説明

現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置

【課題】現像剤の凝縮による供給不良を防止して適正な画像濃度を維持することができる構成を備えた現像装置を提供する。
【解決手段】回転自在に設けられた現像剤担持体31と、該現像剤担持体31と接触させて回転自在に設けられた現像剤供給部材32と、該現像剤供給部材32の上方に現像剤収納部35Aを設けた現像装置30において、上記現像剤供給部材32に加わる負荷を削減した現像剤補給手段35が現像剤収納部35Aに設けられ、該現像剤補給手段35は、少なくとも先端部を弾性部材にて構成し、その先端が現像剤収納部35A1の内面に接触しながら回転可能に設けられた現像剤補給部材35Bと、該現像剤補給部材35Bに対して空隙35A1を介して対向する開口36Aをもったシート36で構成したことを特徴とするたことを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、現像装置、プロセスカートリッジおよび画像形成装置に関し、さらに詳しくは、充填される現像剤の流動異常による供給不良を防止できる構成に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、複写機やファクシミリあるいはプリンタさらには印刷機などの画像形成装置においては、潜像担持体である感光体上に担持されている静電潜像に対して一成分系あるいは二成分系の現像剤を用いて可視像処理が行われる。
【0003】
現像装置の構成には、容器内に内包された非磁性あるいは磁性のトナーを用いた一成分系現像剤を発泡ポリウレタン製の現像剤供給部材により可視像処理に用いられる現像スリーブに対して供給する構成があり、現像スリーブに担持される現像剤は、感光体と対峙する前に金属製薄板などの弾性部材が用いられる層厚規制部材により担持厚さを均一に規制されるようになっている(例えば、特許文献1)。
【0004】
ところで、近年では、単一色の画像形成だけでなくフルカラーを含む多色画像を望まれることが多くなってきており、これに対処するための画像形成装置の構成として、色毎の画像を形成可能な作像ステーションを備えた構成がある。この構成の一例としては、転写体の周囲あるいは転写体の移動方向に沿ってイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色の画像を形成するための作像部を配置した構成がある。この構成においては、各作像部で形成された画像を転写体に重畳転写した後、記録紙などに一括転写することにより、あるいは記録紙を各作像部間で移動させる過程において各作像部で形成された画像を重畳転写するようになっており、このなかで転写体の移動方向に沿って各作像部を配置した方式は4連タンデム方式として一般に知られている。
【0005】
このような複数の作像部を設置する構成において、上記特許文献1に開示されているような構成、つまり、現像剤の撹拌工程を実行する帯電部や層厚規制部材を含んで、現像スリーブに対する現像剤供給を行う供給部および現像剤を貯留する部分が、ほぼ水平方向に沿って備えられている構成では、各作像部における現像装置が占める水平方向でのサイズが大きくなり、画像形成装置の小型化が困難である。
【0006】
そこで、現像装置の小型化を図る方策の一つとして上述した帯電部や供給部の上部に現像剤貯留部を配置して現像装置が占める範囲を縦方向に延在させた構成が提案されている(例えば、特許文献2,3)。
【0007】
現像剤貯留部を現像剤の供給部の上位に配置して縦長の構造とした場合には、現像剤が重力を利用して現像剤貯留部から供給部に流れる。しかし、現像装置の不使用状態が長く継続されたりして放置されていると、現像剤貯留部内で現像剤が凝縮を起こし、固化した場合にはブリッジ現象等が生じることにより供給部に向けて流動しなくなる虞がある。
【0008】
特に近年では高画質化に伴い、トナーも小粒径化傾向にあることから、凝集度が高まり、放置時間によっては、重力により押し固められた時間が長くなることで上述した不具合が発生しやすい。
【0009】
そこで、このような凝縮による不具合を改善するための方法として、縦長の現像剤貯留部内で現像剤か常時撹拌して固化を防ぐことも考えられるが、縦長の貯留部内で重力に抗して現像剤を上下移動するように撹拌するのは困難であり、トナーにも無用な圧力を作用させることでダメージが大きくなる虞もある。しかも撹拌方向によっては、現像剤の排出部近傍での現像剤の流動を阻害する虞もある。
【0010】
このような方法に代えて、現像装置を上下に分割し、下方側のトナー量を検出した結果に応じてトナー補給部材の回転を制御して凝縮したトナーを掻き混ぜるようにして供給ローラ近傍、つまり現像剤貯留部での現像剤排出口付近で現像剤に圧力を作用させ難くした構成が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0011】
これとは別の方法として、現像剤貯留部から現像剤が流動する位置に仕切部材を設け、貯留部からの現像剤の流れ出しを制御することにより現像スリーブや層厚規制部材および供給部材への現像剤の流動による負荷を軽減するようにした構成が提案されている(例えば、特許文献3)。
【0012】
【特許文献1】特許第3320954号
【特許文献2】特開平2003−5487号公報
【特許文献3】特開2001−194883号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
特許文献2に開示されている構成においては、トナー量を検出する検知手段やトナー補給部材の回転を制御するための電磁クラッチなどの特別な部材が必要となることから、複数色の画像形成が可能な画像形成装置には各作像部にこれらの部材が必要となり、構成の複雑化や大型化によるコスト上昇という新たな問題を招く。
【0014】
