説明

現像装置、プロセスカートリッジ、画像形成装置

【課題】磁界発生手段のたわみを発生させることがなく、装置の破損や画像不良の発生が防止可能であり、キャリアを回収し効率的に現像容器内に戻すことで画像濃度低下や画像不良の発生を防止可能な現像装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】第1現像磁界発生手段を内包する磁性粒子担持体が複数配設され、隣接する前記磁性粒子担持体の最近接する磁極が互いに異極性である現像装置において、第2現像磁界発生手段を内包し、磁性粒子担持体115bと像担持体108との両方に近接する磁性粒子回収体115cを有し、前記第2磁界発生手段の磁極のうち、前記磁性粒子担持体と最近接する磁極及び前記像担持体と最近接する磁極が同極性であり、かつ隣接しており、前記第1磁界発生手段の前記磁性粒子回収体に最近接する磁極とは異極性である現像装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタ等に用いられる現像装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に係るものである。詳しくは、現像剤担持体に担持された現像剤を、像担持体と現像剤担持体とが間隙をもって対向する現像領域に搬送し、像担持体上の静電潜像を現像してトナー像化するための現像装置に関するものである。また、かかる現像装置を用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ等の画像形成装置は、像担持体を一様に帯電させる帯電手段と、該像担持体上に潜像を形成する潜像形成手段と、前記像担持体上の潜像をトナーとキャリアからなる現像剤で現像する現像手段と、該現像手段により形成されたトナー像を転写材に転写する転写手段とを有し、前記現像手段として、二成分現像装置が像担持体に対向して配置されており、該現像装置は固定した磁界発生手段(以下、「マグネットローラ」ともいう)と、回転する非磁性中空体(以下、「スリーブ」ともいう)を備え、これら磁界発生手段と非磁性中空体からなる磁性粒子担持体が前記像担持体に対向配置されているものが一般的である。
【0003】
近年の画像形成速度の高速化に伴い、感光体等の像担持体の表面移動速度はより高速化される傾向にある。このような高速の画像形成装置においては、現像スリーブを比較的高速で回転させないと、現像領域に対する単位時間あたりのトナー供給量が不足して現像濃度不足を引き起こしてしまう。ところが、現像スリーブを比較的高速で回転させると、磁気ブラシと像担持体との摺擦による像担持体や現像剤の摩耗が著しくなったり、磁気ブラシを形成している現像剤に働く遠心力が大きくなることにより現像剤の飛散が多くなり、複写機内部の汚染を引き起こしたりなど、装置の機能を低下させることがある。
【0004】
そこで、例えば、複数の現像ローラを使用して、潜像担持体上の潜像を現像する現像装置が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に記載の現像装置は、潜像の現像を行うための現像室と、現像剤を収容する第1剤収容室と、これの真下で現像剤を収容する第2剤収容室とを有している。そして、現像室は第1剤収容室及び第2剤収容室の側方に配設され、その内部には、第1現像ローラと、これの真下に配設された第2現像ローラとを有している。第1現像ローラの現像スリーブである第1現像スリーブは、その側方に配設された第1剤収容室から供給される現像剤を担持して潜像担持体たる感光体上の潜像を現像する。現像に寄与した後の現像剤は、第1現像スリーブと感光体とが対向する第1現像領域を通過した後、第1現像スリーブの下方に配設された第2現像ローラの第2現像スリーブに受け渡される。そして、第2現像スリーブの回転に伴って、第2現像スリーブと感光体とが対向する第2現像領域に送られて、ここで再び現像に寄与する。2度目の現像工程を終えた現像剤は、第2現像スリーブ上からこれの側方に配設された第2剤収容室内に回収され、ここでトナーが補給された後に第1剤収容室内に戻される。かかる構成では、2本の現像スリーブによって現像工程を2回繰り返すことで、現像スリーブを高速回転させなくても、十分な現像濃度を得ることができる。
【0005】
上記のような複数の現像ローラを使用する現像装置を用いる場合、現像装置が大型化する傾向にあり、近年の複写機の小型化のニーズに逆らうことになってしまう。従って、現像装置の小型化を達成するために、現像ローラの小径化の必要性が高まっており、最近では直径が14mm以下の現像ローラが用いられるようになっている。
【0006】
しかし、現像ローラを小径化することにより、マグネットローラのマグネット体積が減少してしまい、現像に必要な磁気力が十分に得られない可能性がある。また、十分な磁気力がないと、現像の際に像担持体上にキャリアが付着してしまい、画像の濃度ムラや白抜け、および像担持体の磨耗、破損が生じる場合もある。
【0007】
また、現像ローラを小径化することにより、内包されるマグネットローラの強度が低下してしまい、マグネットローラの中央部がたわみやすくなるという問題がある。特に、特許文献1に記載のもののように、2本の現像ローラの互いに近接している磁極(N3極とS3極)が異極同士であると、図6に示すように、2本のマグネットローラ間に磁気的引力が作用し、マグネットローラを支持する両端固定部を支点として、2本のマグネットローラの中央部がたわむという問題が発生しやすくなる。この2極を同極同士とすると、両極間は互いに反発するように磁気力が作用し、第1現像ローラから第2現像ローラへの現像剤の受け渡しがスムーズに行なわれなくなる可能性が高いため、異極同士とすることが一般的である。
【0008】
マグネットローラにたわみが生じると、まずマグネットローラの一部が現像スリーブの内壁と接触し、その部分に摩擦力が生じ、現像駆動に大きな力が必要となり、場合によっては負荷が重くて止まってしまったり、マグネットローラが削れてしまうことがある。また、マグネットローラがたわむことにより、現像ローラの軸方向で磁束密度分布が一様でなくなり、像担持体上に均質にトナーを付着させることができなくなり、画像の濃度ムラとなってしまう場合がある。
【0009】
通常、マグネットローラは金属で構成される軸心棒の周囲にマグネットを設けて作られる場合が多いため、マグネットローラのたわみへの対策のひとつとして、軸芯棒の径を太くし強度を増すことが考えられる。しかし、軸芯棒の径を太くするということはマグネット部分の体積を減らすことになるので、現像に適した磁力を得ることが難しくなる可能性が高い。特に、磁力の低下により像担持体上にキャリアが付着しやすくなってしまうという問題がある。
【0010】
そこで、第2現像スリーブに近接するように回転体を配置し、第3のマグローラ(マグネットローラ)と第2のマグローラ間の磁気的引力により、第2のマグローラを第1のマグローラの逆方向に引っ張ることによってたわみをなくす方法が提案されている(特許文献2参照)。特許文献2に記載の方法の場合、第1のマグローラは第2のマグローラ側に引っ張られることになるが、第1現像ローラ上部に配置された磁性板の磁気的引力とつりあうことにより、第1のマグローラもたわみが生じない。
【0011】
【特許文献1】特開2004−163906号公報
【特許文献2】特開2004−151591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上記特許文献2の方法によると、回転体を像担持体に近接させることにより、像担持体上に付着したキャリアを回収することもできるが、ここで回収されたキャリアはキャリア回収容器に集められ、現像容器内に戻ることがない。このため、長期的には現像容器内のキャリア数が減少し、第1および第2の現像スリーブに付着する現像剤量が低下し、画像の濃度低下の原因となる可能性が高い。さらに、第3のスリーブからキャリアを剥離しキャリア回収容器内に集めるために、現像剤掻き落としブレードを第3のスリーブに当接し、機械的に現像剤を剥離しているが、長期的にはこのブレードが磨耗しキャリアの回収効率が低下する可能性がある。
【0013】
