説明

現像ローラ、プロセスカートリッジ及び電子写真画像形成装置

【課題】 本発明は、長時間の画像出力の後にも、濃度ムラが発生しにくい現像ローラの提供に向けたものである。
【解決手段】 軸芯体と、該軸芯体の周囲に設けられている弾性層と、表面層とを有する現像ローラにおいて、該弾性層がカーボンブラックを内包した管状体を含有することを特徴とする現像ローラ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は現像ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真画像形成装置に用いられる現像ローラは感光体へのトナーの転写を制御するため電圧が印加される。そのため、現像ローラの弾性層は半導電性(体積抵抗値で10Ωcmから1010Ωcmの範囲)に制御されている。弾性層の導電性の制御には安価であるカーボンブラックを導電剤として添加する方法がある。しかしながら、長時間にわたる画像出力において、電圧が繰り返し現像ローラに印加される際に、弾性層中のカーボンブラックが導電経路を形成するために凝集し、弾性層中のカーボンブラックの分散状態に偏りが生じることがある。また、高温下での、長時間の画像出力においては、分子運動の活発化により、カーボンブラックの凝集が更に促進されることがある。カーボンブラックの凝集が生じた弾性層を有する現像ローラは、現像コントラストにムラができ、電子写真画像に濃度ムラが発生させてしまうことがある。従来、現像ローラの高抵抗化に対し、弾性層上に設けた被覆高分子層中に、有機化合物を被覆した導電剤被覆粒子を含有させる技術が特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−163144号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本出願は、高抵抗化を抑制し、濃度ムラを発生しにくい現像ローラの提供に向けたものである。
【0005】
また、本発明は、高品位な電子写真画像を形成可能な電子写真画像形成装置及びプロセスカートリッジの提供に向けたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、カーボンブラックを内包した管状体を弾性層に含有させることにより、高温下での長時間の画像出力において、カーボンブラックの凝集を抑制し、現像ローラの高抵抗化を防ぐことで、抵抗ムラ起因の濃度ムラを防止できることを見出した。
【0007】
すなわち本発明に係る現像ローラは、軸芯体と、該軸芯体の周囲に設けられている弾性層と、表面層とを有する現像ローラにおいて、該弾性層がカーボンブラックを内包した管状体を含有することを特徴とする。
【0008】
本発明に係るプロセスカートリッジは、上記の現像ローラを備え、電子写真画像形成装置本体に脱着可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る電子写真画像形成装置は、上記の現像ローラを備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、高温下での、長期間の画像出力においても、現像ローラの高抵抗化を抑制することで、現像ローラの抵抗ムラに起因した濃度ムラを抑制することができる。そのため、現像ローラの耐久性を向上することができ、安定して高品位な電子写真画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る現像ローラの軸方向断面図である。
【図2】本発明に係る現像ローラの表面層を形成に使用する浸漬塗工機の説明図である。
【図3】本発明に係るプロセスカートリッジの概略図である。
【図4】本発明に係る電子写真装置の断面図である。
【図5】現像ローラの電気抵抗測定装置の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(現像ローラ)
現像ローラとしては、図1に示すように、軸芯体1の周囲に設けられた弾性層2を有し、その外周に表面層3を有しているものを用いることができる。
【0013】
本発明において、軸芯体1としては、アルミニウムや鉄、ステンレス(SUS)で外径4〜10mmの円柱体のものが用いられる。該軸芯体1の片端に、Dカット加工を施した。Dカットは、現像ローラーを駆動するためのギアを嵌合するためのものである。
【0014】
