説明

現像ロール

【課題】耐久性、耐へたり性に優れ、優れた画像を得ることができる現像ロールを提供する。
【解決手段】軸体1の外周面に導電性基層2が形成され、この導電性基層2の外周に、直接または他の層を介して、表層3が形成されてなる現像ロールであって、上記表層3が、下記の(A)〜(C)成分を用いて形成されている。
(A)導電性ポリマー。
(B)ウレタンポリオール。
(C)反応温度が上記(A)の導電性ポリマーの耐熱温度以下である反応性イソシアネート。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機,プリンター,ファクシミリ等の電子写真装置に用いられる現像ロールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、現像ロールは、軸体の外周面に導電性基層が形成され、この導電性基層の外周に、直接または他の層を介して、表層(塗膜)が形成されて構成されている。このような現像ロールにおいては、トナー帯電性能や優れた画質の確保が要求される。このような要求特性に応えるため、従来は、カーボンブラック等の電子導電剤やイオン導電剤を、表層(塗膜)中に配合することにより、表層(塗膜)を低抵抗化していた。また、現像ロールには、画像の必要濃度を得るために、トナー搬送能力が必要とされ、そのため、図3に示すように、ウレタン樹脂粒子等の粗度構成粒子34を、表層(塗膜)33内に配合することにより、表層(塗膜)33を凸部35と凹部36の凹凸形状に成形することにより、物理的にトナー搬送を行っていた。なお、図3において、31は軸体、32は導電性基層を示す。また、図3に示した構成とするのではなく、導電性基層自体を凹凸形状に成形する等により、トナー搬送能力の向上を図った現像ロールも提案されている。しかし、このような表層もしくは導電性基層を凹凸形状に成形してなる従来の現像ロールは、耐久時に、凸部とトナーとの衝突によるトナーの劣化に起因するかぶり不具合が生じたり、凸部にトナーの外添材料が堆積するフィルミング不具合を招く等の難点があった。
【0003】
これらの問題を解決するため、上記表層もしくは導電性基層を凹凸形状に成形してなる従来の現像ロールに代えて、ポリマー自体を導電化した導電性ポリマーを表層の塗工材料に用いることで、トナーへの帯電能力を向上させ、結果的に耐かぶり性の向上を図るとともに、ロール表面の凹凸形状レスでの画像を確保するように構成された現像ロールが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−266844号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記導電性ポリマーは、一般に熱に弱く、そのため、この導電性ポリマーを用いた現像ロールにおいて、より高耐久性、耐へたり性が要求される場合には、導電性ポリマーを含有するバインダーポリマー部を架橋する必要がある。しかしながら、従来のように、一般的な熱反応による架橋を行うと、導電性ポリマーの熱劣化を招き、耐久性は向上するものの、トナー帯電性能が損なわれる結果、かぶり性悪化等の不具合を招くという難点がある。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたもので、耐久性、耐へたり性に優れ、優れた画像を得ることができる現像ロールの提供をその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明の現像ロールは、軸体の外周面に導電性基層が形成され、この導電性基層の外周に、直接または他の層を介して、表層が形成されてなる現像ロールであって、上記表層が、下記の(A)〜(C)成分を用いて形成されているという構成をとる。
(A)導電性ポリマー。
(B)ウレタンポリオール。
(C)反応温度が上記(A)の導電性ポリマーの耐熱温度以下である反応性イソシアネート。
【0007】