したがって、磁性粒子担持体を複数用いた現像装置において、装置の小型化に対応し、現像剤搬送を潤滑に行える磁力を有する小径の磁性粒子担持体とした場合でも、磁性粒子担持体内部の磁界発生手段のたわみを発生させることなく、装置の破損や像担持体へのトナーの付着ムラ等による画像不良の発生を防止し、さらに像担持体上へ付着したキャリアを装置の磨耗や破損を招くことなく回収し、かつ回収したキャリアを効率的に現像容器内に戻すことにより画像濃度の低下や画像不良の発生を防止可能な現像装置が求められているが、未だ提供されていない。
【0014】
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、小径化された磁性粒子担持体でも、内包された磁界発生手段のたわみを発生させることがなく、装置の破損や像担持体へのトナーの付着ムラ等による画像不良の発生を防止可能であり、さらに像担持体上へ付着したキャリアを装置の磨耗や破損を招くことなく回収し、かつ回収したキャリアを効率的に現像容器内に戻すことにより画像濃度の低下や画像不良の発生を防止可能な現像装置、該現像装置を用いたプロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するために提供する本発明は、以下の通りである。
〔1〕 複数の磁極が固定配置されてなる第1現像磁界発生手段を回転可能な非磁性中空体に内包し、像担持体上の静電潜像を現像するための磁性粒子を表面に担持する磁性粒子担持体が、前記像担持体の像担持面に沿って複数配設され、隣接する前記磁性粒子担持体間で最近接するそれぞれの磁極同士が互いに異極性である現像装置において、複数の磁極が固定配置されてなる第2現像磁界発生手段を回転可能な非磁性中空体に内包し、前記像担持体の回転方向の最下流部に配設された磁性粒子担持体Aと前記像担持体との両方に近接して配設される磁性粒子回収体を有し、前記第2磁界発生手段の複数の磁極のうち、前記磁性粒子担持体Aと最近接する磁極及び前記像担持体と最近接する磁極は、隣接しかつ同極性であり、前記磁性粒子担持体Aの前記第1磁界発生手段における前記磁性粒子回収体に最近接する磁極とは異極性であることを特徴とする現像装置。
〔2〕 前記第2磁界発生手段の前記磁性粒子担持体Aと最近接する磁極の磁束密度が、該磁性粒子坦持体Aの第1磁界発生手段における前記磁性粒子回収体と最近接する磁極の磁束密度よりも小さいことを特徴とする前記〔1〕に記載の現像装置。
〔3〕 前記第2磁界発生手段の前記像担持体と最近接する磁極が、前記磁性粒子回収体の回転中心と前記像担持体の回転中心とを結ぶ線分上よりも、前記像担持体の回転方向の上流側に位置することを特徴とする前記〔1〕から〔2〕のいずれかに記載の現像装置。
〔4〕 前記磁性粒子回収体の前記非磁性中空体の回転速度である線速が、前記像担持体の回転方向の最下流部に配設された前記磁性粒子担持体の前記非磁性中空体の回転速度である線速よりも小さいことを特徴とする前記〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の現像装置。
〔5〕 前記〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の現像装置を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
〔6〕 潜像を担持する像担持体、前記像担持体を帯電させる帯電手段、前記像担持体上の潜像を現像する現像手段、及び前記現像手段により形成された像を転写材へ転写する転写手段を備える画像形成装置において、前記現像手段として前記〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の現像装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、磁性粒子担持体に内包される磁界発生手段のたわみを発生させることがなく、装置の破損や像担持体へのトナーの付着ムラ等による画像不良の発生を防止可能であり、さらに像担持体上へ付着したキャリアを装置の磨耗や破損を招くことなく回収し、かつ回収したキャリアを効率的に現像容器内に戻すことにより画像濃度の低下や画像不良の発生を防止可能な現像装置、該現像装置を用いたプロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することができる。
【0017】
本発明の効果として、請求項1の発明によれば、複数の磁極が固定配置されてなる第1現像磁界発生手段を回転可能な非磁性中空体に内包し、像担持体上の静電潜像を現像するための磁性粒子を表面に担持する磁性粒子担持体が、前記像担持体の像担持面に沿って複数配設され、隣接する前記磁性粒子担持体間で最近接するそれぞれの磁極同士が互いに異極性である現像装置において、複数の磁極が固定配置されてなる第2現像磁界発生手段を回転可能な非磁性中空体に内包し、前記像担持体の回転方向の最下流部に配設された磁性粒子担持体Aと前記像担持体との両方に近接して配設される磁性粒子回収体を有し、前記第2磁界発生手段の複数の磁極のうち、前記磁性粒子担持体Aと最近接する磁極及び前記像担持体と最近接する磁極は、隣接しかつ同極性であり、前記磁性粒子担持体Aの前記第1磁界発生手段における前記磁性粒子回収体に最近接する磁極とは異極性である現像装置という構成としたため、複数配設される磁性粒子担持体間に働く磁気的引力と、前記磁性粒子回収体とそれに近接する前記像担持体の回転方向の最下流部に配設された磁性粒子担持体の間に働く磁気的引力をつりあわせることにより、前記磁性粒子担持体に内包される第1現像磁界発生手段のたわみを防止することができ、たわみによる装置の破損や像担持体へのトナーの付着ムラ等による画像不良の発生を防止することができる。
また、前記磁性粒子回収体が前記像担持体と近接しているので、前記磁性粒子回収体が内包する第2磁界発生手段が有する複数の磁極のうち、前記像担持体に最近接する磁極の磁気的引力により、前記像担持体上に付着したキャリアを前記磁性粒子回収体上に吸着できるので、キャリアの付着による画像の白抜け、濃度ムラおよび像担持体の磨耗、破損を防止することができる。
さらに、前記磁性粒子回収体が内包する第2磁界発生手段が有する複数の磁極のうち、前記像担持体に最近接する磁極と、前記磁性粒子担持体に最近接する磁極とが隣り合っており、かつ同極性同士であるので、この磁極間で反発磁界が形成され、前記磁性粒子回収体が前記像担持体の回転方向と逆方向に回転すると、前記像担持体上から前記磁性粒子回収体へ吸着されたキャリアが、この磁極間で反発力を受け、前記磁性粒子回収体に近接する磁性粒子担持体(前記像担持体の回転方向の最下流部に配設された磁性粒子担持体)へ飛び移り、最終的に現像容器内にキャリアが回収される。これにより、キャリアを回収する容器の設置が不要となるため現像装置の小型化を達成でき、さらに、現像容器内のキャリア数を一定に保つことができるので、長期間使用しても画像の濃度低下が発生しにくくなる。
また、前記像担持体の回転方向の最下流部に配設された磁性粒子担持体の磁極のうち、前記磁性粒子回収体と最近接する磁極が前記反発磁界と異極性であるので、前記反発磁界が強まることになり、キャリアが容易に飛び移り、現像剤を掻き落とすブレードなどで機械的にキャリアを剥離しなくとも確実にキャリアを回収することができ、ブレードの磨耗の影響を気にする必要がなく、長期に渡って安定してキャリアを回収することができる。
【0018】
請求項2の発明によれば、請求項1に記載の現像装置において、前記第2磁界発生手段の前記磁性粒子担持体Aと最近接する磁極の磁束密度が、該磁性粒子坦持体Aの第1磁界発生手段における前記磁性粒子回収体と最近接する磁極の磁束密度よりも小さいという構成としたため、形成された反発磁界によって、前記磁性粒子回収体上から、近接する磁性粒子担持体(前記像担持体の回転方向の最下流部に配設された磁性粒子担持体)へ飛び移った後の磁性粒子(以下、「キャリア」ともいう)を、再び前記磁性粒子回収体に吸着させることなく現像容器内へ回収することができる。従って、キャリアの付着による画像の白抜け、濃度ムラおよび像担持体の磨耗、破損を防止することができ、さらに、現像容器内のキャリア数を一定に保つことができるので、長期間の使用においても画像の濃度低下を防止することができる。
