説明

現像ユニット

【課題】現像部の下方に現像剤収容部が配置される現像ユニットにおいて、現像剤の循環と現像剤担持体への現像剤の供給とを共に向上させる。
【解決手段】現像ユニット61は、現像剤を担持する現像剤担持体(現像ローラ61C)と、現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材(供給ローラ61D)とが設けられる現像部201と、現像剤を収容し、現像部201の下方に隣接する現像剤収容部(トナーボックス100)と、現像剤収容部を形成する壁のうち現像部201に隣接し、現像剤収容部内に向けて凹むように設けられており、供給口(第1供給口111)と戻し口(第1戻し口112)とが形成された隣接壁110と、現像剤収容部内に設けられ、現像剤収容部の内壁に摺接するように回転して現像剤を供給口に向けて搬送するアジテータ140と、現像剤供給部材に沿って設けられ、現像剤を戻し口側に向けて搬送するオーガ240とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シートに画像を形成する画像形成装置の現像ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、記録シートに画像を形成する画像形成装置の現像ユニットとして、例えば、特許文献1に記載されているように、現像剤を担持する現像ローラや供給ローラが設けられる現像部(現像室)の下方に現像剤を収容する現像剤収容部(トナー収容部)が配置された形態が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−47770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、現像ユニットでは、現像剤を現像部と現像剤収容部との間で循環させることで、例えば、現像部内の帯電を繰り返して劣化した現像剤や、現像部内に混入した色が異なる現像剤などを、現像剤収容部内の新しい現像剤に均一に分散できるので、画像品質を向上させることが可能となる。
【0005】
しかしながら、現像部の下方に現像剤収容部が配置される形態において、現像剤を循環させる構成を採用しようとすると、供給ローラの軸方向全体に現像剤を供給することが難しくなるので、現像ローラ(現像剤担持体)への現像剤の供給量が減少して、画像品質を低下させる可能性があった。
【0006】
本発明は、以上のような背景に鑑みてなされたものであり、現像部の下方に現像剤収容部が配置される形態において、現像剤の循環と現像剤担持体への現像剤の供給とを共に向上させることができる現像ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記した目的を達成するため、本発明の現像ユニットは、記録シートに画像を形成する画像形成装置の現像ユニットであって、現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材とが設けられる現像部と、現像剤を収容し、前記現像部の下方に隣接する現像剤収容部と、前記現像剤収容部を形成する壁のうち前記現像部に隣接し、前記現像剤収容部内に向けて凹むように設けられており、前記現像剤収容部内から前記現像部内へ現像剤を供給するための供給口と、前記現像部内から前記現像剤収容部内へ現像剤を戻すための戻し口とが形成された隣接壁と、前記現像剤収容部内に設けられ、前記現像剤収容部の内壁に摺接するように回転して現像剤を前記供給口に向けて搬送する第1搬送部材と、前記現像剤供給部材に沿って設けられ、現像剤を前記戻し口側に向けて搬送する第2搬送部材とを備えたことを特徴とする。
【0008】
このように構成された現像ユニットによれば、現像剤を供給口(現像部)に向けて搬送する第1搬送部材と、現像部内において現像剤を戻し口側に向けて搬送する第2搬送部材とを備えるので、現像剤収容部と現像部との間で現像剤を良好に循環させることができる。さらに、第2搬送部材は現像剤供給部材に沿って設けられているので、現像剤供給部材全体に現像剤を確実に供給することができるため、現像剤担持体に対しても現像剤を確実に供給することができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、現像剤を供給口に向けて搬送する第1搬送部材と、現像剤供給部材に沿って設けられ、現像剤を戻し口側に向けて搬送する第2搬送部材とを備えるので、現像部の下方に現像剤収容部が配置される形態において、現像剤の循環と現像剤担持体への現像剤の供給とを共に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る現像ユニットを備えた画像形成装置の一例としてのカラー複合機の概略構成を示す図である。