すなわち、本発明者らは、耐久性、耐へたり性に優れ、優れた画像を得ることができる現像ロールを得るため、その表層を中心に研究を重ねた。そして、導電性ポリマーとともに用いるバインダーポリマーとして、ウレタンポリオールを選択し、かつ、ウレタンポリオールを架橋するイソシアネートとして、反応温度が、上記導電性ポリマーの耐熱温度以下である反応性イソシアネートを用いると、所期の目的が達成できることを見いだし、本発明に到達した。これはつぎのような理由にもとづくものと考えられる。すなわち、上記反応性イソシアネートの反応温度が、上記導電性ポリマーの耐熱温度以下であるため、比較的低温でウレタンポリオールを架橋させることができる。したがって、導電性ポリマーの熱劣化を回避することができ、トナー帯電性能を損なうこともなく、耐久性を向上させることができ、長期にわたって優れた画像を得ることができるようになる。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明の現像ロールは、反応性イソシアネートの反応温度が、上記導電性ポリマーの耐熱温度以下であるため、比較的低温でウレタンポリオールを架橋させることができる。したがって、導電性ポリマーの熱劣化を回避することができ、トナー帯電性能を損なうこともなく、耐久性を向上させることができ、長期にわたって優れた画像を得ることができるという効果が得られる。
【0009】
さらに、上記特定の反応性イソシアネート(C成分)の配合量が、上記ウレタンポリオール(B成分)100重量部に対して、10〜60重量部の範囲であると、製品の耐へたり性と高硬度による画像不具合からの回避の両立という効果が得られる。
【0010】
また、上記導電性ポリマー(A成分)の配合量が、上記特定のウレタンポリオール(B成分)100重量部に対して、3〜60重量部の範囲であると、良好な画像を得るための材料電気抵抗が得られる。
【0011】
そして、上記特定の反応性イソシアネート(C成分)の反応温度が120℃以下であると、導電性ポリマー(A成分)の熱劣化を防ぎつつ、耐へたり性を確保できるという効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
つぎに、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
【0013】
本発明の現像ロールの一例を図1に示す。この現像ロールは、通常、感光ドラムに接して機能を発揮するものであり、軸体1の外周面に沿って導電性基層2が形成され、その外周面に表層3が直接形成されて構成されている。本発明の現像ロールでは、上記表層3が特殊な表層用材料を用いて形成されていることが最大の特徴である。
【0014】
上記軸体1は特に制限するものではなく、例えば、金属製の中実体からなる芯金や、内部を中空にくり抜いた金属製の円筒体等が用いられる。そして、その材料としては、ステンレス、アルミニウム、鉄にメッキを施したもの等があげられる。なお、必要に応じて、上記軸体1上に接着剤、プライマー等を塗布してもよく、また上記接着剤、プライマー等は必要に応じて導電化してもよい。
【0015】
つぎに、上記軸体1の外周面に形成される導電性基層2の形成材料(基層用材料)としては、特に限定はないが、低硬度でへたりが少ないという点から、シリコーンゴム、イソプレンゴム等が好適に用いられる。
【0016】
上記基層用材料に用いられる導電剤としては、特に限定はなく、例えば、カーボンブラック,グラファイト,チタン酸カリウム,酸化鉄,c−TiO2 ,c−ZnO,c−SnO2 等の電子導電剤や、第四級アンモニウム塩,ホウ酸塩,リチウム塩,界面活性剤等のイオン導電剤等があげられる。なお、上記「c−」は、導電性を有するという意味である。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。
【0017】
つぎに、上記導電性基層2の外周面に形成される表層3の形成材料(表層用材料)としては、下記の(A)〜(C)成分が必須成分として用いられる。
(A)導電性ポリマー。
(B)ウレタンポリオール。
(C)反応温度が上記(A)の導電性ポリマーの耐熱温度以下である反応性イソシアネート。
【0018】
上記導電性ポリマー(A成分)としては、上記特定の反応性イソシアネート(C成分)の反応温度以上のものであれば特に限定はなく、例えば、導電性ポリアニリン、導電性ピロール、導電性チオフェン、導電性o−トルイジン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、バインダーポリマーとの相溶性の点で、導電性ポリアニリンが好適に用いられる。
【0019】
上記導電性ポリマー(A成分)の配合量は、後述のウレタンポリオール(B成分)100重量部(以下「部」と略す)に対して、3〜60部の範囲が好ましく、特に好ましくは10〜30部の範囲である。すなわち、上記導電性ポリマー(A成分)の配合量が3部未満であると、トナー帯電に最低限必要な低抵抗が得られず、逆に60部を超えると、低抵抗によるかぶり不具合が発生する傾向がみられるからである。