請求項3の発明によれば、請求項1から2のいずれかに記載の現像装置において、前記磁性粒子回収体が内包する第2磁界発生手段の前記像担持体と最近接する磁極が、前記磁性粒子回収体の回転中心と前記像担持体の回転中心とを結ぶ線分上よりも、前記像担持体の回転方向の上流側に位置するという構成としたため、前記磁性粒子回収体が内包する第2磁界発生手段の前記磁性粒子担持体と最近接する磁極と、前記磁性粒子担持体が内包する第1磁界発生手段の前記磁性粒子回収体と最近接する磁極との距離が縮まり、形成される反発磁界がより強くなるため、前記像担持体上にキャリアがより付着しにくくなる。従って、キャリアの付着による画像の白抜け、濃度ムラおよび像担持体の磨耗、破損を防止することができる。
請求項4の発明によれば、請求項1から3のいずれかに記載の現像装置において、前記磁性粒子回収体の前記非磁性中空体の回転速度である線速が、前記像担持体の回転方向の最下流部に配設された前記磁性粒子担持体の前記非磁性中空体の回転速度である線速よりも小さいという構成としたため、前記磁性粒子回収体上のキャリアを反発磁界により弾き飛ばし、近接する磁性粒子担持体(前記像担持体の回転方向の最下流部に配設された磁性粒子担持体)へスムーズに受け渡すことができ、キャリアの付着による画像の白抜け、濃度ムラおよび像担持体の磨耗、破損を防止することができる。また、キャリアを現像容器内へ確実に回収することができるため、現像容器内のキャリア数を略一定に保つことができるので、長期間の使用においても画像の濃度低下が発生しにくくなる。
請求項5の発明によれば、請求項1から4のいずれかに記載の現像装置を有するプロセスカートリッジという構成としたため、磁性粒子担持体に内包される磁界発生手段のたわみを発生させることがなく、装置の破損や像担持体へのトナーの付着ムラ等による画像不良の発生を防止可能であり、さらに像担持体上へ付着したキャリアを装置の磨耗や破損を招くことなく回収し、かつ回収したキャリアを効率的に現像容器内に戻すことにより画像濃度の低下や画像不良の発生を防止することができる。
請求項6の発明によれば、潜像を担持する像担持体、前記像担持体を帯電させる帯電手段、前記像担持体上の潜像を現像する現像手段、及び前記現像手段により形成された像を転写材へ転写する転写手段を備える画像形成装置において、前記現像手段として請求項1から4のいずれかに記載の現像装置を有する画像形成装置という構成としたため、装置の破損や像担持体へのトナーの付着ムラ等による画像不良の発生を防止可能であり、さらに像担持体上へ付着したキャリアを装置の磨耗や破損を招くことなく回収し、かつ回収したキャリアを効率的に現像容器内に戻すことにより画像濃度の低下や画像不良の発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明に係る画像処理方法を実行させる手段を有する本発明の複写装置の一実施の形態における構成、及び本発明の画像処理方法、該処理方法を実行させるプログラムについて図面を参照して説明する。ただし、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0020】
現像装置は、磁性粒子(例えば現像剤)を像担持体と対向する現像領域に搬送して、像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー像化するための磁性粒子担持体を備えている。この磁性粒子担持体は、例えば、円筒状に形成された非磁性中空体(例えば、現像スリーブ)と、該スリーブ表面に現像剤の穂立ちを生じさせるように磁界を形成する磁界発生手段(例えば、マグネットローラ)を現像スリーブ内部に有している。現像剤が穂立ちの際には、現像剤を構成するキャリアがマグネットローラで生じる磁力線に沿うように現像スリーブ上に穂立ちしており、このキャリアに対しては、帯電トナーが付着されている。マグネットローラは、複数の磁極が固定配置されているが、それぞれの磁極を形成する磁石は、棒状など成形体に形成されていて、特に、現像スリーブ表面の現像領域部分に対応する部分には、現像剤を穂立ちさせる現像主磁極を有している。この穂立ちを起こした現像剤は、前記現像スリーブ及びマグネットローラの少なくとも一方を回転させることにより、周方向に移動させることができる。一般的には、現像剤を搬送しやすくするために、現像スリーブの表面が溝加工、サンドブラスト加工等の荒らし加工が施されている。このような溝加工、サンドブラスト加工等の荒らし加工は、高速で回転する現像スリーブの表面で現像剤がスリップして停滞することにより生じる画像濃度の低下の発生を防止するために行われる。
【0021】
次に、本発明の一実施形態である現像装置113の構成を、図1及び図2を参照して説明する。
現像装置113は、図1及び図2に示すように、磁性粒子(例えば現像剤)供給部114と、ケース125と、磁性粒子担持体としての2本の現像ローラ115a、115bと、規制部材としての規制ブレード116とを少なくとも備えている。
現像ローラ115(115a及び115b)は、図2に示すように芯金134と、第1磁界発生手段(以下、マグネットローラ、磁石体ともいう)133a及び133bと、非磁性中空体(以下、現像スリーブという)132a及び132bとを備えている。芯金134は、その長手方向が像担持体(感光体ドラム)108の長手方向と平行に配され、現像装置113のケース125に回転することなく固定されている。
【0022】
マグネットローラ133の材料はプラスチックマグネットもしくはゴムマグネットを用いることが一般的である。磁性粉としてフェライト、もしくは高い磁気特性を得るためにNe系(Ne-Fe-等)またはSm系(Sm-Co、Sm-Fe-N等)等が挙げられ、高分子材料として6PAもしくは12PA等のPA系材料、EEA(エチレン・エチル共重合体)・EVA(エチレン・ビニル共重合体)等のエチレン系化合物、CPE(塩素化ポリエチレン)等の塩素系材料、NBR等のゴム材料などの熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂としてエポキシ系、シリコーン系、ウレタン系等が挙げられるが、本発明のように径が小さいマグネットローラを作製する場合には剛性の高いPA系樹脂にフェライトマグネットを混合した材料を用いてマグネットローラを成形し、高磁力が必要な箇所に希土類マグネットブロックを配置することが望ましい。希土類マグネットの種類としては磁性粉としてNd−Fe−BやSm−Fe−Nを用いるのが一般的である。成形方法としては6PAと混合して射出成形を行う方法や、ポリエステルなどの樹脂粉末と混合して圧縮成型を行う方法をとる事ができる。この場合、磁場中で圧縮成型もしくは射出成形を行う事でより高い磁気特性を得る事ができる。マグネットローラ133を成形する方法として、押出し磁場成形、射出成形などがあげられるが、結晶性が高く剛性に有利な高分子材料を用いることができるため射出成形が望ましい。また、芯金134とマグネットローラ133を一体成型する場合、胴部と芯金部の径が異なるため、この形状を実現するのにも射出成形が望ましい。
【0023】
マグネットローラ133は、このように磁性材料で構成され、かつ円筒状に形成されているとともに、複数の固定磁極が取り付けられている。固定磁極は、長尺で棒状の磁石であり、マグネットローラ133、即ち、現像ローラ115の長手方向に沿って延びており、該マグネットローラ133の全長に亘って設けられている。前述した構成のマグネットローラ133a及び133bは、現像スリーブ132a及び132b内にそれぞれ収容されている(内包されている)。
マグネットローラ133aには、複数の固定磁極、例えば、N2(現像剤搬送極),N1(現像剤汲み上げ極)、S1(現像極),N3(現像剤搬送極)及びS2(現像剤搬送極)がそれぞれ設けられている。固定磁極N1は、現像剤を汲み上げる汲み上げ磁極として、第3空間120c内に収容されている攪拌スクリュー118cと相対しており、固定磁極S1は、現像磁極として、感光体ドラム108と相対している。現像ローラ115aの現像スリーブ132aは、矢印D方向に回転するので、現像剤は、現像スリーブ132aの表面を固定磁極N1,S2,N3,S1及びN2の順に移行する。このマグネットローラ133aにおいては、固定磁極N2(現像剤搬送極)及び固定磁極N1(現像剤汲み上げ極)が同極性であるため、固定磁極N1と固定磁極N2との間に反発力が発生し、現像剤126は、固定磁極N2から現像ローラ115bの固定磁極S3の方向へ、現像ローラ115aから離れやすくなる。
