説明

特に自動車のための表装部品とその製造プロセス

粗面を有する車両用内装部品の製造方法に関し、滑らかな又は予め粗面とされたフィルムが、表面構造を有する型内に設置され、事後に硬化する発泡される支持材料を導入してフィルムインサート成形を施される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表装部品、特に自動車のための表装部品とそれを製造するプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック材料から成り、その表面が粗面構造を有する車両用の内装部品とその内装部品を製造するプロセスは、例えば、特許文献1ないし特許文献4から公知である。これらに記載された車両用内装部品は、しかしながら、その製造プロセスが比較的に複雑である、支持構造が比較的に厚い、複合構造を実現できない、及び/又は粗面加工が複雑である又は平凡であるという不利益があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】独国特許第102005005576号
【特許文献2】独国特許第10356665号
【特許文献3】独国特許第102004059773号
【特許文献4】独国特許第19720474号
【発明の概要】
【0004】
本発明がその基礎とする目的は、視覚に訴える表装部品で複雑な形状及び/又は軽量であり、前述の先行技術の欠点を有しない表装部品を製造することである。
【0005】
上記目的は、滑らかな又は予め粗面にされたフィルムを、表面構造を有する射出成形型内に置き、後に硬化する発泡される支持材料を導入するフィルムインサート射出成形する工程により粗面加工された車両内装部品の製造プロセスにより達成される。
【0006】
この発明は、平滑又は予め粗面とされたフィルムを、表面構造を有する射出成形型内で発泡される支持材料の導入によりフィルムインサート成形し、その表面構造が粗面加工としてフィルムに付与されるプロセスに関する。これにより、緊密な表皮を有する閉じたセル空間が形成される。発泡される支持材料の低い伝熱性により、表装部品はより長い時間に亘り、暖かいので、成形型の表面形状がより効果的にフィルム表面に付与され、フィルムと支持材料との接着が改良される。
【0007】
別の、又は好ましいこの発明の主題は、フィルムが細かな粗面構造により予成形され、支持材料を導入するフィルムインサート成形時に追加的に更に粗い粗面構造を与えられるプロセスである。
【0008】
この発明によれば、微細粗面は、例えば深絞り加工中に深絞り工具によりすでに与えられる。こうして予め表面構造が与えられたこのフィルムは、より粗い粗面を有する射出成形型内に設置され、溶融プラスチックの導入によりフィルムインサート射出成形されるが、溶融プラスチックは、好ましくは物理的に発泡されるが必ずそうである必要はない。それに代えて、支持材料が発泡しない又は化学的に発泡することも考えられる。驚くことに、微細粗面は、粗い粗面化工により除去されないので、特にアピール性のある外見、例えばつや消しされた皮革構造を有する成形品が形成される。
【0009】
次の記述は、その両方のプロセスに当てはまる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
フィルムは、好ましくは、設置される前に3次元に成形される。
【0011】
別の好ましいこの発明の実施例によれば、支持材料は、成形型に溶融物として導入される。この溶融物は、好ましくは、例えばリブやその他の突出部のようなフィルムに覆われない表装部品の領域において、射出成形型内に開口する高温ダクトを通して注入される。注入ポイントは好ましくは、フィルムから最も離れたフィルム又はリブ上に位置している。
【0012】
溶融物は、好ましくは、推進流体、好ましくは推進ガス特に好ましくはCO及び/又はNにより充填される。推進流体を使用することによって、泡構造が化学発泡材を使用する時より均一に分散され、その結果、特に薄いフィルムの場合に外見の不良が避けられる。さらに、表装部品の機械的特性が均一化される。ガス充填による溶融物の良好な流動性の結果、特に薄い構造を成形することが可能となる。推進ガスによる溶融物の充填は、例えば圧力室を有する押し出しウォーム内のような圧力下で行うのが好ましい。推進ガスは、好ましくは溶融物内に射出され、次に、単相の混合/溶融物を形成するように例えば押し出しウォーム内で処理される。例えば射出成形型のような成形型内において、充填された支持材料は、好ましくは膨張される。ここで、ガスセルの核化とその後の成長が起こる。