特許文献3に開示されている構成においては、仕切り板を通過する現像剤は、一部が現像剤貯留部で仕切部材近傍に配置されて非接触な攪拌部材の回転により堆積している位置で押し動かされることになるので、あくまでも現像剤の重力を利用したに過ぎず、現像剤が流れ出した現像剤供給位置に存在する現像剤の量が変化してもそれに関係なく一定量が供給される。このため、現像剤供給部内で現像剤が満杯状態となっていても現像剤が仕切部材を通過して供給されてしまい、結果として、現像剤供給部に位置する現像剤供給部材への負荷増大やその位置で現像剤が凝縮しやすくなり固化による供給不良が発生する虞がある。
【0015】
現像剤供給状態が不安定となると、特に過剰な供給が継続されると、現像剤の凝縮が進行し、上述した供給不良を招き、適正な現像剤の供給量を確保することができないことによって画像濃度の悪化やカスレが発生する虞が依然として残されてしまう。
【0016】
しかも、現像剤の流動性には温湿度も影響することから、仕切部材の現像剤通過部が常に同じ条件(大きさ)であると、高温高湿時などの凝縮しやすい環境条件においては上述した不具合が発生しやすくなる。
【0017】
本発明の目的は、上記従来の現像装置およびこれを用いる画像形成装置における問題に鑑み、現像剤の凝縮による供給不良を防止して適正な画像濃度を維持することができる構成を備えた現像装置および画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は上記目的を達成するため、以下の構成よりなる。
【0019】
(1)回転自在に設けられた現像剤担持体と、該現像剤担持体と接触させて回転自在に設けられた現像剤供給部材と、該現像剤供給部材の上方に現像剤収納部を設けた現像装置において、
上記現像剤供給部材に加わる負荷を削減した現像剤補給手段が現像剤収納部に設けられ、該現像剤補給手段は、少なくとも先端部を弾性部材にて構成し、その先端が現像剤収納部内面に接触しながら回転可能に設けられた現像剤補給部材と、該現像剤補給部材に対して空隙を介して対向する開口をもったシートで構成したことを特徴とするたことを特徴とする現像装置。
【0020】
(2)上記空隙は、上記現像剤収納部に形成された現像剤排出口が用いられることを特徴とする(1)に記載の現像装置。
【0021】
(3)上記現像剤収納部に複数の区画を設け、各区画内現像剤を搬送する部材を設けたことを特徴とする(1)または(2)に記載の現像装置。
【0022】
(4)上記現像剤補給手段のシートの開口は、現像剤補給部材の回転中心と現像剤供給部材の回転中心を結んだ所より現像剤補給部材の下流側に設けたことを特徴とする(3)に記載の現像剤補給手段。
【0023】
(5)像担持体と、帯電手段、現像手段、クリ−ニング手段より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカ−トリッジにおいて、
上記現像手段は、現像剤担持体と、該現像剤担持体と接触させて回転自在に設けられた現像剤供給部材と、該現像剤供給部材の上方に現像剤収納部と、該現像剤供給部材に加わる負荷を削減した現像剤補給手段として、少なくとも先端部を弾性部材にて構成し回転自在に設けられた現像剤補給部材と、該現像剤補給部材に近接または当接し開口をもったシートが装備されている構成を備えたことを特徴とするプロセスカ−トリッジ。
【0024】
(6)(5)に記載のプロセスカートリッジを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【0025】
(7)現像手段が複数並列して配置されてカラー画像を形成可能であることを特徴とする(6)に記載の画像形成装置。
【0026】
(8)上記現像手段で用いられる現像剤は、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする(6)に記載の画像形成装置。
【0027】
(9)上記現像装置で用いられる現像剤は、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とする(6)乃至(8)のいずれかに記載の現像装置。
【0028】
(10)上記現像手段で用いられる現像剤は、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られる現像剤であることを特徴とする(6)乃至(9)のいずれかに記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0029】
請求項1および5記載の発明によれば、現像剤収納部に設けられている現像剤補給手段が、少なくとも先端部を弾性部材にて構成され、その先端が現像剤収納部内面に接触しながら回転可能に設けられた現像剤補給部材と、該現像剤補給部材に対して空隙を介して対向する開口をもったシートで構成してあるので、現像剤補給部材が現像剤収納部内面に接触しながら移動すると、空隙部に存在する空気を巻き込んだ状態で現像剤を開口から吐出させることになる。これにより、現像剤供給部での現像剤が満杯であれば現像剤供給部側から空隙内に作用する空気圧力が増すことで過剰な供給が抑制され、空気を緩衝材として現像剤の供給量を調整することができる。
【0030】
請求項2記載の発明においては、空隙として既存の構造である現像剤の排出口を用いるので、特別な構造を用いることなく現像剤の供給量を適正化することができる。
【0031】
請求項3記載の発明においては、複数の区画に現像剤を搬送する部材を設けることで区画に充填された現像剤の凝縮や固化を防止することができるので、容量の大きい現像剤貯留部を設けた場合でも現像剤の供給を安定して行うことができる。
【0032】
請求項4記載の発明においては、シートの開口が現像剤補給部内の回転中心と現像剤供給部材の回転中心とを結ぶ線よりも現像剤補給部材の下流側に配置されることにより、現像剤が直接現像剤供給部材に向け流動することが抑制されるので、現像剤供給部材に向け流動する現像剤の押し固めが防止されて現像剤供給部材に対する現像剤の流動圧などの負荷を軽減することができる。