前記軸芯体1の周囲に設けられた弾性層2は、基材として具体的には以下のものが挙げられる。ポリウレタン、天然ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、及びこれらの混合物。これらの中で、低硬度でかつ高反発弾性という特異な特性を有することからシリコーンゴムが好ましく用いられる。
【0015】
また、弾性層2には、電子導電性物質やイオン導電物質を配合し、体積抵抗率が10乃至1010Ωcm、好ましくは10乃至10Ωcmになるよう調整したものが用いられる。
【0016】
弾性層2の形成方法としては特に限定されるものではないが、高い寸法精度で弾性層2を形成できることから、型内に弾性材料を注入して弾性層を形成する方法が好ましい。
【0017】
弾性層2の外周には表面層3が形成される。表面層3の結着樹脂として、具体的には以下のものが挙げられる。ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、ポリプロピレン樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、珪素樹脂、ポリエステル樹脂、スチロール系樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、繊維素系樹脂、塩化ビニル樹脂、シリコーン樹脂、水系樹脂、及びこれらの混合物。これらの中で、トナーの帯電性や耐磨耗性からポリウレタン樹脂が好ましく用いられる。特に被膜の硬度を小さくでき、特にトナーの帯電性が高いポリエーテルポリウレタン樹脂が好ましい。
【0018】
ポリエーテルポリウレタン樹脂は、公知のポリエーテルポリオールとイソシアネート化合物との反応により得ることができる。ポリエーテルポリオールとしては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールが挙げられる。また、これらのポリオール成分は必要に応じて予め2,4−トリレンジイソシアネート(TDI)、1,4ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)等のイソシアネートにより鎖延長したプレポリマーとしてもよい。
【0019】
これらのポリオール成分と反応させるイソシアネート化合物として具体的には、以下のものが挙げられる。エチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)等の脂肪族ポリイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、シクロヘキサン1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン1,4−ジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)の芳香族ポリイソシアネート、及びこれらの変性物や共重合物、そのブロック体。
【0020】
表面層3には、現像ローラの表面を粗面化する目的で粗し粒子を添加することができる。粗し粒子として、具体的には以下のものが挙げられる。EPDM、NBR、SBR、CR、シリコーンゴム等のゴム粒子;ポリスチレン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミド系の熱可塑性エラストマー(TPE)等のエラストマー粒子;PMMA、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリル樹脂等の樹脂粒子。これらを、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0021】
表面層3の形成方法は特に限定されるものではないが、安定した表面形状を得られることから、弾性層2の上に塗料をコートする方法が好ましい。特に生産安定性に優れることから浸漬槽上端から塗料をオーバーフローさせる浸漬塗工が好ましい。図2はオーバーフロー方式の浸漬塗工の概略図である。25は円筒形の浸漬槽であり、ローラ外径よりも大きな内径を有し、ローラの軸方向長さよりも大きな深さを有している。浸漬槽25の上縁外周には環状の液受け部が設けられており、撹拌タンク27と接続されている。また浸漬槽25の底部は撹拌タンク27と接続されており、撹拌タンク27の塗料は、液送ポンプ26により浸漬槽25の底部に送り込まれる。