【図2】本体筐体から保持ケースを引き出した状態を示す図である。
【図3】本体筐体からトナーボックスを着脱するときの様子を示す図である。
【図4】シャッタが開いた状態の現像ユニットの断面図である。
【図5】第1シャッタが閉じた状態のトナーボックスの斜視図(a)と、第1シャッタが開いた状態のトナーボックスの斜視図(b)である。
【図6】現像ユニット内におけるトナー循環の説明図である。
【図7】トナーボックスが装着されていない現像装置の側面図であり、第2シャッタが閉じた状態の図(a)と、第2シャッタが開いた状態の図(b)である。
【図8】シャッタが閉じた状態の現像ユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本実施形態に係る現像ユニット61を備えた画像形成装置の一例としてのカラー複合機1の概略構成について説明した後、現像ユニット61の詳細な構成について説明する。
【0012】
<カラー複合機の概略構成>
図1に示すように、カラー複合機1は、本体筐体10と、フラットベッドスキャナ20とを備えている。また、カラー複合機1は、本体筐体10内に、記録シートの一例としての用紙Pを供給する給紙部30と、供給された用紙Pに画像を形成する画像形成部40とを主に備えている。
【0013】
なお、以下の説明において、方向は、現像ユニット61が備えられたカラー複合機1(本体筐体10に装着された現像ユニット61)を使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における左側を「前」、右側を「後」とし、手前側を「右」、奥側を「左」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0014】
フラットベッドスキャナ20は、本体筐体10の上方に設けられた公知の原稿読取装置である。このフラットベッドスキャナ20は、複写などの際に、セットされた原稿に光を照射して画像を読み取ることで画像データを生成する。
【0015】
給紙部30は、本体筐体10内の下部に設けられ、用紙Pを収容する給紙トレイ31と、給紙トレイ31から用紙Pを画像形成部40に搬送する給紙機構32とを主に備えている。給紙トレイ31内の用紙Pは、給紙機構32によって1枚ずつ分離されて画像形成部40に搬送される。
【0016】
画像形成部40は、露光部50と、プロセス部60と、転写部70と、定着部80とから主に構成されている。
【0017】
露光部50は、給紙部30の上方に設けられ、図示しないレーザ光源、ポリゴンミラー、レンズ、反射鏡などを備えている。レーザ光源から出射されたレーザ光は、ポリゴンミラーや反射鏡で反射され、レンズを通過して、各感光体ドラム61Aの表面で高速走査される。
【0018】
プロセス部60は、露光部50の上方に配置され、前後方向に沿って配列された4つの現像ユニット61と、現像ユニット61を保持する保持ケース62とを主に備えている。
【0019】
現像ユニット61は、トナー(現像剤)を収容する現像剤収容部の一例としてのトナーボックス100と、現像装置200とを備えて構成されている。現像装置200には、感光体ドラム61Aと、帯電器61Bと、現像剤担持体の一例としての現像ローラ61Cと、現像剤供給部材の一例としての供給ローラ61Dと、層厚規制ブレード61Eとが主に設けられている。現像ユニット61(トナーボックス100および現像装置200)の詳細な構成については後述する。
【0020】
保持ケース62は、図2に示すように、転写部70を上方に回動させてフロントカバー11を開いた後に、ハンドル62Hを引くことで、本体筐体10から引き出し可能に構成されている。カラー複合機1では、保持ケース62を引き出すことで現像ユニット61を交換(着脱)することができるようになっている。
【0021】
図1に戻り、転写部70は、プロセス部60の上方に設けられ、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、駆動ローラ71および従動ローラ72の間に張設され、各感光体ドラム61Aに対面して配置された無端状の中間転写ベルト73と、中間転写ベルト73を挟むように感光体ドラム61Aと対向配置された4つの1次転写ローラ74と、中間転写ベルト73を挟むように駆動ローラ71と対向配置された2次転写ローラ75とを主に備えている。