【0033】
請求項6および7記載の発明においては、現像装置の設置スペースを小型化でき、しかも、現像手段での現像剤供給量を安定されることにより安定した画像の度を得ることができる。
【0034】
請求項8記載の発明においては、小粒径で粒径分布載せまい現像剤を用いることでトナー帯電量分布を均一化でき、トナー層の均一化を保ちムラのない高品位の画像を得ることができ、帯電量の不足により発生する地肌汚れのない画像および転写効率の向上ができる。
【0035】
請求項9記載の発明においては、トナー形状を適正な範囲とし、高い流動性を得ることでトナーの供給性を向上させ、また、トナー層の均一化を保ちムラのない高品位な画像を得るとともに、トナー間(トナー同士)の吸着力、感光体とトナー吸着力を弱め、高転写率を得ることのできる画像形成装置の現像装置を提供することができる。
【0036】
請求項10記載の発明においては、小粒径で、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができ、形状及び表面のモフォロジー(濃淡などに関する像変換)制御可能なトナーの工法であり、これにより、高品位な画像を得ることができ、かつ高転写率を得ることのできる画像形成装置の現像装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、図面により本発明を実施するための最良の形態について説明する。
図1は、本発明による現像装置が含まれる画像形成装置の一例を示す模式図であり、同図に示す画像形成装置は、複数の色の画像を形成可能な作像ユニットとしてのプロセスカートリッジが並置されたタンデム方式のカラープリンタである。なお、本発明における画像形成装置には、プリンタに加えて、複写機やファクシミリ装置あるいは印刷機が含まれる。
【0038】
図1に示すカラープリンタの構成は次の通りである。
カラープリンタ1の筐体本体1Aの内部には、複数の色画像を形成するための作像ユニット2,3,4,5が並置されている。なお、図1においては、作像ユニットの符号2,3,4,5の並び順でイエロー、シアン、マゼンタおよびブラックの画像がそれぞれ形成されるようになっている。
作像ユニット2,3,4,5は、原稿画像あるいは画像情報に基づく色と補色関係にあるトナーを用いた画像を形成するためのユニットであり、並置方向に沿った展張方向を有する中間転写体6Aを有する転写装置6に対向して配置されている。
【0039】
作像ユニット2,3,4,5は、カラープリンタ1の筐体本体1Aに着脱可能に設けられていずれも同じ構成からなり、後で図2によりその詳細を説明する。
【0040】
一方、カラープリンタ1の筐体本体1A内には、各作像ユニット2,3,4,5の感光体と対向する位置に転写装置6が配置されており、転写装置6は、作像ユニット2,3,4,5の並置方向に沿った展張部を有する中間転写体6Aと、中間転写体6Aを挟んで感光体と対向する位置に設けられている転写バイアス装置6Bとを備えている。
【0041】
転写装置6の下方には、給紙装置7が設けられており、給紙装置7は、給紙カセット7A内に収容されている記録紙Sを繰り出しローラ7Bによって繰り出し、繰り出された記録紙Sをレジストローラ8を介してレジストタイミングを設定した上で各作像ユニットに対する転写位置に向け給送するようになっている。
【0042】
筐体本体1Aの内部において作像ユニットと転写装置6との対向位置を記録紙が通過した位置には定着装置9が配置されており、記録紙上に転写されたトナー像を熱と圧力により融着するようになっている。
定着された記録紙Sは、排紙装置10を介して筐体本体1Aに設けられている排紙トレイ1Bに向け排出される。なお、図1において符号11は、書込ユニットを示している。
【0043】
図2はイエロー画像を形成可能な作像ユニット2を対象として示す図であるが、他の作像ユニットも同じ構成である。
図2において作像ユニット2には、図示矢印方向に回転する感光体20に形成された静電潜像を可視像処理するための現像装置30,転写後の感光体20に残存しているトナーを回収するクリーニング装置40が同一空間内に設けられている。現像装置30の構成については後で詳しく説明するので、クリーニング装置40の構成について簡単に説明すると、クリーニング装置40は、感光体20に当接して残留トナーを掻き取るクリーニングブレード40A、40Bおよび除電ローラ40Cを備え、感光体20から除去されたトナーは、回収スクリューなどの搬送部材40Dにより現像装置30の現像剤供給部35A2に向け移送されてリサイクル利用される。
【0044】
現像装置30は、表面に現像剤を担持して感光体20の現像に用いられる現像剤を担持することができる現像スリーブ31と、現像スリーブ31と当接して回転自在に設けられたローラかなる現像剤供給部材32と、現像スリーブ31の表面に担持されている現像剤の層厚を規定するドクターブレード33と、現像剤供給部材32が位置する現像剤供給部35A2内で現像剤を撹拌する回転自在のパドルなどが用いられる攪拌部材34と、現像剤補給手段35とを備えている。
【0045】
現像剤補給手段35は、現像剤供給部材32の上方に配置された縦長状の現像剤収納部に相当する現像剤貯留槽35Aの下部に形成されている排出口35A1近傍において矢印で示すように時計方向に回転可能な現像剤補給部材35Bと、現像剤貯留槽35A内に収容されている現像剤を現像剤排出口35A1に向けて移送する回転自在の現像剤搬送部材35Dとを備えている。
【0046】
現像剤補給手段35は、現像剤供給部材32に対して現像剤の負荷を軽減するようになっており、そのための構成として、現像剤補給部材35Bと排出口35A1に一体化されているシート36とが用いられる。
【0047】