浸漬槽25の底部に送り込まれた塗料は、浸漬槽25の上端部からオーバーフローして浸漬槽25の上縁外周の液受け部を介して撹拌タンク27に戻る。軸芯体1上に弾性層2を設けたローラ部材は、昇降装置28に垂直に固定され、浸漬槽25中に浸漬した後に、引き上げることで表面層3が形成される。本発明において弾性層2および表面層3の電気抵抗を調整するために用いられる電子導電性材料として具体的には、以下のものが挙げられる。ケッチェンブラックEC,アセチレンブラックの導電性カーボン、SAF,ISAF,HAF,FEF,GPF,SRF,FT,MTのゴム用カーボン、酸化処理を施したカラ−(インク)用カーボン、銅、銀、ゲルマニウムの金属及び金属酸化物。この中で、少量で導電性を制御でき、ブリードして感光体を汚染することが少なく、安価であることからカーボンブラックが好ましい。これら導電性粉体は、通常基材100重量部に対して0.5〜50重量部、特に1〜30重量部の範囲で好適に用いられる。また、導電性材料として用いられるイオン導電性物質として、以下のものが挙げられる。過塩素酸ナトリウム、過塩素酸リチウム、過塩素酸カルシウム、塩化リチウムの無機イオン性導電物質、更に変性脂肪族ジメチルアンモニウムエトサルフェート、ステアリルアンモニウムアセテートの有機イオン性導電物質。
【0022】
本発明において、弾性層2を形成する材料中への前記導電性材料の分散方法としては特に制限されるものではなく、ロール、バンバリーミキサー、加圧ニーダー等の公知の装置を用いて分散することができる。
【0023】
また、表面層3を形成するための塗料中への前記抵抗調整剤の分散方法としては特に制限されるものではない。例えば、樹脂材料を適当な有機溶剤に溶解させた溶液中に、前記抵抗調整剤や前記多孔質樹脂粒子等を添加し、サンドグラインダー、サンドミル、ボールミル等の公知の装置を用いて分散することができる。
【0024】
本発明に係る現像ローラの電気抵抗としては、1×10Ω以上、1×1010Ω以下が好ましい。すなわち、トナー量規制部材にバイアスを印加したプロセスに使用した場合、電気抵抗を上記の範囲内とすることにより、ブレードバイアスリークが発生しにくい。また、現像ネガゴーストが発生しにくい。
【0025】
本発明において、現像ローラの弾性層がカーボンブラックを内包した管状体を含有することが必要である。長期間の画像出力において、現像ローラに電圧が繰り返し印加されると、弾性層中のカーボンブラックは導電経路を形成するため凝集する。また、更に高温下においては、弾性層の分子運動が活発になるため、よりカーボンブラックの凝集が起こりやすくなる。しかし、管状体にカーボンブラックを内包した場合、管状体の外に存在するカーボンブラックとの凝集は起こらない。そのため、高温下における長期間の画像出力においても、現像ローラの高抵抗化を抑制することで、高抵抗部の電位の上昇を抑えることができる。これにより、高抵抗部と周囲との現像コントラストのムラを抑え、濃度ムラを防止できる。その結果、高抵抗部とその周囲との電位差は小さいまま保持され、現像ローラ上のトナーコート量にムラが生じず、濃度ムラを抑えることができる。
【0026】
また、本発明において前記管状体はカーボンブラックを内包できれば、大きさは限定されるものではないが、好ましくは内径1μm以上5μm以下、外径2μm以上8μm以下、長さ10μm以上50μm以下である。また、管状体の材質は、管状体構造であれば特に制限はなく、有機高分子あるいは無機高分子からなるものである。具体例としては、外径が2〜10μ、内径が1〜5μm、長さが10〜50μmのサイズを有する管状塩基性炭酸マグネシウム(商品名:マグチューブ;日鉄鉱業社製)などが挙げられる。
【0027】
また、管状体にカーボンブラックを内包させる手段として、例えば、カーボンブラックを含有する弾性層材料中に、管状体を添加し、ミキサーなどの混合攪拌装置を用いて混合する方法がある。この場合、弾性層材料がカーボンブラックとともに管状体内に浸透することで内包される。またあるいは管状体とカーボンブラックをあらかじめ混合する方法がある。混合後、弾性層材料にカーボンブラックを内包した管状体の混合粉を添加し、再度攪拌混合し、分散することができる。尚、管状体中にカーボンブラックが内包される状態であればこれらの方法に限定されるものではない。
【0028】
(プロセスカートリッジ及び現像方法)
図3に、本発明に係るプロセスカートリッジの概略構成図を示す。図4に本発明の電子写真プロセスカートリッジに用いた電子写真画像形成装置の概略構成図を示す。
【0029】