【0022】
定着部80は、転写部70の後部上方に設けられ、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置されて加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82とを主に備えている。
【0023】
画像形成部40では、感光体ドラム61Aの表面が、帯電器61Bにより一様に帯電された後、露光部50からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61A上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナーボックス100内のトナーは、供給ローラ61Dを介して現像ローラ61Cに供給され、現像ローラ61Cと層厚規制ブレード61Eとの間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ61C上に担持される。
【0024】
現像ローラ61C上に担持されたトナーは、現像ローラ61Cから感光体ドラム61A上の静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化されて感光体ドラム61A上にトナー像(画像)が形成される。
【0025】
各感光体ドラム61A上に形成された各色のトナー像は、中間転写ベルト73上に順次重ね合わせて転写される。そして、給紙部30から搬送された用紙Pが、中間転写ベルト73と2次転写ローラ75との間を搬送されることで、中間転写ベルト73上のトナー像が用紙Pに転写される。トナー像が転写された用紙Pは、加熱ローラ81と加圧ローラ82の間を搬送されることでトナー像が熱定着され、排紙ローラ83によって本体筐体10の上部に設けられた排紙トレイ12上に排出される。
【0026】
<現像ユニットの詳細構成>
次に、現像ユニット61(トナーボックス100および現像装置200)の詳細な構成について説明する。
【0027】
[トナーボックスの構成]
図3に示すように、トナーボックス100は、左右両端が閉じられた筒状をなしており、現像装置200(現像部201)に対して着脱可能に構成されている。
【0028】
より詳細に、トナーボックス100は、本体筐体10の側面に設けられたサイドカバー13を開いた後、右に向けて引き出すことで本体筐体10内に装着された現像装置200(図3では図示せず)から取り外すことができ、左に向けて挿入することで現像装置200に装着することができるようになっている。
【0029】
このトナーボックス100の右端面(右側の側壁101)には、着脱時にユーザによって把持される把持部102が形成されている。
なお、トナーボックス100は、保持ケース62(本体筐体10)から取り外された状態(図2参照)の現像装置200に対しても着脱可能となっている。
【0030】
図4に示すように、トナーボックス100は、現像装置200に装着された状態(本体筐体10に取り付けられた状態)において、現像ローラ61Cや供給ローラ61Dなどが設けられる現像部201の下方に隣接して配置されている。
【0031】
トナーボックス100は、左右の側壁101と、側壁101によって左右両端が塞がれた筒状の壁とによって形成されている。トナーボックス100を形成する筒状の壁のうち、現像装置200の現像部201に隣接する隣接壁110は、トナーボックス100内に向けて凹むように設けられている。より詳細に、隣接壁110は、後述するアジテータ140(第1搬送部材)の回転軸141が延びる方向と平行に延びる基準線BLを中心として、断面視円弧状に湾曲するように形成されている。
【0032】
この隣接壁110には、太い実線の矢印で示す方向に向けてトナーボックス100内から現像部201内へトナーを供給するための供給口の一例としての第1供給口111と、太い破線の矢印で示す方向に向けて現像部201内からトナーボックス100内へトナーを戻すための戻し口の一例としての第1戻し口112とが形成されている。
【0033】
第1供給口111および第1戻し口112は、左右方向(アジテータ140の回転軸141が延びる方向)において異なる位置に形成されている。具体的には、図5に示すように、第1供給口111は、左右方向における隣接壁110の中央部に1つだけ形成されており、第1戻し口112は、左右方向における隣接壁110の両端部に1つずつ(合計2つ)形成されている。