現像剤補給部材35Bは、図3に示すように、回転軸35B1に基端が一体化され、先端が現像剤貯留槽35Aにおける排出口35A1の内面に当接しながら回転する部材であり、先端部は可撓性を持たせることができる弾性を有したPET(ポリエチレンテレフタレート)等を用いた弾性シートで構成されている。
これにより、現像剤補給部材35Bは、回転した際に排出口35A1の上流側で現像剤貯留槽35Aの内面に当接することで先端を撓み変形させて摺擦しながら移動することができ、排出口35A1付近に溜まっている現像剤を突き崩しながら排出口35A1に向け押し動かすことができるとともに、排出口35A1に達すると先端が弾性による形状復元することで排出口35A1内に入り込めるようになっている。
【0048】
シート36は、現像剤貯留槽35Aの排出口35A1の外側、つまり、現像剤供給部35A2側の面に一体化されて排出口35A1を覆うことができるサイズをもつPET(ポリエチレンテレフタレート)等の材料からなる厚さ0.1mm程度に設定されたシート材であり、一部に図4に示すように複数の開口に相当する穴36Aが縦列形成されている。
【0049】
排出口35A1は、その外側にシート36が位置することで、貫通する肉厚部分が空隙部となり、この空隙を介してシート36が現像剤補給部材34Bと対向できるようになっている。
【0050】
シート36に設けられている複数の穴36Aは、直径が0.5〜0.9mmに設定されて現像剤の通過を許容し、そして、その形成位置として、図3において符号Lで示すように、現像剤補給部材35Bの回転中心と現像剤供給部材32の回転中心とを結ぶ線を基準として、現像剤補給部材35Bの回転方向下流側となる位置で縦列されている。これにより、シート36の穴36Aから流下する現像剤が直接現像剤供給部材34に降り注がれないようにして現像剤供給部材34の周囲に堆積する現像剤からの圧力が現像剤供給部材34に作用するのを抑制できる。
【0051】
本実施例は以上のような構成であるから、現像剤補給部材35Bが排出口35A1近傍の内面を摺擦しながら移動することにより排出口35A1近傍に堆積する現像剤を突き崩し、そして突き崩された現像剤が排出口35A1を通過してシート36の穴36Aから現像剤供給部35A2における現像剤供給部材32よりも遠い位置に吐出する。
【0052】
現像剤補給部材35Bは、その先端が現像貯留槽35Aの内面を摺擦しながら移動し排出口35A1に至ると、排出口35A1の空隙内に存在する空気を巻き込むことで現像剤供給部35A2側に作用する圧力を高め、この状態でシート36の穴36Aから現像剤を吐出させて、いわゆる、鞴を用いた場合のような吐出状態が得られる。
【0053】
現像剤供給部35A2内の現像剤の量が多く、極端な場合、満杯状態にあるときには、現像剤補給部材35Bが排出口35A1に達すると、その空隙内の空気が現像剤供給部35A2側に作用するものの、現像剤供給部35A2内への空気の進入が阻まれることにより空隙部から現像剤供給部へ作用する空気圧力に対する反力として空隙部に作用する空気圧力が強くなるので、現像剤が吐出されずに空隙内に留まる。これにより、現像剤の吐出が抑制されることになり、空気が現像剤の供給に対する緩衝機能を発揮するようになる。従って、現像剤供給部35A2内の現像剤が少ない場合には、上述した場合と逆に、空隙内で発生する空気圧力を利用して現像剤の吐出が可能となる。
【0054】
本実施例によれば、既存構造である排出口35A1を空隙部として用いることにより、空隙内での空気圧力の作用方向に応じた現像剤の供給状態の制御が行え、現像剤供給部35A2内での現像剤量に応じた供給が可能となる、これにより現像剤供給部35A2内に溜まっている現像剤の量が多い場合には現像剤供給部材32への現像剤からの圧力、いわゆる、負荷が大きくなるのを防止でき、しかも凝縮、固化を防止して現像剤供給が不安定となるのを未然に防止することができる。
【0055】
本実施例では、現像剤貯留槽35Aに収容される現像剤の量を多くして現像装置の交換サイクルをのばすことも可能である。この場合には、現像剤貯留槽35Aに複数の区画を設け、各区閣内に搬送部材35Cを設けることにより、現像剤の突き崩しを行って凝縮や固化を防止すればよい。
【0056】
本実施例に用いられる現像剤は、トナーのみの一成分系現像剤であり、以下にトナーについて説明する。
本実施例の対象となるカラープリンタ1では、600dpi以上の微小ドットを再現するために、トナーの質量平均粒径(D4)は3〜10μmが好ましい。この範囲では、微小な潜像ドットに対して、十分に小さい粒径のトナー粒子を有していることから、ドット再現性に優れる。前記質量平均粒径(D4)が3μm未満では、転写効率の低下、ブレードクリーニング性の低下といった現象が発生しやすいことがあり、10μmを超えると、文字やラインの飛び散りを抑えることが難しいことがある。
【0057】
また、前記トナーは、質量平均粒径(D4)と個数平均粒径(D1)の比(D4/D1)は1.00〜1.40の範囲にあることが好ましい。
前記比(D4/D1)が1.00に近づくほど、そのトナーの粒度分布がシャープであることを意味し、(D4/D1)が1.00〜1.40の範囲では、トナー粒径による選択現像が起きないため、画質の安定性に優れる。また、トナーの粒度分布がシャープであることから、摩擦帯電量分布もシャープとなり、カブリの発生が抑えられる。また、トナー粒径が揃っていると、潜像ドットに対して、緻密にかつ整然と並ぶように現像されるので、ドット再現性に優れる。
【0058】
ここで、前記トナーの質量平均粒径(D4)、及び粒度分布の測定は、例えばコールターカウンター法による。該コールターカウンター法によるトナー粒子の粒度分布の測定装置としては、コールターカウンターTA−IIやコールターマルチサイザーII(いずれもコールター社製)が挙げられる。
【0059】