図3のプロセスカートリッジは、現像装置10と帯電装置12からなる。現像装置10は、現像ローラ6、トナー塗布部材7、トナー8及びブレードバイアスを印加できるような機構を有するトナー量規制部材9からなる。帯電装置12は、感光体5、クリーニングブレード14、廃トナー収容容器13、からなる。そして該プロセスカートリッジは電子写真画像形成装置の本体に脱着可能に構成されてなるものである。現像装置10は、非磁性一成分のトナー8を収容したトナー容器と、トナー容器内の長手方向に延在する開口部に位置し感光体5と対向設置された現像ローラ6とを備え、感光体5上の静電潜像を現像して可視化するようになっている。感光体5は矢印方向に回転し、感光体5を帯電処理するための帯電部材12によって一様に帯電され、感光体5に静電潜像を書き込む露光手段であるレーザー光11により、その表面に静電潜像が形成される。現像は、露光部にトナー像を形成する所謂反転現像を行っている。可視化された感光体5上のトナー像は、転写ローラ17によって記録紙22に転写される。トナー像を転写された記録紙22は、定着装置15により定着処理され、装置外に排紙されプリント動作が終了する。一方、転写されずに感光体上5上に残存したトナーは、感光体5の表面をクリーニングするためのクリーニングブレード14により掻き取られ廃トナー容器13に収納さる。このようにしてクリーニングされた感光体5は次の画像形成にそなえられる。トナー塗布部材7の構造としては、現像ローラ6へのトナー8の供給および未現像トナーの剥ぎ取りの点から発泡骨格状スポンジ構造や軸芯体上にレーヨン、ポリアミド等の繊維を植毛したファーブラシ構造のものが好ましい。例えば、軸芯体上にポリウレタンフォームを設けた弾性ローラを用いることができる。
【0030】
以下、本発明における測定方法を示す。
【0031】
<体積抵抗率の測定方法>
弾性層用材料をシート状にして、温度130℃で20分加熱して厚み2.0mmのゴムシートを2枚成形し、その後温度200℃で4時間加熱する。ゴムシートを温度23℃/湿度55%RHの環境に24時間以上放置した。
【0032】
体積抵抗率は、以下の方法で求めた値を採用することができる。
【0033】
・抵抗計:デジタル超高抵抗/微少電流計(商品名8340A、エーディーシー社製)
・測定モード:プログラムモード5(チャージ及びメジャー30秒、ディスチャージ10秒)
・印加電圧:100(V)
・試料箱:レジスティビティ・チェンバ42(エーディーシー社製)、主電極は直径22mm厚さ10mmの金属、ガードリング電極は内径41mm、外径49mm、厚さ10mmの金属。
【0034】
・試験片:上記方法で作製した厚さ2.0mmのゴムシートから直径56mmの試験片を切り出す。切り出した試験片の片面には、その全面にPt−Pd蒸着を行うことで蒸着膜電極(裏面電極)を設け、もう一方の面には同じくPt−Pd蒸着膜により、直径25mmの主電極膜と、内径38mm、外径50mmのガードリング電極膜を同心状に設ける。なお、Pt−Pd蒸着膜は、マイルドスパッタE1030(日立製作所社製)を用い、電流値15mAにて蒸着操作を2分間行って得る。蒸着操作を終了したものを測定サンプルとする。
【0035】
測定時には、直径22mmの主電極を、直径25mmの主電極膜からはみ出さないように置く。また、内径41mmのガードリング電極を、内径38mmで外径50mmのガードリング電極膜からはみ出さないように、該電極膜の上に置いて測定する。測定は、温度23℃/湿度55%RHの環境で行うが、測定に先立って、測定サンプルを、該環境に24時間以上放置しておく。
【0036】
以上の状態で、試験片の体積抵抗(Ω)を測定する。次に、測定した体積抵抗値をRM(Ω)、試験片の厚さをt(cm)とするとき、試験片の体積抵抗率RR(Ω・cm)を、以下の式によって求める。
【0037】
RR(Ω・cm)=π×1.25×1.25×RM(Ω)÷t(cm)
<現像ローラの電流値、電気抵抗値測定方法>
電気抵抗測定に用いた装置を図5に示す。測定環境は、温度23℃/湿度55%Rhとする。現像ローラ6は、現像ローラの軸芯体の両端にそれぞれ4.9Nの荷重をかけて直径50mmの金属ドラム29に当接されている。金属ドラム29を不図示の駆動手段により表面速度50mm/secで駆動することにより、現像ローラ6が従動回転される。高圧電源HVから現像ローラの軸芯体に+50Vの電圧を印加する。
【0038】