マグネットローラ133bも同様に複数の固定磁極、例えば、N4(現像極),S4(現像剤搬送極),S3(現像剤汲み上げ極)がそれぞれ設けられている。現像ローラ115bの現像スリーブ132bも矢印D方向に回転し、現像ローラ115aから離れた現像剤は、現像ローラ115bの固定磁極S3の磁力によって現像スリーブ132b上に汲み上げられ、N4,S4の順に移行する。固定磁極S3と固定磁極S4は磁極間が広く、また極性が同極性であるため、現像剤は現像ローラ115bから離れやすくなり、第2空間120bの中に落とされる。
【0024】
本発明では、前記像担持体の回転方向の最下流部に配設された磁性粒子担持体である現像ローラ115b、および感光体ドラム108と近接するように磁性粒子回収体(以下、「回収ローラ」という)115cを配置した。
回収ローラ115cに内包される第2磁界発生手段(第2のマグネットローラ)133cの磁極のうち、N5極が第1磁界発生手段(第1のマグネットローラ)133bのS4極と近接し、N6極が感光体ドラム108と近接している。マグネットローラ133bはS3極とN2極との磁気的引力により、上方にたわむ力がかかるが、N5極とS4極の磁気的引力が下方に働くので、それぞれの磁気的引力を打ち消すように各磁極の磁力を調節する(S3≒N2、N5≒S4)ことにより、マグネットローラ133bのたわみを防止できる。
【0025】
また、N5極の磁力がS4極の磁力より大きくならないようにすることによって、S4極とN5極の間で現像ローラ115bに担持された現像剤126が回収ローラに引き寄せられることなく、確実に収容層117へと搬送することができる。
また、N6極が感光体ドラム108と近接していることにより、感光体ドラム108上に付着したキャリアを磁気的引力により回収ローラ115cの外表面に吸着し回収することができる。
図1及び図3に示すように、吸着したキャリアは、矢印E方向に回転する現像スリーブ132cにより、N6極からN5極へ搬送される。N6極とN5極は反発磁界を形成しているので、キャリアはN6極からN5極へ搬送される間に、矢印F方向に弾き飛ばされ、現像ローラ115bのS4極に吸着される。さらに、N5極が対向してS4極に近接していることにより、N5極の磁力にS4極の磁力が加算される形で反発磁界が強くなるので、より確実にキャリアを回収ローラ115cから現像ローラ115bへと弾き飛ばすことができ、確実に収容槽117内へキャリアを回収することができる。
【0026】
さらに、N6極とN4極との間に反発磁界が形成されるので、感光体ドラム108上に付着したキャリアが弾き飛ばされて現像ローラ115bに最吸着する効果も奏でることができ、より確実にキャリア付着を防止することができる。
【0027】
さらに、図4に示すように、感光体ドラム108の中心と回収ローラ115cの中心とを結ぶ線分上よりやや上方に磁極N6を配置することにより、N6極とN4極との距離が縮まり、N6極とN4極との間の反発磁界が強まるので、上記の効果をより強めることができる。
【0028】
現像スリーブ132a及び132b、並びに図3に示す回収スリーブ132cは、円筒状に形成され、マグネットローラ133をそれぞれ内包し(収容し)て、軸芯回りに回転自在に設けられている。
現像スリーブ及び回収スリーブは同一の部材であってもよい。
スリーブ132は、その内周面が固定磁極に順に相対するように回転される。スリーブ132は、アルミニウム合金、ステンレス鋼(SUS)などの非磁性材料で構成されていることが好ましい。現像スリーブ132の基材として、アルミニウム合金は、加工性、軽さの面で優れている。アルミニウム合金を用いる場合には、A6063、A5056及びA3003を用いるのが望ましい。SUSを用いる場合には、SUS303、SUS304及びSUS316を用いるのが望ましい。
現像スリーブ132の外径は、9mm〜18mm程度であるのが望ましく、また、現像スリーブ132の軸(軸芯)方向の長さは、240mm〜350mm程度であるのが望ましい。
現像スリーブ132は、溝加工、サンドブラスト加工等の荒らし加工が施されていることが好ましい。
【0029】
尚、現像スリーブ132bと回収スリーブ132c間の間隙は、2〜5mmとやや広めに設定しておくことにより、現像剤が収容層117内に取り込まれず溢れるのを防止できる。さらに、間隙に第2空間120bへと繋がるように収容層117の一部をせり出させることにより、現像剤を現像ローラ115bから第2空間120bへと確実に搬送することができる。
【0030】
また、回収ローラ115cの回収スリーブの回転速度である線速が、現像ローラ115bの現像スリーブの回転速度である線速よりも小さいことが好ましい。
【0031】
一方、第2磁界発生手段であるマグネットローラ133cも第1マグネットローラ133bからの磁力によりたわむが、マグネットローラ133cの回収スリーブ132cには現像剤をコートせず、現像に関与させないことから、多少ゆがんでも画像に影響は出ない。 また、マグネットローラ133cがたわんで、回収スリーブ132cの内壁に接触する問題については、マグネットローラ133cは画像形成にも関与しないことから大きな磁気力も必要ないので、マグネットローラ133cの外径を小さくするなり、マグネット部分の面積を削って軸芯を太くする等の対策をとればよい。
【0032】
現像剤供給部114は、収容槽117と、攪拌部材としての攪拌スクリュー118a〜cと、を備えている。収容槽117は、感光体ドラム108と長さが略等しい箱状に形成されている。また、収容槽117内には、該収容槽117の長手方向に沿って延びた仕切壁119が設けられている。仕切壁119は、収容槽117内を第1空間120a、第2空間120b、および第3空間120cに区画している。また、第1空間120aと第2空間120bとは、手前側が連通しており、第1空間120aと第3空間120cとは、両端部が連通しており、第2空間120bと第3空間120cは手前側が連通している。
【0033】
収容槽117は、第1空間120a、第2空間120b、および第3空間120cに現像剤126を収容する。現像剤126は、トナーと磁性粒子(キャリア、又は磁性粉ともいう)を含んでいる。トナーは、第1空間120aの手前側に、適宜供給される。トナーは、乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子である。なお、トナーは、種々の染料又は顔料を混入・分散した合成樹脂で構成される塊を粉砕して得られても良い。トナーの平均粒径は、3μm以上でかつ7μm以下である。また、トナーは、粉砕加工などにより形成されても良い。
【0034】
攪拌スクリュー118は、第1空間120a、第2空間120b、および第3空間120cそれぞれに収容されている。攪拌スクリュー118の長手方向は、収容槽117、現像ローラ115及び感光体ドラム108の長手方向と平行である。攪拌スクリュー118は、軸芯周りに回転自在に設けられており、軸芯周りに回転することで、トナーと磁性キャリア135とを攪拌するとともに、該軸芯に沿って現像剤126を搬送する。また、第1空間120a内の攪拌スクリュー118aは、現像剤126を手前側から奥側に向けて搬送する。第2空間120b内の攪拌スクリュー118bは、現像剤126を奥側から手前側に向けて搬送する。第3空間120c内の攪拌スクリュー118cは、現像剤126を奥側から手前側に向けて搬送する。
【0035】
現像剤供給部114においては、第1空間120aの手前側に供給されたトナーを、磁性キャリア135と攪拌しながら、奥側に搬送し、この奥側から第3空間120cの奥側に搬送する。そして、現像剤供給部114は、第3空間120c内でトナーと磁性キャリア135とを攪拌し、軸芯方向に搬送しながら、第1現像ローラ115aの外表面に供給する。現像剤は第1現像ローラ115aの外表面上を伝わって第2現像ローラ115bの外表面に伝わり、最後に第2現像ローラ115bの外表面から第2空間120bに向かって離脱させる。第2空間120b内の現像剤は奥側から手前側に搬送され、第1空間120aの手前側に搬送される。
【0036】
ケース125は、箱状に形成され、前述した現像剤供給部114の収容槽117に取り付けられて、該収容槽117とともに、2本の現像ローラ115a、115bなどを覆う。また、ケース125の感光体ドラム108と相対する部分には、開口部125aが設けられている。
【0037】