まず、電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加える。ここで、電解液とは1級塩化ナトリウムを用いて約1%NaCl水溶液を調製したもので、例えばISOTON−II(コールター社製)が使用できる。ここで、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1〜3分間分散処理を行い、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子又はトナーの体積、個数を測定して、体積分布と個数分布を算出する。得られた分布から、トナーの質量平均粒径(D4)、個数平均粒径(D1)を求めることができる。
【0060】
チャンネルとしては、2.00〜2.52μm未満;2.52〜3.17μm未満;3.17〜4.00μm未満;4.00〜5.04μm未満;5.04〜6.35μm未満;6.35〜8.00μm未満;8.00〜10.08μm未満;10.08〜12.70μm未満;12.70〜16.00μm未満;16.00〜20.20μm未満;20.20〜25.40μm未満;25.40〜32.00μm未満;32.00〜40.30μm未満の13チャンネルを使用し、粒径2.00μm以上乃至40.30μm未満の粒子を対象とする。
また、現像装置10で使用するトナーは、以下の形状係数SF−1、SF−2の値で規定することができる球形トナーであることが好ましい。
図5は、形状係数SF−1、形状係数SF−2を説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される、トナーを2次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4)・・・式(1) SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
【0061】
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される、トナーを2次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100/4πを乗じた値である。
SF−2={(PERI)/AREA}×(100/4π) ・・・式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
【0062】
トナーの形状が球形に近くなると、トナーとトナーあるいはトナーと感光体との接触が点接触に近くなるために、トナー同士の吸着力は弱くなり従って流動性が高くなり、また、トナーの感光体ドラム11表面への付着力も低下し、転写率は高くなる。形状係数SF−1,SF−2のいずれかが180を超えると、転写率が低下するため好ましくない。
【0063】
上述したトナーは、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤を含むトナー組成物を水系媒体中で樹脂微粒子の存在下で架橋及び/又は伸長反応させることにより作製することができる。以下に、トナーの構成材料および製造方法について説明する。
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0064】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)として
は、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0065】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0066】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。重量平均分子量が1万未満では、耐オフセット性が悪化するため好ましくない。また、40万を超えると低温定着性が悪化するため好ましくない。
【0067】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
【0068】
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0069】
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0070】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
【0071】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
【0072】
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)
などが挙げられる。
【0073】
3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。
【0074】
アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0075】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。
[NCO]/[NHx]が2を超えたり、1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0076】
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0077】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
【0078】
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
【0079】
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0080】