【0020】
上記ウレタンポリオール(B成分)としては、特に限定はなく、例えば、ウレタンポリオール、ウレタンシリコーンポリオール、ウレタンフッ素ポリオール、アクリル系ポリオール等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、導電性ポリマー(A成分)との相溶性の点で、ウレタンポリオール、ウレタンシリコーンポリオールが好適に用いられる。
【0021】
上記ウレタンポリオールとしては、例えば、ポリエーテル系ウレタンポリオール(日本ポリウレタン工業社製、ニッポラン3312)等があげられる。また、上記ウレタンシリコーンポリオールとしては、例えば、信越化学工業社製のX22−2756等があげられる。
【0022】
つぎに、特定の反応性イソシアネート(C成分)は、反応温度が前記導電性ポリマー(A成分)の耐熱温度以下のものであれば特に限定はなく、例えば、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、3,3′−ビトリレン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジメチルジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネートウレチジンジオン(2,4−TDIの二量体)、1,5−ナフチレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水添MDI)、カルボジイミド変性MDI、オルトトルイジンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併せて用いられる。これらのなかでも、耐へたり性、耐かぶり性の点で、TDIが好適に用いられる。
【0023】
上記特定の反応性イソシアネート(C成分)の配合量は、上記ウレタンポリオール(B成分)100部に対して、10〜60部の範囲が好ましく、特に好ましくは15〜40部の範囲である。すなわち、上記特定の反応性イソシアネート(C成分)の配合量が10部未満であると、製品の耐へたり性が損われ、逆に60部を超えると、現像ロール表面が高硬度となり、トナーや接触部材とのストレスが生じるため、トナー付着性が悪化する傾向がみられるからである。
【0024】
なお、上記表層用材料には、上記A〜C成分に加えて、鎖延長剤、電子導電剤、イオン導電剤、炭酸カルシウム,マイカ,シリカ,グラファイト等の充填剤、可塑剤、架橋促進剤、架橋遅延剤、老化防止剤、酸化亜鉛や酸化チタン等の着色剤等を適宜配合しても差し支えない。
【0025】
本発明の現像ロールは、例えば、つぎのようにして作製することができる。すなわち、まず、前記基層用材料の各成分をニーダーやロール等の混練機を用いて混練し、基層用材料を調製する。また、前記A〜C成分および必要に応じて鎖延長剤等の各成分を有機溶剤に配合して溶解し、表層用材料を調製する。つぎに、軸体1となる芯金をセットした射出成形用金型内に、上記基層用材料を充填し、所定の条件(例えば、180〜200℃×15分)で加熱架橋を行う。その後、脱型して、軸体1の外周面に沿って導電性基層2が形成されたベースロールを製造する。続いて、上記導電性基層2の外周面に、上記表層用材料を塗布する。そして、前記導電性ポリマー(A成分)の耐熱温度以下の温度(実架橋温度)で、所定時間加熱架橋することにより、軸体1の外周面に導電性基層2が形成され、さらにその外周面に表層3が形成された二層構造の現像ロール(図1参照)を作製することができる。
【0026】
なお、上記導電性基層2の成形方法は、上記射出成形法に限定されるものではなく、注型成形法や、プレス成形後に研磨する方法等により作製しても差し支えない。また、上記表層用材料の塗布方法は、特に制限するものではなく、従来公知のディッピング法、スプレーコーティング法、ロールコート法等があげられる。
【0027】
また、上記表層用材料の調製に際して使用される有機溶剤としては、特に限定するものではないが、例えば、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、アセトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン等があげられる。これらは単独でもしくは2種以上併用してもよい。
【0028】
本発明の現像ロールにおける各層の厚みは、特に限定はないが、導電性基層2の厚みは、0.5〜10mmの範囲に設定するのが好ましく、特に好ましくは1〜6mmの範囲である。また、表層3の厚みは、0.5〜100μmの範囲に設定するのが好ましく、特に好ましくは1〜30μmの範囲である。