2本の現像ローラ115a、115bは、円柱状に形成され、第2空間120b、第3空間120cと、感光体ドラム108との間でかつ前述した開口部125aの近傍に設けられている。現像ローラ115a、115bは、感光体ドラム108と収容槽117との双方と平行である。現像ローラ115a、115bは、感光体ドラム108と間隔をあけて配されている。現像ローラ115a、115bと感光体ドラム108との間の空間は、現像剤126のトナーを感光体ドラム108に吸着させて、静電潜像を現像してトナー像を得る現像領域131をなしている。現像領域131では、現像ローラ115と感光体ドラム108とが相対する。
【0038】
規制ブレード116は、現像装置113の感光体ドラム108寄りの端部に設けられている。規制ブレード116は、現像スリーブ132aの外表面と間隔をあけた状態で、前述したケース125に取り付けられている。規制ブレード116は、所望の厚さを越える現像スリーブ132aの外表面上の現像剤126を収容槽117内にそぎ落として、現像領域131aに搬送される現像スリーブ132aの外表面上の現像剤126の量を調整する。また、規制ブレード116には磁性板が取り付けられており、現像剤の穂立ちの高さを調整する。この磁性板と対向する現像ローラ115aの磁極(S2極)との間に磁気的引力が働くので、第1磁界発生手段であるマグネットローラ133aは上方にたわもうとするが、N2極とS3極との磁気的引力により、下方への力も働く。よって、磁性板、S2極、S3極およびN2極の磁力を、マグネットローラ133aは上方および下方に働く磁気的引力を打ち消しあうように調節する(磁性板≒S2極、S3極≒N2極)ことにより、マグネットローラ133aのたわみを防止できる。
【0039】
次に、現像装置113が、現像剤126を現像領域131に搬送する動作について説明する。
前述した構成の現像装置113は、現像剤供給部114でトナーと磁性キャリア135とを十分に攪拌し、この攪拌した現像剤126を、第3空間120cを経て現像ローラ115aに内包する固定磁極により現像スリーブ132aの外表面に吸着する。そして、現像装置113は、現像スリーブ132aが矢印D方向に回転して、複数の固定磁極により吸着した現像剤126を現像領域131aに向かって搬送する。現像装置113は、規制ブレード116で所望の厚さになった現像剤126を感光体ドラム108に吸着させる。現像剤126はさらに搬送され、現像ローラ115aに内包する固定磁極の磁力や重力、現像ローラ115bに内包する固定磁極の磁力によって現像スリーブ132bへ搬送される。そして、現像装置113は、現像スリーブ132bが回転して、複数の固定磁極により吸着した現像剤126を現像領域131bに向かって搬送する。現像領域131bにおいて、再び現像剤126を感光体ドラム108に吸着させる。こうして、現像装置113は、現像剤126を現像ローラ115a、115bに担持し、現像領域131a、113bに搬送して、感光体ドラム108上の静電潜像を現像して、トナー像を形成する。さらに、そして、現像装置113は、現像済みの現像剤126を、第2空間120bに向かって離脱させる。さらに、そして、収容槽117内に収容された現像済みの現像剤126は、再度、第2空間120bおよび第1空間120a内で他の現像剤126と十分に攪拌されて、第3空間を経て、感光体ドラム108の静電潜像の現像に用いられる。
【0040】
以上の説明のとおり、本実施形態によれば、磁性粒子担持体を複数用いた現像装置113は、磁性粒子担持体として、装置の小型化に対応し、現像剤搬送を潤滑に行える磁力を有する小径の現像スリーブ等を用いた場合でも、磁性粒子担持体内部の現像磁界発生手段のたわみを防止し、装置の破損や像担持体へのトナーの付着ムラ等による画像不良を防止し、さらに、像担持体上へ付着したキャリアを回収し、装置の磨耗、破損およびキャリア付着による白抜け等の画像不良を防止し、また、回収したキャリアを効率的に収容層117内に戻すことにより長期的に画像濃度の低下を防止することができる。
【0041】
次に、本発明の一実施形態であるプロセスカートリッジの構成を、図2を参照して説明する。
プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、カートリッジケース111と、帯電装置としての帯電ローラ109と、感光体(像担持体ともいう)としての感光体ドラム108と、クリーニング装置としてのクリーニングブレード112と、現像装置113と、を備えている。
カートリッジケース111は、装置本体102に着脱自在で、かつ帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニングブレード112と、現像装置113と、を収容している。帯電ローラ109は、感光体ドラム108の外表面を一様に帯電する。感光体ドラム108は、現像装置113の後述する磁性粒子担持体(例えば現像ローラ)115と間隔をあけて配されている。感光体ドラム108は、軸芯を中心として回転自在な円柱状又は円筒状に形成されている。
【0042】
現像ローラ115(115a及び115b)、即ち、現像スリーブ132(132a及び132b)と、感光体ドラム108との間隔は、0.1mm以上でかつ0.4mm以下が望ましく、この範囲内であれば、現像スリーブ132に穂立ちした現像剤126からトナーを確実に感光体ドラム108に供給でき、高品質な画像を得ることができる。現像スリーブ132と感光体ドラム108との間隔が、0.1mm未満であると、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間の電界が強くなりすぎて、感光体ドラム108上に磁性キャリア135が移動してしまい、望ましくない。現像スリーブ132と感光体ドラム108との間隔が、0.4mmを越えると、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間の電界が弱くなりすぎて、感光体ドラム108に供給できるトナーの量が現像して、現像効率が低下するとともに、画像のエッジにおいて電界のエッジ効果が大きくなり均一な画像を得ることができないため、望ましくない。
【0043】
次に、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kが、記録紙107に画像を転写する動作について説明する。
各プロセスカートリッジ106内にある感光体ドラム108は、図5に示す対応するレーザ書き込みユニット122により、外表面上に静電潜像が形成される。感光体ドラム108は、外表面上に形成されかつ担持する静電潜像に、現像装置113から供給されるトナーが吸着して現像し、こうして得られたトナー像を搬送ベルト129との間に位置付けられた記録紙107に転写する。クリーニングブレード112は、記録紙107にトナー像を転写した後に、感光体ドラム108の外表面に残留した転写残トナーを除去する。
【0044】
以上の説明より、本実施形態によれば、プロセスカートリッジ106は、前述した現像装置113を有しているので、磁性粒子担持体内部の現像磁界発生手段のたわみによる装置の破損や像担持体へのトナーの付着ムラ等による画像不良を防止し、さらに、像担持体上へ付着したキャリアを回収し、装置の磨耗、破損およびキャリア付着による白抜け等の画像不良を防止し、また、回収したキャリアを効率的に収容層117内に戻すことにより長期的に画像濃度の低下を防止することができる。
【0045】
次に、本発明の一実施形態である画像形成装置101の構成を、図5を参照して説明する。本発明の画像形成装置は、潜像を担持する像担持体、前記像担持体を帯電させる帯電手段、前記像担持体上の潜像を現像する現像手段、及び前記現像手段により形成された像を転写材へ転写する転写手段を備え、前記現像手段として本発明の現像装置を有する。
画像形成装置101は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像、即ち、カラー画像を、一枚の転写材としての記録紙107に形成する。なお、イエロー、マゼンダ、シアン、黒の各色に対応するユニットなどを、以下、符号の末尾に各々Y,M,C,Kを付けて示す。
【0046】
画像形成装置101は図5に示すように装置本体102を備え、該本体が、例えば、箱状に形成され、フロア上などに設置される。装置本体102は、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、複数のレーザ書き込みユニット122と、複数のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを収容している。
【0047】