【0034】
さらに述べると、図4に示すように、第1供給口111は、隣接壁110の周方向(略前後方向)における一端側(前寄り)に形成されている。また、第1戻し口112は、断面視円弧状の隣接壁110の底部に形成されており、現像部201内からトナーボックス100に向けて下向きに連通するように開口している。
【0035】
図5(a),(b)に示すように、トナーボックス100には、隣接壁110の周方向に沿って移動することで、第1供給口111および第1戻し口112を開閉するシャッタの一例としての第1シャッタ120が設けられている。第1シャッタ120は、隣接壁110に沿った円弧状に形成されており、その左右両端が隣接壁110の周方向に沿ってスライド移動可能に支持されている。
【0036】
より詳細に、第1シャッタ120は、図5(a)に示す、隣接壁110の周方向における一端側(前側)に位置する状態と、図5(b)に示す、隣接壁110の周方向における他端側(後側)に位置する状態との間で、隣接壁110の周方向に沿って移動可能に構成されている。
【0037】
そして、第1シャッタ120は、前側に位置する状態ではその前端部120Fが隣接壁110の前端部110Fと重なり合っており、後側に位置する状態ではその後端部120Rが隣接壁110の後端部110Rと重なり合っている。言い換えると、第1シャッタ120は、隣接壁110から前後に飛び出さない範囲で移動可能に構成されている。
【0038】
この第1シャッタ120の左右両端部の前寄りには、開口部123が1つずつ(合計2つ)形成されている。図5(a)に示すように、第1シャッタ120が閉じた状態(前側に位置する状態)においては、第1シャッタ120によって第1供給口111および第1戻し口112は塞がれている。そして、図5(b)に示すように、第1シャッタ120が後方に移動して開くと、第1供給口111が開放されるとともに、開口部123と重なることで第1戻し口112が開放される。
【0039】
また、第1シャッタ120の右端部には、隣接壁110の中心(基準線BL)側に向けて突出する複数の凸部124が形成されており、左端部には、左側に向けて突出する複数の凸部125が形成されている。各凸部124,125は、トナーボックス100が現像装置200に装着されたときに、それぞれ、現像装置200の第2シャッタ220に形成された凹部224,225(図7参照)と係合する。
【0040】
図4に示すように、トナーボックス100内には、第1搬送部材の一例としてのアジテータ140が設けられている。アジテータ140は、左右の側壁101に回転可能に支持された回転軸141と、回転軸141から径方向外側に延びる支持部142と、支持部142に固定された可撓性を有するシート状の複数(図6参照)の撹拌翼143とから主に構成されている。
【0041】
このようなアジテータ140は、回転軸141に対して、本体筐体10内に設けられた図示しないモータから駆動力が付与されることで、トナーボックス100内を時計回り方向(矢印方向)に回転する。このとき、撹拌翼143が、トナーボックス100の内壁(隣接壁110の内面を含む)に摺接するように回転することで、トナーを撹拌するとともに、トナーを第1供給口111(現像部201内)に向けて搬送する。
【0042】
図6に示すように、アジテータ140は、トナーボックス100内において、第1戻し口112が形成された左右両端部から第1供給口111が形成された中央部に向けてトナーを集めるように、撹拌翼143の形状や数などが適宜設定されている。このような構成は公知なので詳細な説明を省略する。
【0043】
ここで、本実施形態において、第1供給口111は、図4に示すように、隣接壁110のうちアジテータ140の回転軸141に最も近い部分よりアジテータ140の回転方向上流側に形成されている。これにより、撹拌翼143は、第1供給口111に対面した状態で、第1供給口111に向って回転することになる。その結果、撹拌翼143によって搬送されてきたトナーは第1供給口111から現像部201内に押し出されるように供給されるので、トナーボックス100内から現像部201内へトナーを効率的に供給することが可能となっている。
【0044】
[現像装置の構成]
現像装置200は、現像部201と、現像部201の下方に設けられ、トナーボックス