【0029】
なお、本発明の現像ロールは、前記図1に示したような、導電性基層2の外周面に表層3が直接形成された二層構造に限定されるものではなく、導電性基層2の外周面に、他の層(例えば、中間層等)を介して、表層3を形成しても差し支えない。ただし、現像ロールを構成する層のうち表層(最外層)は、前記A〜C成分を必須成分とする表層用材料を用いて形成されている必要がある。
【実施例】
【0030】
つぎに、実施例について比較例と併せて説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0031】
まず、実施例および比較例に先立ち、下記に示す材料を準備した。
【0032】
〔導電性ポリマー(A成分)〕
特開2003−277500号公報の段落〔0032〕の実施例1に準じて、導電性ポリアニリン(耐熱温度:120℃)を作製した。すなわち、アニリン塩酸塩0.2モルの水溶液100mlに、界面活性剤であるポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルサルフェートアンモニウム塩(第一工業製薬社製、ハイテノールNO8)0.2モルを加えて加熱し、その溶液をさらに2〜8℃に保って攪拌しながら、過硫酸化アンモニウム0.2モルを加えて8時間反応を行った。当初、不均一系であったものが反応が進行するにつれて、均一系となり、ポリアニリン特有の緑色の溶液が得られた。これにメタノールを加えることにより、導電性ポリマーの沈殿を得た。
【0033】
〔ウレタンポリオール(B成分)〕
ポリエーテル系ウレタンポリオール(日本ポリウレタン工業社製、ニッポラン3312)
【0034】
〔ウレタンシリコーンポリオール(B成分)〕
ウレタンシリコーン(信越化学工業社製、X22−2756)
【0035】
〔反応性イソシアネートa(C成分)〕
アセト酢酸エチルブロックTDI(日本ポリウレタン工業社製、コロネート2534、反応温度:120℃)
【0036】
〔反応性イソシアネートb〕
ε−カプロラクタムブロックTDI(日本ポリウレタン工業社製、コロネート2512、反応温度:160℃)
【0037】
〔カーボンブラック〕
電気化学社製、デンカブラック
【0038】
〔ウレタン樹脂粒子〕
根上工業社製、アートパールC−400(平均粒径:15μm)
【0039】
〔実施例1〕
(導電性基層用材料の準備)
導電性シリコーンゴム(信越化学工業社製、X34−264 A/B)を準備した。
【0040】
(表層用材料の調製)
後記の表1に示す各成分を同表に示す割合で配合し、これらを有機溶剤(MEK)に配合して溶解し、20重量%濃度のコーティング溶液である表層用材料を調製した。
【0041】
(現像ロールの作製)
軸体となる芯金(直径10mm、SUS304製)をセットした金型内に、導電性基層用材料として導電性シリコーンゴム(信越化学工業社製、X34−264 A/B)を充填した後、所定の条件(170℃×3分)で加熱架橋を行った。その後、脱型して、軸体の外周面に沿って導電性基層が形成されたベースロールを作製した。つぎに、上記導電性基層の外周面に沿って上記表層用材料であるコーティング溶液を塗布した後、導電性ポリマー(A成分)の耐熱温度以下の温度(実架橋温度:120℃)で1時間加熱架橋を行い、表層を形成した。このようにして、軸体の外周面に導電性基層(厚み4mm)が形成され、その外周面に表層(厚み10μm)が形成された二層構造の現像ロールを作製した。
【0042】
〔実施例2,3、比較例1〜4〕
後記の表1に示す各成分を同表に示す割合で配合してなる表層用材料を用いる以外は、実施例1と同様にして、現像ロールを作製した。
【0043】
このようにして得られた実施例および比較例の現像ロールを用いて、下記の基準に従い各特性の評価を行った。これらの結果を、後記の表1に併せて示した。
【0044】
〔ロール体積抵抗〕
各現像ロールの体積抵抗を、図2に示すような装置を用いて、金属ロール電極法により測定した。すなわち、ステンレス製の金属ロール21上に現像ロール22を接触させ、現像ロール22の両端を荷重1000g(9.8N)で押圧し、この状態で現像ロール22の一端に100Vの電圧を印加して体積抵抗(Ω・cm)を測定した。
【0045】
〔画質濃度〕