給紙ユニット103は、装置本体102の下部に設けられている。給紙ユニット103は、前述した記録紙107を重ねて収容するとともに装置本体102に出し入れ自在な給紙カセット123と、給紙ローラ124とを備えている。給紙ローラ124は、給紙カセット123内の一番上の記録紙107に押し当てられている。給紙ローラ124は、前述した一番上の記録紙107を、転写ユニット104の後述する搬送ベルト129と、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの後述する現像装置113の感光体ドラム108との間に送り出す。
【0048】
レジストローラ対110は、給紙ユニット103から転写ユニット104に搬送される記録紙107の搬送経路に設けられており、一対のローラ110a,110bを備えている。レジストローラ対110は、一対のローラ110a,110b間に記録紙107を挟み込み、該挟み込んだ記録紙107をトナー像を重ね合わせ得るタイミングで、転写ユニット104とプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kとの間に送り出す。
【0049】
転写ユニット104は、給紙ユニット103の上方に設けられている。転写ユニット104は、駆動ローラ128と、従動ローラ12と、搬送ベルト129と、転写ローラ130Y,130M,130C,130Kとを備えている。駆動ローラ128は、記録紙107の搬送方向の下流側に配置されており、駆動源としてのモータなどによって回転駆動される。従動ローラ12は、装置本体102に回転自在に支持されており、記録紙107の搬送方向の上流側に配置されている。搬送ベルト129は、無端環状に形成されており、前述した駆動ローラ128と従動ローラ12との双方に掛け渡されている。搬送ベルト129は、駆動ローラ128が回転駆動されることで、前述した駆動ローラ128と従動ローラ12との回りを図中反時計回りに循環(無端走行)する。
転写ローラ130Y,130M,130C,130Kは、それぞれ、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108との間に搬送ベルト129と該搬送ベルト129上の記録紙107とを挟む。転写ユニット104は、転写ローラ130Y,130M,130C,130Kが、給紙ユニット103から送り出された記録紙107を各プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108の外表面に押し付けて、感光体ドラム108上のトナー像を記録紙107に転写する。転写ユニット104は、トナー像を転写した記録紙107を定着ユニット105に向けて送り出す。
【0050】
定着ユニット105は、転写ユニット104の記録紙107の搬送方向の下流に設けられ、互いの間に記録紙107を挟む一対のローラ105a,105bを備えている。定着ユニット105は、一対のローラ105a,105b間に転写ユニット104から送り出されてきた記録紙107を押圧加熱することで、感光体ドラム108から記録紙107上に転写されたトナー像を、該記録紙107に定着させる。
【0051】
レーザ書き込みユニット122は、装置本体102に取り付けられている。レーザ書き込みユニット122は、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの後述の帯電ローラ109により一様に帯電された感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、静電潜像を形成する。
【0052】
プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、それぞれ、転写ユニット104と、レーザ書き込みユニット122との間に設けられている。プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、装置本体102に着脱自在である。プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、記録紙107の搬送方向に沿って、互いに並設されている。
【0053】
搬送ベルトクリーニング装置15は、搬送ベルト109上の残留トナーを回収し、ここでは図示しない搬送経路を経て、トナー廃棄容器に貯留させる。
2次転写ローラ16は、搬送ベルト109上に形成されたトナー像を記録紙107に転写するためのもので、トナーを引き付けるためにトナーとは逆符号のバイアスが印加されている。
排紙ローラ対24は、トナー像が定着された記録紙107を排紙するためのローラである。
トナーボトル31は、Y、M、C、Kそれぞれの補給トナーを貯留しており、ここから図示しない搬送経路を経て、所定の補給量だけ各色のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kにトナーを補給する。
【0054】
次に、画像形成装置101が、記録紙107に画像を形成する動作について説明する。
まず、画像形成装置101は、感光体ドラム108を回転して、この感光体ドラム108の外表面を一様に帯電ローラ109により帯電する。感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、該感光体ドラム108の外表面に静電潜像を形成する。そして、静電潜像が現像領域131に位置付けられると、現像装置113の現像スリーブ132の外表面に吸着した現像剤126が感光体ドラム108の外表面に吸着して、静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム108の外表面に形成する。そして、画像形成装置101は、給紙ユニット103の給紙ローラ124などにより搬送されてきた記録紙107が、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kの感光体ドラム108と転写ユニット104の搬送ベルト129との間に位置して、感光体ドラム108の外表面上に形成されたトナー像を記録紙107に転写する。画像形成装置101は、定着ユニット105で、記録紙107にトナー像を定着する。こうして、画像形成装置101は、記録紙107にカラー画像を形成する。
【0055】
以上の説明より、本実施形態によれば、画像形成装置101は、前述した現像装置113を有しているので、磁性粒子担持体内部の現像磁界発生手段のたわみによる装置の破損や像担持体へのトナーの付着ムラ等による画像不良を防止し、さらに、像担持体上へ付着したキャリアを回収し、装置の磨耗、破損およびキャリア付着による白抜け等の画像不良を防止し、また、回収したキャリアを効率的に収容層117内に戻すことにより長期的に画像濃度の低下を防止することができる。
【実施例】
【0056】
以下、本発明の実施例を説明する。
例えば図1に示すように磁性粒子担持体である第1現像ローラ115a、及び第2現像ローラ115b、並びに磁性粒子回収体である回収ローラ115cが配設された現像装置113において、第2現像ローラ115b及び回収ローラ115cのマグネットローラ(133b:第1磁界発生手段、及び133c:第2磁界発生手段)の磁極配置および磁力を以下に示す条件で作成して組み付け、第2現像スリーブ132b及び回収スリーブ132cの回転数を以下に示す条件で調整した現像装置を用いて、現像ローラのマグネットローラ(133a及び133b:第1磁界発生手段)のたわみ量の評価、画像の濃度ムラ及び白抜けの官能評価を行った。
【0057】
(実施例1)
回収ローラ115cのマグネットローラ133cの磁極のうち、第2現像ローラ115bに最近接する磁極をN極(N5極)とし、また、感光体ドラム108の中心とマグネットローラ113cの中心を結ぶ線分上にあり、かつ感光体ドラム108に最近接する磁極をN極(N6極)とした。また、N5極およびN6極の磁力は両方とも50mTとした。また、第2現像ローラのマグネットローラ133bの磁極のうち、回収ローラ115cに最近接する磁極(S4極)の磁力を50mTとした。また、第2現像スリーブ132bの回転数を800rpm、回収スリーブ132cの回転数を700rpmとした。このようにして調整した現像装置を、画像形成装置113に取り付けた。
【0058】
画像形成装置として、プリンタ(商品名:IPSIO CX400(株式会社リコー製))に上記現像装置113を取付けたものを用いた。