100が着脱可能に装着される有底筒状の装着部202とを有している。
【0045】
現像部201には、感光体ドラム61Aと、帯電器61Bと、現像ローラ61Cと、供給ローラ61Dと、層厚規制ブレード61Eと、第2搬送部材の一例としてのオーガ240とが主に設けられている。
【0046】
感光体ドラム61Aは、導電性を有する円筒状のドラム本体の表面に感光層が形成されて構成されている。
帯電器61Bは、感光体ドラム61Aの表面を一様に帯電させる部材であり、感光体ドラム61Aの下側後寄りに所定間隔を隔てて対向して配置されている。
【0047】
現像ローラ61Cは、トナーを担持して、感光体ドラム61A上に形成された静電潜像にトナーを供給する部材であり、感光体ドラム61Aの前側下寄りに配置されている。
供給ローラ61Dは、現像ローラ61Cにトナーを供給する部材であり、現像ローラ61Cの前斜め下方に配置されている。
層厚規制ブレード61Eは、現像ローラ61C上に担持されるトナーの厚さを規制する部材であり、現像ローラ61Cの下部に接触して配置されている。
【0048】
現像部201は、下側の壁として、トナーボックス100の隣接壁110に対向して配置され、この隣接壁110に沿うように断面視円弧状に湾曲する円弧壁210を有している。この円弧壁210には、第1供給口111と連通可能な第2供給口211と、第1戻し口112と連通可能な第2戻し口212とが形成されている。
【0049】
図7に示すように、装着部202の底部202Aには、略扇形の開口202Bが設けられている。この開口202Bからは、後述する第2シャッタ220の左側の回動板222Lに設けられた突出部223を臨むことができる。これにより、トナーボックス100を現像装置200に装着したときには、第1シャッタ120の複数の凸部125と、第2シャッタ220の後述する複数の凹部225とが係合可能となっている。
【0050】
図4に示すように、現像装置200には、円弧壁210の下面に、円弧壁210の周方向に沿って移動することで、第2供給口211および第2戻し口212を開閉する第2シャッタ220が設けられている。第2シャッタ220は、円弧壁210に沿った円弧状に形成された薄い金属板221と、側面視略円形状をなし、金属板221の左右両端に設けられた一対の回動板222(図7参照)とから主に構成されている。
【0051】
金属板221は、トナーボックス100が現像装置200に装着されたときに、第1シャッタ120と重なり合うように配置されている。この金属板221は、第1シャッタ120と同じ大きさであり、第1シャッタ120の2つの開口部123と対応する位置に図示しない2つの開口部が形成されている。
【0052】
図7に示すように、回動板222(222R,222L)は、現像部201の左右両側に設けられており、円弧壁210の中心線(基準線BL)上にある回動軸220Aを中心として現像部201に対し回動可能に支持されている。
【0053】
図8に示すように、第2シャッタ220が閉じた状態においては、金属板221によって第2供給口211および第2戻し口212は塞がれている。そして、図4に示すように、第2シャッタ220を開くと、金属板221が円弧壁210の周方向に沿って後方に移動することで、第2供給口211が開放されて第1供給口111と連通するとともに、金属板221の図示しない開口部と重なることで第2戻し口212が開放されて第1戻し口112と連通する。
【0054】
図7に戻り、右側の回動板222Rの下部には、トナーボックス100が装着されたときに、第1シャッタ120の複数の凸部124と係合する複数の凹部224が形成されている。また、左側の回動板222Lには、下方に向けて突出する略扇形の突出部223が設けられており、この突出部223には、トナーボックス100が装着されたときに、第1シャッタ120の複数の凸部125と係合する複数の凹部225が形成されている。
【0055】
トナーボックス100が現像装置200に装着されて、第1シャッタ120の凸部124,125と、第2シャッタ220の凹部224,225とが互いに係合することで、第1シャッタ120と第2シャッタ220とが一体として回動(開閉)可能となる。
【0056】
具体的には、例えば、図8に示すシャッタが閉じた状態から、第1シャッタ120を隣接壁110の周方向に沿って後方に回動させることで、凸部124,125が凹部224,225を後方に向けて押すので、第2シャッタ220が円弧壁210の周方向に沿って後方に回動する。これにより、第1シャッタ120および第2シャッタ220が開くこととなる。このとき、第1供給口111と第2供給口211、および、第1戻し口112と第2戻し口212がそれぞれ連通することで、トナーボックス100内と現像部201内とが連通する。