金属ローラ29とグランドとの間に配設した既知の電気抵抗値を有する抵抗器Rの両端の電位差をデジタルマルチメーター(商品名:189TRUE RMS MULTIMETER;FLUKE社製)で計測する。ここで、抵抗器Rは、現像ローラの電気抵抗値に対して2桁以上電気抵抗値が低いものとする。次に、計測した電位差と抵抗器の電気抵抗値から、現像ローラを介して金属ローラに流れた電流値を算出する。そして電流値と電位差から現像ローラの電気抵抗値を求めた。ここで、デジタルマルチメーターにより、電圧印加2秒後から3秒間、電位差のサンプリングを行い、その相加平均値を用いて現像ローラの電気抵抗値を算出した。以下、本発明を実施例及び比較例を用いて詳細に説明するが、本実施例は本発明を何ら限定するものではない。
【0039】
[実施例1]
[現像ローラの作製]
「弾性層の形成」
SUS304製の直径8mmの軸芯体1にプライマ−(商品名:DY35−051、東レダウコーニングシリコーン社製)を塗布、焼付けした。ついで、軸芯体1を内径16mmの円筒状金型に同心となるように配置し、下記配合の液状シリコーンゴム組成物を注入した。
【0040】
(液状シリコーンゴム組成物の配合)
・液状シリコーンゴム材料A(商品名SE6724A/B、東レ・ダウコーニングシリコーン社製):100質量部
・カーボンブラック(商品名:トーカブラック#7360SB、東海カーボン社製、「ト−カブラック\TOKABLACK」は登録商標):35質量部、
・管状炭酸マグネシウム(商品名:マグチューブ、日鉄鉱業社製、「マグチューブ\MgTube」は登録商標):5.0質量部、
・シリカ粉体:0.2質量部、
・白金触媒:0.1質量部。
【0041】
続いて、金型を加熱してシリコーンゴムを温度150℃、15分間加硫硬化し、脱型した後、さらに温度200℃、2時間加熱して硬化反応を完結させ、厚み4mmの弾性層2を、軸芯体1の外周に設けた。
【0042】
「ポリオールの合成」
ポリテトラメチレングリコール(商品名PTG1000SN、保土谷化学社製)100質量部に、イソシアネート化合物(商品名ミリオネートMT、日本ポリウレタン工業社製、「ミリオネ−ト\MILLIONATE」は登録商標)20質量部をメチルエチルケトン(MEK)溶媒中で段階的に混合した。混合溶液を、窒素雰囲気下温度80℃にて7時間反応させて、水酸基価が20mgKOH/gのポリエーテルポリオールを作製した。
【0043】
「イソシアネートの合成」
窒素雰囲気下、数平均分子量400のポリプロピレングリコール(商品名エクセノール、旭硝子社製、「EXCENOL\エクセノール」は登録商標)100質量部に対し、粗製MDI(商品名コスモネートM−200、三井化学ポリウレタン社製、「コスモネ−ト\COSMONATE」は登録商標)57質量部を温度90℃で2時間加熱反応した。その後、ブチルセロソルブを固形分70%になるように加え、単位固形分質量当たりに含有されるNCO基の質量比率が5.0質量%のイソシアネート化合物を得た。その後、反応物温度50℃の条件下、MEKオキシムを22質量部滴下し、ブロックポリイソシアネートAを得た。
【0044】
「表面層用塗料の作製」
前記ポリオール100質量部と前記ブロックポリイソシアネートA33.4質量部を混合し、混合液の固形分100質量部に対し、カーボンブラック(商品名MA100、三菱化学社製、pH=3.5)30質量部を添加した。次に固形分が35質量%になるようにMEKを加えて混合し、1.5mmの粒径のガラスビーズを用いてサンドミルにて4時間分散して分散液1を作製した。その後、分散液中の固形分と同じ質量のMEK中にPMMA粒子(商品名:MX−1000;Sφ10μm;綜研化学(株)社製)を38質量部加え、超音波分散することにより分散液2を得た。得られた分散液2を分散液1に追加して、サンドミルを用いてさらに30分間分散して、表面層用の塗料を得た。
【0045】
「弾性層上への表面層の形成」
上記表面層用の塗料を、図2に示すオーバーフロー方式の浸漬塗工装置を用いて、前記弾性層上に浸漬塗工した後、常温で乾燥させ、温度150℃にて2時間加熱処理することで、現像ローラを得た。
【0046】
[画像出力試験]