感光体ドラム108上を550Vに帯電させ、現像バイアス電圧385Vを印加し、現像剤126として、シアン二成分現像剤(キャリア平均粒径35μm)を使用し、第1現像ローラ115aの第1現像スリーブ132aの外表面に付着する現像剤量を40mg/cm2に設定し、現像スリーブ及び回収スリーブの材質をA6063、外径をそれぞれ10mmとし、表面粗さRzをそれぞれ15μmとした。
3本のマグネットローラ(133a、133b、133c)は、磁性粒子として異方性のSrフェライト粉にバインダーとして6ナイロンを混合したプラスチックマグネット戸田工業製TP−S68を用い、樹脂温度300℃で0.7Tの磁場を一方向に印加しながら射出成形して、直径8.5mm×313mmで外周に幅3mm×深さ2.3mmの溝を有するように調製した。幅3mm×深さ2.3mmの溝は、コア側入子に凸形状を設けることで具現化した。溝部には別途製作した希土類マグネットブロックを配置した。なお、このマグネットローラは芯金も同材料で一体成型した。
【0059】
上記、希土類マグネットブロックは、愛知製鋼株式会社製のマグファインMFP−13(異方性Ne−Fe−B系希土類磁石)を950g秤量し、ポリエステル樹脂100重量部に対して、4級アンモニウム塩(帯電制御剤)1.5重量部、スチレンアクリル樹脂(低軟化点物質)1.5重量部、カーボンブラック2.0重量部が内添され、シリカ(H2000)1.5重量部が外添されている熱可塑性樹脂を50g秤量し、ターブラーミキサーで22rpm×10minの条件で混練した。磁性材料(SKS3)で構成された金型のキャビティ(W2.2mm×H10.0mm×L313mm)内に、前記材料を12.0g充填し、配向電流として100Aをプレス方向と直行する方向に流しながら、400kNのプレス圧力を付与して成形した。その後、3500Vのパルス電圧で金型およびマグネットブロックを脱磁して、金型を開いてマグネットブロックを脱型し、これらのマグネットブロックを100℃×60分にて焼成した。出来上がったマグネットブロックは幅2.8mm×高さ2.2mm×長さ313mmだった。
【0060】
また、S1極、S2極、N2極、S3極、N4極の磁力をそれぞれ、100、50、50、50、100mTとなるように着磁した。
【0061】
以上の構成の画像形成装置を用いて、195mm×285mmのベタ画像を25万枚出力し、官能評価及びたわみ量評価を行った。結果を表1に示す。
(1)官能評価
画像の濃度ムラ、白抜けについて、初期状態と25万枚画像出力後との官能評価を行った。
◎:画像濃度が均一であり、濃度ムラ、白抜けが視認されない。
○:画像濃度が均一であり、濃度ムラ、白抜けがほぼ視認されない。
△:画像の濃度ムラ、白抜けが若干視認されるが実使用上問題なし。
×:画像の濃度ムラ、白抜けが視認され、実使用に耐えられない。
【0062】
(2)たわみ量評価
25万枚画像出力後のマグネットローラ133a及び133bのたわみ量の評価を行った。たわみ量の測定方法は、現像スリーブを付けない、むき出しの状態のマグネットローラを現像装置に組み付け、マグネットローラ133a及び133bの中央部の間隙をシックネスゲージにて測定し、たわんでない状態の間隙からたわんだ状態の間隙の距離の差を2で割ることによりたわみ量を算出した。たわみ量の評価基準は、次のように定めた。
○:たわみ量が、0.0mm以上0.2mm未満である。
△:たわみ量が、0.2mm以上0.5mm未満である。
×:たわみ量が、0.5mm以上である。
【0063】
(実施例2)
実施例1において、回収ローラのマグネットローラN5極の磁力を45mTにした以外は同様に設定した現像装置を用い、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0064】
(実施例3)
実施例1において、N6極の位置を回収スリーブ132cの回転方向に10°ずらした以外は、実施例1と同様に調整した現像装置を用い、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0065】
(実施例4)
実施例2において、N6極の位置を回収スリーブ132cの回転方向に10°ずらした以外は、実施例2と同様に調整した現像装置を用い、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0066】
(比較例1)
実施例1において、回収ローラのマグネットローラ133cの磁極のうち、第2現像ローラ115bに最近接する磁極をS極とし、このS極の磁力を50mTとした以外は、実施例1と同様に調整した現像装置を用い、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0067】
(比較例2)
実施例1において、回収ローラのマグネットローラ133cの磁極のうち、第2現像ローラ115bに最近接する磁極をS極とし、また、感光体ドラム108の中心と第3マグネットローラの中心を結ぶ線分上にあり、かつ感光体ドラム108に最近接する磁極をS極とし、これらS極の磁力は両方ともに50mTとした以外は、実施例1と同様に調整した現像装置を用い、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0068】
(比較例3)
実施例1において、回収ローラのマグネットローラ133cの磁極のうち、感光体ドラム108の中心とマグネットローラ133cの中心を結ぶ線分上にあり、かつ感光体ドラム108に最近接する磁極をS極とし、このS極の磁力を50mTとした以外は、実施例1と同様に調整した現像装置を用い、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0069】
(比較例4)
実施例1において、N5極の磁力を55mTとした以外は、実施例1と同様に調整した現像装置を用い、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0070】
(比較例5)
実施例1において、第2現像スリーブ132bの回転数を800rpm、回収スリーブ132cの回転数を900rpmとした以外は、実施例1と同様に調整した現像装置を用い、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0071】
【表1】

【0072】
表1によれば、実施例1〜4はいずれも、画像の濃度ムラ、白抜けが視認されず、また、たわみ量も小さいという結果が得られた。
【0073】
表1によれば、比較例1は、回収ローラのマグネットローラ133cの磁極のうち、第2現像ローラ115bに最近接する磁極がS極であるため、第2現像ローラのマグネットローラ133bのS4極と同極性となってしまい、たわみが非常に悪く、長期的には第2現像ローラのマグネットローラ133bの表面と現像スリーブ132bの内壁との接触による、マグネットローラ133bの削れが発生してしまうという結果になった。
また、回収ローラのマグネットローラ133cの磁極のうち、第2現像ローラ115bに最近接する磁極がS極で、また、感光体ドラム108の中心と回収ローラのマグネットローラの中心を結ぶ線分上にあり、かつ感光体ドラム108に最近接する磁極がN極(N6極)となっており、つまり隣り合う2つの磁極が異極性になってしまうので、この2極間で反発磁界が作られず、感光体ドラム108から回収スリーブ132c上に吸着したキャリアが回収スリーブ132c上から離れなくなってしまうので、キャリアが収容層117内に回収されず、長期的には画像の濃度ムラや濃度低下を引き起こしてしまった。
【0074】
表1によれば、比較例2は、回収ローラのマグネットローラ133cの磁極のうち、第2現像ローラ115bに最近接する磁極がS極であるため、第2現像ローラのマグネットローラ133bのS4極と同極性となり、たわみが非常に悪く、長期的には第2現像ローラのマグネットローラ133bの表面と第2現像スリーブ132bの内壁との接触による、マグネットローラ133bの削れが発生してしまうという結果になった。また、回収ローラのマグネットローラ133cの磁極のうち、第2現像ローラ115bに最近接する磁極がS極で、また、感光体ドラム108の中心と第3マグネットローラの中心を結ぶ線分上にあり、かつ感光体ドラム108に最近接する磁極もS極となっており、つまり隣り合う2つの磁極が同極性であるので、この2極間で反発磁界が作られるが、この2つのS極と、第2現像ローラのマグネットローラS4極との間でも反発磁界が形成されてしまうので、感光体ドラム108から回収スリーブ132c上に吸着したキャリアが第3スリーブ132c上から離れにくくなってしまい、キャリアが収容層117内に回収されず、長期的には画像の濃度ムラや濃度低下を引き起こしてしまった。
