由で、複数回、取り出される。よって、戻された結果の数をスケーリングしなければならない。
【0127】
図8eは、サブステーション毎のタグ数が10(点846及び848)から30(点849及び850)に増加した場合の、約2.284倍及び約1.198倍の、エネルギ消費及び発生レーテンシにおける増加を示す。図8eは、サブステーション毎のタグ数が10(点846及び848)から50(点852及び854)に増加した場合の、約3.084倍及び約1.383倍の、エネルギ消費及び発生レーテンシにおける増加も示す。
【0128】
図8fは、図8eに示す領域856の拡大図を示す。図8fは、サブステーション毎のスマート・タグ数が10(点858)から30(点860)に増加した場合(分散システムの場合)の、約1.185倍及び約1.012倍の、エネルギ消費及び発生レーテンシにおける増加を示す。図8fは、サブステーション毎のスマート・タグ数が10(点858)から50(点862)に増加した場合(分散システムの場合)の、約1.25倍及び約1.052倍の、エネルギ消費及び発生レーテンシにおける増加も示す。
【0129】
集中システムの場合、図8fは、サブステーション毎のスマート・タグ数が10(点864)から30(点866)に増加した場合の、約1.222倍及び約1.006倍の、エネルギ消費における増加及び発生レーテンシにおける減少を示す。図8fは、サブステーション毎のスマート・タグ数が10(点864)から50(点868)に増加した場合(集中システムの場合)の、約1.407倍及び約1.086倍の、エネルギ消費及び発生レーテンシにおける増加も示す。
【0130】
エネルギ消費及び発生レーテンシにおける増加がタグ数に対しておおよそ線形であることがみえる。これは、システムのスケーラビリティを示す。同時に、エネルギ消費及び発生レーテンシにおける増加は、スマート・タグの場合により小さく、それによって、サブステーション毎によりスマートなタグを配置することが可能になる。
【0131】
上記結果から、最適なプロトコルの設計においては、遅延最適プロトコル及びエネルギ最適プロトコルは、同一であることが明らかになった。エネルギ効率とレーテンシとの間にみられるトレードオフはない。大半の無線システムでは、一尺度の特性を向上させることは、別の尺度に対する要件を緩和することを示唆している。しかし、パッシブRFIDの特性が理由で、これは、遅延最適プロトコル及びエネルギ最適プロトコルについてはみられない。
【0132】
更に、上記大局的に適切な結果によって、レーテンシにおけるかなりの節減を、上記大局的に適切な結果によって達成することが可能である。
【0133】
前述のシステムは、設置が単純であり、使いやすい。システムは、クエリを入力し、サーチ結果を提示するために、人間の自然言語を用いる。それによって、ユーザがシステムと容易に相互作用することが可能になる。更に、システムは、物理空間の再構成に対してロバストであり、前述の再構成が行われる場合に必要になる変化は最小である。
【0134】
更に、セキュリティは、認可されていないアクセスに対してシステムが脆弱でないことを確実にし得る。プライバシは、私的所有物の移動及び位置を常に追跡することが可能な訳でなく、私的とラベリングされた物体がその所有者によってしかサーチ可能でない一方、公的とラベリングされた物体は誰によってもサーチ可能であることを確実にし得る。
【0135】
システムは、広い領域(例えば、オフィス・ビル、大学のキャンパスや、都市全体)にわたる物理的な物体のサーチも可能にする。サーチ結果はすばやく戻すことが可能であり、サーチ処理は、帯域エネルギなどのシステム資源をできる限り効率的に利用することが可能である。
【0136】
前述の特定の実施例に記載した本発明に対して数多くの改変及び/又は修正を、大まかに説明した本発明の趣旨又は範囲から逸脱しない限り、行うことができることを当業者は認識するであろう。本願記載の実施例はしたがって、全ての点において例証的であり、限定的でないものとして解されるものとする。
【0137】
システムは、単に単一の場所内の物理的な物体のサーチに関する訳でないことがあり得る。システムは、別々の場所にある物体をユーザがサーチすることが可能である広域サーチ、及び、任意の場所からユーザがクエリを出すことが可能な遠隔サーチをサポートすることができ得る。抽象ネットワーク・バックボーンを用いて種々のベース・ステーション及びクエリ端末を併せて接続することができる。ネットワーク・バックボーンは、ネットワーク接続(LAN、DSLやWiFiなど)を利用し、それによって、広い地域にわたるシステムのスケーリングを可能にすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】システムのアーキテクチャを示す概略図である。
【図2】システムのサーチ結果のサンプル表示を示す図である。
【図3】システムのプロトタイプに用いるプロトコルの概要を示す図である。
【図4】部屋の中のシステムの小規模システム実現形態を示す図である。
【図5a】システムのプロトコルに到達するための考えられる2つのサブセット手法を示すフロー図である。