前記、現像ローラを、レーザプリンター(商品名:LBP5500;キャノン(株)社製、「LBP」は登録商標)用の黒カートリッジに組み込んだ。なお、当該カートリッジは、トナー量規制部材を、厚さ80μmのSUS304製の金属板に変更した。なお、該部材にはブレードバイアスを印加できるように改造した。温度40℃湿度95%RHの高温高湿下の環境において、レーザプリンター(商品名:LBP5500;キヤノン(株)社製)用のプロセスカートリッジを1日放置した。その後、上記レーザプリンターをトナー量規制部材にブレードバイアスを印加できるように改造したものに装填し、同環境で印字率2%にて1.1万枚の連続して印刷した。この時、耐久前後の電流値を測定し、以下の式で電流値の保持率を求めた。
【0047】
保持率=耐久後の電流値/耐久前の電流値
尚、現像ローラ1の電流値の低下率は0.43であった。次に17枚/分の速度でハーフトーン画像を6枚出力し、以下の基準により画像の評価を行った。
【0048】
<画像評価1:現像ローラの抵抗ムラに起因する帯状の画像不良評価>
ここで、現像ローラの抵抗ムラとは、すなわち現像ローラの高抵抗部と低抵抗部を指しており、それぞれの部位で濃度差が生じ、濃度ムラとなる。この濃度ムラを帯状の画像不良として、以下の基準で評価した。
【0049】
A:1枚目から6枚目まで全てのハーフトーン画像において、目視では、現像ローラの抵抗ムラに起因する帯状の画像不良が認められない。
【0050】
B:1枚目のハーフトーン画像において、現像ローラの抵抗ムラに起因する帯状の画像不良が極軽微に認められる。ただし、6枚目までのハーフトーン画像出力で消失する。
【0051】
C:1枚目のハーフトーン画像において、現像ローラの抵抗ムラに起因する帯状の画像不良が認められる。更に、6枚目までのハーフトーン画像出力で消失しない。
【0052】
その結果、帯状の画像不良が認められず、良好な画像が得られた。結果を表1に示す。
【0053】
[実施例2]〜[実施例5]
管状炭酸マグネシウムの量を表1に示したように変更した以外は実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0054】
[実施例6]
液状シリコーンゴム材料Aを液状シリコーンゴム材料B(商品名:X32−2020;信越化学社製)に変更した以外は実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0055】
[実施例7]〜[実施例10]
管状炭酸マグネシウムの量を表1に示したように変更した以外は実施例6と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0056】
[実施例11]
カーボンブラックと管状炭酸マグネシウムをあらかじめ、プラネタリーミキサー(商品名:ACM−5LVTJ;愛工舎製作所社製)で減圧下にて40分間攪拌混合し、管状炭酸マグネシウムにカーボンブラックを内包させた以外は実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0057】
[比較例1]
管状炭酸マグネシウムを添加しない以外は実施例1と同様にして比較例1の現像ローラを得た。結果を表1に示す。
【0058】
[比較例2]
管状炭酸マグネシウムを添加しない以外は実施例6と同様にして比較例2の現像ローラを得た。結果を表1に示す。
【0059】
【表1】

【符号の説明】
【0060】
1 軸芯体
2 弾性層
3 表面層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸芯体と、該軸芯体の周囲に設けられている弾性層と、表面層とを有する現像ローラにおいて、該弾性層がカーボンブラックを内包した管状体を含有することを特徴とする現像ローラ。
【請求項2】
前記管状体が炭酸マグネシウムから形成されている請求項1に記載の現像ローラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載の現像ローラを備え、電子写真画像形成装置本体に脱着可能に構成されていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項4】
請求項1または2に記載の現像ローラを備えていることを特徴とする電子写真画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−48007(P2011−48007A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−194297(P2009−194297)
【出願日】平成21年8月25日(2009.8.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】