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0081】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置100に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。なお、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
【0082】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
【0083】
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0084】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0085】
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブ
リリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0086】
着色剤は、樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。
マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0087】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては公知のものが使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩及び、サリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、4級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、4級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、4級アンモニウム塩のコピーチャージPSY VP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、4級アンモニウム塩のコピーチャージ NEGVP2036、コピーチャージ NX VP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、4級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。このうち、特にトナーを負極性に制御する物質が好ましく使用される。
【0088】
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0089】
(離型剤)
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0090】
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。
【0091】
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像装置内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
【0092】
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。
しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0093】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
(トナーの製造方法)
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
【0094】
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0095】
2)トナー材料液を界面活性剤、樹脂微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
【0096】
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、樹脂微粒子等の分散剤を適宜加える。
【0097】
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0098】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0099】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0100】
カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0101】
樹脂微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。このために、トナー母体粒子の表面上に存在する被覆率が10〜90%の範囲になるように加えられることが好ましい。例えば、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0102】
上記の樹脂微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0103】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0104】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。
この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0105】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。
有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0106】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで、シリカ微粒子、酸化チタン微粒子等の無機微粒子を外添させ、トナーを得る。
荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
これにより、小粒径であって、粒径分布のシャープなトナーを容易に得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、真球状からラクビーボール状の間の形状を制御することができ、さらに、表面のモフォロジーも滑らかなものから梅干形状の間で制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明に係る現像装置を用いる画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に用いられるプロセスカートリッジの概略構成を示す図である。
【図3】図2に示したプロセスカートリッジに用いられる現像装置の要部構成を説明するための部分図である。
【図4】図3に示した要部に用いられるシートの構成を示す図である。
【図5】本発明に係る現像装置に用いられるトナーの形状係数を説明するための図である。
【符号の説明】
【0108】
1 カラープリンタ
2,3,4,5 作像ユニットとして用いられるプロセスカートリッジ
20 感光体
30 現像装置
31 現像剤担持体
32 現像剤供給部材
35 現像剤補給手段
35A 現像剤収納部に相当する現像剤貯留部
35A1 排出口
35B 現像剤補給部材
36 シート
36A 開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転自在に設けられた現像剤担持体と、該現像剤担持体と接触させて回転自在に設けられた現像剤供給部材と、該現像剤供給部材の上方に現像剤収納部を設けた現像装置において、
上記現像剤供給部材に加わる負荷を削減した現像剤補給手段が現像剤収納部に設けられ、該現像剤補給手段は、少なくとも先端部を弾性部材にて構成し、その先端が現像剤収納部内面に接触しながら回転可能に設けられた現像剤補給部材と、該現像剤補給部材に対して空隙を介して対向する開口をもったシートで構成したことを特徴とする現像装置。
【請求項2】
上記空隙は、上記現像剤収納部に形成された現像剤排出口が用いられることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
【請求項3】
上記現像剤収納部に複数の区画を設け、各区画内現像剤を搬送する部材を設けたことを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
【請求項4】
上記現像剤補給手段のシートの開口は、現像剤補給部材の回転中心と現像剤供給部材の回転中心を結んだ所より現像剤補給部材の下流側に設けたことを特徴とする請求項3に記載の現像剤補給手段。
【請求項5】
像担持体と、帯電手段、現像手段、クリ−ニング手段より選ばれる少なくとも一つの手段を一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカ−トリッジにおいて、
上記現像手段は、現像剤担持体と、該現像剤担持体と接触させて回転自在に設けられた現像剤供給部材と、該現像剤供給部材の上方に現像剤収納部と、該現像剤供給部材に加わる負荷を削減した現像剤補給手段として、少なくとも先端部を弾性部材にて構成し回転自在に設けられた現像剤補給部材と、該現像剤補給部材に近接または当接し開口をもったシートが装備されている構成を備えたことを特徴とするプロセスカ−トリッジ。
【請求項6】
請求項5記載のプロセスカートリッジを用いたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
現像手段が複数並列して配置されてカラー画像を形成可能であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
上記現像手段で用いられる現像剤は、体積平均粒径が3〜8μmで、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.00〜1.40の範囲にあることを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
上記現像装置で用いられる現像剤は、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜180の範囲にあることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
上記現像手段で用いられる現像剤は、少なくとも、窒素原子を含む官能基を有するポリエステルプレポリマー、ポリエステル、着色剤、離型剤とを有機溶媒中に分散させたトナー材料液を、水系媒体中で架橋及び/又は伸長反応させて得られる現像剤であることを特徴とする請求項6乃至9のいずれかに記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−298965(P2008−298965A)
【公開日】平成20年12月11日(2008.12.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−143412(P2007−143412)
【出願日】平成19年5月30日(2007.5.30)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】