【図5b】考えられる状態動作対を示すフロー図である。
【図6a】システムのハードウェア装置パラメータを示す表Iを示す図である。
【図6b】システムのシミュレーション・パラメータを示す表IIを示す図である。
【図7】プロトコルのエネルギ・レーテンシ値を示す表IIIを示す図である。
【図8a】スマート・タグがダム・タグによって置き換えられた場合に生じるエネルギ消費及びレーテンシにおける増加を示す図である。
【図8b】集中システムが分散システムに換えられた場合の、エネルギ消費のわずかな減少、及び発生レーテンシにおける、より大きな減少を示す図である。
【図8c】局所的に適切な結果よりも、大局的に適切な結果が必要である場合に、発生レーテンシにおけるかなりの増加、及び消費エネルギにおけるわずかな変動を示す図である。
【図8d】重なりの小さいシステムが、重なりの大きいシステムに換えられた場合の、エネルギ消費及び発生レーテンシにおける増加を示す図である。
【図8e】サブステーション毎のタグの数が増加した場合の、エネルギ消費及びレーテンシ発生における増加を示す図である。
【図8f】サブステーション毎のスマート・タグの数が増加した場合の、エネルギ消費及びレーテンシ発生における増加を示す図である。
【図9】図4に示すシステムのコンピュータ実現形態を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物理的な物体をサーチするシステムであって、
関連した一物体上に各タグが配置された1つ又は複数のタグと、
各サブステーション付近の範囲内にあるタグと通信するよう各サブステーションが構成された1つ又は複数のサブステーションと、
各ベース・ステーション付近の範囲内にあるサブステーションと通信するよう各ベース・ステーションが構成された1つ又は複数のベース・ステーションと、
各ベース・ステーション付近の前記範囲内の前記サブステーションに、サーチ・クエリに応答して問い合わせて、前記サーチ・クエリのサーチ物体が、それぞれのサブステーション付近の範囲内にあるか否かを判定する、各ベース・ステーションにある問い合わせエンジンとを備えるシステム。
【請求項2】
請求項1記載のシステムであって、前記サーチ・クエリを入力し、サーチ結果を表示する1つ又は複数のクエリ端末を更に備えるシステム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のシステムであって、各サブステーションは、それぞれのタグからの信号強度を示す値とともに、前記各サブステーション付近の範囲内のタグのタグ記述のリストを前記問い合わせエンジンに供給するシステム。
【請求項4】
請求項3記載のシステムであって、前記問い合わせエンジンは、2つ以上のサブステーション付近の範囲内に1つのタグがある場合、信号強度を示す、より高い値が受信されるサブステーションに前記1つのタグを割り当てるシステム。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のシステムであって、前記タグ記述は、前記タグが配置されたそれぞれの物理的な物体の記述を備えるシステム。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか一項に記載のシステムであって、前記各ベース・ステーションの範囲に対応する空間に公的又は私的としてラベリングするよう各ベース・ステーションが構成され、前記問い合わせエンジンは、前記空間が公的であるか、又はユーザに関連して私的であるかに応じたやり方で前記サーチ・クエリを処理するシステム。
【請求項7】
請求項6記載のシステムであって、関連した物体を公的又は私的としてラベリングするよう各タグが構成され、前記問い合わせエンジンは、前記物体が公的であるか、又はユーザに関連して私的であるかに応じたやり方で前記サーチ・クエリを処理するシステム。
【請求項8】
請求項6又は7に記載のシステムであって、前記サーチ物体が公的であり、前記問い合わせエンジンは、私的空間内にある場合に、サーチ結果の、2値形式における表示を指示するシステム。
【請求項9】
請求項6乃至8の何れか一項に記載のシステムであって、前記問い合わせエンジンは、前記サーチ物体が、一ユーザに関連して私的であり、前記サーチ物体が、別のユーザに関連した私的空間内にある場合に、サーチ結果の、2値形式における表示を指示するシステム。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか一項に記載のシステムであって、前記問い合わせエンジンが前記ベース・ステーションに集中して実現されるか、又は前記問い合わせエンジンが、前記ベース・ステーション上、及び前記サブステーション又はタグの1つ又は複数の上に分散して実現されるシステム。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載のシステムであって、問い合わせエンジン・プロトコルが、エネルギ、レーテンシ、又は両方について最適化されるシステム。
【請求項12】
物理的な物体をサーチする方法であって、