【0057】
また、例えば、図4に示すシャッタが開いた状態から、第2シャッタ220を円弧壁210の周方向に沿って前方に回動させることで、凹部224,225が係合する凸部124,125を前方に向けて押すので、第1シャッタ120が隣接壁110の周方向に沿って前方に回動する。これにより、第1シャッタ120および第2シャッタ220が閉じることとなる。
【0058】
なお、現像ユニット61(トナーボックス100および現像装置200の少なくとも一方)には、第1シャッタ120および/または第2シャッタ220を、ユーザが開閉操作するためのツマミやレバーなどの操作部が設けられていてもよい。
【0059】
図6に示すように、オーガ240は、第1供給口111(第2供給口211)から供給されたトナーを、左右両側の第1戻し口112(第2戻し口212)側に向けて搬送するように構成されている。具体的に、オーガ240は、供給ローラ61Dに沿って近接して設けられており(図4参照)、現像部201を形成する左右の側壁に回転可能に支持された回転軸241と、回転軸241に螺旋状に巻き付くように設けられた螺旋羽242,243とから主に構成されている。
【0060】
螺旋羽242,243は、回転軸241の中央部分(第2供給口211付近)を境に右側と左側にそれぞれ設けられ、その螺旋方向が異なるようになっている。これにより、螺旋羽242によってトナーが右側に搬送され、螺旋羽243によってトナーが左側に搬送される。
【0061】
<現像ユニットの作用効果>
次に、現像ユニット61内におけるトナー循環と、現像ローラ61Cへのトナー供給について説明し、併せて本実施形態に係る現像ユニット61の作用効果について説明する。
【0062】
[現像ユニット内におけるトナー循環]
図4および図6に示すように、トナーボックス100内のトナーは、アジテータ140によって上方に搬送され、第1供給口111および第2供給口211を通って現像部201内に供給される。そして、現像部201内に供給されたトナーは、オーガ240によって左右両側に搬送され、第2戻し口212および第1戻し口112を通ってトナーボックス100内に向けて落下することで、トナーボックス100内に戻される。
【0063】
このように、現像ユニット61によれば、トナーを第1供給口111(現像部201)に向けて搬送するアジテータ140と、現像部201内においてトナーを第1戻し口112側に向けて搬送するオーガ240とを備えるので、現像部201の下方にトナーボックス100が配置される構成において、トナーボックス100と現像部201との間でトナーを良好に循環させることができる。
【0064】
また、第1供給口111および第1戻し口112が左右方向において異なる位置に形成されているので、第1供給口111および第1戻し口112が左右方向において同じ位置に形成される構成と比較して、現像部201内、および、トナーボックス100と現像部201との間のトナーの循環性・撹拌性を向上させることができる。
【0065】
また、第1戻し口112(および第2戻し口212)が、現像部201からトナーボックス100に向けて下向きに連通するように開口しているので、重力を利用してトナーをトナーボックス100内に良好に戻すことができる。
【0066】
[現像ローラへのトナー供給]
第1供給口111から現像部201内に供給されたトナーは、オーガ240によって左右両側(第1戻し口112側)に向けて搬送される。このとき、トナーはオーガ240の回転によって巻き上げられる。
【0067】
本実施形態において、オーガ240は、供給ローラ61Dに沿って設けられているので、オーガ240がトナーを巻き上げながら軸方向に搬送することで、供給ローラ61Dの軸方向全体にトナーを確実に供給することができる。これにより、供給ローラ61Dからトナーが供給される現像ローラ61Cに対してもトナーを確実に供給することができる。
【0068】