【0075】
表1によれば、比較例3は、たわみは良好であったが、回収ローラのマグネットローラ133cの磁極のうち、第2現像ローラ115bに最近接する磁極がN極(N5極)で、また、感光体ドラム108の中心と回収ローラのマグネットローラの中心を結ぶ線分上にあり、かつ感光体ドラム108に最近接する磁極がS極となっており、つまり隣り合う2つの磁極が異極性になってしまうので、この2極間で反発磁界が作られず、感光体ドラム108から回収スリーブ132c上に吸着したキャリアが回収スリーブ132c上から離れなくなってしまうので、キャリアが収容層117内に回収されず、長期的には画像の濃度ムラや濃度低下を引き起こしてしまった。
【0076】
表1によれば、比較例4は、回収ローラのマグネットローラのN5極と第2現像ローラのマグネットローラのS4極の磁力の大きさの関係が、N5>S4であるので、第2現像ローラ115が担持する現像剤がN5極とS4極間で回収ローラ115cに引き寄せられやすくなり、長期的には、画像の濃度ムラや濃度低下を引き起こしてしまった。
【0077】
表1によれば、比較例5は、第2現像スリーブ132bより回収スリーブ132cの回転数が大きいため、すなわち、第2現像ローラの線速より回収ローラの線速が大きいため、回収ローラ115cのN5極とN6極との間で形成される反発磁界によって弾き飛ばされたキャリアが、スムーズに第2現像ローラ115bに受け渡されなくなり、キャリアが収容層117内に回収されにくくなり、長期的には画像の濃度ムラや濃度低下を引き起こしてしまった。
【0078】
前述した画像形成装置101では、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kはカートリッジケース111と帯電ローラ109と感光体ドラム108とクリーニングブレード112と現像装置113とを備えている。しかしながら、本発明ではプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは少なくとも現像装置113を備えていれば良く、カートリッジケース111と帯電ローラ109と感光体ドラム108とクリーニングブレード112を必ずしも備えていなくても良い。また、前述した実施形態では画像形成装置101は装置本体102に着脱自在なプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを備えている。しかしながら本発明では画像形成装置101は現像装置113を備えていれば良く、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kを必ずしも備えていなくても良い。
【0079】
なお、上述の実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができ、例えば、カラー画像を形成する画像形成装置のみならず、白黒画像形成装置にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明の一実施形態を示す現像装置、およびプロセスカートリッジの断面図である。
【図2】本発明の一実施形態を示す現像装置、およびプロセスカートリッジの断面図である。
【図3】本発明の一実施形態における現像装置の回収ローラ、及び該回収ローラに近接する現像ローラの断面図および現像剤の流れを示す説明図である。
【図4】本発明の一実施形態における現像装置の回収ローラの磁極(N6極)の配置を示す説明図である。
【図5】本発明の一実施形態を示す画像形成装置の断面図である。
【図6】マグネットローラのたわみを示す模式図である。
【符号の説明】
【0081】
12 従動ローラ
15 搬送ベルトクリーニング装置
16 二次転写ローラ
24 排紙ローラ対
31a、31b、31c、31d トナーボトル
101 画像形成装置
102 装置本体
103 給紙ユニット
104 転写ユニット
105 定着ユニット
105a、105b ローラ
106(106Y、106C、106M、106K) プロセスカートリッジ
107 記録紙
108 像担持体(感光体、感光体ドラム)
109 帯電ローラ
110 レジストローラ対
111 カートリッジケース
112 クリーニングブレード
113 現像装置
114 現像剤供給部
115a、115b 磁性粒子担持体(現像ローラ)
115c 磁性粒子回収体(回収ローラ)
116 規制ブレード
117 収容槽
118 攪拌スクリュー
119 仕切壁
120a 第1空間
120b 第2空間
120c 第3空間
122 レーザ書き込みユニット
123 給紙カセット
124 給紙ローラ
125 ケース
126 磁性粒子(現像剤)
128 駆動ローラ
129 搬送ベルト
130Y、130C、130M、130K 転写ローラ
132a、132b 非磁性中空体(現像スリーブ)
132c 非磁性中空体(回収スリーブ)
133a、133b 第1磁界発生手段(マグネットローラ)
133c 第2磁界発生手段(マグネットローラ)
134 芯金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の磁極が固定配置されてなる第1現像磁界発生手段を回転可能な非磁性中空体に内包し、像担持体上の静電潜像を現像するための磁性粒子を表面に担持する磁性粒子担持体が、前記像担持体の像担持面に沿って複数配設され、隣接する前記磁性粒子担持体間で最近接するそれぞれの磁極同士が互いに異極性である現像装置において、
複数の磁極が固定配置されてなる第2現像磁界発生手段を回転可能な非磁性中空体に内包し、前記像担持体の回転方向の最下流部に配設された磁性粒子担持体Aと前記像担持体との両方に近接して配設される磁性粒子回収体を有し、
前記第2磁界発生手段の複数の磁極のうち、前記磁性粒子担持体Aと最近接する磁極及び前記像担持体と最近接する磁極は、隣接しかつ同極性であり、前記磁性粒子担持体Aの前記第1磁界発生手段における前記磁性粒子回収体に最近接する磁極とは異極性であることを特徴とする現像装置。
【請求項2】
前記第2磁界発生手段の前記磁性粒子担持体Aと最近接する磁極の磁束密度が、該磁性粒子坦持体Aの第1磁界発生手段における前記磁性粒子回収体と最近接する磁極の磁束密度よりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
前記第2磁界発生手段の前記像担持体と最近接する磁極が、前記磁性粒子回収体の回転中心と前記像担持体の回転中心とを結ぶ線分上よりも、前記像担持体の回転方向の上流側に位置することを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載の現像装置。
【請求項4】
前記磁性粒子回収体の前記非磁性中空体の回転速度である線速が、前記像担持体の回転方向の最下流部に配設された前記磁性粒子担持体の前記非磁性中空体の回転速度である線速よりも小さいことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の現像装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載の現像装置を有することを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項6】
潜像を担持する像担持体、前記像担持体を帯電させる帯電手段、前記像担持体上の潜像を現像する現像手段、及び前記現像手段により形成された像を転写材へ転写する転写手段を備える画像形成装置において、前記現像手段として請求項1から4のいずれかに記載の現像装置を有することを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−14918(P2010−14918A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−174212(P2008−174212)
【出願日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】