【0013】
発泡処理により、支持材料の質量と推進ガスとの比を制御することが可能なので、支持層の重量軽減が可能になる。
【0014】
この発明の別な主題は、先行クレームの一つに従って製造される車両用内装部品である。
【0015】
この発明のさらに別の主題は、背面に発泡支持層を有する粗面フィルムを有する車両内装部品である。
【0016】
この発明のプロセスに関しての記述は、この発明の車両用内装部品に関しても、又その逆も等しく当てはまる。
【0017】
以下の記述は、この発明のどの車両用内装部品にも等しく当てはまる。
【0018】
このフィルムは好ましくは0.5mm以下、特に0.4mm以下の厚さを有し、有利には異なるPP共重合体の複数層から成っている。可視面、即ち車両の内部空間に面する側に、フィルムにPURラッカーが施されていてもよい。このフィルムは、成形型内に設置される前に、3次元成形することも可能である。
【0019】
支持層の厚さは、その最も厚いところが<2.3mm、特に<1mmであるのが好ましい。
【0020】
支持材料は、好ましくはPP共重合体から成り、その溶融物は推進流体により射出成形機内に充填され射出成形型内で発泡される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
滑らかな又は予め粗面にされたフィルムが表面構造を有する型内に設置され、後に硬化する発泡される支持材料を導入してフィルムインサート成形されることを特徴とする車両用粗面内装部品の製造のためのプロセス。
【請求項2】
前記フィルムは微細な粗面構造により予め構成され、支持材料を導入するフィルムインサート成形時に、追加的に粗い表面構造を付与されることを特徴とする請求項1又は請求項1の前提部に記載のプロセス。
【請求項3】
前記フィルムは設置される前に3次元に成形されていることを特徴とする請求項1又は2の一つに記載のプロセス。
【請求項4】
前記支持材料は前記型内に溶融物として導入されることを特徴とする請求項1ないし3の一つに記載のプロセス。
【請求項5】
前記溶融物は、推進流体、好ましくは、推進ガス、さらに好ましくはCO及び/又はNガスにより充填されることを特徴とする請求項4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記充填が、圧力下において行われることを特徴とする請求項5に記載のプロセス。
【請求項7】
前記支持材料は、前記型内において膨張することを特徴とする請求項5または6に記載のプロセス。
【請求項8】
前記フィルムからできるだけ離れた点が、導入する点として選ばれることを特徴とする請求項1ないし7の一つに記載のプロセス。
【請求項9】
請求項1ないし8の一つに記載されたプロセスで製造される車両用内装部品。
【請求項10】
前記フィルムは物理的に発泡された支持層をその背面に有することを特徴とする粗面とされたフィルムを有する車両用内装部品。
【請求項11】
可視面がラッカーコート、好ましくは、PURラッカーコートを有していることを特徴とする請求項9又は10のいずれかに記載の車両用内装部品。
【請求項12】
前記フィルムが多層からなり、好ましくは、異なるポリプロピレン(PP)の複数の層を有していることを特徴とする請求項9ないし11の一つに記載の車両用内装部品。
【請求項13】
前期支持層の最大厚さの点が、<2.3mm、好ましくは<1mmであることを特徴とする請求項9ないし12の一つに記載の車両用内装部品。
【請求項14】
前記支持層がPP共重合体から成ることを特徴とする請求項9ないし13の一つに記載の車両用内装部品。

【公表番号】特表2011−527951(P2011−527951A)
【公表日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−547108(P2010−547108)
【出願日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際出願番号】PCT/EP2009/001195
【国際公開番号】WO2009/103536
【国際公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【出願人】(504348390)ジョンソン コントロールズ インテリアズ ゲーエムベーハー アンド カンパニー カーゲー (25)
【Fターム(参考)】