関連した一物体上に各タグが配置された1つ又は複数のタグを配置する工程と、
各サブステーション付近の範囲内にあるタグと通信するよう1つ又は複数のサブステーションを構成する工程と、
各ベース・ステーション付近の範囲内にあるサブステーションと通信するよう1つ又は複数のベース・ステーションを構成する工程と、
各ベース・ステーション付近の前記範囲内の前記サブステーションに、サーチ・クエリに応答して問い合わせて、前記サーチ・クエリのサーチ物体が、それぞれのサブステーション付近の範囲内にあるか否かを判定する工程とを備える方法。
【請求項13】
請求項12記載の方法であって、前記サーチ・クエリを入力し、サーチ結果を表示する1つ又は複数のクエリ端末を利用する工程を更に備える方法。
【請求項14】
請求項12又は13に記載の方法であって、それぞれのタグからの信号強度を示す値とともに、各サブステーション付近の範囲内のタグのタグ記述のリストを問い合わせエンジンに供給するために各サブステーションを利用する工程を更に備える方法。
【請求項15】
請求項14記載の方法であって、2つ以上のサブステーション付近の範囲内に1つのタグがある場合、信号強度を示す、より高い値が受信されるサブステーションに前記1つのタグを割り当てるために前記問い合わせエンジンを利用する工程を更に備える方法。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の方法であって、前記タグ記述は、前記タグが配置されたそれぞれの物理的な物体の記述を備える方法。
【請求項17】
請求項13乃至16の何れか一項に記載の方法であって、前記各ベース・ステーションの範囲に対応する空間に公的又は私的としてラベリングするよう各ベース・ステーションを構成する工程と、前記空間が公的であるか、又はユーザに関連して私的であるかに応じたやり方で前記サーチ・クエリを処理するために問い合わせエンジンを利用する工程とを更に備える方法。
【請求項18】
請求項17記載の方法であって、関連した物体を公的又は私的としてラベリングするよう各タグを構成する工程と、前記物体が公的であるか、又はユーザに関連して私的であるかに応じたやり方で前記サーチ・クエリを処理するために前記問い合わせエンジンを利用する工程とを備える方法。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の方法であって、前記サーチ物体が公的であり、私的空間内にある場合に、サーチ結果の、2値形式における表示を指示するために前記問い合わせエンジンを利用する工程を更に備える方法。
【請求項20】
請求項17乃至19の何れか一項に記載の方法であって、サーチ物体が、一ユーザに関連して私的であり、前記サーチ物体が、別のユーザに関連した私的空間内にある場合に、サーチ結果の、2値形式における表示を指示するために問い合わせエンジンを利用する工程を更に備える方法。
【請求項21】
請求項12乃至20の何れか一項に記載の方法であって、前記ベース・ステーションに集中して前記問い合わせエンジンを実現するか、又は前記ベース・ステーション上、及び前記サブステーション又はタグの1つ又は複数の上に分散して実現する工程を更に備える方法。
【請求項22】
請求項12乃至21の何れか一項に記載の方法であって、エネルギ、レーテンシ、又は両方について問い合わせエンジン・プロトコルを最適にする工程を更に備える方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7】
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【図8a】
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【図8b】
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【図8c】
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【図8d】
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【図8e】
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【図8f】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−538407(P2008−538407A)
【公表日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−505272(P2008−505272)
【出願日】平成18年4月7日(2006.4.7)
【国際出願番号】PCT/SG2006/000091
【国際公開番号】WO2006/107282
【国際公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(507335687)ナショナル ユニヴァーシティー オブ シンガポール (28)
【Fターム(参考)】