また、第1戻し口112(および第2戻し口212)が、現像部201からトナーボックス100に向けて下向きに連通するように開口しているので、トナーの戻し量を十分に確保することができる。そのため、隣接壁110(および円弧壁210)の左右両端部に1つずつ、開口面積が小さい第1戻し口112(および第2戻し口212)を形成すれば足りるので、現像部201内(左右の第2戻し口212の間の円弧壁210上)に一定量のトナーを留めておくことが可能となる。これにより、オーガ240によって巻き上げられるトナーの量を十分に確保できるので、供給ローラ61Dを介して現像ローラ61Cにトナーをより確実に供給することができる。
【0069】
以上説明したように、本実施形態によれば、トナーを第1供給口111に向けて搬送するアジテータ140と、供給ローラ61Dに沿って設けられ、トナーを第1戻し口112側に向けて搬送するオーガ240とを備えるので、現像部201の下方にトナーボックス100が配置される構成において、トナーの循環と現像ローラ61Cへのトナーの供給とを共に向上させることができる。
【0070】
なお、本実施形態によれば、さらに以下のような作用効果を得ることができる。
トナーボックス100が、現像部201(現像装置200)に対して着脱可能に構成されているので、トナーがなくなった場合にはトナーボックス100だけを交換すれば足りる。そのため、現像ローラ61Cなどが設けられる現像部201を含めたユニット全体を交換する構成(特許文献1参照)と比較して経済的である。
【0071】
また、トナーボックス100には、断面視円弧状の隣接壁110の周方向に沿って移動することで、第1供給口111および第1戻し口112を開閉する第1シャッタ120が設けられているので、平らな隣接壁に対してスライドするシャッタが設けられる構成と比較して、良好かつ安定した開閉動作を行うことができる。
【0072】
また、第1シャッタ120が、隣接壁110の周方向における前側と後側との間を、隣接壁110の周方向に沿って、隣接壁110から前後に飛び出さない範囲で移動可能に構成されているので、例えば、現像装置200の装着部202に第1シャッタ120を逃がすための開口などを設ける必要がなくなる。これにより、現像装置200の剛性を向上させ、さらに構成を簡略化することができるとともに、第1シャッタ120の移動領域を含めた現像装置200のサイズをコンパクトにすることができる。
【0073】
さらに、第1戻し口112(および第2戻し口212)が、現像部201からトナーボックス100に向けて下向きに連通するように開口しているので、トナーの戻し量を十分に確保することができるため、第1戻し口112(および第2戻し口212)の開口面積を小さくすることができる。これにより、戻し口112,212の周縁に設けられるトナー漏れを防止するための図示しないシール部材を小さくすることができる。その結果、シール部材からシャッタ120,220にかかる圧力を小さくすることができるので、シャッタ120,220の開閉をスムーズに行うことができる。
【0074】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0075】
前記実施形態では、第1供給口111(供給口)および第1戻し口112(戻し口)が、左右方向(第1搬送部材の回転軸方向)において異なる位置に形成された例を示したが、これに限定されず、第1搬送部材の回転軸方向において同じ位置に形成されていてもよい。
【0076】
前記実施形態では、第1戻し口112(戻し口)が下向きに連通するように開口している例を示したが、これに限定されるものではない。例えば、戻し口が、斜め下向きに連通するように開口していてもよいし、水平方向(現像ユニットが画像形成装置で使用されるときの状態を基準とした水平方向)に連通するように開口していてもよい。
【0077】
前記実施形態では、断面視円弧状に湾曲した隣接壁110を例示したが、現像剤収容部内に向けて凹むように設けられていれば、隣接壁の形状は特に限定されるものではない。また、前記実施形態では、隣接壁110に矩形状の1つの第1供給口111(供給口)と矩形状の2つの第1戻し口112(戻し口)とが形成された例を示したが、供給口および戻し口の数や形状、開口面積、開口幅などは特に限定されるものではない。
【0078】
前記実施形態では、現像部201内に供給ローラ61D(現像剤供給部材)が1つだけ設けられた例を示したが、これに限定されず、現像部内に現像剤供給部材が複数設けられていてもよい。この場合、オーガ240(第2搬送部材)は、複数の現像剤供給部材のうち1つだけに沿って設けられていてもよいし、いくつかの現像剤供給部材に沿って設けられていてもよい。また、第2搬送部材を複数設けてもよい。
【0079】