各現像ロールをカラーレーザープリンターに組み込み、20℃×50%RHの条件下において実際に画像出しを行った。評価は、べた黒画像において、マクベス濃度1.4以上で、画像むらや白斑点ぬけがないものを○、マクベス濃度1.4未満、画像むら、白斑点ぬけのいずれか一つでも発生したものを×とした。
【0046】
〔耐フィルミング性〕
各現像ロールをカラーレーザープリンターに組み込み、実際に6000枚複写を行った。評価は、現像ロール表面に現像剤の一部が0.5μm以上の厚みで付着したものを×、0.5μm以上の厚みで付着しなかったものを○とした。
【0047】
〔耐かぶり性〕
各現像ロールをカラーレーザープリンターに組み込み、実際に画像出しを行った。そして、画出し中に評価用マシンを強制停止させ、白地部分における感光ドラムへのトナー飛翔量を、テープ転写による濃度比較(マクベス濃度計により測定)により実施した。評価は、6000枚複写後(6K後)について行い、測定値が0.1未満のものを○、0.1〜0.25のものを△、0.25を超えるものを×とした。
【0048】
〔セット性〕
各現像ロールをカラーレーザープリンターに組み込み、湿熱環境(40℃×95%RH)に放置し、1ヶ月後に画像評価を行った。評価は、出力画像に問題のないものを○、軽微な不具合が見られるものを△、明らかな不具合が見られるものを×とした。
【0049】
【表1】

【0050】
上記表1の結果から、実施例2品は、実架橋温度が低温(150℃)で、反応温度が低い反応性イソシアネートを用いているため、画像濃度、耐フィルミング性、セット性が全て良好で、耐かぶり性についても実用上問題のないレベルであった。また、実施例1,3品は、実施例2品よりも実架橋温度がさらに低温(120℃)であるため、画像濃度、耐フィルミング性、セット性、耐かぶり性が全て良好であった。
【0051】
これに対して、比較例1品は、実施例品の導電性ポリマーに代えて、導電剤としてカーボンブラックを用いるとともに、実架橋温度が高温(185℃)で、反応温度が高い反応性イソシアネートを用いているため、耐かぶり性、耐フィルミング性が劣っていた。比較例2品は、実架橋温度が高温(185℃)で、反応温度が高い反応性イソシアネートを用いているため、耐かぶり性が劣っていた。比較例3品は、反応温度が高い反応性イソシアネートを用い、実架橋温度が反応温度よりも低く、架橋反応が起こらないため、表層がべたべたした状態となり、耐フィルミング性,セット性が劣っていた。比較例4品は、反応性イソシアネートを用いていないため、セット性が劣っていた。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の現像ロールは、複写機,プリンター,ファクシミリ等の電子写真装置に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の現像ロールの要部を示す模式図である。
【図2】ロール体積抵抗の測定方法を示す説明図である。
【図3】従来の現像ロールの要部を示す模式図である。
【符号の説明】
【0054】
1 軸体
2 導電性基層
3 表層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸体の外周面に導電性基層が形成され、この導電性基層の外周に、直接または他の層を介して、表層が形成されてなる現像ロールであって、上記表層が、下記の(A)〜(C)成分を用いて形成されていることを特徴とする現像ロール。
(A)導電性ポリマー。
(B)ウレタンポリオール。
(C)反応温度が上記(A)の導電性ポリマーの耐熱温度以下である反応性イソシアネート。
【請求項2】
上記(C)の反応性イソシアネートの配合量が、上記(B)のウレタンポリオール100重量部に対して、10〜60重量部の範囲である請求項1記載の現像ロール。
【請求項3】
上記(A)の導電性ポリマーの配合量が、上記(B)のウレタンポリオール100重量部に対して、3〜60重量部の範囲である請求項1または2記載の現像ロール。
【請求項4】
上記(C)の反応性イソシアネートの反応温度が120℃以下である請求項1〜3のいずれか一項に記載の現像ロール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−192978(P2007−192978A)
【公開日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−9629(P2006−9629)
【出願日】平成18年1月18日(2006.1.18)
【出願人】(000219602)東海ゴム工業株式会社 (1,983)
【Fターム(参考)】