前記実施形態では、現像ユニット61が保持ケース62(本体筐体10)に対して着脱可能な構成を例示したが、これに限定されるものではない。例えば、現像ユニット61のうち、現像装置200(現像部201)が保持ケース62に固定され、保持ケース62とともに1つのユニットを形成する構成であってもよい。
【0080】
前記実施形態では、トナーボックス100(現像剤収容部)が現像装置200(現像部201)に対して着脱可能に構成された現像ユニット61を例示したが、これに限定されず、現像剤収容部と現像部が一体に構成された現像ユニットであってもよい。
【0081】
前記実施形態では、第2搬送部材としてオーガ240を例示したが、これに限定されず、例えば、コイルバネなどであってもよい。
【0082】
前記実施形態では、記録シートとして、普通紙やはがきなどの用紙Pを例示したが、これに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。
【0083】
前記実施形態では、本発明の現像ユニットを備えた画像形成装置として、カラー複合機1を例示したが、これに限定されず、例えば、複写機やプリンタなどであってもよい。また、前記実施形態では、4つ(複数)の現像ユニット61を備える画像形成装置を例示したが、これに限定されず、本発明の現像ユニットを1つだけ備える画像形成装置であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 カラー複合機
61 現像ユニット
61C 現像ローラ
61D 供給ローラ
100 トナーボックス
110 隣接壁
111 第1供給口
112 第1戻し口
120 第1シャッタ
140 アジテータ
141 回転軸
200 現像装置
201 現像部
202 装着部
240 オーガ
241 回転軸
BL 基準線
P 用紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートに画像を形成する画像形成装置の現像ユニットであって、
現像剤を担持する現像剤担持体と、前記現像剤担持体に現像剤を供給する現像剤供給部材とが設けられる現像部と、
現像剤を収容し、前記現像部の下方に隣接する現像剤収容部と、
前記現像剤収容部を形成する壁のうち前記現像部に隣接し、前記現像剤収容部内に向けて凹むように設けられており、前記現像剤収容部内から前記現像部内へ現像剤を供給するための供給口と、前記現像部内から前記現像剤収容部内へ現像剤を戻すための戻し口とが形成された隣接壁と、
前記現像剤収容部内に設けられ、前記現像剤収容部の内壁に摺接するように回転して現像剤を前記供給口に向けて搬送する第1搬送部材と、
前記現像剤供給部材に沿って設けられ、現像剤を前記戻し口側に向けて搬送する第2搬送部材とを備えたことを特徴とする現像ユニット。
【請求項2】
前記供給口および前記戻し口は、前記第1搬送部材の回転軸方向において異なる位置に形成されたことを特徴とする請求項1に記載の現像ユニット。
【請求項3】
前記戻し口は、前記現像部から前記現像剤収容部に向けて下向きに連通するように開口していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の現像ユニット。
【請求項4】
前記現像剤収容部は、前記現像部に対して着脱可能に構成されたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の現像ユニット。
【請求項5】
前記隣接壁は、前記第1搬送部材の回転軸方向と平行に延びる基準線を中心として断面視円弧状に湾曲しており、
前記現像剤収容部には、前記隣接壁の周方向に沿って移動することで、前記供給口および前記戻し口を開閉するシャッタが設けられたことを特徴とする請求項4に記載の現像ユニット。
【請求項6】
前記供給口は、前記隣接壁の周方向における一端側に形成され、
前記シャッタは、前記隣接壁の周方向における一端側と他端側との間を、前記隣接壁の周方向に沿って移動可能に構成されたことを特徴とする請求項5に記載の現像ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−95578(P2011−95578A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250500(P2009−250500)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】